JP2023158831A - 駆動力伝達制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝達される駆動力の大きさの正確性をより高めることが可能な駆動力伝達制御装置を提供する。【解決手段】駆動力伝達制御装置2は、ハウジング20とインナシャフト3との間にメインクラッチ4及びパイロットクラッチ60を備える。パイロットクラッチ60は、制御装置2Bから電磁コイル63に供給される電流に応じたトルクをカム機構5に伝達し、カム機構5のメインカム部材51がメインクラッチ4を押圧する。制御装置2Bは、メインクラッチ4及びパイロットクラッチ60のそれぞれの推定温度を算出する温度推定部72と、電磁コイル63に供給すべき電流の目標値である電流指令値を算出する電流指令値算出部73とを備える。電流指令値算出部73は、温度推定部72が算出した各推定温度に基づいて算出されるメインクラッチ4及びパイロットクラッチ60のそれぞれの伝達トルクの合計値がトルク指令値に一致するように電流指令値を算出する。【選択図】図3
Description
本発明は、駆動力伝達制御装置に関する。
従来、主駆動輪と補助駆動輪とを備え、主駆動輪のみに駆動源の駆動力が伝達される二輪駆動状態と、駆動源の駆動力が主駆動輪及び補助駆動輪に伝達される四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車には、潤滑油によって潤滑される複数のクラッチプレートの摩擦摺動によって駆動力を伝達する多板クラッチを備え、この多板クラッチによって補助駆動輪に伝達される駆動力を車両走行状態に応じて制御可能なものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の駆動力伝達制御装置は、電磁クラッチからなるパイロットクラッチ機構、パイロットクラッチ機構によって伝達されるトルクによって作動するカム機構、及びカム機構によって押圧されるメインクラッチ機構を有する駆動力伝達装置と、この駆動力伝達装置を制御する制御装置とを備えている。パイロットクラッチ機構及びメインクラッチ機構は、潤滑油によって潤滑される複数のクラッチプレートを有している。制御装置は、駆動力伝達装置の温度変化に応じて潤滑油の粘性抵抗が変化し、パイロットクラッチ機構及びメインクラッチ機構によって伝達されるトルクが変化してしまうことを抑制するため、駆動力伝達装置の温度を推定し、推定した温度に応じてパイロットクラッチ機構の電磁コイルに供給する電流を補正する。
上記のように構成された駆動力伝達装置は、例えば一時的に高負荷状態となってメインクラッチ機構の温度が短時間で上昇したとき、メインクラッチ機構の温度とパイロットクラッチ機構の温度との差が大きくなる場合がある。このような場合には、上記のような温度補正をしても、必ずしも十分に適切な大きさの駆動力を伝達できないおそれがある。
そこで、本発明は、駆動力伝達装置全体の温度に基づいて温度補正をする場合に比較して、駆動力伝達装置によって伝達される駆動力の大きさの正確性をより高めることが可能な駆動力伝達制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、同軸上で相対回転可能な外側回転部材及び内側回転部材と、前記外側回転部材と一体に回転するメインアウタクラッチプレート、及び前記内側回転部材と一体に回転するメインインナクラッチプレートを有し、潤滑油によって潤滑されるメインクラッチと、前記内側回転部材との相対回転が規制されたメインカム部材、及び前記メインカム部材との相対回転により前記メインカム部材に前記メインクラッチを押圧するカム推力を発生させるパイロットカム部材を有するカム機構と、前記外側回転部材と一体に回転するパイロットアウタクラッチプレート、及び前記パイロットカム部材と一体に回転するパイロットインナクラッチプレートを有し、潤滑油によって潤滑されるパイロットクラッチと、前記パイロットクラッチと軸方向に並んで配置されたアーマチャと、前記アーマチャを前記パイロットクラッチ側に向かって軸方向に移動させる磁力を発生する電磁コイルと、前記電磁コイルに電流を供給する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記メインクラッチ及び前記パイロットクラッチのそれぞれの推定温度を算出する温度推定部と、前記外側回転部材と前記内側回転部材との間で伝達すべきトルクの目標値であるトルク指令値を受け付け、前記温度推定部によって算出された前記メインクラッチの推定温度に基づいて算出される前記メインクラッチの伝達トルク、及び前記温度推定部によって算出された前記パイロットクラッチの推定温度に基づいて算出される前記パイロットクラッチの伝達トルクの合計値が前記トルク指令値に一致するように、前記電磁コイルに供給すべき電流の目標値である電流指令値を算出する電流指令値算出部と、前記電流指令値に応じた電流が前記電磁コイルに供給されるように電流制御を行う電流制御部と、を備える、駆動力伝達制御装置を提供する。
本発明に係る駆動力伝達制御装置によれば、駆動力伝達装置によって伝達される駆動力の大きさの正確性をより高めることが可能となる。
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
