JP2023163459A - 絶縁電線及びそれを用いたコイル並びに絶縁電線の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波特性の改善を図りつつ、生産性に優れた低コストの絶縁電線及びそれを用いたコイル並びに絶縁電線の製造方法を提供する。【解決手段】密接して巻線してコイルとするための絶縁電線であって、素線1を構成する金属の金属イオンと、その金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分とから形成される化合物皮膜2で被覆された化合物皮膜被覆素線3と、その化合物皮膜被覆素線3を複数本撚り合わせた撚り線4の外周に被覆された絶縁層5とを有し、撚り線4とする前の化合物皮膜被覆素線3、撚り線4とした後の化合物皮膜被覆素線3、又は、撚り線3の外周に絶縁層5を被覆した後の化合物皮膜被覆素線3が加熱処理されたものであるように構成した絶縁電線により上記課題を解決した。【選択図】図2

Description

本発明は、高周波特性の改善を図りつつ、生産性に優れた低コストの絶縁電線及びそれを用いたコイル並びに絶縁電線の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、トランスコイル部品、効率化モーター、インバータ、非接触給電用コイル、インダクタ、チョークコイル、ノイズフィルター、IHヒータ、電源トランス等、パワー半導体を使う高周波コイル等に使用される絶縁電線に関する。
チョークコイル、トランス、インダクタ等の電子部品には、複数の絶縁被覆銅線を撚り合わせたリッツ線や、そのリッツ線をさらに絶縁被覆した絶縁電線等が用いられている。これらの絶縁電線は、数十kHz~数MHzの高周波領域における表皮効果による交流抵抗の上昇を抑える目的で、撚り合わせる素線1本ずつがエナメル皮膜等で絶縁されている。
例えば特許文献1には、高周波領域における電気的特性の向上を可能とするリッツ線が提案されている。この技術は、エナメル線が複数本撚り合わされたリッツ線において、撚り合わされたエナメル線の外側にはんだ付け性紫外線硬化型樹脂層が設けられており、その結果、従来に比べエナメル皮膜厚を薄くして仕上外径を小さくすることができるようになるというものである。また、特許文献2には、占積率に優れしかも部分放電や電磁振動劣化を低減できる新規なリッツ線が提案されている。この技術は、導体の上にエナメル絶縁被覆を有するエナメル線を、7本撚合せ、円形ダイスを通すことによりエナメル線に損傷を与えない程度に圧延し外径を圧縮した後、自己融着層を塗布焼付して得るというものである。
また、リッツ線の端末処理方法として、一般的に、はんだ付けが行われているが、エナメル塗料の種類によりそのままはんだ付けが可能である場合や、薬品や機械加工により素線の表面皮膜を除去してからはんだ付けする場合がある。また、リッツ線をさらに絶縁被覆した絶縁電線においては、絶縁被覆をストリッパー等で除去した後に、そのまま又は表面被覆を除去した後にはんだ付けすることがある。
しかし、特許文献1で提案された技術は、リッツ線の外側に紫外線硬化型樹脂で薄く絶縁被覆するというものであり、また、特許文献2で提案された技術は、撚り合わせるエナメル線を圧延したものであり、いずれも、各素線に設けられた絶縁皮膜は、数μm程度の厚さになっている。そのため、リッツ線の外側に特許文献1に記載のような紫外線硬化型樹脂で薄く絶縁被覆した場合であっても、仕上がり外径は、リッツ線を構成する素線のエナメル皮膜厚さに大きく影響されるものとなる。そのようなリッツ線を使用したコイルは、エナメル皮膜厚さの分だけ占積率が低いものとなってしまう。
また、リッツ線をそのままはんだ付けする場合は、絶縁皮膜の焼けカスや酸化物が異物として端末に付着して接続不良を発生させる問題や、裸線と比較してはんだ付け条件が高温かつ長時間になるので、はんだ食われによる導体の細りを起因としたコイルの品質、歩留りが低下してしまう問題があった。また、絶縁皮膜を除去してからはんだ付けする場合は、皮膜除去といった工数の増加や皮膜除去時の断線等の問題があり、高価なものとなってしまう。
こうした問題に対し、特許文献3には、素線を構成する金属の金属イオンとその金属イオンと錯体を形成する化合物とから形成される化合物皮膜(イミダゾール系化合物皮膜)で被覆された化合物皮膜被覆素線と、該化合物皮膜被覆素線を複数本撚り合わせた撚り線の外周に被覆された絶縁層とを有する絶縁電線が提案されている。この絶縁電線は、被覆された化合物皮膜の厚さが薄く、その化合物皮膜で被覆された化合物皮膜被覆素線を撚り合わせた撚り線の外周に絶縁層が被覆されているため、リッツ線と比較して外径を小さくすることが可能である。また、端末処理の際にはんだ付けを容易に行うことができるため、絶縁電線を安価に提供することができる。その結果、電子部品やコイルの小形化を安価で実現することができるとともに、単位体積当たりの絶縁電線の占有率を高めることができる。
特開平5-250926号公報 特開平6-119825号公報 特許第5805336号
近年、高周波特性の改善を図りつつ、生産性に優れた低コストの絶縁電線及びそれを用いたコイルに対する要請がある。そうした要請に対し、特許文献3に記載されている方法で絶縁電線を製造する場合、高周波特性を改善するために必要な厚みの化合物皮膜を得るためには、素線を構成する金属のイオン(以下、金属イオンという。)と、その金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分とを含む水溶液への接触時間を増やし、素線の表面上に化合物皮膜を形成させる必要がある。しかし、そのためには、線速を下げて水溶液との接触時間を増加させる必要があり、生産性が低下してコストアップになるという難点がある。一方、線速を下げずに生産する場合は、設備を拡大させる必要があり、設備を改良する大幅なコストや時間、工数等が必要となってしまう。
また、特許文献3に記載の絶縁電線は、長時間の使用や高温環境下への露出により経時的に高周波特性が初期値に対して劣化(損失)するという課題があった。また、高周波に対応するために化合物皮膜被覆線を撚り線にする必要があるが、撚り本数が増加すると撚りによる巻締まりが強くなることにより、化合物皮膜(イミダゾール系化合物皮膜)が押しつぶされ、絶縁性が低下して、十分な高周波特性が得られなくなるといった課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、高周波特性の改善を図りつつ、生産性や特性が優れた低コストの絶縁電線及びそれを用いたコイル並びに絶縁電線の製造方法を提供することにある。
