JP2023151003A - シリンダ装置、懸架装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロッドの軸心とオイルシールの軸心とがずれることを抑制できる技術を提供する。【解決手段】油圧緩衝装置2は、筒状の外シリンダ11と、外シリンダ11内に少なくとも一部が挿入されたピストンロッド20と、外シリンダ11内に設けられて、ピストンロッド20を内周面で軸方向に摺動可能に支持するとともに、軸方向に突出した凸部723を有するロッドガイド部60と、外シリンダ11の開口部に設けられて外シリンダ11内のオイルを密封するとともに、ロッドガイド部60が有する凸部273が嵌まり込む凹部811が形成されたオイルシール80と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、シリンダ装置および懸架装置に関する。
例えば、特許文献1には、オイルシールケースの外周に接着剤を塗布してダンパチューブに嵌合し、該ダンパチューブの端部をオイルシールケースに倣ってかしめる油圧緩衝器が記載されている。オイルシールケースの大径筒部には、ピストンロッドを挿通支持する貫通孔を備えたロッドガイド(支持部材)が挿着されて内蔵される。また、オイルシールケースの小径筒部には、ピストンロッドを挿通する挿通孔を備えたオイルシールが嵌め込まれて内蔵される。
特開2005-233355号公報
シリンダ(特許文献1においてはダンパチューブ)内に挿入されたロッド(特許文献1においてはピストンロッド)に対して、軸方向に交差する方向の力が作用した場合に、ロッドの軸心と、シリンダ内の流体(特許文献1においてはオイル)を密封するオイルシールの軸心とがずれないことが望ましい。ロッドの外周面とオイルシールとの密着性が低下し、シリンダ内の流体がシリンダ外に漏れる可能性が高まるからである。
本発明は、ロッドの軸心とオイルシールの軸心とがずれることを抑制できるシリンダ装置等を提供することを目的とする。
かかる目的のもと完成させた本発明は、筒状のシリンダと、前記シリンダ内に少なくとも一部が挿入されたロッドと、前記シリンダ内に設けられて、前記ロッドを内周面で軸方向に摺動可能に支持するとともに、前記軸方向に突出した凸部又は前記軸方向に凹んだ凹部を有する支持部と、前記シリンダの開口部に設けられて前記シリンダ内の流体を密封するとともに、前記支持部が有する前記凸部又は前記凹部が嵌まり込む嵌合凹部又は嵌合凸部が形成されたオイルシールと、を備えるシリンダ装置である。
本発明によれば、ロッドの軸心とオイルシールの軸心とがずれることを抑制できるシリンダ装置等を提供することができる。
懸架装置の概略構成を示す図である。 図1のII部の拡大図の一例である。 図2のIII部の拡大図の一例である。 ピストンロッドに対してサイドフォースが作用した場合の、ピストンロッドの軸心と、オイルシールの軸心とのずれの一例を示す図である。 比較構成の一例を示す図である。 第2実施形態に係る油圧緩衝装置の断面図の一例である。 第2実施形態に係るロッドガイド部の変形例の一例を示す図である。 第3実施形態に係る油圧緩衝装置の断面図の一例である。 第4実施形態に係る油圧緩衝装置の断面図の一例である。 第5実施形態に係る油圧緩衝装置の断面図の一例である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、懸架装置1の概略構成の一例を示す図である。
図2は、図1のII部の拡大図の一例である。
図3は、図2のIII部の拡大図の一例である。
懸架装置1は、ストラット式サスペンションであり、図1に示すように、シリンダ装置の一例としての油圧緩衝装置2と、油圧緩衝装置2の外側に配置されたコイルスプリング3とを備えている。また、懸架装置1は、コイルスプリング3における、後述するピストンロッド20の軸方向の第1側(図1では下側)の端部を支持する下スプリングシート4を備えている。以下では、後述するピストンロッド20の軸方向を、単に「軸方向」と称する場合がある。さらに、懸架装置1は、コイルスプリング3における、軸方向の第2側(図1では上側)の端部を支持する上スプリングシート5を備えている。以下では、「軸方向の第1側」を単に「下側」、「軸方向の第2側」を単に「上側」と称する場合がある。
