JP2023172913A - 安定型糖化ヘモグロビンの測定方法、安定型糖化ヘモグロビンの測定装置及び安定型糖化ヘモグロビンの測定プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】分画できるようになったヘモグロビン成分を用いて安定型糖化ヘモグロビンの値を測定する際の高値化を回避した安定型糖化ヘモグロビンの測定方法を提供する。
【解決手段】血液中のヘモグロビンを分離して、安定型糖化ヘモグロビンに由来するヘモグロビンA1cピーク、ヘモグロビンAに由来する分画を含むヘモグロビンAピーク、及び前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークを取得し、前記ヘモグロビンA1cピークの面積値を、前記ヘモグロビンAピークの面積値に基づいて除算した値に対して、前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークの面積値に基づき低値化するよう補正演算することにより、前記安定型糖化ヘモグロビンの値を求める処理を実行する、安定型糖化ヘモグロビンの測定方法が提供される。
【選択図】図1
【解決手段】血液中のヘモグロビンを分離して、安定型糖化ヘモグロビンに由来するヘモグロビンA1cピーク、ヘモグロビンAに由来する分画を含むヘモグロビンAピーク、及び前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークを取得し、前記ヘモグロビンA1cピークの面積値を、前記ヘモグロビンAピークの面積値に基づいて除算した値に対して、前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークの面積値に基づき低値化するよう補正演算することにより、前記安定型糖化ヘモグロビンの値を求める処理を実行する、安定型糖化ヘモグロビンの測定方法が提供される。
【選択図】図1
Description
本開示は、安定型糖化ヘモグロビンの測定方法、安定型糖化ヘモグロビンの測定装置及び安定型糖化ヘモグロビンの測定プログラムに関する。
高速液体クロマトグラフィ(High Performance Liquid Chromatography:HPLC)法による血中のヘモグロビンの分析手法に関する技術が開示されている。そして、血中のヘモグロビン分析において、特にヘモグロビンA1c(HbA1c)は糖尿病検査のマーカーとして、血糖値(血中グルコース濃度値)と共に重要な項目であるため、ヘモグロビンの分析装置で測定できるようになっている。
特許文献1には、HPLC法によるヘモグロビン分析装置によってHbA1c等のヘモグロビンの成分を分画し、各成分のピークを取得できることが開示されている。このようなHPLC法によって成分を分画したものは、クロマトグラムと呼ばれ、特許文献1では、HbA0とHbA1c以外に変異ヘモグロビンであるHbS及びHbCを分離できることが開示されている。また、特許文献2には、安定型HbA1cを算出する技術が開示されている。特許文献1では、HbS、HbCが含まれる血液検体の場合、HbA0のピークと、それ以外のHbS、HbCのピークとを分離する分離条件としておけば、HbA1cの百分率(%)の算出において、HbA0ピークからHbA以外の変異ヘモグロビン成分を除き、より正確な安定型HbA1cを算出できることが述べられている。
特許文献3には、HPLC法ではないが、同様の陽イオン交換の原理に基づく動電クロマトグラフィ法によるキャピラリー電気泳動法を用いた血中のヘモグロビン分析方法が開示されている。このような電気泳動法によって成分を分画したものは、フェログラムと呼ばれ、血中のヘモグロビンの分画技術においては、HPLC法によるクロマトグラムと同じように扱うことができる。特許文献3では、得られたエレクトロフェログラムより、HbA1c等の各Hb成分の百分率(%)の値を算出するために、各Hb成分のピーク面積値を、全Hb成分のピーク面積値からHbA2のピーク面積値及びHbFのピーク面積値を除外したピーク面積値bで除する演算方法としたことが述べられている。
特許文献4には、HPLC法によるHbFの定量方法が開示されている。特許文献4では、HbFとHbA2の臨床的意義及びヘモグロビンにおける存在率が説明されている。特に、HbA2値は健常人で2%から3.5%と微量であり、サラセミア症患者で2%から7%という濃度範囲の定量が必要となることが示されている。
しかし、日本国内及び中国等では、サラセミア症の発症率が低いことから、HbA2に対する定量の需要も低く、かつ、健常人においてはHbA1c値への影響も小さい。その為、HbA1cの測定における処理速度を優先して、HPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置では、HbA2を分離させず、HbA0のピークと重複するように出力することが主流となっている。
日本国内及び中国等のHPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置では、HbA2を分画せず、HbA0とHbA2を重複するピークとして出力させるものが主流である。この背景は上述の通り、サラセミア症の発症率が低く、HbA2値は健常人では2%から3.5%程度と低く、また個人差も変動も小さく、クロマトグラムにおいてHbA0自体のピークの面積値に対してHbA2ピークの面積値の割合の程度が低いため、HbA2の値がどのような検体であってもクロマトグラム上におけるヘモグロビンAに由来する全面積値に含まれたものとして、HbA1c値を出力することで運用されてきたためである。
