JP2023177987A - 金属接着用ゴム組成物、スチールベルト、及び空気入りタイヤ - Google Patents

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正章 小島
Masaaki Kojima
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Abstract

【課題】本発明の目的は、優れた硬度と金属接着性とを有するゴム組成物を提供する事である。【解決手段】ジエン系ゴム、ピラゾロン化合物及び金属錯体を含む、金属接着性ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、金属接着用ゴム組成物、スチールベルト、及び空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、ビート部、サイドウォール部、及びトレッド部とから主に構成されており、タイヤの内側にはカーカス層が構成されている。トレッド部は、キャップトレッドとアンダートレッドとからなり、このアンダートレッドとカーカス層との間に、ベルト層が構成されている。このベルト層には、強い衝撃や負荷がかかるため、補強材としてスチールコードといった金属製の補強用コードが使用されている。このようなスチールコードを被覆するゴムは、スチールコードとの強固な接着性が求められている。スチールコードを被覆するゴムは、また、厳しい加熱、又は湿熱環境におかれても、スチールコードとの接着力を維持することも求められている。
特許文献1は、ジエン系ゴムに、安息香酸コバルト、コバルト(II)アセチルアセトナート及び/又はコバルト(III)アセチルアセトナート、並びにロジンを配合したゴム組成物を開示している。
特許文献2は、ジエン系ゴムに、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、及び液状ゴムを配合した金属接着用ゴム組成物を開示している。
特許文献3は、本出願人が提供する技術であり、ピラゾロン化合物を含むゴム用引き裂き強度付与剤を開示している。
特開2007-99868号公報 特開2021-84946号公報 特開2020-33454号公報
本発明の目的は、優れた硬度と金属接着性とを有する金属接着用ゴム組成物を提供することである。
本発明の他の目的の一つは、優れた硬度と金属接着性を有するスチールベルトを提供することである。
本発明の他の目的の一つは、優れた硬度と金属接着性を有するスチールベルトを有する空気入りタイヤを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ジエン系ゴムに特定のピラゾロン系化合物と金属錯体とを配合することによって、得られるゴム組成物が優れた硬度と金属接着性を有することを見出した。
すなわち、本発明は、以下に示すゴム組成物、スチールベルト、及び空気入りタイヤを提供する。
項1.
金属接着用ゴム組成物であって、
ジエン系ゴム、式(1)及び(2)で表される化合物、並びに該化合物の塩から選ばれる少なくとも一種の化合物:
Figure 2023177987000001
(式(1)中、R、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。RとRとは互いに結合してアルキリデン基を形成してもよく、R、R及びRのいずれか2つが互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
Figure 2023177987000002
(式(2)中、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、Rはアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
並びに、金属錯体を含み、
前記ジエン系ゴム100質量部に対して、
前記式(1)及び(2)で表される化合物、並びに該化合物の塩から選ばれる少なくとも一種の化合物を0.1質量部~5質量部含み、及び
前記金属錯体を0.1質量部~4質量部含む、
金属接着用ゴム組成物。
項2.
前記金属錯体の金属は、コバルト、鉄、亜鉛、及びアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属である、前記項1に記載の金属接着用ゴム組成物。
項3.
前記ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム成分100質量部中、天然ゴムおよび/または合成イソプレンゴムを80質量部以上含む、前記項1又は2に記載の金属接着用ゴム組成物。
項4.
スチールベルト用である、前記項1~3のいずれかに記載の金属接着用ゴム組成物。
項5.
前記項4に記載の金属接着用ゴム組成物を用いたスチールベルト。
項6.
