JP2023158843A - 亜鉛系めっき皮膜の製造方法およびめっき装置 - Google Patents

亜鉛系めっき皮膜の製造方法およびめっき装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アルカリ性亜鉛系めっき皮膜を安定的に製造する方法を提供する。【解決手段】本発明に係る亜鉛系めっき皮膜の製造方法は、アルカリ性のめっき液を透析して得た成分を含むアルカリ性の電解液により、亜鉛を含む金属インゴットを溶解し、前記亜鉛を含む金属インゴットの溶解物を含む前記電解液を前記めっき液に加えることを特徴とし、亜鉛系めっき皮膜が亜鉛合金めっき皮膜である場合には、電解液における前記亜鉛系めっき皮膜の合金元素の濃度は、前記めっき液における前記合金元素の濃度より低いことが好ましい。【選択図】 図4

Description

本発明は、亜鉛系めっき皮膜の製造方法および当該製造方法を実施するためのめっき装置に関する。
本明細書において、亜鉛系めっきとは、亜鉛めっきおよび亜鉛めっきの総称として用いる。また、亜鉛合金めっきとは、亜鉛および合金成分ならびに不可避的な不純物からなるめっきをいう。亜鉛合金めっきはめっき中の亜鉛の濃度(質量%)が他の合金元素の濃度(質量%)のいずれよりも高くてもよいし、亜鉛の濃度(質量%)よりも濃度が高い合金元素が含まれていてもよい。
亜鉛-ニッケル合金、亜鉛-鉄合金、すず-亜鉛合金など亜鉛合金めっきを備える亜鉛合金めっき皮膜や亜鉛めっき皮膜など亜鉛系めっき皮膜は、自動車用の鋼板やボルトやナットなどの鋼材からなる機械部品をはじめとして、我々の身の回りの部材に対して、耐食性、耐熱性などの機能性を向上させることを目的として広汎に用いられている。
亜鉛系めっき皮膜は、亜鉛系めっき皮膜を形成するためのめっき液(本明細書において「亜鉛系めっき浴」ともいう。)に被めっき部材を浸漬した状態で電解を行う電気めっきにて形成される。この亜鉛系めっき浴は、アルカリ浴(例えば特許文献1など)と酸性浴(例えば特許文献2など)とに大別され、アルカリ浴にはシアン化物浴やジンケート型亜鉛合金めっき浴、酸性浴には塩化亜鉛浴や硫酸亜鉛浴がある。求める亜鉛系めっき皮膜の硬度や光沢性、被めっき部材の形状や大きさ、作業環境などの様々な条件を勘案して、これらの亜鉛系めっき浴から適切な浴が選択されている。
特開平1-298192号公報 特許第4307810号公報
アルカリ性の亜鉛系めっき浴を用いる亜鉛系めっきでは、アルカリ性の液体にて亜鉛を溶解して、亜鉛酸イオンとしてめっき液に供給する。このため、亜鉛を溶解するために用いられたアルカリ成分(水系液体のpHを高めることに寄与する物質であって、ナトリウムイオンやカリウムイオンが例示される。)のめっき液中濃度が高まりやすい。めっき液においてこうした成分の濃度が高くなると、めっき液の安定性が低くなったり、得られる亜鉛系めっきの品質を維持することが困難となったりすることがある。
また、アルカリ性の亜鉛合金めっき浴では、他の亜鉛合金めっき浴、特に酸性の亜鉛合金めっき浴との対比で電流効率が低いことが通例である。これは、亜鉛と鉄などの合金金属とを同時に高アルカリ浴に溶解させるために、錯体安定度定数の高い錯化剤を用いる必要があり、そのために電解析出が起こり難くなるためである。また、亜鉛合金めっき皮膜の合金金属が亜鉛よりも貴な場合には、亜鉛を含む金属インゴットに合金金属が析出して金属インゴットからの亜鉛が溶解しにくくなることがある。
本発明は、アルカリ性の亜鉛系めっき浴を用いて亜鉛系めっき皮膜を安定的に製造する方法を提供することおよび安定的にアルカリ性亜鉛系めっき皮膜を製造することが可能なめっき装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために提供される本発明は次のとおりである。
(1)アルカリ性のめっき液を透析して得た成分を含むアルカリ性の電解液により、亜鉛を含む金属インゴットを溶解し、前記亜鉛を含む金属インゴットの溶解物を含む前記電解液を前記めっき液に加えることを特徴とする亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
