JP2023155181A - 固体組成物、回路基板、及び、固体組成物の製造方法 - Google Patents

固体組成物、回路基板、及び、固体組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】線膨張率が低く、かつ成形性が良好な固体組成物、回路基板、及び、固体組成物の製造方法を提供する。【解決手段】パーフルオロ系フッ素樹脂と、シランカップリング剤で表面処理された異方性フィラーとを含有する固体組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、固体組成物、回路基板、及び、固体組成物の製造方法に関する。
通信の高速化に伴い、電気機器、電子機器、通信機器等に用いられる回路基板には、低誘電、低損失の材料が求められている。このような材料としてフッ素樹脂が検討されているが、フッ素樹脂を使用する場合の課題として、線膨張率を低下させることが挙げられる。
特許文献1には、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂中に分散された無機物質を含む誘電体用樹脂組成物が記載されている。
特許文献2には、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、異方性フィラーと、液状分散媒とを含む分散液が記載されている。
特開2015-40296号公報 国際公開第2021/112164号
本開示は、線膨張率が低く、かつ成形性が良好な固体組成物、回路基板、及び、固体組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本開示(1)
パーフルオロ系フッ素樹脂と、シランカップリング剤で表面処理された異方性フィラーとを含有する固体組成物(以下、「本開示の固体組成物」とも記載する)である。
本開示(2)
前記異方性フィラーは、タルク及び/又は窒化ホウ素である本開示(1)記載の固体組成物である。
本開示(3)
前記異方性フィラーは、モース硬度が4以下である本開示(1)又は(2)記載の固体組成物である。
本開示(4)
前記シランカップリング剤は、含フッ素基、アミノ基、ビニル基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有する本開示(1)~(3)のいずれかに記載の固体組成物である。
本開示(5)
前記パーフルオロ系フッ素樹脂は、不安定末端基が炭素数1×10個あたり50個未満であり、
前記不安定末端基は、前記パーフルオロ系フッ素樹脂の主鎖末端に存在する-CFH、-COF、-COOH、-COOCH、-CONH及び-CHOHからなる群より選択する少なくとも1種である本開示(1)~(4)のいずれかに記載の固体組成物である。
本開示(6)
前記パーフルオロ系フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である本開示(1)~(5)のいずれかに記載の固体組成物である。
本開示(7)
レーザ顕微鏡観察による画像解析において、幅30μm以上の空隙が1mmの面積あたり30個以下である本開示(1)~(6)のいずれかに記載の固体組成物である。
本開示(8)
前記パーフルオロ系フッ素樹脂の20℃~200℃における線膨張率に対して、前記固体組成物の20℃~200℃における線膨張率の減少率が25%以上である本開示(1)~(7)のいずれかに記載の固体組成物である。
本開示(9)
25℃、10GHzの誘電正接は、0.003以下である本開示(1)~(8)のいずれかに記載の固体組成物である。
本開示(10)
フィルム又はシートである本開示(1)~(9)のいずれかに記載の固体組成物である。
本開示(11)
回路基板の絶縁材料である本開示(1)~(10)のいずれかに記載の固体組成物である。
本開示(12)
前記回路基板の絶縁材料は、低誘電材料である本開示(11)記載の固体組成物である。
本開示(13)
本開示(1)~(12)のいずれかに記載の固体組成物と、導電層とを有する回路基板(以下、「本開示の回路基板」とも記載する)である。
本開示(14)
前記導電層は、金属である本開示(13)記載の回路基板である。
本開示(15)
前記金属は、前記固体組成物側の面の表面粗度Rzが2.0μm以下である本開示(14)記載の回路基板である。
本開示(16)
前記金属は、銅である本開示(14)又は(15)記載の回路基板である。
本開示(17)
プリント基板、積層回路基板又は高周波基板である本開示(13)~(16)のいずれかに記載の回路基板である。
本開示(18)
本開示(1)~(12)のいずれかに記載の固体組成物の製造方法であって、前記パーフルオロ系フッ素樹脂及び前記異方性フィラーを溶融混練し、前記固体組成物を得る固体組成物の製造方法(以下、「本開示の製造方法」とも記載する)である。
本開示によれば、線膨張率が低く、かつ成形性が良好な固体組成物、回路基板、及び、固体組成物の製造方法を提供することができる。
本明細書において、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO-、
RaCO-、
RaSO-、
RaCOO-、
RaNRaCO-、
RaCONRa-、
RaOCO-、
RaOSO-、及び、
RaNRbSO
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
Rbは、独立して、H又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
以下、本開示を具体的に説明する。
本開示の固体組成物は、パーフルオロ系フッ素樹脂と、シランカップリング剤で表面処理された異方性フィラーを含有する。
本開示の固体組成物は、上記異方性フィラーを含むことで、パーフルオロ系フッ素樹脂を含んでいるにも関わらず、線膨張率が低く、さらに、成形性が良好となる。
また、上記異方性フィラーを配合することで、本開示の固体組成物をペレットにした際、内部の空隙が少なくなる。これにより、当該ペレットから形成されるフィルムやシートの機械的特性が良好となる。
また、上記異方性フィラーを配合することで、電気特性を向上させることができる。
また、特許文献1に記載されているように、通常、異方性フィラーとフッ素樹脂とを溶融混練する場合、強い応力が必要となり、異方性フィラーの特性(電気特性の向上効果等)が損なわれてしまう場合があったが、上記異方性フィラーは、シランカップリング剤で表面処理されているため、フッ素樹脂と溶融混練しても、その特性を維持することができる。そして、溶融混練を行うことで、フッ素樹脂中に異方性フィラーを良好に分散させ、電気特性等をより良好とすることができる。
