JP2020133019A - 熱接着性複合繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、柔軟性と嵩高性に優れた不織布用途に適した熱接着性複合繊維とその製造方法を提供する。【解決手段】芯部がポリエステル系樹脂を含む第1成分、鞘部が前記ポリエステル系樹脂の融点より30℃以上低い融点を有するポリオレフィン系樹脂を含む第2成分で構成される芯鞘型の複合繊維であって、見掛けヤング率が2800〜3500N/mm2である熱接着性複合繊維である。【選択図】 なし
Description
本発明は、熱接着性複合繊維に関する。更に詳しくは、不織布に使用する熱接着性複合繊維に関するものである。
不織布の用途の多様化に伴い不織布に要求される性能も高度化し、出来るだけ少ない不織布重量で高い不織布強力を維持し、風合いの柔軟なものが要求され、また用途に応じて嵩高性に富むものが要求される。このような要求を満たすためには、細繊度の熱接着性複合繊維で不織布を構成すること、熱接着性複合繊維の熱接着に寄与する低融点成分が充分な接着強力を発揮し、かつ柔軟性を有する等が必要条件とされている。
熱接着性複合繊維の例としては、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリ[(エチレンテレフタレート)−co−(エチレンイソフタレート)]の組み合わせのものが知られている。
これらのような、熱風や加熱ロールの熱エネルギーを利用して熱接着による成形ができる熱接着性複合繊維は、嵩高性や柔軟性に優れた不織布を得ることが容易であることから、従来から、おむつ、ナプキン、パッド等の衛生材料、或いは生活用品やフィルター等の産業資材等に広く用いられている。特に衛生材料は、人肌に直接触れるものであるため、嵩高性や柔軟性の重要度が極めて高い。嵩高性を得るためには、高粘度の樹脂を用いる手法や繊度の太い繊維を用いる手法が代表的であるが、その場合、得られる不織布は、柔軟性が低下し、肌に対する物理的刺激が強くなる。一方で肌への刺激を抑制するために柔軟性を優先すると、得られる不織布は、嵩高性、特に体重に対するクッション性能が大幅に低下する。そのため、嵩高性と柔軟性の両立が可能な繊維及び不織布を得る方法が要求され、数多く提案されてきた。
例えば、引用文献1では、高融点成分にポリプロピレンまたはポリエステル、低融点成分には分子鎖中のメチル分岐が多く比較的融点の低い高密度ポリエチレンを用いた熱接着性複合繊維が開示されている。しかしこの繊維により得られた不織布の風合いは柔軟であるが、強力及び嵩高性が充分ではない。
引用文献2では、鞘成分がポリオレフィン系樹脂、芯成分がポリエステル系樹脂で構成され、繊維断面において偏心芯鞘型の構造を有する複合繊維を提案している。
引用文献3では、鞘成分がポリオレフィン、芯成分がポリトリメチレンテレフタレート系ポリマーで構成され、繊維断面において芯部の重心位置が繊維の重心位置からずれている複合繊維を提案している。
しかしながら、引用文献2および3では、繊維断面が偏心芯鞘型構造のため、捲縮が3次元の顕在捲縮形状となり、繊維の開繊性が劣り、カードでの加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなり、柔軟性に欠けたものとなるという課題がある。
本発明の目的は、従来技術の上記欠点を解消し、柔軟性と嵩高性に優れた不織布用途に適した熱接着性複合繊維とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)芯部がポリエステル系樹脂を含む第1成分、鞘部が前記ポリエステル系樹脂の融点より30℃以上低い融点を有するポリオレフィン系樹脂を含む第2成分で構成される芯鞘型の複合繊維であって、見掛けヤング率が2800〜3500N/mm2である熱接着性複合繊維。
(2)芯部がポリエステル系樹脂を含む第1成分、鞘部が前記ポリエステル系樹脂の融点より30℃以上低い融点を有するポリオレフィン系樹脂を含む第2成分で構成される芯鞘型断面形状の未延伸糸を得たのち、該未延伸糸を延伸し、さらに表面温度100〜125℃で4.0〜10.0秒緊張熱処理することを特徴とする熱接着複合繊維の製造方法。
(1)芯部がポリエステル系樹脂を含む第1成分、鞘部が前記ポリエステル系樹脂の融点より30℃以上低い融点を有するポリオレフィン系樹脂を含む第2成分で構成される芯鞘型の複合繊維であって、見掛けヤング率が2800〜3500N/mm2である熱接着性複合繊維。
(2)芯部がポリエステル系樹脂を含む第1成分、鞘部が前記ポリエステル系樹脂の融点より30℃以上低い融点を有するポリオレフィン系樹脂を含む第2成分で構成される芯鞘型断面形状の未延伸糸を得たのち、該未延伸糸を延伸し、さらに表面温度100〜125℃で4.0〜10.0秒緊張熱処理することを特徴とする熱接着複合繊維の製造方法。
