JP2023174471A - 非水電解液二次電池用積層セパレータ - Google Patents

非水電解液二次電池用積層セパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】耐電圧性およびイオン透過性を両立した、非水電解液二次電池用積層セパレータを提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータ(4a)は、ポリオレフィン系基材(1)の片面または両面に耐熱層(2a、2b)を有する非水電解液二次電池用積層セパレータであって、前記積層セパレータは、少なくとも一方の面に粒子層(3a、3b)を有し、前記粒子層に含まれる粒子の平均粒径は、3~10μmであり、前記粒子層の片面の目付が0.1~1.0g/m2である。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解液二次電池用積層セパレータに関する。
非水電解液二次電池、特にリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いため、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末、車載用などに用いる電池として広く使用されている。リチウムイオン電池は、一般的に正極と負極との間にセパレータを備えている。セパレータとして、例えば、特許文献1には、多孔質基材の少なくとも片面に無機粒子および耐熱性樹脂を含有する耐熱層を有する多孔性フィルム、前記多孔性フィルムを用いた二次電池用セパレータ、および前記二次電池用セパレータを備えた二次電池が開示されている。
国際公開第2018/155288号公報
近年、電池の大型セル化が進んでおり、さらなる安全性の向上が求められている。しかしながら、特許文献1に開示されたような従来の耐熱層を用いたセパレータは、耐電圧性の観点からさらなる改善の余地があった。
本発明の一態様は、耐電圧性およびイオン透過性を両立した、非水電解液二次電池用積層セパレータを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、
ポリオレフィン系基材の片面または両面に耐熱層を有する非水電解液二次電池用積層セパレータであって、
前記積層セパレータは、少なくとも一方の面に粒子層を有し、
前記粒子層に含まれる粒子の平均粒径は、3~10μmであり、前記粒子層の片面の目付が0.1~1.0g/mである。
本発明の一態様によれば、耐電圧性およびイオン透過性を両立した、積層セパレータが提供される。
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの概略構造の例を示す模式図である。 本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの概略構造の例を示す模式図である。 本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの概略構造の例を示す模式図である。 本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの概略構造の例を示す模式図である。 本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの概略構造の例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る粒子層に含まれる粒子の構造の一例を模式的に示す断面図である。 本願実施例において耐電圧性の測定に使用した耐電圧試験機の円柱型の電極プローブの形状を表す模式図である。
本発明の一実施形態に関して以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.非水電解液二次電池用積層セパレータ〕
非水電解液二次電池に使用されるセパレータについての従来技術では、セパレータの表面に凹凸が存在し、凹部ではセパレータの膜厚が小さくなるため、耐電圧性が低くなる。したがって、上述したように、従来技術は耐電圧性の観点から改善の余地があった。
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、非水電解液二次電池用積層セパレータ(以下、単に「積層セパレータ」または「セパレータ」とも称する)について、ポリオレフィン系基材の片面または両面に耐熱層を有し、前記積層セパレータは少なくとも一方の面に粒子層を有し、前記粒子層に含まれる粒子の平均粒径を3~10μmとすることにより耐電圧性に優れ、また、前記粒子層の片面の目付を0.1~1.0g/mとすることによりイオン透過性に優れる積層セパレータが得られることを初めて見出した。
本発明の一態様における非水電解液二次電池用積層セパレータは、耐電圧性およびイオン透過性を両立でき、従来技術のセパレータと比較して安全性が向上する。
[1.1.非水電解液二次電池用積層セパレータの構成]
本発明の一実施形態に係る積層セパレータは、ポリオレフィン系基材の片面または両面に耐熱層を有し、さらに当該積層セパレータは、少なくとも一方の面に粒子層を有する。前記積層セパレータにおいて、粒子層は当該積層セパレータの表面に備えられていてもよく、粒子層の上にさらに別の層が備えられていてもよい。積層セパレータの構成について、図1~5を用いて以下に具体的に説明する。
図1に示すように、一実施形態において、積層セパレータ4aはポリオレフィン系基材1と、ポリオレフィン系基材1の両面に設けられた耐熱層2a、2bと、積層セパレータ4aの両側の表面に設けられた粒子層3a、3bと、を備えている。
また、図2に示すように、一実施形態において、積層セパレータ4bはポリオレフィン系基材1と、ポリオレフィン系基材1の両面に設けられた耐熱層2a、2bと、積層セパレータ4bの片側の表面に設けられた粒子層3と、を備えている。
さらに、図3に示すように、一実施形態において、積層セパレータ4cはポリオレフィン系基材1と、ポリオレフィン系基材1の片面に設けられた耐熱層2と、積層セパレータ4cの耐熱層が設けられている側の表面に設けられた粒子層3と、を備えている。
上記以外には、図4に示すように、一実施形態において、積層セパレータ4dはポリオレフィン系基材1と、ポリオレフィン系基材1の片面に設けられた耐熱層2と、積層セパレータ4dの耐熱層が設けられていない側の表面に設けられた粒子層3と、を備えている。
さらに上記以外には、図5に示すように、一実施形態において、積層セパレータ4eはポリオレフィン系基材1と、ポリオレフィン系基材1の片面に設けられた耐熱層2と、積層セパレータ4eの両側の表面に設けられた粒子層3a、3bと、を備えている。
[1.2.ポリオレフィン系基材]
本発明の一実施形態に係る積層セパレータは、ポリオレフィン系基材を含んでいる。本明細書において、「ポリオレフィン系基材」とは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする基材である。また、「ポリオレフィン系樹脂を主成分とする」とは、基材に占めるポリオレフィン系樹脂の割合が、基材を構成する材料全体の50重量%以上、好ましくは90重量%以上であり、より好ましくは95重量%以上であることを意味する。
ポリオレフィン系基材は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、その内部に連結した細孔を多数有しており、一方の面から他方の面に気体および液体を通過させることが可能となっている。なお、以下、ポリオレフィン系基材を、単に「基材」とも称する。
前記ポリオレフィンには、重量平均分子量が5×10~15×10である高分子量成分が含まれていることがより好ましい。特に、前記ポリオレフィンに重量平均分子量が100万以上の高分子量成分が含まれていると、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用積層セパレータの強度が向上するため、より好ましい。
前記ポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンおよび1-ヘキセン等の単量体を重合してなる、単独重合体または共重合体が挙げられる。