具体的には、上述の日本国内等で主流のHPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置では、例えば数式(A)のような数式を用いる。すなわち、HbA1c値(A1c%)は、演算において「A1c」で表される分子のクロマトグラム上で分画できるHbA1cピークの面積値に対して、「全Hb」で表されるクロマトグラム上で分画できるヘモグロビンに由来する分画ピークの面積値の総和(全面積値、すなわちクロマトグラムを積分した積分値)から「F」で表されるクロマトグラム上で分画できるHbFピークの面積値の測定値を減算したものを分母とし、除算している。すべてのヘモグロビンの測定値は、クロマトグラムにおけるすべてのヘモグロビン由来の成分に相当する面積値(積分値)であり、HbA2の成分も含むものである。HbFの測定値は、クロマトグラムにおけるHbFに相当する面積値(積分値)である。
また、上述の日本国内等で主流のHPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置の別の例として、変異ヘモグロビンは分離できるが、HbA2成分が分離出来ていない装置も流通されている。図5は、HbA2成分が分離出来ていないクロマトグラムの一例であり、図5に示したように、クロマトグラムにおいてHbA0のピークとHbA2のピークとが重複していた。このようなヘモグロビン分析装置では、具体的には、以下の数式(B)に基づいて、安定型糖化ヘモグロビンの値(A1c%)を求めていた。数式(B)において、「A1c」はクロマトグラム上で分画できるHbA1cピークの面積値であり、「全Hb」はクロマトグラム上で分画できるヘモグロビンに由来する分画ピークの面積値の総和(全面積値、すなわちクロマトグラムを積分した積分値)である。「F」はクロマトグラム上で分画できるHbFピークの面積値である。「その他Hb」はクロマトグラム上で分画できるHbS、HbCなどの変異ヘモグロビンのピークの面積値の総和である。すなわち、変異ヘモグロビンは分離できるが、HbA2成分が分離出来ていない装置は、演算において分子のHbA1cピークの面積値に対して、HbA2成分を含む面積値を分母の値とし、除算していた。
このように、HbA2の値がどのような検体であっても、数式(A)や数式(B)における「全Hb」項にHbA2ピークの面積値が含まれたものとして、HbA1c値を出力することで運用されてきた。
一方、世界的な人の流動が激しくなったことで、日本国内又は中国等においても外国人が病院を受診する機会が急速に増えている。さらに溶離液の種類又は送液方法、さらにカラムの工夫により、HPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置であっても、短時間でHbA2を分画できる装置が見出されてきた(特許文献5参照)。
これに応じ、特許文献2、3の手法では、HbA2及び変異ヘモグロビン成分を分画することができるようになるので、臨床的にはHbA1c値とは、HbA成分におけるHbA1c成分の比率であることを背景に、たとえば数式(C)のような数式を用いることができる。数式(C)において、「A1c」はクロマトグラム上で分画できるHbA1cピークの面積値、「全Hb」はクロマトグラム上で分画できるヘモグロビンに由来する分画ピークの面積値の総和(全面積値、すなわちクロマトグラムを積分した積分値)、「A2」はクロマトグラム上で分画できるA2ピークの面積値、「F」はクロマトグラム上で分画できるHbFピークの面積値、「その他Hb」はクロマトグラム上で分画できるHbS、HbCなどの変異ヘモグロビンのピークの面積値の総和である。すなわち、HbA成分は、HbF成分やHbA2成分、変異ヘモグロビンの成分を含まないため、分母では、「全Hb」から「F」、「A2」、及び「その他Hb」の差分を取っていた。すなわち、HbA1c値を得るための演算式である数式(C)は、分子のHbA1cピークの面積値に対して、分母ではHbA2ピークの面積値を含まない値を除算する。
しかしながら、日本国内等で主流のHPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置では、数式(A)や数式(B)によって、HbA1c値を算出してきたため、HbA2成分を含まない値が分母である数式(C)によってHbA1c値を算出する場合は、HbA2成分を含む値が分母である主流の場合と比べて、HbA1c値が高値化する。そのため、装置をリプレースした場合に、新旧の装置で演算方法に差があると、HbA1c値が高値化することで、高血糖又は高血糖の疑いと判定される患者が多くなり、病院などのユーザに対して混乱を発生させることになる。
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものであり、分画できるようになったヘモグロビン成分を用いて安定型糖化ヘモグロビンの値を測定する際の高値化を回避した安定型糖化ヘモグロビンの測定方法、安定型糖化ヘモグロビンの測定装置及び安定型糖化ヘモグロビンの測定プログラムを提供することを目的とする。
本開示の一態様は、プロセッサが、血液中のヘモグロビンを分離して、安定型糖化ヘモグロビンに由来するヘモグロビンA1cピーク、ヘモグロビンAに由来する分画を含むヘモグロビンAピーク、及び前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークを取得し、前記ヘモグロビンA1cピークの面積値を、前記ヘモグロビンAピークの面積値に基づいて除算した値に対して、前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークの面積値に基づき低値化するよう補正演算することにより、前記安定型糖化ヘモグロビンの値を求める処理を実行する、安定型糖化ヘモグロビンの測定方法を提供する。
