JP2023156159A - がんリスクの試験方法 - Google Patents

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Takahiro Ochitani
祐亮 吉岡
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信一 坂本
Shinichi Sakamoto
智彦 市川
Tomohiko Ichikawa
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Abstract

【課題】 がんリスクを試験する新たな方法を提供する。【解決手段】 本発明は、被検者由来の検体中の細胞外小胞のLAT1タンパク質レベルを取得する取得工程を含み、前記細胞外小胞のLAT1ががんマーカであることを特徴とする、がんリスクを試験する方法である。前記検体は、例えば、体液であり、具体例として、血液、尿等があげられる。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼ 刊行物等:第41回日本分子腫瘍マーカー研究会 プログラムおよび抄録 ウェブサイトの掲載日:令和3年9月10日 掲載アドレス:https://www.procomu.jp/jsmtmr2021/ ▲2▼刊行物等:第41回日本分子腫瘍マーカー研究会 プログラム集・抄録集 発行日:令和3年9月29日 ▲3▼ 刊行物等:第41回日本分子腫瘍マーカー研究会 発表資料 開催日:令和3年9月29日 集会名:第41回日本分子腫瘍マーカー研究会 開催場所:パシフィコ横浜 ▲4▼ 刊行物等:第6回Liquid Biopsy研究会 プログラム ウェブサイトの掲載日:令和3年12月29日 掲載アドレス:https://muraa9.wixsite.com/liquidbiopsy/history https://79cbcc11-d6ae-4caa-a64a-522acf769a2.filesusr.com/ugd/d0bffb_de1dbc8a675e49b9bce3893a2bf2f767.pdf ▲5▼ 刊行物等:第6回Liquid Biopsy研究会 プログラム抄録集 発行日:令和4年1月8日 ▲6▼ 刊行物等:第6回Liquid Biopsy研究会 発表資料 開催日:令和4年1月29日 集会名:第6回Liquid Biopsy研究会 開催場所:WEB開催
本発明は、がんリスクの試験方法に関する。
医療の発達により、がんは不治の病ではなくなってきているが、そのためにも重要なのが、がんの早期発見と予後の判断といわれている。このため、がんの診断においては、早期発見や予後の判断に利用できる新たなマーカが求められている。
そこで、本発明は、がんリスクを試験する新たな方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、被検者由来の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルを取得する取得工程を含み、前記細胞外小胞のLAT1ががんマーカであることを特徴とする、がんリスクを試験する方法である。
LAT1タンパク質は、アミノ酸トランスポーターであり、正常細胞にも存在するが、がん細胞において特異的に発現が増加することが知られている。しかしながら、LAT1タンパク質は、細胞膜上のタンパク質であるため、これをバイオマーカとして検出するには、細胞そのものに対するLAT1タンパク質の検出が必要であった。一方、本発明者らは、鋭意研究の結果、がん細胞から分泌される細胞外小胞が、細胞外小胞上にLAT1タンパク質を有すること、また、分泌された細胞外小胞が体液中に放出されることを初めて見出した。このことから、まず、細胞そのものではなく、細胞から分泌された細胞外小胞についてLAT1タンパク質を検出することにより、被検者ががんに罹患している可能性を試験することが可能になった。さらに、例えば、血液等の体液を検体とし、前記体液に放出された細胞外小胞のLAT1タンパク質を検出することも可能であるため、患者および医師等の医療従事者の負担となる生検も回避できる。したがって、本発明は、例えば、医療分野において非常に有用な技術といえる。
図1(A)は、がん細胞由来のエクソソーム上のLAT1を検出した結果であり、図1(B)は、がん細胞上のLAT1を検出した結果であり、それぞれ、上図が、ウェスタンブロットの画像であり、下図が、タンパク質の相対値を示すグラフである。 図2は、抵抗性のがん細胞由来のエクソソーム上のLAT1を検出した結果であり、上図が、ウェスタンブロットの画像であり、下図が、タンパク質の相対値を示すグラフである。 図3は、抵抗性のがん細胞上のLAT1を検出した結果であり、上図が、ウェスタンブロットの画像であり、下図が、タンパク質の相対値を示すグラフである。 図4は、がん患者血清および健常者血清中のエクソソーム上のLAT1を検出した結果であり、上図が、ウェスタンブロットの画像であり、下図が、タンパク質の相対値を示すグラフである。
本発明において、細胞外小胞(extracellular vesicle)は、以下、EVsともいう。本発明のがんリスクを試験する方法は、以下、本発明の試験方法ともいう。
本発明の試験方法は、例えば、前記LAT1が、LAT1タンパク質である。