前記項5に記載のスチールベルトを用いた空気入りタイヤ。
本発明は、優れた硬度と金属接着性とを有する金属接着用ゴム組成物を提供する事が出来る。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明を表す実施の形態は、発明の趣旨がより良く理解出来る説明であり、特に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。
本明細書において、「含む」及び「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、数値範囲はA以上、B以下を意味する。
1.金属接着用ゴム組成物
本発明の金属接着用ゴム組成物は、ジエン系ゴム、式(1)及び(2)で表される化合物、並びに該化合物の塩から選ばれる少なくとも一種の化合物:
Figure 2023177987000003
(式(1)中、R、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。RとRとは互いに結合してアルキリデン基を形成してもよく、R、R及びRのいずれか2つが互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
Figure 2023177987000004
(式(2)中、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、Rはアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
並びに、金属錯体を含み、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記式(1)及び(2)で表される化合物、並びに該化合物の塩から選ばれる少なくとも一種の化合物を0.1質量部~5質量部含み、及び前記金属錯体を0.1質量部~4質量部含む。
本発明の金属接着用ゴム組成物は、十分な硬度を有し、金属製補強コードに対する接着性(金属接着性)は良好である。本発明の金属接着用ゴム組成物は、特に、湿熱下に、長時間曝されて(老化後)も、ゴム-金属間の接着性は良好である。
1-1.ジエン系ゴム
本発明の金属接着用ゴム組成物は、ジエン系ゴムを含む。
前記ジエン系ゴムは、好ましくは、ジエン系ゴム成分100質量部中、天然ゴムおよび/または合成イソプレンゴムを80質量部以上含む。
本発明のジエン系ゴムとしては、天然ゴム、合成イソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、スチレン-イソプレン-スチレン三元ブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン三元ブロック共重合体(SBS)等、及びこれらの変性合成ジエン系ゴムが挙げられる。変性合成ジエン系ゴムには、主鎖変性、片末端変性、両末端変性などの変性手法によるジエン系ゴムが包含される。ここで、変性合成ジエン系ゴムの変性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、水酸基などの各種官能基が挙げられ、これら官能基は1種又は2種以上が変性合成ジエン系ゴムに含まれていてもよい。
上記天然ゴムとしては、天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、ロシアンタンポポ由来天然ゴムなどが挙げられ、さらにこれら天然ゴムを変性した、エポキシ化天然ゴム、メタクリル酸変性天然ゴム、ハロゲン変性天然ゴム、脱蛋白天然ゴム、マレイン酸変性天然ゴム、スルホン酸変性天然ゴム、スチレン変性天然ゴムなどの変性天然ゴムなども、本発明の天然ゴムに含まれる。
ジエン系ゴムの製造方法は、特に制限はなく、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。また、ジエン系ゴムのガラス転移点においても、特に制限はない。
ジエン系ゴムの二重結合部のシス/トランス/ビニルの比率については、特に制限はなく、いずれの比率においても好適に用いることができる。また、ジエン系ゴムの数平均分子量および分子量分布は、特に制限はないが、数平均分子量500~3,000,000、分子量分布1.5~15が好ましい。
ジエン系ゴムは、1種単独で、又は2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。
中でも、好ましい形態としては、天然ゴム単独、合成イソプレンゴム単独、天然ゴムと合成イソプレンゴムとの混合、天然ゴムとその他のジエン系ゴムとの混合、合成イソプレンゴムとその他のジエン系ゴムとの混合、天然ゴムと合成イソプレンゴムとその他のジエン系ゴムとの混合であり、より好ましい形態としては、天然ゴム単独、合成イソプレンゴム単独、天然ゴムと合成イソプレンゴムとの混合、天然ゴムと合成イソプレンゴムとその他のジエン系ゴムとの混合(但し、ジエン系ゴム成分100質量部中、80質量部以上が天然ゴムと合成イソプレンゴム)であり、特に好ましい形態としては、ジエン系ゴム100質量部中、90質量部以上が天然ゴムと合成イソプレンゴムである。
本発明の金属接着用ゴム組成物において、ジエン系ゴム成分の組成を前記範囲に調整する事に依り、金属接着用ゴム組成物は優れた弾性を発揮する事が出来、また、金属接着用ゴム組成物のコストを低減させ、その結果、経済性を向上させる事が可能である。
1-2.式(1)及び(2)で表される化合物、並びに該化合物の塩から選ばれる少なくとも一種の化合物
本発明の金属接着用ゴム組成物は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、式(1)及び(2)で表される化合物、並びに該化合物の塩(以下、これらを総称して「ピラゾロン誘導体」ということがある。)から選ばれる少なくとも一種の化合物を0.1質量部~5質量部含む。
本発明の金属接着用ゴム組成物では、ジエン系ゴム成分に、ピラゾロン誘導体及び金属錯体を配合する事により、ジエン系ゴム成分中に存在するピラゾロン誘導体が、スチールコード表面の銅、亜鉛等のメッキ層とキレート錯体を形成し、湿熱劣化時のゴム-金属表面層の安定化を可能とする。
本発明の金属接着用ゴム組成物は、優れた硬度と金属接着性(金属製補強コードに対する接着性)とを発揮する。
本発明の式(1)で表される化合物、及び該化合物の塩は、下記式(1)で表される化合物である。
以下、当該化合物及びその塩を総称して、単に化合物(1)とも記す。
Figure 2023177987000005
式(1)中、R、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。
式(1)中、RとRとは互いに結合してアルキリデン基を形成してもよく、R、R及びRのいずれか2つが互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。
式(1)中、これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。
本発明の式(2)で表される化合物、及び該化合物の塩は、下記式(2)で表される化合物である。
以下、当該化合物及びその塩を総称して、単に化合物(2)とも記す。
Figure 2023177987000006
式(2)中、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、Rはアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。
式(2)中、これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。
