JP2023151439A - 導電部材、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置 - Google Patents

導電部材、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置 Download PDF

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Yuta Inoue
哲明 尾▲崎▼
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Abstract

【課題】耐久性が高い導電部材、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置を提供する。【解決手段】導電部材は、第1方向に延び、第1方向に沿う第1面および第1面に対向する第2面を有する。導電部材は、第1方向に沿って並ぶ第1部位と、第1部位よりも第1方向に直交する断面積が小さい第2部位とを有する。第1部位および第2部位は、少なくとも第1面に、耐酸化性を有する導電性の被膜を有する。被膜の第1方向の長さは、第2部位よりも第1部位の方が長い。【選択図】図3

Description

本開示は、導電部材、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置に関する。
近年、次世代エネルギーとして、水素含有ガス等の燃料ガスと空気等の酸素含有ガスとを用いて電力を得ることができるセルの一種である燃料電池セルを複数有する燃料電池セルスタック装置が種々提案されている。
特開2016-115522号公報
しかしながら、通電によりマイグレーションが発生し、導電部材の耐久性が低下する可能性があった。
実施形態の一態様は、耐久性が高い導電部材、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係る導電部材は、第1方向に延び、前記第1方向に沿う第1面および前記第1面に対向する第2面を有する。導電部材は、前記第1方向に沿って並ぶ第1部位と、前記第1部位よりも前記第1方向に直交する断面積が小さい第2部位とを有する。前記第1部位および前記第2部位は、少なくとも前記第1面に、耐酸化性を有する導電性の被膜を有する。前記被膜の前記第1方向の長さは、前記第2部位よりも前記第1部位の方が長い。
また、実施形態の一態様に係る導電部材は、第1方向に延び、前記第1方向に沿う第1面および前記第1面に対向する第2面を有する。導電部材は、前記第1方向に沿って並ぶ第1部位と、前記第1部位よりも前記第1方向に直交する断面積が小さい第2部位とを有する。前記第1部位および前記第2部位は、少なくとも前記第1面に、耐酸化性を有する導電性の第1被膜を有する。前記第1被膜は、銀よりもイオン化エネルギーが小さい金属である。
また、本開示の電気化学セル装置は、上記に記載の導電部材と、導電部材に接続された電気化学セルとを備える。
また、本開示のモジュールは、上記に記載の電気化学セル装置と、電気化学セル装置を収納する収納容器とを備える。
また、本開示のモジュール収容装置は、上記に記載のモジュールと、モジュールの運転を行うための補機と、モジュールおよび補機を収容する外装ケースとを備える。
実施形態の一態様によれば、耐久性が高い導電部材、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置が提供可能となる。
図1Aは、実施形態に係る電気化学セルの一例を示す横断面図である。 図1Bは、実施形態に係る電気化学セルの一例を空気極側からみた側面図である。 図1Cは、実施形態に係る電気化学セルの一例をインターコネクタ側からみた側面図である。 図2Aは、実施形態に係るセルスタック装置の一例を示す斜視図である。 図2Bは、図2Aに示すX-X線の断面図である。 図2Cは、実施形態に係るセルスタック装置の一例を示す上面図である。 図3は、図2Cに示す領域Yを拡大した平面図である。 図4は、図3に示す導電部材の側面図である。 図5は、図2Cに示す領域Zを拡大した平面図である。 図6は、図5に示す導電部材の側面図である。 図7は、実施形態に係るモジュールの一例を示す外観斜視図である。 図8は、実施形態に係るモジュール収容装置の一例を概略的に示す分解斜視図である。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する導電部材、電気化学セル装置、モジュールおよびモジュール収容装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの開示が限定されるものではない。