(1)本発明に係る絶縁電線は、密接して巻線してコイルとするための絶縁電線であって、素線を構成する金属の金属イオンと、該金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分とから形成される化合物皮膜で被覆された化合物皮膜被覆素線と、前記化合物皮膜被覆素線を複数本撚り合わせた撚り線の外周に被覆された絶縁層とを有し、前記撚り線とする前の前記化合物皮膜被覆素線、前記撚り線とした後の前記化合物皮膜被覆素線、又は、前記撚り線の外周に前記絶縁層を被覆した後の前記化合物皮膜被覆素線が加熱処理されたものである、ことを特徴とする。
この発明によれば、撚り線とする前の化合物皮膜被覆素線、撚り線とした後の化合物皮膜被覆素線、又は絶縁層を形成した後の化合物皮膜被覆素線が加熱処理されたものであるので、化合物皮膜が加熱処理されることによって、化合物被膜の下層部において素線表面の金属の金属イオンと化合物の有効成分との結合が促進されて錯体が形成されるだけでなく、化合物皮膜の上層部において金属イオンと結合されていなかった化合物の有効成分と加熱することで分散された金属イオンとの結合が促進され、その結果、金属イオンと化合物の有効成分とが結合した錯体の割合が増加し、化合物皮膜内の錯体が強化されて高周波特性が改善される。なお、加熱処理は、60℃~300℃の範囲で行うが、例えば具体的には155℃で24時間とすることができる。得られた絶縁電線は、後述の実施例に示すように、加熱処理した場合における高周波抵抗値(Rac/Ro)が、加熱処理しない場合における高周波抵抗値よりも例えば300kHzにおいて約50%以上低くなっている。
本発明に係る絶縁電線において、前記化合物皮膜が、イミダゾール系化合物皮膜である。
本発明に係る絶縁電線において、前記化合物皮膜の厚さが、0.02μm以上である。
この発明によれば、特に、化合物皮膜の厚さが0.02μm以上であるので、それ未満の場合に比べて、加熱処理時に錯体がほとんど分解することなく強化され、高周波特性が改善される。その結果、高周波特性の改善を図りつつ、生産性に優れた絶縁電線とすることができる。また、この発明は、本出願人が報告した特許文献3と同様、厚さ0.02μm以上の化合物皮膜の厚さは従来のエナメル皮膜と比較して薄く、その化合物皮膜で被覆された化合物皮膜被覆素線を撚り合わせた撚り線の外周に絶縁層を形成してなる絶縁電線の外径を小さくすることができる。その結果、この絶縁電線を用いることにより、コイルの小形化を実現することができるとともに、単位体積当たりの絶縁電線の占有率を高めることができる。また、化合物皮膜の形成は、化合物の有効成分を含む溶液と素線とを接触させ、乾燥させることにより行うことができるので、従来のエナメル皮膜と比べて簡易な装置で形成することができ、短時間に極めて効率的に撚り線を作製することができる。このため、それを用いた絶縁電線を安価に提供することができる。
本発明に係る絶縁電線において、前記化合物皮膜が、はんだ付け温度で分解する材料で構成されている。
本発明に係る絶縁電線において、前記絶縁層が、絶縁性塗布皮膜、絶縁性押出樹脂、絶縁性テープ、及びそれらの組み合わせから選択されて形成されている。
(2)本発明に係るコイルは、上記本発明に係る絶縁電線を用いて形成してなる。そのコイルは、電源トランス用である。
この発明によれば、従来のエナメル皮膜と比較して高周波特性の改善を図りつつ、生産性に優れた絶縁電線を用いたコイルを提供できる。
(3)本発明に係る絶縁電線の製造方法は、密接して巻線してコイルとするための絶縁電線の製造方法であって、素線を構成する金属の金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分を含む溶液と、前記素線とを接触、乾燥させ、前記金属イオンと前記化合物の有効成分とから形成される化合物皮膜を前記素線上に設けて化合物皮膜被覆素線を形成し、前記化合物皮膜被覆素線を複数本撚り合わせて撚り線とし、前記撚り線の外周に絶縁層を形成し、前記撚り線とする前の前記化合物皮膜被覆素線、前記撚り線とした後の前記化合物皮膜被覆素線、又は、前記撚り線の外周に前記絶縁層を被覆した後の前記化合物皮膜被覆素線に加熱処理する、ことを特徴とする。
この発明によれば、撚り線とする前の化合物皮膜被覆素線、撚り線とした後の化合物皮膜被覆素線、又は絶縁層を形成した後の化合物皮膜被覆素線に加熱処理するので、化合物皮膜が加熱処理されることによって、化合物被膜の下層部において素線表面の金属イオンと化合物被膜の下層部で化合物の有効成分との結合が促進されて錯体が形成されるだけでなく、化合物皮膜の上層部において金属イオンと結合されていなかった化合物の有効成分と加熱することで分散された金属イオンとの結合が促進され、化合物被膜の上層部まで錯体が形成される。その結果、金属イオンと化合物の有効成分とが結合している錯体の割合が増加し、化合物皮膜内の錯体を含む有機化合物同士の結合が強化されて、高周波特性が改善された絶縁電線を製造できる。
本発明に係る絶縁電線の製造方法において、前記化合物皮膜を構成する有効成分は、前記化合物の溶液中に溶け込んでいる割合が当初の4割以上である。
この発明によれば、化合物皮膜を形成する際に用いる溶液に含まれる有効成分(化合物の有効成分)のうち、その溶液中に溶け込んでいる有効成分の割合が上記範囲内あるので、このように調整された溶液は、有効成分が溶液中で飽和し、且つ溶液に溶け込めない有効成分が析出した状態となっており、析出せずに溶液中に溶け込んだ有効成分の割合は当初に比べて低下することになる。このような溶液状態とすることで、溶け込んでいる有効成分だけでなく、析出した有効成分が素線表面に厚膜の化合物被膜を効果的に形成させ易くし、例えば厚さ0.02μm以上の化合物皮膜を形成しやすくなる。なお、好ましい割合は、当初の4割以上8割以下である。
また、化合物皮膜を形成する際に用いる化合物の有効成分を含む溶液の液温を高めることで、溶液中の有効成分と素線表面の金属イオンとが結合しやすくなり、化合物皮膜の形成時間を短縮することができる。なお、溶液の液温は、通常は25~40℃程度であるが、液温を高めて50~75℃程度とすることが好ましい。
本発明に係る絶縁電線の製造方法において、前記有効成分が、イミダゾール系化合物である。
本発明に係る絶縁電線の製造方法において、前記化合物皮膜の厚さが、0.02μm以上である。