前記単独重合体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンを挙げることができる。また、前記共重合体としては、例えばエチレン-プロピレン共重合体を挙げることができる。
このうち、過大電流が流れることをより低温で阻止することができるため、前記ポリオレフィンとしては、ポリエチレンがより好ましい。なお、この「過大電流が流れることを阻止すること」をシャットダウンともいう。
前記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレン(エチレン-α-オレフィン共重合体)、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。このうち、前記ポリエチレンとしては、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンがさらに好ましい。
前記基材の目付は、強度、膜厚、重量およびハンドリング性を考慮して適宜決定することができる。ただし、非水電解液二次電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度を高くすることができるように、前記目付は、2~20g/mであることが好ましく、2~12g/mであることがより好ましく、3~10g/mであることがさらに好ましい。
前記基材の透気度は、ガーレ値で30~500s/100mLであることが好ましく、50~300s/100mLであることがより好ましい。基材が前述の範囲内の透気度を有することにより、基材は充分なイオン透過性を得ることができる。
前記基材の空隙率は、電解液の保持量を高めると共に、過大電流が流れることをより低温で確実に阻止する機能を得ることができるように、20~80体積%であることが好ましく、30~75体積%であることがより好ましい。
また、前記基材が有する細孔の孔径は、充分なイオン透過性を得ることができ、かつ、正極および負極への粒子の入り込みを防止することができるように、0.3μm以下であることが好ましく、0.14μm以下であることがより好ましい。
前記基材の膜厚の下限値は、4μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、6μm以上がさらに好ましい。基材の膜厚の上限値は、29μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。基材の膜厚の下限値および上限値の組合せの例としては、4~29μm、5~20μm、6~15μmが挙げられる。
[1.3.耐熱層]
本発明の一実施形態に係る積層セパレータは、前記ポリオレフィン系基材の片面または両面に耐熱層を含んでいる。耐熱層は耐熱性の樹脂を含んでいる。前記樹脂は電池の電解液に不溶であり、また、その電池の使用範囲において電気化学的に安定であることが好ましい。
前記樹脂としては、例えば、ポリオレフィン;(メタ)アクリレート系樹脂;芳香族樹脂;含フッ素樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ゴム類;融点またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂;水溶性ポリマー;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
前述の樹脂のうち、ポリオレフィン、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、芳香族樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および水溶性ポリマーからなる群より選ばれる1以上の樹脂が好ましい。
前記樹脂としては、芳香族樹脂であることがより好ましい。また、芳香族樹脂のうち含窒素芳香族樹脂であることが特に好ましい。さらに、含窒素芳香族樹脂のうち、後述するアラミド樹脂であることが最も好ましい。含窒素芳香族樹脂は、アミド結合等の窒素を介した結合を備えるため、耐熱性に優れる。従って、前記樹脂が含窒素芳香族樹脂であることによって、耐熱層の耐熱性を好適に向上させることができる。その結果、前記耐熱層を含む非水電解液二次電池用セパレータの耐熱性を向上させることができる。
前記ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、およびエチレン-プロピレン共重合体等が好ましい。
前記含フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-トリクロロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-フッ化ビニル共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体およびエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等、並びに、前記含フッ素樹脂の中でもガラス転移温度が23℃以下である含フッ素ゴムを挙げることができる。
前記ポリアミド系樹脂としては、含窒素芳香族樹脂に該当するポリアミド系樹脂であることが好ましく、芳香族ポリアミドおよび全芳香族ポリアミドなどのアラミド樹脂であることが特に好ましい。
前記アラミド樹脂としては、例えば、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(メタベンズアミド)、ポリ(4,4’-ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン-4,4’-ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン-4,4’-ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン-2,6-ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン-2,6-ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2-クロロパラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンテレフタルアミド/2,6-ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体、メタフェニレンテレフタルアミド/2,6-ジクロロパラフェニレンテレフタルアミド共重合体等が挙げられる。このうち、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)がより好ましい。
前記ポリエステル系樹脂としては、ポリアリレートなどの芳香族ポリエステルおよび液晶ポリエステルが好ましい。
前記ゴム類としては、スチレン-ブタジエン共重合体およびその水素化物、メタクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリ酢酸ビニル等を挙げることができる。
前記融点またはガラス転移温度が180℃以上の樹脂としては、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド等を挙げることができる。
前記水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸等を挙げることができる。
なお、前記樹脂としては、1種類の樹脂のみを用いてもよく、2種類以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。前記耐熱層における樹脂の含有率は、前記耐熱層の全重量を100重量%とすると、25~80重量%が好ましく、30~70重量%がより好ましい。
(フィラー)
前記耐熱層は、さらにフィラーを含んでいてもよい。前記フィラーは、無機フィラーまたは有機フィラーであり得る。前記フィラーとしては、シリカ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、水酸化アルミニウムおよびベーマイト等からなる群より選ばれる1以上の無機酸化物からなる無機フィラーがより好ましい。