また、懸架装置1は、上側の端部に取り付けられて、この懸架装置1を車両に取り付けるための車体側取付ブラケット6と、後述するシリンダ部10における下側の端部に固定されて、懸架装置1を車輪に取り付けるための車輪側取付ブラケット7とを備えている。また、懸架装置1は、シリンダ部10およびピストンロッド20の少なくとも一部を覆うダストカバー8を備えている。
以下、油圧緩衝装置2について詳述する。
油圧緩衝装置2は、図1に示すように、複筒型式油圧緩衝装置であり、シリンダ部10と、ピストンロッド20と、ピストンバルブ30と、ボトムバルブ40と、を備えている。また、油圧緩衝装置2は、ピストンロッド20が伸びる際の衝撃を緩和するために、ピストンロッド20に固定されたリバウンドシート50と、リバウンドシート50の上側に配置された環状の弾性部材であるリバウンドラバー51とを備えている。
〔シリンダ部10〕
シリンダ部10は、薄肉円筒状の外シリンダ11と、外シリンダ11内に収容される薄肉円筒状の内シリンダ12とを備えている。外シリンダ11および内シリンダ12は、円筒の中心線方向が軸方向と一致するように配置されている。そして、シリンダ部10は、下側の端部を塞ぐ底蓋13を備えている。そして、シリンダ部10は、内シリンダ12の外周面と外シリンダ11の内周面とで、リザーバ室Rを形成している。外シリンダ11内部には流体の一例としてのオイルが充填されている。なお、外シリンダ11内には、水等の液体や、空気等の気体が充填されていても良い。以下の説明においては、外シリンダ11の中心線から半径方向において中心線側を「内側」と称し、中心線側とは反対側を「外側」と称する場合もある。
シリンダ部10は、外シリンダ11の内側に配置されて内シリンダ12における第2側(図1では上側)の端部を塞ぐとともにピストンロッド20を移動(摺動)可能に支持するロッドガイド部60と、外シリンダ11における上側の端部に装着されたバンプストッパキャップ15とを備えている。また、シリンダ部10は、外シリンダ11の上部に、外シリンダ11内のオイルの漏れや外シリンダ11内への異物の混入を防ぐオイルシール80を備えている。ロッドガイド部60およびオイルシール80については後で詳述する。
〔ピストンロッド20〕
ピストンロッド20は、中実または中空の棒状の部材であり、円柱状または円筒状のロッド部21を有している。また、ピストンロッド20は、下側の端部にピストンバルブ30を取り付けるための下側取付部22と、上側の端部に車体側取付ブラケット6を取り付けるための上側取付部23とを有している。下側取付部22および上側取付部23の端部には雄ねじが形成されている。
ピストンロッド20における下側の端部にリバウンドシート50が固定されている。
〔ピストンバルブ30〕
ピストンバルブ30は、ピストン31と、ピストン31に形成された複数の油路の内の一部の油路における下側の端部を塞ぐ下側バルブ群32と、ピストン31に形成された一部の油路における上側の端部を塞ぐ上側バルブ群33と、を備えている。
ピストン31は、その外周面に設けられた、ピストン31の外周面と内シリンダ12の内周面との間の隙間をシールする部材を介して内シリンダ12の内周面に接触し、内シリンダ12内のオイルが封入された空間を、ピストン31よりも下側の第1油室Y1と、ピストン31よりも上側の第2油室Y2とに区画する。
〔ボトムバルブ40〕
ボトムバルブ40は、軸方向に貫通する複数の油路を有するバルブボディ41と、バルブボディ41の下側に設けられる下側バルブ42と、バルブボディ41の上側に設けられる上側バルブ43とを備えている。
ボトムバルブ40のバルブボディ41は、第1油室Y1とリザーバ室Rとを区画する。
〔ロッドガイド部60〕
ロッドガイド部60は、内側に配置された薄肉円筒状のガイド61と、ガイド61を内側に保持するガイドケース70とを備えている。
ガイド61の内径は、内側に挿入されたピストンロッド20の外径よりも少しだけ大きく設定されている。例えば、ガイド61の内径は、ピストンロッド20の外径よりも0.1mm~1mm大きい。ガイド61は、内周面が、ピストンロッド20の外周面に接触するため、ガイドケース70よりも耐摩耗性に優れた材質にて成形されていることが好ましいが、求める耐摩耗性により既知の如何なる材料を用いても良い。
ガイドケース70は、内側に設けられた円筒状の内側円筒状部71と、内側円筒状部71の外側に設けられた円筒状の外側円筒状部72とを有している。内側円筒状部71と外側円筒状部72とは、内側円筒状部71における軸方向の上側の部位の外周面と、外側円筒状部72における軸方向の下側の部位の内周面とが結合するように一体的に成形されている。