また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係、比率などが異なる部分が含まれている場合がある。
[実施形態]
<セルの構成>
まず、図1A~図1Cを参照しながら、実施形態に係る電気化学セルとして、固体酸化物形の燃料電池セルの例を用いて説明する。電気化学セル装置は、複数の電気化学セルを有するセルスタックを備えていてもよい。複数の電気化学セルを有する電気化学セル装置を、単にセルスタック装置と称する。
図1Aは、実施形態に係る電気化学セルの一例を示す横断面図であり、図1Bは、実施形態に係る電気化学セルの一例を空気極側からみた側面図であり、図1Cは、実施形態に係る電気化学セルの一例をインターコネクタ側からみた側面図である。なお、図1A~図1Cは、電気化学セルの各構成の一部を拡大して示している。以下、電気化学セルを単にセルという場合もある。
図1A~図1Cに示す例において、セル1は中空平板型で、細長い板状である。図1Bに示すように、セル1の全体を側面から見た形状は、たとえば、長さ方向Lの辺の長さが5cm~50cmで、この長さ方向Lに直交する幅方向Wの長さが、たとえば、1cm~10cmの長方形である。このセル1の全体の厚み方向Tの厚さは、たとえば、1mm~5mmである。
図1Aに示すように、セル1は、導電性の支持基板2と、素子部3と、インターコネクタ4とを備えている。支持基板2は、一対の対向する平坦面n1、n2、およびかかる平坦面n1、n2を接続する一対の円弧状の側面mを有する柱状である。
素子部3は、支持基板2の平坦面n1上に位置している。素子部3は、燃料極5と、固体電解質層6と、空気極8とを有している。また、図1Aに示す例では、セル1の平坦面n2上にインターコネクタ4が位置している。なお、セル1は、固体電解質層6と空気極8との間に中間層7を備えていてもよい。
また、図1Bに示すように、空気極8はセル1の下端まで延びていない。セル1の下端部では、固体電解質層6のみが平坦面n1の表面に露出している。また、図1Cに示すように、インターコネクタ4がセル1の下端まで延びていてもよい。セル1の下端部では、インターコネクタ4および固体電解質層6が表面に露出している。なお、図1Aに示すように、セル1の一対の円弧状の側面mにおける表面では、固体電解質層6が露出している。インターコネクタ4は、セル1の下端まで延びていなくてもよい。
以下、セル1を構成する各構成部材について説明する。
支持基板2は、ガスが流れるガス流路2aを内部に有している。図1Aに示す支持基板2の例は、6つのガス流路2aを有している。支持基板2は、ガス透過性を有し、ガス流路2aに流れるガスを燃料極5まで透過させる。支持基板2は導電性を有していてもよい。導電性を有する支持基板2は、素子部で生じた電気をインターコネクタ4に集電する。
支持基板2の材料は、たとえば、鉄族金属成分および無機酸化物を含む。鉄族金属成分は、たとえば、Ni(ニッケル)および/またはNiOであってもよい。無機酸化物は、たとえば、特定の希土類元素酸化物であってもよい。希土類元素酸化物は、たとえば、Sc、Y、La、Nd、Sm、Gd、DyおよびYbから選択される1以上の希土類元素を含んでよい。
燃料極5の材料には、一般的に公知のものを使用することができる。燃料極5は、多孔質の導電性セラミックス、たとえば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または希土類元素酸化物が固溶しているZrOと、Niおよび/またはNiOとを含むセラミックスなどを用いてもよい。この希土類元素酸化物は、たとえば、Sc、Y、La、Nd、Sm、Gd、DyおよびYbから選択される複数の希土類元素を含んでもよい。酸化カルシウム、酸化マグネシウム、または希土類元素酸化物が固溶しているZrOを安定化ジルコニアと称する場合もある。安定化ジルコニアは、部分安定化ジルコニアも含む。
