JP2023157431A - 詰め綿および衣料 - Google Patents

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Abstract

【課題】嵩性や保温性に優れ、好ましくは工程通過性にも優れた詰め綿および衣料を提供する。【解決手段】単繊維繊度0.05~1dtexの短繊維Aを5~70重量%と、単繊維繊度0.5~2.2dtexの中空短繊維Bを30~95重量%含むこと詰め綿を得た後、必要に応じて該詰め綿を用いて衣料を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、短繊維を含む詰め綿であり、嵩性と保温性に優れ、好ましくは工程通過性にも優れた詰め綿および衣料に関するものである。
防寒衣料や枕、かけ布団等の寝具の詰め綿(「中綿」とも称する。)として保温・軽量性に優れた羽毛が広く利用されている。この羽毛は一般的に水鳥から採取され、胸部から採取されるダウンと羽に当たるフェザーに分類され、これらの混合したものを詰めてダウンジャケットや羽毛布団等の詰め綿として利用されている。羽毛は嵩高性を有することで断熱層が厚くなり、保温性に優れることが知られている。
しかしながら、詰め綿に使用する目的で羽毛を得るには、多量の水鳥が必要であり、その供給量には自然条件や自然保護の観点から供給量が変動するという課題があり、また、動物の毛によるアレルギー体質を有した人は羽毛製品を使用できない場合もあるし、合繊繊維のように溶融して素材としてリサイクルというマテリアルリサイクルにも適していない。
このため、合成繊維からなる短繊維を用いた詰め綿が提案されている(例えば、特許文献1~2)。しかしながら、従来の詰め綿では、嵩性や保温性においてまだ十分とはいえなかった。一般的に短繊維はカーディングマシンで開繊して使用する場合が多いところ、細繊度の短繊維はカーディングマシンで開繊すると風綿やネップが発生して工程通過性が悪いという問題があった。また、海島繊維を筒網後にアルカリ減量して裁断する手法で詰め綿を得る方法もあるが、減量成分のロスにより環境負荷も多く、詰め綿を得るまでの工程が長く、生産性が悪いという問題があった(特許文献3)。
特開2018-193646号公報 特開2020-172726号公報 特開2016-101361号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、嵩性や保温性に優れ、好ましくは工程通過性にも優れた詰め綿および衣料を提供するものである。
本発明者らは鋭意研究した結果、前記課題を達成できる詰め綿および衣料を発明するに至った。本発明は以下の発明を包含する。
1.単繊維繊度0.05~1dtexの短繊維Aを5~70重量%と、単繊維繊度0.5~2.2dtexの中空短繊維Bを30~95重量%含むことを特徴とする詰め綿。
2.短繊維Aが、捲縮数16~30個/2.54cmでジグザグ捲縮が付与されている、前記1に記載の詰め綿。
3.中空短繊維Bの中空率が35%以上である、前記1または2に記載の詰め綿。
4.中空短繊維Bが3次元捲縮を有する、前記1~3のいずれかに記載の詰め綿。
5.さらに、単繊維繊度が0.5~8dtexの芯鞘型複合繊維からなる短繊維であって、芯部と鞘部の少なくともどちらか一方に赤外線吸収剤を含む短繊維Cを含む、前記1~4のいずれかに記載の詰め綿。
6.詰め綿が、シート状または粒状である、前記1~5のいずれかに記載の詰め綿。
7.詰め綿を構成する繊維が、全てポリエチレンテレフタレート繊維である、前記1~6のいずれかに記載の詰め綿。
8.前記1~7のいずれかに記載の詰め綿を、表生地と裏生地との間に封入してなる衣料。
9.前記表生地と裏生地において、通気度が0.05~5.00cm/cm/sの範囲内である、前記8に記載の衣料。
10.詰め綿の空隙率が97%以上、厚さが5mm以上となるように、詰め綿が封入されてなる、前記8または9に記載の衣料。
本発明によれば、嵩性や保温性に優れ、さらには工程通過性にも優れた詰め綿および衣料が得られる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本発明の詰め綿は、単繊維繊度0.05~1dtexの短繊維Aを5~70重量%と、単繊維繊度0.5~2.2dtexの中空短繊維Bを30~95重量%含む混合詰め綿である。その際、中空短繊維Bの中空率は35%以上(より好ましくは35~60%)であることが好ましい。