本発明の試験方法は、例えば、前記検体が、被検者から採取した体液である。
本発明の試験方法は、例えば、前記検体が、被検者から採取した血液または尿である。
本発明の試験方法は、例えば、前記検体が、細胞が除去された検体である。
本発明の試験方法は、例えば、さらに、前記被検者由来の検体のLAT1レベルと評価基準とを比較する比較工程を含み、前記評価基準は、がんに罹患していない陰性比較対象者由来の同じ種類の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルであり、前記被検者のLAT1レベルが、前記評価基準と比較して高い場合、前記被検者はがんに罹患している可能性があることを意味する。
本発明の試験方法は、例えば、さらに、前記被検者由来の検体のLAT1レベルと評価基準とを比較する比較工程を含み、前記評価基準は、がんに罹患している陽性比較対象者由来の同じ種類の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルの検出結果であり、前記被検者の検出結果が、前記評価基準と比較して同一または高い場合、前記被検者はがんに罹患している可能性があることを意味する。
本発明の試験方法は、例えば、前記被検者由来の経時的な複数の検体について、前記取得工程を行い、前記検体中の細胞外小胞のLAT1レベルの経時変化情報を得る。
本発明の試験方法は、例えば、前記がんが、前立腺がんまたは乳がんである。
本明細書において、「健常者」とは、本発明における試験の対象となるがんに罹患していない者(がんを発症していない者)を意味する。本明細書における健常者は、例えば、試験の対象となるがん以外の疾患に罹患しているか否かは制限されず、好ましくは、試験の対象となるがん以外の疾患にも罹患していない者である。
<がんリスクの試験方法>
本発明の試験方法は、前述のように、がんリスクを試験する方法であり、被検者由来の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルを取得する取得工程を含み、前記細胞外小胞のLAT1ががんマーカであることを特徴とする。本発明のがんリスクの試験方法は、例えば、がんリスクの判定方法ともいえる。また、前記細胞外小胞のLAT1レベルは、例えば、がんリスクの診断のための情報になることから、本発明の試験方法は、がんリスクの診断のための情報を取得する方法または提供する方法ともいえる。
本発明において、LAT1を有する細胞外小胞を、以下、「LAT1陽性細胞外小胞」ともいう。
本発明において、がんリスクとは、例えば、罹患可能性、がんステージ(病期)、外科的手術または化学治療、ホルモン療法、もしくは免疫療法等の各種治療の経過状況、または予後等があげられる。罹患可能性とは、例えば、がんに罹患している可能性、またはがんに罹患する可能性を含む。
がんステージは、例えば、ステージ分類(臨床進行期分類)により決定される。ステージは、例えば、I、II、III、およびIV、より詳細には、ステージ0、I、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IIIC、およびIVに分類できる。
LAT1(L-type amino acid transporter 1)は、例えば、ヒト由来の配列情報が、データベース(NCBIデータベース)にアクセッションNo. NP_003477で登録されている。
前記診断のための情報は、例えば、前記検体に含まれる前記細胞外小胞におけるLAT1レベルである。前記LAT1レベルは、例えば、mRNAレベル、タンパク質レベルがあげられるが、LAT1タンパク質レベルが好ましい。前記レベルは、例えば、LAT1の存在の程度を示す指標である。前記存在の程度を示す指標は、例えば、有無、量、または濃度等であり、これらを実質的、または間接的もしくは相対的に示す数値が好ましい。実質的な数値は、例えば、量または濃度であり、間接的または相対的な数値は、例えば、後述する発色シグナル、放射線シグナル等の測定値があげられる。量または濃度の実質的な数値は、例えば、間接的または相対的な数値(例えば、測定値)から換算された値でもよい。前記細胞外小胞におけるLAT1レベルは、例えば、検体に含まれる全細胞外小胞の量または濃度と、前記検体に含まれるLAT1タンパク質(細胞外小胞上のLAT1タンパク質)の量または濃度との相対関係により表すこともできる。
また、前記検体に含まれる前記細胞外小胞におけるLAT1レベルは、例えば、その膜上にLAT1タンパク質を有する細胞外小胞、すなわちLAT1陽性細胞外小胞のレベルでもよい。具体例として、例えば、検体中のLAT1陽性細胞外小胞の量もしくは濃度、または全細胞外小胞におけるLAT1陽性細胞外小胞の割合等により表すこともできる。
本発明において試験の対象となるがん(以下、対象がんともいう)は、特に制限されず、例えば、前立腺がん、乳がん、膵臓がん、大腸がん、胃がん、食道がん、肝がん、肺がん、前立腺がん、腎がん、頭頸部がん等があげられる。
本発明において、細胞外小胞は、例えば、エンドサイトーシスパスウェイにより分泌されるエクソソーム、マイクロベシクル(微小小胞体)、アポトーシス小体等であり、中でも、例えば、エクソソームである。エクソソームは、一般的に、Alix、Tsg101、CD81、CD63、CD9、フロチリン等のマーカ分子により検出できる。
