JP2019009432A - 高周波コイル用電線及び電子部品 - Google Patents

高周波コイル用電線及び電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】はんだ接合の信頼性を確保し且つ、高周波での交流抵抗の低減が図れる高周波コイル用電線及びその高周波コイル用電線を用いた電子部品を提供する。【解決手段】銅導体1と該銅導体1の外周に設けられた強磁性層4とを有する芯線10と、その芯線10上に設けられた絶縁被覆層4とで少なくとも構成され、はんだ付け時の濡れ応力が3.4mN以上でゼロクロスタイムが0.4秒以下である高周波コイル用電線20によって上記課題を解決した。銅導体の直径は0.02〜0.40mmの範囲内であることが好ましく、強磁性層4は、鉄層1と、鉄層2の外周に設けられたニッケル層3とを有し、鉄層1の厚さが0.2μm以上3.0μm以下であり、鉄層1のビッカース硬度が200HVであることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、高周波コイル用電線及び電子部品に関し、さらに詳しくは、各種の高周波コイル等の電子部品に用いられて高周波での交流抵抗を低減できる高周波コイル用電線及びその高周波コイル用電線を用いた電子部品に関する。
特許文献1には、銅線上に純鉄等の強磁性体めっきを施した導体を芯線としたエナメル絶縁電線が提案され、高周波利得Qを数10%向上させることが記載されている。この特性向上は、高周波での交流抵抗の低減に基づいていると考えられており、導体の外周に強磁性層を施すことによって、外部磁界を遮蔽するとともに、遮蔽しきれずに内部に侵入した外部磁界による渦電流を低減し、近接効果による損失を抑制することによって、交流抵抗の増大を抑制しているものと考えられている。また、特許文献1には、はんだ付け特性の向上のためには、強磁性層上に設けるめっき層として、銅めっき層よりもニッケルめっき層が好ましいことも記載されている。
また、特許文献2には、はんだ付け性を向上させることを目的として、導体の外周に鉄めっき層を設け、はんだ付け性を確保するために厚さ0.03〜0.1μmのニッケルめっき層を設け、鉄めっき層が酸化する前にポリウレタン絶縁塗料からなるエナメル絶縁樹脂層を塗布焼付する方法が提案されている。
実公昭42−1339号公報 特開昭62−151594号公報
コイル部品に用いられる絶縁被覆電線では、エナメル絶縁層としてポリウレタン被覆層が一般的に適用されている。しかし、コイル部品等の電子機器部品の動作環境はより高温側に移行しており、絶縁被覆電線を構成するエナメル絶縁層も耐熱性の要求が増してきた。絶縁被覆層を構成する絶縁性樹脂の耐熱性は、A種、E種、B種、F種、H種等の耐熱クラスと許容最高温度で表示され、上記ポリウレタン被覆層を形成するポリウレタンは、温度指数E種120℃に相当する。最近では、温度指数F種155℃の変性ポリウレタンやポリエステル、更には、温度指数H種180℃のポリエステルイミド等の高耐熱性樹脂を用いることについての要求があり、360℃以下で作業していたはんだ付け温度が、F種クラスでは420℃、H種クラスでは460℃と高くなっている。
はんだ付け温度が高くなるにしたがい、導線(銅導体等)のはんだ溶食による断面減少等が起こり易く、接続強度の信頼性が問題となるため、極めて短時間で導線がはんだ付け処理されることが望ましい。すなわち、濡れ応力が高く、且つゼロクロスタイムが短いほど、はんだ接続の信頼性が担保できる。
また、コイル部品の小型化、高周波化等に伴い、絶縁被覆電線は多数本撚り化、細線化が進んでいる。特に導線は、細線化するほどはんだ溶食等の問題が起こり易い。
特許文献2に記載のエナメル電線のはんだ付けでは、はんだ付け温度が高い環境ではニッケルめっき層とはんだ中の錫とが瞬時に反応して拡散し、実際には下地の鉄めっき層とはんだ材料との接合になっている。しかしながら、鉄と錫の金属間化合物は形成され難いことから、濡れ応力(すなわち接合強度)が低く、接続信頼性に劣ってしまう。必要以上にニッケルを厚くすることは、強磁性体である鉄の効果が薄れ、近接効果による高周波損失の抑制には至らない。
本発明の目的は、はんだ接合の信頼性を確保し且つ、高周波での交流抵抗の低減が図れる高周波コイル用電線及びその高周波コイル用電線を用いた電子部品を提供する。