ここで、前記短繊維Aの単繊維繊度が0.05dtex未満の場合は通常紡糸で生産は難しく、仮に0.05dtex未満の繊維を海島糸で作製して紡糸後にカットしてアルカリ減量してショートカットを得た場合は、水分を多く含むため、カード開繊、エアー開繊ともに不向きとなり、好ましくない。保温性の観点では空気の流れが遮断された緻密な空気層(デッドエア)の数が多い方が有利である。短繊維Bは中空であるが、0.5dtexより小さい場合は短繊維Aも1dtex以下の細繊度であるため、カード開繊においてはシリンダーへの巻き付き、風綿、ネップの発生による工程通過性の観点で好ましくない。短繊維Aと短繊維Bの配合について、短繊維Aを70%超の重量比率にしてカード開繊した場合は細繊度の配合大となり、シリンダーへの巻き付き、風綿、ネップの発生リスク大となって好ましくない。短繊維Aが5%未満の重量比率の場合は緻密な空気層少なくなって、保温性の観点で好ましくない。同様に短繊維Bが30%未満の重量配合比の場合、カード開繊した場合は細繊度の配合大により、シリンダーへの巻き付き、風綿、ネップの発生リスク大となって好ましくない。短繊維Bが95%超の重量配合比の場合、細繊度の短繊維Aが少ないため、保温性の観点で好ましくない。
また、短繊維Aの捲縮数が16~30個/2.54cmであることが好ましい。かかる捲縮数が16個/2.54cm未満の場合は、風綿が出やすくなりカード工程通過性が低下するおそれがある。逆に捲縮数が30個/2.54cmを超える場合は、シリンダーに巻付、ネップ(繊維塊)の観点でカード通過性が低下するおそれがある。なお、かかる捲縮としてはジグザグ捲縮(平面ジグザグ捲縮)が付与されていることが好ましい。
一方、中空短繊維Bは3次元立体捲縮を有することが好ましい。仮に平面ジグザク(機械)捲縮の場合は、繊維自体に機械的な傷を与えて捲縮を付与しているため、嵩回復性が低下するおそれがある。
本発明の詰め綿において、さらには、単繊維繊度が0.5~8dtexの芯鞘型複合繊維からなる短繊維であって、当該芯鞘型複合繊維の芯部と鞘部の少なくともどちらか一方に赤外線吸収剤を含む短繊維Cをも含むことが保温性の観点で好ましい。その際、赤外線吸収材重量割合は芯部または鞘部の重量対比3~30重量%が好ましい。赤外線吸収材の重量比が3重量%未満の場合は保温効果が得られにくくなるおそれがあり、30重量%を越える場合は紡糸時にスカム発生、糸道上のガイド摩耗などが発生するおそれがある。
また、短繊維Cの重量割合としては5~95重量%が好ましい。その際、短繊維Aと中空短繊維Bと短繊維Cとの総合計が100重量%であることが好ましい。短繊維Cの単繊維繊度が0.5dtex未満では工程通過性が低下するおそれがあり、8dtexを越えると保温性が低下するおそれがある。
前述の赤外線吸収材としては、遠赤外線放射能を有するセラミックス酸化物を3~30重量%含有することが好ましい。酸化物セラミックスとしては、例えば、アルミナ(Al)系。マグネシア(MgO)系、ジルコニア(Zr0)系、チタニア(Ti0)系の外、二酸化ケイ素(SiO)、酸化クロム(Cr)、フェライト(FeO・Fe)、スピネル(MgO・A1〉、セリア(Ce0)。ベリリア(BeO)等があげられる。かかるセラミックスのうち、30℃における遠赤外線放射率が4.5~30μmの領域で65%以上を有することが好ましく、特に75%以上が望ましい。また、酸化物セラミックスは微粉砕して粒径5μm以下、好ましくは1μm以下にして使用するのが望ましい。酸化物セラミックスを繊維形成性ポリマー中に含有せしめる方法としては、該ポリマーの重合工程で加える方法、マスターチップとして紡糸工程にてペースチップと混練する方法等いずれの方法を採用してもよいが、酸化物セラミックスの分散状態が均一となって紡糸性が向上する点から、2軸ルーダ-を用いマスターチップとペースチップとを混合溶融紡糸するのが好ましい。本発明の複合繊維製造に用いられる鞘成分用、芯成分用のポリマーは特に限定する必要はないが、熱可塑性ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン-6、ナイロン-6,6等のポリアミド等が好ましく用いられる。
芯部および/または鞘部のセラミックス酸化物の含有量は3~30重量%、好ましくは5~15重量%とすることが好ましい。含有量が3重量%未満では遠赤外線放射性能が不十分で満足すべき性能は得られないおそれがある。一方30重量%を超えると、複合繊維の紡糸性が低下して繊維化が困難になるだけでなく、繊維物性も劣ったものとなるおそれがある。
また、酸化物セラミックスを含有する複合繊維の表面に、シリコーン成分を主体とする平滑性処理剤を0.2~5重量%(繊維重量に対して)付与することが好ましい。シリコーン成分が0.2重量%未満の場合はセラミックス酸化物によるカード等設備の摩耗劣化となる恐れがある。シリコーン成分が5重量%を超えると、カード工程の繊維絡合性が低下し、カードウェブが得られなくなるおそれがある。