内側円筒状部71の内側にガイド61が嵌め込まれている。内側円筒状部71の外径は、内シリンダ12の内径以下であることを例示することができる。
外側円筒状部72は、内シリンダ12の上側において、ピストンロッド20と外シリンダ11との間に配置されている。外側円筒状部72の外径は、外シリンダ11の上部の内径よりも小さい。
外側円筒状部72には、内側における上端部に上端面720から凹んだ内側凹部721と、外側における上端部に上端面720から凹んだ外側凹部722とが形成されている。
内側凹部721における上側の開口部には面取りが施されている。
外側凹部722は、円筒状に凹んでいるとともに、外側円筒状部72における外径が上側に行くに従って徐々に小さくなるように形成されている。
外側円筒状部72は、上端面720から上側に突出した凸部723を有している。凸部723は、円筒状である。
なお、ガイドケース70は、鉄鋼等の金属やポリテトラフルオロエチレン等の非金属材料にて成形されていることを例示することができる。
〔オイルシール80〕
オイルシール80は、鉄鋼等の金属にて成形された円環状のリング81と、合成ゴム等の弾性率が低い材料にて成形された弾性部82とを有している。オイルシール80は、リング81に弾性部82が例えば焼付け接着されることで成形されており、リング81は、弾性部82を保持する。オイルシール80は、ロッドガイド部60の上側に配置されているとともに、外シリンダ11の上部が内側に折り曲げられる、所謂ロールカシメが施されることで外シリンダ11に保持されている。
弾性部82は、リング81よりも下側に設けられて、くさび状の断面形状をなすとともに、環状のばねに押されてピストンロッド20の外周面の全周に密着するシールリップ部821を有している。また、弾性部82は、リング81よりも上側に設けられて、ピストンロッド20の外周面の全周に密着することで外部からのダストの侵入を抑制するダストリップ822を有している。
また、弾性部82は、リング81の外周部から下方外側に軸方向に傾斜する方向に全周に亘って突出した外周シール部823を有している。外周シール部823は、ロッドガイド部60のガイドケース70の外側凹部722に位置して、外シリンダ11の内周面に接触することで、ガイドケース70の外周面と外シリンダ11の内周面との間の隙間からオイルが漏れることを抑制する。
また、弾性部82は、リング81の内周部から下方外側に軸方向に傾斜する方向に全周に亘って突出した中央シール部824を有している。中央シール部824は、ガイドケース70の外側円筒状部72の内側凹部721における下部の角部に接触することで、外側円筒状部72の上端面720にオイルが向かうことを抑制する。
リング81は、薄い円筒状であり、内径がピストンロッド20の外径よりも大きく、外径が外シリンダ11の上部の内径よりも小さい。リング81の外径は、ガイドケース70の外側円筒状部72の外径と同じであることを例示することができる。
リング81には、下端面810から上側に凹んだ凹部811が形成されている。凹部811は、円筒状である。凹部811には、リング81の下端面810とガイドケース70の外側円筒状部72の上端面720とが接触した状態で、ガイドケース70の外側円筒状部72の凸部723が嵌まり込んでいる。
図3に示すように、凹部811の軸方向の大きさは、ガイドケース70の凸部723の軸方向の大きさ以上である。また、凹部811の半径方向の大きさは、ガイドケース70の凸部723の半径方向の大きさよりも大きい。そして、本実施形態においては、凹部811における半径方向の内側の面の径は、ガイドケース70の凸部723における半径方向の内側の面の径と同一であり、凹部811における半径方向の外側の面の径は、ガイドケース70の凸部723における半径方向の外側の面の径よりも大きい。これらにより、ロッドガイド部60とオイルシール80とが、一体的に半径方向に移動し易くなるとともに、オイルシール80をロッドガイド部60に組み付け易い。
なお、本実施形態とは異なり、凹部811における半径方向の内側の面の径を、ガイドケース70の凸部723における半径方向の内側の面の径よりも小さくし、凹部811における半径方向の外側の面の径を、ガイドケース70の凸部723における半径方向の外側の面の径と同一としても良い。
以上のように構成された油圧緩衝装置2は、以下のようにして組み立てられる。
