JP2023156391A - 転がり軸受の軌道輪及び転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受の軌道輪及び転がり軸受 Download PDF

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Abstract

Figure 2023156391000001
【課題】軌道面における硬さを維持しつつ、クリープに伴う破損の発生を抑制することが可能な転がり軸受の軌道輪を提供する。
【解決手段】転がり軸受の軌道輪は、鋼からなり、外周面と、内周面とを備えている。外周面及び内周面の一方は、軌道面を有する。外周面及び内周面の他方は、反軌道面となっている。反軌道面における残留オーステナイトの体積比率は、軌道面における残留オーステナイトの体積比率よりも小さい。軌道面における残留オーステナイトの体積比率と反軌道面における残留オーステナイトの体積比率との差は、5体積パーセント以上である。反軌道面において、複数の化合物粒が分散されている。化合物粒の平均粒径は、2μm以下である。化合物粒の面積比率は、0.3パーセント以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、転がり軸受の軌道輪及び転がり軸受に関する。
転がり軸受の軌道輪は、軸受鋼等に対して焼き入れ・焼き戻しを行うことにより製造されている(例えば、特許文献1)ため、残留オーステナイトを含んでいる。転がり軸受が高温環境下において使用されると、残留オーステナイトが分解されることにより、軌道輪に寸法変化が生じる。例えば、内輪に高温環境下での使用に伴う寸法変化が生じると、内径が拡大してしまう。その結果、内輪と軸との嵌め合いが緩まり、クリープが生じる。クリープは、転がり軸受が破損する原因となる。
特開2017-187104号公報
上記の寸法変化の対策として、230℃程度で数時間の焼き戻しを行い、予め残留オーステナイト量を減らしておくことが行われている。しかしながら、この対策では、マルテンサイトも分解されてしまうため、軌道面における硬さが低下し、転がり軸受の寿命が短くなってしまう。
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、軌道面における硬さを維持しつつ、クリープに伴う破損の発生を抑制することが可能な転がり軸受の軌道輪を提供するものである。
本発明の転がり軸受の軌道輪は、鋼からなり、外周面と、内周面とを備えている。外周面及び内周面の一方は、軌道面を有する。外周面及び内周面の他方は、反軌道面となっている。反軌道面における残留オーステナイトの体積比率は、軌道面における残留オーステナイトの体積比率よりも小さい。軌道面における残留オーステナイトの体積比率と反軌道面における残留オーステナイトの体積比率との差は、5体積パーセント以上である。反軌道面において、複数の化合物粒が分散されている。化合物粒の平均粒径は、2μm以下である。化合物粒の面積比率は、0.3パーセント以上である。
上記の転がり軸受の軌道輪では、軌道面及び反軌道面のうち、軌道面又は軌道面及び反軌道面の双方は、窒素を含有していてもよい。
上記の転がり軸受の軌道輪では、反軌道面における硬さが650Hv以上であってもよい。上記の転がり軸受の軌道輪では、鋼はが高炭素鋼であってもよい。
本発明の転がり軸受は、少なくとも1つの上記の転がり時軸受の軌道輪を備えている。
本発明の転がり軸受の軌道輪及び転がり軸受によると、軌道面における硬さを維持しつつ、クリープに伴う破損の発生を抑制することができる。
内輪10の平面図である。 図1のII-IIにおける断面図である。 内輪10の製造方法を示す工程図である。 加工対象部材20の平面図である。 図4のV-Vにおける断面図である。 焼き戻し工程S4を説明するための平面模式図である。 焼き戻し工程S4を説明するための断面模式図である。 加熱コイル30による加熱時間と内周面20c及び外周面20dにおける温度との関係についてのシミュレーション結果を示すグラフである。 内周面20cの加熱温度を変化させた際の外周面20dの加熱温度のシミュレーション結果を示すグラフである。
実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