また、本開示の固体組成物は、固体であることで、特許文献2に記載された分散液と比較して、製造工程が少なく、厚膜化が容易という利点がある。
加えて、本開示の固体組成物は、パーフルオロ系フッ素樹脂を使用しているため、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等の他のフッ素樹脂と比較して、良好な電気特性が得られる。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂は、パーフルオロモノマー等の含フッ素モノマーを主成分とする共重合体であって、主鎖を構成する繰返し単位において、炭素原子に結合した水素原子が非常に少ないフッ素樹脂であり、末端構造等、主鎖を構成する繰返し単位以外においては、炭素原子に結合した水素原子を有しても構わない。また、樹脂中の含フッ素モノマーの含有量が90mol%以上であれば、含フッ素モノマー以外のモノマーを共重合しても構わない。含フッ素モノマーの含有量は、好ましくは95mol%以上、より好ましくは99mol%以上であり、100mol%であってもよい。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂としては、パーフルオロモノマーであるテトラフルオロエチレン[TFE]の重合体や、TFEと共重合可能な共重合モノマーとの共重合体等を用いることができる。
なお、本明細書において、上記「パーフルオロモノマー」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなるモノマーを意味する。
上記共重合モノマーとしては、TFEとの共重合が可能なもので、かつ主鎖を構成する炭素原子に結合した水素原子を含有しないものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン[HFP]や、後述のフルオロアルキルビニルエーテル、フルオロアルキルエチレン、一般式(100):CH=CFRf101(式中、Rf101は炭素数1~12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、フルオロアルキルアリルエーテル等の含フッ素モノマーが挙げられる。また、含フッ素モノマー以外のモノマーとしては、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水マレイン酸等が挙げられる。上記共重合モノマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、
一般式(110):CF=CF-ORf111
(式中、Rf111は、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(120):CF=CF-OCH-Rf121
(式中、Rf121は、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、
一般式(130):CF=CFOCFORf131
(式中、Rf131は炭素数1~6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5~6の環式パーフルオロアルキル基、1~3個の酸素原子を含む炭素数2~6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(140):CF=CFO(CFCF(Y141)O)(CF
(式中、Y141はフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。mは1~4の整数である。nは1~4の整数である。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(150):CF=CF-O-(CFCFY151-O)-(CFY152-A151
(式中、Y151は、フッ素原子、塩素原子、-SOF基又はパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、エーテル性の酸素及び-SOF基を含んでもよい。nは、0~3の整数を表す。n個のY151は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Y152は、フッ素原子、塩素原子又は-SOF基を表す。mは、1~5の整数を表す。m個のY152は、同一であってもよいし異なっていてもよい。A151は、-SO151、-COZ151又は-POZ152153を表す。X151は、F、Cl、Br、I、-OR151又は-NR152153を表す。Z151、Z152及びZ153は、同一又は異なって、-NR154155又は-OR156を表す。R151、R152、R153、R154、R155及びR156は、同一又は異なって、H、アンモニウム、アルカリ金属、フッ素原子を含んでも良いアルキル基、アリール基、若しくはスルホニル含有基を表す。)で表されるフルオロモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf111が炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5である。
一般式(110)におけるパーフルオロ有機基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、更に、上記一般式(110)において、Rf111が炭素数4~9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 2023155181000001
(式中、mは、0又は1~4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 2023155181000002
(式中、nは、1~4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、なかでも、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)[PAVE]が好ましく、
一般式(160):CF=CF-ORf161
(式中、Rf161は、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるフルオロモノマーがより好ましい。Rf161は、炭素数が1~5のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
