JP2023145220A - 可変動弁装置およびパワーユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの始動性を高める。【解決手段】可変動弁装置は、クランク軸に動力伝達要素を介して連結され、ロータ収容部が形成される環状のアウタロータと、前記ロータ収容部に回転可能に収容されるとともに前記吸気カム軸に連結され、前記アウタロータに対して進角側に付勢されるインナロータと、を有する。可変動弁装置は、前記アウタロータに取り付けられ、第1突出位置に向けて付勢される第1突出部材と、前記インナロータに取り付けられ、第2格納位置に向けて付勢される第2突出部材と、を有する。前記インナロータの外周面に開口する第1噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が第1角度である場合に前記第1突出部材に対向する。前記アウタロータの内周面に開口する第2噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が前記第1角度よりも進角側の第2角度である場合に前記第2突出部材に対向する。【選択図】図3

Description

本発明は、吸気バルブの開閉時期を切り替える可変動弁装置、および可変動弁装置を備えるパワーユニットに関する。
自動車等の車両には、動力源として内燃機関であるエンジンが搭載されている。また、様々な運転領域でエンジンの熱効率を向上させるため、エンジンにはバルブタイミングを制御する可変動弁装置が設けられている(特許文献1~2参照)。
特開2011-94508号公報 特開2009-24659号公報
ところで、エンジンを良好に始動させる観点から、エンジン始動時においても可変動弁装置を作動させることが考えられている。つまり、可変動弁装置を用いてエンジンの始動性を高めることが求められている。
本発明の目的は、エンジンの始動性を高めることにある。
一実施形態に係る可変動弁装置は、吸気カム軸に駆動される吸気バルブの開閉時期を切り替える可変動弁装置であって、エンジンのクランク軸に動力伝達要素を介して連結され、中央にロータ収容部が形成される環状のアウタロータと、前記ロータ収容部に回転可能に収容されるとともに前記吸気カム軸に連結され、前記アウタロータに対して進角側に付勢されるインナロータと、前記アウタロータに取り付けられ、前記アウタロータの内周面から突出する第1突出位置と突出しない第1格納位置とに移動可能であり、前記第1突出位置に向けて付勢される第1突出部材と、前記インナロータに取り付けられ、前記インナロータの外周面から突出する第2突出位置と突出しない第2格納位置とに移動可能であり、前記第2格納位置に向けて付勢される第2突出部材と、を有し、前記インナロータの外周面に開口する第1噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が第1角度である場合に前記第1突出部材に対向しており、前記アウタロータの内周面に開口する第2噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が前記第1角度よりも進角側の第2角度である場合に前記第2突出部材に対向している。
一実施形態に係るパワーユニットは、車両に搭載されるパワーユニットであって、吸気カム軸に駆動される吸気バルブの開閉時期を切り替える可変動弁装置を備えるエンジンと、前記エンジンのクランク軸にギヤ列を介して連結され、エンジン始動時に前記クランク軸を回転させるモータジェネレータと、を有し、前記可変動弁装置は、エンジンのクランク軸に動力伝達要素を介して連結され、中央にロータ収容部が形成される環状のアウタロータと、前記ロータ収容部に回転可能に収容されるとともに前記吸気カム軸に連結され、前記アウタロータに対して進角側に付勢されるインナロータと、前記アウタロータに取り付けられ、前記アウタロータの内周面から突出する第1突出位置と突出しない第1格納位置とに移動可能であり、前記第1突出位置に向けて付勢される第1突出部材と、前記インナロータに取り付けられ、前記インナロータの外周面から突出する第2突出位置と突出しない第2格納位置とに移動可能であり、前記第2格納位置に向けて付勢される第2突出部材と、を有し、前記インナロータの外周面に開口する第1噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が第1角度である場合に前記第1突出部材に対向しており、前記アウタロータの内周面に開口する第2噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が前記第1角度よりも進角側の第2角度である場合に前記第2突出部材に対向している。
本発明の一態様によれば、エンジンの始動性を高めることができる。
