JP2023172360A - 液晶性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異物混入を抑制しかつ収率良く液晶性樹脂を製造することができる液晶性樹脂の製造方法を提供する。【解決手段】液晶性樹脂の製造方法であり、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上を含む原料モノマーを、反応容器内で溶融重縮合反応させることを含み、溶融重縮合反応させることが、液晶性樹脂の融点をTm2としたとき、原料モノマーを、最終重合温度がTm2~(Tm2+30)℃の範囲内で溶融重縮合反応させ、かつ溶融重縮合反応中の反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度を、(Tm2-100)~(Tm2-5)℃の範囲内にすること、を含む、液晶性樹脂の製造方法とする。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶性樹脂の製造方法に関する。
液晶性樹脂は、優れた機械的強度、耐熱性、耐薬品性、電気的性質等をバランス良く有し、優れた寸法安定性も有するため高機能エンジニアリングプラスチックとして広く利用されている。液晶性樹脂の製造方法として、原料モノマーを必要に応じてアシル化した後に溶融重縮合する方法が知られている。バッチ式連続重合により製造する場合は、重合容器内に付着したモノマーの昇華物が熱履歴を受けることにより正常のポリマーよりも高温の融点を有する異物になり、重合終了後に重合容器からポリマーを排出する際にポリマー中に混入することがある。
特許文献1には、芳香族ポリマーをバッチ式で製造する際に、重縮合反応時に反応空間に接する反応装置部分の温度を150~300℃に保つことが記載されている。特許文献2には、反応缶液面およびそれより上の反応液面付近に位置する部分の温度を70℃~200℃の範囲にコントロールしながら重縮合を行うことが記載されている。
国際公開第2003/062299号 特開平10-7781号公報
重合容器の反応液面よりも上部に存在する空間に接する領域の温度を低くすることにより、ポリマーへの異物の混入を防ぐことができる。一方、反応液面よりも上部に存在する空間に接する領域の温度を低くすると、たとえ最終重合温度を適温とした場合であっても、得られる液晶性樹脂の収率が低下してしまう傾向にある。すなわち、異物混入の抑制と収率の向上とはトレードオフの関係にある。
本発明は、異物混入を抑制しかつ収率良く液晶性樹脂を製造することができる液晶性樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
[1]液晶性樹脂の製造方法であり、
芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上を含む原料モノマーを、反応容器内で溶融重縮合反応させることを含み、
溶融重縮合反応させることが、液晶性樹脂の融点をTm2としたとき、
原料モノマーを、最終重合温度がTm2~(Tm2+30)℃の範囲内で溶融重縮合反応させ、かつ溶融重縮合反応中の反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度を、(Tm2-100)~(Tm2-5)℃の範囲内にすることを含む、液晶性樹脂の製造方法。
[2]原料モノマーが、
芳香族又は脂環族ジカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上と、
芳香族又は脂環族ジオール、芳香族又は脂環族ヒドロキシアミン、芳香族又は脂環族ジアミン、及びこれらの重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上と、
をさらに含む、[1]に記載の液晶性樹脂の製造方法。
[3]溶融重縮合反応中の反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度を、(Tm2-40)~(Tm2-5)℃の範囲内にすることを含む、[1]又は[2]に記載の液晶性樹脂の製造方法。
[4]溶融重縮合反応させることの前に、原料モノマーを、脂肪酸無水物によりアシル化させることをさらに含む、[1]から[3]のいずれかに記載の液晶性樹脂の製造方法。
[5]反応容器が、撹拌機、還流カラム、原料モノマー供給口、減圧ライン及び流出ラインを含む、[1]から[4]のいずれかに記載の液晶性樹脂の製造方法。
[6]溶融重縮合反応させることが、脂肪酸を留去しながら溶融重縮合反応させることを含み、
留去した脂肪酸の少なくとも一部を重合容器に還流させる、[1]から[5]のいずれかに記載の液晶性樹脂の製造方法。
本発明によれば、異物混入を抑制しかつ収率良く液晶性樹脂を製造することができる液晶性樹脂の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る液晶性樹脂の製造方法において使用可能な重合装置の一例を示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はここで説明する一実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができる。また、特定のパラメータについて、複数の上限値及び下限値が記載されている場合、これらの上限値及び下限値の内、任意の上限値と下限値とを組合せて好適な数値範囲とすることができる。一実施形態について記載した特定の説明が他の実施形態についても当てはまる場合には、他の実施形態においてはその説明を省略している場合がある。
