JP2023154790A - 紙の加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】付与効率に優れ、抄紙工程用薬品の効果を十分に発揮することができる紙の加工方法を提供すること。【解決手段】本発明は、抄紙工程における湿紙Xに抄紙工程用薬品を付与する紙の加工方法であって、プレスロールPrでプレスされた後のプレスパートP2、又は、ドライパートP3、を走行する湿紙Xであり、且つ、水分率を10~60%とした湿紙Xに対し、抄紙工程用薬品を付与する第1ステップと、該抄紙工程用薬品が付与された湿紙XをドライパートP3で乾燥させ紙とする第2ステップと、を有する紙X1の加工方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、紙の加工方法に関し、更に詳しくは、抄紙工程における湿紙に抄紙工程用薬品を付与する紙の加工方法に関する。
抄紙工程は、いわゆる抄紙機を用いて紙を製造するための工程である。
抄紙工程においては、紙の生産性や物性を向上させる観点から、通常、紙力増強剤等の抄紙工程用薬品が用いられる。
ここで、抄紙工程において、抄紙工程用薬品の付与方法には、3つの方式が知られている。
すなわち、原料に、抄紙工程用薬品を予め添加する内添方式と、ワイヤーパートにおける湿紙に、抄紙工程用薬品を散布し、抄き合わせる層間方式と、ドライパート後の乾燥された紙に、抄紙工程用薬品を塗布し、再度、追加した乾燥設備で乾燥を行う表面方式とがある。
例えば、内添方式の具体例としては、両性ポリアクリルアミドを含有するポリアクリルアミド系内添紙力剤(例えば、特許文献1参照)や、原料パルプ、アミドアミン化合物及びポリアクリルアミド系紙力増強剤を含有する原紙と、澱粉、及びスチレン系サイズ剤を主成分とする表面サイズ剤から形成された含浸層と、顔料及び接着剤を含有する被覆層とを有する印刷用紙(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
層間方式の具体例としては、高分子量カチオンポリマーをアニオン澱粉に吸着させて得た自己定着型澱粉の水性スラ リーを抄き合わせ層間へスプレーする板紙の製造方法(例えば、特許文献3参照)や、未糊化澱粉類、イオン性アクリルアミド系共重合体、水溶性アルミニウム化合物、並びに水溶性無機系電解質を含む混合物を湿紙表面へスプレーした後に抄き合わせる抄き合わせ紙の製造方法(例えば、特許文献4参照)等が知られている。
表面方式の具体例としては、(メタ)アクリルアミドと、アニオン性ビニルモノマーと、(メタ)アクリルアミド及びアニオン性ビニルモノマーに対して連鎖移動剤として(メタ)アリル基を有するモノマーとを重合して得られる重合体を含むポリアクリルアミド系表面紙力剤(例えば、特許文献5参照)や、(メタ)アクリルアミド(a1)、N置換(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アリル基を有する不飽和モノマー、及びそれ以外のアニオン性不飽和モノマー成分の重合体を含む表面紙力増強剤(例えば、特許文献6参照)等が知られている。
特開2012-251252号公報 特開2018-62715号公報 特開2007-169821号公報 特開2018-3231号公報 特許第5920679号公報 特許第6784209号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の内添方式においては、近年のリサイクル等に基づく原料の低質化に伴い、抄紙工程用薬品の効果の程度にばらつきが生じるという欠点がある。
上記特許文献3及び4に記載の層間方式においては、ワイヤーパートで付与した後、プレスパートで湿紙を除水する際に、抄紙工程用薬品の多くが水と共に流失してしまうため、付与効率が悪いという欠点がある。
上記特許文献5及び6に記載の表面方式においては、紙が乾燥されているため、抄紙工程用薬品が瞬時には浸透し難く、抄紙工程用薬品の効果を十分に発揮できないという欠点がある。
また、別途、乾燥設備を導入する必要があるため、コスト面、スペース面においても問題がある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、付与効率に優れ、抄紙工程用薬品の効果を十分に発揮することができる紙の加工方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、上述した3つの方式とは異なり、抄紙工程用薬品を付与するパートとして、湿紙をプレスして除水した後のプレスパート及びドライパートに着目した。
そして、紙の完全に乾燥させる前の所定の水分率となった湿紙に対し、抄紙工程用薬品を付与することとし、その後、湿紙を完全に乾燥させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、抄紙工程における湿紙に抄紙工程用薬品を付与する紙の加工方法であって、プレスロールでプレスされた後のプレスパート、又は、ドライパート、を走行する湿紙であり、且つ、水分率を10~60%とした湿紙に対し、抄紙工程用薬品を付与する第1ステップと、該抄紙工程用薬品が付与された湿紙をドライパートで乾燥させ紙とする第2ステップと、を有する紙の加工方法である。
また、第1ステップにおける湿紙の水分率が40~60%であることが好ましい。
