JP2011021646A - チェーンテンショナ - Google Patents

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誠二 佐藤
Tasuku Furukawa
資 古川
Hisashi Hayakawa
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Abstract

【課題】圧力室内のエアを排出することができ、かつ、コストの低いチェーンテンショナを提供する。
【解決手段】シリンダ9内にプランジャ10を摺動可能に挿入し、シリンダ9とプランジャ10とで囲まれた圧力室14内に作動油を導入する給油通路22を設け、プランジャ10の内周に形成した雌ねじ13にねじ係合するスクリュロッド16を設け、そのスクリュロッド16をプランジャ10から突出する方向に付勢するリターンスプリング19を設けたチェーンテンショナ1において、プランジャ10を筒部材10Aとキャップ部材10Bとで構成し、そのキャップ部材10Bと筒部材10Aの接触面間にエア抜き通路29を形成する。
【選択図】図2

Description

この発明は、自動車エンジンのカムシャフトを駆動するタイミングチェーンの張力保持に用いられるチェーンテンショナに関する。
自動車のエンジンは、一般に、クランクシャフトの回転をタイミングチェーンを介してカムシャフトに伝達し、そのカムシャフトの回転により燃焼室のバルブの開閉を行なう。ここで、チェーンの張力を適正範囲に保つために、支点軸を中心として揺動可能に設けたチェーンガイドと、そのチェーンガイドをチェーンに向けて押圧するチェーンテンショナとからなる張力調整装置が多く用いられる。
この張力調整装置に組み込まれるチェーンテンショナとして、一端が開放し、他端が閉じた筒状のシリンダ内にプランジャを軸方向に摺動可能に挿入し、そのシリンダとプランジャとで囲まれた圧力室内に作動油を導入する給油通路を前記シリンダに設け、その給油通路の圧力室側の端部に、給油通路側から圧力室側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブを設け、前記プランジャとシリンダの摺動面間に圧力室から作動油を流出させるリーク隙間を設け、前記プランジャをリターンスプリングでシリンダから突出する方向に付勢したものが知られている(特許文献1)。
このチェーンテンショナは、エンジン作動中にチェーンの張力が大きくなると、そのチェーンの張力によってプランジャがシリンダ内に押し込まれる方向(以下、「押し込み方向」という)に移動し、チェーンの緊張を吸収する。このとき、圧力室内の作動油が、プランジャとシリンダの摺動面間のリーク隙間を通って流出し、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用が生じるので、プランジャはゆっくりと移動する。
一方、エンジン作動中にチェーンの張力が小さくなると、リターンスプリングの付勢力によって、プランジャがシリンダから突出する方向(以下、「突出方向」という)に移動し、チェーンの弛みを吸収する。このとき、オイルポンプから供給される作動油が、給油通路を通って圧力室に流入するので、プランジャは速やかに移動する。
ここで、エンジンが停止したときに、カムシャフトの停止位置によってチェーンの張力が大きくなる場合があるが、このとき、チェーンの張力に応じてプランジャが押し込み方向に大きく移動すると、エンジンを再始動するときにチェーンに弛みが生じ、エンジン始動が不安定となる可能性がある。
そこで、円滑なエンジン始動を可能とするため、上記のチェーンテンショナにおいては、前記プランジャをシリンダ内への挿入端が開口する有底筒状に形成し、そのプランジャの内周に形成した雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するスクリュロッドを設け、そのスクリュロッドを前記リターンスプリングでプランジャから突出する方向に付勢し、そのスクリュロッドのプランジャからの突出端を前記シリンダ内に設けたロッドシートに当接させている。