[液晶性樹脂の製造方法]
本実施形態に係る液晶性樹脂の製造方法は、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上を含む原料モノマーを、反応容器内で溶融重縮合反応させることを含む。
一実施形態において、液晶性樹脂の製造方法は、液晶性ポリエステル及び/又は液晶性ポリエステルアミドの製造方法であり得る。一実施形態において、液晶性樹脂の製造方法は、全芳香族ポリエステル及び/又は全芳香族ポリエステルアミドの製造方法であり得る。一実施形態において、得られる液晶性樹脂は全芳香族ポリエステル及び全芳香族ポリエステルアミドからなる群より選ばれる1以上を含むことが好ましい。
(原料モノマー)
原料モノマーは、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選ばれる1以上の化合物を含む。本開示において、「重合可能な誘導体」とは、分子構造の一部が変化した化合物のうち溶融重合により重合され得る化合物のことを意味している。例えば、アシル化剤によりフェノール性水酸基及び/又はアミノ基をアシル化したアシル化物、カルボキシル基をハロゲン化剤によりハロゲン化した酸ハライド、酸無水物、アルキルエステル(炭素数1~4程度)等が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体としては、特に限定されず、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸(HBA)、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA)、3-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸、6-ヒドロキシ-4-ナフトエ酸、4-ヒドロキシ-4’-カルボキシジフェニルエーテル、2,6-ジクロロ-p-ヒドロキシ安息香酸、2-クロロ-p-ヒドロキシ安息香酸、2,6-ジメチル-p-ヒドロキシ安息香酸、2,6-ジフルオロ-p-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸、バニリン酸等を挙げることができる。これらから選択される少なくとも1種の化合物を用いることができる。中でも、入手の容易さの点で、4-ヒドロキシ安息香酸及び6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
原料モノマーは、さらに、以下の(1)又は(2)を満たすことが好ましい。
(1)芳香族又は脂環族ジカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む、又は、
(2)芳香族又は脂環族ジカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、芳香族又は脂環族ジオール、芳香族又は脂環族ヒドロキシアミン、芳香族又は脂環族ジアミン、及びこれらの重合可能な誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む。
原料モノマーが芳香族又は脂環族ジカルボン酸及び/又は芳香族又は脂環族ジオールを含む場合は、原料モノマーの昇華物が生成されやすく、異物混入の原因となりやすい。本実施形態に係る液晶性樹脂の製造方法によれば、原料モノマーが芳香族又は脂環族ジカルボン酸及び/又は芳香族又は脂環族ジオールを含む場合であっても、異物の混入を抑制することができ、かつ収率良く液晶性樹脂を製造することができる。
一実施形態において、原料モノマーは、芳香族又は脂環族ジカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上と、芳香族又は脂環族ジオール、芳香族又は脂環族ヒドロキシアミン、芳香族又は脂環族ジアミン、及びこれらの重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上と、をさらに含むことができる。
芳香族ジカルボン酸としては、特に限定されず、例えば、テレフタル酸(TA)、イソフタル酸(IA)、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、及び下記一般式(I)で表される化合物等を挙げることができる。
一般式(I):
Figure 2023172360000001
(Y:-(CH-(n=1~4)及び-O(CHO-(n=1~4)より選ばれる基である。)
脂環族ジカルボン酸としては、特に限定されず、例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等を挙げることができる。重合可能な誘導体としては、特に限定されず、例えば、上記化合物のアルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等を挙げることができる。
