JP2023153030A - 冷却機構及びこれを備えたクレーン - Google Patents

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和也 小原
Kazuya Obara
英彰 細井
Hideaki Hosoi
拓朗 岸
Takuro Kishi
光明 井口
Mitsuaki Iguchi
彰博 ▲吉▼町
Akihiro Yoshimachi
陽奈 後藤
Haruna Goto
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Abstract

【課題】湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる冷却機構及びこれを備えたクレーンを提供する。【解決手段】クレーン100のための冷却機構は、作動油を吐出する油圧ポンプ21と、作動油の供給を受けて作動する油圧モータ23と、油圧モータ23により駆動されるウインチドラム11と、ウインチドラム11に対して油圧モータ23の動力が伝達される接続状態と動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替える湿式クラッチ6と、作動油を冷却するためのオイルクーラ13と、作動油が湿式クラッチ6に供給されることを許容するクラッチ供給状態と作動油がオイルクーラ13に供給されることを許容するクーラ供給状態との間で変わることが可能な冷却対象切替弁15と、を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、湿式クラッチを冷却するための冷却機構及びこれを備えたクレーンに関する。
一般に、クレーンは、機体と、機体に起伏可能に取り付けられたブームを含む起伏部材と、起伏部材から垂れ下がるように配置されて吊り荷を支持するロープと、ロープの巻き上げ及び巻き下げを行うウインチドラムと、作動油を吐出する油圧ポンプと、作動油の供給を受けて作動する油圧モータと、ウインチドラムに対する油圧モータの動力が伝達される接続状態と動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替えるための湿式クラッチと、を備える。オペレータによるレバー操作に応じたロープの巻き上げ又は巻き下げが行われる時には、湿式クラッチの状態が接続状態に切り替えられ、吊り荷を自由落下させるフリーフォール時には、湿式クラッチの状態が遮断状態に切り替えられる。湿式クラッチは、固定ディスクと、当該固定ディスクに対して擦れながら回転する回転ディスクと、を備える。このような湿式クラッチではディスクの回転時に熱が発生するので、当該湿式クラッチには油圧源からの圧油が冷却油として供給され、これにより、湿式クラッチが冷却される。
特許文献1は、冷却専用の油圧源を不要にしてコストの低減化を図り得る巻上ウインチの冷却装置を開示している。この冷却装置では、油圧ポンプ又は油圧モータからタンクに戻される油が戻し油路を通って湿式クラッチのケース内に導入され、湿式クラッチの発熱部に対し冷却油として供給され、発熱部の冷却が行われる。この冷却装置では、前記油圧ポンプは、ウインチドラムを駆動するためのものであり、冷却専用のものではないので、その分コストが低減される。この冷却装置では、特許文献1の図1に記載されているように、湿式クラッチの発熱部を冷却した圧油(作動油)は、湿式クラッチとタンクとをつなぐ油路に設けられたオイルクーラにおいて冷却された後、タンクに戻る。
特開2012-12141号公報
ところで、湿式クラッチでは、上述したディスクなどのように他の部品に対して相対回転する部材を含むため、湿式クラッチ内の作動油が外部に漏れることを抑制するためのオイルシールなどのシール構造が採用されている。このオイルシールの構造では、湿式クラッチ内の圧力が高くなると、オイルシールにおけるシール性が低下する。特許文献1の冷却装置では、オイルクーラが湿式クラッチとタンクとをつなぐ油路に設けられているので、オイルクーラにおける圧力損失に起因して湿式クラッチ内の圧力が上昇しやすい。従って、特許文献1の冷却装置は、湿式クラッチにおけるシール性が低下しやすいという課題を有する。なお、湿式クラッチにおけるシール性に関する上記課題は、シール構造としてオイルシールが採用されている場合だけでなく、他のシール構造が採用されている場合にも生じ得る。
本開示は、湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる冷却機構及びこれを備えたクレーンを提供することを目的とする。
提供されるのは、作動油を吐出する少なくとも一つの油圧ポンプと、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動する第1油圧モータと、前記第1油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第1ウインチドラムと、を備えたクレーンのための冷却機構であって、前記第1ウインチドラムに対して前記第1油圧モータの動力が伝達される接続状態と前記動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替える第1湿式クラッチと、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油を冷却するための第1オイルクーラと、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1湿式クラッチに供給されることを許容する状態であるクラッチ供給状態と前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1オイルクーラに供給されることを許容する状態であるクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁である第1冷却対象切替弁と、を備える。
この冷却機構では、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油は第1油圧モータを駆動するために用いられるとともに第1湿式クラッチを冷却するためにも用いられるので、第1湿式クラッチの冷却のための専用の油圧ポンプを省くことができる。しかも、この冷却機構では、第1冷却対象切替弁の状態がクラッチ供給状態のときには前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が第1湿式クラッチに供給され、第1冷却対象切替弁の状態がクーラ供給状態のときには前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油がオイルクーラに供給される。すなわち、この冷却機構は、特許文献1の冷却装置のように湿式クラッチ、オイルクーラ及びタンクが直列に並ぶような構造ではなく、第1湿式クラッチに前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油を供給するための経路と第1オイルクーラに前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油を供給するための経路とが第1冷却対象切替弁において切り替え可能な構造を備えている。従って、この冷却機構では、オイルクーラにおける圧力損失に起因して湿式クラッチ内の圧力が上昇することが回避され、湿式クラッチにおけるシール性の低下が抑制される。そして、この冷却機構では、第1冷却対象切替弁の状態がクラッチ供給状態に切り替えられることにより第1湿式クラッチが冷却され、第1冷却対象切替弁の状態がクーラ供給状態に切り替えられることにより作動油自体が冷却される。以上のように、この冷却機構は、湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
前記少なくとも一つの油圧ポンプは、第1油圧ポンプであってもよい。
ところで、ウインチドラムが油圧モータにより駆動されるクレーンでは、ロープの巻き下げ時に吊り荷の重量によってウインチドラムの回転速度(吊り荷の降下速度)が大きくなり過ぎないようにカウンタバランス弁が設けられている。カウンタバランス弁は、巻き下げ時に油圧モータに供給される作動油の一次側圧力であるメータイン圧力がある程度大きくなることで開弁し、油圧モータから作動油が二次側の油路であるメータアウト油路に排出されることを許容するように構成される。このカウンタバランス弁では、比較的大きな圧力損失が生じるので、ロープの巻き下げ時にメータアウト油路におけるカウンタバランス弁を通過した作動油の温度が上昇しやすい。従って、本開示に係る冷却機構は、次の構成を備えることが好ましい。すなわち、前記冷却機構は、前記第1ウインチドラムが前記ロープの巻き下げを行うように前記第1油圧モータを動かすためのオペレータによる操作である巻き下げ操作が与えられる第1操作装置をさらに備え、前記第1冷却対象切替弁は、前記第1操作装置に前記巻き下げ操作が与えられたときに前記第1冷却対象切替弁の状態が前記クーラ供給状態になるように構成されることが好ましい。この構成では、ロープの巻き下げ時にカウンタバランス弁を通過することで温度上昇した作動油が第1湿式クラッチに供給されることを防止し、第1湿式クラッチにおけるオーバーヒートのリスクを低減することができ、温度上昇した作動油を第1オイルクーラにおいて冷却することができる。
前記操作装置は、前記巻き下げ操作が与えられる操作部材と、前記巻き下げ操作に応じたパイロット圧を出力するリモコン弁と、を備え、前記第1冷却対象切替弁は、前記パイロット圧が入力されることにより前記第1冷却対象切替弁の状態が前記クーラ供給状態になるように構成されていてもよい。この構成では、操作装置のリモコン弁からの二次側圧力であるパイロット圧を利用して第1冷却対象切替弁の状態の切り替えを行うことができるので、比較的シンプルな構造でロープの巻き下げ時において第1湿式クラッチにおけるオーバーヒートのリスクを低減することができる。
前記冷却機構は、前記第1冷却対象切替弁の状態を前記クラッチ供給状態と前記クーラ供給状態との間で調整するための指令である調整指令を出力するコントローラをさらに備えることが好ましい。この構成では、コントローラからの前記調整指令に基づいて第1冷却対象切替弁の状態がクラッチ供給状態とクーラ供給状態との間で調整されるので、ロープの巻き下げ時以外の種々のケースに適した状態に第1冷却対象切替弁の状態を調整することができる。例えば、この構成では、第1湿式クラッチに作動油を供給する必要のないときには、第1冷却対象切替弁の状態を積極的にクーラ供給状態にすることで作動油をオイルクーラにおいて十分に冷却することができる。このことは、クレーン全体のヒートバランスを向上させることができる。
前記冷却機構は、前記調整指令が入力される電磁比例切替弁をさらに備え、前記電磁比例切替弁は、前記調整指令に応じた大きさのパイロット圧を前記第1冷却対象切替弁のパイロットポートに入力するように構成され、前記第1冷却対象切替弁は、作動油を前記湿式クラッチに供給するための経路の開度が前記パイロット圧の大きさに応じて調整されるように構成されているのが好ましい。この構成では、コントローラからの前記調整指令に基づいて第1冷却対象切替弁において前記開度が調整されるので、第1湿式クラッチへの作動油の供給量をより適切な量に細かく調整することができる。
前記コントローラは、前記第1湿式クラッチに供給される作動油の供給量を減少させるか否かを判定するために予め設定された条件である供給量減少条件が満たされたときに、前記供給量が減少するように前記第1冷却対象切替弁の状態を調整するための前記調整指令を出力することが好ましい。この構成では、供給量減少条件が満たされたときには、第1湿式クラッチに供給される作動油の供給量が減少するので、第1湿式クラッチへの供給量が過剰になることに起因した第1湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することができる。
前記少なくとも一つの油圧ポンプは、作動油を吐出する第1油圧ポンプと、作動油を吐出する第2油圧ポンプと、を含み、前記クレーンは、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動する第2油圧モータと、前記第2油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第2ウインチドラムと、をさらに備え、前記冷却機構は、前記第2ウインチドラムに対して前記第2油圧モータの動力が伝達される接続状態と前記動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替える第2湿式クラッチと、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油を冷却するための第2オイルクーラと、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第2湿式クラッチに供給されることを許容する状態であるクラッチ供給状態と前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第2オイルクーラに供給されることを許容する状態であるクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁である第2冷却対象切替弁と、をさらに備えていてもよい。この構成では、複数の油圧ポンプと複数の油圧モータとを備えるクレーンにおいても、第1湿式クラッチ及び第2湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、第1オイルクーラ及び第2オイルクーラに起因する第1湿式クラッチ内の圧力上昇及び第2湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
前記第1油圧モータは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油及び前記第2油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、前記第1油圧モータから排出された作動油は、前記第1冷却対象切替弁と前記第2冷却対象切替弁に分流されるように構成され、前記第1冷却対象切替弁及び前記第2冷却対象切替弁の一方が前記クラッチ供給状態になるときには他方も前記クラッチ供給状態になるように構成されていてもよい。第1冷却対象切替弁の状態及び第2冷却対象切替弁の状態の一方がクーラ供給状態になり、他方がクラッチ供給状態になる場合には、第1冷却対象切替弁に接続される油路における背圧と、第2冷却対象切替弁に接続される油路における背圧とが異なることに起因して、油圧モータからの戻り油量に偏りが生じて湿式クラッチの冷却が十分に行えない場合がある。一方、本構成では、第1冷却対象切替弁及び第2冷却対象切替弁の一方がクラッチ供給状態になるときには他方もクラッチ供給状態になるように構成されているので、上記のような戻り油量の偏りが生じることを抑制できる。
前記第1油圧モータは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油及び前記第2油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、前記第1油圧モータから排出された作動油は、フローディバイダにおいて前記第1冷却対象切替弁と前記第2冷却対象切替弁に分流されるように構成されていてもよい。この構成では、第1油圧モータから排出された作動油をフローディバイダにおいて所定の分流比で分流し、分流された作動油を第1冷却対象切替弁及び第2冷却対象切替弁にそれぞれ供給することができる。
前記クレーンは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油及び前記第2油圧ポンプから吐出される作動油の少なくとも一方の供給を受けて作動する第3油圧モータと、前記第3油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第3ウインチドラムと、をさらに備え、前記冷却機構は、前記第3ウインチドラムに対して前記第3油圧モータの動力が伝達される接続状態と前記動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替える第3湿式クラッチをさらに備え、前記第3湿式クラッチは、前記第2冷却対象切替弁の状態が前記クラッチ供給状態であるときに、前記第2冷却対象切替弁から出て前記第2湿式クラッチに供給される前の作動油、又は、前記第2冷却対象切替弁から出て前記第2湿式クラッチに供給された後の作動油により冷却されるように構成されていてもよい。この構成では、第1、第2及び第3油圧モータと、第1、第2及び第3湿式クラッチと、を備えるクレーンにおいても、第1、第2及び第3湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
前記クレーンは、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するアクチュエータをさらに備え、前記少なくとも一つの油圧ポンプは、作動油を吐出する第1油圧ポンプと、作動油を吐出するアクチュエータ用油圧ポンプと、を含み、前記第1油圧モータは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータ用油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、前記第1冷却対象切替弁は、前記アクチュエータ用油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1湿式クラッチに供給されることを許容する状態であるクラッチ供給状態と前記アクチュエータ用油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1オイルクーラに供給されることを許容する状態であるクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁であってもよい。この構成では、アクチュエータ用油圧ポンプを利用して湿式クラッチを冷却することができ、湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