本発明の実施の形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
(四輪駆動車の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達制御装置が搭載された四輪駆動車の概略の構成例を示す概略構成図である。
図1は、本発明の実施の形態に係る駆動力伝達制御装置が搭載された四輪駆動車の概略の構成例を示す概略構成図である。
図1に示すように、四輪駆動車1は、アクセルペダル110の操作量(踏み込み量)に応じた駆動力を発生する駆動源としてのエンジン11と、エンジン11の出力を変速するトランスミッション12と、トランスミッション12で変速されたエンジン11の駆動力が常に伝達される主駆動輪としての左右前輪181,182と、エンジン11の駆動力が四輪駆動車1の走行状態に応じて伝達される補助駆動輪としての左右後輪191,192とを備えている。左右前輪181,182及び左右後輪191,192には、車輪速センサ101~104がそれぞれ対応して配置されている。
また、四輪駆動車1には、フロントディファレンシャル13と、プロペラシャフト14と、リヤディファレンシャル15と、リヤディファレンシャル15に駆動力を伝達するピニオンギヤシャフト150と、左右の前輪側のドライブシャフト161,162と、左右の後輪側のドライブシャフト171,172と、プロペラシャフト14とピニオンギヤシャフト150との間に配置された駆動力伝達装置2Aと、駆動力伝達装置2Aを制御する制御装置2Bとが搭載されている。駆動力伝達装置2A及び制御装置2Bは、駆動力伝達制御装置2を構成する。
駆動力伝達装置2Aは、制御装置2Bから供給される電流に応じた駆動力をプロペラシャフト14からピニオンギヤシャフト150に伝達する。左右後輪191,192には、駆動力伝達装置2Aを介してエンジン11の駆動力が伝達される。制御装置2Bは、車輪速センサ101~104によって検出される左右前輪181,182及び左右後輪191,192の回転速度を示す車輪速信号、アクセルペダルセンサ105によって検出されるアクセルペダル110の操作量を示すアクセル開度の情報、及び外気温センサ106によって検出される外気温の情報を取得可能であり、駆動力伝達装置2Aに電流を供給することで駆動力伝達装置2Aを制御する。
左右前輪181,182には、エンジン11の駆動力が、トランスミッション12、フロントディファレンシャル13、及び左右の前輪側のドライブシャフト161,162を介して伝達される。フロントディファレンシャル13は、左右の前輪側のドライブシャフト161,162にそれぞれ相対回転不能に連結された一対のサイドギヤ131,131と、一対のサイドギヤ131,131にギヤ軸を直交させて噛合する一対のピニオンギヤ132,132と、一対のピニオンギヤ132,132を支持するピニオンギヤシャフト133と、これらを収容するフロントデフケース134とを有している。
フロントデフケース134には、リングギヤ135が固定され、このリングギヤ135がプロペラシャフト14の車両前方側の端部に設けられたピニオンギヤ141に噛み合っている。プロペラシャフト14の車両後方側の端部は、駆動力伝達装置2Aのハウジング20に連結されている。駆動力伝達装置2Aは、ハウジング20と相対回転可能に配置されたインナシャフト3を有しており、インナシャフト3にピニオンギヤシャフト150が相対回転不能に連結されている。駆動力伝達装置2Aの詳細については後述する。
リヤディファレンシャル15は、左右の後輪側のドライブシャフト171,172にそれぞれ相対回転不能に連結された一対のサイドギヤ151,151と、一対のサイドギヤ151,151にギヤ軸を直交させて噛合する一対のピニオンギヤ152,152と、一対のピニオンギヤ152,152を支持するピニオンギヤシャフト153と、これらを収容するリヤデフケース154と、リヤデフケース154に固定されてピニオンギヤシャフト150と噛み合うリングギヤ155とを有している。
(駆動力伝達装置の構成)
図2は、駆動力伝達装置2Aの構成例を示す断面図である。図2において、回転軸線Oよりも上側は駆動力伝達装置2Aの作動状態を、下側は駆動力伝達装置2Aの非作動状態を、それぞれ示す。以下、回転軸線Oに平行な方向を軸方向という。
図2は、駆動力伝達装置2Aの構成例を示す断面図である。図2において、回転軸線Oよりも上側は駆動力伝達装置2Aの作動状態を、下側は駆動力伝達装置2Aの非作動状態を、それぞれ示す。以下、回転軸線Oに平行な方向を軸方向という。
駆動力伝達装置2Aは、フロントハウジング21及びリヤハウジング22からなるハウジング20と、ハウジング20と同軸上で相対回転可能に支持された筒状のインナシャフト3と、ハウジング20とインナシャフト3との間に配置されたメインクラッチ4と、メインクラッチ4を押圧するカム推力を発生させるカム機構5と、制御装置2Bから電流の供給を受けてカム機構5を作動させる電磁クラッチ機構6とを有している。ハウジング20は、本発明の外側回転部材の一例であり、インナシャフト3は、本発明の内側回転部材の一例である。ハウジング20の内部には、図略の潤滑油が封入されている。
