JP2023145916A - 非鉄金属くずの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼却灰から非鉄金属くずを効率よく回収する技術を提供する。【解決手段】非鉄金属くずの表面に煤塵が付着した煤塵付着物を含む焼却灰を準備する準備工程と、焼却灰に磁力選別を施し、磁着物と煤塵付着物を含む非磁着物とに分離して非磁着物を得る磁力選別工程と、非磁着物に渦電流選別を施し、煤塵付着物を含む導電産物と非導電産物とに分離して導電産物を得る渦電流選別工程と、導電産物を回転洗浄装置に供給して水の存在下で回転洗浄することにより、煤塵付着物から煤塵を除去し、非鉄金属くずを含むスラリを得る洗浄工程と、スラリを固液分離し、固形分を得る固液分離工程と、固形分に分級または色彩選別を施し、非鉄金属くずを回収する回収工程と、を有する、非鉄金属くずの回収方法である。【選択図】図1
Description
本発明は、非鉄金属くずの回収方法に関する。
従来から、一般廃棄物や産業廃棄物は焼却処理されている。焼却により得られる焼却灰には、金属くずや非鉄金属くずが含まれるものの、それらの表面には、ばいじんが付着しているため、焼却灰はそのまま埋立処理されることがあった。
この焼却灰は、埋立の代わりに有効利用すべく、種々の試みがなされている。例えば特許文献1には、焼却灰をセメント原料に使用するために、焼却灰を所定量の水で解泥して、解泥後スラリを分級し、微粒子スラリを水洗して脱塩する方法が開示されている。また例えば特許文献2には、焼却灰に含まれる鉄くずを再利用するために、焼却灰に磁力選別を施し、選別した鉄くずに水を高圧で噴射することで、鉄くずに付着するばいじんなどの不純物を除去する方法が開示されている。
ところで、焼却灰に含まれる鉄くずだけでなく、非鉄金属くずについても再資源化すべく、回収することが求められている。ただし、非鉄金属くずには、焼却過程で生成する煤塵が付着しており、そのままでは資源価値が低く再利用できないことがあった。
本発明は、焼却灰から非鉄金属くずを効率よく回収する技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、
非鉄金属くずの表面に煤塵が付着した煤塵付着物を含む焼却灰を準備する準備工程と、
前記焼却灰に磁力選別を施し、磁着物と前記煤塵付着物を含む非磁着物とに分離して前記非磁着物を得る磁力選別工程と、
前記非磁着物に渦電流選別を施し、前記煤塵付着物を含む導電産物と非導電産物とに分離して前記導電産物を得る渦電流選別工程と、
前記導電産物を回転洗浄装置に供給して水の存在下で回転洗浄することにより、前記煤塵付着物から前記煤塵を除去し、前記非鉄金属くずを含むスラリを得る洗浄工程と、
前記スラリを固液分離し、固形分を得る固液分離工程と、
前記固形分に分級または色彩選別を施し、前記非鉄金属くずを回収する回収工程と、を有する、
非鉄金属くずの回収方法である。
非鉄金属くずの表面に煤塵が付着した煤塵付着物を含む焼却灰を準備する準備工程と、
前記焼却灰に磁力選別を施し、磁着物と前記煤塵付着物を含む非磁着物とに分離して前記非磁着物を得る磁力選別工程と、
前記非磁着物に渦電流選別を施し、前記煤塵付着物を含む導電産物と非導電産物とに分離して前記導電産物を得る渦電流選別工程と、
前記導電産物を回転洗浄装置に供給して水の存在下で回転洗浄することにより、前記煤塵付着物から前記煤塵を除去し、前記非鉄金属くずを含むスラリを得る洗浄工程と、
前記スラリを固液分離し、固形分を得る固液分離工程と、
前記固形分に分級または色彩選別を施し、前記非鉄金属くずを回収する回収工程と、を有する、
非鉄金属くずの回収方法である。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
前記回収工程では、前記固形分を1.5mm以上10mm以下の分級点で分級し、粗粒物と細粒物とに分離し、前記粗粒物を回収する。