実施形態に係る転がり軸受の軌道輪は、例えば、深溝玉軸受の内輪10である。実施形態に係る転がり軸受の軌道輪は、内輪10に限られるものではないが、以下においては、内輪10を実施形態に係る転がり軸受の軌道輪の具体例として、説明を行う。
(内輪10の構成)
以下に、内輪10の構成を説明する。
内輪10は、鋼からなる。内輪10を構成している鋼は、例えば、JIS規格(JIS G 4805;2008)に定める高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2である。但し、内輪10を構成している鋼は、これに限られるものではない。
内輪10を構成している鋼は、焼き入れられている。このことを別の観点から言えば、内輪10を構成している鋼は、マルテンサイトと、残留オーステナイトとを含んでいる。マルテンサイトは、fcc(face centered cubic)構造を有する鉄(Fe)の高温相であるオーステナイトを急冷することにより得られる非平衡相である。残留オーステナイトは、急冷された際にマルテンサイトに変態せずに残留したオーステナイトである。
内輪10を構成している鋼中には、複数の化合物粒が分散されている。化合物粒は、鉄と窒素(N)及び炭素(C)との化合物である。化合物粒は、例えば、セメンタイト(FeC)の炭素サイトが部分的に窒素により置換されているとともに、セメンタイトの鉄サイトがクロムにより部分的に置換されている化合物により形成されている。すなわち、化合物粒は、例えば、(Fe,Cr)(C,N)により形成されている。
図1は、内輪10の平面図である。図1に示されるように、内輪10は、環状(リング状)の形状を有している。内輪10は、中心軸Aを有している。図2は、図1のII-IIにおける断面図である。図1及び図2に示されるように、内輪10は、上面10aと、底面10bと、内周面10cと、外周面10dとを有している。
上面10a及び底面10bは、中心軸Aに沿う方向における内輪10の端面を構成している。底面10bは、上面10aの反対面である。内周面10cは、周方向に沿って延在している。内周面10cは、径方向において内側を向いている。内周面10cは、上面10a及び底面10bに連なっている。外周面10dは、周方向に沿って延在している。外周面10dは、径方向において外側を向いている。外周面10dは、上面10a及び底面10bに連なっている。
外周面10dは、軌道面10eを含んでいる。軌道面10eは、転動体(図示せず)と接触する外周面10dの部分である。内輪10において、内周面10cは、反軌道面10fを構成している。すなわち、内周面10cは、軸(図示せず)に嵌め合わされる面になっている。内輪10の表面(上面10a、底面10b、内周面10c及び外周面10d)は、浸炭窒化されていることが好ましい。
反軌道面10f(内周面10c)における残留オーステナイトの体積比率は、軌道面10eにおける残留オーステナイトの体積比率よりも小さい。すなわち、反軌道面10fにおける残留オーステナイトの分解は、軌道面10eにおける残留オーステナイトの分解よりも予め進んでいるため、反軌道面10fにおける寸法変化率は、軌道面10eにおける寸法変化率よりも小さい。
軌道面10eにおける残留オーステナイトの体積比率と反軌道面10fにおける残留オーステナイトの体積比率との差(軌道面10eにおける残留オーステナイトの体積比率から反軌道面10fにおける残留オーステナイトの体積比率を減じた値)は、5体積パーセント以上である。内輪10の表面が浸炭窒化されている場合、軌道面10eにおける残留オーステナイトの体積比率と反軌道面10fにおける残留オーステナイトの体積比率との差は、10体積パーセント以上であってもよい。残留オーステナイトの体積比率は、X線回折法を用いて測定される。すなわち、マルテンサイト相のX線回折ピークの積分強度とオーステナイト相のX線回折ピークの積分強度とを比較することにより、残留オーステナイトの体積比率が得られる。
軌道面10eにおける旧オーステナイト結晶粒の平均粒径は、8μm以下である。旧オーステナイト結晶粒は、焼き入れにおける冷却前に存在していたオーステナイトの結晶粒界により取り囲まれている部分である。旧オーステナイト結晶粒の平均粒径は、JIS規格(JIS G 0551:2005)に規定されている方法にしたがって行われる。
