JP2023159398A - 生物活性オリゴ糖の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多糖からオリゴ糖を生成するための方法を提供する。【解決手段】反応混合物中の多糖を過酸化水素および遷移金属またはアルカリ土類金属と反応させる段階;続いて、塩基を用いて反応を停止し、かつ/または塩基を用いて該多糖中のグリコシド結合を切断し、それによって該多糖からオリゴ糖の混合物を生成する段階を含む、多糖からオリゴ糖を生成する方法である。【選択図】図1

Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のために参照により組み入れられる2017年6月20日に出願された米国仮特許出願第62/522,604号に対する優先権の恩典を主張する。
発明の背景
単糖3~20個の長さの短鎖の糖分子は、オリゴ糖として公知であり、生物活性があることから、かなりの関心を集めてきた。これには、腸においてプレバイオティクスとして作用する、免疫系を調節する、および病原体付着を妨害するそれらの能力が含まれる[Hooper, L. V.; Midtvedt, T.; Gordon, J. I., Annual review of nutrition 2002, 22 (1), 283-307]。これらのオリゴ糖のうちで最も優れた例は、人乳中に生産されるものである[LoCascio, R. G. et al., Journal of agricultural and food chemistry 2007, 55 (22), 8914-8919; Marcobal, A. et al., Journal of agricultural and food chemistry 2010, 58 (9), 5334; Wang, M. et al., Journal of pediatric gastroenterology and nutrition 2015, 60 (6), 825]。これらの化合物は、新生児期の腸中で特定の細菌を富化する際に高い特異性を有していることが公知である。
植物ベースおよび動物ベースの生産物からオリゴ糖を採取するいくつかの試みがなされている。これらの例には、ガラクトオリゴ糖(GOS)[Lamsal, B. P., Journal of the Science of Food and Agriculture 2012, 92 (10), 2020-2028]およびフルクトースオリゴ糖(FOS) [Yoshikawa, J. et al., Biotechnology letters 2008, 30 (3), 535-539]が含まれる。これらの製品は、現在、機能性食品用途および医薬用途で使用されている。
人乳オリゴ糖を別として、複合していない短いオリゴ糖鎖は、自然界で容易には見出されない。さらに、これらの化合物の合成は費用がかかり、かつオリゴ糖はほとんどの天然物に多量には存在しないため、単離は難しい。多糖、すなわち最大で単糖100,000個の長さの糖分子は、植物、細菌、および酵母に由来するものが自然界に非常に豊富であるが、大きすぎるため生物活性を有することができない。
フェントンの化学反応は、鉄触媒を用いてヒドロキシルラジカルおよびヒドロペルオキシルラジカルを発生させることに基づいており[Neyens, E.; Baeyens, J., Journal of Hazardous materials 2003, 98 (1), 33-50; Walling, C., Accounts of chemical research 1975, 8 (4), 125-131]、これらのラジカル生成物は、次に、様々な異なる基質を酸化することができる[Kuo, W., Water Research 1992, 26 (7), 881-886; Lin, S. H.; Lo, C. C., Water research 1997, 31 (8), 2050-2056; Watts, R. J. et al., Hazardous Waste and Hazardous Materials 1990, 7 (4), 335-345; Zazo, J. et al., Environmental science & technology 2005, 39 (23), 9295-9302]。注目すべきことには、フェントンの酸化は、各ポリマーの選択的切断によって核酸複合体およびタンパク質間相互作用を明らかにするための解析手段として使用されてきた[Meares, C. F. et al., Methods in enzymology 2003, 371, 82-106; Rana, T. M.; Meares, C. F., Journal of the American Chemical Society 1990, 112 (6), 2457-2458]。鉄触媒を用いるおよび用いない炭水化物の酸化および酸化的分解は、特に、デンプンおよびセルロースを機能化する際ならびに木材多糖を分解するにあたって、大きな関心を集めてきた。[Emery, J. A. et al., Wood Science and Technology 1974, 8 (2), 123-137; Xu, G.; Goodell, B., Journal of Biotechnology 2001, 87 (1), 43-57; Haskins, J. F.; Hogsed, M. J., The Journal of Organic Chemistry 1950, 15 (6), 1264-1274; Selih, V. S. et al., Polymer Degradation and Stability 2007, 92 (8), 1476-1481; Parovuori, P. et al., Starch‐Starke 1995, 47 (1), 19-23]。単糖類、二糖類、およびオリゴ糖類に対するフェントン型酸化のメカニズムおよび結果が、数名の研究者によって研究されている。炭水化物のフェントン酸化は、固有の特異性を有する傾向がある。二糖類は、単糖類および糖アルコール類よりも容易に酸化されることが示されており[Morelli, R. et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry 2003, 51 (25), 7418-7425]、(1→6)結合が(1→4)結合より不安定な傾向がある[Uchida, K.; Kawakishi, S., Carbohydrate Research 1988, 173 (1), 89-99]。
さらに最近では、フェントン系が、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、および他のグリコサミノグリカンの脱重合のために使用されている[Achour, O. et al., Carbohydrate Polymers 2013, 97 (2), 684-689; Li, J.-h. et al., Marine Drugs 2016, 14 (9), 170; Petit, A. C. et al., Carbohydrate Polymers 2006, 64 (4), 597-602; Wu, M. et al., Carbohydrate Polymers 2010, 80 (4), 1116-1124]。これらの論文はいずれも、イズロン酸残基またはグルクロン酸残基の形態の、酸を含む基質を使用する。
多糖からオリゴ糖を形成するための方法が提供される。いくつかの態様において、この方法は、多糖を過酸化水素およびFe3+、Fe2+、Cu2+、または本明細書で説明する他の金属と反応させる段階、および次に、塩基を用いて多糖中のグリコシド結合を切断し、それによって多糖からオリゴ糖を生成する段階を含む。この反応は、本明細書において「FITDOG」と呼ばれる。