本発明の一実施形態であるパワーユニットが搭載された車両を示す図である。 パワーユニットの一例を示す図である。 エンジンの一例を示す図である。 本発明の一実施形態である可変動弁装置を示す図である。 本発明の一実施形態である可変動弁装置を示す図である。 可変動弁装置を構成するアウタロータおよびインナロータを示す図である。 吸気バルブのバルブタイミングを示す図である。 エンジン始動時における可変動弁装置の動作を示す図である。 エンジン始動時における可変動弁装置の動作を示す図である。 エンジン始動時における可変動弁装置の動作を示す図である。 エンジン始動時における可変動弁装置の動作を示す図である。 エンジン始動時における可変動弁装置の動作を示す図である。 エンジン始動時における可変動弁装置の動作を示す図である。 エンジン始動からエンジン停止までのエンジン回転数および吸気バルブの閉時期の推移を示すタイミングチャートである。 図14の一部を拡大して示すタイミングチャートである。 エンジン始動時における筒内圧力およびクランクトルクの関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一または実質的に同一の構成や要素については、同一の符号を付して繰り返しの説明を省略する。
[パワーユニット]
図1は本発明の一実施形態であるパワーユニット10が搭載された車両11を示す図である。図1に示すように、車両11には、エンジン12およびモータジェネレータMG1,MG2を備えたパワーユニット10が搭載されている。パワーユニット10の後輪出力軸13には、プロペラ軸14およびリヤデファレンシャル機構15を介して後輪16が連結されている。また、パワーユニット10にはフロントデファレンシャル機構17が組み込まれており、フロントデファレンシャル機構17には前輪18が連結されている。図示するパワーユニット10は、全輪駆動用のパワーユニットであるが、これに限られることはなく、前輪駆動用や後輪駆動用のパワーユニットであっても良い。
図2はパワーユニット10の一例を示す図である。図2に示すように、パワーユニット10は、エンジン12および第1モータジェネレータMG1からなる第1駆動系21と、第2モータジェネレータMG2からなる第2駆動系22と、を有している。第1駆動系21には、動力源としてエンジン12および第1モータジェネレータMG1が設けられている。エンジン12のクランク軸23にはダンパ機構24を介して伝達軸25が連結されており、この伝達軸25には駆動ギヤ26aが固定されている。なお、駆動ギヤ26aとこれに噛み合う従動ギヤ26bとによって、ギヤ列26が構成されている。
ダンパ機構24は、クランク軸23に固定される入力プレート27と、伝達軸25に固定される出力プレート28と、入力プレート27および出力プレート28に組み付けられるダンパスプリング29と、を有している。また、駆動ギヤ26aに噛み合う従動ギヤ26bには伝達軸30が固定されており、この伝達軸30には遊星ギヤ列31を介して第1モータジェネレータMG1のロータ32が連結されている。さらに、エンジントルクおよびモータトルクを出力する出力軸として、遊星ギヤ列31には第1出力軸33が連結されている。
第2駆動系22には、動力源として第2モータジェネレータMG2が設けられている。第2モータジェネレータMG2のロータ34には、遊星ギヤ列35を介して第2出力軸36が連結されている。第2駆動系22が備える第2出力軸36には、第1駆動系21が備える第1出力軸33がギヤ列37を介して連結されている。また、第2出力軸36の一端部には、ギヤ列38を介して前輪出力軸39が連結されており、第2出力軸36の他端部には、カップリング40を介して後輪出力軸13が連結されている。前輪出力軸39は前述したフロントデファレンシャル機構17に連結されており、後輪出力軸13は前述したリヤデファレンシャル機構15に連結されている。
[エンジン]
続いて、パワーユニット10に設けられるエンジン12について説明する。図3はエンジン12の一例を示す図である。図3に示すように、エンジン12は、シリンダブロック50と、シリンダブロック50の下部に取り付けられるクランクケース51と、シリンダブロック50およびクランクケース51に支持されるクランク軸23と、を有している。シリンダブロック50には、動弁機構52等を備えたシリンダヘッド53が取り付けられている。このシリンダヘッド53には、燃焼室54に連通する吸気ポート55が形成されるとともに、吸気ポート55を開閉する吸気バルブ56が組み付けられている。また、シリンダヘッド53には、燃焼室54に連通する排気ポート57が形成されるとともに、排気ポート57を開閉する排気バルブ58が組み付けられている。なお、シリンダヘッド53には、燃焼室54内の混合気に点火する図示しない点火プラグが設けられており、吸入空気に向けて燃料を噴射する図示しないインジェクタが設けられている。