反軌道面10fにおける化合物粒の平均粒径は、2μm以下であることが好ましい。反軌道面10fにおける化合物粒の面積比率は、0.3パーセント以上であることが好ましい。
化合物粒の平均粒径及び化合物粒の面積比率は、以下の方法により測定される。この測定においては、第1に、電子顕微鏡(SEM)による内輪10の断面撮影が行われる。なお、電子顕微鏡による内輪10の断面撮影に先立って、内輪10の鏡面研磨及び当該鏡面研磨面に対する腐食が行われる。
第2に、内輪10の断面画像に対する画像処理を行うことにより、各々の化合物粒の面積が算出される。各々の化合物粒の面積を合計することにより、化合物粒の面積比率が得られる。第3に、各々の化合物粒の面積をπ/4で除した値の平方根により、各々の化合物粒の円相当径が算出される。各々の化合物粒の円相当径の合計値を化合物粒の合計数で除することにより、化合物粒の平均粒径が得られる。
残留オーステナイトの分解が進むにつれて、マルテンサイトの分解も進む。そのため、軌道面10eにおける硬さは、残留オーステナイトの分解が相対的に進んでいる反軌道面10fにおける硬さよりも高い。反軌道面10fにおける硬さは、650Hv以上であることが好ましい。硬さは、JIS規格(JIS Z 2244:2009)に規定されるビッカース硬さ試験法にしたがって測定される。
(内輪10の製造方法)
以下に、内輪10の製造方法を説明する。
図3は、内輪10の製造方法を示す工程図である。図3に示されるように、内輪10の製造方法は、準備工程S1と、浸炭窒化処理工程S2と、焼き入れ工程S3と、焼き戻し工程S4と、後処理工程S5とを有している。焼き入れ工程S3は、第1焼き入れ工程S31と、第2焼き入れ工程S32とを有している。
準備工程S1においては、加工対象部材20が準備される。加工対象部材20は、鋼からなる。加工対象部材20を構成している鋼は、例えば、JIS規格に定める高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2である。
図4は、加工対象部材20の平面図である。図5は、図4のV-Vにおける断面図である。図4及び図5に示されるように、加工対象部材20は、環状の形状を有している。加工対象部材20は、上面20aと、底面20bと、内周面20cと、外周面20dとを有している。上面20a、底面20b、内周面20c及び外周面20dは、それぞれ、後処理工程S5の完了後に上面10a、底面10b、内周面10c及び外周面10dとなる面である。
浸炭窒化処理工程S2においては、加工対象部材20の表面に対する浸炭窒化処理が行われる。浸炭窒化処理工程S2は、窒素及び炭素を含む雰囲気ガス(例えば、吸熱型変成ガス(Rガス)及びアンモニア(NH)ガスを含む雰囲気ガス)中において、加工対象部材20を所定の温度で所定時間保持することにより行われる。これにより、加工対象部材20の表面にある鋼中に、炭素及び窒素が固溶される。
第1焼き入れ工程S31は、浸炭窒化処理工程S2の後に行われる。第1焼き入れ工程S31においては、加工対象部材20に対する焼き入れが行われる。第1焼き入れ工程S31においては、第1に、加工対象部材20が、加工対象部材20を構成する鋼のA変態点以上の温度(第1温度)で所定の時間保持される。第2に、加工対象部材20が、加工対象部材20を構成する鋼のMs変態点以下の温度に冷却される。加工対象部材20の冷却は、例えば油冷により行われる。第1焼き入れ工程S31の加熱保持により、加工対象部材20を構成する鋼中に化合物粒が析出する。
第2焼き入れ工程S32は、第1焼き入れ工程S31の後に行われる。第2焼き入れ工程S32においては、加工対象部材20に対する焼き入れが行われる。第2焼き入れ工程S32においては、第1に、加工対象部材20が、加工対象部材20を構成する鋼のA変態点以上の温度(第2温度)で所定の時間保持される。第2温度は、第1温度よりも低い。第2温度が第1温度よりも低いことにより鋼中における炭素及び窒素の固溶限が狭くなるため、第2焼き入れ工程S32の加熱保持の際にも、化合物粒は析出する。
第2に、加工対象部材20が、加工対象部材20を構成する鋼のMs変態点以下の温度に冷却される。加工対象部材20の冷却は、例えば油冷により行われる。第2焼き入れ工程S32の加熱保持の際のオーステナイト結晶粒の成長は、第1焼き入れ工程S31及び第2焼き入れ工程S32の加熱保持の際に析出した化合物粒のピン止め効果により抑制されている。