(1)本発明に係る高周波コイル用電線は、銅導体と該銅導体の外周に設けられた強磁性層とを有する芯線と、該芯線上に設けられた絶縁被覆層とで少なくとも構成された高周波コイル用電線であって、はんだ付け時の濡れ応力が3.4mN以上でゼロクロスタイムが0.4秒以下であることを特徴とする。この発明によれば濡れ応力が高くなり、強固なはんだ接合が得られる。
本発明に係る高周波コイル用電線において、前記銅導体の直径が、0.02〜0.40mmの範囲内であることが好ましい。
本発明に係る高周波コイル用電線において、前記濡れ応力が、3.7mN以上でゼロクロスタイムが0.2秒以下であることが好ましい
本発明に係る高周波コイル用電線において、前記強磁性層が、鉄層と、該鉄層の外周に設けられたニッケル層とを有し、前記鉄層のビッカース硬度が200HV以上であることが好ましい。
本発明に係る高周波コイル用電線において、前記強磁性層が、鉄層と、該鉄層の外周に設けられたニッケル層とを有し、前記鉄層の厚さが0.2μm以上3.0μm以下であることが好ましい。
(2)本発明に係る電子部品は、上記本発明に係る高周波コイル用電線がはんだ付けによって接続されていることを特徴とする。電子部品としては、高周波コイル等の巻線部品、高周波コイル等の巻線部品を備えた回路基板等を挙げることができる。
本発明によれば、はんだ付け接合の信頼性を確保し且つ、高周波での交流抵抗の低減が図れる高周波コイル用電線を提供できる。
本発明に係る高周波コイル用電線を構成する芯線の一例を示す断面図である。 本発明に係る高周波コイル用電線の一例を示す断面図である。 実施例で得られた芯線の強磁性層の表面の電子顕微鏡写真であり、(A)は隙間を有する場合であり、(B)は隙間が少ない場合であり、(C)は隙間がほとんどない場合である。
本発明に係る高周波コイル用電線及び電子部品の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態及び図面に記載した形態と同じ技術的思想の発明を含むものであり、本発明の技術的範囲は実施形態の記載や図面の記載のみに限定されるものでない。
本発明に係る高周波コイル用電線20は、図1及び図2に示すように、銅導体1とその銅導体1の外周に設けられた強磁性層4とを有する芯線10と、その芯線10上に設けられた絶縁被覆層5とで少なくとも構成されている。そして、図3(A)(B)に示すように、強磁性層4が、径方向Xの隙間Gを有することに特徴がある。強磁性層4は、鉄層2と、鉄層2の外周に設けられたニッケル層3とからなることが好ましい。
この高周波コイル用電線20では、芯線10を構成する強磁性層4が径方向Xの隙間Gを有するので、はんだ付け時のはんだが銅導体1に到達し易い。その結果、銅とはんだ中の錫とが金属間結合することによって、濡れ応力が高くなり、強固なはんだ接合が得られる。なお、隙間Gは、強磁性層4(例えばニッケル層3及び鉄層2)が貫抜かれている形態になっている。隙間Gがない場合は、はんだ中の錫がニッケルと結合することになるが、ニッケル層の厚さが極めて薄い場合にはハンダ中にニッケルが瞬時に拡散されてしまう。その結果、実際には鉄との接合となるため、濡れ応力が低く、良好な接合強度が得られ難い。
以下、高周波コイル用電線の構成要素を説明する。
<芯線>
芯線10は、銅導体1と、銅導体1の外周に設けられた強磁性層4とを有している。高周波コイル用電線20は、芯線10と、芯線10上に設けられた絶縁被覆層5とで少なくとも構成されている。
(銅導体)
銅導体1は、銅又は銅合金を主な構成金属として含むものであり、本願では、タフピッチ銅、無酸素銅、銅−錫合金、銅−銀合金、銅−ニッケル合金、銅クラッドアルミニウム、銅クラッドマグネシウム等から選ばれる。これらの導体は、導電率60%IACS以上の低抵抗な良導電性であるので、導体径を細くした場合であっても、銅を主体とする金属が最外層にあるので酸化され難く、はんだ付け接合の信頼性を高めることができる。なお、銅−錫合金、銅−銀合金、銅−ニッケル合金、銅クラッドアルミニウム、銅クラッドマグネシウム等においては、高周波コイル用電線20として好ましい上記導電率(60%IACS以上)となるように、銅合金の場合はその合金組成が調整されていることが好ましく、クラッドの場合はコア材の材質やクラッド材とコア材との比が調整されていることが好ましい。
銅導体1の直径は特に限定されないが、はんだ付け温度が高い環境での接続強度の信頼性が問題になる細さであることが好ましく、例えば0.02〜0.40mm程度の範囲内である。
