JP2023164096A - 信号伝送装置及び信号伝送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】異なるバイアス電圧が印加されたことによるP側、N側に実装された電子部品の電気特性ばらつきによるモード変換ロスの増加を抑制する。【解決手段】差動伝送を行う信号伝送装置において、差動伝送にかかる各種情報の処理を行う情報処理回路9と、第1の信号配線に第1の印加電圧を出力し、第2の信号配線に第2の印加電圧を出力する電圧出力回路を有する電源回路30と、を備え、情報処理回路9は、電源回路30が印加する第1の印加電圧と第2の印加電圧のうちの少なくともいずれか一方の指示値を決定し、決定した指示値を電源回路30へ送出する出力電圧決定部41を有し、電源回路30は、受信した指示値を反映した第1の印加電圧及び第2の印加電圧が、第1の信号配線及び第2の信号配線に出力されるように、電圧出力回路のパラメータを調整する出力電圧調整機能42を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、信号伝送装置及び信号伝送システムに関する。
近年、車両に搭載される電子装置間での信号伝送において、ツイストペアケーブルを用いた信号伝送の高速化が進んでいる。例えば、車載イーサネットでは、これまでの中心であった100Mbpsを伝送する100BASE-T1や1Gbpsを伝送する1000BASE-T1から、数Gbps以上の伝送を可能とするマルチギガビット・イーサネット(登録商標)や25GBASE-T1まで規格化が進んでいる。さらに、カメラ通信向けの通信規格であるMIPI A-Phyにおいても、Gbps以上の伝送速度の規格化が進んでいる。
このような車載ケーブル伝送の高速化により課題となるのは、高周波化に伴うEMC(Electromagnetic Compatibility)性能の維持である。信号伝送に用いられる電流スペクトルが、GHz帯を超える高周波領域まで大きいレベルで存在するため、この高周波帯の放射を抑制する必要がある。また、それと同時に、通信LSI(Large-Scale Integration)がGHz帯まで信号を授受する感度を有するため、GHz帯のノイズの回り込みも抑制する必要がある。
差動方式による信号伝送では、理想的には差動伝送路(差動配線)を構成するPositive側(以下「P側」)の伝送路とNegative側(以下「N側」)の伝送路が電気的に対称となっている。これにより、差動伝送路に逆相の電流が流れた場合、それぞれの伝送路(信号配線)に電流が流れるときに生じる磁界をキャンセルすることができ、放射を抑制することができる。また、両者の信号配線に共通のノイズ(コモンモードノイズ)が重畳したときに、差動レシーバでキャンセルすることができ、外来ノイズに対する耐性を向上することができる。
しかしながら、差動伝送路を構成するP側信号配線及びN側信号配線において、様々な要因により生じる電気特性ばらつきによって差動バランスが乱れる。差動バランスが乱れることで、この差動伝送のメリットを享受できなくなり、EMC性能が悪化する。この差動伝送路の電気特性ばらつきの度合いはモード変換ロスで定義され、特に100MHz以上の高周波領域において、EMC性能の判断基準として用いられる。モード変換ロスは、差動配線において、差動モードがコモンモードに変換される量、あるいはコモンモードが差動モードに変換される量を表すものである。モード変換ロスが大きいと意図しないコモンモード成分の発生による放射ノイズの増加や、コモンモード成分が差動成分に変換されることによるノイズ耐性の劣化が発生してしまう。
本発明に関する背景技術として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、電子装置間をツイストペアケーブルで接続し、ツイストペアケーブルに差動信号と電源とを重畳させて伝送するシステム(Power over Data Line:PoDL)が開示されている。このシステムでは、信号ライン上に直流カット用のコンデンサを配置し、また電源ライン上にはコモンモードチョークコイルやインダクタ等のフィルタ素子をPoDLフィルタとして挿入している。これにより、フィルタ素子の周波数範囲に応じて差動信号と電源の分離を行っている。
米国特許第10/594,519号明細書
特許文献1に記載の技術は、通信回路とツイストペアケーブルの間にフィルタ素子を配置することにより、配線基板上の通信回路からツイストペアケーブルへのコモンモードノイズの漏洩を低減するとともに、ツイストペアケーブルが拾ったコモンモードノイズが配線基板上の通信回路まで伝搬されることを抑制するものである。
しかし、伝送系を構成する電子部品においてP側とN側間でグランドとの電位差が異なるバイアス電圧が印加されることで電気特性のアンバランスが生じた場合に、伝送路のモード変換ロスが大きくなり、EMC性能を悪化させてしまうことがある。例えば、P側、N側それぞれの信号配線に実装される静電保護素子はDCバイアスの大きさに応じて寄生容量成分が低下することがある。特に高周波では、この寄生容量のばらつきが、モード変換ロスの増加に寄与することが課題であった。なお、モード変換ロスは、ミクスドモードSパラメータ(Mixed Mode S-Parameter)による伝送路の電気特性を表すパラメータ群の中の「Scd」の項で表現されるものである。
上記の状況から、異なるバイアス電圧が印加されたことによるP側、N側それぞれに実装された電子部品の電気特性ばらつきによるモード変換ロスの増加を抑制する手法が要望されていた。
上記課題を解決するために、本発明の一態様の信号伝送装置は、差動配線を構成する第1の信号配線及び第2の信号配線と、差動配線に差動信号を伝えるための通信回路と、この通信回路と接続されて各種情報の処理を行う情報処理回路と、第1の信号配線と接地配線の間に配置される第1の電子部品と、第2の信号配線と接地配線の間に配置される第2の電子部品と、第1の信号配線に第1の印加電圧を出力し、第2の信号配線に第2の印加電圧を出力する電圧出力回路を有する電源回路と、この電源回路と第1の信号配線及び第2の信号配線の各々との間に配置されるフィルタ部品と、を備える信号伝送装置である。
上記情報処理回路は、電源回路が印加する第1の印加電圧と第2の印加電圧のうちの少なくともいずれか一方の指示値を決定し、決定した指示値を電源回路へ送出する出力電圧決定部を有する。
上記電源回路は、出力電圧決定部から受信した指示値を反映した第1の印加電圧及び第2の印加電圧が、第1の信号配線及び第2の信号配線に出力されるように、電圧出力回路のパラメータを調整する出力電圧調整機能を有する。
本発明の少なくとも一態様によれば、差動配線に異なるバイアス電圧が印加されたことによるP側、N側それぞれに実装された電子部品の電気特性ばらつきによるモード変換ロスの増加を抑制することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。 従来の信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。 電源回路の出力電圧へのバイアス印加(出力電圧調整)の有無によるモード変換ロス性能の変化の例を示すグラフである。 静電保護素子の寄生容量のバイアス電圧依存性を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムの構成例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。 本発明の第6の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムの構成例を示す図である。 本発明の第6の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置が備える差動-シングルエンド変換回路の構成例を示す図である。 本発明の第7の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。 本発明の第8の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。 本発明の第9の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。 本発明の第10の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムにおいて出力電圧範囲を決定するプロセスの例を示す図である。 本発明の第10の実施形態に係る信号伝送装置を用いて得られるデータセットの例を示す図である。 本発明の第10の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置におけるノイズ量-バイアス電圧関係データ取得処理の手順例を示すフローチャートである。 本発明の第11の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置のノイズ量把握部でノイズ量を把握するための構成例と機能を示す図である。 本発明の第12の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置のノイズ量把握部でノイズ量を把握するための構成例と機能を示す図である。 本発明の第13の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムにおいてノイズ量を把握するプロセスの例を示す図である。 本発明の第14の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムと診断サーバを含むソリューションシステムの構成例を示す図である。 