JP2021095654A - 熱接着性複合繊維 - Google Patents

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哲弘 吉田
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俊馬 宮内
稜聖 忽那
Ryosei Kutsuna
稜聖 忽那
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Yusuke Kinoshita
雄介 木下
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Abstract

【課題】柔軟性と嵩高性に平滑性を兼ね備えた不織布用途に好適に用いられる熱接着性複合繊維を提供する。【解決手段】鞘成分と芯成分からなる芯鞘型複合繊維であって、前記の鞘成分は、脂肪酸アミド化合物を0.05〜5.0質量%含有するポリオレフィン系樹脂からなり、前記の芯成分は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル樹脂で構成されており、繊維動摩擦係数が0.15以上0.25以下の熱接着性複合繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、熱接着性複合繊維に関するものである。更に詳しくは、本発明は、柔軟性と嵩高性に加え、平滑性を備えた熱接着性複合繊維に関するものである。
熱風や加熱ロール等の熱エネルギーを利用して、熱融着による成形ができる熱接着性複合繊維は、嵩高性や柔軟性に優れた不織布を得ることが容易であることから、従来から、おむつ、ナプキンおよびパッド等の衛生材料、あるいは生活用品やフィルター等の産業資材等に広く用いられている。特に衛生材料は、人肌に直接触れるものであるため、不織布の柔軟性および嵩高性に対する重要度が極めて高い。
不織布の柔軟性を得るためには、剛性の低い樹脂からなる繊維を用いる手法や、単繊維繊度の細い繊維を用いる手法が代表的であるが、その場合、得られる不織布は嵩高性、特に体重に対するクッション性能が大幅に低下する。そのため、柔軟性と嵩高性の両立が可能な繊維および不織布を得る方法が数多く提案されてきた。
具体的に、2層の不織布構成であり、1層目の不織布表面層に、芯成分がポリプロピレン樹脂で、鞘成分をポリエチレン樹脂とした同心円型芯鞘繊維を使用することにより、表面柔軟性を付与し、また2層目の不織布に、芯成分がポリエステル樹脂で、鞘成分をポリエチレン樹脂とした偏心芯鞘型繊維を使用することにより、嵩高性を有する不織布が提案されている(特許文献1参照。)。
しかしながら、上記の2層構造の不織布の提案では、1層目の繊維は、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂を構成成分とする芯鞘繊維のため、剛性が低く、工程通過性が悪くなることにより、不織布の表面品位が悪化する。加えて2層目に用いられる偏心芯鞘型繊維は、安定した繊維発現加工が難しく、均一な嵩高性の不織布が得られないという課題がある。
また、芯成分がポリエステル樹脂で、鞘成分を低密度ポリエチレン樹脂とする芯鞘型複合繊維を用いることにより、柔らかさや、新しい触感を有する不織布が提案されている(特許文献2および特許文献3参照。)。
しかしながら、上記の提案では、低密度ポリエチレン繊維は、剛性が低く、工程通過性が悪くなるということにより、不織布の表面品位が悪化するという課題がある。
また別に、繊維を高伸度化するなど繊維物性を調整することにより、柔軟性を有する不織布が提案されている(特許文献4および特許文献5参照。)。
しかしながら、上記の提案では、繊維を高伸度化するに伴い繊維の強度が低くなることにより、不織布の強度が低下し、不織布の寸法安定性が悪化するという課題がある。
特開2019−10527号公報 特開2017−106159号公報 特開平09−49122号公報 特開2018−172827号公報 特開2017−214662号公報
そこで、本発明の目的は、上述した従来技術における課題に鑑み、柔軟性と嵩高性に加え、平滑性を兼ね備えた熱接着性複合繊維を提供することにある。
本発明は、上記の課題を達成せんとするものであり、本発明の熱接着性複合繊維は、鞘成分と芯成分からなる芯鞘型複合繊維であって、前記の鞘成分は、脂肪酸アミド化合物を0.05質量%以上5.0質量%以下含有するポリオレフィン樹脂からなり、前記の芯成分は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル樹脂からなり、そして、繊維動摩擦係数が0.15以上0.25以下であることを特徴とする熱接着性複合繊維である。
本発明の熱接着性複合繊維の好ましい態様によれば、前記の脂肪酸アミド化合物の含有量は、0.05〜5.0質量%である。