(強磁性層)
強磁性層4は、銅導体1上に設けられており、得られた芯線10で高周波コイル用電線20として高周波コイルに用いた場合、交流抵抗を低減して高周波特性が向上するように作用する。強磁性層4の構成材料は特に限定されないが、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、パーマロイ(Ni78−Fe22)、パーマロイ(Ni45−Fe55)、スーパーマロイ(Ni75−Cu5−Fe20)、Co−Ni−Fe(Co20−Ni40−Fe40)等を挙げることができる。強磁性層4の形成方法は特に限定されないが、銅導体1上に形成する方法としては電気めっき法が好ましいが、前記した各組成のものはいずれも電気めっきで成膜できるので好ましく用いることができる。本発明に係る高周波コイル用電線20では、この強磁性層4に後述する隙間Gが形成されていることに特徴がある。
以下では、強磁性層4として鉄層2とニッケル層3とからなるものを例にして説明する。鉄層2とニッケル層3以外のもので構成された強磁性層4は、その組成によって高周波特性がやや異なるものの、隙間Gの作用、厚さ、はんだ付け等に関しては同様である。
(鉄層)
鉄層2は、銅導体1上に設けられており、ニッケル層3とともに強磁性層4を構成する。この鉄層2の厚さは、0.2μm以上3.0μm以下の範囲内で設けられていることが好ましく、高周波コイル等に使用される場合に交流抵抗を低減して高周波特性が向上する。特に純鉄めっきは強磁性であるので好ましく採用される。なお、交流抵抗を低減する等の効果を阻害しない範囲であれば、鉄層2に他の元素(例えばニッケル、コバルト、リン、ホウ素等)が含まれていてもよい。
鉄層2は、高周波特性の向上させることができるとともに、はんだ付けの際にはんだ溶食を防止する効果もある。しかし、銅導体1上に形成された鉄層2ではんだ溶食が防止されるということは、はんだ中の錫と鉄との金属間化合物が形成され難いことを意味するものである。そうした金属間化合物の形成のし難さは、銅とはんだ中の錫との化合を阻害するものであり、濡れ応力(すなわち接合強度)が低く、接続信頼性に劣ってしまい、短時間でのはんだ付け性の要請に対応できない場合がある。
本発明では、鉄層2及びニッケル層3からなる強磁性層4が、径方向Xの隙間Gを有することに特徴がある。こうした隙間Gを有することにより、はんだ付け時のはんだ中の錫が銅導体1に到達し易い。その結果、銅とはんだ中の錫とが金属間結合することによって、濡れ応力が高くなり、強固なはんだ接合が得られる。隙間Gは、ニッケル層3から鉄層2に貫抜かれている一体的な形態になっている
隙間Gの数は、芯線10の表面に見える数であって、芯線10の直径Dと同じ長さの軸方向仮想線Y1と径方向仮想線X1とで形成した正方形(Y1×X1)の中に見える数である。その隙間Gの数は、2以上、30以下の範囲内であることが好ましい。こうした範囲内とすることにより、はんだ付け時のはんだが銅導体に到達し易く、その結果、銅とはんだ中の錫とが金属間結合することによって、良好な濡れ応力が得られ、強固なはんだ接合が得られる。隙間Gの数が2未満の場合、はんだ中の錫と鉄との接合が主になるため、濡れ応力が低く、良好な接合強度が得られ難いことがある。一方、隙間Gの数が30を超えると、はんだ中の錫と銅とが瞬時に接合し、はんだ溶食が進行して導体断面積が減少し易いため、接合強度が低下してしまうことがある。隙間Gの幅は0.3μm以上、5μm以下の範囲内が好ましく、0.5μm以上、2.0μm以下の範囲内がより好ましい。この隙間Gにより、はんだ付け時のはんだが銅導体に到達し易く、その結果、銅とはんだ中の錫とが金属間結合することによって、良好な濡れ応力が得られ、強固なはんだ接合が得られる。なお、隙間Gの幅が5μmを超えるとピンホールになり易いことがある。
隙間Gは、後述の実施例に示すように、銅導体1の機械的特性(引張強度、伸び)や滑車の大きさと角度を制御して形成することができる。また、鉄めっき液に添加剤を加えたりめっき条件を制御して、鉄層2の硬さをビッカース硬度で200HV以上に増すことにより、隙間Gを形成することできる。