本発明の第14の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムで得られるデータセット及び上限バイアス電圧の予想曲線の例を示す図である。 本発明の第14の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムと診断サーバを含むソリューションシステムによるメンテナンス必要情報通知処理の手順例を示すフローチャートである。 本発明の第15の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムを含むソリューションシステムによるメンテナンス必要情報通知処理の他の手順例を示すフローチャートである。 本発明の第16の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の情報処理LSIの機能構成例を示すブロック図である。 本発明の第17の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムとOTAサーバと診断サーバを含むソリューションシステムの構成例を示す図である。 本発明の第17の実施形態におけるソリューションシステムの活用方法の例を示す図である。 本発明の各実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置、診断サーバ、及びOTAサーバの計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
以下の明細書中の記載及び図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
図面において示す回路構成、機能ブロックなどは、発明の理解を容易にするため、全ての回路要素、配線、機能ブロックなどを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された回路要素、回路配置、配線、機能ブロックなどに限定されない。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。
図1に示す電子装置1は、ケーブルコネクタ16を介して一対の電線からなるケーブル(例えば、図5のツイストペアケーブル8)に繋がれ、外部の他の電子装置(例えば、図5の電子装置1-2)と接続されて、信号伝送が行われる。電子装置1は、ケーブルコネクタ16に接続された差動配線5を介して他の電子装置との間で差動伝送による通信を行う通信LSI2(通信回路の一例)を備える。通信LSI2とケーブルコネクタ16の間は、プリント配線基板上にレイアウトされた差動配線5で接続される。差動配線5は、P側信号配線6(正側信号配線)とN側信号配線7(負側信号配線)の対で構成される。
また、通信LSI2は、情報処理LSI9(情報処理回路の一例)と接続されている。情報処理LSI9は、通信LSI2とデータをやり取りして各種情報の処理を行う。通信LSI2は、出力電圧決定部41を備える。出力電圧決定部41は、電源回路30がP側信号配線6に印加する電圧と、N側信号配線7に印加する電圧のうちの少なくともいずれか一方の指示値を決定し、決定した指示値を電源回路30へ送出する。
さらに、電子装置1は、差動配線5のP側信号配線6とN側信号配線7に電源を重畳するための電源回路30と、電源重畳フィルタ10とを備える。例えば、電源回路30は、DC/DCコンバータを備えた電源ICとして構成することができる。本実施形態では、電源回路30は、P側信号配線6とN側信号配線7に電源として重畳する電圧を生成・出力する電圧出力回路(図示略)と、当該電圧出力回路の出力電圧を調整するための指示値を出力する出力電圧調整機能42を備える。電源回路30において、入力端子VINとグランド端子GND間に、バッテリ電圧Vbatが印加される。電圧出力回路は、バッテリ電圧Vbatを利用して差動配線5に電源として重畳する電圧を生成する。電圧出力回路は、生成したP側用の電圧を出力端子VOUTPから電源重畳フィルタ10のP側端子に出力し、生成したN側用の電圧を出力端子VOUTNから電源重畳フィルタ10のN側端子に出力する。
電源重畳フィルタ10は、電源が重畳される電源ラインと信号が伝送される信号ラインを接続する機能を持つ。例えば、電源重畳フィルタ10は、PoDLフィルタを用いて構成することができる。
通信LSI2とケーブルコネクタ16の間、すなわち差動配線5上には、DC電位をカットするためのAC結合キャパシタ14P,14N、及び、通信LSI2に流入したEMC性能を劣化させるコモンモードノイズを低減するためのコモンモードチョークコイル(CMCC)15が接続されている。また、P側信号配線6とグランド配線との間には、静電破壊を回避するための静電保護素子17Pが実装され、N側信号配線7とグランド配線との間には、静電保護素子17Nが実装される。
なお、図1に示した構成は一般的な回路構成であり、ここに記載されている以外の構成要素(例:コモンモード終端部品、フィルタ部品など)が追加されてもよく、また、ここに記載されている電子部品の一部が構成要素に含まれない場合もある。また、回路構成の配置が異なる場合もある。例えば、回路構成の配置が異なる場合とは、PoDLフィルタがコモンモードチョークコイルとAC結合キャパシタの間に挿入されるなどの場合である。
本発明の第1の実施形態に係る電子装置1の構成要素の特徴は、電源回路30に出力電圧調整機能42が設けられ、情報処理LSI9に出力電圧調整機能42で調整される電圧の電圧値を決定するための出力電圧決定部41が設けられていることである。
[従来の電子装置]
図2は、従来の信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。
図2に示した従来の電子装置100の構成では、情報LSI90と電源回路91を備える。電子装置100のそれ以外の構成は、図1に示した電子装置1と同じである。すなわち、従来の電子装置100は、電子装置1の電源回路30に実装された出力電圧調整機能42と情報処理LSI9に実装された出力電圧決定部41、この2つの構成要素を備えていない。なお、電子装置100の電源回路91は、一つの入力端子VINと、一つの出力端子VOUTと、グランド端子GNDを備える。そして、電源回路30の出力端子VOUTと電源重畳フィルタ10のP側端子が接続され、電源回路30のグランド端子GNDと電源重畳フィルタ10のN側端子が接続されている。
ところで、電子装置1の伝送路のEMC性能を表す指標としてモード変換ロスがある。EMC性能の評価手段としては、ネットワークアナライザを活用してケーブルコネクタ16から測定したモード変換ロス「Scd,11」を測定する方法が一般的である。「Scd,11」は、入力端子に入力した信号が差動モードで、出力端子からの出力がコモンモード(同相モード)の場合を表している。測定した「Scd,11」の値が目標値よりも小さいかを確認することで、EMC性能の合否を判定することができる。このような電子装置の例としては、自動車の自動運転用電子制御装置(AD-ECU)や先進運転支援システム用電子制御装置(ADAS-ECU)がある。
なお、本明細書では、本発明が適用された電子装置として車載機器を前提に説明するが、本発明は同様な通信システムを利用する他の形態にも活用できる。例えば、本発明は、産業用ロボットと電子カメラの間の通信でも同様に効果を発揮することが可能である。
図3は、電源回路30の出力電圧へのバイアス印加(出力電圧調整)の有無によるモード変換ロス性能の変化の例を示すグラフである。横軸は伝送信号の周波数[MHz]、縦軸はモード変換ロス[dB]を表す。
図4は、静電保護素子の寄生容量のバイアス電圧依存性を示すグラフである。横軸は静電保護素子に対するバイアス電圧[V]、縦軸は寄生容量比率[%]を表す。
例えば、電源回路30により差動配線5のP側にのみ10Vの直流バイアス電圧(DC電圧)が重畳された場合、差動配線5のP側、N側に接続された静電保護素子17P,17Nにはそれぞれグランドに対して10V、0VのDC電圧が印加された状態となる。この時、対象の静電保護素子17P,17Nが図4のような寄生容量のバイアス電圧依存性を有すると仮定すると、P側の静電保護素子17Pの寄生容量のみが約2%低下することになる。これにより、P側の静電保護素子17PとN側の静電保護素子17Nとで寄生容量のばらつきΔCが発生してしまい、図3に破線で示す「バイアス印加(調整無し)」のような特性曲線となる。「バイアス印加(調整無し)」のような特性の場合、モード変換ロスが実線で示した目標値を上回り、ノイズ性能が悪化することが考えられる。
そこで、本発明では、出力電圧調整機能42において電源回路30の出力電圧を調整することで、差動配線5のモード変換ロスを低減する。例えば、出力電圧調整機能42が差動配線5のP側のみの出力電圧を調整する機能を有する場合には、出力電圧調整機能42は、静電保護素子17Pの寄生容量が大きくなるように、出力電圧範囲として事前に定義されている電圧値の範囲の中でP側信号配線6に接続されている電源回路30の出力電圧を下げる。ただし、出力電圧調整機能42が、N側の出力電圧を調整する機能を有してもよいことは勿論である。
出力電圧調整機能42は、外部装置(例えば、情報処理LSI9の出力電圧決定部41や電子装置1外の情報処理端末)から得た出力電圧情報(一例として、後述するノイズ量-バイアス電圧関係)を基に、静電保護素子17P,17Nの寄生容量の条件を満たすように出力電圧を調整する。これにより、図3において「本発明によるバイアス調整」として示した一点鎖線の特性曲線のようにモード変換ロスを抑制し、目標値を満たすことが可能となる。