前記回収工程では、前記固形分を1.5mm以上10mm以下の分級点で分級し、粗粒物と細粒物とに分離し、前記粗粒物を回収する。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記洗浄工程では、前記水を前記導電産物に対して重量比で1倍以上となるように供給する。
前記洗浄工程では、前記水を前記導電産物に対して重量比で1倍以上となるように供給する。
本発明の第4の態様は、第1~第3のいずれかの態様において、
前記洗浄工程では、前記回転洗浄装置の回転速度を周速で1.0m/s以上5.0m/s以下、前記導電産物の前記回転洗浄装置での滞留時間を2分以上20分以下とする。
前記洗浄工程では、前記回転洗浄装置の回転速度を周速で1.0m/s以上5.0m/s以下、前記導電産物の前記回転洗浄装置での滞留時間を2分以上20分以下とする。
本発明の第5の態様は、第1~第4のいずれかの態様において、
前記磁力選別工程、前記渦電流選別工程、前記洗浄工程、前記固液分離工程および前記分級工程を連続的に行う。
前記磁力選別工程、前記渦電流選別工程、前記洗浄工程、前記固液分離工程および前記分級工程を連続的に行う。
本発明によれば、焼却灰から非鉄金属くずを効率よく回収することができる。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係る、焼却灰からの非鉄金属くずの回収方法について図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる非鉄金属くずの回収方法のフロー図である。図1に示すように、本実施形態の非鉄金属くずの回収方法は、準備工程、磁力選別工程、渦電流選別工程、洗浄工程、固液分離工程および回収工程を有する。以下、各工程について説明する。
以下、本発明の一実施形態に係る、焼却灰からの非鉄金属くずの回収方法について図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる非鉄金属くずの回収方法のフロー図である。図1に示すように、本実施形態の非鉄金属くずの回収方法は、準備工程、磁力選別工程、渦電流選別工程、洗浄工程、固液分離工程および回収工程を有する。以下、各工程について説明する。
(準備工程)
まず、処理対象である焼却灰を準備する。
まず、処理対象である焼却灰を準備する。
焼却灰は、例えば一般廃棄物や産業廃棄物の焼却により得られるものである。焼却灰には、一般廃棄物や産業廃棄物に由来する鉄くず、非鉄金属くず、非金属くず、その他の不純物を含む砂状不純物などが含まれる。鉄くずや非鉄金属くずの表面には焼却過程で生成する煤塵が付着しており、鉄くずや非鉄金属くずは煤塵付着物として存在する。非鉄金属くずとしては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、亜鉛などを含むくずがある。非金属くずとしては、例えば、ガラスやゴム、石などを含むくずがある。
焼却灰に含まれる非鉄金属くずの粒径は、特に限定されないが、例えば4mm以上50mm以下であることが好ましく、8mm以上50mm以下であることがより好ましい。
(磁力選別工程)
続いて、焼却灰を磁力選別機に供給し、焼却灰に磁力選別を施す。これにより、焼却灰を磁着物と非磁着物とに分離し、非磁着物を得る。
続いて、焼却灰を磁力選別機に供給し、焼却灰に磁力選別を施す。これにより、焼却灰を磁着物と非磁着物とに分離し、非磁着物を得る。
磁着物には、主に、磁性を有する鉄くずの煤塵付着物が含まれる。非磁着物には、主に、非磁性のものであって、非鉄金属くずや非金属くずの煤塵付着物、砂状不純物などが含まれる。磁力選別によれば、焼却灰から鉄くずの煤塵付着物を除去し、非磁着物として、非鉄金属くずの煤塵付着物、非金属くずの煤塵付着物、砂状不純物などを分離することができる。
