JP2023149147A - エチレン重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒でのエチレンの気相連続重合を行い、エチレン重合体を安定生産できる方法を提供すること。【解決手段】下記式[1]の遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒でのエチレンの気相連続重合を、エチレン分圧1.3~2.0MPaの条件で実施すること。この際、帯電防止剤を併用することが好ましい。TIFF2023149147000008.tif83142【選択図】図1

Description

本発明は、エチレン重合体の製造方法に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体等のポリオレフィンは、種々の用途に利用されているが、たとえば直鎖状低密度ポリエチレン(以下「LLDPE」という。)から形成されるフィルムは、ヒートシール性に優れ、柔軟でかつ強靱であり、耐水性、耐湿性、耐薬品性に優れ、しかも安価であるなどの諸特性に優れており、従来から広く利用されている。
このようなポリオレフィンの製造は、従来は、一般に溶液重合、スラリー重合などの液相重合法によって実施されており、特にLLDPEは、エチレンと炭素数3以上のα-オレフィンとをチーグラー触媒の存在下、液相重合法により共重合させることにより製造されることが多かった。
このようなポリオレフィンの製造を気相重合法で実施すると、重合後にポリオレフィンは粒子状で得られ、重合溶液からの粒子析出あるいは粒子分離などの工程が不要となり、製造プロセスを簡略化することができるため、近年気相重合法によるポリオレフィン、特にLLDPEの製造も盛んに研究され、工業化されている例もある。
気相重合法においては、反応器下部から重合モノマーガスを供給することによって、触媒および生成ポリオレフィンからなる固体粒子を流動化させて流動層を形成して重合反応を行ない、生成する重合体を連続的あるいは断続的に反応器から抜き出しながら重合が行われる。
このような気相重合方法においては、重合熱の除去が大きな課題であり、従来流動層反応器に液化可能な飽和脂肪族炭化水素を供給し、反応器から排出されるガスを圧縮冷却して飽和脂肪族炭化水素を一部液化させ、一部が液化した飽和脂肪族炭化水素を気液混合状態で反応器に循環させることにより重合熱を除熱する方法が知られている。
しかしながら、上記のような従来の除熱方法を採用しても流動層内を均一に除熱することは難しく、流動層での局部的な加熱が起こりやすく、シーティング(重合体のシート化)あるいはメルティング(重合体の塊状化)などの現象を生じやすいという問題点があった。このようにシート状あるいは塊状ポリマーを生じると、それが流動層下部のガス分散板上に堆積して正常な流動状態を保持できなくなったり、ガス分散板の穴を詰まらせたりして、反応系の正常な運転を阻害してしまうことがあった。この為、前記飽和脂肪族炭化水素の供給量を増加させ、半ばスラリー重合の様な条件で製造運転される例もある。一方で、前記飽和脂肪族炭化水素の供給量が少ない方が、気相重合のメリットをより多く享受できることは自明である。
また、気相重合方法では、たとえば固体状のチタン系触媒、担体担持型のメタロセン系触媒などの固体触媒の存在下に、オレフィンを(共)重合させることによってポリオレフィンが製造される。しかし、その固体触媒は、流動性が低いことが多く、重合器への供給が困難となることがあった。また、非常に帯電しやすく、触媒が凝集したり、重合器壁面に付着する等してポリマー塊が発生したりすることもあった。このような問題は、固体触媒に界面活性剤を担持させると、ある程度改善されることが特許文献1、特許文献2、特許文献3などが開示されている。しかし、重合活性が低下したり、得られる重合体粒子の嵩密度が十分ではなかったりする場合がある。
特許文献4、特許文献5では、前記問題を解決するための検討が行われ、特定の帯電防止剤を用いれば、重合活性を維持しつつ、粒子形状や粒子流動性に優れた重合体粒子が得られることが見出されている。
また、例えば特許文献6には、例えばシクロペンタジエニル基とフルオレニル基を含む遷移金属錯体がオレフィン重合用触媒として好適であることが開示されている。
特開2000-313717号公報 特開2000-313716号公報 特開2000-327707号公報 特開2004-2744号公報 特開2004-277677号公報 国際公開2004-29062号公報
上記の様な気相重合プロセスには、遷移金属錯体や固体状チタン触媒成分をシリカや粘土などの金属酸化物の粒子に担持した態様の触媒が用いられる例が多く報告されている。
オレフィン重合用触媒となる遷移金属錯体は多様な化合物が報告されているが、気相重合に使用された例は多くはない。具体的には気相重合に用いられる遷移金属錯体としては、2個の(置換)シクロベンタジエニル基を含む遷移金属錯体を用いた例が多い傾向がある。
前記特許文献6の様なシクロペンタジエニル基とフルオレニル基の様な異構造の配位子を含む錯体が非常に高い活性を示すことが報告されているが、その実施例は主としてスラリー重合や溶液重合である。本発明者らはこのような活性が高いとされる遷移金属錯体を含む固体状触媒を用いた気相重合を行った。その結果、「前記の様な液相重合ほどの重合活性が発現しないことがある」、「前記の様な帯電防止剤を併用すると重合活性が急激に低下することがある」、「気相重合で生成するオレフィン重合体粒子が凝集し易く、長期安定運転が難しいことがある。」等の問題が発生することが有る結果を得た。
一方で、前記の様な遷移金属錯体は、分子量分布の狭い重合体や、分子量の高い重合体を得やすい等の特徴を有するものも知られている。よってこの様な特徴を有する遷移金属錯体を用いた気相重合が出来れば、より多様なオレフィン重合体を気相重合で製造することが出来ると考えられる。
よって本発明は、上記の様な特定の遷移金属錯体を用いた触媒を用いて、気相重合によりオレフィン重合体を安定的に製造する方法を提供することを課題とする。
前記の様に前記特許文献6の様なシクロペンタジエニル基とフルオレニル基の様な異構造の配位子を含む錯体は、気相重合の為の帯電防止剤を併用すると重合活性が急激に低下することがあるので、帯電防止剤の使用量には制限があるのが実態である。この為、通常は、生産速度を高めるような条件(粒子凝集が起き易く、シーティング(重合体のシート化)あるいはメルティング(重合体の塊状化)の原因となる)は、前記の遷移金属錯体の重合活性が極めて高いことも考慮すると、採用し難いと考えられた。しかしながら、本発明者らの検討によれば、比較的高いエチレン分圧条件という前記の考え方とは異なる方向の重合条件とすることで、驚くべきことに安定的に気相重合が可能となることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の様な要件で特定される。
[1]
下記式[1]の構造を有する遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒の存在下に、
エチレンを必須成分とし、炭素原子数3~20のα-オレフィンを任意成分とするオレフィンを、
下記要件(α)および(β)を満たす条件で気相連続重合するエチレン重合体の製造方法。
要件(α):エチレンの分圧が1.3~2.0MPaである。
要件(β):得られるエチレン重合体のMFR(ASTM D1238規格、2.16kg荷重、190℃条件)が、0.1~200g/10分である。
Figure 2023149147000002
〔R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR4までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R5からR12までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R13とR14とは互いに結合して環を形成していてもよい。
Yは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子である。
Mは、第4族遷移金属である。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。