以上のとおり、本発明の第1の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置1)は、差動配線を構成する第1の信号配線(P側)及び第2の信号配線(N側)と、差動配線に差動信号を伝えるための通信回路(例えば、通信LSI2)と、この通信回路と接続されて情報処理を行う情報処理回路(例えば、情報処理LSI9)と、第1の信号配線と接地配線の間に配置される第1の電子部品(例えば、静電保護素子17P)と、第2の信号配線と接地配線の間に配置される第2の電子部品(例えば、静電保護素子17N)と、第1の信号配線に第1の印加電圧を出力し、第2の信号配線に第2の印加電圧を出力する電圧出力回路を有する電源回路(例えば、電源回路30)と、この電源回路と第1の信号配線及び第2の信号配線の各々との間に配置されるフィルタ部品(例えば、電源重畳フィルタ10)と、を備える。
上記情報処理回路は、電源回路が印加する第1の印加電圧と第2の印加電圧のうちの少なくともいずれか一方の指示値を決定し、決定した指示値を電源回路へ送出する出力電圧決定部(例えば、出力電圧決定部41)を有する。
上記電源回路は、出力電圧決定部から受信した指示値(例えば、直流バイアス電圧)を反映した第1の印加電圧及び第2の印加電圧が、第1の信号配線及び第2の信号配線に出力されるように、電圧出力回路のパラメータを調整する出力電圧調整機能(例えば、出力電圧調整機能42)を有する。このパラメータは、例えば、後述する図7及び図8等に示す昇降圧機能を有する回路の電圧変化のステップ数(変化量)である。
上述した第1の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置1)では、電源回路30に出力電圧調整機能42が設けられ、情報処理LSI9に出力電圧決定部41が設けられている。そして、本実施形態では、出力電圧調整機能42と出力電圧決定部41により、差動配線5に異なるバイアス電圧が印加されたことによるP側、N側それぞれに実装された電子部品の電気特性ばらつきによるモード変換ロスが小さくなるように、電源回路30のP側の出力電圧とN側の出力電圧の少なくともいずれか一方を調整する。これにより、モード変換ロスの増加を抑制し、信号伝送装置(差動伝送路)のEMC性能を向上させることができる。
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムの構成例を示す図である。
図5は、第1の実施形態に係る信号伝送装置(図1の電子装置1)を適用した電子装置1-1が、ツイストペアケーブル8を介して、外部の他の電子装置1-2と接続された信号伝送システムの例が示されている。電子装置1-1、電子装置1-2は大部分が同じ構成であり、同じ構成要素には同一の符号を付すとともに、電子装置1-1と電子装置1-2で同一の符号に異なる添字を付して区別している。すなわち、電子装置1-1の各構成要素には添字「-1」を付し、電子装置1-2の各構成要素には添字「-2」を付している。
ただし、電子装置1-2の電源回路30-2は、電子装置1-1の電源回路30-1とは異なる。電源回路30-2は、電源重畳フィルタ10-2のP側端子と接続する入力端子VIN、電源重畳フィルタ10-2のN側端子と接続するグランド端子GNDを備える。また、電源回路30-2は、通信LSI2-2に電源供給する出力端子VOUT-1、情報処理LSI9-2に電源供給する出力端子VOUT-2を備える。
この図5に示す信号伝送システムでは、信号伝送時に、電子装置1-1の情報処理LSI9-1の出力電圧決定部41で出力電圧値の決定と、電源回路30-1の出力電圧調整機能42による出力電圧調整が行われる。これにより、電子装置1-2を起点とするケーブル(例えばツイストペアケーブル8)の信号伝送時の放射や、電子装置1-2における外来のコモンモードノイズに対するノイズ耐性を向上することが実現できる。
なお、図5の例では、上述した第1の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置1が電子装置1-1にのみ適用されている。ただし、第1の実施形態に係る信号伝送装置を電子装置1-1と電子装置1-2の両方に適用してもよい。
<第3の実施形態>
図6は、本発明の第3の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。
第3の実施形態では、情報処理LSI9にノイズ量把握部43を設け、対象の信号伝送システムの差動配線5に発生したノイズ量を把握することで、出力電圧決定部41の決定プロセスにシステムノイズ量を反映する発明である。すなわち、本実施形態に係る電子装置1は、ノイズ量に合わせて電源回路30の出力電圧を最適化できる機能を有する。
本機能を用いた出力電圧決定の詳細な手順は、後述する第10の実施形態で説明する。また、ノイズ量把握部43のより具体的な構成及び動作は、後述する第11の実施形態(図17)及び第12の実施形態(図18)において説明する。
以上のとおり、第3の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置1)では、情報処理回路(情報処理LSI9)は、第1の信号配線及び第2の信号配線に発生するノイズ量を把握するノイズ量把握部(ノイズ量把握部43)を有する。出力電圧決定部(出力電圧決定部41)は、このノイズ量把握部の把握結果に基づき、第1の印加電圧(例えば、P側)又は第2の印加電圧(例えば、N側)の少なくとも一方の電圧についてノイズ量を低減するように指示値(バイアス電圧)を決定し、電源回路(出力電圧調整機能42)に出力する。
上述した第3の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置1)によれば、ノイズ量把握部の把握結果に基づいてバイアス電圧を決定できるため、信号伝送システム稼働中に差動伝送路の状態に合わせて動的な出力電圧調整が可能であり、動的なノイズ低減を実現できる。また、情報処理LSI9にノイズ量把握部43を設けることにより、追加部品なしで、上述したような低ノイズ調整を実現できる。
<第4の実施形態>
図7は、本発明の第4の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。
第4の実施形態では、電源回路30に、電源重畳フィルタ10のP側端子と接続される出力端子VOUTPとつながる昇降圧回路44-1と、電源重畳フィルタ10のN側端子と接続される出力端子VOUTNとつながる昇降圧回路44-2とを設け、その両者の出力電圧を、出力電圧調整機能42で調整する。すなわち、本実施形態に係る電子装置1では、P側とN側の印加バイアス電圧を独立に調整できるため、P側とN側の電位差が同一で変わらない場合でも、印加バイアス電圧の選択肢を増やすことができる。それにより、よりノイズ量が小さくなる方向で出力電圧の設定値の選択が可能になるため、ノイズ量低減の最適化が容易になる。
昇降圧回路44-1,44-2は、電圧出力回路の一例であり、例えばレジスタ設定で入力電圧を動的に昇降圧することができる機能(VCS:Dynamic Voltage Scaling)を備えた昇圧チャージポンプ回路を用いて構成することができる。例えば、昇圧チャージポンプ回路のパラメータとして、電圧変化のステップ数(変化量)を適宜設定することで、出力電圧が動的に変化する。なお、図7の例では、出力電圧調整機能42と、昇降圧回路44-1,44-2とが別々に記載されているが、出力電圧調整機能42を実現する回路が、昇降圧回路44-1,44-2を内蔵していてもよい。
<第5の実施形態>
図8は、本発明の第5の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。
第5の実施形態では、電源回路30に、電源重畳フィルタ10のP側端子と接続される出力端子VOUTPとつながる昇降圧回路44と、電源重畳フィルタ10のN側端子と接続される出力端子VOUTNとつながる反転昇降圧回路45とを設け、その両者の出力電圧を、出力電圧調整機能42で調整する。すなわち、本実施形態に係る電子装置1は、P側には正の印加バイアス電圧を、N側には負の印加バイアス電圧を設定可能である。さらに、P側とN側の印加バイアス電圧を独立に調整できる機能を有する。P側とN側のグランドからの電位差(2つの印加バイアス電圧の絶対値)をほぼ同程度にできることが本実施形態による構成の特徴である。
静電保護素子17P,17Nの寄生容量がバイアス電圧の極性によらずグランドからの電位差に依存する場合、この構成のようにP側信号配線6とN側信号配線7に正負で同一の電位差を加えることで、電気特性のアンバランスをより低減することが可能となる。例えば、P側とN側で10Vの電位差を作りたい場合、P側に+5V、N側に-5Vの電位を与える。これにより、静電保護素子17Pと17Nには、グランドに対して同等の電位差がかかっていることになる。
昇降圧回路44は、図7に示した昇降圧回路44-1,44-2と同様の構成であり、入力電圧を動的に正の出力電圧に昇圧することができる機能を備える。また、反転昇降圧回路45は、例えばレジスタ設定で入力電圧を動的に負の出力電圧に昇降圧することができる機能(VCS)を備えた昇圧チャージポンプ回路を用いて構成することができる。
なお、図8の例では、出力電圧調整機能42と、昇降圧回路44及び反転昇降圧回路45とが別々に記載されているが、出力電圧調整機能42を実現する回路が、昇降圧回路44及び反転昇降圧回路45を内蔵していてもよい。