本発明は、抄紙工程用薬品が付与された後に、湿紙が接する下流側のドライヤーロールに対し、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与する第3ステップを更に有し、抄紙工程用薬品が不揮発性の有効成分を含有するものであり、下流側ロール用汚染防止剤組成物が、有効成分のドライヤーロールへの付着を防止するための高沸点オイルを含有するものであり、第1ステップと第3ステップとを同時に行うことが好ましい。
本発明は、抄紙工程用薬品が付与される前に、湿紙が接する上流側のドライヤーロールに対し、上流側ロール用汚染防止剤組成物を付与する第4ステップを更に有し、第1ステップと第4ステップとを同時に行うことが好ましい。
本発明は、カンバスに対し、カンバス用汚染防止剤組成物を付与する第5ステップを更に有し、第1ステップと第5ステップとを同時に行うことが好ましい。
本発明においては、抄紙工程用薬品が紙力増強剤であり、有効成分が変性でんぷん又はポリアクリルアミドであり、高沸点オイルが、シリコーン系オイルであることが好ましい。
このとき、湿紙への有効成分の付与量が0.1~4.5g/cmであり、ドライヤーロールへの高沸点オイルの付与量が1×10-3mg/cm以上であり、有効成分1質量部に対する高沸点オイルの付与量の割合が、2×10-7質量部以上であることが好ましい。
本発明においては、ドライパートが、複数配設されたドライヤーロールと、カンバスとを有するユニットを、直列的に複数配列させたものであり、少なくとも、第1ステップが最上流側のユニットで行われることが好ましい。
本発明の紙の加工方法においては、通常の抄紙工程に加え、第1ステップ及び第2ステップを有しているので、抄紙工程用薬品の効果が十分に付与された紙を製造することができる。
また、新たな乾燥設備等を導入する必要がなく、既存の設備で加工が行えるという利点もある。
本発明の紙の加工方法においては、第1ステップで、所定の水分率の湿紙に、抄紙工程用薬品を付与するので、付与された抄紙工程用薬品が水と共に落下(流失)することを抑制することができる。
また、湿紙の内部の水が呼び水となるので、抄紙工程用薬品を浸透させ易い。ちなみに、水分率10%未満の乾燥させた紙の場合、抄紙工程用薬品を紙の内部の空気と置換させる必要があるので浸透させ難くなる。
そして、第2ステップで、抄紙工程用薬品が浸透した状態の湿紙を乾燥させるので、抄紙工程用薬品の有効成分が紙の内部にしっかりと保持されることになる。
これらのことにより、本発明の紙の加工方法よれば、抄紙工程用薬品の付与効率が優れると共に、抄紙工程用薬品の効果を十分に発揮させることが可能となる。
本発明の紙の加工方法においては、第3ステップを有することにより、湿紙が案内されるドライヤーロールの抄紙工程用薬品に起因する汚染を防止することができる。
また、第3ステップにおいては、抄紙工程用薬品が付与された湿紙が接するドライヤーロールに対し、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与するので、湿紙のドライヤーロールとの接触面側に下流側ロール用汚染防止剤組成物が付着することになる。
そして、接触面側に下流側ロール用汚染防止剤組成物が付着した湿紙は、その状態で、更に下流側に案内されるので、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与した位置にあるドライヤーロールより下流側のドライヤーロールにも下流側ロール用汚染防止剤組成物が間接的に付着されることとなる。その結果、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与した位置にあるドライヤーロールより下流側のドライヤーロールの汚染も防止することが可能となる。
本発明の紙の加工方法においては、下流側ロール用汚染防止剤組成物が、抄紙工程用薬品の有効成分のドライヤーロールへの付着を防止するための高沸点オイルを含有する場合、ドライヤーロール表面に汚染を防止するための被膜を容易に形成することができる。
なお、高沸点オイルは、液状であるため、固形状と比較して、表面積が大きく、瞬時にドライヤーロール表面に広がり易い。
本発明の紙の加工方法においては、第4ステップを有することにより、湿紙が案内されるドライヤーロールのドライパート以前の工程に起因する汚染を防止することができる。
これにより、クリーンな状態のドライヤーロールに案内された湿紙に、抄紙工程用薬品を付与することが可能となる。
また、上述したことと同様に、ドライヤーロールを介して上流側ロール用汚染防止剤組成物が付着した湿紙は、その状態で、更に下流側に案内されるので、上流側ロール用汚染防止剤組成物を付与したドライヤーロールより下流側のドライヤーロールにも上流側ロール用汚染防止剤組成物が間接的に付着されることとなる。その結果、上流側ロール用汚染防止剤組成物を付与したドライヤーロールより下流側のドライヤーロールの汚染も防止することが可能となる。
本発明の紙の加工方法においては、第5ステップを有しているので、湿紙を押圧するカンバスの汚染を防止することができる。
本発明の紙の加工方法においては、第1ステップと、第3ステップとを同時に行う場合、紙を製造しながら、湿紙への抄紙工程用薬品の付与、及び、ドライヤーロールへの下流側ロール用汚染防止剤組成物の付与、が行われるので、ドライヤーロールに、抄紙工程用薬品の有効成分が付着して、蓄積される前に、それを除去することが可能となる。
