JP2023160078A - チェーンテンショナ - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの始動直後から油圧ダンパ力が確実に発揮されるチェーンテンショナを提供する。【解決手段】シリンダ9と、プランジャ10と、プランジャ10をシリンダ9の一端から突出する方向に付勢するリターンスプリング29と、シリンダ9内に形成された圧力室18と、プランジャ10の内部から圧力室18へのオイルの流れのみを許容するチェックバルブ19と、圧力室18の圧力が縮小するときに圧力室18から作動油をリークさせるリーク隙間25と、シリンダ9の外側から内側へオイルを導入する給油通路28と、リーク隙間25とプランジャ10の内部とを連通するようにプランジャ10に形成された連通路31と、プランジャ10の突出端11に設けられ、プランジャ10内のエアaを外部に排出するエア抜き構造14と、を有し、エア抜き構造14が、プランジャ10の軸中心よりも上向きにオフセットして設けられている構成とする。【選択図】図3
Description
この発明は、チェーンの張力保持に用いられるチェーンテンショナに関する。
自動車などのエンジンに使用されるチェーン伝動装置として、例えば、クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するもの、クランクシャフトの回転をオイルポンプなどの補機に伝達するもの、クランクシャフトの回転をバランサシャフトに伝達するもの、あるいは、ツインカムエンジンの吸気カムと排気カムを互いに連結するものなどがある。これらのチェーン伝動装置のチェーンの張力を適正範囲に保つために、チェーンテンショナが使用される。
一般的に、チェーンテンショナは、エンジンからのオイル供給により油圧ダンパ力を発生させて、チェーンの張力の変動を一定に保っている。しかし、エンジン停止時はオイル供給が止まっているため、エンジン始動後、チェーンテンショナ内部の圧力室にオイルが充填されるまでの間は、所定の油圧ダンパ力を発生させることができない場合がある。このような場合、チェーンテンショナが大きく押し込まれて、チェーンのばたつきや異音が発生するという問題がある。そこで、多くのチェーンテンショナでは、ノーバック機構と呼ばれる機構を備え、プランジャが一定量を超えて押し込まれないようにしている。
また、チェーンテンショナ内部でオイルを循環することで、チェーンテンショナの外部へのオイルの流出を抑制するとともに、そのオイルをチェーンテンショナ内部に貯留させることで、エンジン始動直後から油圧ダンパを発生できるようにしたチェーンテンショナもある(例えば、特許文献1を参照)。
例えば、図9に示すチェーンテンショナ100は、一端が開口し、他端が閉じた筒状のシリンダ101と、このシリンダ101の内周で軸方向へ摺動可能に支持された筒状のプランジャ102と、このプランジャ102をシリンダ101から一端側へ突出する方向に付勢するリターンスプリング103と、プランジャ102の内部に形成されたリザーバ室104と、シリンダ101内においてプランジャ102の他端側に形成されプランジャ102の軸方向移動に伴って容積が変化する圧力室105と、プランジャ102のシリンダ101内への挿入端に設けられリザーバ室104から圧力室105へのオイルの流れのみを許容するチェックバルブ106と、を備えている。
シリンダ101は、エンジンのオイルポンプなどによって供給されるオイルを内側に導入する給油通路107を有し、この給油通路107が、プランジャ102の外周とシリンダ101の内周との間に形成されたオイル供給空間108に開口している。プランジャ102の外周とシリンダ101の内周の間にはリーク隙間109が形成されている。リーク隙間109は微小な隙間で構成され、圧力室105からオイル供給空間108を経てシリンダ101の一端の開口に至っている。また、リーク隙間109およびオイル供給空間108とリザーバ室104とは連通路110で連通している。リターンスプリング103は、プランジャ102に対し、チェーンのバタつきに追従できるように推力を付与している。
