JP2023169920A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】間欠運転および間欠停止するエンジンにおけるエンジンオイルの燃料希釈量を的確に推定し、エンジンの燃費を改善することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】エンジンを間欠的に運転および停止するとともに、前記エンジンのエンジンオイルに混入して前記エンジンオイルを希釈する燃料の希釈量を求め、前記エンジンの停止中に、前記希釈量が閾値として定めた所定量を超えた場合に前記エンジンを始動するハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンの運転中に前記エンジンオイルから蒸発する前記燃料の量として第1蒸発量を算出または推定して、前記第1蒸発量に応じて前記希釈量を減算するとともに、前記エンジンの停止中に前記エンジンオイルから蒸発する前記燃料の量として第2蒸発量を算出または推定して、前記第2蒸発量に応じて前記希釈量を更に減算する(ステップS5)。
【選択図】図2
【解決手段】エンジンを間欠的に運転および停止するとともに、前記エンジンのエンジンオイルに混入して前記エンジンオイルを希釈する燃料の希釈量を求め、前記エンジンの停止中に、前記希釈量が閾値として定めた所定量を超えた場合に前記エンジンを始動するハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンの運転中に前記エンジンオイルから蒸発する前記燃料の量として第1蒸発量を算出または推定して、前記第1蒸発量に応じて前記希釈量を減算するとともに、前記エンジンの停止中に前記エンジンオイルから蒸発する前記燃料の量として第2蒸発量を算出または推定して、前記第2蒸発量に応じて前記希釈量を更に減算する(ステップS5)。
【選択図】図2
Description
この発明は、駆動力源としてエンジン(内燃機関)およびモータを搭載したハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
特許文献1には、エンジンオイルへの凝縮水の混入を抑制することを目的としたハイブリッド車両の制御装置に関する発明が記載されている。この特許文献1に記載されたハイブリッド車両の制御装置は、走行用の駆動力源として、内燃機関(エンジン)、および、モータを備え、エンジンを間欠運転(または、間欠停止)しながら走行するハイブリッド車両を制御の対象にしている。そして、その制御装置は、エンジンオイルに混入してそのエンジンオイルを希釈する希釈水分量を算出し、算出した希釈水分量が所定の閾値を超えた場合に、エンジンを運転するように構成されている。
上記の特許文献1に記載されているように、ハイブリッド車両に搭載されるエンジン(内燃機関)は、駆動力源としてモータと併用され、間欠的に運転および停止の状態が繰り返される。エンジンを停止してモータの出力によって走行するEV走行が多用されると、エンジンが暖機されにくくなり、エンジンを冷間始動する頻度が増加する。エンジンの冷間始動時には、エンジンのブローバイガスに含まれる水分が液化されやすくなり、その液化した水分(凝縮水)が、エンジンオイルに混入しやすくなる。一方、エンジンの暖機が進み、エンジンオイルの温度が上昇すると、エンジンオイルに混入した凝縮水が蒸発し、希釈水分量が減少しやすくなる。それに対して、上記の特許文献1に記載されたハイブリッド車両の制御装置では、エンジンオイルの希釈水分量が所定の閾値を超えた場合に、強制的に、エンジンが運転される。エンジンが運転されることにより、エンジンの暖機が促進され、エンジンオイルの温度が早期に上昇する。そのため、エンジンオイルに混入した凝縮水が蒸発しやすくなり、その結果、エンジンオイル内の凝縮水の増加を抑制できる。すなわち、凝縮水でエンジンオイルが希釈されてしまい、エンジンオイルの性能が低下してしまうこと、あるいは、エンジンオイルが劣化してしまうことを抑制できる。