芳香族ジオールとしては、特に限定されず、例えば、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP)、ハイドロキノン、レゾルシン、下記一般式(II)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される化合物等を挙げることができる。
一般式(II):
Figure 2023172360000002
(X:アルキレン(C~C)、アルキリデン、-O-、-SO-、-SO-、-S-、及び-CO-より選ばれる基である。)
一般式(III):
Figure 2023172360000003
脂環族ジオールとしては、特に限定されず、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール等を挙げることができる。重合可能な誘導体としては、特に限定されず、上記化合物のアルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等を挙げることができる。
芳香族ヒドロキシアミンとしては、特に限定されず、例えば、4-アミノフェノール、3-アミノフェノール等、N-アセチル-p-アミノフェノール(APAP)を挙げることができる。脂環族ヒドロキシアミンとしては、特に限定されず、例えば、4-アミノシクロヘキサノール、3-アミノシクロペンタノール等を挙げることができる。重合可能な誘導体としては、特に限定されず、上記化合物のアルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等を挙げることができる。
芳香族ジアミンとしては、1,4-フェニレンジアミン等を挙げることができる。脂環族ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロペンタンジアミン等を挙げることができる。重合可能な誘導体としては、特に限定されず、上記化合物のアルキルエステル(炭素数1~4程度)、ハロゲン化物等を挙げることができる。
原料モノマーの具体的な組み合わせとしては、例えば、
(I)(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む(好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物のみからなる);及び、
(II)(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(b)芳香族若しくは脂環族ジカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(c)芳香族若しくは脂環族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの重合可能な誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む(好ましくは、上記化合物(a)と化合物(b)と化合物(c)とのみからなる);
から選ばれる組み合わせとすることができる。さらに上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
(重縮合反応工程)
重縮合反応工程では、原料モノマーを、反応容器内で溶融重縮合反応(以下、単に「重縮合反応」ともいう)させる。
本実施形態に係る液晶性樹脂の製造方法は、溶融重縮合反応工程が、液晶性樹脂の融点をTm2としたとき、
原料モノマーを、最終重合温度がTm2~(Tm2+30)℃の範囲内で溶融重縮合反応させ、かつ溶融重縮合反応中の反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度を、(Tm2-100)~(Tm2-5)℃の範囲内にすることを含むことを特徴とする。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上を含む原料モノマーを溶融重縮合反応させることにより液晶性樹脂を製造する方法において、最終重合温度と、溶融重縮合反応中の反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度とを上記の範囲にすることによって、異物混入の抑制効果と収率の向上効果とを両立することができる。
最終重合温度がTm2(℃)未満であると、得られる液晶性樹脂の収率が低下する。最終重合温度が(Tm2+30)℃を超えると、分岐反応等の副反応が起こりやすくなり好ましくない。
反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度が、(Tm2-100)℃未満であると、たとえ最終重合温度を適温とした場合であっても、得られる液晶性樹脂の収率が低下する。反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度が(Tm2-5)℃を超えると、ポリマーに異物が混入しやすい。