エンジン作動中にチェーンの張力が大きくなると、このチェーンの張力によって、プランジャ102がシリンダ101内に押し込まれる方向に移動し、チェーンの緊張を吸収する。このとき、圧力室105側の圧力増大によってチェックバルブ106は閉じられ、オイルは、圧力室105からリーク隙間109を通ってオイル供給空間108側へ流出する。そして、このリーク隙間109を通るオイルの粘性抵抗によって油圧ダンパ力が発生し、チェーンのバタつきを防止する。リーク隙間109は微小な隙間であり流路の抵抗が大きいので、大部分のオイルは、連通路110を通じてオイル供給空間108からリザーバ室104へと戻される。
一方、エンジン作動中にチェーンの張力が小さくなると、リターンスプリング103の付勢力によって、プランジャ102がシリンダ101から突出する方向に移動する。このとき、チェックバルブ106が開き、リザーバ室104から圧力室105にオイルが流入するので、プランジャ102は速やかに突出する方向に移動してチェーンの緩みが吸収される。
図9に記載のチェーンテンショナ100は、エンジン始動直後において、オイルがチェーンテンショナ100に供給されるまでの間は、チェーンテンショナ100の内部に貯留したオイルで油圧ダンパ力を発生させることとなる。このチェーンテンショナ100は、エンジンへの搭載時に、圧力室105に対しプランジャ102のリザーバ室104側が水平よりも上向きとなる角度で設置される。また、プランジャ102の外周からプランジャ102の内部にオイルを供給するための連通路110は、プランジャ102のストローク量を確保するために、プランジャ102全長の中央付近に形成される。したがって、プランジャ102の外周に形成した連通路110より上方側の空間には空気aが残り(図9参照)、リザーバ室104として使用できる空間が制限される。
このため、エンジン再始動時にプランジャ102が突出した際に、この突出に伴う圧力室105の空間容積の増加分よりもリザーバ室104内のオイルの量が少ない可能性があり、この場合、エンジン始動時の油圧ダンパ力が不足し、チェーンのバタつきや異音の原因となる。また、プランジャ102内部のリザーバ室104に残った空気aが通常運転中にオイルとともに圧力室105に流入し、不意に油圧ダンパ力が低下するおそれがある。このプランジャ102の突出に伴うオイル量の不足は、エンジン再始動時におけるプランジャ102の突出量が大きくなりやすいノーバック機構のないチェーンテンショナ100で特に顕著となる。
エンジンの停止状態においてリザーバ室内の所定量のオイルを確保するために、例えば下記特許文献2においては、中空ピストン104(プランジャ)の先端の軸中心に、リザーバ141(リザーバ室)と外部とを連通する微細孔状のベント170、172(エア抜き構造)を形成して(特許文献2の段落0015、0017、図2、図4などを参照)、リザーバ141内の空気を外部に排出している。これにより、リザーバ141内の所定量のオイルを確保している。
特許文献2に記載の構成においては、ベント170、172(エア抜き構造)が中空ピストン104(プランジャ)の端面の中心部に形成されているため、チェーンガイドによってベント170、172が塞がれてエア抜き作用が阻害されやすい。また、ベント170、172が中空ピストン104の端面の軸中心にあるため、テンショナの取り付け姿勢によっては、リザーバ141に溜めることができるオイルの量を十分確保することができない。このため、エンジンの始動直後に十分な油圧ダンパ力が発揮されないおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、エンジンの始動直後から油圧ダンパ力が確実に発揮されるチェーンテンショナを提供することである。
上記課題を解決するため、本発明では、
一端が開口し他端が閉じた筒状のシリンダと、
前記シリンダの内周で軸方向に摺動可能に支持され、前記シリンダ内への挿入端が開口し、前記シリンダからの突出端が閉塞した筒状のプランジャと、
前記プランジャを前記シリンダの一端から突出する方向に付勢するリターンスプリングと、
前記プランジャの軸方向移動に伴って容積が変化するように前記シリンダ内に形成された圧力室と、
前記プランジャの内部から前記圧力室へのオイルの流れのみを許容するチェックバルブと、
前記プランジャの外面と前記シリンダの内面との間に形成され、前記圧力室の圧力が縮小するときに前記圧力室から作動油をリークさせるリーク隙間と、
前記シリンダの外側から内側へオイルを導入する給油通路と、
前記リーク隙間と前記プランジャの内部とを連通するように前記プランジャに形成された連通路と、