なお、無機フィラーの吸水性を向上させるために、無機フィラー表面をシランカップリング剤等で親水化処理してもよい。
前記耐熱層における前記フィラーの含有率の下限値は、耐熱層の全重量を100重量%とすると、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。耐熱層における前記フィラーの含有率の上限値は、耐熱層の全重量を100重量%とすると、80重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。フィラーの含有率の下限値および上限値の組合せの例としては、20~80重量%、30~70重量%が挙げられる。前記フィラーの含有率が前述の範囲である場合、充分なイオン透過性を備えた耐熱層を得ることが容易である。
前記耐熱層の片面の目付、すなわち単位面積当たりの重量は、前記耐熱層の強度、膜厚、重量およびハンドリング性を考慮して適宜決定することができる。耐熱層の片面の目付は、耐熱層一層当たり、0.5~3.5g/mであることが好ましく、1.0~3.0g/mであることがより好ましい。
耐熱層の片面の目付をこれらの数値範囲とすることにより、耐熱層を備える非水電解液二次電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度をより高くすることができる。耐熱層の片面の目付が前記範囲を超える場合には、耐熱層を備える非水電解液二次電池が重くなる傾向がある。
前記耐熱層の透気度は、ガーレ値で30~80s/100mLであることが好ましく、40~75s/100mLであることがより好ましい。耐熱層の透気度が前述の範囲であれば、耐熱層が充分なイオン透過性を有していると言える。
前記耐熱層の空隙率は、充分なイオン透過性を得ることができるように、20~90体積%であることが好ましく、30~80体積%であることがより好ましい。
また、前記耐熱層が有する細孔の孔径は、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。細孔の孔径をこれらのサイズとすることにより、耐熱層を備える非水電解液二次電池は、充分なイオン透過性を得ることができる。
前記耐熱層の膜厚の下限値は、0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。耐熱層の膜厚の上限値は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。耐熱層の膜厚の下限値および上限値の組合せの例としては、0.1~20μm、0.3~10μm、0.5~5μmが挙げられる。耐熱層の膜厚が上述の範囲内であれば、耐熱層の機能(耐熱性の付与など)を充分に発揮することができ、かつ、セパレータ全体の厚みを小さくできる。
(樹脂およびフィラーの好ましい組合せ例)
一実施形態において、前記耐熱層に含まれている樹脂の固有粘度は1.4~4.0dL/gであり、かつ、フィラーの平均粒径は1μm以下である。このような組成の耐熱層を用いれば、薄型化、耐熱性およびイオン透過性を両立させた積層セパレータを作製できる。
前記耐熱層に含まれている樹脂は、固有粘度の下限値が1.4dL/g以上であることが好ましく、1.5dL/g以上であることがより好ましい。また、耐熱層に含まれている樹脂は、固有粘度の上限値が4.0dL/g以下であることが好ましく、3.0dL/g以下であることがより好ましく、2.0dL/g以下であることがさらに好ましい。固有粘度が1.4dL/g以上である樹脂を含んでいる耐熱層は、積層セパレータに充分な耐熱性を付与できる。固有粘度が4.0dL/g以下である樹脂を含んでいる耐熱層は、充分なイオン透過性を有している。
固有粘度は、例えば、以下の方法で測定することができる。
(i)濃硫酸(96~98%)に、樹脂を溶解させた溶液、および、(ii)樹脂を溶解させていない濃硫酸(96~98%)について、流動時間を測定する。求められた流動時間から、下記式により固有粘度を求める。
固有粘度=ln(T/T)/C (単位:dL/g)
T:樹脂の濃硫酸溶液の流動時間
:濃硫酸の流動時間
C:樹脂の濃硫酸溶液における樹脂の濃度(g/dL)。
固有粘度が1.4~4.0dL/gである樹脂は、合成条件(モノマーの投入量、合成温度、合成時間など)を適宜設定することにより、樹脂の分子量分布を調節すれば合成できる。あるいは、固有粘度が1.4~4.0dL/gである市販の樹脂を使用してもよい。一実施形態において、固有粘度が1.4~4.0dL/gである樹脂は、アラミド樹脂である。
前記耐熱層に含まれているフィラーの平均粒径は、1μm以下が好ましく、800nm以下がより好ましく、500nm以下がより好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下がより好ましい。ここで、フィラーの平均粒径は、50個のフィラーの球換算粒径の平均値である。また、フィラーの球換算粒径は、透過型電子顕微鏡によって実測した値である。具体的な測定方法を例示すると、以下の通りである。
1.透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子(株)、透過型電子顕微鏡JEM-2100F)を用いて、加速電圧200kV、撮影倍率はGatan Imaging Filterを使用し、10000倍で撮影する。
2.得られた画像について、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて、粒子の輪郭をトレースし、フィラー粒子(一次粒子)の球換算粒径を測定する。
3.上記の測定を、無作為に抽出した50個のフィラー粒子について行う。50個のフィラー粒子の球換算粒径の算術平均を、粒子の平均粒径とする。
フィラーの平均粒径を1μm以下とすることにより、積層セパレータを薄型化することができる。フィラーの平均粒径の下限値は、特に限定されないが、例えば5nm以上とすることができる。
[1.4.粒子層]
本発明の一実施形態に係る積層セパレータは、少なくとも一方の面に粒子層を有している。すなわち、上記の[1.1.非水電解液二次電池用積層セパレータの構成]の項目で説明したように、粒子層は積層セパレータの表面に備えられていてもよく、粒子層の上にさらに別の層が備えられていてもよい。また、粒子層はポリオレフィン系基材の面に備えられていてもよく、耐熱層の面に備えられていてもよい。
例えば、積層セパレータがポリオレフィン系基材の片面に耐熱層を有する場合、図3に示すように耐熱層の面に粒子層を備えてもいてもよいし、図4に示すように耐熱層を有さないポリオレフィン系基材の面に粒子層を備えていてもよい。また、図5に示すようにポリオレフィン系基材の面および耐熱層の面の両方に粒子層が備えられていてもよい。
前記粒子層の片面の目付の下限値は、0.1g/m以上であり、0.2g/m以上であることが好ましく、0.25g/m以上であることがより好ましい。粒子層の片面の目付の上限値は、1.0g/m以下であり、0.9g/m以下であることが好ましく、0.8g/m以下であることがより好ましく、0.7g/m以下であることがさらに好ましい。粒子層の片面の目付を前述の範囲内とすることにより、イオン透過性に優れた積層パラメータを得ることができる。
粒子層の目付は、積層セパレータの重量と、粒子層を除去した積層セパレータの重量とを比較することにより測定する。一例を挙げると、下記の通りである。
1.粒子層を有している積層セパレータの重量(W1)を測定する。また、粒子層の面積(S)を測定する。
2.適切な溶媒で洗浄することにより、積層セパレータから粒子層を除去する。その後、乾燥などにより溶媒を除去する。
3.粒子層を除去した積層セパレータの重量(W2)を測定する。
4.式「(W1-W2)/S」により、粒子層の目付を計算する。
あるいは、粒子層を塗工する前の積層セパレータが入手できるならば、本願実施例のように粒子層の目付を測定してもよい。
前記粒子層の透気度は、ガーレ値で0~150s/100mLであることが好ましく、5~100s/100mLであることがより好ましい。前記粒子層が前述の範囲内の透気度を有することにより、前記基材および/または耐熱層は充分なイオン透過性を得ることができる。