固体電解質層6は、電解質であり、燃料極5と空気極8との間のイオンの橋渡しをする。同時に、固体電解質層6は、ガス遮断性を有し、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを生じにくくする。
固体電解質層6の材料は、たとえば、3モル%~15モル%の希土類元素酸化物が固溶したZrOであってもよい。希土類元素酸化物は、たとえば、Sc、Y、La、Nd、Sm、Gd、DyおよびYbから選択される1以上の希土類元素を含んでよい。固体電解質層6は、たとえば、Yb、ScまたはGdが固溶したZrOを含んでもよく、La、NdまたはYbが固溶したCeOを含んでもよく、ScまたはYbが固溶したBaZrOを含んでもよく、ScまたはYbが固溶したBaCeOを含んでもよい。
空気極8は、ガス透過性を有している。空気極8の開気孔率は、たとえば20%~50%、特に30%~50%の範囲であってもよい。空気極8の開気孔率を空気極8の空隙率と称する場合もある。
空気極8の材料は、一般的に空気極に用いられるものであれば特に制限はない。空気極8の材料は、たとえば、いわゆるABO型のペロブスカイト型酸化物など導電性セラミックスでもよい。
空気極8の材料は、たとえば、AサイトにSr(ストロンチウム)とLa(ランタン)が共存する複合酸化物であってもよい。このような複合酸化物の例としては、LaSr1-xCoFe1-y、LaSr1-xMnO、LaSr1-xFeO、LaSr1-xCoOなどが挙げられる。なお、xは0<x<1、yは0<y<1である。
また、素子部3が中間層7を有する場合、中間層7は、拡散抑制層としての機能を有する。空気極8に含まれるSr(ストロンチウム)が固体電解質層6に拡散すると、かかる固体電解質層6にSrZrOの抵抗層が形成される。中間層7は、Srを拡散させにくくすることで、SrZrOが形成されにくくする。
中間層7の材料は、一般的にSrの拡散抑制層に用いられるものであれば特に制限はない。中間層7の材料は、たとえば、Ce(セリウム)を除く希土類元素が固溶した酸化セリウム(CeO)を含んでもよい。かかる希土類元素としては、たとえば、Gd(ガドリニウム)、Sm(サマリウム)などを用いてもよい。
また、インターコネクタ4は、緻密質であり、支持基板2の内部に位置するガス流路2aを流通する燃料ガス、および支持基板2の外側を流通する酸素含有ガスのリークを生じにくくする。インターコネクタ4は、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していてもよい。
インターコネクタ4の材料には、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)、ランタンストロンチウムチタン系のペロブスカイト型酸化物(LaSrTiO系酸化物)などを用いてもよい。これらの材料は、導電性を有し、かつ水素含有ガスなどの燃料ガスおよび空気などの酸素含有ガスと接触しても還元も酸化もされにくい。
<セルスタック装置の構成>
次に、上述したセル1を用いた本実施形態に係るセルスタック装置10について、図2A~図2Cを参照しながら説明する。図2Aは、第1の実施形態に係るセルスタック装置の一例を示す斜視図であり、図2Bは、図2Aに示すX-X線の断面図であり、図2Cは、第1の実施形態に係るセルスタック装置の一例を示す上面図である。
図2Aに示すように、セルスタック装置10は、セル1の厚み方向T(図1A参照)に配列(積層)された複数のセル1を有するセルスタック11と、固定部材12とを備える。
固定部材12は、固定材13と、支持部材14とを有する。支持部材14は、セル1を支持する。固定材13は、セル1を支持部材14に固定する。また、支持部材14は、支持体15と、ガスタンク16とを有する。支持部材14である支持体15およびガスタンク16は、金属製であり導電性を有している。
図2Bに示すように、支持体15は、複数のセル1の下端部が挿入される挿入孔15aを有している。複数のセル1の下端部と挿入孔15aの内壁とは、固定材13で接合されている。
ガスタンク16は、挿入孔15aを通じて複数のセル1に反応ガスを供給する開口部と、かかる開口部の周囲に位置する凹溝16aとを有する。支持体15の外周の端部は、ガスタンク16の凹溝16aに充填された接合材21によって、ガスタンク16と接合されている。
