JP2023146446A - 接合金物、角形鋼管、および、突合せ溶接接合構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】角形鋼管の突合せ溶接において角形鋼管の偏心を抑えるとともに、力の伝達を適切に行う。【解決手段】断面における辺の長さは互いに略同一であるが角部の半径が互いに異なる2つの角形鋼管の軸線方向端部同士が接合された突合せ溶接接合部に配置される接合金物であって、2つの角形鋼管の軸線方向端部での角部における半径差及び板厚差により定まる段差が設けられた角部接合金物と、2つの角形鋼管の軸線方向端部での平坦部における板厚差により定まる段差が設けられた平坦部接合金物と、を備える。【選択図】図6
Description
本開示は、2つの角形鋼管で、断面における辺の長さは互いに略同一であるが、角部の半径が互いに異なる角形鋼管を突合せ接合する技術に関する。
角形鋼管の角部における半径は成形方法(プレス成形、ロール成形)および板厚に依存する。特許文献1には断面の辺長が略同一で板厚の寸法および角部の曲率寸法が異なる角形鋼管どうしを突合せ溶接してなる継手構造であって、板厚の薄い方の角形鋼管の端部の内側面に取り付けられ、板厚の厚い方の角形鋼管の端部に向けて突出した第一裏当て金と、板厚の厚い方の角形鋼管の端部の角部の内側面に取り付けられた第二裏当て金とを有し、第一裏当て金と第二裏当て金とが当接状態にあり、角形鋼管同士を突合せ溶接してなることを特徴とする突合せ溶接継手構造が開示されている。
従来のような裏当て金を具備する突合せ溶接接合構造では、突き合せた角形鋼管に大きな偏心を生じやすく、また、溶接部を通しての角形鋼管の力の伝達を適切に行うことができなかった。
そこで本開示は、角形鋼管の突合せ溶接において角形鋼管の偏心を抑えるとともに、力の伝達を適切に行うことを目的とする。
本願は、断面における辺の長さは互いに略同一であるが角部の半径が互いに異なる2つの角形鋼管の軸線方向端部同士が接合された突合せ溶接接合部に配置される接合金物であって、2つの角形鋼管の軸線方向端部での角部における半径差及び板厚差により定まる段差が設けられた角部接合金物と、2つの角形鋼管の軸線方向端部での平坦部における板厚差により定まる段差が設けられた平坦部接合金物と、を備える、接合金物を開示する。
また、本願は、断面における辺の長さは互いに略同一であるが角部の半径が互いに異なる2つの角形鋼管が突合せ溶接されてなる構造体に用いられる角形鋼管であって、2つの角形鋼管のうち角部の半径が小さい側であり、角形鋼管の軸線方向端部の断面中心側に上記接合金物の一方の端部が溶接により接合されている、角形鋼管を開示する。
本願は、断面における辺の長さは互いに略同一であるが角部の半径が異なる2つの角形鋼管が突合せ溶接されてなる構造体であって、2つの角形鋼管の軸線方向端部同士を渡すように配置された上記の接合金物が2つの角形鋼管のそれぞれに溶接接合されている、突合せ溶接接合構造体を開示する。
本開示によれば、角部の半径が互いに異なる2つの角形鋼管の突合せ溶接において、角形鋼管の偏心を抑えるとともに、力の伝達を適切に行うことができる。
1.突合せ溶接接合構造体
図1~図6に1つの形態に係る突合せ溶接接合構造体10を説明する図を示した。図1が外観斜視図、図2は平面図であり図1の矢印Aの方向から突合せ溶接接合構造体10を見た図である。なお、図2ではわかりやすさのため鋼管11を点線で示している。
図3は図2のB-B断面であり角形鋼管11、12の対向する平坦部間の断面、図4は図2のC-C断面であり角形鋼管11、12の対角にある2つの角部間の断面である。図5は図3にDで示した部分を拡大した図であり平坦部における溶接部13の構造を説明する図、図6は図4にEで示した部分を拡大した図であり角部における溶接部13の構造を説明する図である。
図1~図6に1つの形態に係る突合せ溶接接合構造体10を説明する図を示した。図1が外観斜視図、図2は平面図であり図1の矢印Aの方向から突合せ溶接接合構造体10を見た図である。なお、図2ではわかりやすさのため鋼管11を点線で示している。