jは1~4の整数である。〕
[2]
さらに下記要件(γ)を満たす前記[1]のエチレン重合体の製造方法。
要件(γ):前記固体状オレフィン重合触媒の重合活性が2000~7000g-重合体/g-触媒である。
[3]
さらに下記要件(δ)を満たす前記[1]のエチレン重合体の製造方法。
要件(δ):前記固体状オレフィン重合触媒と帯電防止剤とを併用する。
本発明によれば、上記の様な固体状オレフィン重合触媒であっても、気相重合でエチレン重合体を安定的に生産することが出来る。
エチレンの重合を一段で行なう重合装置の一構成例であり、本発明の実施例で用いたプロセスの概略説明図である。 エチレンの重合を一段で行なう重合装置の他の構成例である。 エチレン重合体を製造する多段気相重合装置の一構成例である。
前記の通り、本発明は、下記式[1]の構造を有する遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒の存在下に、エチレンを必須成分とし、炭素原子数3~20のα-オレフィンを任意成分とするオレフィンを下記要件(α)および(β)を満たす条件で気相連続重合するエチレン重合体の製造方法である。
(α)エチレンの分圧が1.3~2.0MPaである。
(β)得られるエチレン重合体のMFR(ASTM D1238規格、2.16kg荷重、190℃条件)が、0.1~200g/10分である。
Figure 2023149147000003
〈R 1 からR 14
式[1]中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR4までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R5からR12までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R13とR14とは互いに結合して環を形成していてもよい。
1からR14における炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
1からR14におけるヘテロ原子含有炭化水素基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フリル基などの酸素原子含有炭化水素基;N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-フェニルアミノ基等のアミノ基、ピリル基などの窒素原子含有炭化水素基;チエニル基などの硫黄原子含有炭化水素基が挙げられる。ヘテロ原子含有炭化水素基の炭素数は、通常1~20、好ましくは2~18、より好ましくは2~15である。ただし、ヘテロ原子含有炭化水素基からはケイ素含有基を除く。
1からR14におけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式-SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1からR14までの置換基のうち、任意の2つの置換基、例えば隣接した2つの置換基(例:R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R9とR10、R10とR11、R11とR12、R13とR14)は互いに結合して環を形成していてもよい。前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環、ヘテロ環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環;ベンゼン環;水素化ベンゼン環;シクロペンテン環;フラン環、チオフェン環等のヘテロ環およびこれに対応する水素化ヘテロ環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環;ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
5、R8、R9およびR12は、好ましくは水素原子である。
6、R7、R10およびR11は、好ましくは水素原子、炭化水素基、酸素原子含有炭化水素基または窒素原子含有炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基である。R6とR7が互いに結合して環を形成し、かつR10とR11が互いに結合して環を形成していてもよい。以上のようなフルオレニル基部分の構造としては、例えば、下式で表されるものが挙げられる。
13およびR14は、好ましくは炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、さらに好ましくはアリール基または置換アリール基(ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基を有するアリール基)である。
〈Y〉
式[1]において、Yは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子であり、好ましくは炭素原子である。
〈M、Q、j〉
式[1]において、Mは、第4族遷移金属であり、好ましくはTi、ZrまたはHfであり、より好ましくはZrまたはHfである。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組み合わせで選ばれる。
Qにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qにおける炭化水素基としては、R1からR14における炭化水素基と同様の基が挙げられ、好ましくは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等のアルキル基である。
Qにおけるアニオン配位子としては、例えば、メトキシ、tert-ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基;ジメチルアミド、ジイソプロピルアミド、メチルアニリド、ジフェニルアミド等のアミド基が挙げられる。
Qにおける孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテルが挙げられる。
Qは、少なくとも1つがハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましい。
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。jが2以上の整数であるとき、Qは同一または異なる組合せで選んでもよい。
前記遷移金属錯体(3)の具体例としては、国際公開第2004/87775号の第29~43頁に列挙された化合物、国際公開第2006/25540号の第9~37頁に列挙された化合物、国際公開第2015/122414号の[0117]に列挙された化合物、国際公開第2015/122415号の[0143]に列挙された化合物が挙げられる。
前記の製造方法では、前記遷移金属錯体は固体状で使用する。例えば、前記遷移金属錯体を粒子状担体化合物と接触させて、担体担持型触媒(固体状触媒)とすることが好ましい態様である。
前記担体化合物としては、粒径10~300μm、好ましくは20~200μmの顆粒状ないしは微粒子状固体が用いられる。この担体の比表面積は通常50~1000m2/gであり、細孔容積は0.3~2.5cm3/gであることが望ましい。
このような担体としては、多孔質無機酸化物が好ましく用いられ、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2などまたはこれらの混合物、たとえば、SiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOなどが用いられる。これらの中では、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。
上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分が含有されていてもよい。
