JP2023150474A - フッ素含有芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

フッ素含有芳香族化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パーフルオロトルエン等のフッ素含有芳香族化合物を効率よく製造することができる新規な方法を提供する。【解決手段】一般式(2):TIFF2023150474000045.tif45170[式中、X3は同一又は異なって、水素原子、又はフッ素原子以外のハロゲン原子を示す。ただし、基-CX33において、3個のX3のうち少なくとも1つはフッ素原子以外のハロゲン原子である。X4は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のX4のうち、少なくとも1つはフッ素原子である。nは1~5の整数を示す。]で表される化合物と、金属フッ化物とを反応させ、少なくとも、基-CX33における1個以上のX3をフッ素化し、フッ素含有芳香族化合物を生成させる。【選択図】なし

Description

本開示は、フッ素含有芳香族化合物の製造方法に関する。
次世代エッチングガス等として期待されるパーフルオロトルエンの製造方法としては、例えば、特定の方法で合成した(トリクロロメチル)ペンタフルオロベンゼンと無水フッ化カリウムとを、ジメチルホルムアミド(DMF)中、触媒としてフッ化ヘキサメチルグアニジウムの存在下に反応させることでフッ素化を行うことが知られている(特許文献1参照)。
中国特許出願公開第112441876号明細書
本開示は、パーフルオロトルエン等のフッ素含有芳香族化合物を効率よく製造することができる新規な方法を提供することを目的とする。
本開示は、以下の構成を包含する。
項1.一般式(1):
Figure 2023150474000001
[式中、
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、基-CX において、3個のXのうち少なくとも1つはフッ素原子である。
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
nは1~5の整数を示す。]
で表される化合物の製造方法であって、
一般式(2):
Figure 2023150474000002
[式中、
nは前記に同じである。
は同一又は異なって、水素原子、又はフッ素原子以外のハロゲン原子を示す。ただし、基-CX において、3個のXのうち少なくとも1つはフッ素原子以外のハロゲン原子である。
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。]
で表される化合物と、
金属フッ化物とを反応させ、少なくとも、基-CX における1個以上のXをフッ素化し、上記一般式(1)で表される化合物を生成させる工程
を備える、製造方法。
項2.前記Xがいずれもフッ素原子である、項1に記載の製造方法。
項3.前記反応が、溶媒中で行われる、項1又は2に記載の製造方法。
項4.前記溶媒が、非プロトン性極性溶媒である、項3に記載の製造方法。
項5.前記金属フッ化物が、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のフッ化物である、項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
項6.前記反応が、ホスホニウム塩の存在下に行われる、項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
項7.前記反応における反応温度が0~130℃である、項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
項8.一般式(1A):
Figure 2023150474000003
[式中、
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
nは1~5の整数を示す。]
で表される化合物と、
一般式(1B):
Figure 2023150474000004
[式中、
1aは同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、基-CX1a において、3個のX1aのうち1個又は2個がフッ素原子であり、残り2個又は1個が水素原子又はフッ素原子以外のハロゲン原子である。
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
nは1~5の整数を示す。]
で表される化合物とを含有する、組成物。
項9.さらに、一般式(3):
Figure 2023150474000005
[式中、X及びnは前記に同じである。]
で表される化合物、及び
一般式(4):
Figure 2023150474000006
[式中、X及びnは前記に同じである。
2aは同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のX2aのうち、少なくとも1つはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。]
で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物
を含有する、項8に記載の組成物。
項10.組成物の総量を100モル%として、前記一般式(1B)で表される化合物の含有量が、0.01~15.00モル%である、項8又は9に記載の組成物。
項11.組成物の総量を100モル%として、前記追加的化合物の含有量が、0.01~2.00モル%である、項9又は10に記載の組成物。