「液晶性樹脂の融点Tm2」は、溶融重縮合工程において得られる液晶性樹脂の、示差走査熱量計で測定される融点Tm2を意味している。融点Tm2は、JIS K-7121(1999)に基づいた方法により、室温から20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)した際に観測される吸熱ピークにおけるピークトップの温度(融点Tm1)の測定後、(融点Tm1+40)℃で2分間保持し、次いで20℃/分の降温速度で室温まで冷却し、再度室温から20℃/分の昇温速度で加熱(2ndRUN)した際に観測される2ndRUNの吸熱ピークにおけるピークトップの温度とする。
「最終重合温度」とは、重縮合反応時の反応液の最終到達温度のことを意味する。最終重合温度は、反応容器に設置された温度管理装置が備える温度計が示す温度とする。
「反応液面よりも上の空間」は、溶融重縮合反応が行われる反応容器の内部空間において、反応液面よりも上に位置する空間のことを意味する。一実施形態において、反応液面よりも上の空間は、密閉空間であり得る。一実施形態において、反応液面よりも上の空間は、反応容器の側面、反応容器の上蓋、及び反応液面に取り囲まれた空間であり得る。
「反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域」は、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する反応容器の側面及び上面を含む。加えて、反応容器が、上蓋、還流カラム、減圧ライン及び流出ライン等を備える場合であって、かつそれらの部材が反応容器内の反応空間において溶融重縮合反応の際に反応液面よりも上にある空間に接している場合は、それらの部材の当該領域を含み得る。反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度は、当該領域の外部に設置された温度管理装置が備える温度計が示す温度とする。
重縮合反応の最終重合温度は、液晶性樹脂の融点をTm2としたとき、Tm2~(Tm2+30)℃の範囲内であり、好ましくはTm2~(Tm2+20)℃の範囲内であり、より好ましくは(Tm2+5)~(Tm2+20)℃の範囲内であり、さらに好ましくは(Tm2+5)~(Tm2+15)℃の範囲内である。
溶融重縮合反応中の反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度は、液晶性樹脂の融点をTm2としたとき、(Tm2-100)~(Tm2-5)℃の範囲内であり、好ましくは(Tm2-90)~(Tm2-8)℃の範囲内であり、より好ましくは(Tm2-80)~(Tm2-9)℃の範囲内であり、さらに好ましくは(Tm2-75)~(Tm2-10)℃の範囲内である。
一実施形態において、反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度は、(Tm2-40)~(Tm2-5)℃の範囲内であることが特に好ましい。
最終重合温度をTm2~(Tm2+30)℃の範囲内にし、かつ反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の部材の温度を(Tm2-100)~(Tm2-5)℃の範囲にする調整方法としては、反応容器の上部と下部とで温度管理装置(バンドヒーターやジャケットヒーター等の加熱又は冷却手段)を分けて設け、別個に温度管理を行う方法が挙げられる。
一実施形態において、反応容器の下部を、反応液が最終重合温度となるようにバンドヒーターやジャケットヒーター(第1の加熱手段)で加熱し、反応容器の上側部分及び/又は上蓋や還流カラム等の反応容器の上に位置する部材を、バンドヒーターやジャケットヒーター等(第2の加熱又は冷却手段)により加熱又は冷却したりする方法が挙げられる。
溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度を管理する温度管理装置(第2の加熱又は冷却手段)は、温度制御が容易となる観点から、好ましくはバンドヒーターが使用される。
重縮合反応に際しては、反応を促進させる観点から、触媒を使用することができる。触媒としては、例えば、金属塩系触媒及び有機化合物系触媒等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種の触媒を用いることが好ましい。金属塩系触媒としては、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン等を挙げることができる。有機化合物系触媒としては、N-メチルイミダゾール、4-ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。
触媒の使用量は、一般には原料モノマーの総量に対して、0.001~1質量%であることが好ましく、0.005~0.5質量%であることがより好ましい。
重縮合反応は、芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上を含む原料モノマーを、重合装置が有する反応容器内で所定の最終重合温度になるまで任意の昇温速度で昇温させた後、好ましくは反応系内圧力を減圧して(好ましくは200~5Torr、より好ましくは50~5Torr)、好ましくは重縮合反応時に発生する酢酸等の脂肪酸を留去させながら行う。通常、昇温開始と同時に撹拌を開始する。重合装置は、連続的に重合を行えるよう、バッチ式重合装置であることが好ましい。