前記粒子層の空隙率は、電解液の保持量を高めると共に、過大電流が流れることをより低温で確実に阻止する機能を得ることができるように、1~60体積%であることが好ましく、2~30体積%であることがより好ましい。
前記粒子層の膜厚の下限値は、3μm以上が好ましく、3.5μm以上がより好ましく、4μm以上がさらに好ましい。粒子層の膜厚の上限値は、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、7μm以下がさらに好ましい。粒子層の膜厚の下限値および上限値の組合せの例としては、3~10μm、3.5~8μm、4~7μmが挙げられる。
前記粒子層に含まれる粒子の平均粒径の下限値は、3μm以上であり、3.5μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。また、粒子層に含まれる粒子の平均粒径の上限値は、10μm以下であり、8μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましい。粒子層に含まれる粒子の平均粒径を上述の範囲内とすることにより、耐電圧性に優れた積層セパレータを得ることができる。
粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡によって実測した値である。具体的な測定方法を例示すると、以下の通りである。
1.走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、粒子層の表面のSEM像を撮影する。
2.得られた画像について、画像解析ソフトを用いて3箇所以上の視野を観察し、100個以上の粒子の輪郭をトレースし、それぞれの粒子の粒径を測定する。
3.測定した粒子の相加平均を平均粒径とする。
粒子を構成する樹脂の構成単位となる単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩化ビニル系単量体;酢酸ビニル等の酢酸ビニル系単量体;スチレン、α-メチルスチレン、スチレンスルホン酸、ブトキシスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;ビニルアミン等のビニルアミン系単量体;N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド等のビニルアミド系単量体;カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、水酸基を有する単量体等の酸基含有単量体;メタクリル酸2-ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2-エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル単量体;2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチルアクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレート単量体;マレイミド;フェニルマレイミド等のマレイミド誘導体;1,3-ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。なお、本願明細書において、(メタ)アクリルとはアクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
上述した単量体のうち、(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。すなわち、粒子は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を構成単位として含むアクリル樹脂を含んでいることが好ましい。
アクリル樹脂に含まれている(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
ここで、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成し得る(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレートおよびt-ブチルアクリレートなどのブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどのオクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n-テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;並びにメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレートおよびt-ブチルメタクリレートなどのブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレートなどのオクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n-テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。中でも、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、ブチルアクリレートおよびメチルメタクリレートがより好ましく、ブチルアクリレートがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位以外の単位を有していてもよい。例えば、アクリル樹脂は、酸基含有単量体単位を含んでいてもよい。ここで、酸基含有単量体としては、酸基を有する単量体、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、および、水酸基を有する単量体が挙げられる。
カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸などが挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸-2-スルホン酸エチル、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基を有する単量体としては、例えば、リン酸-2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル-(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。
水酸基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
これらの中でも、酸基含有単量体としては、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、中でもモノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
アクリル樹脂における酸基含有量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。
アクリル樹脂は、上記単量体単位に加え、架橋性単量体単位を含んでいることが好ましい。架橋性単量体とは、加熱またはエネルギー線の照射により、重合中または重合後に架橋構造を形成しうる単量体である。架橋性単量体単位を含むことにより、重合体の膨潤度を、前記の範囲に容易に収めることができる。
架橋性単量体としては、例えば、当該単量体に2個以上の重合反応性基を有する多官能単量体が挙げられる。このような多官能単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン等のジビニル化合物;ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート等のジ(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のトリ(メタ)アクリル酸エステル化合物;アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体;などが挙げられる。これらの中でも、ジメタクリル酸エステル化合物およびエポキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体が好ましく、ジメタクリル酸エステル化合物がより好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