前記プランジャの前記突出端に設けられ、前記プランジャ内のエアを外部に排出するエア抜き構造と、
を有し、
前記エア抜き構造が、前記プランジャの軸中心よりも上向きにオフセットして設けられているチェーンテンショナを構成した。
一端が開口し他端が閉じた筒状のシリンダと、
前記シリンダの内周で軸方向に摺動可能に支持され、前記シリンダ内への挿入端が開口し、前記シリンダからの突出端が閉塞した筒状のプランジャと、
前記プランジャを前記シリンダの一端から突出する方向に付勢するリターンスプリングと、
前記プランジャの軸方向移動に伴って容積が変化するように前記シリンダ内に形成された圧力室と、
前記プランジャの内部から前記圧力室へのオイルの流れのみを許容するチェックバルブと、
前記プランジャの外面と前記シリンダの内面との間に形成され、前記圧力室の圧力が縮小するときに前記圧力室から作動油をリークさせるリーク隙間と、
前記シリンダの外側から内側へオイルを導入する給油通路と、
前記リーク隙間と前記プランジャの内部とを連通するように前記プランジャに形成された連通路と、
前記プランジャの前記突出端に設けられ、前記プランジャ内のエアを外部に排出するエア抜き構造と、
を有し、
前記エア抜き構造が、前記プランジャの軸中心よりも上向きにオフセットして設けられているチェーンテンショナを構成した。
このようにすると、エンジン駆動に伴ってプランジャ内に供給されるオイルの圧力によって、このプランジャ内の空気がオフセットして設けられたエア抜き構造を通って排出される。このため、プランジャの内部の大部分をオイルで満たすことができ、エンジンの始動直後から油圧ダンパ力を確実に発揮させることができる。また、プランジャの突出端に当接するチェーンガイドによってエア抜き構造が塞がれて、エア抜き作用が阻害されるのを防止することができる。
前記構成においては、前記エア抜き構造が、前記プランジャの内外を貫通するように形成された雌ねじと、前記雌ねじにねじ込まれる雄ねじと、を有し、前記雌ねじと前記雄ねじとの間の隙間を通ってエアが外部に排出されるようにする、あるいは、前記エア抜き構造が、前記プランジャの内外を貫通するように形成された雌ねじと、前記雌ねじに圧入される圧入部材と、を有し、前記雌ねじと前記圧入部材との間の隙間を通ってエアが外部に排出されるようにするのが好ましい。
このようにすると、雌ねじと、雄ねじまたは圧入部材との間のわずかな隙間を介して、エアをスムーズに外部に排出することができる。しかも、隙間が長尺の螺旋状となっているので、粘性抵抗が高いオイルは、この隙間からほとんど漏れ出ない。このため、少ないオイル使用量で油圧ダンパ機能を発揮させることができる。
あるいは、前記エア抜き構造が、前記プランジャの内部から外部へのエアの流れのみを許容する逆止弁であって、エンジンの停止時に前記逆止弁は閉弁状態となっているようにすることもできる。
このようにすると、エンジンの停止時に、エア抜き構造を通ってプランジャの外部から内部にエアが逆流するのを防ぐことができるため、プランジャの内部がオイルで満たされた状態を維持することができる。
前記各構成においては、前記プランジャの前記突出端が上向きに傾斜するようにエンジンに取り付けられるのが好ましい。
このようにすると、プランジャの突出端上部に集まったエアをさらに効率よく排出することができる。
前記各構成においては、前記プランジャにその外面と前記突出端の端面とを接続する接続面が形成されており、前記エア抜き構造が前記接続面に開口するように形成されているのが好ましい。
このようにすると、プランジャの突出端の端面に当接するチェーンガイドがエア抜き構造に接触するのを防止して、エア抜き作用を確実に発揮させることができる。
本発明のチェーンテンショナは、プランジャにその軸中心よりも上向きにオフセットしてエア抜き構造を設けたので、エンジン駆動に伴ってプランジャ内に供給されるオイルの圧力によって、このプランジャ内の空気がエア抜き構造を通って排出される。このため、プランジャの内部のオイルの貯留量を最大化することができ、エンジンの始動直後から油圧ダンパ力を確実に発揮させることができる。また、プランジャの突出端に当接するチェーンガイドによってエア抜き構造が塞がれて、エア抜き作用が阻害されるのを防止することができる。
