(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物は、シリカ、カーボンブラック及びジエン系ゴム成分に加えて、
後述する一般式(1)で表される化合物又は該化合物の塩(以下、「化合物(1)」という。)、及び、
後述する一般式(2)で表される化合物又は該化合物の塩(以下、「化合物(2)」という。)のうち、何れか又は双方、
並びに、後述する一般式(3)で表される化合物又は該化合物の塩(以下、「化合物(3)」という。)を、含む。
換言すると、本発明のゴム組成物は、シリカ、カーボンブラック、ジエン系ゴム組成物、化合物(1)及び/又は化合物(2)、並びに化合物(3)を含む。尚、これらの化合物をゴム成分に含ませる際には、各化合物をゴム成分中に均一に含ませることが好ましい。
(ゴム成分)
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム成分を含む。かかるジエン系ゴムとしては特に制限はなく、例えば、天然ゴム(NR)、合成ジエン系ゴム、並びに天然ゴム及び合成ジエン系ゴムとの混合物が挙げられる。
ジエン系ゴム成分は、天然ゴム(NR)又は合成ジエン系ゴム単独であってもよく、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムとの混合物であってもよいが、天然物を含んでいるものが好ましく、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムとの混合物がより好ましい。天然ゴム及び合成ジエン系ゴムとの混合物である場合、該ジエン系ゴム成分100質量%中に、合成ゴムを20~80質量%含むことが好ましく、30~70質量%含むことがより好ましく、天然ゴムを80~20質量%含むことが好ましく、70~30質量%含むことがより好ましい。かかる構成を採用することにより、低燃費性と耐摩耗性の両立という効果を得ることができる。
天然ゴムとしては天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、ロシアンタンポポ由来天然ゴムなどが挙げられ、さらにこれら天然ゴムを変性した、エポキシ化天然ゴム、メタクリル酸変性天然ゴム、スチレン変性天然ゴムなどの変性天然ゴムを使用してもよい。
合成ジエン系ゴムとしては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、スチレン-イソプレン-スチレン三元ブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン三元ブロック共重合体(SBS)等、及びこれらの変性合成ジエン系ゴムが挙げられる。変性合成ジエン系ゴムには、主鎖変性、片末端変性、両末端変性などの変性手法によるジエン系ゴムが包含される。ここで、変性合成ジエン系ゴムの変性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、水酸基などの各種官能基が挙げられ、これら官能基は1種又は2種以上が変性合成ジエン系ゴムに含まれていてもよい。
中でも、ジエン系ゴムとして合成(ジエン系)ゴムを使用する場合には、1,3-ブタジエンとその他のモノマー単位との共重合体のゴムを使用することが好ましい。かかる共重合体ゴムの中でも、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を使用することが特に好ましい。
合成ジエン系ゴムの製造方法は、特に制限はなく、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。また、合成ジエン系ゴムのガラス転移点においても、特に制限はない。
また、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの二重結合部のシス/トランス/ビニルの比率については、特に制限はなく、いずれの比率においても好適に用いることができる。また、ジエン系ゴムの数平均分子量および分子量分布は、特に制限はないが、数平均分子量500~3000000、分子量分布1.5~15が好ましい。
ゴム成分は、1種単独で、又は2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。中でも、好ましいゴム成分としては、天然ゴム、IR、SBR、BR又はこれらから選ばれる2種以上の混合物であり、より好ましくは天然ゴム、SBR、BR又はこれらから選ばれる2種以上の混合物である。
(化合物(1)~(3)))
化合物(1)~(3)の一般式は、下記の通りである。
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。R
3とR
4とは一緒になってアルキリデン基を形成してもよく、R
2、R
3及びR
4のいずれか2つが一緒になってアルキレン基を形成してもよい。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。]
[式中、R
5、R
7及びR
8は同一又は異なって、水素原子、アミノ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示し、R
6はアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。]
[式中、R
9及びR
10は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルキルチオ基、アラルキル基、アリール基、アリールチオ基、複素環基、又はアミノ基を示す。これら各基は、それぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。]
本明細書において、「アルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、1-エチルプロピル等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、更に、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、5-プロピルノニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等を加えた炭素数1~18の直鎖状又は分岐状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3~8の環状アルキル基等が挙げられる。中でも化合物(3)において、好ましいアルキル基としては、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、又はn-ペンチル基であり、特に好ましくはメチル、又はエチル基である。