このようにすると、エンジンが停止したときは、雄ねじと雌ねじの接触によってプランジャがスクリュロッドで受け止められるので、チェーンの張力が大きくなっても、プランジャが押し込み方向に移動しない。そのため、エンジンを再始動するときに、チェーンの弛みを生じにくく、円滑なエンジン始動が可能である。一方、エンジン作動中は、チェーンから伝わる振動によって雄ねじと雌ねじの間に滑りが生じ、スクリュロッドが徐々に回転するので、プランジャの押し込み方向への移動が可能となる。
ところで、上記プランジャは有底筒状なので、その内周の雌ねじをタップで加工するときに、タップの先端がプランジャの底に干渉しない範囲で加工を行なう必要がある。そのため、タップの食付き長さを十分にとることができず、雌ねじの加工が難しい。
そこで、プランジャの内周の雌ねじを加工しやすくするために、前記プランジャを、雌ねじを加工するタップが貫通する両端が開放した筒部材と、その筒部材のシリンダからの突出側の端部に圧入したキャップ部材とで構成したチェーンテンショナが提案されている(特許文献1、図2参照)。
特開2006−250362号公報
一般に、エンジンを停止すると、オイルポンプも停止するので、給油通路内の作動油の油面が下がり、給油通路内にエアが溜まった状態となる。そのため、エンジンを再始動したときに、給油通路から圧力室に供給される作動油にエアが混入することが多い。この場合、チェーンの張力が大きくなったときに、圧力室内に混入したエアが圧縮することによってプランジャが移動するので、チェーンテンショナのダンパ作用が低下する。
そこで、このダンパ作用の低下を抑えるため、上記のキャップ部材に軸方向に貫通するねじ孔を形成し、そのねじ孔に円柱状のプラグを圧入し、そのねじ孔とプラグの間に形成される螺旋状のエア抜き通路を通じて圧力室内のエアを排出することが考えられる。
しかし、このようにすると、キャップ部材を筒部材に圧入する作業とは別に、キャップ部材のねじ孔にプラグを圧入する作業が必要となるので、プランジャの組立工数が多くなり、コスト高である。
この発明が解決しようとする課題は、圧力室内のエアを排出することができ、かつ、コストの低いチェーンテンショナを提供することである。
上記の課題を解決するため、前記プランジャを、前記雌ねじを加工するタップが貫通可能な両端が開放した筒部材と、その筒部材の前記シリンダからの突出側の端部に圧入したキャップ部材とで構成し、そのキャップ部材と筒部材の接触面間に、前記圧力室内に混入したエアを排出するエア抜き通路を形成した。
このようにすると、筒部材の両端が開放しているので、筒部材の内周の雌ねじをタップで加工するときに、タップの先端が干渉しない。そのため、タップの食付き長さを十分にとることができ、雌ねじの加工が容易である。また、キャップ部材と筒部材の接触面間に形成されたエア抜き通路を通じて圧力室内のエアを排出するので、圧力室内にエアが混入したときに、速やかにダンパ作用を発揮することができる。また、キャップ部材を筒部材に圧入する作業が、エア抜き通路を形成する作業を兼ねるので、プランジャの組立工数を抑えることができ、低コストである。
前記キャップ部材が、前記筒部材に圧入されるボス部と、筒部材の端面に当接する端板とからなる場合、前記エア抜き通路は、前記ボス部の外周を軸方向の一端から他端に向けて延びる外周溝と、前記筒部材の端面を径方向内端から外端に向けて延びる端面溝とで構成することができる。
ここで、前記外周溝は、軸方向に延びる多数の平行溝からなる平目ローレットを採用すると、ボス部を筒部材に圧入するときに、隣り合う平行溝間の突条が筒部材の内周に食い込むので、ボス部の圧入による筒部材の膨張を抑えることができ、プランジャとシリンダの摺動面間のリーク隙間を高精度に管理することが可能となる。
また、前記キャップ部材が前記ボス部と端板とからなる場合、前記ボス部の外周をボス部の根元に沿って周方向に延びるぬすみ溝を設けると、ボス部を筒部材に圧入したときに、ボス部の外周溝の周方向位置と、筒部材の端面の端面溝の周方向位置とが一致していなくても、そのぬすみ溝を介して外周溝と端面溝の連通を確保することができる。