提供されるクレーンは、機体と、前記機体に起伏可能に取り付けられた起伏部材と、作動油を吐出する少なくとも一つの油圧ポンプと、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動する第1油圧モータと、前記第1油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第1ウインチドラムと、上述した冷却機構と、を備える。このクレーンでは、湿式クラッチの冷却のための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
本開示によれば、湿式クラッチの冷却のための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる冷却機構及びこれを備えたクレーンが提供される。
本開示の実施形態に係る冷却機構を備えたクレーンを示す側面図である。 本開示の第1実施形態に係る冷却機構を含む回路図である。 本開示の第2実施形態に係る冷却機構を含む回路図である。 第2実施形態に係る冷却機構において、冷却対象切替弁の状態と、モード及び操作との関係を示す表である。 前記コントローラによる演算処理の一例を示すフローチャートである。 レバー操作量とポンプ吐出流量との関係の一例を示すグラフである。 前記第2実施形態の変形例に係る冷却機構を含む回路図である。 ポンプ吐出流量相関値とバルブの開度との関係の一例を示すグラフである。 本開示の第3実施形態に係る冷却機構を含む回路図である。 本開示の第3実施形態の変形例に係る冷却機構を含む回路図である。 本開示の第4実施形態に係る冷却機構を含む回路図である。 本開示の第5実施形態に係る冷却機構を含む回路図である。
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態に係るクレーン100を示す側面図である。図1に示すように、クレーン100は、自走可能な下部走行体101と、下部走行体101上に軸回りに旋回可能に支持された上部旋回体103と、上部旋回体103に起伏可能に取り付けられた起伏部材と、起伏部材の先端からロープRを介して吊り下げられたフック105と、上部旋回体103に取り付けられたガントリ107と、ウインチドラム11と、を備える。下部走行体101及び上部旋回体103は、機体の一例である。図1に示すクレーン100では起伏部材がブーム104により構成されるが、起伏部材は、ブーム104の先端に取り付けられる図略のジブをさらに含んでいてもよい。また、クレーン100は、ガントリ107に代えてマストを備えたものであってもよい。
ウインチドラム11は、フック105に繋がるロープRの巻き上げ及び巻き下げを行うことにより、フック105に吊り荷作業のための昇降動作を行わせる。ロープRは、ウインチドラム11から繰り出されて起伏部材の先端を経由し、その起伏部材の先端から垂れ下がるように配置されてフック105を吊り下げている。フック105には吊り荷106が吊り下げられる。本実施形態では、ウインチドラム11は、上部旋回体103に支持されているが、ブーム104に支持されていてもよい。ウインチドラム11は、本開示における第1ウインチドラムの一例である。
[第1実施形態]
クレーン100は、第1実施形態に係る冷却機構10を備える。図2は、第1実施形態に係る冷却機構10を含む回路図である。図2に示すように、冷却機構10は、湿式クラッチ6(ブレーキユニット)と、オイルクーラ13と、冷却対象切替弁15と、ウインチ操作装置25と、を備える。
クレーン100は、冷却機構10の他に、油圧ポンプ21(メインポンプ)と、油圧モータ23(ウインチモータ)と、ウインチ制御弁24と、減速機28と、コントロールポンプ22と、ブレーキ操作装置7と、操作量センサ5と、モード切替弁1と、電磁比例減圧弁2と、緊急ブレーキ切替弁3と、リリーフ弁9と、カウンタバランス弁14と、コントローラ4と、を備える。
油圧ポンプ21は、例えばエンジンなどの駆動源(図示省略)により駆動されることにより作動油を吐出する。油圧ポンプ21は、本開示における第1油圧ポンプの一例である。
油圧モータ23は、ウインチドラム11を回転駆動させるための油圧モータである。油圧モータ23は、本開示における第1油圧モータの一例である。本実施形態では、油圧モータ23は、油圧ポンプ21から作動油の供給を受けて回転する出力軸23aを有する。油圧モータ23は、第1ポート及び第2ポートを有する。油圧モータ23は、油圧ポンプ21から第1ポートに作動油の供給を受け、当該作動油を第2ポートから排出することにより、ウインチドラム11がロープRの巻き上げを行うようにウインチドラム11を駆動する。油圧モータ23は、油圧ポンプ21から第2ポートに作動油の供給を受け、当該作動油を第1ポートから排出することにより、ウインチドラム11がロープRの巻き下げを行うようにウインチドラム11を駆動する。
ウインチ制御弁24は、油圧ポンプ21と油圧モータ23との間に介在し、油圧モータ23を駆動するための作動油を油圧ポンプ21から油圧モータ23の第1ポート及び第2ポートの一方に択一的に導いて当該油圧モータ23に供給される作動油の流れる方向を制御するとともに、油圧モータ23に供給される作動油の流量を制御する。ウインチ制御弁24は、第1パイロットポート及び第2パイロットポートを有する。
ウインチ操作装置25は、ウインチ操作レバーなどのウインチ操作部材25aと、リモコン弁25bと、を有する。ウインチ操作装置25は、本開示における第1操作装置の一例である。
ウインチ操作部材25aは、当該ウインチ操作部材25aに対してオペレータによる巻き上げ操作及び巻き下げ操作の一方が与えられることによりその向きに回動する。巻き上げ操作は、ウインチドラム11がロープRの巻き上げを行うように油圧モータ23を動かすためのオペレータによる操作である。巻き下げ操作は、ウインチドラム11がロープRの巻き下げを行うように油圧モータ23を動かすためのオペレータによる操作である。
リモコン弁25bは、図示されていないパイロットポンプに接続される入口ポートと、一対の出口ポートと、を有する。リモコン弁25bの一方の出口ポートは、第1パイロットラインL1を介してウインチ制御弁24の第1パイロットポートに接続され、リモコン弁25bの他方の出口ポートは、第2パイロットラインL2を介してウインチ制御弁24の第2パイロットポートに接続されている。リモコン弁25bは、ウインチ操作部材25aに巻き上げ操作が与えられると、前記第1パイロットポートに対して巻き上げ操作の大きさ(操作量)に対応したパイロット圧が前記パイロットポンプから供給されることを許容するように開弁する。リモコン弁25bは、ウインチ操作部材25aに巻き下げ操作が与えられると、前記第2パイロットポートに対して巻き下げ操作の大きさ(操作量)に対応したパイロット圧が前記パイロットポンプから供給されることを許容するように開弁する。なお、前記パイロットポンプは、後述するコントロールポンプ22であってもよく、後述するパイロットポンプ29であってもよく、これらのポンプ22,29とは別のポンプであってもよい。
ウインチ制御弁24は、第1パイロットポート及び第2パイロットポートの何れにもパイロット圧が入力されないときは中立位置(図2の中央位置)に保持される。この中立位置では、油圧ポンプ21と油圧モータ23との間が遮断されてセンターバイパスラインが開通することにより油圧ポンプ21からの作動油がセンターバイパスラインを通じて後述する冷却対象切替弁15に流入する。
ウインチ制御弁24は、第1パイロットポートに一定以上のパイロット圧が供給されるとそのパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から巻き上げ位置(図2の左側位置)にシフトする。この巻き上げ位置では、油圧ポンプ21からの作動油が前記ストロークに対応した流量で油圧モータ23の第1ポートに供給されるとともに、第2ポートから作動油が排出される。これにより、油圧モータ23の出力軸23aが回転してウインチドラム11がロープRの巻き上げを行うように回転する。油圧モータ23から排出された作動油は、ウインチ制御弁24を経由して冷却対象切替弁15に流入する。
ウインチ制御弁24は、第2パイロットポートに一定以上のパイロット圧が供給されるとそのパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から巻き下げ位置(図2の右側位置)にシフトする。この巻き下げ位置では、油圧ポンプ21からの作動油が前記ストロークに対応した流量で油圧モータ23の第2ポートに供給されるとともに、第1ポートから作動油が排出される。これにより、油圧モータ23の出力軸23aが回転してウインチドラム11がロープRの巻き下げを行うように回転する。油圧モータ23から排出された作動油は、ウインチ制御弁24を経由して冷却対象切替弁15に流入する。
減速機28は、油圧モータ23の出力軸23aとウインチドラム11との間に介在して油圧モータ23の動力をウインチドラム11に伝達するためのものである。減速機28は、例えば遊星歯車機構によって構成されている。減速機28のキャリア軸には、後述する湿式クラッチ6におけるプレート6eが接続されている。
コントロールポンプ22は、例えばエンジンなどの駆動源(図示省略)により駆動されることにより作動油を吐出する。
湿式クラッチ6は、コントロールポンプ22から吐出される作動油の供給を受けてウインチドラム11に対するブレーキ力を発生させることが可能なように構成される。湿式クラッチ6は、本開示における第1湿式クラッチの一例である。
湿式クラッチ6は、ウインチドラム11に対して油圧モータ23の動力が伝達される接続状態(クラッチオン状態)と、油圧モータ23の動力の伝達が遮断される遮断状態(クラッチオフ状態)と、を切り替えることが可能なように構成されている。前記遮断状態は、ウインチドラム11が油圧モータ23から切り離されてウインチドラム11の自由回転を許容する状態である。
湿式クラッチ6は、ピストン6aと、バネ6dと、インナープレート及びアウタープレートを含む複数のプレート6eと、これらを収容するユニットケース6fと、を有する。ユニットケース6f内は、ポジティブクラッチ室6bと、ネガティブクラッチ室6cと、複数のプレート6eが配置されたプレート室と、に区画されている。ピストン6aは、その軸方向にユニットケース6fに対して変位することが可能である。前記軸方向は、ピストン6aが複数のプレート6eに近づく方向又はピストン6aが複数のプレート6eから遠ざかる方向である。
ピストン6aが前記軸方向に移動することにより、湿式クラッチ6の状態が、前記接続状態(ブレーキがかかる状態)と、前記遮断状態(ブレーキが解除される状態)と、の間で切り替わる。具体的には、ピストン6aは、複数のプレート6eに近づく方向に移動することにより、複数のプレート6eにおけるインナープレートとアウタープレートが接するように複数のプレート6eに押圧力を加える。その結果、湿式クラッチ6の状態が接続状態となる。一方、ピストン6aが複数のプレート6eから遠ざかる方向に移動することにより、インナープレートとアウタープレートが離間する。その結果、湿式クラッチ6の状態が遮断状態となる。バネ6dは、湿式クラッチ6の状態が接続状態になる方向、すなわちピストン6aが複数のプレート6eに近づく方向にピストン6aを付勢する。
本実施形態では、ポジティブクラッチ室6bの圧力とネガティブクラッチ室6cの圧力とが同じ場合には、バネ6dの付勢力により湿式クラッチ6の状態が接続状態になる。一方、ネガティブクラッチ室6cの圧力がポジティブクラッチ室6bの圧力よりも大きくなり、かつ、これらの差圧に起因して発生する力(すなわちピストン6aを複数のプレート6eから遠ざける方向の力)がバネ6dの付勢力よりも大きくなると、湿式クラッチ6の状態が遮断状態になる。
コントローラ4は、MPUなどの演算処理装置と、メモリと、を含むコンピュータを備える。コントローラ4は、クレーン100の動作を制御する。
ブレーキ操作装置7は、ウインチドラム11に対するブレーキ力を調節するためのブレーキ操作がオペレータによって与えられる。ブレーキ操作装置7は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル7a(フットペダル)を有する。
操作量センサ5は、ブレーキ操作装置7のブレーキペダル7aに対してオペレータによるブレーキ操作(ペダル操作)が与えられると、当該ペダル操作の操作量を検出し、検出した操作量に応じた検出信号であるブレーキ検出信号をコントローラ4に入力する。
モード切替弁1は、コントロールポンプ22と湿式クラッチ6との間に介在する。モード切替弁1は、コントロールポンプ22と湿式クラッチ6が電磁比例減圧弁2を介して接続される第1状態(図2の右側位置)と、コントロールポンプ22と湿式クラッチ6が電磁比例減圧弁2を迂回して(電磁比例減圧弁2を介さずに)接続される第2状態(図2の左側位置)とを切り替える。モード切替弁1の状態が第1状態であるときには、コントロールポンプ22、電磁比例減圧弁2、モード切替弁1、及び湿式クラッチ6がこの順に接続される。モード切替弁1の状態が第2状態であるときには、コントロールポンプ22、モード切替弁1、及び湿式クラッチ6がこの順に接続され、コントロールポンプ22とモード切替弁1との間に電磁比例減圧弁2が介在しない。
モード切替弁1は、コントローラ4からのモード指令信号に応じて、第1状態と第2状態とを切り替える電磁切替弁である。具体的には、本実施形態では、モード切替弁1のソレノイドが非励磁状態であるときには、モード切替弁1の状態は第2状態(図2の左側位置)となり、モード切替弁1のソレノイドが励磁状態であるときには、モード切替弁1の状態は第1状態(図2の右側位置)となる。
電磁比例減圧弁2は、後述するフリーモードにおいて、ブレーキ操作(ペダル操作)の操作量に応じて湿式クラッチ6に供給される作動油の圧力が調節されるように開閉する。具体的には、コントローラ4は、ブレーキ操作(ペダル操作)の操作量に応じて電磁比例減圧弁2にブレーキ指令信号を出力し、電磁比例減圧弁2は、コントローラ4からのブレーキ指令信号に応じて、湿式クラッチ6のポジティブクラッチ室6bに供給される作動油の圧力が調節されるように開閉する。
緊急ブレーキ切替弁3は、コントロールポンプ22からの作動油がネガティブクラッチ室6cに供給されることを許容する供給位置(図2の右側位置)と、ネガティブクラッチ室6c内の作動油がネガティブクラッチ室6cからタンク27に排出されることを許容する排出位置(図2の左側位置)とに切り替え可能に構成されている。本実施形態では、緊急ブレーキ切替弁3は、電磁弁(電磁切替弁)によって構成されている。本実施形態では、緊急ブレーキ切替弁3のソレノイドは通常時には図2に示すように励磁状態であり、緊急ブレーキ切替弁3のスプールは供給位置にセットされている。モード切替弁1の状態が第1状態(ソレノイドが励磁状態)のときに、例えば断線などの故障が発生して電磁比例減圧弁2の2次圧が低下した場合、コントローラ4は、緊急ブレーキ切替弁3を非励磁の状態に切り替える。これにより、緊急ブレーキ切替弁3のスプールは、供給位置から排出位置に切り替わり、ネガティブクラッチ室6cはタンク27に接続される。これにより、ウインチドラム11に対するブレーキ力が発生した状態、すなわちウインチドラム11に対するブレーキがかかった状態となる。クレーン100は、電磁比例減圧弁2の2次圧を検出する図略の圧力センサをさらに備えていてもよく、コントローラ4は、当該圧力センサから入力される圧力検出信号と、前記ブレーキ検出信号と、に基づいて、断線などの故障が発生したか否かを判定してもよい。
モード切替弁1の状態が第2状態(ソレノイドが非励磁状態)であるときには、ポジティブクラッチ室6b及びネガティブクラッチ室6cの両方にコントロールポンプ22の2次圧に対応する圧力が供給されるので、バネ6dの付勢力により湿式クラッチ6の状態が接続状態になる。以下では、モード切替弁1の状態が第2状態(ソレノイドが非励磁状態)であるときのクレーン100のモードをブレーキモードと称することがある。
このブレーキモードでは、ウインチドラム11に対するブレーキ力が常に発生した状態、すなわちウインチドラム11に対するブレーキがかかった状態(接続状態)となる。この接続状態では、油圧モータ23の動力がウインチドラム11に伝達される。従って、ウインチ操作部材25aに与えられるオペレータによる巻き上げ操作又は巻き下げ操作に応じて、ウインチドラム11が油圧モータ23の動力により回転し、ロープRの巻き上げ又は巻き下げが行われる。
モード切替弁1の状態が第1状態(ソレノイドが励磁状態)であるときには、電磁比例減圧弁2の2次圧がポジティブクラッチ室6bに印加される。以下では、モード切替弁1の状態が第1状態(ソレノイドが励磁状態)であるときのクレーン100のモードをフリーモードと称することがある。