これにより、歩留まりが低下することを防止することができる。
同様に、第1ステップと、第4ステップとを同時に行う場合、紙を製造しながら、湿紙への抄紙工程用薬品の付与、及び、ドライヤーロールへの上流側ロール用汚染防止剤組成物の付与、が行われるので、ドライヤーロールをクリーンにした後、速やかに抄紙工程用薬品が付与されることになる。
これにより、歩留まりが低下することを防止することができる。
同様に、第1ステップと、第5ステップとを同時に行う場合、紙を製造しながら、湿紙への抄紙工程用薬品の付与、及び、カンバスへのカンバス用汚染防止剤組成物の付与、が行われるので、カンバスの汚染により、歩留まりが低下することを防止することができる。
本発明の紙の加工方法においては、抄紙工程用薬品を紙力増強剤とし、有効成分を変性でんぷん又はポリアクリルアミドとした場合、高沸点オイルを、シリコーン系オイルとすることにより、有効成分による汚染を、高沸点オイルにより十分に防止することができる。
このとき、湿紙への有効成分の付与量を上記範囲内とし、ドライヤーロールへの高沸点オイルの付与量を上記範囲内とし、有効成分と高沸点オイルとの付与量の割合を上記範囲内とすることにより、抄紙工程用薬品の効果を十分に発揮することができ、且つ、ドライヤーロールの汚染も十分に防止することができる。
すなわち、抄紙工程用薬品の効果と、汚染防止剤組成物の効果をバランス良く発揮させることが可能となる。
本発明の紙の加工方法においては、第1ステップが、ドライパートにおける複数のユニットのうち、最上流側のユニットで行われることにより、抄紙工程用薬品が付与された後も、十分に湿紙を乾燥する領域があるので、乾燥不良が生じることを防止できる。
図1は、本発明に係る紙の加工方法が行われる抄紙工程の概略を示す側面図である。 図2は、本実施形態に係る紙の加工方法が行われるドライパートの1つのユニットの概略を示す側面図である。 図3は、図2に示す第1ユニットの、抄紙工程用薬品を付与するドライヤーロールと、その前後のドライヤーロールとを示す部分側面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本発明は、抄紙工程における湿紙に抄紙工程用薬品を付与する紙の加工方法である。すなわち、抄紙工程で紙を製造する際に、後述するように、湿紙に抄紙工程用薬品を付与することで、当該抄紙工程用薬品の有効成分を含有する紙を製造する方法である。
なお、本明細書において、「上流」とは湿紙の搬送経路における上流を意味し、「下流」とは湿紙の搬送経路における下流を意味する。
図1は、本発明に係る紙の加工方法が行われる抄紙工程の概略を示す側面図である。
図1に示すように、紙の加工方法において、抄紙工程は、水中にパルプが分散された原料Mを抄紙用の網(ワイヤー)Wに載せ、余分な水を自然落下させることにより湿紙とするためのワイヤーパートP1と、湿紙Xを一対のプレスロールPr間に通し、フェルトFを介してプレスロールPrで押圧することにより、湿紙X中の水分をフェルトFに移行させ、これにより湿紙Xに含まれる水分の多くを除水するプレスパートP2と、プレスパートP2を通過した湿紙Xを、ドライヤーロール(図示しない)に接触させることで乾燥させ、紙とするためのドライパートP3と、カレンダーロールC間に通して、紙X1の表面の凹凸を平滑化するためのカレンダーパートP4と、紙を巻き取るためのリールパートP5とを有する。
紙X1の加工方法は、上述した抄紙工程に加え、後述するように、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ及び第5ステップを更に有している。
また、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ及び第5ステップは、何れも、稼働中のドライパートP3で行われる。
すなわち、湿紙Xがドライパートを走行した状態で行われる。
なお、抄紙工程におけるドライパートP3以外の各パートは、一般の工程と同じであるので、その詳細な説明については省略する。
ドライパートP3は、湿紙Xを乾燥させるためのパートである。
紙X1の加工方法において、ドライパートP3は、直列的に配列させた上流側の第1ユニットP31と、下流側の第2ユニットP32を有している。
したがって、紙X1の加工方法においては、プレスパートP2を経た湿紙Xが、先に第1ユニットP31に案内され、第1ユニットP31を出た後、続けて、第2ユニットP32に案内され、第2ユニットP32を出た後、カレンダーパーP4に案内されることになる。
なお、第1ユニットP31及び第2ユニットP32における温度等の乾燥条件は同一であっても異なっていてもよい。
図2は、本実施形態に係る紙の加工方法行われるドライパートの第1ユニットの概略を示す側面図である。なお、図2においては、ドライヤーロールDR及びカンバスKを収容する筐体の記載を省略している。
図2に示すように、紙X1の加工方法において、第1ユニットP31は、湿紙Xを案内すると共に、当該湿紙Xを乾燥させるために複数配設されたドライヤーロールDRと、湿紙XをドライヤーロールDRに押し付けるためのカンバスKと、当該カンバスKを案内するためのカンバスロールKRと、ドライヤーロールDR表面に付着した異物(ピッチ等の汚染物を含む)を掻き取るためのドクターブレードDBと、これらを収容する筐体(図示しない)とを有する。
