JP2023171153A - バームクーヘン用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】生地の耐熱安定性が高く、ソフトでシトリ感のあるバームクーヘンを安定して製造可能であるバームクーヘン用油脂組成物を提供すること。【解決手段】構成脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2~40質量%であるエステル交換油脂を含有することを特徴とするバームクーヘン用油脂組成物である。構成脂肪酸組成は、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が10~40質量%であることが好ましい。油相のSFCが0℃で25~65%、20℃で5~35%、35℃で1~10%であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、バームクーヘンの製造に使用するための油脂組成物に関する。
バームクーヘンは、断面が積層状、特には年輪状の内相が特徴の層状の焼菓子である。
このバームクーヘンは、他のケーキのようにケーキ生地を型に流し込んで一度で焼成するのではなく、ケーキ生地の焼成とケーキ生地の付着を交互に繰り返して得られる。
例えば、断面が年輪状のバームクーヘンでは、ケーキ生地を加温して保持し、先ずケーキ生地を心棒に付着させて焼成した後、そのケーキ表面に容器に加温保持しているケーキ生地を付着させて焼成する、という工程を繰り返すことによって得られる。
このような特殊な製造方法であるため、バームクーヘン生地には、長時間の加熱環境下でも油分分離や水分分離が生じることなく、増粘することなくまた比重が変わることなく一定の物性を保持すること、すなわち生地の耐熱安定性が強く求められる。
更に、焼成の工程を繰り返すことから、バームクーヘンの中心部は周辺部に比べて、乾いたぱさついた食感になりやすい問題があった。
なお上記伝統的な断面が年輪状のバームクーヘン以外にも、展板上に生地を流し込んでは焼成する、という工程を繰り返すことで得られる平面状のバームクーヘンもあるが、上記の生地の安定性、及び、食感の均質性についての課題は全く同様である。
バームクーヘン生地の製造方法としては、油脂のクリーミング性を利用する方法と、卵のホイップ性を利用する方法がある。
前者の方法を用いる場合、その具体的な製造方法としては、油中水型マーガリンやショートニングと砂糖を混合し、クリーミングし、ここに卵、小麦粉を混合するシュガーバッター法、ショートニングと小麦粉を混合し、クリーミングし、ここに卵、砂糖を混合するフラワーバッター法が主に行われる。
一方、後者の方法を用いる場合、バームクーヘン生地は卵の起泡力を阻害する油分含量が高いことから、製菓用起泡剤や流動ショートニングを使用したオールインミックス法や後粉法が主として行われ、小麦粉、卵、砂糖を混合し、起泡した生地に、溶解した油脂を添加する後油法なども行われる。
一般的には、日持ちのするバームクーヘンの製造には前者の方法、半生の日持ちの短いバームクーヘンやソフトな食感のバームクーヘンの製造には後者の方法が用いられる。
しかし、シュガーバッター法やフラワーバッター法では、使用する油脂が固形脂であることから、得られるバームクーヘンがややぱさついた食感になってしまう問題に加え、クリーミング前の調温工程が必要である点で作業性が悪いという問題があり、そのため、液状油の配合量の多い固形脂を使用するとクリーミング性が悪化してしまう問題もあった。
一方、オールインミックス法や後粉法では、液状油を使用する場合は生地の油分分離が起こりやすく、固体脂を使用する場合は油脂の溶解に手間がかかることに加え、上記のようにぱさついた食感になりやすく、更には層の厚さが安定しないなど、断面や表面が均質できれいなバームクーヘンを安定して製造できないという問題もあった。特に後油法の場合は油分分離が特に起こりやすいことに加え、気泡がつぶれやすいため重い食感のケーキになりやすいという問題があった。
そこで、これらの問題を解決する方法として、液状油に特定の乳化剤を配合した流動ショートニングを使用する方法(例えば特許文献1、2参照)、固形脂に特定の乳化剤を配合したショートニングを使用する方法(例えば特許文献3参照)、固形脂と特定の乳化剤を2種使用し、更に生地に使用する糖類の一部を乳化させた油中水型乳化組成物を使用する方法(例えば特許文献4参照)、油分含量が60質量%以上である高油分水中油型乳化物を使用する方法(例えば特許文献5参照)が提案されている。
特許文献1に記載の方法はソフトであるが、起泡性が高すぎて層の厚さが安定しない問題があった。特許文献2に記載の方法は、起泡性の問題に加え、生地の耐熱安定性が悪い問題があった。特許文献3に記載の方法は、生地の耐熱安定性が悪いうえに、重く口溶けの悪い、ぱさついた食感のバームクーヘンになってしまう問題があった。特許文献4の油脂組成物を使用する方法は、生地の耐熱安定性が悪いうえに、気泡が詰まった、硬く重い食感のバームクーヘンになってしまうという問題があった。特許文献5に記載の方法は、脆くやや重い食感のバームクーヘンになりやすいという問題があった。
