JP2023171055A - 巻回シート付きチューブ容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻回シートによってバリア性を発揮できる巻回シート付きチューブ容器を提供する。【解決手段】チューブ容器本体50及び巻回シート10を有する、巻回シート付きチューブ容器100であって、巻回シート10が、少なくともバリア層を有し、かつチューブ容器本体50の胴部に巻回状に接合されている、巻回シート付きチューブ容器100を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、巻回シート付きチューブ容器に関し、特に、チューブ容器本体及び容器に巻き付けられている巻回シートを有する巻回シート付きチューブ容器に関する。
チューブ容器は、医薬品をはじめ、歯磨き粉、食品、化粧品、接着剤等多くのものの容器として、従来から使用されている。チューブ容器は、一般的に、筒状にブロー成形又は押出成形した合成樹製のチューブから形成したチューブ体、あるいはアルミラミネートシートを巻回して筒状にしたチューブ体であり、筒状の胴部の上端に、笠状の肩部の上端開口部から口筒部を立設したヘッド部を熱溶着固定し、更に内容物を充填した後に胴部の下端開口部をヒートシールするようにして使用されることが多い。
また、このようなチューブ容器に関して、模様や文字等の情報のための媒体及び/又は美観のための装飾としてのシートをその胴部に巻回した巻回シート付きチューブ容器が開発されている。
例えば、特許文献1では、ベースとなるチューブ容器の本体を押出成形しつつ、その余熱で表面に装飾フィルムをラベリングする方法が開示されている。
また、特許文献2では、予め形成されたチューブ容器本体の胴部の外周面の所定の高さ範囲に、印刷層により加飾した感熱ラベルを熱融着により巻回状に接着固定したチューブ容器が開示されている。
更に、特許文献3では、装飾(加飾)用フィルムが、装飾層に隣接する接着層を介し、かつ巻き付け開始部と巻き付け終了部が重複してポリエチレンチューブ容器本体の胴部に巻き付けられていることを特徴とする加飾ポリエチレンチューブ容器が開示されている。
特表2019-531928号公報 特開2010-105692号公報 特開平07-040515号公報
上述した特許文献1~3に開示された巻回シート付きチューブ容器は、いずれも装飾としてのシート(フィルム又はラベル)がチューブ容器本体から剥離や脱落しないように工夫されているものであると考えられる。
これに対して、本発明では、巻回シートによってバリア性を発揮できる巻回シート付きチューブ容器を提供する。
ここで、以下のような事情の場合には、必要に応じて、チューブ容器本体から巻回シートの一部又は全部の層を剥離させることが好ましいことを、本件発明者らは見いだした:例えば、製品のキャンペーンや懸賞等のためのポイントやマーク等が巻回シートに記載されており、キャンペーンや懸賞等への応募のためにポイントやマーク等を切り取る必要がある場合、チューブ容器を柔らかくして、チューブ内の内容物を出し切ろうとする場合、又はシートとチューブ容器本体とを分別して廃棄又はリサイクルしようとする場合等。
したがって、チューブ容器本体から巻回シートの一部又は全部の層を簡単に剥離できるような巻回シート付きチューブ容器も必要とされている。
なお、ペットボトル等に用いられるシュリンクラベルは、ペットボトルから簡単に剥離させることができる。しかしながら、このようなシュリンクラベルをチューブ容器に適用させると、チューブ容器の胴部をスクイズして内容物を押し出す際に、シュリンクラベルが浮いてしまうので、使用感に問題がある。
本発明者らは、鋭意検討したところ、以下の手段により上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のとおりである。
〈態様1〉
チューブ容器本体及び巻回シートを有する、巻回シート付きチューブ容器であって、
前記巻回シートが、少なくともバリア層を有し、かつ前記チューブ容器本体の胴部に巻回状に接合されている
巻回シート付きチューブ容器。
〈態様2〉
前記バリア層が、金属箔、金属又は金属化合物蒸着膜、ビニルアルコールポリマー系コーティング若しくはフィルム、ポリ塩化ポリビニリデン系コーティング若しくはフィルム、又はそれらの組み合わせである、態様1に記載の巻回シート付きチューブ容器。
〈態様3〉
前記巻回シートが、易剥離シーラント層を更に有する、態様1又は2に記載の巻回シート付きチューブ容器。
〈態様4〉
前記巻回シートが、表層を更に有し、かつ
前記バリア層が、前記チューブ容器本体と反対側の面において、前記易剥離シーラント層を介して、前記表層に接合されている、
態様3に記載の巻回シート付きチューブ容器。
〈態様5〉
前記バリア層が、前記易剥離シーラント層を介して、前記チューブ容器本体の胴部に接合されている、態様3に記載の巻回シート付きチューブ容器。
〈態様6〉
前記巻回シートが、剥離きっかけを有している、態様3~5のいずれか一項に記載の巻回シート付きチューブ容器。
〈態様7〉
前記巻回シートに、前記チューブ容器を軸とするらせん状のミシン目が設けられている、態様3~6のいずれか一項に記載の巻回シート付きチューブ容器。
〈態様8〉
前記巻回シートは、前記巻回シートが剥離可能である旨の表示を有する、態様3~7のいずれか一項に記載の巻回シート付きチューブ容器。
本発明の巻回シート付きチューブ容器によれば、巻回シートによってバリア性を発揮できる。
図1は、本発明の巻回シート付きチューブ容器の一態様を示す正面図である。 図2は、本発明の巻回シート付きチューブ容器の2つの態様における、チューブ容器本体の胴部及びヒートシールされている巻回シートの概略断面図である。 図3は、参考例1~6の巻回シート付きチューブ容器のそれぞれの剥離きっかけの態様を示すイメージ図である。
《巻回シート付きチューブ容器》
本発明の巻回シート付きチューブ容器は、
チューブ容器本体及び巻回シートを有する、巻回シート付きチューブ容器であって、
巻回シートが、少なくともバリア層を有し、かつチューブ容器本体の胴部に巻回状に接合されている
巻回シート付きチューブ容器
である。