本発明における前記検体は、例えば、被検者から採取した体液があげられ、具体例としては、例えば、血液、尿があげられる。前記血液は、例えば、全血、血漿、血清があげられ、中でも、細胞を除去した血液、すなわち、血漿または血清が好ましい。本発明において、血液や尿等の前記体液を検体とする場合、例えば、前述のように、生検等を回避でき、被検者や医療従事者の負担を軽減できる。そして、本発明において、前記体液を検体とすることによって、例えば、被検者について、前述したいずれかの対象がんリスクを試験できる。
また、前記検体は、例えば、体液そのものでもよいし、体液から回収した細胞外小胞を含む検体でもよい。細胞外小胞の回収方法は、特に制限されず、例えば、体液を超遠心分離することにより、沈殿画分として回収できる。また、前記体液が血液の場合、例えば、血清から回収でき、具体例としては、前記血清を超遠心分離することにより、沈殿画分として回収できる。前記超遠心分離の条件は、特に制限されず、例えば、30,000~50,000rpm、20~90分、2~6℃であり、具体例として、ベックマンコールター社製のローター TLS-55を用いた場合、49,500rpm、32分、4℃、もしくはベックマンコールター社製のローター SW41-Tiを用いた場合、35,000rpm、70分、4℃等が例示できる。
本発明における前記検体は、血液、尿等の体液には制限されず、例えば、被検者から採取した試料(体液以外)から調製した検体でもよい。前記試料としては、例えば、細胞があげられる。前記細胞は、例えば、所望の器官、臓器、組織等から採取できる。前記被検者から細胞を採取した場合、例えば、採取した細胞を培養した培養物を前記検体として使用できる。前記細胞を培地で培養することによって、例えば、前記細胞から分泌される細胞外小胞を、前記培地中に放出できる。前記検体は、例えば、前記培養物から細胞を除去した上清(液体画分ともいう)が好ましい。前記細胞を除去した検体を使用することによって、例えば、前記細胞がLAT1を有する場合でも、前記細胞外小胞のLAT1のみを検出できる。そして、本発明において、前記細胞を検体とすることによって、例えば、被検者について、前記細胞の採取元である組織におけるがんリスクを試験できる。
また、前記検体は、例えば、前記上清から回収した細胞外小胞を含む検体でもよい。細胞外小胞の回収方法は、特に制限されず、例えば、前記上清から回収でき、具体例としては、前記上清を超遠心分離することにより、沈殿画分として回収できる。前記超遠心分離の条件は、特に制限されず、例えば、前述と同様である。
本発明の試験方法において、前記取得工程は、被検者由来の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルを取得する工程である。前記LAT1レベルは、例えば、前記検体を用いて前記検体の細胞外小胞のLAT1レベルを検出することにより取得してもよいし、前記検体についてすでに検出結果として得られているLAT1レベルを取得してもよい。前記検出は、例えば、定性でも定量でもよく、測定でもよい。
前記検体中の細胞外小胞のLAT1レベルを検出する方法は、特に制限されず、例えば、LAT1に結合する物質(以下、LAT1用結合物質という)が使用でき、前記細胞外小胞のLAT1と前記LAT1用結合物質との結合を検出することで、前記細胞外小胞のLAT1を検出できる。前記結合物質は、LAT1に特異的に結合する物質であることが好ましい。前記細胞外小胞のLAT1レベルの検出は、例えば、細胞外小胞上のLAT1タンパク質の検出が好ましい。
前記LAT1用結合物質の種類は、特に制限されず、前記LAT1レベルがLAT1タンパク質レベルの場合、例えば、抗体、抗原結合断片(抗原結合ペプチド)、アプタマー等があげられる。
前記抗体は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれでもよく、また、そのアイソタイプは、特に制限されず、例えば、IgG、IgM、IgA、IgE、IgD、IgY等があげられる。前記抗原結合断片は、例えば、LAT1タンパク質を認識して結合できればよく、抗体の一部(部分断片)を含むタンパク質またはペプチド等があげられる。前記抗原結合断片は、例えば、前記抗体の相補性決定領域(CDR)を有している断片があげられ、具体例として、例えば、F(ab’)、Fab’、Fab、Fab、一本鎖Fv(scFvともいう)、(タンデム)バイスペシフィック一本鎖Fv(sc(Fv)ともいう)、一本鎖トリプルボディ、ナノボディ、ダイバレントVH、ペンタバレントVH、ミニボディ、(二本鎖)ダイアボディ、タンデムダイアボディ、バイスペシフィックトリボディ、バイスペシフィックバイボディ、デュアルアフィニティリターゲティング分子(DART)、トリアボディ(またはトリボディ)、テトラボディ(または[sc(Fv))、(scFv-SA))ジスルフィド結合Fv(dsFvともいう)、コンパクトIgG、重鎖抗体、またはそれらの重合体等があげられる。