本発明によれば、高周波特性の改善を図りつつ、生産性に優れた低コストの絶縁電線及びそれを用いたコイル並びに絶縁電線の製造方法を提供することができる。具体的には、例えば、300kHzでの高周波特性が、従来品(特許文献3に記載の絶縁電線)と比較して約50%近く改善できた。
また、本発明によれば、従来品と比較して厚膜化を実現できたとともに、化合物皮膜が加熱処理されることによって金属イオンと化合物の有効成分とが結合して錯体が厚膜化し且つ強化されている。その結果、撚りによる巻締まりが強くなって、化合物皮膜に応力がかかっても押しつぶされず、皮膜が厚くなって強化されたため、絶縁性が高まり、十分な高周波特性を得ることができる。厚い化合物皮膜を形成するためには、化合物皮膜を構成する有効成分が、化合物の有効成分を含む溶液中に完全に溶け込んでいる割合の濃度(有効成分濃度)を100%としたときに、有効成分濃度を100%未満にすることで実現できるので、製造時の線速を下げて水溶液との接触時間を増加させる必要はなく、生産性を低下させずに製造することができ、設備を改良する大幅なコストや時間、工数等が不要となる。
また、本発明によれば、上記した絶縁電線を用いてコイル(電子部品)を構成したので、コイルの小形化を安価で実現することができるとともに、単位体積当たりの絶縁電線の占有率を高めることができる。
本発明に係る絶縁電線の一例を示す断面構成図である。 本発明に係る絶縁電線の他の一例を示す断面構成図である。 図2に示す絶縁電線を構成する子撚り線の説明図である。 本発明に係る電子部品の例を示す断面構成図(A)(B)である。 化合物溶液中の有効成分濃度とpHとの関係を示す模式図である。 XPSによる深さ方向の組成分析結果であり、(A)は加熱処理しない化合物皮膜であり、(B)は加熱処理した化合物皮膜である。 XPSによる深さ方向の化学結合分析結果であり、(A)は加熱処理しない化合物皮膜であり、(B)は加熱処理した化合物皮膜である。 高周波抵抗値の周波数特性であり、(A)は実施例1と比較例1,2の結果であり、(B)は実施例1と比較例1,3の結果である。
以下、本発明に係る絶縁電線及びそれを用いたコイルについて、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。
[絶縁電線]
本発明に係る絶縁電線10は、図1~図3に示すように、密接して巻線してコイルとするための絶縁電線であって、素線1を構成する金属のイオン(以下、金属イオンという。)と、その金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分とから形成される化合物皮膜2で被覆された化合物皮膜被覆素線3と、その化合物皮膜被覆素線3を複数本撚り合わせた撚り線4の外周に被覆された絶縁層5とを有し、撚り線4とする前の化合物皮膜被覆素線3、撚り線4とした後の化合物皮膜被覆素線3、又は、撚り線4の外周に絶縁層5を被覆した後の化合物皮膜被覆素線3が加熱処理されたものである、ことに特徴がある。
この絶縁電線10では、撚り線4とする前の化合物皮膜被覆素線3、撚り線4とした後の化合物皮膜被覆素線3、又は絶縁層5を形成した後の化合物皮膜被覆素線3に加熱処理されたものであるので、化合物皮膜が加熱処理されることによって、化合物皮膜2の下層部において素線表面の金属の金属イオンと化合物の有効成分との結合が促進されて錯体が形成されるだけでなく、化合物皮膜2の上層部において金属イオンと結合されていなかった化合物の有効成分と加熱することで分散された金属イオンとの結合が促進され、その結果、金属イオンと化合物の有効成分とが結合した錯体の割合が増加し、化合物皮膜内の錯体が強化されて高周波特性が改善される。
特に化合物皮膜2の厚さが0.02μm以上であるので、それ未満の場合に比べて、加熱処理時に錯体がほとんど分解することなく強化され、高周波特性が改善される。その結果、高周波特性の改善を図りつつ、生産性に優れた絶縁電線10とすることができる。
厚さ0.02μm以上の化合物皮膜2は一般的なエナメル皮膜に比べて薄く、その化合物皮膜2で被覆された化合物皮膜被覆素線3を撚り合わせた撚り線4の外周に絶縁層5を被覆してなる絶縁電線10の外径を小さくすることができる。その結果、この絶縁電線10を用いることにより、コイルの小形化を実現することができるとともに、単位体積当たりの絶縁電線10の占有率を高めることができる。また、化合物皮膜2の形成は、化合物溶液と素線とを接触させ、乾燥させることにより行うことができるので、従来のエナメル皮膜と比べて簡易な装置で形成することができ、短時間に極めて効率的に撚り線を作製することができる。このため、それを用いた絶縁電線を安価に提供することができる。こうした絶縁電線10を加工したコイル20は、小型化、高品質・高性能化を実現することができる。特に、トランスコイル、モーター、インバータ、非接触給電用コイル、インダクタ、チョークコイル、ノイズフィルター、IHヒータ、電源トランス等、パワー半導体を使う高周波コイル等に好ましく使用することができる。
以下、各構成について説明する。本願において、絶縁層5が単層又は積層であっても、まとめて「絶縁層5」ということがある。
<化合物皮膜被覆素線>
化合物皮膜被覆素線3は、図1~図3に示すように、絶縁電線10の構成要素である。この化合物皮膜被覆素線3が複数本撚り合わされて撚り線4となり、その撚り線4の外周に絶縁層5が設けられて絶縁電線10となる。この化合物皮膜被覆素線3は、具体的には、素線1と、その素線1の外周に設けられた化合物皮膜2とで構成されている。その化合物皮膜2は、素線1の構成金属の金属イオンと、その金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分とから形成されている。
(素線)
素線1は、撚り線4を構成する導体である。素線1の材質としては、後述の化合物と錯体を形成しやすい銅が表面に存在する銅又は銅合金、銅クラッド材等の銅複合材料であることが好ましい。銅としては、タフピッチ銅、無酸素銅等を挙げることができる。銅合金としては、銅-銀合金(銀入り銅。例えば0.02~6質量%の銀入り銅)、銅-錫合金(錫入り銅。例えば0.15~7質量%の錫入り銅)等を挙げることができる。なお、タフピッチ銅か無酸素銅であるかは、JIS H-3510に準拠した水素脆化試験によって判定することができ、銅-銀合金(銀入り銅)、銅-錫合金(錫入り銅)のいずれかであるかについては、含まれる元素をICP発光分光分析によって測定して定性及び定量分析することができる。銅クラッド材は、コイル用絶縁電線に適用可能な銅クラッドアルミニウム等を挙げることができる。