前記端面溝は、周方向に間隔をおいて複数設けると、シリンダに対するプランジャの回転によらずに、安定して圧力室内のエアを排出することが可能となる。
また、前記ボス部の前記筒部材内への挿入端の外周側角部と、前記筒部材の前記シリンダからの突出端の内周側角部の少なくとも一方に、面取りを施すことができる。このようにすると、ボス部を筒部材内に圧入するときに、面取りがボス部を筒部材内に案内するので、その圧入作業が円滑となる。この場合、ボス部の圧入方向に対する前記面取りの角度を45度以下に設定すると、面取りによる案内作用を確保することができる。
プランジャに熱処理を施す場合、その熱処理は、ボス部を筒部材に圧入する前に行なってもよいが、ボス部を筒部材に圧入した後に行なうと好ましい。熱処理としては、浸炭処理や浸炭窒化処理が挙げられる。
また、前記筒部材のシリンダからの突出側の端部の外周に、前記筒部材のシリンダと摺動する部分よりも外径が小さい外径小径部を形成すると、ボス部の圧入による筒部材の膨張の影響を抑えることができ、プランジャとシリンダの摺動面間のリーク隙間を高精度に管理することが可能となる。
また、前記筒部材のシリンダからの突出側の端部を外周から加締めると、筒部材とキャップ部材の結合強度を高めることができる。
前記エア抜き通路は、圧力室側のエア圧が0.1MPaの条件でエア通過量が50〜500cc/分となるように形成すると好ましい。このようにすると、エアはエア抜き通路を円滑に通過することができるが、作動油は、エアと比較して粘性が高いので、エア抜き通路をほとんど通過しない。そのため、圧力室内のエアを効率的に排出することができる。
この発明のチェーンテンショナは、キャップ部材と筒部材の接触面間に形成されたエア抜き通路を通じて圧力室内のエアを排出するので、圧力室内にエアが混入したときに、速やかにダンパ作用を発揮することができる。また、キャップ部材を筒部材に圧入する作業が、エア抜き通路を形成する作業を兼ねるので、プランジャの組立工数を抑えることができ、低コストである。
この発明の実施形態のチェーンテンショナを組み込んだチェーン伝動装置を示す正面図 図1のII−II線に沿った拡大断面図 図2のエア抜き通路近傍の拡大断面図 (a)は、図2に示す筒部材のシリンダからの突出側の端部を示す拡大断面図、(b)は、(a)に示す筒部材の端面図 (a)は、図2に示すキャップ部材をボス部側から見た図、(b)は、(a)に示すキャップ部材の断面図 図5に示すキャップ部材を、図4に示す筒部材に圧入し、その筒部材のシリンダからの突出側の端部を外周から加締めた状態を示す拡大断面図 図5に示すキャップ部材の変形例を示す図
図1に、この発明の実施形態のチェーンテンショナ1を組み込んだチェーン伝動装置を示す。このチェーン伝動装置は、エンジンのクランクシャフト2に固定されたスプロケット3と、カムシャフト4に固定されたスプロケット5とがチェーン6を介して連結されており、そのチェーン6がクランクシャフト2の回転をカムシャフト4に伝達し、そのカムシャフト4の回転により燃焼室のバルブ(図示せず)の開閉を行なう。
チェーン6には、支点軸7を中心として揺動可能に支持されたチェーンガイド8が接触しており、チェーンテンショナ1は、そのチェーンガイド8を介してチェーン6を押圧している。
図2に示すように、チェーンテンショナ1は、一端が開放し、他端が閉じた筒状のシリンダ9と、シリンダ9内に軸方向に摺動可能に挿入されたプランジャ10とを有する。シリンダ9は、ボルト11(図1参照)でエンジンブロック12に固定されている。
プランジャ10は、シリンダ9内への挿入端が開口する有底筒状に形成されており、その内周に雌ねじ13が形成されている。シリンダ9とプランジャ10とで囲まれた圧力室14内には、雌ねじ13にねじ係合する雄ねじ15を外周に有するスクリュロッド16が組み込まれている。
雄ねじ15と雌ねじ13は、スクリュロッド16をプランジャ10内に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク17のフランク角が、遊び側フランク18のフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されている。