反応容器は、撹拌装置、温度管理装置及び圧力管理装置を備えていることが好ましい。温度管理装置としては、バンドヒーターやジャケットヒーター等の加熱又は冷却手段と温度測定のための温度計が挙げられる。圧力管理装置としては、真空ポンプ、エジェクタなどと圧力測定のための圧力計が挙げられる。
反応容器は、上蓋を有していることが好ましい。この場合、上蓋の外周面と反応容器の外周面とで別個に加熱又は冷却手段が設けられていてもよい。反応容器は、原料モノマー供給口及び/又はポリマー排出口を有することが好ましい。反応容器は、窒素等の不活性ガス導入口を有していることが好ましい。
一実施形態において、反応容器は、撹拌機、還流カラム、原料モノマー供給口、減圧ライン及び流出ラインを有していることが好ましい。
減圧ライン及び流出ラインは、反応容器内を減圧にして、重縮合反応時に発生する酢酸等の脂肪酸を留去させるためのラインである。これにより、溶融重縮合反応工程において発生する酢酸等の脂肪酸を留去しながら溶融重縮合反応させることができる。
還流カラムは、上記により留去された脂肪酸の少なくとも一部を反応容器に還流させるラインである。留去した脂肪酸の少なくとも一部を反応容器に還流させることにより、ポリマーへの異物混入をより少なくすることができる。
一実施形態において、溶融重縮合工程は、溶融重縮合反応により発生する脂肪酸を留去しながら溶融重縮合反応させることを含み、留去した脂肪酸の少なくとも一部を反応容器に還流させることを含むことができる。
上記したように、留去した脂肪酸の少なくとも一部を反応容器に還流させることにより、ポリマーへの異物混入をより少なくすることができる。これに対して、特許文献1では、還流液が反応槽の内壁を伝わって流下すると異物の原因となり得るとされている。本実施形態に係る液晶性樹脂の製造方法では、還流液が反応容器の内壁を伝わって流下する場合であっても、むしろポリマーへの異物混入をより少なくすることができる。おそらく、最終重合温度及び溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度をいずれも所定の範囲に調整することにより、還流液が異物の原因となることを防ぐことができると考えられる。
図1に、本実施形態に係る液晶性樹脂の製造方法において使用可能な重合装置の一例を示す。図1に示す重合装置は、反応容器1を有している。反応容器1は、撹拌機2、還流カラム3、原料モノマー供給口3、減圧ライン及び流出ライン6、並びにポリマー排出口7を有している。減圧ライン及び流出ライン6は1つのラインで実施してもよいし、2以上のラインで実施してもよい。反応容器1の外周には加熱又は冷却手段5が設けられている。
図1の重合装置においては、加熱又は冷却手段5は、反応容器1の下部外周面(反応容器1の外周面の底部から、反応容器1内における反応液面と同程度の高さに相当する外周面の箇所までの領域)と、反応容器1の上部外周面(反応容器1内における反応液面よりも上の空間に相当する外周面の領域)と、で別個に設けられている。
一実施形態において、反応容器1の下部外周面に設けられている加熱又は冷却手段5は、加熱手段(第1の加熱手段)であり得る。一実施形態において、反応容器1の上部外周面に設けられている加熱又は冷却手段5は、第2の加熱又は冷却手段であり得る。別の実施形態において、反応容器1の上部外周面に設けられている加熱又は冷却手段5は、冷却手段であり得る。
溶融重縮合工程において得られる液晶性樹脂の融点Tm2は、250~370℃であることが好ましく、275~360℃であることがより好ましく、330~355℃であることがさらに好ましい。融点Tm2の測定方法は、上記のとおりである。
溶融重縮合工程において得られる液晶性樹脂の溶融粘度は、特に限定されず、液晶性樹脂の融点よりも10~30℃高いシリンダー温度及びせん断速度1000sec-1で測定した溶融粘度が、5Pa・s以上150Pa・s以下であることが好ましく、10Pa・s以上100Pa・s以下であることがより好ましい。
溶融重縮合工程において得られる液晶性樹脂の原料モノマーの使用量に対する収率は、95.0%以上であることが好ましく、97.0%以上であることがより好ましく、98.0%以上であることがさらに好ましい。
(アシル化工程)
液晶性樹脂の製造方法は、必要に応じて、溶融重縮合反応させることの前に、原料モノマーを、脂肪酸無水物によりアシル化させる工程をさらに含むことができる。
脂肪酸無水物としては、アシル化剤として公知のものを使用でき、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等が挙げられる。入手の容易さの点で、無水酢酸を含むことが好ましい。
脂肪酸無水物の使用量は、反応制御の容易さの点で、反応に用いる物質の水酸基総量に対して、1.0~1.1当量であることが好ましく、1.01~1.05当量であることがより好ましい。
アシル化工程において、反応を促進させる観点から、触媒を使用することができる。触媒としては溶融重縮合工程において述べたものが挙げられる。溶融重縮合工程において用いる触媒と同じ触媒を用いてもよく、異なる触媒を用いてもよい。使用量についても上記と同様にすることができる。