上記のようにエンジンオイルが希釈されてしまう現象は、エンジンの燃料によっても起こり得る。すなわち、例えば、燃料噴射や未燃焼ガス中の燃料がエンジンのシリンダ内に流れ込むと、エンジンオイルに混入してしまい、エンジンオイルが希釈されてしまう。エンジンオイルに混入した燃料は、エンジンの運転時に、エンジンオイルの温度が上昇することによって蒸発する。したがって、上記のように、間欠的に運転および停止の状態が繰り返されるハイブリッド車両のエンジンでは、従来のエンジン車両のエンジンと比較して、冷間始動する頻度が高く、また、冷間状態(暖機が完了する前の状態)で運転される期間が長くなるので、エンジンオイルに混入した燃料が蒸発しにくくなる。そのため、エンジンオイルに混入した燃料の量(燃料希釈量)が増加して、エンジンオイルが、混入する燃料によって希釈されやすくなる。それに対して、上記の特許文献1に記載されたハイブリッド車両の制御装置でエンジンオイルの希釈水分量を考慮し、エンジンを運転する制御と同様に、エンジンオイルの燃料希釈量(推定値)が所定値を超えた場合にエンジンを運転し、エンジンオイル内に混入した燃料を蒸発させることにより、エンジンオイルの燃料希釈量の増加を抑制し、エンジンオイルの劣化を抑制できる。
但し、エンジンオイルの燃料希釈量の推定誤差が大きいと、エンジンオイル内に混入した燃料を蒸発させるために強制的にエンジンを始動する頻度が必要以上に増加してしまう。その結果、エンジンの燃費の悪化を招いてしまう場合がある。例えば、上記のようなハイブリッド車両においては、間欠的にエンジンの運転を停止している場合も、エンジンオイル内に混入した燃料の蒸発が発生する。ハイブリッド車両のエンジンにおける間欠的な運転(間欠運転)および停止(間欠停止)では、間欠停止を開始する際には、すなわち、間欠運転を停止した直後は、未だ、エンジンオイルの温度が高く、エンジンの運転の停止中であっても、エンジンオイルから燃料が蒸発する。そのようなエンジンの間欠停止中における燃料の蒸発分を考慮せずに、エンジンオイルの燃料希釈量を推定すると、実際よりも燃料希釈量を多く推定する誤差が大きくなってしまう。その結果、実際には必要ではない場合にも強制的にエンジンが運転されてしまい、エンジンの燃費が悪化してしまう。ひいては、ハイブリッド車両のエネルギ効率の低下を招いてしまうおそれがある。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、間欠的に運転または停止するエンジンにおけるエンジンオイルの燃料希釈量を的確に推定し、その推定に基づいてエンジンを適切に運転することにより、エンジンの燃費を改善することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、動力源として、エンジン、および、モータを備え、前記エンジンを間欠的に運転または停止するとともに、前記エンジンのエンジンオイルに混入して前記エンジンオイルを希釈する前記エンジンの燃料の量である希釈量を求め、前記エンジンの停止中に、前記希釈量が閾値として定めた所定量を超えた場合に前記エンジンを強制的に始動するハイブリッド車両の制御装置であって、前記エンジンを制御するコントローラを備え、前記コントローラは、前記希釈量を算出または推定し、前記エンジンの運転中に前記エンジンオイルから蒸発する前記燃料の量として第1蒸発量を算出または推定して、前記第1蒸発量に応じて前記希釈量を減算するとともに、前記エンジンの停止中に前記エンジンオイルから蒸発する前記燃料の量として第2蒸発量を算出または推定して、前記第2蒸発量に応じて前記希釈量を更に減算することを特徴とするものである。
なお、この発明における前記コントローラは、少なくとも、前記希釈量、前記エンジンオイルの温度、および、前記エンジンの運転時間に基づいて、前記第1蒸発量を算出または推定し、少なくとも、前記希釈量、前記エンジンオイルの温度、および、前記エンジンの停止時間に基づいて、前記第2蒸発量を算出または推定するように構成してもよい。
この発明は、エンジン、および、少なくとも一基のモータを動力源として搭載したハイブリッド車両を制御対象にしている。例えば、パラレル方式、および、シリーズ・パラレル方式(または、スプリット方式)のハイブリッド車両や、シリーズ方式のハイブリッド車両(または、いわゆるレンジエクステンダー搭載の電動車両)であってもよい。要するに、この発明は、モータと併用され、間欠的に、運転(間欠運転)、または、停止(間欠停止)の状態が繰り返されるエンジンを搭載した車両を制御対象にしている。そのような間欠運転または間欠停止が繰り返されるエンジンは、例えば、コンベンショナルなエンジン車両のエンジンと比較して、燃料がエンジンオイルに混入しやすい。そのため、この発明のハイブリッド車両の制御装置は、エンジンオイルに混入して、そのエンジンオイルを希釈してしまう燃料の量(希釈量)を求め、エンジンの間欠停止中に、希釈量が閾値として定めた所定量を超えた(すなわち、希釈量が所定量よりも多くなった)場合に、間欠停止中のエンジンを強制的に始動する。エンジンを始動してエンジンオイルの温度を上昇させることにより、エンジンオイルに混入した燃料を蒸発させて、希釈量を減少させることができる。