アクリル樹脂における架橋性単量体単位の具体的な割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
前記粒子の構造としては、上述した所定の平均粒径を達成し得る構造であれば特に限定されない。例えば、粒子形状を有する個々の重合体が個別に存在する構造、粒子形状を有する個々の重合体が接触して存在する構造、また、粒子形状を有する個々の重合体が複合化して存在する構造などが挙げられる。
個々の粒子が接触または複合化して存在している場合としては、例えば、粒子は、コアシェル構造を有していてもよい。コアシェル構造において、シェルは、コアの外表面の全体を覆っていてもよいし、コアの外表面を部分的に覆っていてもよい。イオン透過性の観点から、シェルはコアを部分的に覆っていることが好ましい。シェルがコアを部分的に覆っているコアシェル構造を有する粒子の中では、コア粒子およびシェル粒子の2種類の粒子が含まれ、シェル粒子がコア粒子の外表面を覆っている粒子が好ましい。粒子がコアシェル構造を有する場合、粒子の平均粒径とはコアシェル構造を有する粒子全体の粒径の平均を意味する。
シェル粒子がコア粒子の外表面を覆っている粒子について、図6を用いて具体的に説明する。粒子10は、コア粒子20およびシェル粒子30を備えるコアシェル構造を有する粒子全体である。ここで、コア粒子20は、この粒子10においてシェル粒子30よりも内側にある部分である。また、シェル粒子30は、コア粒子20の外表面20aを覆う部分であり、通常は粒子10において最も外側にある部分である。
シェル粒子がコア粒子の外表面を覆う平均割合は、コアシェル構造を有する粒子の断面構造の観察結果から測定できる。具体的な測定方法を以下に示す。
1.粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分に分散させた後、包埋し、粒子を含有するブロック片を作製する。
2.作製したブロック片を、ダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用いて厚さ80nm~200nmの薄片状に切り出して、測定用試料を作製する。その後、必要に応じて、例えば四酸化ルテニウムまたは四酸化オスミウムを用いて測定用試料に染色処理を施す。
3.得られた測定用試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)にセットして、粒子の断面構造を写真撮影する。電子顕微鏡の倍率は、粒子1個の断面が視野に入る倍率が好ましく、具体的には10,000倍程度が好ましい。
4.撮影した粒子の断面構造において、コア粒子の外表面に相当する周の長さD1、および、コア粒子の外表面とシェル粒子とが当接する部分の長さD2を測定する。次いで、測定された長さD1および長さD2を用いて、下記の式(1)により、その粒子のコア粒子の外表面がシェル粒子によって覆われる割合Rcを算出する。
被覆割合Rc(%)=(D2/D1)×100・・・(1)
5.被覆割合Rcを、20個以上の粒子について測定し、その平均値を計算して、シェル粒子がコア粒子の外表面を覆う平均割合(被覆率)とする。
ここで、前記の被覆割合Rcは、断面構造からマニュアルで計算することもできるが、市販の画像解析ソフトを用いて計算することもできる。市販の画像解析ソフトとして、例えば「AnalySISPro」(オリンパス株式会社製)を用いることができる。
粒子がコアシェル構造を有する場合、コア粒子は、上述したアクリル樹脂を含んでいることが好ましい。コア粒子に占めるアクリル樹脂の割合の下限は、70重量%以上が好ましく、80重量%以上よりが好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。コア粒子に占めるアクリル樹脂の割合の上限は、100重量%以下でありうる。
粒子がコアシェル構造を有する場合、シェル粒子の重合体を調製するために用いる単量体としては、芳香族ビニル単量体が好ましい。すなわち、シェル粒子の重合体は、芳香族ビニル樹脂を含むことが好ましい。また、芳香族ビニル単量体の中でも、スチレンおよびスチレンスルホン酸等のスチレン誘導体がより好ましい。シェル粒子に占める芳香族ビニル樹脂の割合の下限は、70重量%以上が好ましく、80重量%以上よりが好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。シェル粒子に占める芳香族ビニル樹脂の割合の上限は、100重量%以下でありうる。
シェル粒子の重合体における芳香族ビニル単量体単位の割合は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、より一層好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは99質量%以下である。
また、シェル粒子の重合体は、芳香族ビニル単量体単位以外に、酸基含有単量体単位を含みうる。ここで、酸基含有単量体としては、酸基を有する単量体、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、および、水酸基を有する単量体が挙げられる。具体的には、酸基含有単量体としては、コア粒子に含み得る酸基含有単量体と同様の単量体が挙げられる。
中でも、酸基含有単量体としては、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、中でもモノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
シェル粒子の重合体中の酸基含有単量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下である。酸基含有単量体単位の割合を前記範囲に収めることにより、複合粒子および粒子層中での粒子の分散性を向上させ、粒子層全面に渡って良好な接着性を発現させることができる。
また、シェル粒子の重合体は、架橋性単量体単位を含みうる。架橋性単量体としては、例えば、コア粒子の重合体に用いうる架橋性単量体として例示したものと同様の単量体が挙げられる。また、架橋性単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
シェル粒子の重合体における架橋性単量体単位の割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
コアシェル構造、コア粒子、およびシェル粒子については、本願明細書に記載されていない構成であっても、例えば、特許第6413419号に記載の構成を適宜選択して採用することができる。
〔2.非水電解液二次電池用積層セパレータの物性〕
[2.1.透気度]
前記積層セパレータの透気度は、ガーレ値で500s/100mL以下であることが好ましく、400s/100mL以下であることがより好ましく、300s/100mL以下であることがさらに好ましい。積層セパレータの透気度が前述した範囲内であれば、積層セパレータが十分なイオン透過性を有していると言える。測定方法の詳細については、本願実施例を参照されたい。
[2.2.耐電圧性]
前記積層セパレータの耐電圧性は、1.65kV/mm以上であることが好ましく、1.70kV/mm以上であることがより好ましい。測定方法の詳細については、本願実施例を参照されたい。
[2.3.その他の物性]
(空隙率)
前記積層セパレータの空隙率は、電解液の保持量を高めると共に、過大電流が流れることをより低温で確実に阻止する機能を得ることができるように、20~80体積%であることが好ましく、30~70体積%であることがより好ましく、40~60体積%であることがさらに好ましい。
〔3.非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法〕
[ポリオレフィン系基材の製造方法]