磁力選別機としては、特に限定されず、例えば、永久磁石や電磁石を用いたドラム型磁力選別機やプーリー型磁力選別機、吊下型磁力選別機、対極型磁力選別機など従来公知の選別機を用いることができる。この時の磁力選別は、例えば500ガウス~2000ガウス程度の磁力で行うことが好ましい。
(渦電流選別工程)
続いて、磁力選別により得られた非磁着物を例えば渦電流選別装置に供給し、非磁着物に渦電流選別を施す。
続いて、磁力選別により得られた非磁着物を例えば渦電流選別装置に供給し、非磁着物に渦電流選別を施す。
渦電流選別によれば、非磁着物のうち、導電性を有する非鉄金属くずの煤塵付着物に渦電流を生じさせ、磁界と反発させることができる。一方、非金属くずなどの非導電性のものは渦電流が生じないため、磁界と反発することなく、落下することになる。これにより、非磁着物を、主に非鉄金属くずの煤塵付着物などを含む導電産物と、非金属くずや砂状不純物等を含む非導電産物と、に分離し、導電産物を得る。なお、非磁着物には、鉄くずが混入することもあるが、この鉄くずは渦電流選別の際に磁着物として分離される。
渦電流選別装置でのロータ回転数は、非鉄金属くずの煤塵付着物を分離できるような条件であれば特に限定されない。この条件としては、例えば渦電流選別装置に設けられる磁石ドラムの回転数や磁石ドラムの磁力があるが、非鉄金属くずの煤塵付着物と、非金属くずの煤塵付着物とを分離できるように、磁力の大きさに応じて回転数を適宜調整するとよい。
(洗浄工程)
続いて、渦電流選別にて得られた導電産物を洗浄する。上述したように、導電産物に含まれる非鉄金属くずの煤塵付着物は、そのままでは再利用することができない。本実施形態では、このような非鉄金属くずを含む導電産物を回転洗浄装置に供給し、導電産物を回転洗浄する。
続いて、渦電流選別にて得られた導電産物を洗浄する。上述したように、導電産物に含まれる非鉄金属くずの煤塵付着物は、そのままでは再利用することができない。本実施形態では、このような非鉄金属くずを含む導電産物を回転洗浄装置に供給し、導電産物を回転洗浄する。
回転洗浄装置は、回転可能に支持されるドラム(容器)と、ドラム内に水を供給する供給部と、洗浄物を排出する排出部と、を備える。導電産物は水とともにドラム内に供給される。そして、ドラムの回転にともなって、導電産物は水の存在下で回転洗浄され、ドラム内壁により研磨される。これにより、導電産物に含まれる煤塵付着物の表面にある煤塵を解砕し、水洗することができる。導電産物は洗浄された後、スラリとして排出部から排出される。
スラリには、洗浄により煤塵が除去されて金属種本来の色を有する非鉄金属くずや煤塵、砂状不純物などが含まれる。
回転洗浄装置としては、従来公知のものを使用することができ、例えばドラムウォッシャなどを用いることができる。回転洗浄装置として、例えば湿式タワーミルや振動ミル等の混合撹拌機もあるが、これらの装置では攪拌力が大きすぎるため、煤塵を解砕するだけでなく、非鉄金属くずを粉砕し微細化するおそれがある。非鉄金属くずの粒径が細かくなると、後述の回収工程にて粗粒物として回収しにくくなる。つまり、非鉄金属くずの回収率が低くなるおそれがある。そのため、回転洗浄装置としては、攪拌力が過度に大きくないドラムウォッシャなどを用いることが好ましい。
回転洗浄装置での洗浄条件として、例えば、ドラム内に供給する水量やドラムの回転速度、導電産物の洗浄時間などがあるが、これらは、非鉄金属くずの煤塵付着物から煤塵を除去できれば特に限定されない。