項12.前記Xがいずれもフッ素原子である、項9~11のいずれか1項に記載の組成物。
項13.エッチングガス、クリーニングガス、又はデポジットガスとして用いられる、項8~12のいずれか1項に記載の組成物。
本開示によれば、フッ素含有芳香族化合物を効率よく製造することができる新規な方法を提供することができる。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。
また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
本開示において、「選択率」とは、反応器出口からの流出ガスにおける原料化合物以外の化合物の合計モル量に対する、当該流出ガスに含まれる目的化合物の合計モル量の割合(モル%)を意味する。
本開示において、「転化率」とは、反応器に供給される原料化合物のモル量に対する、反応器出口からの流出ガスに含まれる原料化合物以外の化合物の合計モル量の割合(モル%)を意味する。
本開示において、「収率」とは、反応器に供給される原料化合物のモル量に対する、反応器出口からの流出ガスに含まれる目的化合物の合計モル量の割合(モル%)を意味する。
1.フッ素含有芳香族化合物の製造方法
本開示の製造方法は、
一般式(1):
Figure 2023150474000007
[式中、
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、基-CX において、3個のXのうち少なくとも1つはフッ素原子である。
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
nは1~5の整数を示す。]
で表される化合物の製造方法であって、
一般式(2):
Figure 2023150474000008
[式中、
nは前記に同じである。
は同一又は異なって、水素原子、又はフッ素原子以外のハロゲン原子を示す。ただし、基-CX において、3個のXのうち少なくとも1つはフッ素原子以外のハロゲン原子である。
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。]
で表される化合物と、
金属フッ化物とを反応させ、少なくとも、基-CX における1個以上のXをフッ素化し、上記一般式(1)で表される化合物を生成させる工程
を備える。
なお、Xは少なくとも1つがフッ素原子であることが必要であり、Xのすべてが水素原子やフッ素原子以外のハロゲン原子である場合は、反応はほとんど進行せず、温度を上昇させても目的物である一般式(1)で表される化合物はほとんど得られない。
(1-1)出発化合物(一般式(2))
本開示の製造方法において、一般式(2)で表される化合物は、一般式(2):
Figure 2023150474000009
[式中、
は同一又は異なって、水素原子、又はフッ素原子以外のハロゲン原子を示す。ただし、基-CX において、3個のXのうち少なくとも1つはフッ素原子以外のハロゲン原子である。
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
nは1~5の整数を示す。]
で表される化合物である。
一般式(2)において、Xで示されるフッ素原子以外のハロゲン原子としては、特に制限はなく、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、転化率、選択率、収率等の観点から、塩素原子が好ましい。
は、水素原子であってもよいし、フッ素原子以外のハロゲン原子であってもよいが、Xのすべてが水素原子である場合は、反応はほとんど進行せず、温度を上昇させても目的物である一般式(1)で表される化合物はほとんど得られないため、基-CX において、3個のXのうち少なくとも1つはフッ素原子以外のハロゲン原子である。
一般式(2)において、Xで示されるハロゲン原子としては、特に制限はなく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なかでも、転化率、選択率、収率等の観点から、フッ素原子が好ましい。
ただし、上記のとおり、Xのすべてが水素原子やフッ素原子以外のハロゲン原子である場合は、反応はほとんど進行せず、温度を上昇させても目的物である一般式(1)で表される化合物はほとんど得られないため、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。例えば、nが5である場合は、5個のXのうち、フッ素原子の数は1~5個であり、転化率、選択率、収率等の観点から、2~5個が好ましく、3~5個がより好ましく、4~5個がさらに好ましい。
一般式(2)において、nは1~5の整数である。転化率、選択率、収率等の観点からは、nは、2~5の整数が好ましく、3~5の整数がより好ましく、4~5の整数がさらに好ましい。
なお、Xの置換数であるnが5である場合、一般式(2)で表される化合物は、一般式(2A):
Figure 2023150474000010
[式中、R及びXは前記に同じである。]
で表される化合物である。
なお、本開示において基質として使用する一般式(2)で表される化合物は、ニトロ基を含んでいないことが好ましい。ニトロ基を有する化合物を基質として使用すると、基-CX の反応性が極端に高く、副反応が進行する結果、目的物の選択率が低下しやすい。
上記のような条件を満たす一般式(2)で表される化合物としては、具体的には、
Figure 2023150474000011
Figure 2023150474000012
等が挙げられる。