底蓋13と一体となった外シリンダ11内にボトムバルブ40を挿入するとともに、内シリンダ12を挿入する。その後、ピストンバルブ30やリバウンドシート50が取付けられたピストンロッド20を、ピストンバルブ30側から内シリンダ12内に挿入するとともに、リバウンドラバー51を内シリンダ12内に挿入する。
その後、外シリンダ11内にロッドガイド部60を挿入する。その際、内シリンダ12内に、ロッドガイド部60のガイドケース70の内側円筒状部71を挿入し、外側円筒状部72の下端面を内シリンダ12の上端面に接触させる。内シリンダ12は、ボトムバルブ40のバルブボディ41と、ロッドガイド部60のガイドケース70の外側円筒状部72とにより、軸方向に移動することが抑制されるとともに、ボトムバルブ40のバルブボディ41とガイドケース70の内側円筒状部71とにより、半径方向に移動することが抑制される。
外シリンダ11内にロッドガイド部60を挿入した後、オイルシール80のリング81の下端面810がガイドケース70の外側円筒状部72の上端面720に接触するまでオイルシール80を外シリンダ11内に挿入する。その際、ガイドケース70の外側円筒状部72の凸部723を、オイルシール80のリング81の凹部811に嵌め込む。
オイルシール80を外シリンダ11内に挿入する前の状態では、オイルシール80の弾性部82の外周シール部823の下端部の外径は、外シリンダ11の上端部の内径よりも大きい。そして、オイルシール80が外シリンダ11内に挿入されることで、オイルシール80の外周シール部823が内側に弾性変形し、外シリンダ11の内周面に接触する。
なお、オイルシール80を外シリンダ11内に挿入する前の状態では、オイルシール80の弾性部82の外周シール部823の下端部の外径は、外シリンダ11の上端部の内径よりも小さくし、オイルシール80が外シリンダ11内に挿入された後に外側凹部722に接触することによりオイルシール80の外周シール部823が外側に弾性変形し、外シリンダ11の内周面に接触するように構成しても良い。
また、中央シール部824は、オイルシール80が外シリンダ11内に挿入されることで、ガイドケース70の外側円筒状部72における内側凹部721の面に接触する。
ガイドケース70の上にオイルシール80を組み付けた後は、例えばロールカシメを施し、外シリンダ11の上部を内側に折り曲げる。その際、外シリンダ11の上端部が、オイルシール80のリング81の上端面に接触するまで折り曲げる構成としても良いが、外シリンダ11の上部の端部処理は、この手法に限定するものではなく、また必ずしも実施しなくても良い。
以上説明したように、油圧緩衝装置2は、筒状のシリンダの一例としての外シリンダ11と、外シリンダ11内に少なくとも一部が挿入されたロッドの一例としてのピストンロッド20とを備える。また、油圧緩衝装置2は、外シリンダ11内に設けられて、ピストンロッド20を内周面で軸方向に摺動可能に支持するとともに、軸方向に突出した凸部の一例としての凸部723を有する支持部の一例としてのロッドガイド部60を備える。また、油圧緩衝装置2は、外シリンダ11の開口部に設けられて外シリンダ11内の流体の一例としてのオイルを密封するとともに、ロッドガイド部60が有する凸部723が嵌まり込む嵌合凹部の一例としての凹部811が形成されたオイルシール80を備える。
図4は、ピストンロッド20に対して、軸方向に交差する方向の力(以下、「サイドフォース」と称する場合がある。)が作用した場合の、ピストンロッド20の軸心と、オイルシール80の軸心とのずれの一例を示す図である。
以上のように構成された油圧緩衝装置2においては、ロッドガイド部60の凸部723とオイルシール80の凹部811とが嵌合されているので、ロッドガイド部60とオイルシール80とが一体となって半径方向に移動する。それゆえ、ピストンロッド20に対して、サイドフォースが作用した場合に、ピストンロッド20に押されてロッドガイド部60が半径方向に移動したとしても、ロッドガイド部60に追従してオイルシール80が半径方向に移動する。その結果、ピストンロッド20の軸心と、オイルシール80の軸心とがずれ難い。
図5は、比較構成の一例を示す図である。
図5に例示した比較構成は、油圧緩衝装置2に対して、ロッドガイド部60に相当するロッドガイド部160が凸部723を有していないとともにオイルシール80に相当するオイルシール180に凹部811が形成されておらず、ロッドガイド部160とオイルシール180とが一体となって半径方向に移動しない。比較構成においては、ピストンロッド20に対してサイドフォースが作用した場合に、ピストンロッド20に押されてロッドガイド部160が半径方向に移動したとしても、ロッドガイド部160に追従してオイルシール180が半径方向に移動しないため、ピストンロッド20の軸心とオイルシール180の軸心とがずれる芯ずれが生じてしまう。芯ずれが生じると、オイルシール180のシールリップ部182のピストンロッド20の外周面への密着度合いが周方向で偏りが生じることから、摺動特性が変化する。
