JP2023161243A - 工作機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】隣り合う加工部への振動を抑制する工作機械を提供すること。【解決手段】第1ベッド上に所定の加工装置を搭載した第1加工部と、前記第1ベッドの隣に配置された第2ベッド上に所定の加工装置を搭載した第2加工部と、前記第1ベッドと前記第2ベッドとを連結する金属プレートからなる連結部材と、前記連結部材より前記加工装置に近い位置で前記第1ベッドと前記第2ベッドとを連結する防振ゴムを備えた防振部材と、を有する工作機械。【選択図】図1
Description
本発明は、加工部ごとに分割されたベッド同士が連結され、一方の加工部によって生じた加工振動が他方の加工部に影響するのを抑制した工作機械に関する。
工作機械には正面2軸旋盤など多軸構造のものがある。そうした工作機械は1つのベッド上に各装置が組付けられることが多いが、下記特許文献1に記載された工作機械のように分割されたベッド構造のものもある。同文献に記載された工作機械は、左右の互いに独立したベッド上に、それぞれ主軸チャックを備えた主軸装置と、複数の工具を備えたタレットとが設置された加工部を構成する平行2軸旋盤である。そして、左右のベッドが粘弾性体を有する振動抑制装置によって連結されている。その振動抑制装置は、粘弾性体が機体の前後方向にずれて重なる2枚のプレート部材に挟まれ、接着等によって固定されたものである。
前記従来例の工作機械に関しては、2つのベッドが振動抑制装置で連結されたことにより、非連結状態に比べて各加工装置での自己振動抑制効果が向上し、一方側の加工によって生じる加工振動が他方側に伝播することを抑制するものと説明されている。しかし、振動抑制装置によって加工振動が他方へ伝播するのを抑える効果を発揮するのであれば、剛性をそれほど高めることはできず、十分な自己振動抑制効果が得られてはいないのではと考えられる。また、従来例のような連結部材では、2つのベッドを一体的に搬送することは困難である。更に、前記従来例の振動抑制装置は、加工時の振動に対して粘弾性体がせん断方向に作用することで抑制効果を発揮させるものであるため、装置全体が長尺で大きなものになってしまっている。
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、隣り合う加工部への加工振動を抑制する工作機械を提供することを目的とする。
本発明に係る工作機械は、第1ベッド上に所定の加工装置を搭載した第1加工部と、前記第1ベッドの隣に配置された第2ベッド上に所定の加工装置を搭載した第2加工部と、前記第1ベッドと前記第2ベッドとを連結する金属プレートからなる連結部材と、前記連結部材より前記加工装置に近い位置で前記第1ベッドと前記第2ベッドとを連結する防振ゴムを備えた防振部材と、を有する。
前記構成によれば、隣り合う第1ベッドと第2ベッドにそれぞれ搭載された第1加工部と第2加工部とでワークの加工が行われた場合、互いの加工装置が他方の加工部で発生した加工振動によって影響を受けることになるが、第1ベッドと第2ベッドは、連結部材より加工装置に近い位置で防振ゴムを備えた防振部材が連結されているため、一方で発生した加工振動による他方の加工装置への影響を抑制することができる。
本発明に係る工作機械の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施形態の工作機械を簡略化して示した正面図である。本実施形態の工作機械1は左右対称構造の正面2軸旋盤であり、第1主軸装置3および第1タレット装置5と、第2主軸装置4および第2タレット装置6とが、それぞれ左右に配置されている。そして、こうした各組みの加工装置が左右に配置された別々のベッド上に搭載されている。
工作機械1は、第1主軸装置3と第1タレット装置5とが第1ベッド7上に搭載された第1加工部10Aを構成し、第2主軸装置4と第2タレット装置6とが第2ベッド8上に搭載された第2加工部10Bを構成している。第1ベッド7に組付けられた第1主軸装置3と第1タレット装置5は、これだけで一つの旋盤として機能するものである。また、同じ構造の第2主軸装置4と第2タレット装置6は、向きを変えた第2ベッド8に組付けられ、対称的な形状の独立したもう一つの旋盤を構成している。
第1および第2主軸装置3,4は、前方側にワークを把持する主軸チャック11が設けられ、スピンドルモータの回転を受けて把持したワークに回転を与えるものである。また、第1および第2タレット装置5,6は、多角形の刃物台12に複数の工具が着脱可能に取り付けられ、サーボモータの回転制御によって刃物台12が旋回し、複数の工具の中から特定の工具の旋回割出しが行われるよう構成されている。そして、2つの独立した旋盤は、第1ベッド7と第2ベッド8とをつなぐ連結部材15,16などによって一体になり、一つの正面2軸旋盤として構成されている。