図3は図2のB-B断面であり角形鋼管11、12の対向する平坦部間の断面、図4は図2のC-C断面であり角形鋼管11、12の対角にある2つの角部間の断面である。図5は図3にDで示した部分を拡大した図であり平坦部における溶接部13の構造を説明する図、図6は図4にEで示した部分を拡大した図であり角部における溶接部13の構造を説明する図である。
図1~図6よりわかるように、突合せ溶接接合構造体10は、断面における辺の長さが略同一の2つの角形鋼管である鋼管11と鋼管12とが軸線方向に並べられており、その端面同士が対向するように配置されて溶接部13により接合されてなる構造体である。以下に各構成要素について説明する。
1.1.鋼管
上述したように突合せ溶接接合構造体10には軸線方向に並べて接合された断面における辺の長さが略同一の2つの角形鋼管である鋼管11及び鋼管12を備えている。鋼管11及び鋼管12自体は公知の角形鋼管であり特に限定されることはなく、その材質や寸法は規格等に沿ったものであってよい。
上述したように突合せ溶接接合構造体10には軸線方向に並べて接合された断面における辺の長さが略同一の2つの角形鋼管である鋼管11及び鋼管12を備えている。鋼管11及び鋼管12自体は公知の角形鋼管であり特に限定されることはなく、その材質や寸法は規格等に沿ったものであってよい。
ただし、本形態では、鋼管11と鋼管12とでは断面における辺の長さが略同一であるが、板厚及び角部の半径が異なる。具体的には、下側の鋼管11は上側の鋼管12より厚く形成されている。また、厚く形成された鋼管11の角部の半径は、薄く形成された上側の鋼管12の角部の半径よりも大きい。
また、図5からわかるように、鋼管11と鋼管12とでは平坦部においてその外面(紙面左側の面)が軸線Oの方向に沿って一致する位置となるように配置される。これにより鋼管11と鋼管12とはその板厚の差に起因して内面(中心側の面、紙面右側の面)において軸線Oの方向に一致せず、径方向の位置にずれを有している。
一方、図6からわかるように、鋼管11と鋼管12とでは角部において鋼管11と鋼管12との板厚差及び半径の差に起因して外面と内面との両方で軸線Oの方向において一致せず径方向の位置でずれを有している。図6にd0で示した寸法は外面におけるずれの大きさである。
一方、図6からわかるように、鋼管11と鋼管12とでは角部において鋼管11と鋼管12との板厚差及び半径の差に起因して外面と内面との両方で軸線Oの方向において一致せず径方向の位置でずれを有している。図6にd0で示した寸法は外面におけるずれの大きさである。
鋼管11、鋼管12の端面形状は特に限定されることはないが、図5、図6の鋼管12側の端面に表れているように、内面側から外面側に向けて傾斜するように構成してもよい。本形態のように鋼管12の端面を外面側が鋭角になるように傾斜させることにより、後述する第一溶接金属部16aと平坦部接合金物14、角部接合金物15との接合面を大きくとることができるため接合に有利である。本形態は鋼管12の端面のみに傾斜を設けたが、鋼管11にのみ、又は、いずれの鋼管にも傾斜設けてもよいし、いずれの端面にもこのような傾斜を設けなくてもよい。
1.2.溶接部
1.2.1.第一の形態
上述したように2つの鋼管11、12はその端面同士が対向するように配置され、その間に具備される溶接部13により接合されたいわゆる突合せ溶接接合による構造体である。ここで、本形態の溶接部13は接合金物を構成する平坦部接合金物14、接合金物を構成する角部接合金物15、および溶接金属部16を具備している。
1.2.1.第一の形態
上述したように2つの鋼管11、12はその端面同士が対向するように配置され、その間に具備される溶接部13により接合されたいわゆる突合せ溶接接合による構造体である。ここで、本形態の溶接部13は接合金物を構成する平坦部接合金物14、接合金物を構成する角部接合金物15、および溶接金属部16を具備している。