本発明者らは、植物、細菌、および酵母に由来する多糖を消化することによって生物活性オリゴ糖を製造するための方法を開発した。この方法は、鉄(Fe3+、Fe2+)または他の遷移金属(非限定的に、Cu1+、Co2+などを含む)および過酸化水素で構成されるフェントン試薬を使用する。いくつかの態様において、DP3~20の範囲のオリゴ糖が製造される(DPは、重合度を意味する)。いくつかの態様において、説明されるこの方法は、解析のためのオリゴ糖、およびプレバイオティックであるか、抗癌性であるか、病原体を妨害するか、または他の機能を有する生物活性食物のためのオリゴ糖を製造する。
この方法を用いて、(例えば、植物、細菌、または酵母に由来する)多糖を生物活性オリゴ糖に変換することができる。この方法は、多糖とFe3+および過酸化水素との反応を伴う。限定されるわけではないがFe2+およびCu2+が含まれる他の金属イオンもまた、有効性は様々であるが同じ結果をもたらす。いくつかの態様において、反応を、30分間(または例えば、10分~4時間、例えば、15分~2時間もしくは10分~1時間)進行させる。続いて、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムなどの水溶液)を用いて反応を停止する。
いくつかの態様において、得られたオリゴ糖の特徴を決定することができる。いくつかの態様において、生成物混合物の高速液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)解析により、多糖供給源に応じて大きさが重合度3から20ほどにも(または、例えば3から最大200に)及ぶいくつかのオリゴ糖構造が示される。これらのオリゴ糖の構造および組成は、多糖供給源に応じて変わる。
いくつかの態様において、重合度(DP)3~20(または例えば3から最大200)からなるオリゴ糖の、植物供給源からの製造が提供される。多糖には、例えば、コメ、バナナ、カボチャ、小麦粉などの公知の食物に由来するもの、および食品製造の副産物としての多糖が含まれ得る。いくつかの態様において、多糖は、廃棄食品および通常は食物とみなされない供給源に由来することができる。いくつかの態様において、多糖の供給源は、加工食品および植物性製品である。
いくつかの態様において、この方法は、細菌細胞壁多糖から(例えば、重合度がDP3~20(または例えば3から最大200)である)オリゴ糖の製造を実現する。
いくつかの態様において、この方法は、酵母細胞壁多糖から(例えば、重合度がDP3~20(または例えば3から最大200)である)オリゴ糖の製造を実現する。
いくつかの態様において、この方法は、藻類多糖から(例えば、重合度がDP3~20(または例えば3から最大200)である)オリゴ糖の製造を実現する。
いくつかの態様において、オリゴ糖は、生物活性オリゴ糖である。いくつかの態様において、生物活性オリゴ糖は、ヒト腸にとって有益な細菌によって消費される。いくつかの態様において、生物活性オリゴ糖は、免疫系を調節することができる。オリゴ糖は、免疫系に、公知の刺激および未知の刺激に対して過小反応または過剰反応させることができる。いくつかの態様において、生物活性オリゴ糖は、病原体を妨害するものとして機能する。
いくつかの態様において、オリゴ糖は、土壌の微生物叢の増殖を促進するための選択的炭素基質である。いくつかの態様において、オリゴ糖は、土壌に対する燻蒸プロトコールまたは滅菌プロトコールの後に、土壌に添加される。有機炭素が利用できる場合、制御不能になると土壌生態が病原性の方向に追いやられる可能性がある。有益な土壌微生物叢の増殖を選択的に促進する特定のオリゴ糖を提供することによって、土壌中の土壌病原体集団を減らすことができる。いくつかの態様において、本明細書において説明するようにして調製された1種または複数種のオリゴ糖の組合せを、1種または複数種の微生物(例えば、有益な土壌微生物)を含む土壌に添加することができる。
いくつかの態様において、本明細書において説明するようにして調製された1種または複数種のオリゴ糖を用いて、食品栄養補助のためのプレバイオティクスを作ることができる。いくつかの態様において、オリゴ糖は、過体重および肥満の子供における食欲コントロールおよび/またはエネルギー(カロリー)摂取のコントロールに寄与することができる。
いくつかの態様において、本明細書において説明する反応条件を用いて、多糖を含む不溶性繊維から可溶性繊維を作製するための方法が提供される。反応をある程度までだけ行うことによって、望ましい特徴を有する組成物(例えば、ゲルまたは軟膏)を作ることができる。可溶性の繊維製品は、限定されるわけではないが、医療用の製品および器具、食品用製品(すなわち、増粘剤、栄養改良剤、風味改質剤)、土壌改良剤(特定の有益な土壌マイクロバイオーム構成要素を富化することを目的とする)、および繊維製品(すなわち、新規な織物、縄、生分解性の包装など)を含む、いくつかの用途のために有用であり得る。例えば、いくつかの態様において、不溶性繊維は綿である。
いくつかの態様において、多糖からオリゴ糖を生成する方法が提供される。いくつかの態様において、この方法は、反応混合物中の多糖を過酸化水素および遷移金属またはアルカリ土類金属と反応させる段階;ならびに次に、塩基を用いて反応を停止し、かつ/または塩基を用いて多糖中のグリコシド結合を切断し、それによって多糖からオリゴ糖の混合物を生成する段階を含む。いくつかの態様において、反応混合物は遷移金属を含む。いくつかの態様において、遷移金属は、鉄(例えば、Fe3+、Fe2+)、銅(例えばCu2+)、マンガン、コバルト、またはモリブデンより選択される。いくつかの態様において、反応混合物はアルカリ土類金属を含む。いくつかの態様において、アルカリ土類金属はカルシウムまたはマグネシウムより選択される。
いくつかの態様において、反応混合物中の遷移金属またはアルカリ土類金属は、少なくとも0.65nMの濃度である。いくつかの態様において、反応混合物中の遷移金属またはアルカリ土類金属は、0.65nM~500nMの濃度である。いくつかの態様において、反応混合物中の過酸化水素は、少なくとも0.02Mの濃度である。いくつかの態様において、反応混合物中の過酸化水素は、0.02M~1Mの濃度である。いくつかの態様において、塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化カルシウムである。いくつかの態様において、塩基は、少なくとも0.1Mの濃度である。いくつかの態様において、塩基は、0.1M~5.0Mの濃度である。いくつかの態様において、多糖には、アミロース、アミロペクチン、ベータグルカン、プルラン、キシログルカン、アラビノガラクタンIおよびアルビノガラクタンII、ラムノガラクツロナンI、ラムノガラクツロナンII、ガラクタン、アラビナン、アラビノキシラン、キシラン(例えばブナ材キシラン)、グリコーゲン、マンナン、グルコマンナン、カードラン、またはイヌリンのうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの態様において、多糖は、植物供給源または動物供給源に由来する。いくつかの態様において、多糖は、細菌供給源または藻類供給源に由来する。いくつかの態様において、多糖は、(任意で凍結乾燥された)植物材料の形態で存在する。いくつかの態様において、植物材料は、バナナ、ヒヨコマメ、または雑穀の植物材料である。いくつかの態様において、方法は、オリゴ糖の混合物から1種または複数種のオリゴ糖を精製する段階をさらに含む。
いくつかの態様において、反応させる段階の前に、方法は、多糖を1種または複数種の多糖分解酵素と接触させる段階を含む。いくつかの態様において、1種または複数種の多糖分解酵素は、アミラーゼ、イソアミラーゼ、セルラーゼ、マルターゼ、グルカナーゼ、またはそれらの組合せを含む。
上記もしくは本明細書の別の箇所に記載の方法で生成されたオリゴ糖の混合物、または上記もしくは本明細書の別の箇所に記載の方法で生成され精製された1種または複数種のオリゴ糖を含む組成物もまた、提供される。
表1のオリゴ糖、または表1の2種もしくはそれより多いオリゴ糖の混合物もまた、提供される。