本開示によれば、分画されたヘモグロビン成分を用いて安定型糖化ヘモグロビンの値を測定する際の高値化を回避した安定型糖化ヘモグロビンの測定方法、安定型糖化ヘモグロビンの測定装置及び安定型糖化ヘモグロビンの測定プログラムを提供することができる。
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本開示において、ヘモグロビンを略称としてHbと示すことがある。したがって、ヘモグロビンA1cはHbA1cと同じとなる。
図1は、高速液体クロマトグラフィ(High Performance Liquid Chromatography:HPLC)を利用したHPLC装置Xの概略構成を示す図である。
HPLC装置Xは、採血管11をセットして、全血中のグリコヘモグロビン(HbA1c)の濃度を自動で測定するように構成されたものである。このHPLC装置Xは、複数の溶離液ボトル12A、12B、12C(図1では3個)等を含む装置本体2を備えている。
各溶離液ボトル12A~12Cは、後述する分析カラム60に供給すべき溶離液A~Cを各々保持したものである。各溶離液は、用途に応じて例えば組成、成分比、pH、浸透圧等が異なる。
装置本体2は、試料調製ユニット5、分析ユニット6、及び測光ユニット7を有している。
採血管11は、例えば、ラック(図示せず)に収納され、後述する試料調製ユニット5におけるノズル51により採取可能な位置に移動するように構成されている。
試料調製ユニット5は、採血管11から採取した血液から、分析カラム60に導入する試料を調製するためのものである。この試料調製ユニット5は、ノズル51、及び希釈槽53を有している。
ノズル51は、採血管11の血液試料13をはじめとする各種の液体を採取するためのものであり、液体の吸引・吐出が可能であるとともに、上下方向及び水平方向に移動可能とされている。このノズル51の動作は、後述する制御部100によって制御される。
分析ユニット6は、分析カラム60の充填剤に対する生体成分の吸着・脱着をコントロールし、各種の生体成分を測光ユニット7に供するためのものである。分析ユニット6における設定温度は、例えば40℃程度とされる。分析カラム60は、試料中のヘモグロビンを選択的に吸着させるための充填剤を保持させたものである。充填剤としては、例えばメタクリル酸-メタクリル酸エステル共重合体が使用される。
分析ユニット6は、分析カラム60の他に、マニホールド61、送液ポンプ62、及びインジェクションバルブ63を有している。
マニホールド61は、複数の溶離液ボトル12A~12Cのうちの特定の溶離液ボトルから、分析カラム60に選択的に溶離液を供給させるためのものである。このマニホールド61は、配管80A~80Cを介して溶離液ボトル12A、12B、12Cに各々接続され、配管84を介してインジェクションバルブ63に接続されている。
送液ポンプ62は、溶離液をインジェクションバルブ63に移動させるための動力を付与するためのものであり、配管84の途中に設けられている。
HPLC装置Xは、複数種類の溶離液を分析カラム60に予め定めた順序で順次送液することにより血液試料13のHbA1c及び変異ヘモグロビンを測定する。複数種類の溶離液は、本実施形態ではA液~C液である。A液は、溶離液ボトル12Aに準備されており、HbA1cを溶出するため及び分析カラム60を平衡化するための溶離液である。B液は、溶離液ボトル12Bに準備されており、分析カラム60に残ったヘモグロビンを全て溶出するための溶離液、すなわち、分析カラム60を洗浄するための溶離液である。C液は、溶離液ボトル12Cに準備されており、HbA1cが溶出された後にHbA1c以外のヘモグロビンを溶出するための溶離液である。なお、ヘモグロビンの溶出力が高い順にB液、C液、A液となる。
インジェクションバルブ63は、一定量の試料を採取するとともに、その試料を分析カラム60に導入可能とするものであり、複数の導入ポート及び排出ポート(図示省略)を備えている。インジェクションバルブ63は、希釈層53と配管83で接続されている。このインジェクションバルブ63には、インジェクションループ64が接続されている。このインジェクションループ64は、一定量(例えば数μL)の液体を保持可能なものであり、インジェクションバルブ63を適宜切り替えることにより、インジェクションループ64が希釈槽53と連通して希釈槽53からインジェクションループ64に試料が供給される状態、インジェクションループ64がプレフィルターPF及び配管85を介して分析カラム60と連通してインジェクションループ64から試料が分析カラム60に導入される状態を選択することができる。このようなインジェクションバルブ63としては、例えば六方バルブを使用することができる。なお、プレフィルターPFは、試料や溶離液を濾過するためのフィルターである。
測光ユニット7は、分析カラム60から配管86を介して供給される溶離液に含まれるヘモグロビンを光学的に検出するためのものであり、配管87を介して、分析カラム60からの脱着液を排出するための廃液槽88に接続されている。測光ユニット7においては、脱着液に対して連続的に光が照射され、その受光結果(吸光度)が制御部100に出力される。そして、制御部100において受光結果に基づきクロマトグラムが演算される。