本発明において、詰め綿を構成する短繊維は全てポリエステル繊維であることが好ましい。そのポリエステルとは、一例としてポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(ポリテトラメチレンテレフタレート)等のポリアルキレンテレフタレート、またはポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート(ポリテトラメチレンナフタレート)等のポリアルキレンナフタレートといった芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールのポリエステルを例示することができる。また、ポリアルキレンシクロヘキサンジカルボキシレート等の脂環族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから得られるポリエステル、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸と脂環族ジオールから得られるポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、もしくはポリエチレンアジペート等の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから得られるポリエステル、またはポリ乳酸やポリヒドロキシ安息香酸等のポリヒドロキシカルボン酸等から得られるポリエステルを例示することもできる。または、これらのポリエステル成分の任意の割合による共重合体やブレンド体が例示される。また、目的に応じてジカルボン酸成分としてイソフタル酸、フタル酸、5-スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、5-スルホイソフタル酸の4級アンモニウム塩、5-スルホイソフタル酸の4級ホスホニウム塩、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、α、β-(4-カルボキシフェノキシ)エタン、4、4-ジカルボキシフェニル、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1、3-シクロヘキサンジカルボン酸もしくは1、4-シクロヘキサンジカルボン酸またはこれらの炭素数1~10個の有機基からなるジエステル化合物等を1成分または2成分以上共重合させても良い。
また、目的に応じて、ジオール成分としてジエチレングリコール、1、2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2-ビス(p-β-ヒドロキシエチルフェニル)プロパン、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2-プロピレン)グリコール、ポリ(トリメチレン)グリコールもしくはポリ(テトラメチレン)グリコール等を1成分または2成分以上共重合させてもよい。さらに、ω-ヒドロキシアルキルカルボン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、またはトリメシン酸等のヒドロキシカルボン酸、または、3個以上のカルボン酸成分もしくは水酸基をもつ化合物を1成分または2成分以上共重合して分岐をもたせてもよい。また、上記に例示されるような組成の異なるポリエステルの混合物も含まれる。マテリアルリサクルやケミカルリサイクルされたポリエステル、植物由来の成分を含むポリエステル、脂肪族ポリエステルも含まれる。
なかでも、詰め綿を構成する繊維が、全てポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。
前記短繊維を構成する熱可塑性樹脂には、必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
前記ポリエステル繊維において、固有粘度が0.35~0.50dL/gであることが好ましい。固有粘度が0.35dL/g未満であると、成型加工時の溶融粘度が低いことによる樹脂の分配ムラが発生して、成型が困難であるため好ましくない。一方で、固有粘度が0.50dL/gを超えると、延伸時の倍率が十分に得られないことや、繊維のモジュラスによる詰め綿の風合いが固くなるおそれがある。
本発明の詰め綿に含まれる各短繊維において、ケイ素含有量が10~5000ppmが含まれることが好ましい。このようなケイ素は、繊維を構成する樹脂中に練りこみされていてもよいが、油剤の構成成分として単繊維表面に付着されていることがより好ましい。ケイ素含有量としては、さらには20~4000ppmであることが好ましく、特には30~3000ppmの範囲であることが好ましい。ケイ素含有量が10ppm未満であると、繊維の開繊性や単糸切れによる欠点増加、中綿の加工性が低下する等のおそれがある。一方で、ケイ素含有量が5000ppmを超える場合には、繊維成型加工工程や中綿加工工程におけるスカム発生によって加工性が低下することに加え、繊維の物性等が低下するおそれがある。