インビトロまたはインビボで微生物を刺激する方法もまた、提供される。いくつかの態様において、方法は、微生物(例えば、細菌、真菌、酵母)を、微生物の増殖を選択的に促進する条件下で、上記もしくは本明細書の別の箇所に記載の方法で生成されたオリゴ糖の混合物(例えば表1)または表のオリゴ糖を含む組成物と接触させる段階を含む。いくつかの態様において、微生物は、プロバイオティック微生物である。いくつかの態様において、微生物は動物の腸中に存在し、組成物は動物に投与される。いくつかの態様において、プロバイオティック微生物は、組成物とは別に、または組成物と同時に、動物に投与される。いくつかの態様において、プロバイオティック微生物は、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)である。いくつかの態様において、微生物は、土壌微生物、口腔微生物(例えば細菌)、または皮膚微生物(例えば細菌)である。
定義
オリゴ糖の「重合度」または「DP」は、個々のオリゴ糖の一部分である糖単量体単位の総数を指す。例えば、テトラガラクトオリゴ糖は、DPが4であり、3個のガラクトース部分および1個のグルコース部分を有している。
用語「ビフィドバクテリウム」およびその同義語は、ヒトにとって有益な特性を有する嫌気性細菌の属を意味する。ビフィドバクテリウムは、腸内細菌叢を構成する細菌、すなわち、胃腸管中に存在し、宿主に対する健康上の利益を有する細菌の主要な株のうちの1つである。正常な腸内細菌叢中のビフィドバクテリウムのさらなる説明については、例えば、Guarner F and Malagelada JR. Lancet (2003) 361, 512-519を参照されたい。
一般に、「プレバイオティクス」または「プレバイオティック栄養分」は、胃腸管中の1つまたは限られた数の微生物の増殖および/または活性を選択的に促進することによって、摂取された際に宿主に有益な影響を与える消化できない食物成分である。本明細書において使用される場合、用語「プレバイオティクス」は、加工していない人乳中とは対照的に、例えば、精製、化学合成、または酵素合成後の、天然に存在していない状態の前述の消化できない食物成分を意味する。
「プロバイオティクス」とは、十分な量で投与された場合に宿主に健康上の利益を与える生きた微生物を意味する。
本明細書において使用される場合、用語「約」および「およそ」は、数値または数値範囲で特定された量を修飾するために使用される場合、その数値に加えて、当業者に公知であるその値からの妥当な偏差、例えば、±20%、±10%、または±5%が、挙げられた値の意図される意味に含まれることを示す。
[本発明1001]
反応混合物中の多糖を過酸化水素および遷移金属またはアルカリ土類金属と反応させる段階;続いて、
塩基を用いて反応を停止し、かつ/または塩基を用いて該多糖中のグリコシド結合を切断し、それによって該多糖からオリゴ糖の混合物を生成する段階
を含む、多糖からオリゴ糖を生成する方法。
[本発明1002]
反応混合物が遷移金属を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
遷移金属が、鉄(例えば、Fe3+、Fe2+)、銅(例えばCu2+)、マンガン、コバルト、またはモリブデンより選択される、本発明1002の方法。
[本発明1004]
反応混合物がアルカリ土類金属を含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
アルカリ土類金属が、カルシウムまたはマグネシウムより選択される、本発明1004の方法。
[本発明1006]
反応混合物中の遷移金属が少なくとも0.65nMの濃度である、本発明1001または1003の方法。
[本発明1007]
反応混合物中の遷移金属が0.65nM~500nMの濃度である、本発明1001または1003の方法。
[本発明1008]
反応混合物中の過酸化水素が少なくとも0.02Mの濃度である、本発明1001の方法。
[本発明1009]
反応混合物中の過酸化水素が0.02M~1Mの濃度である、本発明1001の方法。
[本発明1010]
塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化カルシウムである、本発明1001の方法。
[本発明1011]
塩基が少なくとも0.1Mの濃度である、本発明1001または1010の方法。
[本発明1012]
塩基が0.1M~5.0Mの濃度である、本発明1001または1010の方法。
[本発明1013]
多糖には、アミロース、アミロペクチン、ベータグルカン、プルラン、キシログルカン、アラビノガラクタンIおよびアルビノガラクタンII、ラムノガラクツロナンI、ラムノガラクツロナンII、ガラクタン、アラビナン、アラビノキシラン、キシラン、グリコーゲン、マンナン、グルコマンナン、カードラン、またはイヌリンのうちの1つまたは複数が含まれる、本発明1001の方法。
[本発明1014]
多糖が、植物供給源または動物供給源に由来する、本発明1001の方法。
[本発明1015]
多糖が、細菌供給源、真菌供給源、または藻類供給源に由来する、本発明1001の方法。
[本発明1016]
多糖が植物材料の形態で存在する、本発明1001の方法。
[本発明1017]
植物材料が、バナナ、ヒヨコマメ、または雑穀の植物材料である、本発明1001の方法。
[本発明1018]
オリゴ糖の混合物から1種または複数種のオリゴ糖を精製する段階をさらに含む、本発明1001~1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記反応させる段階の前に、多糖を1種または複数種の多糖分解酵素と接触させる段階を含む、本発明1001~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
1種または複数種の多糖分解酵素が、アミラーゼ、イソアミラーゼ、セルロース、マルターゼ、グルカナーゼ、またはそれらの組合せを含む、本発明1019の方法。
[本発明1021]
本発明1001~1017のいずれかのオリゴ糖の混合物または本発明1018の精製された1種もしくは複数種のオリゴ糖を含む、組成物。
[本発明1022]
表1のオリゴ糖、または表1の2種もしくはそれより多いオリゴ糖の混合物。
[本発明1023]
プロバイオティック微生物の増殖を選択的に促進する条件下で、微生物を、本発明1021のオリゴ糖の混合物を含む組成物または本発明1022の混合物のオリゴ糖と接触させる段階
を含む、インビトロまたはインビボで微生物増殖を促進する方法。
[本発明1024]
微生物がプロバイオティック微生物である、本発明1023の方法。
[本発明1025]
プロバイオティック微生物が動物の腸中に存在し、前記組成物が該動物に投与される、本発明1024の方法。
[本発明1026]
プロバイオティック微生物が、前記組成物とは別に、または前記組成物と同時に、前記動物に投与される、本発明1025の方法。
[本発明1027]
プロバイオティック微生物がビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)である、本発明1024~1026のいずれかの方法。
[本発明1028]
微生物が、土壌微生物、口腔微生物、または皮膚微生物である、本発明1023の方法。