上記の一般式(2)で表される化合物は、公知又は市販品を用いることができる。また、上記の一般式(2)で表される化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
(1-2)反応
本開示の反応では、上記した一般式(2)で表される化合物において、少なくとも、基-CX における1個以上のXがフッ素化され、上記一般式(1)で表される化合物が生成される。なかでも、上記した一般式(2)で表される化合物において、少なくとも、基-CX における全てのXがフッ素化され、Xがいずれもフッ素原子である上記一般式(1)で表される化合物が生成されやすい。
この際、Xが水素原子又はフッ素原子である場合は、本開示の反応によっても変わらず残存する。つまり、Xが水素原子又はフッ素原子である場合は、Xも水素原子又はフッ素原子である。
一方、Xがフッ素原子以外のハロゲン原子である場合は、本開示の反応によってフッ素化されやすい。つまり、Xがフッ素原子以外のハロゲン原子である場合は、Xはフッ素原子となりやすい。
以上から、本開示の反応では、上記した一般式(2)で表される化合物において、Xがフッ素原子以外のハロゲン原子を含んでいる場合は、1個以上のXで示されるフッ素原子以外のハロゲン原子もフッ素化され、上記一般式(1)で表される化合物が生成されやすい。なかでも、上記した一般式(2)で表される化合物において、Xがフッ素原子以外のハロゲン原子を含んでいる場合は、全てのXがフッ素化され、Xがいずれもフッ素原子である上記一般式(1)で表される化合物が生成されやすい。
一方、上記した一般式(2)で表される化合物において、Xが水素原子又はフッ素原子を含んでいる場合は、当該水素原子又はフッ素原子は、本開示の反応によっても、変わらず残存する。
この結果、一般式(1)で表される化合物が得られる。
この本開示の反応は、反応器中に原料を一括して仕込むバッチ式と、原料を反応器中に連続して供給しながら生成物を反応器から抜き出す流通式のいずれの方式でも採用できる。
上記した反応は、上記した金属フッ化物の他、別途、触媒を添加することもできるが、上記した金属フッ化物とは別途触媒を使用しないで反応を進行させることができる。上記した金属フッ化物とは別途触媒を使用しないで反応を進行させる場合には、上記した金属フッ化物とは別途触媒を使用している場合と比較した場合、当該触媒由来の分解物が生成しないため、反応速度を向上させやすく、より高転化率、より高選択率、より高収率で、より高純度な目的物を得ることができる。
また、上記した反応は、液相で行うこともできるし、気相で行うこともできる。なかでも、気化するための加熱が不要であり余分なエネルギーやコストが不要である観点から、液相で行うことが好ましい。
(1-3)金属フッ化物
金属フッ化物としては一般式(2)で表される化合物における少なくとも1つのX、好ましくは全てのXをフッ素化できるものであれば特に制限はない。なお、一般式(2)で表される化合物において、Xがフッ素原子以外のハロゲン原子を包含している場合は、Xで示されるフッ素原子以外のハロゲン原子のうち少なくとも1つ、好ましくはXで示されるフッ素原子以外のハロゲン原子の全てをフッ素化することができる金属フッ化物が好ましい。詳細には、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物が好ましく、アルカリ金属のフッ化物がより好ましい。
このため、金属フッ化物を構成する金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属等が挙げられる。これらの金属は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
このような条件を満たす金属フッ化物としては、具体的には、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属フッ化物;フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等のアルカリ土類金属フッ化物等が挙げられる。なかでも、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属フッ化物が好ましく、フッ化カリウムがより好ましい。
これらの金属フッ化物は、公知又は市販品を用いることができる。また、上記の金属フッ化物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
これら金属フッ化物の形態は特に制限されない。本開示の製造方法を液相で行う場合は、後述する溶媒に溶解又は分散していることが好ましい。一方、本開示の製造方法を気相で行う場合は、ペレット状の金属フッ化物を使用するか、金属フッ化物を活性炭やゼオライト、アルミナ等の担体に担持させることが好ましい。
本開示の反応において、金属フッ化物の使用量は、特に制限されないが、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、一般式(2)で表される化合物1モルに対して、0.01~30モルが好ましく、0.1~20モルがより好ましく、1~15モルがさらに好ましい。なお、金属フッ化物を複数使用する場合は、その合計量を上記範囲内となるように調整することが好ましい。
(1-4)溶媒
上記のとおり、本開示の反応は、溶媒中で行うことが好ましい。