(2)前記透析は電気透析である、上記(1)に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
(3)前記電気透析のための給電とめっきのための給電とは独立で行われる、上記(2)に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
(4)前記電気透析のための給電は、めっきのための給電と共通で行われる、上記(2)に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
(5)前記亜鉛を含む金属インゴットを前記めっき液により溶解しない、上記(1)から上記(4)のいずれかに記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
(6)前記亜鉛系めっき皮膜は亜鉛合金めっき皮膜であって、前記電解液における前記亜鉛合金めっき皮膜の合金元素の濃度は、前記めっき液における前記合金元素の濃度より低い、上記(1)から上記(4)のいずれかに記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
(7)前記亜鉛合金めっき皮膜は、鉄、ニッケルおよびスズからなる群から選ばれる一種以上からなる元素を前記合金元素とする、上記(6)に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
(8)アルカリ性のめっき液により亜鉛系めっき皮膜を製造するためのめっき装置であって、前記めっき液をその内部に収容するめっき槽と、前記めっき槽の内部の前記めっき液に接触する第1不溶性陽極と、被めっき部材を保持可能であって導電性を有する保持具と、前記めっき槽の内部の前記めっき液に接触する第2不溶性陽極と、アルカリ性の電解液に接触する陰極と、前記第1不溶性陽極および前記第2不溶性陽極に正の電圧を印加し、前記保持具および前記陰極に負の電圧を印加する電源と、前記陰極および前記電解液をその内部に収容する電解槽を有し、前記電解槽の外面の少なくとも一部を含むように設けられた接液部において前記めっき槽の内部の前記めっき液に接触する電解部と、前記接液部に設けられ、前記めっき槽の内部の前記めっき液の一部を前記電解槽の内部に透過させるイオン交換膜と、亜鉛を含む金属インゴットおよび前記電解液をその内部に収容する溶解槽と、前記電解槽の内部の前記電解液の一部を前記溶解槽へと移動させる第1送液部と、前記溶解槽の内部の前記電解液の一部を前記めっき槽へと移動させる第2送液部と、を備えることを特徴とするめっき装置。
(9)前記イオン交換膜は、多価イオンよりも一価イオンを透過させやすい、上記(8)に記載のめっき装置。
(10)前記イオン交換膜は、陰イオンよりも陽イオンを透過させやすい、上記(8)または上記(9)に記載のめっき装置。
(11)前記イオン交換膜は、前記第2不溶性陽極と前記陰極との間に位置する、上記(8)に記載のめっき装置。
(12)前記電源は、前記第1不溶性陽極および前記保持具に電気的に接続される第1電源と、前記第2不溶性陽極および前記陰極に電気的に接続される第2電源と、を有する、上記(8)に記載のめっき装置。
(13)前記電源は、前記第1不溶性陽極および前記保持具を含む第1電解系に給電する第1電源と、前記第2不溶性陽極および前記陰極を含む第2電解系に給電する第2電源と、を有する、上記(8)に記載のめっき装置。
(14)前記第1不溶性陽極と前記陰極とが配線で電気的に接続されること、または前記第2不溶性陽極と前記保持具とが配線で電気的に接続されることのいずれかを満たす、上記(8)に記載のめっき装置。
(15)前記第1不溶性陽極および前記保持具を含む第1電解系と、前記第2不溶性陽極および前記陰極を含む第2電解系とが直列で接続される、上記(8)に記載のめっき装置。