本発明の熱接着性複合繊維の好ましい態様によれば、前記の脂肪酸アミド化合物の炭素数は、23以上50以下である。
本発明の熱接着性複合繊維の好ましい態様によれば、前記の脂肪酸アミド化合物は、エチレンビスステアリン酸アミドである
本発明の熱接着性複合繊維は、柔軟性と嵩高性に加え、格別顕著な平滑性を兼ね備えた熱接着性複合繊維である。本発明の熱接着性複合繊維は、上記特性を備えており、特に不織布等の製造に好適に使用することができる。本発明の熱接着性複合繊維を使用した不織布は、柔軟性と嵩高性と平滑性に優れ、紙おむつや生理用ナプキンなどの各種衛生材料、医療用材料、衣料用材料および包装用材料として好適に利用することができる。衛生材料のなかでも、特に紙おむつのシートに好適に利用することができる。
次に、本発明の熱接着性複合繊維の実施態様について、具体的に説明する。
本発明の熱接着性複合繊維は、鞘成分と芯成分からなる芯鞘型複合繊維であって、前記の鞘成分は、脂肪酸アミド化合物を好適には0.05〜5.0質量%含有するポリオレフィン系樹脂からなり、前記の芯成分は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル樹脂で構成されており、繊維動摩擦係数が0.15以上0.25以下の熱接着性複合繊維である。
本発明の熱接着性複合繊維の鞘部を構成する成分(鞘成分)は、ポリオレフィン系樹脂を含む成分で構成される。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリメチルペンテン、1,2−ポリブタジエン、および1,4−ポリブタジエンなどの重合体が挙げられる。
また、ポリオレフィン系樹脂として、これらの重合体に、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、および4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンが、共重合成分として少量共重合され含有されていている共重合体を用いることができる。
本発明で使用するポリオレフィン系樹脂としては、入手の容易性や原料コスト、得られる繊維の熱接着特性、および不織布の風合いや強度特性などを考慮すると、高密度ポリエチレンが好ましく用いられる。高密度ポリエチレンのメルトマスフローレイトは、紡糸可能な範囲であれば特に限定されることはないが、JIS K 6922−2に準じた測定法で、荷重2.16kg、温度190℃での測定値が、8〜25g/10分であることが好ましく、より好ましくは10〜20g/10分である。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂に、脂肪酸アミド化合物が含まれていることが重要である。
本発明でポリオレフィン系樹脂に配合されて用いられる脂肪酸アミド化合物の添加量は、0.05質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい態様である。脂肪酸アミド化合物の添加量は、より好ましくは0.1質量%以上4.0質量%以下であり、このように添加量を規定することにより、紡糸性を維持しながら適度な平滑性を付与することができる。
脂肪酸アミド化合物の添加量が0.05質量%未満では、繊維の適度な平滑性が得られない。一方、脂肪酸アミド化合物の添加量が5.0質量%を超えても、これ以上の繊維の平滑性が得られず、コストアップに繋がる。
ここでいう添加量とは、本発明の鞘部を構成するポリオレフィン系樹脂全体に対して添加された、脂肪酸アミド化合物の質量パーセントを言う。
本発明で使用される脂肪酸アミド化合物としては、飽和脂肪酸モノアミド化合物、飽和脂肪酸ジアミド化合物、不飽和脂肪酸モノアミド化合物、および不飽和脂肪酸ジアミド化合物などが挙げられる。具体的には、テトラドコサン酸アミド、ヘキサドコサン酸アミド、オクタドコサン酸アミド、ネルボン酸アミド、テトラコサエンタペン酸アミド、ニシン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルセバシン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、およびヘキサメチレンビスオレイン酸アミドなどが挙げられ、これらを複数組み合わせて用いることもできる。
本発明では、これらの脂肪酸アミド化合物の中でも、特に飽和脂肪酸ジアミド化合物であるエチレンビスステアリン酸アミドが好ましく用いられる。エチレンビスステアリン酸アミドは、熱安定性に優れているため溶融紡糸が可能であり、高い生産性を保持しながら、平滑性に優れた熱接着性複合繊維を得ることができる。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂に含まれる脂肪酸アミド化合物は、炭素数が23以上50以下の脂肪酸アミド化合物であることが好ましい態様である。