前記アプタマーは、例えば、核酸分子(核酸アプタマーともいう)があげられる。前記アプタマーの構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基または非ヌクレオチド残基である。前者は、例えば、糖と、プリンまたはピリミジン等の塩基と、リン酸とを含む、デオキシリボヌクレオチド骨格またはリボヌクレオチド骨格があげられ、後者は、例えば、ピロリジンまたピペリジン等の塩基を含む非ヌクレオチド骨格があげられる。前記構成単位は、例えば、天然型でも、人工の非天然型でもよい。前記アプタマーは、例えば、同じ構成単位から形成されてもよいし、二種類以上の構成単位から形成されてもよい。前記アプタマーは、例えば、修飾型でも非修飾型でもよく、前者の場合、例えば、糖、塩基、ヌクレオシド間結合等のいずれが修飾されてもよい。
前記細胞外小胞上のLAT1と前記LAT1用結合物質との結合の検出方法は、特に制限されず、例えば、前記結合を可視化する方法があげられる。前記可視化とは、例えば、目視可能な可視化でもよいし、シグナル検出としての可視化でもよい。前記標識物質を使用する方法としては、例えば、標識物質として蛍光色素を使用した蛍光法、標識物質として酵素を使用し、酵素反応により呈色する基質を併用する酵素法、標識物質として放射性同位体(RI)を使用するRI法等があげられる。前記蛍光法は、例えば、蛍光色素による蛍光を発色シグナルとして検出でき、前記酵素法は、例えば、基質の呈色を発色シグナルとして検出でき、前記RI法は、例えば、放射線をシグナルとして検出できる。
前記蛍光物質は、例えば、DAPI、SYTOX(登録商標)Green、SYTO(登録商標)9、TO-PRO(登録商標)-3、Propidium Iodide、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)647、Oregon Green(登録商標)、Alexa Fluor(登録商標)405、Alexa Fluor(登録商標)680、Fluorescein(FITC)、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)750、Cy(登録商標)3、Alexa Fluor(登録商標)532、Pacific Blue(商標)、Pacific Orange(商標)、Alexa Fluor(登録商標)546、Coumarin、Tetramethylrhodamine(TRITC)、Alexa Fluor(登録商標)555、BODIPY(登録商標)FL、Texas Red(登録商標)、Alexa Fluor(登録商標)568、Pacific Green(商標)、Cy(登録商標)5、およびAlexa Fluor(登録商標)594等の蛍光色素があげられる。前記酵素は、例えば、アルカリホスファターゼ(AP)、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)等があげられる。前記RIは、例えば、32P、131I、35S、45Ca、3H、14C等があげられる。
前記LAT1用結合物質は、例えば、前記標識物質により標識化されてもよい。前記LAT1用結合物質が前記標識化物質で標識化されている場合、例えば、標識化された前記LAT1用結合物質(以下、標識化LAT1用結合物質という)と前記検体との接触により、前記検体中の細胞外小胞のLAT1(例えば、LAT1タンパク質)と前記標識化LAT1用結合物質とを結合させ、前記LAT1に結合した前記標識化LAT1用物質について、その標識物質を検出することにより、前記結合を検出することができる。具体的には、例えば、前記検体中の細胞外小胞を固定化してから、前記標識化LAT1用結合物質を接触させ、未結合の前記標識化LAT1用結合物質を除去した後、前記固定化された細胞外小胞に結合した前記標識化LAT1用結合物質を検出することで、前記結合を検出することができる。前記細胞外小胞の固定化は、例えば、前記細胞外小胞に特異的に結合する結合物質(以下、EVs用結合物質)を担体に固定化し、前記EVs用結合物質に前記検体中の細胞外小胞を結合させることによって、行うことができる。前記EVs用結合物質は、例えば、抗体、抗原結合断片(抗原結合ペプチド)、アプタマー等があげられる。前記EVs用結合物質は、例えば、前記LAT1用結合物質が細胞外小胞のLAT1に結合可能なように、LAT1に対して非結合性であることが好ましい。前記LAT1用結合物質および前記EVs用結合物質は、例えば、それぞれ抗体が好ましく、このような抗体の使用により、免疫組織化学が利用できる。
前記LAT1用結合物質が非標識の場合は、例えば、さらに、前記LAT1用結合物質に結合する二次結合物質を併用する方法があげられる。前記二次結合物質は、例えば、前記標識化物質で標識化されていることが好ましい(以下、標識化二次結合物質という。)この方法では、例えば、標識化されていない前記LAT1用結合物質(以下、非標識化LAT1用結合物質という)と前記検体との接触により、前記検体中の細胞外小胞のLAT1(例えば、LAT1タンパク質)と前記非標識化LAT1用結合物質とを結合させ、さらに、前記標識化二次結合物質を接触させることにより、前記LAT1に結合した前記非標識化LAT1用結合物質に前記標識化二次結合物質を結合させる。そして、前記非標識化LAT1用結合物質を介してLAT1に結合した前記標識化二次結合物質について、その標識物質を検出することにより、LAT1と前記非標識化LAT1用結合物質との結合を検出することができる。