本明細書において、「アルキルチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキルチオ基が挙げられ、具体的には、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、1-エチルプロピルチオ、n-ペンチルチオ、ネオペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、イソヘキシルチオ、3-メチルペンチルチオ基等の炭素数1~6(特に炭素数1~4)の直鎖状又は分岐状のアルキルチオ基;シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、シクロヘプチルチオ、シクロオクチルチオ基等の炭素数3~8(特に炭素数3~6)の環状アルキルチオ基等が挙げられる。好ましいアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、又はイソブチルチオ基であり、より好ましくはメチルチオ基又はエチルチオ基である。
本明細書において、「アラルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ベンジル、フェネチル、トリチル、1-ナフチルメチル、2-(1-ナフチル)エチル、2-(2-ナフチル)エチル基等が挙げられる。中でも、化合物(3)において、より好ましいアラルキル基としては、ベンジル基又はフェネチル基であり、より好ましくはベンジル基である。
本明細書において、「アリール基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロインデニル、9H-フルオレニル基等が挙げられる。特に、化合物(3)において、より好ましいアリール基としては、フェニル基又はナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。
本明細書において、「アリールチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニルチオ、ビフェニルチオ、ナフチルチオ基等が挙げられる。
本明細書において、「アミノ基」としては、-NH2で表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、1-エチルプロピルアミノ、n-ペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、イソヘキシルアミノ、3-メチルペンチルアミノ基等の直鎖状又は分岐状のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれる。
本明細書において、「複素環基」としては、特に限定はなく、例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピラジニル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ピリミジル、3-ピリダジル、4-ピリダジル、4-(1,2,3-トリアジル)、5-(1,2,3-トリアジル)、2-(1,3,5-トリアジル)、3-(1,2,4-トリアジル)、5-(1,2,4-トリアジル)、6-(1,2,4-トリアジル)、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、2-キノキサリル、3-キノキサリル、5-キノキサリル、6-キノキサリル、7-キノキサリル、8-キノキサリル、3-シンノリル、4-シンノリル、5-シンノリル、6-シンノリル、7-シンノリル、8-シンノリル、2-キナゾリル、4-キナゾリル、5-キナゾリル、6-キナゾリル、7-キナゾリル、8-キナゾリル、1-フタラジル、4-フタラジル、5-フタラジル、6-フタラジル、7-フタラジル、8-フタラジル、1-テトラヒドロキノリル、2-テトラヒドロキノリル、3-テトラヒドロキノリル、4-テトラヒドロキノリル、5-テトラヒドロキノリル、6-テトラヒドロキノリル、7-テトラヒドロキノリル、8-テトラヒドロキノリル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、4-(1,2,3-チアジアゾリル)、5-(1,2,3-チアジアゾリル)、3-(1,2,5-チアジアゾリル)、2-(1,3,4-チアジアゾリル)、4-(1,2,3-オキサジアゾリル)、5-(1,2,3-オキサジアゾリル)、3-(1,2,4-オキサジアゾリル)、5-(1,2,4-オキサジアゾリル)、3-(1,2,5-オキサジアゾリル)、2-(1,3,4-オキサジアゾリル)、1-(1,2,3-トリアゾリル)、4-(1,2,3-トリアゾリル)、5-(1,2,3-トリアゾリル)、1-(1,2,4-トリアゾリル)、3-(1,2,4-トリアゾリル)、5-(1,2,4-トリアゾリル)、1-テトラゾリル、5-テトラゾリル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル、6-ベンゾイミダゾリル、7-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾフラニル、3-ベンゾフラニル、4-ベンゾフラニル、5-ベンゾフラニル、6-ベンゾフラニル、7-ベンゾフラニル、1-イソベンゾフラニル、3-イソベンゾフラニル、4-イソベンゾフラニル、5-イソベンゾフラニル、6-イソベンゾフラニル、7-イソベンゾフニル、2-ベンゾチエニル、3-ベンゾチエニル、4-ベンゾチエニル、5-ベンゾチエニル、6-ベンゾチエニル、7-ベンゾチエニル、2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル、1-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル、2-モルホリル、3-モルホリル、4-モルホリル、1-ピペラジル、2-ピペラジル、1-ピペリジル、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、2-テトラヒドロピラニル、3-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロチオピラニル、3-テトラヒドロチオピラニル、4-テトラヒドロチオピラニル、1-ピロリジル、2-ピロリジル、3-ピロリジル、フラニル、2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-テトラヒドロチエニル、5-メチル-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-イル基等が挙げられる。中でも、化合物(1)又は(2)において、5-メチル-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-イル基等が好ましい。また、化合物(3)においては、ピリジル、フラニル、チエニル、ピリミジル又はピラジルが好ましく、ピリジルがより好ましい。
本明細書において、「アルキリデン基」としては、特に限定はなく、例えば、メチリデン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチリデン基等が挙げられる。
本明細書において、「アルキレン基」としては、特に限定はなく、例えば、 エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等を挙げることができる。これらアルキレン基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含んでいてもよく、フェニレン基を介していてもよい。このようなアルキレン基としては、例えば、-CH2NHCH2-、-CH2NHCH2CH2-、-CH2NHNHCH2-、-CH2CH2NHCH2CH2-、-CH2NHNHCH2CH2-、-CH2NHCH2NHCH2-、-CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2-、-CH2OCH2CH2-、-CH2CH2OCH2CH2-、-CH2SCH2CH2-、-CH2CH2SCH2CH2-、