脂肪酸アミド化合物の炭素数は、脂肪酸アミド化合物の繊維表面への移動速度が変わることが知られており、脂肪酸アミド化合物の炭素数を23以上とし、より好ましくは30以上とすることにより、脂肪酸アミド化合物が過度に繊維表面に出ることを抑制し、紡糸性と加工安定性に優れ、高い生産性を保持することができる。また、脂肪酸アミド化合物の炭素数を50以下とし、より好ましくは42以下とすることにより、脂肪酸アミド化合物が繊維表面に出やすくなり、熱接着性複合繊維の平滑性を付与することができる。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、および顔料等の添加物、あるいは他の重合体を必要に応じて添加することができる。
また、本発明の熱接着性複合繊維の芯部を構成する成分(芯成分)は、ポリエステル系樹脂を含む成分で構成される。ポリエステル系樹脂は、原料コストおよび得られる繊維の熱安定性などを考慮すると、ポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。ポリエチレンテレフタレートとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルであり、ホモポリマーであってもよいが、90モル%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなっており、10モル%以下の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含む共重合体も用いられる。
共重合可能な化合物としては、酸成分として、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸およびセバシン酸などのジカルボン酸類が挙げられる。一方、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどを挙げることができる。
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、0.60〜0.75であることが好ましい。固有粘度は、さらに好ましくは、0.62〜0.72である。固有粘度が0.60未満では、繊維の捲縮保持率が低下し、十分な嵩高を有する繊維構造体を得られない場合がある。一方、固有粘度が0.75を超えると、溶融粘度が高くなり繊維の製造が困難となる場合がある。
また、ポリエチエレンテレフタレートのような構成単位中に芳香族を含む芳香族ポリエステルの他に、脂肪族ポリエステルも用いることができる。好ましい脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネートが挙げられる。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂には、防透けや艶消しなどの機能を付与するために、無機粒子を添加することができる。無機粒子としては、シリカゾル、シリカ、アルキルコートシリカ、アルミナゾル酸化チタンおよび炭酸カルシウムなどが挙げられるが、ポリエステル系樹脂中に添加した際に化学的に安定していればよく、特に化学的安定性、対凝集性およびコストの面から、二酸化チタンが好ましく用いられる。
無機粒子の濃度は、目標とする機能に応じて調整することができるが、ポリエステル系樹脂質量に対して0.01〜20.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜8.0質量%であり、製糸操業性、高次加工性および維のコスト面からより好ましい態様である。
これらの添加剤の添加方法としては、無機微粒子のパウダーを樹脂に直接添加する方法、あるいは樹脂に無機微粒子を練り込み、マスターバッチ化して添加する方法などを挙げることができる。
本発明の鞘成分のポリオレフィン系樹脂と、芯成分のポリエステル系樹脂からなる熱接着性複合繊維の複合比率は、質量比で(鞘成分)/(芯成分)=60/40〜40/60の範囲であることが好ましく、より好ましくは質量比で55/45〜45/55の範囲である。
芯成分が60質量%を超えると、ポリエステル系樹脂の構成が高くなることにより不織布の柔軟性が悪化するとともに、熱接着性成分である鞘成分の構成が低くなるため、不織布の接着強力が低下する。逆に鞘成分が60質量%を超えると、芯成分の構成が小さくなるため、不織布の機械的強度に問題が生じてくる。
本発明の熱接着性複合繊維の繊維動摩擦係数は、0.15以上0.25以下である。繊維動摩擦係数は、好ましくは0.17以上0.23以下であり、これにより好適な繊維の平滑性を有する繊維を得ることができる。
繊維動摩擦係数が0.25を超えると、不織布の平滑性が得られず、脂肪酸アミド化合物の添加量を多くしても、0.15未満とする繊維動摩擦係数を得ることは困難である。繊維動摩擦係数は、脂肪酸アミドの配合量で制御することができる。