HPLC装置Xを用いた詳細なヘモグロビンの分離方法については、例えば特許文献1で開示されているため、ここでは詳細な説明は省略するが、分析カラム60にA液~C液を予め定めた順序及び時間で供給することでヘモグロビンを分離することができる。
図2は、HPLC装置Xの制御系のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、HPLC装置Xは、制御部100を備えている。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)100A、ROM(Read Only Memory)100B、RAM(Random Access Memory)100C、不揮発性メモリ100D、及び入出力インタフェース(I/O)100Eがバス100Fを介して各々接続された構成となっている。また、HPLC装置Xは、オペレータからの入力を受け付ける操作部(図示せず)を備えている。
CPU100Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU100Aは、ROM100Bまたは不揮発性メモリ100Dからプログラムを読み出し、RAM100Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU100Aは、ROM100Bまたは不揮発性メモリ100Dに記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM100Bまたは不揮発性メモリ100Dには、安定型糖化ヘモグロビンの量を測定する安定型糖化ヘモグロビンの測定プログラムが格納されている。
ROM100Bは、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM100Cは、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。不揮発性メモリ100Dは、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
I/O100Eには、試料調製ユニット5、分析ユニット6、及び測光ユニット7が接続されている。
上記の安定型糖化ヘモグロビンの測定プログラムを実行する際に、制御部100は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。次に、制御部100が実現する機能構成について説明する。
図3は、制御部100の機能構成の例を示すブロック図である。
図3に示すように、制御部100は、機能構成として、取得部101、測定部102及び提示部103を有する。各機能構成は、CPU100AがROM100Bまたは不揮発性メモリ100Dに記憶された安定型糖化ヘモグロビンの測定プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
取得部101は、試料調製ユニット5、分析ユニット6、及び測光ユニット7を制御してクロマトグラフィを実施する。そして、取得部101は、測光ユニット7が出力する光学測定値である吸光度を取得し、取得した吸光度と測定開始からの経過時間を用いてクロマトグラムを作成する。そして、取得部101は測光ユニット7が取得した受光結果に基づいたクロマトグラムからヘモグロビンの各成分のピークを取得する。
図4は、本実施形態に係るHPLC装置Xで得られるクロマトグラムの例を示す図である。クロマトグラムは、図4に示したように、測定を開始してからの経過時間と受光結果としての吸光度との関係を表すグラフである。このクロマトグラムのピークがどの位置に現れるかによって、どのヘモグロビンが検出されたかを知ることができると共に、ピーク部分(山なりの部分)における吸光度の積算値、すなわちピーク部分の面積の大きさによってヘモグロビンの濃度を知ることができる。
本実施形態に係るHPLC装置Xは、図4に示したように、HbA1成分、HbF成分、Hb#C(不安定型HbA1c)成分、HbA1c(安定型HbA1c)成分、HbA0成分、HbA2成分、その他Hbの成分のピークが現れるクロマトグラムを得ることができる。取得部101は、分析カラム60からの溶出液に含まれる血液中のヘモグロビンの分離結果、すなわちクロマトグラムから、安定型糖化ヘモグロビンに由来するHbA1cピーク、HbAに由来する分画を含むHbAピークとして、代表的にはHbA1ピーク、Hb#Cピーク、HbA1cピーク及びHbA0ピークを取得する。取得部101は、さらにヘモグロビンA以外に分画されるHb由来ピークとして、HbFピーク及びHbA2ピークを取得する。HbA1cピークは、本開示におけるヘモグロビンA1cピークに相当する。HbAピークは、本開示におけるヘモグロビンAピークに相当する。HbFピーク及びHbA2ピークは、本開示におけるヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークに相当する。つまり、HPLC装置Xは、血液試料に含まれるHbA0に由来するヘモグロビン、HbF、HbA2、その他Hbをそれぞれ分離可能な装置である。
取得部101は、さらに、分析カラム60からの溶出液に含まれる血液中の変異ヘモグロビン類のピーク(HbS成分、HbC成分等)に対応するHbピークを取得してもよい。変異ヘモグロビン類のピークに対応するHbピークは、本開示における変異ヘモグロビンピークに相当する。