具体的には、例えば、前記検体中の細胞外小胞を固定化してから、前記非標識化LAT1用結合物質を接触させ、未結合の前記非標識化LAT1用結合物質を除去した後、さらに、前記標識化二次結合物質を接触させる。そして、前記固定化された細胞外小胞に結合した前記非標識化LAT1用結合物質に対して、さらに前記標識化二次結合物質を結合させ、結合した前記標識化二次結合物質を検出することで、間接的にLAT1と前記非標識化LAT1用結合物質との結合を検出することができる。前記細胞外小胞の固定化は、例えば、前述と同様に、前記EVs用結合物質が使用できる。前記LAT1用結合物質、前記EVs用結合物質、および前記二次結合物質は、例えば、それぞれ抗体が好ましく、前記二次結合物質は、例えば、ELISA等で使用される二次抗体が好ましい。このような抗体の使用により、免疫組織化学が利用できる。
また、前記細胞外小胞上のLAT1タンパク質は、例えば、前記細胞外小胞自体のマーカに対する結合物質(例えば、抗マーカ抗体)と、LAT1タンパク質に対する結合物質(例えば、抗LAT1抗体)とを用いて、発明者らが開発したExoScreen法により検出することもできる。この方法によれば、例えば、1つの細胞外小胞に対して、前記抗マーカ抗体と前記抗LAT1抗体と結合させることで、前記抗マーカ抗体と前記抗LAT1抗体との間における相互作用を利用できるため、前記細胞外小胞の中でも、LAT1タンパク質を有する細胞外小胞を検出することができる。このため、例えば、前述のような培養物または血液等から細胞外小胞を回収することなく、容易に細胞外小胞上のLAT1タンパク質を検出できる。前記ExoScreen法は、例えば、国際特許公報WO2013/094307号等の記載を援用できる。前記細胞外小胞自体のマーカは、例えば、前述のようなマーカ分子の例示があげられ、具体例としては、CD9である。
前記検体の細胞外小胞のLAT1レベルの検出は、例えば、前記検体におけるLAT1タンパク質/前記マーカタンパク質(例えば、CD9タンパク質)共陽性の細胞外小胞の検出でもよい。
本発明の試験方法は、例えば、さらに、前記被検者由来の検体の検出結果と評価基準とを比較する比較工程を含んでもよい。前記検体の検出結果と前記評価基準との比較によって、がんリスクを判断できる。前記評価基準は、特に制限されず、例えば、以下のような基準が例示できる。
第1の評価基準として、がんに罹患していない陰性比較対象者由来の同じ種類の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルが例示できる。前記陰性比較対象者は、例えば、試験の対象がんに罹患していない健常者である。前述のように、前記検体中の細胞外小胞のLAT1レベルを取得した場合、試験の対象がんに罹患したがん患者は、対象がんに罹患していない健常者と比較して、LAT1レベルが高い(LAT1陽性細胞外小胞が多い)。このため、例えば、前記陰性比較対象者に関して、前記被検者と同じ種類の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルを取得し、そのLAT1レベルを評価基準とすれば、前記評価基準と前記被検者のLAT1レベルとの比較により、前記被検者について、試験の対象がんのリスクを判断できる。具体的には、例えば、前記被検者のLAT1レベルが前記陰性比較対象者の評価基準と比較して高い場合(例えば、有意に高い値の場合)、前記被検者は、対象がんの罹患可能性がある、または罹患可能性が高いと判断することができる。一方、前記被検者のLAT1レベルが前記陰性比較対象者の評価基準と比較して同程度の場合(例えば、有意差がない場合)、前記被検者は、対象がんの罹患可能性がない、または罹患可能性が低いと判断することができる。
第2の評価基準として、がんに罹患している陽性比較対象者由来の同じ種類の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルが例示できる。前記陽性比較対象者は、例えば、試験の対象がんに罹患しているがん患者である。この場合、例えば、試験の対象がんに罹患した陽性比較対象者に関して、前記被検者と同じ種類の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルを取得し、そのLAT1レベルを評価基準とすれば、前記評価基準と前記被検者の検出結果との比較により、前記被検者について、試験の対象がんのリスクを判断することができる。具体的には、例えば、前記被検者のLAT1レベルが前記陽性比較対象者の評価基準と比較して同程度の場合(例えば、有意差がない場合)またはより高い場合、前記被検者は、対象がんの罹患可能性がある、または罹患可能性が高いと判断することができる。一方、前記被検者のLAT1レベルが前記陽性比較対象者の評価基準と比較して低い場合(例えば、有意に低い場合)、前記被検者は、対象がんの罹患可能性がない、または罹患可能性が低いと判断することができる。