なお、ドクターブレードは、任意のドライヤーロールに適宜取り付けられる(図3参照)。
図1に示すように、第2ユニットP32は、第1ユニットP31と同様に、複数配設されたドライヤーロールと、カンバスと、カンバスロールと、ドクターブレードと、これらを収容する筐体とを有している。
また、第1ユニットP31は、1つのカンバスKが、上段のドライヤーロールDR及び下段のドライヤーロールDRの両方に案内される、いわゆるシングルカンバスとなっているのに対し、第2ユニットP32は、上段のドライヤーロールDRに案内されるカンバスKと、下段のドライヤーロールDRに案内されるカンバスKとを有する、いわゆるダブルカンバスとなっている。
また、第1ユニットP31と第2ユニットP32との間に、湿紙Xを案内するためのロールが別途設けられていてもよい。
紙X1の加工方法において、湿紙Xは、第1ユニットP31に進入すると、カンバスKに押圧されながら、加熱された複数のドライヤーロールDRに順次接触し、下流側に案内される。
したがって、湿紙Xは、下流側に行くほど、乾燥が施され、水分率が低くなる。
なお、第1ユニットP31を退出した湿紙Xは、次いで、第2ユニットP32に進入し、同様に乾燥が施される。
そして、第2ユニットP32を退出した湿紙Xは十分に乾燥された紙X1の状態となる。
紙X1の加工方法において、第1ステップは、ドライパートP3を走行し、且つ所定の水分率となった湿紙Xに対し、直接、抄紙工程用薬品を付与するステップである。なお、抄紙工程用薬品については後述する。
第1ステップは、ドライパートP3を走行する湿紙Xに対して行われるので、付与される抄紙工程用薬品が水と共に落下することを抑制することができる。
ここで、第1ステップは、最上流側に位置する第1ユニットP31で行われることが好ましい。
この場合、第1ユニットP31で湿紙Xに抄紙工程用薬品を付与した後、当該湿紙を乾燥するためのドライパートP3の領域が十分な広さとならない場合があるが、下流側に第2ユニットP32があるので、当該第2ユニットで十分に当該湿紙を乾燥させることが可能となる。これにより、乾燥不良が生じることを防止できる。
第1ステップにおいて、抄紙工程用薬品を付与する際の湿紙Xの水分率は、10~60%であり、40~60%であることが好ましい。この場合、湿紙Xに残存する内部の水が呼び水となるので、抄紙工程用薬品を浸透させ易くなるという利点がある。
また、湿紙Xの水分率が10%未満であると、抄紙工程用薬品を紙の内部の空気と置換させる必要があるので、抄紙工程用薬品が湿紙Xの内部に浸透し難くなるという欠点があり、湿紙Xの水分率が60%を超えると、乾燥に時間を要すると共に、第1ユニットP31内における水蒸気の量が多くなるため、抄紙工程用薬品が飛散して浮遊し易くなるという欠点がある。
この場合、抄紙工程用薬品が第1ユニットP31内を汚染させる恐れがある。
なお、本明細書において、水分率とは、重量基準の含水率であり、水分を含む湿紙Xの重量に対する水分のみの重量の割合である。
図3は、図2に示す第1ユニットの、抄紙工程用薬品を付与するドライヤーロールと、その前後のドライヤーロールとを示す部分側面図である。
図3に示すように、第1ステップにおいて、抄紙工程用薬品を付与する位置は、湿紙Xの水分率が所定の範囲内となった位置であれば特に限定されないが、少なくとも、湿紙XがドライヤーロールDR(以下抄紙工程用薬品が付与されるドライヤーロールを「ドライヤーロールDR1」ともいう。)に接している際に付与することが好ましい。
例えば、付与方法が散布方式の場合、付与される抄紙工程用薬品の多くが湿紙を通過してしまうことをドライヤーロールDR1が防止し、抄紙工程用薬品の多くを表面に留めることが可能となる。
また、付与方法が塗布方式の場合、塗布具が湿紙Xを押すことによる湿紙Xの張力変化を防止することができる。
第1ステップにおいて、抄紙工程用薬品の付与方法としては、特に限定されないが、例えば、散布装置を用い離れた位置から吹き付ける散布方式、スポンジ等の塗布具を用い直接塗布する塗布方式等が用いられる。
これらの中でも、付与方法としては、均一性の観点から、スプレーSP1(散布方式)を用いてドライヤーロールDR1に接する湿紙Xに抄紙工程用薬品の付与を行うことが好ましい。
また、スプレーSP1を支持する支柱は、特に限定されないが、例えば、ドライヤーロールDR1の上流側のドライヤーロールDRに取り付けられたドクターブレードDBを支持するフレーム(図示しない)や、ドライヤーロールDRを支持するフレーム(図示しない)等に取り付けられる。
このため、スプレーSP1は、任意の位置に配置することが可能となっている。
なお、この場合、支柱は、支柱を短くできるという観点から、ドクターブレードDBを支持するフレームに取り付けることが好ましい。
紙X1の加工方法において、第2ステップは、第1ステップにおいて抄紙工程用薬品が付与された湿紙Xを、乾燥させ、紙とするステップである。
なお、紙X1の加工方法においては、第1ユニットP31及び第2ユニットP32で第2ステップが行われるが、それより下流側に既存の乾燥設備を有する場合は、当該乾燥設備で第2ステップを行ってもよい。