FITDOGによって製造したキシログルカンオリゴ糖のMALDI-MSの例。 最適なオリゴ糖存在量を得るための、硫酸鉄(III)濃度の最適化。 最適なオリゴ糖存在量を得るための、緩衝液pHの最適化。 NaOH濃度および過酸化水素濃度の最適化。 時間条件および温度条件の最適化。 CuCl2、FeSO4、およびFe3(SO4)2を用いて生成した、グリーンスプリットピーに由来するオリゴ糖のHPLC-MSプロファイル。 FITDOG処理を受けた食物の相対的単糖組成。 FITDOG処理を受けたバナナの皮、ヒヨコマメ、および雑穀の注釈付き基準ピーククロマトグラム。注釈は、表1の化合物記号表示と一致する。 バターナッツカボチャのフェントン酸化によって生成したオリゴ糖を栄養源とした場合のビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタムMP80の増殖。 キシランの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 アラビノキシランの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 リケナンの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 ガラクトマンナンの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 アミロペクチンの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 アミロースの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 ラムノガラクツロナンIの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 キシログルカンの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 カードランの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 ガラクタンの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 マンナンの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 グルコマンナンの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 カラマツアラビノガラクタンの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 ポリガラクツロン酸の注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 イヌリンの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 FITDOG法において異なる金属を使用した場合の、アミロースの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 FITDOG法において異なる金属を使用した場合の、アミロースの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 アミロースの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 酵母細胞壁多糖の注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。 1~200+ヘキソースの重合範囲を示す、リットルスケールのFITDOGを受けたバターナッツカボチャの注釈付き基準ピーククロマトグラムを示す。このデータは、ナノチップHPLC/Q-TOF質量分析計を用いて解析した。4~7ヘキソースの重合度が、最も多く存在することが示された。
発明の詳細な説明
所定のオリゴ糖群を得るためのフェントンの開始(FITDOG)は、制御しながら多糖をオリゴ糖に分解するための方法である。いくつかの態様において、粗製多糖は、最初に、グリコシド結合をより不安定にするための、過酸化水素および遷移金属またはアルカリ土類金属(例えば、硫酸鉄(III))触媒による最初の酸化処理を受ける。次いで、塩基によって切断を誘導するために、NaOHまたは他の塩基が使用され、その結果、様々なオリゴ糖が生じる。すぐに中和が起こって、ピーリング反応を減少させる。この方法は、様々な炭水化物供給源から多量の生物学的に活性なオリゴ糖を生成することができる。
所望の場合は、結果として生じる多糖を酸化処理および金属触媒で処理する前に、1種または複数種の多糖分解酵素で多糖を任意で処理して、多糖の平均サイズまたは複雑性を小さくすることができる。多糖酵素の非限定的な例には、例えば、アミラーゼ、イソアミラーゼ、セルラーゼ、マルターゼ、グルカナーゼ、またはそれらの組合せが含まれる。
最初の酸化処理は、過酸化水素および遷移金属またはアルカリ土類金属を含んでよい。酸化状態、大きさ、周期族、および配位数が異なる金属が、FITDOG工程への適応性を理解するために、試験されてきた。様々な金属はそれぞれ、FITDOG反応で活性を示した。これらの金属は任意の多糖において機能するが、異なる金属を用いて、優先的な重合度を有するオリゴ糖を製造することができる。酸化処理に続いて、塩基処理を行う。この方法は、天然多糖および修飾多糖を含む、分岐の程度が様々であり単糖組成が様々である多糖から、オリゴ糖を生成することができる。この方法は、任意の供給源に由来する多糖において機能すると考えられる。例示的な多糖基質には、アミロース、アミロペクチン、ベータグルカン、プルラン、キシログルカン、アラビノガラクタンIおよびアルビノガラクタンII、ラムノガラクツロナンI、ラムノガラクツロナンII、ガラクタン、アラビナン、アラビノキシラン、キシラン(例えばブナ材キシラン)、グリコーゲン、マンナン、グルコマンナン、カードラン、またはイヌリンのうちの1つまたは複数が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
いくつかの態様において、この方法によって生成されるオリゴ糖の、結果として生じる混合物は、2~200、例えば、2~100または3~20もしくは5~50の平均重合度を有し得る。
この方法によって生成されるオリゴ糖の、結果として生じる混合物は、様々な用途を有し得る。いくつかの態様において、オリゴ糖の混合物は、1種または複数種のプロバイオティック細菌の増殖を選択的に促進するためのプレバイオティクスとして使用され得る。いくつかの態様において、オリゴ糖組成物は、プレバイオティック配合物(すなわち、細菌を含まない)として、またはプロバイオティック配合物(すなわち、本明細書において説明するビフィズス菌などの所望の細菌を含む)として投与され得る。通常、ヒトまたは動物が消費できる任意の食物または飲料が、プレバイオティックオリゴ糖含有組成物およびプロバイオティックオリゴ糖含有組成物を含む配合物を作るのに使用されてよい。例示的な食物には、本明細書において説明するプレバイオティック組成物およびプロバイオティック組成物の容易かつ均一な分散を可能にする半流動体の軟度を有するものが含まれる。しかし、他の軟度(例えば、粉末、液体など)もまた、非限定的に使用することができる。したがって、このような食料品には、限定されるわけではないが、チーズ、カッテージチーズ、ヨーグルト、およびアイスクリームなどの乳製品が含まれる。アップルソースまたは裏ごししたエンドウマメおよびニンジンなどの乳児/幼児を対象とするものを含む、加工した果物および野菜もまた、本発明のオリゴ糖と組み合わせて使用するのに適している。コメまたはオートムギを主に含むシリアルなどの乳児用シリアルおよびMusilixなどの大人用シリアルのどちらもまた、オリゴ糖と組み合わせて使用するのに適している。ヒト消費向けの食物の他に、動物用飼料にも、プレバイオティックオリゴ糖含有組成物およびプロバイオティックオリゴ糖含有組成物を添加してよい。
あるいは、プレバイオティックオリゴ糖含有組成物およびプロバイオティックオリゴ糖含有組成物は、飲料に添加するために使用することもできる。このような飲料の例には、限定されるわけではないが、乳児用調製乳、フォローオン調製乳、幼児用飲料、ミルク、発酵乳、果汁、果物ベースの飲料、およびスポーツドリンクが含まれる。多くの乳児用調製乳および幼児用調製乳が当技術分野において公知であり、かつ市販されており、例えば、Carnation Good Start (Nestle Nutrition Division; Glendale, Calif.)およびMayfield Dairy Farms (Athens, Tenn.)製のNutrish A/Bが含まれる。乳児用またはベビー用調製乳の他の例には、米国特許第5,902,617号で開示されているものが含まれる。これらの組成物の他の有益な配合物には、牛乳などの動物乳への添加物が含まれる。