本発明の試験方法は、例えば、同じ被検者に由来する経時的な複数の検体について、前記取得工程を行い、前記検体中の細胞外小胞のLAT1レベルの経時変化情報を得てもよい。前述のように、細胞外小胞のLAT1は、がんマーカであることから、例えば、同じ被検者について、細胞外小胞のLAT1レベルの経時変化情報を得ることによって、前記被検者について試験の対象がんのリスクの変化を判断することができる。具体例として、被検者のLAT1レベルが経時的に増加している場合、例えば、がんの罹患可能性が高くなっている等の判断が可能である。また、治療中の被検者であれば、例えば、LAT1レベルが治療開始時から経時的に増加している場合、治療方法が効果的でない、LAT1レベルが治療開始時から経時的に低下している場合、治療方法が効果的である、として治療方法が適切か否かの判断が可能である。また、治療後の被検者であれば、例えば、LAT1レベルが治療終了時から経時的に増加している場合、予後が不良である、LAT1レベルが治療終了時から経時的に変化していないまたは低下している場合、予後が良好である、として予後の判断が可能である。
前記治療中の患者の場合、具体例として、以下のような判断が可能である。前立腺がんは、男性ホルモンのアンドロゲン(テストステロン)の刺激により病気が進行することから、男性ホルモン受容体をブロックするというホルモン療法がある。一方、このホルモン療法に対して、抵抗性(去勢耐性またはホルモン抵抗性ともいう)を獲得し、ホルモン療法が有効に使用できなる患者もいる。これに対して、本発明らは、前立腺がん患者の細胞外小胞のLAT1レベルが、前述のように、健常者の細胞外小胞のLAT1レベルよりも高く、さらに、抵抗性を有した前立腺がん患者の細胞外小胞のLAT1レベルが、抵抗性を有していない前立腺がん患者の細胞外小胞のLAT1レベルよりも高くなることを見出した。このため、ホルモン療法を施す患者について、細胞外小胞のLAT1レベルの経時変化情報を取得し、前記LAT1レベルの増加を確認することによって、ホルモン療法によって抵抗性を獲得しているか否かの偏移を判断することもできる。そして、LAT1レベルが増加して、抵抗性を獲得していると判断した場合、例えば、その患者には、ホルモン療法が有効な療法ではなくなったとして、他の治療方法への切り替えを決定することもできる。また、すでに抵抗性を獲得している患者の細胞外小胞のLAT1レベルを第4の評価基準とすれば、前記被検者のLAT1レベルが、前記第4の評価基準と同等に達した場合、または前記第4の評価基準を超えた場合、抵抗性を獲得したと客観的に判断することもできる。
<がんの診断方法>
本発明のがんの診断方法は、被検者由来の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルを検出する検出工程を含み、前記細胞外小胞のLAT1レベルががんマーカであることを特徴とする。本発明の診断方法は、前記本発明のがんリスクの試験方法における記載を援用できる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
[実施例1]
ヒト前立腺がん細胞株について、エクソソーム上のLAT1タンパク質の存在を確認した。
前記ヒト前立腺がん細胞株として、C4-2、PC3、DU146を使用した。
ウェル内で前記前立腺がん細胞株を10%FBS(ウシ胎児血清)含有RPMIを用いて培養を開始し(Day0)、60-70%コンフルエントになるまで3日間培養し(Day3)、培地を無血清のadvanced RPMIに置換した。さらに、2日間培養を行い、細胞と上清とをそれぞれ回収した(Day5)。前記上清を、4℃。35,000rpm(210,000g)、70分の条件で超遠心分離し(スウィングローターSW41Ti)、細胞外小胞であるエクソソームを含む沈殿画分を回収した。前記沈殿画分を200μLのPBSに懸濁し、エクソソーム検体とした。
前記エクソソーム検体について、抗体を用いたウェスタンブロットにより、LAT1タンパク質およびエクソソームのマーカであるCD9タンパク質の検出を行った。また、参照例として、回収した細胞について、抗体を用いたウェスタンブロットにより、LAT1タンパク質および細胞のマーカであるGAPDH9タンパク質の検出を行った。LAT1タンパク質用の抗体は、市販抗体(CST#5347、Cell Signaling Technology社)を使用し、CD9タンパク質用の抗体は、市販抗体(SHI-EXO-M01、コスモバイオ社)を使用し、GAPDHタンパク質用の抗体は、市販抗体(MAB374、sigma社)を使用した。
これらの結果を図1に示す。図1(A)は、エクソソームの結果であり、上が、ウェスタンブロットの画像であり、下が、ウェスタンブロットの結果(バンドインテンシティ)に基づき算出したタンパク質の相対値を示すグラフである。前記相対値は、エクソソームのマーカであるCD9タンパク質に対するLAT1タンパク質の比率であり、全エクソソームあたりのLAT1タンパク質の割合、すなわち全エクソソームにおけるLAT1陽性エクソソームの割合に相当する(以下、同様)。また、図1(B)は、参照例である細胞の結果であり、上が、ウェスタンブロットの画像であり、下が、ウェスタンブロットの結果に基づき算出したタンパク質の相対値を示すグラフである。前記相対値は、細胞のマーカであるGAPDHタンパク質に対するLAT1タンパク質の比率であり、全細胞あたりのLAT1タンパク質の割合、すなわち全細胞におけるLAT1陽性細胞の割合に相当する(以下、同様)。