[接合金物]
接合金物である平坦部接合金物14および角部接合金物15は、鋼管11および鋼管12の内面に接触して両鋼管を渡すように配置され、両鋼管が対向する部位の内周に沿った方向に延びる部材である。図2からわかるように平坦部接合金物14は鋼管11、鋼管12の平坦部に配置された接合金物であるため直線状に延びている。一方、角部接合金物15は鋼管11、鋼管12の角部に配置された接合金物であるため鋼管の角部に沿って湾曲するように延びている。
接合金物である平坦部接合金物14および角部接合金物15は、鋼管11および鋼管12の内面に接触して両鋼管を渡すように配置され、両鋼管が対向する部位の内周に沿った方向に延びる部材である。図2からわかるように平坦部接合金物14は鋼管11、鋼管12の平坦部に配置された接合金物であるため直線状に延びている。一方、角部接合金物15は鋼管11、鋼管12の角部に配置された接合金物であるため鋼管の角部に沿って湾曲するように延びている。
本形態では平坦部接合金物14および角部接合金物15はいずれも鋼管11及び鋼管12の内面に対向する側に段差面14c、15cを具備している。より具体的には平坦部接合金物14および角部接合金物15は、鋼管12の内面に対向する面14a、15a、鋼管11の内面に対向する面14b、15bを有しており、この面14a、15aと面14b、15bとは鋼管11、鋼管12の径方向に位置が異なるようにずれを有しているため面14a、15aと面14b、15bとを結ぶように段差面14c、15cを具備している。段差面14c、15cは本形態のように鋼管11、12の軸線Oが延びる方向に対して傾斜した傾斜面であってもよいし、径方向(軸線Oが延びる方向に対して直交する方向)に延びる面であってもよい。段差面14c、15cが傾斜する場合における傾斜角は特に限定されることはないが、20°以上70°以下であることが好ましい。
段差面14c、15cにおける段差の程度は、鋼管11と鋼管12との内面における径方向位置のずれの大きさによるが、平坦部に配置される平坦部接合金物14の段差面14cは鋼管11と鋼管12との板厚差に起因する段差、角部に配置される角部接合金物15の段差面15cは鋼管11と鋼管12との板厚差および角部の半径の差に起因する段差となる。
なお、鋼管11の内面の方が鋼管12の内面よりも軸線Oに近いため、鋼管11に接する面14b、15bの方が鋼管12に接する面14a、15aよりも軸線Oに近く(中央側)なる。
なお、鋼管11の内面の方が鋼管12の内面よりも軸線Oに近いため、鋼管11に接する面14b、15bの方が鋼管12に接する面14a、15aよりも軸線Oに近く(中央側)なる。
平坦部接合金物14、角部接合金物15の厚さは特に限定されることはなく、必要な強度が具備されればよい。目安として鋼管11又は鋼管12と同程度の厚さである。厚さは一様であってもよく(後述する角部接合金物15)、図5、図6に表れているように、段差面14c、15cが具備される側とは反対側の面が平坦であってもよい。平坦である場合には面14a、15a側が厚く、面14b、15b側が薄くなる。
また、平坦部接合金物14、角部接合金物15が延びる方向の大きさ(鋼管11、12の内周に沿った方向の大きさ)は特に限定されることはないが、平坦部接合金物14および角部接合金物15で鋼管11、鋼管12の接合部における内周の大部分を覆うように配置されることが好ましい。このとき、平坦部接合金物14と角部接合金物15とは接触していても接触していなくてもよい。
また、平坦部接合金物14、角部接合金物15が延びる方向の大きさ(鋼管11、12の内周に沿った方向の大きさ)は特に限定されることはないが、平坦部接合金物14および角部接合金物15で鋼管11、鋼管12の接合部における内周の大部分を覆うように配置されることが好ましい。このとき、平坦部接合金物14と角部接合金物15とは接触していても接触していなくてもよい。
