JP2023148907A - 研磨パッドの製造方法及び研磨パッド - Google Patents

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堅一 小池
Kenichi Koike
真治 岡田
Shinji Okada
一恵 梶原
Kazue Kajiwara
克樹 永井
Katsuki Nagai
正孝 高木
Masataka Takagi
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Figure 2023148907000001
【課題】研磨により得られる被研磨物の面品位を安定して維持することができる研磨パッドの製造方法等を提供すること。
【解決手段】研磨微粒子と、マトリクス粒子とを含む前駆組成物から複合粒子を作製する工程と、樹脂と、前記複合粒子と、を含む硬化性組成物を基材の上に付着させる工程と、付着した前記硬化性組成物を硬化させて研磨部を得る工程と、を有し、前記研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、前記マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abが、0.50~1.1である、研磨パッドの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、研磨パッドの製造方法及び研磨パッドに関する。
ハードディスクドライブ等の磁気ディスク、EUV光を用いたリソグラフィの際に使用される反射型マスクの基材として使用されるガラス基板、並びにスマートフォンやタブレット等のモバイル端末の液晶基板やカバーガラス等の素材として使用されるガラス基板のような各種ガラス材料の表面には、高い平滑性や微小欠陥が限りなく少ないことが求められる。このようなガラス材料の表面研削加工には一般に固定砥粒を有する研磨パッドが使用されている。また、研磨微粒子をマトリクス粒子で凝集し、複合粒子として用いる技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、コロイダルシリカ由来のSiO(金属酸化物)をマトリクスとしてダイヤモンド粒子を保持したダイヤモンドビーズ研磨粒子(複合粒子)を含む研磨パッドが開示されている。特許文献1によれば、そのような複合粒子を用いることで研磨レートが向上するとしている。
また、特許文献2には、ガラスフリットをマトリクスとしてダイヤモンド粒子を保持したダイヤモンド凝集体(複合粒子)を含む研磨パッドが開示されている。特許文献2によれば、そのような複合粒子を用いることで研磨レートの向上に加え、表面平滑性(表面粗さ)が向上するとしている。
特許文献3には、ガラスフリットをマトリクスとした複合粒子を噴霧乾燥法により製造する方法が開示されている。
特表2002-542057号公報 特表2003-534137号公報 特表2004-514017号公報
本発明者らが、特許文献1~3のような複合粒子を有する従来の研磨パッドを検討した結果、研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性が十分でない場合があることがわかった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、研磨により得られる被研磨物の面品位を安定して維持することができる研磨パッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、本発明者らは、複合粒子を有する研磨パッドにおいて、複合粒子を研磨パッド中に均一に分散させることが重要であることは勿論のこと、さらに複合粒子内においても研磨微粒子をマトリクス中に均一に分散させることが重要であると考えた。そして、所定の研磨部を備える研磨パッドであって、研磨部が所定の粒径比を有する研磨微粒子及びマトリクス粒子を用いて作製された複合粒子を含む研磨パッドが、研磨により得られる被研磨物の面品位を安定して維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
研磨微粒子と、マトリクス粒子とを含む前駆組成物から複合粒子を作製する工程と、
樹脂と、前記複合粒子と、を含む硬化性組成物を基材の上に付着させる工程と、
付着した前記硬化性組成物を硬化させて研磨部を得る工程と、を有し、
前記研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、前記マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abが、0.50~1.1である、
研磨パッドの製造方法。
[2]
前記マトリクス粒子の粒径分布において、10%累積体積粒径D10Ma、90%累積体積粒径D90Ma、及び前記50%累積体積粒径D50Maが、下記式(1)を満たす、
[1]に記載の研磨パッドの製造方法。
式(1):1.0≦(D90Ma-D10Ma)/D50Ma≦2.0
[3]
前記マトリクス粒子の粒径分布において、10%累積体積粒径D10Ma、90%累積体積粒径D90Ma、及び前記50%累積体積粒径D50Maが、下記式(2)を満たす、
[1]又は[2]に記載の研磨パッドの製造方法。
式(2):0.35≦(D50Ma-D10Ma)/(D90Ma-D10Ma)≦0.50
[4]
前記前駆組成物における、前記マトリクス粒子の配合量に対する前記研磨微粒子の配合量の比が、質量比で0.25~2.0である、
[1]~[3]のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
[5]
前記マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maが、1.0~30μmである、
[1]~[4]のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
[6]
前記研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abが、1.0~30μmである、
[1]~[5]のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
[7]
前記硬化性組成物における前記複合粒子の配合量が、前記硬化性組成物100質量部に対して、1.5~20質量部である、
[1]~[6]のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
[8]
前記マトリクス粒子が、ガラスフリットを含む、
[1]~[7]のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
[9]
前記研磨微粒子が、ダイヤモンド、酸化セリウム、炭化ケイ素、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、
[1]~[8]のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
[10]
前記硬化性組成物が、50%累積体積粒径が5.0~30μmである充填剤をさらに含む、
[1]~[9]のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
[11]
前記硬化性組成物が、50%累積体積粒径が0.5~4.5μmである補助粒子をさらに含む、
[1]~[10]のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法。
[12]
基材と、該基材上に配された研磨部と、を備え、
該研磨部は、樹脂と、複合粒子と、を含み、
前記複合粒子は、研磨微粒子と、マトリクス粒子と、を含む前駆組成物から作製され、
前記研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、前記マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abが、0.50~1.1である、
研磨パッド。
[13]
[1]~[11]のいずれか1つに記載の研磨パッドの製造方法により製造される、研磨パッド。