本発明の熱接着複合繊維を使用した不織布は嵩高性と柔軟性に優れ、おむつ、ナプキン、パッド等の衛生材料、或いは生活用品やフィルター等の産業資材等に好適に用いられる。
本発明の熱接着複合繊維とその製造方法の実施態様について、具体的に説明する。
本発明の熱接着複合繊維は、芯部がポリエステル系樹脂を含む第1成分、鞘部がポリオレフィン系樹脂を含む第2成分で構成され、繊維の長さ方向と直交する繊維断面において、芯鞘型の構造を有する熱接着性複合繊維である。
本発明の熱接着性複合繊維の芯成分を構成する第1成分はポリエステル系樹脂を含む。ポリエステル系樹脂は、原料コスト、得られる繊維の熱安定性などを考慮すると、ポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。ポリエチレンテレフタレートとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルであり、ホモポリマーであってもよいが、90モル%以上がエチレンテレフタレートの繰り返し単位からなっており、10モル%以下の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含む共重合体であってよい。共重合可能な化合物としては、酸成分として、例えば、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸およびセバシン酸などのジカルボン酸類が挙げられ、一方グリコール成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどを挙げることができる。
ポリエチレンテレフタレートであれば、その固有粘度は0.60〜0.75とするであることが好ましい。固有粘度は、さらに好ましくは0.62〜0.67である。固有粘度が0.6未満では、繊維の捲縮保持率が低下し、十分な嵩高を有する繊維構造体を得られない場合がある。一方、固有粘度が0.75を超えると、溶融粘度が高くなり繊維の製造が困難となる場合がある。
また、上記ポリエチレンテレフタレートのような構成単位中に芳香族を含む芳香族ポリエステルの他に脂肪族ポリエステルも用いることができ、好ましい脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネートが挙げられる。
さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリエステル系樹脂以外の樹脂を第1成分に含んでいてもよい。さらに、樹脂以外に、各種の添加剤や無機粒子を含んでいてもよい。特に、特に化学的安定性、および繊維にドレープ感や滑らかな触感を与える観点から、無機粒子を含むことは好ましい態様である。
無機粒子としては、シリカゾル、シリカ、アルキルコートシリカ、アルミナゾル、酸化チタンおよび炭酸カルシウムなどが挙げられるが、ポリエステル系樹脂中に添加した際に化学的に安定していればよく、特に化学的安定性、および繊維にドレープ感や滑らかな触感を与えることから、酸化チタンが好ましく用いられる。無機粒子の濃度は、目標とする機能に応じて調整して構わないが、繊維質量に対して6.0質量%以下が好ましい。
添加方法としては、第1成分や第2成分中に無機微粒子のパウダーを直接添加する方法、或いは樹脂に無機微粒子を練り込み、マスターバッチ化して添加する方法などを挙げることができる。マスターバッチ化に用いる樹脂は、第1成分や第2成分と同じ樹脂を用いることが最も好ましいが、本発明の要件を満たすものであれば特に限定されず、第1成分、第2成分と異なる樹脂を用いてもよい。
本発明の鞘部を構成する第2成分はポリオレフィン系樹脂を含む。ポリオレフィン系樹脂は、第1成分のポリエチレン系樹脂の融点よりも30℃以上低い融点を有するものであればよい。融点の差が30℃未満である場合、エアスルー不織布加工などの高次加工工程で熱処理した際に第2成分のみならず第1成分も溶融してしまい、繊維形状を保持できなくなる可能性がある。
第2成分の樹脂はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリメチルペンテン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンなどを重合して得られる重合体が使用できる。また、これらの重合体に、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1または4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンが共重合成分として少量含有されていてもよい。
本発明で使用するポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、特に高密度ポリエチレンが好ましく用いられる。高密度ポリエチレンのメルトマスフローレイトは、紡糸可能な範囲であれば特に限定されることはないが、8〜25g/10分が好ましく、より好ましくは、10〜20g/10分である。
さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を第2成分に含んでいてもよい。さらに、樹脂以外に、各種の添加剤や無機粒子を含んでいてもよい。特に、化学的安定性、および繊維にドレープ感や滑らかな触感を与える観点から、無機粒子を含むことは好ましい態様である。好ましい無機粒子の種類や含有量、さらにその添加方法については、上記の第1成分の場合を同様である。
本発明の芯部がポリエステル系樹脂を含む第1成分(その質量を(A)とする)、鞘部がポリオレフィン系樹脂を含む第2成分(その質量を(B)とする)である熱接着繊維の複合比率は、質量比で(A)/(B)=65/35〜35/65の範囲であることが好ましい。より好ましくは質量比で(A)/(B)=55/45〜45/55の範囲である。
芯成分が65質量%を超えると、熱接着性成分である鞘成分の質量%が低下するため、不織布の接着強力が低下する。逆に鞘成分が65質量%を超えると、芯成分の質量%か低下するため、不織布の機械的強度に問題が生じてくる。
本発明の熱接着性複合繊維の断面形状としては、繊維の熱接着性の点から、低融点成分であるポリオレフィン樹脂が外周に配置されている同心芯鞘型、同心中空芯鞘型、であることが好ましく、中でも製糸操業性の面から同心芯鞘型、偏心芯鞘型断面であることがより好ましい。
本発明の熱接着性複合繊維の単繊維繊度は、1.0〜3.0dtexが好ましい。単繊維繊度が1.0dtex未満になると、繊度が小さいため、カードでの加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。3.0dtexを超えると、繊度が高くなるため、得られた不織布の地合いが硬くなる。
本発明の熱接着性複合繊維の捲縮数は、10〜20山/25mmが好ましく、さらに好ましくは、12〜18山/25mmである。捲縮数が10山/25mm未満になると、繊維の絡合性が低下することで、カードでの加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。20山/25mmを超えると、繊維の絡合性が強く、繊維の開繊性が悪くなることでカードでの加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。
本発明の熱接着性複合繊維の捲縮率は、10〜25%が好ましく、さらに好ましくは、14〜20%である。捲縮率が10%未満になると、繊維の絡合性が低下することで、カードでの加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。25%を超えると、繊維の絡合性が強く、繊維の開繊性が悪くなることでカードでの加工性が低下し、得られた不織布の地合いが悪くなる。
本発明の熱接着性複合繊維の残留捲縮率は、8〜17%が好ましく、さらに好ましくは、10〜16%である。残留捲縮率が8%未満になると、カード工程、不織布加工工程での捲縮のへたりが大きくなり、十分な不織布の嵩高が得られない。残留捲縮率が17%を超える繊維については、製法上を安定的に得ることは難しい。
本発明の熱接着性複合繊維の120℃処理における乾熱収縮率は、0.1〜5.0%が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜3.0%である。乾熱収縮率が0.1%未満の繊維を得るためには、乾燥温度条件を高くすることになり、その結果ポリエチレンが溶融接着しやすくなるため安定的に繊維を得ることが難しい。乾熱収縮率が3.0%を超える繊維は、熱接着工程において不織布の寸法安定性が劣り、安定した製品を得ることが困難である。
本発明の熱接着性複合繊維の120℃処理における乾熱収縮率は、0.1〜5.0%が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜3.0%である。乾熱収縮率が0.1%未満の繊維を得るためには、乾燥温度条件を高くすることになり、その結果ポリエチレンが溶融接着しやすくなるため安定的に繊維を得ることが難しい。乾熱収縮率が3.0%を超える繊維は、熱接着工程において不織布の寸法安定性が劣り、安定した製品を得ることが困難である。
本発明の熱接着性複合繊維の見掛けヤング率は、2800〜3500N/mm2であることが必要である。2800N/mm2未満の場合、良好な不織布嵩高を得ることが困難である。3500N/mm2より大きい場合、得られた不織布の地合いが硬くなる。
また、見掛けヤング率を上記範囲内とすることで、繊維の剛性が向上し、カード機での開繊で捲縮が伸ばされることで発生するネップや針布への沈み込みを抑制する。見掛けヤング率を上記範囲内に調整するには、紡糸工程においては、樹脂温度、繊維の冷却条件、樹脂吐出量と繊維引き取り速度のバランスなどを、延伸工程においては、延伸温度、延伸速度、延伸倍率、緊張熱処理温度、緊張熱処理時間、乾燥温度などを調整することにより達成することができる。特に、延伸後に特定の表面温度で緊張熱処理することが有効である。