フルオロアルキルビニルエーテルとしては、一般式(160)、(130)及び(140)で表されるフルオロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(160)で表されるフルオロモノマー(PAVE)としては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)[PMVE]、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)[PEVE]、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)[PPVE]からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
一般式(130)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFOCF、CF=CFOCFOCFCF、及び、CF=CFOCFOCFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(140)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCF(CF)O(CFF、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFF、及び、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(150)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CFCFSOF)OCFCFSOF及びCF=CFOCFCF(SOF)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf101が直鎖のフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが好ましく、Rf101が直鎖のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーがより好ましい。Rf101の炭素数は1~6であることが好ましい。一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、CH=CFCF、CH=CFCFCF、CH=CFCFCFCF、CH=CFCFCFCFH、CH=CFCFCFCFCF、CHF=CHCF(E体)、CHF=CHCF(Z体)等が挙げられ、なかでも、CH=CFCFで示される2,3,3,3-テトラフルオロプロピレンが好ましい。
フルオロアルキルエチレンとしては、
一般式(170):CH=CH-(CF-X171
(式中、X171はH又はFであり、nは3~10の整数である。)で表されるフルオロアルキルエチレンが好ましく、CH=CH-C、及び、CH=CH-C13からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記フルオロアルキルアリルエーテルとしては、例えば、
一般式(170):CF=CF-CF-ORf111
(式中、Rf111は、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマーが挙げられる。
一般式(170)のRf111は、一般式(110)のRf111と同じである。Rf111としては、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基または炭素数1~10のパーフルオロアルコキシアルキル基が好ましい。一般式(170)で表されるフルオロアルキルアリルエーテルとしては、CF=CF-CF-O-CF、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、CF=CF-CF-O-CFCFCFが更に好ましい。
上記共重合モノマーとしては、固体組成物の変形を少なくでき、線膨張率を低くできる点で、パーフルオロビニル基を有するモノマーが好ましく、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、及び、パーフルオロアリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、PAVE、及び、HFPからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、固体組成物の半田加工時の変形を抑制できる点で、PAVEが特に好ましい。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂は、上記共重合モノマー単位を合計で、全単量体単位の0.1質量%以上含むことが好ましく、1.0質量%以上含むことがより好ましく、1.1質量%以上含むことが更に好ましい。上記共重合モノマー単位の合計量は、また、全単量体単位の30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
上記共重合モノマー単位の量は、19F-NMR法により測定する。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂としては、固体組成物の変形を少なくでき、線膨張率を低くできる点で、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(アルキルビニル)エーテル(PAVE)共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体(FEP)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、PFA及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、PFAが更に好ましい。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂がTFE単位及びPAVE単位を含むPFAである場合、PAVE単位を全重合単位に対して0.1~12質量%含むことが好ましい。PAVE単位の量は、全重合単位に対して0.3質量%以上であることがより好ましく、0.7質量%以上であることが更に好ましく、1.0質量%以上であることが更により好ましく、1.1質量%以上であることが特に好ましく、また、8.0質量%以下であることがより好ましく、6.5質量%以下であることが更に好ましく、6.0質量%以下であることが特に好ましい。