素線1の直径は特に限定されないが、例えば、0.03mm以上、0.5mm以下の程度とすることができる。このような素線1は、任意の太さの母材を熱間加工や冷間加工等して得ることができる。
(化合物皮膜)
化合物皮膜2は、素線1を構成する金属の金属イオンとイミダゾール系化合物とが錯体を形成してなる化合物皮膜であり、素線1の外周に設けられている。そうした化合物は、素線1を構成する金属の金属イオンと錯体を形成する性質を持つ化合物であればよい。この化合物皮膜2の抵抗値は従来のエナメル皮膜ほど低くはないが、数十kHz~数MHzの高周波領域における交流抵抗の上昇は、従来のエナメル皮膜を施した素線とほぼ同等の結果を得ることができる。
化合物としては、イミダゾール系化合物等を含むアミン有機酸塩等を挙げることができる。例えば、ベンズイミダゾール、2-メチルベンズイミダゾール、2-メチルベンズイミダゾール、2-n-プロピルベンズイミダゾール、2-n-ブチルベンズイミダゾール、2-n-ベンジルベンズイミダゾール、2-n-ヘキシルベンズイミダゾール、2-n-へブチルベンズイミダゾール、2-n-オクチルベンズイミダゾール、2-n-ノニルベンズイミダゾール、2-n-デシルベンズイミダゾール、2-n-ウンデシルイミダゾール、2-n-ウンデシルベンズイミダゾール、2-n-ドデシルベンズイミダゾール、2-n-ドデシルベンズイミダゾール、2-n-トリデシルベンズイミダゾール、2-n-テトラデシルベンズイミダゾール、2-n-ペンダデシルベンズイミダゾール、2-n-ヘキサデシルベンズイミダゾール、2-n-ヘプタデシルベンズイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルベンジルイミダゾール、2,4-ジフェニルイミダゾール、2,4-ジフェニル-5-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、等を挙げることができる。
なかでも、下記化学式1に示すイミダゾール系化合物を好ましく挙げることができる。具体的には、アルキルベンズイミダゾール系の化合物と、フェニルイミダゾール系の化合物が挙げられる。こうしたイミダゾール系化合物は、上市されているものから入手可能である。イミダゾール系化合物が、素線1を構成する銅の銅イオンと反応することにより、下記化学式2に示す銅イミダゾール系化合物の錯体が形成される。化合物皮膜2は、素線1構成する銅の銅イオンと、その銅イオンと錯体を形成する銅イミダゾール系化合物の有効成分とから形成された皮膜である。なお、化学式1,2におけるR1はアルキル基やフェニル基等の官能基又は置換基であり、R2は水酸基等の官能基である。
Figure 2023163459000002
Figure 2023163459000003
化合物皮膜2は、素線表面近くでは、化合物(イミダゾール系化合物を含むアミン有機酸塩等)が素線1を構成する銅のイオン(銅イオン)と反応して錯体層(下層部)が形成され、その錯体層上には有効成分である化合物同士で水素結合又は分子間力による結合でイミダゾール層が形成されている状態である。この状態は、後述する図6及び図7に示すXPS分析により評価できる。こうしたことは、撚り線4とする前の化合物皮膜被覆素線3、撚り線4とした後の化合物皮膜被覆素線3、又は絶縁層5を形成した後の化合物皮膜被覆素線3が加熱処理されることにより、化合物皮膜2の下層部において素線表面の金属の金属イオンと化合物の有効成分との結合が促進されて錯体が形成されるだけでなく、化合物皮膜2の上層部において金属イオンと結合されていなかった化合物の有効成分と加熱することで分散された金属イオンとの結合が促進され、その結果、金属イオンと化合物の有効成分とが結合した錯体の割合が増加し、十分な高周波特性が得られる化合物皮膜内の錯体が強化された絶縁電線10を製造できるという格別の効果が生じる。
加熱処理は、60℃~300℃の範囲で行うが、例えば具体的には155℃で24時間とすることができる。得られた絶縁電線10は、後述の実施例に示すように、加熱処理した場合における高周波抵抗値(Rac/Ro)が、加熱処理しない場合における高周波抵抗値よりも例えば300kHzにおいて約50%以上改善されている。ここで、Racは交流抵抗であり、Roは(1kHzでの交流抵抗)であり、高周波抵抗値は「Rac/Ro」で表される。
化合物皮膜2の厚さは、0.02μm以上、好ましくは0.05~0.10μmである。化合物皮膜2の厚さが0.02μm以上であるので、それ未満の場合に比べて、加熱処理時に錯体がほとんど分解することなく強化され、高周波特性が改善される。その結果、高周波特性の改善を図りつつ、生産性や特性が優れた絶縁電線10とすることができる。また、本出願人が報告した特許文献3と同様、厚さ0.02μm以上の化合物皮膜2の厚さは従来のエナメル皮膜と比較して薄く、その化合物皮膜2で被覆された化合物皮膜被覆素線3を撚り合わせた撚り線4の外周に絶縁層5を形成してなる絶縁電線10の外径を小さくすることができる。その結果、この絶縁電線10を用いることにより、コイルの小形化を実現することができるとともに、単位体積当たりの絶縁電線10の占有率を高めることができる。また、化合物皮膜2の形成は、化合物の有効成分を含む溶液と素線1とを接触させ、乾燥させることにより行うことができるので、従来のエナメル皮膜と比べて簡易な装置で形成することができ、短時間に極めて効率的に撚り線を作製することができる。このため、それを用いた絶縁電線10を安価に提供することができる。
また、この範囲内の厚さの化合物皮膜2は、素線1の酸化を防止でき、製品に必要な端末加工のはんだ処理をすることができる。さらに、従来のエナメル皮膜に比べ、皮膜厚さを1/100~1/10程度に抑えることができるので、最終的な絶縁電線10の直径を小さくして断面積を約15%小さくでき、コイルの小型化に貢献できる。また、化合物皮膜2は、従来のエナメル皮膜のように厚くないので、はんだ付け時の焼けカスが非常に微量であり、はんだ接続部における焼けカスに起因する問題が発生しにくいという利点がある。なお、従来においては、エナメル皮膜がウレタン等の耐熱温度の低いものはそのままはんだ付けが可能であるが、その際にはんだカスが発生し、はんだ異物として付着し、接続不良を発生させる可能性があった。また、ポリイミド等の耐熱温度の高いものについては、はんだ付けする前に薬品や機械加工によりエナメル皮膜を除去してからはんだ付けする必要があり、加工工数が大幅に掛かってしまっていた。