次に、本発明で用いられる熱接着性複合繊維の製造方法について、具体的に一態様を例示して説明する。
本発明の熱接着性複合繊維は、例えば、芯成分に固有粘度が0.62〜0.67であるポリエステル系樹脂、鞘成分をポリオレフィン系樹脂とした2成分を芯鞘型の断面形状となるように溶融紡出し、未延伸糸を得、熱延伸後に緊張熱処理を行い、さらにその後にスタフィングボックスで捲縮付与することにより製造することができる。以下これについてさらに詳述する。
まず、ポリエステル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂をそれぞれ溶融し、芯鞘構造とする口金よりポリマーを吐出する。吐出孔を、好ましくは300〜600孔有する紡糸口金を通して、ポリエステル系樹脂の融点よりも10〜30℃程度高い紡糸温度で紡出し、紡出直後に好ましくは10〜25℃の温度の空気を、好ましくは50〜100m/分の風量で冷却させ、紡糸油剤を付与し、好ましくは引き取り速度1000〜1500m/分で一旦、缶に納めることにより未延伸糸トウを得る。
次いで、得られた未延伸糸トウを好ましくは温度80〜100℃の液浴を用いて、2.0〜4.0倍の延伸倍率で延伸し、トウの表面温度100〜125℃で緊張熱処理する。より好ましくは100〜115℃である。100℃未満だとトウの剛性アップが困難であり、125℃を超えると、ポリエチレンが融着するため安定的に繊維を得ることが困難である。緊張熱処理とは、糸条の長さを実質的に一定に保って熱処理を施すことを言い、通常、加熱されたローラーの前後にて糸条を把持して、その長さを実質的に一定に保って熱処理を施すことをいう。緊張熱処理時間は4.0〜10.0秒が好ましい。4.0秒未満だと充分な剛性を得られず、10.0秒を超えると大きな物性変化はみられないため、コスト面で不利となる。
得られたトウはスタッファボックス式捲縮機などの捲縮機を用いて捲縮付与を行い、捲縮トウとする。
次に、捲縮トウは、60℃以上、100℃未満の熱風雰囲気下で20分以上加熱処理を行う。60℃未満であればトウの乾燥が不十分となる可能性がある。100℃を超えると原綿強度およびトウの剛性の低下の可能性がある。また、125℃を超えると、ポリエチレンが接着するため安定的に繊維を得ることが困難である。
次に、捲縮トウは、60℃以上、100℃未満の熱風雰囲気下で20分以上加熱処理を行う。60℃未満であればトウの乾燥が不十分となる可能性がある。100℃を超えると原綿強度およびトウの剛性の低下の可能性がある。また、125℃を超えると、ポリエチレンが接着するため安定的に繊維を得ることが困難である。
熱風雰囲気下で加熱処理した繊維は冷却し、短繊維にカットする。繊維長は用途に応じて選択でき、特に限定されないが、カーディング処理を行う場合には30〜76mmが好ましく、より好ましくは30〜51mmである。
このようにして得られた本発明の熱接着性複合繊維は不織布原料として好ましく用いられ、本発明の熱接着性複合繊維からなる不織布は柔軟性と嵩高性に優れた不織布となる。
次に、本発明の熱接着性複合繊維とその製造方法について、実施例を用いて詳細に説明する。物性等の測定方法は、次のとおりである。
(固有粘度)
試料2gを秤り、オルトクロロフェノールを25ml加え102℃で加熱しながら70分間攪拌溶解する。冷却後、15mlをオストワルド改良型粘度計に入れ、落下秒数から固有粘度を算出する。
試料2gを秤り、オルトクロロフェノールを25ml加え102℃で加熱しながら70分間攪拌溶解する。冷却後、15mlをオストワルド改良型粘度計に入れ、落下秒数から固有粘度を算出する。
(メルトフローレート)
JIS K 6922−1(1997年)に準拠し、メルトフローレートの測定を行った。
JIS K 6922−1(1997年)に準拠し、メルトフローレートの測定を行った。
(複合比率)
得られた熱接着性複合繊維の断面を、顕微鏡を用いて400倍の倍率で撮影し、さらに断面写真を拡大コピーする。コピーした用紙について、繊維部断面を芯部及び鞘部にそれぞれ切り取り、電子天秤で質量を測定した。N=20で実施し、これを平均することで芯部と鞘部の比率を算出した。
得られた熱接着性複合繊維の断面を、顕微鏡を用いて400倍の倍率で撮影し、さらに断面写真を拡大コピーする。コピーした用紙について、繊維部断面を芯部及び鞘部にそれぞれ切り取り、電子天秤で質量を測定した。N=20で実施し、これを平均することで芯部と鞘部の比率を算出した。
(強度、伸度、捲縮数、捲縮率、残留捲縮率、)
JIS L1015(2010年)に準じて測定した。
JIS L1015(2010年)に準じて測定した。