なお、上記PAVE単位の量は、19F-NMR法により測定する。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂がTFE単位及びHFP単位を含むFEPである場合、TFE単位とHFP単位との質量比(TFE/HFP)が70~99/1~30(質量%)であることが好ましい。上記質量比(TFE/HFP)は、85~95/5~15(質量%)がより好ましい。
上記FEPは、HFP単位を全単量体単位の1質量%以上、好ましくは1.1質量%以上含む。
上記FEPは、TFE単位及びHFP単位とともに、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)[PAVE]単位を含むことが好ましい。
上記FEPに含まれるPAVE単位としては、上述したPFAを構成するPAVE単位と同様のものを挙げることができる。なかでも、PPVEが好ましい。
上述したPFAは、HFP単位を含まないので、その点で、PAVE単位を含むFEPとは異なる。
上記FEPが、TFE単位、HFP単位、及び、PAVE単位を含む場合、質量比(TFE/HFP/PAVE)が70~99.8/0.1~25/0.1~25(質量%)であることが好ましい。上記範囲内であると、耐熱性、耐薬品性に優れている。
上記質量比(TFE/HFP/PAVE)は、75~98/1.0~15/1.0~10(質量%)であることがより好ましい。
上記FEPは、HFP単位及びPAVE単位を合計で全単量体単位の1質量%以上、好ましくは1.1質量%以上含む。
上記TFE単位、HFP単位、及び、PAVE単位を含むFEPは、HFP単位が全単量体単位の25質量%以下であることが好ましい。
HFP単位の含有量が上述の範囲内であると、耐熱性に優れた固体組成物を得ることができる。
HFP単位の含有量は、20質量%以下がより好ましく、18質量%以下が更に好ましい。特に好ましくは15質量%以下である。また、HFP単位の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。特に好ましくは、2質量%以上である。
なお、HFP単位の含有量は、19F-NMR法により測定することができる。
PAVE単位の含有量は、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。特に好ましくは3質量%以下である。また、PAVE単位の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。なお、PAVE単位の含有量は、19F-NMR法により測定することができる。
上記FEPは、更に、他のエチレン性単量体(α)単位を含んでいてもよい。
他のエチレン性単量体(α)単位としては、TFE、HFP及びPAVEと共重合可能な単量体単位であれば特に限定されず、例えば、フッ化ビニル[VF]、フッ化ビニリデン[VdF]、クロロトリフルオロエチレン[CTFE]等の含フッ素エチレン性単量体や、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル等の非フッ素化エチレン性単量体等が挙げられる。
上記FEPがTFE単位、HFP単位、PAVE単位、及び、他のエチレン性単量体(α)単位を含む場合、質量比(TFE/HFP/PAVE/他のエチレン性単量体(α))は、70~98/0.1~25/0.1~25/0.1~10(質量%)であることが好ましい。
上記FEPは、TFE単位以外の単量体単位を合計で全単量体単位の1質量%以上、好ましくは1.1質量%以上含む。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂は、上記PFA及び上記FEPであることも好ましい。言い換えると、上記PFAと上記FEPとを混合して使用することも可能である。上記PFAと上記FEPとの質量比(PFA/FEP)は、90/10~30/70であることが好ましく、90/10~50/50であることがより好ましい。
上記PFA、上記FEPは、例えば、その構成単位となるモノマーや、重合開始剤等の添加剤を適宜混合して、乳化重合、懸濁重合を行う等の従来公知の方法により製造することができる。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂は、不安定末端基が炭素数1×10個あたり700個未満であることが好ましく、300未満がより好ましく、100個未満が更に好ましく、50個未満が特に好ましい。下限は特に限定されない。上記範囲内であれば、電気特性がより良好となる。
なお、上記不安定末端基は、電気特性(特に、誘電正接)の点から、上記パーフルオロ系フッ素樹脂の主鎖末端に存在する-CFH、-COF、-COOH、-COOCH、-CONH及び-CHOHからなる群より選択する少なくとも1種であることが好ましい。これらは、水と会合していてもよい。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂は、-CFH末端が炭素数1×10個あたり600個未満であることが好ましく、200未満がより好ましく、100個未満が更に好ましく、30個未満が特に好ましい。下限は特に限定されない。上記範囲内であれば、電気特性(特に、誘電正接)がより良好となる。
上記不安定末端基の数は、例えば、上記パーフルオロ系フッ素樹脂をフッ素化処理することで低減することができる。
上記フッ素化処理は公知の方法により行うことができ、例えば、フッ素化処理されていないフッ素樹脂とフッ素含有化合物とを接触させることにより行うことができる。
また、上記フッ素含有化合物としては、フッ素化処理条件下にてフッ素ラジカルを発生するフッ素ラジカル源、例えば、Fガス、CoF、AgF、UF、OF、N、CFOF、及び、フッ化ハロゲン(例えばIF、ClF)等が挙げられる。
上記不安定末端基の数は、赤外分光分析法によって測定できる。具体的には、まず、上記パーフルオロ系フッ素樹脂で構成された厚さ0.25~0.3mmのフィルム状の試料を作製する。この試料をフーリエ変換赤外分光分析により分析して、上記共重合体の赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化処理されて不安定末端基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の不安定末端基の吸収ピークから、下記式(A)に従って、上記共重合体における炭素原10個あたりの不安定末端基数Nを算出する。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルム(試料)の厚さ(mm)