フロントハウジング21は、円筒状の筒部21aと底部21bとを一体に有する有底円筒状である。筒部21aの開口端部における内面には、雌ねじ部21cが形成されている。フロントハウジング21の底部21bには、プロペラシャフト14(図1参照)が十字継手を介して連結される。また、フロントハウジング21は、軸方向に延びる複数の外側スプライン突起211を筒部21aの内周面に有している。
リヤハウジング22は、鉄等の磁性材料からなる第1環状部材221、第1環状部材221の内周側に溶接等により一体に結合されたオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料からなる第2環状部材222、及び第2環状部材222の内周側に溶接等により一体に結合された鉄等の磁性材料からなる第3環状部材223によって構成されている。第1環状部材221と第3環状部材223との間には、電磁コイル63を収容する環状の収容空間22aが形成されている。また、第1環状部材221の外周面には、フロントハウジング21の雌ねじ部21cに螺合する雄ねじ部221aが形成されている。
インナシャフト3は、軸方向に延びる複数の内側スプライン突起31を外周面に有しており、玉軸受24及び針状ころ軸受25によってハウジング20の内周側に支持されている。インナシャフト3の一端部における内面には、ピニオンギヤシャフト150(図1参照)の一端部が相対回転不能に嵌合されるスプライン嵌合部32が形成されている。
メインクラッチ4は、軸方向に沿って交互に配置された複数のメインアウタクラッチプレート41及び複数のメインインナクラッチプレート42からなる。メインアウタクラッチプレート41はフロントハウジング21と一体に回転し、メインインナクラッチプレート42はインナシャフト3と一体に回転する。メインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との摩擦摺動は、潤滑油によって潤滑される。
メインアウタクラッチプレート41には、フロントハウジング21の外側スプライン突起211に係合する複数の係合突起411が外周端部に形成されている。メインアウタクラッチプレート41は、係合突起411が外側スプライン突起211に係合することにより、フロントハウジング21との相対回転が規制され、かつフロントハウジング21に対して軸方向に移動可能である。
メインインナクラッチプレート42には、インナシャフト3の内側スプライン突起31に係合する複数の係合突起421が内周端部に形成されている。メインインナクラッチプレート42は、係合突起421が内側スプライン突起31に係合することにより、インナシャフト3との相対回転が規制され、かつインナシャフト3に対して軸方向に移動可能である。また、メインインナクラッチプレート42は、金属からなる円盤状の基材431と、基材431の両側面にそれぞれ張り付けられた摩擦材432とを有している。基材431には、摩擦材432が貼着された部分よりも内側に、潤滑油を流通させる複数の油穴430が軸方向に貫通して形成されている。メインアウタクラッチプレート41には、摩擦材432との接触面に、潤滑油を流動させる図略の油溝が形成されている。
カム機構5は、インナシャフト3との相対回転が規制されたメインカム部材51と、メインカム部材51に対して相対回転可能なパイロットカム部材52と、メインカム部材51とパイロットカム部材52との間に配置された複数の球状のカムボール53とを有している。
メインカム部材51は、メインクラッチ4の一端におけるメインインナクラッチプレート42に接触してメインクラッチ4を押圧する環板状の押圧部511と、押圧部511よりもメインカム部材51の内周側に設けられたカム部512とを一体に有している。押圧部511には、メインインナクラッチプレート42の複数の油穴430と軸方向に並ぶ位置に複数の油穴510が形成されている。油穴510は、押圧部511を軸方向に貫通しており、潤滑油をメインクラッチ4側と電磁クラッチ機構6側との間で流動させる。
メインカム部材51は、押圧部511の内周端部に形成されたスプライン係合部511aがインナシャフト3の内側スプライン突起31に係合し、インナシャフト3との相対回転が規制されている。また、メインカム部材51は、インナシャフト3に形成された段差面3aとの間に配置された皿ばね54により、メインクラッチ4から軸方向に離間するように付勢されている。
パイロットカム部材52は、メインカム部材51に対して相対回転する回転力を電磁クラッチ機構6から受けるスプライン突起521を外周端部に有している。パイロットカム部材52とリヤハウジング22の第3環状部材223との間には、スラスト針状ころ軸受55が配置されている。
メインカム部材51のカム部512とパイロットカム部材52との対向面には、周方向に沿って軸方向の深さが変化する複数のカム溝512a,52aがそれぞれ形成されている。カムボール53は、メインカム部材51のカム溝512aとパイロットカム部材52のカム溝52aとの間に配置され、回転軸線Oを中心とする所定の角度範囲でカム溝512a,52aを転動可能である。パイロットカム部材52は、この角度範囲でメインカム部材51に対して相対回転可能である。