本開示の反応で使用する溶媒は、特に制限されるわけではないが、特に、一般式(2)で表される化合物、金属フッ化物、必要に応じてホスホニウム塩等を溶解させ、また、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等に優れる観点から、非プロトン性極性有機溶媒が好ましい。また、一般式(2)で表される化合物、金属フッ化物、必要に応じてホスホニウム塩等を溶解させ、また、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等に優れる観点から、窒素含有有機化合物及び/又は硫黄含有有機化合物を含む非プロトン性極性有機溶媒が好ましく、窒素含有非プロトン性極性有機溶媒及び/又は硫黄含有非プロトン性極性有機溶媒がより好ましい。このような溶媒としては、例えば、アミド化合物(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジイソプロピルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等)、アミン化合物(トリエチルアミン、1-メチルピロリジン等)、ピリジン化合物(ピリジン、メチルピリジン等)、キノリン化合物(キノリン、メチルキノリン等)、スルホン化合物(スルホラン、ジメチルスルホン等)等が挙げられる。なかでも、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、アミド化合物、ピリジン化合物、スルホン化合物等が好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジイソプロピルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、メチルピリジン、スルホラン、ジメチルスルホン等がより好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジイソプロピルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ピリジン、スルホラン等がさらに好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ピリジン等が特に好ましい。
これらの溶媒は、公知又は市販品を使用することができる。また、これらの溶媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
溶媒の使用量は、溶媒量であれば特に制限はなく、過剰量とすることができ、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、一般式(2)で表される化合物100質量部に対して、80~10000質量部が好ましく、100~1000質量部がより好ましく、150~800質量部がさらに好ましい。
(1-5)ホスホニウム塩
本開示の反応は、ホスホニウム塩の存在下で行うこともできる。ホスホニウム塩を使用することで、特に、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等を向上させやすく、不純物の生成量を特に低減しやすい。
本開示の反応において使用できるホスホニウム塩は、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、アルキル基を1個以上有するホスホニウム塩であることが好ましい。
このホスホニウム塩は、例えば、一般式(5):
Figure 2023150474000013
[式中、R、R、R及びRは同一又は異なって、炭化水素基を示す。ただし、R、R、R及びRのうち少なくとも1つはアルキル基である。Yは対アニオンを示す。]
で表されるホスホニウム塩が挙げられる。
一般式(5)において、R、R、R及びRで示される炭化水素基としては、特に制限されず、例えばアルキル基、アリール基等、さらにはこれらが任意に組み合わされてなる基(例えば、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアラルキル基)等が挙げられる。
一般式(5)において、R、R、R及びRで示される炭化水素基としてのアルキル基には、直鎖状、分岐鎖状、又は環状(好ましくは直鎖状又は分枝鎖状、より好ましくは直鎖状)のいずれのものも包含される。該アルキル基(直鎖状又は分枝鎖状の場合)の炭素数は、特に制限されず、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、例えば1~20が好ましく、3~15がより好ましく、5~10がさらに好ましい。該アルキル基(環状の場合)の炭素数は、特に制限されず、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、例えば、3~8が好ましく、4~7がより好ましい。
該アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、3-メチルペンチル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。
一般式(5)において、R、R、R及びRで示される炭化水素基としてのアリール基は、特に制限されないが、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、炭素数が6~20のものが好ましく、6~12のものがより好ましく、6~10のものがさらに好ましい。該アリール基は、単環式又は多環式(例えば2環式、3環式等)のいずれでも有り得るが、好ましくは単環式である。
該アリール基としては、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオレニル基、フェナントリル基等が挙げられる。
一般式(5)において、R、R、R及びRで示される炭化水素基としてのアラルキル基は、特に制限されないが、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、例えば直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキル基の水素原子(例えば1~3つ、好ましくは1つの水素原子)が上記アリール基に置換されてなるアラルキル基等が挙げられる。