本発明によれば、研磨により得られる被研磨物の面品位を安定して維持することができる研磨パッドの製造方法及び研磨パッドを提供することができる。
本実施形態の研磨パッドを示す斜視図である。 本実施形態の研磨パッドを示す拡大断面図である。 実施例において用いたマトリクス粒子であるガラスフリットの体積基準の粒径分布を示す図である。 実施例1の研磨パッドにおける複合粒子の電子顕微鏡写真である。 比較例1の研磨パッドにおける複合粒子の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
1.研磨パッド
本実施形態の研磨パッドは、基材と、基材上に配された研磨部と、を備え、研磨部は、樹脂と、複合粒子と、を含み、複合粒子は、研磨微粒子と、マトリクス粒子と、を含む前駆組成物から作製され、研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abが、0.50~1.1である。
図1に本実施形態の研磨パッドを表す概略斜視図を示す。図1に示されるように、この研磨パッド10は、基材12と、該基材12上に配された研磨部11とを備える。図1では、基材12の表面上に研磨部11による複数の凸部が配置されて凹凸パターンが形成されている。
研磨部11は、図1に示すように基材12と共に凹凸パターンを構成するものであっても、基材表面上に形成された一様な層であってもよい。また、凹凸パターンは、凸部が配置されて凹凸パターンのほかに、一様な層がドット状に打ち抜かれるようにして形成された研磨部11によるパターン(ネガパターン)であってもよく、それ以外の任意のパターンであってもよい。
図2に、本実施形態の研磨パッドを表す概略断面図を示す。図2に示されるように、研磨パッド10の研磨部11は、樹脂15中に、複合粒子14を含む。研磨が進むと共に研磨部11の研磨面が徐々に削れ、研磨部11に埋め込まれていた複合粒子14が露出した新たな研磨面が形成される。複合粒子14は、所定の粒径比を有する研磨微粒子及びマトリクス粒子を用いて作製されているため、後述するように研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性が向上する。なお、研磨部11は充填剤及び/又は補助粒子を含んでいてよい。
以下、本実施形態の研磨パッドの各構成について詳説する。
1.1.基材
基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルムが挙げられる。
基材としては上面に後述する樹脂を形成可能なものであれば特に限定されない。このなかでも、耐薬品性・耐熱性・経済性などの観点からポリエステル系フィルムが好ましい。
1.2.研磨部
研磨部は、樹脂と、複合粒子と、を含み、必要に応じて充填剤及び/又は補助粒子を含んでいてもよい。研磨部は、基材表面上に一様な層として形成されていてもよいし、単独で又は基材と共に凹凸パターンを構成するように形成されていてもよい(図1,2参照)。
このなかでも、スラリー等の研磨時に使用する液体成分を研磨面に供給又は排出する観点から、研磨部は規則的な凹凸パターンを構成することが好ましい。規則的なパターンを有することにより、均質な研磨を可能とし、研磨により得られる被研磨物の面品位に優れた研磨を達成し得る。なお、「規則的なパターン」とは、単位となる小パターンを複数並べて得られるパターンをいう。また、研磨部の基材と反対側の表面は、被研磨物を研磨するための研磨面となる。
凹凸パターンとしては、被研磨物に接触する部分(凸部)と、被研磨物に接触しない部分(凹部)とを有するパターンであれば特に限定されないが、例えば、図1に示すような研磨部11が基材12上に独立して形成されたポジパターン(ドット状の凸部を有するパターン);研磨部が基材上に連続して形成されたネガパターン(ドット状の凹部を有するパターン);ドーナツ状の凸部を有するパターン;略C型の凸部を有するパターン;同心円状に、被研磨物に接触する部分と被研磨物に接触しない部分とを有するパターン;格子状に、被研磨物に接触する部分と被研磨物に接触しない部分とを有するパターン;放射状に、被研磨物に接触する部分と被研磨物に接触しない部分とを有するパターン;螺旋状に、被研磨物に接触する部分と被研磨物に接触しない部分とを有するパターン;又はこれらを組み合わせて構成されたパターンが挙げられる。このなかでも、ドット状の凸部を有するパターンが好ましい。このような凹凸パターンを有することにより、研磨屑排出性がより向上する傾向にある。
なお、ドット状の凸部を有するパターンの場合のドットの立体形状は、特に制限されず、例えば半球状、略半球状、球帽状、略球帽状、球帯状、略球帯状、半楕円体状、略半楕円体状、柱状(円柱状、略円柱状、楕円柱状、略楕円柱状、多角柱状)、錐台状(円錐台状、略円錐台状、楕円錐台状、略楕円錐台状、多角錐台状)が挙げられる。錐台状は、基材側から研磨面側に向けて広がる錐台状であってもよく、研磨面側から基材側に向けて広がる錐台状であってもよい。また、ドット状の凹部を有するパターンの場合の凹部における空間の立体形状も、ドット状の凸部を有するパターンの場合の立体形状と同様のものを例示できる。
1.2.1.樹脂
樹脂としては、特に限定されないが、熱可塑性樹脂や光硬化性樹脂が好ましく、例えば、分子内にエーテル又はエステル結合を有するポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系樹脂;単官能アクリレート、二官能アクリレート、多官能アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルフェノール系樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系樹脂;ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系樹脂;アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のセルロース系樹脂;ポリアミド系樹脂;及びポリスチレン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂が挙げられる。
このなかでも、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール編成アルキド樹脂が好ましい。このような樹脂を用いることにより、研磨レートがより向上する傾向にある。なお、研磨部を構成する樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
1.2.2.複合粒子
複合粒子は、研磨微粒子と、マトリクス粒子と、を含む前駆組成物から作製されるものである。すなわち、本実施形態の複合粒子は、複数の研磨微粒子と、複数のマトリクス粒子とが凝集して、さらにマトリクス粒子同士が融着した粒子である。複合粒子は、複数のマトリクス粒子が融着してなるマトリクスと、マトリクス中に分散している研磨微粒子とを含む粒子である。ここで、研磨微粒子は、研磨に寄与する成分であり、マトリクスは、研磨微粒子のバインダーとして機能する。
複合粒子14を作製する際に用いる研磨微粒子及びマトリクス粒子に関して、研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abは、0.50~1.1である。本発明者らは、粒径比が上記のように規定された研磨微粒子とマトリクス粒子とを用いて複合粒子を作製すると、研磨により得られる被研磨物の面品位を安定して維持することができることを見出した。その要因は必ずしも以下の内容に限られないが、研磨微粒子とマトリクス粒子の50%累積体積粒径の比が上記の範囲内であると、同等な粒子径に起因して2種の粒子同士の馴染みが向上し、親和性が高まることにより、複合粒子において研磨微粒子が均一に分散することに加え、研磨微粒子が複合粒子中に適切に保持されるためであると、本発明者らは推測している。
すなわち、比D50Ma/D50Abが上記の範囲と比べて小さい値であり、マトリクス粒子が研磨微粒子に比べて極めて小さい場合、マトリクス内に研磨微粒子が埋まった状態となるために研磨微粒子が十分に作用することができず、研磨性能が安定しないものと推測される。また、後述する複合粒子の作製工程において、前駆粒子作製工程に供する前駆組成物の粘度が上昇し、研磨微粒子の分散性が悪化するおそれがある。