あるいは、プレバイオティックオリゴ糖含有組成物およびプロバイオティックオリゴ糖含有組成物は、丸剤もしくは錠剤に製剤化するか、またはゼラチンカプセル剤などのカプセル剤に封入することもできる。錠剤形態は、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶性セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、増量剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、矯味剤、色素、崩壊剤、および薬学的に適合性のある担体のうちの1つまたは複数を任意で含むことができる。活性成分に加えて当技術分野において公知の担体を含む、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムエマルジョンなどの不活性基剤中に組成物を含むトローチ剤、およびゲル剤などと同様に、ロゼンジ形態またはキャンディー形態も、矯味剤、例えばスクロース中に組成物を含むことができる。プレバイオティックオリゴ糖含有配合物またはプロバイオティックオリゴ糖含有配合物はまた、例えば米粉などの従来の栄養補助食品用の増量剤および食品増量剤も含んでよい。
いくつかの態様において、プレバイオティックオリゴ糖含有組成物またはプロバイオティックオリゴ糖含有組成物は、非ヒトタンパク質、非ヒト脂質、非ヒト炭水化物、または他の非ヒト構成成分をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、組成物は、ウシ(または他の非ヒト)の乳タンパク質、ダイズタンパク質、コメタンパク質、βラクトグロブリン、ホエイ、ダイズ油、またはデンプンを含む。
プレバイオティックオリゴ糖含有組成物およびプロバイオティックオリゴ糖含有組成物の投与量は、個体の要求に応じて変更され、年齢(乳児対大人)、体重、および有益な腸細菌の減少理由(例えば、抗生物質療法、化学療法、疾患、または年齢)などの要因が考慮される。本開示の状況において個体に投与される量は、有益な細菌が時間をかけて腸にコロニー形成を確立するのに十分であるべきである。用量の多さはまた、プレバイオティックオリゴ糖含有組成物またはプロバイオティックオリゴ糖含有組成物の投与に付随し得る任意の有害な副作用の存在、性質、および程度にも基づいて決定される。いくつかの態様において、投与量範囲は、栄養補助食品として、かつ腸管内に有益な細菌を再び定着させるために、有効であると考えられる。いくつかの態様において、本発明のオリゴ糖組成物の投与量は、約1μg/L~約25g/Lのオリゴ糖の範囲に渡る。いくつかの態様において、オリゴ糖組成物の投与量は、約100μg/L~約15g/Lのオリゴ糖である。いくつかの態様において、オリゴ糖組成物の投与量は、約1g/L~約10g/Lのオリゴ糖である。例示的なビフィドバクテリウム投与量には、1回につき約104~約1012コロニー形成単位(CFU)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。さらに有利な範囲は、約106~約1010CFUである。
プレバイオティックオリゴ糖含有配合物またはプロバイオティックオリゴ糖含有配合物は、それを必要とする任意の個体に投与することができる。いくつかの態様において、個体は乳児または幼児である。例えば、いくつかの態様において、個体の年齢は、例えば、3ヶ月未満、6ヶ月未満、9ヶ月未満、1歳未満、2歳未満、または3歳未満である。いくつかの態様において、個体は3~18歳である。いくつかの態様において、個体は大人(例えば、18歳またはそれより年上)である。いくつかの態様において、個体は、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、または75歳より年上である。いくつかの態様において、個体は免疫不全である(例えば、個体は、AIDSに罹患しているか、または化学療法を受けている)。
本発明のプロバイオティック組成物に含まれ得る例示的なビフィドバクテリウムには、ビフィドバクテリウム・ロングム亜種インファンティス(Bifidobacterium longum subsp. infantis)、B.ロングム亜種ロングム(B. longum subsp. longum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、およびB.シュードカテニュレイタムが含まれるが、それらに限定されるわけではない。使用されるビフィドバクテリウムは、ターゲット消費者にある程度左右される。
本明細書において説明する配合物中に他のビフィズス菌増殖因子を含めることが、一部の用途にとっては有利であり得ることが認識される。このような付加的な構成成分には、特に、ラフチロース(Rhone-Poulenc, Cranbury, N.J.)、イヌリン(Imperial Holly Corp., Sugar Land, Tex.)、およびニュートラフローラ(Golden Technologies, Westminister, Colo.)などのフラクトオリゴ糖、ならびにラクトース、キシロオリゴ糖、ダイズオリゴ糖、ラクツロース/ラクチトール、およびガラクトオリゴ糖が含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。一部の用途において、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ルミノコッカス(Rumminococcus)、アッカーマンシア(Akkermansia)、バクテロイデス(Bacteroides)、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)など他の有益な細菌を、配合物中に含めることができる。
本明細書において説明するオリゴ糖を用いて、任意の種類の微生物を刺激することができる。オリゴ糖によって刺激することができる微生物の例には、例えば、土壌微生物(例えば、菌根真菌および菌根細菌ならびにアゾスピリルム(Azosprillum)種といった土壌接種剤として使用される他の微生物)、口腔細菌(例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)、ストレプトコッカス・サンギス(Streptococcus sanguis)、およびS.オラリス(S. oralis))、および皮膚細菌(例えば、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、また、限定されるわけではないがニトロソモナス(Nitrosomonas)、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)、ニトロソスピラ(Nitrosospira)、ニトロソクブスチス(Nitrosocvstis)、ニトロソロブス(Nitrosolobus)、およびニトロソビブリオ(Nitrosovibrio)を含むアンモニア酸化細菌が含まれる。
いくつかの態様において、オリゴ糖組成物は、それを必要とするヒトまたは動物に投与される。例えば、いくつかの態様において、オリゴ糖組成物は、炎症性腸症候群、便秘、下痢、結腸炎、クローン病、結腸癌、機能性腸障害(FBD)、過敏性腸症候群(IBS)、過剰な硫酸還元細菌、炎症性腸疾患(IBD)、および潰瘍性大腸炎からなる群より選択される少なくとも1つの病態に罹患している人間または動物に投与される。過敏性腸症候群 (IBS)は、腹部の痛みおよび不快感、鼓脹、ならびに腸機能の変化、便秘、および/または下痢を特徴とする。IBSには次の3つのグループがある:便秘型IBS(C-IBS)、交互型IBS(A-IBS)、および下痢型IBS (D-IBS)。オリゴ糖組成物は例えば、潰瘍患者において抑制または寛解期間を延長するのに有用である。オリゴ糖組成物は、任意の形態の機能性腸障害(FBD)、ならびに特に、便秘型IBS(C-IBS)、交互型IBS(A-IBS)、および下痢型IBS(D-IBS)などの過敏性腸症候群(IBS);機能性便秘および機能性下痢を治療または予防するために投与することができる。FBDは、慢性または亜慢性であり、かつ腸の痛み、腸機能の乱れ、および社会生活の妨げを伴う、一連の胃腸管障害に対する一般的用語である。