上記のようにしてエンジンを強制的に始動してエンジンオイル中の希釈量を減少させる一方で、希釈量の算出あるいは推定の精度が低いと、必要以上にエンジンを始動させることになり、その分、エンジンの燃費を悪化させてしまう。そこで、この発明のハイブリッド車両の制御装置は、上記のようなエンジンオイル中の希釈量を精度よく求めるために、エンジンの運転中および間欠停止中にエンジンオイルから蒸発する燃料の蒸発量を求め、その蒸発量を反映させて、エンジンオイル中の希釈量を算出または推定する。具体的には、エンジンの運転中にエンジンオイルから蒸発する燃料の量(第1蒸発量)が算出または推定され、その第1蒸発量が、エンジンオイル中の希釈量から減算される。更に、この発明のハイブリッド車両の制御装置では、エンジンの間欠停止中にエンジンオイルから蒸発する燃料の量(第2蒸発量)が算出または推定され、その第2蒸発量が、エンジンオイル中の希釈量から減算される。そのため、エンジンの運転中に蒸発する燃料の第1蒸発量に加え、エンジンの間欠停止中に蒸発する燃料の第2蒸発量も反映させて、エンジンオイル中の希釈量を精度よく求めることができる。
なお、上記のような第1蒸発量は、例えば、少なくとも、エンジンオイル中の希釈量、エンジンオイルの温度、および、エンジンの運転時間に基づいて、精度よく、算出または推定される。同様に、第2蒸発量は、例えば、少なくとも、エンジンオイル中の希釈量、エンジンオイルの温度、および、間欠停止時のエンジンの停止時間に基づいて、精度よく、算出または推定される。
したがって、この発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、間欠運転または間欠停止するエンジンにおけるエンジンオイル中の希釈量(混入した燃料の量)を的確に算出または推定し、その精度よく算出または推定された希釈量に基づいて、エンジンを適切に運転することができる。そのため、上記のような強制的なエンジンの始動が行われる頻度を、必要最低限に抑制することができ、それにより、エンジンの燃費を改善すること、または、エンジンの燃費を向上させることができる。ひいては、この発明で制御対象にするハイブリッド車両のエネルギ効率を向上させることができる。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
この発明の実施形態では、エンジン(内燃機関)、および、少なくとも一基のモータを動力源として搭載したハイブリッド車両を制御対象にしている。例えば、周知のパラレル方式のハイブリッド車両であってもよい。あるいは、シリーズ・パラレル方式(もしくは、スプリット方式)のハイブリッド車両であってもよい。例えば、前述した特許文献1の“図1”に示されているような、動力分割機構および減速機構を有するスプリット方式のハイブリッド車両であってもよい。あるいは、シリーズ方式のハイブリッド車両(もしくは、いわゆるレンジエクステンダー搭載の電動車両)であってもよい。要は、この発明の実施形態では、モータと併用され、間欠的に、運転(間欠運転)、および、停止(間欠停止)の状態が繰り返されるエンジンを搭載した車両を制御対象にしている。図1に、この発明の実施形態で制御の対象にする構成の一例を示してある。
図1に示す車両Veは、ハイブリッド車両であり、動力源(駆動力源)として、エンジン(ENG)1、第1モータ(MG1)2、および、第2モータ(MG2)3を備えている。図1は、前述の特許文献1の“図1”に示されている、いわゆるスプリット方式のハイブリッド車両の構成を再掲したものであり、車両Veは、上記の駆動力源と共に、主要な構成要素として、動力分割機構4、減速機構5、検出部6、および、コントローラ(ECU)7を備えている。
エンジン1は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど、燃料を燃焼させて動力(機械的エネルギ)を得る内燃機関であり、出力の調整、ならびに、始動および停止などの作動状態を電気的に制御するように構成されている。ガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量または噴射量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。また、ディーゼルエンジンであれば、燃料の噴射量、燃料の噴射時期、あるいは、(EGRシステムにおける)スロットルバルブの開度などが電気的に制御される。