測定部102は、取得部101が取得したクロマトグラムに基づきHbA1cピークの面積値、HbAピークの面積値、HbAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークの面積値を含む、それぞれのピークの面積値を演算する。演算方法は、公知の手法を採用することができ、一例として、HbA1cピークの面積値の場合には、取得部101が取得したクロマトグラムにおけるHbA1cピークに対応する領域の面積値、すなわち当該領域のクロマトグラムを積分した積分値を演算することによって、HbA1cピークの面積値を算出することができる。また、異なるピークが重なり合う場合には、測定部102は、取得部101が取得したクロマトグラムにおけるそれぞれのピークに対応する領域を推定し、所定の推定演算方法を用いて、それぞれのピークの面積値を演算する。推定演算方法は、公知の手法を採用することができる。そして、測定部102は、HbA1cピークの面積値を、HbAピークの面積値、及びHbAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークの面積値を加算した値に基づいて除算することで、安定型糖化ヘモグロビンの値(HbA1c値)を求める。ここで、ヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークは、HbA2ピークであり得る。また面積値は、相対値であってもよく、絶対値であってもよい。相対値は、クロマトグラムの面積の全体に対する比率であってもよいし、クロマトグラムに占めるヘモグロビンに関するピーク面積の全体に対する比率であってもよいし、あるいは、特定のピーク(例えば、HbA0ピーク)の面積に対する比率であってもよいし、ピークの高さに対応した値であってもよい。
測定部102は、具体的には、以下の数式(1)に基づいてA1c%で表される安定型糖化ヘモグロビンの値(HbA1c値)を求める。数式(1)は、本開示における第1演算式の一例である。数式(1)において、「A1c」はクロマトグラム上で分画できるHbA1cピークの面積値、「HbA」はクロマトグラム上で分画できるヘモグロビンAに由来する分画を含むヘモグロビンAピークの面積値の総和(すなわち、HbF、HbA2、変異ヘモグロビンの分画ピークの面積値を含まない)、「A2」はクロマトグラム上で分画できるHbA2ピークの面積値である。言い換えると「HbA」は、HbA1分画のピーク面積値、Hb#C分画のピーク面積値、HbA1c分画のピーク面積値、HbA由来の修飾Hb分画のピーク面積、及びHbA0分画のピーク面積値の総和である。
上記の数式(1)は、以下の数式(2)のようにも表現することができ、測定部102は、数式(2)に基づいて「A1c%」で表される安定型糖化ヘモグロビンの値(HbA1c値)を求めてもよい。数式(2)も、本開示における第1演算式の一例である。数式(2)において、「A1c」はクロマトグラム上で分画できるHbA1cピークの面積値、「全Hb」はクロマトグラム上で分画できるヘモグロビンに由来する分画ピークの面積値の総和(全面積値、すなわちクロマトグラムを積分した積分値)、「F」はクロマトグラム上で分画できるHbFピークの面積値、「その他Hb」はクロマトグラム上で分画できるHbS、HbCなどの変異ヘモグロビンのピークの面積値の総和である。ここで、本開示におけるヘモグロビンAに由来する分画を含むヘモグロビンAピークの面積値の総和は、数式(2)の分母の「(全Hb)-(F+その他Hb)」からクロマトグラム上で分画できるHbA2ピークの面積値である数式(1)の「A2」を減算した値に対応する。
提示部103は、測定部102が数式(1)または数式(2)で算出したHbA1c値を提示する。提示部103は、HbA1c値を提示する際に、HbA1c値が所定の閾値を上回っていれば、高血糖である、または高血糖の疑いがあると併せて提示してもよい。なおHPLC装置Xは、提示部103がHbA1c値を提示するためにディスプレイのような表示ユニットを備えてよい(図示せず)。
ここで、上述のとおり、HbA2成分や変異ヘモグロビンが分離出来ていない、HPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置では、HbA1c値は上記数式(A)のように求められていた。変異ヘモグロビンの一部が分離出来るが、HbA2成分を分離出来ていない、HPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置では、HbA1c値は上記数式(B)のように求められていた。
なお、数式(B)と数式(2)とは同じ数式であるが、数式(2)の「全Hb」は、クロマトグラム上でHbA2ピークを分画できるので、分画したHbA2ピークの面積値を加算する演算を行って求められた値であるのに対し、数式(B)の「全Hb」は、クロマトグラム上でHbA2ピークを分画できないので、HbA2ピークを含まれるものと見なしたHbA0ピークをそのまま使用して演算を行って求められた値である点で、「全Hb」の値の由来となった成分が相違している。
ここで、上述のとおり、HbA2成分及び変異ヘモグロビン成分を分画できるようになると、例えば特許文献2、3で開示されている手法のように、HbA1c値を以下の数式(3)に基づいて算出できている。なお、数式(3)は上述の数式(C)と同じ演算式であり、各項の値における由来となった成分も同じである。