化合物(1)又は(2)において、「アルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、更に、1-エチルプロピル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を加えた炭素数5~18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3~8の環状アルキル基等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アラルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ベンジル、フェネチル、トリチル、1-ナフチルメチル、2-(1-ナフチル)エチル、2-(2-ナフチル)エチル基等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アリール基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロインデニル、9H-フルオレニル基等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「複素環基」としては、特に限定はなく、例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピラジニル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ピリミジル、3-ピリダジル、4-ピリダジル、4-(1,2,3-トリアジル)、5-(1,2,3-トリアジル)、2-(1,3,5-トリアジル)、3-(1,2,4-トリアジル)、5-(1,2,4-トリアジル)、6-(1,2,4-トリアジル)、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリル、3-キノキサリル、5-キノキサリル、6-キノキサリル、7-キノキサリル、8-キノキサリル、3-シンノリル、4-シンノリル、5-シンノリル、6-シンノリル、7-シンノリル、8-シンノリル、2-キナゾリル、4-キナゾリル、5-キナゾリル、6-キナゾリル、7-キナゾリル、8-キナゾリル、1-フタラジル、4-フタラジル、5-フタラジル、6-フタラジル、7-フタラジル、8-フタラジル、1-テトラヒドロキノリル、2-テトラヒドロキノリル、3-テトラヒドロキノリル、4-テトラヒドロキノリル、5-テトラヒドロキノリル、6-テトラヒドロキノリル、7-テトラヒドロキノリル、8-テトラヒドロキノリル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、4-(1,2,3-チアジアゾリル)、5-(1,2,3-チアジアゾリル)、3-(1,2,5-チアジアゾリル)、2-(1,3,4-チアジアゾリル)、4-(1,2,3-オキサジアゾリル)、5-(1,2,3-オキサジアゾリル)、3-(1,2,4-オキサジアゾリル)、5-(1,2,4-オキサジアゾリル)、3-(1,2,5-オキサジアゾリル)、2-(1,3,4-オキサジアゾリル)、1-(1,2,3-トリアゾリル)、4-(1,2,3-トリアゾリル)、5-(1,2,3-トリアゾリル)、1-(1,2,4-トリアゾリル)、3-(1,2,4-トリアゾリル)、5-(1,2,4-トリアゾリル)、1-テトラゾリル、5-テトラゾリル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル、6-ベンゾイミダゾリル、7-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフニル、2-ベンゾチエニル、3-ベンゾチエニル、4-ベンゾチエニル、5-ベンゾチエニル、6-ベンゾチエニル、7-ベンゾチエニル、2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル、1-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル、2-モルホリル、3-モルホリル、4-モルホリル、1-ピペラジル、2-ピペラジル、1-ピペリジル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、2-テトラヒドロピラニル、3-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロチオピラニル、3-テトラヒドロチオピラニル、4-テトラヒドロチオピラニル、1-ピロリジル、2-ピロリジル、3-ピロリジル、フラニル、2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-テトラヒドロチエニル、5-メチル-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-イル基、モルホリノ基等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アルキレン基」としては、特に限定はなく、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等の炭素数2~7のアルキレン基を挙げることができる。これらアルキレン基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよく、フェニレン基を介していてもよい。このようなアルキレン基としては、例えば、-CHNHCH-、-CHNHCHCH-、-CHNHNHCH-、-CHCHNHCHCH-、-CHNHNHCHCH-、-CHNHCHNHCH-、-CHCHCHNHCHCHCH-、-CHOCHCH-、-CHCHOCHCH-、-CHSCHCH-、-CHCHSCHCH-、
Figure 2023177987000007
等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アルキリデン基」としては、炭素数が1~4程度であって、特に限定はなく、例えば、メチリデン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチリデン基等が挙げられる。
これらアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、及びアルキレン基は、置換可能な任意の位置にそれぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。
該「置換基」としては、特に限定はなく、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。
該置換基は、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個有していてもよい。
化合物(1)又は(2)において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子である。
化合物(1)又は(2)において、「アミノ基」としては、-NHで表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、n-ペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、イソヘキシルアミノ、3-メチルペンチルアミノ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~6程度のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~2程度のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれる。
