JP2023146285A - 揚げ物用調理器具 - Google Patents

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大智 豊島
Daichi Toyoshima
健一 梁田
Kenichi Yanada
渉 古谷
Wataru Furuya
健一 安田
Kenichi Yasuda
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【課題】 花咲を実現する作業の作業性が向上された揚げ物用調理器具を提供すること。【解決手段】 本発明は、揚げ物を調理するための揚げ物用調理器具であって、上端から下端までの高さが55mm以上の筒状の型枠部材を備える。前記型枠部材の下端から上方側に30mm以上であって前記型枠部材の上端から下方側に25mm以上である高さ位置に設定された仮想油面線よりも下方の少なくとも一部の高さ領域に、複数の横貫通穴が設けられている。前記仮想油面線と当該仮想油面線から上方側に25mm以上である高さ位置に設定された仮想境界線との間の高さ領域には、横貫通穴が設けられていない。前記仮想境界線が設定されている高さ位置は、前記仮想油面線が設定されている高さ位置の1.5倍以上である。【選択図】 図1

Description

本発明は、揚げ物を調理するための揚げ物用調理器具に関する。
天麩羅やかき揚げ等の揚げ物類は、花咲(花チリと呼ばれることもある)という立体的な紋様に形成された外観を有するものが好まれる場合がある。
このような花咲を形成するために、
(1)フライ中の揚げ物が浮かび上がる前に、揚げ物付近の油面に衣材液(揚げ物用バッターと呼ばれることもある)を散らし、
(2)フライ中の揚げ物の衣材液と油面に散らした衣材液とがフライにより固まる前に、油面に散らした衣材液をフライ中の揚げ物へ纏わせる、
という作業が行われている。
この作業に用いられる従来の揚げ物用調理器具は、一般的に円筒状の型枠部材を備えており、フライヤーに対して当該型枠部材を設置(挿入)した際に当該型枠部材の上端が油面と同程度の高さになることを前提として設計されている。
当該型枠部材は、大別して、側面に貫通穴が設けられないタイプのものと、側面に複数の貫通穴が設けられたタイプのものと、がある。後者のタイプの方が、加熱された油の流通(循環)を許容ないし促進することで加熱温度を略一定に維持して揚げ物の表面の仕上がりを均一にすることができ、また、揚げ種や衣材液から飛散する水分を効果的に排出することでサクサクとした衣の食感を得ることができるため、好適である。後者のタイプの揚げ物用調理器具は、以下に紹介する特許文献1及び特許文献2に開示されている。
特開2003-024217 特開2012-034736
しかしながら、従来の揚げ物用調理器具では、前述のような作業を良好に行うために、すなわち、花咲を良好に形成するために、熟練の技術が必要であった。また、熟練者であっても、火焔のごとき外観の花咲を実現することは困難であった。
本件発明者は、揚げ物用調理器具について様々な観点から改良品を検討、試作、評価等する過程において、フライヤーに対して揚げ物用調理器具の型枠部材を設置(挿入)した際に当該型枠部材の上端が油面よりも高い位置にあるという場合に、前述のような作業の作業性が向上することを知見した。
更に、本件発明者は、想定される油面の高さ(例えば30mm以上)に更に25mm以上を加えた高さ位置(例えば55mm以上)であって、且つ、想定される油面の高さの1.5倍以上の高さ位置に境界線(境界面)を仮想した時に、当該仮想境界線と想定される油面の高さ(仮想油面線)との間の高さ領域には横貫通穴を設けないことが、例えば火焔のごとき外観の花咲を実現する上で効果的であるという知見を得るに至った。
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、花咲を実現する作業の作業性が向上された揚げ物用調理器具を提供することである。
本発明は、揚げ物を調理するための揚げ物用調理器具であって、上端から下端までの高さが55mm以上の筒状の型枠部材を備え、前記型枠部材の下端から上方側に30mm以上であって前記型枠部材の上端から下方側に25mm以上である高さ位置に設定された仮想油面線よりも下方の少なくとも一部の高さ領域に、複数の横貫通穴が設けられており、前記仮想油面線と当該仮想油面線から上方側に25mm以上である高さ位置に設定された仮想境界線との間の高さ領域には、横貫通穴が設けられておらず、前記仮想境界線が設定されている高さ位置は、前記仮想油面線が設定されている高さ位置の1.5倍以上であることを特徴とする揚げ物用調理器具である。