該アラルキル基としては、具体的には、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
一般式(5)において、R、R、R及びRで示される炭化水素基としてのアルキルアリール基は、特に制限されないが、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、例えば上記アリール基の水素原子(例えば1~3つ、好ましくは1つの水素原子)が、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~6(好ましくは1~2)のアルキル基に置換されてなるアルキルアリール基等が挙げられる。
該アルキルアリール基としては、具体的には、例えばトリル基、キシリル基等が挙げられる。
一般式(5)において、R、R、R及びRで示される炭化水素基としてのアルキルアラルキル基は、特に制限されないが、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、例えば上記アラルキル基の芳香環上の水素原子(例えば1~3つ、好ましくは1つの水素原子)が、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~6(好ましくは1~2)のアルキル基に置換されてなるアルキルアラルキル基等が挙げられる。
一般式(5)において、R、R、R及びRで示される炭化水素基の置換基としては、例えばアルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。該置換基の数としては、特に制限されず、例えば0~6個が好ましく、0~3個がより好ましく、0~1個がさらに好ましい。
上記炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、特に制限はなく、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等で置換されていてもよい直鎖状又は分岐鎖状(好ましくは直鎖状)の炭素数1~8、好ましくは1~5、より好ましくは1~3のアルコキシ基が挙げられる。置換基の数は特に制限はなく、例えば0~6個が好ましく、0~3個がより好ましく、0~1個がさらに好ましい。
このような置換されていてもよいアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基等が挙げられる。
上記炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、特に制限は無く、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
なお、R、R、R及びRは、中央部のリン原子とは炭素原子が結合する部位であることが好ましい。
ただし、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ(1つ、2つ、3つ又は4つ)はアルキル基である。
また、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、R、R、R及びRとしては、アルキル基が好ましい。なかでも、R、R、R及びRのうち少なくとも1つ(1つ、2つ、3つ又は4つ)は炭素数1~20、好ましくは3~15、より好ましくは4~12、さらに好ましくは5~10のアルキル基が好ましい。特に、ホスホニウム塩が有するアルキル基の炭素数を多くすることで、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等を特に向上させ、不純物の生成量を特に低減することも可能である。
一般式(5)において、Yで示される対アニオンとしては、特に制限はなく、様々なアニオンを採用することができ、例えば、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)等)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、硫酸水素イオン(HSO )、酢酸イオン(CHCOO)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )等が挙げられる。
以上のような条件を満たす一般式(5)で表される化合物としては、具体的には、
Figure 2023150474000014
Figure 2023150474000015
等が挙げられる。
これらのホスホニウム塩は、公知又は市販品を用いることができる。また、上記のホスホニウム塩は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
本開示の反応において、ホスホニウム塩の使用量は、特に制限されないが、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、一般式(2)で表される化合物1モルに対して、0.01~3.0モルが好ましく、0.05~2.0モルがより好ましく、0.10~1.0モルがさらに好ましい。なお、ホスホニウム塩を複数使用する場合は、その合計量を上記範囲内となるように調整することが好ましい。
(1-6)反応温度
本開示の反応では、反応温度は、温和な条件とすることができ、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の収率、選択率等を向上させやすく、副生成物を低減しやすく、反応時間を短くしやすい観点から、通常0~130℃が好ましく、30~120℃がより好ましく、60~110℃がさらに好ましい。なお、反応温度を60℃以上とした場合は、反応時間を著しく短くし、特に効率的に反応を進行させることも可能である。