また、比D50Ma/D50Abが上記の範囲と比べて大きい値であり、マトリクス粒子が研磨微粒子に比べて極めて大きい場合、研磨微粒子がマトリクス内に十分に分散せず、研磨微粒子の被研磨物に対する接触が不均一となり、またマトリクスによる研磨微粒子の保持性能が低下し、研磨微粒子が脱落しやすくなるため、研磨性能が安定しないものと推測される。
同様の観点から、上記比D50Ma/D50Abは、好ましくは0.55~1.0であり、より好ましくは0.60~0.95であり、さらに好ましくは0.65~0.90である。
なお、本実施形態において、50%累積体積粒径とは、体積基準の粒子径の累積分布において小径からの積算値が全体の50%に達したときの粒子径(μm)を意味する。また、本実施形態において、50%累積体積粒径をはじめとする粒子径に関する値は、実施例に記載のレーザー回折式粒子径分布計により測定することができる。
なお、複合粒子の作製において上記比D50Ma/D50Abが0.50~1.1である研磨微粒子及びマトリクス粒子を用いたことは、例えば後述する圧縮破壊強度が後述の所定の範囲内にあることや、複合粒子の断面を電子顕微鏡で観察すること等により推定することができる。ただし、複合粒子の作製において、研磨微粒子及びマトリクス粒子は高温で加熱され、マトリクス粒子同士は溶着する。したがって、複合粒子を観察することのみにより原料として用いたマトリクス粒子の粒径を測定することは容易ではない。
複合粒子の50%累積体積粒径D50は、好ましくは5~100μmであり、より好ましくは10~80μmであり、さらに好ましくは15~60μmである。50%累積体積粒径D50が、上記範囲内であることにより、研削力に優れると共に研磨により得られる被研磨物の面品位が向上する傾向にある。
なお、研磨部に含まれる粒子の体積基準の粒子径は、例えば研磨部から測定対象の粒子を取り出して、実施例に記載のレーザー回折式粒子径分布計により測定してもよい。研磨部から測定対象の粒子を取り出す方法としては、例えば、研磨パッドを550℃程度に加熱処理し、試料を灰化させて、研磨パッドから粒子を抽出し、超音波分散機などで充分に分散して分散液を調製する方法が挙げられる。この分散液を用いて、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により測定される粒度分布から、粒子の累積体積粒径を求めることができる。また、SEM像等により研磨部表面に露出した粒子の粒子径及び個数を測定し、体積換算することにより得られる粒度分布から、粒子の累積体積粒径を求めることもできる。
複合粒子の含有量は、研磨部100質量部に対して、好ましくは1.5~20質量部であり、より好ましくは2.5~15質量部であり、さらに好ましくは5.0~10質量部である。複合粒子の含有量が1.5質量部以上であることにより、研削力がより向上する傾向にある。また、複合粒子の含有量が20質量部以下であることにより、複合粒子に加わる研磨圧力が大きくなり、研磨レートがより向上する傾向にある。また、複合粒子の含有量が上記範囲内にあると、各複合粒子及び複合粒子に含まれる各研磨微粒子にかかる負荷が適度に分散されるため、研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性がより向上する傾向にある。
複合粒子の日本産業規格(JIS R 1639-5:2007)に準じる圧縮破壊強度(圧壊強さ)は、好ましくは50MPa以上であり、より好ましくは80MPa以上であり、さらに好ましくは100MPa以上であり、さらにより好ましくは120MPa以上である。上記圧縮破壊強度が上記範囲内にあることにより、複合粒子における研磨微粒子の保持力が向上し、複合粒子から研磨微粒子が脱落することが抑制される。これにより、研磨微粒子の存在位置を制御することができ、研磨面における研磨微粒子の分布を一層均一にすることが容易になるため、研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性がより向上する傾向にある。
複合粒子の圧縮破壊強度の上限値は特に限定されないが、例えば上限値は、500MPa、400MPa、300MPa、又は200MPaであってよい。なお、圧縮破壊強度の具体的な測定方法は、実施例に記載の方法とすればよい。
1.2.2.1.研磨微粒子
研磨微粒子は、研磨に寄与する成分であり、複合粒子が研磨微粒子を含むことにより、研磨部の研磨性能は好適なものとなる。
研磨微粒子を構成する成分としては、特に限定されないが、研磨パッドの中で最も硬質な材料であり、最も研削能力の高い成分からなる。例えば、ダイヤモンド、酸化セリウム、炭化ケイ素、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。なお、これらの研磨微粒子は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
研磨微粒子の含有量は、複合粒子100質量部に対して、好ましくは5.0~50質量部であり、より好ましくは10~45質量部であり、さらに好ましくは15~40質量部である。研磨微粒子の含有量が上記範囲内であることにより、研磨微粒子と被研磨物との接点が適度に多くなり、各研磨微粒子にかかる負荷が適度に分散されるため、研磨レートをより安定して維持することができ、また研磨により得られる被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
1.2.2.2.マトリクス
マトリクスは、複数のマトリクス粒子が融着してなる。マトリクスは、研磨微粒子のバインダーとして機能し、研磨に寄与し難い成分である。複合粒子のマトリクスが、上記粒径比が制御されたマトリクス粒子により形成されることにより、研磨微粒子が複合粒子中に保持されると共に、複合粒子がある程度の応力で被研磨物に押し当てられたときに崩壊するようになる。
マトリクスを構成する成分としては、特に限定されないが、例えば、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ビスマス系ガラス等のガラスが挙げられ、ホウケイ酸塩ガラスが好ましい。ホウケイ酸塩ガラスの構成成分としては、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等が挙げられる。このなかでも、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カルシウムを含むか、二酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛を含むことが好ましい。これらマトリクスの成分は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
マトリクスの含有量は、複合粒子100質量部に対して、好ましくは50~95質量部であり、より好ましくは55~90質量部であり、さらに好ましくは60~85質量部である。マトリクスの含有量が50質量部以上であると、研磨微粒子と研磨微粒子との間隔が適度に広がり、研磨加工時に研磨微粒子とワークとの接点が少なくなり、研磨微粒子1粒当たりに適度な負荷がかかるようになり、研削力がより向上する傾向にある。マトリクスの含有量が95質量部以下であると、逆に各研磨微粒子にかかる負荷が適度に分散されるため、研磨レートをより安定して維持することができ、また研磨により得られる被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
1.2.3.充填剤(第1の充填剤)
研磨部11は、樹脂及び複合粒子に加えて、充填剤をさらに含んでいてよい。研磨部が充填剤を含むと、充填剤が研磨部から脱離することにより複合粒子の脱離性を制御することができ、セルフドレス性が発現しやすくなるため、研磨レートの経時安定性がより向上する傾向にある。かかる充填剤は、50%累積体積粒径が5.0~30μmであってよい。