第1焼き入れ工程S31及び第2焼き入れ工程S32を含む焼き入れ工程S3が行われることにより、加工対象部材20を構成する鋼中に、マルテンサイトと、残留オーステナイトとが形成されるとともに、旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が8μm以下になる。また、焼き入れ工程S3が行われることにより、加工対象部材20を構成する鋼中に微細な化合物粒が分散される。
なお、焼き入れ工程S3が行われた後であって焼き戻し工程S4が行われる前の段階においては、内周面20cにおける残留オーステナイトの体積比率と外周面20dにおける残留オーステナイトの体積比率との間に、顕著な違いはない(内周面20cにおける残留オーステナイトの体積比率と外周面20dにおける残留オーステナイトの体積比率との差は、5体積パーセント未満である)。
焼き戻し工程S4は、焼き入れ工程S3(第1焼き入れ工程S31及び第2焼き入れ工程S32)の後に行われる。焼き戻し工程S4においては、加工対象部材20に対する焼き戻しが行われる。
図6は、焼き戻し工程S4を説明するための平面模式図である。図7は、焼き戻し工程S4を説明するための断面模式図である。図6及び図7に示されるように、焼き戻し工程S4における加熱は、例えば、誘導加熱により行われる。より具体的には、加熱コイル30を内周面20cに沿って周方向に回転させて内周面20cを誘導加熱することにより行われる。加熱コイル30により内周面20cの加熱が行われている際、外周面20dは、噴射部31から噴射される水等の冷却液により冷却されている。
図8は、加熱コイル30による加熱時間と内周面20c及び外周面20dにおける温度との関係についてのシミュレーション結果を示すグラフである。なお、図8中において、横軸は、加熱コイル30による加熱時間(単位:秒)であり、縦軸は、内周面20c及び外周面20dにおける温度(単位:℃)である。図8のシミュレーションは、内周面20cの加熱温度が420℃、外周面20dを水冷、内周面20cと外周面20dとの間の距離が3mmとの条件の下で行われた。図8に示されるように、焼き戻し工程S4においては、外周面20dの加熱温度は、内周面20cの加熱温度よりも低くなる。
図9は、内周面20cの加熱温度を変化させた際の外周面20dの加熱温度のシミュレーション結果を示すグラフである。なお、図9中において、横軸は、内周面20cの加熱温度(単位:℃)、縦軸は、外周面20dの加熱温度(単位:℃)である。図9のシミュレーションは、内周面20cの加熱温度を変化させたことを除き、図8のシミュレーションと同様の条件で行われた。図9に示されるように、外周面20dの加熱温度は、内周面20cの加熱温度の一次式となる。内周面20cの加熱温度をx、外周面20dの加熱温度をyとすると、y=a×x+b(aは1未満の正の数、bは正の数)となる。
例えば、特開平10-102137号公報に記載されているように、焼き戻し工程S4が行われた後における加工対象部材20を構成する鋼中の残留オーステナイトの体積比率(M)は、焼き戻し工程S4が行われる前における加工対象部材20を構成する鋼中の残留オーステナイトの体積比率(M)、加熱温度(T)及び加熱時間(t)を用いて、M=M×{A×exp(-Q/RT)×t}(A、Q及びnは定数、Rはガス定数)となる。
そのため、加熱コイル30による内周面20cの加熱温度及び加熱時間を適宜調整することにより、外周面20dの加熱温度を適宜調整することができ、それに伴い、内周面20cにおける残留オーステナイトの体積比率及び外周面20dにおける残留オーステナイトの体積比率を適宜調整することができる。
例えば参考文献(井上毅,「新しい焼き戻しパラメータとその連続昇温曲線に沿った焼き戻し積算法への応用」,鉄と鋼,66,10(1980),1533)に記載されているように、焼き戻し工程S4が行われた後における加工対象部材20を構成する鋼の硬さ(Hv)は、加熱時間(t)及び加熱温度(T)を用いて、Hv=c×logt+d/T+e(c、d及びeは定数)となる。そのため、加熱コイル30による内周面20cの加熱温度及び加熱時間を適宜調整することにより、内周面20cにおける硬さを適宜調整することができる。