本発明に係るチェーンテンショナ1を組み込んだチェーン伝動装置を図1に示す。このチェーン伝動装置は、エンジンのクランクシャフト2に固定されたスプロケット3と、2本のカムシャフト4にそれぞれ固定されたスプロケット5とがチェーン6を介して連結されており、このチェーン6がクランクシャフト2の回転をカムシャフト4に伝達し、そのカムシャフト4の回転により燃焼室のバルブの開閉を行なう。
エンジンが作動しているときのクランクシャフト2の回転方向は一定(図1では右回転)であり、このときチェーン6は、クランクシャフト2の回転に伴ってスプロケット3に引き込まれる側(図1の右側)の部分が張り側となり、スプロケット3から送り出される側(図1の左側)の部分が弛み側となる。そして、チェーン6の弛み側の部分には、支点軸7を中心として揺動可能に支持されたチェーンガイド8が接触している。チェーンテンショナ1は、チェーンガイド8を介してチェーン6を押圧している。
図2に示すように、チェーンテンショナ1は、一端が開口し、他端が閉じた筒状のシリンダ9と、シリンダ9の内周で軸方向に摺動可能に支持されたプランジャ10とを備えている。シリンダ9の一端から突出するプランジャ10の突出端11は、チェーンガイド8を押圧している。
シリンダ9は、金属(例えば、アルミ合金)で一体成形されている。シリンダ9は、このシリンダ9の外周に一体に形成された複数の取付片12に形成された孔に挿通されたボルト13を締め込むことによって、シリンダブロックなどのエンジン壁面に固定されている。また、シリンダ9は、プランジャ10のシリンダ9からの突出方向が斜め上向きとなるようにエンジン壁面に取り付けられている。
プランジャ10は、シリンダ9への挿入端が開口し、シリンダ9からの突出端11が閉塞する筒状に形成されている。プランジャ10の材質は、鉄系材料(例えば、SCM(クロームモリブデンン鋼)やSCr(クローム鋼)などの鋼材)である。
プランジャ10の突出端11には、プランジャ10内のエアaを外部に排出するエア抜き構造14が設けられている。このエア抜き構造14は、プランジャ10の軸中心よりも上向きにオフセットして設けられている。このエア抜き構造14は、図3に拡大して示すように、プランジャ10の突出端11の内外を貫通するように形成された雌ねじ15と、雌ねじ15にねじ込まれる雄ねじ16とを有している。雌ねじ15と雄ねじ16との間にはわずかに隙間が形成されており、図3中に矢印で示すように、この隙間を通ってエアaが外部に排出される。
図2などに示すように、プランジャ10の突出端11が上向きに傾斜するようにエンジンに取り付けられるチェーンテンショナ1においては、エア抜き構造14は、プランジャ10の端面の軸中心よりも上向きにオフセットした位置に設けるのが好ましい。このように、エア抜き構造14を上向きにオフセットさせることで、より多くのエアaが外部に排出されて、プランジャ10の内部に形成されたリザーバ室17の大部分がオイルで満たされた状態となる。
シリンダ9内の他端には、プランジャ10の軸方向移動に伴ってその容積が変化する圧力室18が形成されている。圧力室18の容積は、プランジャ10がシリンダ9から突出する方向に移動したときに拡大し、プランジャ10がシリンダ9に押し込まれる方向に移動したときに縮小する。
プランジャ10のシリンダ9内への挿入端には、プランジャ10の内部から圧力室18側へのオイルの流れのみを許容し、圧力室18からプランジャ10の内部へのオイルの流れを規制するチェックバルブ19が設けられている。チェックバルブ19は、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端(リザーバ室17の開口部)に設けられたバルブシート20と、このバルブシート20に形成される弁孔20aと、この弁孔20aを圧力室18の側から開閉する球状のチェックボール21と、チェックボール21の移動範囲を規制するリテーナ22とからなる。リテーナ22は、チェックボール21が圧力室18側へ離脱することを防止する保持部22aと、この保持部22aをバルブシート20に支持する裾部22bとを備えている。裾部22bから圧力室18側に立ち上がる放射状の保持部22aは、バルブシート20の弁孔20a周囲の円筒状の突部に嵌合している。
バルブシート20は円柱または円盤状をなし、弁孔20aは、このバルブシート20の軸心に一端側と他端側を貫通するように形成されている。チェックボール21が弁孔20aから他端側へ離脱しているときは、この弁孔20aを通じて、圧力室18とリザーバ室17とが連通する。