図2Aに示す例では、支持部材14である支持体15とガスタンク16とで形成される内部空間22に燃料ガスが貯留される。ガスタンク16にはガス流通管20が接続されている。燃料ガスは、このガス流通管20を通してガスタンク16に供給され、ガスタンク16からセル1の内部のガス流路2a(図1A参照)に供給される。ガスタンク16に供給される燃料ガスは、後述する改質器102(図7参照)で生成される。
水素リッチな燃料ガスは、原燃料を水蒸気改質などすることによって生成することができる。水蒸気改質により燃料ガスを生成する場合には、燃料ガスは水蒸気を含む。
図2Aに示す例は、2列のセルスタック11、2つの支持体15、およびガスタンク16を備えている。2列のセルスタック11は、複数のセル1をそれぞれ有する。各セルスタック11は、各支持体15に固定されている。ガスタンク16は上面に2つの貫通孔を有している。各貫通孔には、各支持体15が配置されている。内部空間22は、1つのガスタンク16と、2つの支持体15とで形成される。
挿入孔15aの形状は、たとえば、上面視で長円形状である。挿入孔15aは、たとえば、セル1の配列方向すなわち厚み方向Tの長さが、セルスタック11の両端に位置する2つの端部集電部材17の間の距離よりも大きい。挿入孔15aの幅は、たとえば、セル1の幅方向W(図1A参照)の長さよりも大きい。
図2Bに示すように、挿入孔15aの内壁とセル1の下端部との接合部には、固定材13が充填され、ている。これにより、挿入孔15aの内壁と複数個のセル1の下端部とがそれぞれ接合・固定され、また、セル1の下端部同士が接合・固定されている。各セル1のガス流路2aは、下端部で支持部材14の内部空間22と連通している。
固定材13および接合材21は、ガラスなどの導電性が低いものを用いることができる。固定材13および接合材21の具体的な材料としては、非晶質ガラスなどを用いてもよく、特に結晶化ガラスなどを用いてもよい。
結晶化ガラスとしては、たとえば、SiO-CaO系、MgO-B系、La-B-MgO系、La-B-ZnO系、SiO-CaO-ZnO系などの材料のいずれかを用いてもよく、特にSiO-MgO系の材料を用いてもよい。
また、図2Bに示すように、複数のセル1のうち隣接するセル1の間には、導電材18が介在している。導電材18は、隣接する一方のセル1の燃料極5と他方のセル1の空気極8とを電気的に直列に接続する。より具体的には、隣接する一方のセル1の燃料極5と電気的に接続されたインターコネクタ4と、他方のセル1の空気極8とを接続している。
また、図2Bに示すように、複数のセル1の配列方向における最も外側に位置するセル1に、端部集電部材17が電気的に接続されている。端部集電部材17は、セルスタック11の外側に突出する導電部材19に接続されている。導電部材19は、セル1の発電により生じた電気を集電して外部に引き出す。なお、図2Aでは、端部集電部材17の図示を省略している。
また、図2Cに示すように、セルスタック装置10は、2つのセルスタック11A、11Bが直列に接続され、一つの電池として機能する。そのため、セルスタック装置10の導電部材19は、部材19A~19Eに区別される。
部材19Aは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合の正極であり、セルスタック11Aにおける正極側の端部集電部材17に電気的に接続される正極端子である。部材19Bは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合の負極であり、セルスタック11Aにおける負極側の端部集電部材17に電気的に接続される負極端子である。
部材19Dは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合の正極であり、セルスタック11Bにおける正極側の端部集電部材17に電気的に接続される正極端子である。部材19Eは、セルスタック11が発電した電力を外部に出力する場合の負極であり、セルスタック11Bにおける負極側の端部集電部材17に電気的に接続される負極端子である。
部材19Cは、セルスタック11Aにおける負極端子である部材19Bと、セルスタック11Bにおける正極端子である部材19Dとを電気的に接続する接続端子である。
<導電部材の詳細>
つづいて、実施形態に係る導電部材の詳細について、図3~図6を参照しながら説明する。図3は、図2Cに示す領域Yを拡大した平面図である。図4は、図3に示す導電部材の側面図である。なお、説明を分かりやすくするために、図3、図4には、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。