更にこれらの油脂組成物はクリーミング性に乏しいためシュガーバッター法やフラワーバッター法による製法には使用することができず、そのため、オールインミックス法や後粉法、後油法にしか使用できなかった。
特開昭55-064755号公報 特開2015-065929号公報 特開昭60-110238号公報 特開2009-153477号公報 特開2011-234660号公報
したがって本発明の目的は、生地の耐熱安定性が高く、ソフトでシトリ感のあるバームクーヘンを安定して製造可能であるバームクーヘン用油脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく種々検討した結果、特定の脂肪酸をエステル交換油脂の形態で含有させた油脂組成物により、上記問題を解決可能であることを知見した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり、構成脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2~40質量%であるエステル交換油脂を含有するバームクーヘン用油脂組成物を提供するものである。
本発明のバームクーヘン用油脂組成物を使用することにより、耐熱安定性に優れたバームクーヘン生地が得られるため、ソフトでシトリ感があり、断面や表面が均質できれいなバームクーヘンを安定して得ることができる。
また、本発明のバームクーヘン用油脂組成物は、液状油の多い配合であってもクリーミング性に優れるため、冷蔵庫から出してすぐ、シュガーバッター法やフラワーバッター法のバームクーヘン生地製造に使用することができる。
以下、本発明のバームクーヘン用油脂組成物について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
先ず、本発明で使用する、構成脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2~40質量%であるエステル交換油脂について述べるである。
本発明のバームクーヘン用油脂組成物は、構成脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が好ましくは2~40質量%、より好ましくは3~30質量%、一層好ましくは8~30質量%、更に好ましくは10~20質量%であるエステル交換油脂を含有する。該エステル交換油脂を含有することで、バームクーヘンの口溶けの悪化やシトリ感を損ねることなく、生地の耐熱安定性を高めることができ、更には液状油の多い配合であっても良好なクリーミング性を得ることができる。
また、本発明のバームクーヘン用油脂組成物は、上記エステル交換油脂の構成脂肪酸組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が好ましくは10~40質量%、より好ましくは10~30質量%、更に好ましくは10~20質量%である。これによって、得られるバームクーヘンの口溶けが良好になり、且つ、優れたクリーミング性のある油脂組成物とすることができる。特に低温域でのクリーミング性を高めることができる。
また、本発明のバームクーヘン用油脂組成物は、上記エステル交換油脂の構成脂肪酸組成において、不飽和脂肪酸含量が好ましくは20~60質量%、より好ましくは30~50質量%、更に好ましくは30~40質量%である。これによって、得られるバームクーヘンがより口溶けが良好なものとなることに加え、低温域での油脂組成物のクリーミング性をより高めることができる。
本発明で用いる油脂の構成脂肪酸残基中の各脂肪酸残基の含有量は、従前知られた方法を用いて測定することができ、例えば、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.4.2.2(2013)」に記載の方法で測定することができる。
上記エステル交換油脂は、以下に述べる方法で好適に製造される。すなわち、上記エステル交換油脂は、構成脂肪酸組成において、
・炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2~40質量%である油脂配合物;
・好ましくは、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2~40質量%であり、且つ、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が10~40質量%である油脂配合物;
・更に好ましくは、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2~40質量%であり、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が10~40質量%であり、不飽和脂肪酸含量が20~60質量%である油脂配合物;をエステル交換することによって得ることができる。