圧力側フランク17のフランク角は、スクリュロッド16をプランジャ10内に押し込む方向の荷重が静的に負荷されたときに、雄ねじ15と雌ねじ13の圧力側フランク17,17間の摩擦抵抗によってスクリュロッド16の回転が阻止される大きさに設定されている。また、遊び側フランク18のフランク角は、スクリュロッド16をプランジャ10から突出させる方向の荷重が静的に負荷されたときに、雄ねじ15と雌ねじ13の遊び側フランク18,18間の滑りによってスクリュロッド16の回転が許容される大きさに設定されている。
プランジャ10とスクリュロッド16の間には、リターンスプリング19が組み込まれている。リターンスプリング19は、一端がスプリングシート20を介してプランジャ10で支持され、他端がスクリュロッド16をプランジャ10から突出する方向に押圧している。スクリュロッド16のプランジャ10からの突出端は、シリンダ9内に圧入して固定されたロッドシート21に当接している。
ここで、プランジャ10は、リターンスプリング19の反力によってシリンダ9から突出する方向に付勢されている。プランジャ10は、シリンダ9からの突出端がチェーンガイド8に当接しており、このチェーンガイド8を介してチェーン6を押圧する。
シリンダ9の閉端には、シリンダ9とプランジャ10とで囲まれた圧力室14に連通する給油通路22が形成されている。給油通路22は、エンジンブロック12に形成された油孔23に連通しており、油孔23を通ってオイルポンプ(図示せず)から供給される作動油を、圧力室14内に導入するようになっている。給油通路22の圧力室14側の端部には、給油通路22側から圧力室14側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブ24が設けられている。
プランジャ10とシリンダ9の摺動面間には、微小なリーク隙間25が形成されており、そのリーク隙間25を通って圧力室14内の作動油が流出するようになっている。
プランジャ10は、両端が開放した筒部材10Aと、その筒部材10Aのシリンダ9からの突出側の端部に圧入されたキャップ部材10Bとからなる。雌ねじ13は、筒部材10Aのシリンダ9内への挿入側の端部の内周に形成されている。筒部材10Aの内周の雌ねじ13以外の部分は、雌ねじ13を加工するタップ(図示せず)よりも大径の円筒面26となっており、雌ねじ13をタップで加工するときに、そのタップが筒部材10Aを貫通できるようになっている。
キャップ部材10Bは、円筒状に形成されたボス部27と、そのボス部27の一端に一体に設けられた端板28とからなる。ボス部27は、筒部材10Aのシリンダ9からの突出側の端部に圧入されており、端板28は、筒部材10Aのシリンダ9からの突出側の端面に当接している。
図3に示すように、キャップ部材10Bと筒部材10Aの接触面間には、圧力室14内に混入したエアを排出するエア抜き通路29が形成されている。エア抜き通路29は、ボス部27の外周を軸方向の一端から他端に向けて延びる外周溝30と、筒部材10Aの端面を径方向内端から外端に向けて延びる端面溝31とからなる。また、ボス部27の外周には、ボス部27の根元に沿って周方向に延びるぬすみ溝32が設けられており、このぬすみ溝32を介して外周溝30と端面溝31とが連通している。
図5(a)、(b)に示すように、ボス部27の外周溝30は、軸方向に延びる多数の平行溝からなる平目ローレットであり、その隣り合う平行溝間に突条33が形成されている。図6に示すように、ボス部27を筒部材10Aに圧入すると、突条33は、筒部材10Aの内周に食い込んだ状態となる。
ここで、図5(a)に示すボス部27の外径d1は、図4(b)に示す筒部材10Aのシリンダ9からの突出側の端部の内径Dよりも大きく設定され、図5(a)に示すボス部27の外周溝30の溝底径d2は、図4(b)に示す筒部材10Aのシリンダ9からの突出側の端部の内径Dよりも小さく設定されている。
図4(a)、(b)に示すように、端面溝31は、周方向に一定の間隔をおいて複数設けられており、プランジャ10の回転によらずに、いずれかの端面溝31がプランジャ10の中心よりも上側の位置にくるようになっている。