これに対して、油圧緩衝装置2によれば、サイドフォースが作用したとしても、ロッドガイド部60に追従してオイルシール80が半径方向に移動するので、ピストンロッド20の軸心と、オイルシール80の軸心とがずれることを抑制することができる。その結果、油圧緩衝装置2によれば、比較構成よりも、摺動特性が変化しないようにすることができる。
ここで、オイルシール80は、半径方向の内側に設けられてピストンロッド20の外周面に接触するリップ部の一例としてのシールリップ部821と、シールリップ部821の半径方向の外側に設けられて外シリンダ11に保持される保持部の一例としてのリング81とを有し、凹部811は、リング81に設けられている。つまり、嵌合された凸部723および凹部811は、剛性が高い金属にて成形されているため、オイルシール80は、ロッドガイド部60と一体的に移動し易い。なお、求める剛性に応じて、金属以外の素材を選択することも可能である。
ロッドガイド部60は、上端面720から軸方向の上側に突出した凸部723を有し、オイルシール80は、ロッドガイド部60の上方に配置されているとともに、上端面720と接触する下端面810から軸方向に凹んだ凹部811が形成されている。このように、下側に配置されるロッドガイド部60に凸部723が形成され、上側に配置されるオイルシール80に凹部811が形成されているので、組み付ける際に、微細な異物が入り込み難い。例えば、下側に配置されるロッドガイド部60に凹部が形成され、上側に配置されるオイルシール80に凸部が形成されている構成である場合、オイルシール80を組み付ける前にロッドガイド部60の凹部に溜まった異物が残ってしまうおそれがある。しかしながら、油圧緩衝装置2によれば、異物が入り込むことが抑制される。ただし、オイルシール80を組み付ける際に、ロッドガイド部60の凹部に異物が残らないようにするのであれば、ロッドガイド部60に形成された凹部と、オイルシール80に形成された凸部(嵌合凸部の一例)とを嵌合しても良い。
ロッドガイド部60の凸部723およびオイルシール80の凹部811は円筒状であるとともに、凸部723における半径方向の内側の面の径と、凹部811における半径方向の内側の面の径とが同一である。これにより、凹部811における半径方向の内側の面に対して、凸部723における半径方向の外側の面から力が作用するので、ロッドガイド部60とオイルシール80とが、一体的に半径方向に移動し易くなる。その結果、迅速に、ピストンロッド20の軸心とオイルシール80の軸心とがずれることを抑制することができる。
また、油圧緩衝装置2においては、外シリンダ11は、図2に示すように、上端部の肉厚が、上端部の下方の下端部や中央部の肉厚よりも薄く成形されていても良い。これにより、ロッドガイド部60やオイルシール80の半径方向の大きさを大きくすることができるとともに、ロールカシメを施し易くなっている。
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る油圧緩衝装置200の断面図の一例である。
第2実施形態に係る油圧緩衝装置200は、第1実施形態に係る油圧緩衝装置2に対して、ロッドガイド部60に相当するロッドガイド部260の、ガイドケース70に相当するガイドケース270の形状が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と第2実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
ロッドガイド部60のガイドケース70の外側円筒状部72に相当する、ロッドガイド部260のガイドケース270の外側円筒状部272は、外周面から半径方向の外側に突出した外側突出部273を周方向に複数有する。外側突出部273は、立方体状や直方体状であり、半径方向の外側の面は、外シリンダ11の内周面に沿う曲面であることを例示することができる。
複数の外側突出部273は、軸方向に見た場合に、ガイドケース270の軸心から放射状に設けられていることを例示することができる。外側突出部273の数は、4個、6個、8個、10個、12個、18個、36個であることを例示することができる。そして、ガイドケース270の軸心から外側突出部273における半径方向の外側の面までの距離は、外シリンダ11の上部の内径よりも小さい。