アシル化は、公知の方法により行うことができる。例えば、原料モノマーとアシル化剤とを混合し、好ましくは窒素ガス等の不活性ガス環境下において、120~160℃の温度範囲で、0.5~5時間程度加熱してアシル化反応させ、アシル化物を含む反応生成物を得る。ここで得られるアシル化物を原料モノマーとして上記した溶融重縮合工程に供することができる。
アシル化反応及び重縮合反応は、1基の反応容器中において1段で行うこともでき、2基以上の反応容器を用いて、1段目はアシル化反応を行い2段目以降は重縮合反応を行うこともできる。
(固相重合工程)
液晶性樹脂の製造方法は、必要に応じて、溶融重縮合反応工程の後に、さらに固相重合工程を有していてもよい。固相重合により、原料樹脂の分子量の増加を図ることができ、強度や耐熱性により優れた樹脂を得ることができる。
固相重合は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、減圧又は真空下、窒素ガス等の不活性ガス気流中で、原料樹脂の液晶形成温度よりも10~120℃低い温度で加熱することにより行うことができる。加熱方法は、特に限定されず、マイクロ波加熱、ヒーター加熱等を用いることができる。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
[実施例1]
上蓋を有する反応容器(内容積6L)、撹拌機、還流カラム、原料モノマー供給口、窒素導入口、減圧ライン及び流出ラインを備えた反応容器内に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及びアシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。反応容器は、反応容器の反応液が接する部分の外側に、反応系の温度を調節するバンドヒーター(第1加熱手段)を有し、上蓋に、反応容器の反応液面よりも上側の部分の温度を調節するバンドヒーター(第2加熱手段)を有している。なお、反応容器の反応液面よりも上側の部分の温度が高すぎる場合は、バンドヒーターをオフにして空冷することにより温度を下げることができる。
第1加熱手段によって反応容器の内部温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた(アシル化工程)。その後、第2の加熱手段によって反応容器の上部温度が320℃となるように調整しながら、第1の加熱手段によって反応容器の内部温度を340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸点分を留出させながら溶融重縮合を行った(重縮合反応工程)。
撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。その後、ストランドをペレタイズして液晶性樹脂ペレットを得た。得られたペレットのせん断速度1000sec-1で測定した溶融粘度は、9Pa・sであった。
(原料)
4-ヒドロキシ安息香酸(HBA):1380g(60モル%)
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA):158g(5モル%)
テレフタル酸(TA):485g(17.5モル%)
4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP):388g(12.5モル%)
N-アセチル-p-アミノフェノール(APAP):126g(5モル%)
金属塩触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1665g
[実施例2]
重縮合反応工程において、第2加熱手段によって反応容器の上部温度を280℃に調節した以外は、実施例1と同じ方法で、液晶性樹脂ペレットを得た。得られたペレットのせん断速度1000sec-1で測定した溶融粘度は、10Pa・sであった。
[比較例1,2]
重縮合反応工程において、第2加熱手段によって反応容器の上部温度を表1に記載の温度に調節した以外は、実施例1と同じ方法で、液晶性樹脂ペレットを得た。
[実施例3]
上蓋を有する反応容器(内容積6L)、撹拌機、還流カラム、原料モノマー供給口、窒素導入口、減圧ライン及び流出ラインを備えた反応容器内に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及びアシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。反応容器は、反応容器の反応液が接する部分の外側に、反応系の温度を調節するバンドヒーター(第1加熱手段)を有し、上蓋に、反応容器の反応液面よりも上側の部分の温度を調節するバンドヒーター(第2加熱手段)を有している。
第1加熱手段によって反応容器の内部温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた(アシル化工程)。その後、第2の加熱手段によって反応容器の上部温度が320℃となるように調整しながら、第1の加熱手段によって反応容器の内部温度を360℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸点分を留出させながら溶融重縮合を行った(重縮合反応工程)。
撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。その後、ストランドをペレタイズして液晶性樹脂ペレットを得た。得られたペレットのせん断速度1000sec-1で測定した溶融粘度は、9Pa・sであった。
(原料)
4-ヒドロキシ安息香酸(HBA):37g(2モル%)
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA):1218g(48モル%)
テレフタル酸(TA):560g(25モル%)
4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP):628g(25モル%)
金属塩触媒(酢酸カリウム触媒);330mg
アシル化剤(無水酢酸);1418g
[実施例4]
重縮合反応工程において、第2加熱手段によって反応容器の上部温度を280℃に調節した以外は、実施例1と同じ方法で、液晶性樹脂ペレットを得た。得られたペレットのせん断速度1000sec-1で測定した溶融粘度は、8Pa・sであった。
[比較例3,4]
重縮合反応工程において、第2加熱手段によって反応容器の上部温度を表1に記載の温度に調節した以外は、実施例3と同じ方法で、液晶性樹脂ペレットを得た。
[実施例5]
上蓋を有する反応容器(内容積6L)、撹拌機、還流カラム、原料モノマー供給口、窒素導入口、減圧ライン及び流出ラインを備えた反応容器内に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及びアシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。反応容器は、反応容器の反応液が接する部分の外側に、反応系の温度を調節するバンドヒーター(第1加熱手段)を有し、上蓋に、反応容器の反応液面よりも上側の部分の温度を調節するバンドヒーター(第2加熱手段)を有している。
第1加熱手段によって反応容器の内部温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた(アシル化工程)。その後、第2の加熱手段によって反応容器の上部温度が320℃となるように調整しながら、第1の加熱手段によって反応容器の内部温度を360℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸点分を留出させながら溶融重縮合を行った(重縮合反応工程)。
撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。その後、ストランドをペレタイズして液晶性樹脂ペレットを得た。得られたペレットのせん断速度1000sec-1で測定した溶融粘度は、8Pa・sであった。
(原料)
4-ヒドロキシ安息香酸(HBA):1040g(48モル%)
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(HNA):89g(3モル%)
テレフタル酸(TA):548g(21モル%)
イソフタル酸(IA):92g(3.5モル%)
4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP):716g(24.5モル%)
金属塩触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1650g
[実施例6]
重縮合反応工程において、第2加熱手段によって反応容器の上部温度を280℃に調節した以外は、実施例1と同じ方法で、液晶性樹脂ペレットを得た。得られたペレットのせん断速度1000sec-1で測定した溶融粘度は、8Pa・sであった。
[比較例5,6]
重縮合反応工程において、第2加熱手段によって反応容器の上部温度を表1に記載の温度に調節した以外は、実施例5と同じ方法で、液晶性樹脂ペレットを得た。
[比較例7]
上蓋を有する反応容器(内容積6L)、撹拌機、還流カラム、原料モノマー供給口、窒素導入口、減圧ライン及び流出ラインを備えた反応容器内に、以下の原料モノマー、脂肪酸金属塩触媒、及びアシル化剤を仕込み、窒素置換を開始した。反応容器は、反応容器の反応液が接する部分の外側に、反応系の温度を調節するバンドヒーター(第1加熱手段)を有し、上蓋に、反応容器の反応液面よりも上側の部分の温度を調節するバンドヒーター(第2加熱手段)を有している。
第1加熱手段によって反応容器の内部温度を140℃に上げ、140℃で3時間反応させた(アシル化工程)。その後、第2の加熱手段によって反応容器の上部温度が195℃となるように調整しながら、第1の加熱手段によって反応容器の内部温度を320℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧して、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸点分を留出させながら溶融重縮合を行った(重縮合反応工程)。
撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出した。その後、ストランドをペレタイズして液晶性樹脂ペレットを得た。