第1モータ2は、エンジン1が出力するトルクを受けて駆動されることにより電力を発生する発電機としての機能も有している。すなわち、第1モータ2は、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第1モータ2には、インバータ(図示せず)を介して、バッテリ(図示せず)が接続されている。したがって、第1モータ2を発電機として機能させ、その際に発生する電力をバッテリに蓄えることができる。また、バッテリに蓄えられている電力を第1モータ2に供給し、第1モータ2を原動機として機能させて駆動トルクを出力することもできる。
第2モータ3は、例えば、後述する減速機構5を介して、駆動輪8(例えば、車両Veの前輪)に動力伝達可能に連結されている。第2モータ3は、外部からトルクを受けて駆動されることによって電力を発生する発電機としての機能も有している。すなわち、第2モータ3は、上記の第1モータ2と同様に、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第2モータ3には、インバータ(図示せず)を介して、バッテリ(図示せず)が接続されている。したがって、バッテリに蓄えられている電力を第2モータ3に供給し、第2モータ3を原動機として機能させて駆動トルクを出力することができる。また、駆動輪8から伝達されるトルクによって第2モータ3を発電機として機能させて、その際に発生する回生電力をバッテリに蓄えることもできる。さらに、第1モータ2および第2モータ3は、インバータを介して、互いに電力の授受が可能なように接続されている。そのため、例えば、第1モータ2で発生した電力を、直接、第2モータ3に供給し、第2モータ3で駆動トルクを出力することも可能である。
動力分割機構4は、ハイブリッド車両用の周知の動力伝達装置であり、少なくとも、入力要素、出力要素、および、反力要素の三つの回転要素を有する“遊星歯車機構”によって構成されている。具体的には、動力分割機構4は、サンギヤ4a、リングギヤ4b、および、キャリア4cを有する“シングルピニオン形式の遊星歯車機構”によって構成されている。サンギヤ4aは、反力要素として、第1モータ2の回転軸2aに連結されている。リングギヤ4bは、出力要素として、外周部分に外歯歯車の出力ギヤ9が形成されている。そして、キャリア4cは、入力要素として、ダンパ機構10を介して、エンジン1の出力軸1aに連結されている。
減速機構5は、サンギヤ5a、リングギヤ5b、および、キャリア5cを有する“シングルピニオン形式の遊星歯車機構”によって構成されている。サンギヤ5aは、第2モータ3の回転軸3aに連結されている。リングギヤ5bは、動力分割機構4のリングギヤ4bと一体に形成されており、動力分割機構4のリングギヤ4bと共に、外周部分に外歯歯車の出力ギヤ9が形成されている。キャリア5cは、ケース(図示せず)等に回転不可能なように固定されている。そして、減速機構5は、サンギヤ5aすなわち第2モータ3の回転軸3aの回転数に対して、リングギヤ5bすなわち出力ギヤ9の回転数が減速されるように構成されている。したがって、減速機構5は、第2モータ3の出力トルクを増幅して出力ギヤ9に伝達する。出力ギヤ9は、減速ギヤ11、デファレンシャルギヤ12、および、ドライブシャフト13を介して、駆動輪8に連結されている。
検出部6は、車両Veを制御する際に必要な各種のデータや情報を取得するための機器あるいは装置であり、例えば、電源部、マイクロコンピュータ、センサ、および、入出力インターフェース等を含む。特に、この発明の実施形態における検出部6は、間欠運転または間欠停止するエンジン1を制御するための各種データを検出する。例えば、検出部6は、エンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ6a、エンジン1の出力トルクを検出するエンジントルクセンサ6b、エンジンオイル(図示せず)の温度を検出する油温センサ6c、および、エンジン1の運転状態や制御の経過時間あるいは継続時間等を検出するタイマー6dなどの各種センサ・機器を有している。そして、検出部6は、後述するコントローラ7と電気的に接続されており、上記のような各種センサや機器・装置等の検出値または算出値に応じた電気信号を検出データとしてコントローラ7に出力する。