紙X1の加工方法においては、第1ステップ及び第2ステップを行うことにより、抄紙工程用薬品が湿紙Xの表面及び内部に付与された状態で、湿紙Xが乾燥されるので、抄紙工程用薬品の付与効率が優れると共に、抄紙工程用薬品の効果を十分に発揮させることが可能となる。
また、一旦乾燥させた後は抄紙工程用薬品を付与しないので、新たな乾燥設備等を導入する必要がなく、既存の設備で加工が行えるという利点もある。
紙X1の加工方法において、第3ステップは、第1ステップにおいて抄紙工程用薬品が付与された後に、湿紙Xが接する下流側のドライヤーロールDR(以下下流側ロール用汚染防止剤組成物が付与されるドライヤーロールを「ドライヤーロールDR2」ともいう。)に対し、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与するステップである。
すなわち、抄紙工程用薬品が付与される際に、湿紙が接するドライヤーロールDR1より下流側のドライヤーロールDR2に対し、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与するステップである。
なお、下流側ロール用汚染防止剤組成物については後述する。
したがって、紙X1の加工方法においては、第1ステップ及び第3ステップを終えた後に、第2ステップを終えることになる。
ちなみに、第1ステップにおいては、紙Xに抄紙工程用薬品の効果を付与するため、湿紙Xに抄紙工程用薬品を直接付与しているが、第3ステップにおいては、ドライヤーロールDR2の汚染を防止するためドライヤーロールDR2に下流側ロール用汚染防止剤組成物を直接付与している。
第3ステップにおいて、下流側ロール用汚染防止剤組成物の付与方法としては、特に限定されないが、例えば、散布装置を用い離れた位置から吹き付ける散布方式、スポンジ等の塗布具を用い直接塗布する塗布方式等が用いられる。
これらの中でも、付与方式としては、均一性の観点から、スプレーSP2(散布方式)を用いて下流側ロール用汚染防止剤組成物の付与を行うことが好ましい。
なお、スプレーSP2を支持する支柱は、上述したスプレーSP1と同様に、例えば、ドライヤーロールDRに取り付けられたドクターブレードDBを支持するフレームや、ドライヤーロールDRを支持するフレーム等に取り付けられる。
第3ステップにおいては、ドライヤーロールDR2に下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与することにより、下流側ロール用汚染防止剤組成物による被膜が形成される。
これにより、抄紙工程用薬品が付与された湿紙が接することにより、ドライヤーロールDR2に、抄紙工程用薬品に起因する汚染が生じることを防止することができる。
また、第3ステップにおいては、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与されたドライヤーロールDR2に、湿紙Xが接することにより、湿紙XのドライヤーロールDR2との接触面側に一定量の下流側ロール用汚染防止剤組成物が付着することになる。
そして、下流側ロール用汚染防止剤組成物が付着した湿紙Xは、その状態で、更に下流側のドライヤーロールDRに接することにより、下流側ロール用汚染防止剤組成物が間接的にそのドライヤーロールDRに転移することとなる。その結果、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与したドライヤーロールDR2より下流側のドライヤーロールDRについても、抄紙工程用薬品に起因する汚染が生じることを防止することが可能となる。
このとき、下流側ロール用汚染防止剤組成物が付与されるドライヤーロールDR2は、抄紙工程用薬品が付与された直後の湿紙Xが最初に接するドライヤーロールDR2であることが好ましい。
すなわち、ドライヤーロールDR1とドライヤーロールDR2とは湿紙の搬送経路において連続していることが好ましい。
これにより、ドライヤーロールDR全体において、抄紙工程用薬品に起因する汚染を防止することができる。
図2に戻り、紙X1の加工方法において、第4ステップは、第1ステップにおいて抄紙工程用薬品が付与される前に、湿紙Xが接する上流側のドライヤーロールDR(以下上流側ロール用汚染防止剤組成物が付与されるドライヤーロールを「ドライヤーロールDR3」ともいう。)に対し、上流側ロール用汚染防止剤組成物を付与するステップである。
なお、上流側ロール用汚染防止剤組成物については後述する。
したがって、紙X1の加工方法においては、第1ステップ、第3ステップ及び第4ステップを終えた後に、第2ステップを終えることになる。
ちなみに、第4ステップにおいては、第3ステップと同様に、ドライヤーロールDR3の汚染を防止するためドライヤーロールDR3に上流側ロール用汚染防止剤組成物を直接付与している。
第4ステップにおいて、上流側ロール用汚染防止剤組成物の付与方法としては、特に限定されないが、例えば、散布装置を用い離れた位置から吹き付ける散布方式、スポンジ等の塗布具を用い直接塗布する塗布方式等が用いられる。
これらの中でも、付与方式としては、均一性の観点から、スプレーSP3(散布方式)を用いて下流側ロール用汚染防止剤組成物の付与を行うことが好ましい。
なお、スプレーSP3を支持する支柱は、上述したスプレーSP1と同様に、例えば、ドライヤーロールDRに取り付けられたドクターブレードDBを支持するフレームや、ドライヤーロールDRを支持するフレーム等に取り付けられる。