平坦部接合金物14、角部接合金物15の材質は、必要な強度および溶接性が確保することができれば特に限定されることはないが、例えば鋼管11又は鋼管12のいずれか低い強度の方と同等の強度を有する材料を用いることができる。
[溶接金属部]
溶接金属部16は、溶接による接合のための溶接金属が配置された部位である。溶接金属の材料は必要な強度および溶接性が確保することができれば特に限定されることはないが、例えば鋼管11又は鋼管12のいずれか低い強度の方と同等の強度を有する材料を用いることができる。本形態で溶接金属部16は、図5、図6に表れているように、第一溶接金属部16a及び第二溶接金属部16bを備えている。
溶接金属部16は、溶接による接合のための溶接金属が配置された部位である。溶接金属の材料は必要な強度および溶接性が確保することができれば特に限定されることはないが、例えば鋼管11又は鋼管12のいずれか低い強度の方と同等の強度を有する材料を用いることができる。本形態で溶接金属部16は、図5、図6に表れているように、第一溶接金属部16a及び第二溶接金属部16bを備えている。
第一溶接金属部16aは、角部における半径が小さく、板厚が薄い鋼管12と平坦部接合金物14、角部接合金物15とを接合する溶接金属部である。本形態では、第一溶接金属部16aは鋼管12の端面と接合金物14、15の面14a、15aを接合するように配置される。
一方、第二溶接金属部16bは角部における半径が大きく、板厚が厚い鋼管11と平坦部接合金物14、角部接合金物15とを接合するとともに、鋼管11の端面と鋼管12の端面とを第一溶接金属部16aを介して、又は、直接に、接合するように配置された溶接金属部である。本形態では第一溶接金属部16aを介して第二溶接金属部16bにより鋼管11と鋼管12とが接合されている。
一方、第二溶接金属部16bは角部における半径が大きく、板厚が厚い鋼管11と平坦部接合金物14、角部接合金物15とを接合するとともに、鋼管11の端面と鋼管12の端面とを第一溶接金属部16aを介して、又は、直接に、接合するように配置された溶接金属部である。本形態では第一溶接金属部16aを介して第二溶接金属部16bにより鋼管11と鋼管12とが接合されている。
1.2.2.第二の形態
図7には第二の形態を説明する図で図6と同じ視点による図を示した。第二の形態では上述の溶接部13の代わりに溶接部23が適用されており、鋼管11、12については同様に考えることができる。また、ここでは溶接部23のうち角部について説明するが、平坦部についても同様に考えることができる。
本形態の溶接部23は角部接合金物25、および溶接金属部26を具備している。
図7には第二の形態を説明する図で図6と同じ視点による図を示した。第二の形態では上述の溶接部13の代わりに溶接部23が適用されており、鋼管11、12については同様に考えることができる。また、ここでは溶接部23のうち角部について説明するが、平坦部についても同様に考えることができる。
本形態の溶接部23は角部接合金物25、および溶接金属部26を具備している。
[接合金物]
角部接合金物25は、鋼管11および鋼管12の内面に接触して両鋼管を渡すように配置され、鋼管11と鋼管12とが対向する部位の内周に沿った方向に延びる部材である。上述したように角部接合金物25は鋼管11、鋼管12の角部に配置された接合金物であるため鋼管の角部に沿って湾曲するように延びている(図2の角部接合金物15と同様。)。
角部接合金物25は、鋼管11および鋼管12の内面に接触して両鋼管を渡すように配置され、鋼管11と鋼管12とが対向する部位の内周に沿った方向に延びる部材である。上述したように角部接合金物25は鋼管11、鋼管12の角部に配置された接合金物であるため鋼管の角部に沿って湾曲するように延びている(図2の角部接合金物15と同様。)。
本形態では角部接合金物25は面25a、面25b、段差面25cを有しているが、面25aは面15a、面25bは面15b、および、段差面25cは段差面15cにそれぞれ相当し、同様に考えることができる。