プランジャ10の外周23とシリンダ9の内周24との間には、圧力室18内から圧力室18外へオイルをリークさせるリーク隙間25が設けられている。リーク隙間25の大きさは、例えば、プランジャ10の外周23とシリンダ9の内周24との半径差で0.005~0.100mmの範囲に設定することができる。
また、プランジャ10の外周23とシリンダ9の内周24の間には、リーク隙間25に連通するオイル供給空間26が形成されている。オイル供給空間26は、プランジャ10の外周全周に形成された凹部27と、シリンダ9の内周24との間に環状に形成されている。オイル供給空間26を形成するための凹部27は、プランジャ10がその軸方向に移動した際にも給油通路28と連通する範囲に設けられ、その凹部27を挟んで軸方向の両側にそれぞれリーク隙間25が存在する。
圧力室18には、リターンスプリング29が組み込まれている。リターンスプリング29は、その一端側がシリンダ9の底部30で支持され、他端側がチェックバルブ19を介してプランジャ10を押圧し、その押圧によってプランジャ10をシリンダ9から突出する方向へ付勢している。リターンスプリング29は、線材を螺旋状に巻回したコイルスプリングで構成されている。
プランジャ10には、オイル供給空間26とリザーバ室17との間を連通する連通路31が設けられている。連通路31は、オイル供給空間26を通じて、リーク隙間25とも連通している。この実施形態においては、連通路31は、プランジャ10の外周の頂上に位置するように設けられている。
シリンダ9には、シリンダ9の外側から内側にオイルを導入する給油通路28が設けられている。給油通路28は、シリンダ9を径方向に貫通する貫通孔である。給油通路28の入口は、エンジン壁面側のオイル供給口(図示せず)に接続される。給油通路28の出口は、シリンダ9の内周の円筒面に開口して、オイル供給空間26に臨んでいる。この給油通路28によって、エンジンのオイルポンプから供給されるオイルが、シリンダ9の外側から内側へ導入される。
このチェーンテンショナ1の動作例を説明する。エンジンの通常駆動時において、プランジャ10を付勢するリターンスプリング29の推力よりもチェーン6の張力が大きくなると、このチェーン6の張力によって、プランジャ10がシリンダ9に押し込まれる方向へ移動し、チェーン6の緊張を吸収する。そして、プランジャ10とともにバルブシート20が圧力室18側へ移動する。プランジャ10およびバルブシート20の移動に応じて圧力室18の容積が縮小するので、圧力室18の圧力がリザーバ室17の圧力より高くなり、チェックバルブ19が閉じられて圧力室18を密閉する。このとき、圧力室18内からリーク隙間25を通じて流出するオイルのほとんどは、オイル供給空間26、連通路31を通じてリザーバ室17へ戻っていく。このリーク隙間25を流れるオイルの粘性抵抗によって油圧ダンパ力が発生し、チェーン6のバタつきを防止する。
また、エンジン駆動中にチェーン6の張力が小さくなった場合には、リターンスプリング29の付勢力によって、プランジャ10がシリンダ9から突出する方向へ移動し、チェーン6の弛みを吸収する。このとき、プランジャ10の移動に応じて圧力室18の容積が拡大するので、圧力室18の圧力がリザーバ室17の圧力より低くなり、チェックバルブ19が開く。そして、チェックバルブ19の弁孔20aを通じてリザーバ室17から圧力室18にオイルが流入するので、プランジャ10は速やかに移動する。このとき、オイルポンプの圧力によって、シリンダ9の外側から、給油通路28、オイル供給空間26、連通路31を通じて、リザーバ室17へオイルが導入される。このため、リザーバ室17内の圧力低下が生じにくく、チェーン6の弛みに対する追従性に優れている。
このチェーンテンショナ1は、プランジャ10の突出端11に、プランジャ10内のエアaを外部に排出するエア抜き構造14を設けたので、エンジン駆動に伴ってプランジャ10内に供給されるオイルの圧力によって、このプランジャ10内のエアaがエア抜き構造14を通って排出される。このため、プランジャ10の内部の大部分をオイルで満たすことができ、その状態をエンジンが停止した後も保つことができる。これにより、エンジンの始動直後から油圧ダンパ力を確実に発揮させることができる。