すなわち、本発明の巻回シート付きチューブ容器(以下、単に「本発明のチューブ容器」とも称する)の一態様を示す正面図である図1に示されているように、本発明の巻回シート付きチューブ容器100は、チューブ容器本体50及び巻回シート10を有し、巻回シート10が、少なくともバリア層を有し、かつチューブ容器本体50の胴部20に巻回状に接合されている。
なお、本発明に関して、「バリア層」は、チューブ内容物の成分、酸素、水蒸気等に対して、チューブ容器本体よりも高いバリア性を有する任意の層である。
ここで、バリア層は例えば、金属箔、金属若しくは金属化合物蒸着膜、ビニルアルコールポリマー系コーティング若しくはフィルム、ポリ塩化ポリビニリデン(PVDC)系コーティング若しくはフィルム、又はそれらの組み合わせであってよい。ここで、金属箔は、アルミニウム箔であってよい。金属又は金属化合物蒸着膜は、アルミニウム蒸着膜、シリカ蒸着膜、又はそれらの組み合わせであってよい。ビニルアルコールポリマー系コーティング又はフィルムは、ポリビニルアルコール(PVOH)コーティング又はフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)コーティング又はフィルム、又はそれらの組み合わせであってよい。なお、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)においては、ビニルアルコールモノマーの割合が、50mol%以上であってよい。また、ポリ塩化ポリビニリデン系コーティング若しくはフィルムは、塩化ビニリデン含有共重合体、特に塩化ビニリデンと、塩化ビニル、アクリル酸エステル、又はアクロニトリルとの共重合体であってよい。なお、塩化ビニリデン含有共重合体においては、塩化ビニリデンモノマーの割合が、50mol%以上であってよい。金属又は金属化合物蒸着膜、及びビニルアルコールポリマー系コーティング、及びポリ塩化ポリビニリデン系コーティングは、基材として用いられるポリマーフィルム上に積層体した状態で用いることができる。
本発明において、バリア層の厚さは、特に限定されない。例えばバリア層が金属箔である場合、バリア層の厚さは、1μm以上、3μm以上、又は5μm以上であってよく、また100μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、又は10μm以下であってよい。バリア層が金属又は金属化合物蒸着膜である場合、バリア層の厚さは、1nm以上、10nm以上、30nm以上、又は50nm以上であってよく、また1μm以下、500nm以下、又は300μm以下であってよい。バリア層がビニルアルコールポリマー系コーティング又はポリ塩化ポリビニリデン(PVDC)系コーティングである場合、バリア層の厚さは、100nm以上、300nm以上、又は500nm以上であって、10μm以下、5μm以下、又は1μm以下であってよい。バリア層がビニルアルコールポリマー系フィルム又はポリ塩化ポリビニリデン(PVDC)系フィルムである場合、バリア層の厚さは、1μm以上、3μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってよく、また100μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、又は10μm以下であってよい。
また、本発明において、巻回シートがチューブ容器本体の胴部に巻回状に接合されている状態とは、巻回シートをチューブ容器本体の胴部への巻き付ける方式に関わらず、結果的に巻きつけるように接合されている状態のことを指す。そのため、接合部分は、全面接合であってもよく、ストライプ状に接合されていてもよい。
本発明において、巻回シートは、易剥離シーラント層を更に有していても、有していなくてもよい。また、バリア層は、易剥離シーラント層を介してチューブ容器本体の胴部に接合されていても、易剥離シーラント層を介さずにチューブ容器本体の胴部に接合されていてもよい。
バリア層のチューブ容器本体の胴部への接合が易剥離シーラント層を介さずに行われている場合、バリア層は、ヒートシール等によって直接に胴部に接合されていても、粘着剤からなる粘着層、接着剤からなる接着層、熱可塑性樹脂からなるヒートシール層を介して胴部に接合されていてもよい。ここで、接着剤としては、例えばドライラミネート接着剤、アンカーコート接着剤、水溶性接着剤、エマルション接着剤、ノンソルベントラミネート接着剤等を用いることができる。ヒートシール層としては、ポリオレフィン、特にポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を用いることができる。
本発明において、巻回シートは、表層を更に有していても、有していなくてもよい。ここで、本発明において、「表層」は、巻回シートを構成する層のうちの、バリア層よりも外側の層又は積層体(バリア層に隣接している易剥離シーラント層、粘着層、接着層、ヒートシール層等の接合層を除く)を意味している。
また、本発明において、巻回シートは、内層を更に有していても、有していなくてもよい。ここで、本発明において、「内層」は、巻回シートを構成する層のうちの、バリア層よりも内側の層又は積層体(バリア層に隣接している易剥離シーラント層、粘着層、接着層、ヒートシール層等の接合層を除く)を意味している。
巻回シートが易剥離シーラント層を有している場合、巻回シートが、表層を更に有し、かつバリア層が、チューブ容器本体と反対側の面において、易剥離シーラント層を介して、表層に接合されていてよい。
この場合、具体的には例えば、巻回シートの概略断面図である図2(a)に示されているように、巻回シート10は、表層3、易剥離シーラント2a、及びバリア層1がこの順で積層された積層体であり、チューブ容器本体の胴部20に巻回状に接合されている。この態様では、表層3とバリア層1とが易剥離シーラント2aを介して接合されている。したがって、巻回シート付きチューブ容器から巻回シートを剥離させる際には、表層3とバリア層1との間で分離して、表層1と、バリア層1を有するチューブ容器本体とに分かれる。
また、巻回シートが易剥離シーラント層を有している場合、バリア層が、易剥離シーラント層を介して、チューブ容器本体の胴部に接合されていてよい。