このフリーモードでは、電磁比例減圧弁2からの出力に応じてポジティブクラッチ室6bの圧力とネガティブクラッチ室6cの圧力とのバランスが変化し、ピストン6aがその軸方向にユニットケース6fに対して変位する。ブレーキ操作の操作量に応じたブレーキ検出信号が操作量センサ5からコントローラ4に入力されると、コントローラ4は、ブレーキ検出信号に応じたブレーキ指令信号を電磁比例減圧弁2に出力し、電磁比例減圧弁2は、コントローラ4から入力されるブレーキ指令信号に応じた2次圧を出力する。すなわち、電磁比例減圧弁2は、ブレーキ操作の操作量に応じた2次圧を出力する。具体的には、電磁比例減圧弁2は、ブレーキ操作の操作量が大きくなるほど大きな2次圧を出力する。電磁比例減圧弁2の出力(2次圧)が大きくなるとウインチドラム11に対するブレーキ力も大きくなり、ウインチドラム11に対するブレーキがかかった状態となる。電磁比例減圧弁2の出力(2次圧)が小さくなるとウインチドラム11に対するブレーキ力も小さくなり、ウインチドラム11に対するブレーキが解除された状態となる。従って、オペレータは、フリーモードにおいて、ブレーキ操作の操作量を調節することにより、ウインチドラム11に対してブレーキをかけた状態とブレーキを解除した状態とを切り替えることができる。フリーモードにおいてブレーキが解除された状態では、吊り荷106は自重によって自由落下することが可能になる。この自由落下の速度はブレーキペダル7aの操作量に応じて増減可能である。
リリーフ弁9は、コントロールポンプ22に接続された吐出ライン(コントロールポンプ22から作動油が吐出される吐出ライン)の圧力が所定の値を超えると、作動油の少なくとも一部をタンク27に流すように開弁する。
クレーン100は、モード切替スイッチ30をさらに備えていてもよい。モード切替スイッチ30は、クレーン100のモードをブレーキモードとフリーモードとの間で切り替えるためのスイッチである。モード切替スイッチ30は、例えばクレーンのキャブ内に設けられることによりオペレータによって操作可能に構成されている。
モード切替スイッチ30は、オペレータによるフリーモード操作を受けると、フリーモード信号をコントローラ4に入力し、コントローラ4は、モード切替弁1の状態が第1状態(図2の右側位置)になるようにモード切替弁1の動作を制御する。これにより、クレーン100のモードがフリーモードに切り替えられる。一方、モード切替スイッチ30は、オペレータによるブレーキモード操作を受けると、ブレーキモード信号をコントローラ4に入力し、コントローラ4は、モード切替弁1の状態が第2状態(図2の左側位置)になるようにモード切替弁1の動作を制御する。これにより、クレーン100のモードがブレーキモードに切り替えられる。
なお、フリーモードにおいて、ウインチ操作装置25に対して巻き上げ操作又は巻き下げ操作が与えられると、コントローラ4は、フリーモードからブレーキモードに切り替わるようにモード切替弁1を制御する。
インナープレートとアウタープレートとの間に生じる摩擦に起因する複数のプレート6eの焼き付きを防止するために、図2に示すように、湿式クラッチ6には、冷却油が供給されるように構成されている。本実施形態では、この冷却油として油圧ポンプ21から吐出される作動油が用いられる。すなわち、油圧ポンプ21から吐出される作動油は油圧モータ23を駆動するために用いられるとともに湿式クラッチ6を冷却するためにも用いられる。これにより、湿式クラッチ6の冷却のための専用の油圧ポンプを省くことができる。
カウンタバランス弁14は、ロープRの巻き下げ時に油圧モータ23から作動油が排出されるメータアウト油路40に配置されている。カウンタバランス弁14は、ロープRの巻き下げ時に吊り荷106の重量によってウインチドラム11の回転速度(吊り荷106の降下速度)が大きくなり過ぎることを回避するためのものである。カウンタバランス弁14は、巻き下げ時に油圧モータ23に供給される作動油の一次側圧力であるメータイン圧力がある程度大きくなることで開弁し、油圧モータ23から作動油が二次側の油路であるメータアウト油路40に排出されることを許容するように構成される。このカウンタバランス弁14では、比較的大きな圧力損失が生じるので、ロープRの巻き下げ時にメータアウト油路40におけるカウンタバランス弁14を通過した作動油の温度が上昇しやすい。
そこで、本実施形態に係るクレーン100は、ロープRの巻き下げ時にカウンタバランス弁14を通過して温度上昇した作動油が湿式クラッチ6に供給されることを防止することが可能な冷却機構10を備え、これにより、湿式クラッチ6におけるオーバーヒートのリスクを低減することができる。具体的には以下の通りである。
まず、オイルクーラ13について説明する。オイルクーラ13は、油圧ポンプ21から吐出されて油圧回路を流れる間に温度が上昇した作動油を冷却するための熱交換器である。オイルクーラ13は、前記作動油と外気との間で熱交換を行わせるための熱交換用油路を有する。オイルクーラ13は、例えば、前記熱交換用油路を流れる作動油と図略の冷却ファンにより供給される外気との間で熱交換を行わせ、これにより、作動油が冷却される。オイルクーラ13は、本開示における第1オイルクーラの一例である。
冷却対象切替弁15は、クラッチ供給状態とクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁である。冷却対象切替弁15は、本開示における第1冷却対象切替弁の一例である。クラッチ供給状態は、作動油が湿式クラッチ6に供給されることを許容する状態である。クーラ供給状態は、作動油がオイルクーラ13に供給されることを許容する状態である。本実施形態では、冷却対象切替弁15は、パイロット圧が入力されるパイロットポートを有する2位置の切替弁である。ウインチ操作装置25のウインチ操作部材25aに巻き下げ操作が与えられると、リモコン弁25bは、当該巻き下げ操作に応じたパイロット圧を出力し、冷却対象切替弁15は、前記パイロットポートに前記パイロット圧が入力されることにより冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように構成される。具体的には、本実施形態では、リモコン弁25bは、ウインチ操作部材25aに巻き下げ操作が与えられると、ウインチ制御弁24の第2パイロットポート及び冷却対象切替弁15のパイロットポートの双方に対して巻き下げ操作の操作量に対応したパイロット圧が前記パイロットポンプから供給されることを許容するように開弁する。
冷却対象切替弁15は、ウインチ操作装置25のウインチ操作部材25aに巻き下げ操作が与えられていないときには、冷却対象切替弁15のパイロットポートにパイロット圧が入力されないので、冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態になるように構成される。ウインチ操作部材25aに巻き下げ操作が与えられていないときには、ウインチ操作部材25aに巻き上げ操作が与えられているとき、及びウインチ操作部材25aに何れの操作も与えられていないときが含まれる。
冷却対象切替弁15と湿式クラッチ6はクラッチ油路41を介して接続され、冷却対象切替弁15とオイルクーラ13はクーラ油路42を介して接続されている。すなわち、この冷却機構10は、冷却対象切替弁15から分岐する2つの油路41,42を有し、前記2つの油路の一方であるクラッチ油路41に湿式クラッチ6が接続され、前記2つの油路の他方であるクーラ油路42にオイルクーラ13が接続されるような構造を備えている。
冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態であるときには、油圧ポンプ21から吐出された作動油は、ウインチ制御弁24を介して冷却対象切替弁15に到達し、さらに、クラッチ油路41を通じて湿式クラッチ6に流入する。湿式クラッチ6に流入した作動油は、湿式クラッチ6を冷却した後、湿式クラッチ6から排出され、タンク油路44を通じてタンク27に戻る。冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態であるときには、油圧ポンプ21から吐出された作動油は、ウインチ制御弁24を介して冷却対象切替弁15に到達し、さらに、クーラ油路42を介してオイルクーラ13に流入する。オイルクーラ13において冷却された作動油は、オイルクーラ13から排出され、タンク油路43を通じてタンク27に戻る。
本実施形態に係る冷却機構10では、油圧ポンプ21から吐出される作動油は油圧モータ23を駆動するために用いられるとともに湿式クラッチ6を冷却するためにも用いられるので、湿式クラッチ6の冷却のための専用の油圧ポンプを省くことができる。しかも、この冷却機構10では、冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態のときには前記作動油が湿式クラッチ6に供給され、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態のときには前記作動油がオイルクーラ13に供給される。従って、この冷却機構10では、オイルクーラ13における圧力損失に起因して湿式クラッチ6内の圧力が上昇することが回避され、湿式クラッチ6におけるシール性の低下が抑制される。そして、この冷却機構10では、冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態に切り替えられることにより湿式クラッチ6が冷却され、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態に切り替えられることにより作動油自体が冷却される。従って、この冷却機構10は、湿式クラッチ6を冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラ13に起因する湿式クラッチ6内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
また、本実施形態に係る冷却機構10では、冷却対象切替弁15は、ウインチ操作装置25のウインチ操作部材25aに巻き下げ操作が与えられたときに冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように構成される。従って、ロープRの巻き下げ時にカウンタバランス弁14を通過することで温度上昇した作動油が湿式クラッチ6に供給されることを防止し、湿式クラッチ6におけるオーバーヒートのリスクを低減することができ、温度上昇した作動油をオイルクーラ13において冷却することができる。
冷却対象切替弁15は、巻き下げ操作に応じてウインチ操作装置25のリモコン弁25bから出力されるパイロット圧が入力されることにより冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように構成されている。このようにリモコン弁25bからのパイロット圧を利用して冷却対象切替弁15の状態の切り替えを行うことは、比較的シンプルな構造でロープRの巻き下げ時において湿式クラッチ6におけるオーバーヒートのリスクを低減することができる。
[第2実施形態]
図3は、本開示の第2実施形態に係る冷却機構10を含む回路図である。第1実施形態と第2実施形態の主な相違点は次の通りである。上述した第1実施形態では、ウインチ操作装置25は、ウインチ操作部材25aと、巻き下げ操作に応じたパイロット圧を出力するリモコン弁25bとを備え、冷却対象切替弁15は、前記パイロット圧が入力されることにより冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように構成される。一方、第2実施形態では、ウインチ操作装置25は、ウインチ操作部材25aと、当該ウインチ操作部材25aに与えられる巻き上げ操作及び巻き下げ操作の操作量を検出する操作センサ25cと、を備える。操作センサ25cは、検出した巻き上げ操作の操作量又は巻き下げ操作の操作量に対応する電気信号である操作信号をコントローラ4に入力する。第2実施形態に係るウインチ操作装置25はいわゆる電気レバーを備えた操作装置である。また、第2実施形態では、冷却対象切替弁15の動作は、コントローラ4からの指令に基づいて制御される。なお、第2実施形態に係るクレーン100の基本的な構造は、図1に示す第1実施形態に係るクレーン100の基本的な構造と同様であるので、図3において図1と同じ符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。以下、第2実施形態に係る冷却機構10について具体的に説明する。
第2実施形態に係る冷却機構10は、湿式クラッチ6と、オイルクーラ13と、冷却対象切替弁15と、ウインチ操作装置25と、電磁切替弁16と、コントローラ4と、を備える。
電磁切替弁16は、作動油を吐出するパイロットポンプ29と、冷却対象切替弁15との間に介在し、パイロットポンプ29からのパイロット圧が冷却対象切替弁15に入力されることを許容する許容状態と、パイロットポンプ29からのパイロット圧が冷却対象切替弁15に入力されることを阻止する阻止状態と、を切り替えることが可能なように構成される。電磁切替弁16の状態はコントローラ4から入力される調整指令に応じて切り替わる。パイロットポンプ29は、例えばエンジンなどの駆動源(図示省略)により駆動されることにより作動油を吐出する。
コントローラ4は、冷却対象切替弁15の状態をクラッチ供給状態とクーラ供給状態との間で調整するための指令である調整指令を出力する。
具体的には、例えば、本実施形態では、電磁切替弁16のソレノイドが非励磁状態であるときには、電磁切替弁16の状態は阻止状態(図3の上側位置)となり、電磁切替弁16のソレノイドが励磁状態であるときには、電磁切替弁16の状態は許容状態(図3の下側位置)となる。電磁切替弁16の状態が阻止状態であるときにはパイロットポンプ29からのパイロット圧は冷却対象切替弁15に入力されないので、冷却対象切替弁15の状態はクラッチ供給状態になる。一方、電磁切替弁16は、電磁切替弁16の状態を許容状態に切り替えるための調整指令がコントローラ4から入力されると、阻止状態から許容状態に切り替わる。電磁切替弁16の状態が許容状態であるときにはパイロットポンプ29からのパイロット圧が冷却対象切替弁15に入力されるので、冷却対象切替弁15の状態はクーラ供給状態になる。
第2実施形態では、コントローラ4からの前記調整指令に基づいて冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態とクーラ供給状態との間で調整されるので、ロープRの巻き下げ時以外の種々のケースに適した状態に冷却対象切替弁15の状態を調整することができる。この第2実施形態では、湿式クラッチに作動油を供給する必要のないときには、冷却対象切替弁15の状態を積極的にクーラ供給状態にすることで作動油をオイルクーラ13において十分に冷却することができる。このことは、クレーン100全体のヒートバランスを向上させることができる。
図4は、第2実施形態に係る冷却機構10において、冷却対象切替弁15の状態と、モード及び操作との関係を示す表である。図4に示す具体例では、コントローラ4は、クレーン100のモードがブレーキモードであるときには、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように冷却対象切替弁15を制御する。コントローラ4は、クレーン100のモードがフリーモードであるときに、ウインチ操作装置25に巻き下げ操作が与えられた場合には、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように冷却対象切替弁15を制御する。コントローラ4は、クレーン100のモードがフリーモードであるときに、ウインチ操作装置25に巻き上げ操作が与えられた場合及びウインチ操作装置25に何れの操作も与えられていない場合には、冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態になるように冷却対象切替弁15を制御する。
なお、図4において、「フリーモードON」という表記は、クレーン100のモードがフリーモードであることを表し、「フリーモードOFF(ブレーキモードON)」という表記は、クレーン100のモードがブレーキモードであることを表す。また、図4において、「無操作」の欄の「YES」という表記は、ウインチ操作装置25に何れの操作も与えられていないことを表し、「巻き上げ操作」の欄の「YES」という表記は、ウインチ操作装置25に巻き上げ操作が与えられたことを表し、「巻き下げ操作」の欄の「YES」という表記は、ウインチ操作装置25に巻き下げ操作が与えられたことを表す。
次に、図5を参照しながら、本実施形態に係る冷却機構10の動作について説明する。図5は、コントローラ4による演算処理の一例を示すフローチャートである。
コントローラ4は、クレーン100のモードがフリーモードであるか否か、言い換えると、「フリーモードON」であるか否かを判定する(ステップS1)。コントローラ4は、例えばクレーン100のモードがフリーモード及びブレーキモードの何れであるかを表すフラグである判定フラグに基づいて、クレーン100のモードがフリーモードであるか否かを判定することができる。この判定フラグは、コントローラ4によりON及びOFFが切り替えられてメモリに記憶される(更新される)。
コントローラ4は、前記判定フラグに基づいて、クレーン100のモードがフリーモードであると判定すると(ステップS1においてYES)、ステップS2の処理を行い、前記判定フラグに基づいて、クレーン100のモードがブレーキモードであると判定すると(ステップS1においてNO)、ステップS6の処理を行う。
ステップS2において、コントローラ4は、ウインチ操作装置25に対する巻き上げ操作及び巻き下げ操作が与えられているか否かに関する情報である操作情報を取得する。具体的には、操作情報は、図4に示す「無操作」、「巻き上げ操作」及び「巻き下げ操作」に関する情報である。コントローラ4が取得する操作情報は、ウインチ操作装置25の操作センサ25cから入力される操作信号の情報を含む。
次に、コントローラ4は、前記操作情報に基づいて、ウインチ操作装置25に巻き下げ操作が与えられているか否かを判定する(ステップS3)。ウインチ操作装置25に巻き下げ操作が与えられている場合(ステップS3においてYES)、コントローラ4は、油圧モータ23の動力がウインチドラム11に伝達されて巻き下げ動作が行われるように、クレーン100のモードをフリーモードからブレーキモードに切り替えたうえで、コントローラ4は、ステップS4の処理を行う。ウインチ操作装置25に巻き下げ操作が与えられていない場合、すなわち、ウインチ操作装置25に何れの操作も与えられていない場合及びウインチ操作装置25に巻き上げ操作が与えられている場合の何れかの場合(ステップS3においてNO)、コントローラ4は、ステップS5の処理を行う。