充填剤は、相対的に研磨に寄与し難い成分であれば特に限定されないが、例えば研磨微粒子よりモース硬度が小さい無機粒子が挙げられる。無機粒子の形状としては、特に限定されないが、例えば、ウイスカー状、柱状、薄片状、鱗片状の形状が挙げられる。また、このような無機粒子を構成する成分としては、特に限定されないが、例えば、硅酸カリウムアルミニウム(モース硬度6)、珪藻土(モース硬度6~7)、珪灰石(モース硬度4.5~5)等のケイ酸塩鉱物;酸化鉄(モース硬度6)、酸化チタン(モース硬度6.5)、酸化亜鉛(モース硬度4)、酸化アルミニウム(モース硬度9)等の金属酸化物;炭酸カルシウム(モース硬度3)、炭酸マグネシウム(モース硬度3.5)等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム(モース硬度3.5)、硫酸バリウム(モース硬度3~3.5)等の金属硫酸塩が挙げられる。中でも、複合粒子の固定力とセルフドレス性が好適な範囲となる観点から形状異方性を有する充填剤が好ましく、具体的には珪灰石が好ましい。充填剤が形状異方性を有する場合、短軸方向の長さに対する長軸方向の長さ(アスペクト比)は好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、さらに好ましくは4以上である。当該アスペクト比の上限値は特に限定されず、例えば12、10、又は7である。
珪灰石は、カルシウムケイ酸塩(CaSiO3)を含むケイ酸塩鉱物であり、ウォラストナイトとも呼称される。珪灰石には、カルシウムのほか、鉄、マンガン、ナトリウム、リチウムなど他の金属のケイ酸塩が含まれてもよい。研磨部が上記のような充填剤を含むことにより、研磨レートを安定して維持することができ、また得られる被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
充填剤の50%累積体積粒径は、好ましくは5.0~30μmであり、より好ましくは7.5~25μmであり、さらに好ましくは10~20μmである。充填剤の50%累積体積粒径が30μm以下であると、後述する研磨パッドの製造方法において、形状異方性を有する充填剤を樹脂と混合した際にも、粘性が高くなり過ぎることが抑制され、容易に研磨パッドとして成型できる傾向にある。充填剤の50%累積体積粒径が5.0μm以上であると、研磨パッドの耐摩耗性が向上しセルフドレス性が好適な範囲となる。
充填剤の50%累積体積粒径に対する複合粒子の50%累積体積粒径の比は、好ましくは0.50~10であり、より好ましくは1.0~8.0であり、さらに好ましくは1.5~5.0である。上記比が上記範囲内であることにより、充填剤の脱離性が好適な範囲となり、複合粒子の固定性と研削力がより向上する傾向にある。
充填剤の含有量は、研磨部100質量部に対して、好ましくは40~70質量部であり、より好ましくは45~65質量部であり、さらに好ましくは50~60質量部である。充填剤の含有量が上記範囲内であることにより、研磨部のセルフドレス性が発現しやすくなり、新たな複合粒子が出現し続けることができるため、研磨レートが安定しやすく被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
複合粒子の含有量に対する充填剤の含有量の比は、好ましくは1.5~22.5であり、より好ましくは2.5~17.5であり、さらに好ましくは5.0~12.5である。複合粒子の含有量に対する充填剤の含有量の比が上記範囲内であることにより、複合粒子の間隔が適切となり、複合粒子への負荷が均等化しやすく、研磨レートをより安定して維持することができ、また得られる被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
1.2.4.補助粒子(第2の充填剤)
補助粒子としては、特に限定されないが、例えば50%累積体積粒径が0.5~4.5μmである無機粒子が挙げられる。研磨部がこのような補助粒子を含むことにより、複合粒子及び充填剤を研磨部において一層均一に分散させることができる傾向にあり、研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性がより向上する傾向にある。
このような補助粒子を構成する成分としては、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、硫酸バリウム、及び酸化セリウム等が挙げられる。この中でも、酸化アルミニウムが好ましく、白色アルミナがより好ましい。補助粒子としてこのような成分を用いることにより、充填剤のセルフドレス時に脱離した補助粒子がセルフドレスを補助するためか、研磨レートが向上する傾向にある。なお、これら補助粒子は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
補助粒子の50%累積体積粒径は、例えば0.5~4.5μmであり、好ましくは0.7~4.0μmであり、より好ましくは0.9~3.5μmである。補助粒子の50%累積体積粒径が上記範囲内であることにより、研磨レート向上の効果を得やすく、また得られる被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
補助粒子の含有量は、研磨部100質量部に対して、好ましくは1.0~10質量部であり、より好ましくは1.5~7.5質量部であり、さらに好ましくは2.5~5.0質量部である。補助粒子の含有量が上記範囲内であることにより、研磨レート向上の効果を得やすく、また得られる被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
複合粒子の含有量に対する補助粒子の含有量の比は、好ましくは0.25~2.5であり、より好ましくは0.30~1.5であり、さらに好ましくは0.40~1.0である。複合粒子の含有量に対する補助粒子の含有量の比が上記範囲内であることにより、研磨レート向上の効果を得やすく、また得られる被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
なお、補助粒子は、研磨部において、複合粒子の表面を被覆するように存在していてもよく、研磨部中単独で分散又は凝集していてもよい。
上記1.2.3.における充填剤は補助粒子を含む概念であってよく、その場合、1.2.3.における充填剤を第1の充填剤、補助粒子を第2の充填剤として区別してもよい。第1の充填剤は形状異方性を有する充填剤であってよく、第2の充填剤は、50%累積体積粒径が0.5~4.5μmである充填剤であってよい。あるいは、第1の充填剤は形状異方性を有し、かつ50%累積体積粒径が4.5~30μm(あるいは5.0~30μm)である充填剤であってよく、第2の充填剤は、50%累積体積粒径が0.5~4.5μmである充填剤であってよい。
なお、補助粒子は、研磨に寄与する成分であってもよい。この場合、補助粒子は研磨微粒子よりも研削力が低い粒子(モース硬度の低い、及び/又は粒子径の小さい粒子)である。換言すれば、研削力が高い粒子が研磨微粒子となる。例えば、ダイヤモンド粒子(モース硬度10)を研磨微粒子として用いた場合には、モース硬度が10未満の粒子を補助粒子として用いることができ、そのような粒子として酸化アルミニウム(モース硬度9)が挙げられる。当該酸化アルミニウムは50%累積体積粒径が0.5~4.5μmであってよい。
1.3.接着層
本実施形態の研磨パッドは、基材の研磨部とは反対側に、研磨機の研磨定盤に研磨パッドを貼着するための接着層をさらに備えてもよい。接着層は、従来知られている研磨パッドに用いられている接着剤又は粘着剤を含むものであってもよい。
接着層の材料としては、例えば、アクリル系接着剤、ニトリル系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤等の各種熱可塑性接着剤が挙げられる。また、接着層は、例えば両面テープであってもよい。
1.4.アンカー層
本実施形態の研磨パッドは、基材と研磨部との間にアンカー層を有していてもよい。アンカー層を有することにより、基材と研磨部との密着性をより向上する傾向にある。
アンカー層を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂コート剤が挙げられる。