これらアルキル基、アルキルチオ基、アラルキル基、アリール基、アリールチオ基、複素環基、アミノ基、アルキリデン基、及びアルキレン基の各基は、置換可能な任意の位置にそれぞれ1個以上の置換基を有していてもよい。該「置換基」としては、特に限定はなく、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。該置換基は、好ましくは1~5個、より好ましくは1~3個有していてもよい。
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子である。
本明細書において、「アミノアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、アミノメチル、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、エチルメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、2-アミノエチル、2-(メチルアミノ)エチル、2-(エチルアミノ)エチル、2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(エチルメチルアミノ)エチル、2-(ジエチルアミノ)エチル、3-アミノプロピル、3-(メチルアミノ)プロピル、3-(エチルアミノ)プロピル、3-(ジメチルアミノ)プロピル、3-(エチルメチルアミノ)プロピル、3-(ジエチルアミノ)プロピル基等のアミノアルキル基、モノアルキル置換アミノアルキル基又はジアルキル置換アミノアルキル基等が挙げられる。
本明細書において、「アルコキシカルボニル基」としては、特に限定はなく、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
本明細書において、「アシル基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチル、プロピオニル、ピバロイル基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルカルボニル基が挙げられる。
本明細書において、「アシルオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、n-ブチリルオキシ基等が挙げられる。
本明細書において、「アミド基」としては、特に限定はなく、例えば、アセトアミド、ベンズアミド基等のカルボン酸アミド基;チオアセトアミド、チオベンズアミド基等のチオアミド基;N-メチルアセトアミド、N-ベンジルアセトアミド基等のN-置換アミド基;等が挙げられる。
本明細書において、「カルボキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシ-n-プロピル、カルボキシ-n-ブチル、カルボキシ-n-ペンチル、カルボキシ-n-ヘキシル基等のカルボキシアルキル基(中でも、化合物(3)においては、ヒドロキシ基を有する炭素数1~6のアルキル基が好ましい。)が挙げられる。
本明細書において、「ヒドロキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシ-n-プロピル、ヒドロキシ-n-ブチル基等のヒドロキシ-アルキル基が挙げられる。
本明細書において、「アルコキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ基の炭素数1~6(特に炭素数1~4)直鎖状又は分岐状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシ基等の炭素数3~8(特に炭素数3~6)の環状アルコキシ基等が挙げられる。
本明細書において、「アリールオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフトキシ基等が挙げられる。
化合物(1)の中でも、R1、R3及びR4が、同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状及び分岐状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基である化合物が好ましい。
化合物(1)の中でも、R1が水素原子である化合物が好ましい。
化合物(1)の中でも、R2が、水素原子、炭素数1~4の直鎖状及び分岐状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基である化合物が好ましく、水素原子、炭素数1~4の直鎖状及び分岐状アルキル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、又はフリル基である化合物がより好ましく、水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状アルキル基である化合物が特に好ましい。
化合物(1)の中でも、R3及びR4の少なくとも一方が水素原子である化合物が好ましく、R3及びR4が共に水素原子である化合物がより好ましい。
化合物(1)の中でも、R1が水素原子であり、R2が水素原子、炭素数1~4の直鎖状及び分岐状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基であり、R3及びR4が共に水素原子である化合物、及び、R1が水素原子であり、R2が水素原子、炭素数1~4の直鎖状及び分岐状アルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基であり、R3とR4とが一緒になってアルキリデン基を形成している化合物がさらに好ましく、R1が水素原子であり、R2が水素原子又は炭素数1~4の直鎖状アルキル基であり、R3及びR4が共に水素原子である化合物が特に好ましい。
化合物(2)の中でも、R5は水素原子であり、R6は炭素数1~4の直鎖状又は分岐状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基であり、R7及びR8は同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状及び分岐状アルキル基、アラルキル基、アリール基、アミノ基又は複素環基である化合物が好ましい。
化合物(2)の中でも、R6が炭素数1~4の直鎖状アルキル基、アラルキル基、又はアリール基である化合物が好ましく、炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアリール基である化合物がより好ましい。
化合物(2)の中でも、R7及びR8が同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアミノ基である化合物が好ましい。