外周溝30と端面溝31はいずれもその断面積が微小であり、圧力室14側のエア圧が0.1MPaの条件で、エア抜き通路29のエア通過量が50〜500cc/分となるように形成されている。そのため、エアは、エア抜き通路29を円滑に通過することができるが、作動油は、エアと比較して粘性が高いので、エア抜き通路29をほとんど通過しない。この結果、エア抜き通路29は、圧力室14内のエアを効率的に排出することが可能となっている。
図3に示すように、筒部材10Aのシリンダ9からの突出側の端部の外周には、筒部材10Aのシリンダ9と摺動する部分よりも外径が小さい外径小径部34が形成されており、外径小径部34の軸方向の長さは、ボス部27の軸方向長さよりも長い。そのため、ボス部27を筒部材10Aに圧入したときに、その圧入による筒部材10Aの素材の流動は、外径小径部34で吸収される。
図5(b)に示すように、ボス部27の筒部材10A内への挿入端の外周側角部35には、面取りが施されている。この面取りの角度は、ボス部27の圧入方向に対して45度以下の大きさ(図では45度)に設定されている。また、図4(a)に示すように、筒部材10Aのシリンダ9からの突出端の内周側角部36にも、ボス部27の圧入方向に対して45度以下の大きさの面取りが施されている。
図6に示すように、筒部材10Aのシリンダ9からの突出側の端部は、端面溝31の位置を避けるように周方向に間隔をおいて外周から加締められている。この加締めにより、筒部材10Aの外周には、周方向に間隔をおいて複数の凹部37が形成され、筒部材10Aの内周には、周方向に間隔をおいて複数の突起38が形成され、その突起38がボス部27のぬすみ溝32に入り込むことによって、筒部材10Aとキャップ部材10Bの結合強度が高められている。
プランジャ10は、熱処理(例えば、浸炭処理や浸炭窒化処理)を施すことによって、シリンダ9に対する摺動面の耐摩耗性と、雌ねじ13の表面の耐摩耗性が高められている。ここで、プランジャ10の熱処理は、ボス部27を筒部材10Aに圧入する前に行なってもよいが、ボス部27を筒部材10Aに圧入した後に行なうと、ボス部27の圧入強度が高くなる。
次に、このチェーンテンショナ1の動作例を説明する。
エンジン作動中にチェーン6の張力が小さくなると、リターンスプリング19の付勢力によってプランジャ10が突出方向に移動し、チェーン6の弛みを吸収する。このとき、オイルポンプから供給される作動油が、給油通路22を通って圧力室14に流入するので、プランジャ10は速やかに移動する。
一方、エンジン作動中にチェーン6の張力が大きくなると、そのチェーン6の張力によって、プランジャ10が押し込み方向に移動し、チェーン6の緊張を吸収する。このとき、スクリュロッド16は、チェーン6の振動により、雄ねじ15と雌ねじ13の間の軸方向隙間の範囲内で前進と後退を繰り返しながら、プランジャ10に対して徐々に回転する。また、圧力室14内の作動油が、プランジャ10とシリンダ9の摺動面間のリーク隙間25を通って流出し、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用が生じるので、プランジャ10はゆっくりと移動する。
エンジン停止時に、カムシャフト4の停止位置によってチェーン6の張力が大きくなる場合があるが、この場合、チェーン6が振動しないので、雄ねじ15と雌ねじ13の圧力側フランク17,17間の接触によってプランジャ10がスクリュロッド16で受け止められ、プランジャ10は押し込み方向に移動しない。そのため、エンジンを再始動するときに、チェーン6の弛みを生じにくく、円滑なエンジン始動が可能である。
エンジンを停止すると、オイルポンプが停止して給油通路22内の作動油の油面が下がる。そのため、エンジンを再始動したときに、給油通路22から圧力室14に供給される作動油にエアが混入する場合があるが、この場合、圧力室14内に混入したエアは、ボス部27の外周溝30と筒部材10Aの端面溝31とを順に通って外気に排出される。