ケイ素を含む化合物の分子量としては、5000~50000の範囲にあることが好ましい。ケイ素を含む上記化合物は、特に繊維の表面上に油剤として付着させる場合に好ましく用いられる。この場合、ケイ素を含む化合物は、単独で付与しても、静電性、収束性、抗菌性、忌避性等の機能を有するその他の成分と混合して使用してよい。その他の成分としてはアルキルホスフェート金属塩を油剤中に含むことが好ましく、特にはラウリルホスフェート金属塩などの炭素数が8~18のアルキルホスフェート金属塩を含むことが好ましい。
さらに、このケイ素を含む化合物は、ケイ素成分の繊維からの脱落耐久性の観点から、架橋反応するものであることが好ましい。架橋反応させるためには、複数の反応性官能基を有していることが必要であるが、その場合はアミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン、もしくはこれらを混合した成分を用いることが特に有効である。さらには、アミノ変性ポリシロキサン、ヒドロキシ変性ポリシロキサン以外の反応性成分をさらに混合させることも好ましい。また、上記耐久性が必要とされない場合は、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン共重合ジメチルポリシロキサン等の非反応性成分を適用することができ、短繊維が柔軟となる。加工性調整、繊維の親水性調整のためには、ポリオキシエチレン成分を共重合したジメチルポリシロキサンを使用することが好ましい。もっとも一般的には、非修飾のジメチルポリシロキサンが好ましい。このようなケイ素を含む化合物は、溶液として繊維に付着した後に乾燥するなどして繊維に処理し詰め綿中に含有される。
化合物として添加した場合、ケイ素含有量が少なすぎると、繊維の開繊性や単糸切れによる欠点が増加するおそれがある。一方で、ケイ素含有量が多すぎる場合には、過剰な成分がスカムとなって加工工程で脱落・汚染し、工程調子が悪化するおそれがある。
また、本発明の詰め綿と、吹付成型品の重量対比5~20重量%(より好ましくは10~20重量%)の熱接着性繊維とを混綿させて吹付成型品も作ることができる。熱接着性繊維の重量比率が5重量%未満では吹付成型品の形状安定性が劣るおそれがあり、20重量%を超えると、柔軟性、嵩性、保温性が劣るおそれがある。
本発明の詰め綿において、(I)繊維間空隙と、(II)繊維構造上の空隙(中空)、好ましくはさらに(III)繊維自体の赤外線吸収により、優れた保温効果を有する。その保温性に関して、短繊維Aと中空短繊維Bともに細繊度繊維であり、その繊維間空隙が緻密で多数の網目状構造となり、繊維間の物理的遮蔽による空気の対流抑制、赤外線の吸収効果によって高い保温性効果を得る(Iに関する)。繊維構造上の空隙としては、高中空でかつ細繊度の短繊維Bを用いているため、空気の対流抑制、赤外線の吸収効果の両効果を得ている(IIに関する)。さらには好ましい態様として、短繊維Cとして赤外吸収材を含む短繊維を用いることで、赤外吸収効果による保温性効果を得ている(IIIに関する)。
開繊方法に特に指定はないが、一般的な開繊方法として機械開繊(カーディング)が可能である。その他にもエアガン(圧縮空気)にて開繊させる手法もあり、機械開繊によるシリンダーへの巻付き、風綿、ネップの発生の工程通過性に懸念がある場合は有効な方法となる。
本発明の詰め綿において、短繊維の繊維長に関しては、3~80mmの範囲が好ましい。特に、カード開繊の場合は20~80mmが好ましく、エアー開繊を施す場合は3~20mmが好ましく、3~9mmがより好ましい。
本発明の詰め綿は前記の構成を有するので、嵩性や保温性に優れ、工程通過性にも優れる。
次に、本発明の衣料は前記の詰め綿を表生地と裏生地との間に封入してなる衣料である。その際、詰め綿を表生地と裏生地に詰め綿として封入されてなる衣料として利用されることが好ましい。その際、前記表生地と裏生地において、通気度が0.05~5.00cm/cm/sの範囲内であることが好ましい。表生地と裏生地の通気度が0.05cm/cm/s未満の場合、発汗時に蒸れやすく、快適性の観点で好ましくない。通気度が5.00cm/cm/sを超える場合、空気の対流効果により体温が奪われやすく、保温性が低下するおそれがある。特に、前記の詰め綿は、空隙率が97%以上(より好ましくは98.00~99.99%)で厚さ5mm以上(より好ましくは10~200mm)となるように封入されていることが好ましい。