以上、適宜図を参照して本実施形態の研磨パッドについて説明したが、基材と、基材上に配された研磨部と、を備え、研磨部が、樹脂と、複合粒子と、を含み、複合粒子が、研磨微粒子と、マトリクス粒子と、を含む前駆組成物から作製され、研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abが、0.50~1.1である限り、本実施形態の研磨パッドは上記において詳述した態様に限定されない。
本実施形態の研磨パッドは、例えば後述する本実施形態の研磨パッドの製造方法において製造される研磨パッドであってよい。そのような態様において、研磨パッドの各構成は、上記において詳述した態様の各構成を任意に採用することができる。
2.研磨パッドの製造方法
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、研磨微粒子と、マトリクス粒子とを含む前駆組成物から複合粒子を作製する工程(複合粒子作製工程)と、樹脂と、複合粒子とを含む硬化性組成物を基材の上に付着させる工程(付着工程)と、付着した硬化性組成物を硬化させて研磨部を得る工程(硬化工程)と、を有し、研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abが、0.50~1.1である。本実施形態の研磨パッドの製造方法は、上記した接着層及び/又はアンカー層を形成する工程を有していてもよい。
2.1.複合粒子作製工程
複合粒子作製工程は、研磨微粒子と、マトリクス粒子とを含む前駆組成物から複合粒子を作製する工程である。本工程において原料として用いる研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abは、0.50~1.1である。本工程は、研磨微粒子とマトリクス粒子とを含む前駆組成物から複合粒子を作製することができれば特に限定されないが、例えば以下の各工程を含んでいてもよく、少なくとも前駆粒子作製工程及び焼成工程を含むと好ましい。
2.1.1.マトリクス粒子整粒工程
複合粒子作製工程は、第1工程としてマトリクス粒子を粉砕することにより整粒する工程(マトリクス粒子整粒工程)を含んでいてよい。本工程は、市販のマトリクス粒子を粉砕することにより、比D50Ma/D50Abが上記の範囲内となるようにマトリクス粒子の粒径を調整する工程である。
マトリクス粒子としては、特に限定されないが、例えば、ケイ酸塩ガラスからなるガラスフリット、ホウケイ酸塩ガラスからなるガラスフリット、リン酸塩ガラスからなるガラスフリット、ビスマス系ガラスからなるガラスフリット等のガラスフリットが挙げられ、ホウケイ酸塩ガラスからなるガラスフリットが好ましい。ホウケイ酸塩からなるガラスフリットの構成成分としては、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等が挙げられる。このなかでも、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カルシウムを含むガラスフリット、二酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛を含むガラスフリットが好ましい。このようなマトリクス粒子を用いることにより、コンディショニングによりマトリクス粒子の粉砕による研磨粒子の破砕が起きずに、研磨微粒子を保持することのできる強度のある複合粒子が得られる。これにより、研磨性能をより安定して維持することができる傾向にある。なお、これらマトリクス粒子は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本工程において、マトリクス粒子は、例えばボールミルを用いた湿式粉砕法により粉砕すればよい。例えば溶媒は水であってよく、ボールミルはアルミナボールであってよい。ボールミルによる粉砕は、好ましくは200~500rpm、より好ましくは300~450rpmで、好ましくは12~36時間、より好ましくは18~30時間行ってよい。
2.1.2.前駆粒子作製工程
複合粒子作製工程は、研磨微粒子と、マトリクス粒子と、バインダー樹脂とを含む前駆組成物から前駆粒子を作製する工程(前駆粒子作製工程)と、当該前駆粒子を焼成して複合粒子を作製する工程(焼成工程)と、を含んでいてよい。前駆組成物は、バインダー樹脂を含んでいなくてもよいが、含んでいることが好ましい。
前駆粒子作製工程は、研磨微粒子と、任意に整粒したマトリクス粒子と、バインダー樹脂と、溶媒とを混合して前駆組成物を調製し、次いで前駆組成物を造粒する工程であってよい。研磨微粒子としては、上記の1.研磨パッドで詳述した構成を有するものを用いてよく、好ましい態様等も同様である。
本工程において、原料として用いる研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abは0.50~1.1である。
研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abは、被研磨物の種類や研磨工程の種類(1次ラッピング(粗ラッピング)、2次ラッピング(仕上げラッピング)、ポリッシング等)に応じて適宜調整すればよい。例えば、1次ラッピングの場合は50%累積体積粒径D50Abが比較的大きい研磨微粒子を用いればよく、2次ラッピングの場合は50%累積体積粒径D50Abが1次ラッピングの場合より小さい研磨微粒子を用いればよく、ポリッシングの場合は50%累積体積粒径D50Abが2次ラッピングの場合より小さい研磨微粒子を用いればよい。研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abは、好ましくは1.0~30μmであり、より好ましくは1.5~10μmであり、さらに好ましくは2.0~7.5μmであり、さらにより好ましくは3.0~5.0μmである。50%累積体積粒径D50Abが上記範囲内であることにより、研削レートが著しく低下し研削効率の低下を招くことと、研磨微粒子により被研磨物へ深い傷が形成されることにより次工程への研磨負荷が増大し過ぎることを抑制することができる。なお、原料として用いる研磨微粒子のサイズと研磨パッドの研磨部内に含まれる複合粒子中の研磨微粒子のサイズとは概ね同等であると推察される。
マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maは、D50Ab及び上記比D50Ma/D50Abに応じて適宜調整すればよいが、好ましくは1.0~30μmであり、より好ましくは1.5~8.0μmであり、より好ましくは2.0~5.0μmであり、さらに好ましくは2.5~4.5μmである。50%累積体積粒径D50Maが上記範囲内であることにより、研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性がより向上する傾向にある。
マトリクス粒子の粒径分布において、10%累積体積粒径D10Ma、90%累積体積粒径D90Ma、及び50%累積体積粒径D50Maは、好ましくは下記式(1)を満たす。
式(1):1.0≦(D90Ma-D10Ma)/D50Ma≦2.0
マトリクス粒子の粒径分布が上記式(1)を満たすことにより、マトリクス粒子の粒径分布が適度な分散となる。すなわち、50%累積体積粒径D50Maから極端にサイズの異なるマトリクス粒子が存在しない(50%累積体積粒径D50Ma近傍のサイズを有するマトリクス粒子が多く存在する)ためにマトリクス粒子と研磨微粒子とを均一に分散させることができる傾向にある。同様の観点から比(D90Ma-D10Ma)/D50は、より好ましくは1.2~1.9であり、さらに好ましくは1.4~1.8である。
マトリクス粒子の粒径分布において、10%累積体積粒径D10Ma、90%累積体積粒径D90Ma、及び50%累積体積粒径D50Maは、好ましくは下記式(2)を満たす。
式(2):0.35≦(D50Ma-D10Ma)/(D90Ma-D10Ma)≦0.50
マトリクス粒子の粒径分布が上記式(2)を満たすことにより、50%累積体積粒径よりも大きい粒子に比べて小さい粒子の量が多くなり、50%累積体積粒径近傍の粒子径を有するマトリクス粒子や研磨微粒子の間に当該小さいマトリクス粒子が密に充填される傾向にある。これにより、複合粒子における研磨微粒子の保持力がより好適な範囲となる傾向にある。同様の観点から比(D50Ma-D10Ma)/(D90Ma-D10Ma)は、より好ましくは0.36~0.47であり、さらに好ましくは0.37~0.45である。