他方、日本国内等で主流の従来のHPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置では、数式(B)の通り、HbA1c値は分母の「全Hb」項にHbA2成分に対応するピークの面積値を含んでおり、演算において分子のHbA1c成分である「A1c」に対して、分母のHbA2成分を含む値を除算していた。一方、数式(3)で求めることができるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置の場合、HbA1c値は、「全Hb」項にはHbA2成分に対応するピークの面積値が含まれており、またHbA2成分をクロマトグラムに分画することができるようになるので、「全Hb」項からHbA2成分に対応するピーク面積値の差分を取ることができる。すなわち、数式(3)は、HbA1c値を得るための演算において、分子のHbA1c成分である「A1c」に対して、分母からHbA2成分を含まない値を除算するものである。臨床的には数式(3)で求められたHbA1c値が、数式(B)で求められたHbA1c値より正確である。
このように、数式(B)と数式(3)とを比較すると、数式(B)では分母にHbA2成分に対応するピークの面積値が含まれている一方で、数式(3)では分母からHbA2成分に対応するピークの面積値が含まれていない。すなわち、同じクロマトグラムの分画に基づくピークの面積値を使用し、数式(B)と数式(3)とに基づき算出したHbA1c値を比較すると、数式(3)で算出したHbA1c値の方が高く出る(高値化する)ことになる。そのため、数式(B)で求める装置から数式(3)で求める装置へリプレースした場合に、HbA1c値が高値化することで、高血糖又は高血糖の疑いと判定される患者が多くなり、病院などのユーザに対して混乱を発生させることになる。
そこで本実施形態に係る測定部102は、数式(1)又は数式(2)によりHbA1c値を算出する。すなわち、測定部102が算出するHbA1c値は、分母に検体中のHbA2の濃度に基づくクロマトグラムにおける面積値である、クロマトグラム上で分画できるHbA2ピークの面積値を含んだものとなっている。そのため、本実施形態に係るHPLC装置Xは、数式(3)によりHbA1c値を算出した場合と比較して、HbA1c値を低く算出することになる。従って、本実施形態に係るHPLC装置Xは、数式(B)で求める装置からリプレースした場合にHbA1c値が高値化してユーザに提示することを回避できる。つまり、日本国内等で主流の従来のHPLC法によるHbA1c値測定用のヘモグロビン分析装置によって算出したHbA1c値と、数式(1)又は数式(2)により算出したHbA1c値とは、同程度であるため、ユーザに対して混乱を発生することを防止することができる。
なお、測定部102は、クロマトグラム上で分画できるHbA1cピークの面積値を、クロマトグラム上で分画できるヘモグロビンに由来する分画ピークの面積値の総和(全面積値、すなわちクロマトグラムを積分した積分値)からHbFピークの面積値、HbA2ピークの面積値及び異常Hbピークの面積値を減算した値を除算することで安定型糖化ヘモグロビンの値(HbA1c値)を求めてもよい。具体的には、測定部102は、上記数式(3)に基づいて安定型糖化ヘモグロビンの値を求めてもよい。数式(3)は、本開示における第2演算式の一例である。
また、測定部102は、数式(1)で求めた安定型糖化ヘモグロビンの値(HbA1c値)、又は、数式(3)で求めた安定型糖化ヘモグロビンの値(HbA1c値)の少なくともいずれか一方の値で、安定型糖化ヘモグロビンの値を測定してもよい。そして提示部103は、測定部102が数式(1)又は数式(3)のいずれか、もしくは数式(1)及び数式(3)で求めた安定型糖化ヘモグロビンの値を提示してもよい。提示部103は、安定型糖化ヘモグロビンの値を提示する際に、数式(1)で求めた値を提示する場合は従来型の測定結果である旨を併せて提示し、数式(3)で求めた値を提示する場合は新規型の測定結果である旨を併せて提示してもよい。数式(3)で求めた値は、数式(1)で求めた値より高くなるので、提示部103は、数式(1)で求めた値を提示する場合と、数式(3)で求めた値を提示する場合とで、高血糖である、または高血糖の疑いがあると判定するための閾値を変化させてもよい。
測定部102は、HbA2成分に対応するピークの面積値に基づき、HbA2の値(HbA2値)を算出することもでき、提示部103は、測定部102が測定したHbA2値に応じて、所定の症状、例えばサラセミア症の疑いがあることを警告する提示を行ってもよい。例えば、HbA2の量が4%以上の場合、数式(3)ではHbA1c値が低値化し、数式(1)と比べて高値化することになるため、提示部103はサラセミア症の疑いがあることを警告する提示を行ってもよい。
別のHbA1c値の測定方法を示す。測定部102は、以下の数式(1’)に基づいてA1c%で表される安定型糖化ヘモグロビンの値(HbA1c値)を求めてもよい。数式(1’)において、「A1c」はクロマトグラム上で分画できるHbA1cピークの面積値、「HbA」はクロマトグラム上で分画できるヘモグロビンAに由来する分画を含むヘモグロビンAピークの面積値の総和(すなわち、HbF、HbA2、変異ヘモグロビンの分画ピークの面積値を含まない)、「α」はA2のピーク面積値(A2値)に基づく係数である。なお、係数αは0より大きく1より小さい。
上記の数式(1’)は、以下の数式(2’)のようにも表現することができ、測定部102は、数式(2’)に基づいて「A1c%」で表される安定型糖化ヘモグロビンの値(HbA1c値)を求めてもよい。数式(2’)において、「A1c」はクロマトグラム上で分画できるHbA1cピークの面積値、「全Hb」はクロマトグラム上で分画できるヘモグロビンに由来する分画ピークの面積値の総和(全面積値、すなわちクロマトグラムを積分した積分値)、「β」はヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピーク面積値に基づく係数である。なお、係数βは1より大きい。