以上のとおり、第5の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置1)は、電源回路の出力電圧調整機能(出力電圧調整機能42)により、第1の信号配線に正の電圧が出力され、第2の信号配線に負の電圧が出力されるように、電圧出力回路(昇降圧回路44、反転昇降圧回路45)のパラメータを調整するように構成されている。
このように構成された本実施形態に係る信号伝送装置によれば、P側とN側の電子部品(例えば、静電保護素子)への印加電圧の絶対値をおよそ同じに揃えることが可能なるため、第4の実施形態と比較してさらなる低ノイズ化を実現できる。
<第6の実施形態>
図9は、本発明の第6の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムの構成例を示す図である。
図9には、第5の実施形態に係る信号伝送装置(図8の電子装置1)が適用された電子装置1-1が、ツイストペアケーブル8を介して、外部の他の電子装置1-2と接続された信号伝送システムの例が示されている。この信号伝送システムでは、電子装置1-1の電源回路30-1から供給される電流を、電子装置1-2の電源回路30-2で受け取り、電子装置1-2に実装された各種電子部品に電流を分配する構成を取る。
ただし、電源回路30-2(入力端子VINへの入力)がグランド基準で入力電圧を規定される場合、電子装置1-1の電源回路30-1で出力される正負の電圧をそのままでは入力できない。このため、電源回路30-2と電源重畳フィルタ10-2の間に差動-シングルエンド変換回路46を介在させて、差動信号の電位をグランド基準の電位に変換する構成を採ることが本システムの特徴である。この構成を採ることで、システム全体のノイズ低減効果を図ることができる。すなわち、本実施形態では、電子装置1-1の通信相手の電子装置1-2が、差動-シングルエンド変換回路46を備える。
図10は、本発明の第6の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置が備える差動-シングルエンド変換回路46の構成例を示す図である。図10に示すように、差動-シングルエンド変換回路46は、高精度のオペアンプ47-1,47-2と複数の抵抗部品48-1~48-5を活用することで、グランド基準のシングルエンド電圧を生成することができる。例えば、差動-シングルエンド変換回路46の一例が、下記URL(Uniform Resource Locator)で特定されるWebページに記載されている。
[URL]
https://www.analog.com/jp/analog-dialogue/raqs/raq-issue-145.html
なお、この回路構成では負のゲインを有するため、正の電圧の出力となるように、負の電圧Vin1を入力端子VIN3Nに、正の電圧Vin2を入力端子VIN3Pに印加できるようにする。本回路構成は、差動-シングルエンド変換を実現する方法の一例であり、同様の機能を有する他の回路で構成してもよい。
以上のとおり、第6の実施形態に係る信号伝送システムは、上述した実施形態に係る信号伝送装置の構成を備えた第1の信号伝送装置(例えば、図9の電子装置1-1)と、ケーブル(ツイストペアケーブル8)を介して当該第1の信号伝送装置と通信を行う第2の信号伝送装置(例えば、図9の電子装置1-2)とを含む信号伝送システムである。
第2の信号伝送装置は、第1の信号伝送装置の第1の印加電圧が印加される第1の信号配線(P側信号配線6-1)にケーブルを介して接続される第3の信号配線(P側信号配線6-2)と、第1の信号伝送装置の第2の印加電圧が印加される第2の信号配線(N側信号配線7-1)にケーブルを介して接続される第4の信号配線(N側信号配線7-2)と、第3の信号配線と第4の信号配線を介して印加される正負の差動電圧をグランド基準の電圧に変換する電圧変換回路(差動-シングルエンド変換回路46)と、を有する。
このように構成された本実施形態では、第5の実施形態に係る信号伝送装置(図9の電子装置1-1)の通信相手の信号伝送装置(図9の電子装置1-2)において、電源受信側で差動-シングルエンド変換回路を介して受信電源を電源回路に入力する。これにより、本実施形態によれば、第5の実施形態に係る信号伝送装置を用いた場合でも、信号伝送システムを電源供給システムとして成立させることができる。
<第7の実施形態>
図11は、本発明の第7の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。
第7の実施形態では、電源回路30に、電源重畳フィルタ10のP側端子と接続される出力端子VOUTPとつながる昇降圧回路44を設けるとともに、電源重畳フィルタ10のN側端子をグランド端子GNDと接続し、P側の出力電圧のみを出力電圧調整機能42で調整する。すなわち、本実施形態は、出力電圧をP側のみの電位で調整することになるので、電圧変化の調整余地が小さい構成である一方で、電源回路30そのものは安価なデバイスを活用できるため、低コストの構成である。ただし、常にP側に高バイアス電圧がかかるため、静電保護素子17Pの寄生容量が静電保護素子17Nのそれよりも小さくなる傾向になる。
そこで、この寄生容量の差分に相当する容量負荷機構18をプリント配線基板上に構成することが、本実施形態による構成の特徴である。なお、この寄生容量はプリント配線基板の基板パターンとしても構成できる。すなわち、プリント配線基板の第2層にグランド層がある場合には、トップ層に、ある大きさの追加の電極構造を形成すれば、平行平板で容量を形成することができる。ここで、調整する対象の容量の値は100fF以下の小さい容量のため、基板パターンで形成する大きさも平方ミリメートルのオーダーの小さな構造で済む。なお、この容量負荷機構の構成方法は、容量負荷が形成できればその他の方法でもよい。
以上のとおり、第7の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置1)は、電源回路の出力電圧調整機能(出力電圧調整機能42)により、電圧出力回路の第1の印加電圧(P側)に関するパラメータのみが調整可能であり、第2の信号配線(N側信号配線7)の電位はグランドに接続されている。
上記構成の本実施形態に係る信号伝送装置によれば、電源回路の出力電圧の調整をP側のみで行い、N側の出力電圧の調整を省くため、低コストの構成で低ノイズ化を図ることができる。また、電源回路30(電源IC)の出力を1チャンネルのみ活用するため、さらに低コストの構成を実現できる。
ここで、本実施形態では、第1の信号配線(P側信号配線6)に印加される第1の印加電圧は、第2の信号配線(N側信号配線7)に印加される第2の印加電圧よりも高い電圧である。そして、プリント配線基板上の第1の信号配線には、第1の電子部品(例えば、静電保護素子17P)と第2の電子部品(例えば、静電保護素子17N)との寄生容量の差分に応じた容量負荷機構(容量負荷機構18)が形成されている。
上記のように構成された本実施形態では、プリント配線基板に容量負荷機構を追加することで、低コストの構成で差動伝送路を低ノイズ化することができる。
<第8の実施形態>
図12は、本発明の第8の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。
第8の実施形態は、情報処理LSI9にノイズ量-バイアス電圧関係データ保存部49を設け、出力電圧決定部41で決定した出力電圧に調整したときにおける対象の信号伝送システムのノイズ量をノイズ量把握部43で把握し、その出力電圧(バイアス電圧)の設定電圧とノイズ量の関係をデータとして保存できる機能を組み込んだ発明である。
なお、ノイズ量-バイアス電圧関係データ保存部49には、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いることができる。あるいは、ノイズ量-バイアス電圧関係データ保存部49にDRAM等の揮発性メモリを用い、ノイズ量-バイアス電圧関係データを電子装置1と通信可能な車外のサーバにアップロードする構成としてもよい。また、本データのアップロード先はサーバに限らず、自車両内の不図示の不揮発性メモリでもよい。本データの保存場所に自車両内の不揮発性メモリを利用することで、ノイズ量-バイアス電圧関係データを自車両で管理することができる。
以上のとおり、第8の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置1)は、第1の印加電圧(P側信号配線6)又は第2の印加電圧(N側信号配線7)の少なくとも一方の電圧を設定した状態で通信を行った場合に、ノイズ量把握部(ノイズ量把握部43)で把握された差動配線のノイズ量と設定電圧との関係を相関データとして保存する記憶部(例えば、ノイズ量-バイアス電圧関係データ保存部49)を備える。そして、出力電圧決定部(出力電圧決定部41)は、差動配線のノイズ量と設定電圧との関係に基づいて、第1の印加電圧と第2の印加電圧のうちの少なくともいずれか一方の指示値(直流バイアス電圧)を決定する。
上記構成の本実施形態に係る信号伝送装置によれば、ノイズ量と設定電圧の関係データを記憶部に保存することで、出力電圧決定部は、ノイズ量と電圧設定の関係を呼び出して、差動伝送路の状況に応じてバイアス電圧の適切な電圧値を選択することが可能となる。
<第9の実施形態>
図13は、本発明の第9の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の構成例を示す図である。
第9の実施形態は、第8の実施形態の構成に加えて、情報処理LSI9に信号品質クライテリア保存部50を設け、ノイズ量-バイアス電圧関係データ保存部49のデータから信号品質クライテリアを満たす条件の電圧を探索し、設定可能な電圧範囲を定義することができる機能を組み込んだ発明である。ここで、信号品質クライテリアは、差動伝送路(例えば、差動配線5)のノイズ許容量の情報である。この信号品質クライテリア保存部50を用いた処理の詳細は、本発明における第10の実施形態において説明する。