第4ステップにおいては、ドライヤーロールDR3に上流側ロール用汚染防止剤組成物を付与することにより、上流側ロール用汚染防止剤組成物による被膜が形成される。
これにより、湿紙が案内されるドライヤーロールDR3のドライパートP3以前の工程に起因する汚染を防止することができる。
その結果、クリーンな状態のドライヤーロールDRに案内された湿紙Xに、抄紙工程用薬品を付与することが可能となる。
また、第4ステップにおいては、上流側ロール用汚染防止剤組成物を付与されたドライヤーロールDR3に、後続の湿紙Xが接することにより、湿紙XのドライヤーロールDR3との接触面側に一定量の上流側ロール用汚染防止剤組成物が付着することになる。
そして、上流側ロール用汚染防止剤組成物が付着した湿紙Xは、その状態で、更に下流側のドライヤーロールDRに接することにより、上流側ロール用汚染防止剤組成物が間接的にそのドライヤーロールDRに転移することとなる。
その結果、上流側ロール用汚染防止剤組成物を付与したドライヤーロールDR3より下流側のドライヤーロールDRについても、湿紙が案内されるドライヤーロールDRのドライパートP3以前の工程に起因する汚染を防止することができる。
このとき、下流側ロール用汚染防止剤組成物が付与されるドライヤーロールDR3は、最上流側のドライヤーロールDR3であることが好ましい。これにより、ドライヤーロールDR全体において、ドライパートP3以前の工程に起因する汚染を防止することができる。
紙X1の加工方法において、カンバスKに対し、カンバス用汚染防止剤組成物を付与するステップである。
なお、カンバス用汚染防止剤組成物については後述する。
ちなみに、第5ステップにおいては、カンバスKの汚染を防止するためカンバスKにカンバス用汚染防止剤組成物を直接付与しているが、カンバスロールKRに付与することで、間接的にカンバスKに付与してもよい。
第5ステップにおいて、カンバス用汚染防止剤組成物の付与方法としては、特に限定されないが、例えば、散布装置を用い離れた位置から吹き付ける散布方式、スポンジ等の塗布具を用い直接塗布する塗布方式等が用いられる。
これらの中でも、付与方式としては、均一性の観点から、スプレーSP4(散布方式)を用いて下流側ロール用汚染防止剤組成物の付与を行うことが好ましい。
なお、スプレーSP4を支持する支柱は、例えば、カンバスロールKRを支持するフレーム等に取り付けられる。
第5ステップにおいては、カンバスKにカンバス用汚染防止剤組成物を付与することにより、カンバス用汚染防止剤組成物による被膜が形成される。
これにより、カンバスKの汚染を防止することができる。その結果、カンバスKが湿紙を押圧する際に、汚れが転移することを防止できる。
紙X1の加工方法において、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ及び第5ステップを行う順序は、特に限定されないが、同時に行うことが好ましい。
この場合、紙X1を製造しながら、湿紙Xへの抄紙工程用薬品の付与と、ドライヤーロールへの下流側ロール用汚染防止剤組成物及び上流側ロール用汚染防止剤組成物の付与と、カンバスへのカンバス用汚染防止剤組成物の付与と、が行われるので、歩留まりが低下することを防止することができる。
抄紙工程用薬品は、抄紙工程で、紙の生産性や物性を向上させるための薬品である。
紙X1の加工方法においては、湿紙X1がドライパートP3を走行するため、抄紙工程用薬品は、不揮発性の有効成分を含むものが好適に用いられる。
ここで、不揮発性とは、抄紙工程用薬品のうち、乾燥で水を除去した場合に、残存する全ての成分を意味する。すなわち、水と共に除去される成分は除かれる。
また、有効成分とは、抄紙工程用薬品に基づく効果を発揮させることができる成分のうちの主成分を意味する。
なお、水による流失やマイグレーションを抑制するため、有効成分は、固形分を含むものであることが好ましい。
抄紙工程用薬品としては、特に限定されないが、例えば、紙力増強剤、サイズ剤、撥水剤、難燃剤、剥離剤、柔軟剤、保水剤、改質剤等が挙げられる。
なお、本実施形態に係る紙X1の加工方法においては、抄紙工程用薬品として、紙力増強剤を用いている。
紙力増強剤は、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリビニルアミン、カチオン化デンプン、ポリアクリルアミド系コポリマー、変性でんぷん、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を含むものが好適に用いられる。
これらの中でも、紙力増強剤は、変性でんぷん又はポリアクリルアミドを含むものであることが好ましい。この場合、水分率10~60%の湿紙に付与するという条件下において、紙力増強の効果を十分に発揮させることができる。
下流側ロール用汚染防止剤組成物は、有効成分のドライヤーロールDRへの付着を防止するためのものであり、高沸点オイルを含有する。
この場合、ドライヤーロールDR2表面に汚染を防止するための被膜を容易に形成することができる。
すなわち、高沸点オイルが、液状であるため、固形分と比較して、表面積が大きく、瞬時に広がり易い。
高沸点オイルとしては、特に限定されないが、汚染防止効果、安全性等の観点から、シリコーン系オイルが好適に用いられる。
また、シリコーン系オイルの中でも、汚染防止効果の観点から、ジメチルシリコーンオイル、又は、水素原子を変性基に置換した変性シリコーンオイルを採用することが好ましい。