化合物(1)又は(2)において、「アミノアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、アミノメチル、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、エチルメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、2-アミノエチル、2-(メチルアミノ)エチル、2-(エチルアミノ)エチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(エチルメチルアミノ)エチル、2-(ジエチルアミノ)エチル、3-アミノプロピル、3-(メチルアミノ)プロピル、3-(エチルアミノ)プロピル、3-(ジメチルアミノ)プロピル、3-(エチルメチルアミノ)プロピル、3-(ジエチルアミノ)プロピル基等の炭素数1~7程度のアミノアルキル基、モノアルキル置換アミノアルキル基又はジアルキル置換アミノアルキル基等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アルコキシカルボニル基」としては、特に限定はなく、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシカルボニル基が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アシル基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチル、プロピオニル、ピバロイル基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルカルボニル基が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アシルオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、n-ブチリルオキシ基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アシルオキシ基等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アミド基」としては、特に限定はなく、例えば、アセトアミド、ベンズアミド基等のカルボン酸アミド基;チオアセトアミド、チオベンズアミド基等のチオアミド基;N-メチルアセトアミド、N-ベンジルアセトアミド基等のN-置換アミド基;等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「カルボキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシ-n-プロピル、カルボキシ-n-ブチル、カルボキシ-n-ペンチル、カルボキシ-n-ヘキシル基等のカルボキシアルキル基が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「ヒドロキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシ-n-プロピル、ヒドロキシ-n-ブチル基等のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アルコキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ基の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ基等の環状アルコキシ基等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アリールオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフトキシ基等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アルキルチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、及びn-プロピルチオ基等が挙げられる。
化合物(1)又は(2)において、「アリールチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ビフェニルチオ基等が挙げられる。
化合物(1)の中でも、Rが水素原子である化合物が好ましい。
化合物(1)の中でも、Rが、水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基である化合物が好ましく、水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、又はフリル基である化合物がより好ましく、水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状アルキル基である化合物が更に好ましい。
化合物(1)の中でも、R及びRの少なくとも一方が水素原子である化合物が好ましく、R及びRが共に水素原子である化合物がより好ましい。
化合物(1)の中でも、Rが水素原子であり、Rが水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基であり、R及びRが共に水素原子である化合物、及び、Rが水素原子であり、Rが水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基であり、RとRとが一緒になってアルキリデン基を形成している化合物が更に好ましく、Rが水素原子であり、Rが水素原子若しくは炭素数1~4の直鎖状アルキル基であり、R及びRが共に水素原子である化合物が特に好ましい。
化合物(2)の中でも、Rは水素原子であり、Rは炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基であり、R及びRは同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アラルキル基、アリール基、アミノ基又は複素環基である化合物が好ましい。
化合物(2)の中でも、Rが炭素数1~4の直鎖状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基である化合物が好ましく、炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアリール基である化合物がより好ましい。
化合物(2)の中でも、R及びRが同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアミノ基である化合物が好ましい。
化合物(2)の中でも、Rは水素原子であり、Rが炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアリール基であり、R及びRが同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアミノ基である化合物が好ましい。
化合物(1)及び化合物(2)の中でも、化合物(1)が特に好ましい。
化合物(1)としては、例えば、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-(フラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-t-ブチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-ウンデシル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-ベンジル-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)オン、4,4’-(フェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)、4-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-メチル-2,3-ジアゾスピロ[4.4]ノン-3エン-1-オン、5-メチル-2-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン、4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インダゾール-3(3aH)-オン、4-{[4-ジメチルアミノ]フェニル}メチリデン}-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4,4’-(4-ヒドロキシフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)、1,3-ジフェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、及び4,4’-(4-ニトロフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)等が挙げられる。