また、担体として有機化合物を用いることもでき、たとえば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数2~14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体あるいは共重合体を用いることができる。
また前記の担体は、後述する助触媒成分である有機アルミニウムオキシ化合物等の有機アルミニウム成分やホウ素含有化合物と予め接触させておくことが好ましい。
担体と上記各成分の接触は、通常-50~150℃、好ましくは-20~120℃の温度で、1分~50時間、好ましくは10分~25時間行なうことが望ましい。
上記のようにして調製される固体状触媒は、担体1g当たり、遷移金属錯体(A1)が遷移金属原子として5×10-6~5×10-4グラム原子、好ましくは10-5~2×10-4グラム原子の量で、成分(F)は、担体1g当りアルミニウム原子またはホウ素原子として10-3~5×10-2グラム原子、好ましくは2×10-3~2×10-2グラム原子の量で担持されていることが望ましい。
上記の様な遷移金属錯体を含む固体状触媒は、一般的に後述する担体(金属酸化物など)、帯電防止剤の様なヘテロ原子含有化合物と共存すると、活性低下し易い傾向がある様である。これは、前記の遷移金属錯体は、活性が極めて高い傾向がある反面、被毒物質に対して敏感であるためではないかと考えられる。この為、本発明においては、ヘテロ原子含有化合物との併用の際には、その使用量は慎重に選択される。
(エチレンの気相重合方法)
以下、「重合」という語は、単独重合のみならず共重合を包含した意味で用いられることがあり、また「重合体」という語は、単独重合体のみならず、共重合体を包含した意味で用いられることがある。
本発明のエチレンの気相連続重合方法では、たとえば触媒を含む重合体粒子が流動状態に保たれている流動層反応器に、1種もしくは2種以上の、エチレンを必須とするオレフィンを供給して気相重合反応によってエチレン重合体を製造するに際して、オレフィンとともに、好ましくは下記(A)、(B)、(C)から選ばれる少なくとも1種の化合物を供給する。
(A)飽和脂肪族炭化水素や
(B)脂肪族アミド、
(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤
(上記(B)、(C)は、本明細書では帯電防止剤と言うことがある)
前記反応器中の(A)飽和脂肪族炭化水素の濃度を、通常は1モル%以上、好ましくは1~25モル%とし、該反応器中の生成エチレン重合体1重量部に対して(B)脂肪族アミドを0.1×10-6~400×10-6重量部及び/又は(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤を0.1×10-6~200×10-6重量部の量で存在させるようにして、好ましくは該反応器中気相の露点近傍の温度で(共)重合が行なわれる方法を例示することが出来る。
以下、図1を参照しながら具体的に説明する。
流動層反応器1内において、ライン2から触媒を供給し、オレフィン(重合モノマー)、気液混合状態の(A)飽和脂肪族炭化水素、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む流動化ガスを反応器1下部の供給口3から多孔板などの分散板7を介してから吹き込み、反応器1上方部分に設けられた減速領域1aにおいて、その流速が低減されて、反応器1の上部のライン4から反応器1の外部に排出させて反応器1内を流通させることにより、触媒を含む重合体粒子を流動化させて流動層(反応系)5が形成される。
本実施形態では、上記のような供給口3から導入される流動化ガスは、該ガスによって流動層5を流動状態に保持することができるような流量で流通されればよく具体的に供給口3から導入するガス量は、流動層5の最小流動化速度をUmfとするとき、約3Umf~50Umf程度、好ましくは約5Umf~30Umf程度の流量であることが望ましい。
また、流動層5を機械的に攪拌することもでき、たとえばイカリ型攪拌機、スクリュー型攪拌機、リボン型攪拌機など種々の型式の攪拌機を用いて攪拌することができる。また、反応器1はスクレーパーを備えてもよい。
上記のような流動層5にオレフィンを供給して重合または共重合させるが、このオレフィンとしては、具体的には、エチレンを必須成分とし、任意成分としてプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数3~20のα-オレフィンが挙げられる。これらのうちでも、エチレンと炭素原子数4~10のα-オレフィンとを共重合させることが好ましく、さらにエチレンと炭素原子数5~8のα-オレフィンとを共重合させることがさらに好ましい。また、エチレンと2種以上のα-オレフィンとを共重合させることもできる。
また、α-オレフィンとともに必要に応じて他の重合性モノマーを共重合させてもよく、たとえばスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸メチル、テトラフルオロエチレン、ビニルエーテル、アクリロニトリル等のビニル型モノマー類、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン等の非共役ポリエン類、アセチレン、メチルアセチレン等のアセチレン類、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類などを共重合させることもできる。
重合で消費されるモノマーは、任意の場所から補給することができ、たとえばライン10を介して供給口3から通常ガス状で反応器1に供給される。
本実施形態では、上記α-オレフィンとともに、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物とともに、(A)飽和脂肪族炭化水素を該反応器1内に供給している。
この(A)飽和脂肪族炭化水素としては、具体的には、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、2,2-ジメチルプロパン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、2,2,3-トリメチルブタン、2-メチルペンタン(イソヘキサン)、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、4-メチルヘキサン、2,3-ジメチルヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタンなどの炭素原子数4~20の飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。これらのうちでも通常炭素原子数4~10の炭化水素、具体的には、i-ペンタン、n-ペンタン、i-ブタン、n-ブタン、2-メチルペンタン(イソヘキサン)などが好ましく用いられる。これらを組み合わせて用いてもよい。
前記の製造方法では、上記のような(A)飽和脂肪族炭化水素を気液二相状態で流動層反応器1内に供給して液状飽和脂肪族炭化水素の蒸発によって重合熱を除去することもできる。
反応器1中の飽和脂肪族炭化水素の濃度は、通常は1モル%以上、好ましくは1~25モル%、より好ましくは3~25モル%、特に好ましくは5~20モル%となるように調整するのが望ましい。流動層反応器1中の飽和脂肪族炭化水素の濃度を上記範囲内にすることによって、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物の添加量が少量の場合でも、急激な反応条件の変動や外乱が加えられた際に生成する塊又はシート状ポリマー量を極小化できるとともに、良好な触媒活性を長時間持続してエチレン重合体を製造することが可能となる。
前記の製造方法では、上記α-オレフィンおよび(A)飽和脂肪族炭化水素とともに、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を、それぞれ流動層反応器1内のパウダー流動環境場に供給される。供給方法は、連続的または間欠的いずれの方法でもよい。また、1つのパウダー流動環境場に供給してもよく、複数のパウダー流動環境場に供給してもよい。