本発明で使用する上記エステル交換油脂は、
・ヨウ素価52~70のパーム軟部油又はパーム油40~85質量%、より好ましくは50~70質量%、
・構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは60~85質量%含有する油脂10~30質量%、より好ましくは15~25質量%;及び
・構成脂肪酸組成において炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは50~70質量%含有する油脂5~30質量%、より好ましくは15~25質量%;
からなる油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂であることが好ましい。
中でも本発明で使用する上記エステル交換油脂は、
・ヨウ素価52~70のパーム軟部油40~80質量%、より好ましくは50~70質量%、
・構成脂肪酸組成において炭素数14以下の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは60~85質量%含有する油脂を10~30質量%、より好ましくは15~25質量%;及び
・構成脂肪酸組成において炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは50~70質量%含有する油脂10~30質量%、より好ましくは15~25質量%;
からなる油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂であることが好ましい。
上記パーム軟部油とは、アセトン分別やヘキサン分別等の溶剤分別、ドライ分別等の無溶剤分別等の方法によって、パーム油を分別した際に得られる低融点部であって、ヨウ素価52~70、好ましくは53~65のものである。
上記炭素数14以下の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは60~85質量%含有する油脂としては、具体的には、パーム核油、ヤシ油、ババス油、並びにこれらに対し硬化、分別及びエステル交換のうちの1種又は2種以上の操作を施した油脂を挙げることができ、これらの中の1種又は2種以上を用いることができ、パーム核油、ヤシ油を使用することが好ましい。
上記炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上、好ましくは50~70質量%含有する油脂としては、具体的には、ハイエルシン菜種油や魚油等の炭素数20以上の不飽和脂肪酸を多量に含有する油脂の極度硬化油を挙げることができ、ハイエルシン菜種油の極度硬化油を好ましく使用することができる。
上記エステル交換の反応は、化学的触媒による方法でもよく、あるいは酵素による方法でもよく、また、非選択的(ランダム)エステル反応であってもよく、あるいは位置選択性のエステル交換反応であってもよいが、化学的触媒又は位置選択性のない酵素を用いた、非選択的エステル反応であることが好ましい。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられる。上記位置選択性のない酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes) 属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼが挙げられる。なお、該リパーゼは、イオン交換樹脂あるいはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
なお、上記エステル交換反応後、エステル交換反応で生成する少量のトリ飽和トリグリセリドやトリ不飽和トリグリセリドを除去する目的で分別を行ってもよい。
本発明のバームクーヘン用油脂組成物は、上記エステル交換油脂を含有するものである。従って、上記エステル交換油脂を、含有量100%で、本発明のバームクーヘン用油脂組成物として使用することができるが、ソフトでシトリ感のあるバームクーヘンを得ることができる点、及び、下記のSFC範囲とすることが容易である点から、本発明のバームクーヘン用油脂組成物における上記エステル交換油脂の含有量は10~80質量%であることが好ましく、10~75質量%であることが一層好ましく、より好ましくは20~60質量%であり、更に一層好ましくは20~45質量%である。
本発明のバームクーヘン用油脂組成物は、よりソフトでシトリ感のあるバームクーヘンを得ることができる点、及び、冷蔵庫から出してすぐにクリーミングに使用できる油脂組成物とすることが容易である点から、液状油を好ましくは20~70質量%、より好ましくは20~50質量%含有する。