本発明によれば、フライヤーに対して型枠部材を設置(挿入)した際に当該型枠部材の上端が油面よりも高い位置にあるという使用状態を採用する際に、仮想油面線(想定される油面の高さ)と仮想境界線との間の25mm以上であって且つ油の深さの0.5倍以上である高さ領域に横貫通穴が設けられていないことにより(本件発明者は、当該領域内の空気の揺らぎが抑制されるためではないかと推測している)、花咲を形成する作業性が向上し、例えば火焔のごとき外観の花咲さえ実現することができる(図3及び図4)。
また、仮想油面線よりも下方の少なくとも一部の高さ領域に複数の横貫通穴が設けられていることにより、加熱された油の流通(循環)を許容ないし促進することができ、揚げ物の加熱温度が略一定に維持され、揚げ物の表面の仕上がりを均一にすることができる。更に、加熱された油の流通(循環)が許容ないし促進されるため、揚げ種や衣材液から飛散する水分を効果的に排出することができ、サクサクとした衣の食感(一般的に人気がある)を得ることができる。
例えば、前記複数の横貫通穴の各々は、3.5cm2以下の開口面積を有しており、前記複数の横貫通穴は、上下方向には1~3cmの間隔で、周方向には1~3cmの間隔で、略均等に設けられている。
この場合、加熱された油の流通(循環)をより効果的に許容ないし促進することができ、揚げ物の表面の仕上がりをより効果的に均一にすることができる。また、加熱された油の流通(循環)がより効果的に許容ないし促進されるため、揚げ種や衣材液から飛散する水分をより効果的に排出することができ、サクサクとした衣の食感(一般的に人気がある)をより効果的に得ることができる。
また、例えば、前記型枠部材は、少なくとも、前記仮想境界線よりも下方の領域において、円筒形状となっている。
これによれば、揚げ物用調理器具の製造コストが抑えられるし、花咲を形成する作業も行い易い。
この場合、前記型枠部材は、前記仮想境界線より上方の領域においても、円筒形状となっていることが好ましい。
これによれば、更に揚げ物用調理器具の製造コストが抑えられるし、花咲を形成する作業も行い易い。
あるいは、この場合、前記型枠部材は、前記仮想境界線より上方の領域において、切頭円錐形状となっていることが好ましい。
本件発明者によれば、上方側が狭められた切頭円錐形状が採用される場合において、より一層美しい花咲の形状を実現することができる(図3及び図4参照)。
また、例えば、前記型枠部材は、前記仮想油面線による内部断面の面積が、25~300cm2である。
本件発明者によれば、このように広いサイズバリエーションにおいて、本件発明の有効性が確認できた。
また、前記型枠部材の外側周面であって、前記仮想油面線に対応する高さ位置に、目安油面線が表示されていることが好ましい。
この場合、目安油面線を用いて、予め想定されている仮想油面線に合致するように油面の位置を調整することが容易であるため、作業性が良い。
また、少なくとも本件出願の時点では、目安油面線を有する揚げ物用調理器具についても、本発明の対象である。すなわち、本発明は、揚げ物を調理するための揚げ物用調理器具であって、上端から下端までの高さが55mm以上の筒状の型枠部材を備え、前記型枠部材の外側周面上であって、前記型枠部材の下端から上方側に30mm以上であって前記型枠部材の上端から下方側に25mm以上である高さ位置に、目安油面線が表示されていることを特徴とする揚げ物用調理器具である。
この場合、目安油面線を用いて、予め想定されている仮想油面線に合致するように油面の位置を調整することが容易であるため、作業性が良い。
本発明の一態様によれば、フライヤーに対して型枠部材を設置(挿入)した際に当該型枠部材の上端が油面よりも高い位置にあるという使用状態を採用する際に、仮想油面線(想定される油面の高さ)と仮想境界線との間の25mm以上であって且つ油の深さの0.5倍以上である高さ領域に横貫通穴が設けられていないことにより、花咲を形成する作業性が向上し、例えば火焔のごとき外観の花咲さえ実現することができる。また、仮想油面線よりも下方の少なくとも一部の高さ領域に複数の横貫通穴が設けられていることにより、加熱された油の流通(循環)を許容ないし促進することができ、揚げ物の加熱温度が略一定に維持され、揚げ物の表面の仕上がりを均一にすることができる。更に、加熱された油の流通(循環)が許容ないし促進されるため、揚げ種や衣材液から飛散する水分を効果的に排出することができ、サクサクとした衣の食感(一般的に人気がある)を得ることができる。