化合物(2)としては、例えば、1,5-ジメチル-2-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、1-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、及び4-アミノ-1,5-ジメチル-2-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン等が挙げられる。
中でも、好ましい化合物は、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-t-ブチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-(フラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、及び3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オンがより好ましい。
本発明のゴム組成物に含まれる化合物(1)及び(2)としては、上記した化合物を一種のみ単独で含んでもよいし、二種以上を混合して含んでもよい。
化合物(1)又は(2)の中には、互変異性体を生じるものがある。互変異性化が可能である(例えば、溶液中である)場合に、互変異性体の化学平衡に達し得る。化合物(1)又は(2)は、例えば、式(3)~(9)で表されるような互変異性体として存在することができる。
前記式(1)において、R及びRが水素原子である化合物(化合物(1)-A)には、以下の式(3)~(5)で表される互変異性体が存在する。
Figure 2023177987000008
(式中、R及びRは、前記に同じ。)
前記式(1)において、Rが水素原子である化合物(化合物(1)-B)には、以下の式(6)~(7)で表される互変異性体が存在する。
Figure 2023177987000009
(式中、R、R及びRは、前記に同じ。)
前記式(1)において、Rが水素原子である化合物(化合物(1)-C)には、以下の式(8)で表される互変異性体が存在する。
Figure 2023177987000010
(式中、R、R及びRは、前記に同じ。)
前記式(2)において、Rが水素原子である化合物(化合物(2)-A)には、以下の式(9)で表される互変異性体が存在する。
Figure 2023177987000011
上記式(3)~(9)で表されるような互変異性体と、化合物(1)又は(2)とは、どちらの異性体も共存する平衡状態に達している。よって、別段の記載がない限り、本明細書において、化合物(1)又は(2)のすべての互変異性体の形態は、本発明の範囲内である。
式(1)又は(2)で表される化合物の塩としては、特に限定はなく、あらゆる種類の塩が含まれる。このような塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、及びトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられる。
上記化合物(1)又は(2)の配合量は、金属接着用ゴム組成物中の上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1質量部~5質量部であり、0.2質量部~5.0質量部であることが好ましく、0.2質量部~2.0質量部であることがより好ましく、0.3質量部~1.0質量部であることが更に好ましい。
本発明の金属接着用ゴム組成物において、上記化合物(1)又は(2)の配合量を前記範囲に調整する事に依り、金属接着用ゴム組成物は優れた硬度と金属接着性とを発揮する事が出来る。
1-3.金属錯体
本発明の金属接着用ゴム組成物は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、金属錯体を0.1質量部~4質量部含む。
前記金属錯体の金属は、好ましくは、コバルト、鉄、亜鉛、及びアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属である。
本発明の金属接着用ゴム組成物では、ジエン系ゴム成分に、ピラゾロン誘導体及び金属錯体を配合する事により、ジエン系ゴム成分中に存在するピラゾロン誘導体が、スチールコード表面の銅、亜鉛等のメッキ層とキレート錯体を形成し、湿熱劣化時のゴム-金属表面層の安定化を可能とする。
本発明の金属接着用ゴム組成物は、優れた硬度と金属接着性(金属製補強コードに対する接着性)とを発揮する。
本発明の金属錯体における金属は、特に制限はないが、周期表第7~14族に属する元素を中心金属とする金属であり、その中でも好ましくは、コバルト、鉄、亜鉛、アルミニウム、銅、錫であり、より好ましくは、コバルト、鉄、亜鉛、ニッケル、アルミニウムであり、特に好ましくは、コバルトである。前記金属錯体における金属は、無電荷であっても、架電しているイオンであってもよい。
本発明の金属錯体の配位子は、特に制限はないが、好ましくは、ステアリン酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、オレイン酸、樹脂酸、ロジン酸、バーサチック酸、トール油、ホウ酸ネオデカン酸、アセチルアセトナート等である。
有機酸コバルト塩としては、例えばナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、樹脂酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト、ホウ酸ネオデカン酸コバルト、アセチルアセトナートコバルト等を例示することができる。鉄の金属錯体の化合物としては、ペンタカルボニル鉄、ノナカルボニル二鉄、テトラカルボニル鉄(II)酸ナトリウム等があげられる。亜鉛の金属錯体の化合物としては、テトラアンミン亜鉛等が挙げられる。
金属錯体の化合物としては、その中でも、好ましくは、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルトであり、特に好ましくは、ステアリン酸コバルトである。
上記金属錯体の配合量は、金属接着用ゴム組成物中の上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1質量部~4質量部であり、0.1質量部~4.0質量部であることが好ましく、0.5質量部~3.5質量部であることがより好ましく、1.0質量部~3.0質量部であることが更に好ましい。
本発明の金属接着用ゴム組成物において、上記金属錯体の配合量を前記範囲に調整する事に依り、金属接着用ゴム組成物は優れた硬度と金属接着性とを発揮する事が出来る。
1-4.その他の配合剤