(16)前記めっき槽は、前記第1不溶性陽極に接触する前記めっき液をその内部に収容する第1めっき槽と、前記第2不溶性陽極に接触する前記めっき液をその内部に収容する第2めっき槽と、を有し、前記第1めっき槽の内部の前記めっき液の一部を前記第2めっき槽へと移動させる第3送液部と、をさらに備え、前記第2送液部は、前記溶解槽の内部の前記電解液の一部を前記第1めっき槽へと移動させる、上記(8)に記載のめっき装置。
(17)前記めっき槽の内部の前記めっき液は前記溶解槽の内部に供給されない、上記(8)に記載のめっき装置。
(18)前記亜鉛系めっき皮膜は亜鉛合金めっき皮膜であって、前記電解液における前記亜鉛合金めっき皮膜の合金元素の濃度は、前記めっき液における前記合金元素の濃度より低い、上記(8)に記載のめっき装置。
(19)前記亜鉛合金めっき皮膜は、鉄、ニッケルおよびスズからなる群から選ばれる一種以上からなる元素を前記合金元素とする、上記(18)に記載のめっき装置。
本発明により、アルカリ性の亜鉛系めっき浴を用いて亜鉛系めっき皮膜を安定的に製造する方法が提供される。また、本発明に係るめっき装置を用いることにより、アルカリ性の亜鉛系めっき浴から亜鉛系めっき皮膜を安定的に製造することが可能である。
本発明の第1実施形態に係るめっき装置の構成を示す説明図である。 図1のA-A’線での断面図である。 本発明の第2実施形態に係るめっき装置の構成を示す説明図である。 図3のB-B’線での断面図である。 本発明の第3実施形態に係るめっき装置の構成を示す説明図である。 図5のC-C’線での断面図である。 本発明の第4実施形態に係るめっき装置の構成を示す説明図である。 図7のD-D’線での断面図である。
以下、図面を用いて本発明について詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るめっき装置の構成を示す説明図である。図2は図1のA-A’線での断面図である。図2では、A-A’断面線の端部A側が左側に示され、端部A’側が右側に示されている。
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係るめっき装置は、めっき槽10、電解槽20および溶解槽30を備える。めっき槽10の内部には、亜鉛系めっき皮膜の一例である亜鉛合金めっき皮膜を形成するために用いられるアルカリ性のめっき液PSが収容される。電解槽20の内部には、めっき液PSからアルカリ成分を回収するために用いられるアルカリ性の電解液ESが収容される。溶解槽30の内部には、亜鉛を含む金属インゴットMIおよび金属インゴットMIを溶解させる溶解液SSが収容される。図1では、金属インゴットMIは、図示しない網により保持されて、溶解液SS中に浮遊している。
めっき槽10の内部のめっき液PSには、導電性を有する保持具50に保持された被めっき部材51および第1不溶性陽極40が接触している。第1不溶性陽極40は第1電源81の正極端子に接続され、保持具50は第1電源81の負極端子に接続される。図1に示されるめっき装置100では、2つの第1不溶性陽極40が被めっき部材51を挟むように配置されている。使用に際しては、保持具50および保持具50に保持された被めっき部材51ならびに第1不溶性陽極40を含む第1電解系に第1電源81から給電することにより、被めっき部材51に亜鉛合金めっき皮膜を析出させる。
めっき槽10の内部のめっき液PSには、第1不溶性陽極40とは異なる第2不溶性陽極60も接触している。電解槽20は、陰極70および電解液ESをその内部に収容する。したがって、陰極70は、電解槽20の内部の電解液ESに接触している。めっき槽10の側面の一部には開口10Aが設けられ、この開口10Aにより、電解槽20の外面の少なくとも一部が、接液部22として、めっき槽10の内部のめっき液PSに接触している。
接液部22には、めっき槽10の内部のめっき液PSの一部を電解槽20の内部に透過させるイオン交換膜23が設けられている。イオン交換膜23は、めっき液PSに接する第2不溶性陽極60と電解液ESに接する陰極70との間に位置するように配置される。このように、陰極70および電解液ESをその内部に収容する電解槽20を有し、電解槽20の外面の少なくとも一部を含むように設けられた接液部22においてめっき槽10の内部のめっき液PSに接触する電解部21を、本実施形態に係るめっき装置100は備える。