別の態様において、オリゴ糖組成物は、免疫系の刺激を必要とする人に、かつ/または細菌感染症もしくは酵母感染症、例えば、カンジダ症もしくは硫酸還元細菌によって誘発される疾患に対する耐性を高めるために、投与される。
実施例1
脱重合によって多糖からオリゴ糖を作製できることは、魅力的な解決法である。現在、多糖は、2つの方法、すなわち酸加水分解およびグリコシルヒドロラーゼによる酵素処理で脱重合される。どちらの技術も、特有の欠点があり、酸加水分解は、多量の単糖および非常に少量のオリゴ糖を生産する傾向がある。これに対して、酵素処理は、多量のオリゴ糖を生産できるが、各グリコシルヒドロラーゼは、周囲の環境の、結合位置、立体化学、および単糖配置によって決まる非常に特異的な部位でしか切断することができない。このことは、特定の多糖を脱重合させることができる酵素が公知であり利用可能である場合でも、天然物中に存在する構造が多様な多糖の大規模分解を行うことはできないであろうことを意味する。
セルロースと酸を含む多糖の脱重合についての報告はあるものの、フェントン系を用いて中性多糖を効果的に脱重合できる方法はまだない。さらに、粗製の天然物から多量のオリゴ糖を高収率で調製するためのフェントン系の使用は、示されていない。下記の実施例は、多糖単離物と天然物の両方から高収率でオリゴ糖を作製するための、解析スケールの方法と調製スケールの方法の両方、およびオリゴ糖群の分離を目的とするフェントンの開始(FITDOG)の適用を示すことを目指す。
方法
材料
食物は、地元のスーパーマーケットから入手した。酢酸ナトリウム、過酸化水素(30% w/w)、水酸化ナトリウム、硫酸鉄(III)五水和物、および氷酢酸は、すべてSigma-Aldrich (St. Louis, MO)から購入した。
小規模な、オリゴ糖群の分離を目的とするフェントンの開始(FITDOG)
氷酢酸を用いてpH5に調整した95%(v/v)酢酸ナトリウム緩衝液、5%(v/v)過酸化水素(30% w/w)、および65nM硫酸鉄(III)を含む溶液を調製した。この混合物をボルテックスし、乾燥した多糖標準物質に添加して、1mg/mlの最終溶液を作った。この反応物を100℃で20分間インキュベートした。反応後、反応体積の半分量の冷たい2M NaOHを添加しボルテックスしてから、最初の反応体積の0.6%の濃酢酸を添加して中和した。
小規模FITDOGによって生成したオリゴ糖の精製
非多孔性黒鉛化炭素カートリッジ(GCC-SPE)を用いて、オリゴ糖を単離した。カートリッジを、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)中80%アセトニトリルおよびナノ純水で洗浄した。オリゴ糖をロードし、カラム容量の5倍のナノ純水で洗浄した。0.05%(v/v)TFAを含む40%アセトニトリルを用いて、オリゴ糖を溶出させた。
大規模な、オリゴ糖群の分離を目的とするフェントンの開始(FITDOG)
完全に乾燥するまで食物を凍結乾燥し、KRUPS F203グラインダー(Millville, NJ)で粉砕して細粉にした。氷酢酸を用いてpH5に調整した40mM酢酸ナトリウム緩衝液の溶液950mlを、冷水カラム冷却器を備えた2リットル丸底フラスコ中で沸騰させた。1.0gの粉砕し凍結乾燥した食物、32mgの硫酸鉄(III)、および50mlの30%(w/w)過酸化水素水溶液をフラスコに加える。撹拌子を用いて20分間、溶液を反応させる。切断を誘導するために、500mlの氷冷2M NaOHを添加し、30秒間撹拌してから、61.5mlの氷冷氷酢酸を添加して反応物を中和する。
大規模FITDOGによって生成したオリゴ糖の精製
0.45μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターを通してろ過することにより、凝集した鉄を除去した。自分で充填した50gの多孔性黒鉛化炭素(PGC)フラッシュ液体クロマトグラフィー(フラッシュ-LC)カラムを、CombiFlash Rf200 (Teledyne Isco)フラッシュ液体クロマトグラフで用いた。7ml/分の速度で、試料をカラムにロードした。二成分の溶媒系を用い、これは、A:ナノ純水およびB:アセトニトリル(HPLCグレード)からなった。試料を10ml/分の100%溶媒Aで20分間洗浄してから、140分間に渡る0%溶媒Bから80%溶媒Bへの勾配を開始し、次いで、80%溶媒Bで20分間、無勾配とした。溶離液は40分~100分以外は廃棄物に振り分け、40分~100分の溶離液はガラス瓶中に採取した。採取した溶離液をロータリーエバポレーターによって1時間乾燥してアセトニトリルを除去した。残っている液体は、凍結乾燥器で蒸発させた。
マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)による解析
試料をナノ純水に溶かして元に戻した。1μlの試料をステンレス鋼MALDIプレート上に直接載せた。これに、0.3μlの0.01M NaClおよび0.7μlの25mg/ml 2,5-ジヒドロキシ安息香酸を添加し、ピペット先端内で混合した。次いで、減圧下で試料を乾燥させた。Bruker UltraFlextreme MALDI-TOF/TOF測定器を用いて試料を試験した。測定器はポジティブモードで操作し、最大レーザーパワーの95%を使用した。
チップ-HPLC-ナノ/四重極飛行時間型質量分析計(チップ-HPLC-ナノ/Q-TOF MS)による解析
試料をナノ純水に溶かして元に戻してから、チップ-HPLC-ナノ/Q-TOF MSによって解析した。このシステムは、2つのポンプ、すなわち試料添加用のキャピラリーポンプおよび解析用に分離するためのナノポンプを含む。このシステムでは、Agilent 1200シリーズHPLCは、チップキューブインターフェースを介してAgilent 6520 Q-TOF質量分析計に連結されている。このチップは、40nlの濃縮カラムおよび75μm×43mmの分析カラムを含み、どちらのカラムもPGCで充填されている。試料添加は、3%(v/v)アセトニトリル/水+0.1%ギ酸を用いて流速4μl/分で行った。溶媒A:(3%(v/v)アセトニトリル/水+0.1ギ酸)および溶媒B:(90%アセトニトリル/水+0.1%ギ酸)からなる二成分勾配を用いて流速0.4μl/分でクロマトグラフィー分離を実施した。60分間で、勾配を実行した。すなわち、2分間で1% Bから5% Bにし、次いで33分間で5%から30%にし、次いで5分間かけて30%から99%にした後に10分間99%で保ち、次いで1分間で99%から1%にした後に9分間1%で保った。その後、次のランを始めた。
ポジティブモードでデータを集め、m/zが118.086~2721.895の範囲の内部較正イオンを用いて較正した。乾燥ガスを325℃に設定し5l/分の流速で用い、フラグメント電圧、スキマー電圧、およびオクタポール1 RF電圧はそれぞれ175ボルト、60ボルト、および750ボルトに設定した。速度0.63スペクトル/分で断片化を実施した。衝突エネルギーは、化合物質量に基づき、(衝突エネルギー)=1.8×(m/z)-2.4として表した。
単糖組成
乾燥させたバターナッツカボチャおよびFITDOGオリゴ糖は、以下のような単糖組成を経た。簡単に説明すると、10mgの試料を138μlのナノ純水に加えて元に戻した。およそ100mgの1.4mmステンレス鋼ビーズを添加し、Next Advance Storm 24 Bullet Blender (Averill Park, NY)中で2分間撹拌粉砕することによって試料を可溶化し、100℃で1時間加熱した。次に、68μlの濃縮TFAを添加して4M溶液を作り、100℃で2時間インキュベートした。反応を停止するために、800μlの氷冷ナノ純水を添加し、この溶液を1000倍に希釈した。50μlのこの希釈溶液を減圧下で乾燥させた。次いで、乾燥させた試料を3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オンで誘導体化し、乾燥させた。次いで、試料をナノ純水中で元に戻し、クロロホルムを用いて2回抽出し、水層を解析のために使用した。Agilent 6495 QqQ MSと連結されたAgilent 1290 Infinity II UHPLCに試料を注入した。Agilent Zorbax Eclipse Plus C18カラム(内径2.1mm×150mm、粒径1.8μm)を用いて分離を行った。溶媒系は、A:5%アセトニトリル/H2Oに溶かし、NH4OHを用いてpH8.2に調整した25mM酢酸アンモニウムからなった。他の機器パラメーターはすべてこれに従った。