ステップS4及びステップS6のそれぞれにおいて、コントローラ4は、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように冷却対象切替弁15の動作を制御する。具体的には、本実施形態では、コントローラ4は、電磁切替弁16の状態を許容状態に切り替えるための調整指令を出力する。これにより、電磁切替弁16が許容状態になり、パイロットポンプ29からのパイロット圧が冷却対象切替弁15に入力され、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になる。
ステップS5において、コントローラ4は、冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態になるように冷却対象切替弁15の動作を制御する。具体的には、本実施形態では、コントローラ4は、電磁切替弁16の状態が阻止状態となるように電磁切替弁16の動作を制御する。これにより、パイロットポンプ29からのパイロット圧が冷却対象切替弁15に入力されないので、冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態になる。
この第2実施形態では、コントローラ4からの調整指令に基づいて冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態とクーラ供給状態との間で調整されるので、ロープRの巻き下げ時以外の種々のケースに適した状態に冷却対象切替弁15の状態を調整することができる。巻き下げ時以外の種々のケースとしては、図4及び図5を参照して説明したように、クレーン100のモードがブレーキモードであるとき(フリーモードOFFのとき)で、かつ、ウインチ操作装置25に何れの操作も与えられていない場合及びウインチ操作装置25に巻き上げ操作が与えられている場合の何れかの場合を例示することができる。これらの場合には、湿式クラッチ6に作動油を供給する必要性が低いので、冷却対象切替弁15の状態を積極的にクーラ供給状態にすることで作動油をオイルクーラ13において十分に冷却することができる。このことは、クレーン100全体のヒートバランスを向上させることができる。
なお、第2実施形態では、上述したように、コントローラ4は、クレーン100のモードがフリーモードであるときに、ウインチ操作装置25に巻き上げ操作が与えられた場合(図4における「巻き上げ操作」)及びウインチ操作装置25に何れの操作も与えられていない場合(図4における「無操作」)には、冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態になるように冷却対象切替弁15を制御する。その理由は次の通りである。
フック105(吊り荷106)の昇降動作が繰り返される実際の作業では、オペレータは、例えば、ウインチ操作装置25に巻き上げ操作を与えることによりフック105(吊り荷106)を上昇させることと、フリーモードにおいてブレーキペダル7aの操作によりブレーキ力を調節しながらフック105(吊り荷106)を下降させることと、を繰り返すケースが多い。このケースにおいて、ブレーキ力の調節を伴うフック105の下降時には湿式クラッチ6の温度が上昇しやすい。このため、これに続いて行われる巻き上げ操作によるフック105の上昇時、すなわちフリーモードにおいてウインチ操作装置25に巻き上げ操作が与えられたときには、湿式クラッチ6を冷却するために、図4に示すように冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態になるように冷却対象切替弁15が制御されることが好ましい。なお、作動油の温度が所定の温度よりも高くなった場合には、フリーモードにおいてウインチ操作装置25に巻き上げ操作が与えられたときに、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように冷却対象切替弁15が制御されてもよい。
図6は、ウインチ操作装置25のウインチ操作部材25aに与えられる操作の操作量であるレバー操作量と、油圧ポンプ21から吐出される作動油の流量(ポンプ吐出流量)との関係の一例を示すグラフである。図6に示すように、ウインチ操作部材25aに操作が与えられていないとき、すなわちレバー操作量がゼロのときには、コントローラ4は、ポンプ吐出流量が最小値になるように油圧ポンプ21の容量であるポンプ容量を制御する。また、コントローラ4は、レバー操作量が大きくなるにつれてポンプ吐出流量が増加するようにポンプ容量を制御する。ポンプ吐出流量は、レバー操作量が所定の値を超えた後には一定値(最大値)となる。また、ポンプ吐出流量は、エンジンの回転数が増加するにつれて増加する。
上記のようにポンプ吐出流量が制御される場合、湿式クラッチ6に供給される作動油の流量が大きくなり過ぎることを抑制するために、冷却機構10は、以下に説明する変形例のような構成を備えることが好ましい。
図7は、第2実施形態の変形例に係る冷却機構10を含む回路図である。図3に示す冷却機構10は、冷却対象切替弁15に対するパイロット圧の入力の有無を切り替えるための電磁切替弁16を備えるが、図7に示す変形例に係る冷却機構10は、電磁切替弁16に代えて、電磁比例切替弁17を備える。図7に示す変形例に係る冷却機構10は、この点で図3に示す冷却機構10と相違し、その他の構成は、図3に示す冷却機構10と同様である。
この変形例では、コントローラ4は、電磁比例切替弁17に前記調整指令を入力し、電磁比例切替弁17は、前記調整指令に応じた大きさのパイロット圧を冷却対象切替弁15のパイロットポートに入力する。冷却対象切替弁15は、前記作動油を湿式クラッチ6に供給するための経路の開度が前記パイロット圧の大きさに応じて調整されるように構成されている。この変形例では、コントローラ4からの前記調整指令に基づいて冷却対象切替弁15において前記開度が調整されるので、湿式クラッチ6への作動油の供給量をより適切な量に細かく調整することができる。
図8は、ポンプ吐出流量相関値と、冷却対象切替弁15の前記経路の開度(バルブの開度)との関係の一例を示すグラフである。ポンプ吐出流量相関値は、ポンプ吐出流量の増減に相関する値である。ポンプ吐出流量相関値の具体例としては、例えば、レバー操作量、エンジン回転数などを挙げることができるが、これらに限られない。
この変形例では、コントローラ4は、湿式クラッチ6に供給される作動油の供給量を減少させるか否かを判定するために予め設定された条件である供給量減少条件が満たされたときに、前記供給量が減少するように冷却対象切替弁15の状態を調整するための前記調整指令を出力する。供給量減少条件は、例えば、ポンプ吐出流量相関値が予め設定された閾値以上になることであってもよい。具体的には以下の通りである。
この変形例では、コントローラ4は、図8に示すようにポンプ吐出流量相関値が予め設定された閾値以上になると、前記作動油を湿式クラッチ6に供給するための冷却対象切替弁15の開度が減少するように冷却対象切替弁15の動作を制御する。具体的には、コントローラ4は、図8に示すようにポンプ吐出流量相関値が予め設定された閾値以上になると、ポンプ吐出流量相関値が増加するにつれて冷却対象切替弁15の開度が減少するように冷却対象切替弁15の動作を制御することが好ましい。これにより、湿式クラッチ6に供給される作動油の供給量が減少し、この減少分に係る作動油は、オイルクーラ13に供給される。これにより、湿式クラッチ6に供給される作動油の流量が大きくなり過ぎることを抑制することができ、しかも、減少分に係る作動油をオイルクーラ13において冷却することができる。このことは、湿式クラッチ6内の圧力上昇をさらに抑制することと、クレーン100全体のヒートバランスをさらに向上させることと、を可能にする。なお、上記のような制御を行うときのポンプ吐出流量相関値は、レバー操作量及びエンジン回転数の少なくとも一方であってもよい。
[その他の変形例]
図3に示すように、冷却機構10は、少なくとも一つのセンサをさらに備えていてもよい。少なくとも一つのセンサは、ウインチドラム11の回転数であるドラム回転数を検出する回転数センサ31を含んでいてもよい。また、少なくとも一つのセンサは、ポジティブクラッチ室6bの圧力(ポジ圧)を検出する圧力センサであるポジ圧センサ33、及びネガティブクラッチ室6cの圧力(ネガ圧)を検出する圧力センサであるネガ圧センサ32を含んでいてもよい。また、少なくとも一つのセンサは、クラッチ油路41を通じて湿式クラッチ6に供給される作動油の温度(入口温度)を検出する入口温度センサ34及び湿式クラッチ6からタンク油路44に排出される作動油の温度(出口温度)を検出する出口温度センサ35を含んでいてもよい。これらのセンサは、検出結果に関する検出信号をコントローラ4に入力する。コントローラ4は、入力された検出信号に基づいて、クレーン100の状態を判定することができる。前記検出信号に基づいたクレーン100の状態の判定の具体例を挙げると以下の通りであるが、前記検出信号に基づいた判定は、以下の具体例に限られない。
コントローラ4は、前記ネガ圧と前記ポジ圧を比較することにより、湿式クラッチ6のプレート6eが摩擦している状態であるか否かを判定することができる。例えば、湿式クラッチ6のプレート6eが摩擦している状態(プレート6e同士が接触している状態)である場合には、ウインチドラム11が回転している状態又は停止している状態で「ネガ圧≦ポジ圧」の関係が成り立つ。
また、コントローラ4は、前記ドラム回転数に基づいて、ウインチドラム11が回転しているか否かを判定することができる。
コントローラ4は、前記入口温度及び前記出口温度の少なくとも一方に基づいて、作動油自体を冷却する必要があるか否かを判定することができる。なお、作業中には、通常、出口温度が入口温度よりも大きくなる。
以下、クレーン100の種々の状態について説明する。まず、ウインチドラム11が回転中であり、かつ、湿式クラッチ6のプレート6eが摩擦している状態であるケース1の場合について説明する。ケース1は、ウインチ操作装置25に巻き上げ操作又は巻き下げ操作が与えられ、湿式クラッチ6が接続状態(クラッチオン状態)である場合、及び、フリーモードにおいて下降しているフック105(吊り荷106)をブレーキペダル7aのブレーキ操作により停止又は減速させようとしている場合を含む。
次に、ウインチドラム11が回転中であり、かつ、湿式クラッチ6のプレート6eが摩擦していない状態であるケース2の場合について説明する。ケース2は、フリーモードにおいてブレーキペダル7aのブレーキ操作が行われておらずフック105(吊り荷106)が自由落下している場合を含む。
次に、ウインチドラム11が回転しておらず、かつ、湿式クラッチ6のプレート6eが摩擦している状態であるケース3の場合について説明する。ケース3は、フリーモードにおいてブレーキペダル7aのブレーキ操作が行われ、フック105(吊り荷106)が停止している場合(吊り荷106が着床している場合も含む)、及び、巻き上げ操作又は巻き下げ操作が行われた後に操作レバーが中立位置に戻されることでフック105(吊り荷106)が停止している場合を含む。
次に、ウインチドラム11が回転しておらず、かつ、湿式クラッチ6のプレート6eが摩擦していない状態であるケース4の場合について説明する。ケース4は、フリーモードにおいてウインチ操作装置25に巻き上げ操作及び巻き下げ操作の何れも与えられておらず(図4における「無操作」)、かつ、ブレーキペダル7aに対してブレーキ操作が与えられていない場合(例えば吊り荷106が着床している場合など)を含む。
コントローラ4は、前記少なくとも一つのセンサから入力された検出信号に基づいて、クレーン100の状態(例えば上記のケース1~4のような状態)を判定することができ、その判定結果に基づいて、種々のケースに適した状態に冷却対象切替弁15の状態を調整することができる。前記検出信号に基づく制御の具体例を以下に説明するが、前記検出信号に基づく制御は、以下の具体例に限られない。
例えば、作動油自体を冷却する必要があるか否かを判定するために予め設定された温度条件が満たされた場合には、クレーン100のモードがフリーモードである場合(図4における「フリーモードON」)で、かつ、ウインチ操作装置25に何れの操作も与えられていない場合(図4における「無操作」)であっても、コントローラ4は、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように冷却対象切替弁15を制御してもよい。これにより、作動油をオイルクーラ13において冷却することができる。また、前記温度条件が満たされた場合には、クレーン100のモードがフリーモードである場合で、かつ、ウインチ操作装置25に巻き上げ操作が与えられた場合(図4における「巻き上げ操作」)であっても、コントローラ4は、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になるように冷却対象切替弁15を制御してもよい。これにより、作動油をオイルクーラ13において冷却することができる。前記温度条件は、例えば、前記出口温度が予め設定された温度閾値よりも大きくなることであってもよく、前記出口温度と前記入口温度との温度差(出口温度-入口温度)が予め設定された温度差閾値よりも大きくなることであってもよい。この場合において冷却対象切替弁15の状態をクーラ供給状態からクラッチ供給状態に戻すか否かを判定するために予め設定された復帰条件が満たされた場合には、コントローラ4は、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態からクラッチ供給状態に切り替わるように冷却対象切替弁15を制御してもよい。前記復帰条件は、例えば、前記出口温度が予め設定された復帰温度閾値よりも小さくなることであってもよく、前記出口温度と前記入口温度との温度差が予め設定された復帰温度差閾値よりも小さくなることであってもよく、予め設定された復帰時間閾値が経過することであってもよい。
また、冷却対象切替弁15が、コントローラ4からの調整指令に基づいて湿式クラッチ6に供給される作動油の供給量(クラッチ供給量)とオイルクーラ13に供給される作動油の供給量(クーラ供給量)の分配比率を調節可能なように構成されている場合には、コントローラ4は次のような制御を行ってもよい。すなわち、「フリーモードON」で、かつ、「無操作」であっても、コントローラ4は、前記温度条件が満たされた場合に、湿式クラッチ6とオイルクーラ13の両方に作動油が供給されるように冷却対象切替弁15を制御してもよい。これにより、湿式クラッチ6の冷却と作動油自体の冷却とを並行して行うことができる。また、「フリーモードON」で、かつ、「巻き上げ操作」であっても、コントローラ4は、前記温度条件が満たされた場合に、湿式クラッチ6とオイルクーラ13の両方に作動油が供給されるように冷却対象切替弁15を制御してもよい。これにより、湿式クラッチ6の冷却と作動油自体の冷却とを並行して行うことができる。これらのそれぞれの場合において、コントローラ4は、前記出口温度又は前記温度差が大きいほどクーラ供給量の割合が大きくなるように冷却対象切替弁15を制御してもよい。これにより、湿式クラッチ6の冷却と作動油自体の冷却とをさらにきめ細かく調節することができる。この変形例では、クレーン100は、図7に示す回路構成を備えていてもよい。また、この変形例では、冷却対象切替弁15は、コントローラ4から直接、調整指令の入力を受けることによりクラッチ供給量とクーラ供給量の分配比率を調節することができるような弁であってもよい(例えば電磁比例弁など)。
また、フリーモードにおいてフック105(吊り荷106)が下降しているときにウインチ操作装置25に巻き上げ操作又は巻き下げ操作が与えられることでブレーキがかかるとともに冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態になり、ドラム回転数が次第に減少している場合において、コントローラ4は、ドラム回転数が予め設定された回転数閾値以下になると、冷却対象切替弁15の状態がクーラ供給状態からクラッチ供給状態に切り替わるように冷却対象切替弁15を制御してもよい。これにより、ブレーキ時におけるプレート6eの摩擦により温度が上昇した湿式クラッチ6をタイミングよく冷却することができる。
また、ウインチドラム11が回転中であり、かつ、湿式クラッチ6のプレート6eが摩擦している状態である場合(前記ケース1)、具体的には例えば、フリーモードにおいてフック105(吊り荷106)が自由落下しているときにブレーキがかけられている場合、コントローラ4は、冷却対象切替弁15の状態がクラッチ供給状態になるように冷却対象切替弁15を制御してもよい。これにより、ブレーキ時におけるプレート6eの摩擦により温度が上昇した湿式クラッチ6をタイミングよく冷却することができる。
なお、図7に示す冷却機構10は、図3に示す冷却機構10と同様に、少なくとも一つのセンサを備えていてもよい。少なくとも一つのセンサは、回転数センサ31を含んでいてもよく、ポジ圧センサ33及びネガ圧センサ32を含んでいてもよく、入口温度センサ34及び出口温度センサ35を含んでいてもよい。
[第3実施形態]
図9は、本開示の第3実施形態に係る冷却機構10を含む回路図である。図9に示す第3実施形態に係るクレーン100は、冷却機構10と、複数のウインチドラムと、複数の油圧ポンプと、複数の油圧モータと、複数のウインチ制御弁と、複数の減速機と、を備える。第3実施形態に係る冷却機構10は、複数の湿式クラッチと、複数のオイルクーラと、複数の冷却対象切替弁と、複数の操作装置と、を備える。