化合物皮膜2は、はんだ付け温度で分解する材料で構成されていることが好ましい。このときのはんだ付け温度とは、200℃~450℃の範囲内のいずれかの温度である。上記した化合物は、いずれもはんだ付け温度で分解するので、最終的な端末処理時にはんだ付けでの端末処理を行うことができる。しかも、エナメル皮膜から化合物皮膜2にし、且つ後述のように有効成分濃度を調整することで、生産設備の拡大を行うことなく上記の厚さ範囲にすることができ、皮膜の分解に要するエネルギーを少なく抑えられる。そのため、はんだ浸漬時間の短縮が図れ、導体の線細りもなく接合の信頼性向上に繋がる。
化合物皮膜2の形成は、有効成分等を含む化合物溶液と素線1とを接触させ、乾燥させることにより行うことができる。接触手段としては、化合物溶液中に素線1を浸漬させてもよいし、素線1に化合物溶液を塗布又は吹き付ける等してもよい。乾燥は、化合物溶液を構成する溶媒(例えば水又は有機溶媒等)を除去するために行われる。こうした化合物皮膜2の形成工程は、従来のような焼き付け工程が不要となり、工数を下げることができる。また、前記した接触手段を施した後は、乾燥等をして化合物皮膜2を形成することができる。また、塗布等の接触手段を行いながら、直ぐ後に撚り合わせ工程を設けることもでき、この場合には、化合物皮膜2の形成と撚り線加工とを連続して行うことができるので、従来のエナメル皮膜と比べて簡易な装置で形成することができ、短時間に極めて効率的に撚り線4を作製することができる。このため、それを用いた絶縁電線10を安価に提供することができる。なお、乾燥は、熱風が出る乾燥機で一定の時間乾燥させる。そのときの乾燥温度は、乾燥時間(線速と乾燥エリア)に応じ、80℃~300℃、好ましくは100℃~110℃の範囲で乾燥させる。
(化合物皮膜の特徴)
本発明は、従来よりも化合物皮膜2を厚膜化し、且つ、厚膜化した化合物皮膜2で被覆された化合物皮膜被覆素線3を撚り線とした後又は絶縁層5を形成した後に加熱処理したものであること、に特徴がある。こうした特徴により、高周波特性に優れた絶縁電線10とすることができる。
(1)化合物皮膜の厚膜化:
後述の比較例1のように、厚さ0.01μm程度の化合物皮膜2は容易に形成されるものの、設備の拡大を行わなければそれよりも厚く形成することは難しかった。厚膜化することで絶縁電線10の高周波特性を向上させることができるので、後述の実施例のように、化合物皮膜2の厚さを0.02μm以上に厚膜化して高周波特性を向上させた。
化合物皮膜2は、素線1を構成する金属の金属イオンと化合物の有効成分とからなるものであり、素線1と化合物の有効成分を含む溶液とを接触させた後に、乾燥させることにより形成される。なお、化合物の溶液(「化合物溶液」ということがある。)は、素線1を構成する金属の金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分と、それ以外の成分(例えば、酢酸やギ酸等の酸性溶媒、アンモニア、添加剤等)とを含む。本願では、素線1を構成する金属の金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分を単に「化合物」といったり「有効成分」といったりすることがある。
化合物の有効成分は、化合物溶液中に任意の濃度(質量%)で含まれる。本願において、後述の実施例でも説明するように、化合物溶液中の有効成分の濃度(「有効成分濃度」という。)は、有効成分濃度を変えた各溶液を準備し、各溶液を吸光光度法で測定して検量線を作成し、その検量線と測定試料の測定結果とから測定される。測定された有効成分濃度は、化合物溶液に溶け込んだ有効成分の濃度である。したがって、化合物溶液に全ての有効成分が溶け込んだ場合は、吸光光度法で測定された濃度がその有効成分濃度の全てである。一方、化合物溶液に溶け込んだ有効成分が飽和状態を超えた場合には、化合物溶液には有効成分の析出物が生じる。この場合は、吸光光度法で測定された濃度は、有効成分の析出物は含まれず、化合物溶液中に飽和状態として溶け込んでいる有効成分の濃度となる。
図5は、化合物溶液中の有効成分濃度とpHとの関係を示す模式図である。図中の曲線は、化合物溶液に含まれる有効成分(化合物)を100%と定義したときの溶解度曲線である。符号bは、全ての有効成分が飽和状態になったpH値であり、符号a~bで示される100%の有効成分が化合物溶液に溶解している場合である。符号eは、溶解度曲線を超えて過飽和になったpH値であり、符号c~eで示される100%の有効成分のうち、符号c~d間の20%の有効成分が化合物溶液中に析出し、符号d~e間の80%の有効成分が化合物溶液中に溶解している場合である。符号hも、溶解度曲線を超えて過飽和になったpH値であり、符号f~hで示される100%の有効成分のうち、符号f~g間の60%の有効成分が化合物溶液中に析出し、符号g~h間の40%の有効成分が化合物溶液中に溶解している場合である。
化合物水溶液に溶解されている有効成分は、酢酸やギ酸等の酸性溶媒にしか溶解しない特性があり、そのため化合物溶液のpHは低くpH2~4程度である。pHの低い化合物溶液にアルカリ溶液(アンモニアや水酸化ナトリウム水溶液等)を添加するとpHは高くなり(符号b)、図5の溶解度曲線に示すように、有効成分の溶解度が徐々に低下し、化合物溶液に含まれる有効成分が化合物溶液中で飽和する(符号a)。さらにpHが高くなると(符号e)、有効成分が析出する(符号c~d)。化合物水溶液の最適な液状態は、符号c~eと符号f~hとの間の液状態である。一方、有効成分が化合物溶液中で析出した状態(符号c~d)は、有効成分が化合物溶液中に常に飽和状態で溶け込んでいる状態(符号d~e)になっており、こうした溶液状態(有効成分が析出した飽和溶液)とすることにより、有効成分と素線1の表面の金属の金属イオン(銅イオン)とが反応し易くなり、素線1の表面付近に錯体が形成される。さらにその上に化合物皮膜2が形成し易くなり、化合物皮膜2が速やかに形成される。この状態の化合物溶液は、飽和していない化合物溶液の場合や、飽和していても析出していない化合物溶液の場合よりも、効率的な成膜が可能となり、生産性を高めることができる。そして、成膜時間を長くすることにより、厚膜化も実現できる。