変性シリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
なお、これらは、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
これらの中でも、シリコーン系オイルは、汚染防止効果、分散性及び汎用性の観点から、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル及びポリエーテル変性シリコーンオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、汚染防止効果が特に優れることから、アミノ変性シリコーンオイルであることがより好ましい。
ここで、有効成分が変性でんぷん又はポリアクリルアミドであり、高沸点オイルが、シリコーン系オイルである場合、湿紙Xへの抄紙工程用薬品の有効成分の付与量が0.1~4.5g/cmであることが好ましい。
有効成分の付与量が0.1g/cm未満であると、付与量が上記範囲内にある場合と比較して、抄紙工程用薬品による効果が十分に発揮されない場合があり、有効成分の付与量が4.5g/cmを超えると、付与量が上記範囲内にある場合と比較して、紙とした後に、有効成分が紙から簡単に脱落する恐れがある。
ドライヤーロールDR2への高沸点オイルの付与量が1×10-3mg/cm以上であることが好ましく、1×10-3~800mg/cm以下であることがより好ましい。
高沸点オイルの付与量が1×10-3mg/cm未満であると、付与量が上記範囲内にある場合と比較して、汚染防止効果が不十分となる恐れがある。
なお、高沸点オイルの付与量が800mg/cmを超えても、高沸点オイルによる汚染防止効果は向上せず、一方で、高沸点オイル自体が固化蓄積して、汚染物となる恐れがある。
有効成分1質量部に対する高沸点オイルの付与量の割合が、2×10-7質量部以上であることが好ましく、2×10-7~8質量部であることがより好ましい。
この場合、抄紙工程用薬品の効果を十分に発揮することができ、且つ、ドライヤーロールの汚染も十分に防止することができる。
すなわち、抄紙工程用薬品の効果と、汚染防止剤組成物の効果をバランス良く発揮させることが可能となる。
有効成分1質量部に対する高沸点オイルの付与量の割合が2×10-7質量部未満であると、付与量の割合が上記範囲内にある場合と比較して、有効成分による汚染を防止することが不十分となる恐れがある。
なお、有効成分1質量部に対する高沸点オイルの付与量の割合が8質量部を超えると、高沸点オイルによる汚染防止効果は向上しない。
上流側ロール用汚染防止剤組成物は、湿紙が案内されるドライヤーロールDR3のドライパートP3以前の工程に起因する汚染を防止するためのものであり、カンバス用汚染防止剤組成物は、カンバスの汚染を防止するためのものである。
上流側ロール用汚染防止剤組成物及びカンバス用汚染防止剤組成物は、上述した下流側ロール用汚染防止剤組成物と同じものを採用することができる。
なお、上流側ロール用汚染防止剤組成物、下流側ロール用汚染防止剤組成物、及び、カンバス用汚染防止剤組成物は、互いに同じ組成であっても、異なる組成であってもよい。
抄紙工程用薬品、上流側ロール用汚染防止剤組成物、下流側ロール用汚染防止剤組成物、及び、カンバス用汚染防止剤組成物は、何れも、その粘度を500cps以下とすることが好ましく、1~200cpsとすることがより好ましい。
また、抄紙工程用薬品、上流側ロール用汚染防止剤組成物、下流側ロール用汚染防止剤組成物、及び、カンバス用汚染防止剤組成物は、その表面張力を60mN/m以下とすることが好ましい。
これらの場合、飛散を抑制すると共に、効率良く対象物に付与することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る紙X1の加工方法においては、抄紙工程用薬品を付与する第1ステップS1をドライパートP3で行っているが、プレスロールPrでプレスされた後のプレスパートP2で行ってもよい。すなわち、プレスロールPrでプレスされた後の湿紙Xが案内され、ドライパートP3に進入する前に、上述した水分率を満たす場合、第1ステップを行ってもよい。
その後、第2ステップが行われる。
また、この場合、湿紙が接する下流側のドライヤーロールに対し、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与する第3ステップは、ドライパートP3における最上流側のドライヤーロールに対し、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与することが好ましい。
また、第4ステップは行われないことになる。
本実施形態に係る紙X1の加工方法においては、原料に、抄紙工程用薬品を予め添加することを除外するものではなく、ワイヤーパートにおける湿紙に、抄紙工程用薬品を散布し、抄き合わせることを除外するものではなく、ドライパート後の乾燥された紙に、抄紙工程用薬品を塗布し、再度、追加した乾燥設備で乾燥を行うことを除外するものではない。
すなわち、上記紙X1の加工方法は、内添方式、層間方式、表面方式等と併用することができる。