添加剤としては、例えば、チオ尿素、サッカリン、ベンゾチアゾール、JGB(ヤーナスグリーンB)、ベンサルアセトン、ゼラチン、ポリエチレングリコール、ブチンジオール、クマリン等を挙げることができ、これらを数十ppm添加することにより、分子又はイオンが析出サイトに単独で吸着して析出できる。また、これらの添加剤で鉄錯体を形成させ、その錯体が析出サイトに吸着して析出できる。添加剤の効果により、微細で硬い結晶粒を得ることができ、ビッカース硬度250HV程度の鉄層2を形成することができる。こうした鉄層2の厚さを0.5μm以上、好ましくは1μm以上とすることにより、電着応力が増し、鉄層2に隙間Gが存在していた。
めっき条件としては、例えば、めっき液の温度を30℃から20℃に下げたり、pHを3から2に下げたりすることにより、微細で硬い結晶粒を得ることができ、ビッカース硬度300HV程度の鉄層2を形成することができる。こうした鉄層2の厚さを0.5μm以上、好ましくは1μm以上とすることにより、電着応力が増し、鉄層2に隙間Gが存在していた。
鉄層2は、電気めっきで成膜されることが好ましく、鉄電解液中で銅導体1に給電して形成することができる。めっき液としては、通常、鉄の無機塩と、支持電解質とを少なくとも有するめっき液であれば特に限定されないが、例えば硫酸鉄めっき液や塩化鉄めっき液等を適用することができる。めっき液には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて、界面活性剤、光沢剤等の各種の添加剤を含有してもよい。
(ニッケル層)
ニッケル層3は、鉄層2上に設けられており、鉄層2とともに強磁性層4を構成する。このニッケル層3の厚さは、0.01μm以上1.0μm以下の範囲内で設けられていることが好ましく、はんだ付け性を向上させるとともに、鉄層2とともに高周波コイル等に使用される場合に交流抵抗を低減して高周波特性を向上させることができる。ニッケル層3が厚すぎると、強磁性体である鉄の効果が薄れ、近接効果による高周波損失の抑制には至らない。一方、ニッケル層3が薄すぎると、はんだ付け温度が高い環境ではニッケル層3とはんだ中の錫とが瞬時に反応して拡散し、実際には下地の鉄層2とはんだ材料との接合になるため、濡れ応力が低く、良好な接合強度が得られ難い。
ニッケル層3は鉄層2とともに強磁性層4を構成し、この強磁性層4は、上述したように径方向Xの隙間Gを有する。なお、隙間Gについては既に説明したのでここではその説明を省略する。
ニッケル層3は、電気めっきで成膜されることが好ましく、ニッケル電解液中で鉄層2が設けられた銅導体1に給電して形成することができる。めっき液としては、通常、ニッケルの無機塩と、支持電解質とを少なくとも有するめっき液であれば特に限定されないが、例えば硫酸ニッケルめっき液や塩化ニッケルめっき液等を適用することができる。めっき液には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて、界面活性剤、光沢剤等の各種の添加剤を含有してもよい。
<絶縁被覆層>
絶縁被覆層5は、図2に示すように、強磁性層4上に設けられている。絶縁被覆層5を設けることにより、高周波コイル用電線20を、各種高周波コイル、高周コイル用の電線(撚り線、集合させた素線の外周を絶縁被覆により一体化した絶縁電線等)として有用に利用できる。絶縁被覆層5としては、強磁性層4を形成した後の芯線10の外周に、はんだ付け可能な絶縁エナメル被膜、又は、はんだ付け可能な絶縁エナメル被膜と融着エナメル被膜が塗布焼付して形成される。はんだ付け可能な絶縁エナメル被膜は、例えば汎用ポリウレタン、変性ポリウレタン、ポリエステルイミド等のはんだ付け可能なエナメル塗料を塗布焼付けして形成できる。また、更にその外周に形成する融着エナメル被膜は、例えばナイロンやエポキシ等の融着エナメル塗料を塗布焼付けして形成できる。これらの被膜は、通常のエナメル線の製造装置を用いて製造できる。なお、はんだ付けできない絶縁被覆層5(ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル等)を設けた場合には、絶縁被覆層5を機械的及び/又は化学的に剥離することで良好にはんだ付けできる。
絶縁被覆層5が設けられた本発明に係る高周波コイル用電線20は、高周波コイル用以外であっても、リッツ線の構成線材や、三層絶縁電線の構成線材等に用いることもできる。また、これらの他に、絶縁被覆層5を設ける前の芯線10、或いはその芯線10の表面にイミダゾール錯体膜等の保護膜を備えたものを用い、それを撚り合わせて撚り線とし又は集合させた集合線とし、その撚り線又は集合線の外周を、押出し、テープ巻き、焼付け等で一体化した高周波用の絶縁電線等としてもよい。