化合物(2)の中でも、R5は水素原子であり、R6が炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアリール基であり、R7及びR8が同一又は異なって、水素原子、炭素数1~4の直鎖状アルキル基、又はアミノ基である化合物が好ましい。
化合物(1)及び化合物(2)の中でも、化合物(1)が特に好ましい。
具体的に、化合物(1)又は(2)としては、例えば、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-(フラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-ウンデシル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-ベンジル-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)オン、4,4’-(フェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)、4-[(ジメチルアミノ)メチリデン]-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4-メチル-2,3-ジアゾスピロ[4.4]ノン-3エン-1-オン、5-メチル-2-(4-ニトロフェニル)-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン、1,5-ジメチル-2-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インダゾール-3(3aH)-オン、4-{[4-ジメチルアミノ]フェニル}メチリデン}-3-メチル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、1-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、4,4’-(4-ヒドロキシフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)、1,3-ジフェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、4,4’-(4-ニトロフェニルメチレン)ビス(5-メチル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン)、及び、4-アミノ-1,5-ジメチル-2-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン等が挙げられる。
中でも、好ましい化合物は、化合物(1)であり、その中でも、5-ピラゾロン、3-メチル-5-ピラゾロン、3-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-(フラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、3-フェニル-1H-ピラゾール-5(4H)-オン、及び3-プロピル-1H-ピラゾール-5(4H)-オンがより好ましい。
化合物(1)又は(2)の中には、互変異性体を生じるものがある。互変異性化が可能である(例えば、溶液中である)場合に、互変異性体の化学平衡に達し得る。化合物(1)又は(2)は、例えば、式(4)~(10)で表されるような互変異性体として存在することができる。
前記式(1)において、R1及びR3が水素原子である化合物(化合物(1)-A)には、以下の式(4)~(6)で表される互変異性体が存在する。
前記式(1)において、R3が水素原子である化合物(化合物(1)-B)には、以下の式(7)~(8)で表される互変異性体が存在する。
前記式(1)において、R1が水素原子である化合物(化合物(1)-C)には、以下の式(9)で表される互変異性体が存在する。
前記式(2)において、R5が水素原子である合物(化合物(2)-A)には、以下の式(10)で表される互変異性体が存在する。
上記式(4)~(10)で表されるような互変異性体と、化合物(1)又は(2)とは、何れの異性体も共存する平衡状態に達している。よって、別段の記載がない限り、本明細書において、化合物(1)又は(2)のすべての互変異性体の形態は、本発明の範囲内である。
よって、本明細書において、化合物(1)又は(2)としては、その互変異性体も包含されるものと定義する。
本発明のゴム組成物は、これら化合物(1)及び(2)を、一種単独で、又は二種以上を混合して含んでもよい。
また、式(1)又は(2)で表される化合物の塩としては、特に限定はなく、あらゆる種類の塩が含まれる。このような塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられる。
式(3)で表される化合物の塩も、特に限定はなく、あらゆる種類の塩が含まれる。このような塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
これら化合物(3)の中でも、好ましい化合物は、R9及びR10が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい複素環基である化合物である。
より好ましい化合物(3)は、R9及びR10が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい複素環基である化合物である。
さらに好ましいテトラジン化合物(3)は、R9及びR10が、同一又は異なって、置換基を有していてもよいベンジル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい2-ピリジル基、置換基を有していてもよい3-ピリジル基、置換基を有していてもよい4-ピリジル基、置換基を有していてもよい2-フラニル基、置換基を有していてもよいチエニル基、置換基を有していてもよい1-ピラゾリル基、置換基を有していてもよい2-ピリミジル基、又は置換基を有していてもよい2-ピラジル基である化合物であり、これらの中でも、置換基を有していてもよい2-ピリジル基、置換基を有していてもよい3-ピリジル基、又は置換基を有していてもよい2-フラニル基である化合物が特に好ましい。
具体的に、化合物(3)としては、例えば、
1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(2-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(3-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(4-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ジフェニル-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ジベンジル-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(2-フラニル)-1,2,4,5-テトラジン、
3-メチル-6-(3-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(3,5-ジメチル-1-ピラゾリル)-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(2-チエニル)-1,2,4,5-テトラジン、