空隙率は小さいほど熱伝導率が高い繊維充填量が多くなり、保温性が低下するおそれがある。(空気の熱伝導率0.0241W/m・Kに対し、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の合繊素材は一桁大きい。一般的に熱伝導率が低い方が断熱効果高く、保温性も良い方向となる。)厚さに関しては、JIS A9520で示されているとおり、厚さが大きいほど熱を伝えにくくなる作用の熱抵抗が大きくなり、保温効果が高くなるため、5mm未満の場合は保温性が低下するおそれがある。衣料用詰め綿(中綿)として封入される場合の詰め綿の形態はシート状でもよいし、ファイバーボールと称されるような粒状でもよい。
本発明の衣料は前記の構成を有するので、嵩性や保温性に優れる。特にダウンジャケット等が好適である。なお、前記詰め綿はかけ布団、座布団、寝袋などの寝装寝具に用いてもよい。
本発明の実施例を挙げて詳述する。測定項目は下記の方法で測定した。
(1)繊維径
単繊維繊度が0.11dtexの繊維に関しては、繊維を100本取り出し、光学顕微鏡にてその直径を計測し、その平均値を算出した。その他の繊維は走査型電子顕微鏡(SEM)により、350~3500倍で測定した。繊維断面写真を撮影し繊維径D(μm)を測定した(n数5の平均値)。
(2)繊度(dtex)
単繊維繊度が0.11dtexの繊維以外の繊維についてはJIS L1015:2010の8.5.1 A法により測定した。単繊維繊度が0.11dtexの繊維に関しては、繊維径結果から、半径(μm)×半径(μm)×3.1415×比重÷100にて算出した。ポリエステルの比重は1.38g/cmとした。
(3)繊維長
走査型電子顕微鏡(SEM)により、20~500倍で繊維長Lを測定した(n数5の平均値)。
(4)捲縮数と捲縮度
捲縮数はJIS L1015:2010の8.12.1にて測定した。なお、目視で見えにくい繊維に関しては、マイクロスコープ等の拡大鏡にて測定した。また、単繊維繊度が0.11dtexの繊維の捲縮度については、重量約0.13gで長さ60mmのトウを無荷重で採取後、引張試験のチャックに一方を挟み、試験長a:25mmに設定して1kg荷重与えて長さb:26.5mmとなった。これら値を用い、単繊維繊度が0.11dtexの繊維の捲縮度は100×(b-a)÷b=100×(26.5-25)÷26.5=5.7%とした。
(5)断面形状、中空率
SEMで断面を観察し、中実、中空の判定をした。また、短繊維の見かけ断面積および中空部の断面積を算出し、短繊維の中空率は、繊維の見かけ断面積に占める中空部の断面積の割合として、下記の式により算出した。
中空率(%)=(中空部の断面積)/(短繊維の断面積(中空部を含む))×100
(6)保温性評価サンプルの作製方法と保温性の評価方法
ナイロン繊維(22dtex)を使用した平織生地(ナイロン生地)を40cm×40cm座布団状に縫製し、詰め綿を100g/m相当として16g、200g/m相当として32g詰め、JIS L1096:2010の8.27 A法の保温性評価を行った。
(7)通気度
JIS L1096:2010の8.26 A法(フラジール形法)により通気度を測定した。本評価で、前記(6)のナイロン生地を評価したところ、0.24cm/cm/sであった。
(8)厚さ
前記(6)に記載の保温性評価サンプルの厚さを以下のi~iiiの順に評価した。
i)初期厚さとして、5cm角板に3g荷重で1min経過後に中央部の厚さ測定した。
ii)0.5g/cmとすべく、34cm角板に573g荷重1min経過後に中央部の厚さ測定した。
iii)最終厚さとして、5cm角板に3g荷重で1min経過後に中央部の厚さ測定した。
(9)空隙率
詰め綿の密度(g/cm)を(6)記載の目付けと(8)記載の初期厚さ測定値から算出し、100-100×(密度÷比重1.38)により空隙率を測定した。
密度の算出式は以下の通り。
100g/m充填時の密度=(100/(初期厚さ/1000))/1000000
200g/m充填時の密度=(200/(初期厚さ/1000))/1000000
なお、密度式中1000はmmをmに換算すること、1000000はmをcmに換算することを意味している。
(エアー開繊方法)
直径20cmφ、長さ20cmの円筒状容器にエアガンの送風口約5mmをあけ、円筒口下段は密封蓋をし、開繊する短繊維を5~15gを投入してメッシュ200の振るいざるを用いて蓋をしたあと、エアガン(圧空)で開繊処理を約1分行った。
[実施例1]