前記ポリオレフィン系基材の製造方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。すなわち、まず、ポリオレフィン系樹脂と、無機充填剤または可塑剤等の孔形成剤と、任意で酸化防止剤等とを混練してポリオレフィン系樹脂組成物を得る。その後、前記ポリオレフィン系樹脂組成物を押し出すことにより、シート状のポリオレフィン系樹脂組成物を作製する。そして、適当な溶媒にて孔形成剤をシート状のポリオレフィン系樹脂組成物から除去する。その後、当該孔形成剤が除去されたポリオレフィン系樹脂組成物を延伸することで、ポリオレフィン系基材を製造することができる。
前記無機充填剤としては、特に限定されるものではなく、無機フィラー、具体的には炭酸カルシウム等が挙げられる。前記可塑剤としては、特に限定されるものではなく、流動パラフィン等の低分子量の炭化水素が挙げられる。
前記ポリオレフィン系基材の製造方法として、例えば、以下に示す工程を含む方法を挙げることができる。
(i)重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンと、重量平均分子量が1万以下の低分子量ポリエチレンと、炭酸カルシウムまたは可塑剤等の孔形成剤と、酸化防止剤とを混練してポリオレフィン系樹脂組成物を得る工程。
(ii)得られたポリオレフィン系樹脂組成物を段階的に冷却し、シートを成形する工程。
(iii)得られたシートの中から適当な溶媒にて孔形成剤を除去する工程。
(iv)孔形成剤が除去されたシートを適当な延伸倍率にて延伸する工程。
(耐熱層の製造方法)
[1.2.耐熱層]の項目にて説明した樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗工液を用いて、耐熱層を形成することができる。また、前記樹脂を溶媒に溶解または分散させると共に、前記フィラーを分散させることにより得られた塗工液を用いて、前記樹脂および前記フィラーを含む耐熱層を形成することができる。
なお、前記溶媒は、前記樹脂を溶解させる溶媒であり得る。また、前記溶媒は、前記樹脂または前記フィラーを分散させる分散媒であり得る。前記塗工液の形成方法としては、例えば、機械攪拌法、超音波分散法、高圧分散法、メディア分散法等が挙げられる。
前記耐熱層の形成方法としては、例えば、前記塗工液を基材の表面に直接塗布した後、溶媒を除去する方法;前記塗工液を適当な支持体に塗布した後、前記溶媒を除去して前記耐熱層を形成し、前記耐熱層と前記基材とを圧着させ、次いで前記支持体を剥がす方法;前記塗工液を適当な支持体に塗布した後、塗布面に前記基材を圧着させ、次いで前記支持体を剥がした後に前記溶媒を除去する方法;および、前記塗工液中に基材を浸漬することによってディップコーティングを行った後に前記溶媒を除去する方法等が挙げられる。
前記溶媒は基材に悪影響を及ぼさず、前記樹脂を均一かつ安定に溶解し、前記フィラーを均一かつ安定に分散させる溶媒であることが好ましい。前記溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトンおよび水等からなる群より選ばれる1以上の溶媒が挙げられる。
前記塗工液は、前記樹脂および前記フィラー以外の成分として、分散剤、可塑剤、界面活性剤およびpH調整剤等を適宜含んでいてもよい。
前記塗工液の基材への塗布方法としては、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、例えば、グラビアコーター法、ディップコーター法、バーコーター法およびダイコーター法等が挙げられる。
前記塗工液がアラミド樹脂を含む場合、塗布面に湿度を与えることによってアラミド樹脂を析出させることができる。これにより、前記耐熱層を形成してもよい。
前記基材に塗工した塗工液から前記溶媒を除去する方法としては、例えば、通風乾燥および加熱乾燥等にて、前記塗工液の膜である塗工膜から前記溶媒を除去する方法を挙げることができる。
また、前記塗工液における前記溶媒の量を変化させることにより、得られる耐熱層の空隙率、平均孔径を調整することができる。
前記塗工液の好適な固形分濃度は、フィラーの種類などによって変化し得るが、一般には、3重量%より大きく40重量%以下であることが好ましい。
前記塗工液を基材上に塗工する際の塗工せん断速度は、フィラーの種類などによって変化し得るが、一般には、2(1/s)以上であることが好ましく、4(1/s)~50(1/s)であることがより好ましい。
(アラミド樹脂の調製方法)
アラミド樹脂の調製方法としては、特に限定されないが、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ハライドの縮合重合法が挙げられる。その場合、得られるアラミド樹脂は、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位で結合される繰り返し単位から実質的になる。パラ位に準じた配向位とは、例えば、4,4’-ビフェニレン、1,5-ナフタレン、2,6-ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位である。
ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の溶液を調製する具体的な方法として、例えば、以下の(I)~(IV)に示す工程を含む方法が挙げられる。
(I)乾燥したフラスコにN-メチル-2-ピロリドンを仕込み、200℃で2時間乾燥した塩化カルシウムを添加して100℃に昇温し、前記塩化カルシウムを完全に溶解させる。
(II)工程(I)にて得られた溶液の温度を室温に戻した後、パラフェニレンジアミンを添加し、このパラフェニレンジアミンを完全に溶解させる。
(III)工程(II)にて得られた溶液の温度を20±2℃に保ったまま、テレフタル酸ジクロライドを10分割して約5分間おきに添加する。
(IV)工程(III)にて得られた溶液の温度を20±2℃に保ったまま1時間熟成し、次いで減圧下にて30分間撹拌して気泡を抜くことにより、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の溶液を得る。
(粒子層の製造方法)
上述した粒子を含むスラリーを基材または耐熱層に塗布し、次いで乾燥させることにより粒子層を形成することができる。スラリーは、上述した粒子を含む他に、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、バインダー、分散剤、湿潤剤などが挙げられる。
粒子層の形成に際し、スラリーを塗布および乾燥させる方法は、特に限定されない。例えば、塗布方法としては、グラビアコーター法、ディップコーター法、バーコーター法およびダイコーター法等が挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法等が挙げられる。塗布したスラリーを乾燥させる温度は、使用する溶媒の種類によって変えることができる。
〔4.非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池〕
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池用部材は、正極と、上述のセパレータと、負極とがこの順で配置されてなる。本発明の一態様に係る非水電解液二次電池は、上述のセパレータを備えている。非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池において、セパレータは、負極に面した表面が上述の平滑性の条件を満たすように配置されている。
前記非水電解液二次電池の形状は、特に限定されるものではなく、薄板(ペーパー)型、円盤型、円筒型、直方体等の角柱型等であってもよい。前記非水電解液二次電池は、例えば、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解液二次電池であって、正極と、上述のセパレータと、負極とがこの順で積層されてなる非水電解液二次電池用部材を備える。なお、上述のセパレータ以外の非水電解液二次電池の構成要素は、下記説明の構成要素に限定されるものではない。