パイロットカム部材52は、メインカム部材51に対して相対回転することにより、メインカム部材51にメインクラッチ4を押圧するカム推力を発生させる。メインクラッチ4は、カム機構5から押圧力を受けてメインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42とが摩擦接触し、メインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との間に発生する摩擦力によって駆動力を伝達する。
電磁クラッチ機構6は、複数のパイロットアウタクラッチプレート61及び複数のパイロットインナクラッチプレート62を有するパイロットクラッチ60と、電磁コイル63と、電磁コイル63を保持する磁性材料からなる環状のヨーク64と、パイロットクラッチ60と軸方向に並んで配置されたアーマチャ65とを有して構成されている。
電磁コイル63には、電線631を介して制御装置2Bからの電流が励磁電流として供給され、アーマチャ65をパイロットクラッチ60側に向かって軸方向に移動させる磁力を発生する。電磁コイル63に通電されると、図2に示す磁路Gに磁束が発生する。電磁コイル63は、ヨーク64に保持されてリヤハウジング22の収容空間22aに収容されている。ヨーク64は、玉軸受26によってリヤハウジング22の第3環状部材223に支持されている。
複数のパイロットアウタクラッチプレート61及び複数のパイロットインナクラッチプレート62は、鉄等の磁性材料からなる円盤状の部材であり、アーマチャ65とリヤハウジング22との間に、軸方向に沿って交互に配置されている。複数のパイロットアウタクラッチプレート61は、ハウジング20と一体に回転し、複数のパイロットインナクラッチプレート62は、パイロットカム部材52と一体に回転する。パイロットアウタクラッチプレート61及びパイロットインナクラッチプレート62には、磁束の短絡を防ぐための複数の円弧状のスリットがリヤハウジング22の第2環状部材222と軸方向に並ぶ位置に形成されている。
パイロットアウタクラッチプレート61には、フロントハウジング21の外側スプライン突起211に係合する複数の係合突起611が外周端部に形成されている。パイロットアウタクラッチプレート61は、係合突起611が外側スプライン突起211に係合することにより、フロントハウジング21との相対回転が規制され、かつフロントハウジング21に対して軸方向に移動可能である。
パイロットインナクラッチプレート62には、パイロットカム部材52のスプライン突起521に係合する複数の係合突起621が内周端部に形成されている。パイロットインナクラッチプレート62は、係合突起621がパイロットカム部材52にスプライン突起521に係合することにより、パイロットカム部材52との相対回転が規制され、かつパイロットカム部材52に対して軸方向に移動可能である。パイロットアウタクラッチプレート61とパイロットインナクラッチプレート62との摩擦摺動も、メインクラッチ4と同様に、潤滑油によって潤滑される。
アーマチャ65は、鉄等の磁性材料からなる環状の部材であり、外周部にはフロントハウジング21の外側スプライン突起211に係合する複数の係合突起651が形成されている。これにより、アーマチャ65は、フロントハウジング21に対して軸方向に移動可能で、かつフロントハウジング21に対する相対回転が規制されている。
電磁クラッチ機構6は、電磁コイル63への通電により発生する磁力によってアーマチャ65をヨーク64側に吸引し、このアーマチャ65の軸方向移動によって複数のパイロットアウタクラッチプレート61とパイロットインナクラッチプレート62との間に摩擦力を発生させる。複数のパイロットアウタクラッチプレート61及びパイロットインナクラッチプレート62は、アーマチャ65によってリヤハウジング22側に押し付けられて摩擦接触する。
駆動力伝達装置2Aは、この電磁クラッチ機構6の作動によって、電磁コイル63に供給される電流に応じた回転力がパイロットカム部材52に伝達され、パイロットカム部材52がメインカム部材51に対して相対回転し、カムボール53がカム溝512a,52aを転動する。そして、このカムボール53の転動により、メインカム部材51にメインクラッチ4を押圧するスラスト力が発生し、複数のメインアウタクラッチプレート41と複数のメインインナクラッチプレート42との間に摩擦力が発生する。制御装置2Bは、電磁コイル63に供給する電流によってハウジング20とインナシャフト3との間で伝達される駆動力を制御する。
上記のように構成された駆動力伝達装置2Aにおいて、ハウジング20とインナシャフト3との間で伝達される駆動力の大きさである総伝達トルクは、メインクラッチ4の複数のメインアウタクラッチプレート41とメインインナクラッチプレート42との間に発生する摩擦力による伝達トルクと、パイロットクラッチ60の複数のパイロットアウタクラッチプレート61と複数のパイロットインナクラッチプレート62との間に発生する摩擦力による伝達トルクとを合わせた大きさとなる。
ハウジング20からパイロットクラッチ60によってパイロットカム部材52に伝達されたトルクは、複数のカムボール53及びメインカム部材51を経て、メインカム部材51のスプライン係合部511aからインナシャフト3の内側スプライン突起31に伝達される。
