JP2023151053A - プリフォーム - Google Patents
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Abstract
【課題】成形される容器底部の選択的な薄肉化を図ることが可能なプリフォームを提供する。【解決手段】円筒状の胴部3、胴部3の一端側に開口する口部2と、胴部3の他端側を閉塞する底部4とを含む有底筒状に成形され、底部4の縦断面形状が横楕円弧状となるようにして、胴部3の肉厚に対して底部4の肉厚が薄肉となるようにしたプリフォーム1。【選択図】 図1
Description
本発明は、合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォームに関する。
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて有底筒状のプリフォームを作製し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂製の容器が、各種飲料品、各種調味料等を内容物とする容器として広い分野で利用されている。
このような合成樹脂製容器のうち、炭酸飲料を内容物とする飲料用容器にあっては、炭酸ガスによる圧力に耐え得る耐圧性を備えるとともに、容器内が陽圧になっても自立安定性が損なわれることなく、自立可能であることが要求される。このため、例えば、特許文献1が開示するような、いわゆるペタロイド形状に形成された底部を備える耐圧ボトルが知られている。
ところで、この種の容器にあっては、従前より、その軽量化や、使用樹脂量の削減による低コスト化が求められており、可能な限り薄肉に成形することが試みられている。
しかしながら、炭酸飲料を内容物とする耐圧ボトルにあっては、炭酸ガスの透過を抑制するために、ある程度の厚みを以て容器を成形する必要があるというように、容器の薄肉化を図る上での制約があった。
そこで、本発明者らは、上記の如き事情を考慮しつつ、成形される容器底部の選択的な薄肉化を図るべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明に係るプリフォームは、合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォームであって、円筒状の胴部と、前記胴部の一端側に開口する口部と、前記胴部の他端側を閉塞する底部とを含む有底筒状に成形され、前記底部の縦断面形状が横楕円弧状となるようにして、前記胴部の肉厚に対して前記底部の肉厚が薄肉となるようにした構成としてある。
本発明によれば、成形される容器底部の選択的な薄肉化を図ることが可能になる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係るプリフォームの概略を示す説明図であり、図中一点鎖線で示す中心軸Cを含む面で切断した断面(縦断面)を示している。
なお、図1では、断面を示すハッチングを省略しており、図中に示す寸法の単位はmmである。
なお、図1では、断面を示すハッチングを省略しており、図中に示す寸法の単位はmmである。
また、図2は、図中二点鎖線で示すブロー成形型100にセットされたプリフォーム1と、このプリフォーム1が、二軸延伸ブロー成形などによって、ブロー成形型100内で所定の容器形状に成形される容器10との関係を概略的に示す説明図である。図3に、成形される容器10の一例を斜視して示すに、容器10は、炭酸飲料を内容物とする耐圧ボトルとして好適に利用できるように構成されている。そのため、容器内が陽圧になっても自立安定性が損なわれないように、複数(図示する例では、五つ)の脚部51が、容器10の中心軸周りに回転対称に、かつ、均等な間隔で放射状に配設された、いわゆるペタロイド形状の底部50を備えている。
本実施形態において、プリフォーム1は、熱可塑性樹脂を使用して、射出成形や圧縮成形などによって成形することができ、円筒状の胴部3と、胴部3の一端側に開口する口部2と、胴部3の他端側を閉塞する底部4とを含む有底筒状に成形されている。
使用する熱可塑性樹脂としては、ブロー成形が可能な任意の樹脂を使用することができる。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,非晶ポリアリレート,ポリ乳酸,ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステルが使用でき、特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが好適に使用できる。これらの樹脂は二種以上混合してもよく、他の樹脂をブレンドしてもよい。ポリカーボネート,アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン-エチレン共重合体,ポリエチレンなども使用できる。