本形態の角部接合金物25は板厚が一定であるため、角部接合金物25のうち、鋼管11および鋼管12の内面に対向する面である面25a、面25b、段差面25cとは反対側(中心側)となる面も、面25a、面25b、および、段差面25cと同様の形状を具備している。このような接合金物によればプレス成形により製造がし易い形状である。
[溶接金属部]
溶接金属部26は、溶接による接合のための溶接金属が配置された部位である。溶接金属の材料は公知の通りでよい。本形態で溶接金属部26は、第一溶接金属部26a及び第二溶接金属部26bを備えている。
溶接金属部26は、溶接による接合のための溶接金属が配置された部位である。溶接金属の材料は公知の通りでよい。本形態で溶接金属部26は、第一溶接金属部26a及び第二溶接金属部26bを備えている。
第一溶接金属部26aは、角部の半径が小さく、板厚が薄い鋼管12と接合金物25とを接合する溶接金属部である。本形態では、第一溶接金属部26aは鋼管12の内面と角部接合金物25の端面(鋼管12側の端面)と、を接合するように配置される。
一方、第二溶接金属部26bは、角部における半径が大きく、板厚が厚い鋼管11と角部接合金物25と、を接合するとともに、鋼管11の端面と鋼管12の端面とを第一溶接金属部26aを介して、又は、直接に、接合するように配置された溶接金属部である。本形態では第二溶接金属部16bにより鋼管11と鋼管12とが直接接合されている。
一方、第二溶接金属部26bは、角部における半径が大きく、板厚が厚い鋼管11と角部接合金物25と、を接合するとともに、鋼管11の端面と鋼管12の端面とを第一溶接金属部26aを介して、又は、直接に、接合するように配置された溶接金属部である。本形態では第二溶接金属部16bにより鋼管11と鋼管12とが直接接合されている。
[接合手順等]
図8に鋼管11と鋼管12とを接合する際の手順等について説明する図を示した。
本形態(および先に説明した第一の形態も同様に考えることができる。)では、図8に示したように、初めに角部の半径が小さい鋼管12の端部に第一溶接金属部26aにより角部接合金物25を接合した角形鋼管を作製する。このような角形鋼管は工場等で予め作製することができる(平坦部接合金物も同様に予め接合することができる。)。
このようにして予め準備した角形鋼管を設置現場に搬送し、当該設置現場で鋼管11を鋼管12に突き合わせて第二溶接金属部26bを形成することで両者を接合し、突合せ溶接接合構造体10とすることができる。このとき、鋼管12には予め角部接合金物25が付いているので、鋼管11を配置する際には角部接合金物25(および平坦部接合金物)をガイドとして利用することができる。また、径方向の位置決め精度が高いため偏心を抑制することが可能となる。
図8に鋼管11と鋼管12とを接合する際の手順等について説明する図を示した。
本形態(および先に説明した第一の形態も同様に考えることができる。)では、図8に示したように、初めに角部の半径が小さい鋼管12の端部に第一溶接金属部26aにより角部接合金物25を接合した角形鋼管を作製する。このような角形鋼管は工場等で予め作製することができる(平坦部接合金物も同様に予め接合することができる。)。
このようにして予め準備した角形鋼管を設置現場に搬送し、当該設置現場で鋼管11を鋼管12に突き合わせて第二溶接金属部26bを形成することで両者を接合し、突合せ溶接接合構造体10とすることができる。このとき、鋼管12には予め角部接合金物25が付いているので、鋼管11を配置する際には角部接合金物25(および平坦部接合金物)をガイドとして利用することができる。また、径方向の位置決め精度が高いため偏心を抑制することが可能となる。
[変形例]
図9には角部接合金物25を用いた溶接金属部23の変形例を説明する図を示した。図9は図7と同じ視点による図である。
この例では角部接合金物25の段差面25cが鋼管11と鋼管12との間ではなく、径方向で鋼管12に重なる位置に配置され、さらなる他の第一溶接金属部26aが鋼管12の内面と段差面25cとの間に形成されている。そして第二溶接金属部26bが鋼管11の端面、鋼管12の端面、および、他の第一溶接金属部26aに接合するように配置される。