コントローラ7は、例えば、マイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置であり、この発明の実施形態におけるコントローラ7は、主に、間欠運転または間欠停止するエンジン1の動作を制御する。コントローラ7には、上記の検出部6で検出または算出された各種データが入力される。コントローラ7は、入力された各種データおよび予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行う。そして、コントローラ7は、その演算結果を制御指令信号として出力し、上記のようなエンジン1の動作等を制御するように構成されている。なお、図1では一つのコントローラ7が設けられた例を示しているが、コントローラ7は、制御する装置や機器毎に、あるいは制御内容毎に、複数設けられていてもよい。
上記のような車両Ve、すなわち、“ハイブリッド車両”に搭載されるエンジン1は、走行状態や各モータ2,3の運転状態等に応じて、間欠的に運転および停止の状態になる。すなわち、間欠運転および間欠停止するように制御される。そのような間欠運転および間欠停止が繰り返されるエンジン1は、前述したように、例えば、コンベンショナルな“エンジン車両”に搭載される従来の“エンジン”と比較して、エンジンオイルに混入する燃料が増加しやすい。あるいは、エンジンオイルに混入した燃料が蓄積しやすい。エンジンオイルに混入した燃料は、エンジンの運転時に、エンジンオイルの温度が上昇することによって蒸発する。それに対して、上記のように、間欠的に運転および停止の状態が繰り返される“ハイブリッド車両”の“エンジン”は、従来の“エンジン車両”の“エンジン”と比較して、冷間始動する頻度が高く、また、暖機が完了する以前の冷間状態で運転される期間が長くなるので、エンジンオイルに混入した燃料が蒸発しにくくなる。その結果、エンジンオイルに混入する燃料が増加または蓄積して、エンジンオイルが、燃料によって希釈されやすくなる。そのようにして、エンジンオイルに混入する燃料が増加し、その燃料によってエンジンオイルが希釈されてしまうと、エンジンオイルの性能が低下してしまう、あるいは、エンジンオイルが劣化してしまう。
そのため、この発明の実施形態におけるハイブリッド車両の制御装置は、エンジンオイルに混入して、そのエンジンオイルを希釈してしまう燃料の量(希釈量)を求め、エンジン1の間欠停止中に、希釈量が閾値として定めた所定量を超えた場合、すなわち、希釈量が所定量よりも多くなった場合に、間欠停止中のエンジン1を強制的に始動する。エンジン1を運転してエンジンオイルの温度を上昇させることにより、エンジンオイルに混入した燃料を蒸発させて、希釈量を減少させることができる。
但し、エンジン1を始動する際の判断材料となる希釈量の算出精度あるいは推定精度が低いと、実際にはエンジン1を始動する必要のない状態であっても、エンジン1を強制始動させてしまう可能性がある。その結果、エンジン1の燃費を悪化させてしまう。そこで、この発明の実施形態におけるハイブリッド車両の制御装置では、上記のようなエンジンオイル中の希釈量を精度よく求めるために、エンジン1の運転中に加えて、間欠停止中にエンジンオイルから蒸発する燃料の蒸発量を求め、その蒸発量を反映させて、エンジンオイル中の希釈量を算出または推定する。そのような制御の具体的な例を、図2のフローチャートに示してある。
図2のフローチャートにおいて、先ず、ステップS1では、エンジン1が始動されたか否かが判断される。未だ、エンジン1が始動されていないことにより、このステップS1で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、この図2のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
それに対して、エンジン1が始動されたことにより、ステップS1で肯定的に判断された場合には、ステップS2へ進む。
ステップS2では、前回の希釈量が読み込まれる。具体的には、前回のルーチンで算出(推定)されたエンジンオイル中の希釈量、すなわち、エンジンオイルに混入してエンジンオイルを希釈したと推定される燃料の量が読み込まれる。初回のルーチンでは、希釈量として“0”が読み込まれる。
続いて、ステップS3では、エンジン1が連続運転中であるか否かが判断される。エンジン1の連続運転の状態は、間欠停止の状態ではなく、エンジン1が運転されている状態であり、上記のステップS1でエンジン1が始動されたことを判断した後に、未だ、エンジン1が停止していない場合、エンジン1は連続運転中であると判断される。エンジン1が連続運転中であることにより、このステップS3で肯定的に判断された場合は、ステップS4へ進む。