また、プリフォーム1は、単層に成形するに限らず、容器10に求められる特性に応じて、ガスバリヤー層などを含む多層に成形することもできる。
また、プリフォーム1は、単層に成形するに限らず、容器10に求められる特性に応じて、ガスバリヤー層などを含む多層に成形することもできる。
プリフォーム1は、必要に応じて加熱して、ブロー成形が可能な軟化した状態にされてから、ブロー成形型100にセットされ、口部2の直下から底部4に至るまでの部位が、必要に応じてストレッチロッドにより軸方向(縦方向)に延伸されつつ、プリフォーム1内に吹き込まれるブローエアーにより軸方向及び周方向(横方向)に延伸される。そして、ブロー成形型100のキャビティ形状が転写されることによって、プリフォーム1の延伸された部位が、容器10の肩部30、胴部40、及び底部50に成形される。
ここで、本実施形態にあっては、口部2を上にした図1に示す状態で、プリフォーム1の上下左右及び縦横の方向を規定するものとする。
図2に示すように、プリフォーム1の口部2は、ブロー成形によって延伸されずに、そのまま容器10の口部2となる。このため、図中、これらを同一の符号を以て示している。プリフォーム1の口部2、延いては、容器10の口部2は、内容物の注入出口となる部位であり、円筒状に形成される口部2の開口端側の側面には、図示しない蓋体を取り付けるためのネジ山21が設けられている。
また、口部2には、周方向に沿って外方に突出する環状のネックリング22が設けられている。プリフォーム1は、通常、ブロー成形型100に支持されたネックリング22の直下の部位を起点として、それよりも下方の部位が延伸されて、前述したように、容器10の肩部30、胴部40、及び底部50に成形される。
本実施形態にあっては、このようにしてプリフォーム1をブロー成形するに際し、成形される容器10の底部50の肉厚の選択的な薄肉化を可能とするために、プリフォーム1の底部4の縦断面形状が、長軸が中心軸Cと直交する横楕円弧状となるようにして、胴部3の肉厚に対して底部4の肉厚が薄肉となるようにしている。さらに、本実施形態によれば、プリフォーム1の底部4の縦断面形状を横楕円弧状とすることで、成形される容器10の底部50の薄肉化を図りながらも、底部50の環境応力腐食割れ耐性(ESCR)の低下を抑制することも可能としている。
なお、本発明において、「楕円弧状」には、曲率半径が単調に変化する複数の円弧が連なった楕円弧の外、かかる楕円弧と見做せる形状を含むものとする。
なお、本発明において、「楕円弧状」には、曲率半径が単調に変化する複数の円弧が連なった楕円弧の外、かかる楕円弧と見做せる形状を含むものとする。
その理由について、本発明を完成するに至る過程で、本発明者らが検討したプリフォームの一例を比較例として、これと対比しながら説明する。
図4は、比較例とするプリフォーム1cの概略を示す説明図であり、図1と同様にして、プリフォーム1cの縦断面を示している。図1に示すプリフォーム1と、その比較例として図4に示すプリフォーム1cとにあっては、ブロー成形する際の縦方向の延伸倍率が同等となるように、軸方向に沿った長さ、特に、ネックリング22の直下から、それよりも下方の延伸される部位の軸方向に沿った長さhを等しくしている。
なお、図4に示すプリフォーム1cにおいて、ブロー成形によって延伸されない部位については、図1に示すプリフォーム1と同一の符号を以て示している。
図4に示すように、従来の一般的なプリフォームは、底部が半球状に成形される。図4に示す比較例にあっては、プリフォーム1cを射出成形などによって成形するに際し、プリフォーム1cの内周面側を成形する図示しないコア型を僅かに伸張させて、その分だけ底部4cが薄肉に成形されるようにしている。
底部4cの縦断面形状に着目してより詳細に説明すると、図4に示す比較例にあっては、その縦断面において、底部4cの外側底面と内側底面とが、それぞれ曲率半径が一定の半円状となるように成形される。そして、内側底面の曲率中心が、外側底面の曲率中心に対して、コア型を伸張させた分だけ軸方向に沿って移動し、これに伴って、内側底面の上端縁が、コア型を伸張させた分だけ軸方向に沿って移動した結果、外側底面の上端縁を起点として、底部4cの肉厚が、底部4cの先端側に向かって減少するようにしている。