本発明の熱接着性複合繊維の断面形状としては、同芯円芯鞘型、偏心芯鞘型および偏心中空型などの断面形状が挙げられる。
本発明の熱接着性複合繊維の単繊維繊度は、1.0〜10.0dtexであることが好ましく、さらに好ましくは1.5〜6.0dtexである。単繊維繊度が1.0dtex未満になると、繊度が小さいため、不織布製造工程でのカード加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。また、単繊維繊度が10.0dtexを超えると、繊度が高くなるため、繊維の剛性が高くなり、得られた不織布の柔軟性に劣る。
本発明の熱接着性複合繊維は、好適には不織布用途に用いられ捲縮繊維として用いられる。本発明の熱接着性複合繊維の捲縮数は、10〜20山/25mmであることが好ましく、さらに好ましくは12〜18山/25mmである。捲縮数が10山/25mm未満になると、繊維の絡合性が低下することにより、不織布製造工程でのカード加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。捲縮数が20山/25mmを超えると、繊維の絡合性が強く、繊維の開繊性が悪くなることにより不織布製造工程でのカード加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。
本発明の熱接着性複合繊維の捲縮率は、10〜25%であることが好ましく、さらに好ましくは14〜20%である。捲縮率が10%未満になると、繊維の絡合性が低下することにより、不織布製造工程でのカード加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。また、捲縮率が25%を超えると、繊維の絡合性が強く、繊維の開繊性が悪くなることにより不織布製造工程でのカード加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。
本発明の熱接着性複合繊維の140℃処理における乾熱収縮率は、0.3〜3%であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜2.5%である。乾熱収縮率が0.3%未満の繊維を得るためには、乾燥温度条件を高くすることになり、その結果、ポリエチレンが溶融接着しやすくなるため安定的に繊維を得ることが難しい。乾熱収縮率が2.5%を超える繊維は、熱接着工程において不織布の寸法安定性が劣り、安定した製品を得ることが出来ない。
次に、本発明で用いられる熱接着性複合繊維の製造方法について、具体的に一態様を例示して説明する。
本発明の熱接着性複合繊維は、鞘成分をポリオレフィン樹脂に脂肪酸アミド化合物を添加し、ポリエステル系樹脂を芯成分とし、芯鞘形状となるようにして溶融紡出し、未延伸糸を得て熱延伸後、スタッファボックス式捲縮機などの捲縮機を用いて捲縮付与をすることにより製造することができる。以下、これらについてさらに詳述する。
まず、脂肪酸アミド化合物を添加したポリオレフィン系樹脂およびポリエステル系樹脂溶融し、紡糸パックを経由して、芯鞘型口金からポリマーを吐出する。吐出孔を好ましくは300〜600孔有する紡糸口金を通して、ポリエステル系樹脂の融点よりも10〜30℃程度高い紡糸温度で紡出し、直後に好ましくは10〜25℃の温度の空気を好ましくは50〜100m/分の風量で冷却させ、紡糸油剤を付与し、好ましくは引き取り速度1000〜1500m/分で一旦、缶に納めることにより未延伸糸トウを得る。
次いで、得られた未延伸糸トウを、好ましくは温度80〜100℃の液浴を用いて、2.0〜4.0倍の延伸倍率で延伸し、スタッファボックス式捲縮機などの捲縮機を用いて捲縮を付与し、100〜115℃の温度の熱風雰囲気下で加熱処理を行う。加熱処理温度が100℃未満であれば、3%以下とする乾熱収縮率を得ることが難しい。また、加熱処理温度が115℃を超えると、ポリエチレンが溶融接着するため安定的に繊維を得ることが難しい。
熱風雰囲気下で加熱処理された繊維は冷却され、繊維を短繊維にカットされる。繊維長は、用途に応じて選択することができ特に限定されないが、カーディング処理を行う場合には30〜76mmであることが好ましく、より好ましくは30〜51mmである。
繊維に親水性能や撥水性能を付与するために、捲縮付与前後や乾燥後など任意の工程で油剤を付与することができる。
本発明によれば、柔軟性、嵩高性および平滑性に優れた熱接着性複合繊維が得られる。本発明で得られる熱可塑性繊維は、柔軟性、嵩高性および平滑性に優れた不織布用途に好適に用いられる熱接着性複合繊維である。本発明の熱接着性複合繊維を用いた不織布繊維特性は、上記の本発明の熱可塑性複合繊維の特性を生かし、紙おむつや生理用ナプキンなどの各種衛生材料、医療用材料、衣料用材料、および包装用材料として好適に利用することができる。衛生材料のなかでも、特に紙おむつのシートに好適に利用することができる。