図3および図4に示すように、部材19Aは、X軸方向に延び、X軸方向に沿って互いに対向する第1面31および第2面32を有する。X軸方向は、第1方向の一例である。
また、部材19Aは、第1面31および第2面32をつなぐ側面33,34と、セルスタック11A(図2C参照)から離れて位置する端部35と、第1面31および第2面32を貫通する貫通孔36とを有する。
部材19Aは、クロムを含有してもよく、鉄を含有してもよい。部材19Aは、たとえば、ステンレス鋼である。部材19Aは、たとえば、金属酸化物を含有してもよい。
部材19Aは、表面を覆う被膜40を有する。被膜40は、耐酸化性を有し、導電性の導電被膜である。被膜40は、少なくとも第1面31に位置している。第1面31は、外部装置に電気的に接続された端子または導体と向かい合う側の面である。部材19Aは、たとえばボルトなど、貫通孔36に挿入された締結部材によって外部装置と電気的に接続される。なお、部材19Aは、貫通孔36を有さなくてもよい。かかる場合、部材19Aは、たとえば、クランプなどの固定化部材で固定することができる。
部材19Aは、第1面31に被膜40が位置する第1部位P1、第2部位P2および第3部位P3を有している。第2部位P2は、貫通孔36が位置する部位である。第1部位P1は、第2部位P2よりもセルスタック11A(図2C参照)に近い部材19Aの基端側の部分である。第3部位P3は、第2部位P2を挟んで第1部位P1の反対側に位置する部位であり、端部35と貫通孔36との間に位置する部材19Aの先端側の部分である。
図3に示すように、X軸方向に沿う第1部位P1の長さL1は、第2部位P2の長さL2よりも長くてもよい。
上記したように、部材19Aは、正極端子である。たとえば、高湿環境下において電圧を印加すると、正極端子の構成成分がイオン化するマイグレーションが発生する場合がある。これに対し、長さL1を、長さL2よりも長くすることにより、Y軸方向の長さが第2部位P2よりも長い第1部位P1側に電流が流れやすくなる。このため、たとえば第2部位P2に対する電流集中が生じにくくなることから、マイグレーションが発生しにくくなり、部材19Aの耐久性が高くなる。
また、X軸方向に沿う第2部位P2の長さL2は、第3部位P3の長さL3よりも長くてもよい。これにより、第2部位P2よりも端部35側に位置する第3部位P3に対する電流集中が生じにくくなることから、マイグレーションが発生しにくくなり、部材19Aの耐久性が高くなる。
また、図4に示すように、第1部位P1に位置する被膜40の厚みt1は、第2部位P2に位置する被膜40の厚みt2よりも厚くてもよい。これにより、第2部位P2は、X軸に直交するYZ平面で切断したときの断面積が第1部位P1よりも小さくなり、第2部位P2よりも端部35から離れた第1部位P1側に電流が流れやすくなる。このため、たとえば第2部位P2に対する電流集中が生じにくくなり、マイグレーションが発生しにくくなることで、部材19Aの耐久性が高くなる。
また、第2部位P2に位置する被膜40の厚みt2は、第3部位P3に位置する被膜40の厚みt3よりも厚くてもよい。これにより、第2部位P2よりも端部35側に位置する第3部位P3に電流が流れにくくなることから、たとえば第3部位P3に対する電流集中が生じにくくなり、マイグレーションが発生しにくくなることで、部材19Aの耐久性が高くなる。
被膜40は、貫通孔36に位置してもよい。また、被膜40は、第2部位P2の側面33,34に位置してもよい。貫通孔36および/または第2部位P2の側面33,34に位置する被膜40を有すると、たとえば第2部位P2における電気抵抗が小さくなり、対する電流集中が生じにくくなる。このため、マイグレーションが発生しにくくなることで、部材19Aの耐久性が高くなる。
また、被膜40は、たとえば、銀よりもイオン化エネルギーが小さい金属またはその合金であってもよい。かかる被膜40の材料として、たとえば、Pd、PtまたはAuを使用することができる。これらの金属は、たとえばAg等と比較して、マイグレーションが発生しにくい材料である。