3-メチル-6-(2-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(3-ヒドロキシフェニル)-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(2-ピリミジニル)-1,2,4,5-テトラジン、
3,6-ビス(2-ピラジル)-1,2,4,5-テトラジン等が挙げられる。
中でも、好ましいテトラジン化合物(3)は、3,6-ビス(2-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン、3,6-ビス(3-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン、3,6-ビス(2-フラニル)-1,2,4,5-テトラジン、3-メチル-6-(3-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン、及び3-メチル-6-(2-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジンであり、さらに好ましいテトラジン化合物(1)は、3,6-ビス(2-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン、及び3,6-ビス(3-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジンである。
本発明のゴム組成物は、これら化合物(3)を、一種単独で、又は二種以上を混合して含んでもよい。また、本発明のゴム組成物は、化合物(1)~(3)が任意の割合で含まれる混合物を含んでもよい。
化合物(1)又は(2)の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、合計0.05~6質量部であることが好ましく、0.25~2.5質量部であることがより好ましく、0.3~2質量部であることがさらに好ましく、0.4~1.6質量部であることが特に好ましい。かかる構成を採用することにより、本発明のゴム組成物を使用して作製されるタイヤの低燃費性と高い耐久性とを、得ることができる。
化合物(3)の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、合計0.05~6質量部であることが好ましく、0.5~4.5質量部であることがより好ましく、0.7~4質量部であることがさらに好ましい。かかる構成を採用することにより、ゴム組成物の低燃費性と高い耐久性とを、得ることができる。
(シリカ)
シリカとしては、公知のものを広く採用することが可能である。中でも、湿式シリカ、乾式シリカ、又はコロイダルシリカを使用することが好ましく、湿式シリカを使用することがより好ましい。これらのシリカは、ゴム成分との親和性を向上させるために、シリカの表面が有機処理されていてもよい。市販されているシリカを使用してもよい。シリカを使用しない場合、ゴム強度が不充分となってしまう。
シリカのBET比表面積としては、特に制限はなく、例えば、40~350m2/gの範囲が挙げられる。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性及びゴム成分中への分散性を両立できるという利点がある。該BET比表面積は、ISO5794/1に準拠して測定される。
この観点から、好ましいシリカとしては、BET比表面積が80~300m2/gの範囲にあるシリカであり、より好ましくは、BET比表面積100~270m2/gであるシリカであり、特に好ましくは、BET比表面積110~270m2/gの範囲にあるシリカである。
このようなシリカの市販品としては、Quechen Silicon Chemical Co.,Ltd.製の商品名「HD165MP」(BET比表面積=165m2/g)、「HD115MP」(BET比表面積=115m2/g)、「HD200MP」(BET比表面積=200m2/g)、「HD250MP」(BET比表面積=250m2/g)、東ソー・シリカ株式会社製の商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積=205m2/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積=240m2/g)、デグッサ社製の商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積=175m2/g)等が挙げられる。
シリカの配合量としては、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、15~110質量部とすることが好ましく、25~90質量部とすることがより好ましく、40~80質量部とすることがさらに好ましい。かかる構成を有することにより、ゴム組成物に充分な強度を付与すると共に、本発明のゴム組成物を使用して作製されるタイヤの低燃費性と高い耐久性とを、得ることができる。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、通常ゴムの補強性を向上させるために用いられる。使用するカーボンブラックとしては、特に制限はなく、公知のものを広く採用することが可能である。例えば、市販品のカーボンブラック、Carbon-Silica Dual phase filler等を使用してもよい。ゴム組成物にカーボンブラックを含有することにより、ゴムの電気抵抗を下げて、帯電を抑止する効果、さらにゴムの強度を向上させる効果を享受できる。
具体的に、カーボンブラックとしては、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N110、N134、N220、N234、N330、N339、N375、N550、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック等が挙げられる。中でも、好ましいカーボンブラックとしては、SAF、ISAF、IISAF、N134、N234、N330、N339、N375、HAF、又はFEFグレードのカーボンブラックである。
カーボンブラックのDBP吸収量としては、特に制限はなく、好ましくは60~200cm3/100g、より好ましくは70~180cm3/100g、特に好ましくは80~160cm3/100gである。
また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JISK6217-2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは30~200m2/g、より好ましくは40~180m2/g、特に好ましくは50~160m2/gである。
カーボンブラックが配合されたゴム組成物では、化合物(1)~(3)が、又はゴム成分と化合物(1)~(3)との反応物が、カーボンブラックと強く相互作用をすることが考えられる。したがって、本発明のゴム組成物によれば、特にカーボンブラックの分散性が大幅に向上し、ゴム組成物の低発熱性が著しく改良できる。