メインクラッチ4の伝達トルク及びパイロットクラッチ60の伝達トルクは、制御装置2Bから電磁コイル63に供給される電流によって変化し、温度によっても変化する。温度によるメインクラッチ4の伝達トルク及びパイロットクラッチ60の伝達トルクの変化は、潤滑油の粘性が高くなる0℃以下の低温時において特に顕著になる。つまり、メインクラッチ4の伝達トルク及びパイロットクラッチ60の伝達トルクは、電磁コイル63に供給される電流が一定であっても、潤滑油の粘性抵抗によって低温時ほど大きくなってしまう。
また、メインクラッチ4の発熱量は、パイロットクラッチ60の発熱量よりも大きく、ハウジング20とインナシャフト3との間で駆動力を伝達しているときのメインクラッチ4の温度は、パイロットクラッチ60の温度よりも高い場合が多い。特に、メインクラッチ4が一時的に高負荷状態となってメインクラッチ4の温度が短時間で上昇したときは、メインクラッチ4とパイロットクラッチ60との温度差が大きくなる。
本実施の形態では、以下に説明する制御装置2Bの構成により、メインクラッチ4とパイロットクラッチ60との温度差が大きくなった場合にも、適切な大きさの駆動力がハウジング20とインナシャフト3との間で伝達されるように、電磁コイル63に供給される電流を調節する。
(制御装置の構成)
図3は、制御装置2Bの処理フローの一例を示す制御ブロック図である。図3に示すように、制御装置2Bは、トルク指令値算出部71、温度推定部72、電流指令値算出部73、電流制御部74、スイッチング電源部75、電流センサ76、第1バッファ部77、第2バッファ部78、メインクラッチ特性情報記憶部791、及びパイロットクラッチ特性情報記憶部792を有している。
図3は、制御装置2Bの処理フローの一例を示す制御ブロック図である。図3に示すように、制御装置2Bは、トルク指令値算出部71、温度推定部72、電流指令値算出部73、電流制御部74、スイッチング電源部75、電流センサ76、第1バッファ部77、第2バッファ部78、メインクラッチ特性情報記憶部791、及びパイロットクラッチ特性情報記憶部792を有している。
このうち、トルク指令値算出部71、温度推定部72、電流指令値算出部73、電流制御部74、第1バッファ部77、及び第2バッファ部78は、例えば制御装置2BのCPU(演算処理装置)がプログラムを実行することによりソフトウェア的に実現される。制御装置2Bは、トルク指令値算出部71、温度推定部72、電流指令値算出部73、電流制御部74、第1バッファ部77、及び第2バッファ部78の処理を、所定の制御周期(例えば5ms)ごとに実行する。
メインクラッチ特性情報記憶部791、及びパイロットクラッチ特性情報記憶部792は、制御装置2Bの不揮発性メモリの記憶領域である。スイッチング電源部75は、直流電源とトランジスタ等のスイッチング素子によって実現される。電流センサ76は、例えばシャント抵抗とADコンバータによって実現され、電磁コイル63に供給される電流を検出する。
トルク指令値算出部71は、メインクラッチ4及びパイロットクラッチ60によってハウジング20とインナシャフト3との間で伝達すべきトルクの目標値であるトルク指令値を算出する。トルク指令値は、例えばアクセルペダルセンサ105によって検出されるアクセルペダル110の操作量(アクセル開度)が大きいほど、また車輪速センサ101~104によって検出される左右前輪181,182及び左右後輪191,192の車輪速から求められる前後輪回転速差が大きいほど、大きな値に設定される。また、外気温センサ106によって検出される外気温が低温である場合には、左右前輪181,182に駆動力を配分してスリップの発生を防ぐため、トルク指令値が所定値以上に設定される。
温度推定部72は、外気温、左右前輪181,182及び左右後輪191,192の車輪速から求められる前後輪回転速差、前回の制御周期におけるメインクラッチ4の伝達トルクの算出値であるメインクラッチ伝達トルク前回値、ならびに前回の制御周期におけるパイロットクラッチ60の伝達トルクの指令値であるパイロットクラッチトルク指令値前回値に基づいて、メインクラッチ4及びパイロットクラッチ60のそれぞれの推定温度を算出する。
より具体的には、温度推定部72は、メインクラッチ伝達トルク前回値及び前後輪回転速差から求められるメインクラッチ4の発熱量の積算値、メインクラッチ4とパイロットクラッチ60との間の熱抵抗を考慮したパイロットクラッチ60からの熱伝達量、及びメインクラッチ4の熱容量に、外気温を考慮した放熱量を加味してメインクラッチ4の推定温度を算出する。また、温度推定部72は、パイロットクラッチトルク指令値前回値及び前後輪回転速差から求められるパイロットクラッチ60の発熱量の積算値、パイロットクラッチ60とメインクラッチ4との間の熱抵抗を考慮したメインクラッチ4からの熱伝達量、及びパイロットクラッチ60の熱容量に、外気温を考慮した放熱量を加味してパイロットクラッチ60の推定温度を算出する。なお、電磁コイル63に温度センサが取り付けられている場合には、その温度センサの検出値をさらに加味してメインクラッチ4の推定温度やパイロットクラッチ60の推定温度を算出してもよい。
電流指令値算出部73は、トルク指令値算出部71で演算されたトルク指令値を受け付け、温度推定部72によって算出されたメインクラッチ4の推定温度に基づいて算出されるメインクラッチ4の伝達トルク、及び温度推定部72によって算出されたパイロットクラッチ60の推定温度に基づいて算出されるパイロットクラッチ60の伝達トルクの合計値がトルク指令値に一致するように、電磁コイル63に供給すべき電流の目標値である電流指令値を算出する。