あるいは、本発明の別の態様によれば、目安油面線を用いて、予め想定されている仮想油面線に合致するように油面の位置を調整することが容易であるため、作業性が良い。
本発明の第1実施形態に係る揚げ物用調理器具の概略斜視図である。 本発明の揚げ物用調理器具で採用され得る底板のバリエーションを示す図である。 第1実施形態の揚げ物用調理器具と比較例(従来例)の揚げ物用調理器具との各々で形成される花咲を比較する写真である。 第1実施形態によって形成される様々な花咲を例示的に示す写真である。 本発明の第2実施形態に係る揚げ物用調理器具の概略斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る揚げ物用調理器具の概略斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る揚げ物用調理器具の概略斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る揚げ物用調理器具の概略斜視図である。図1に示す揚げ物用調理器具1は、ステンレス製やアルミ製などの金属素材製であり、上端から下端までの高さが150mm(55mm以上の一例)で内径が80mm(開口面積は約50cm2)の円筒状(筒状の一例)の型枠部材10と、当該型枠部材10の外側面に取り付けられた把手部材20と、を備えている。
第1実施形態の型枠部材10は、下端から上方側に50mm(30mm以上の一例)であって、上端から下方側に100mm(25mm以上の一例)である高さ位置に、仮想油面線が設定されている。仮想油面線は、視認されない仮想線である。もっとも、当該仮想油面線に対応する型枠部材10の外側周面に、目安油面線12が表示されている。
また、仮想油面線(目安油面線12と同じ高さ)から上方側に25mm(25mm以上であって仮想油面線の高さの0.5倍以上の一例)である高さ位置に、仮想境界線11が設定されている。仮想境界線11は、視認されない仮想線である。もっとも、デザイン上の好み等によって、目安油面線12のように、型枠部材10の外側周面に視認可能な目安境界線が表示されてもよい。
そして、仮想油面線(目安油面線12)よりも下方の領域(当該領域の全体ではなくて一部でもよい)に、複数の横貫通穴13が設けられている。第1実施形態では、当該複数の横貫通穴13の各々は、直径8mmの円形で、約0.5cm2(3.5cm2以下の一例)の開口面積を有しており、当該複数の横貫通穴は、上下方向に約2cm(1~3cmの一例)の間隔(各貫通穴の中心同士の間隔)で3段、周方向にも約2cm(1~3cmの一例)の間隔(各貫通穴の中心同士の間隔)で各段について12個、略均等に設けられている。また、下段の横貫通孔13の下縁と型枠部材10の下縁との間の距離は、2mmであり、上段の横貫通孔13の上縁が目安湯面線12と一致している。
一方、本発明の特徴として、仮想油面線(目安油面線12)と仮想境界線11との間の高さ領域には、横貫通穴13は設けられていない。(仮想境界線11よりも上方の領域については、デザイン上の好み等によって、横貫通穴が設けられてもよい)。
その他、必須ではないが、型枠部材10の下端に、例えば取り外し可能に底板が設けられ得る。底板には、油切りのため、様々なタイプの油切り穴が設けられ得る。図2は、本発明で採用され得る底板のバリエーションを示す図である。図2(a)に示す底板14aは、複数の円形の油切り穴を有しており、図2(b)に示す底板14bは、複数の平行なスリット状の油切り穴を有しており、図2(c)に示す底板14cは、複数のメッシュ状の油切り穴を有している。これらのいずれが採用されても、後述する本実施形態の作用効果に大きな変化はなかった。
(第1実施形態の性能・効果)
小麦粉(ニップン ダイヤ)97質量部、植物性たん白2質量部、膨張剤1質量部を粉体混合してバッターミックス粉とし、加水量を調節して4種類の粘度(かなり低い:400cp、低い:650cp、中程度:1500cp、高い:3200cp)のバッター液(衣材液)とした。