A2のピーク面積値と、上記数式(1’)の係数α及び数式(2’)の係数βとの相関関係は、比例関数又はマトリクス表で定められており、上記数式(1’)の係数α及び数式(2’)の係数βが求められるような、慣用的な方法が例示できる。
数式(1)と数式(3)とでHbA1c値を測定することで、両者にどの程度差が発生するのか、および、健常人の場合と、HbA2値が高いサラセミア患者の場合でどの程度差が発生するのかを示す。
ここでは健常人のHbA2値を3.5%、サラセミア患者のHbA2値を7%とする。健常人の場合、HbA1c値が数式(1)(「HbA2」項を分母に含む数式)において5.5%のときは、数式(3)(「HbA2」項を分母に含まない数式)を用いると、HbA1c値は5.7%(+0.2%)となる。サラセミア患者の場合、HbA1c値が数式(1)において5.5%のときは、数式(3)を用いてHbA2を排除すると、HbA1c値は5.9%(+0.4%)となる。
このように、数式(1)と数式(3)では、求められるHbA1c値は数式(1)の方が高値化するが、HbA2値の高いサラセミア患者では、健常者と比較し、数式(1)で算出したHbA1c値から、数式(3)で算出したHbA1c値との間の差分値が大きくなる。従って、測定部102がHbA2値を算出し、HbA2値が所定の閾値以上であった場合、提示部103は、数式(1)を用いた演算結果と、数式(3)を用いた演算結果との差分を用いて情報の提示、例えば、サラセミア症の疑いがあることを警告する提示を行ってもよい。
次に、制御部100の作用について説明する。
図6は、制御部100による安定型糖化ヘモグロビンの測定処理の流れを示すフローチャートである。CPU100AがROM100B又は不揮発性メモリ100Dから安定型糖化ヘモグロビンの測定プログラムを読み出して、RAM100Cに展開して実行することにより、安定型糖化ヘモグロビンの測定処理が行なわれる。
CPU100Aは、ステップS101において、測光ユニット7が取得した受光結果に基づいたクロマトグラムを取得する。
CPU100Aは、続いてステップS102において、測光ユニット7が取得した受光結果に基づいたクロマトグラムから、HbA1c由来のピークを取得する。
CPU100Aは、続いてステップS103において、測光ユニット7が取得した受光結果に基づいたクロマトグラムから、HbA由来のピークを取得する。ここで、HbA由来のピークには、HbA1分画のピーク、Hb#C分画のピーク、HbA1c分画のピーク、及びHbA0分画のピークが含まれる。
CPU100Aは、続いてステップS104において、測光ユニット7が取得した受光結果に基づいたクロマトグラムから、HbA由来のピークより後に分画されるヘモグロビン由来ピーク、例えばHbA2由来のピークを取得する。
CPU100Aは、続いてステップS105において、上記ステップS102~S104において取得したピークの面積値を演算する。
CPU100Aは、続いてステップS106において、上記ステップS105において演算した各ピークの面積値を用いて、上記数式(1)に基づいてHbA1c値を算出する。CPU100Aは、HbA1c値を算出する際に、上記数式(1)を用いての算出に加えて、上記数式(3)を用いての算出を行ってもよい。
CPU100Aは、続いてステップS107において、上記ステップS106において算出したHbA1c値を提示する。CPU100Aは、上記数式(1)を用いての算出に加えて、上記数式(3)を用いての算出を行った場合、上記数式(1)を用いて算出したHbA1c値に加え、数式(3)を用いて算出したHbA1c値を提示してもよい。
制御部100が一連の処理を実行することで、本実施形態に係るHPLC装置Xは、分画できるようになったヘモグロビン成分(例えばHbA2成分)を用いて安定型糖化ヘモグロビンの値を測定する際の高値化を回避することができる。
本実施形態では、高速液体クロマトグラフィ(High Performance Liquid Chromatography:HPLC)を利用してヘモグロビン、特にヘモグロビンAピークより後に分画されるヘモグロビン、例えばヘモグロビンA2を分離していたが、本開示は、ヘモグロビンAピークより後に分画されるヘモグロビン、例えばヘモグロビンA2を分離できる手法であれば、分離手法の内容は問わない。具体的には、特許文献3に記載されており、陽イオン交換の原理に基づく動電クロマトグラフィ法によるキャピラリー電気泳動を用いた血中のヘモグロビン分析方法であってもよい。
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した安定型糖化ヘモグロビンの測定処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、安定型糖化ヘモグロビンの測定処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、安定型糖化ヘモグロビンの測定処理のプログラムがROMまたは不揮発性メモリに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これら各種の変更例または修正例についても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上記実施形態において記載された効果は、説明的又は例示的なものであり、上記実施形態において記載されたものに限定されない。つまり、本開示に係る技術は、上記実施形態において記載された効果とともに、又は上記実施形態において記載された効果に代えて、上記実施形態における記載から、本開示の技術分野における通常の知識を有する者には明らかな他の効果を奏しうる。