カーボンブラックの配合量としては、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、5~70質量部とすることが好ましく、10~50質量部とすることがより好ましく、15~40質量部とすることがさらに好ましい。かかる構成を有することにより、ゴム組成物に充分な補強性を付与すると共に、本発明のゴム組成物を使用して作製されるタイヤの低燃費性と高い耐久性とを、得ることができる。
(その他配合剤)
上記に加えて、本発明のゴム組成物には、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、シリカ及びカーボンブラック以外の無機充填材、老化防止剤、含水酸化チタン、オゾン防止剤、軟化剤、加工助剤、ワックス、樹脂、発泡剤、オイル、ステアリン酸、酸化亜鉛(ZnO)、加硫促進剤、加硫遅延剤、加硫剤(硫黄)等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
シリカ及びカーボンブラック以外の無機充填材としては、ゴム工業界において、通常使用される無機化合物であれば、特に制限はない。使用できる無機化合物としては、例えば、シリカ、γ-アルミナ、α-アルミナ等のアルミナ(Al2O3);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3];炭酸アルミニウム[Al2(CO3)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイ(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。これらの無機充填材は、ゴム成分との親和性を向上させるために、該無機充填材の表面が有機処理されていてもよい。
また、ゴム組成物の補強性を高める目的、又はゴム組成物の引裂き強度と共に耐摩耗性を高める目的で、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤を配合してもよい。
かかるシランカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなシランカップリング剤として、例えばスルフィド系、ポリスルフィド系、チオエステル系、チオール系、オレフィン系、エポキシ系、アミノ系、アルキル系のシランカップリング剤が挙げられる。
スルフィド系のシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2-モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。これらの内、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
チオエステル系のシランカップリング剤としては、例えば、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
チオール系のシランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-[エトキシビス(3,6,9,12,15-ペンタオキサオクタコサン-1-イルオキシ)シリル]-1-プロパンチオール等を挙げることができる。
オレフィン系のシランカップリング剤としては、例えば、ジメトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-(メトキシジメトキシジメチルシリル)プロピルアクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート等を挙げることができる。
エポキシ系のシランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、トリエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
アミノ系のシランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-エトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
アルキル系のシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、メチルトリエトキシシランが好ましい。
これらシランカップリング剤の中でも、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを特に好ましく使用することができる。
チタネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなチタネートカップリング剤として、例えばアルコキシド系、キレート系、アシレート系のチタネートカップリング剤が挙げられる。
アルコキシド系のチタネートカップリング剤としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等を挙げることができる。これらの内、テトライソプロピルチタネートが好ましい。
キレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、ドデシルベンゼンスルホン酸チタン化合物、リン酸チタン化合物、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンエタノールアミネート、チタンオクチレングリコレート、チタンアミノエチルアミノエタノレート等を挙げることができる。これらの内、チタンアセチルアセトネートが好ましい。
アシレート系のチタネートカップリング剤としては、例えば、チタンイソステアレート等を挙げることができる。
アルミネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなアルミネートカップリング剤として、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブトキシド、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等が挙げることができる。これらの内、9-オクタデセニルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートが好ましい。
ジルコネートカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなジルコネートカップリング剤として、例えばアルコキシド系、キレート系、アシレート系のジルコネートカップリング剤が挙げられる。
アルコキシド系のジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート等を挙げることができる。この内、ノルマルブチルジルコネートが好ましい。
キレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩等を挙げることができる。この内、ジルコニウムテトラアセチルアセトネートが好ましい。
アシレート系のジルコネートカップリング剤としては、例えば、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム等を挙げることができる。この内、ステアリン酸ジルコニウムが好ましい。