<電子部品>
本発明に係る電子部品は、上記した本発明に係る高周波コイル用電線20を用いて構成されている。電子部品としては、高周波コイル等の巻線部品、高周波コイル等の巻線部品を備えた回路基板等を挙げることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
直径0.1mmの硬銅線(HCW)を360℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍した直径0.1mmの焼鈍材(ACW、引張強度:240MPa、伸び:27%)を銅導体1として用い、表面脱脂、酸活性処理した後、電気めっき法で厚さ1μmの鉄層2を形成し、続いて、電気めっき法で厚さ0.03μmのニッケル層3を形成し、強磁性層4(鉄層2とニッケル層3)を備えた芯線10を得た。鉄めっきは、硫酸鉄めっき液(硫酸第一鉄250g/L、塩化鉄50g/L、塩化アンモニウム30g/L)を用い、ニッケルめっきは、硫酸ニッケルめっき液(硫酸ニッケル250g/L、塩化ニッケル30g/L、ホウ酸15g/L)を用いた。得られた芯線10を、直径の350倍の滑車に120°の角度で接触させながら巻き取り、強磁性層4の径方向Xに隙間Gを設けた。こうして隙間Gを備えた芯線10を得た。
[実施例2]
鉄層2の厚さを2μmとした他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例3]
鉄層2の厚さを3μmとした他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例4]
銅導体1として、直径0.1mmの硬銅銀合金線(HCAW)を650℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍した直径0.1mmの焼鈍材(ACAW、引張強度:330MPa、伸び:24%)を用いた他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例5]
銅導体1として、直径0.1mmの硬銅錫合金線(HCSW)を600℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍した直径0.1mmの焼鈍材(ACSW、引張強度:300MPa、伸び:25%)を用いた他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例6]
直径の300倍の滑車を用いた他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例7]
直径の200倍の滑車を用いた他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例8]
直径の100倍の滑車を用いた他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例9]
300℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍した他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。焼鈍材(ACW)は、引張強度:280MPa、伸び:15%であった。
[実施例10]
280℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍した他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。焼鈍材(ACW)は、引張強度:300MPa、伸び:5%であった。
[実施例11]
滑車に90°の角度で接触させながら巻き取った。それ以外は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例12]
直径の100倍の滑車を用い且つ滑車に90°の角度で接触させながら巻き取った。それ以外は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例13]
直径0.05mmの硬銅線(HCW)を360℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍した直径0.05mmの焼鈍材(ACW、引張強度:280MPa、伸び:18%)を銅導体1とした他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例14]