なお、上記試料は、上記パーフルオロ系フッ素樹脂を成形して得られるペレット又はシートから切り出したものである。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂は、融点が240~340℃であることが好ましい。これにより、溶融混練を容易に行うことができる。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂の融点は、より好ましくは318℃以下、更に好ましくは315℃以下であり、また、より好ましくは245℃以上、更に好ましくは250℃以上である。
なお、パーフルオロ系フッ素樹脂の融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂は、372℃におけるメルトフローレート(MFR)が0.1~100g/10分であることが好ましい。これにより、溶融混練を容易に行うことができる。
MFRは、0.5g/10分以上がより好ましく、1.5g/10分以上が更に好ましく、80g/10分以下がより好ましく、40g/10分以下が更に好ましい。
MFRは、ASTM D1238に従って、メルトインデクサー((株)安田精機製作所製)を用いて、372℃、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)として得られる値である。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂の比誘電率と誘電正接は特に限定されず、25℃、周波数10GHzにおいて、比誘電率が4.5以下であればよいが、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.5以下であり、更に好ましくは2.5以下である。また誘電正接が0.01以下であればよいが、好ましくは0.008以下であり、より好ましくは0.005以下である。これらの下限は特に限定されないが、例えば、比誘電率は1.0以上、誘電正接は0.0001以上であってよい。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂の含有量は、上記固体組成物に対して、40~90質量%が好ましい。上記パーフルオロ系フッ素樹脂の含有量は、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であり、また、より好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
上記異方性フィラーは、異方性形状を有する(方向によって径が異なる)粒子であり、カーボン、雲母、クレー、タルク等が挙げられる。また、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物も使用可能である。なかでも、成形性が良好となるという点から、タルク、窒化ホウ素が好ましく、タルクがより好ましい。
上記異方性フィラーは、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記異方性フィラーは、分散性が良好となるという点から、モース硬度が4以下であることが好ましい。上記異方性フィラーは、より好ましくは3以下であり、また、好ましくは1以上である。
上記モース硬度は、1~10を尺度とする旧モース硬度であり、モース硬度計により測定することができる。
上記異方性フィラーは、平均粒子径が0.1~50μmであることが好ましい。上記平均粒子径は、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、また、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。
上記平均粒子径は、レーザ回折・散乱法によって測定した値である。
上記異方性フィラーは、アスペクト比が1~5000であることが好ましい。上記アスペクト比の下限は、10であることがより好ましく、20であることが更に好ましい。上記アスペクト比の上限は、1000であることがより好ましく、200であることが更に好ましい。
上記アスペクト比は、上記異方性フィラーの平均粒子径を平均短径(短手方向の長さの平均値)で除した値である。
上記異方性フィラーの形状としては、特に限定されないが、鱗片状、板状、針状、粒状、球状、柱状、錘状、錘台状、多面体状、中空状等が挙げられる。
上記異方性フィラーは、シランカップリング剤で表面処理されている。表面処理の方法は特に限定されず、一般的な方法を使用できる。
上記シランカップリング剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤が有する官能基は、樹脂との親和性を高めるという点から、含フッ素基、アミノ基、ビニル基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、含フッ素基、アミノ基及びビニル基からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、含フッ素基、アミノ基が更に好ましい。
上記異方性フィラーの含有量は、上記固体組成物に対して、10~60質量%が好ましい。上記異方性フィラーの含有量は、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。
本開示の固体組成物は、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、充填剤、架橋剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、発泡剤、発泡核剤、酸化防止剤、界面活性剤、光重合開始剤、摩耗防止剤、表面改質剤、樹脂(但し、上記改質フッ素樹脂を除く)、液晶ポリマー等の添加剤等を挙げることができる。
上記他の成分としては、上記異方性フィラー以外の無機フィラーが好ましい。無機フィラーを含むことで、強度の向上効果、線膨張率の低下効果等が得られる。
上記無機フィラーの具体例としては、酸化亜鉛、シリカ(より具体的には結晶性シリカ、溶融シリカ、球状溶融シリカ等)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、酸化インジウム、アルミナ、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の無機化合物(酸化亜鉛を除く)が挙げられる。また、モンモリロナイト、タルク、マイカ、ベーマイト、カオリン、スメクタイト、ゾノライト、バーキュライト、セリサイト等の鉱物が挙げられる。その他の無機フィラーとしては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素化合物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーン等の各種ガラス等を挙げることができる。