本実施の形態では、電流指令値算出部73が、メインクラッチ特性情報参照部731、及びパイロットクラッチ特性情報参照部732を有している。メインクラッチ特性情報参照部731は、メインクラッチ特性情報記憶部791に記憶された情報を参照し、パイロットクラッチ60が伝達すべきトルクの目標値であるパイロットクラッチトルク指令値を算出する。パイロットクラッチ特性情報参照部732は、パイロットクラッチトルク指令値に応じてパイロットクラッチ特性情報記憶部792に記憶された情報を参照し、電流指令値を算出する。次に、図4及び図5を参照し、メインクラッチ特性情報参照部731の処理について説明する。
図4は、メインクラッチ特性情報記憶部791に記憶された三次元マップの一例を示す説明図である。メインクラッチ特性情報記憶部791には、メインクラッチ4の温度及びパイロットクラッチの伝達トルクと、メインクラッチ4によって伝達されるトルクとの関係を示す三次元マップの情報が記憶されている。この三次元マップの情報は、予め実験やシミュレーションに基づいて設定され、メインクラッチ特性情報記憶部791にメインクラッチ特性情報として記憶されている。
図4に示すように、メインクラッチ4の伝達トルクは、パイロットクラッチ60の伝達トルクが大きくなるほど増大する。また、メインクラッチ4の伝達トルクは、メインクラッチ4の温度が低いほど、潤滑油の粘性によって大きくなる傾向にある。パイロットクラッチ60の伝達トルクとメインクラッチ4の伝達トルクとの関係は、メインクラッチ4の温度よって変化する。
図5は、メインクラッチ特性情報を参照してパイロットクラッチトルク指令値を算出するための手法の一例を説明するためのグラフである。図5に示す特性線L1は、図4に示す三次元マップから抽出されたものであり、温度推定部72によって算出されたメインクラッチ4の推定温度におけるパイロットクラッチ60の伝達トルクとメインクラッチ4の伝達トルクとの関係を示している。
ここで、メインクラッチ4の伝達トルクとパイロットクラッチ60の伝達トルクとを足し合わせたものが総伝達トルクである関係から、総伝達トルクを固定値とした場合には、パイロットクラッチ60の伝達トルクが大きいほどメインクラッチ4の伝達トルクが小さくなる。図5では、総伝達トルクに対応するメインクラッチ4の伝達トルクとパイロットクラッチ60の伝達トルクとの関係を示す補助線L2を直線で示している。なお、メインクラッチ4の伝達トルクは、パイロットクラッチ60の伝達トルクに比較して、例えば20倍程度大きいが、図5では、説明の明確化のために横軸(パイロットクラッチ60の伝達トルク)と縦軸(メインクラッチ4の伝達トルク)のスケールを変えている。
メインクラッチ特性情報参照部731は、特性線L1と補助線L2とが交わる座標点をPとしたとき、この座標点Pの横軸座標であるTpをパイロットクラッチトルク指令値として算出する。座標点Pの縦軸座標であるTmは、メインクラッチ4の伝達トルクの目標値である。また、総伝達トルクは、トルク指令値に応じた値であるので、換言すれば、Tmは、Tpのトルクがパイロットクラッチ60によって伝達されたときに、メインクラッチ4及びパイロットクラッチ60によって伝達される総伝達トルクがトルク指令値に応じた値となる場合のメインクラッチ4の伝達トルクである。また、Tpは、メインクラッチ4にTmの伝達トルクを発生させるために必要なパイロットクラッチ60の伝達トルクの目標値である。
Tmによって与えられるメインクラッチ4の伝達トルクの値は、第1バッファ部77に一時記憶され、次回の制御周期においてメインクラッチ伝達トルク前回値として温度推定部72の演算に用いられる。また、Tpによって与えられるパイロットクラッチトルク指令値は、第2バッファ部78に一時記憶され、次回の制御周期においてパイロットクラッチトルク指令値前回値として温度推定部72の演算に用いられる。
次に、図6を参照し、パイロットクラッチ特性情報参照部732の処理について説明する。図6は、パイロットクラッチ特性情報記憶部792に記憶された三次元マップの一例を示す説明図である。パイロットクラッチ特性情報記憶部792には、パイロットクラッチ60の温度及び電磁コイル63に供給される電流と、パイロットクラッチ60によって伝達されるトルクとの関係を示す三次元マップの情報が記憶されている。この三次元マップの情報は、予め実験やシミュレーションに基づいて設定され、パイロットクラッチ特性情報記憶部792にパイロットクラッチ特性情報として記憶されている。
パイロットクラッチ特性情報参照部732は、メインクラッチ特性情報参照部731によって算出されたパイロットクラッチトルク指令値、及び温度推定部72によって算出されたパイロットクラッチ60の推定温度に基づいてパイロットクラッチ特性情報を参照する。そして、パイロットクラッチ60にパイロットクラッチトルク指令値の伝達トルクを発生させるために必要な電流を電流指令値として算出する。