ドラム内に供給する水量は、ドラム内に供給する導電産物に対して重量比で1倍以上10倍以下とすることが好ましく、3倍以上6倍以下とすることがより好ましい。これによりドラム内での固液比(導電産物と水との重量比)を1:1以上とし、導電産物の重量に対して水の重量を1倍以上に維持することができる。水量が過剰に少ないと、ドラムを回転させてもドラム内で導電産物を適度に流動させにくくなるため、導電産物の表面をドラム内壁で効率よく研磨できず、煤塵を効率よく解砕できないことがある。一方、水量が過剰に多いと、導電産物が水中に浮遊したりすることで、導電産物をドラム内壁に接触させにくくなり、導電産物の各粒子を均一に研磨できないことがある。この点、水量を上記範囲とすることにより、ドラムの回転にともなって導電産物をドラム内で適度に流動させ、導電産物の表面をドラム内壁でより確実に研磨することができ、各粒子の表面を均一に研磨することができる。
また、回転洗浄装置ではドラム内に水を供給するときに、ドラムから水をオーバーフローさせることが好ましい。水をオーバーフローするように供給することで、ドラム内での水の重量を導電産物の重量に対して1倍以上に維持しやすくなる。しかも、水をオーバーフローさせることにより、煤塵を解砕するとともに、煤塵をドラム外に排出させることができる。通常、煤塵と非鉄金属くずには比重差があるため、煤塵を選択的に排出することができる。煤塵がドラム内に滞留すると、煤塵付着物の表面から煤塵を解砕する効率が低下するおそれがある。この点、水をオーバーフローさせながら洗浄を行うことで、煤塵の解砕をより効率よく行うことができる。特にドラム内に存在する水の存在量を導電産物の重量に対して1倍以上10倍以下とすることにより、非鉄金属くずを排出させずにドラム内に滞留させる一方で、煤塵をドラム外に排出させることをより効率よく行うことが可能となる。なお、水をオーバーフローさせるには、ドラムの体積に応じて、ドラム内に供給する導電産物や水の供給量を適宜変更するとよい。煤塵をオーバーフロー水とともにドラム外に予め出しておくことで、非鉄金属くずとともに排出される煤塵を減らすことができる。また、その後に非鉄金属くず表面へ水噴霧を行うときは、煤塵の除去効率を上げることができる。
ドラムの回転速度は、周速で1.0m/s以上5.0m/s以下とすることが好ましく、1.5m/s以上3.0m/s以下とすることがより好ましい。このような回転速度とすることにより、ドラム内壁により適度な研磨力を得られ、導電産物の表面を効率よく研磨することができる。
洗浄時間、つまり導電産物のドラム内での滞留時間は、例えば2分以上20分以下とすることが好ましく、4分以上10分以下とすることがより好ましい。洗浄時間が過度に長くなると、非鉄金属くずが水を含み、酸化が進むことがある。この点、上記洗浄時間とすることにより、煤塵付着物から煤塵をより確実に除去しながらも、非鉄金属くずの酸化を抑制することができる。
(固液分離工程)
続いて、洗浄により得られたスラリを固液分離し、固形分を得る。固形分には、洗浄された非鉄金属くず、水分を含み酸化が進んだ非鉄金属くず、煤塵、砂状不純物などが含まれる。
続いて、洗浄により得られたスラリを固液分離し、固形分を得る。固形分には、洗浄された非鉄金属くず、水分を含み酸化が進んだ非鉄金属くず、煤塵、砂状不純物などが含まれる。
なお、固液分離工程と回収工程の間に、固形分に対して煤塵、砂状不純物などを除去する目的で洗浄操作を行うことができる。洗浄操作の方法としては、固形物に対して水噴霧を行ってもよい。水噴霧をすることにより、固形分に含まれる非鉄金属くず以外の煤塵、砂状不純物などを除去することができる。このときの噴霧量は特に限定されないが、非鉄金属くず以外の煤塵、砂状不純物を選択的に除去できるような噴霧量を選択することが好ましく、例えば3m3/h以上とすることができる。なお、固液分離に用いる装置の構造によっては、水噴霧は、固液分離工程の後、固液分離に用いた装置において行うこともできる。
(回収工程)
続いて、固液分離により得られた固形分を分級し、粗粒物と細粒物とに分離し、粗粒物を回収する。
続いて、固液分離により得られた固形分を分級し、粗粒物と細粒物とに分離し、粗粒物を回収する。