上記したように、部材19Aは、正極端子であることから、第2部位P2は、第1部位P1よりも高電位側に位置している。このため、たとえばAgやCuなど、イオン化エネルギーが比較的大きい金属を使用すると、環境条件によってはマイグレーションが発生しやすくなる。これに対し、銀よりもイオン化エネルギーが小さい金属の被膜40を有することにより、部材19Aが正極端子として使用された場合であっても、マイグレーションが発生しにくくなることから、部材19Aの耐久性が高くなる。
上記したように、部材19Aは、正極端子として使用した場合において、マイグレーションが発生しにくくなることから、耐久性が高くなる。すなわち、部材19Aは、図2Cに示す部材19Dとして使用されてもよい。また、部材19Aは、図2Cに示す部材19B、19C、19Eとして使用されてもよい。
図5は、図2Cに示す領域Zを拡大した平面図である。図6は、図5に示す導電部材の側面図である。
図5に示すように、部材19Eは、被膜40に代えて被膜41を有する点で図3、図4に示す部材19Aと相違する。被膜41は、耐酸化性を有し、導電性の導電被膜である。
被膜41は、少なくとも第1面31に位置している。部材19Eは、第1面31に被膜41が位置する第1部位P4、第2部位P5および第3部位P6を有している。第2部位P5は、貫通孔36が位置する部位である。第1部位P4は、第2部位P5よりもセルスタック11B(図2C参照)に近い部材19Eの基端側の部分である。第3部位P6は、第2部位P5を挟んで第1部位P4の反対側に位置する部位であり、端部35と貫通孔36との間に位置する部材19Eの先端側の部分である。
図5に示すように、X軸方向に沿う第1部位P4の長さL4は、第2部位P5の長さL5よりも長くてもよい。長さL4を、長さL5よりも長くすることにより、第2部位P5よりも第1部位P4側に電流が流れやすくなる。このため、たとえば第1部位P4における電気抵抗が小さくなり、セルスタック装置10の性能が向上する。
また、X軸方向に沿う第2部位P5の長さL5は、第3部位P6の長さL6よりも長くてもよい。これにより、たとえば第2部位P5における電気抵抗が小さくなり、セルスタック装置10の性能が向上する。
また、図6に示すように、第1部位P4に位置する被膜41の厚みt4は、第2部位P5に位置する被膜41の厚みt5よりも厚くてもよい。これにより、第1部位P4は、X軸に直交するYZ平面で切断したときの断面積が第2部位P5よりも大きくなり、第2部位P5よりも端部35から離れた第1部位P4側に電流が流れやすくなる。このため、たとえば第1部位P4における電気抵抗が小さくなり、セルスタック装置10の性能が向上する。
また、第2部位P5に位置する被膜41の厚みt5は、第3部位P6に位置する被膜41の厚みt4よりも厚くてもよい。これにより、第3部位P6よりも端部35から離れた第2部位P5を電流が流れやすくなることから、たとえば第2部位P5における電気抵抗が小さくなり、セルスタック装置10の性能が向上する。
被膜41は、貫通孔36に位置してもよい。また、被膜41は、第2部位P5の側面33,34に位置してもよい。貫通孔36および/または第2部位P5の側面33,34に位置する被膜41を有すると、たとえば第2部位P5における電気抵抗が小さくなり、セルスタック装置10の性能が向上する。
上記したように、部材19Eは、負極端子であることから、第2部位P2は、第1部位P1よりも低電位側に位置している。このため、たとえば、高湿環境下において電圧を印加した場合であっても、マイグレーションは発生しにくい。このため、被膜41は、被膜40と同じ材料のほか、被膜40とは異なる材料、たとえば、Ag、Cu、Pb、Snなど、被膜40よりイオン化エネルギーが大きい材料を使用してもよい。
<モジュール>
次に、上述したセルスタック装置10を用いた本開示の実施形態に係るモジュール100について、図7を用いて説明する。図7は、実施形態に係るモジュールを示す外観斜視図であり、収納容器101の一部である前面および後面を取り外し、内部に収納される燃料電池のセルスタック装置10を後方に取り出した状態を示している。
図7に示すように、モジュール100は、収納容器101、および収納容器101内に収納されたセルスタック装置10を備えている。また、セルスタック装置10の上方には、改質器102が配置されている。
かかる改質器102は、天然ガス、灯油などの原燃料を改質して燃料ガスを生成し、セル1に供給する。原燃料は、原燃料供給管103を通じて改質器102に供給される。なお、改質器102は、水を気化させる気化部102aと、改質部102bとを備えていてもよい。改質部102bは、図示しない改質触媒を備えており、原燃料を燃料ガスに改質する。このような改質器102は、効率の高い改質反応である水蒸気改質を行うことができる。