(原料)
4-ヒドロキシ安息香酸(HBA):1697g(67モル%)
テレフタル酸(TA):518g(17モル%)
4,4’-ジヒドロキシビフェニル(BP):205g(6モル%)
エチレングリコール(EG):114g(10モル%)
金属塩触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1910g
[測定及び評価]
(収率)
得られた液晶性樹脂ペレットの量から原料モノマーの使用量に対する収率を算出した。収率が98.0%以上のものを「3」、95.0%以上98.0%未満のものを「2」、95.0%未満のものを「1」として、2以上を合格と評価した。結果を表1に示す。
(融点Tm2)
示差走査熱量計(DSC7000X、(株)日立ハイテクサイエンス製)にて、得られた液晶性樹脂ペレットを室温から20℃/分の昇温速度で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の測定後、(Tm1+40)℃の温度で2分間保持した後、20℃/分の降温速度で室温まで一旦冷却した後、再度、20℃/分の昇温速度で加熱した際に観測される吸熱ピークの温度(Tm2)を融点として測定した。
得られた融点Tm2の値を用いて、[(最終重合温度)-(融点Tm2)]の値、及び[(重合容器上部温度)-(融点Tm2)]の値を算出した。
結果を表1に示す。
(異物)
高温対応ホットプレス機((株)東洋精機製作所製「NP-SNH」)を用いて液晶性樹脂をフィルム化(0.5g/枚、膜厚100μm)した。フィルムに白色のバックライトを当て、ルーペを用いて、0.3mm以上の異物の個数を確認した。この異物の個数の確認をフィルム5枚(2.5g)に対して行い、単位重量あたりの異物の個数を求めた。異物の個数が0個/gの場合を「良」、1個/g以上の場合を「不良」として示した。
Figure 2023172360000004
表1に示すように、実施例1~6の方法は、最終重合温度が融点Tm2℃以上(Tm2+30)℃以下であり、かつ反応容器の上部(上蓋)の温度が(Tm2-100)℃以上(Tm2-5)℃以下に調節された。これらの方法により得られた液晶性樹脂の収率は、いずれも95.0%以上(つまり、評価2以上)であり、高い収率で液晶性樹脂を製造することができた。また、液晶性樹脂をフィルム化した成形品中に異物は発見されなかった。
これに対して、比較例1,3,5の方法は、最終重合温度は所定の範囲内であったが、反応容器上部の温度が高すぎた結果、液晶性樹脂をフィルム化した成形品中に異物が発見された。比較例2,4,6,7の方法は、最終重合温度は所定の範囲内であったが、反応容器上部の温度が低すぎた結果、得られた液晶性樹脂の収率が95%未満であり収率が低かった。
本実施形態の液晶性樹脂の製造方法は、異物混入を抑制しかつ収率良く液晶性樹脂を製造することができるため、高品質の液晶性樹脂を高収率で製造することができ、産業上の利用可能性を有している。
1 反応容器
2 撹拌機
3 還流カラム
4 原料モノマー供給口
5 加熱又は冷却手段
6 減圧ライン及び流出ライン
7 ポリマー排出口

Claims (6)

  1. 液晶性樹脂の製造方法であり、
    芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上を含む原料モノマーを、反応容器内で溶融重縮合反応させることを含み、
    溶融重縮合反応させることが、液晶性樹脂の融点をTm2としたとき、
    原料モノマーを、最終重合温度がTm2~(Tm2+30)℃の範囲内で溶融重縮合反応させ、かつ溶融重縮合反応中の反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度を、(Tm2-100)~(Tm2-5)℃の範囲内にすることを含む、液晶性樹脂の製造方法。
  2. 原料モノマーが、
    芳香族又は脂環族ジカルボン酸及びその重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上と、
    芳香族又は脂環族ジオール、芳香族又は脂環族ヒドロキシアミン、芳香族又は脂環族ジアミン、及びこれらの重合可能な誘導体からなる群より選択される1以上と、
    をさらに含む、請求項1に記載の液晶性樹脂の製造方法。
  3. 溶融重縮合反応中の反応容器の、溶融重縮合反応時に反応液面よりも上の空間に接する領域の温度を、(Tm2-40)~(Tm2-5)℃の範囲内にすることを含む、請求項1又は2に記載の液晶性樹脂の製造方法。
  4. 溶融重縮合反応させることの前に、原料モノマーを、脂肪酸無水物によりアシル化させることをさらに含む、請求項1又は2に記載の液晶性樹脂の製造方法。
  5. 反応容器が、撹拌機、還流カラム、原料モノマー供給口、減圧ライン及び流出ラインを含む、請求項1又は2に記載の液晶性樹脂の製造方法。
  6. 溶融重縮合反応させることが、脂肪酸を留去しながら溶融重縮合反応させることを含み、
    留去した脂肪酸の少なくとも一部を重合容器に還流させる、請求項1又は2に記載の液晶性樹脂の製造方法。
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