そして、タマネギ10質量部とニンジン5質量部をそれぞれ5mm角のスティック状に裁断し、打ち粉3質量部をまぶした後、10質量部のバッター液を付着させて揚げ種とした。
次に、深底フライパン内に第1実施形態の揚げ物用調理器具1を載置し、目安油面線12に達するまでサラダ油を注ぎ入れ、サラダ油が170℃に達するまで予熱した。
そして、前記揚げ種を28g投入して、直ちに箸で当該揚げ種を上面視円形になるように整え、揚げ種投入の15秒後に20gの前記バッター液を追い掛けし、1分間フライした。
その結果、4種類のバッター液(衣材液)の粘度(かなり低い:400cp、低い:650cp、中程度:1500cp、高い:3200cp)の全てにおいて、火焔のような花咲を得ることができた。より詳細には、花咲の美しさの程度は粘度によって異なり、650cp(低い)>1500cp(中程度)>400cp(かなり低い)>3200cp(高い)の順序であった。650cp(低い)のバッター液による結果と、3200cp(高い)のバッター液による結果とが、図3に写真で示されている。
比較例として、型枠部材の略全体領域に横貫通穴を設けたことを除いては第1実施形態と同様の構成である揚げ物用調理器具を用意して、前記と同様の手順で揚げ物をフライした。当該比較例において、複数の横貫通穴の各々は、直径8mmの円形で、約0.5cm2(3.5cm2以下の一例)の開口面積を有しており、当該複数の横貫通穴は、上下方向に約2cm(1~3cmの一例)の間隔(各貫通穴の中心同士の間隔)で13段(奇数段は7段、偶数段は6段)、周方向にも約2cm(1~3cmの一例)の間隔(各貫通穴の中心同士の間隔)で各段について12個、奇数段と偶数段とで互い違いになるよう略均等に設けられた。また、最下段の横貫通孔13の下縁と型枠部材10の下縁との間の距離は、2mmであった。
当該比較例についても、650cp(低い)のバッター液による結果と、3200cp(高い)のバッター液による結果とが、図3に写真で示されている。
図3の写真を比較することから分かるように、比較例よりも第1実施形態の方が、形成される花咲の美しさが顕著に優れている。
第1実施形態について、様々な揚げ種をフライした場合の花咲の写真を、図4に例示的に示す。図4では、桜エビを揚げ種とした場合、野菜を揚げ種とした場合、及び、エビを揚げ種とした場合、の各々の写真を示している。
以上の通り、第1実施形態によれば、フライヤー(例えばフライパン)に対して型枠部材10を設置(挿入)した際に当該型枠部材10の上端が油面よりも高い位置にあるという使用状態を採用する際に、仮想油面線(目安油面線12と同じ高さ)と仮想境界線11との間の25mm(25mm以上であって且つ油の深さの0.5倍以上の一例)である高さ領域に横貫通穴13が設けられていないことにより(本件発明者は、当該領域内の空気の揺らぎが抑制されるためではないかと推測している)、花咲を形成する作業性が向上し、例えば火焔のごとき外観の花咲さえ実現することができる(図3及び図4)。
更に、仮想油面線(目安油面線12と同じ高さ)よりも下方の領域に複数の横貫通穴14が略均等に設けられていることにより、加熱された油の流通(循環)をより効果的に許容ないし促進することができ、揚げ物の加熱温度が略一定に維持され、揚げ物の表面の仕上がりを均一にすることができる(図3及び図4)。更に、加熱された油の流通(循環)がより効果的に許容ないし促進されるため、揚げ種や衣材液から飛散する水分をより効果的に排出することができ、サクサクとした衣の食感を得ることができる。
また、型枠部材10の全体が円筒形状であるため、製造コストが抑えられ、花咲を形成する作業も行い易い。
また、型枠部材10の外側周面に目安油面線12が表示されているため、想定されている仮想油面線に合致するように油面の位置を調整することが容易で、作業性が良い。
(第1実施形態の変形例)
前述した通り、底板の油切り穴については、図2(a)乃至図2(c)のいずれのタイプが採用されても、第1実施形態の作用効果(得られる花咲の美しさ等)に大きな変化はなかった。
型枠部材10の高さについては、フライヤーの油揚げ槽の深さにもよるが、400mm以下であることが好ましく、より好ましくは300mm以下であり、更に好ましくは200mm以下であり、更に好ましくは150mm以下である。