シリンダブロック50にはシリンダボア60が形成されており、シリンダボア60にはピストン61が往復動可能に収容されている。ピストン61にはピストンピン62が組み付けられており、ピストンピン62にはコネクティングロッド63の小端部64が連結されている。また、クランク軸23にはクランクジャーナル65に対して偏心するクランクピン66が設けられており、クランクピン66にはコネクティングロッド63の大端部67が連結されている。このように、クランク軸23とピストン61とは、コネクティングロッド63を介して互いに連結されている。
シリンダヘッド53には、吸気バルブ56を開閉させる吸気カム70を備えた吸気カム軸71が設けられるとともに、排気バルブ58を開閉させる排気カム72を備えた排気カム軸73が設けられている。また、クランク軸23にはクランクスプロケット74が固定されており、吸気カム軸71にはカムスプロケット75が固定されており、排気カム軸73にはカムスプロケット76が固定されている。これらのスプロケット74,75,76にはタイミングチェーン(動力伝達要素)77が掛けられており、吸気バルブ56および排気バルブ58はクランク軸23の回転に連動して開閉される。
[可変動弁装置]
図4および図5は本発明の一実施形態である可変動弁装置100を示す図である。図6は可変動弁装置100を構成するアウタロータ80およびインナロータ90を示す図である。また、図7は吸気バルブ56のバルブタイミングを示す図である。
図4に示すように、吸気カム軸71のカムスプロケット75には、吸気バルブ56の開閉時期を切り替える可変動弁装置100が設けられている。可変動弁装置100は、カムスプロケット75に固定される環状のアウタロータ80と、吸気カム軸71に固定されるインナロータ90と、を有している。アウタロータ80の中央にはロータ収容部81が形成されるとともに、このロータ収容部81にはインナロータ90が所定角度で回転可能に収容されている。また、アウタロータ80のロータ収容部81には複数のバネ室82が形成されており、インナロータ90にはバネ室82に収容される複数の突起部91が形成されている。ロータ収容部81のバネ室82には引張コイルスプリング(第3弾性部材)101が取り付けられており、引張コイルスプリング101のバネ力によってインナロータ90は矢印a1方向に付勢されている。つまり、アウタロータ80とインナロータ90との間に設けられる引張コイルスプリング101により、アウタロータ80に対してインナロータ90は進角側に付勢されている。なお、アウタロータ80は、ハウジングとも呼ばれている。
図6に示すように、アウタロータ80には内周面83に開口するピン収容穴84が形成されており、ピン収容穴84には第1ロックピン(第1突出部材)85が収容されている。アウタロータ80に組み付けられる第1ロックピン85は、アウタロータ80の内周面83から突出する第1突出位置と、アウタロータ80の内周面83から突出しない第1格納位置と、に移動可能である。また、ピン収容穴84には圧縮コイルスプリング(第1弾性部材)86が取り付けられており、圧縮コイルスプリング86のバネ力(付勢力)によって第1ロックピン85は矢印b1方向の第1突出位置に向けて付勢されている。つまり、アウタロータ80と第1ロックピン85との間に設けられる圧縮コイルスプリング86により、第1ロックピン85は第1突出位置に向けて付勢されている。
また、アウタロータ80には、内周面83に開口するロック穴(第2噛合凹部)87が形成されている。図5に示すように、アウタロータ80に対するインナロータ90の回転角度が第2角度X2である場合、つまりアウタロータ80に対するインナロータ90の回転角度が所定の進角位置である場合に、アウタロータ80のロック穴87は後述するインナロータ90の第2ロックピン94に対向する。つまり、アウタロータ80に対してインナロータ90が所定の進角位置まで回転すると、アウタロータ80のロック穴87に対してインナロータ90の第2ロックピン94が挿入される。これにより、図7に矢印Vaで示すように、吸気バルブ56の開閉時期であるバルブタイミングを、進角側の開時期IVOaおよび閉時期IVCaに設定することができる。
本明細書において、アウタロータ80に対するインナロータ90の回転角度とは、仮想線L1,L2の成す角度を意味している。図4および図5に示すように、仮想線L1とは回転中心Cxと第1ロックピン85の中心とを結ぶ線であり、仮想線L2とは回転中心Cxと吸気カム70の頂点とを結ぶ線である。なお、図示する仮想線L1,L2に限られることはなく、アウタロータ80とインナロータ90との相対角度を示すことが可能であれば、如何なる仮想線であっても良いことはいうまでもない。
図6に示すように、インナロータ90には外周面92に開口するピン収容穴93が形成されており、ピン収容穴93には第2ロックピン(第2突出部材)94が収容されている。インナロータ90に組み付けられる第2ロックピン94は、インナロータ90の外周面92から突出する第2突出位置と、インナロータ90の外周面92から突出しない第2格納位置と、に移動可能である。また、ピン収容穴93には引張コイルスプリング(第2弾性部材)95が取り付けられており、引張コイルスプリング95のバネ力(付勢力)によって第2ロックピン94は矢印c1方向の第2格納位置に向けて付勢されている。つまり、インナロータ90と第2ロックピン94との間に設けられる引張コイルスプリング95により、第2ロックピン94は第2格納位置に向けて付勢されている。