(B)脂肪族アミドは、生成エチレン重合体1重量部に対して、通常0.1×10-6~400×10-6重量部、好ましくは1×10-6~200×10-6重量部、さらに好ましくは5×10-6~100×10-6重量部の量で存在するようにパウダー流動環境場に供給される。脂肪族アミドの供給割合が上記範囲を超えると経済的に不利であり、あるいは重合活性が低下する場合があり、上記範囲より少なくなると重合粉体(エチレン重合体粒子群)の流動性の低下および重合器壁面への帯電付着を起こす場合がある。
前記の製造方法で用いられる(B)脂肪族アミドは、一般的に帯電防止剤として用いられるものであり、従来公知の脂肪族アミドであれば何ら制限なく使用でき、室温で液体であるものが取扱い性の点で好ましい。前記の製造方法においては、炭素原子数4~40、好ましくは8~30、より好ましくは12~20の脂肪族アミドが望ましい。
このような脂肪族アミドとしては、たとえば一般式(I)で表わされる脂肪酸ジエタノールアミドが好ましく挙げられる。
Figure 2023149147000005
上記一般式(I)中、(Cm2m+1)で示されるアルキル基の炭素原子数を示すmは、1~30、好ましくは6~20、より好ましくは7~17の範囲であることが望ましい。
脂肪酸ジエタノールアミドの好ましい具体例としては、ヘキサン酸ジエタノールアミド、ヘプタン酸ジエタノールアミド、オクタン酸ジエタノールアミド、ノナン酸ジエタノールアミド、デカン酸ジエタノールアミド、ウンデカン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、トリデシル酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ペンタデシル酸ジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、ヘプタデカン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。これらのなかでは、特にラウリン酸ジエタノールアミドが好ましい。また、脂肪酸ジエタノールアミド以外では、脂肪酸ジメタノールアミド、脂肪酸モノメタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノプロパノールアミドなどが挙げられる。これらの脂肪族アミドは、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
前記の製造方法に関わるエチレン重合体の製造方法では、反応条件の急激な変動時にも、エチレン重合体の安定的な連続生産を達成するために、(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤を使用することができる。(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤の具体例としてはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエートなどが挙げられる。これらの非イオン界面活性剤は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
前記の製造方法では(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤としてはポリオキシアルキレングリコールが好ましく、その化学構造式にはポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドが制限無く使用可能であるが、前記の製造方法では下記一般式(II)で表わされるポリオキシアルキレングリコール(別名;ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体)が好ましい。
Figure 2023149147000006
上記一般式(II)中、(CH2CH2O)で表されるオキシエチレン単位の繰返し単位数を示すm及びpの合計(m+p)は、2~40、好ましくは4~20、更に好ましくは4~15の範囲である。繰り返し単位数の比(m/p)は0.1~10であり、0.5~5が好ましい。一方、[CH2CH(CH3)O]で表されるオキシプロピレン単位の繰返し単位数を示すnは、2~50、好ましくは10~50、より好ましくは20~50の範囲である。
前記の(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤は、生成したエチレン重合体1重量部に対して0.1×10-6~200×10-6重量部、好ましくは0.1×10-6~100×10-6重量部、さらに好ましくは0.1×10-6~50×10-6重量部、特に好ましくは0.5×10-6~50×10-6重量部を存在させてエチレン重合体の製造が行なわれる。
前記の(C)非イオン系界面活性剤と(B)脂肪族アミドを共に存在させる場合、非イオン系界面活性剤と脂肪族アミドの添加量比〔(C)/(B)〕が1/20~1/3(重量比)であることが好ましく、更に好ましく1/10~1/5(重量比)である。
エチレン重合体を製造する場合は、(B)脂肪族アミド及び(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤を共に使用する場合、それぞれの化合物は、単独で添加してもよいし混合して添加してもよい。しかし、単独添加、すなわち各々の化合物を別けて添加する方が、各々の化合物の添加量を微調整し易いことから、単独添加が好ましく採用される。添加方法としては、添加設備の仕様や添加量に応じて原液又は溶液の形態のいずれの方法も採用できる。
上記の(B)脂肪族アミド及び/または(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤を溶媒で希釈した状態で用いる場合、希釈用の溶媒としては、上記の具体例で掲げた(A)飽和脂肪族炭化水素が制限無く使用できる。これらの中でもペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンなどの炭素原子数が5~12の飽和脂肪族炭化水素が好ましい。又は、後述するような(D)末端位置に二重結合を持つ炭素原子数が4~20の不飽和脂肪族炭化水素を希釈用の溶媒に用いても良い。
(B)脂肪族アミド及び/または(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤を脂肪族炭化水素で希釈する場合の濃度は、特に限定されないが、通常0.01~80重量%の範囲であり、0.05~50重量%が好ましい。ここで希釈した状態とは、(B)脂肪族アミド及び/または(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤と、脂肪族炭化水素とが混合された状態のものまたは分散された状態のものを包含するものである。すなわち、溶液または分散体、より具体的には、溶液、サスペンジョン(懸濁液)またはエマルジョン(乳濁液)全ての形態を含む。
(D)末端位置に二重結合を持つ炭素原子数4~20の不飽和脂肪族炭化水素(以下の説明では「α-オレフィンコモノマー」と略称する場合がある。)としては、例えば、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンを挙げることができ、この中でも1-ヘキセン、1-オクテンが好ましく使用される。
前記の(B)脂肪族アミド及び/または(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン界面活性剤を脂肪族炭化水素溶液の形態で用いる場合、該脂肪族炭化水素は、溶媒としての機能以外に、重合関与成分として働くため、触媒活性低下を防止する観点から、高純度であることが好ましい。通常運転に用いられる炭化水素の純度は95%以上、炭化水素以外の化合物は200ppm以下を用いることが好ましく、通常運転の炭化水素の純度が97%以上、炭化水素以外の化合物が100ppm以下を用いることが更に好ましい。また、溶液調製後に窒素ガスによる泡立て操作を行ない脱酸素操作を行った後に、この溶液を重合系に供給することが好ましい。また、溶液濃度を均一に保つ為、供給時には連続的又は断続的に攪拌を行ない供給する方法が好ましく採用される。