型枠部材10の開口面積については、10~300cm2であることが好ましく、より好ましくは20~200cm2であり、更に好ましくは30~150cm2である。これらの数値範囲であれば、型枠部材10をフライヤーの油槽底部に安定的に設置することが容易であり、また、バッター液で被覆した揚げ種を型枠部材10内に投入することも容易である。更に、かき揚げを製造する場合、これらの数値範囲であれば、丼や皿などの食器に盛付けるのに適した大きさとなる。
型枠部材10は、円筒状に限定されないで、扁平率0.5以下程度である楕円断面を有する楕円筒状であってもよいし、最小差し渡し長さを最大差し渡し長さで除した値が0.5以上程度である多角形断面を有する多角柱状であってもよい。これらの場合でも、型枠部材10をフライヤーの油槽底部に安定的に設置することが容易であり、また、バッター液で被覆した揚げ種を型枠部材10内に投入することが容易である。
仮想油面線及び目安油面線12の高さは、30mm以上であれば、エビ天ぷらや竹輪磯辺揚げ、かき揚げなどの各種の揚げ物に広く対応することができる。異なる深さのフライヤーを想定して、複数種類の仮想油面線が設定されて、それらに対応するように複数の目安油面線12が例えば異なる色などで表示されていてもよい。
仮想境界線11については、本発明は仮想境界線11と仮想油面線(目安油面線12)との間に横貫通穴13が設けられていないことが主たる特徴であるところ、本発明者は、更に、仮想境界線11の仮想油面線(目安油面線12)に対する高さが高いほど、火焔の形状がより良好になることを知見した。すなわち、仮想境界線11(横貫通穴が設けられない領域の上限)は、仮想油面線(目安油面線12)から上方側に30mm以上である高さ位置であることがより好ましく、仮想油面線(目安油面線12)から上方側に35mm以上である高さ位置であることが更に好ましく、仮想油面線(目安油面線12)から上方側に40mm以上である高さ位置であることが更に好ましい。
横貫通穴13の形状については、加工の容易性から、円形又は正多角形であることが望ましいが、横貫通穴13の一部は、型枠部材10の下端を一辺とする楔形状又は台形形状ないしは型枠部材10の下端を径とする略半円状又は略半楕円形状の切欠きとして構成されてもよい。
横貫通穴13の配置レイアウトについては、型枠部材10の周壁において互いに対向するような対となって配置されることが好ましく、更にそのような対の複数が、周方向に略均等に配置されることが好ましい。
対象とする揚げ物は、揚げ種に揚げ物用バッター液を付着させて油揚げする揚げ物であれば特に限定はなく、例えば、バッタータイプのから揚げ、天ぷら、フリッター、かき揚げ等が挙げられる。天ぷらとは、魚介類や野菜等の食材を小麦粉主体とした衣で包み、油で揚げて調理する日本料理であり、種(タネ)と呼ばれる食材を、小麦粉と鶏卵で作った衣をつけてから、天ぷら鍋などを使用して、食用油で揚げたものである。かき揚げとは、いわゆるバッター液に所定の具材を混合して、所定の型枠に投入してからフライすることによって完成するフライ物の全般をいい、例えば魚介類や野菜などを数種類組み合わせ、衣とともに油で揚げた天ぷらの一種はもちろんの他、魚介類のみならず、畜肉類を含む場合もある。また、野菜のみの場合や、魚介類又は畜肉類のみをフライしたタイプも含むことはもちろんである。
(第2実施形態の構成)
図5は、本発明の第2実施形態に係る揚げ物用調理器具の概略斜視図である。図5に示す揚げ物用調理器具1’は、仮想境界線11’(高さ75mm)より上方の領域において、型枠部材10’が上方に拡大するような切頭円錐形状となっている。型枠部材10’の上端の内径は100mmである。
第2実施形態において、第1実施形態の揚げ物用調理器具1と同様の構成については同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第2実施形態によっても、第1実施形態と同程度の花咲の美しさを実現できることが確認された。
第2実施形態の場合、上方が拡大されているために作業性が良い一方、製造コストの点、及び、収納時に嵩張るという点で、第1実施形態より劣る。
(第3実施形態の構成)
図6は、本発明の第3実施形態に係る揚げ物用調理器具の概略斜視図である。図5に示す揚げ物用調理器具1”は、仮想境界線11”(高さ75mm)より上方の領域において、型枠部材10’が上方に狭まるような切頭円錐形状となっている。型枠部材10”の上端の内径は40mmである。