固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し、2504個の丸孔を有する紡糸口金から吐出量340g/分で吐出し、これを500m/分の速度で引き取り、単繊維繊度が2.7dtexのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を得た。この未延伸糸を引き揃えて温水中において全延伸倍率32.8倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10000)を添加した油剤に上記トウをディップして付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、繊維径2.8μm、繊維長32mmの短繊維Aを得た。捲縮数は23個/25.4mmであった。この短繊維A(10重量%)と、断面中空、繊度1.1dtex、繊維長51mm、立体捲縮で捲縮数13個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とする短繊維B(90重量%)とを混合し、カード開繊処理を行い、ウェブ積層の状態で40cm角の保温性用生地に封入、縫製し、前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1に記載の短繊維Aを30重量%と短繊維Bを70重量%とを混合し、カード開繊処理行い、ウェブ積層の状態で40cm角の保温性用生地に封入、縫製し、前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1に記載の短繊維A(10重量%)と、短繊維B(80重量%)と、断面は中実芯鞘型で鞘部に赤外線吸収剤を含み、単繊度6.6dtex、繊維長51mm、平面ジグザグ捲縮で捲縮数10個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とする短繊維C(10重量%)とを混合し、カード開繊処理行い、ウェブ積層の状態で40cm角の保温性用生地に封入、縫製し、前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1に記載の短繊維A(10重量%)と、短繊維B(80重量%)と、断面は中実芯鞘型で芯部に赤外線吸収剤を10重量%含み、単繊維繊度1.3dtex、繊維長51mm、平面ジグザグ捲縮で捲縮数10個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とする短繊維C(10重量%)を混合し、カード開繊処理行い、ウェブ積層の状態で40cm角の保温性用生地に封入、縫製し、前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
断面は中空、単繊維繊度1.1dtex、繊維長51mm、立体捲縮で捲縮数13個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とする短繊維をカード開繊処理行い、ウェブ積層の状態で40cm角の保温性用生地に封入、縫製し、前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し、2504個の丸孔を有する紡糸口金から吐出量340g/分で吐出し、これを500m/分の速度で引き取り、単繊維繊度が2.7dtexのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を得た。この未延伸糸を引き揃えて温水中において全延伸倍率32.8倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10000)を添加した油剤に上記トウをディップして付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、繊維径2.8μm、繊維長32mmの短繊維を得た。捲縮数は23個/25.4mmであった。得られた短繊維のカード開繊処理を行ったが、シリンダー巻き付きや風綿発生により工程通過できなかった。
[比較例3]
断面は中空、単繊維繊度1.1dtex、繊維長51mm、立体捲縮で捲縮数13個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とする短繊維30重量%と断面中空、単繊維繊度7.7dtex、繊維長51mm、立体捲縮で捲縮数13個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10000)を添加した短繊維70重量%を混合し、カード開繊処理行い、ウェブ積層の状態で40cm角の保温性用生地に封入、縫製し、前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