また、このチェーンテンショナ1は、エア抜き構造14をプランジャ10の突出端11に形成された雌ねじ15に雄ねじ16をねじ込む構成としたので、雌ねじ15と雄ねじ16との間のわずかな隙間を介して、エアaをスムーズに外部に排出することができる。しかも、隙間が長尺の螺旋状となっているので、粘性抵抗が高いオイルは、この隙間からほとんど漏れ出ない。このため、少ないオイル使用量で油圧ダンパ機能を発揮させることができる。
また、このチェーンテンショナ1は、エア抜き構造14が、プランジャ10の端面の軸中心よりも上向きにオフセットして設けられているので、プランジャ10の突出端11の上部に集まったエアaを効率よく排出することができるとともに、プランジャ10の突出端11に当接するチェーンガイド8によってエア抜き構造14が塞がれるのを防止することができる。
図2に示すチェーンテンショナ1を、図4(a)(b)に示すように水平にエンジン壁面に固定した場合、および、図5(a)(b)に示すように10度上向きに傾けてエンジン壁面に固定した場合におけるリザーバ室17に貯留可能なオイルの量を試算した。この試算においては、リザーバ室17の軸方向長さを29.5mm、内径を9mmとした。また、エア抜き構造14を上向きにオフセットして設けたときのリザーバ室17内の端部下端からエア抜き構造14までの距離を6.1mm、エア抜き構造14をプランジャ10の軸中心に設けたときのリザーバ室17内の端部下端からエア抜き構造14までの距離を3.2mmとした。
リザーバ室17に貯留可能なオイルの量の試算結果を表1に示す。チェーンテンショナ1の取り付け角度を水平としたとき、および、10度上向きに傾けたときのいずれにおいても、エア抜き構造14の位置をオフセットさせることにより、リザーバ室17により多くのオイルを貯留することができることが確認できた。オフセットの効果は、特にチェーンテンショナ1の取り付け角度が水平のときに顕著であった。リザーバ室17の形状が同じ場合、エア抜き構造14のオフセット量を大きくするほど貯留可能なオイルの量を多くすることができる。
このチェーンテンショナ1の第一変形例を示す要部の拡大断面図を図6に示す。この第一変形例は、上記のチェーンテンショナ1とはエア抜き構造14のみが異なり他の構成は共通している。具体的には、このエア抜き構造14は、プランジャ10の突出端11の内外を貫通するように形成された雌ねじ15と、雌ねじ15に圧入される圧入部材32とを有している。この圧入部材32は、円筒状の部材である。雌ねじ15と圧入部材32との間にはわずかに隙間が形成されており、図6中に矢印で示すように、この隙間を通ってエアaが外部に排出される。
この第一変形例においても、上記のチェーンテンショナ1と同様に、雌ねじ15と圧入部材32との間のわずかな隙間を介して、エアaをスムーズに外部に排出することができる。しかも、粘性抵抗が高いオイルは、この長尺の螺旋状の隙間からほとんど漏れ出すことはなく、少ないオイル使用量で油圧ダンパ機能を発揮させることができる。
このチェーンテンショナ1の第二変形例を示す要部の拡大断面図を図7に示す。この第二変形例は、上記のチェーンテンショナ1とエア抜き構造14のみが異なり他の構成は共通している。具体的には、このエア抜き構造14は、プランジャ10の内部から外部へのエアaの流れのみを許容する逆止弁である。この逆止弁は、プランジャ10の突出端11に形成された貫通穴内に形成されたシート面33と、このシート面33に着座可能なボール34と、このボール34をシート面33に向かって付勢するバルブスプリング35と、中央にエア抜き穴36が形成され、貫通穴の外側開口を閉塞する止め栓37と、を有する。
この第二変形例においては、エンジン駆動時は、プランジャ10内に供給されるオイルの圧力によって、バルブスプリング35の付勢力に抗してボール34がシート面33から離間し、その隙間およびエア抜き穴36を通ってプランジャ10内のエアが外部に排出される。その一方で、エンジン停止時は、バルブスプリング35の付勢力によってボール34がシート面33に着座してプランジャ10の内部と外部が遮断された状態となる。これにより、エア抜き構造14を通ってプランジャ10の外部から内部にエアaが逆流するのを防いで、プランジャ10の内部がオイルで満たされた状態を維持することができる。