第2不溶性陽極60は第2電源82の正極端子に接続され、陰極70は第2電源82の負極端子に接続される。使用に際しては、第2不溶性陽極60および陰極70を含む第2電解系に第2電源82から給電することにより、めっき液PSの一部がイオン交換膜23を介して電解液ESに移動する電気透析が行われる。具体的には、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどアルカリ成分が透析されて、めっき液PSから電解液ESへと移動する。
図2に示されるように、イオン交換膜23を介して対向する第2不溶性陽極60および陰極70へと第2電源82から給電されるため、イオン交換膜23を透過する物質は、めっき液PSから電解液ESへの移動はカチオン性の物質であり、電解液ESからめっき液PSへの移動はアニオン性の物質である。
本実施形態に係るめっき装置100では、イオン交換膜23はカチオン性イオン交換膜が用いられているため、イオン交換膜23が陰イオンよりも陽イオンを透過させやすい。このため、電解液ESからめっき液PSへのアニオン性の物質の移動が妨げられ、めっき液PSから電解液ESへと移動する物質量は、電解液ESからめっき液PSへと移動する物質量よりも多くなりやすい。それゆえ、電解槽20の内部の電解液ESの液面は、めっき槽10の内部のめっき液PSの液面よりも高くなる。なお、図2には、各槽の液(めっき液PS、電解液ES、溶解液SS)の液面は二点鎖線で示されている。このように、本実施形態では、イオン交換膜23は、めっき槽10側から電解槽20側へと液体を移送する機能も果たしている。カチオン性のイオン交換膜23の具体例として、アストム社製「ネオセプタCMB」が挙げられる。
電解槽20では、上記のように、めっき液PSの一部からなるアルカリ成分が供給されるため、電解液ESの液面上昇が生じる。本実施形態に係るめっき装置100では、電解槽20の内部の電解液ESの一部を溶解槽30へと移動させる第1送液部91として、オーバーフロー機構が設けられている。これにより、電解槽20の内部の電解液ESの液量が所定量に維持され、電解槽20の内部の電解液ESの一部が、溶解槽30へと継続的に供給される。
溶解槽30の内部に供給されたアルカリ性の電解液ESは、溶解槽30の内部の金属インゴットMIを溶解する。溶解槽30とめっき槽10との間には、オーバーフロー機構からなる第2送液部92が設けられているため、金属インゴットMIの溶解物(具体的には亜鉛酸イオンなど亜鉛を含むイオンが例示される。)を含有する溶解液SSの一部が、めっき槽10へと継続的に供給される。
このように、本実施形態では、第2電解系によって、めっき槽10の内部に位置するアルカリ性のめっき液PSを透析して、アルカリ成分を電解槽20へと移送する。この透析により得たアルカリ成分を含むアルカリ性の電解液ESを溶解槽30に供給することにより、溶解槽30の内部にて、亜鉛を含む金属インゴットMIを溶解する。そして、金属インゴットMIの溶解物を含む電解液ESである溶解液SSを、めっき槽10の内部のめっき液PSに加える。
亜鉛を含む金属インゴットMIをアルカリ性の液体で溶解して得られる溶解液SSをめっき液PSに加えるときに、金属インゴットMIを溶解させるアルカリ成分がめっき液PSとは異なる外部から供給されると、めっき液PSにおけるアルカリ成分に基づくイオン(具体的にはナトリウムイオンやカリウムイオンが例示される。)の濃度が経時的に高くなり、めっき液PSの組成バランスが崩れ、めっき液PSの安定性が低下してしまう。めっき液PSの安定性が低下すると、めっき皮膜の品質が低下することもある。
これに対し、上記のように、本実施形態に係るめっき装置100を用いた亜鉛合金めっきの製造方法では、めっき液PSに基づくアルカリ成分により金属インゴットMIを溶解するため、長期間めっきを行っても、めっき液PSの内部のアルカリ成分が増加しにくく、それゆえ、めっき液PSのバランスが崩れにくい。