断面は中空、繊度1.1dtex、繊維長51mm、立体捲縮で捲縮数13個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とする短繊維50重量%と断面中空、単繊維繊度7.7dtex、繊維長51mm、立体捲縮で捲縮数13個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10000)を添加した短繊維50重量%を混合し、カード開繊処理行い、ウェブ積層の状態で40cm角の保温性用生地に封入、縫製し、前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例5]
固有粘度が0.47dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)チップを290℃で溶融し、2504個の丸孔を有する紡糸口金から吐出量340g/分で吐出し、これを500m/分の速度で引き取り、単繊維繊度が2.7dtexのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を得た。この未延伸糸を引き揃えて温水中において全延伸倍率32.8倍となるように延伸し、12万dtexのトウを得た。その後、ラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10000)を添加した油剤に上記トウをディップして付与した。さらに、押し込み式クリンパ―ボックスにて捲縮を付与し、繊維径2.8μm、繊維長5mmの短繊維を得た。捲縮数は23個/25.4mmであった。得られた短繊維を前述のエアー開繊処理を行い、40cm角の保温性用生地につめて前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例6]
断面は中空、単繊維繊度1.1dtex、繊維長51mm、立体捲縮で捲縮数13個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とする短繊維をエアー開繊処理行い、40cm角の保温性用生地につめて前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例7]
断面は芯鞘構造であり、鞘部に赤外線吸収剤を含み、単繊維繊度6.6dtex、繊維長51mm、平面ジグザグ捲縮で捲縮数10個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とする短繊維をエアー開繊処理行い、40cm角の保温性用生地につめて前述の厚さ、密度、空隙率、保温性を評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例8]
断面は中空、単繊維繊度7.7dtex、繊維長51mm、立体捲縮で捲縮数13個/25.4mm、油剤成分はラウリルホスフェート塩を主成分とし、ケイ素を含む成分としてジメチルポリシロキサン(Mw=10000)を添加した短繊維をカード開繊後に前述のエアー開繊処理を行い、フィルパワーおよび柔軟性評価を行った。評価結果を表1に示す。
本発明によれば、嵩性や保温性に優れ、さらには工程通過性にも優れた詰め綿および衣料が得られ、その工業的価値は極めて大である。

Claims (10)

  1. 単繊維繊度0.05~1dtexの短繊維Aを5~70重量%と、単繊維繊度0.5~2.2dtexの中空短繊維Bを30~95重量%含むことを特徴とする詰め綿。
  2. 短繊維Aが、捲縮数16~30個/2.54cmでジグザグ捲縮が付与されている、請求項1に記載の詰め綿。
  3. 中空短繊維Bの中空率が35%以上である、請求項1に記載の詰め綿。
  4. 中空短繊維Bが3次元捲縮を有する、請求項1に記載の詰め綿。
  5. さらに、単繊維繊度が0.5~8dtexの芯鞘型複合繊維からなる短繊維であって、芯部と鞘部の少なくともどちらか一方に赤外線吸収剤を含む短繊維Cを含む、請求項1に記載の詰め綿。
  6. 詰め綿が、シート状または粒状である、請求項1に記載の詰め綿。
  7. 詰め綿を構成する繊維が、全てポリエチレンテレフタレート繊維である、請求項1に記載の詰め綿。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の詰め綿を、表生地と裏生地との間に封入してなる衣料。
  9. 前記表生地と裏生地において、通気度が0.05~5.00cm/cm/sの範囲内である、請求項8に記載の衣料。
  10. 詰め綿の空隙率が97%以上、厚さが5mm以上となるように、詰め綿が封入されてなる、請求項8に記載の衣料。
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