JP2023173010A - サイレンサの取り付け構造 - Google Patents

Abstract

【課題】被取付部が取り付け面から突出する突条部を有する場合でも、副資材を用いることなく被取付部に取り付け可能なサイレンサを提供する。
【解決手段】突条部１５を有するパネル１０に対してサイレンサ２０を取り付ける取り付け構造であって、サイレンサ２０は、パネル１０の板面を被覆するパネル被覆部２３，２４と、パネル被覆部２３，２４から立ち上がるとともに折り返されて、突条部１５を被覆する第１突条部被覆部３１および第２突条部被覆部３６と、を有しており、第１突条部被覆部３１の端部に係止部３２が設けられ、第２突条部被覆部３６の端部に被係止部３８が設けられ、係止部３２が被係止部３８に係止することにより、突条部１５を被覆可能な袋状の部分が形成されている。
【選択図】図１

Description

本明細書に開示される技術は、サイレンサの取り付け構造に関する。

従来、車両の各所に、遮音作用のあるマット状のサイレンサが取り付けられている。例えば、エンジンルームの下面に設けられたアンダーカバーや、ボンネットの裏面、エンジンルームと車室を仕切るダッシュパネル等に、サイレンサが取り付けられている。

特開２０１４－５１２２７号公報

このようなマット状のサイレンサを取り付ける箇所に、取り付け面から突出する突条部が設けられている場合がある。従来、このような箇所にサイレンサを取り付ける際には、例えば、サイレンサの対応箇所をＵ字形状に折り曲げることで立ち上げ、両端をタッカー等の副資材で開かないように留めて袋状として、突条部に被せていた。あるいは、クリップ締結やスタッドボルト締結等の締結構造により、取り付けていた。

しかし、上記構成のようにサイレンサの立ち上げ部分を副資材で留めたり締結部材により締結する構成では、部品点数および材料コストが増加するとともに、異なる材料のものが混在することになり廃棄時のリサイクル性に問題があった。

本明細書に開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、被取付部が取り付け面から突出する突条部を有する場合でも、副資材を用いることなく被取付部に取り付け可能なサイレンサを提供することを目的とする。

本明細書に開示される技術は、板面から突出する突条部を有するパネルに対してマット状のサイレンサを取り付ける取り付け構造であって、前記サイレンサは、前記パネルの板面を被覆するパネル被覆部と、前記パネル被覆部から立ち上がるとともに折り返されて、前記突条部の一面側を被覆する第１突条部被覆部および他面側を被覆する第２突条部被覆部と、を有しており、前記第１突条部被覆部の延び方向における少なくとも一方の端部に、当該端部から延び出す係止部が設けられ、前記第２突条部被覆部の少なくとも一方の端部に、当該端部から延び出すとともに前記係止部を係止可能な被係止部が設けられ、前記第１突条部被覆部および前記第２突条部被覆部は、前記係止部が前記被係止部に係止することにより、前記突条部を被覆可能な袋状に連結されている。

上記構成によれば、サイレンサを取り付けるパネルが板面から突出する突条部を有する場合でも、副資材を使用することなくサイレンサの一部に板面から立ち上がる袋状の部分を形成し、この袋状の部分で突条部を覆うことができる。つまり、単一の材料で構成されたリサイクル性に優れたサイレンサを提供することができる。

前記係止部は、先端側が基端側から張り出して幅広とされた幅広部を有しており、前記被係止部は、前記幅広部より幅狭とされて前記幅広部を係止可能な孔状とされていてもよい。このような構成により、係止部および被係止部の具体的一実施形態が可能である。

本明細書に開示する技術によれば、被取付部が取り付け面から突出する突条部を有する場合でも、副資材を用いることなく被取付部に取り付け可能なサイレンサを提供することができる。

一実施形態のサイレンサをリアホイールハウスパネルに取り付けた状態を示す斜視図 図１のI-I断面図 図１のII-II端面図 突条部被覆部の展開図 図４の一部拡大展開図 変形例の突条部被覆部の一部拡大展開図 変形例の突条部被覆部の一部拡大展開図 変形例の突条部被覆部の一部拡大展開図

本明細書に開示した技術を、車両のリアタイヤを内側に収容するためのリアホイールハウスパネル１０を覆うサイレンサ２０に適用した一実施形態について、図１から図５を参照して説明する。

リアホイールハウスパネル１０は、車外においてその内側にリアタイヤを収容するべく形成されたものであり、車体を構成するボディパネルの一部を為している。リアホイールハウスパネル１０は少なくとも２枚のパネルを組み合わせて形成されており、各パネルは、当該各パネルの端部の一部から立ち上がるフランジ部を重ね合わせて接合することにより、一体化されている。以下、リアホイールハウスパネル１０を構成する２枚のパネルを第１パネル１１および第２パネル１３とし、第１パネル１１および第２パネル１３の端部の一部から立ち上がった部分をそれぞれ第１フランジ部１２および第２フランジ部１４とする。また、第１フランジ部１２および第２フランジ部１４が一体に接合されて第１パネル１１および第２パネル１３の板面から立ち上がったリブ状の部分を突条部１５として説明する。