このような溶接金属部26によっても上述と同様の効果を奏し、同様の接合手順による突合せ溶接接合構造体の形成を行うことができる。また、平坦部接合金物でも同様の形態とすることができる。
図9には角部接合金物25を用いた溶接金属部23の変形例を説明する図を示した。図9は図7と同じ視点による図である。
この例では角部接合金物25の段差面25cが鋼管11と鋼管12との間ではなく、径方向で鋼管12に重なる位置に配置され、さらなる他の第一溶接金属部26aが鋼管12の内面と段差面25cとの間に形成されている。そして第二溶接金属部26bが鋼管11の端面、鋼管12の端面、および、他の第一溶接金属部26aに接合するように配置される。
このような溶接金属部26によっても上述と同様の効果を奏し、同様の接合手順による突合せ溶接接合構造体の形成を行うことができる。また、平坦部接合金物でも同様の形態とすることができる。
2.他の例にかかる突合せ溶接接合構造体
図10に他の例にかかる突合せ溶接接合体を説明する図を示した。図10は図7と同様の視点による図である。本例では、突き合せられる2つの鋼管である鋼管11と鋼管12’とが同じ板厚を有するが、角部における半径が異なる例である。板厚が同じである一方で角部の半径が異なる場合として鋼管の製造方法の違いによる場合が挙げられる。例えば、1つの製造方法として円形の鋼管を4方向からサイジングして角形鋼管に成形する方法(BCR(登録商標))が挙げられ、他の製造方法として厚板をプレスにより曲げ加工してシーム部をアーク溶接して成形する方法(BCP(登録商標))が挙げられる。
また、本例では接合部23は図7で説明した溶接部と同じ構成としている。
この場合、突合せ接合される2つの鋼管11、12’は板厚が同じなので平坦部では平坦な板状の接合金物を用いればよい。
図10に他の例にかかる突合せ溶接接合体を説明する図を示した。図10は図7と同様の視点による図である。本例では、突き合せられる2つの鋼管である鋼管11と鋼管12’とが同じ板厚を有するが、角部における半径が異なる例である。板厚が同じである一方で角部の半径が異なる場合として鋼管の製造方法の違いによる場合が挙げられる。例えば、1つの製造方法として円形の鋼管を4方向からサイジングして角形鋼管に成形する方法(BCR(登録商標))が挙げられ、他の製造方法として厚板をプレスにより曲げ加工してシーム部をアーク溶接して成形する方法(BCP(登録商標))が挙げられる。
また、本例では接合部23は図7で説明した溶接部と同じ構成としている。
この場合、突合せ接合される2つの鋼管11、12’は板厚が同じなので平坦部では平坦な板状の接合金物を用いればよい。
2つの鋼管11、12’の板厚が同じで角部の半径が異なる組み合わせの突合せ溶接接合構造体に対しては角部において上述した接合金物を用いればよい。
この場合で、一方にBCR(登録商標)による鋼管、他方にBCP(登録商標)による鋼管を用いた場合、角部の半径は、BCR(登録商標)で2.5±0.5t、BCP(登録商標)で3.5±0.5t(tは板厚)であることを考慮すると、図10に示したd0は次のように算出することができる。
d0=2.5t+20.5(3.5-2.5)t-3.5t
≒0.41t
すなわち、下側の鋼管11が突合せ状態にある場合、上側の鋼管12’は最大で断面の41%を隅肉で伝達させる必要があるが、板厚程度の脚長の隅肉で十分伝達できることがわかる。
d0=2.5t+20.5(3.5-2.5)t-3.5t
≒0.41t
すなわち、下側の鋼管11が突合せ状態にある場合、上側の鋼管12’は最大で断面の41%を隅肉で伝達させる必要があるが、板厚程度の脚長の隅肉で十分伝達できることがわかる。
3.効果等
本開示の接合金物、角形鋼管、および、突合せ溶接接合構造体によれば、断面における辺の長さが互いに略同一であるが、角部の半径が互いに異なる2つの角形鋼管が突合せ溶接において、角形鋼管の偏心を抑えるとともに、力の伝達を適切に行うことができる。