細菌の消費
いくつかの細菌種、主にビフィドバクテリウム属の株を、FITDOGオリゴ糖プールを代謝する能力についてスクリーニングした。この目的を果たすために、後期対数期に採取した純粋培養物を用いて、次の異なる炭素供給源:2%グルコース(陽性対照)、2%w/vおよび5%w/vのバターナッツカボチャオリゴ糖(BSL)、ならびに炭素供給源なし(陰性対照)を含むMRS基本培地に播種した。培養物を、嫌気条件下、37℃で96時間インキュベートし、BiotekプレートリーダーモデルEON 120928C (Biotek Instruments Inc, Winooski, VT, USA)を用いて30分毎に増殖をモニターした。増殖のモニタリングは、30秒間振盪した後に600nmでの吸光度を測定することによって行った。
結果
FITDOG反応条件の最適化
フェントン反応を、市販のキシログルカン(多糖)標準物質を用いて様々な条件下で最適化した。解析スケールのFITDOG手順を用いて、硫酸鉄(III)および過酸化水素の濃度、反応時間、温度、反応pH、および反応を停止するNaOHの濃度を、順次最適化した。MALDI-TOF MSを用いて、オリゴ糖生成物をモニターした。MS存在量を直接的に用いて、相対的なオリゴ糖濃度を得た。MALDI TOF-MSスペクトル(図1)を用いて、各生成物の相対存在量を得た。
1 Fe 2 (SO 4 ) 3 濃度の最適化
硫酸鉄(III)は、濃度を0.0065nMから65nMまで変えることによって最適化した。0.65nM未満の場合、オリゴ糖存在量は観察されなかった。オリゴ糖の合計存在量は、図2に示したように濃度と共に増加した。およそ10nMのFe2(SO4)3濃度で、シグナルは最大値に達し、65nMでわずかに上昇していた。このため、後者の濃度を調製のために使用した。
2 緩衝液pHの最適化
酢酸ナトリウム緩衝液を用い、2~12のpHに対応する酸および塩基(酢酸およびNaOH(水溶液))の適切な量を1pH単位ずつ上昇させながら添加することにより、pH条件を最適化した。5より低いpHでは、観察可能な量が生じなかった。pH5が、最も多くのオリゴ糖存在量をもたらしたのに対し、6を超えても、非常にわずかな存在量しかもたらさなかった(図3)。したがって、本発明者らは、pH5を最適値として選んだ。
3 過酸化水素およびNaOHの濃度
この手順の重要な特徴は、反応を終わらせるために塩基性NaOH溶液を使用することである。この段階が、オリゴ糖生成物を大量に生成するための秘訣である。条件を最適化するために、NaOH濃度、H2O2濃度、およびオリゴ糖の存在量を変更することにより、完全実施要因計画を用いた。NaOHの濃度は、0M、0.1M、1.0M、2.0M、および3.0Mであった。H2O2の濃度は、0.02M、0.12M、0.24M、および0.48Mの過酸化水素であった。NaOHを添加しなかった場合(0.0M、図4)、反応混合物中に検出可能なオリゴ糖はほとんどないか、またはなかった。同様に、H2O2濃度が0.02Mを下回った場合も、検出可能なオリゴ糖は観察されなかった。H2O2を溶液に添加しなかった場合、検出可能なオリゴ糖シグナルは観察されなかった(図4)。この研究に基づき、本発明者らは、2.0MのNaOHおよび0.12MのH2O2が良好に機能することを見出した。
4 反応時間および温度
完全実施要因計画を用いて、時間および温度も解析した。0分、20分、40分、60分、および120分の時点を調べた。25℃、50℃、75℃、および100℃の温度を用いた。最小のオリゴ糖シグナルは、75℃より低い温度で観察された。最も多い存在量は、100℃および反応時間20分の場合に観察された(図5)。
5 他の遷移金属の効果
フェントン型反応は、Fe(III)、Fe(II)、およびCu(II)を含む化合物により進行することが示されている。これまでに最適化した条件を用いて、硫酸鉄(III)、硫酸鉄(II)、および塩化銅(II)を、グリーンスプリットピーと反応させた。3種の遷移金属のどの場合も、オリゴ糖を生じた(図6)。塩化銅(II)の場合、ヘキソース3~7個の長さのオリゴ糖を高レベルの存在量で生じ、Hex4が最も豊富なオリゴ糖であった。硫酸鉄(II)の場合もまた、ヘキソース3~7個の長さのオリゴ糖を生じたが、存在量は塩化銅(II)試料の場合の10分の1であった。硫酸鉄(III)の場合、ヘキソース3~10個の長さのオリゴ糖を生じ、存在量は塩化銅(II)の場合と等しいか、またはそれより多かった。この試料はまた、3種のHex3異性体および2種のHex4異性体を含む、いくつかのヘキソース異性体も生じた。このデータから、本発明者らは、様々な遷移金属および酸化状態によって、多糖からオリゴ糖を生成できることを見出した。本発明者らはまた、様々な遷移金属によって、様々なオリゴ糖プロファイルを得られることを見出し、このことから、各金属が異なる特異性を有していることが示唆される。
食物多糖へのフェントン反応の適用
雑穀、ヒヨコマメ、およびバナナの皮をFITDOGで処理して、異なる出発時多糖を用いて製造したオリゴ糖のタイプを示した。先に説明した手順を用いて明らかにした単糖組成を図7に示している。これらの全食物において最も豊富な構成成分はグルコースであるが、バナナの皮の場合、キシロースおよびフルクトースの存在量が多めであった。ヒヨコマメの場合、アラビノースおよびガラクトースの存在量が多めであった。雑穀は、主としてグルコースを含んだ(95.71%)(図7)。このことから、FITDOGによって遊離されたヘキソースオリゴ糖はグルコースでできていることが示される。
液体クロマトグラフィー質量分析クロマトグラムは、これら3種の多糖についての結果を要約するものである(図8)。各ピークを、それらのオリゴ糖組成と共に表1に記載している。各クロマトグラムは、各々の単糖組成によって異なる独特なピークを生じた。
バナナの皮(上側のパネル)は、Hex3の3種の異性体(ヘキソース三糖A、B、およびS)を含む短いオリゴマーを主に生じた。Hexすなわちヘキソースは、グルコースまたはフルクトースであることができるが、グルコースである可能性が高い。最も豊富なオリゴ糖はHex5(J)に対応する。Hex4異性体もまた、観察されている(FおよびH)。ヒヨコマメは、Hex2HexA1種(D)を有していることが判明した。HexAはヘキスロン酸に相当する。他の豊富な化合物Hex4(C、E、G)、Hex5(I)、Hex6(K)、ならびにHex7(NおよびP)が観察された。雑穀(下側のパネル)は、Hex4(C、E、およびG)ならびに低レベルの存在量のHex3を生じた。最も豊富な種Iに相当するHex5が存在したのに対し、KはHex6に相当する。Lにあるように、混合した組合せが観察され、これは、Hex5PentA1から構成されていた。PentAはペンツロン酸に相当する。
バターナッツカボチャ由来のオリゴ糖のプレバイオティック活性
様々な食物多糖のFITDOGに由来するいくつかのオリゴ糖を、それらのプレバイオティック活性について調べた。バターナッツカボチャ由来のオリゴ糖を用いて、例を提供する。オリゴ糖のプロファイルは、上記に得たものと同様であった。この例では、B.シュードカテニュレイタムMP80を、バターナッツカボチャのフェントン酸化によって生成されたオリゴ糖を栄養源として増殖させた。他の試験された株とは対照的に、B.シュードカテニュレイタムMP80は、バターナッツカボチャオリゴ糖の2%溶液および5%溶液の両方を栄養源として増殖することができた。この増殖は、5%溶液において、最終的に0.962という最大ODに達した。バターナッツカボチャオリゴ糖での増殖は、陰性対照(最大ODは0.378)より有意に多かったが、陽性対照よりは少なかった(図9)。他の試験された株は、バターナッツカボチャオリゴ糖を栄養源として増殖しなかったため、この結果は、これらのオリゴ糖が特定の細菌を選択的に増殖させることを示す。