なお、ノイズ量-バイアス電圧関係データ保存部49と同様に、信号品質クライテリア保存部50には、不揮発性メモリ又は揮発性メモリを用いることができる。すなわち、自車両内の不揮発性メモリを用いて信号品質クライテリアを自車両で管理する構成としてもよいし、当該信号品質クライテリアを電子装置1の外部のサーバ等に対してアップロード又はダウンロードする構成としてもよい。
以上のとおり、第9の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置1)は、差動配線のノイズ許容量の情報を保存する記憶部(例えば、信号品質クライテリア保存部50)を備える。出力電圧決定部(出力電圧決定部41)は、差動配線のノイズ量と設定電圧との関係と、ノイズ許容量とに基づいて、第1の印加電圧(P側信号配線6)と第2の印加電圧(N側信号配線7)のうちの少なくともいずれか一方の指示値(バイアス電圧)を決定する。
上記構成の本実施形態に係る信号伝送装置によれば、ノイズ量-バイアス電圧関係データと信号品質クライテリアとの関係から、信号品質を満たすバイアス電圧の電圧値を決定することができる。
<第10の実施形態>
図14は、本発明の第10の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムにおいて出力電圧範囲を決定するプロセスの例を示す図である。
第10の実施形態では、製品出荷時や法定の車両検査のような検査時に、出力電圧範囲を決定するプロセスに係る発明を示す。
本実施形態においては、電子装置1に対してツイストペアケーブル8を介してリファレンス対向機51を接続し、両者を通信させる。リファレンス対向機51は、標準的な通信モジュールであり、この通信モジュールに接続された電子装置1について相対的に通信性能評価をするための役割を果たす。
この状態で、ツイストペアケーブル8に対してコモンノイズNcを加える。印加されたコモンノイズNcは、ケーブルコネクタ16を介して電子装置1の中に混入する。そして、静電保護素子17N,17P近傍のモード変換ロスの特性に合わせてコモンノイズNcが差動ノイズNdに変換され(モード変換Cm)、通信LSI2へと伝達される。コモンノイズNcから変換された差動ノイズNdは、電源回路30の出力電圧に応じて増減する。この通信LSI2に伝達された差動ノイズNdを、情報処理LSI9の中のノイズ量把握部43で測定することにより、現在の通信システムのノイズ性能を評価することが可能となる。
以上のとおり、第10の実施形態に係る信号伝送システムでは、上述した実施形態に係る信号伝送装置が適用された第1の信号伝送装置(例えば、図13及び図14の電子装置1)と対向する第2の信号伝送装置(図14のリファレンス対向機51)があって、第1の信号伝送装置と第2の信号伝送装置はケーブル(ツイストペアケーブル8)で接続されている。このケーブルにコモンノイズを印加し、情報処理LSI9のノイズ量把握部(ノイズ量把握部43)でノイズ量を測定し、ノイズ量-設定電圧の関係を定量化する。
次に、出力電圧範囲を決定するプロセスについて、図15のグラフと図16のフローチャートも併せてより詳細に説明する。
図15は、本発明の第10の実施形態に係る信号伝送装置を用いて得られるデータセットの例を示す図である。図15において、横軸はバイアス電圧条件[V]、縦軸はノイズ量情報を表す。
図16は、本発明の第10の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置におけるノイズ量-バイアス電圧関係データ取得処理の手順例を示すフローチャートである。
最終的に得たい情報は、図15に示すようなバイアス電圧条件とノイズ量情報の関係のデータプロットである。図16のフローチャートに従い、その情報を得る手順の例を説明する。なお、このフローチャートの各処理の説明で用いられる各構成要素の名称は、特に断りがない限り図14を参照したものとする。
はじめに、電子装置1において、情報処理LSI9の出力電圧決定部41は、電源回路30におけるP側の出力端子VOUTの出力電圧を、出力電圧調整機能42を用いて設定可能電圧範囲の最低値に設定する(ステップS1)。
次に、電子装置1とリファレンス対向機51の間で通信を開始する(ステップS2)。この状態で、情報処理LSI9のノイズ量把握部43は、このバイアス電圧条件下におけるノイズ量の情報(以下「ノイズ量情報」)を取得する(ステップS3)。
次に、出力電圧決定部41は、ここで取得したノイズ量情報を、信号品質クライテリア保存部50に保存されているクライテリア(ノイズ許容量)と比較し、ノイズ量情報がクライテリアを上回るかどうかを判定する(ステップS4)。
ノイズ量情報がクライテリアを上回った場合(ステップS4のYES)、出力電圧決定部41は、そのときの出力電圧設定値を上限電圧値に設定する(ステップS5)。ステップS5の処理後、本処理を終了する。
一方、ノイズ量情報がクライテリア以下である場合(ステップS4のNO)、出力電圧決定部41は、現在の出力電圧とノイズ量情報をノイズ量-バイアス電圧関係データ保存部49に格納する(ステップS6)。
次に、出力電圧決定部41は、出力電圧をΔVだけ増加し、電源回路30の出力電圧調整機能42を用いてΔV増加した電圧を出力させる(ステップS7)。
ここで、出力電圧決定部41は、出力電圧と設定可能電圧上限値を比較する(ステップS8)。出力電圧が設定可能電圧上限値を超える場合は(ステップS8のYES)、ここで本処理を終了する。また、出力電圧が設定可能電圧上限値以下である場合は(ステップS8のNO)、ステップS3に戻り、繰り返しステップS3~ステップS8の操作を行う。
上記ステップS1~ステップS8の処理を繰り返すことで、最終的には図15に示すノイズ量情報とバイアス電圧の関係データを得ることができる。ここでは、製品Aと製品Bの2種類のデータセットを例示している。製品Aでは、設定可能電圧範囲の中のいずれのバイアス電圧条件においても、ノイズ量情報がクライテリアを下回り、問題なし(OK)の判定となる。この場合、製品Aにおいてバイアス電圧として任意の電圧値を選択できることになる。一方で、製品Bでは、上限バイアス電圧@製品Bのバイアス電圧条件を超えたところで、ノイズ量情報がクライテリアを上回っている(NG)。このため、このバイアス電圧条件下では、製品Bではこの上限バイアス電圧@製品B以下の電圧で、設定可能電圧が決まる。
また、第10の実施形態に係る信号伝送システムでは、2つの信号伝送装置を接続するケーブル(ツイストペアケーブル8)にコモンノイズを印加し、情報処理LSI9のノイズ量把握部43でノイズ量を測定し、ノイズ量-設定電圧の関係を定量化する。そして、出力電圧決定部41は、ノイズ量と設定電圧との関係と、ノイズクライテリアとから、設定可能電圧範囲を決定できる。
なお、この例ではわかりやすくするために、出力電圧をP側のみ調整する例で説明したが、実際にはP側とN側の出力電圧の組合せで同様な相関関係を得ることで、P側とN側の出力電圧の組合せにおける設定可能電圧を決めることができる。例えば、差動配線5のP側とN側間の電位差が+10Vの場合、N側が非反転ならP側を+12VかつN側を+2Vに設定し、N側が反転ならばP側を+8VかつN側を-2Vに設定するなどが考えられる。
また、本実施形態では、バイアス電圧を高くするとノイズ量が大きくなるという単純な系で説明したが、実際にはより複雑な関数でバイアス電圧とノイズ量の関係が決まる場合がある。これは、ノイズ共振周波数の変化が起こったり、ノイズ周波数とデバイスのノイズ感度の関係が複雑であったりするためである。そのため、実際には上限バイアス電圧を決めるよりも、バイアス電圧の値を一通り変化させた中で、クライテリアを満たすバイアス電圧条件を見つけ出し、そのバイアス電圧条件のみを設定可能電圧とする方がより実用的である。
<第11の実施形態>
図17は、本発明の第11の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置のノイズ量把握部でノイズ量を把握するための構成例と機能を示す図である。
第11の実施形態では、情報処理LSI9におけるノイズ量把握部43でノイズ量を把握する方法の一つの例を示す。ここでは、通信LSI2の中のアイ波形モニタ回路52(信号波形観測回路の一例)を用いた方法を例示する。
アイ波形モニタ回路52は、信号伝送時の信号波形を特定の時間の中で区切って、その信号波形の電圧と時間との関係を重ね書きすることで、通過する時刻と電圧の関係がプロットされ、図17の下側に示すようなアイパターンが形成される。そのアイパターンの開き具合が信号品質の判定根拠となる。このようなプロットの全ての情報をアイ波形情報53として情報処理LSI9に伝えてノイズ量を把握してもよいし、アイ波形の情報のうちアイ開口電圧VEOやアイ開口時間TEOのような情報のみを取り出して活用してもよい。
以上のとおり、第12の実施形態に係る信号伝送装置では、情報処理回路(情報処理LSI9)のノイズ量把握部(ノイズ量把握部43)は、通信回路(通信LSI2)が備える信号波形観測回路(アイ波形モニタ回路52)の観測情報を用いて差動伝送路のノイズ量を把握する。
<第12の実施形態>
図18は、本発明の第12の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置のノイズ量把握部でノイズ量を把握するための構成例と機能を示す図である。