そして、改質器102で生成された燃料ガスは、ガス流通管20、ガスタンク16、および支持部材14を通じて、セル1のガス流路2a(図1A参照)に供給される。
また、上述の構成のモジュール100では、ガスの燃焼およびセル1の発電に伴い、通常発電時におけるモジュール100内の温度が500℃~1000℃程度となる。
このようなモジュール100においては、上述したように、耐久性が高いセルスタック装置10を収納して構成されることにより、耐久性が高いモジュール100とすることができる。
<モジュール収容装置>
図8は、実施形態に係るモジュール収容装置の一例を示す分解斜視図である。本実施形態に係るモジュール収容装置110は、外装ケース111と、図5で示したモジュール100と、図示しない補機と、を備えている。補機は、モジュール100の運転を行う。モジュール100および補機は、外装ケース111内に収容されている。なお、図8においては一部構成を省略して示している。
図8に示すモジュール収容装置110の外装ケース111は、支柱112と外装板113とを有する。仕切板114は、外装ケース111内を上下に区画している。外装ケース111内の仕切板114より上側の空間は、モジュール100を収容するモジュール収容室115であり、外装ケース111内の仕切板114より下側の空間は、モジュール100を運転する補機を収容する補機収容室116である。なお、図8では、補機収容室116に収容する補機を省略して示している。
また、仕切板114は、補機収容室116の空気をモジュール収容室115側に流すための空気流通口117を有している。モジュール収容室115を構成する外装板113は、モジュール収容室115内の空気を排気するための排気口118を有している。
このようなモジュール収容装置110においては、上述したように、耐久性が高いモジュール100をモジュール収容室115に備えていることにより、耐久性が高いモジュール収容装置110とすることができる。
なお、上述の実施形態では、中空平板型の支持基板を用いた場合を例示したが、円筒型の支持基板、平板型の支持基板を用いたセルスタック装置に適用することもできる。また、上述の実施形態では、ガス流路を内部に有する支持基板を用いた場合を例示したが、外部のガス流路とセルとの間でガスを流通可能な、たとえば貫通孔または細孔を有する金属板を支持基板としてもよい。さらに、いわゆる平板型のセルスタック装置に適用することもできる。
<その他の変形例>
つづいて、実施形態のその他の変形例に係る電気化学セル装置について説明する。
上記実施形態では、「電気化学セル」、「電気化学セル装置」、「モジュール」および「モジュール収容装置」の一例として燃料電池セル、燃料電池セルスタック装置、燃料電池モジュールおよび燃料電池装置を示したが、他の例としてはそれぞれ、電解セル、電解セルスタック装置、電解モジュールおよび電解装置であってもよい。また、上記実施形態では電気化学セルの電解質材料の一例として酸化物イオン伝導体または水素イオン伝導体を示したが、水酸化物イオン伝導体であってもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
以上のように、実施形態に係る導電部材(部材19A)は、第1方向に延び、第1方向に沿う第1面31および第1面31に対向する第2面32を有する。導電部材は、第1方向に沿って並ぶ第1部位P1と、第1部位P1よりも第1方向に直交する断面積が小さい第2部位P2とを有する。第1部位P1および第2部位P2は、少なくとも第1面31に、耐酸化性を有する導電性の被膜40を有する。被膜40の第1方向の長さは、第2部位P2よりも第1部位の方が長い。これにより、導電部材の耐久性が高くなる。
また、実施形態に係る導電部材(部材19A)は、第1方向に延び、第1方向に沿う第1面31および第1面31に対向する第2面32を有する。導電部材は、第1方向に沿って並ぶ第1部位P1と、第1部位P1よりも第1方向に直交する断面積が小さい第2部位P2とを有する。第1部位P1および第2部位P2は、少なくとも第1面31に、耐酸化性を有する導電性の被膜40を有する。被膜40は、銀よりもイオン化エネルギーが小さい金属である。これにより、導電部材の耐久性が高くなる。