前記非水電解液二次電池は、通常、負極と正極とが、上述のセパレータを介して対向した構造体に電解液が含浸された電池要素が、外装材内に封入された構造を有する。なお、ドープとは、吸蔵、担持、吸着、または挿入を意味し、正極等の電極の活物質にリチウムイオンが入る現象を意味する。
前記非水電解液二次電池用部材は、上述のセパレータを備えているため、非水電解液二次電池に組み込まれた際に、当該非水電解液二次電池の微小短絡の発生を抑制し、その安全性を向上させることができる。また、前記非水電解液二次電池は、上述のセパレータを備えているため、微小短絡の発生が抑制され、安全性に優れる。
[4.1.正極]
本発明の一実施形態における正極は、一般に非水電解液二次電池の正極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、正極として、正極活物質および結着剤を含む活物質層が正極集電体上に成形された構造を備える正極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、さらに、導電剤および/または結着剤を含んでもよい。
前記正極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、具体的には、例えば、V、Mn、Fe、CoおよびNi等の遷移金属を少なくとも1種類含んでいるリチウム複合酸化物が挙げられる。
前記導電剤としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維および有機高分子化合物焼成体等の炭素質材料等が挙げられる。前記導電剤は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。なお、結着剤は、増粘剤としての機能も有している。
前記正極集電体としては、例えば、Al、Niおよびステンレス等の導電体が挙げられる。中でも、薄膜に加工し易く、安価であることから、Alがより好ましい。
正極シートの製造方法としては、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤を正極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて正極活物質、導電剤および結着剤をペースト状にした後、当該ペーストを正極集電体に塗工し、乾燥した後に加圧して正極集電体に固着する方法;等が挙げられる。
[4.2.負極]
本発明の一実施形態における負極としては、一般に非水電解液二次電池の負極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、負極として、負極活物質および結着剤を含む活物質層が負極集電体上に成形された構造を備える負極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、さらに導電剤および/または結着剤を含んでもよい。
前記負極活物質としては、例えば、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料が挙げられる。当該材料としては、例えば、炭素質材料等が挙げられる。炭素質材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラックおよび熱分解炭素類等が挙げられる。
前記負極集電体としては、例えば、Cu、Niおよびステンレス等が挙げられる。リチウムと合金を作り難く、かつ薄膜に加工し易いことから、Cuがより好ましい。
負極シートの製造方法としては、例えば、負極活物質を負極集電体上で加圧成型する方法;適当な有機溶剤を用いて負極活物質をペースト状にした後、当該ペーストを負極集電体に塗工し、乾燥した後に加圧して負極集電体に固着する方法;等が挙げられる。前記ペーストには、好ましくは前記導電剤および前記結着剤が含まれる。
[4.3.非水電解液]
本発明の一実施形態における非水電解液は、一般にリチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池に使用される非水電解液であれば特に限定されない。前記非水電解液としては、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解してなる非水電解液を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、Li10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩およびLiAlCl等が挙げられる。前記リチウム塩は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
非水電解液を構成する有機溶媒としては、例えば、カーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、アミド類、カーバメート類および含硫黄化合物、並びにこれらの有機溶媒にフッ素基が導入されてなる含フッ素有機溶媒等が挙げられる。前記有機溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[4.4.非水電解液二次電池の製造方法]
前記非水電解液二次電池の製造方法としては、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、正極、上述のセパレータおよび負極をこの順で配置することにより、前記非水電解液二次電池用部材を形成する。次いで、非水電解液二次電池の筐体となる容器に、当該非水電解液二次電池用部材を入れる。さらに、当該容器内を非水電解液で満たした後、減圧しつつ密閉する。これにより、前記非水電解液二次電池を製造することができる。
〔5.まとめ〕
本発明には、以下の態様が包含される。
<1>
ポリオレフィン系基材の片面または両面に耐熱層を有する非水電解液二次電池用積層セパレータであって、
前記積層セパレータは、少なくとも一方の面に粒子層を有し、
前記粒子層に含まれる粒子の平均粒径は、3~10μmであり、
前記粒子層の片面の目付が0.1~1.0g/mである、
積層セパレータ。
<2>
前記耐熱層が芳香族樹脂を含む、<1>に記載の積層セパレータ。
<3>
前記粒子がアクリル樹脂を含む、<1>または<2>に記載の積層セパレータ。
<4>
前記粒子がコアシェル構造を有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載の積層セパレータ。
<5>
前記コアシェル構造が、コア粒子およびシェル粒子の2種類の粒子を含む、<4>に記載の積層セパレータ。
<6>
正極と、<1>~<5>のいずれか1つに記載の積層セパレータと、負極と、がこの順で積層されている、非水電解液二次電池用部材。
<7>
<1>~<5>のいずれか1つに記載の積層セパレータを備える、非水電解液二次電池。
<8>
<6>の非水電解液二次電池用部材を備える、非水電解液二次電池。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔物性の測定〕
(1)粒子の平均粒径(単位:μm)
以下の手順により、粒子の平均粒径を測定した。
1.走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、粒子層の表面のSEM像を撮影する。
2.得られた画像について、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて3箇所以上の視野を観察し、100個以上の粒子の輪郭をトレースし、それぞれの粒子の粒径を測定する。3.測定した粒子の相加平均を平均粒径とする。
(2)粒子層の目付(単位:g/m
以下の手順により、粒子層の目付を測定した。
1.後述の各実施例および比較例の積層セパレータから、一辺の長さ10cmの正方形をサンプルとして切り取り、当該サンプルの重量W1(g)を測定した。
2.後述の各実施例および比較例の耐熱セパレータから、一辺の長さ10cmの正方形をサンプルとして切り取り、当該サンプルの重量W2(g)を測定した。
3.測定したW1およびW2の値を用いて、下記式(1)に従って、粒子層の目付(g/m)を算出した。
粒子層の目付=(W1-W2)/(0.10×0.10)・・式(1)
(3)積層セパレータの透気度(単位:s/100mL)