上記液状油としては、例えば、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油等の常温(25℃)で液状の油脂が挙げられる。その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂を分別することで得られた軟部油であって、常温で液状である油脂も使用することもできる。また、これらの油脂に対し、水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂についても、得られる加工油脂が常温で液状である範囲内において使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明では、得られるバームクーヘンの口溶けを良好なものとすることが可能な点から、上記液状油として、具体的には、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油等の常温で液状の油脂のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
本発明のバームクーヘン用油脂組成物は上記エステル交換油脂及び液状油以外のその他の油脂を使用することができる。
上記その他の油脂としては特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の上記その他の油脂の使用量は45質量%以下であることが好ましく、より好ましくは38質量%以下である。
本発明のバームクーヘン用油脂組成物は油相のSFCが0℃で25~65%、好ましくは25~40%であり、20℃で5~35%、好ましくは10~20%であり、35℃で1~10%、好ましくは3~9%であることが好ましい。この範囲内のSFCであることにより、得られるバームクーヘンがソフトでシトリ感のある食感とすることができることに加え、生地の耐熱安定性も良好なものとすることができる。
更に、バームクーヘン生地製造の際のクリーミングの初期から最後までクリーミングに適した硬さの油脂組成物とすることができるため、クリーミング時に腰抜けすることがない優れたクリーミング性の油脂組成物とすることができる。更には低温時に一定の硬さであることから、冷蔵庫から出してすぐにクリーミングに使用できる。
なお、上記SFCとは固体脂含有量のことであり、次のようにして測定する。すなわち、先ず、油相を60℃に30分保持して完全に融解した後、0℃に30分保持して固化させる。次いで、25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その後、0℃に30分保持する。これをSFCの各測定温度に順次30分保持した後に、SFCを測定する。
本発明のバームクーヘン用油脂組成物は、その他の成分を含有する場合がある。その他の成分としては、例えば、水、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β-カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
本発明のバームクーヘン用油脂組成物は、可塑性を有することが好ましい。バームクーヘン用油脂組成物の形態は、水相を含有するマーガリンタイプとすることができ、水相を含有しないショートニングタイプとすることもできる。本発明のバームクーヘン用油脂組成物が水相を含有する場合、その乳化形態は、水中油型、油中水型及び二重乳化型のいずれでも構わないが、油相が最外相である、油中水型や油中水型乳化油脂組成物であることが好ましい。
次に本発明のバームクーヘン用油脂組成物の好適な製造方法について述べる。
本製造方法において、バームクーヘン用油脂組成物は、構成脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2~40質量%であるエステル交換油脂を含有する油相を溶解した後、必要に応じ、水相を添加して乳化し、冷却し、結晶化させることにより製造される。
以下、可塑性を有する油中水型乳化油脂組成物を例にして詳細に述べる。
先ず、構成脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2~40質量%であるエステル交換油脂、必要に応じその他の油脂、更に必要に応じその他の成分を添加して、加熱溶解し、混合・攪拌を行い、油相を調製する。また、必要に応じて、水に水溶性のその他の成分を添加した水相を調製した後、該水相を油相に添加し、乳化する。
次に、殺菌処理を行うのが好ましい。なお、殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
次に、冷却し、必要により可塑化する。本発明において、冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、更に好ましくは-5℃/分以上とする。冷却に用いる機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
本発明のバームクーヘン用油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、任意に、窒素、空気等を含気させ、作業性を向上させることができる。含気させる場合は、本発明のバームクーヘン用油脂組成物100gに対して、好ましくは10~50cc含入させる。