第12の実施形態では、情報処理LSI9におけるノイズ量把握部43でノイズ量を把握する方法に関して、第11の実施形態とは異なる例を示す。ここでは、通信LSI2の中のビットエラーレート評価回路54(通信エラー率測定回路の一例)を用いた方法を例示する。
ビットエラーレート評価回路54では、一定時間、差動配線5に信号を伝送させたときのビットエラー発生条件から、図18の下側に記載するようなバスタブ曲線を取得する。図18下側の左グラフはビットエラーレートと電圧の関係を示したバスタブ曲線、図18下側の右グラフはビットエラーレートと時間の関係を示したバスタブ曲線である。このようなバスタブ曲線の情報をビットエラーレート情報55として情報処理LSI9に伝えてノイズ量を把握してもよいし、ビットエラーレート情報55のうち特定のエラー率(例えば、BER10-12など)におけるアイ開口電圧VEOやアイ開口時間TEOのような情報のみを取り出して活用してもよい。すなわち、アイ開口電圧VEOやアイ開口時間TEOの値は、ビットエラーレートに応じて異なる。一般にビットエラーレートが10-12よりも小さいとき、通信品質が維持できている状態とされている。
なお、これ以外にもSQI(Signal Quality Index)といった信号品質評価の機能を通信LSI2が有する場合もあり、それを活用してもよい。類似の機能で、ノイズ量や信号品質を評価できる機能があれば、それらを活用してノイズ量を把握することが可能である。
以上のとおり、第12の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置1)では、情報処理回路(情報処理LSI9)のノイズ量把握部(ノイズ量把握部43)は、通信回路(通信LSI2)が備える通信エラー率測定回路(ビットエラーレート評価回路54)の測定情報を用いて差動伝送路のノイズ量を把握する。
<第13の実施形態>
図19は、本発明の第13の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムにおいてノイズ量を把握するプロセスの例を示す図である。
第13の実施形態では、電磁放射量からノイズ量を把握するプロセスに係る発明を示す。本実施形態においては、電子装置1に対してツイストペアケーブル8を介してリファレンス対向機51を接続し、両者を通信させる。この状態で、ツイストペアケーブル8からは、電子装置1でモード変換されたコモンノイズ量に応じた電磁放射56が発生する。これを、電子装置1の外部に設置したEMI(Electromagnetic Interference)測定器57で測定し、この測定で得られた電磁放射量情報58をノイズ量把握部43に伝える方式である。なお、本測定は、測定精度を保つために電波暗室内部で行われることが望ましい。
以上のとおり、第13の実施形態に係る信号伝送システムでは、上述した実施形態に係る信号伝送装置が適用された第1の信号伝送装置(例えば、図12及び図13の電子装置1)と対向する第2の信号伝送装置(図19のリファレンス対向機51)があって、第1の信号伝送装置と第2の信号伝送装置はケーブル(ツイストペアケーブル8)で接続されている。このケーブルから放射される電磁波ノイズを外部測定器(例えば、EMI測定器57)で測定し、情報処理LSI9のノイズ量把握部(ノイズ量把握部43)でその測定結果からノイズ量を計算して、ノイズ量-設定電圧の関係を定量化する。
<第14の実施形態>
図20は、本発明の第14の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムと診断サーバを含むソリューションシステム(診断サービスシステム)の構成例を示す図である。
第14の実施形態では、運用中の自動車等の車両59において、本発明を用いて出力電圧範囲を決定したり、決定した出力電圧の電圧値の履歴を診断サーバ60の中の状態履歴記憶部61に保存、管理したりすることで、メンテナンスや保険など様々なサービスにその情報を活用するソリューションを示す。
図20に示す例では、車両59において、電子装置1-1に対して電子装置1-2がツイストペアケーブル8を介して接続されており、両者が通信している状態にある。このような状態において、バイアス電圧条件とノイズ量との関係を時系列で履歴を保存していくことで、現在の通信システムの状態を評価することが可能となる。
本実施形態における診断サービスのプロセスについて、図21のグラフと図22のフローチャートも併せてより詳細に説明する。
図21は、本発明の第14の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置1-1を用いた信号伝送システムで得られるデータセット、及び上限バイアス電圧[V]の予測曲線の例を示す図である。
図22は、本発明の第14の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置1-1を用いた信号伝送システムと診断サーバ60を含むソリューションシステム(診断サービスシステム)によるメンテナンス必要情報通知処理の手順例を示すフローチャートである。
最終的に得たい情報は、図21に示すようなバイアス電圧条件とノイズ量情報の関係のデータプロットである。図22のフローチャートに従い、その情報を得る手順の例を説明する。なお、このフローチャートの各処理の説明で用いられる各構成要素の名称は、特に断りがない限り図20を参照したものとする。
はじめに、ノイズ量-バイアス電圧関係データ取得命令を診断サーバ60から車両59の電子装置1-1が受信する(ステップS11)。
この後、車両59の電子装置1-1では、一定のノイズ環境となるように、車両59をノイズ環境初期モードに移行させる制御を行う(ステップS12)。この車両ノイズ環境初期モードとは、外部のコモンノイズが同一条件になるように、主要なコモンノイズ要因(例えば、電動モータ制御、エアーコンディショナーなどの電動系の動作)を所定の動作モードに移行させて、ノイズ環境を揃えるようにすることを指す。
この状態で、車両59の電子装置1-1(出力電圧決定部41)は、第10の実施形態で定義した「ノイズ量-バイアス電圧関係データ取得処理の手順」に則って、ノイズ量-バイアス電圧関係データを取得する(ステップS13)。
ここで、車両59の電子装置1-1は、取得したノイズ量-バイアス電圧関係データを診断サーバ60にアップロードする(ステップS14)。
次に、診断サーバ60では、アップロードされたノイズ量-バイアス電圧関係データにデータ取得時刻情報を追加し、状態履歴記憶部61に保存する(ステップS15)。なお、同時に診断サーバ60は、今回取得したデータの元となる車両59の情報を合わせて保存する。車両59の情報としては、例えば車両IDがある。その特定車両におけるノイズ量―バイアス電圧関係データのデータセットを作成する。このデータセットの例を図21の上側のグラフに示す。図21の上側のグラフにおいて、横軸はバイアス電圧条件[V]、縦軸はノイズ量情報を表す。ここでは、2021/10/5~2021/12/5の期間に得られたある車両Aの相関データセットが示されている。
診断サーバ60では、上記のノイズ量-バイアス電圧関係データのデータセットから抽出した特徴量を時系列データとして整理し、将来の時系列変化予測を計算する(ステップS16)。この時系列変化予測の例を図21の下側のグラフに示す。図21の下側のグラフにおいて、横軸は通信テストのテスト日、縦軸は上限バイアス電圧[V]を表す。ここでは、ある車両Aのデータセットに基づく予測曲線が示されている。
次に、診断サーバ60は、上記の予測計算の結果において、要メンテナンス条件までの期間が一定値以下であるかを判定する(ステップS17)。
ステップS17において要メンテナンス条件までの期間が一定値を超えると判定された場合(ステップS17のNO)、診断サーバ60は、通信システムの状態に問題がないと判断する。そして、診断サーバ60は、一定期間を空けた上で(ステップS18)、改めてステップS11のデータ取得処理を行うよう車両59の電子装置1-1に命令する。
一方、ステップS17において要メンテナンス条件までの期間が一定値以下であると判定された場合(ステップS17のYES)、診断サーバ60は、そのメンテナンスに必要とされる情報(以下「メンテナンス必要情報」)を適切なサービス事業者に通知する(ステップS19)。ステップS19の処理後、本処理を終了する。
例えば、整備会社に対してメンテナンス必要情報の通知を行うことで、整備会社はユーザにメンテナンス必要情報を通知する。また、保険会社に対してメンテナンス必要情報の通知を行うことで、保険会社は、適切なメンテナンスがされていない期間が長引いた場合に保険料を上げるような処置を行うことができる。また、部品会社にメンテナンス必要情報の通知を行うことで、メンテナンスが必要な部品を知らせることも可能である。
以上のとおり、第14の実施形態に係るソリューションシステム(診断サービスシステム)は、例えば、上述した実施形態に係る信号伝送装置の構成を備えた第1の信号伝送装置(電子装置1-1)と、ケーブル(ツイストペアケーブル8)を介して当該第1の信号伝送装置と通信を行う第2の信号伝送装置(電子装置1-2)とを含むシステムである。
そして、第1の信号伝送装置は、制御対象物の制御を実行する電子制御装置(ECU)に搭載される。電子制御装置は運用状態にあって、電子装置1-1は、通信システム(差動伝送路)のノイズ量と設定電圧の関係性を示すデータ(相関データ)を診断サーバ(診断サーバ60)にアップロードする。診断サーバは、相関データと日付と電子制御装置固有情報(例えばID)をセットで保存する記憶部(状態履歴記憶部61)を有している。診断サーバ60は、相関データの履歴を基に、通信システムの状態を把握し、各種サービス事業者に必要情報を提供する。また、診断サーバは、ノイズ量と設定電圧の関係性のデータである相関データの履歴から、保守が必要な時期を推定する。