同様の観点から、マトリクス粒子の10%累積体積粒径D10Maは、好ましくは0.3~10μmであり、より好ましくは0.5~5.0μmであり、さらに好ましくは0.7~1.3μmである。
同様の観点から、マトリクス粒子の90%累積体積粒径D90Maは、好ましくは2.0~60μmであり、より好ましくは2.5~20μmであり、さらに好ましくは3.0~10μmである。
前駆粒子の作製に用いる前駆組成物において、マトリクス粒子の含有量に対する研磨微粒子の含有量の比は、質量比で、好ましくは0.25~2.0であり、より好ましくは0.30~1.0であり、さらに好ましくは0.35~0.70である。上記含有量の比が上記範囲内であることにより、複合粒子内の研磨微粒子の分散性が向上し、研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性がより向上する傾向にある。
研磨微粒子の含有量は、前駆組成物のバインダー樹脂及び溶媒を除く成分の合計100質量部に対して、好ましくは5.0~50質量部であり、より好ましくは10~45質量部であり、さらに好ましくは15~40質量部である。研磨微粒子の含有量が上記範囲内であることにより、研磨微粒子と被研磨物との接点が適度に多くなり、各研磨微粒子にかかる負荷が適度に分散されるため、研磨レートをより安定して維持することができ、また研磨により得られる被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
マトリクス粒子の含有量は、前駆組成物のバインダー樹脂及び溶媒を除く成分の合計100質量部に対して、好ましくは50~95質量部であり、より好ましくは55~90質量部であり、さらに好ましくは60~85質量部である。マトリクス粒子の含有量が50質量部以上であると、研磨微粒子と研磨微粒子との間隔が適度に広がり、研磨加工時に研磨微粒子とワークとの接点が少なくなり、研磨微粒子1粒当たりに適度な負荷がかかるようになり、研削力がより向上する傾向にある。マトリクス粒子の含有量が95質量部以下であると、逆に各研磨微粒子にかかる負荷が適度に分散されるため、研磨レートをより安定して維持することができ、また研磨により得られる被研磨物の表面粗さがより低下する傾向にある。
本工程において、前駆組成物を造粒後、前駆粒子と補助粒子を混合してもよい。この場合、前駆粒子の表面を被覆するように補助粒子が付加されてもよい。補助粒子は、上記の1.研磨パッドで詳述した構成及び好ましい態様等を有していてよく、各成分の含有量比が上記の1.研磨パッドで詳述した含有量比となるように配合比を調整してよい。
バインダー樹脂としては、研磨微粒子及びマトリクス粒子を結合することができ、以下の焼成工程により熱分解させることのできる樹脂が好ましい。水溶性の樹脂がより好ましく、そのような樹脂としてはバインダーとして汎用のものを使用すればよい。例えばデキストリン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、及びポリアクリルアミドが挙げられ、好ましくはデキストリンである。なお、これらのバインダー樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
バインダー樹脂の配合量は、研磨微粒子及びマトリクス粒子の合計100質量部に対して、好ましくは3.0~50質量部であり、より好ましくは5.0~40質量部であり、さらに好ましくは10~30質量部である。
溶媒としては、例えば水、メタノールやイソプロパノール等のアルコールが挙げられ、好ましくは水である。なお、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
溶媒の配合量は、研磨微粒子及びマトリクス粒子の合計100質量部に対して、好ましくは20~150質量部であり、より好ましくは50~120質量部であり、さらに好ましくは60~100質量部である。
前駆組成物には、上記成分以外に、その他の添加剤等を配合してもよい。その他の添加剤としては、解膠剤(分散剤)、及び界面活性剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記添加剤の配合量は、研磨微粒子及びマトリクス粒子の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~15質量部であり、より好ましくは0.5~12質量部であり、さらに好ましくは1~10質量部である。
前駆組成物を造粒する方法としては、噴霧乾燥機を用いた方法が挙げられる。この方法では、加熱された空気中に前駆組成物を噴霧し、溶媒を蒸発させることで前駆粒子を得ることができる。噴霧乾燥における乾燥温度は、溶媒を蒸発させることができる温度であれば特に限定されず、例えば溶媒として水を用いる場合は、150~250℃であってよい。
2.1.3.焼成工程
焼成工程は、上記前駆粒子作製工程により得られた前駆粒子を焼成することにより、複合粒子を得る工程である。焼成工程は、前駆粒子中のバインダー樹脂を熱分解させる工程であり、マトリクス粒子同士を融着させ、適度に結合させる工程である。
焼成工程における焼成温度は、好ましくはマトリクス粒子の屈伏点以上である。焼成温度がマトリクス粒子の屈伏点以上であると、マトリクス粒子同士が融着し、適度に結合する傾向にあり、複合粒子の安定性が一層向上する傾向にある。また、焼成温度が低過ぎる場合、マトリクス粒子同士が結合せず、複合粒子を作製することが困難である。
また、焼成温度は、好ましくはマトリクス粒子の屈伏点+150℃以下であり、より好ましくはマトリクス粒子の屈伏点+120℃以下であり、さらに好ましくはマトリクス粒子の屈伏点+100℃以下であり、さらにより好ましくはマトリクス粒子の屈伏点+80℃以下である。焼成温度がマトリクス粒子の屈伏点+150℃以下であると、複合粒子同士が結合することを抑制しつつ、複合粒子が有する研磨微粒子の保持力を好適な範囲とすることができる傾向にある。また、焼成温度が高過ぎる場合、複合粒子同士が結合し焼成後に解砕する必要が生じるために複合粒子の形状がいびつとなり、複合粒子が有する研磨微粒子の保持力を損なうおそれがある。
焼成工程における焼成時間は、例えば、0.5~30時間である。
焼成工程における雰囲気は、特に限定されず、大気雰囲気でもよい。
2.2.付着工程
付着工程は、基材の上に、樹脂と、複合粒子とを含む硬化性組成物を付着させる工程である。この際に、研磨部が所望の凹凸パターンを形成するように、基材の上に硬化性組成物を付着させてもよい。
基材の上に硬化性組成物を付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、エンボスロール法、転写法等が挙げられる。これらの中では、複雑な凹凸パターンの形成のしやすさと生産性の観点から、スクリーン印刷法、もしくは転写法が好ましい。
スクリーン印刷法では、例えば凸部に相当する開口パターンを有する版を用意し、基材層となるPETフィルム上に間隙を設けて版を設置し、版の上に硬化性組成物を載せスキージに適度な圧力を加え版の開口部の硬化性組成物を押し付けながらスキージを移動させることで、硬化性組成物が押し出され印刷される。その後、硬化性組成物を硬化させることで基材層上にパターン付き研磨部からなる研磨パッドが得られる。
転写法では、例えば凸部に相当する凹部を有する転写型を作製し、この転写型に硬化性組成物を充填し、充填した硬化性組成物と基材層となるPETフィルムとを接着剤を介して結合させる。この後、PETフィルムの上から光照射によって硬化性組成物を硬化させ、フィルムを転写型から剥離し必要に応じて再度凸部に光照射を行い硬化させることで、基材層上にパターン付き研磨部からなる研磨パッドが得られる。
2.2.1.硬化性組成物
硬化性組成物としては、特に限定されないが、例えば、光重合開始剤及び重合性化合物を含む光硬化性組成物;熱重合開始剤及び重合性化合物を含む熱硬化性組成物;UV硬化樹脂;2液混合型の硬化樹脂を含む硬化性組成物等が挙げられる。また、硬化性組成物は、必要に応じて、重合性官能基を2以上有する架橋剤、分散剤、及び/又は光増感剤等を含んでもよい。