更に、工作機械1には不図示のワーク自動搬送機が設けられ、加工処理にあたってワークの搬送が行われる。例えば、正面から見て左側に複数の加工前ワークを搭載したワークストッカが配置され、右側には加工済みワークを受け取る回収ストッカが配置されることとなる。そして、ワーク自動搬送機によってワークが機内に運び込まれ、第1加工部10Aと第2加工部10Bとで所定の加工が行われる。
第1加工部10Aでは、第1主軸装置3の主軸チャック11に把持されたワークに回転が与えられ、第1タレット装置5では旋回割出しされた切削工具がワークに当てられることで外径切削など所定の加工が行われる。同様にして第2加工部10Bでも、第2主軸装置4と第2タレット装置6とによってワークに対する所定の加工が行われる。正面2軸旋盤の工作機械1では、第1加工部10Aと第2加工部10Bとで異なる加工が同じようなタイミングで行われることがある。その際、左右の動きが異なることにより、一方の側で生じた加工振動が他方側に伝播し、その影響を受けて加工精度を低下させてしまうことがあった。
図3は、従来の工作機械を図1と同じく簡略化して示した正面図であり、本実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明する。この工作機械100は、2つのベッド7,8が2つの連結部材110によって連結され、第1加工部10Aと第2加工部10Bとが一体になっている。連結部材110は、工作機械100を搬送する際に必要であり、工場内に設置した後も全体の剛性を保つためにも必要である。すなわち、工作機械100は、出荷時には既に第1ベッド7と第2ベッド8が連結部材110によって一体になり、図示しない機体カバーによって全体が覆われている。
工作機械100は正面2軸旋盤として取り扱われ、第1加工部10Aと第2加工部10Bとが別々に搬送され、搬入後に組み立てられるわけではない。また、工場内に設置した工作機械100について、機体カバーを外して連結部材110を取り外すようなこともない。むしろ工作機械100は、第1ベッド7と第2ベッド8とが連結部材110で連結されていることにより、第1加工部10Aと第2加工部10Bとが互いを支え合うことで剛性が高くなり、各々で発生する加工振動が抑制できている。しかしその一方で、連結部材110が加工振動を伝播させる経路となってしまい、矢印で示すように一方の側で生じた加工振動が他方側に影響してしまっていた。もちろん矢印で示した方向とは逆の方向にも加工振動の影響は生じる。
そこで、本実施形態の工作機械1では、連結部材を用いて一体的な搬送を可能とし、また剛性向上の効果を得ながらも、他方への加工振動の影響を抑制するための構成が採られている。具体的には、従来例と同様に第1ベッド7と第2ベッド8とを連結する連結部材15,16を使用するとともに、加工振動の伝播を抑制するための防振部材18が設けられている。連結部材15,16は、短冊形状をした所定厚の金属プレートであり、第1ベッド7と第2ベッド8に対して両端部がボルト締めによって固定されている。
ところで、第1ベッド7および第2ベッド8は、図1において単純に表現されているが、第1タレット装置5または第2タレット装置6を搭載する基台部71,81に対し、第1主軸装置3または第2主軸装置4を搭載する主軸台72,82が、左右それぞれの方向に突き出すようにして構成されている。そして、近い位置の主軸台72,82同士は短尺の連結部材15が固定され、離れた位置の基台部71,81同士は長尺の連結部材16が固定されている。連結部材15は、主軸台72,82の下部(ベッド中段)を連結し、連結部材16は、基台部71,81の下部(ベッド下部)を連結している。
さらに本実施形態の工作機械1は、第1ベッド7および第2ベッド8が防振部材18によっても連結され、特に防振部材18は、主軸台72,82の上部(ベッド上部)に固定されている。すなわち、防振部材18は、加工振動の発生源となるとともに、他方からの加工振動の影響を避けたい第1主軸装置3および第2主軸装置4の近くに取り付けられている。
図2は、防振部材18を取付け位置の上方から簡略化して示した図である。防振部材18は、防振ゴム21、鉄板22および調整用の板バネ23が重ねられ、それらが一体になるよう接合されている。更に、防振部材18は、防振ゴム21などを重ねた方向に一対のブラケット25によって挟み込まれ、それらも接合されて一体になっている。そして、防振部材18は、左右のブラケット25が第1ベッド7と第2ベッド8とにそれぞれボルト締めによって固定されている。防振部材18は、第1ベッド7と第2ベッド8との隙間に嵌め込むように取り付けてもよいが、本実施形態では着脱し易い構造としてブラケット25が使用されている。
防振ゴム21は、圧縮型防振ゴムであり、防振機能が適切に発揮できるように、板バネ23によって圧縮方向に一定の力が加わるようにして組み付けられる。このときの防振ゴム21に対する押し付け力は強すぎても弱すぎても良くないと考えられている。そのため、防振ゴム21を適切な力で押え付けるようにして取り付ける必要があり、防振部材18では板バネ23のバネ定数が設定され、そうした板バネ23のバネ力によって調整が行われている。また、板バネ23は、一対のブラケット25の距離に寸法誤差が生じた場合に、その誤差を吸収する役割も果たしている。