この場合、具体的は例えば、巻回シートの概略断面図である図2(b)に示されているように、巻回シート10は、表層3、バリア層1、及び易剥離シーラント2aがこの順で積層された積層体であり、チューブ容器本体の胴部20に巻回状に接合されている。この態様では、バリア層1とチューブ容器本体の胴部とが易剥離シーラント2bを介して接合されている。したがって、巻回シート付きチューブ容器から巻回シートを剥離させる際には、バリア層1とチューブ容器本体の胴部20との間で分離して、表層1及びバリア層1を有する積層体と、チューブ容器本体とに分かれる。
このように、本発明の巻回シート付きチューブ容器100は、巻回シート10がチューブ容器本体の胴部20に巻回状に接合されているため、胴部20をスクイズしていても、巻回シート10が浮いてしまうようなことはなく、すなわち、使用感が良好である。また、巻回シート10を剥離させる際には、易剥離シーラント層2a、2bの凝集破壊等により、チューブ容器から巻回シート10の全体又は一部を簡単に剥離することができる。
本発明の巻回シート付きチューブ容器は、表層及び/又は内層を有する巻回シートがチューブ容器本体に巻回状に接合されていることによって、チューブ容器本体に表層及び/又は内層による効果を提供できる。
具体的には例えば、表層及び/又は内層、特に表層は、模様や文字等の情報のための媒体及び/又は美観のための装飾として使用することができる。
また、本発明のチューブ容器は、巻回シートを用いること、巻回シートが表層及び/又は内層を有すること、及び/又は巻回シートが易剥離シーラント層を有することによって、以下のような利点(1)~(9)の1又は複数を有することができる。
(1)バリア性の底上げ
本発明のチューブ容器では、巻回シートがバリア層を有していることによって、チューブ容器全体のバリア性の底上げができる。
(2)様々な加飾層の利用
本発明のチューブ容器では、表層及び/又は内層、特に表層が加飾層を有することによって、従来のラミネートチューブでは使用が難しかった加飾層、例えばエンボス加工PETフィルム、ホログラム蒸着膜付きPETフィルム等を用いることができる。
(3)生産効率の改善/小ロット対応
従来のブローチューブ及びラミネートチューブは、直接印刷で印刷層を提供している。したがって、例えば絵柄変更等の場合には、都度、版替えが必要である。これに対して、本発明のチューブ容器では、巻回シートを用いることで、印刷を施した巻回シートを切り替えるだけで、絵柄変更をすることができる。
また、印刷に関しても、本発明のチューブ容器では、これまでのラミネートチューブのように積層体でサイドシームを形成するわけではないので、例えばデジタル印刷等、従来のサイドシームを考慮すると機能的に不十分(この場合、ラミネート強度やインキ密着性が不十分)な印刷方式も利用することができる。
したがって、本発明のチューブ容器では、デジタル印刷により、小ロット多品種対応や短納期対応が可能になるだけではなく、印刷不良品の低減にもつながる。
(4)チューブ容器本体の薄肉化及び樹脂使用量の削減
本発明のチューブ容器では、剛性の高い巻回シートをチューブ容器本体の胴部に巻き付けることによって、チューブ容器本体を薄肉化していても、チューブ容器の自立性を付与することができる。
また、本発明のチューブ容器では、チューブ容器本体を薄肉化することによって、チューブ容器本体を形成するための樹脂の使用量を削減することができる。
(5)チューブ容器の分別廃棄性の向上
従来、巻回シートとチューブ容器本体とが分離できない巻回シート付きチューブ容器は、一般に、可燃物として処理されていた。これに対して、巻回シートにおいて易剥離シーラント層を用いる場合、本発明のチューブ容器は、巻回シートとチューブ容器本体とを分別して廃棄することができる。この分別廃棄によれば、可燃ゴミの廃棄量を減らすこともできる。
(6)易廃棄性
巻回シートにおいて易剥離シーラント層を用いる場合、本発明のチューブ容器では、チューブ容器本体の薄肉化によって、チューブ容器をコンパクトに廃棄することができる。
(7)使い切りに貢献(絞り出し性)
巻回シートにおいて易剥離シーラント層を用いる場合、本発明のチューブ容器では、巻回シートを剥離して、相対的に柔らかくなったチューブ容器本体から、内容物を絞り出しやすくなる(最後は薄く絞りやすい状態にできる)。
(8)広告や能書等の付加情報の提供
巻回シートにおいて易剥離シーラント層を用いる場合、本発明のチューブ容器では、巻回シートが重複している部分を長く(大きく)することによって、この部分に広告や能書等の付加情報を提供することができる。
(9)巻回シートへの製品のキャンペーン情報や「くじ」等の記載
巻回シートにおいて易剥離シーラント層を用いる場合、本発明のチューブ容器では、巻回シートに製品のキャンペーン情報や「くじ」等を記載することによって、巻回シートを剥離して、応募しやすくすることができる。
以下では、本発明の巻回シート付きチューブ容器の各構成要素について説明する。
〈巻回シート〉
本発明にかかる巻回シートは、少なくともバリア層を有し、随意に表層、内層、易剥離シーラント層を更に有することができる。また、本発明にかかる巻回シートの各層は、ヒートシールによって直接に、又は粘着層、接着層、ヒートシール層等の接合層を介して互いに接合されていてよい。
(表層及び内層)
上記のとおり、本発明において、「表層」は、巻回シートを構成する層のうちの、バリア層よりも外側の層又は積層体(バリア層に隣接している易剥離シーラント層、粘着層、接着層、ヒートシール層等の接合層を除く)を意味している。また、本発明において、「内層」は、巻回シートを構成する層のうちの、バリア層よりも内側の層又は積層体(バリア層に隣接している易剥離シーラント層、粘着層、接着層、ヒートシール層等の接合層を除く)を意味している。
「表層」及び「内層」は、本発明の巻回シートに適切な取り扱い性、強度、耐久性等を与え、かつ印刷をする場合にはその支持体として機能する層であってよい。したがって、表層及び内層は単層であってもよいが、複数の層の積層体であってもよい。