直径0.08mmの硬銅線(HCW)を360℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍した直径0.08mmの焼鈍材(ACW、引張強度:260MPa、伸び:22%)を銅導体1とした他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[実施例15]
直径0.12mmの硬銅線(HCW)を360℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍した直径0.12mmの焼鈍材(ACW、引張強度:240MPa、伸び:28%)を銅導体1とした他は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[比較例1]
不活性ガス雰囲気で焼鈍しなかった。それ以外は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。焼鈍しなかった硬銅線(HCW)は、引張強度:400MPa、伸び:2%であった。
[比較例2]
鉄層2の厚さを2μmとした他は、比較例1と同様にして、芯線10を得た。
[比較例3]
鉄層2の厚さを3μmとした他は、比較例1と同様にして、芯線10を得た。
[比較例4]
280℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍し、且つ直径の400倍の滑車を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、高周波コイル用電線を得た。焼鈍材(ACW)は、引張強度:300MPa、伸び:5%であった。
[比較例5]
280℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍し、且つ直径の400倍の滑車に90°の角度で接触させながら巻き取った。それ以外は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。焼鈍材(ACW)は、引張強度:300MPa、伸び:5%であった。
[比較例6]
銅導体1として、直径0.1mmの硬銅錫合金線(HCSW)を600℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍した直径0.1mmの焼鈍材(ACSW、引張強度:300MPa、伸び:25%)を用いた。さらに、直径の400倍の滑車に120°の角度で接触させながら巻き取った。それ以外は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。
[比較例7]
300℃の不活性ガス雰囲気で焼鈍し、且つ直径の350倍の滑車に160°の角度で接触させながら巻き取った。それ以外は、実施例1と同様にして、芯線10を得た。焼鈍材(ACW)は、引張強度:240MPa、伸び:15%であった。
[測定と結果]
(隙間とはんだ付け特性)
表1に実施例と比較例で得た芯線10の要素を示した。各芯線10の隙間Gは、顕微鏡(株式会社キーエンス製、VX600型、500倍)で測定した。測定は、軸方向仮想線Y1と径方向仮想線X1とで形成した正方形(0.1mm角)の中に見える隙間Gの数を測定するとともに、その隙間Gの平均幅を測定した。隙間Gの数の測定は、径方向仮想線X1(=芯線の直径)の1/4の長さ以上のものをカウントした。隙間Gが連続又は非連続で枝分かれしているものと認識できる場合は、関連する同一(1つ)の隙間Gと見なした。その結果を表2に示した。
はんだ付け時の濡れ応力(mN)とゼロクロスタイム(秒)を、動的濡れ性試験機(株式会社レスカ製、WET−6100型)で測定した。はんだは、Sn−3Ag−0.5Cu(千住金属工業株式会社製)を用い、380℃の温度で試験した。その結果を表2に示した。
表1及び表2の結果より、濡れ応力が3.4mN以上でゼロクロスタイムが0.4秒以下の場合には、隙間Gの数が6以上で、隙間Gの数と幅の積が6以上の場合であった。特に好ましいものとして、濡れ応力が3.7mN以上でゼロクロスタイムが0.2秒以下の場合は、隙間Gの数が12以上で、隙間の数と幅の積が12以上の場合であった。こうした結果は、主に隙間Gの数と幅の積が12以上の場合に実現できていた。こうした隙間Gは、表1に示す製造条件で形成することができた。