後処理工程S5においては、加工対象部材20に対する後処理が行われる。この後処理には、加工対象部材20に対する研削加工、加工対象部材20に対する洗浄等が含まれている。以上により、内輪10の製造工程が完了する。
(内輪10の効果)
以下に、内輪10の効果を説明する。
反軌道面10fにおける転がり軸受の使用に伴う寸法の経時変化が大きいと、クリープの発生原因になる。残留オーステナイトの体積比率が小さいほど、転がり軸受の使用に伴う寸法の経時変化は小さい。他方で、残留オーステナイトの体積比率が大きいほど残留オーステナイトの分解に伴うマルテンサイトの分解が進んでいないため、硬さが高くなる。
一般的な焼き戻し処理(炉内加熱の焼き戻し処理)が行われる場合、軌道面10eにおける残留オーステナイトの体積比率及び反軌道面10fにおける残留オーステナイトの体積比率は、ともに低下してしまうため、転がり軸受の使用に伴う寸法の経時変化に起因したクリープの発生は抑制されるが、軌道面10eの硬さを維持することはできない。
しかしながら、内輪10においては、軌道面10eにおける残留オーステナイトの体積比率と反軌道面10fにおける残留オーステナイトの体積比率との差が、5体積パーセント以上となっている。そのため、内輪10によると、軌道面10eにおける硬さを維持しながら、クリープの発生に伴う転がり軸受の破損を抑制することができる。
内輪10においては、旧オーステナイト結晶粒の平均粒径が8μm以下に微細化されているため、軸と摩耗した際の反軌道面の塑性変形量を小さくすることができるとともに、発生する摩耗粉を小さくすることができる。
反軌道面10fにおいて、化合物粒が、平均粒径が2μm以下、面積比率が0.3パーセント以上になるように分散している場合、軸と摩耗した際の反軌道面10fの塑性変形量をさらに小さくすることができるとともに、発生する摩耗粉をさらに小さくすることができる。
反軌道面10fにおける硬さが650Hv以上である場合には、軸と摩耗した際の反軌道面10fの塑性変形量をさらに小さくすることができる。
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
上記の実施形態は、転がり軸受の軌道輪に特に有利に適用される。
10 内輪、10a 上面、10b 底面、10c 内周面、10d 外周面、10e 軌道面、10f 反軌道面、20 加工対象部材、20a 上面、20b 底面、20c 内周面、20d 外周面、30 加熱コイル、31 噴射部、A 中心軸、S1 準備工程、S2 浸炭窒化処理工程、S3 焼き入れ工程、S4 焼き戻し工程、S5 後処理工程、S31 第1焼き入れ工程、S32 第2焼き入れ工程。

Claims (5)

  1. 鋼からなり、外周面と、内周面とを備え、
    前記外周面及び前記内周面の一方は、軌道面を有し、
    前記外周面及び前記内周面の他方は、反軌道面となっており、
    前記反軌道面における残留オーステナイトの体積比率は、前記軌道面における残留オーステナイトの体積比率よりも小さく、
    前記軌道面における残留オーステナイトの体積比率と前記反軌道面における残留オーステナイトの体積比率との差は、5体積パーセント以上であり、
    前記反軌道面において、複数の化合物粒が分散されており、
    前記化合物粒の平均粒径は、2μm以下であり、
    前記化合物粒の面積比率は、0.3パーセント以上である、転がり軸受の軌道輪。
  2. 前記軌道面及び前記反軌道面のうち、前記軌道面又は前記軌道面及び前記反軌道面の双方は、窒素を含有している、請求項1に記載の転がり軸受の軌道輪。
  3. 前記反軌道面における硬さは、650Hv以上である、請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受の軌道輪。
  4. 前記鋼は、高炭素鋼である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受の軌道輪。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の前記転がり軸受の軌道輪が少なくとも1つ以上用いられている、転がり軸受。
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