前記複数のウインチドラムは、主巻ウインチドラム11A(第1ウインチドラムの一例)と、補巻ウインチドラム11B(第2ウインチドラムの一例)と、を含む。主巻ウインチドラム11Aは、図1に示すロープR(主巻ロープR)の巻き上げ及び巻き下げを行うウインチドラムである。補巻ウインチドラム11Bは、図略の補巻ロープの巻き上げ及び巻き下げを行うウインチドラムである。主巻ロープRの下端部にはフック105が取り付けられ、このフック105には例えば吊り荷が吊り下げられる。補巻ロープの下端部には図略のフックが取り付けられ、このフックには例えば吊り荷が吊り下げられる。
前記複数の油圧ポンプは、第1油圧ポンプ21Aと、第2油圧ポンプ21Bと、を含む。第1油圧ポンプ21A及び第2油圧ポンプ21Bのそれぞれは、前記駆動源により駆動されることにより作動油を吐出する。
前記複数の油圧モータは、主巻モータ23A(第1油圧モータの一例)と、補巻モータ23B(第2油圧モータの一例)と、を含む。主巻モータ23A及び補巻モータ23Bのそれぞれは、第1油圧ポンプ21A及び第2油圧ポンプ21Bの少なくとも一方から作動油の供給を受けて作動する。
前記複数のウインチ制御弁は、第1主巻制御弁24Aと、第2主巻制御弁24Bと、第1補巻制御弁24Cと、第2補巻制御弁24Dと、を含む。前記複数のウインチ制御弁のそれぞれは、第1パイロットポート(巻き上げパイロットポート)及び第2パイロットポート(巻き下げパイロットポート)を有する。第1主巻制御弁24Aは、第1油圧ポンプ21Aと主巻モータ23Aとの間に介在する方向切替弁(比例方向切替弁)である。第2主巻制御弁24Bは、第2油圧ポンプ21Bと主巻モータ23Aとの間に介在する方向切替弁(比例方向切替弁)である。第1補巻制御弁24Cは、第1主巻制御弁24Aと補巻モータ23Bとの間に介在する方向切替弁(比例方向切替弁)である。第2補巻制御弁24Dは、第2主巻制御弁24Bと補巻モータ23Bとの間に介在する方向切替弁(比例方向切替弁)である。
前記複数の減速機は、主巻減速機28Aと補巻減速機28Bとを含む。主巻減速機28A及び補巻減速機28Bのそれぞれは、図2に示す減速機28と同様の構造と機能を有する。主巻減速機28Aは、主巻モータ23Aと主巻ウインチドラム11Aとの間に介在して主巻モータ23Aの動力を主巻ウインチドラム11Aに伝達するためのものである。補巻減速機28Bは、補巻モータ23Bと補巻ウインチドラム11Bとの間に介在して補巻モータ23Bの動力を補巻ウインチドラム11Bに伝達するためのものである。
前記複数の湿式クラッチは、主巻湿式クラッチ6A(第1湿式クラッチの一例)と、補巻湿式クラッチ6B(第2湿式クラッチの一例)と、を含む。主巻湿式クラッチ6A及び補巻湿式クラッチ6Bのそれぞれは、図2に示す湿式クラッチ6と同様の構造と機能を有する。
主巻湿式クラッチ6Aは、図1に示すコントロールポンプ22(図9では図示省略)から吐出される作動油の供給を受けて主巻ウインチドラム11Aに対するブレーキ力を発生させることが可能なように構成される。主巻湿式クラッチ6Aは、主巻ウインチドラム11Aに対して主巻モータ23Aの動力が伝達される接続状態(クラッチオン状態)と、主巻モータ23Aの動力の伝達が遮断される遮断状態(クラッチオフ状態)と、を切り替えることが可能なように構成されている。
補巻湿式クラッチ6Bは、コントロールポンプ22から吐出される作動油の供給を受けて補巻ウインチドラム11Bに対するブレーキ力を発生させることが可能なように構成される。補巻湿式クラッチ6Bは、補巻ウインチドラム11Bに対して補巻モータ23Bの動力が伝達される接続状態(クラッチオン状態)と、補巻モータ23Bの動力の伝達が遮断される遮断状態(クラッチオフ状態)と、を切り替えることが可能なように構成されている。
前記複数のオイルクーラは、第1オイルクーラ13Aと、第2オイルクーラ13Bと、を含む。第1オイルクーラ13A及び第2オイルクーラ13Bのそれぞれは、第1油圧ポンプ21Aから吐出されて油圧回路を流れる間に温度が上昇した作動油、及び、第2油圧ポンプ21Bから吐出されて油圧回路を流れる間に温度が上昇した作動油の少なくとも一方を冷却するための熱交換器である。
前記複数の冷却対象切替弁は、第1冷却対象切替弁15Aと、第2冷却対象切替弁15Bと、を含む。第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bのそれぞれは、クラッチ供給状態とクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁である。第1冷却対象切替弁15Aの状態がクラッチ供給状態であるときには、作動油が主巻湿式クラッチ6Aに供給されることが許容され、第1冷却対象切替弁15Aの状態がクーラ供給状態であるときには、作動油が第1オイルクーラ13Aに供給されることが許容される。第2冷却対象切替弁15Bの状態がクラッチ供給状態であるときには、作動油が補巻湿式クラッチ6Bに供給されることが許容され、第2冷却対象切替弁15Bの状態がクーラ供給状態であるときには、作動油が第2オイルクーラ13Bに供給されることが許容される。
具体的には、第1冷却対象切替弁15Aと主巻湿式クラッチ6Aはクラッチ油路41を介して接続され、第1冷却対象切替弁15Aと第1オイルクーラ13Aはクーラ油路42を介して接続されている。同様に、第2冷却対象切替弁15Bと補巻湿式クラッチ6Bはクラッチ油路41を介して接続され、第2冷却対象切替弁15Bと第2オイルクーラ13Bはクーラ油路42を介して接続されている。
前記複数の操作装置は、主巻ウインチ操作装置25Aと、補巻ウインチ操作装置25Bと、を含む。主巻ウインチ操作装置25A及び補巻ウインチ操作装置25Bのそれぞれは、図2に示すウインチ操作装置25と同様の構造と機能を有する。主巻ウインチ操作装置25A及び補巻ウインチ操作装置25Bのそれぞれは、ウインチ操作レバーなどのウインチ操作部材25aと、リモコン弁25bと、を有する。
主巻ウインチ操作装置25Aのウインチ操作部材25aに与えられる巻き上げ操作は、主巻ウインチドラム11AがロープR(主巻ロープ)の巻き上げを行うように主巻モータ23Aを動かすためのオペレータによる操作である。主巻ウインチ操作装置25Aのウインチ操作部材25aに与えられる巻き下げ操作は、主巻ウインチドラム11AがロープR(主巻ロープ)の巻き下げを行うように主巻モータ23Aを動かすためのオペレータによる操作である。
補巻ウインチ操作装置25Bのウインチ操作部材25aに与えられる巻き上げ操作は、補巻ウインチドラム11Bが補巻ロープの巻き上げを行うように補巻モータ23Bを動かすためのオペレータによる操作である。補巻ウインチ操作装置25Bのウインチ操作部材25aに与えられる巻き下げ操作は、補巻ウインチドラム11Bが補巻ロープの巻き下げを行うように補巻モータ23Bを動かすためのオペレータによる操作である。
主巻ウインチ操作装置25Aのリモコン弁25bは、図示されていないパイロットポンプに接続される入口ポートと、一対の出口ポートと、を有する。前記一対の出口ポートの一方である巻上側出口ポートは、パイロットラインL11を介して第1主巻制御弁24Aの巻き上げパイロットポートに接続されるとともにパイロットラインL12を介して第2主巻制御弁24Bの巻き上げパイロットポートに接続されている。前記一対の出口ポートの他方である巻下側出口ポートは、パイロットラインL21を介して第1主巻制御弁24Aの巻き下げパイロットポートに接続されるとともにパイロットラインL22を介して第2主巻制御弁24Bの巻き下げパイロットポートに接続されている。
補巻ウインチ操作装置25Bのリモコン弁25bは、前記パイロットポンプに接続される入口ポートと、一対の出口ポートと、を有する。前記一対の出口ポートの一方である巻上側出口ポートは、パイロットラインL31を介して第1補巻制御弁24Cの巻き上げパイロットポートに接続されるとともにパイロットラインL32を介して第2補巻制御弁24Dの巻き上げパイロットポートに接続されている。前記一対の出口ポートの他方である巻下側出口ポートは、パイロットラインL41を介して第1補巻制御弁24Cの巻き下げパイロットポートに接続されるとともにパイロットラインL42を介して第2補巻制御弁24Dの巻き下げパイロットポートに接続されている。
なお、補巻ウインチ操作装置25Bのリモコン弁25bに接続されるパイロットラインL31の一部と、第1補巻制御弁24Cに接続されるパイロットラインL31の一部とは、図9に示す「Piu」において互いに連続している。同様に、補巻ウインチ操作装置25Bのリモコン弁25bに接続されるパイロットラインL41の一部と、第1補巻制御弁24Cに接続されるパイロットラインL41の一部とは、図9に示す「Pid」において互いに連続している。
第3実施形態に係る冷却機構10は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有する高圧選択弁51を備える。高圧選択弁51の一方の入口ポートには、パイロットラインL22が接続され、高圧選択弁51の他方の入口ポートには、パイロットラインL42が接続されている。高圧選択弁51の出口ポートには、パイロットラインL51が接続されている。このパイロットラインL51は、パイロットラインL52とパイロットラインL53に分岐している。パイロットラインL52は、第1冷却対象切替弁15Aのパイロットポートに接続されている。パイロットラインL53は、第2補巻制御弁24Dの巻き下げパイロットポート、及び、第2冷却対象切替弁15Bのパイロットポートに接続されている。従って、第2補巻制御弁24Dの巻き下げパイロットポート、第1冷却対象切替弁15Aのパイロットポート、及び、第2冷却対象切替弁15Bのパイロットポートは、高圧選択弁51を介して、主巻ウインチ操作装置25Aのリモコン弁25bの巻下側出口ポート及び補巻ウインチ操作装置25Bのリモコン弁25bの巻下側出口ポートのうち、圧力の高い方の出口ポートと接続される。
なお、図9に示す第3実施形態に係る冷却機構10を含む回路を備えるクレーン100は、図2に示す第1実施形態に係る冷却機構10を含む回路と同様に、コントロールポンプ22、タンク27、及び、コントローラ4を備えるが、図9では、これらの図示は省略されている。また、この第3実施形態に係るクレーン100は、主巻湿式クラッチ6Aの動作を制御するための構成要素である主巻構成要素と、補巻湿式クラッチ6Bの動作を制御するための構成要素である補巻構成要素と、をさらに備えるが、図9では、これらの主巻構成要素及び補巻構成要素の図示は省略されている。前記主巻構成要素は、ブレーキ操作装置7、操作量センサ5、モード切替弁1、電磁比例減圧弁2、緊急ブレーキ切替弁3、リリーフ弁9、及び、カウンタバランス弁14を含む。前記補巻構成要素は、ブレーキ操作装置7、操作量センサ5、モード切替弁1、電磁比例減圧弁2、緊急ブレーキ切替弁3、リリーフ弁9、及び、カウンタバランス弁14を含む。前記主巻構成要素及び前記補巻構成要素のそれぞれは、図2に示す第1実施形態におけるブレーキ操作装置7、操作量センサ5、モード切替弁1、電磁比例減圧弁2、緊急ブレーキ切替弁3、リリーフ弁9、及び、カウンタバランス弁14と同様の構造及び機能を有する。
次に、図9に示す回路の動作について説明する。
[無操作時]
主巻ウインチ操作装置25A及び補巻ウインチ操作装置25Bの何れにも操作が与えられていないときには、第1主巻制御弁24A、第2主巻制御弁24B、第1補巻制御弁24C及び第2補巻制御弁24Dのそれぞれは、中立位置(図9の中央位置)に保持される。この場合、第1油圧ポンプ21Aから吐出される作動油は、主巻モータ23A及び補巻モータ23Bを介さずに、センターバイパスラインを通じて第1冷却対象切替弁15Aに流入し、第2油圧ポンプ21Bから吐出される作動油は、主巻モータ23A及び補巻モータ23Bを介さずに、センターバイパスラインを通じて第2冷却対象切替弁15Bに流入する。
[巻き上げ操作時]
主巻ウインチ操作装置25Aに巻き上げ操作が与えられ、第1主巻制御弁24Aの巻き上げパイロットポート及び第2主巻制御弁24Bの巻き上げパイロットポートのそれぞれに一定以上のパイロット圧が供給されると、第1主巻制御弁24A及び第2主巻制御弁24Bのそれぞれは、供給されるパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から巻き上げ位置(図9の左側位置)にシフトする。この場合、第1油圧ポンプ21Aからの作動油が前記ストロークに応じた流量で第1主巻制御弁24Aから油路61に流入し、第2油圧ポンプ21Bからの作動油が前記ストロークに応じた流量で第2主巻制御弁24Bから油路62に流入し、これらの作動油が油路63において合流する。合流した作動油は、油路63を通じて主巻モータ23Aの第1ポートに供給される。主巻モータ23Aは、第1ポートに作動油の供給を受け、当該作動油を第2ポートから排出することにより、主巻ウインチドラム11AがロープR(主巻ロープ)の巻き上げを行うように主巻ウインチドラム11Aを駆動する。
主巻モータ23Aの第2ポートから油路64に排出された作動油は、油路65と油路66に分流される。油路65を流れる作動油は、第1主巻制御弁24A及び油路67を経て第1補巻制御弁24Cに到達し、油路66を流れる作動油は、第2主巻制御弁24B及び油路68を経て第2補巻制御弁24Dに到達する。
上記の場合において、補巻ウインチ操作装置25Bに操作が与えられていないときには、第1補巻制御弁24C及び第2補巻制御弁24Dのそれぞれは、中立位置(図9の中央位置)に保持されるので、第1補巻制御弁24Cに到達した作動油は、油路77を通じて第1冷却対象切替弁15Aに流入し、第2補巻制御弁24Dに到達した作動油は、油路78を通じて第2冷却対象切替弁15Bに流入する。
また、上記の場合において、補巻ウインチ操作装置25Bに巻き上げ操作が与えられ、第1補巻制御弁24Cの巻き上げパイロットポート及び第2補巻制御弁24Dの巻き上げパイロットポートのそれぞれに一定以上のパイロット圧が供給されるときには、第1補巻制御弁24C及び第2補巻制御弁24Dのそれぞれは、供給されるパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から巻き上げ位置(図9の左側位置)にシフトする。従って、第1補巻制御弁24Cに到達した作動油が前記ストロークに応じた流量で第1補巻制御弁24Cから油路71に流入し、第2補巻制御弁24Dに到達した作動油が前記ストロークに応じた流量で第2補巻制御弁24Dから油路72に流入し、これらの作動油が油路73において合流する。合流した作動油は、油路73を通じて補巻モータ23Bの第1ポートに供給される。補巻モータ23Bは、第1ポートに作動油の供給を受け、当該作動油を第2ポートから排出することにより、補巻ウインチドラム11Bが補巻ロープの巻き上げを行うように補巻ウインチドラム11Bを駆動する。
補巻モータ23Bの第2ポートから油路74に排出された作動油は、油路75と油路76に分流される。油路75を流れる作動油は、第1主巻制御弁24A及び油路77を経て第1冷却対象切替弁15Aに流入し、油路76を流れる作動油は、第2補巻制御弁24D及び油路78を経て第2冷却対象切替弁15Bに流入する。
本実施形態では、第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bのそれぞれは、主巻ウインチ操作装置25A及び補巻ウインチ操作装置25Bの何れにも巻き下げ操作が与えられていないとき、すなわち、前記無操作時及び/又は前記巻き上げ操作時には、第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bのパイロットポートにパイロット圧が入力されないので、第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bの状態がクラッチ供給状態になるように構成される。
第1冷却対象切替弁15Aの状態がクラッチ供給状態であるときには、第1冷却対象切替弁15Aに流入した作動油は、クラッチ油路41を通じて主巻湿式クラッチ6Aに流入する。主巻湿式クラッチ6Aに流入した作動油は、主巻湿式クラッチ6Aを冷却した後、主巻湿式クラッチ6Aから排出され、タンク油路44を通じてタンク27に戻る。同様に、第2冷却対象切替弁15Bの状態がクラッチ供給状態であるときには、第2冷却対象切替弁15Bに流入した作動油は、クラッチ油路41を通じて補巻湿式クラッチ6Bに流入する。補巻湿式クラッチ6Bに流入した作動油は、補巻湿式クラッチ6Bを冷却した後、補巻湿式クラッチ6Bから排出され、タンク油路44を通じてタンク27に戻る。
[巻き下げ操作時]
第3実施形態では、主巻ウインチ操作装置25A及び補巻ウインチ操作装置25Bの少なくとも一方に巻き下げ操作が与えられると、第1冷却対象切替弁15Aの状態及び第2冷却対象切替弁15Bの状態がともにクーラ供給状態になるように構成され、これにより、作動油は、第1冷却対象切替弁15Aから主巻湿式クラッチ6Aには供給されずに第1オイルクーラ13Aに供給され、第2冷却対象切替弁15Bから補巻湿式クラッチ6Bには供給されずに第2オイルクーラ13Bに供給される。これは、第1冷却対象切替弁15Aの状態及び第2冷却対象切替弁15Bの状態の一方がクーラ供給状態になり、他方がクラッチ供給状態になる場合、背圧が互いに異なることに起因して、油圧モータからの戻り油量に偏りが生じて湿式クラッチの冷却が十分に行えない可能性があるためである。具体的には、前記背圧が異なることに起因して、主巻モータ23Aの第2ポートから油路64に排出された作動油が油路65と油路66に分流されるときの油量に偏りが生じたり、補巻モータ23Bの第2ポートから油路74に排出された作動油が油路75と油路76に分流されるときの油量に偏りが生じたりする可能性があるためである。
以下、巻き下げ操作時の動作についてさらに具体的に説明する。