銅導体1の直径の異なる実施例13〜15の芯線10について、実施例1と同様の測定(濡れ応力、ゼロクロスタイム、隙間の数)を行った、実施例13(導体径:0.05mm)では、濡れ応力:1.8mN、ゼロクロスタイム:0.2秒、隙間Gの数:25、隙間Gの幅:1.5mm、数と幅との積:37.5であった。実施例14(導体径:0.08mm)では、濡れ応力:2.9mN、ゼロクロスタイム:0.2秒、隙間Gの数:19、隙間Gの幅:1.0mm、数と幅との積:19であった。実施例15(導体径:0.12mm)では、濡れ応力:4.3mN、ゼロクロスタイム:0.2秒、隙間Gの数:12、隙間Gの幅:1.0mm、数と幅との積:12であった。これらの結果より、濡れ応力(mN)については、単位表面積あたりで割って比較した結果、実施例1(導体径:0.10mm)、実施例13(導体径:0.05mm)、実施例14(導体径:0.08mm)、実施例15(導体径:0.12mm)は、いずれも5.7mN/mm付近であった。
(高周波特性)
高周波特性をLCRメーター(プレシジョンLCRメーター、4284A、20Hz〜1MHz、Agilent社製)で測定した。測定は、試料長:1.50m、専用ボビン:内径φ67mm、ターン数:5ターンとし、端末は両端半田付けしてテクスチャーと接続して測定した。2種ウレタンを絶縁被覆層5として設けた下記の試料1〜3(高周波コイル用電線20)を用い、周波数を1kHz〜1MHzまで変化させて測定した。
試料1:2種ウレタン被覆エナメル銅撚り線(21本/φ0.10mm)
試料2:2種ウレタン被覆エナメル鉄めっき撚り線(21本/φ0.10mm)、隙間G:なし、鉄めっき液(実施例1と同じ鉄めっき液、添加剤なし)、ニッケルめっき液(実施例1と同じニッケルめっき液)、Fe層の厚さ:0.8μm、Ni層の厚さ:0.05μm
試料3:2種ウレタン被覆エナメル鉄めっき撚り線(21本/φ0.10mm)、隙間G:あり、鉄めっき液(実施例1と同じ鉄めっき液、添加剤:サッカリン2m/L)、ニッケルめっき液(実施例1と同じニッケルめっき液)、Fe層の厚さ:0.8μm、Ni層の厚さ:0.05μm
図3(A)は試料3の種ウレタン被覆エナメル磁性めっき撚り線の表面写真であり、図3(B)は試料2の2種ウレタン被覆エナメル磁性めっき撚り線の表面写真であり、図3(C)は試料1の2種ウレタン被覆エナメル銅撚り線の表面写真である。
表3は、インピーダンス結果であり、表4は抵抗損失の結果である。表3及び表4からわかるように、強磁性層4が設けられている場合には、隙間Gの有無にかかわらず、同じ高周波特性を示しており、隙間Gの存在が高周波特性を低下させることはないことが確認された。
1 銅導体
2 鉄層
3 ニッケル層
4 強磁性層
5 絶縁被覆層
10 芯線
20 高周波コイル用電線
11 正方形
12 円
G 隙間
W 隙間の幅
X 径方向
X1 径方向仮想線
Y 軸方向
Y1 軸方向仮想線

Claims (6)

  1. 銅導体と該銅導体の外周に設けられた強磁性層とを有する芯線と、該芯線上に設けられた絶縁被覆層とで少なくとも構成された高周波コイル用電線であって、はんだ付け時の濡れ応力が3.4mN以上でゼロクロスタイムが0.4秒以下である、ことを特徴とする高周波コイル用電線。
  2. 前記銅導体の直径が、0.02〜0.40mmの範囲内である、請求項1に記載の高周波コイル用電線。
  3. 前記濡れ応力が、3.7mN以上でゼロクロスタイムが0.2秒以下である、請求項1又は2に記載の高周波コイル用電線。
  4. 前記強磁性層が、鉄層と、該鉄層の外周に設けられたニッケル層とを有し、前記鉄層のビッカース硬度が200HV以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高周波コイル用電線
  5. 前記強磁性層が、鉄層と、該鉄層の外周に設けられたニッケル層とを有し、前記鉄層の厚さが0.2μm以上3.0μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波コイル用電線
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波コイル用電線がはんだ付けによって接続されている、ことを特徴とする電子部品。


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