図1(A)に示すように、CD9陽性であることから、いずれの前立腺がん細胞株からもエクソソームが分泌され、且つ、LAT1陽性であった。エクソソームは、破壊することなく分析に供したことから、エクソソーム上にLAT1タンパク質が存在しているといえる。また、図1(A)に示すエクソソームのLAT1タンパク質量の結果は、図1(B)に示す参照例である細胞株のLAT1タンパク質量の結果と相関していた。前述のように、前立腺がん細胞におけるLAT1は、がんマーカとなることが知られているため、前立腺がん細胞から分泌されるエクソソーム上にLAT1タンパク質の存在が確認され、且つ、エクソソーム上のLAT1タンパク質量が前立腺がん細胞のLAT1タンパク質量と相関していることにより、エクソソーム上のLAT1タンパク質が新たながんマーカとなるといえる。
[実施例2]
前立腺がんの治療方法として、前述のように、男性ホルモンのアンドロゲンによる刺激をブロックするために、ブロッキング剤を用いて前立腺がん細胞の増殖を抑えるホルモン治療がある。そこで、ホルモン治療時における前立腺がん細胞から分泌されるエクソソームのLAT1タンパク質の挙動を確認した。
前記ヒト前立腺がん細胞株として、C4-2を使用した。C4-2は、男性ホルモンのアンドロゲンに対する受容体を発現し、且つ去勢耐性(ホルモン抵抗性)を有する細胞株である。この細胞については、前記実施例1において、細胞およびそれから分泌される細胞外小胞がLAT1タンパク質を有することが確認されている。
ウェル内でC4-2を、5%CS-FBS(ホルモンを完全に除去したウシ胎児血清)と1μmol/L アンドロゲン(活性を有する男性ホルモンDHT:ジヒドロテストステロン)とを含むRPMIを用いて培養を開始し(Day0)、60-70%コンフルエントになるまで3日間培養し(Day3)、続いて、培地を3種類の培地(培地1、培地2、培地3)にそれぞれ置換した。培地1(Control)は、DHT含有の同じ培地であり、未治療の系に該当する。培地2(Bicaltamide)は、10μmol/L非ステロイド アンドロゲン受容体拮抗薬(ビカルタミド)と5%CS-FBSとを含むRPMIであり、アンドロゲン受容体の遮断を目的とした治療の系に該当する。培地3(DHT(-))は、DHT未含有・ビカルタミド未含有で5%CS-FBSを含むRPMIであり、DHTおよびビカルタミドの除去により治療を模した系に該当する。培地置換後、さらに、1日間または2日間培養を行い、それぞれの培地(培地1、2、3)から、細胞と上清とをそれぞれ回収した(Day4、Day5)。Day5の前記上清を、4℃、35,000rpm(210,000g)、70分の条件で超遠心分離し(スウィングローターSW41Ti)、細胞外小胞であるエクソソームを含む沈殿画分を回収した。前記沈殿画分を200μLのPBSに懸濁し、エクソソーム検体とした。
Day5の前記エクソソーム検体について、前記実施例1と同様にして、LAT1タンパク質、エクソソームのマーカであるCD9タンパク質の検出を行った。また、参照例であるDay4およびDay5の細胞について、前記実施例1と同様にして、LAT1タンパク質、細胞のマーカであるGAPDH9タンパク質の検出を行った。
これらの結果を図2および図3に示す。図2は、エクソソームの結果であり、上が、ウェスタンブロットの画像であり、下が、ウェスタンブロットの結果に基づき算出したタンパク質の相対値を示すグラフである。図3は、参照例の細胞の結果であり、具体的には、左がDay4の細胞、右がDay5の細胞の結果であり、それぞれ上が、ウェスタンブロットの画像であり、下が、ウェスタンブロットの結果に基づき算出したタンパク質の相対値を示すグラフである。前記相対値は、細胞のマーカであるGAPDHタンパク質に対するLAT1タンパク質の比率であり、全細胞あたりのLAT1タンパク質の割合、すなわち全細胞におけるLAT1陽性細胞の割合に相当する。
まず、図3の参照例について説明する。図3において、Controlは、培地1を使用した未治療の系、Bivcaltamideは、非ステロイドのアンドロゲン受容体拮抗薬(ビカルタミド)含有の培地2を使用した治療の系、DHT(-)は、アンドロゲン(DHT)未含有・ビカルタミド未含有の培地3を使用した治療を模した系である。そして、前述のように、C4-2は、去勢耐性(ホルモン抵抗性)を有する細胞株である。図3に示すように、細胞のLAT1タンパク質は、未治療の系(Control)と比較して、治療の系(Bicaltamide)および治療を模した系(DHT(-))のいずれでもLAT1陽性細胞が増加した。
つぎに、エクソソームに関する図2について説明する。図2のエクソソームの結果においても、LAT1タンパク質を有するエクソソーム(LAT1陽性エクソソーム)は、未治療の系(Control)と比較して、治療の系(Bicaltamide)および治療を模した系(DHT(-))のいずれでも増加した。この結果から、ホルモン療法においてLAT1陽性エクソソームが増加するか否かによって、患者がホルモン療法により抵抗性を獲得するに至ったか否かを判断できることがわかる。そして、抵抗性を獲得した患者に対して、ホルモン療法は有効ではなくなったとして、他の治療方法への切り替えの必要性を判断することができる。
[実施例3]
ヒト乳がん細胞株MCF-7について、エクソソーム上のLAT1タンパク質の存在を確認した。
MCF-7については、前記実施例1の前記前立腺がん細胞と同様に細胞の回収、エクソソーム検体の調製、LAT1の検出をおこなった。