<第15の実施形態>
図23は、本発明の第15の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置1-1を用いた信号伝送システムを含むソリューションシステム(診断サービスシステム)によるメンテナンス必要情報通知処理の手順例を示すフローチャートである。
第15の実施形態では、運用中の自動車等の車両59において、本発明を用いて出力電圧範囲を決定したり、決定した出力電圧の電圧値の履歴を車両59の中に状態履歴記憶部61を設けて保存及び管理したりすることで、ドライバーに直接メンテナンスの必要性を示す発明となる。第14の実施形態では、診断サーバ60側でデータ管理をしていたのに対し、本発明は車両59のみでデータ管理をすることが特徴となる。以下、図23のフローチャートを用いて、メンテナンス必要情報通知の手順を詳述する。
はじめに、車両59において、例えば電子装置1-1がエンジンを開始する(ステップS21)。
この後、車両59の電子装置1-1では、一定のノイズ環境となるように、車両59をノイズ環境初期モードに移行する制御を行う(ステップS22)。
この状態で、車両59の電子装置1-1(出力電圧決定部41)は、第10の実施形態で定義した「ノイズ量-バイアス電圧関係データ取得処理の手順」(図16)に則って、ノイズ量-バイアス電圧関係データを取得する(ステップS23)。
次に、車両59の電子装置1-1では、取得したノイズ量-バイアス電圧関係データにデータ取得時刻情報を追加し、車両59内部の状態履歴記憶部61に保存する(ステップS24)。
次に、車両59の電子装置1-1では、上記のノイズ量-バイアス電圧関係データのデータセットから抽出した特徴量を時系列データとして整理し、将来の時系列変化予測を計算する(ステップS25)。
次に、電子装置1-1は、上記の予測計算の結果において、要メンテナンス条件までの期間が一定値以下であるかを判定する(ステップS26)。
ステップS26において要メンテナンス条件までの期間が一定値を超えると判定された場合(ステップS26のNO)、電子装置1-1は、通信システムの状態に問題がないと判断する。そして、電子装置1-1は、一定期間を空けた上で(ステップS27)、改めてステップS21のエンジン始動処理を行う。
一方、ステップS26において要メンテナンス条件までの期間が一定値以下であると判定された場合(ステップS26のYES)、電子装置1-1は、メンテナンス必要情報をドライバーに通知する(ステップS28)。ステップS28の処理後、本処理を終了する。なお、上述した図23の各処理を電子装置1-1ではなく、他の電子装置が実行するようにしてもよい。
以上のとおり、第15の実施形態に係るソリューションシステム(診断サービスシステム)は、例えば、上述した実施形態に係る信号伝送装置の構成を備えた第1の信号伝送装置(電子装置1-1)と、ケーブル(ツイストペアケーブル8)を介して当該第1の信号伝送装置と通信を行う第2の信号伝送装置(電子装置1-2)とを含むシステムである。
そして、第1の信号伝送装置は、制御対象物の制御を実行する電子制御装置(ECU)に搭載される。電子制御装置は運用状態にあって、電子装置1-1は、通信システム(差動伝送路)のノイズ量と設定電圧の関係性を示すデータ(相関データ)と日付をセットで保存する記憶部(例えば、図20の状態履歴記憶部61に相当)を有している。電子装置1-1は、相関データの履歴を基に、通信システムの状態を把握し、ドライバーに必要情報を提供する。また、電子装置1-1は、ノイズ量と設定電圧の関係性のデータである相関データの履歴から、保守が必要な時期)を推定する。
<第16の実施形態>
図24は、本発明の第16の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置の情報処理LSIの機能構成例を示すブロック図である。
ここまで説明した実施形態では、差動伝送路のノイズ量のみの情報で出力バイアス電圧を決定していたが、実際にはバイアス電圧は通信システムの消費電力にも関係する。例えば、電圧を低く設定すると、一定の消費電力を有する接続先に対する電源重畳における供給電流は大きくなり、結果として伝送路の抵抗損に伴う消費電力が大きくなることがある。
このため、本実施形態では、P側信号配線6及びN側信号配線7の設定電圧と消費電力の関係も加味して、総合的に最適な電圧値を決定できるように、情報処理LSI9に消費電力-ノイズ優先度判定部64を設ける。消費電力-ノイズ優先度判定部64は、優先度の判定結果を出力電圧決定部41に送出する。例えば、ノイズ環境情報63を入力として、ノイズ環境が良い状態であれば、消費電力の抑制を優先した設定電圧を選択できるような判断機能を消費電力-ノイズ優先度判定部64に持たせることで、ノイズ量と消費電力のバランスを取った信号伝送システムの構成を可能とする。
ノイズ環境情報63は、電子装置1が搭載された自車両のノイズ環境を示す情報である。例えば、ノイズ環境情報63として、構造物等の情報を含む地図情報や、場所ごとの電磁波の強弱を示した電磁波マップ(電磁波分布図)などを利用できる。
以上のとおり、第16の実施形態に係る信号伝送装置(電子装置)では、情報処理回路(情報処理LSI9)の出力電圧決定部(出力電圧決定部41)は、ノイズ環境情報に基づいて、差動配線と接続したケーブルを介して通信をするときの消費電力と、差動配線に発生するノイズ量との優先度の高低に基づいて、第1の印加電圧(P側)と第2の印加電圧(N側)のうちの少なくともいずれか一方の指示値を決定する。
<第17の実施形態>
図25は、本発明の第17の実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置を用いた信号伝送システムとOTAサーバと診断サーバを含むソリューションシステムの構成例を示す図である。
第17の実施形態では、運用中の自動車等の車両59において、OTA(Over The Air)のようなソフトウェア更新により車両59のノイズ環境が変化した際に、改めて出力電圧範囲を決定しなおすプロセスを提供するソリューションを示す。本実施形態では、インターネット等のネットワーク65を介して、OTAサーバ70から車両59に対してソフトウェアアップデートをする。この際に、OTAサーバ70から診断サーバ60にソフトウェアアップデート情報71を送信し、診断サーバ60側でソフトウェア更新により車両59のノイズに関連した電流プロファイルに変化があるかを電流プロファイル変化判定部66で判定する。判定の結果、車両59の電流プロファイルに変化があると判定した場合、最適バイアス再設定テスト命令部67から車両59に対して、最適バイアスのグラフ(図15参照)の再設定を行う命令を出す。
例えば、出力電圧決定部41(図24)は、ノイズ環境が良い(ノイズが少ない)状態であれば、消費電力を優先した設定電圧として、出力電圧を直前の電圧値又は標準値よりも所定のステップ数分だけ高めに設定する。
図26は、本発明の第17の実施形態におけるソリューションシステムの活用方法の例を示す図である。
本実施形態に係るソリューションシステムの適用例について図26を用いて説明する。図26の上側のグラフは、周波数[MHz]とノイズに寄与する電流[A]の関係を示す。周波数は、自車両から発生する主要な周波数であり、一例としてエンジンやモータの回転数が挙げられる。例えば、ソフトウェアアップデートにより車両内のDC/DCコンバータの動作を変えると、駆動輪を回転させるためのモータの回転周波数が変わる。破線で示したOTA前では、周波数Aと周波数Cにピークがあることがわかる。
他方、図26下側のグラフは、各種バイアス条件における周波数[MHz]とモード変換ロス[dB]の関係を示す。この例では、バイアス条件A(実線)において、周波数Aと周波数Cのモード変換ロスが小さいことから、OTA前にはバイアス条件Aが最適電圧条件として設定されている。
しかし、OTA実施によりソフトウェアがアップデートされると、図26上側のグラフに実線で示すように、周波数Bにピークが発生するように変化すると仮定する。この場合、バイアス条件Aでは周波数Bでモード変換ロスのピークを持つことから、OTA後ではノイズ条件として不適切な電圧となることがわかる。
そこで、バイアス条件C(ピッチの狭い破線)のように周波数A及びCにはピークがあるが、周波数Bにピークがないバイアス条件を選択することが望ましいことになる。そこで、診断サーバ60に最適バイアス再設定テスト命令部67を設け、このようなバイアス条件を探索するプロセスを入れることで、ソフトウェア更新に対してもノイズ最適化を可能とする通信システムの提供が可能となる。
以上のとおり、第17の実施形態に係るソリューションシステム(診断サービスシステム)では、車両等の移動体に搭載された信号伝送システム(通信システム)と、ネットワークを介して、車両内のソフトウェアのアップデートを管理するソフトウェアアップデート管理サーバ(OTAサーバ70)と、診断サーバが相互に通信可能に接続されている。本システムにおいて、ソフトウェアアップデート管理サーバ(OTAサーバ70)のソフトウェア更新情報(ソフトウェアアップデート情報71)を診断サーバに送信する。診断サーバは、ソフトウェア更新情報からノイズ量の変化を検知し、ノイズ量の変化の情報に基づいて、ノイズ量と設定電圧の相関データの再取得の命令を、車両内の電子装置に発信する。
<計算機のハードウェア構成>
次に、各実施形態に係る信号伝送装置が適用された電子装置1,1-1,1-2、診断サーバ60、及びOTAサーバ70に実装された計算機のハードウェア構成を説明する。