(1-7)反応時間
本開示の反応の反応時間(最高到達温度における維持時間)は反応が十分に進行する程度とすることができ、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、1分~48時間が好ましく、5分~24時間がより好ましい。なお、本開示の反応を気相、特に気相流通連続式で行う場合は、原料化合物(一般式(2)で表される化合物)の触媒(金属フッ化物)に対する接触時間(W/F)[W:触媒(金属フッ化物)の重量(g)、F:原料化合物(一般式(2)で表される化合物)の流量(cc/sec)]は0.1~100が好ましく、1~75がより好ましく、5~50がさらに好ましい。
(1-8)反応圧力
本開示の反応の反応圧力は、反応の転化率、一般式(1)で表される化合物の選択率、一般式(1)で表される化合物の収率等の観点から、-2.0~2.0MPaが好ましく、-1.0~1.0MPaがより好ましく、-0.5~0.5MPaがさらに好ましい。なお、本開示において、圧力については特に表記が無い場合はゲージ圧とする。
本開示の反応において、一般式(2)で表される化合物と金属フッ化物とを反応させる反応器としては、上記温度及び圧力に耐え得るものであれば、形状及び構造は特に限定されない。反応器としては、例えば、縦型反応器、横型反応器、多管型反応器等が挙げられる。反応器の材質としては、例えば、ガラス、ステンレス、鉄、ニッケル、鉄ニッケル合金等が挙げられる。
(1-9)反応の例示
本開示の反応を行う際の雰囲気については、一般式(2)で表される化合物、金属フッ化物、及び必要に応じてホスホニウム塩の劣化を抑制する点から、不活性ガス雰囲気下が好ましい。
当該不活性ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。これらの不活性ガスのなかでも、コストを抑える観点から、窒素が好ましい。
反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理を行い、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
(1-10)目的化合物(一般式(1))
このようにして生成される目的化合物は、一般式(1):
Figure 2023150474000016
[式中、
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、基-CX において、3個のXのうち少なくとも1つはフッ素原子である。
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
nは1~5の整数を示す。]
で表される化合物である。
一般式(1)において、X、X及びnは前記したとおりである。
つまり、本開示で生成される目的化合物である一般式(1)で表される化合物は、具体的には、
Figure 2023150474000017
Figure 2023150474000018
Figure 2023150474000019
Figure 2023150474000020
等が挙げられる。
2.組成物
以上のようにして、一般式(1)で表される化合物を得ることができるが、一般式(1)で表される化合物として、一般式(1A):
Figure 2023150474000021
[式中、
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
nは1~5の整数を示す。]
で表される化合物と、
一般式(1B):
Figure 2023150474000022
[式中、
1aは同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、基-CX1a において、3個のX1aのうち1個又は2個がフッ素原子であり、残り2個又は1個が水素原子又はフッ素原子以外のハロゲン原子である。
は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
nは1~5の整数を示す。]
で表される化合物との双方を含む組成物の形で得られることもある。
一般式(1A)において、X、X及びnは上記したものを採用できる。好ましい具体例も同様である。
このため、一般式(1A)で表される化合物としては、例えば、
Figure 2023150474000023
Figure 2023150474000024
等が挙げられる。
また、一般式(1B)において、X及びnは上記したものを採用できる。好ましい具体例も同様である。
一般式(1B)において、X1aで示されるハロゲン原子は上記したものを採用できる。ただし、一般式(1B)において、基-CX1a において、3個のX1aのうち1個又は2個がフッ素原子であり、残り2個又は1個が水素原子又はフッ素原子以外のハロゲン原子である。
このため、一般式(1B)で表される化合物としては、例えば、
Figure 2023150474000025
Figure 2023150474000026
Figure 2023150474000027
等が挙げられる。
本開示の組成物において、一般式(1A)で表される化合物の含有量は、第2の態様に係る本開示の組成物の総量を100モル%として、73.00~99.98モル%、特に85.30~99.97モル%、さらには86.60~99.93モル%とすることができる。