表層及び内層を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、チューブ容器のスクイズ変形に違和感なく十分追従できる柔軟性を有する材料から選択することができる。また、表層を構成する材料は、例えば、易剥離シーラント層による巻回シートの接合をヒートシールによって行うために、ヒートシールする際の熱に耐えうる材料から選択されてもよい。
本発明において、表層及び内層の厚さは、特に限定されず、例えば巻回シートに耐久性等を付与する観点からは、1μm以上、5μm以上、10μm以上、又は20μm以上であってよく、また、シートに柔軟性を付与する観点からは、100μm以下、50μm以下、40μm以下、又は30μm以下であってよい。
本発明において、表層及び内層は、1又は複数のフィルム層又は紙層を有することができる。
より具体的には、表層及び内層で用いられるフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、特に二軸延伸ポリプロピレンフィルムのようなポリプロピレンフィルム、又は二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのようなポリエステルフィルムを挙げることができる。
表層及び内層においては、更なる機能を付与する目的で、フィルム層又は紙層以外の層を更に含んでいてもよい。その他の層としては、例えば、発泡ポリマー層又は繊維層のような断熱層、ウレタン系接着剤のような接着剤層等が挙げられるが、これらに限定されない。
表層は、表層を構成する1又は複数の層の表面に、文字情報、記号、マーク等の印刷を有することができる。また、表層は、本発明の巻回シートをチューブ容器本体に巻回したときにチューブ容器の外部から観察でき、それによってチューブ容器の外観を加飾できる加飾層、特に模様、色、光沢等の外観を加飾(装飾)する加飾層を有することができる。なお、本発明に関して、文字情報、記号、マーク等のみが印刷された層であって、模様、色、光沢等の外観を加飾しない層は、「加飾層」に該当しない。
加飾層は、下記のいずれか又はそれらの組み合わせであってよい:
・印刷付きフィルム層又は紙層
・塗装付きフィルム層又は紙層
・加飾フィルム層又は紙層(例えばマット加工フィルム層、偏光フィルム層、エンボス加工フィルム層、着色フィルム層又は紙層)
(易剥離シーラント層)
本発明において「易剥離シーラント層」とは、巻回シートがチューブ容器本体の胴部にヒートシールされている状態から、人の手作業によって容易に巻回シートを構成する層の一部又は全部を剥離することを可能にする層を指す。本発明において、巻回シートを剥離する際の剥離強度としては、例えば、12N/15mm以下、8.0N/15mm以下、又は5.0N/15mm以下であってよく、また0.10N/15mm以上、0.20N/15mm以上、0.30N/15mm以上、0.50N/15mm以上、1.0N/15mm以上であってよい。なお、「剥離強度」は、例えばJIS-Z-0238に規定する方法に従い、180°剥離させた場合の剥離強度を指す。
本発明において、易剥離シーラント層の厚さは、特に限定されず、チューブ容器を使用する際の使用性(スクイズ耐久性)、巻回シートを構成する層の一部又は全部を剥離する際の易剥離性等を考慮して選択することができる。例えば易剥離シーラント層の厚さは、1μm以上、5μm以上、10μm以上、又は20μm以上であってよく、また100μm以下、50μm以下、40μm以下、又は30μm以下であってよい。
本発明において、易剥離シーラント層は、単層であっても複数の層(例えば、2層以上、3層以上、又は4層以上であって、6層以下、又は5層以下)の積層体であってもよい。
また、本発明において、易剥離シーラント層は、層内凝集破壊型の易剥離シーラント層であっても、界面剥離型の易剥離シーラント層であってもよい。
本発明において「層内凝集破壊型の易剥離シーラント層」とは、巻回シートを、チューブ容器本体の胴部から剥離する際に、単層である易剥離シーラント層の内部が破断して、又は複数の層の積層体である易剥離シーラント層を構成する複数の層のうちの1つの層の内部が破断して、破断した易剥離シーラント層の一部がチューブ容器本体側に残留し、かつ破断した易剥離シーラント層の他の一部が巻回シート側に残留する易剥離シーラント層を指す。
本発明において、易剥離シーラント層が層内凝集破壊型である場合、巻回シートを除去した後のチューブ容器本体の胴部は、人間の指に対して滑り性が良くなり、それによって巻回シートを除去した後のチューブ容器本体をしごいてチューブ容器本体中に残留する内容物を絞り出すことが容易になる。ここで、このように滑り性が良くなるのは、チューブ容器本体の表面に残存している破断した易剥離シーラント層によって、チューブ容器本体を指でしごく際の摩擦による引っかかりが低減することによると考えられる。
また、本発明において「界面剥離型の易剥離シーラント層」とは、巻回シートを、チューブ容器本体の胴部から剥離する際に、易剥離シーラント層とそれに隣接する層の界面、易剥離シーラント層とチューブ容器本体との界面、又は複数の層の積層体である易剥離シーラント層を構成する複数の層の間の界面で、剥離する層を指す。したがって、「界面剥離型の易剥離シーラント層」では、チューブ容器本体から巻回シートを剥離したときに、易剥離シーラント層がチューブ容器側に残留する場合、易剥離シーラント層が巻回シート側に残留する場合、及び易剥離シーラント層の一部がチューブ容器側に残留し、かつ易剥離シーラント層の残部が巻回シート側に残留する場合がある。
本発明において、易剥離シーラント層が、界面剥離型の易剥離シーラント層である場合は、剥離後のチューブ容器本体の胴部の透明性を維持することができ、したがって透明ブローチューブ容器と併用することが好ましい。特に、チューブ容器本体側に易剥離シーラント層が残留する場合であっても、易剥離シーラント層の表面が平滑であることによって、剥離後のチューブ容器本体の胴部の透明性を維持することができる。
本発明において、易剥離シーラント層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、「層内凝集破壊型の易剥離シーラント層」又は「界面剥離型の易剥離シーラント層」の類型に基づいて、適宜決めてよい。