本開示の接合金物、角形鋼管、および、突合せ溶接接合構造体によれば、断面における辺の長さが互いに略同一であるが、角部の半径が互いに異なる2つの角形鋼管が突合せ溶接において、角形鋼管の偏心を抑えるとともに、力の伝達を適切に行うことができる。
また、本開示の接合金物、角形鋼管、および、突合せ溶接接合構造体によれば、次のような構造体に応用することも可能である。図11および図12に説明のための図を示した。
板厚や角部の半径が異なる2つの角形鋼管を軸線方向に配置する場合、従来は図11のように短い鋼管であるサイコロ50の軸線方向両端に配置された平板である通しダイアフラム51、51を介して2つの角形鋼管52、53を接合していた。そして、この通しダイアフラム51の端面に梁(H型鋼)54が接合される。
これに対して本開示の突合せ溶接接合構造体を用いることができる。具体的には図12に示したように、突合せ溶接接合構造体10の鋼管11および鋼管12の内側に平板である内ダイアフラム1を溶接により接合し、内ダイアフラム1が配置された部位に対応する突合せ溶接接合構造体10の外面に梁(H型鋼)2を接合すればよい。
このように突合せ溶接接合構造体10によれば、サイコロ及び通しダイアフラムを用いることなく、内ダイアフラム形式で構造体を作製することができる。すなわち、内ダイアフラムの溶接に必要な柱継手において上下の鋼管柱を変更することにより、追加の加工不要で工数の低減を実現可能である。本開示を用いれば通しダイアフラムを接合するために鋼管に開先加工をすることも不要にできる。
このように突合せ溶接接合構造体10によれば、サイコロ及び通しダイアフラムを用いることなく、内ダイアフラム形式で構造体を作製することができる。すなわち、内ダイアフラムの溶接に必要な柱継手において上下の鋼管柱を変更することにより、追加の加工不要で工数の低減を実現可能である。本開示を用いれば通しダイアフラムを接合するために鋼管に開先加工をすることも不要にできる。
10 突合せ溶接接合構造体
11 角形鋼管
12 角形鋼管
13 溶接部
14 平坦部接合金物(接合金物)
15、25 角部接合金物(接合金物)
16 溶接金属部
11 角形鋼管
12 角形鋼管
13 溶接部
14 平坦部接合金物(接合金物)
15、25 角部接合金物(接合金物)
16 溶接金属部
Claims (3)
- 断面における辺の長さは互いに略同一であるが角部の半径が互いに異なる2つの角形鋼管の軸線方向端部同士が接合された突合せ溶接接合部に配置される接合金物であって、
2つの前記角形鋼管の前記軸線方向端部での前記角部における半径差及び板厚差により定まる段差が設けられた角部接合金物と、
2つの前記角形鋼管の前記軸線方向端部での前記平坦部における板厚差により定まる段差が設けられた平坦部接合金物と、を備える、
接合金物。 - 断面における辺の長さは互いに略同一であるが角部の半径が互いに異なる2つの角形鋼管の軸線方向端部同士が突合せ溶接されてなる構造体に用いられる角形鋼管であって、
前記2つの角形鋼管のうち前記角部の半径が小さい側であり、
前記角形鋼管の軸線方向端部の断面中心側に請求項1に記載の接合金物の一方の端部が溶接により接合されている、
角形鋼管。 - 断面における辺の長さは互いに略同一であるが角部の半径が互いに異なる2つの角形鋼管の軸線方向端部同士を突合せ溶接されてなる構造体であって、
前記2つの角形鋼管の軸線方向端部同士を渡すように配置された請求項1に記載の接合金物が前記2つの角形鋼管のそれぞれに溶接接合されている、突合せ溶接接合構造体。
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JP2022053637A JP2023146446A (ja) | 2022-03-29 | 2022-03-29 | 接合金物、角形鋼管、および、突合せ溶接接合構造体 |
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