このように、このチェーンテンショナ1は、給油通路22内に混入したエアを、キャップ部材10Bと筒部材10Aの接触面間に形成されたエア抜き通路29を通じて排出するので、圧力室14内にエアが混入したときに、速やかにダンパ作用を発揮することができる。
また、このチェーンテンショナ1は、筒部材10Aの両端が開放しているので、筒部材10Aの内周の雌ねじ13をタップで加工するときに、タップの先端が干渉しない。そのため、タップの食付き長さを十分にとることができ、雌ねじ13の加工が容易である。
ところで、圧力室14内のエアを排出するために、キャップ部材10Bに軸方向に貫通するねじ孔(図示せず)を形成し、そのねじ孔に円柱状のプラグ(図示せず)を圧入し、そのねじ孔とプラグの間に形成される螺旋状のエア抜き通路を通じて圧力室14内のエアを排出することが考えられる。
しかし、このようにすると、キャップ部材10Bを筒部材10Aに圧入する作業とは別に、キャップ部材10Bのねじ孔にプラグを圧入する作業が必要となるので、プランジャ10の組立工数が多くなり、コスト高である。また、ねじ孔とプラグの間に形成される螺旋状のエア抜き通路では、キャップ部材10Bと筒部材10Aの境界近傍に溜まったエアを排出するのが困難である。
これに対し、このチェーンテンショナ1は、キャップ部材10Bを筒部材10Aに圧入する作業が、エア抜き通路29を形成する作業を兼ねるので、プランジャ10の組立工数を抑えることができ、低コストである。また、エア抜き通路29が、キャップ部材10Bと筒部材10Aの接触面間に形成されているので、キャップ部材10Bと筒部材10Aの境界近傍に溜まったエアを排出することができる。
また、このチェーンテンショナ1は、ボス部27の外周溝30として平目ローレットを採用しているので、ボス部27を筒部材10Aに圧入したときに、隣り合う平行溝間の突条33が筒部材10Aの内周に食い込む。そのため、ボス部27の圧入による筒部材10Aの膨張を抑えることができ、プランジャ10とシリンダ9の摺動面間のリーク隙間25を高精度に管理することができる。
また、このチェーンテンショナ1は、ボス部27の外周にぬすみ溝32が設けられているので、ボス部27を筒部材10Aに圧入したときに、ボス部27の外周溝30の周方向位置と、筒部材10Aの端面の端面溝31の周方向位置とが一致していなくても、そのぬすみ溝32を介して外周溝30と端面溝31の連通を確保することができる。そのため、ボス部27を筒部材10Aに圧入するときに周方向の位置決めが不要であり、圧入作業が容易である。
また、このチェーンテンショナ1は、筒部材10Aの端面溝31が、周方向に間隔をおいて複数設けられているので、シリンダ9に対するプランジャ10の回転によらずに、安定して圧力室14内のエアを排出することが可能である。
また、このチェーンテンショナ1は、筒部材10Aの端部の外周に外径小径部34が形成されているので、ボス部27の圧入による筒部材10Aの膨張の影響を抑えることができ、プランジャ10とシリンダ9の摺動面間のリーク隙間25を高精度に管理することができる。
また、このチェーンテンショナ1は、ボス部27を筒部材10A内に圧入するときに、外周側角部35と内周側角部36の面取りがボス部27を筒部材10A内に案内するので、その圧入作業が円滑である。
ボス部27の外周溝30は、図7に示すように、軸方向に対して斜めに延びる多数の交差溝からなる綾目ローレットを採用してもよい。
1 チェーンテンショナ
9 シリンダ
10 プランジャ
10A 筒部材
10B キャップ部材
13 雌ねじ
14 圧力室
15 雄ねじ
16 スクリュロッド
19 リターンスプリング
21 ロッドシート
22 給油通路
24 チェックバルブ
25 リーク隙間
27 ボス部
28 端板
29 エア抜き通路
30 外周溝
31 端面溝
32 ぬすみ溝
34 外径小径部
35 外周側角部
36 内周側角部

Claims (12)