主巻ウインチ操作装置25Aに巻き下げ操作が与えられ、第1主巻制御弁24Aの巻き下げパイロットポート及び第2主巻制御弁24Bの巻き下げパイロットポートのそれぞれに一定以上のパイロット圧が供給されると、第1主巻制御弁24A及び第2主巻制御弁24Bのそれぞれは、供給されるパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から巻き下げ位置(図9の右側位置)にシフトする。この場合、第1油圧ポンプ21Aからの作動油が前記ストロークに応じた流量で第1主巻制御弁24Aから油路65に流入し、第2油圧ポンプ21Bからの作動油が前記ストロークに応じた流量で第2主巻制御弁24Bから油路66に流入し、これらの作動油が油路64において合流する。合流した作動油は、油路64を通じて主巻モータ23Aの第2ポートに供給される。主巻モータ23Aは、第2ポートに作動油の供給を受け、当該作動油を第1ポートから排出することにより、主巻ウインチドラム11AがロープR(主巻ロープ)の巻き下げを行うように主巻ウインチドラム11Aを駆動する。
主巻モータ23Aの第1ポートから油路63に排出された作動油は、油路61と油路62に分流される。油路61を流れる作動油は、第1主巻制御弁24A及び油路67を経て第1補巻制御弁24Cに到達し、油路62を流れる作動油は、第2主巻制御弁24B及び油路68を経て第2補巻制御弁24Dに到達する。
上記の場合において、補巻ウインチ操作装置25Bに操作が与えられていないときには、第1補巻制御弁24C及び第2補巻制御弁24Dのそれぞれは、中立位置(図9の中央位置)に保持されるので、第1補巻制御弁24Cに到達した作動油は、油路77を通じて第1冷却対象切替弁15Aに流入し、第2補巻制御弁24Dに到達した作動油は、油路78を通じて第2冷却対象切替弁15Bに流入する。
また、上記の場合において、補巻ウインチ操作装置25Bに巻き下げ操作が与えられ、第1補巻制御弁24Cの巻き下げパイロットポート及び第2補巻制御弁24Dの巻き下げパイロットポートのそれぞれに一定以上のパイロット圧が供給されるときには、第1補巻制御弁24C及び第2補巻制御弁24Dのそれぞれは、供給されるパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から巻き下げ位置(図9の右側位置)にシフトする。従って、第1補巻制御弁24Cに到達した作動油が前記ストロークに応じた流量で第1補巻制御弁24Cから油路75に流入し、第2補巻制御弁24Dに到達した作動油が前記ストロークに応じた流量で第2補巻制御弁24Dから油路76に流入し、これらの作動油が油路74において合流する。合流した作動油は、油路74を通じて補巻モータ23Bの第2ポートに供給される。補巻モータ23Bは、第2ポートに作動油の供給を受け、当該作動油を第1ポートから排出することにより、補巻ウインチドラム11Bが補巻ロープの巻き下げを行うように補巻ウインチドラム11Bを駆動する。
補巻モータ23Bの第1ポートから油路73に排出された作動油は、油路71と油路72に分流される。油路71を流れる作動油は、第1主巻制御弁24A及び油路77を経て第1冷却対象切替弁15Aに流入し、油路72を流れる作動油は、第2補巻制御弁24D及び油路78を経て第2冷却対象切替弁15Bに流入する。
また、上記の場合において、補巻ウインチ操作装置25Bに巻き上げ操作が与えられ、第1補巻制御弁24Cの巻き上げパイロットポート及び第2補巻制御弁24Dの巻き上げパイロットポートのそれぞれに一定以上のパイロット圧が供給されるときには、第1補巻制御弁24C及び第2補巻制御弁24Dのそれぞれは、供給されるパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から巻き上げ位置(図9の左側位置)にシフトする。従って、第1補巻制御弁24Cに到達した作動油が前記ストロークに応じた流量で第1補巻制御弁24Cから油路71に流入し、第2補巻制御弁24Dに到達した作動油が前記ストロークに応じた流量で第2補巻制御弁24Dから油路72に流入し、これらの作動油が油路73において合流する。合流した作動油は、油路73を通じて補巻モータ23Bの第1ポートに供給される。補巻モータ23Bは、第1ポートに作動油の供給を受け、当該作動油を第2ポートから排出することにより、補巻ウインチドラム11Bが補巻ロープの巻き上げを行うように補巻ウインチドラム11Bを駆動する。
補巻モータ23Bの第2ポートから油路74に排出された作動油は、油路75と油路76に分流される。油路75を流れる作動油は、第1主巻制御弁24A及び油路77を経て第1冷却対象切替弁15Aに流入し、油路76を流れる作動油は、第2補巻制御弁24D及び油路78を経て第2冷却対象切替弁15Bに流入する。
上述したように、第3実施形態に係る冷却機構10では、第1冷却対象切替弁15Aのパイロットポート、及び、第2冷却対象切替弁15Bのパイロットポートは、高圧選択弁51を介して、主巻ウインチ操作装置25Aのリモコン弁25bの巻下側出口ポート及び補巻ウインチ操作装置25Bのリモコン弁25bの巻下側出口ポートのうち、圧力の高い方の出口ポートと接続される。従って、主巻ウインチ操作装置25A及び補巻ウインチ操作装置25Bの少なくとも一方に巻き下げ操作が与えられると、第1冷却対象切替弁15Aの状態及び第2冷却対象切替弁15Bの状態がともにクーラ供給状態になるように構成される。この場合、作動油は、第1冷却対象切替弁15Aから主巻湿式クラッチ6Aには供給されずに第1オイルクーラ13Aに供給され、作動油は、第2冷却対象切替弁15Bから補巻湿式クラッチ6Bには供給されずに第2オイルクーラ13Bに供給される。
上記のように、主巻モータ23Aの回転方向及び回転速度は、主巻ウインチ操作装置25Aに与えられる操作(巻き上げ操作又は巻き下げ操作)に応じて調整され、補巻モータ23Bの回転方向及び回転速度は、補巻ウインチ操作装置25Bに与えられる操作(巻き上げ操作又は巻き下げ操作)に応じて調整される。
本実施形態では、第1主巻制御弁24Aが前記中立位置から前記巻き上げ位置又は前記巻き下げ位置にシフトするために必要なパイロット圧が、第2主巻制御弁24Bが前記中立位置から前記巻き上げ位置又は前記巻き下げ位置にシフトするために必要なパイロット圧よりも低くなるように、第1主巻制御弁24A及び第2主巻制御弁24Bが調整されている。従って、第1主巻制御弁24Aが開いた後に第2主巻制御弁24Bが開くようになっている。言い換えると、主巻ウインチ操作装置25Aに与えられる操作の操作量(主巻レバー操作量)が第1所定値未満のときには、第1主巻制御弁24Aが前記中立位置から前記巻き上げ位置又は前記巻き下げ位置にシフトする一方で、第2主巻制御弁24Bは前記中立位置に保持される(主巻1速)。一方、主巻レバー操作量が第1所定値以上のときには、第1主巻制御弁24A及び第2主巻制御弁24Bの両方が前記中立位置から前記巻き上げ位置又は前記巻き下げ位置にシフトする(主巻2速)。これにより、主巻レバー操作量が第1所定値未満のときには、第1油圧ポンプ21Aからの作動油のみが主巻モータ23Aに供給され、主巻レバー操作量が第1所定値以上のときには、第1油圧ポンプ21Aからの作動油と第2油圧ポンプ21Bからの作動油の両方が主巻モータ23Aに供給される。
同様に、第1補巻制御弁24Cが前記中立位置から前記巻き上げ位置又は前記巻き下げ位置にシフトするために必要なパイロット圧が、第2補巻制御弁24Dが前記中立位置から前記巻き上げ位置又は前記巻き下げ位置にシフトするために必要なパイロット圧よりも低くなるように、第1補巻制御弁24C及び第2補巻制御弁24Dが調整されている。従って、第1補巻制御弁24Cが開いた後に第2補巻制御弁24Dが開くようになっている。言い換えると、補巻ウインチ操作装置25Bに与えられる操作の操作量(補巻レバー操作量)が第2所定値未満のときには、第1補巻制御弁24Cが前記中立位置から前記巻き上げ位置又は前記巻き下げ位置にシフトする一方で、第2補巻制御弁24Dは前記中立位置に保持される(補巻1速)。一方、補巻レバー操作量が第2所定値以上のときには、第1補巻制御弁24C及び第2補巻制御弁24Dの両方が前記中立位置から前記巻き上げ位置又は前記巻き下げ位置にシフトする(補巻2速)。
[第3実施形態の変形例]
図10は、第3実施形態の変形例1に係る冷却機構10を含む回路図である。図10に示す第3実施形態の変形例に係る冷却機構10を含む回路は、図9に示す第3実施形態に係る冷却機構10を含む回路と次の点において相違し、それ以外の構成は、図9に示す回路の構成と同様である。従って、以下では、図10に示す回路のうち図9に示す回路と異なる特徴について主に説明する。
図9に示す回路は、第1補巻制御弁24Cと第1冷却対象切替弁15Aを油路77を介して接続する第1回路部分を含むとともに、第2補巻制御弁24Dと第2冷却対象切替弁15Bを油路78を介して接続する第2回路部分を含む。一方、図10に示す回路は、前記第1回路部分及び前記第2回路部分の代わりに、第1補巻制御弁24C及び第2補巻制御弁24Dと第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bとをフローディバイダ80及び油路81,82,83,84を介して接続する回路部分を含む。具体的には以下の通りである。
図10に示す変形例では、フローディバイダ80は、1つの入口ポートPと、2つの出口ポートA,Bと、を有し、入口ポートPから流入する作動油を所定の分流比で2つの出口ポートA,Bに分流することができる。第1補巻制御弁24Cの出口ポートは、油路81を介してフローディバイダ80の入口ポートPに接続され、第2補巻制御弁24Dの出口ポートは、油路82を介してフローディバイダ80の入口ポートPに接続されている。フローディバイダ80の一方の出口ポートAは、油路83を介して第1冷却対象切替弁15Aに接続され、フローディバイダ80の他方の出口ポートBは、油路84を介して第2冷却対象切替弁15Bに接続されている。前記所定の分流比は、例えば1:1であってもよく、他の比率であってもよい。
図10に示す変形例では、第1補巻制御弁24Cから油路81に流入する作動油と、第2補巻制御弁24Dから油路82に流入する作動油と、を合流させ、合流した作動油をフローディバイダ80において所定の分流比で分流し、分流された作動油を第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bにそれぞれ供給することができる。
図10に示す変形例は、例えば次のような利点を有する。例えば、主巻レバー操作量が前記第1所定値以上であり(例えばフルレバー操作量)、補巻レバー操作量が前記第2所定値未満である場合、第2補巻制御弁24Dは中立位置に保持されている。この場合、図9に示す回路では、主巻ロープに対する負荷と補巻ロープに対する負荷の状況によっては、補巻ウインチドラム11Bが動かない場合がある。この場合には、油路73,68,66の圧力が高くなり、油路64において作動油が流れることができず、その結果、主巻モータ23Aから排出される作動油(すなわち主巻モータ23Aからの戻り油)のすべてが、第1冷却対象切替弁15Aに流入することがある。このような場合であっても、図10に示す変形例では、第2補巻制御弁24Dから油路82に流入する作動油をフローディバイダ80において強制的に分流することができるため、第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bに所定の分流比で(例えば均等に)作動油を供給することができる。
[第4実施形態]
図11は、本開示の第4実施形態に係る冷却機構10を含む回路図である。図11に示す第4実施形態に係る冷却機構10を含む回路は、図10に示す第3実施形態の変形例に係る冷却機構10を含む回路と次の点において相違し、それ以外の構成は、図10に示す回路と同様である。従って、以下では、図11に示す回路のうち図10に示す回路と異なる特徴について主に説明する。
図10に示す回路では、第2補巻制御弁24Dの出口ポートは、油路82を介してフローディバイダ80の入口ポートPに接続されている。一方、図11に示す回路では、第2補巻制御弁24Dの出口ポートは、油路85を介して第3制御弁24Eの入口ポートに接続され、この第3制御弁24Eの出口ポートは、油路86を介してフローディバイダ80の入口ポートPに接続されている。なお、第2補巻制御弁24Dの出口ポートに接続される油路85の一部と、第3制御弁24Eの入口ポートに接続される油路85の一部とは、図11に示す「P3_in」において互いに連続している。同様に、第3制御弁24Eの出口ポートに接続される油路86の一部と、フローディバイダ80の入口ポートPに接続される油路86の一部とは、図11に示す「P3_out」において互いに連続している。以下、第4実施形態に係る冷却機構10及びこれを備えるクレーン100について具体的に説明する。
図11に示す第4実施形態に係るクレーン100は、図10に示す回路構成に加えて、第3ウインチドラム11Cと、第3油圧モータ23Cと、第3制御弁24Eと、第3減速機28Cと、をさらに備える。第4実施形態に係る冷却機構10は、図10に示す回路構成に加えて、第3湿式クラッチ6Cと、第3ウインチ操作装置25Cと、をさらに備える。
第3ウインチドラム11Cは、第3ロープR3の巻き上げ及び巻き下げを行うウインチドラムである。この第3ウインチドラム11Cの用途は、特に限定されない。第3ウインチドラム11Cは、例えば、上部旋回体103に対してブーム104などの起伏部材を起伏させるために用いられてもよく、他の用途に用いられてもよい。
第3油圧モータ23Cは、第1油圧ポンプ21A及び第2油圧ポンプ21Bの少なくとも一方から作動油の供給を受けて作動する。図11に示す具体例では、第2補巻制御弁24Dを通過した作動油が油路85及び第3制御弁24Eを経て第3油圧モータ23Cに供給される。
第3制御弁24Eは、第1パイロットポート(巻き上げパイロットポート)及び第2パイロットポート(巻き下げパイロットポート)を有する。第3制御弁24Eは、第2補巻制御弁24Dと第3油圧モータ23Cとの間に介在する方向切替弁(比例方向切替弁)である。
第3減速機28Cは、図2に示す減速機28と同様の構造と機能を有する。第3減速機28Cは、第3油圧モータ23Cと第3ウインチドラム11Cとの間に介在して第3油圧モータ23Cの動力を第3ウインチドラム11Cに伝達するためのものである。
第3湿式クラッチ6Cは、図2に示す湿式クラッチ6と同様の構造と機能を有する。第3湿式クラッチ6Cは、図1に示すコントロールポンプ22(図11では図示省略)から吐出される作動油の供給を受けて第3ウインチドラム11Cに対するブレーキ力を発生させることが可能なように構成される。第3湿式クラッチ6Cは、第3ウインチドラム11Cに対して第3油圧モータ23Cの動力が伝達される接続状態(クラッチオン状態)と、第3油圧モータ23Cの動力の伝達が遮断される遮断状態(クラッチオフ状態)と、を切り替えることが可能なように構成されている。
第3ウインチ操作装置25Cは、図2に示すウインチ操作装置25と同様の構造と機能を有する。第3ウインチ操作装置25Cは、ウインチ操作レバーなどのウインチ操作部材25aと、リモコン弁25bと、を有する。第3ウインチ操作装置25Cのウインチ操作部材25aに与えられる巻き上げ操作は、第3ウインチドラム11CがロープR3の巻き上げを行うように第3油圧モータ23Cを動かすためのオペレータによる操作である。第3ウインチ操作装置25Cのウインチ操作部材25aに与えられる巻き下げ操作は、第3ウインチドラム11CがロープR3の巻き下げを行うように第3油圧モータ23Cを動かすためのオペレータによる操作である。
第3ウインチ操作装置25Cのリモコン弁25bは、図示されていないパイロットポンプに接続される入口ポートと、一対の出口ポートと、を有する。前記一対の出口ポートの一方である巻上側出口ポートは、パイロットラインL55を介して第3制御弁24Eの巻き上げパイロットポートに接続されている。前記一対の出口ポートの他方である巻下側出口ポートは、パイロットラインL56を介して第3制御弁24Eの巻き下げパイロットポートに接続されている。
第4実施形態に係る冷却機構10は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有する高圧選択弁52をさらに備える。高圧選択弁52の一方の入口ポートには、パイロットラインL51を介して高圧選択弁51の出口ポートが接続され、高圧選択弁52の他方の入口ポートには、パイロットラインL54が接続されている。パイロットラインL54は、パイロットラインL56を介して第3ウインチ操作装置25Cのリモコン弁25bの巻下側出口ポートに接続されている。高圧選択弁52の出口ポートには、パイロットラインL57が接続されている。このパイロットラインL57は、パイロットラインL52とパイロットラインL53に分岐している。パイロットラインL52は、第1冷却対象切替弁15Aのパイロットポートに接続されている。パイロットラインL53は、第2補巻制御弁24Dの巻き下げパイロットポート、及び、第2冷却対象切替弁15Bのパイロットポートに接続されている。従って、第2補巻制御弁24Dの巻き下げパイロットポート、第1冷却対象切替弁15Aのパイロットポート、及び、第2冷却対象切替弁15Bのパイロットポートは、高圧選択弁51及び高圧選択弁52を介して、主巻ウインチ操作装置25Aのリモコン弁25bの巻下側出口ポート、補巻ウインチ操作装置25Bのリモコン弁25bの巻下側出口ポート、及び第3ウインチ操作装置25Cのリモコン弁25bの巻下側出口ポートのうち、最も圧力の高い出口ポートと接続される。
図11に示す回路の基本的な動作は、図10に示す回路と同様であるので、以下では、図11に示す回路の動作のうち、図10に示す回路の動作と異なる点について主に説明する。
図11に示す回路において、第2補巻制御弁24Dを通過して油路85を流れる作動油は、第3制御弁24Eに到達する。
第3ウインチ操作装置25Cに操作が与えられていないときには、第3制御弁24Eは、中立位置(図11の中央位置)に保持される。この場合、第3制御弁24Eに到達した作動油は、第3油圧モータ23Cを介さずに、センターバイパスラインを通じて油路86に流入し、第1補巻制御弁24Cからの油路81を流れる作動油と合流し、フローディバイダ80に流入する。そして、フローディバイダ80は、合流した作動油を所定の分流比で分流し、分流された作動油を第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bにそれぞれ供給することができる。