ここで、本実施形態に係るめっき装置100が備えるイオン交換膜23は、多価イオンよりも一価イオンを透過させやすいため、めっき液PSの内部に含まれる、亜鉛合金めっき皮膜の合金元素を与える多価の金属イオン(具体的には鉄イオン、スズイオン、ニッケルイオンが例示される。)は電解槽20へと移動しにくい。それゆえ、溶解液SSにおけるめっき液PSに由来する多価の金属イオンの濃度は低く、鉄など亜鉛合金めっき皮膜の合金元素が亜鉛よりも貴であっても、溶解液SSにおけるその合金元素の濃度は特に低くなる。このように、本実施形態に係るめっき装置100では、電解液ESにおける亜鉛合金めっきの合金元素の濃度がめっき液PSにおける合金元素の濃度より低いため、亜鉛を含む金属インゴットMIをめっき液PSで溶解させたときに問題となる、置換めっき(合金元素の金属インゴットMIへの析出)が生じにくい。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係るめっき装置の構成を示す説明図である。図4は図3のB-B’線での断面図である。図4では、B-B’断面線の端部B側が左側に示され、端部B’側が右側に示されている。
第2実施形態に係るめっき装置110は、第1実施形態に係るめっき装置100と基本構成は共通するため、相違点についてのみ説明する。
第1実施形態に係るめっき装置100では、めっき槽10の一部に開口10Aが設けられ、電解槽20におけるこの開口10Aから臨む部分が接液部22を構成しているが、第2実施形態に係るめっき装置110では、めっき槽10の内部のめっき液PSに一部が埋没するように電解槽20が設けられている。すなわち、第2実施形態に係るめっき装置110における電解槽20は全ての側面の一部および底面がめっき液PSに接する接液部22である。そして、めっき装置110では、電解槽20の対向する一組の側面のそれぞれにイオン交換膜23が設けられ、めっき槽10には、電解槽20の2つのイオン交換膜23のそれぞれに対向するように、2つの第2不溶性陽極60が設けられている。なお、2つの第2不溶性陽極60は並列で第2電源82の正極端子に接続されるため、使用時に2つの第2不溶性陽極60には等しい正電圧が印加される。
第1実施形態に係るめっき装置100では、電解槽20の内部の電解液ESの一部を溶解槽30へと移動させる第1送液部91はオーバーフロー機構から構成されているが、第2実施形態に係るめっき装置110では、第1送液部91は送液ポンプにより構成されている。
第1実施形態では、イオン交換膜23を含む第2電解系がめっき装置100の液循環の駆動源となっていたが、これを実現するためには、電解液ESの液面はめっき液PSの液面よりも高い状態を維持する必要がある。このため、第1実施形態に係るめっき装置100では、第2電解系は、電解液ESの液面をめっき液PSの液面まで下げようとする力に抗して、物質移動を行わなければならない。
これに対し、第2実施形態では、第1送液部91を構成する送液ポンプが継続的に電解液ESを溶解槽30へと移動させるため、図4に示されるように、電解液ESの液面はめっき液PSの液面よりも低くなっている。この液面レベルの差に基づき、イオン交換膜23では、めっき液PSから電解液ESへの物質移動が、反対向きの物質移動よりも生じやすくなっている。それゆえ、第2実施形態では、第2電解系は、第1実施形態の第2電解系よりも効率的にめっき液PSのアルカリ成分を電解液ESに回収することが実現されている。
本実施形態では、電解槽20はめっき槽10の内部に位置しているため、市販の円筒型や箱形の隔膜電極を用いることが可能である。そのような市販の隔膜電極の一例として、ポリテックス社製「テクトロン」が挙げられる。
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係るめっき装置の構成を示す説明図である。図6は図5のC-C’線での断面図である。図6では、C-C’断面線の端部C側が左側に示され、端部C’側が右側に示されている。
第3実施形態に係るめっき装置120は、第2実施形態に係るめっき装置110と基本構成は共通するため、相違点についてのみ説明する。