第3実施形態において、第1実施形態の揚げ物用調理器具1と同様の構成については同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第3実施形態によれば、第1実施形態よりも更に美しい花咲を実現できることが確認された(本件発明者は、揚げ種とバッター液とに由来する水分の突沸が中心に向かって起こりやすくなるためではないかと推測している)。
一方、第3実施形態の場合、上方が狭められているために作業性がやや劣り、製造コストの点でも第1実施形態より劣る。
(第4実施形態の構成)
図7は、本発明の第4実施形態に係る揚げ物用調理器具の概略斜視図である。図7に示す揚げ物用調理器具1”’は、横貫通穴が全く設けられていない。
第4実施形態において、第1実施形態の揚げ物用調理器具1と同様の構成については同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第4実施形態によっても、第1実施形態よりは劣るものの、前述の比較例よりは美しい花咲を実現できることが確認された。
1、1’、1”、1”’ 揚げ物用調理器具
10、10’、10”、10”’ 型枠部材
11、11’、11”、11”’ 仮想境界線
12、12’、12”、12”’ 目安油面線(仮想油面線と同じ高さ)
12、13’、13” 横貫通穴
14a、14b、14c 底板
20、20’、20”、20”’ 把手部材

Claims (8)

  1. 揚げ物を調理するための揚げ物用調理器具であって、
    上端から下端までの高さが55mm以上の筒状の型枠部材
    を備え、
    前記型枠部材の下端から上方側に30mm以上であって前記型枠部材の上端から下方側に25mm以上である高さ位置に設定された仮想油面線よりも下方の少なくとも一部の高さ領域に、複数の横貫通穴が設けられており、
    前記仮想油面線と当該仮想油面線から上方側に25mm以上である高さ位置に設定された仮想境界線との間の高さ領域には、横貫通穴が設けられておらず、
    前記仮想境界線が設定されている高さ位置は、前記仮想油面線が設定されている高さ位置の1.5倍以上である
    ことを特徴とする揚げ物用調理器具。
  2. 前記複数の横貫通穴の各々は、3.5cm2以下の開口面積を有しており、
    前記複数の横貫通穴は、上下方向には1~3cmの間隔で、周方向には1~3cmの間隔で、略均等に設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の揚げ物用調理器具。
  3. 前記型枠部材は、少なくとも、前記仮想境界線よりも下方の領域において、円筒形状となっている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の揚げ物用調理器具。
  4. 前記型枠部材は、前記仮想境界線より上方の領域においても、円筒形状となっている
    ことを特徴とする請求項3に記載の揚げ物用調理器具。
  5. 前記型枠部材は、前記仮想境界線より上方の領域において、切頭円錐形状となっている
    ことを特徴とする請求項3に記載の揚げ物用調理器具。
  6. 前記型枠部材は、前記仮想油面線による内部断面の面積が、25~300cm2である
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の揚げ物用調理器具。
  7. 前記型枠部材の外側周面であって、前記仮想油面線に対応する高さ位置に、目安油面線が表示されている
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の揚げ物用調理器具。
  8. 揚げ物を調理するための揚げ物用調理器具であって、
    上端から下端までの高さが55mm以上の筒状の型枠部材
    を備え、
    前記型枠部材の外側周面上であって、前記型枠部材の下端から上方側に30mm以上であって前記型枠部材の上端から下方側に25mm以上である高さ位置に、目安油面線が表示されている
    ことを特徴とする揚げ物用調理器具。
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