ここで、プリフォーム1cの縦断面において、底部4cの外側底面から胴部3cの外周面に向かって、曲率半径が変化する境界となる部位を当該外側底面の上端縁とし、同様に、底部4cの内側底面から胴部3cの内周面に向かって、曲率半径が変化する境界となる部位を当該内側底面の上端縁とするものとする。
これに対して、図1に示すプリフォーム1では、その縦断面において、底部4の外側底面と内側底面とが、それぞれ横楕円弧状となるようにして、これらの扁平率(1-[短半径]/[長半径])に応じて、底部4の肉厚が、底部4の先端側に向かって減少することによって、胴部3の肉厚に対して薄肉となるようにしている。その結果、比較例に比べて、胴部3と底部4との境界、換言すれば、底部4の肉厚が減少する起点が、底部4の先端側に移動している(図5参照)。
ここで、底部4と底部4cのそれぞれの肉厚は、それらの外側底面とその接線との交点を通る当該接線に直交する垂線に沿って測定するものとする。図5には、本実施形態におけるプリフォーム1の底部4の縦断面形状(図中中央)と、比較例におけるプリフォーム1cの底部4cの縦断面形状(図中左側)とを、それぞれの最大肉厚(肉厚が減少する起点となる部位の肉厚)と最小肉厚(先端部の肉厚)とが等しくなるように図示している。そして、図中右側には、本実施形態における胴部3から底部4の先端側に至るまでの肉厚変化を実線で示し、比較例における胴部3cから底部4cの先端側に至るまでの肉厚変化を一点鎖線で示している。
したがって、本実施形態にあっては、胴部3と底部4との境界が底部4の先端側に移動することにより、胴部3の軸方向に沿った長さが、比較例に比べて長くなる。例えば、図4に示すプリフォーム1cの胴部3cの軸方向に沿った長さh3cに対して、図1に示すプリフォーム1の胴部3の軸方向に沿った長さh3が約5%長くなっている。
そして、胴部3が長くなった分、成形される容器10の肩部30や胴部40の肉厚が、比較例として示すプリフォーム1cを用いた場合と同等に維持されるように、これらに賦形される部分に割り当てられる樹脂量を調整すると、胴部3の肉厚が、比較例に対して薄肉になる。例えば、図4に示すプリフォーム1cの胴部3cの肉厚t3cに対して、図1に示すプリフォーム1の胴部3の肉厚t3が約3%薄肉になっている。
これにより、本実施形態によれば、底部4の最大肉厚(胴部3の肉厚に相当)を低減させ、これとともに、その先端部における最小肉厚も低減させることができる。例えば、図4に示すプリフォーム1cの底部4cの先端部における最小肉厚t4cに対して、図1に示すプリフォーム1の底部4の先端部における最小肉厚t4が約3%薄肉になっている。
以上のような本実施形態によれば、成形される容器10の肩部30や胴部40の肉厚が、所望の肉厚となるように、これらに賦形される部分に割り当てられる樹脂量を確保しつつ、底部50に賦形される部分に割り当てられる樹脂量を削減できるように、プリフォーム1の各部に割り当てられる樹脂量をバランスよく、かつ、容易に調整することができる。そして、成形される容器10の底部50に賦形される部分に割り当てられる樹脂量が削減された結果、より延伸された状態で底部50が賦形され、賦形性が向上するとともに、配向結晶化度が高められることから、底部50の選択的な薄肉化を図りつつ、底部50の環境応力腐食割れ耐性(ESCR)の低下を抑制することが可能になる。
本実施形態において、このような効果がより有効に奏されるようにする上で、底部4の内側底面と外側底面とが、それぞれの上端縁が軸方向に沿って±1mmの範囲内に位置するように、それぞれの縦断面形状が横楕円弧状となるように成形されているのが好ましく、それぞれの上端縁が軸方向に直交する同一平面上に位置しているのが特に好ましい。
また、底部4の内側底面と外側底面とは、縦断面におけるそれぞれの中心(長軸と短軸の交点)が軸方向に沿って±1mmの範囲内に位置しているのが好ましく、それぞれの中心が一致しているのが特に好ましい。
また、底部4の内側底面と外側底面とは、縦断面におけるそれぞれの中心(長軸と短軸の交点)が軸方向に沿って±1mmの範囲内に位置しているのが好ましく、それぞれの中心が一致しているのが特に好ましい。
ここで、プリフォーム1の縦断面において、底部4の外側底面から胴部3の外周面に向かって、曲率半径が単調減少から増加に転じる境界となる部位を当該外側底面の上端縁とし、同様に、底部4の内側底面から胴部3の内周面に向かって、曲率半径が単調減少から増加に転じる境界となる部位を当該内側底面の上端縁とするものとする。