第2実施形態に係るめっき装置110では、単独のめっき槽10が用いられ、第1電解系は第1電源81により給電され、第2電解系は第2電源82により給電されるが、第3実施形態に係るめっき装置120では、2つのめっき槽(第1めっき槽11、第2めっき槽12)が用いられ、第1電解系と第2電解系とが直列に接続され、一つの電源80により給電されている。第1めっき槽11と第2めっき槽12との間には、オーバーフロー機構からなる第3送液部93が設けられているため、第1めっき槽11のめっき液PSの一部が、第2めっき槽12へと継続的に供給される。
具体的には、第3実施形態に係るめっき装置120では、第1めっき槽11に第1電解系が配置され、第2電解系を構成する第2不溶性陽極60は第2めっき槽12に配置され、第1めっき槽11に収容されるめっき液PSと第2めっき槽12に収容されるめっき液PSとは、電気的に独立している。そして、電源80の正極端子に第2電解系を構成する第2不溶性陽極60が接続され、電源80の負極端子に第1電解系を構成する保持具50が接続され、第2電解系の陰極70と第1電解系の第1不溶性陽極40とが電気的に接続されることにより、第1電解系と第2電解系とが直列に接続されている。
このような構成とすることにより、電源を1つにすることができ、装置の製造コストを低減させることができる場合がある。ただし、この場合には、第1電解系に流れる電流量と第2電解系に流れる電流量とは等しくなるため、めっき装置120の稼働の際に、保持具50に保持される被めっき部材51の面積が変化することにより、電解槽20の内部へと移動するめっき液PSのアルカリ成分の量が変化する。このアルカリ成分量の変化に応じて電解槽20の内部の電解液ESの量が変わるため、第1送液部91による電解液ESの溶解槽30への移送量を調整することが必要となる場合がある。
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態に係るめっき装置の構成を示す説明図である。図8は図7のD-D’線での断面図である。図8では、D-D’断面線の端部D側が左側に示され、端部D’側が右側に示されている。
第4実施形態に係るめっき装置130は、第3実施形態に係るめっき装置120と基本構成は共通するため、相違点についてのみ説明する。
第3実施形態に係るめっき装置120では、第2実施形態と同様に、電解槽20はめっき槽10の内部に位置するように配置されているが、第4実施形態に係るめっき装置130では、第1実施形態と同様に、電解槽20は第2めっき槽12の外に配置され、第1送液部91はオーバーフロー機構から構成されている。第4実施形態に係るめっき装置130は電源が1つであり、送液ポンプも用いていないため、製造コストを低く抑えることが可能となる場合がある。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。例えば、上記の実施形態ではめっき槽10に収容されるめっき液PSは、亜鉛合金めっき皮膜を形成するための亜鉛合金めっき液(亜鉛合金めっき浴)であったが、亜鉛めっき皮膜を形成するための亜鉛めっき液(亜鉛めっき浴)であってもよい。この場合であっても、溶解槽30の溶解液SSにおいて亜鉛を含む金属インゴットMIを溶解させるアルカリ成分はめっき液PS由来であることから、めっき液PSのアルカリ成分濃度が高まりにくく、長期間めっきしても、めっき液PSの組成バランスが崩れにくい。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
第2実施形態に係るめっき装置110を用いて、めっき処理を行う試験を行った。
各槽の液量および電流は次のとおりであった。
めっき槽10のめっき液PS:40L
電解槽20の電解液ES:1L
溶解槽30の溶解液SS:2L
第1電源81の印加電流(めっき電流):5A
第2電源82の印加電流(透析電流):10A
電解槽20の電解液ESは水酸化ナトリウム水溶液とした。
イオン交換膜23として、イオン交換樹脂を有するアストム社製「ネオセプタCMB」を用いた。