電流制御部74は、パイロットクラッチ特性情報参照部732によって算出された電流指令値に応じた電流が電磁コイル63に供給されるようにフィードバック制御を行う。具体的には、電流センサ76によって検出される電流の大きさが電流指令値と一致するように、スイッチング電源部75のスイッチング素子をオン/オフさせてPMW制御を行う。このように、パイロットクラッチ特性情報参照部732によって算出された電流指令値の電流が電磁コイル63に供給されることにより、図5のグラフに示すTm及びTpのトルクがメインクラッチ4及びパイロットクラッチ60によって伝達され、トルク指令値に応じた大きさの駆動力がハウジング20からインナシャフト3に伝達される。
(実施の形態の効果)
以上説明した実施の形態によれば、メインクラッチ4及びパイロットクラッチ60のそれぞれの推定温度に基づいて、メインクラッチ4及びパイロットクラッチ60のそれぞれの伝達トルクの目標値を設定し、この目標値の伝達トルクを発生させるために必要な電流を電磁コイル63に供給するので、例えば左右前輪181,182の何れかにスリップが発生した場合や、アクセルペダル110が大きく踏み込まれて急加速した場合のように、駆動力伝達装置2Aが一時的に高負荷状態となってメインクラッチ4の温度が短時間で上昇したときでも、車両状態に応じた適切な大きさの駆動力を駆動力伝達装置2Aによって伝達することが可能となる。
以上説明した実施の形態によれば、メインクラッチ4及びパイロットクラッチ60のそれぞれの推定温度に基づいて、メインクラッチ4及びパイロットクラッチ60のそれぞれの伝達トルクの目標値を設定し、この目標値の伝達トルクを発生させるために必要な電流を電磁コイル63に供給するので、例えば左右前輪181,182の何れかにスリップが発生した場合や、アクセルペダル110が大きく踏み込まれて急加速した場合のように、駆動力伝達装置2Aが一時的に高負荷状態となってメインクラッチ4の温度が短時間で上昇したときでも、車両状態に応じた適切な大きさの駆動力を駆動力伝達装置2Aによって伝達することが可能となる。
(付記)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、この実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、一部の構成を省略し、あるいは構成を追加もしくは置換して、適宜変形して実施することが可能であると共に、例えば下記のように変形して実施することも可能である。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、この実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、一部の構成を省略し、あるいは構成を追加もしくは置換して、適宜変形して実施することが可能であると共に、例えば下記のように変形して実施することも可能である。
上記の実施の形態では、図5を参照して説明したように、メインクラッチ特性情報参照部731によってパイロットクラッチトルク指令値を算出し、このパイロットクラッチトルク指令値に応じてパイロットクラッチ特性情報参照部732が電流指令値を算出する場合について説明したが、これに限らず、例えばパイロットクラッチ特性情報を参照した結果に基づいてメインクラッチ特性情報を参照し、メインクラッチ4及びパイロットクラッチ60によって伝達される総伝達トルクがトルク指令値に応じた値となるように電流指令値を算出してもよい。
また、上記の実施の形態では、制御装置2Bのトルク指令値算出部71が車両状態に応じてトルク指令値を算出する場合について説明したが、これに限らず、例えば四輪駆動車1の全体を統括的に制御する上位の制御装置からトルク指令値を取得してもよい。この場合、制御装置2Bの電流指令値算出部73が上位の制御装置からのトルク指令値を受け付け、電流指令値を演算する。
またさらに、本発明に係る駆動力伝達制御装置が搭載される車両の構成は、図1に例示したものに限らず、様々な構成の車両に本発明の駆動力伝達制御装置を用いることができる。
2…駆動力伝達制御装置 20…ハウジング(外側回転部材)
2A…駆動力伝達装置 2B…制御装置
3…インナシャフト(内側回転部材) 4…メインクラッチ
41…メインアウタクラッチプレート 42…メインインナクラッチプレート
5…カム機構 51…メインカム部材
52…パイロットカム部材 60…パイロットクラッチ
61…パイロットアウタクラッチプレート 62…パイロットインナクラッチプレート
63…電磁コイル 65…アーマチャ
72…温度推定部 73…電流指令値算出部
791…メインクラッチ特性情報記憶部 792…パイロットクラッチ特性情報記憶部
2A…駆動力伝達装置 2B…制御装置
3…インナシャフト(内側回転部材) 4…メインクラッチ
41…メインアウタクラッチプレート 42…メインインナクラッチプレート
5…カム機構 51…メインカム部材
52…パイロットカム部材 60…パイロットクラッチ
61…パイロットアウタクラッチプレート 62…パイロットインナクラッチプレート
63…電磁コイル 65…アーマチャ
72…温度推定部 73…電流指令値算出部
791…メインクラッチ特性情報記憶部 792…パイロットクラッチ特性情報記憶部
Claims (4)
- 同軸上で相対回転可能な外側回転部材及び内側回転部材と、
前記外側回転部材と一体に回転するメインアウタクラッチプレート、及び前記内側回転部材と一体に回転するメインインナクラッチプレートを有し、潤滑油によって潤滑されるメインクラッチと、