第3ウインチ操作装置25Cに巻き上げ操作又は巻き下げ操作が与えられ、第3制御弁24Eの巻き上げパイロットポート又は巻き下げパイロットポートに一定以上のパイロット圧が供給されると、第3制御弁24Eは、供給されるパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から巻き上げ位置(図11の左側位置)又は巻き下げ位置(図11の右側位置)にシフトする。この場合、油路85を通じて第3制御弁24Eに到達した作動油が前記ストロークに応じた流量で第3制御弁24Eから第3油圧モータ23Cの第1ポート及び第2ポートの一方に供給される。第3油圧モータ23Cは、第1ポート及び第2ポートの一方に作動油の供給を受け、当該作動油を他方のポートから排出することにより、第3ウインチドラム11CがロープR3の巻き上げ又は巻き下げを行うように第3ウインチドラム11Cを駆動する。
第3油圧モータ23Cから排出された作動油は、第3制御弁24Eを経て油路86に流入し、第1補巻制御弁24Cからの油路81を流れる作動油と合流し、フローディバイダ80に流入する。そして、フローディバイダ80は、合流した作動油を所定の分流比で分流し、分流された作動油を第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bにそれぞれ供給することができる。
本実施形態では、第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bのそれぞれは、主巻ウインチ操作装置25A、補巻ウインチ操作装置25B、及び、第3ウインチ操作装置25Cの何れにも巻き下げ操作が与えられていないとき、すなわち、前記無操作時及び/又は前記巻き上げ操作時には、第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bのパイロットポートにパイロット圧が入力されないので、第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bの状態がクラッチ供給状態になるように構成される。
第1冷却対象切替弁15Aの状態がクラッチ供給状態であるときには、第1冷却対象切替弁15Aに流入した作動油は、クラッチ油路41を通じて主巻湿式クラッチ6Aに流入する。主巻湿式クラッチ6Aに流入した作動油は、主巻湿式クラッチ6を冷却した後、主巻湿式クラッチ6Aから排出され、タンク油路44を通じてタンク27に戻る。
第2冷却対象切替弁15Bの状態がクラッチ供給状態であるときには、第2冷却対象切替弁15Bに流入した作動油は、クラッチ油路45を通じて第3湿式クラッチ6Cに流入する。第3湿式クラッチ6Cに流入した作動油は、第3湿式クラッチ6Cを冷却した後、第3湿式クラッチ6Cから排出され、クラッチ油路46を通じて補巻湿式クラッチ6Bに流入する。補巻湿式クラッチ6Bに流入した作動油は、補巻湿式クラッチ6Bを冷却した後、補巻湿式クラッチ6Bから排出され、タンク油路44を通じてタンク27に戻る。
上述したように、第4実施形態に係る冷却機構10では、第1冷却対象切替弁15Aのパイロットポート、及び、第2冷却対象切替弁15Bのパイロットポートは、高圧選択弁51及び高圧選択弁52を介して、主巻ウインチ操作装置25Aのリモコン弁25bの巻下側出口ポート、補巻ウインチ操作装置25Bのリモコン弁25bの巻下側出口ポート、及び、第3ウインチ操作装置25Cのリモコン弁25bの巻下側出口ポートのうち、最も圧力の高い出口ポートと接続される。従って、主巻ウインチ操作装置25A、補巻ウインチ操作装置25B、及び、第3ウインチ操作装置25Cの少なくとも一つに巻き下げ操作が与えられると、第1冷却対象切替弁15Aの状態及び第2冷却対象切替弁15Bの状態がともにクーラ供給状態になるように構成される。この場合、作動油は、第1冷却対象切替弁15Aから主巻湿式クラッチ6Aには供給されずに第1オイルクーラ13Aに供給され、作動油は、第2冷却対象切替弁15Bから第3湿式クラッチ6C及び補巻湿式クラッチ6Bには供給されずに第2オイルクーラ13Bに供給される。これにより、ロープの巻き下げが行われることで温度が上昇した作動油が湿式クラッチに供給されることを防ぐことができる。
[第5実施形態]
図12は、本開示の第5実施形態に係る冷却機構10を含む回路図である。図12に示す第5実施形態に係る冷却機構10を含む回路は、図9に示す第3実施形態に係る冷却機構10を含む回路と次の点において相違し、それ以外の構成は、図9に示す回路と同様である。従って、以下では、図12に示す回路のうち図9に示す回路と異なる特徴について主に説明する。
図9に示す回路では、第1冷却対象切替弁15Aが、油路77を介して、第1補巻制御弁24Cの出口ポートと接続され、第2冷却対象切替弁15Bが、油路78を介して、第2補巻制御弁24Dの出口ポートと接続されている。一方、図12に示す回路では、第1補巻制御弁24Cの出口ポートに接続された油路77は、冷却対象切替弁を介さずに第1オイルクーラ13Aに接続され、第2補巻制御弁24Dの出口ポートに接続された油路78は、冷却対象切替弁を介さずに第2オイルクーラ13Bに接続されている。そして、図12に示す回路を備えるクレーン100は、主巻モータ23A及び補巻モータ23B以外のアクチュエータ23Fと、このアクチュエータ23Fを作動させるための作動油を吐出する油圧ポンプ21F(第3油圧ポンプ21F)と、第3油圧ポンプ21Fとアクチュエータ23Fとの間に介在するアクチュエータ用制御弁24Fと、を備える。図12に示す回路に含まれる冷却機構10は、図9に示す回路に含まれる第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bに代えて、冷却対象切替弁15Fを備える。また、図12に示す回路に含まれる冷却機構10は、オイルクーラ13Fと、アクチュエータ用操作装置25Fと、を備える。第3油圧ポンプ21Fは、本開示におけるアクチュエータ用油圧ポンプの一例である。
アクチュエータ23Fは、主巻モータ23A及び補巻モータ23Bのように吊り荷を吊り下げるロープの巻き上げ及び巻き下げを行うためのものではなく、他の用途に用いられる。図12に示す具体例では、アクチュエータ23Fは、ブーム104又はジブを起伏させるための油圧モータである起伏モータである。ただし、アクチュエータ23Fは、起伏モータに限られず、例えば、走行モータ、油圧シリンダなどの他のアクチュエータであってもよい。
第3油圧ポンプ21Fは、前記駆動源により駆動されることにより作動油を吐出する。アクチュエータ23Fは、第3油圧ポンプ21Fから作動油の供給を受けて作動する。アクチュエータ用制御弁24Fは、第3油圧ポンプ21Fとアクチュエータ23Fとの間に介在する方向切替弁(比例方向切替弁)である。
オイルクーラ13Fは、第3油圧ポンプ21Fから吐出されて油圧回路を流れる間に温度が上昇した作動油を冷却するための熱交換器である。
冷却対象切替弁15Fは、クラッチ供給状態とクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁である。冷却対象切替弁15Fと主巻湿式クラッチ6A及び補巻湿式クラッチ6Bはクラッチ油路47を介して接続され、冷却対象切替弁15Fとオイルクーラ13Fはクーラ油路48を介して接続されている。冷却対象切替弁15Fの状態がクラッチ供給状態であるときには、作動油が主巻湿式クラッチ6A及び補巻湿式クラッチ6Bに供給されることが許容され、冷却対象切替弁15Fの状態がクーラ供給状態であるときには、作動油がオイルクーラ13Fに供給されることが許容される。
アクチュエータ用操作装置25Fは、図2に示すウインチ操作装置25と同様の構造と機能を有する。アクチュエータ用操作装置25Fは、操作レバーなどの操作部材25aと、リモコン弁25bと、を有する。アクチュエータ用操作装置25Fの操作部材25aに与えられる起伏部材上げ操作は、ブーム104がブーム上げ動作を行うように(又はジブがジブ上げ動作を行うように)アクチュエータ23Fを動かすためのオペレータによる操作である。アクチュエータ用操作装置25Fの操作部材25aに与えられる起伏部材下げ操作は、ブーム104がブーム下げ動作を行うように(又はジブがジブ下げ動作を行うように)アクチュエータ23Fを動かすためのオペレータによる操作である。
アクチュエータ用操作装置25Fのリモコン弁25bは、図示されていないパイロットポンプに接続される入口ポートと、一対の出口ポートと、を有する。前記一対の出口ポートの一方である起伏部材上げ側出口ポートは、パイロットラインL61を介してアクチュエータ用制御弁24Fの起伏部材上げパイロットポートに接続されている。前記一対の出口ポートの他方である起伏部材下げ側出口ポートは、パイロットラインL62を介してアクチュエータ用制御弁24Fの起伏部材下げパイロットポートに接続されている。
アクチュエータ用操作装置25Fのリモコン弁25bの起伏部材下げ側出口ポートは、冷却対象切替弁15Fのパイロットポートに接続されている。従って、本実施形態では、冷却対象切替弁15Fは、アクチュエータ用操作装置25Fに起伏部材下げ操作が与えられていないとき、すなわち、無操作時又は起伏部材上げ操作時には、冷却対象切替弁15Fのパイロットポートにパイロット圧が入力されないので、冷却対象切替弁15Fの状態がクラッチ供給状態になるように構成される。一方、冷却対象切替弁15Fは、アクチュエータ用操作装置25Fに起伏部材下げ操作が与えられているときには、冷却対象切替弁15Fのパイロットポートにパイロット圧が入力されるので、冷却対象切替弁15Fの状態がクーラ供給状態になるように構成される。具体的には以下の通りである。
アクチュエータ用操作装置25Fに操作が与えられていないときには、アクチュエータ用制御弁24Fは、中立位置(図12の中央位置)に保持される。この場合、アクチュエータ用制御弁24Fに到達した作動油は、アクチュエータ23Fを介さずに、センターバイパスラインを通じて油路49に流入し、冷却対象切替弁15Fに供給される。
アクチュエータ用操作装置25Fに起伏部材上げ操作又は起伏部材下げ操作が与えられ、アクチュエータ用制御弁24Fの起伏部材上げパイロットポート又は起伏部材下げパイロットポートに一定以上のパイロット圧が供給されると、アクチュエータ用制御弁24Fは、供給されるパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置から起伏部材上げ位置(図12の左側位置)又は起伏部材下げ位置(図12の右側位置)にシフトする。この場合、作動油は、前記ストロークに応じた流量でアクチュエータ用制御弁24Fからアクチュエータ23F(油圧モータ)の第1ポート及び第2ポートの一方に供給される。アクチュエータ23Fは、第1ポート及び第2ポートの一方に作動油の供給を受け、当該作動油を他方のポートから排出することにより、図略の起伏用ウインチドラムがロープの巻き上げ又は巻き下げを行うように当該起伏用ウインチドラムを駆動する。アクチュエータ23Fから排出された作動油は、アクチュエータ用制御弁24Fを経て冷却対象切替弁15Fに供給される。
冷却対象切替弁15Fの状態がクラッチ供給状態であるときには、作動油は、冷却対象切替弁15Fから主巻湿式クラッチ6A及び補巻湿式クラッチ6Bに供給される。一方、冷却対象切替弁15Fの状態がクーラ供給状態であるときには、作動油は、冷却対象切替弁15Fからオイルクーラ13Fに供給される。
以上説明したように、前記実施形態に係る冷却機構では、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油は第1油圧モータを駆動するために用いられるとともに第1湿式クラッチを冷却するためにも用いられるので、第1湿式クラッチの冷却のための専用の油圧ポンプを省くことができる。しかも、この冷却機構では、第1冷却対象切替弁の状態がクラッチ供給状態のときには前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が第1湿式クラッチに供給され、第1冷却対象切替弁の状態がクーラ供給状態のときには前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油がオイルクーラに供給される。従って、この冷却機構では、オイルクーラにおける圧力損失に起因して湿式クラッチ内の圧力が上昇することが回避され、湿式クラッチにおけるシール性の低下が抑制される。そして、この冷却機構では、第1冷却対象切替弁の状態がクラッチ供給状態に切り替えられることにより第1湿式クラッチが冷却され、第1冷却対象切替弁の状態がクーラ供給状態に切り替えられることにより作動油自体が冷却される。従って、この冷却機構は、湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
前記少なくとも一つの油圧ポンプは、作動油を吐出する第1油圧ポンプと、作動油を吐出する第2油圧ポンプと、を含み、前記クレーンは、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動する第2油圧モータと、前記第2油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第2ウインチドラムと、をさらに備え、前記冷却機構は、前記第2ウインチドラムに対して前記第2油圧モータの動力が伝達される接続状態と前記動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替える第2湿式クラッチと、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油を冷却するための第2オイルクーラと、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第2湿式クラッチに供給されることを許容する状態であるクラッチ供給状態と前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第2オイルクーラに供給されることを許容する状態であるクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁である第2冷却対象切替弁と、をさらに備えていてもよい。この構成では、複数の油圧ポンプと複数の油圧モータとを備えるクレーンにおいても、第1湿式クラッチ及び第2湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、第1オイルクーラ及び第2オイルクーラに起因する第1湿式クラッチ内の圧力上昇及び第2湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
前記第1油圧モータは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油及び前記第2油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、前記第1油圧モータから排出された作動油は、前記第1冷却対象切替弁と前記第2冷却対象切替弁に分流されるように構成され、前記第1冷却対象切替弁及び前記第2冷却対象切替弁の一方が前記クラッチ供給状態になるときには他方も前記クラッチ供給状態になるように構成されていてもよい。第1冷却対象切替弁の状態及び第2冷却対象切替弁の状態の一方がクーラ供給状態になり、他方がクラッチ供給状態になる場合には、第1冷却対象切替弁に接続される油路における背圧と、第2冷却対象切替弁に接続される油路における背圧とが異なることに起因して、油圧モータからの戻り油量に偏りが生じて湿式クラッチの冷却が十分に行えない場合がある。一方、本構成では、第1冷却対象切替弁及び第2冷却対象切替弁の一方がクラッチ供給状態になるときには他方もクラッチ供給状態になるように構成されているので、上記のような戻り油量の偏りが生じることを抑制できる。
前記第1油圧モータは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油及び前記第2油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、前記第1油圧モータから排出された作動油は、フローディバイダにおいて前記第1冷却対象切替弁と前記第2冷却対象切替弁に分流されるように構成されていてもよい。この構成では、第1油圧モータから排出された作動油をフローディバイダにおいて所定の分流比で分流し、分流された作動油を第1冷却対象切替弁15A及び第2冷却対象切替弁15Bにそれぞれ供給することができる。
前記クレーンは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油及び前記第2油圧ポンプから吐出される作動油の少なくとも一方の供給を受けて作動する第3油圧モータと、前記第3油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第3ウインチドラムと、をさらに備え、前記冷却機構は、前記第3ウインチドラムに対して前記第3油圧モータの動力が伝達される接続状態と前記動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替える第3湿式クラッチをさらに備え、前記第3湿式クラッチは、前記第2冷却対象切替弁の状態が前記クラッチ供給状態であるときに、前記第2冷却対象切替弁から出て前記第2湿式クラッチに供給される前の作動油、又は、前記第2冷却対象切替弁から出て前記第2湿式クラッチに供給された後の作動油により冷却されるように構成されていてもよい。この構成では、第1、第2及び第3油圧モータと、第1、第2及び第3湿式クラッチと、を備えるクレーンにおいても、第1、第2及び第3湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