上記無機フィラーは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
また、上記無機フィラーは、粉体をそのまま使用してもよく、樹脂中に分散させたものを用いてもよい。
上記無機フィラーは、紫外線吸収性を持つものが好ましい。紫外線吸収性を持つとは、波長が355nmの光の吸光度が0.1以上であることを意味する。
なお、上記光の吸光度は、紫外可視近赤外分光光度計(例えば、日本分光株式会社製「V-770」)を用いて、厚み100μmとなるように充填した上記無機フィラーの粉末に対し、反射配置で測定した際の値である。
紫外線吸収性を持つ上記無機フィラーとしては、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられ、酸化亜鉛が好ましい。
上記無機フィラーの形状としては、特に限定されず、上記異方性フィラーと同様のものが挙げられる。
本開示の固体組成物が上記無機フィラーを含む場合、上記無機フィラーの含有量は、上記固体組成物に対して、0.01~5.0質量%が好ましい。上記無機フィラーの含有量は、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下である。
上記無機フィラーは、平均粒子径が0.01~20μmであることが好ましい。平均粒子径が上記範囲内であると、凝集が少なく、良好な表面粗度を得ることができる。上記平均粒子径の下限は、0.02μmであることがより好ましく、0.03μmであることが更に好ましい。上記平均粒子径の上限は、5μmであることがより好ましく、2μmであることが更に好ましい。
上記平均粒子径は、レーザ回折・散乱法によって測定した値である。
上記無機フィラーは、表面処理されたものであってもよく、例えば、シリコーン化合物で表面処理されたものであってもよい。上記シリコーン化合物で表面処理することにより、無機フィラーの誘電率を低下させることができる。
上記シリコーン化合物としては特に限定されず、従来公知のシリコーン化合物を使用することができる。例えば、シランカップリング剤及びオルガノシラザンからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
上記シリコーン化合物の表面処理量は、無機フィラー表面への表面処理剤の反応量が単位表面積(nm)あたり0.1~10個であることが好ましく、0.3~7個であることがより好ましい。
本開示の固体組成物は、レーザ顕微鏡観察の画像解析において、幅30μm以上の空隙が1mmの面積あたり30個以下であることが好ましい。上記空隙は、より好ましくは25個以下、更に好ましくは20個以下であり、0個であってもよい。上記範囲内であれば、成形性(特に、シート成形性、ストランド引取り安定性)がより良好となる。
なお、上記レーザ顕微鏡観察の画像解析は、本開示の固体組成物をペレット化し、その断面に対して実施したものである。
本開示の固体組成物は、20℃~200℃における線膨張率が、好ましくは160ppm/℃以下、より好ましくは120ppm/℃以下である。下限は特に限定されないが、例えば、100ppm/℃であってよい。
また、上記パーフルオロ系フッ素樹脂の20℃~200℃における線膨張率に対して、本開示の固体組成物の20℃~200℃における線膨張率の減少率は、好ましくは25%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上である。上限は特に限定されないが、例えば、60%であってよい。
本開示の固体組成物は、25℃、10GHzの比誘電率が、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下である。下限は特に設定されないが、例えば、1.0であってよい。上記範囲内であれば、回路基板に好適に利用できる。
本開示の固体組成物は、25℃、10GHzの誘電正接が、好ましくは0.003以下、より好ましくは0.002以下、更に好ましくは0.0015以下である。下限は特に限定されないが、例えば、0.0001であってよい。上記範囲内であれば、回路基板に好適に利用できる。
本開示の固体組成物の形状は特に限定されず、ペレット、フィルム、シート等が挙げられる。回路基板に使用する場合、フィルム、シートが好ましい。ペレットは、成形用材料として使用可能である。
本開示の固体組成物は、上記パーフルオロ系フッ素樹脂及び上記異方性フィラーを溶融混練し、上記固体組成物を得る製造方法により、好適に製造することができる。本開示は、上記製造方法も提供する。
なお、本開示の固体組成物は、上記製造方法以外の方法、例えば、射出成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空・圧空成形で製造されてもよい。また、溶媒に分散又は溶解させた状態であれば、ペースト押出、キャスト法等で製造されてもよい。
上記溶融混練に使用する装置は特に限定されず、二軸押出機、単軸押出機、多軸押出機、タンデム押出機等を使用できる。
上記溶融混練の時間は、1~1800秒が好ましく、60~1200秒がより好ましい。時間が長すぎると、フッ素樹脂が劣化するおそれがあり、時間が短すぎると、上記酸化亜鉛を十分に分散できないおそれがある。
上記溶融混練の温度は、上記パーフルオロ系フッ素樹脂及び上記異方性フィラーの融点以上であればよいが、240~450℃が好ましく、260~400℃がより好ましい。
パーフルオロ系フッ素樹脂と異方性フィラーとを含む本開示の固体組成物は、線膨張率が低く、かつ成形性に優れ、さらに分散性も良好であることを本発明者らは見出した。これらの特性は、回路基板用材料に適したものである。
すなわち、本開示の固体組成物は、回路基板の絶縁材料(特に、低誘電材料)、熱伝導材料として好適に用いられる。
なお、本明細書において、「低誘電材料」は、25℃、10GHzの比誘電率が5.0以下、かつ、25℃、10GHzの誘電正接が0.003以下である材料を意味し、25℃、10GHzの比誘電率が4.0以下、かつ25℃、10GHzの誘電正接が0.002以下である材料がより好ましく、25℃、10GHzの比誘電率が3.5以下、かつ25℃、10GHzの誘電正接が0.0012以下である材料が更に好ましい。