また流動層5において、重合は、オレフィンの種類および共重合割合、飽和脂肪族炭化水素の量、脂肪族アミドの量、ガス流速などによっても異なるが、通常、重合圧力は0.098~9.8MPa、好ましくは0.19~3.9MPaの範囲内で、重合温度TRは、好ましくは該反応器1中の気相の露点近傍の温度、さらに好ましくは露点+20℃未満、より好ましくは露点+10℃未満、特に好ましくは露点+5℃未満の温度である。
上記重合は、必要に応じて水素などの分子量調節剤の存在下に行なうこともでき、任意の場所たとえばライン10から分子量調節剤を供給することができる。また、重合を反応条件を変えて2段以上に分けて行なうこともできる。
上記のようにして生成したエチレン重合体は、流動層反応器1の下部からライン6を介して連続的または断続的に抜き出された後、通常乾燥される。上記のような飽和脂肪族炭化水素は非重合性であって重合によって消耗することはなく、流動層(反応系)5でガス化した飽和脂肪族炭化水素は未反応重合モノマーとともにライン4から排出され、通常冷却された後反応器1に循環されるが、液状飽和脂肪族炭化水素等の一部は通常、生成エチレン重合体粒子に溶解、含有されて反応器1から抜き出されるので、その減量分を任意の場所たとえばライン10から補給することができる。
上記のような流動層反応器1からライン4を介して排出されるガスは、通常熱交換器11において冷却して、流動層反応器1に循環させる。このように排出ガスを流動層反応器1に循環させる際には、排出ガスの一部をたとえばライン8からパージしてもよい。この反応器1から排出されるガスは、飽和脂肪族炭化水素に加えて、通常、未反応重合モノマー、水素ガス、不活性ガスなどを含有している。
前記の製造方法では、このように排出ガスを反応器に循環させる際には、図1に示すように熱交換器11で冷却され、そのままライン9から供給口3を介して反応器1に流動化ガスとして循環している。熱交換器11で冷却されたガスは、ガス状態であってもよいし、凝縮液を含む気液混合状態であってもよい。
また、図2に示すように、排出ガスをたとえば気液分離機能を備えた熱交換器12で冷却した後、気液混合状態とされた飽和脂肪族炭化水素を気液分離して、分離されたガス相をたとえばライン9から流動層反応器1に循環させ、液相をたとえばライン13から直接流動層(反応系)5の下部に供給してもよい。なお、図2において図1と同一符号は、図1と同様のものを示す。
前記の製造方法では、得られるエチレン重合体の分子量は、重合温度などの重合条件を変更することにより調節することもできるし、水素(分子量調節剤)の使用量を制御することにより調節することもできる。上記のように液状飽和脂肪族炭化水素を導入して、オレフィンを重合または共重合させると、重合熱を効率よく除熱することができ、局部的な加熱によるポリマーのシーティングあるいはメルティングを生じにくい。
また、生成エチレン重合体粒子は、飽和脂肪族炭化水素からなる湿分を含んでおり、飛散しにくく、作業性が向上される。
次に、重合を2段以上に分けて行なう場合について、直列に連結された2器の気相流動層反応器を有する多段気相重合装置を例に挙げて説明する。
多段気相重合装置は、たとえば図3に示すように、第1の流動層反応器21と第2の流動層反応器31とが直列に連結されている。
すなわち、第1の流動層反応器21には、メタロセン系担持触媒などの遷移金属化合物触媒(固体触媒)が供給ライン25より供給されるとともに、ガス状のオレフィン(重合モノマー)、飽和脂肪族炭化水素および脂肪族アミドを含むガス(流動化ガス)が供給ライン22からブロワー23を介して第1の流動層反応器21の底部から供給されるようになっている。この供給された流動化ガスは、第1の流動層反応器21の底部近傍に配設した多孔板などからなる分散板27を通って流動層(反応系)28へ吹き込まれ、流動層反応器21の上部から排出されることにより流動層反応器21内を通過する。この流動層反応器21内を通過するガスのガス流によって固体粒子(固体触媒および生成ポリマー)は流動状態に保持され流動層28が形成される。
そして、生成したポリマー粒子は、連続的または間欠的に抜き出され、固気分離容器41および42にて固気分離される。この際、弁43および44は、適宜開閉制御される。このようにして抜き出されたポリマー粒子は、弁45の作動によって、搬送ライン35に放出され、搬送ライン35を通って第2の流動層反応器31に送られるようになっている。
また、流動層28を通過した未反応のガス状のオレフィン、(A)飽和脂肪族炭化水素、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物などは、第1の流動層反応器21の上方部分に設けられた減速領域29において、その流速が低減されて、第1の流動層反応器21の上部に設けられたガス出口を介して、第1の流動層反応器21の外部に排出されるようになっている。
この第1の流動層反応器21から排出された未反応のガス状のオレフィン、(A)飽和脂肪族炭化水素、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物などは、循環ライン26を通って熱交換器(冷却装置)24で冷却されて、供給ライン22と合流し、ブロワー23により再び第1の流動層反応器21内の流動層28内に連続的に供給されるようになっている。熱交換器24では、通常循環ガスが当該ガスの露点近傍の温度まで冷却される。露点は、液状凝縮物がガス中に生成しはじめる温度である。循環ガスを露点以下の温度に冷却し、流動層28内に供給すると、液状凝縮物の蒸発潜熱により反応熱を除去することができ、流動層28内の除熱効率を向上させることができる。なお循環ガスを第1の流動層反応器21に循環させる際には、循環ガスの一部を循環ライン26の任意の場所からパージしてもよい。
一方、第2の流動層反応器31には、第1の流動層反応器21より、抜き出しライン40から、固気分離容器41および42を介して抜き出されたポリマー粒子が、搬送ライン35を介して送られる。搬送ライン35は、供給ライン32から分岐しており、他端は第2の流動層反応器31の上方に接続されており、供給ライン32から送られるオレフィン、(A)飽和脂肪族炭化水素、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むガスを、遠心式ブロワー51などの昇圧手段により昇圧するとともに、第1の流動層反応器21から抜き出されたポリマー粒子をこのガスに随伴させて搬送して、第2の流動層反応器31に導入するようになっている。また、新たなガス状オレフィン(重合モノマー)、(A)飽和脂肪族炭化水素、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物が、供給ライン32からブロワー33を介して、搬送ライン35によって第2の流動層反応器31に供給されるとともに、流動化ガスとして第2の流動層反応器31の底部から供給されるようになっている。なお、第2の流動層反応器31には、通常新たな固体触媒は供給されないが、必要に応じて新たな固体触媒を流動層反応器の任意の場所、たとえばライン52あるいは搬送ライン35を介して供給してもよい。
この第2の流動層反応器31の底部から供給された流動化ガスは、第2の流動層反応器31の底部近傍に配設した多孔板などからなる分散板37を通って流動層(反応系)38へ吹き込まれ、流動層反応器31の上部から排出されることにより流動層反応器31内を通過する。この流動層反応器31内を通過するガスのガス流によって固体粒子(上記ポリマー粒子および生成ポリマー)は流動状態に保持され流動層38が形成される。このとき、流動層38内で共重合反応が行なわれる。
そして、第2の流動層反応器31において得られたポリマー粒子は、ライン50より連続的または断続的に抜き出されるようになっている。
また、流動層38を通過した未反応のガス状のオレフィン、(A)飽和脂肪族炭化水素、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物などは、第2の流動層反応器31の上方部分に設けられた減速領域39において、その流速が低減されて、第2の流動層反応器31の上部に設けられたガス出口を介して、第2の流動層反応器31の外部に排出されるようになっている。