なお、化合物溶液のpHをさらに高めると(例えばpH6以上)、図5に示すように、有効成分の溶解度がさらに低下して、有効成分がより析出することになる。しかし、有効成分が析出しすぎて化合物溶液中の有効成分濃度が当初の濃度(「100%」とする。)の4割(40%)未満の場合、すなわち有効成分の析出物がかなり多くなった場合、十分な厚膜化を実現しにくい。一方、厚膜化は、化合物溶液中で有効成分が析出するかしないかの飽和状態よりも、有効成分が析出して化合物溶液中の有効成分濃度が当初の濃度の4割(40%)以上となって析出量が多すぎてしまう場合(図5に示す符号f-g-hの右側領域)や、8割(80%)以下となって析出量が少ない場合(図5に示す符号c-d-eの左側領域)の場合は、十分な厚膜化を実現しにくい。したがって、有効成分が析出して化合物溶液中の有効成分濃度が当初の濃度(100%)の8割以下(好ましくは6割以下)で4割以上の範囲の場合に、より厚膜化を実現することができる。
厚膜化のメカニズムは、化合物溶液中で有効成分の全て(100%)が溶解している場合は、有効成分である化合物が化合物皮膜2になる反応速度はゆっくりで短時間処理での厚膜化はしにくいが、化合物溶液中で有効成分の全てが溶解しきれずに4割から8割の範囲で溶解し、残り析出している場合は、析出物が素線1を構成する金属の金属イオンと容易に結合して化合物皮膜2になり易く、厚膜化しやすくなったものと考えられる。一方、化合物溶液中で有効成分の4割未満しか溶解しきれずに6割以上も析出した場合は、析出物の沈殿が生じ易く、素線1を構成する金属の金属イオンと結合し難くなって化合物皮膜2の形成が困難になるものと考えられる。こうした厚膜化の実現は、線速を落としたり、生産ラインを長く拡張したりする必要がなく、既存の設備の拡大を行うことなく短時間で例えば厚さ0.02μm以上の化合物皮膜2を形成できる。
(2)加熱処理:
厚膜化した化合物皮膜2が形成されることにより、化合物皮膜被覆素線3が得られる。本発明では、撚り線4とする前の化合物皮膜被覆素線3を加熱処理する、撚り線4とした後の化合物皮膜被覆素線3を加熱処理する、又は、撚り線4の外周に絶縁層5を被覆した後の状態で化合物皮膜被覆素線3を加熱処理する。こうした加熱処理により、素線1を構成する金属の金属イオン(銅イオン)が熱によって拡散し、より多くの有効成分と銅イオンとが反応・結合し、錯体を形成する。その結果、化合物皮膜2の耐熱性が向上し、高周波特性の改善を図ることができる。加熱処理温度としては、60~300℃で行うが、例えば155℃であることが、錯体形成をより促進し、皮膜強化及び耐熱性の向上の観点から好ましく、加熱処理時間としては、10~50時間(例えば24時間等)で行うことが、錯体形成反応をより促進して皮膜強化及び耐熱性の向上の観点から好ましい。なお、加熱処理のタイミングは、撚り線4とする前でも、撚り線4とした後でも、絶縁層5を被覆した後のいずれでも構わないが、絶縁層5を被覆した後の状態で化合物皮膜被覆素線3を加熱処理する場合がより好ましい。
図6は、XPSによる深さ方向の組成分析結果であり、(A)は加熱処理しない化合物皮膜であり、(B)は加熱処理した化合物皮膜である。また、図7は、XPSによる深さ方向の化学結合分析結果であり、(A)は加熱処理しない化合物皮膜であり、(B)は加熱処理した化合物皮膜である。化合物皮膜2に加熱処理を行っているか否かについては、XPS分析によって判別できる。具体的には、XPS分析で厚さ方向の銅イオン(金属イオン)濃度を測定した場合において、図6(A)に示すように、化合物皮膜2の表層部の銅イオン濃度が低く、下層部(素線側の部分)の銅イオン濃度が高い場合には、加熱処理されずに銅イオンが表層部まで拡散していないということができる。一方、図6(B)に示すように、化合物皮膜2の表層部の銅イオン濃度と下層部(素線側の部分)の銅イオン濃度とが同程度であれば、加熱処理によって銅イオンが表層部まで拡散しているということができる。なお、図6に示すXPS分析結果は、C,Cu,Nの各成分組成(原子%)について表している。
また、図7(A)に示すように、化合物皮膜2のN:Cuの化学結合比率が小さい場合には、加熱処理されずにCuとNとの化学結合が十分に起こっていないということができる。一方、図7(B)に示すように、化合物皮膜2のN:Cuの化学結合比率が大きい場合には、加熱処理によってCuとNとの化学結合が十分に起こっているということができる。
なお、厚膜化した化合物皮膜2に加熱処理を行わずに、数秒~数十秒乾燥だけさせた場合は、銅イオンが表層部まで十分に拡散できておらず、化合物皮膜2の厚さ方向の全て(特に上側の表面層側)において、有効成分と銅イオンとが反応できずに錯体を形成しないことがある。化合物皮膜2に有効成分と銅イオンとが結合していない部分があると、その部分では、100℃前後で分解してしまう。本発明では、厚膜化を実現したために、化合物皮膜2の厚さ方向の全ての部分で有効成分であるイミダゾール系化合物と銅イオンとがしっかり反応して結合した状態を実現する必要があり、加熱処理はその実現手段である。こうした加熱処理により、化合物皮膜2は300℃程まで耐熱性を保持することができる。その結果、本発明の絶縁電線は、化合物皮膜2の絶縁性が加熱処理していない場合よりも優れ、その結果、高周波特性が改善される。
(撚り線)
撚り線4は、図3に示すように、化合物皮膜2で被覆された化合物皮膜被覆素線3を複数本撚り合わせたものである。撚り合わせとしては、集合撚りや同心撚り等を挙げることができ、撚り線に圧縮加工を施して更に外径を小さくしてもよい。撚りピッチ等については任意に設定され、特に限定されない。また、化合物皮膜被覆素線3の本数についても特に限定されず、要求される製品仕様やコイル仕様に応じて任意に設定される。
図1に示す絶縁電線10Aは、例えば19本の化合物皮膜被覆素線3を撚った撚り線4を含むものである。図2に示す絶縁電線10Bは、例えば19本の化合物皮膜被覆素線3を撚った子撚り線4aを準備し、その子撚り線4aを7つ準備してさらに撚った撚り線(親撚り線4)を含むものである。本発明では、図1や図2のいずれの形態の絶縁電線10であってもよい。なお、後述の実施例等では、図2に示す絶縁電線10を用いている。
(絶縁層)
絶縁層5は、撚り線4の外周に被覆され、例えば絶縁性塗布皮膜、絶縁性押出樹脂、絶縁性テープであることが好ましい。この絶縁層5は、はんだ付け温度で分解する材料で構成されていてもよく、その場合には、はんだ付けによって端末処理を行うことができる。