本発明の金属接着用ゴム組成物には、上記成分以外にも、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、無機充填材、老化防止剤、オゾン防止剤、軟化剤、加工助剤、ワックス、液状ゴム、発泡剤、オイル、ステアリン酸等の炭素数8~30の脂肪酸、酸化亜鉛(ZnO、亜鉛華)、加硫促進剤、加硫遅延剤、及び加硫剤(硫黄)等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、タイヤ用のゴム組成物に使用される公知のものを広く採用することが可能であり、例えば、市販品を好適に使用することができる。
カーボンブラックは、通常ゴムの補強性を向上させるために用いられる。なお、本明細書においては、無機充填材にカーボンブラックは含まれない。
カーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば、市販品のカーボンブラック、Carbon-Silica Dual phase filler等が挙げられる。ゴム成分にカーボンブラックを含有することにより、ゴムの電気抵抗を下げて、帯電を抑止する効果、さらにゴムの強度を向上させる効果を享受できる。
具体的に、カーボンブラックとしては、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N110、N134、N220、N234、N330、N339、N375、N550、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック等が挙げられる。中でも、好ましいカーボンブラックとしては、SAF、ISAF、IISAF、N134、N234、N330、N339、N375、HAF、又はFEFグレードのカーボンブラックである。
カーボンブラックのDBP吸収量としては、特に制限はなく、好ましくは60cm/100g~200cm/100g、より好ましくは70cm/100g~180cm/100g、特に好ましくは80cm/100g~160cm/100gである。
また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA、JISK6217-2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは30m/g~200m/g、より好ましくは40m/g~180m/g、特に好ましくは50m/g~160m/gである。
無機充填材(無機化合物)としては、特に制限はなく、例えば、シリカ;γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)];炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイ(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(Ca・SiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。
これらの無機充填材は、高分子材料との親和性を向上させるために、該無機充填材の表面が有機処理されていてもよい。
シリカとしては、市販のあらゆるものが使用できる。中でも、好ましいシリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ、又はコロイダルシリカであり、より好ましくは湿式シリカである。これらのシリカは、ゴム成分との親和性を向上させるために、シリカの表面が有機処理されていてもよい。
シリカのBET比表面積としては、特に制限はなく、例えば、40m/g~350m/gの範囲が挙げられる。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、高分子材料中への分散性を両立できるという利点がある。該BET比表面積は、ISO5794/1に準拠して測定される。
好ましいシリカとしては、BET比表面積が80m/g~300m/gの範囲にあるシリカであり、より好ましくは、BET比表面積100m/g~270m/gであるシリカであり、特に好ましくは、BET比表面積110m/g~260m/gの範囲にあるシリカである。
シリカの市販品としては、Quechen Silicon ChemicalCo.,Ltd.製の商品名「HD165MP」(BET比表面積=165m/g)、「HD115MP」(BET比表面積=115m/g)、「HD200MP」(BET比表面積=200m/g)、「HD250MP」(BET比表面積=250m/g)、東ソー・シリカ株式会社製の商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積=205m/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積=240m/g)、デグッサ社製の商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積=175m/g)等が挙げられる。
カーボンブラック及び/又は無機充填材の配合量は、特に限定はなく、例えば、ジエン系ゴム100質量部に対して、通常10質量部~120質量部であり、好ましくは30質量部~80質量部 であり、より好ましくは35質量部~70質量部である。
カーボンブラック及び無機充填材の両方を配合する場合には、両成分の合計量が上記範囲になるように適宜調整すれば良い。
カーボンブラック及び/又は無機充填材の配合量が、10質量部以上であれば、金属接着用ゴム組成物の補強性向上の観点から好ましく、120質量部以下であれば、金属接着用ゴム組成物の加工性の観点から好ましい。
カーボンブラックの配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して、通常20質量部~100質量部であり、好ましくは35質量部~80質量部であり、より好ましくは40質量部~70質量部である。
カーボンブラックの配合量が20質量部以上であれば、静電気防止性能及びゴム強度性能を確保する観点から好ましく、100質量部以下であれば、ゴムの硬度の観点から好ましい。
無機充填材(シリカ等)の配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して、通常10質量部~50質量部である。
シリカの配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して、通常2質量部~100質量部であり、好ましくは30質量部~80質量部であり、より好ましくは35質量部~60質量部である。
カーボンブラック及び/又は無機充填材(シリカ等)を配合する時に、カーボンブラック及び/又は無機充填材による高分子材料の強度を高める目的等で、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤を配合してもよい。
シランカップリング剤としては、特に制限されず、例えば、スルフィド系、ポリスルフィド系、チオエステル系、チオール系、オレフィン系、エポキシ系、アミノ系、アルキル系のシランカップリング剤が挙げられる。
スルフィド系のシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。これらの内、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
チオエステル系のシランカップリング剤としては、例えば、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
チオール系のシランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-[エトキシビス(3,6,9,12,15-ペンタオキサオクタコサン-1-イルオキシ)シリル]-1-プロパンチオール等を挙げることができる。
オレフィン系のシランカップリング剤としては、例えば、ジメトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-(メトキシジメトキシジメチルシリル)プロピルアクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート等を挙げることができる。