この第2の流動層反応器31から排出された未反応のガスの状オレフィン、(A)飽和脂肪族炭化水素、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物などは、循環ライン36を通って熱交換器(冷却装置)34で冷却されて、供給ライン32と合流し、ブロワー33により再び第2の流動層反応器31内の流動層38内に連続的に供給されるようになっている。熱交換器34では、通常循環ガスが当該ガスの露点近傍の温度まで冷却される。循環ガスを露点以下の温度に冷却し、流動層38内に供給すると、液状凝縮物の蒸発潜熱により反応熱を除去することができ、流動層38内の除熱効率を向上させることができる。なお循環ガスを第2の流動層反応器31に循環させる際には、循環ガスの一部を循環ライン36の任意の場所からからパージしてもよい。
上述したように第1の流動層反応器21では、流動化ガスは流動層28を流動状態に保持することができるような流量で流通されており、第2の流動層反応器31では、流動化ガスは流動層38を流動状態に保持することができるような流量で流通されている。
具体的には、供給ライン22および32から反応器底部より導入される流動化ガスのガス量は、流動層の最小流動化速度をUmfとするとき、約3Umf~50Umf程度、好ましくは約5Umf~30Umf程度の流量であることが望ましい。なお、流動層を機械的に攪拌することもでき、たとえばイカリ型攪拌機、スクリュー型攪拌機、リボン型攪拌機など種々の型式の攪拌機を用いて攪拌することができる。
以上、2器の流動層反応器、すなわち第1の流動層反応器21と第2の流動層反応器31とを直列に連結した多段気相重合装置について説明したが、3器以上の流動層反応器を有する多段気相重合装置であっても同様に構成することができる。
上記のような多段気相重合装置を用い、流動層において流動層反応器内に供給された1種または2種以上のオレフィン、好ましくはエチレンと少なくとも1種の炭素原子数3~20のα-オレフィンとを重合させており、二段目以降の反応器では前段で製造した共重合体の存在下に共重合を行なっている。各反応器で製造されるポリマーは特に限定されないが、少なくとも1器の反応器で高分子量エチレン重合体を製造し、他の反応器で低分子量エチレン重合体を製造することが好ましい。
流動層反応器に供給される1種または2種以上のオレフィンの比率は、最終的に得ようとするエチレン重合体(組成物)によっても異なるが、たとえば2種のオレフィンとして、エチレンと炭素原子数3~20のα-オレフィンとを用いる場合、エチレンと炭素原子数3~20のα-オレフィンとの比率は、最終的に得ようとするエチレン・α-オレフィン共重合体(組成物)によっても異なるが、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)組成物の場合、通常エチレン1モルに対して炭素原子数3~20のα-オレフィン0.015~0.15モル、好ましくは0.02~0.08モルの量で供給される。
また前記の製造方法では、上記オレフィンとともに、必要に応じてポリエン類などを共重合させてもよく、たとえばブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を共重合させることができる。
前記の製造方法では、上記共重合は、少なくとも1種類の飽和脂肪族炭化水素の共存下、好ましくは少なくとも1種類の炭素原子数2~10のガス状の飽和脂肪族炭化水素の共存下に行なわれる。
前記した(A)飽和脂肪族炭化水素は非重合性の炭化水素であり、一旦流動層反応器内に供給されると重合で消耗することがなく、流動層反応器から排出されるガス中に含まれる飽和脂肪族炭化水素は循環ラインを介して流動層反応器に循環される。
この飽和脂肪族炭化水素は、ガス状で流動層に導入してもよいが、その少なくとも一部が液状となる状態で流動層に導入した方がよい。供給ラインから導入される飽和脂肪族炭化水素は、均一な重合の観点からは流動層においてガス状で存在することが好ましいが、少なくとも一部がミスト状で存在してもよい。これらの条件は均一さと徐熱のバランスから適宜設定される。供給ラインからはミストなどの状態で導入されてもよいが、流動層反応器の供給ラインにガス状で導入されることも好ましい。
また、(A)飽和脂肪族炭化水素は、上記のように通常オレフィンおよび(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物とともに供給ラインを介して流動層反応器に導入されるが、流動層反応器の任意の場所から供給することもでき、たとえば触媒の供給ラインから直接流動層に供給してもよい。
流動層において、上記のように飽和脂肪族炭化水素を導入して行なわれる少なくとも1種のオレフィンの重合の際の重合温度は特に限定されず、たとえばエチレンと炭素原子数3~10のα-オレフィンとの共重合の場合は、通常20~130℃、好ましくは50~120℃、より好ましくは60~110℃である。
本発明のエチレン重合体の製造方法においては、エチレンの分圧の条件の選択が重要であり、1.3~2.0MPaの範囲とすることが肝要である。前記エチレン分圧の好ましい下限値は1.4MPaであり、より好ましくは1.45MPaであり、さらに好ましくは1.50MPaである。一方、好ましい上限値は1.9MPaであり、より好ましくは1.8MPaであり、さらに好ましくは1.7MPaである。
前記の通り、本発明に用いられる遷移金属錯体は、重合活性の高い場合が多いが、担体や帯電防止剤などのヘテロ原子含有化合物により活性低下し易い傾向がある。特に帯電防止剤の使用量を、従来の遷移金属錯体を用いるケースに比して低減しなければならないケースが多い。帯電防止剤などの反応器への付着を防止する成分(ex.ヘテロ原子含有化合物)が少ない場合、エチレン分圧を高めるような重合活性を高めるアクションは、もしも重合体粒子が帯電凝集した際に重合反応熱で溶融融着してしまいやすいので、採用し難いのが通例である。従来のエチレンの気相重合方法の例である前記特許文献4の実施例や比較例では、エチレン分圧は約0.95MPaで安定運転を達成している。しかしながら、本発明の比較例で示した様に、本発明の遷移金属錯体を用いた固体状触媒では、特許文献4よりも設定したエチレン分圧が高めの1.2MPa条件でも安定運転が達成できない結果となった一方、さらにエチレン分圧の高い1.6MPa条件では安定運転可能と言う予想外の結果を得た。
このような結果となった原因は現時点で定かではないが、本発明者は以下の様に推測している。
本発明の遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒は、固体状とするために使用する担体や必要に応じて使用する帯電防止剤等の影響を受けて、活性が低下する場合があるが、触媒として失活した訳ではなく部分的に一時的な停止(ドーマント)状態となっている可能性がある。この一時停止状態から活性を復活させる役割をエチレンが担っているのではないかと考えられる。すなわち、エチレン低分圧条件下では重合活性の発現がミクロレベルでは不均一となるので、帯電し易い可能性があると考えられる。また重合速度が全体としても遅いため、生成するエチレン重合体粒子の比表面積が比較的高い時間帯が多く、その点でも帯電し易いのであろう。
一方、比較的高いエチレン分圧条件とすることで、前記固体状オレフィン重合触媒がドーマント状態から脱し易くなり、従来の固体状触媒と同様のエチレン気相重合状態と出来るのではないかと推測できる。この様に、本発明の遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒では、高めのエチレン分圧と言う条件が必要になると考えられる。勿論、エチレン分圧が高すぎると、重合反応熱による生成重合体粒子の融着のリスクが溜るので、好ましい上限値が存在する。この為、前記のようなある範囲のエチレン分圧条件が本発明においては必要な要件となる。
本発明のエチレン系重合体の製造方法での、重合反応器での全圧は、前記エチレン分圧の他、必要に応じて併用するα-オレフィン、窒素などの不活性ガスを、前記(A)飽和脂肪族炭化水素の種類や量によっても異なるが、エチレン分圧の1.2倍以上、5倍以下であることが好ましい。より好ましい下限値は1.25倍、さらに好ましくは1.3倍である。一方、より好ましい上限値は2.7倍、さらに好ましくは2.5倍である。尚、上記の全圧は、(B)脂肪族アミドおよび(C)炭素、酸素、水素原子のみで構成される非イオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物の濃度、流動層の流動状態なども考慮して決定される。