前記内側回転部材との相対回転が規制されたメインカム部材、及び前記メインカム部材との相対回転により前記メインカム部材に前記メインクラッチを押圧するカム推力を発生させるパイロットカム部材を有するカム機構と、
前記外側回転部材と一体に回転するパイロットアウタクラッチプレート、及び前記パイロットカム部材と一体に回転するパイロットインナクラッチプレートを有し、潤滑油によって潤滑されるパイロットクラッチと、
前記パイロットクラッチと軸方向に並んで配置されたアーマチャと、
前記アーマチャを前記パイロットクラッチ側に向かって軸方向に移動させる磁力を発生する電磁コイルと、
前記電磁コイルに電流を供給する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記メインクラッチ及び前記パイロットクラッチのそれぞれの推定温度を算出する温度推定部と、
前記外側回転部材と前記内側回転部材との間で伝達すべきトルクの目標値であるトルク指令値を受け付け、前記温度推定部によって算出された前記メインクラッチの推定温度に基づいて算出される前記メインクラッチの伝達トルク、及び前記温度推定部によって算出された前記パイロットクラッチの推定温度に基づいて算出される前記パイロットクラッチの伝達トルクの合計値が前記トルク指令値に一致するように、前記電磁コイルに供給すべき電流の目標値である電流指令値を算出する電流指令値算出部と、
前記電流指令値に応じた電流が前記電磁コイルに供給されるように電流制御を行う電流制御部と、を備える、
駆動力伝達制御装置。 - 前記制御装置は、
前記メインクラッチの温度と前記メインクラッチによって伝達されるトルクとの関係を示すメインクラッチ特性情報を記憶するメインクラッチ特性情報記憶部と、
前記パイロットクラッチの温度と前記パイロットクラッチによって伝達されるトルクとの関係を示すパイロットクラッチ特性情報を記憶するパイロットクラッチ特性情報記憶部と、を備え、
前記電流指令値算出部は、前記温度推定部によって算出された前記メインクラッチの推定温度に基づいて前記メインクラッチ特性情報を参照すると共に、前記温度推定部によって算出された前記パイロットクラッチの温度に基づいて前記パイロットクラッチ特性情報を参照し、前記メインクラッチの伝達トルク及び前記パイロットクラッチの伝達トルクの合計値が前記トルク指令値に一致するように前記電流指令値を算出する、
請求項1に記載の駆動力伝達制御装置。 - 前記電流指令値算出部は、前記トルク指令値に応じて前記メインクラッチの伝達トルクの目標値を算出すると共に、前記メインクラッチに当該目標値の伝達トルクを発生させるために必要な前記パイロットクラッチの伝達トルクの目標値を算出し、前記パイロットクラッチに当該目標値の伝達トルクを発生させるために必要な電流を前記電流指令値として算出する、
請求項2に記載の駆動力伝達制御装置。 - 前記メインクラッチ特性情報記憶部には、前記メインクラッチの温度及び前記パイロットクラッチの伝達トルクと、前記メインクラッチによって伝達されるトルクとの関係を示す三次元マップが前記メインクラッチ特性情報として記憶され、
前記パイロットクラッチ特性情報記憶部には、前記パイロットクラッチの温度及び前記電磁コイルに供給される電流と、前記パイロットクラッチによって伝達されるトルクとの関係を示す三次元マップが前記パイロットクラッチ特性情報として記憶されており、
前記電流指令値算出部は、前記メインクラッチ特性情報を参照して前記メインクラッチの伝達トルクの目標値及び前記パイロットクラッチの伝達トルクの目標値を算出すると共に、前記パイロットクラッチ特性情報を参照して前記電流指令値を算出する、
請求項3に記載の駆動力伝達制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022068850A JP2023158831A (ja) | 2022-04-19 | 2022-04-19 | 駆動力伝達制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022068850A JP2023158831A (ja) | 2022-04-19 | 2022-04-19 | 駆動力伝達制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023158831A true JP2023158831A (ja) | 2023-10-31 |
Family
ID=88513775
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022068850A Pending JP2023158831A (ja) | 2022-04-19 | 2022-04-19 | 駆動力伝達制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023158831A (ja) |
-
2022
- 2022-04-19 JP JP2022068850A patent/JP2023158831A/ja active Pending
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