通電開始前の初期、通電開始から40時間経過後、および80時間経過後に、各槽の内部の液体(めっき液PS、電解液ES、溶解液SS)の亜鉛濃度(亜鉛イオン濃度)およびナトリウム濃度(ナトリウムイオン濃度)を測定した。結果を表1に示す。表中の数字は濃度(単位:g/L)を意味する(以下同じ。)。
表1に示されるように、本実施例では、80時間が経過しても、めっき槽10の内部のめっき液PSにおける亜鉛濃度に変化はなかった。また、めっき槽10の内部のめっき液PSにおけるナトリウム濃度は、40時間経過後の測定では初期の70g/Lから若干低くなって65g/Lとなり、以下、80時間経過後も同じ濃度であった。このように、本実施例では、めっき槽10の内部のめっき液PSの組成を80時間経過後も建浴時とほぼ共通とすることができた。電解槽20の内部の電解液ESおよび溶解槽30の内部の溶解液SSでは、めっき処理を行うことによって、初期(建浴時)に比べて、ナトリウム濃度が高くなった。このため、溶解液SSでは、亜鉛インゴットの溶解が進み、亜鉛濃度が経時的に高くなることが確認された。
(比較例1)
めっき槽のみを有するめっき装置を用いて、実施例と同様の組成のめっき液PSを用いて、実施例と等しい条件(めっき電流:5A)でめっき処理を行い、実施例と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
表2に示されるように、めっき槽内のめっき液PSの亜鉛濃度は経時的に減少し、80時間後は3g/Lになってしまった。
(比較例2)
比較例1のめっき装置を用い、実施例と同じめっき液PSを建浴し、実施例と等しい条件(めっき電流:5A)でめっき処理を行った。ただし、比較例2では、補給液(亜鉛濃度:150g/L、水酸化ナトリウム濃度:450g/L)を定期的に補給しながら、めっき処理を行った。めっき槽の内部のめっき液PSの亜鉛濃度およびナトリウム濃度の測定結果を表3に示す。
表3に示されるように、比較例2では、比較例1と異なり、めっき槽10の内部のめっき液PSにおいて亜鉛濃度の低下は認められなかった。しかしながら、水酸化ナトリウムが含まれる補給液を補給しながらめっきを行ったので、めっき槽10の内部のめっき液PSにおけるナトリウム濃度が経時的に上昇した。このため、めっき液PSの安定性が低下した。
100、110、120、130 :めっき装置
10 :めっき槽
10A :開口
11 :第1めっき槽
12 :第2めっき槽
20 :電解槽
21 :電解部
22 :接液部
23 :イオン交換膜
30 :溶解槽
40 :第1不溶性陽極
50 :保持具
51 :被めっき部材
60 :第2不溶性陽極
70 :陰極
80 :電源
81 :第1電源
82 :第2電源
91 :第1送液部
92 :第2送液部
93 :第3送液部
ES :電解液
MI :金属インゴット
PS :めっき液
SS :溶解液

Claims (19)

  1. アルカリ性のめっき液を透析して得た成分を含むアルカリ性の電解液により、亜鉛を含む金属インゴットを溶解し、
    前記亜鉛を含む金属インゴットの溶解物を含む前記電解液を前記めっき液に加えること
    を特徴とする亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
  2. 前記透析は電気透析である、請求項1に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
  3. 前記電気透析のための給電とめっきのための給電とは独立で行われる、請求項2に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
  4. 前記電気透析のための給電は、めっきのための給電と共通で行われる、請求項2に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
  5. 前記亜鉛を含む金属インゴットを前記めっき液により溶解しない、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