また、縦断面形状が横楕円弧状となるように内側底面と外側底面とを成形するにあたり、それぞれの扁平率は、0.22~0.42であるのが好ましい。内側底面と外側底面の縦断面における扁平率が、上記範囲に満たないと、プリフォーム1の底部4の縦断面形状を横楕円弧状としたことによる効果が十分に得られ難くなくなってしまう傾向がある。一方、上記範囲を超えると、プリフォーム1の底部4がより薄肉になってしまい、成形される容器10の底部50に賦形される部分に割り当てられる樹脂量が不足する傾向にあることから、底部50の環境応力腐食割れ耐性の低下を抑制する上で好ましくない。
成形される容器10の底部50に賦形される部分に割り当てられる樹脂量が不足する場合には、例えば、図6に示すように、内側底面の扁平率が、外側底面の扁平率よりも大きくなるようにすることで、プリフォーム1の底部4の中央部の肉厚を調整することができる。このような態様とする場合には、プリフォーム1の底部4の中央部の肉厚が0.1~0.5mm厚肉となるように調整するのが好ましい。
なお、図6には、内側底面と外側底面の扁平率を等しくした場合に比べて、内側底面の扁平率を大きくすることで、プリフォーム1の底部4の中央部の肉厚が0.3mm厚肉となるように調整した例を示している。
これに代えて、又はこれに加えて、図7に示すように、プリフォーム1の底部4の外側底面の中央部を均一に隆起させることによって、当該中央部の肉厚を調整することもできる。このような態様とする場合には、外側底面の中央部における、外側底面の上端縁を含む底部4の最外周部の直径Dの35~55%の範囲を、外側底面に対して0.1~0.5mmの高さで円形状に隆起させるのが好ましく、このとき、円形状に隆起する部位の中心が中心軸C上にあるのが好ましい。
なお、図7には、底部4の最外周部の直径Dの約44%の範囲を、外側底面に対して0.3mmの高さで円形状に隆起させて、プリフォーム1の底部4の中央部の肉厚を調整した例を示している。図7に示す例では、理解を容易にするために、隆起させた部位を明瞭に示しているが、外側底面に対して滑らかに隆起させるのが好ましい。
このようにして、プリフォーム1の底部4の中央部の肉厚を調整することで、成形される容器10の底部50に賦形される部分に割り当てられる樹脂量が不足する場合に、その不足分を補うことができるが、いずれの態様にあっても、底部4の全体がバランスよく延伸するように、プリフォーム1の底部4の中央部の肉厚を調整するのが好ましい。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、前述した実施形態は、成形される容器10の肩部30や胴部40の肉厚が、所望の肉厚となるようにすることで、炭酸ガスの透過を抑制しつつ、底部50の選択的な薄肉化を図ることができることから、炭酸飲料を内容物とする耐圧ボトルに特に好適に適用できるが、これに限定されない。非炭酸飲料用の各種容器にも適宜適用することができる。
1 プリフォーム
2 口部
3 胴部
4 底部
2 口部
3 胴部
4 底部
Claims (5)
- 合成樹脂製容器をブロー成形によって製造するためのプリフォームであって、
円筒状の胴部と、前記胴部の一端側に開口する口部と、前記胴部の他端側を閉塞する底部とを含む有底筒状に成形され、
前記底部の縦断面形状が横楕円弧状となるようにして、前記胴部の肉厚に対して前記底部の肉厚が薄肉となるようにしたことを特徴とするプリフォーム。 - 前記底部の外側底面と内側底面の縦断面形状が、それぞれ横楕円弧状とされており、前記底部の内側底面と外側底面のそれぞれの上端縁が、軸方向に沿って±1mmの範囲内に位置する請求項1に記載のプリフォーム。
- 前記底部の外側底面と内側底面の縦断面形状が、それぞれ横楕円弧状とされており、それぞれの扁平率が、0.22~0.42である請求項1又は2に記載のプリフォーム。
- 前記底部の内側底面の扁平率が、前記底部の外側底面の扁平率よりも大きい請求項2又は3に記載のプリフォーム。
- 前記底部の外側底面の中央部における、前記底部の最外周部の直径の35~55%の範囲を、外側底面に対して0.1~0.5mmの高さで円形状に隆起させた請求項1~4のいずれか一項に記載のプリフォーム。
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2022
- 2022-03-31 JP JP2022060453A patent/JP2023151053A/ja active Pending
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