絶縁層5の構成材料としては、絶縁電線を構成する各種の樹脂を挙げることができる。例えば、はんだ付け可能な絶縁層を形成できる樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらのうち、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。また、はんだ付け性は可能ではないが、ポリフェニルサルファイド(PPS)、エチレン-四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、フッ素化樹脂共重合体(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂:PFA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等を挙げることもできる。
絶縁層5は、絶縁性塗布皮膜、絶縁性押出樹脂、絶縁性テープであれば、単層であってもよいし積層であってもよい。絶縁層5を積層形態とする場合、前記した同一又は異なる熱硬化性樹脂層を2層以上設けてもよいし、熱硬化性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を積層させてもよい。また、熱可塑性樹脂層はテープ巻きと押出しを組み合わせて積層してもよい。
絶縁層5の形成方法として、熱硬化性樹脂材料で絶縁層5を形成する場合の組成物は、熱硬化性樹脂材料のほか、架橋剤や溶剤が含まれる。また、必要に応じて各種の添加剤が含まれる。それらの架橋剤、溶剤及び添加剤は特に限定されない。絶縁層5は、形成用組成物を塗布して形成されたり、テープ巻きして形成されたり、押し出し成形によって形成される。
絶縁層5の厚さは、単層や積層にかかわらず特に限定されないが、通常は、20μm以上であることが好ましい。絶縁層5の厚さが20μm未満では、薄すぎて十分な絶縁性を確保することができないことがある。
[コイル]
本発明に係るコイル20は、図4(A)に示すように、上記した本発明に係る絶縁電線10を用いて形成してなる。このコイル20は、外径の小さい絶縁電線10を用いるので、コイルの小形化を実現することができるとともに、単位体積当たりの絶縁電線の占有率を高めることができる。コイル20としては、例えば、トランスコイル、モーター、インバータ、非接触給電用コイル、インダクタ、チョークコイル、ノイズフィルター、IHヒータ、電源トランス等、パワー半導体を使う高周波コイル等を挙げることができる。
図4はコイル20の断面図であり、(A)は本発明に係る絶縁電線10をボビン21に巻き付けたときの断面図であり、(B)は外径の大きい従来の絶縁電線22をボビン21に巻き付けたときの断面図である。図4(A)(B)に示すように、同一寸法のボビンに絶縁電線を同じ巻数で巻き付けたとき、本発明に係る絶縁電線10を巻いたときの巻き厚さaの方が、従来の絶縁電線22を巻いたときの巻き厚さbに比べて小さくなる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しくて説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
[比較例1]
素線1として直径0.1mmの軟銅線を19本準備した。19本の素線1を40m/分の速度でイミダゾール水溶液中に0.8秒間浸漬し、引き続いて100~110℃で乾燥して、厚さ0.01μmの化合物皮膜2が設けられた化合物皮膜被覆素線3を形成した。19本の化合物皮膜被覆素線3をそのまま、撚りピッチ35mmで撚り、直径約0.5mmの子撚り線4aを作製した。こうしてできた子撚り線4aをさらに7本準備し、線速60m/分の速度で撚りピッチ45mmとなるように撚り合わせ、直径約1.34mmの撚り線4(親撚り線4)を作製した。この撚り線4を加熱処理することなく、撚り線4上に、ETFEの押出皮膜を三層形成して厚さ0.18mmの絶縁層5を形成した。こうして、直径約1.70mmの比較例1の絶縁電線10を作製した。なお、イミダゾール水溶液としては、フェニルイミダゾール0.5質量%、酢酸4.5質量%、アンモニア0.5質量%、添加剤0.5質量%、水80.0質量%のイミダゾール水溶液(pH3.9,液温35℃)を用いた。このイミダゾール水溶液では、有効成分であるフェニルイミダゾールを含む有機酸塩等の析出が生じておらず、全ての有効成分は水溶液中に全て溶け込んでいた。すなわち、有効成分濃度は100%(10割)である。
[実施例1]
比較例1の作製で用いたイミダゾール水溶液に代えて、アルキルベンズイミダゾール0.8質量%、ギ酸5.3質量%、アンモニア水17.5質量%、添加剤0.8質量%、水75.5質量%のイミダゾール水溶液(pH3.5,液温50℃)を用いた。pHを3.5にしたことにより、イミダゾール水溶液中にアルキルベンズイミダゾールを含む有機酸塩等の析出物が発生した。このイミダゾール水溶液は、有効成分の析出が生じたことにより、その析出分だけイミダゾール水溶液中の有効成分濃度が減少し、当初の6割の濃度になっていた。こうした状態のイミダゾール水溶液を使用することで、厚さ0.10μmの化合物皮膜2が設けられた化合物皮膜被覆素線3を形成した。その後、撚り線4上に、ETFEの押出被膜を三層形成して厚さ0.18mmの絶縁層5を形成した。加熱処理は、撚り線4を形成し絶縁層5を形成した後の絶縁電線10に対して155℃で24時間行った。その後の撚り線4は比較例1と同様に行った。こうして、直径約1.70mmの実施例1の絶縁電線10を作製した。
[実施例2]
比較例1の作製で用いたイミダゾール水溶液のpHを4.2、液温を50℃に代えて用いた。このイミダゾール水溶液は、有効成分の析出が生じたことにより、その析出分だけイミダゾール水溶液中の有効成分濃度が減少し、当初の8割未満の濃度になっていた。こうしたイミダゾール水溶液を使用することで、厚さ0.05μmの化合物皮膜2が設けられた化合物皮膜被覆素線3を形成した。その後の撚り線4の形成、絶縁層5の形成、及び加熱処理は、実施例1と同様とし、直径約1.70mmの実施例2の絶縁電線10を作製した。
[実施例3]
実施例1の作製で用いたイミダゾール水溶液にアンモニア水を加えてpHを4.0に上げた。pHを4.0にしたことにより、水溶液中にアルキルベンズイミダゾールを含む有機酸塩等の析出物が発生した。このイミダゾール水溶液は、有効成分の析出が生じたことにより、その析出分だけイミダゾール水溶液中の有効成分濃度が減少し、当初の4割の濃度になっていた。こうしたイミダゾール水溶液を使用することで、厚さ0.05μmの化合物皮膜2が設けられた化合物皮膜被覆素線3を形成した。その後の撚り線4の形成、絶縁層5の形成、及び加熱処理は、実施例1と同様とし、直径約1.70mmの実施例3の絶縁電線10を作製した。