本発明においては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の配合量は、シリカ、カーボンブラック及びその他の無機充填材の総量100質量部に対して、0.1~20質量部とすることが好ましく、3~15質量部とすることが特に好ましい。0.1質量部以上であれば、ゴム組成物の引裂き強度向上の効果をより好適に発現することができ、20質量部以下であれば、ゴム組成物のコストが低減し、経済性が向上する。
また、本発明のゴム組成物を製造して得られるタイヤの制動特性及び耐摩耗性の向上を目的として、含水酸化チタンを配合することも好ましい。
本明細書において、含水酸化チタンは、「酸化チタン水和物」、「メタチタン酸」、「β-チタン酸」、「水酸化チタン」、「オルソチタン酸」、「α-チタン酸」等と称される化合物と同様の組成を有するものであり、分子式はTiO(OH)2、TiO2・H2O、Ti(OH)4、TiO2・2H2O等と定義され、硫酸チタン、塩化チタン等の水溶性チタン化合物の加水分解物として知られている。含水酸化チタンは、X線回折において、アナターゼ型の酸化チタンと似たピークパターンを有するが、酸化チタンとは異なり、低結晶性の化合物である。本明細書において、「低結晶性」とは、X線回折において、アモルファスの場合と異なり、ピークの存在は確認できるものの、結晶性の化合物で示されるような急峻なピークとはピーク幅が異なること、すなわち、アモルファスと結晶性の化合物との中間的なピークを有することをいう。中間的なピークとは、2θ=20°~30°の範囲内にある酸化チタンの結晶面に対応するピークの半値幅が0.1°以上であるピークをいう。なお、2θ=20°~30°の範囲内に複数のピークが存在するときは、最大ピークの半値幅が0.1°以上である。半値幅は、好ましくは0.1°~2°であり、より好ましくは0.45°~1.8°である。半値幅をこのような範囲に調整することにより、より一層優れた制動特性を有するゴム組成物を得ることができる。なお、本明細書において、「半値幅」とは、X線回折によって得られたピーク強度の1/2の箇所の2θ軸での幅を意味する。
前記含水酸化チタンの形状は特に限定されず、板状、球状、針状、又は不定形状であり、中でも、板状、球状、又は不定形状であることが好ましい。前記含水酸化チタンの平均粒子径は、特に制限されないが、10μm以下が好ましく、0.001~10μmがより好ましく、0.01~5μmが更に好ましい。平均粒子径が上記範囲内であることにより、凝集が起こりにくく、加工性に優れるとともに、ゴムの耐破壊性を向上させることができる。前記含水酸化チタンの比表面積(BET法)は、通常、5~1000m2/gであり、好ましくは10~500m2/gであり、より好ましくは30~200m2/gであり、さらに好ましくは50~150m2/gである。比表面積を、このような範囲に調整することにより、ゴム成分中へより良好に分散することができ、より一層優れた制動特性、及び優れた耐摩耗性を有するゴム組成物を得ることができる。
前記含水酸化チタンは、酸又はアルカリを用いて、物質中に含まれる不純物を取り除いてもよい。例えば、硫酸チタンの加水分解から製造される含水酸化チタンの場合、当該含水酸化チタンには不純物として多くの硫酸分を含んでおり、そのままゴムに添加した際にゴム成分の劣化又は使用機材の劣化のおそれがある。そのため、硫酸分を含む含水酸化チタンを水に分散させ、pH値が2~11、好ましくは4~8になるように、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリを添加し、pH調整をすることにより、過剰な硫酸成分による、ゴム成分の劣化及び使用機器の劣化を防ぐことができる。pH調整後、硫酸分を洗浄し、固形分を濾取、乾燥、及び篩い通しした後に使用するのが好ましい。最終的に得られた含水酸化チタンの水分散液のpH値は、好ましくは2~11であり、より好ましくは4~8である。
含水酸化チタンは、分散性の向上、ゴム成分との密着性の向上等を目的として、含水酸化チタンの表面に表面処理剤からなる処理層を形成させてもよい。含水酸化チタンの表面に処理層を形成させるに当たっては、従来より公知の表面処理剤を含水酸化チタン100質量部に対して、0.1~20質量%使用し、処理層を形成させることができる。処理層を形成させる方法として、従来より公知の方法を適用すればよく、例えば、加水分解を促進する溶媒(例えば、水、アルコール又はこれらの混合溶媒)に表面処理剤を溶解して溶液として、その溶液を含水酸化チタンに噴霧する湿式法、ゴム成分に含水酸化チタンと表面処理剤とを配合して含水酸化チタンの表面に表面処理剤からなる処理層を形成する方法等を用いることができる。
含水酸化チタンの配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、0.5~80質量部とすることが好ましく、3~60質量部とすることがより好ましく、5~40質量部とすることがさらに好ましい。
(タイヤ)
本発明のタイヤは、上記した本発明のゴム組成物を用いて作製される。かかるタイヤとしては、例えば、空気入りタイヤ(ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ等)、ソリッドタイヤ等が挙げられる。
タイヤの用途としては、特に制限はなく、例えば、乗用車用タイヤ、高荷重用タイヤ、モーターサイクル(自動二輪車)用タイヤ、スタッドレスタイヤ等が挙げられ、中でも、乗用車用タイヤに好適に使用できる。
本発明のタイヤの形状、構造、大きさ及び材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明のタイヤにおいて、上記ゴム組成物は、特にトレッド部、サイドウォール部、ビードエリア部、ベルト部、カーカス部及びショルダー部から選ばれる少なくとも一つの部材に用いられる。
中でも、空気入りタイヤのタイヤトレッド部、又はサイドウォール部を当該ゴム組成物で形成するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
トレッド部とは、トレッドパターンを有し、路面と直接接する部分で、カーカスを保護するとともに摩耗及び外傷を防ぐタイヤの外皮部分であり、タイヤの接地部を構成するキャップトレッド及び/又はキャップトレッドの内側に配設されるベーストレッドをいう。
サイドウォール部とは、例えば、空気入りラジアルタイヤにおけるショルダー部の下側からビード部に至るまでの部分であり、カーカスを保護するとともに、走行する際に最も屈曲の激しい部分である。
ビードエリア部とは、カーカスコードの両端を固定し、同時にタイヤをリムに固定させる役目を負っている部分である。ビードとは高炭素鋼を束ねた構造である。
ベルト部とは、ラジアル構造のトレッドとカーカスとの間に円周方向に張られた補強帯である。カーカスを桶のたがの様に強く締付けトレッドの剛性を高めている。
カーカス部とは、タイヤの骨格を形成するコード層の部分であり、タイヤの受ける荷重、衝撃、及び充填空気圧に耐える役割を果たしている。
ショルダー部とは、タイヤの肩の部分で、カーカスを保護する役目を果たす。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を使用し、常法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を調整した空気;窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