より具体的には、層内凝集破壊型の易剥離シーラント層を構成する材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂から選択されてよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、より具体的には、例えば低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)、エチレン・αオレフィン共重合体等のエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらを単独又は主原料としたブレンド材料で構成しても良い。これらの材料から、チューブ容器本体にヒートシール可能な材料を適宜に用いることが好ましい。
また、界面剥離型の易剥離シーラント層を構成する材料としては、ポリオレフィン系樹脂と環状オレフィンコポリマーとの任意の比率による混合物から選択されてよい。また、ポリオレフィン系樹脂と環状オレフィンコポリマーの合計に対する環状オレフィンコポリマーの割合は、例えば、1.0~50質量%、特に、1.0~20質量%、1.0~10質量%、又は3.0~10質量%であってよい。
ここで、環状オレフィンコポリマーとは、環状オレフィンがモノマーとして用いられた重合体であり、重合体の主鎖又は側鎖に飽和炭化水素環構造を有するものを指す。環状オレフィンコポリマーとしては、少なくとも1種の環状オレフィンと、環状オレフィン以外の少なくとも1種のビニル化合物とをモノマーとする、共重合体であることが好ましい。環状オレフィンコポリマーは、環状オレフィンの少なくとも1種と、環状オレフィン以外のビニル化合物の少なくとも1種とをモノマーとして用いた、付加重合による環状オレフィン系ランダム共重合体(COC)であっても、縮合環骨格に二重結合を有する化合物の少なくとも1種と、該化合物以外の不飽和化合物の少なくとも1種とをモノマーとして用いた、開環重合による環状オレフィン開環重合体又はその水素添加物(COP)であってもよい。
環状オレフィンコポリマーが、付加重合による環状オレフィン系ランダム共重合体(COC)である場合には、モノマーとなる環状オレフィンとしては特に限定されるものではないが、例えば、シクロブテン、3-メチルシクロブテン、3,4-ジイソプロペニルシクロブテン、シクロペンテン、1-メチルシクロペンテン、3-メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1-メチルシクロオクテン、5-メチルシクロオクテン、シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィンや、テトラシクロドデセンやノルボルネン等の多環シクロオレフィン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
また、環状オレフィン系ランダム共重合体(COC)のコモノマーとなる、環状オレフィン以外のビニル化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、及び1-デセン等のα-オレフィン、シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン等の単環ジエンや、不飽和結合を2個有するノルボルネン環等を有する多環ジエン、ブタジエンやイソプレン等の直鎖又は分岐のジエン等を挙げることができる。
界面剥離型の易剥離シーラント層を構成する材料として環状オレフィン系ランダム共重合体(COC)を用いる場合には、環状オレフィンに由来する構造単位の割合が、15~60モル%であることが好ましく、25~50モル%の範囲であることが更に好ましい。
また、環状オレフィンコポリマーが、開環重合による環状オレフィン開環重合体又はその水素添加物(COP)である場合には、モノマーとなる縮合環骨格に二重結合を有する化合物としては、メタセンス重合触媒によって重合し得るものであれば特に限定されるものではない。例えば、テトラシクロドデセン、ノルボルネン、もしくはこれらの誘導体等のノルボルネン系骨格を有する化合物が挙げられる。
また、環状オレフィン開環重合体のコモノマーとなる、縮合環骨格に二重結合を有する化合物以外の不飽和化合物としては、メタセンス重合触媒によって重合し得るものであれば特に限定されるものではない。例えば、上記した環状オレフィン系ランダム共重合体(COC)のモノマーとなる環状オレフィンや、環状ジエン、主鎖に炭素-炭素二重結合を有する単量体、並びにこれらの誘導体等を挙げることができる。
なお、環状オレフィン開環重合体は、主鎖に炭素-炭素の二重結合(C=C)を有している。そして、水素添加を実施すると、主鎖の二重結合が炭素-炭素の単結合(C-C)となった水素添加物(COP)を得ることができる。耐熱性、耐候性等の観点からは、少なくとも主鎖の炭素-炭素二重結合が水素添加された重合体であってもよい。
環状オレフィン開環重合体又はその水素添加物(COP)を用いる場合には、水素化反応に供することを考慮すると、縮合環骨格に二重結合を有する化合物に由来する構造単位の割合が、80質量%以上であることが好ましい。
(巻回シートの製造方法)
本発明にかかる巻回シートにおいて、バリア層と任意の他の層とが積層された積層体の成形方法は、特に限定されず、例えば、ドライラミネート法、サンドラミネート法、又は共押フィルム成形法を用いてよい。なお、各層又は積層体として、市販のシート成形品をそのまま用いてもよい。
(剥離きっかけ)
本発明において、巻回シートが、易剥離シーラント層を更に有する場合、巻回シートの剥離の容易性を向上させる観点から、巻回シートは、剥離きっかけを有していてもよく、巻回シートにチューブ容器本体を軸とするらせん状のミシン目が設けられていてもよく、又は両者を兼備してよい。
巻回シートは、剥離きっかけを有していることによって、チューブ容器本体からより簡単に剥離することができる。特に、表面が金属の材料を含むチューブ容器本体の場合には、巻回シートは剥離きっかけを有していることが好ましい。