次に、本発明のバームクーヘン生地について述べる。
本発明のバームクーヘン生地は、上記のバームクーヘン用油脂組成物を練込油脂として用いたものである。
バームクーヘン生地は、シュガーバッター法、フラワーバッター法、オールインミックス法等、公知の方法によって製造することができるが、クリーミング工程を含む、シュガーバッター法、又はフラワーバッター法であることが好ましい。なお、得られたバームクーヘン生地は常法に従って焼成される。
バームクーヘン生地を製造する際の本発明のバームクーヘン用油脂組成物の使用量は、特に限定されないが、例えば、バームクーヘン生地中に10~40質量%含有される。
以下、実施例、比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例などによって何ら制限を受けるものではない。
<バームクーヘン用油脂組成物に用いるエステル交換油脂の製造>
〔製造例1〕エステル交換油脂(A)の製造
ヨウ素価55のパーム軟部油50質量部、ハイエルシン菜種油の極度硬化油25質量部及びパーム核油25質量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行った後、漂白(白土3%、85℃、9.3×10Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×10Pa以下の減圧下)を行い、エステル交換油脂(A)を得た。
〔製造例2〕エステル交換油脂(B)の製造
パーム油70質量部とパーム核油24質量部とハイエルシン菜種極度硬化油6質量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行った後、漂白(白土3%、85℃、9.3×10Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×10Pa以下の減圧下)を行い、エステル交換油脂(B)を得た。
〔製造例3〕エステル交換油脂(C)の製造
ヨウ素価55のパーム軟部油85質量部及びハイエルシン菜種油の極度硬化油15質量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを、ナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行った後、漂白(白土3%、85℃、9.3×10Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×10Pa以下の減圧下)を行い、エステル交換油脂(C)を得た。
〔製造例4〕エステル交換油脂(D)の製造
ヨウ素価55のパーム軟部油からなる油脂配合物10kgにナトリウムメチラートを触媒として、ランダムエステル交換反応を行った後、漂白(白土3%、85℃、9.3×10Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×10Pa以下の減圧下)を行い、エステル交換油脂(D)を得た。
上記エステル交換油脂(A)、(B)、(C)及び(D)の、トリグリセリド組成における、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量、及び、不飽和脂肪酸含量について表1に記載した。
Figure 2023171153000001
<バームクーヘン用油脂組成物の製造>
〔実施例1〕
上記エステル交換油脂(A)25質量%、菜種液状油50質量%、及び、上記エステル交換油脂(D)25質量%からなる混合油脂80質量部に、レシチン0.2質量部、及びミックストコフェロール0.02質量部を添加し、70℃で均一に溶解した。
一方、水17.28質量部に、脱脂粉乳1質量部、及び、食塩1.5質量部を添加、混合し、水相を得た。
上記油相に上記水相を添加し、予備乳化液を製造した後、90℃にて1分間、蒸気を用いて殺菌処理し、次いでコンビネーターを用いて急冷可塑化を行い、可塑性油中水型乳化物である本発明のバームクーヘン用油脂組成物Aを得た。
バームクーヘン用油脂組成物Aの0℃、20℃及び35℃のSFCを表2に記載した。
〔実施例2〕
実施例1における混合油脂80質量部をエステル交換油脂(B)80質量部に置換した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、可塑性油中水型乳化物である本発明のバームクーヘン用油脂組成物Bを得た。
バームクーヘン用油脂組成物Bの0℃、20℃及び35℃のSFCを表2に記載した。
〔実施例3〕
実施例1における混合油脂80質量部をエステル交換油脂(B)50質量%、及び、菜種液状油50質量%からなる混合油脂80質量部に置換した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、可塑性油中水型乳化物である本発明のバームクーヘン用油脂組成物Cを得た。