X HPLC装置
5 試料調製ユニット
6 分析ユニット
7 測光ユニット
11 採血管
13 血液試料
60 分析カラム
100 制御部
5 試料調製ユニット
6 分析ユニット
7 測光ユニット
11 採血管
13 血液試料
60 分析カラム
100 制御部
Claims (10)
- プロセッサが、
血液中のヘモグロビンを分離して、安定型糖化ヘモグロビンに由来するヘモグロビンA1cピーク、ヘモグロビンAに由来する分画を含むヘモグロビンAピーク、及び前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークを取得し、
前記ヘモグロビンA1cピークの面積値を、前記ヘモグロビンAピークの面積値に基づいて除算した値に対して、前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークの面積値に基づき低値化するよう補正演算することにより、前記安定型糖化ヘモグロビンの値を求める、
処理を実行する、安定型糖化ヘモグロビンの測定方法。 - 前記プロセッサは、前記ヘモグロビンA1cピークの面積値を、前記ヘモグロビンAピークの面積値、及び前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークの面積値を加算した値に基づいて除算した第1演算式により前記安定型糖化ヘモグロビンの値を求める、
処理を実行する、請求項1に記載の安定型糖化ヘモグロビンの測定方法。 - 前記プロセッサは、さらに、ヘモグロビンFに由来する分画を含むヘモグロビンFピーク及び変異ヘモグロビン類のピークに対応する変異ヘモグロビンピークを取得し、
前記ヘモグロビンAピークの面積値は、ヘモグロビンに由来するピークの全面積値から、前記ヘモグロビンFピークの面積値、及び前記変異ヘモグロビンピークの面積値を減算した値である、請求項2に記載の安定型糖化ヘモグロビンの測定方法。 - 前記選択されたピークは、ヘモグロビンA2ピークである、請求項1に記載の安定型糖化ヘモグロビンの測定方法。
- 前記プロセッサは、さらに、ヘモグロビンFに由来する分画を含むヘモグロビンFピーク及び変異ヘモグロビン類のピークに対応する変異ヘモグロビンピークを取得し、
前記ヘモグロビンA1cピークの面積値を、ヘモグロビンに由来するピークの全面積値から、前記ヘモグロビンFピークの面積値、前記選択されたピークの面積値、及び前記変異ヘモグロビンピークの面積値を減算した第2演算式により前記安定型糖化ヘモグロビンの値を求める処理を実行する、請求項2に記載の安定型糖化ヘモグロビンの測定方法。 - 前記プロセッサは、
前記第1演算式により求めた前記安定型糖化ヘモグロビンの値、又は、前記第2演算式により求めた前記安定型糖化ヘモグロビンの値の少なくともいずれかを提示する処理を実行する、請求項5に記載の安定型糖化ヘモグロビンの測定方法。 - 前記プロセッサは、前記選択されたピークに対応するヘモグロビンの値を定量し、
前記定量したヘモグロビンの値が所定の閾値以上の場合に、前記第1演算式により求めた前記安定型糖化ヘモグロビンの値と前記第2演算式により求めた前記安定型糖化ヘモグロビンの値との差分に基づいた情報の提示を行う処理を実行する、請求項5に記載の安定型糖化ヘモグロビンの測定方法。 - 前記プロセッサは、前記ヘモグロビンA1cピーク、前記ヘモグロビンAピーク、及び前記ヘモグロビン由来ピークをそれぞれ分離可能な液体クロマトグラフィを用いて、前記血液中のヘモグロビンを分離する処理を実行する、請求項1に記載の安定型糖化ヘモグロビンの測定方法。
- 血液中のヘモグロビンを分離して、安定型糖化ヘモグロビンに由来するヘモグロビンA1cピーク、ヘモグロビンAに由来する分画を含むヘモグロビンAピーク、及び前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークを取得する取得部と、
前記ヘモグロビンA1cピークの面積値を、前記ヘモグロビンAピークの面積値に基づいて除算した値に対して、前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークの面積値に基づき低値化するよう補正演算することにより、前記安定型糖化ヘモグロビンの値を求める測定部と、
を備える、安定型糖化ヘモグロビンの測定装置。 - コンピュータに、
血液中のヘモグロビンを分離して、安定型糖化ヘモグロビンに由来するヘモグロビンA1cピーク、ヘモグロビンAに由来する分画を含むヘモグロビンAピーク、及び前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークを取得し、
前記ヘモグロビンA1cピークの面積値を、前記ヘモグロビンAピークの面積値に基づいて除算した値に対して、前記ヘモグロビンAピーク以外に分画されるヘモグロビン由来ピークの内選択されたピークの面積値に基づき低値化するよう補正演算することにより、前記安定型糖化ヘモグロビンの値を求める、
処理を実行させる、安定型糖化ヘモグロビンの測定プログラム。
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