  6. 前記亜鉛系めっき皮膜は亜鉛合金めっき皮膜であって、前記電解液における前記亜鉛合金めっき皮膜の合金元素の濃度は、前記めっき液における前記合金元素の濃度より低い、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
  7. 前記亜鉛合金めっき皮膜は、鉄、ニッケルおよびスズからなる群から選ばれる一種以上からなる元素を前記合金元素とする、請求項6に記載の亜鉛系めっき皮膜の製造方法。
  8. アルカリ性のめっき液により亜鉛系めっき皮膜を製造するためのめっき装置であって、
    前記めっき液をその内部に収容するめっき槽と、
    前記めっき槽の内部の前記めっき液に接触する第1不溶性陽極と、
    被めっき部材を保持可能であって導電性を有する保持具と、
    前記めっき槽の内部の前記めっき液に接触する第2不溶性陽極と、
    アルカリ性の電解液に接触する陰極と、
    前記第1不溶性陽極および前記第2不溶性陽極に正の電圧を印加し、前記保持具および前記陰極に負の電圧を印加する電源と、
    前記陰極および前記電解液をその内部に収容する電解槽を有し、前記電解槽の外面の少なくとも一部を含むように設けられた接液部において前記めっき槽の内部の前記めっき液に接触する電解部と、
    前記接液部に設けられ、前記めっき槽の内部の前記めっき液の一部を前記電解槽の内部に透過させるイオン交換膜と、
    亜鉛を含む金属インゴットおよび前記電解液をその内部に収容する溶解槽と、
    前記電解槽の内部の前記電解液の一部を前記溶解槽へと移動させる第1送液部と、
    前記溶解槽の内部の前記電解液の一部を前記めっき槽へと移動させる第2送液部と、
    を備えることを特徴とするめっき装置。
  9. 前記イオン交換膜は、多価イオンよりも一価イオンを透過させやすい、請求項8に記載のめっき装置。
  10. 前記イオン交換膜は、陰イオンよりも陽イオンを透過させやすい、請求項8または請求項9に記載のめっき装置。
  11. 前記イオン交換膜は、前記第2不溶性陽極と前記陰極との間に位置する、請求項8に記載のめっき装置。
  12. 前記電源は、
    前記第1不溶性陽極および前記保持具に電気的に接続される第1電源と、
    前記第2不溶性陽極および前記陰極に電気的に接続される第2電源と、
    を有する、請求項8に記載のめっき装置。
  13. 前記電源は、
    前記第1不溶性陽極および前記保持具を含む第1電解系に給電する第1電源と、
    前記第2不溶性陽極および前記陰極を含む第2電解系に給電する第2電源と、
    を有する、請求項8に記載のめっき装置。
  14. 前記第1不溶性陽極と前記陰極とが配線で電気的に接続されること、または前記第2不溶性陽極と前記保持具とが配線で電気的に接続されることのいずれかを満たす、請求項8に記載のめっき装置。
  15. 前記第1不溶性陽極および前記保持具を含む第1電解系と、前記第2不溶性陽極および前記陰極を含む第2電解系とが直列で接続される、請求項8に記載のめっき装置。
  16. 前記めっき槽は、
    前記第1不溶性陽極に接触する前記めっき液をその内部に収容する第1めっき槽と、
    前記第2不溶性陽極に接触する前記めっき液をその内部に収容する第2めっき槽と、
    を有し、
    前記第1めっき槽の内部の前記めっき液の一部を前記第2めっき槽へと移動させる第3送液部と、をさらに備え、
    前記第2送液部は、前記溶解槽の内部の前記電解液の一部を前記第1めっき槽へと移動させる、請求項8に記載のめっき装置。
  17. 前記めっき槽の内部の前記めっき液は前記溶解槽の内部に供給されない、請求項8に記載のめっき装置。
  18. 前記亜鉛系めっき皮膜は亜鉛合金めっき皮膜であって、前記電解液における前記亜鉛合金めっき皮膜の合金元素の濃度は、前記めっき液における前記合金元素の濃度より低い、請求項8に記載のめっき装置。
  19. 前記亜鉛合金めっき皮膜は、鉄、ニッケルおよびスズからなる群から選ばれる一種以上からなる元素を前記合金元素とする、請求項18に記載のめっき装置。
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