前記クレーンは、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するアクチュエータをさらに備え、前記少なくとも一つの油圧ポンプは、作動油を吐出する第1油圧ポンプと、作動油を吐出するアクチュエータ用油圧ポンプと、を含み、前記第1油圧モータは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータ用油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、前記第1冷却対象切替弁は、前記アクチュエータ用油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1湿式クラッチに供給されることを許容する状態であるクラッチ供給状態と前記アクチュエータ用油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1オイルクーラに供給されることを許容する状態であるクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁であってもよい。この構成では、アクチュエータ用油圧ポンプを利用して湿式クラッチを冷却することができ、湿式クラッチを冷却するための専用の油圧ポンプを省くことと、オイルクーラに起因する湿式クラッチ内の圧力上昇を抑制することと、を両立できる。
本開示は、以上説明した実施形態及び変形例に限定されない。本開示は、例えば次のような形態を含む。
[変形例(A)]
前記実施形態及び前記変形例では、冷却対象切替弁15は、パイロット圧が入力されるパイロットポートを有する2位置の切替弁であるが、これに限られず、例えば、クラッチ供給状態とクーラ供給状態とを変えることが可能な電磁切替弁又は電磁比例切替弁により構成されていてもよい。
[変形例(B)]
また、前記実施形態及び前記変形例では、電磁切替弁16は、ソレノイドが非励磁状態であるときに電磁切替弁16の状態が阻止状態となり、ソレノイドが励磁状態であるときに電磁切替弁16の状態が許容状態となるように構成されるが、ソレノイドが励磁状態であるときに電磁切替弁16の状態が阻止状態となり、ソレノイドが非励磁状態であるときに電磁切替弁16の状態が許容状態となるように構成されていてもよい。
[変形例(C)]
前記第3実施形態、前記第4実施形態及び前記第5実施形態のそれぞれにおいて、前記操作装置は、操作部材25aと、リモコン弁25bと、を備えるが、例えば、図3に示す第2実施形態における操作装置25と同様に、操作部材25aと、操作センサ25cと、を備えるものであってもよい。この場合、操作センサ25cは、検出した操作の操作量に対応する電気信号である操作信号をコントローラ4に入力する。この場合、第3、第4及び第5実施形態に係る操作装置25はいわゆる電気レバーを備えた操作装置である。この場合、第3、第4及び第5実施形態では、冷却対象切替弁15A,15B,15Fの動作は、コントローラ4からの指令に基づいて制御される。
具体的には、例えば、変形例(C)に係る冷却機構は、図3に示すような電磁切替弁16を備え、この電磁切替弁16のソレノイドが非励磁状態であるときには、電磁切替弁16の状態は阻止状態(図3の上側位置)となり、電磁切替弁16のソレノイドが励磁状態であるときには、電磁切替弁16の状態は許容状態(図3の下側位置)となる。電磁切替弁16の状態が阻止状態であるときにはパイロットポンプ29からのパイロット圧は冷却対象切替弁に入力されないので、冷却対象切替弁の状態はクラッチ供給状態になる。一方、電磁切替弁16は、電磁切替弁16の状態を許容状態に切り替えるための調整指令がコントローラ4から入力されると、阻止状態から許容状態に切り替わる。電磁切替弁16の状態が許容状態であるときにはパイロットポンプ29からのパイロット圧が冷却対象切替弁に入力されるので、冷却対象切替弁15の状態はクーラ供給状態になる。
[変形例(D)]
前記第3実施形態、前記第4実施形態及び前記第5実施形態のそれぞれにおいて、第2実施形態に係る冷却機構10と同様に、図4の表に示すような関係、すなわち、冷却対象切替弁15の状態と、モード及び操作との関係に対応するようにコントローラ4は、冷却機構10を制御してもよい。
また、前記第3実施形態、前記第4実施形態及び前記第5実施形態のそれぞれにおいて、第2実施形態に係る冷却機構10と同様に、コントローラ4は、図5のフローチャートに示すような演算処理を行ってもよい。
[変形例(E)]
前記第3実施形態、前記第4実施形態及び前記第5実施形態のそれぞれにおいて、第2実施形態に係る冷却機構10と同様に、図6に示すような関係、すなわち、レバー操作量と、油圧ポンプから吐出される作動油の流量(ポンプ吐出流量)との関係に基づいて、第1油圧ポンプ、第2油圧ポンプ、及び第3油圧ポンプの少なくとも一つの容量(ポンプ容量)を制御してもよい。また、ポンプ吐出流量は、エンジンの回転数が増加するにつれて増加するように構成されていてもよい。
また、前記第3実施形態、前記第4実施形態及び前記第5実施形態のそれぞれにおいて、上記のようにポンプ吐出流量が制御される場合、湿式クラッチに供給される作動油の流量が大きくなり過ぎることを抑制するために、冷却機構10は、前記第2実施形態の変形例と同様に、電磁切替弁16に代えて、電磁比例切替弁17を備えていてもよい。この場合、前記第3実施形態、前記第4実施形態及び前記第5実施形態のそれぞれにおいて、コントローラ4は、電磁比例切替弁17に前記調整指令を入力し、電磁比例切替弁17は、前記調整指令に応じた大きさのパイロット圧を、それに対応する冷却対象切替弁のパイロットポートに入力する。当該冷却対象切替弁は、作動油を湿式クラッチに供給するための経路の開度が前記パイロット圧の大きさに応じて調整されるように構成されている。この場合、コントローラ4からの前記調整指令に基づいて冷却対象切替弁において前記開度が調整されるので、湿式クラッチへの作動油の供給量をより適切な量に細かく調整することができる。
また、前記第3実施形態、前記第4実施形態及び前記第5実施形態のそれぞれにおいて、コントローラ4は、第2実施形態の変形例と同様に、湿式クラッチに供給される作動油の供給量を減少させるか否かを判定するために予め設定された条件である供給量減少条件が満たされたときに、前記供給量が減少するように冷却対象切替弁の状態を調整するための前記調整指令を出力してもよい。供給量減少条件は、例えば、ポンプ吐出流量相関値が予め設定された閾値以上になることであってもよい。
この場合、コントローラ4は、図8に示すようにポンプ吐出流量相関値が予め設定された閾値以上になると、前記作動油を湿式クラッチに供給するための冷却対象切替弁の開度が減少するように冷却対象切替弁の動作を制御する。具体的には、コントローラ4は、図8に示すようにポンプ吐出流量相関値が予め設定された閾値以上になると、ポンプ吐出流量相関値が増加するにつれて冷却対象切替弁の開度が減少するように冷却対象切替弁の動作を制御することが好ましい。これにより、湿式クラッチに供給される作動油の供給量が減少し、この減少分に係る作動油は、オイルクーラに供給される。これにより、湿式クラッチに供給される作動油の流量が大きくなり過ぎることを抑制することができ、しかも、減少分に係る作動油をオイルクーラにおいて冷却することができる。このことは、湿式クラッチ内の圧力上昇をさらに抑制することと、クレーン100全体のヒートバランスをさらに向上させることと、を可能にする。なお、上記のような制御を行うときのポンプ吐出流量相関値は、レバー操作量及びエンジン回転数の少なくとも一方であってもよい。
[変形例(F)]
前記第3、第4及び第5実施形態では、前記第1冷却対象切替弁及び前記第2冷却対象切替弁の一方が前記クラッチ供給状態になるときには他方も前記クラッチ供給状態になるように構成されるが、この構成は、必ずしも必須ではなく、省略することも可能である。
[変形例(G)]
前記第4実施形態では、第3湿式クラッチは、第2冷却対象切替弁の状態がクラッチ供給状態であるときに、第2冷却対象切替弁から出て第2湿式クラッチに供給される前の作動油により冷却されるように構成されるが、第2冷却対象切替弁から出て第2湿式クラッチに供給された後の作動油により冷却されるように構成されていてもよい。
4 :コントローラ
6,6A,6B,6C :湿式クラッチ
10 :冷却機構
11,11A,11B,11C :ウインチドラム
13,13A,13B,13F :オイルクーラ
14 :カウンタバランス弁
15,15A,15B,15C,15F :冷却対象切替弁
16 :メータアウト油路
17 :クラッチ油路
18 :クーラ油路
21,21A,21B,21F :油圧ポンプ
23,23A,23B,23C :油圧モータ
23F :アクチュエータ
25,25A,25B,25C :ウインチ操作装置
25F :アクチュエータ用操作装置
25a :ウインチ操作部材などの操作部材
25b :リモコン弁
100 :クレーン
101 :下部走行体
103 :上部旋回体
104 :ブーム
105 :フック
R :ロープ

Claims (13)

  1. 作動油を吐出する少なくとも一つの油圧ポンプと、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動する第1油圧モータと、前記第1油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第1ウインチドラムと、を備えたクレーンのための冷却機構であって、
    前記第1ウインチドラムに対して前記第1油圧モータの動力が伝達される接続状態と前記動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替える第1湿式クラッチと、
    前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油を冷却するための第1オイルクーラと、
    前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1湿式クラッチに供給されることを許容する状態であるクラッチ供給状態と前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1オイルクーラに供給されることを許容する状態であるクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁である第1冷却対象切替弁と、を備える冷却機構。
  2. 前記少なくとも一つの油圧ポンプは、第1油圧ポンプである、請求項1に記載の冷却機構。
  3. 前記第1ウインチドラムが前記ロープの巻き下げを行うように前記第1油圧モータを動かすためのオペレータによる操作である巻き下げ操作が与えられる操作装置をさらに備え、
    前記第1冷却対象切替弁は、前記操作装置に前記巻き下げ操作が与えられたときに前記第1冷却対象切替弁の状態が前記クーラ供給状態になるように構成される、請求項2に記載の冷却機構。
  4. 前記操作装置は、
    前記巻き下げ操作が与えられる操作部材と、
    前記巻き下げ操作に応じたパイロット圧を出力するリモコン弁と、を備え、
    前記第1冷却対象切替弁は、前記パイロット圧が入力されることにより前記第1冷却対象切替弁の状態が前記クーラ供給状態になるように構成される、請求項3に記載の冷却機構。
  5. 前記第1冷却対象切替弁の状態を前記クラッチ供給状態と前記クーラ供給状態との間で調整するための指令である調整指令を出力するコントローラをさらに備える、請求項2に記載の冷却機構。
  6. 前記調整指令が入力される電磁比例切替弁をさらに備え、
    前記電磁比例切替弁は、前記調整指令に応じた大きさのパイロット圧を前記第1冷却対象切替弁のパイロットポートに入力するように構成され、
    前記第1冷却対象切替弁は、作動油を前記第1湿式クラッチに供給するための経路の開度が前記パイロット圧の大きさに応じて調整されるように構成される、請求項5に記載の冷却機構。
  7. 前記コントローラは、前記第1湿式クラッチに供給される作動油の供給量を減少させるか否かを判定するために予め設定された条件である供給量減少条件が満たされたときに、前記供給量が減少するように前記第1冷却対象切替弁の状態を調整するための前記調整指令を出力する、請求項5に記載の冷却機構。
  8. 前記少なくとも一つの油圧ポンプは、作動油を吐出する第1油圧ポンプと、作動油を吐出する第2油圧ポンプと、を含み、
    前記クレーンは、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動する第2油圧モータと、前記第2油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第2ウインチドラムと、をさらに備え、
    前記冷却機構は、
    前記第2ウインチドラムに対して前記第2油圧モータの動力が伝達される接続状態と前記動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替える第2湿式クラッチと、
    前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油を冷却するための第2オイルクーラと、
    前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第2湿式クラッチに供給されることを許容する状態であるクラッチ供給状態と前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油が前記第2オイルクーラに供給されることを許容する状態であるクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁である第2冷却対象切替弁と、をさらに備える、請求項1に記載の冷却機構。
  9. 前記第1油圧モータは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油及び前記第2油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、
    前記第1油圧モータから排出された作動油は、前記第1冷却対象切替弁と前記第2冷却対象切替弁に分流されるように構成され、
    前記第1冷却対象切替弁及び前記第2冷却対象切替弁の一方が前記クラッチ供給状態になるときには他方も前記クラッチ供給状態になるように構成される、請求項8に記載の冷却機構。
  10. 前記第1油圧モータは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油及び前記第2油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、
    前記第1油圧モータから排出された作動油は、フローディバイダにおいて前記第1冷却対象切替弁と前記第2冷却対象切替弁に分流されるように構成される、請求項8に記載の冷却機構。
  11. 前記クレーンは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油及び前記第2油圧ポンプから吐出される作動油の少なくとも一方の供給を受けて作動する第3油圧モータと、前記第3油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第3ウインチドラムと、をさらに備え、
    前記冷却機構は、前記第3ウインチドラムに対して前記第3油圧モータの動力が伝達される接続状態と前記動力の伝達が遮断される遮断状態とを切り替える第3湿式クラッチをさらに備え、
    前記第3湿式クラッチは、前記第2冷却対象切替弁の状態が前記クラッチ供給状態であるときに、前記第2冷却対象切替弁から出て前記第2湿式クラッチに供給される前の作動油、又は、前記第2冷却対象切替弁から出て前記第2湿式クラッチに供給された後の作動油により冷却されるように構成される、請求項8に記載の冷却機構。
  12. 前記クレーンは、前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するアクチュエータをさらに備え、
    前記少なくとも一つの油圧ポンプは、作動油を吐出する第1油圧ポンプと、作動油を吐出するアクチュエータ用油圧ポンプと、を含み、
    前記第1油圧モータは、前記第1油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、
    前記アクチュエータは、前記アクチュエータ用油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動するように構成され、
    前記第1冷却対象切替弁は、前記アクチュエータ用油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1湿式クラッチに供給されることを許容する状態であるクラッチ供給状態と前記アクチュエータ用油圧ポンプから吐出される作動油が前記第1オイルクーラに供給されることを許容する状態であるクーラ供給状態との間で変わることが可能な切替弁である、請求項1に記載の冷却機構。
  13. 機体と、
    前記機体に起伏可能に取り付けられた起伏部材と、
    作動油を吐出する少なくとも一つの油圧ポンプと、
    前記少なくとも一つの油圧ポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動する第1油圧モータと、
    前記第1油圧モータにより駆動されてロープの巻き上げ及び巻き下げを行う第1ウインチドラムと、
    請求項1~12の何れか1項に記載の冷却機構と、を備えるクレーン。
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