重合性化合物としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオチサントン系化合物が挙げられる。また、熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2’-アゾビスブチロニトリルのようなアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)などの過酸化物が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレア樹脂、ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
UV硬化樹脂としては、特に限定されないが、例えば、数平均分子量1000~10000程度のプレポリマーが良く、材料としてはアクリル(メタクリル)系エステルやそのウレタン変性物、チオコール系等が挙げられ、適宜用途に応じて反応性希釈剤や有機溶剤を用いることができる。また、2液混合型の硬化樹脂としては、特に限定されないが、例えば、異なる物性のプレポリマーを用いることができる。
硬化性組成物は、樹脂、複合粒子及び重合開始剤以外の成分を含んでいてよい。そのような成分としては、例えば上記の1.研磨パッドで詳述した充填剤及び補助粒子等が挙げられる。付着工程及び硬化工程等により得られる研磨部の各成分の含有量比が上記の1.研磨パッドで詳述した含有量比となるように、硬化性組成物の各成分の配合比を調整してよい。
2.3.硬化工程
硬化工程は、付着した前記硬化性組成物を硬化させて研磨部を得る工程である。硬化方法としては、特に限定されないが、例えば、光硬化、熱硬化等が挙げられる。得られる研磨部は、一部の複合粒子が表面に露出し、その他の複合粒子が樹脂中に埋め込まれたものとなる。また、充填剤や補助粒子を含む場合も同様に、一部のものが研磨部の表面に露出することとなる。
2.4.その他の工程
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、必要に応じて、その他の工程等を有してもよい。例えば、付着工程の後、硬化工程の前に硬化性組成物中の揮発成分の少なくとも一部を揮発除去する工程を有していてもよい。また、付着工程の後であって硬化工程の前、及び/又は、硬化工程の後に、所望の凹凸パターンを形成するために、硬化性組成物や研磨部の一部を除去する工程を有していてもよい。除去する方法としては、例えば、切削が挙げられる。
3.研磨加工品の製造方法
本実施形態の研磨加工品の製造方法は、クーラントの存在下、上記研磨パッドを用いて、被研磨物を研磨する研磨工程を有する方法であれば、特に限定されない。研磨工程は、1次ラッピング研磨(粗ラッピング)であってもよく、2次ラッピング(仕上げラッピング)であってもよく、ポリッシング研磨であってもよく、これらのうち複数の研磨を兼ねるものであってもよい。
被研磨物としては、特に限定されないが、例えば、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、SiC(炭化ケイ素)基板、GaAs(ガリウムヒ素)基板、ガラス、ハードディスクやLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板が挙げられる。このなかでも、本実施形態の研磨加工品の製造方法は、パワーデバイス、LED等に適用され得る材料、例えば、ガラス、サファイア、SiC、GaN、及びダイヤモンド等、研磨加工の困難な難加工材料の製造方法として好適に用いることができる。これらの中では、本実施形態の研磨パッドによる作用効果をより有効に活用できる観点から、ガラス材料が好ましい。
3.1.研磨工程
研磨工程は、クーラントの存在下、上記研磨パッドを用いて、被研磨物を研磨する工程である。研磨方法としては、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されない。
研磨方法では、まず、研磨装置の所定位置に研磨パッドを装着する。この装着の際には、上述の接着層を介して、研磨パッドが研磨装置に固定されるよう装着される。そして、研磨定盤としての研磨パッドと対向するように配置された保持定盤に保持させた被研磨物を研磨面側へ押し付けると共に、必要に応じて外部からクーラントを供給しながら、研磨パッド及び/又は保持定盤を回転させる。これにより、研磨パッドと被研磨物との間に供給されたクーラントの作用で研磨抵抗を下げ研磨屑を排出しながら、被研磨物の加工面(被研磨面)に研磨加工を施す。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[粒径分布]
以下の実施例において、粒子の粒径分布は、マイクロトラック・ベル株式会社製レーザー回折式粒子径分布計測定装置「マイクロトラックMT3300EXII」を用いて、測定時間10秒で、体積基準の粒子径の累積分布を測定した。測定時の屈折率は1.61、媒体(脱イオン水)の屈折率は1.333を用いた。
[実施例1]
(複合粒子の作製)
マトリクス粒子として、図3において実施例1として示すような粒径分布を有するガラスフリットを準備した。なお、図3中、実施例1、2及び比較例1のガラスフリットは、比較例2のガラスフリット(未粉砕)を粉砕することで作製したものである。
次いで、上記のガラスフリット33質量部と50%累積体積粒径4.3μmのダイヤモンド砥粒14質量部とを混合し、これに、12質量部のデキストリン(東海デキストリン製)及び41質量部の蒸留水を添加して、前駆組成物を調整した。その後、調製した前駆組成物をスプレードライヤー(オザワ精機社製 OSK 55MO102)にて噴霧乾燥(乾燥温度:200℃)して前駆粒子を形成した。続いて前駆粒子と白色アルミナ(フジミインコーポレーテッド社製 50%累積体積粒径3.0μm)を2:1の割合(質量比)で混合し、ガラスフリットの屈伏点に対し+50℃の温度(675℃)で2時間焼成し、ガラスフリット及びダイヤモンド砥粒からなる50%累積体積粒径が約30μmの複合粒子と、白色アルミナとの混合物を得た。
複合粒子の作製に用いたガラスフリット及びダイヤモンド砥粒に関して、ガラスフリットの50%累積体積粒径D50Ma、ダイヤモンド砥粒とガラスフリットとの50%累積体積粒径の比D50Ma/D50Ab、ガラスフリットの粒径分布における上記式(1)及び式(2)の値、並びにガラスフリットの10%累積体積粒径D10Ma及び90%累積体積粒径D90Maを表1に示す。
(硬化性組成物の調製)
96.9質量部のトリメチロールプロパントリアクリレート:トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート=7:3(質量比)の混合物(サートマー社製 SR368D)、1.6質量部の分散剤(日本ルーブリゾール社製 ソルスパース 32000)、1.0質量部の光重合開始剤(BASFジャパン社製 イルガキュア 819)、0.5質量部の光増感剤(川崎化成工業社製 アントラキュア UVS-581)を混合して、前駆体組成物を調製した。
次いで、上記のようにして得られた7.2質量部の複合粒子及び3.6質量部の白色アルミナの上記混合物、34.6質量部の上記前駆体組成物、並びに54.6質量部の珪灰石(50%累積体積粒径15.1μm,アスペクト比6)を混合して、硬化性組成物を調製した。
(研磨パッドの作製)
そして、得られた硬化性組成物を、深さ2mm、空洞開口部の寸法が2.6mm×2.6mm、隣接する開口の間隔が1mmの四角柱の凹部からなる成形用シリコーン凹版に流し込み、硬化性組成物の上面と接触するようにPET基材を配置した。そして、紫外線照射機で硬化性組成物に紫外線を照射することで硬化性組成物を硬化した。その後、得られた硬化体(研磨部)を成形型より取り外し、乾燥機で90度12時間加熱して、実施例1の複合粒子を含む研磨パッドを得た。
得られた研磨パッドの研磨部を切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。実施例1で作製した複合粒子のSEM像を図4に示す。図4において、ダイヤモンド砥粒が暗く、ガラスフリット同士が融着したマトリクスが明るく示されている。
[実施例2、比較例1,2]