固形分においては、非鉄金属くずの粒径は比較的大きく、煤塵や砂状不純物の粒径は比較的小さい。また、非鉄金属くずでも粒径の小さいもの、例えばアルミニウムくず等は、水分を含み、酸化が進んでいることがある。そのため、粗粒物を回収することで、酸化が進んだ非鉄金属くず、煤塵や砂状不純物を除去し、非鉄金属くずを高い品位で回収することができる。
回収する粗粒物の粒径は、非鉄金属くずの回収率や品位に応じて適宜変更することができ、特に限定されない。非鉄金属くずの回収率を高める観点からは小さくすることが望ましく、品位を高める観点からは大きくすることが望ましい。回収率および品位を高くする観点からは、粗粒物と細粒物の境界(分級点)を1.5mm以上20mm以下で設定することが好ましい。分級に振動篩を使用する場合には、振動篩の目開きは、1.5mm以上10mm以下の範囲で設定することがさらに好ましい。なお、粗粒物の粒径の上限値は、処理対象とする焼却灰によって異なるが、例えば50mm以下とすることができる。粗粒物と細粒物の境界(分級点、振動篩の目開き)を変更して、複数回分級操作を実施してもよい。
分級方法としては、重力や慣性力、遠心力などを用いた乾式または湿式分級、もしくは篩を用いた篩分け分級などを採用することができる。これらの中でも、分級を容易に行えることから、篩分け分級が好ましい。
以上により、焼却灰から、煤塵除去され、金属種本来の色を有する非鉄金属くずを回収することができる。
本実施形態によれば、焼却灰に磁力選別および渦電流選別を施し得られる導電産物から、非鉄金属くずを含む粗粒物の回収率を40%以上70%以下としながらも、粗粒物に含まれる品位を60%以上80%以下とすることができる。
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
上述の実施形態では、回収工程にて非鉄金属くずを分級により回収する場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、非鉄金属くずを色彩選別で回収することもできる。ただし、回収工程で非鉄金属くずが濡れると表面が酸化・変色するため、色彩選別は連続的に行うのが好ましい。色彩選別によれば、例えば近赤外線センサにより物質の波長の違いを検知し、固形分から非鉄金属くずを選択的に回収することができる。本実施形態では、非鉄金属くずの表面から煤塵を除去しているので、非鉄金属くずと煤塵とを明確に選別でき、非鉄金属くずを高い比率で回収することができる。なお、色彩選別機としては、従来公知のものを使用することができる。
上述の磁力選別工程から回収工程までは各工程をバッチ式で行ってもよいが、焼却灰を効率よく処理する観点からは連続式とすることが好ましい。連続的に処理する場合、例えば、焼却灰をホッパーに投入し、ローダから所定量ずつ排出して、磁力選別機に供給する。続いて、分離した非磁着物をベルトコンベアで渦電流選別機へと搬送し、導電産物を分離する。続いて、導電産物をベルトコンベアで回転洗浄装置へと搬送する。回転洗浄装置にて、導電産物のドラム内での滞留時間を所定時間となるように導電産物を洗浄し、洗浄後のスラリを排出する。洗浄後のスラリをベルトコンベアで固液分離装置へと搬送し、固形分を分離する。続いて、固形分をベルトコンベアで分級装置(例えば篩)に搬送し、粗粒物を回収する。
次に、本発明について実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1)
まず、処理対象として、一般廃棄物と産業廃棄物(重量比で一般廃棄物を8割、産業廃棄物を2割、含有)に由来する焼却灰を準備した。この焼却灰に対して以下の手順で処理を施した。
まず、処理対象として、一般廃棄物と産業廃棄物(重量比で一般廃棄物を8割、産業廃棄物を2割、含有)に由来する焼却灰を準備した。この焼却灰に対して以下の手順で処理を施した。
まず、この焼却灰を磁力選別機に供給した。吊下式磁選機を用いて1500Gで磁選を行い、鉄くずの煤塵付着物などを含む磁着物を除去し、非磁着物を得た。