本発明において、剥離きっかけとしては、特に限定されず、例えば、以下のようなものであってよい:(i)チューブ容器本体の胴部に巻回シートをヒートシールする際に、巻回シートの易剥離シーラント層において、ヒートシールされていない領域若しくは他の領域よりも弱くヒートシールされている領域を剥離きっかけとすることができる;(ii)巻回シートの易剥離シーラント層の一部に、剥離ニス等の溶着阻害層を設けて、これを剥離きっかけとすることもできる。
また、巻回シートの剥離の容易性を向上させる観点から、剥離きっかけの少なくとも一部は、巻回シートのつなぎ目に存在していることが好ましい。ここで、巻回シートのつなぎ目とは、巻回シートをチューブ容器本体の胴部に巻回状にヒートシールする際に、巻回方向におけるシートの両端部の対向している部分又は重複している部分を指す。すなわち、この巻回シートの両端部は互いに、(i)一定の間隔を空けて配置されていてもよく、(ii)ぴったりとつながっていてもよく、又は(iii)重ね合わされていてもよい。例えば、易剥離シーラント層が剥離する際に層内で凝集破壊される易剥離シーラント層を有する場合には、つなぎ目は、上記(i)~(iii)のいずれの類型であってもよい。また、易剥離シーラント層が剥離する際に界面剥離する易剥離シーラント層を有する場合には、つなぎ目は、上記(i)又は(ii)の類型であることが好ましい。
(表示)
本発明において、巻回シートが、易剥離シーラント層を更に有する場合、巻回シートは、巻回シートが剥離可能である旨の表示を有してよい。より具体的には、巻回シートに、剥離可能であること、剥離方法、剥離して分別廃棄できること、又は剥離して特定の部分を用いて応募等ができること等の表示を表示してよい。このような表示によって、使用者等に便宜をもたらすことができる。
また、巻回シートは、重複部の近傍の巻き付け開始部の側を押圧することによって、チューブ容器本体から巻回シートを剥離可能である旨の表示を有することができる。
このような表示は表層を構成する1又は複数の層への印刷によって行うことができ、表示の形態は、文字のみによる表示であっても、記号、マーク等のみによる表示であっても、それらの組み合わせによる表示であってもよい。
〈チューブ容器本体〉
本発明において、チューブ容器は、医薬品、歯磨き粉、食品、化粧品、又は接着剤等の内容物を充填する容器として用いられる。特に、本発明において、チューブ容器は、酸素又は水分に感受性の食品、医薬品、歯磨き粉、化粧品、又は接着剤等の内容物を充填する容器として用いられ、それによって内容物が酸素又は水分の影響を比較的受けない状態を比較的長時間にわたって維持することができる。酸素又は水分に感受性の食品としては、特にわさび等の調味料を挙げることができる。
チューブ容器本体は、胴部及び注出口部を有する。また、デザインや実用性等に応じて、例えば、胴部と注出口部との間に肩部を更に有してもよい。例えば、図1に示されているように、チューブ容器本体50は、胴部20、肩部30、及び注出口部40を有する。
本発明において、チューブ容器本体は、ラミネートチューブであっても、単層又は多層の押出チューブであっても、単層又は多層のブローチューブであってもよい。また、チューブ容器本体を形成するための積層体又は単一層は、樹脂材料からなる層及び金属材料からなる層を含んでよい。なお、チューブ容器本体を形成するための層が複数である場合、各層は、同じ材料を含んでいてもよく、異なる材料を含んでいてもよい。
《巻回シート付きチューブ容器の製造方法》
本発明の巻回シート付きチューブ容器の製造方法は、特に限定されない。
したがって、例えば本発明の巻回シート付きチューブ容器は、チューブ容器本体及び巻回シートをそれぞれ用意し、そして、回転式熱ロールを用いて、巻回シートの最内層であるヒートシール層をチューブ容器本体の胴部に向き合わせて、熱圧着することによって、巻回シートをチューブ容器本体の胴部に巻回状にヒートシールして、製造できる。
熱圧着の際の温度は、特に限定されず、例えば100~300℃であってもよい。また、熱圧着の際の力は、特に限定されず、例えば5~20kgfであってよい。
最内層がヒートシール層ではない場合、接合は、粘着剤からなる粘着層、接着剤からなる接着層を用いて行うことができる。
以下では、実施例及び比較例を用いて本発明を説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
《実施例及び比較例》
実施例及び比較例の巻回シートとして、以下の層構成を有する積層体を準備した(なお、「//」は、ドライラミネート接着剤による接着を示す。)。ただし、比較例1では巻回シートを用いなかった。
〈実施例1A〉
PET層(12μm)/易剥離シーラント層(20μm)//AL層(9μm)//PET層(12μm)//LLDPE層(20μm) … 総厚73μm
〈実施例1B〉
PET層(12μm)//AL層(9μm)//PET層(12μm)/易剥離シーラント層(20μm) … 総厚53μm
〈比較例1〉
巻回シートなし
〈比較例2〉
LLDPE層(80μm) … 総厚80μm
〈比較例3〉
PET層(12μm)/易剥離シーラント層(30μm)/LDPE層(50μm) … 総厚92μm
上述した各層構成の詳細は、以下のとおりである:
PET層:ポリエチレンテレフタレート層
AL層:アルミニウム箔層
LDPE層: 低密度ポリエチレン層
易剥離シーラント層: 東レフィルム加工社製 7601EB(層内凝集破壊型ポリエチレン用イージーピールシーラント)
LLDPE層: 直鎖低密度ポリエチレン層
実施例及び比較例においてチューブ容器本体として用いたブローチューブの積層構成は、外側から内容物側に向かって下記のとおりである:
表側 LDPE層(100μm)/酸変性樹脂層(10μm)/EVOH層(20μm)/酸変性樹脂層(10μm)/LDPE層(100μm) 内容物側
上述した各層構成の詳細は、以下のとおりである:
LDPE層: 低密度ポリエチレン層
酸変性樹脂層: 酸変性ポリエチレン層
EVOH層: エチレンビニルアルコール樹脂層
〈巻回シート付チューブ容器の製造方法〉