本開示の回路基板は、上述した本開示の固体組成物と、導電層とを有する。
上記導電層としては、金属を用いることが好ましい。
上記金属としては、銅、ステンレス、アルミニウム、鉄、銀、金、ルテニウム等が挙げられる。また、これらの合金も使用可能である。なかでも、銅が好ましい。
上記銅としては、圧延銅、電解銅等を使用できる。
上記金属は、上記固体組成物側の面の表面粗度Rzが2.0μm以下であることが好ましい。これにより、上記固体組成物と上記金属とを接合した際の伝送損失が良好となる。
上記表面粗度Rzは、より好ましくは1.8μm以下、更に好ましくは1.5μm以下であり、また、より好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.5μm以上である。
なお、上記表面粗度Rzは、JIS C 6515-1998の方法で算出される値(最大高さ粗さ)である。
上記導電層の厚みは、例えば、2~200μmであってよく、5~50μmであることが好ましい。
上記導電層は、本開示の固体組成物を含む層の片面のみに設けてもよく、両面に設けてもよい。
本開示の固体組成物を含む層の膜厚は、例えば、1μm~1mmであってよく、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上であり、また、好ましくは800μm以下、より好ましくは600μm以下である。
特許文献2に記載された分散液から成膜する場合、通常、膜厚を50μm以上とすることは困難であるが、本開示の固体組成物から成膜する場合、容易に膜厚を50μm以上とすることができる。
本開示の回路基板は、本開示の固体組成物及び導電層に、更にパーフルオロ系フッ素樹脂以外の樹脂が積層されたものでも構わない。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂以外の樹脂としては、熱硬化性樹脂を好適に用いることができる。
上記熱硬化性樹脂は、ポリイミド、変性ポリイミド、エポキシ樹脂、熱硬化性変性ポリフェニレンエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、エポキシ樹脂、変性ポリイミド、熱硬化性変性ポリフェニレンエーテルであることがより好ましく、エポキシ樹脂、熱硬化性変性ポリフェニレンエーテルが更に好ましい。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂以外の樹脂は、熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。
熱硬化性樹脂以外の樹脂としては、液晶ポリマー、ポリフェニレンエーテル、熱可塑性変性ポリフェニレンエーテル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記パーフルオロ系フッ素樹脂以外の樹脂の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1500μm以下である。
なお、上記パーフルオロ系フッ素樹脂以外の樹脂は、厚みが略一定のシート状であることが好ましいが、上記パーフルオロ系フッ素樹脂に厚みが異なる部分が存在する場合、上記厚みは、上記パーフルオロ系フッ素樹脂を長手方向に等間隔に10分割した地点の厚みを測定し、それらを平均したものとする。
本開示の回路基板の厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上であり、また、好ましくは5000μm以下、より好ましくは3000μm以下である。
なお、本開示の回路基板の形状は、厚みが略一定のシート状であることが好ましいが、上記基盤に厚みが異なる部分が存在する場合、上記基板を長手方向に等間隔に10分割した地点の厚みを測定し、それらを平均したものとする。
本開示の回路基板は、プリント基板、積層回路基板(多層基板)、高周波基板として好適に用いられる。
高周波回路基板は、高周波帯域でも動作させることが可能な回路基板である。高周波帯域とは、1GHz以上の帯域であってよく、3GHz以上の帯域であることが好ましく、5GHz以上の帯域であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、100GHz以下の帯域であってもよい。
本開示の回路基板は、シートであることが好ましい。本開示の回路基板の厚みは、10~3500μmであることが好ましく、20~3000μmであることがより好ましい。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
次に実施例を挙げて本開示を更に詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例で使用する材料は、以下のとおりである。
(パーフルオロ系フッ素樹脂)
PFA1(TFE/PAVE(質量%):97.9/2.1、含フッ素モノマーの含有量:100mol%、融点:304℃、MFR:29g/10分、比誘電率(25℃、10GHz):2.1、誘電正接(25℃、10GHz):0.0003)
PFA2(TFE/PAVE(質量%):97.9/2.1、含フッ素モノマーの含有量:100mol%、融点:303℃、MFR:29g/10分、比誘電率(25℃、10GHz):2.0、誘電正接(25℃、10GHz):0.001)
FEP(TFE/HFP/PAVE(質量%):87.5/11.5/1.0、含フッ素モノマーの含有量:100mol%、融点:255℃、MFR:24g/10分、比誘電率(25℃、10GHz):2.1、誘電正接(25℃、10GHz):0.0008)
(フィラー)
タルク1(平均粒子径:7μm、アスペクト比:45~50、モース硬度(旧モース硬度):1、表面処理:フッ素シラン(含フッ素基含有シランカップリング剤)で処理)
タルク2(平均粒子径:7μm、アスペクト比:30、モース硬度(旧モース硬度):1、表面処理:フッ素シラン(含フッ素基含有シランカップリング剤)で処理)
タルク3(平均粒子径:7μm、アスペクト比:30、モース硬度(旧モース硬度):1、表面処理:アミノシラン(アミノ基含有シランカップリング剤)で処理)
タルク4(平均粒子径:7μm、アスペクト比:30、モース硬度(旧モース硬度):1、表面処理:ビニルシラン(ビニル基含有シランカップリング剤)で処理)
タルク5(平均粒子径:5μm、アスペクト比:30、モース硬度(旧モース硬度):1、表面処理:フッ素シラン(含フッ素基含有シランカップリング剤)で処理)
タルク6(平均粒子径:7μm、アスペクト比:45~50、モース硬度(旧モース硬度):1、表面処理:なし)