(繊維の見掛けヤング率)
テンシロン引張試験機(ボールドウィン社製RTG−1250)を用い、JIS L 1015(2010年)に準拠して測定した。
テンシロン引張試験機(ボールドウィン社製RTG−1250)を用い、JIS L 1015(2010年)に準拠して測定した。
[実施例1]
熱接着性複合繊維を、次の方法で製造した。
熱接着性複合繊維を、次の方法で製造した。
第1成分(芯成分)として固有粘度が0.64の、融点260℃のポリエチレンテレフタレートと、第2成分(鞘成分)としてメルトマスフローレイトが18g/10分の、融点130℃の高密度ポリエチレンを、質量比で(A)/(B)=50/50となるように溶融し、吐出孔を400孔有する同心円芯鞘型口金を通して、紡出し、20℃の温度の空気を60m/分の風量で紡出糸を冷却させた後、引き取り速度1100m/分で未延伸糸トウを得た。
次いで、得られた未延伸糸トウを、85℃の温度の液浴を用いて、3.0倍の延伸倍率で延伸を施し、延伸トウの表面温度100℃で5.0秒緊張熱処理した。緊張熱処理工程の直前の延伸ローラー速度と、緊張熱処理工程の直後の延伸ローラー速度の比は1.0であった。その後、スタフィングボックス式捲縮機を用いて捲縮付与を行い、捲縮トウを60℃の熱風雰囲気下で加熱処理を行い、その後に繊維長38mmになるように切断した。得られた熱接着性複合繊維は、強度が2.9cN/dtex、伸度が30%、捲縮数が14山/25mm、捲縮率が18%、残留捲縮率が11%、見掛けヤング率が3100N/mm2であった。
[実施例2]
緊張熱処理後の延伸トウ表面温度を115℃に変更したこと以外は実施例1と同じ条件で熱接着性複合繊維と不織布を製造した。
緊張熱処理後の延伸トウ表面温度を115℃に変更したこと以外は実施例1と同じ条件で熱接着性複合繊維と不織布を製造した。
得られた熱接着性複合繊維は強度が3.1cN/dtex、伸度が28%、捲縮数が13山/25mm、捲縮率が17%、残留捲縮率が10%、見掛けヤング率が3300N/mm2であった。
[比較例1]
緊張熱処理を未実施にしたこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着複合繊維を製造した。得られた熱接着性複合繊維は強度が2.5cN/dtex、伸度が45%、捲縮数が15山/25mm、捲縮率が18%、残留捲縮率が11%、見掛けヤング率が2100N/mm2であった。
緊張熱処理を未実施にしたこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着複合繊維を製造した。得られた熱接着性複合繊維は強度が2.5cN/dtex、伸度が45%、捲縮数が15山/25mm、捲縮率が18%、残留捲縮率が11%、見掛けヤング率が2100N/mm2であった。
[比較例2]
緊張熱処理時間を3.0秒に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着複合繊維を製造した。得られた熱接着性複合繊維は強度が2.7cN/dtex、伸度が35%、捲縮数が14山/25mm、捲縮率が18%、残留捲縮率が10%、見掛けヤング率が2600N/mm2であった。
緊張熱処理時間を3.0秒に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着複合繊維を製造した。得られた熱接着性複合繊維は強度が2.7cN/dtex、伸度が35%、捲縮数が14山/25mm、捲縮率が18%、残留捲縮率が10%、見掛けヤング率が2600N/mm2であった。
[比較例3]
緊張熱処理温度を140℃に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着複合繊維を製造した。鞘成分のポリエチレンが融着し、熱接着性複合繊維を得ることはできなかった。
緊張熱処理温度を140℃に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で熱接着複合繊維を製造した。鞘成分のポリエチレンが融着し、熱接着性複合繊維を得ることはできなかった。
Claims (2)
- 芯部がポリエステル系樹脂を含む第1成分、鞘部が前記ポリエステル系樹脂の融点より30℃以上低い融点を有するポリオレフィン系樹脂を含む第2成分で構成される芯鞘型の複合繊維であって、見掛けヤング率が2800〜3500N/mm2である熱接着性複合繊維。
- 芯部がポリエステル系樹脂を含む第1成分、鞘部が前記ポリエステル系樹脂の融点より30℃以上低い融点を有するポリオレフィン系樹脂を含む第2成分で構成される芯鞘型断面形状の未延伸糸を得たのち、該未延伸糸を延伸し、さらに表面温度100〜125℃で4.0〜10.0秒緊張熱処理することを特徴とする熱接着複合繊維の製造方法。
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