エポキシ系のシランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、トリエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
アミノ系のシランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-エトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
アルキル系のシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、メチルトリエトキシシランが好ましい。
これらシランカップリング剤の中でも、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを特に好ましく使用することができる。
チタネートカップリング剤としては、特に制限されず、例えば、アルコキシド系、キレート系、アシレート系のチタネートカップリング剤が挙げられる。
アルコキシド系のチタネートカップリング剤としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等を挙げることができる。これらの内、テトライソプロピルチタネートが好ましい。
キレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、リン酸チタン化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンエタノールアミネート、チタンオクチレングリコレート、チタンアミノエチルアミノエタノレート等を挙げることができる。これらの内、チタンアセチルアセトネートが好ましい。
アシレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンイソステアレート等を挙げることができる。
アルミネートカップリング剤としては、特に制限されず、例えば、アルミネートカップリング剤として、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等が挙げることができる。これらの内、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートが好ましい。
ジルコネートカップリング剤としては、特に制限されず、例えば、アルコキシド系、キレート系、アシレート系のジルコネートカップリング剤が挙げられる。
アルコキシド系のジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等を挙げることができる。この内、ノルマルブチルジルコネートが好ましい。
キレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩等を挙げることができる。この内、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートが好ましい。
アシレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム等を挙げることができる。この内、ステアリン酸ジルコニウムが好ましい。
本発明においては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
1-5.本発明の金属接着用ゴム組成物の製造方法
本発明の金属接着用ゴム組成物は、前記ジエン系ゴム、化合物(1)及び(2)のピラゾロン化合物、及び金属錯体を混合する事に依り、製造することができる。必要に応じて、その他の配合剤を混合しても良い。ジエン系ゴム、化合物(1)及び(2)のピラゾロン化合物、及び金属錯体を混合する順序、その他の配合剤を配合する順序は、適宜設定すれば良い。
本発明では、金属接着用ゴム組成物の製造方法として、例えば、以下の製造方法を採用する事が出来る。
製造方法1
工程(A)ジエン系ゴム、化合物(1)及び(2)のピラゾロン化合物、及び金属錯体を含む原料成分を混合する工程、並びに、
工程(B)前記工程(A)で得られる混合物及び加硫剤を混合する工程
を含む方法。
製造方法2
工程(A)ジエン系ゴム、及び化合物(1)及び(2)のピラゾロン化合物を含む原料成分を混合する工程、並びに、
工程(B)前記工程(A)で得られる混合物、金属錯体、及び加硫剤を混合する工程
を含む方法。
製造方法3
工程(A)ジエン系ゴム、及び金属錯体を含む原料成分を混合する工程、並びに、
工程(B)前記工程(A)で得られる混合物、化合物(1)及び(2)のピラゾロン化合物、及び加硫剤を混合する工程
を含む方法。
本発明では、金属接着用ゴム組成物の製造方法として、中でも、製造方法1が好ましい。
1-5-1.工程(A)
工程(A)は、ジエン系ゴム、化合物(1)及び(2)のピラゾロン化合物、及び金属錯体を含む原料成分を混合する工程である。
工程(A)では、更に必要に応じて、上記のその他の配合剤等を配合することができる。
工程(A)においては、ジエン系ゴム、化合物(1)及び(2)のピラゾロン化合物、及び金属錯体を含む原料成分を混合する。この混合方法においては、各成分の全量を一度に混合してもよく、粘度調整等の目的に応じて、各成分を分割投入して混合してもよい。また、充填剤を予め湿式方法および/又は乾式混合方法によりゴムに添加した充填剤マスターバッチゴムを使用しても良い。
工程(A)におけるゴム組成物を混合する際の温度としては、特に制限はなく、例えば、ゴム組成物の温度の上限が100℃~190℃であることが好ましく、110℃~180℃であることがより好ましく、120℃~170℃であることが更に好ましい。
工程(A)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、1分間から8分間であることがさらに好ましい。
1-5-2.工程(B)
工程(B)は、工程(A)で得られる混合物及び加硫剤を混合する工程である。
工程(B)では、更に必要に応じて、加硫促進剤等を配合することができる。
工程(B)は、加熱条件下で行うことができる。該工程の加熱温度としては、特に制限はなく、例えば、60℃~140℃であることが好ましく、80℃~120℃であることがより好ましく、90℃~120℃であることがさらに好ましい。
混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、60秒間から5分間であることがさらに好ましい。
工程(A)から工程(B)に進む際には、前段階の工程終了後の温度より、30℃以上低下させてから次の工程(B)へ進むことが好ましい。
本発明の金属接着用ゴム組成物の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合されるステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤等の各種配合剤を、必要に応じて、工程(A)又は工程(B)において添加することができる。
上記した配合剤は、工程(A)又は工程(B)のどちらか一方で添加してもよいし、あるいは工程(A)及び工程(B)に分けて添加してもよい。
本明細書では、「混合」には、単に混ぜ合わせるという態様のみならず、所謂「混練」という態様も含まれる。
混合は、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル、ペイントシェイカー、ロッキングミル、ロッキングミキサー、ビーズミル、流動式混合機、撹拌機等を用いて、湿式及び乾式のどちらでも行うことができる。混合は、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機等を用いて、混合することができる。混合後、混合物を押出工程において押出して加工し、成形する。