上記共重合は、必要に応じて水素などの分子量調節剤の存在下に行なうこともでき、水素などの分子量調節剤は、流動層反応器の任意の場所、たとえば供給ラインから供給することができる。
前記の製造方法では、共重合体の分子量は、重合温度などの重合条件を変更することにより調節することもできるし、水素(分子量調節剤)の使用量を制御することにより調節することもできる。
前記の遷移金属錯体(1)を含む固体状オレフィン重合用触媒は、所謂助触媒成分を含んでいたり、併用することが出来る。例えば、(F-1)有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることが出来る。この様な化合物として具体的には、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノキサンであってもよく、また特開平2-276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
なお、このアルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収されたアルミノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解して用いてもよい。
アルミノキサンを製造する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、有機アルミニウム化合物(F-2)として後述するようなものが挙げられ、これらを2種以上組合せて用いることもできる。これらのうち、トリアルキルアルミニウムおよびトリシクロアルキルアルミニウムが特に好ましい。
また前記の製造方法で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性あるいは難溶性である。
このような有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼンに対する溶解性は、100ミリグラム原子のAlに相当する該有機アルミニウムオキシ化合物を100mlのベンゼンに懸濁した後、攪拌下60℃で6時間混合した後、ジャケット付G-5ガラス製フィルターを用い、60℃で熱時濾過を行ない、フィルター上に分離された固体部を60℃のベンゼン50mlを用いて4回洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の存在量(xミリモル)を測定することにより求められる(x%)。前記の製造方法では、有機アルミニウムオキシ化合物(F-1)を2種以上組み合わせて用いることもできる。
前記の製造方法で用いられる有機アルミニウム化合物(F-2)は、たとえば下記一般式(iii)で示される。
1nAlX3-n ・・・(iii)
(式(iii)中、R1は炭素原子数1~12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1~3である。)
上記一般式(iii)において、R1は炭素原子数1~12の炭化水素基たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ-ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
このような有機アルミニウム化合物(F-2)としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライドなどを挙げることができる。
また有機アルミニウム化合物(F-2)として、下記一般式(iv)で示される化合物を用いることもできる。
1nAlY3-n ・・・(iv)
(R1は上記と同様であり、Yは-OR2基、-OSiR3 3基、-OAlR4 2基、-NR5 2基、-SiR6 3基または-N(R7)AlR8 2基であり、nは1~2であり、R2、R3、R4およびR8はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R5は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R6およびR7はメチル基、エチル基などである。)
これらのうちでは、トリアルキルアルミニウムが好ましく、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。有機アルミニウム化合物(F-2)を2種以上組み合わせて用いることもできる。
前記の製造方法で用いられる前記メタロセン化合物(E)と反応してイオン対を形成する化合物(F-3)としては、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、US-547718号公報などに記載されたルイス酸、イオン性化合物およびカルボラン化合物を挙げることができる。
ルイス酸としては、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、MgCl2、Al23、SiO2-Al23などを挙げることができる。
イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリn-ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができる。
カルボラン化合物としては、ドデカボラン、1-カルバウンデカボラン、ビスn-ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(7,8-ジカルバウンデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(トリデカハイドライド-7-カルバウンデカ)ボレートなどを挙げることができる。
これら(F-3)の化合物は、2種以上組み合わせて用いることもできる。前記の製造方法では、共触媒成分(F)として、上記のような成分(F-1)、(F-2)および(F-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物が用いられ、これらを適宜組み合わせて用いることもできる。これらのうちでも共触媒成分(F)として少なくとも(F-2)または(F-3)を用いることが望ましい。
さらに前記の製造方法では、上記のような固体触媒をそのままで重合に用いることができるが、この固体触媒にオレフィンを予備重合させて予備重合触媒を形成してから用いることもできる。
前記の製造方法では、固体触媒または予備重合触媒は、遷移金属/リットル(重合容積)で、通常1×10-8~1×10-3グラム原子/リットル、さらには1×10-7~1×10-4グラム原子/リットルとなる量で用いられることが望ましい。
また予備重合触媒を用いるときには成分(F)を用いても用いなくてもよいが、重合系中の遷移金属に対する成分(F)中のアルミニウムまたはホウ素の原子比(AlまたはB/遷移金属)で、5~300、好ましくは10~200、さらに好ましくは15~150となる量で必要に応じて用いることができる。
前記の製造方法では、エチレンを含むオレフィンの重合反応を2段階以上行う、所謂多段重合を行うことも出来る。前記の多段重合は、例えば、分子量やオレフィン組成の異なる重合体の組成物を得るのに好適な方法である。
前記の製造方法では、上記のような気相重合により、エチレン重合体を顆粒状粒子で得ることができる。この際の重合活性は2000~7000g-重合体/g-触媒であることが好ましい。この様な重合活性の範囲は、例えば重合反応熱による生成重合体粒子の融着の抑制や、生成重合体粒子の帯電凝集や、反応器内壁等への融着を抑制するのに好適な条件となる場合が多い。
また、前記の生成重合体粒子の平均粒径は、250~3000μm程度、好ましくは400~1500μm程度であることが望ましい。