突条部１５は、組み立て作業者が把持可能な寸法とされている。本実施形態では、第１パネル１１および第２パネル１３からの立ち上がり寸法が約５ｃｍ、延び方向の寸法が約１５ｃｍとされている。

サイレンサ２０は、グラスウールやフェルト等で構成された遮音作用を有する部材であって、可撓性のあるマット状をなしている。サイレンサ２０は、図２に示すように、リアホイールハウスパネル１０の車室内面に沿うように重ね合わされる軟質層２１と、軟質層２１に積層され、軟質層２１より比較的に硬質の硬質層２２との二層構造とされている。

図１に示すように、サイレンサ２０は、第１パネル１１の車室内面を被覆する第１被覆部２３と、第２パネル１３部の車室内面を被覆する第２被覆部２４と、第１被覆２３部および第２被覆部２４を連結するとともにリアホイールハウスパネル１０の突条部１５を覆う突条部被覆部３０と、を備えている。

図４は本実施形態のサイレンサ２０を展開した状態の突条部被覆部３０の平面図である。突条部被覆部３０は、第１被覆部２３から連なって突条部１５の一面側（第１フランジ部１２の一面側）を覆う第１フランジ被覆部３１と、第２被覆部２４から連なって突条部１５の他面側（第２フランジ部１４の一面側）を覆う第２フランジ被覆部３６と、の二つの部分を備えている。第１フランジ被覆部３１と第２フランジ被覆部３６とは、同等の寸法とされている。また、第１フランジ被覆部３１および第２フランジ被覆部３６の境界部は、第１フランジ被覆部３１および第２フランジ被覆部３６が対向するように折り返される折り返し部３５とされている。

第１フランジ被覆部３１、および第２フランジ被覆部３６は、全体として、リアホイールハウスパネル１０の突条部１５の寸法よりやや大きい寸法とされている。

これらのうち第１フランジ被覆部３１には、当該第１フランジ被覆部３１の延び方向における両端部からそれぞれ反対側に向けて突出する一対の係止片３２が設けられている。一対の係止片３２は、第１フランジ被覆部３１の幅方向（立ち上がり方向）における中央部から延び出す幅狭の基端側部３３と、基端側部３３の突出方向における先端部から延びて基端側部３３よりも幅方向における外側に張り出す先端側部（幅広部の一例）３４とを備えている。本実施形態において先端側部３４は等脚台形状をなしており、その下底が基端側部３３と連なり、下底よりも短い寸法とされた上底が先端側に配された先細りの形状とされている。

一方、第２フランジ被覆部３６には、当該第２フランジ被覆部３６の延び方向における両端部から第２フランジ被覆部３６と同じ幅寸法で延び出す被係止片３７が設けられている。被係止片３７のうち、折り返し部３５が折り返された状態において係止片３２の基端側部３３に対向する位置には、板面を貫通する係止孔３８が設けられている。係止孔３８は等脚台形状をなしており、その下底が第２フランジ被覆部３６の延び方向における内側（図４の右側）に配され、下底より長い寸法とされた上底が外側（図４の左側）に配される向きに形成されている。

係止片３２および係止孔３８について図５を参照してより詳細に説明すると、係止孔３８のうち上底の寸法をｃ、上底を除いた孔縁部（下底と２つの対辺の合計）の寸法をａ、一の対辺の寸法をｅとし、係止片３２のうち先端側部の下底の寸法をｂ、高さ寸法をｄ、板厚をｆとすると、次の関係が成り立つように各寸法が設定されている。
ａ＞ｂ＞ｃ かつ ｄ＞ｅ＞ｆ …（式１）
このような関係を満たすことにより、係止片３２が係止孔３８内に挿入可能となり、かつ、係止孔３８の孔縁部に係止可能とされる。

このようなサイレンサ２０をリアホイールハウスパネル１０に対して取り付け可能に組み立てる際には、まず、折り返し部３５を山折りに折り返すとともに、第１被覆部２３および第１フランジ被覆部３１の境界部２５と、第２被覆部２４および第２フランジ被覆部３６の境界部２６を谷折りに折って、各フランジ被覆部３１，３６を各被覆部２３，２４から立ち上げた状態とする。次に、係止片３２の先端側部３４を湾曲させつつ係止孔３８内に差し込み、貫通させた後に弾性復帰させて係止孔３８の孔縁部に引っ掛けて係止する。これにより、第１被覆部２３および第２被覆部２４から立ち上がるとともに両端部が閉じられた袋状の突条部被覆部３０が形成される。

なお、このような組み立て時に、係止片３２の係止孔３８に対する係止状態や、折り返し部３５および境界部２５，２６の折り曲げ状態が、サイレンサ２０の弾性復帰力によりもとの平坦な状態に戻り難くするために、突条部被覆部３０に予めプレス成形を施しておくことが好ましい。