以上のような工作機械1は、一方の第1加工部10Aにおいて、主軸チャック11に把持されたワークに回転が与えられ、刃物台12に取り付けられた複数の工具から該当するものが旋回割り出しされ、ワークに対する所定の加工が行われる。正面2軸旋盤である工作機械1では、同じようなタイミングで他方の第2加工部10Bにおいても、主軸チャック11に把持されたワークに回転が与えられ、旋回割り出しされた刃物台12の工具によってワークに対する所定の加工が行われる。そして、第1加工部10Aと第2加工部10Bにおいて、回転するワークに工具が強く当てられることにより各々に加工振動が生じる。
第1加工部10Aで発生した加工振動は、搭載された第1ベッド7を揺らすことになるが、その第1ベッド7が連結部材15,16によって連結された第2ベッド8に支持されている。第2加工部10Bで起きた加工振動に関しても同様に、第2ベッド8が第1ベッド7に支持されている。従って、工作機械1は、第1および第2ベッド7,8が単独で設置されているのに比べて、各々における加工振動に対する剛性が高められている。
その一方で、互いに他方の加工振動の影響を受けることになるが、例えば、矢印で示すように第1加工部10Aにおける加工振動が第2加工部10Bへと伝播する場合、その加工振動が防振部材18の防振ゴム21によって吸収される。そのため、第2加工部10Bでの加工は、第1加工部10Aにおける加工振動の影響が抑制でき、加工精度を維持することが可能になる。このことは矢印で示した方向とは逆であって、第2加工部10Bにおける加工振動が第1加工部10Aへと伝播する場合でも同じである。
また、防振部材18は、連結部材15などと同じく第1ベッド7と第2ベッド8を連結しているため、各々の加工振動に対する剛性を高めることにも寄与している。また、防振部材18は、振動の発生源となる第1主軸装置3と第2主軸装置4とに近い主軸台72,82の上部(ベッド上部)を連結しているため加工振動の抑制効果が高い。更に、防振部材18は、防振ゴム21を圧縮型防振ゴムとして構成され、調整バネには板バネ23が使用されているため、従来例の振動抑制装置に比べて大幅に小型化できている。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態で取り付けた防振部材18の向きは、防振ゴム21と板バネ23とは左右が逆転した状態であってもよい。
また、防振部材18を構成するバネ部は板バネ23の代わりにコイルバネなどを使用したものであってもよい。
例えば、前記実施形態で取り付けた防振部材18の向きは、防振ゴム21と板バネ23とは左右が逆転した状態であってもよい。
また、防振部材18を構成するバネ部は板バネ23の代わりにコイルバネなどを使用したものであってもよい。
1…工作機械 3…第1主軸装置 4…第2主軸装置 5…第1タレット装置 6…第2タレット装置 7…第1ベッド 8…第2ベッド 10A…第1加工部 10B…第2加工部 11…主軸チャック 12…刃物台 15,16…連結部材 18…防振部材 21…防振ゴム 22…鉄板 23…板バネ 25…ブラケット
Claims (5)
- 第1ベッド上に所定の加工装置を搭載した第1加工部と、
前記第1ベッドの隣に配置された第2ベッド上に所定の加工装置を搭載した第2加工部と、
前記第1ベッドと前記第2ベッドとを連結する金属プレートからなる連結部材と、
前記連結部材より前記加工装置に近い位置で前記第1ベッドと前記第2ベッドとを連結する防振ゴムを備えた防振部材と、
を有する工作機械。 - 前記防振部材は、防振ゴム、鉄板および調整バネが重ねられて一体になり、前記第1ベッドと前記第2ベッドとの間に、前記防振ゴムが圧縮方向に力を受けるように取り付けられるものである請求項1に記載の工作機械。
- 前記防振部材は、前記防振ゴム、前記鉄板および前記調整バネが積層方向に一対のブラケットによって挟まれたものであり、前記一対のブラケットが前記第1ベッドと前記第2ベッドの前面に固定されたものである請求項2に記載の工作機械。
- 前記防振部材は、前記調整バネが前記防振ゴムを適切な力で押え付けるようにバネ定数が設定されたものである請求項2または請求項3に記載の工作機械。
- 前記防振部材は、前記調整バネが板バネである請求項4に記載の工作機械。
Priority Applications (1)
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2022
- 2022-04-25 JP JP2022071484A patent/JP2023161243A/ja active Pending
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