バームクーヘン用油脂組成物Cの0℃、20℃及び35℃のSFCを表2に記載した。
〔実施例4〕
実施例1における上記エステル交換油脂(A)25質量部を、エステル交換油脂(C)25質量部に置換した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、可塑性油中水型乳化物である本発明のバームクーヘン用油脂組成物Dを得た。
バームクーヘン用油脂組成物Dの0℃、20℃及び35℃のSFCを表2に記載した。
〔比較例1〕
実施例1における混合油脂80質量部を菜種液状油80質量部に置換した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、流動状油中水型乳化物である比較例のバームクーヘン用油脂組成物Eを得た。
バームクーヘン用油脂組成物Eの0℃、20℃及び35℃のSFCを表2に記載した。
〔比較例2〕
実施例1における混合油脂80質量部を上記エステル交換油脂(D)80質量部に置換した以外は、実施例1の配合及び製法と同様にして、可塑性油中水型乳化物である比較例のバームクーヘン用油脂組成物Fを得た。
バームクーヘン用油脂組成物Fの0℃、20℃及び35℃のSFCを表2に記載した。
Figure 2023171153000002
<バームクーヘン生地の製造>(シュガーバッター法)
得られたバームクーヘン用油脂組成物A~Fを用いてバームクーヘンを製造した。
先ず上記バームクーヘン用油脂組成物100質量部、及び上砂糖120質量部、加糖練乳7質量部、はちみつ5質量部、ソルビット液5質量、ケーキ用起泡性乳化脂(「トルテ」:株式会社ADEKA製)7質量部をミキサーボウルに投入し、ビーターを用いて高速で比重0.7となるまでクリーミングした。ここに全卵(正味)180質量部を数回に分けて加え混ぜ合わせた。これに小麦粉90質量部、コーンスターチ10質量部、脱脂粉乳5質量部、重曹0.5質量部を加えて滑らかになるまで混ぜ合わせ、比重0.88のバームクーヘン生地を得た。
なおクリーミング性について、下記の評価基準に従って評価を行い、表3に結果を記載した。
<バームクーヘンの製造>
得られたバームクーヘン生地は35℃に調温保持し、下記の製法によりバームクーヘンを製造した。
250mm×330mmの鉄製の展板に、上記バームクーヘン生地を均質に160g流し込み、上火200℃、下火150℃に設定した固定オーブンで7分焼成した。続けて上記バームクーヘン生地を同様に160g流し込み同様に焼成し、これを4回繰り返し、合計5層である平板状のバームクーヘンを得た。
35℃調温保持したバームクーヘン生地の耐熱安定性について、下記の評価基準に従って評価を行い、表3に結果を記載した。
また、得られたバームクーヘンの外観(表面)、内相、及び食感について下記の評価基準に従って評価を行い、表3に結果を記載した。
<評価基準>
<クリーミング性>
◎:比重0.7になるまでの時間が3分以内で極めて良好
○:比重0.7になるまでの時間が3分超5分以内であり良好
△:比重0.7になるまでの5分超でやや不良
×:比重0.7になるまでに腰抜けをおこし、極めて不良
<生地の耐熱安定性>
◎:5回目の生地焼成時にも分離が見られず極めて良好
○:5回目の生地焼成時にも分離がほとんど見られず、良好
△:5回目の生地焼成時に分離が目立ち、やや不良
×:5回目の生地焼成時に分離が激しく、極めて不良
<外観(表面)>
◎:均質な焼き上がりで極めて良好
○:若干の焼きむらが見られるが、良好
△:焼きむらが目立ち、やや不良
×:焼きむらが激しく、極めて不良
<内相>
◎:各層の厚さが均質であり、極めて良好
○:各層の厚さがほぼ均質であり、良好
△:各層の厚さにばらつきが目立ち、やや不良
×:各層の厚さのばらつきが激しく、極めて不良
<食感(ソフト性及びシトリ感)>
◎:ソフト性及びシトリ感が優れており、極めて良好
○:ソフト性及びシトリ感が良好
△:ぱさついた食感でシトリ感が弱く、やや不良
×:硬い食感であり、シトリ感も感じられず、極めて不良
Figure 2023171153000003

Claims (4)

  1. 構成脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2~40質量%であるエステル交換油脂を含有するバームクーヘン用油脂組成物。
  2. 上記エステル交換油脂の構成脂肪酸組成において、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が10~40質量%である請求項1記載のバームクーヘン用油脂組成物。
  3. 油相のSFCが0℃で25~65%、20℃で5~35%、35℃で1~10%である請求項1又は2記載のバームクーヘン用油脂組成物。
  4. 請求項1又は2記載のバームクーヘン用油脂組成物を含有するバームクーヘン生地の焼成品であるバームクーヘン。
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