上述したチューブ容器本体の胴部と約同寸の実施例及び比較例の巻回シートを、易剥離シーラント層を介して、回転式熱ロール(200℃)にチューブ容器を10kgfの力で押し付け熱圧着して、実施例及び比較例の巻回シート付きチューブ容器を作製した。
《評価》
〈巻回シート付きチューブ容器の使用性評価〉
実施例及び比較例の巻回シート付きチューブ容器に内容物としてのオレンジジュースを充填し、超音波シールで尻部端部を閉塞し、-20℃の冷凍庫に24時にわたって収容して、オレンジジュースを凍結させてシャーベット状にした。その後、実施例及び比較例の巻回シート付きチューブ容器をスクイズして内容物を絞り出し、使用性(スクイズ追従性)を下記の基準で評価した。
使用性の評価基準
A:巻回シートの浮き及び剥がれが発生しなかった。
B:巻回シートの浮き又は剥がれが発生した。
〈巻回シートの剥離性評価〉
使用性評価での評価方法でのようにして内容物を絞り出した後で、巻回シートを剥離し、巻回シートの剥離性を下記の基準に基づき評価した。
剥離性の評価基準
A:人の手作業で簡単に剥離できた。
B:剥離が困難であった。
〈巻回シート付きチューブ容器の分離廃棄性評価〉
巻回シート付きチューブ容器のチューブ容器本体と巻回シートとを分離して廃棄可能かどうかを、下記の基準に基づき評価した。
分離廃棄性の評価基準
A:チューブ容器本体から巻回シートの全体を分離して廃棄可能であった。
B:チューブ容器本体から巻回シートの一部を分離して廃棄可能であった。
C:チューブ容器本体と巻回シートとを分離して廃棄できなかった。
〈巻回シートのバリア性評価〉
上記製造方法で得た巻回シート付チューブ容器(実施例1、並びに比較例2及び3)、並びにチューブ容器本体(比較例1)の肩部から50mmをインパルスシーラー(FI-200-10W、富士インパルス株式会社)でシールし、口部から空気が入らないように酸素検知剤を満注量充填し、バリア性のあるトップシール蓋で密閉シールした。その後、酸素検知剤を満注量充填したチューブを40℃及び相対湿度75%で恒温恒湿槽に保管し経時で色の変化を確認した。
なお、酸素検知剤は、酸素が接触すると透明から青色に変色するものであり、具体的には、下記のようにして製造した。すなわち、0.04%メチレンブルー水溶液に1%となるようにグルコースを加え、1N水酸化ナトリウム水溶液で約pH10とした。得られた溶液をガラス瓶に入れ、95℃のウォーターバスで加熱し、溶液が青色から透明に変色後、寒天の濃度が2%となるように寒天末を少しずつ入れ、静かにかき混ぜながら完全に溶かした。
バリア性の官能評価基準
A:酸素検知剤が完全には変色していない。
B:酸素検知剤が完全には変色した。
〈評価結果〉
上記の評価の評価結果を下記の表1に示している。
Figure 2023171055000002
表1から明らかであるように、実施例1Aのチューブ容器では、巻回シートの剥離後に巻回シートのバリア層がチューブ容器本体上に残留していたので、巻回シート付きチューブ容器の分離廃棄性の評価が「B」であったものの、巻回シートの剥離性、巻回シート付きチューブ容器の使用性、絞り出し性、及びバリア性(巻回シートの剥離前及び剥離後)の評価が良好(「A」)であった。
また、表1から明らかであるように、実施例1Bのチューブ容器では、巻回シートの剥離後に巻回シートのバリア層がチューブ容器本体上に残留していなかったので、巻回シートの剥離のバリア性の官能評価が「B」であったものの、巻回シート付きチューブ容器の分離廃棄性、巻回シートの剥離性、巻回シート付きチューブ容器の使用性、絞り出し性、及びバリア性(巻回シートの剥離前)の評価が良好(「A」)であった。
これに対して、表1から明らかであるように、バリア層を有さない比較例1A~3のチューブ容器ではいずれも、バリア性(巻回シートの剥離前及び/又は剥離後)の評価が「B」であった。
《参考例1~6》
参考実施例及び参考比較例では、巻回シートを、易剥離シーラント層を介してチューブ容器本体の胴部に巻回状に接合することの効果について確認する。
参考例1~6の巻回シート用積層体として、以下の層構成を有する積層体を準備した(なお、「//」は、ドライラミネート接着剤による接着を示す。):
PETsiox(12μm)//inkPET(12μm)/ac剤/EMAA(20μm)/易剥離シーラント層(層内凝集破壊型の易剥離シーラント層)(20μm)
なお、この参考例1~6の易剥離シーラント層、すなわち巻回シートを剥離する際に層内で凝集破壊される層内凝集破壊型の易剥離シーラント層は、ポリエチレン用イージーピールシーラント(東レフィルム加工社製の7601EB)である。
参考例1~5のチューブ容器本体(ラミネートチューブ)の層構成は、以下のとおりである:
(表側)LLDPE(50μm)/LDPEf(100μm)/PET(12μm)/EMAA(30μm)/Al(9μm)/EMAA(30μm)/LLDPE(100μm)(内容物側)
参考例6のチューブ容器本体(ブローチューブ)の層構成は、以下のとおりである:
(表側)LDPE(100μm)/酸変性樹脂(10μm)/EVOH(20μm)/酸変性樹脂(10μm)/LDPE(100μm)(内容物側)
なお、上述した各層構成の略語の詳細は、以下のとおりである:
PETsiox:ケイ素酸化物が蒸着されたPET層
inkPET:印刷層付きPET層
ac剤:アンカーコート接着剤
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層
LDPEf:低密度ポリエチレン樹脂フィルム
PET:ポリエチレンテレフタレート層
EMAA:エチレン-メタクリル酸コポリマー
Al:アルミニウム箔層
LDPE:低密度ポリエチレン樹脂層
EVOH:エチレン-ビニルアルコール共重合体層
〈製造方法〉
参考例1~6において、上述したチューブ容器本体の胴部と約同寸の巻回シート用積層体を用いて、易剥離シーラント層を介して、回転式熱ロール(200℃)にチューブ容器を10kgfの力で押し付け熱圧着して、参考例1~6の巻回シート付きチューブ容器を作製した。
なお、参考例1~4及び6において、巻回シートに剥離きっかけ(未溶着部)を設けた。それぞれの剥離きっかけの場所は、図3の(a)~(d)に示されている。また、参考例5の態様は、図3の(e)に示されている。
《参考比較例1》