[実施例4]
実施例2の作製で用いたイミダゾール水溶液にアンモニア水を加えてpHを4.3、液温を70℃に上げた。pHを4.3にしたことにより、水溶液中にフェニルイミダゾールを含む有機酸塩等の析出物が発生した。このイミダゾール水溶液は、有効成分の析出が生じたことにより、その析出分だけイミダゾール水溶液中の有効成分濃度が減少し、当初の6割の濃度になっていた。こうしたイミダゾール水溶液を使用することで、厚さ0.10μmの化合物皮膜2が設けられた化合物皮膜被覆素線3を形成した。その後の撚り線4の形成、絶縁層5の形成、及び加熱処理は、実施例2と同様とし、直径約1.70mmの実施例4の絶縁電線10を作製した。
[比較例2]
実施例1において、加熱処理を行わなかった。それ以外は、実施例1と同様にして、直径約0.70mmの比較例2の絶縁電線10を作製した。なお、化合物皮膜2の厚さは0.10μmであった。
[比較例3]
実施例2において、加熱処理を行わなかった。それ以外は、実施例2と同様にして、直径約0.70mmの比較例3の絶縁電線10を作製した。なお、化合物皮膜2の厚さは0.05μmであった。
[有効成分濃度の測定]
上記した実施例1~4及び比較例1~3の絶縁電線の製造で使用した化合物溶液中の有効成分濃度は、有効成分濃度を変えた各化合物溶液を準備し、各化合物溶液を吸光光度法で測定して検量線を作成し、その検量線と実際に使用した化合物溶液の測定結果とから測定した。吸光光度計は、UV-1800(株式会社島津製作所製)を用いた。
[化合物皮膜の厚さ測定]
上記した実施例1~4及び比較例1~3の絶縁電線を構成する化合物皮膜2の厚さは、走査型電子顕微鏡での測定方法、透過型電子顕微鏡での測定方法、又は、化合物皮膜2を塩酸溶液に溶かし、既知の濃度で作成した検量線を用いて、吸光光度測定から皮膜厚さを換算する測定方法、のいずれかで測定した。上記実施例1~4及び比較例1~3では、吸光光度測定から皮膜厚さを換算した。
[高周波特性の測定]
実施例1,2及び比較例1~3で作製した絶縁電線を用い、アジレント・テクノロジー社製のHP4284AプレシジョンLCRメータにて高周波領域における交流抵抗(Ls(μH),Rs(Ω))を評価した。その評価に際しては、絶縁電線を外径40mmのボビンに5ターン巻きつけてコイル形状にして測定した。図8は、高周波抵抗値の周波数特性であり、(A)は実施例1と比較例1,2の結果であり、(B)は実施例2と比較例1,3の結果である。表1、表2にもその結果を示した。表1に示すように、厚膜化し且つ加熱処理した実施例1は、厚膜化せず加熱処理もしていない比較例1に比べて300kHzで51%高周波特性が改善され、厚膜化したが加熱処理していない比較例2に比べて300kHzで38%高周波特性が改善された。また、表2に示すように、厚膜化し且つ加熱処理した実施例2は、厚膜化せず加熱処理もしていない比較例1に比べて300kHzで49%高周波特性が改善され、厚膜化したが加熱処理していない比較例3に比べて300kHzで22%高周波特性が改善された。
Figure 2023163459000004
Figure 2023163459000005
1 素線
2 化合物皮膜
3 化合物皮膜被覆素線
4 撚り線(親撚り線)
4a 子撚り線
5 絶縁層
10,10A,10B 絶縁電線
20 コイル
21 ボビン
22 外径の大きい従来の絶縁電線

Claims (11)

  1. 密接して巻線してコイルとするための絶縁電線であって、
    素線を構成する金属の金属イオンと、該金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分とから形成される化合物皮膜で被覆された化合物皮膜被覆素線と、
    前記化合物皮膜被覆素線を複数本撚り合わせた撚り線の外周に被覆された絶縁層とを有し、
    前記撚り線とする前の前記化合物皮膜被覆素線、前記撚り線とした後の前記化合物皮膜被覆素線、又は、前記撚り線の外周に前記絶縁層を被覆した後の前記化合物皮膜被覆素線が加熱処理されたものである、ことを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記化合物皮膜が、イミダゾール系化合物皮膜である、請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記化合物皮膜の厚さが、0.02μm以上である、請求項1又は2に記載の絶縁電線。
  4. 前記化合物皮膜が、はんだ付け温度で分解する材料で構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  5. 前記絶縁層が、絶縁性塗布皮膜、絶縁性押出樹脂、絶縁性テープ、及びそれらの組み合わせから選択されて形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の絶縁電線を用いて形成してなる、ことを特徴とするコイル。
  7. 電源トランス用である、請求項6に記載のコイル。
  8. 密接して巻線してコイルとするための絶縁電線の製造方法であって、
    素線を構成する金属の金属イオンと錯体を形成する化合物の有効成分を含む溶液と、前記素線とを接触、乾燥させて、前記金属イオンと前記化合物の有効成分とから形成される化合物皮膜を前記素線上に設けて化合物皮膜被覆素線を形成し、
    前記化合物皮膜被覆素線を複数本撚り合わせて撚り線とし、
    前記撚り線の外周に絶縁層を形成し、
    前記撚り線とする前の前記化合物皮膜被覆素線、前記撚り線とした後の前記化合物皮膜被覆素線、又は、前記撚り線の外周に前記絶縁層を被覆した後の前記化合物皮膜被覆素線に加熱処理する、ことを特徴とする絶縁電線の製造方法。
  9. 前記化合物皮膜を構成する有効成分は、前記化合物の溶液中に溶け込んでいる割合が当初の4割以上である、請求項8に記載の絶縁電線の製造方法。
  10. 前記有効成分が、イミダゾール系化合物である、請求項8又は9に記載の絶縁電線の製造方法。
  11. 前記化合物皮膜の厚さが、0.02μm以上である、請求項8~10のいずれか1項に記載の絶縁電線の製造方法。


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