図27は、計算機80のハードウェア構成例を示すブロック図である。計算機80は、本実施形態に係る電子装置1,1-1,1-2、診断サーバ60、及びOTAサーバ70の機能を実現するコンピューターとして用いられるハードウェアの一例である。本実施形態に係る各装置及び各サーバは、計算機80(コンピューター)がプログラムを実行することにより、各実施形態の機能を実現する。
計算機80は、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、及びRAM(Random Access Memory)83を備える。さらに、計算機80は、不揮発性ストレージ86及び通信インターフェース87を備える。
CPU81は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM82から読み出してRAM83にロードし、実行する。RAM83には、CPU81の演算処理の途中で発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメータ等がCPU81によって適宜読み出される。CPU81がROM82から読み出したプログラムコードを実行することで、各実施形態に係る各機能が実現される。ただし、CPU81に代えてMPU(Micro Processing Unit)等の他のプロセッサを用いてもよい。
不揮発性ストレージ86としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、又は不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージ86には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機80を機能させるためのプログラムが記録されていてもよい。ROM82及び不揮発性ストレージ86は、CPU81が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機80によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
通信インターフェース87には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。例えば、車載の電子装置1等がセンサからセンサデータを取得するインターフェース、電子装置1等がアクチュエータに制御指令を送信するインターフェースは、通信インターフェース87により構成される。また、車載の電子装置1等、診断サーバ60、及びOTAサーバ70の相互のデータ通信は、通信インターフェース87により行われる。
<変形例>
以上説明した各実施形態や各種変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの実施形態や変形例に限定されるものではない。また、上述した種々の実施形態や変形例は、本発明を分かりやすく説明するためにその構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの広義のプロセッサデバイスを用いてもよい。
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的、あるいは個別に実行される処理(例えば、オブジェクトによる処理)をも含むものである。
また、上述した各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成要素が相互に接続されていると考えてもよい。
1…電子装置、2…通信LSI、5…差動配線、6…P側信号配線、7…N側信号配線、8…ツイストペアケーブル、9…情報処理LSI、10…電源重畳フィルタ、14N、14P…AC結合キャパシタ、15…コモンモードチョークコイル(CMCC)、16…ケーブルコネクタ、17N,17P…静電保護素子、18…容量負荷機構、30…電源回路、41…出力電圧決定部、42…出力電圧調整機能、43…ノイズ量把握部、44…昇降圧回路、45…反転昇降圧回路、46…差動-シングルエンド変換回路、47-1,47-2…オペアンプ、48-1~48-5…抵抗部品、49…ノイズ量-バイアス電圧関係データ保存部、50…信号品質クライテリア保存部、51…リファレンス対向機、52…アイ波形モニタ回路、53…アイ波形情報、54…ビットエラーレート評価回路、55…ビットエラーレート情報、56…電磁放射、57…EMI測定器、58…電磁放射量情報、59…車両、60…診断サーバ、61…状態履歴記憶部、62…予測曲線、63…ノイズ環境情報、64…消費電力-ノイズ優先度判定部、65…ネットワーク、70…OTAサーバ、71…ソフトウェアアップデート情報、66…電流プロファイル変化判定部、67…最適バイアス再設定テスト命令部

Claims (11)

  1. 差動配線を構成する第1の信号配線及び第2の信号配線と、
    前記差動配線に差動信号を伝えるための通信回路と、
    前記通信回路と接続されて各種情報の処理を行う情報処理回路と、
    前記第1の信号配線と接地配線の間に配置される第1の電子部品と、
    前記第2の信号配線と接地配線の間に配置される第2の電子部品と、
    前記第1の信号配線に第1の印加電圧を出力し、前記第2の信号配線に第2の印加電圧を出力する電圧出力回路を有する電源回路と、
    前記電源回路と前記第1の信号配線及び前記第2の信号配線の各々との間に配置されるフィルタ部品と、
    を備える信号伝送装置であって、
    前記情報処理回路は、前記電源回路が印加する前記第1の印加電圧と前記第2の印加電圧のうちの少なくともいずれか一方の指示値を決定し、決定した前記指示値を前記電源回路へ送出する出力電圧決定部を有し、
    前記電源回路は、前記出力電圧決定部から受信した前記指示値を反映した前記第1の印加電圧及び前記第2の印加電圧が、前記第1の信号配線及び前記第2の信号配線に出力されるように、前記電圧出力回路のパラメータを調整する出力電圧調整機能を有する
    信号伝送装置。
  2. 前記情報処理回路は、前記第1の信号配線及び前記第2の信号配線に発生するノイズ量を把握するノイズ量把握部を有し、
    前記出力電圧決定部は、前記ノイズ量把握部の把握結果に基づき、前記第1の印加電圧又は前記第2の印加電圧の少なくとも一方の電圧について前記ノイズ量を低減するように前記指示値を決定し、前記電源回路に出力する
    請求項1に記載の信号伝送装置。
  3. 前記電源回路の前記出力電圧調整機能により、前記第1の信号配線に正の電圧が出力され、前記第2の信号配線に負の電圧が出力されるように、前記電圧出力回路のパラメータを調整する
    請求項2に記載の信号伝送装置。
  4. 前記電源回路の前記出力電圧調整機能により、前記電圧出力回路の前記第1の印加電圧に関するパラメータのみが調整可能であり、
    前記第2の信号配線の電位はグランドに接続されている
    請求項1又は2に記載の信号伝送装置。
  5. 前記第1の信号配線に印加される前記第1の印加電圧は、前記第2の信号配線に印加される前記第2の印加電圧よりも高い電圧であり、
    プリント配線基板上の前記第1の信号配線には、前記第1の電子部品と前記第2の電子部品との寄生容量の差分に応じた容量負荷機構が形成されている
    請求項1に記載の信号伝送装置。
  6. 前記第1の印加電圧又は前記第2の印加電圧の少なくとも一方の電圧を設定した状態で通信を行った場合に、前記ノイズ量把握部で把握された前記差動配線のノイズ量と設定電圧との関係を相関データとして保存する記憶部を備え、
    前記出力電圧決定部は、前記差動配線のノイズ量と前記設定電圧との関係に基づいて、前記第1の印加電圧と前記第2の印加電圧のうちの少なくともいずれか一方の前記指示値を決定する
    請求項2に記載の信号伝送装置。
  7. 前記差動配線のノイズ許容量の情報を保存する記憶部を備え、
    前記出力電圧決定部は、前記差動配線のノイズ量と前記設定電圧との関係と、前記ノイズ許容量とに基づいて、前記第1の印加電圧と前記第2の印加電圧のうちの少なくともいずれか一方の前記指示値を決定する
    請求項6に記載の信号伝送装置。
  8. 前記ノイズ量把握部は、前記通信回路が備える信号波形観測回路の観測情報を用いて前記ノイズ量を把握する
    請求項2に記載の信号伝送装置。
  9. 前記ノイズ量把握部は、前記通信回路が備える通信エラー率測定回路の測定情報を用いて前記ノイズ量を把握する
    請求項2に記載の信号伝送装置。
  10. 前記出力電圧決定部は、ノイズ環境情報に基づいて、前記差動配線と接続したケーブルを介して通信をするときの消費電力と、前記差動配線に発生するノイズ量との優先度の高低に基づいて、前記第1の印加電圧と前記第2の印加電圧のうちの少なくともいずれか一方の前記指示値を決定する
    請求項6又は7に記載の信号伝送装置。
  11. 請求項3に記載の信号伝送装置の構成を備えた第1の信号伝送装置とケーブルを介して当該第1の信号伝送装置と通信を行う第2の信号伝送装置とを含む信号伝送システムであって、
    前記第2の信号伝送装置は、
    前記第1の信号伝送装置の第1の印加電圧が印加される第1の信号配線に前記ケーブルを介して接続される第3の信号配線と、
    前記第1の信号伝送装置の第2の印加電圧が印加される第2の信号配線に前記ケーブルを介して接続される第4の信号配線と、
    前記第3の信号配線と前記第4の信号配線を介して印加される正負の差動電圧をグランド基準の電圧に変換する電圧変換回路と、を有する
    信号伝送システム。
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