ステップS4では、エンジン1の連続運転中にエンジンオイルから蒸発する燃料の蒸発量(第1蒸発量)が算出される。具体的には、上記のステップS2で読み込まれた希釈量、エンジンオイルの温度、および、エンジン1の運転時間(運転状態の継続時間)に基づいて、第1蒸発量が推定される。例えば、一定の希釈量の下で、連続運転中のエンジンオイルの温度が相対的に低い場合よりも、エンジンオイルの温度が相対的に高い場合の方が、第1蒸発量が多くなると推定される。また、連続運転中のエンジン1の運転時間が長いほど、第1蒸発量が多くなると推定される。なお、初回のルーチンでは、上記のように希釈量が“0”であることから、第1蒸発量も“0”と算定される。
続いて、ステップS5では、前回の希釈量に対して減算処理が施される。具体的には、上記のステップS2で読み込まれた希釈量から、上記のステップS4で推定された第1蒸発量が減算される。すなわち、エンジン1の運転中に蒸発する燃料分(第1蒸発量)を考慮して、エンジンオイル中の希釈量が更新される。そのため、エンジン1を強制始動する際の判断材料となる希釈量を、第1蒸発量を適切に反映させて、精度よく求めることができる。なお、初回のルーチンや、未だ、後述する第2蒸発量が算定されていない時点では、上記のような第1蒸発量だけを反映させて、エンジンオイル中の希釈量が更新される。後述するように、第2蒸発量が算定されている場合には、上記の第1蒸発量と共に、その第2蒸発量も併せて、エンジンオイル中の希釈量から減算される。
このステップS5で、エンジン1の運転中に蒸発する第1蒸発量を考慮して、エンジンオイル中の希釈量に対する減算処理が行われ、その希釈量が更新されると、この図2のフローチャートで示すルーチンを一旦終了する。
一方、エンジン1が連続運転中ではない、すなわち、エンジン1が間欠停止中であることにより、前述のステップS3で否定的に判断された場合には、ステップS6へ進む。
ステップS6では、エンジン1の間欠停止中にエンジンオイルから蒸発する燃料の蒸発量(第2蒸発量)が算出される。具体的には、上記のステップS2で読み込まれた希釈量、エンジンオイルの温度、および、エンジン1の停止時間(間欠停止状態の継続時間)に基づいて、第2蒸発量が推定される。例えば、一定の希釈量の下で、間欠停止中のエンジンオイルの温度が相対的に低い場合よりも、エンジンオイルの温度が相対的に高い場合の方が、第2蒸発量が多くなると推定される。また、間欠停止中のエンジン1の停止時間が長いほど、第2蒸発量が多くなると推定される。
このステップS6で第2蒸発量が算出されると、その第2蒸発量が記憶されるとともに、前述したステップS5の希釈量に対する減算処理における減算分に加算される。そして、前述のステップS3へ戻り、そのステップS3以降の制御が従前と同様に実行される。すなわち、エンジン1の間欠停止が行われ、このステップS6で第2蒸発量が算出された場合は、ステップS5において、エンジンオイル中の希釈量から、第1蒸発量と共に、第2蒸発量が減算される。
なお、上記の図2のフローチャートにおけるステップS6で示した制御は、図3のフローチャートにおけるステップS6で示すように実行してもよい。すなわち、ステップS6で第2蒸発量が算出された後に、前述のステップS5へ進む。そして、ステップS5で、第1蒸発量と共に、第2蒸発量が減算される。そのようにして希釈量に対する減算処理を実施した場合も、上記の図2のフローチャートで示した例と同様に、エンジンオイル中の希釈量を精度よく推定することができる。
従来の制御では、例えば、図4の(a)に示すように、エンジン1の間欠停止中にエンジンオイルから蒸発する燃料の量、すなわち、第2蒸発量は考慮されていない。そのため、図4の(b)に示すように、実際にエンジンオイルから蒸発する燃料の量と、推定した燃料の蒸発量との差が大きくなっている。それに対して、この発明の実施形態におけるハイブリッド車両の制御装置では、図5の(a)に示すように、エンジン1の運転時に、エンジン1の間欠停止中にエンジンオイルから蒸発した燃料が加味されて、燃料の蒸発量が推定される。すなわち、上記のような第2蒸発量が考慮されて、燃料の蒸発量が推定される。そのため、図5の(b)に示すように、実際にエンジンオイルから蒸発する燃料の量と、推定した燃料の蒸発量との差が小さくなっている。すなわち、エンジンオイル中の希釈量を求めるための燃料の蒸発量が、精度よく推定されている。