(表1)いくつかの食物のFITDOG処理から得られた、最も豊富な化合物の一覧。「X」は、化合物がどの食物で発見されたかを表す。
Figure 2023159398000002
実施例2
下記の結果は、多糖の複雑な混合物および純粋な多糖に対するFITDOG法の有用性を示す。多糖の複雑な混合物には、バターナッツカボチャが含まれる(3~200個のオリゴ糖が製造されることに留意されたい(図29))。この方法は、酵母細胞壁に対して使用することができる(図28)。この方法はまた、キシラン、ライムギアラビノキシラン、リケナン、ガラクトマンナン、アミロペクチン、アミロース、ラムノガラクツロナンI、キシログルカン、カードラン、ガラクタン、マンナン、グルコマンナン、カラマツアラビノガラクタン、ポリガラクツロン酸、イヌリンを含む、精製された多糖においてもうまくいく(図10~24および27)。
様々な金属が、FITDOG法のために使用されている。これらには、Fe、Ni、Ca、Cu、およびMgが含まれる。これらは、DP分布が様々なオリゴ糖を生じる(図25~26)。
材料:
キシラン、ライムギアラビノキシラン、リケナン、ガラクトマンナン、アミロース、ラムノガラクツロナンI、キシログルカン、カードラン、ガラクタン、マンナン、グルコマンナン、カラマツアラビノガラクタン、ポリガラクツロン酸、およびイヌリンは、Megazyme(UK)から購入した。アミロペクチンは、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO)から購入した。
酢酸ナトリウム、過酸化水素(30% w/w)、水酸化ナトリウム、硫酸鉄(III)五水和物、硫酸鉄(II)七水和物、硫酸銅(II)七水和物、塩化銅(I)、硫酸マンガン(II)、硫酸コバルト(II)七水和物、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ニッケル(II)、および氷酢酸はすべて、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO)から購入した。
方法:
オリゴ糖製造
氷酢酸を用いてpH5に調整した95%(v/v)酢酸ナトリウム緩衝液、5%(v/v)過酸化水素(30% w/w)、および65nMの調査中の金属複合体を含む溶液を調製した。この混合物をボルテックスし、乾燥した多糖標準物質に添加して、1mg/mlの最終溶液を作った。この反応物を100℃で60分間インキュベートした。反応後、反応体積の半分量の冷たい2M NaOHを添加しボルテックスしてから、最初の反応体積の0.6%の氷酢酸を添加して中和した。
オリゴ糖精製
非多孔性黒鉛化炭素カートリッジ(GCC-SPE)を用いて、オリゴ糖を単離した。カートリッジを、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)中80%アセトニトリルおよびナノ純水で洗浄した。オリゴ糖をロードし、カラム容量の5倍のナノ純水で洗浄した。0.05%(v/v)TFAを含む40%アセトニトリルを用いて、オリゴ糖を溶出させた。
本明細書に記載された実施例および態様は、例示するためのものにすぎないこと、ならびにそれらを踏まえた様々な修正および変更が当業者に示唆され、かつそれらが本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。本明細書に引用したすべての刊行物、特許、および特許出願は、あらゆる目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。

Claims (28)

  1. 反応混合物中の多糖を過酸化水素および遷移金属またはアルカリ土類金属と反応させる段階;続いて、
    塩基を用いて反応を停止し、かつ/または塩基を用いて該多糖中のグリコシド結合を切断し、それによって該多糖からオリゴ糖の混合物を生成する段階
    を含む、多糖からオリゴ糖を生成する方法。
  2. 反応混合物が遷移金属を含む、請求項1記載の方法。
  3. 遷移金属が、鉄(例えば、Fe3+、Fe2+)、銅(例えばCu2+)、マンガン、コバルト、またはモリブデンより選択される、請求項2記載の方法。
  4. 反応混合物がアルカリ土類金属を含む、請求項1記載の方法。
  5. アルカリ土類金属が、カルシウムまたはマグネシウムより選択される、請求項4記載の方法。
  6. 反応混合物中の遷移金属が少なくとも0.65nMの濃度である、請求項1または3記載の方法。
  7. 反応混合物中の遷移金属が0.65nM~500nMの濃度である、請求項1または3記載の方法。
  8. 反応混合物中の過酸化水素が少なくとも0.02Mの濃度である、請求項1記載の方法。
  9. 反応混合物中の過酸化水素が0.02M~1Mの濃度である、請求項1記載の方法。
  10. 塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化カルシウムである、請求項1記載の方法。
  11. 塩基が少なくとも0.1Mの濃度である、請求項1または10記載の方法。
  12. 塩基が0.1M~5.0Mの濃度である、請求項1または10記載の方法。
  13. 多糖には、アミロース、アミロペクチン、ベータグルカン、プルラン、キシログルカン、アラビノガラクタンIおよびアルビノガラクタンII、ラムノガラクツロナンI、ラムノガラクツロナンII、ガラクタン、アラビナン、アラビノキシラン、キシラン、グリコーゲン、マンナン、グルコマンナン、カードラン、またはイヌリンのうちの1つまたは複数が含まれる、請求項1記載の方法。
  14. 多糖が、植物供給源または動物供給源に由来する、請求項1記載の方法。
  15. 多糖が、細菌供給源、真菌供給源、または藻類供給源に由来する、請求項1記載の方法。
  16. 多糖が植物材料の形態で存在する、請求項1記載の方法。
  17. 植物材料が、バナナ、ヒヨコマメ、または雑穀の植物材料である、請求項1記載の方法。
  18. オリゴ糖の混合物から1種または複数種のオリゴ糖を精製する段階をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
  19. 前記反応させる段階の前に、多糖を1種または複数種の多糖分解酵素と接触させる段階を含む、請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
  20. 1種または複数種の多糖分解酵素が、アミラーゼ、イソアミラーゼ、セルロース、マルターゼ、グルカナーゼ、またはそれらの組合せを含む、請求項19記載の方法。
  21. 請求項1~17のいずれか一項記載のオリゴ糖の混合物または請求項18記載の精製された1種もしくは複数種のオリゴ糖を含む、組成物。
  22. 表1のオリゴ糖、または表1の2種もしくはそれより多いオリゴ糖の混合物。
  23. プロバイオティック微生物の増殖を選択的に促進する条件下で、微生物を、請求項21記載のオリゴ糖の混合物を含む組成物または請求項22記載の混合物のオリゴ糖と接触させる段階
    を含む、インビトロまたはインビボで微生物増殖を促進する方法。
  24. 微生物がプロバイオティック微生物である、請求項23記載の方法。
  25. プロバイオティック微生物が動物の腸中に存在し、前記組成物が該動物に投与される、請求項24記載の方法。
  26. プロバイオティック微生物が、前記組成物とは別に、または前記組成物と同時に、前記動物に投与される、請求項25記載の方法。
  27. プロバイオティック微生物がビフィドバクテリウム・シュードカテニュレイタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)である、請求項24~26のいずれか一項記載の方法。
  28. 微生物が、土壌微生物、口腔微生物、または皮膚微生物である、請求項23記載の方法。
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