以上のように構成された油圧緩衝装置200においては、ピストンロッド20に対してサイドフォースが作用し、ガイド61がピストンロッド20から半径方向に作用する力を受けた場合に、ガイドケース270の軸心が軸方向に対して傾いたとしても、外側突出部273が外シリンダ11の内周面に接触することにより外シリンダ11に支持される。これにより、ガイドケース270に外側突出部273が設けられていない構成よりも、ガイドケース270の傾きを抑制することができる。その結果、ピストンロッド20の軸心と、オイルシール80の軸心とがずれ難くなるので、密封性をさらに高めることができるとともに、摺動特性の変化をさらに抑制することができる。
図7は、第2実施形態に係るロッドガイド部260の変形例の一例を示す図である。
上述したように放射状に設けられた複数の外側突出部273を一群の外側突出部273とした場合に、一群の外側突出部273を、軸方向に離れた位置に複数(図7においては2つ)設けても良い。軸方向に離れた位置に複数の一群の外側突出部273を設けることにより、一群の外側突出部273が1つ設けられている構成よりも、ガイドケース270の傾きを抑制することができる。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る油圧緩衝装置300の断面図の一例である。
第3実施形態に係る油圧緩衝装置300は、第1実施形態に係る油圧緩衝装置2に対して、ガイドケース70の凸部723に相当する凸部323およびオイルシール80の凹部811に相当する凹部311の形状が異なる。以下、凸部323および凹部311について説明する。凸部323および凹部311以外のものについては、第1実施形態と第3実施形態とで同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
第3実施形態に係る凸部323は、第1実施形態に係る凸部723に対して、半径方向の内側の面が、上側に行くに従って徐々に径が大きくなるように傾斜しているとともに、半径方向の外側の面が、上側に行くに従って徐々に径が小さくなるように傾斜している。同様に、第3実施形態に係る凹部311は、第1実施形態に係る凹部811に対して、半径方向の内側の面が、上側に行くに従って徐々に径が大きくなるように傾斜しているとともに、半径方向の外側の面が、上側に行くに従って徐々に径が小さくなるように傾斜している。そして、凸部323の傾斜角度は、凹部311の傾斜角度よりも大きく、オイルシール80のリング81の下端面810とガイドケース70の外側円筒状部72の上端面720とが接触して凹部311内に凸部323が嵌め込んだ状態で、凸部323における半径方向の内側の面の一部が凹部311における半径方向の内側の面に接触するとともに凸部323における半径方向の外側の面の一部が凹部311における半径方向の外側の面に接触する。その結果、ロッドガイド部60に追従してオイルシール80が半径方向に移動し易くなるので、ピストンロッド20の軸心と、オイルシール80の軸心とがずれ難くなる。
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態に係る油圧緩衝装置400の断面図の一例である。
第4実施形態に係る油圧緩衝装置400は、第1実施形態に係る油圧緩衝装置2に対して、ガイドケース70の凸部723に相当する凸部423およびオイルシール80の凹部811に相当する凹部411の形状が異なる。以下、凸部423および凹部411について説明する。凸部423および凹部411以外のものについては、第1実施形態と第4実施形態とで同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
第4実施形態に係る凹部411は、第1実施形態に係る凹部811に対して、半径方向の外側の面が、リング81における半径方向の外側の面と一致する点が異なる。第4実施形態に係る凸部423は、第1実施形態に係る凸部723に対して、半径方向の外側の面が、外側円筒状部72における外側凹部722の内側の面と連続的に形成されている点が異なる。