本開示の組成物において、一般式(1B)で表される化合物の含有量は、本開示の組成物の総量を100モル%として、0.01~15.00モル%、特に0.02~13.00モル%、さらには0.05~12.00モル%とすることができる。
本開示の組成物においては、一般式(1A)で表される化合物及び一般式(1B)で表される化合物の合計含有量は、本開示の組成物の総量を100モル%として、98.00~99.99モル%、特に98.30~99.99モル%、さらには98.60~99.98モル%とすることができる。
本開示の組成物は、さらに、一般式(3):
Figure 2023150474000028
[式中、X及びnは前記に同じである。]
で表される化合物、及び
一般式(4):
Figure 2023150474000029
[式中、X及びnは前記に同じである。
2aは同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のX2bのうち、少なくとも1つはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。]
で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物を含むこともできる。
この組成物は、基質である一般式(2)で表される化合物において、Xの置換数であるnが大きい場合、例えば、3、4又は5の場合、好ましくは4又は5の場合に生成されやすい。
一般式(3)において、X及びnは上記したものを採用できる。好ましい具体例も同様である。
このため、一般式(3)で表される化合物としては、例えば、
Figure 2023150474000030
等が挙げられる。
一般式(4)において、X及びnは上記したものを採用できる。好ましい具体例も同様である。
また、一般式(4)において、X2aで示されるハロゲン原子は上記したものを採用できる。ただし、一般式(4)において、n個のX2aのうち、少なくとも1つはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。この点において、一般式(4)で表される化合物は、一般式(1A)で表される化合物及び一般式(1B)で表される化合物とは異なる化合物である。
このため、一般式(4)で表される化合物としては、例えば、
Figure 2023150474000031
Figure 2023150474000032
Figure 2023150474000033
Figure 2023150474000034
等が挙げられる。
本開示の組成物においては、一般式(3)で表される化合物の含有量は、本開示の組成物の総量を100モル%として、0.001~2.00モル%、特に0.005~1.70モル%、さらには0.01~1.40モル%とすることができる。
本開示の組成物においては、一般式(4)で表される化合物の含有量は、本開示の組成物の総量を100モル%として、0~0.50モル%、特に0.005~0.40モル%、さらには0.01~0.30モル%とすることができる。
本開示の組成物においては、一般式(3)で表される化合物及び一般式(4)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物の含有量は、本開示の組成物の総量を100モル%として、0.01~2.00モル%、特に0.01~1.70モル%、さらには0.02~1.40モル%とすることができる。
このような第2の態様に係る本開示の組成物は、エッチングガス、クリーニングガス、デポジットガス等の各種用途に有効利用できる。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。
以下に実施例を示し、本開示の特徴を明確にする。本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、基質としては、
Figure 2023150474000035
を使用し、nが5であるペンタフルオロベンゾトリクロリド、nが3である2,4,6-トリフルオロベンゾトリクロリド、nが2である2,4-ジフルオロベンゾトリクロリド、nが0であるベンゾトリクロリドを使用した。
また、溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、スルホラン、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、又は1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)を使用した。
実施例1~12及び比較例1~3
ガラス容器に、表1~3に示す基質(1g,0.005mol)、フッ化カリウム(1.05g,0.018mol)、及び表1~3に示す溶媒4.5mLを添加し、蓋を閉め、50~100℃に加熱し、液相バッチ式において24時間反応を進行させた。なお、反応温度が50℃である場合は、反応時間は24時間程度必要であったが、反応温度が75℃又は100℃の場合は、反応は1時間程度で終了した。
反応終了後、ガスクロマトグラフィー、GCMS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)にて質量分析を行い、NMR(核磁気共鳴)を用いて構造解析を行った。
質量分析及び構造解析の結果から、目的物として、基質としてnが5であるペンタフルオロベンゾトリクロリドを用いた場合はペンタフルオロトリフルオリドが確認でき、基質としてnが3である2,4,6-トリフルオロベンゾトリクロリドを用いた場合は2,4,6-トリフルオロベンゾトリフルオリドが確認でき、基質としてnが2である2,4-ジフルオロベンゾトリクロリドを用いた場合は2,4-ジフルオロベンゾトリフルオリドが確認できた。ただし、基質としてnが0であるベンゾトリクロリドを使用した場合は、昇温しても反応はほとんど進行しなかった。