本実施形態に係る紙X1の加工方法においては、ワイヤーパートP1、プレスパートP2、ドライパートP3、カレンダーパートP4及びリールパートP5を備えているが、カレンダーパートP4及びリールパートP5は、必須ではない。
また、本実施形態に係る紙X1の加工方法は、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ及び第5ステップを有しているが、第3ステップ、第4ステップ及び第5ステップは必須ではない。
本実施形態に係る紙X1の加工方法においては、ドライパートP3が、直列的に配列させた上流側の第1ユニットP31と、下流側の第2ユニットP32を有しているが、第2ユニットP32は必須ではない。
また、更に別のユニットを有し、これが直列的に更に配列されていてもよい。
なお、ユニットを複数有する場合、第1ステップが最上流側のユニットで行われることが好ましい。
この場合、抄紙工程用薬品が付与された後も、十分に湿紙を乾燥する領域があるので、乾燥不良が生じることを防止できる。
本実施形態に係る紙X1の加工方法においては、抄紙工程用薬品として、紙力増強剤を用いているが、抄紙工程用薬品が、歩留剤の場合、例えば、硫酸アルミニウム、ポリアクリルアミド、でんぷん類等が含まれ、それが有効成分となる。
また、濾水剤の場合は、例えば、主成分として、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、カチオン化デンプン等が含まれ、それが有効成分となる。
また、粘剤の場合は、例えば、主成分として、トロロアオイ、ポリアクリルアミド等が含まれ、それが有効成分となる。
また、サイズ剤の場合は、例えば、主成分として、魯迅石鹸、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ポリビニルアルコール等が含まれ、それが有効成分となる。
また、嵩高剤の場合は、例えば、主成分として、脂肪酸エステル等が含まれ、それが有効成分となる。
本発明に係る紙の加工方法は、抄紙工程において、抄紙工程用薬品を付与する方法、すなわち、抄紙工程用薬品が付与された紙を製造する方法として利用できる。
本発明に係る紙の加工方法によれば、付与効率に優れ、抄紙工程用薬品の効果を十分に発揮することができる紙を製造することができる。
C・・・カレンダーロール
DB・・・ドクターブレード
DR,DR1,DR2,DR3・・・ドライヤーロール
F・・・フェルト
K・・・カンバス
KR・・・カンバスロール
M・・・原料
P1・・・ワイヤーパート
P2・・・プレスパート
P3・・・ドライパート
P31・・・第1ユニット
P32・・・第2ユニット
P4・・・カレンダーパート
P5・・・リールパート
Pr・・・プレスロール
SP1,SP2,SP3,SP4・・・スプレー
W・・・網
X・・・湿紙
X1・・・紙

Claims (8)

  1. 抄紙工程における湿紙に抄紙工程用薬品を付与する紙の加工方法であって、
    前記プレスロールでプレスされた後の前記プレスパート、又は、ドライパート、を走行する湿紙であり、且つ、水分率を10~60%とした湿紙に対し、前記抄紙工程用薬品を付与する第1ステップと、
    該抄紙工程用薬品が付与された前記湿紙を前記ドライパートで乾燥させ紙とする第2ステップと、
    を有する紙の加工方法。
  2. 前記第1ステップにおける前記湿紙の水分率が40~60%である請求項1記載の紙の加工方法。
  3. 前記抄紙工程用薬品が付与された後に、前記湿紙が接する下流側のドライヤーロールに対し、下流側ロール用汚染防止剤組成物を付与する第3ステップを更に有し、
    前記抄紙工程用薬品が不揮発性の有効成分を含有するものであり、
    前記下流側ロール用汚染防止剤組成物が、前記有効成分の前記ドライヤーロールへの付着を防止するための高沸点オイルを含有するものであり、
    前記第1ステップと前記第3ステップとを同時に行う請求項1記載の紙の加工方法。
  4. 前記抄紙工程用薬品が付与される前に、前記湿紙が接する上流側の前記ドライヤーロールに対し、上流側ロール用汚染防止剤組成物を付与する第4ステップを更に有し、
    前記第1ステップと前記第4ステップとを同時に行う請求項3記載の紙の加工方法。
  5. 前記カンバスに対し、カンバス用汚染防止剤組成物を付与する第5ステップを更に有し、
    前記第1ステップと前記第5ステップとを同時に行う請求項4記載の紙の加工方法。
  6. 前記抄紙工程用薬品が紙力増強剤であり、
    前記有効成分が変性でんぷん又はポリアクリルアミドであり、
    前記高沸点オイルが、シリコーン系オイルである請求項3記載の紙の加工方法。
  7. 前記湿紙への前記有効成分の付与量が0.1~4.5g/cmであり、
    前記ドライヤーロールへの前記高沸点オイルの付与量が1×10-3mg/cm以上であり、
    前記有効成分1質量部に対する前記高沸点オイルの付与量の割合が、2×10-7質量部以上である請求項3~6のいずれか1項に記載の紙の加工方法。
  8. 前記ドライパートが、複数配設されたドライヤーロールと、カンバスとを有するユニットを、直列的に複数配列させたものであり、
    少なくとも、前記第1ステップが最上流側の前記ユニットで行われる請求項3~6のいずれか1項に記載の紙の加工方法。

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