次に、本発明の熱接着性複合繊維について、実施例を用いて詳細に説明する。繊維物性等の測定方法は、次のとおりである。
(1)単繊維繊度、捲縮数、捲縮率および繊維長:
JIS L1015(2010年)に準じて、繊維物性(単繊維繊度、捲縮数、捲縮率および繊維長)を測定した。
(2)繊維の動摩擦係数:
JIS L1015(2010年)に準じて、繊維動摩擦係数を測定した。
[実施例1]
熱接着性複合繊維を、次の方法で製造した。固有粘度(IV)が0.650のポリエチレンテレフタレート(芯成分)と、脂肪酸アミド化合物として炭素数38のエチレンビスステアリン酸アミドを3.0質量%添加したメルトマスフローレイト(MFR)を18とした高密度ポリエチレン樹脂(鞘成分)とを、質量比で(芯成分)/(鞘成分)=50/50となるように溶融し、吐出孔を400孔有する同心円芯鞘口金を通して紡出した。ポリマー紡出直後に、風温20℃、風量60m/分、冷却長600mmで糸条を更に冷却し、引き取り速度1000m/分で未延伸糸トウを得た。
次いで、得られた未延伸糸トウを、85℃の温度の液浴を用いて、3.0倍の延伸倍率で1段延伸を施し、スタフィングボックス式捲縮機を用いて捲縮を付与し、110℃の温度で乾燥し、切断した。得られた熱接着性複合繊維は、単繊維繊度が2.5dtex、捲縮数が15山/25mm、捲縮率が19%、繊維長が38mmの繊維物性で、繊維動摩擦係数が0.17の繊維物性を有する熱接着性複合繊維を得た。結果を表1に示す。
[実施例2]
脂肪酸アミド化合物として、炭素数38のエチレンビスステアリン酸アミドを0.05質量%添加したこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着性複合繊維を製造した。得られた熱接着性複合繊維は、単繊維繊度が2.5dtex、捲縮数が15山/25mm、捲縮率が21%、繊維長が38mmの繊維物性で、繊維動摩擦係数が0.24の繊維物性を有する熱接着性複合繊維を得た。結果を表1に示す。
[実施例3]
脂肪酸アミド化合物として、炭素数38のエチレンビスステアリン酸アミドを5.0質量%添加したこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着性複合繊維を製造した。得られた熱接着性複合繊維は、単繊維繊度が2.5dtex、捲縮数が14山/25mm、捲縮率が20%、繊維長が38mmの繊維物性で、繊維動摩擦係数が0.15の繊維物性を有する熱接着性複合繊維を得た。結果を表1に示す。
[実施例4]
脂肪酸アミド化合物として、炭素数38のエチレンビスステアリン酸アミドを7.0質量%添加したこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着性複合繊維を製造した。得られた熱接着性複合繊維は、単繊維繊度が2.5dtex、捲縮数が14山/25mm、捲縮率が20%、繊維長が38mmの繊維物性で、繊維動摩擦係数が0.15とする繊維物性を有する熱接着性複合繊維を得た。結果を表1に示す。
[比較例1]
脂肪酸アミド化合物を無添加としたこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着性複合繊維を製造した。得られた熱接着性複合繊維は、単繊維繊度が2.5dtex、捲縮数が14山/25mm、捲縮率が18%、繊維長が38mmの繊維物性で、繊維動摩擦係数が0.30の繊維物性を有する熱接着性複合繊維を得た。結果を表1に示す。
繊維動摩擦係数が高く、平滑性が得られない。
Figure 2021095654
表1のとおり、脂肪酸アミド化合物の添加により繊維動摩擦係数を0.15〜0.25の範囲内とすることができる。すなわち、本発明により柔軟性と嵩高性に加え、格別顕著な平滑性を兼ね備えた熱接着性複合繊維を提供することができる。

Claims (4)

  1. 鞘成分と芯成分からなる芯鞘型複合繊維であって、前記鞘成分は、脂肪酸アミド化合物を含有するポリオレフィン系樹脂からなり、前記芯成分は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル樹脂からなり、繊維動摩擦係数が0.15以上0.25以下であることを特徴とする熱接着性複合繊維。
  2. 脂肪酸アミド化合物の含有量が、0.05〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1記載の熱接着性複合繊維。
  3. 脂肪酸アミド化合物の炭素数が、23以上50以下であることを特徴とする請求項1または2記載の熱接着性複合繊維。
  4. 脂肪酸アミド化合物が、エチレンビスステアリン酸アミドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱接着性複合繊維。
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