本発明のタイヤは、低発熱性を有し、タイヤの転がり抵抗が小さくなることから、自動車の低燃費化を図ることができる。また、耐久性にも優れる。
そのほか、本発明のゴム組成物は、ホース、ベルト(コンベアベルト)、防振ゴム、及び免震ゴム等の製造に使用することが可能である。当該ホース、ベルト(コンベアベルト)、防振ゴム及び免震ゴムは、常法により作製することが可能である。
(ゴム組成物の製造方法)
本発明のゴム組成物は、常法に基づき、製造することができる。例えば、ジエン系ゴム成分と化合物(1)及び/又は化合物(2)、並びに化合物(3)を混合した後、シリカ及びカーボンブラックを投入して混合することが好ましい。より具体的には、ジエン系ゴム成分と、化合物(1)及び/又は化合物(2)、並びに化合物(3)とを混合(混練)する工程(A)、及び、該工程(A)で得られる混合物、シリカ、及びカーボンブラックを含む原料成分を混合(混練)する工程(B)を含む製造方法を例示することができる。
工程(A)におけるゴム成分と上記化合物(1)及び/又は化合物(2)、並びに化合物(3)とを混合する際の温度としては、60~190℃であることが好ましく、70~160℃であることがより好ましく、80~150℃であることがさらに好ましい。該混合温度を60℃以上とすることにより、均一な混合が可能となり、また、190℃以下とすることにより、ゴムの劣化を防ぐことが可能となる。
工程(A)における混合時間は、10秒間~20分間が望ましく、30秒間~10分間であることがより好ましく、60秒間~7分間であることがさらに好ましい。該混合時間を10秒以上とすることにより均一な混合が可能となり、20分間以下とすることにより、生産低の低下を防ぐことができる。
工程(B)において、工程(A)で得られた混合物とシリカ及びカーボンブラックとを混合する際の温度は、特に制限はなく、例えば、混合物の温度の上限が100~190℃であることが好ましく、130~175℃であることがより好ましく、140~170℃であることがさらに好ましい。
工程(B)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、1分間から8分間であることがさらに好ましい。
化合物(1)又は(2)の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、合計0.05~6質量部であることが好ましく、0.25~2.5質量部であることがより好ましく、0.3~2質量部であることがさらに好ましく、0.4~1.6質量部であることが特に好ましい。
化合物(3)の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、合計0.05~6質量部であることが好ましく、0.5~4.5質量部であることがより好ましく、0.7~4質量部であることがさらに好ましい。
(その他の配合剤の添加)
本発明のゴム組成物の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合されるステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、シリカ及びカーボンブラック以外の無機充填材等の各種配合剤を、必要に応じて、工程(A)又は工程(B)において添加することができる。
その他の配合剤は、工程(A)又は工程(B)のどちらか一方で添加してもよいし、あるいは工程(A)及び工程(B)に分けて添加してもよい。
(ゴム組成物の成形方法)
本発明のゴム組成物は、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機等を用いて混合又は混練りされることが好ましい。その後、押出工程において押出して加工され、例えば、タイヤ、ホース、又は防振ゴムとして成形される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
実施例1~6、並びに比較例1及び2
下記表1の工程(I)に記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合物の最高温度が160℃になるように回転数を調整しながら5分間混練した。混合物の温度が80℃以下になるまで養生させた後、表1の工程(II)に記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が110℃以下になるよう調整しながら混練して、各ゴム組成物を製造した。
低燃費性試験
上記実施例1~6並びに比較例1及び2で作製したゴム組成物から作製した試験片を用いて、粘弾性測定装置(Metravib社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15HzでTanδ値を測定した。
比較例1のTanδ値を100とし、下記式に基づいて、低燃費性指数を算出した。結果を表1に示す。なお、低燃費性指数の値が大きい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
式:低燃費性指数= (実施例1~6に対応する各試験片のTanδ値)/(比較例1に対応するゴ試験片のTanδ値)×100
耐久性試験
JIS K 6270:2018に準じて、上記実施例1~6並びに比較例1及び2のゴム組成物から作製したダンベル状3号試験片を用い、25℃、試験ひずみ100%、試験周波数は2Hzで繰り返し引張試験を行い、疲労寿命(破断までの繰り返し引張回数)を測定した。比較例1の疲労寿命を100とし、下記式に基づいて、耐久性指数を算出した。結果を表1に示す。なお、指数値が大きい程、耐久性が良好であることを示す。
式:耐久性指数= (実施例1~6及び比較例2に対応する各試験片の疲労寿命)/(比較例1に対応する試験片の疲労寿命)×100
※1: 宇部興産株式会社製、商品名「BR150B」
※2: 旭化成株式会社製、商品名「タフデン2000R」
※3: GUANGKEN RUBBER社製、TSR-20
※4: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「Nipsil(銘柄AQ)」
※5: エボニック株式会社製、商品名「Si69」
※6: 東海カーボン株式会社製、商品名「シースト3」
※7: 川口化学工業株式会社製、商品名「Antage 6C」
※8: ストラクトール社製、商品名「HT254」
※9: 堺化学工業株式会社製、酸化亜鉛 銘柄「1種」
※10: Sichuan Tianyu Grease Chemical Co., Ltd. 製
※11: 化合物(1a):大塚化学株式会社製、3-メチル-5-ピラゾロン
※12: 化合物(3a):東京化成工業株式会社製、3,6-ビス(2-ピリジル)-1,2,4,5-テトラジン
※13: 大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーD」
※14: 大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーCZ-G」
※15: 細井化学工業株式会社製、商品名「HK200-5」