したがって、この発明の実施形態におけるハイブリッド車両の制御装置によれば、間欠運転または間欠停止するエンジン1におけるエンジンオイル中の希釈量(エンジンオイルに混入した燃料の量)を精度よく算出または推定することができる。そして、そのような精度よく算出または推定された希釈量に基づいて、エンジン1を適切に運転することができる。そのため、上記のような強制的なエンジン1の始動が行われる頻度を、必要最低限に抑制することができ、それにより、エンジン1の燃費を改善すること、または、エンジン1の燃費を向上させることができる。ひいては、この発明の実施形態において制御対象にする車両Veのエネルギ効率を向上させることができる。
1 エンジン(ENG)
1a (エンジンの)出力軸
2 第1モータ(MG1)
2a (第1モータの)回転軸
3 第2モータ(MG2)
3a (第2モータの)回転軸
4 動力分割機構
4a (動力分割機構の)サンギヤ
4b (動力分割機構の)リングギヤ
4c (動力分割機構の)キャリア
5 減速機構
5a (減速機構の)サンギヤ
5b (減速機構の)リングギヤ
5c (減速機構の)キャリア
6 検出部
6a (検出部の)エンジン回転数センサ
6b (検出部の)エンジントルクセンサ
6c (検出部の)油温センサ
6d (検出部の)タイマー
7 コントローラ(ECU)
8 駆動輪
9 出力ギヤ
10 ダンパ機構
11 減速ギヤ
12 デファレンシャルギヤ
13 ドライブシャフト
Ve 車両(ハイブリッド車両)
1a (エンジンの)出力軸
2 第1モータ(MG1)
2a (第1モータの)回転軸
3 第2モータ(MG2)
3a (第2モータの)回転軸
4 動力分割機構
4a (動力分割機構の)サンギヤ
4b (動力分割機構の)リングギヤ
4c (動力分割機構の)キャリア
5 減速機構
5a (減速機構の)サンギヤ
5b (減速機構の)リングギヤ
5c (減速機構の)キャリア
6 検出部
6a (検出部の)エンジン回転数センサ
6b (検出部の)エンジントルクセンサ
6c (検出部の)油温センサ
6d (検出部の)タイマー
7 コントローラ(ECU)
8 駆動輪
9 出力ギヤ
10 ダンパ機構
11 減速ギヤ
12 デファレンシャルギヤ
13 ドライブシャフト
Ve 車両(ハイブリッド車両)
Claims (1)
- 動力源として、エンジン、および、モータを備え、前記エンジンを間欠的に運転および停止するとともに、前記エンジンのエンジンオイルに混入して前記エンジンオイルを希釈する前記エンジンの燃料の量である希釈量を求め、前記エンジンの停止中に、前記希釈量が閾値として定めた所定量を超えた場合に前記エンジンを始動するハイブリッド車両の制御装置であって、
前記エンジンを制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記希釈量を算出または推定し、
前記エンジンの運転中に前記エンジンオイルから蒸発する前記燃料の量として第1蒸発量を算出または推定して、前記第1蒸発量に応じて前記希釈量を減算するとともに、
前記エンジンの停止中に前記エンジンオイルから蒸発する前記燃料の量として第2蒸発量を算出または推定して、前記第2蒸発量に応じて前記希釈量を更に減算する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022081254A JP2023169920A (ja) | 2022-05-18 | 2022-05-18 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022081254A JP2023169920A (ja) | 2022-05-18 | 2022-05-18 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023169920A true JP2023169920A (ja) | 2023-12-01 |
Family
ID=88928268
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022081254A Pending JP2023169920A (ja) | 2022-05-18 | 2022-05-18 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023169920A (ja) |
-
2022
- 2022-05-18 JP JP2022081254A patent/JP2023169920A/ja active Pending
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