  1. 一端が開放し、他端が閉じた筒状のシリンダ(9)内にプランジャ(10)を軸方向に摺動可能に挿入し、そのシリンダ(9)とプランジャ(10)とで囲まれた圧力室(14)内に作動油を導入する給油通路(22)を前記シリンダ(9)に設け、その給油通路(22)の圧力室(14)側の端部に、給油通路(22)側から圧力室(14)側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブ(24)を設け、前記プランジャ(10)とシリンダ(9)の摺動面間に圧力室(14)から作動油を流出させるリーク隙間(25)を設け、前記プランジャ(10)をシリンダ(9)内への挿入端が開口する有底筒状に形成し、そのプランジャ(10)の内周に形成した雌ねじ(13)にねじ係合する雄ねじ(15)を外周に有するスクリュロッド(16)を設け、そのスクリュロッド(16)をプランジャ(10)から突出する方向に付勢するリターンスプリング(19)を設け、そのスクリュロッド(16)のプランジャ(10)からの突出端を前記シリンダ(9)内に設けたロッドシート(21)に当接させたチェーンテンショナにおいて、
    前記プランジャ(10)を、前記雌ねじ(13)を加工するタップが貫通可能な両端が開放した筒部材(10A)と、その筒部材(10A)の前記シリンダ(9)からの突出側の端部に圧入したキャップ部材(10B)とで構成し、そのキャップ部材(10B)と筒部材(10A)の接触面間に、前記圧力室(14)内に混入したエアを排出するエア抜き通路(29)を形成したことを特徴とするチェーンテンショナ。
  2. 前記キャップ部材(10B)は、前記筒部材(10A)に圧入されるボス部(27)と、そのボス部(27)の一端に設けられ、筒部材(10A)の端面に当接する端板(28)とからなり、前記エア抜き通路(29)は、前記ボス部(27)の外周を軸方向の一端から他端に向けて延びる外周溝(30)と、前記筒部材(10A)の端面を径方向内端から外端に向けて延びる端面溝(31)とからなる請求項1に記載のチェーンテンショナ。
  3. 前記外周溝(30)が、軸方向に延びる多数の平行溝からなる平目ローレットである請求項2に記載のチェーンテンショナ。
  4. 前記ボス部(27)の外周をボス部(27)の根元に沿って周方向に延びるぬすみ溝(32)を設けた請求項2または3に記載のチェーンテンショナ。
  5. 前記端面溝(31)を周方向に間隔をおいて複数設けた請求項2から4のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
  6. 前記ボス部(27)の前記筒部材(10A)内への挿入端の外周側角部(35)と、前記筒部材(10A)の前記シリンダ(9)からの突出端の内周側角部(36)の少なくとも一方に、面取りを施した請求項2から5のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
  7. 前記ボス部(27)の圧入方向に対する前記面取りの角度を45度以下に設定した請求項6に記載のチェーンテンショナ。
  8. 前記ボス部(27)を筒部材(10A)に圧入した状態で前記プランジャ(10)に熱処理を施した請求項2から7のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
  9. 前記熱処理は、浸炭処理または浸炭窒化処理である請求項8に記載のチェーンテンショナ。
  10. 前記筒部材(10A)のシリンダ(9)からの突出側の端部の外周に、前記筒部材(10A)のシリンダ(9)と摺動する部分よりも外径が小さい外径小径部(34)を形成した請求項1から9のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
  11. 前記筒部材(10A)のシリンダ(9)からの突出側の端部を外周から加締めた請求項1から10のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
  12. 前記エア抜き通路(29)を、圧力室(14)側のエア圧が0.1MPaの条件でエア通過量が50〜500cc/分となるように形成した請求項1から11のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
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