本発明の金属接着用ゴム組成物では、各成分を均一に分散させるために、混合操作を繰り返し行ってもよい。
本発明の金属接着用ゴム組成物では、成形機上で貼り付け成形し、次いで、加硫機中で加熱加圧して加硫し、加硫物を得る。
1-6.本発明の金属接着用ゴム組成物の用途
本発明の金属接着用ゴム組成物は、金属接着用途であり、金属製補強コードを備えたスチールベルト、ホース、ベルトコンベア用ベルト、免震ゴム等用途に使用することができる。
本発明の金属接着用ゴム組成物は、金属製補強コードとの接着性が良好であり、タイヤ用途においては、例えば、アンダートレッドに埋設されるベルト(スチールコード)を被覆するゴム(スチールベルト)として好適に使用することができる。
スチールコードは、ブラスめっきされているものが好ましい。
本発明の金属接着用ゴム組成物は、タイヤ用途の他に、例えば、金属製補強コードを備えたホースやベルトコンベア用ベルトにも好適に適用できる。
中でも本発明のゴム組成物は、スチールベルトに使用することが好ましい。
2.スチールベルト
本発明のスチールベルトは、上記本発明の金属接着用ゴム組成物を用いて作製されたスチールベルトである。
本発明のスチールベルトのゴムは、均一平面上にスチールを被覆するものであっても、一定の形状、パターンなどを有してスチールを被覆するものであっても良い。
また、本発明のスチールベルトは、本発明の金属接着用ゴム組成物により被覆された1枚のスチールベルトからなっても、金属接着用ゴム組成物により被覆された2枚以上のスチールベルトからなっても良い。
本発明のスチールベルトは、優れた硬度と金属接着性を有する。
3.空気入りタイヤ
本発明の空気入りタイヤは、上記本発明のスチールベルトを用いて作製されたタイヤである。
本発明の空気入りタイヤとしては、例えば、ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ等が挙げられる。
タイヤの用途としては、特に制限はなく、例えば、乗用車用タイヤ、高荷重用タイヤ、モーターサイクル(自動二輪車)用タイヤ、スタッドレスタイヤ等が挙げられ、中でも、乗用車用タイヤに好適に使用できる。
本発明のタイヤの形状、構造、大きさ及び材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明のタイヤは、タイヤの分野において、これまでに知られている方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を調整した空気;窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
本発明は、優れた硬度と金属接着性を有するスチールベルトを有するタイヤを提供することができる。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明する。
本発明がこれらに限定されるものではない。
1.ゴム組成物の製造
先ず、下記表1に記載のジエン系ゴム、3-メチル-5-ピラゾロン、ステアリン酸コバルト等を、その配合割合で、プラストミルで混合した。次に、前記混合物に、加硫剤を混合して、ゴム組成物を製造した。得られたゴム組成物を30分、150℃で加硫させ、加硫物を得た。
2.硬度指数
硬度は、JIS K6253に準拠して室温で試験した。
比較例1の加硫物を作製し、その硬度の値を100とした指数で表し、下記式に基づいて、実施例の加硫物の硬度指数を算出した。
硬度指数=実施例の硬度/比較例1の硬度×100
加硫物の硬度指数の値が大きい程、加硫物は硬度が高く、優れている事を示す。
3.湿熱老化後接着性指数
湿熱老化後接着性について、ASTM D-2229に準拠して試験を行なった。ブラスめっきスチールコードを上記加硫物で被覆すると共に、160℃×20分間の加硫条件で加硫接着して接着サンプルを作製した。
この接着サンプルを温度70℃、相対湿度96%、2週間の条件下におき、老化させた。このサンプルからスチールコードを引抜き、ゴム付着量(%)を測定した。
比較例1の加硫物を作製し、上記試験を行い、ゴム付着量(%)の値を100とした指数(湿熱老化後接着性指数)で表し、下記式に基づいて、実施例の加硫物の湿熱老化後接着性指数を算出した。
湿熱老化後接着性指数=実施例のゴム付着量/比較例1のゴム付着量×100
加硫物の湿熱老化後接着性指数が大きい程、加硫物はゴムに対する接着性が優れている事を示す。
4.各成分の詳細
※1:天然ゴム、TSR-20
※2:カーボンブラック、東海カーボン社製、シースト300
※3:老化防止剤、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(6-PPD)
※4:加硫促進剤、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)
Figure 2023177987000012
本発明の金属接着用ゴム組成物は、3-メチル-5-ピラゾロン等のピラゾロン化合物、及びステアリン酸コバルト等の金属錯体を含み、従来のゴム組成物に比べて、得られた加硫物は、硬度がより高く、湿熱劣化後の接着性に優れていた。
本発明は、3-メチル-5-ピラゾロン等のピラゾロン化合物、及びステアリン酸コバルト等の金属錯体を使用し、金属との接着部分に幅広く用いられる天然ゴム等のジエン系ゴムを使用するゴム組成物において、ゴム組成物から得られた加硫物の硬度を高める事が出来、また、湿熱劣化後の金属製補強コードに対する接着性(金属接着性)を向上させる事が出来る。
本発明は、金属接着用途に有用であり、十分な硬度を有し、金属接着性が良好である金属接着用ゴム組成物を提供することができる。

Claims (6)

  1. 金属接着用ゴム組成物であって、
    ジエン系ゴム、式(1)及び(2)で表される化合物、並びに該化合物の塩から選ばれる少なくとも一種の化合物:
    Figure 2023177987000013
    (式(1)中、R、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。RとRとは互いに結合してアルキリデン基を形成してもよく、R、R及びRのいずれか2つが互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
    Figure 2023177987000014
    (式(2)中、R、R及びRは同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、Rはアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。)
    並びに、金属錯体を含み、
    前記ジエン系ゴム100質量部に対して、
    前記式(1)及び(2)で表される化合物、並びに該化合物の塩から選ばれる少なくとも一種の化合物を0.1質量部~5質量部含み、及び
    前記金属錯体を0.1質量部~4質量部含む、
    金属接着用ゴム組成物。
  2. 前記金属錯体の金属は、コバルト、鉄、亜鉛、及びアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属である、請求項1に記載の金属接着用ゴム組成物。
  3. 前記ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム成分100質量部中、天然ゴムおよび/または合成イソプレンゴムを80質量部以上含む、請求項1又は2に記載の金属接着用ゴム組成物。
  4. スチールベルト用である、請求項1~3のいずれかに記載の金属接着用ゴム組成物。
  5. 請求項4に記載の金属接着用ゴム組成物を用いたスチールベルト。
  6. 請求項5に記載のスチールベルトを用いた空気入りタイヤ。
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