また、実施形態に係る電気化学セル装置は、上記に記載の導電部材と、導電部材に接続された電気化学セルとを備える。これにより、電気化学セル装置の耐久性が高くなる。
また、実施形態に係るモジュール100は、上記に記載の電気化学セル装置と、電気化学セル装置を収納する収納容器101とを備える。これにより、耐久性が高いモジュール100とすることができる。
また、実施形態に係るモジュール収容装置110は、上記に記載のモジュール100と、モジュール100の運転を行うための補機と、モジュール100および補機を収容する外装ケースとを備える。これにより。耐久性が高いモジュール収容装置110とすることができる。
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
1 セル
3 素子部
5 燃料極
6 固体電解質層
7 中間層
8 空気極
10 セルスタック装置
11 セルスタック
12 固定部材
13 固定材
14 支持部材
15 支持体
16 ガスタンク
17 端部集電部材
18 導電材
19 導電部材
100 モジュール
110 モジュール収容装置

Claims (11)

  1. 第1方向に延び、前記第1方向に沿う第1面および前記第1面に対向する第2面を有する導電部材であって、
    前記第1方向に沿って並ぶ第1部位と、前記第1部位よりも前記第1方向に直交する断面積が小さい第2部位とを有し、
    前記第1部位および前記第2部位は、少なくとも前記第1面に、耐酸化性を有する導電性の第1被膜を有し、
    前記第1被膜の前記第1方向の長さは、前記第2部位よりも前記第1部位の方が長い
    導電部材。
  2. 前記第1被膜の厚さは、前記第2部位よりも前記第1部位の方が大きい
    請求項1に記載の導電部材。
  3. 前記第2部位を挟んで前記第1部位とは反対側に位置し、前記第1方向に直交する断面積が前記第2部位以上前記第1部位以下である第3部位を有し、
    前記第1被膜の厚さは、前記第3部位よりも前記第2部位の方が大きい
    請求項1または2に記載の導電部材。
  4. 前記第1面と前記第2面とをつなぐ側面を有し、
    前記第2部位の前記側面に位置する前記第1被膜を有する
    請求項1~3のいずれか1つに記載の導電部材。
  5. 第1方向に延び、前記第1方向に沿う第1面および前記第1面に対向する第2面を有する導電部材であって、
    前記第1方向に沿って並ぶ第1部位と、前記第1部位よりも前記第1方向に直交する断面積が小さい第2部位とを有し、
    前記第1部位および前記第2部位は、少なくとも前記第1面に、耐酸化性を有する導電性の第1被膜を有し、
    前記第1被膜は、銀よりもイオン化エネルギーが小さい金属である
    導電部材。
  6. 前記第2部位は、前記第1部位よりも高電位側に位置している
    請求項5に記載の導電部材。
  7. 請求項1~6のいずれか1つに記載の導電部材と、
    前記導電部材に接続された電気化学セルと
    を備える電気化学セル装置。
  8. 前記導電部材は、前記第2部位の電位が前記第1部位の電位よりも高い第1部材と、前記第2部位の電位が前記第1部位の電位よりも低い第2部材とを有し、
    前記第1部材が前記第1被膜を有し、前記第2部材が第2被膜を有し、前記第2被膜の材料は、前記第1被膜の材料とはイオン化エネルギーが異なる
    請求項7に記載の電気化学セル装置。
  9. 電気化学セルと、
    前記電気化学セルにそれぞれ接続された、第1被膜を有する第1導電部材、および第2被膜を有し、前記第1導電部材の電位より低い電位を有する第2導電部材と
    を有し、
    前記第1被膜の材料は、前記第2被膜の材料より小さいイオン化エネルギーを有する
    電気化学セル装置。
  10. 請求項7~9のいずれか1つに記載の電気化学セル装置と、
    前記電気化学セル装置を収納する収納容器と
    を備えるモジュール。
  11. 請求項10に記載のモジュールと、
    前記モジュールの運転を行うための補機と、
    前記モジュールおよび前記補機を収容する外装ケースと
    を備えるモジュール収容装置。
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