以上のように構成された油圧緩衝装置400においても、ピストンロッド20に対してサイドフォースが作用した場合に、凹部411における半径方向の内側の面に対して、凸部423における半径方向の内側の面から力が作用するので、ロッドガイド部60とオイルシール80とが、一体的に半径方向に移動し易くなる。その結果、ピストンロッド20の軸心とオイルシール80の軸心とをずれ難くすることができる。
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態に係る油圧緩衝装置500の断面図の一例である。
第5実施形態に係る油圧緩衝装置500は、第1実施形態に係る油圧緩衝装置2に対して、ガイドケース70の凸部723に相当する凸部523およびオイルシール80の凹部811に相当する凹部511の形状が異なる。以下、凸部523および凹部511について説明する。凸部523および凹部511以外のものについては、第1実施形態と第5実施形態とで同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
第5実施形態に係る凹部511は、第1実施形態に係る凹部811に対して、半径方向の内側の面が、リング81における半径方向の内側の面と一致する点が異なる。第5実施形態に係る凸部523は、第1実施形態に係る凸部723に対して、半径方向の内側の面が、外側円筒状部72における内側凹部721の外側の面と連続的に形成されている点が異なる。そして、第5実施形態においては、凹部511における半径方向の内側の面の径が、凸部523における半径方向の外側の面の径と同一である。
以上のように構成された油圧緩衝装置500においては、ピストンロッド20に対してサイドフォースが作用した場合に、凹部511における半径方向の内側の面に対して、凸部523における半径方向の外側の面から力が作用するので、ロッドガイド部60とオイルシール80とが、一体的に半径方向に移動し易くなる。その結果、ピストンロッド20の軸心とオイルシール80の軸心とをずれ難くすることができる。
1…懸架装置、2,200,300,400,500…油圧緩衝装置、10…シリンダ部、11…外シリンダ、12…内シリンダ、20…ピストンロッド、31…ピストン、60…ロッドガイド部、70…ガイドケース、80…オイルシール、81…リング、82…弾性部、273…外側突出部、311,411,511,811…凹部、323,423,523,723…凸部、720…上端面、810…下端面、821…シールリップ部

Claims (7)

  1. 筒状のシリンダと、
    前記シリンダ内に少なくとも一部が挿入されたロッドと、
    前記シリンダ内に設けられて、前記ロッドを内周面で軸方向に摺動可能に支持するとともに、前記軸方向に突出した凸部又は前記軸方向に凹んだ凹部を有する支持部と、
    前記シリンダの開口部に設けられて前記シリンダ内の流体を密封するとともに、前記支持部が有する前記凸部又は前記凹部が嵌まり込む嵌合凹部又は嵌合凸部が形成されたオイルシールと、
    を備えるシリンダ装置。
  2. 前記オイルシールは、半径方向の内側に設けられて前記ロッドの外周面に接触するリップ部と、前記リップ部の前記半径方向の外側に設けられて前記シリンダに保持される保持部とを有し、前記嵌合凹部又は前記嵌合凸部は、前記保持部に設けられている、
    請求項1に記載のシリンダ装置。
  3. 前記支持部は、上端面から前記軸方向の上側に突出した前記凸部を有し、
    前記オイルシールは、前記支持部の上方に配置されているとともに、前記上端面と接触する下端面から前記軸方向に凹んだ前記嵌合凹部が形成されている、
    請求項1又は2に記載のシリンダ装置。
  4. 前記凸部および前記嵌合凹部は円筒状であるとともに、前記凸部における半径方向の内側の面の径と、前記嵌合凹部における半径方向の内側の面の径とが同一である、
    請求項1から3のいずれか1項に記載のシリンダ装置。
  5. 前記支持部は、外周面から半径方向の外側に突出した外側突出部を有し、前記外側突出部が前記シリンダに接触することにより支持される、
    請求項1から4のいずれか1項に記載のシリンダ装置。
  6. 前記外側突出部は、前記軸方向に離れて複数設けられている、
    請求項5に記載のシリンダ装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のシリンダ装置と、
    前記シリンダ装置の外側に配置されたコイルスプリングと、
    を備える懸架装置。
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