これらの結果を前述の図2のウェスタンブロットの画像にあわせて示す。図2に示すように、CD9陽性であることから、乳がん細胞株からエクソソームが分泌され、且つ、LAT1タンパク質陽性であった。このことから、乳がん細胞株からのエクソソームにおいて、LAT1陽性エクソソームが増加していることが確認できた。
[実施例4]
前立腺腺がんの患者血清を用いて、エクソソーム上のLAT1タンパク質を検出した。
ホルモン療法を行っていない患者4名(P1、P2、P3、P4)および健常者4名(N1、N2、N3、N4)から血清600~1000μLを採取し、4℃、35,000rpm(210,000g)、32分の条件で超遠心分離し(スウィングローターSW41Ti)、細胞外小胞であるエクソソームを含む沈殿画分を回収した。前記沈殿画分を60~100μLのPBSに懸濁し、エクソソーム検体とした。前記患者4名の悪性度およびPSA(前立腺特異抗原、prostate specific antigen)は、表1の通りである。PSAは、前立腺がんの公知のマーカである。前記エクソソーム検体について、前記実施例1と同様にして、LAT1タンパク質およびエクソソームのマーカであるCD9タンパク質の検出を行った。
Figure 2023156159000002
これらの結果を図4に示す。図4は、血清中エクソソームの結果であり、上が、ウェスタンブロットの画像であり、下が、ウェスタンブロットの結果に基づき算出したタンパク質の相対値を示すグラフである。前記相対値は、エクソソームのマーカであるCD9タンパク質に対するLAT1タンパク質の比率であり、全エクソソームあたりのLAT1タンパク質の割合、すなわち全エクソソームにおけるLAT1陽性エクソソームの割合に相当する。図4の上図に示すように、患者および健常者のいずれにおいてもエクソソームが検出されたが、エクソソーム上のLAT1タンパク質は、患者のみで検出された。健常者と比較して、患者は、エクソソームのバンドが薄いにもかかわらずLAT1のバンドが検出されていることから、健常者において、LAT1のバンドが検出されていないことは、エクソソームの量が原因でないことは明らかと言える。また、最も低いPSA値を示す患者P1に関しても、エクソソーム上のLAT1タンパク質を検出できた。これらの結果から、血清中のエクソソーム上のLAT1タンパク質が、がんマーカとして使用できることが確認できた。
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
本発明によれば、細胞そのものではなく、細胞から分泌された細胞外小胞についてLAT1タンパク質を検出することにより、被検者ががんに罹患している可能性を試験することが可能である。また、例えば、血液を検体とし、血液に放出された細胞外小胞のLAT1タンパク質を検出することも可能であるため、患者および医師等の医療従事者の負担となる生検も回避できる。したがって、本発明は、例えば、医療分野において非常に有用な技術といえる。

Claims (9)

  1. 被検者由来の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルを取得する取得工程を含み、
    前記細胞外小胞のLAT1ががんマーカであることを特徴とする、がんリスクを試験する試験方法。
  2. 前記LAT1が、LAT1タンパク質である、請求項1に記載の試験方法。
  3. 前記検体が、被検者から採取した体液である、請求項1または2に記載の試験方法。
  4. 前記検体が、被検者から採取した血液または尿である、請求項1から3のいずれか一項に記載の試験方法。
  5. 前記検体が、細胞が除去された検体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の試験方法。
  6. さらに、前記被検者由来の検体のLAT1レベルと評価基準とを比較する比較工程を含み、
    前記評価基準は、
    がんに罹患していない陰性比較対象者由来の同じ種類の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルであり、
    前記被検者のLAT1レベルが、前記評価基準と比較して高い場合、前記被検者はがんに罹患している可能性があることを意味する、請求項1から5のいずれか一項に記載の試験方法。
  7. さらに、前記被検者由来の検体のLAT1レベルと評価基準とを比較する比較工程を含み、
    前記評価基準は、
    がんに罹患している陽性比較対象者由来の同じ種類の検体中の細胞外小胞のLAT1レベルであり、
    前記被検者のLAT1レベルが、前記評価基準と比較して同一または高い場合、前記被検者はがんに罹患している可能性があることを意味する、請求項1から5のいずれか一項に記載の試験方法。
  8. 前記被検者由来の経時的な複数の検体について、前記取得工程を行い、
    前記検体中の細胞外小胞のLAT1レベルの経時変化情報を得る、請求項1から7のいずれか一項に記載の試験方法。
  9. 前記がんが、前立腺がんまたは乳がんである、請求項1から8のいずれか一項に記載の試験方法。
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