各実施例および比較例の積層セパレータの透気度(ガーレ値)を、JIS P8117に準拠して、旭精工株式会社製のEG01-5-1MRを用いて測定した。
(4)積層セパレータの耐電圧性(単位:kV/mm)
各実施例および比較例の積層セパレータに対して、図7に示すようなΦ8mmの円柱型の電極プローブ(100g)を載せた。続いて、前記電極プローブの上に400gのおもりを載せた。その後、耐電圧試験機(KIKUSUI製 TOS9200)を用いて、印加速度25V/sにて加圧し、破壊電圧を測定した。測定された破壊電圧の値を、耐電圧性の値とした。
なお、前記耐電圧試験は、実際の非水電解液二次電池の充放電時における、積層セパレータに荷重が加えられながら、電圧が加えられる態様を模したものである。従って、前記耐電圧試験にて測定される耐電圧性の値が高い場合には、実際の非水電解液二次電池の充放電時において、前記積層セパレータの耐電圧性が良好であることを示す。
〔アラミド重合液の製造例〕
攪拌翼、温度計、窒素流入管および粉体添加口を有する、3Lのセパラブルフラスコを使用して、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の製造を行った。
前記フラスコを十分乾燥し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)2200gを仕込み、200℃で2時間真空乾燥した塩化カルシウム粉末151.07gを添加し、前記NMPの温度を100℃に昇温して、前記塩化カルシウム粉末を完全に溶解させた。得られた溶液の温度を室温に戻した後、パラフェニレンジアミン68.23gを添加し、前記パラフェニレンジアミンを完全に溶解させた。得られた溶液の温度を20℃±2℃に保ち、かつ、重合時の溶存酸素濃度を0.5%に保ったまま、テレフタル酸ジクロライド124.97gを10分割して約5分おきに、前記溶液に添加した。その後、前記溶液の温度を20℃±2℃に保ったまま、前記溶液を攪拌しながら1時間熟成した。続いて、熟成された前記溶液を1500メッシュのステンレス金網でろ過した。得られた溶液は、パラアラミドの濃度が6%のパラアラミド溶液であった。
〔実施例1〕
上記〔アラミド重合液の製造例〕で得られたパラアラミド溶液100gをフラスコに秤取し、166.7gのNMPを添加することによってパラアラミド濃度が2.25重量%のパラアラミド溶液を調製し、当該溶液を60分間攪拌した。続いて、当該溶液に、アルミナC(日本アエロジル社製)を6g混合した後、240分間攪拌した。得られた溶液を1000メッシュの金網でろ過し、その後、炭酸カルシウム0.73gを添加して240分間攪拌することによって中和を行い、減圧下で脱泡して塗工液(1)を調製した。
塗工液(1)を、ポリエチレンからなる基材(厚さ10.4μm、空隙率43%)上に、ドクターブレード法により塗布した。得られた塗布物(1)を、50℃、相対湿度70%の空気中に1分間静置して、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)を含む層を析出させた。次に、塗布物(1)をイオン交換水に浸漬させ、塩化カルシウムおよび溶媒を除去した。その後、塗布物(1)を80℃のオーブンで乾燥させ、基材上にアラミド耐熱層を形成させた耐熱セパレータ(1)を得た。
4.8μmの平均粒径を有するスチレン-アクリル系架橋高分子化合物からなる有機物粒子(PX-SA02、日本ゼオン株式会社製)と、溶媒として超純水とを、3:97の重量比で混合し、スラリー(1)を得た。
耐熱セパレータ(1)のアラミド耐熱層が形成された側の面に、粒子層の片面の目付が0.2g/mとなるようにスラリー(1)をコーターを用いて塗布した。塗布後、乾燥機内で50℃にて乾燥させて、積層セパレータ(1)を得た。
〔実施例2〕
粒子層の片面の目付が0.3g/mとなるように調整したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、積層セパレータ(2)を得た。
〔実施例3〕
粒子層の片面の目付が1.0g/mとなるように調整したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、積層セパレータ(3)を得た。
〔実施例4〕
3.2μmの平均粒径を有するスチレン-アクリル系架橋高分子化合物からなる有機物粒子(PX-SA05、日本ゼオン株式会社製)と、溶媒として超純水とを、3:97の重量比で混合し、スラリー(2)を得た。
耐熱セパレータ(1)のアラミド耐熱層が形成された側の面に、粒子層の片面の目付が0.3g/mとなるようにスラリー(2)をコーターを用いて塗布した。塗布後、乾燥機内で50℃にて乾燥させて、積層セパレータ(4)を得た。
〔比較例1〕
実施例1で作製した耐熱セパレータ(1)を積層セパレータ(C1)とした。
〔比較例2〕
粒子層の片面の目付が1.7g/mとなるように調整したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、積層セパレータ(C2)を得た。
〔比較例3〕
粒子層に含まれる粒子として、0.65μmの平均粒径を有するスチレン-アクリル系架橋高分子化合物からなる有機物粒子(PX-SA01、日本ゼオン株式会社製)を使用し、粒子層の片面の目付が0.3g/mとなるように調整したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、積層セパレータ(C3)を得た。
〔結果〕
実施例1~4と比較例1とを比較すると、粒子層を設けることにより積層セパレータの耐電圧性が向上していることが分かる。一方で、実施例1~4と比較例1との比較から、粒子層を設けることによりイオン透過性は低下する傾向にあることが分かるが、許容できる範囲である。
また、実施例1~4と比較例2とを比較すると、粒子層の目付が大きくなるほどガーレ値が増加する(イオン透過性が低下する)傾向にあるが、目付が1.0g/m以下であるならば充分なイオン透過性が確保できることが分かる。
さらに、実施例1~4と比較例3とを比較すると、粒子層に含まれる粒子の平均粒径が3~10μmの範囲であれば、耐電圧性向上の効果が得られることが分かる。逆に、粒子層に含まれる粒子の平均粒径が3μmよりも小さいと、耐電圧性向上の効果が得られないことも分かる。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池用セパレータは、充放電を行った際の微小短絡の発生が抑制され、安全性に優れる非水電解液二次電池の製造に利用することができる。
1:ポリオレフィン系基材
2、2a、2b:耐熱層
3、3a、3b:粒子層
4a、4b、4c、4d、4e:積層セパレータ
10:粒子
20:コア粒子
20a:コア粒子の外表面
30:シェル粒子

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系基材の片面または両面に耐熱層を有する非水電解液二次電池用積層セパレータであって、
    前記積層セパレータは、少なくとも一方の面に粒子層を有し、
    前記粒子層に含まれる粒子の平均粒径は、3~10μmであり、
    前記粒子層の片面の目付が0.1~1.0g/mである、
    積層セパレータ。
  2. 前記耐熱層が芳香族樹脂を含む、請求項1に記載の積層セパレータ。
  3. 前記粒子がアクリル樹脂を含む、請求項1に記載の積層セパレータ。
  4. 前記粒子がコアシェル構造を有する、請求項1に記載の積層セパレータ。
  5. 前記コアシェル構造が、コア粒子およびシェル粒子の2種類の粒子を含む、請求項4に記載の積層セパレータ。
  6. 正極と、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層セパレータと、負極と、がこの順で積層されている、非水電解液二次電池用部材。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の積層セパレータを備える、非水電解液二次電池。
  8. 請求項6の非水電解液二次電池用部材を備える、非水電解液二次電池。
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