PET製シュリンクラベルを、参考例6のチューブ容器と同じブローチューブに巻き付けて、参考比較例1の巻回シート付きチューブ容器を作製した。
《評価》
上記の実施例及び比較例でのようにして、シートの剥離性及び使用感を評価した。
なお、各参考例及び参考比較例の巻回シート付きチューブ容器の構成及び評価結果は、表2に示す。
Figure 2023171055000003
表2から明らかであるように、参考例1~6の巻回シート付きチューブ容器いずれも巻回シートを剥離することができて、しかも使用感(スクイズ追従性)においても良好であることが分かった。特に、参考例1~4及び6では、剥離きっかけを有している巻回シートを用いることによって、簡単に巻回シートを剥離することができることが分かった。
《参考例7》
参考例7の巻回シート用積層体として、以下の層構成を有する積層体を準備した(なお、「//」は、ドライラミネート接着剤による接着を示す。):
紙(80g/m)//PET(12μm)/界面剥離型の易剥離シーラント層(20μm)/PE層(シーラント層)(30μm)
なお、参考例7の易剥離シーラント層は、界面剥離型の易剥離シーラント層及びポリエチレン層(シーラント層)を含む。この参考例7の易剥離シーラント層は、ブローチューブに熱溶着後、剥離させると、「界面剥離型の易剥離シーラント層/ポリエチレン層(シーラント層)」がチューブ容器本体の胴部に残し、「紙//PET」が剥がされることになる。
また、界面剥離型の易剥離シーラント層は、LDPEとCOCとの混合樹脂(LDPE:COC(混合質量比)=95:5)からなる層であり、LDPE(低密度ポリエチレン)として、ペトロセン226(東ソー株式会社製)を用いて、COC(付加重合による環状オレフィン系ランダム共重合体)として、アペル6013B(三井化学株式会社製)を用いた。
参考例7のチューブ容器本体(ブローチューブ)としては、参考例6と同じものを用いた。
参考例6の巻回シート付きチューブ容器と同様にして、参考例7の巻回シート付きチューブ容器を作製した。
《参考例6及び7の比較評価》
上述したように、参考例6では、易剥離シーラント層が層内凝集破壊型の易剥離シーラント層であり、また、参考例7では、易剥離シーラント層が界面剥離型の易剥離シーラント層を有する。以下では、参考例6及び7を用いて、剥離の類型が異なる場合の付加的な効果を比較した。
より具体的には、参考例6及び7の巻回シート付きチューブ容器のそれぞれに対して、剥離きっかけを介して巻回シートを剥離した。次に、それぞれのチューブ容器の「内容物の視認性」及び「絞り出しやすさ」を評価した。
〈内容物の視認性〉
巻回シートを剥離したチューブ容器の胴部の内容物の視認性は、JIS K 7361-1997に基づいて、ヘイズ値を求めて評価した。なお、ヘイズ値が小さいほど、透明性が高いことを意味し、すなわち、チューブ容器の胴部の内容物の視認性が高いことを意味する。評価の基準は下記のとおりであった。それぞれの結果は、表3に示す。
A:ヘイズ値が80%以上;
B:ヘイズ値が70%未満。
〈絞り出しやすさ〉
巻回シートを剥離したチューブ容器の胴部の絞り出しやすさは、人の手作業で、各チューブ容器内に充填された内容物(おろししょうが)を絞り出して、以下の基準に従い比較した。それぞれの結果は、表3に示す。
A:絞り出す際の手に対する滑りが良く、内容物をスムーズに絞り出すことができた;
B:絞り出す際の手に対する滑りが「A」に比べてやや劣り、内容物を絞り出す際に引っかかり感があった。
Figure 2023171055000004
表3から明らかであるように、内容物の視認性の観点からは、界面剥離型の易剥離樹脂を用いた参考例7は、層内凝集破壊型の易剥離樹脂を用いた参考例6の場合よりも優れており、すなわち、チューブ容器内に充填された内容物を確認しながら絞り出せるという追加的な効果が得られることが分かった。
また、絞り出しやすさの観点からは、層内凝集破壊型の易剥離樹脂を用いた参考例6は、界面剥離型の易剥離樹脂を用いた参考例7の場合よりも優れており、チューブ容器内に充填された内容物をより絞り出しやすいという追加的な効果が得られることが分かった。
1 バリア層
2a、2b 易剥離シーラント層
3 表層
10 巻回シート
20 チューブ容器本体の胴部
30 チューブ容器本体の肩部
40 チューブ容器本体の注出口部
50 チューブ容器本体
100 巻回シート付きチューブ容器

Claims (8)

  1. チューブ容器本体及び巻回シートを有する、巻回シート付きチューブ容器であって、
    前記巻回シートが、少なくともバリア層を有し、かつ前記チューブ容器本体の胴部に巻回状に接合されている
    巻回シート付きチューブ容器。
  2. 前記バリア層が、金属箔、金属又は金属化合物蒸着膜、ビニルアルコールポリマー系コーティング若しくはフィルム、ポリ塩化ポリビニリデン系コーティング若しくはフィルム、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の巻回シート付きチューブ容器。
  3. 前記巻回シートが、易剥離シーラント層を更に有する、請求項1又は2に記載の巻回シート付きチューブ容器。
  4. 前記巻回シートが、表層を更に有し、かつ
    前記バリア層が、前記チューブ容器本体と反対側の面において、前記易剥離シーラント層を介して、前記表層に接合されている、
    請求項3に記載の巻回シート付きチューブ容器。
  5. 前記バリア層が、前記易剥離シーラント層を介して、前記チューブ容器本体の胴部に接合されている、請求項3に記載の巻回シート付きチューブ容器。
  6. 前記巻回シートが、剥離きっかけを有している、請求項3~5のいずれか一項に記載の巻回シート付きチューブ容器。
  7. 前記巻回シートに、前記チューブ容器を軸とするらせん状のミシン目が設けられている、請求項3~6のいずれか一項に記載の巻回シート付きチューブ容器。
  8. 前記巻回シートは、前記巻回シートが剥離可能である旨の表示を有する、請求項3~7のいずれか一項に記載の巻回シート付きチューブ容器。
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