酸化亜鉛(平均粒子径:0.035μm、表面処理:なし、紫外線吸収性:あり(355nmの光の吸光度が0.1以上))
パーフルオロ系フッ素樹脂中の不安定末端基の数を、以下の表に示す。なお、測定は、後述の実施例と同様の方法でパーフルオロ系フッ素樹脂からなるペレット及びシートを作製し、そこから切り出したフィルム状の試料を用いて行った。
Figure 2023155181000003
(実施例及び比較例)
<実施例2以外のペレット化の製法>
パーフルオロ系フッ素樹脂及びフィラーを、下記表に示す割合(質量%)で、2軸スクリュー押出機により360℃の温度条件下で溶融混練した後、水浴中で冷却し、得られた固体組成物(ストランド)をカットしてペレット化した。
<実施例2のペレット化の製法>
パーフルオロ系フッ素樹脂及びフィラーを、下記表に示す割合(質量%)で、ラボプラストミルミキサーを用いて溶融混練(時間:600秒、温度:350℃)した後、自然冷却し、固体組成物を得た。得られた固体組成物を破砕し、ペレット化した。
上記で得られたペレットを、350℃でプレス成形し、厚さ100μmのシートを得た。比較例4は、流動性が低く、シートへの成形はできなかった。
実施例10は、実施例1で得られたシートをCu箔(電解銅、厚み:18μm、シートに接合される側の表面粗度Rz:1.4μm)と積層し、加熱温度:320℃、圧力:15kNで5分間プレスすることにより、銅箔の片面にシートが接合された接合体を得た。
(ストランド引取り安定性)
上記ペレットを形成する際のストランドの引取り安定性を以下の基準で評価した。
◎:安定
〇:時々切れる
×:ストランドが引けない
(シート成形性)
上記シートを形成する際の成形性を以下の基準で評価した。
◎:泡噛み無し
〇:部分的に泡噛み無し
(空隙の数(レーザ顕微鏡観察の画像解析))
以下の方法で、1mmの面積あたりの幅30μm以上の空隙の数を評価した。
上記ペレットを剃刀で切出し、断面をレーザ顕微鏡で観察した。空隙の数は、倍率50倍で測定した画像で面積0.069mm(縦0.23mm、横0.3mm)の面積当たりの空隙の数を数え、1mmの面積あたりの数に換算した。
(線膨張率(CTE)減少率)
上記シートの線膨張率(線膨張係数)は、TMA―7100(株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて以下のモードによるTMA測定を行い求めた。
そして、上記パーフルオロ系フッ素樹脂についても同様の測定を行い、以下の計算式により、樹脂単独の線膨張率(フィラー添加前の線膨張率)に対する減少率を算出し、以下の基準で評価した。
[引張モード測定]
サンプル片として、長さ20mm、幅4mm、に切出した厚み25μmの押出フィルムを用いて、49mNの荷重で引張ながら昇温速度2℃/分で20~200℃でのサンプルの変位量から線膨張率を求めた。
[減少率の計算式]
(減少率/%)=(B1-B2)×100/B1
B1:フィラー添加前の線膨張率/ppm/℃
B2:フィラー添加後の線膨張率/ppm/℃
[基準]
◎:50%以上
〇:50%未満、25%以上
×:25%未満
(比誘電率(Dk)、誘電正接(Df))
上記シートに対して、スプリットシリンダ式誘電率・誘電正接測定装置(EM lab社製)を用いて、25℃、10GHzのDk及びDfを測定し、以下の基準で評価した。
[比誘電率の基準]
◎:5未満
[誘電正接の基準]
◎:0.0012未満
〇:0.0012以上0.003未満
(ピール試験)
JIS C 6481-1996に準拠した方法で、ピール試験(90度剥離試験)を実施した。上記で得られた実施例10の接合体の端部の樹脂を1cm程度剥がし、試験機のチャックに挟み、引張速度(移動速度)50mm/分の条件で、剥離強度(単位:N/cm)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:10N/cm以上
Figure 2023155181000004

Claims (18)

  1. パーフルオロ系フッ素樹脂と、シランカップリング剤で表面処理された異方性フィラーとを含有する固体組成物。
  2. 前記異方性フィラーは、タルク及び/又は窒化ホウ素である請求項1記載の固体組成物。
  3. 前記異方性フィラーは、モース硬度が4以下である請求項1又は2記載の固体組成物。
  4. 前記シランカップリング剤は、含フッ素基、アミノ基、ビニル基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有する請求項1又は2記載の固体組成物。
  5. 前記パーフルオロ系フッ素樹脂は、不安定末端基が炭素数1×10個あたり50個未満であり、
    前記不安定末端基は、前記パーフルオロ系フッ素樹脂の主鎖末端に存在する-CFH、-COF、-COOH、-COOCH、-CONH及び-CHOHからなる群より選択する少なくとも1種である請求項1又は2記載の固体組成物。
  6. 前記パーフルオロ系フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の固体組成物。
  7. レーザ顕微鏡観察による画像解析において、幅30μm以上の空隙が1mmの面積あたり30個以下である請求項1又は2記載の固体組成物。
  8. 前記パーフルオロ系フッ素樹脂の20℃~200℃における線膨張率に対して、前記固体組成物の20℃~200℃における線膨張率の減少率が25%以上である請求項1又は2記載の固体組成物。
  9. 25℃、10GHzの誘電正接は、0.003以下である請求項1又は2記載の固体組成物。
  10. フィルム又はシートである請求項1又は2記載の固体組成物。
  11. 回路基板の絶縁材料である請求項1又は2記載の固体組成物。
  12. 前記回路基板の絶縁材料は、低誘電材料である請求項11記載の固体組成物。
  13. 請求項1又は2記載の固体組成物と、導電層とを有する回路基板。
  14. 前記導電層は、金属である請求項13記載の回路基板。
  15. 前記金属は、前記固体組成物側の面の表面粗度Rzが2.0μm以下である請求項14記載の回路基板。
  16. 前記金属は、銅である請求項14記載の回路基板。
  17. プリント基板、積層回路基板又は高周波基板である請求項13記載の回路基板。
  18. 請求項1又は2記載の固体組成物の製造方法であって、前記パーフルオロ系フッ素樹脂及び前記異方性フィラーを溶融混練し、前記固体組成物を得る固体組成物の製造方法。
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