結果を表1~3に示す。
また、表1~3において、「トリフルオロ」は、基質が有するトリクロロメチル基における全ての塩素原子がフッ素化されてトリフルオロメチル基となった化合物を意味し、「ジフルオロ」は、基質が有するトリクロロメチル基における2個の塩素原子がフッ素化されてクロロジフルオロメチル基となった化合物を意味し、「モノフルオロ」は、基質が有するトリクロロメチル基における1個の塩素原子がフッ素化されてジクロロモノフルオロメチル基となった化合物を意味する。
Figure 2023150474000036
Figure 2023150474000037
Figure 2023150474000038

Claims (13)

  1. 一般式(1):
    Figure 2023150474000039
    [式中、
    は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、基-CX において、3個のXのうち少なくとも1つはフッ素原子である。
    は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
    nは1~5の整数を示す。]
    で表される化合物の製造方法であって、
    一般式(2):
    Figure 2023150474000040
    [式中、
    nは前記に同じである。
    は同一又は異なって、水素原子、又はフッ素原子以外のハロゲン原子を示す。ただし、基-CX において、3個のXのうち少なくとも1つはフッ素原子以外のハロゲン原子である。
    は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。]
    で表される化合物と、
    金属フッ化物とを反応させ、少なくとも、基-CX における1個以上のXをフッ素化し、上記一般式(1)で表される化合物を生成させる工程
    を備える、製造方法。
  2. 前記Xがいずれもフッ素原子である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記反応が、溶媒中で行われる、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記溶媒が、非プロトン性極性溶媒である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記金属フッ化物が、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のフッ化物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記反応が、ホスホニウム塩の存在下に行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記反応における反応温度が0~130℃である、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 一般式(1A):
    Figure 2023150474000041
    [式中、
    は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
    nは1~5の整数を示す。]
    で表される化合物と、
    一般式(1B):
    Figure 2023150474000042
    [式中、
    1aは同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、基-CX1a において、3個のX1aのうち1個又は2個がフッ素原子であり、残り2個又は1個が水素原子又はフッ素原子以外のハロゲン原子である。
    は同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のXのうち、少なくとも1つはフッ素原子である。
    nは1~5の整数を示す。]
    で表される化合物とを含有する、組成物。
  9. さらに、一般式(3):
    Figure 2023150474000043
    [式中、X及びnは前記に同じである。]
    で表される化合物、及び
    一般式(4):
    Figure 2023150474000044
    [式中、X及びnは前記に同じである。
    2aは同一又は異なって、水素原子又はハロゲン原子を示す。ただし、n個のX2aのうち、少なくとも1つはフッ素原子であり、少なくとも1つは水素原子である。]
    で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の追加的化合物
    を含有する、請求項8に記載の組成物。
  10. 組成物の総量を100モル%として、前記一般式(1B)で表される化合物の含有量が、0.01~15.00モル%である、請求項8又は9に記載の組成物。
  11. 組成物の総量を100モル%として、前記追加的化合物の含有量が、0.01~2.00モル%である、請求項9又は10に記載の組成物。
  12. 前記Xがいずれもフッ素原子である、請求項9~11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. エッチングガス、クリーニングガス、又はデポジットガスとして用いられる、請求項8~12のいずれか1項に記載の組成物。
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