図3において実施例2、及び比較例1,2として示すような粒径分布を有するガラスフリットを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ実施例2、及び比較例1,2の研磨パッドを得た。比較例1の複合粒子を上記実施例1と同様にして観察したSEM像を図5に示す。図5において、ダイヤモンド砥粒が暗く、ガラスフリット同士が融着したマトリクスが明るく示されている。
複合粒子の作製に用いたガラスフリット及びダイヤモンド砥粒に関して、ガラスフリットの50%累積体積粒径D50Ma、ダイヤモンド砥粒とガラスフリットとの50%累積体積粒径の比D50Ma/D50Ab、ガラスフリットの粒径分布における上記式(1)及び式(2)の値、並びにガラスフリットの10%累積体積粒径D10Ma及び90%累積体積粒径D90Maを表1に示す。
Figure 2023148907000002
[圧縮破壊強度試験]
微小圧縮試験機(島津製作所社製 MCT-W500)を用いて実施例1,2及び比較例1,2で作製した複合粒子の日本産業規格(JIS R 1639-5:2007)に準じる圧縮破壊強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2023148907000003
ガラスフリットの50%累積体積粒径が2.8μmの実施例1、ガラスフリットの50%累積体積粒径が3.8μmの実施例2は100MPa以上の高い圧縮破壊強度を示した。特にダイヤモンド砥粒とより50%累積体積粒径の近い実施例2がより高い圧縮破壊強度を示した。ガラスフリットの50%累積体積粒径が5.0μmの比較例1、ガラスフリットの50%累積体積粒径が10.9μmの比較例2は比較的低い圧縮破壊強度を示した。
[研磨試験]
各実施例及び比較例の研磨パッドについて、以下の試験条件でガラス研磨試験を行い、試験後のガラスの表面粗さを測定した。
(研磨条件)
試験機 :Speedfam卓上研磨機(定盤サイズ305mmφ)
ドレッサー :WA砥石#1000
ドレス時間 :5~20分間
荷重 :200g/cm
回転数 :80rpm
時間 :10分間/バッチ×7バッチ
ルブリカント:サブレルブ9016(Chemetall社製)10倍希釈水溶液
液量 :30mL/min
被研磨物 :ガラス(50mm×50mm)
(被研磨物の表面粗さSa)
研磨後の被研磨物の表面について、表面粗さSaを、光干渉計(Zgyo製 NewView 5010)を用いて測定した。上記研磨試験の3バッチ目の被研磨物に対する7バッチ目の被研磨物の表面粗さの変化率を計算することで、研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性を評価した。
(評価基準)
〇:3バッチ目に対する7バッチ目の表面粗さの変化率が20%未満
×:3バッチ目に対する7バッチ目の表面粗さの変化率が20%以上
Figure 2023148907000004
実施例1は複合粒子中にダイヤモンド粒子が均一に分散し、かつ圧縮破壊強度が高い(すなわち複合粒子における研磨微粒子の保持力が高いと推察される。)ため、安定した研磨が可能であった。一方、比較例2は複合粒子中のダイヤモンド砥粒が不均一に存在、かつ圧縮破壊強度が比較的低いため、研磨安定性に欠けていた。なお、実施例1、比較例2共に表面粗さは1μmを下回っていた。また、実施例2は実施例1と同様に研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性に優れるものである。また、比較例1は比較例2と同様に研磨により得られる被研磨物の面品位の経時安定性に劣るものである。
以上のように、所定の粒径比を有する研磨微粒子及びマトリクス粒子を用いて作製した複合粒子を含む本実施形態の研磨パッドは、そうでない比較例よりも、研磨により得られる被研磨物の面品位を安定して維持することができた。
本発明の研磨パッドの製造方法及び研磨パッドは、光学材料、半導体デバイス、ハードディスク用のガラス基板等のラッピングや研磨に適した研磨パッドの製造方法及び研磨パッドとして産業上の利用可能性を有する。
10…研磨パッド、11…研磨部、12…基材、14…複合粒子、15…樹脂

Claims (13)

  1. 研磨微粒子と、マトリクス粒子とを含む前駆組成物から複合粒子を作製する工程と、
    樹脂と、前記複合粒子と、を含む硬化性組成物を基材の上に付着させる工程と、
    付着した前記硬化性組成物を硬化させて研磨部を得る工程と、を有し、
    前記研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、前記マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abが、0.50~1.1である、
    研磨パッドの製造方法。
  2. 前記マトリクス粒子の粒径分布において、10%累積体積粒径D10Ma、90%累積体積粒径D90Ma、及び前記50%累積体積粒径D50Maが、下記式(1)を満たす、
    請求項1に記載の研磨パッドの製造方法。
    式(1):1.0≦(D90Ma-D10Ma)/D50Ma≦2.0
  3. 前記マトリクス粒子の粒径分布において、10%累積体積粒径D10Ma、90%累積体積粒径D90Ma、及び前記50%累積体積粒径D50Maが、下記式(2)を満たす、
    請求項1又は2に記載の研磨パッドの製造方法。
    式(2):0.35≦(D50Ma-D10Ma)/(D90Ma-D10Ma)≦0.50
  4. 前記前駆組成物における、前記マトリクス粒子の配合量に対する前記研磨微粒子の配合量の比が、質量比で0.25~2.0である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  5. 前記マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maが、1.0~30μmである、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  6. 前記研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abが、1.0~30μmである、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  7. 前記硬化性組成物における前記複合粒子の配合量が、前記硬化性組成物100質量部に対して、1.5~20質量部である、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  8. 前記マトリクス粒子が、ガラスフリットを含む、
    請求項1~7のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  9. 前記研磨微粒子が、ダイヤモンド、酸化セリウム、炭化ケイ素、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  10. 前記硬化性組成物が、50%累積体積粒径が5.0~30μmである充填剤をさらに含む、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  11. 前記硬化性組成物が、50%累積体積粒径が0.5~4.5μmである補助粒子をさらに含む、
    請求項1~10のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
  12. 基材と、該基材上に配された研磨部と、を備え、
    該研磨部は、樹脂と、複合粒子と、を含み、
    前記複合粒子は、研磨微粒子と、マトリクス粒子と、を含む前駆組成物から作製され、
    前記研磨微粒子の50%累積体積粒径D50Abと、前記マトリクス粒子の50%累積体積粒径D50Maとの比D50Ma/D50Abが、0.50~1.1である、
    研磨パッド。
  13. 請求項1~11のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法により製造される、研磨パッド。
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