前記の製造方法では、エチレン重合体として、特に密度(ASTM D150E)が0.865~0.980g/cm3、好ましくは0.880~0.980g/cm3である直鎖状低密度ポリエチレンを製造することが好ましく、この直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンから導かれる単位87.0~100モル%、好ましくは90.0~100モル%の量で、炭素原子数4~10のα-オレフィンから導かれる単位を13.0モル%以下、好ましくは10.0モル%以下の量で含有していることが望ましい。
なおエチレン重合体は、ポリエン類などの他の共重合モノマーから導かれる単位を10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下の量で含んでいてもよい。
このようにして得られるエチレン重合体は、公知のエチレン重合体に好適に用いられる。具体的な好適用途としては、フィルムとそれを用いた包装材、パイプ、ボトルなどのブロー成形体等を挙げることが出来る。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[固体触媒成分の調製]
250℃で10時間乾燥したシリカ(SiO2)10kgを、154リットルのトルエンに懸濁した後、0℃まで冷却した。この懸濁液に、メチルアルミノオキサンのトルエン溶液(Al=1.52モル/リットル)50.5リットルを1時間かけて懸濁液の温度を0~5℃に保持しながら滴下し、引続き0℃で30分間保持した後、1.5時間かけて95℃まで昇温して95℃で4時間保持した。
その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーションにより除去した。このようにして得られた固体触媒成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン100リットルで再懸濁して全量160リットルとした。
得られた懸濁液に、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液を室温(20~25℃)で30分かけて滴下し、さらに室温で2時間保持した。その後上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、シリカ1g当たり、28.6mgのジルコニウムを含有する固体触媒成分を得た。
[固体触媒成分の予備重合]
充分に窒素置換した350リットルの反応器に、上記固体触媒成分7.0kgを装入し、ヘキサンを装入して全容積285リットルのヘキサン懸濁液とした。系内を10℃まで冷却した後、エチレンを流量8Nm3/hrで5分間、固体触媒成分のヘキサン懸濁液中に吹き込んだ。この間、系内の温度は10~15℃に保持した。
エチレンの供給を一旦停止した後、トリイソブチルアルミニウムを2.4モルおよび株式会社ADEKA製L-71(ポリオキシアルキレン系化合物)を0.14kg供給し、系内を密封系にした後、エチレンの供給を再開し、流量8Nm3/hrで15分間供給した後、流量を2Nm3/hrに下げて、系内の圧力を0.8kgf/cm2-Gにした。この間に系内温度は35℃まで上昇した。
その後、系内の温度を32~35℃にコントロールしながら、エチレンを4Nm3/hrの流量で3.5時間供給した。この間、系内の圧力は0.7~0.8kgf/cm2-Gに保持した。次いで、系内を窒素置換し、上澄み液を除去した後、ヘキサンで2回洗浄した。予備重合後の上澄み液は無色透明であった。
上記のようにして固体触媒成分1g当たり3gの予備重合体を含む予備重合触媒を得た。この予備重合触媒(予備重合体)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は2.0dl/gであった。
[気相重合]
図1に示すような内容積1.71m3の連続式流動床反応器を用いて気相連続重合を行なった。定常状態での各種条件および得られたエチレン重合体の物性は以下の通りである。
・エチレン分圧:1.6MPa
・全圧:2.2MPa(ゲージ圧)
・重合温度:79℃
・水素/エチレン:3.02×10-6(体積比)
・反応器内イソヘキサン濃度:4.8体積%
・反応器内の重合体に対する触媒濃度:2.9g-触媒/kg-重合体を維持
・反応器内の重合体に対する帯電防止剤(ジエタノールアミド化合物とポリオキシアルキレン化合物混合物)濃度:20ppm
・空塔速度:0.7m/s
・滞留時間:4.9時間
・生産速度:4.9kg/時間
・重合活性:2400g-重合体/g-触媒
(得られたエチレン重合体)
MFR(190℃、2.16kg荷重):31g/10分
密度:973kg/m3
平均粒子径:640μm
上記の重合条件で連続運転が可能で、安定して重合体を得ることが出来た。
(比較例1)
定常状態での条件を下記とした以外は、実施例1と同様にして気相連続重合を行った。
・エチレン分圧:1.2MPa
・全圧:1.7MPa(ゲージ圧)
・重合温度 :85℃
・水素/エチレン:3.94×10-6(体積比)
・反応器内イソヘキサン濃度:4体積%
・反応器内の重合体に対する触媒濃度:3.9g-触媒/kg-重合体
・反応器内の重合体に対する帯電防止剤(ジエタノールアミド化合物とポリオキシアルキレン化合物混合物)濃度:20ppm
・空塔速度:0.7m/s
・滞留時間:5.0時間
・生産速度:4.8kg/時間
・重合活性:1600g-重合体/g-触媒
(得られたエチレン重合体)
MFR(190℃、2.16kg荷重):53g/10分
密度:973kg/m3
平均粒子径:555μm
この条件下では、途中で重合温度の変動が起こり、加温、冷却装置では制御が難しくなったため、運転中止(シャットダウン)となった。
1 ・・・・ 流動層反応器
3 ・・・・ 流動化ガスの供給口
5 ・・・・ 流動層(反応系)
7 ・・・・ 分散板
11・・・ 熱交換器
12・・・ 気液分離機能を備えた熱交換器
21・・・ 第1の流動層反応器
23、33・・・ ブロワー
27、37・・・ 分散板
28、38・・・ 流動層
29、39・・・ 減速領域
31・・・ 第2の流動層反応器
34・・・ 熱交換器(冷却装置)
41、42・・・ 固気分離容器
51・・・ 遠心式ブロワー

Claims (3)

  1. 下記式[1]の構造を有する遷移金属錯体を含む固体状オレフィン重合触媒の存在下に、
    エチレンを必須成分とし、炭素原子数3~20のα-オレフィンを任意成分とするオレフィンを、
    下記要件(α)および(β)を満たす条件で気相連続重合するエチレン重合体の製造方法。
    要件(α):エチレンの分圧が1.3~2.0MPaである。
    要件(β):得られるエチレン重合体のMFR(ASTMD1238規格、2.16kg荷重、190℃条件)が、0.1~200g/10分である。
    Figure 2023149147000007
    〔R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ヘテロ原子含有炭化水素基またはケイ素含有基であり、R1からR4までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R5からR12までの置換基のうち、任意の2つの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、R13とR14とは互いに結合して環を形成していてもよい。
    Yは炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子である。
    Mは、第4族遷移金属である。
    Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。
    jは1~4の整数である。〕
  2. さらに下記要件(γ)を満たす請求項1に記載のエチレン重合体の製造方法。
    要件(γ):前記固体状オレフィン重合触媒の重合活性が2000~7000g-重合体/g-触媒である。
  3. さらに下記要件(δ)を満たす請求項1に記載のエチレン重合体の製造方法。
    要件(δ):前記固体状オレフィン重合触媒と帯電防止剤とを併用する。
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