このチェーンテンショナ1の第三変形例を示す要部の拡大断面図を図8に示す。この第三変形例は、上記のチェーンテンショナ1とプランジャ10の突出端11の形状のみが異なり他の構成は共通している。具体的には、プランジャ10にその外面と突出端11の端面とを接続する接続面38としてテーパ面が形成されており、エア抜き構造14がこの接続面38に開口するように形成されている。
この第三変形例においては、チェーンガイド8がプランジャ10の端面にのみ当接し接続面38には当接しないため、チェーンガイド8によってエア抜き構造14が塞がれて、エア抜き作用が阻害されるのを防止することができる。なお、この接続面38をテーパ面とする代わりに球面(SR形状)とすることもできる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
9 シリンダ
10 プランジャ
11 突出端
14 エア抜き構造
15 雌ねじ
16 雄ねじ
18 圧力室
19 チェックバルブ
25 リーク隙間
28 給油通路
29 リターンスプリング
31 連通路
32 圧入部材
38 接続面
a エア
10 プランジャ
11 突出端
14 エア抜き構造
15 雌ねじ
16 雄ねじ
18 圧力室
19 チェックバルブ
25 リーク隙間
28 給油通路
29 リターンスプリング
31 連通路
32 圧入部材
38 接続面
a エア
Claims (6)
- 一端が開口し他端が閉じた筒状のシリンダ(9)と、
前記シリンダ(9)の内周で軸方向に摺動可能に支持され、前記シリンダ(9)内への挿入端が開口し、前記シリンダ(9)からの突出端(11)が閉塞した筒状のプランジャ(10)と、
前記プランジャ(10)を前記シリンダ(9)の一端から突出する方向に付勢するリターンスプリング(29)と、
前記プランジャ(10)の軸方向移動に伴って容積が変化するように前記シリンダ(9)内に形成された圧力室(18)と、
前記プランジャ(10)の内部から前記圧力室(18)へのオイルの流れのみを許容するチェックバルブ(19)と、
前記プランジャ(10)の外面と前記シリンダ(9)の内面との間に形成され、前記圧力室(18)の圧力が縮小するときに前記圧力室(18)から作動油をリークさせるリーク隙間(25)と、
前記シリンダ(9)の外側から内側へオイルを導入する給油通路(28)と、
前記リーク隙間(25)と前記プランジャ(10)の内部とを連通するように前記プランジャ(10)に形成された連通路(31)と、
前記プランジャ(10)の前記突出端(11)に設けられ、前記プランジャ(10)内のエア(a)を外部に排出するエア抜き構造(14)と、
を有し、
前記エア抜き構造(14)が、前記プランジャ(10)の軸中心よりも上向きにオフセットして設けられているチェーンテンショナ。 - 前記エア抜き構造(14)が、前記プランジャ(10)の内外を貫通するように形成された雌ねじ(15)と、前記雌ねじ(15)にねじ込まれる雄ねじ(16)と、を有し、前記雌ねじ(15)と前記雄ねじ(16)との間の隙間を通ってエア(a)が外部に排出される請求項1に記載のチェーンテンショナ。
- 前記エア抜き構造(14)が、前記プランジャ(10)の内外を貫通するように形成された雌ねじ(15)と、前記雌ねじ(15)に圧入される圧入部材(32)と、を有し、前記雌ねじ(15)と前記圧入部材(32)との間の隙間を通ってエア(a)が外部に排出される請求項1に記載のチェーンテンショナ。
- 前記エア抜き構造(14)が、前記プランジャ(10)の内部から外部へのエア(a)の流れのみを許容する逆止弁であって、エンジンの停止時に前記逆止弁は閉弁状態となっている請求項1に記載のチェーンテンショナ。
- 前記プランジャ(10)の前記突出端(11)が上向きに傾斜するようにエンジンに取り付けられる請求項1から4のいずれか1項に記載のチェーンテンショナ。
- 前記プランジャ(10)にその外面と前記突出端(11)の端面とを接続する接続面(38)が形成されており、前記エア抜き構造(14)が前記接続面(38)に開口するように形成されている請求項1から4のいずれか1項に記載のチェーンテンショナ。
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JP2022070145A JP2023160078A (ja) | 2022-04-21 | 2022-04-21 | チェーンテンショナ |
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