具体的には、図３に示すように、係止片３２の基端側部３３を、折り返し部３５を折り曲げた際に被係止片３７に向けて近づく方向に傾斜させ、被係止片３７のうち係止孔３８を含む位置から基端側の部分を、係止片３２に向けて近づく方向に傾斜させる構成とすることで、係止片３２を係止孔３８に挿入し易くするとともに、係止孔３８に挿通された係止片３２の係止状態を安定的に保つことができる。また、係止片３２の先端側の板厚を薄くして湾曲し易くすることによっても、係止片３２を係止孔３８に挿入し易くすることができる。

次に、作用効果を説明する。本実施形態のサイレンサ２０の取り付け構造は、板面から突出する突条部１５を有するリアホイールハウスパネル１０に対してマット状のサイレンサ２０を取り付ける構造であって、サイレンサ２０は、第１パネル１１および第２パネル１３の板面を被覆する第１被覆部２３および第２被覆部２４と、第１被覆部２３および第２被覆部２４から立ち上がるとともに折り返されて、突条部１５の一面側を被覆する第１フランジ被覆部３１および他面側を被覆する第２フランジ被覆部３６と、を有しており、第１フランジ被覆部３１の延び方向における両端部に、当該両端部から延び出す係止片３２が設けられ、第２フランジ被覆部３６の両端部に、当該両端部から延び出すとともに係止片３２を係止可能な被係止片３７および係止孔３８が設けられ、第１フランジ被覆部３１および第２フランジ被覆部３６は、係止片３２が係止孔３８に係止することにより、突条部１５を被覆可能な袋状に連結されている。

上記構成によれば、サイレンサ２０を取り付けるリアホイールハウスパネル１０が板面から突出する突条部１５を有する場合でも、副資材を使用することなくサイレンサ２０の一部に板面から立ち上がる袋状の部分を形成し、この袋状の部分で突条部１５を覆うことができる。つまり、単一の材料で構成されたリサイクル性に優れたサイレンサ２０を提供することができる。

係止片３２は、先端側が基端側部３３から張り出して幅広とされた先端側部３４とされており、係止孔３８は、先端側部３４より幅狭とされて先端側部３４を係止可能とされている。

＜変形例＞
係止片および係止孔の構成は、上記実施形態に限るものでなく、例えば図６から図８に示すように、種々の形態とすることができる。要は、上述した（式１）を満たすものであれば、どうような形態としてもよい。

＜他の実施形態＞
本明細書に開示する技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。

（１）上記実施形態では、２枚のパネル１１，１３のフランジ部１２，１４を接合することにより形成された突条部１５を覆う構成のサイレンサ２０を示したが、１枚のパネルの板面から突出するリブ状の突条部に対しても本明細書に開示される技術を適用することができる。

（２）上記実施形態では、先端側部３４を有する係止片３２を係止孔３８に挿入して係止させる構成を示したが、係止部および被係止部の構成は上記実施形態に限るものでなく、適宜変更可能である。例えば、係止孔の代わりにスリットを設ける構成とすることもできる。

（３）上記実施形態では、突条部被覆部３０の両端部を係止部（係止片３２）および被係止部（係止孔３８）により開き留めする構成を示したが、突条部被覆部の一端部だけを開き留めし、他端部は開き留めしない、２辺が連結された袋状の構成も技術範囲に含まれる。

１０：リアホイールハウスパネル（パネル）、１１：第１パネル、１２：第１フランジ部（突条部）、１３：第２パネル、１４：第２フランジ部（突条部）、１５：突条部、２０：サイレンサ、２３：第１被覆部（パネル被覆部）、２４：第２被覆部（パネル被覆部）、３０：突条部被覆部、３１：第１フランジ被覆部（第１突条部被覆部）、３２：係止片（係止部）、３３：基端側部、３４：先端側部（幅広部）、３５：折り返し部、３６：第２フランジ被覆部（第２突条部被覆部）、３７：被係止片、３８：係止孔（被係止部）

Claims (2)

1. 板面から突出する突条部を有するパネルに対してマット状のサイレンサを取り付ける取り付け構造であって、
   前記サイレンサは、前記パネルの板面を被覆するパネル被覆部と、前記パネル被覆部から立ち上がるとともに折り返されて、前記突条部の一面側を被覆する第１突条部被覆部および他面側を被覆する第２突条部被覆部と、を有しており、
   前記第１突条部被覆部の延び方向における少なくとも一方の端部に、当該端部から延び出す係止部が設けられ、
   前記第２突条部被覆部の少なくとも一方の端部に、当該端部から延び出すとともに前記係止部を係止可能な被係止部が設けられ、
   前記第１突条部被覆部および前記第２突条部被覆部は、前記係止部が前記被係止部に係止することにより、前記突条部を被覆可能な袋状に連結されているサイレンサの取り付け構造。
2. 前記係止部は、先端側が基端側から張り出して幅広とされた幅広部を有しており、前記被係止部は、前記幅広部より幅狭とされて前記幅広部を係止可能な孔状とされている請求項１に記載のサイレンサの取り付け構造。

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