続いて、非磁着物を渦電流選別機に供給し、非鉄金属くずの煤塵付着物を含む導電産物(9.4t)を得た。導電産物は、主に4mm以上50mm以下の粒径範囲を有する。
続いて、ローダを用いて導電産物を投入ホッパーへと約1tずつ供給するとともに、投入ホッパーから導電産物をベルトコンベアで回転洗浄装置のドラム(大塚鉄工株式会社製「DT2454ドラムウォッシャ」)へと供給した。回転洗浄装置内にて、ドラムに水を供給しつつ、ドラムを回転させて、非鉄金属くずの表面に付着する煤塵を非鉄金属くずの表面から除去し、導電産物を洗浄した。洗浄により得られた表面に付着する煤塵を除去した導電産物を含むスラリはドラムから排出した。洗浄の際、導電産物の洗浄時間、つまり、導電産物のドラム内での滞留時間を5分、ドラムの回転速度を周速で1.75m/sとした。また、ドラムへの水の供給量は、ドラム内での導電産物の重量に対して水の重量が1倍となるように維持した。ドラムへの水の供給量の総量は、ドラム内に滞留する導電産物の重量に対して4倍とした。これにより、ドラムから水がオーバーフローした。
続いて、回転洗浄装置から排出されたスラリを振動篩(目開き20mm、5.5mm、1.7mmの三段構成)に供給して、分級処理を行った。このとき、各篩上の固形分に水を噴霧し、固形分中の非鉄金属くず以外の煤塵、砂状不純物などを除去した。噴霧量は、目開き20mmの振動篩上に設置したシャワーから3.0m3/h、目開き5.5mmの振動篩上に設置したシャワーから3.0m3/hとして、水を噴霧する処理を実施した。
振動篩の3つの各篩上に存在する篩上産物を固形分(粗粒物)として回収した。粗粒物の重量は5.4tであった。なお、目開き1.7mmの振動篩の篩下に存在する煤塵、砂状不純物は細粒物とした。
図2の写真に示すように、回収した粗粒物は、非鉄金属くずを高い比率で含むとともに、非鉄金属くずは、金属種本来の色を呈することが確認された。具体的には、磁力選別で得られた非磁着物に対し渦電流選別を施して得られる導電産物(9.4t)から、非鉄金属くずを含む粗粒物を5.4t回収した。粗粒物の回収率は57%であった。また粗粒物における金属品位は73.7%であった。
Claims (5)
- 非鉄金属くずの表面に煤塵が付着した煤塵付着物を含む焼却灰を準備する準備工程と、
前記焼却灰に磁力選別を施し、磁着物と前記煤塵付着物を含む非磁着物とに分離して前記非磁着物を得る磁力選別工程と、
前記非磁着物に渦電流選別を施し、前記煤塵付着物を含む導電産物と非導電産物とに分離して前記導電産物を得る渦電流選別工程と、
前記導電産物を回転洗浄装置に供給して水の存在下で回転洗浄することにより、前記煤塵付着物から前記煤塵を除去し、前記非鉄金属くずを含むスラリを得る洗浄工程と、
前記スラリを固液分離し、固形分を得る固液分離工程と、
前記固形分に分級または色彩選別を施し、前記非鉄金属くずを回収する回収工程と、を有する、
非鉄金属くずの回収方法。 - 前記回収工程では、前記固形分を1.5mm以上10mm以下の分級点で分級し、粗粒物と細粒物とに分離し、前記粗粒物を回収する、
請求項1に記載の非鉄金属くずの回収方法。 - 前記洗浄工程では、前記水を前記導電産物に対して重量比で1倍以上となるように供給する、
請求項1または2に記載の非鉄金属くずの回収方法。 - 前記洗浄工程では、前記回転洗浄装置の回転速度を周速で1.0m/s以上5.0m/s以下、前記導電産物の前記回転洗浄装置での滞留時間を2分以上20分以下とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の非鉄金属くずの回収方法。 - 前記磁力選別工程、前記渦電流選別工程、前記洗浄工程、前記固液分離工程および前記分級工程を連続的に行う、
請求項1から4のいずれか1項に記載の非鉄金属くずの回収方法。
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