また、インナロータ90には、外周面92に開口するロック穴(第1噛合凹部)96が形成されている。図4に示すように、アウタロータ80に対するインナロータ90の回転角度が第1角度X1である場合、つまりアウタロータ80に対するインナロータ90の回転角度が所定の遅角位置である場合に、インナロータ90のロック穴96はアウタロータ80の第1ロックピン85に対向する。つまり、アウタロータ80に対してインナロータ90が所定の遅角位置まで回転すると、インナロータ90のロック穴96に対してアウタロータ80の第1ロックピン85が挿入される。これにより、図7に矢印Vrで示すように、吸気バルブ56の開閉時期であるバルブタイミングを、遅角側の開時期IVOrおよび閉時期IVCrに設定することができる。
[可変動弁装置の動作]
以下、エンジン始動時における可変動弁装置100の動作について説明する。図8~図13は、エンジン始動時における可変動弁装置100の動作を示す図である。なお、エンジン始動時においては、第1モータジェネレータMG1が力行状態に制御され、第1モータジェネレータMG1のモータトルクによってクランク軸23が始動回転(クランキング)される。
図8に示すように、クランキング前のエンジン停止状態においては、アウタロータ80に対してインナロータ90が所定の進角位置まで回転した状態で停止している。また、矢印b1で示すように、第1ロックピン85は第1突出位置に向けて付勢されており、矢印c1で示すように、第2ロックピン94は第2格納位置に向けて付勢されている。続いて、図9に示すように、モータジェネレータMG1によるクランキングが開始されると、矢印α1方向にタイミングチェーン77が動き始め、矢印α2方向にカムスプロケット75およびアウタロータ80が回転し始める。つまり、停止するインナロータ90に対してアウタロータ80が先行して回転し始めることから、相対的には、アウタロータ80に対してインナロータ90が遅角側に回転することになる。
次いで、図10に示すように、カムスプロケット75およびアウタロータ80が回転し、アウタロータ80の第1ロックピン85がインナロータ90のロック穴96に対向すると、矢印b1で示すように、第1ロックピン85はロック穴96に対して挿入される。これにより、第1ロックピン85およびロック穴96が互いに噛み合うことから、アウタロータ80に対するインナロータ90の回転角度は第1角度X1に保持され、アウタロータ80およびインナロータ90は一体となって回転する。すなわち、クランキング前半においては、吸気バルブ56のバルブタイミングが、遅角側の開時期IVOrおよび閉時期IVCrに設定される。
このように、遅角側のバルブタイミングによってクランキングが開始されると、図11に示すように、アウタロータ80およびインナロータ90の回転速度の上昇に伴い、第1および第2ロックピン85,94に対して作用する遠心力が徐々に増加する。そして、第1ロックピン85に作用する遠心力がバネ力を上回ると、矢印b2で示すように、第1ロックピン85が径方向外側つまり第1格納位置に向けて移動する。これにより、第1ロックピン85とロック穴96との噛み合いが外れるため、アウタロータ80に対するインナロータ90の拘束が解除される。なお、第2ロックピン94に作用する遠心力もバネ力を上回っており、矢印c2で示すように、第2ロックピン94についても径方向外側に向けて付勢される。
ここで、図11に示すように、引張コイルスプリング101のバネ力によってインナロータ90は矢印a1方向に付勢されている。このため、図12に示すように、アウタロータ80に対するインナロータ90の拘束が解除されると、アウタロータ80に対してインナロータ90は進角側に回転する。つまり、矢印α3で示すように、インナロータ90の回転速度は、一時的にアウタロータ80の回転速度を上回る。そして、図13に示すように、アウタロータ80に対してインナロータ90が進角側に回転し、インナロータ90の第2ロックピン94がアウタロータ80のロック穴87に対向すると、矢印c2で示すように、第2ロックピン94はロック穴87に対して挿入される。これにより、第2ロックピン94およびロック穴87が互いに噛み合うことから、アウタロータ80に対するインナロータ90の回転角度は第1角度X1よりも進角側の第2角度X2に保持され、アウタロータ80およびインナロータ90は一体となって回転する。すなわち、クランキング後半においては、吸気バルブ56のバルブタイミングが、進角側の開時期IVOaおよび閉時期IVCaに設定される。
これまで説明したように、クランキング前半、つまりクランク軸23の回転速度が閾値を下回る領域では、第2ロックピン94は遠心力を上回るバネ力によって第2格納位置に移動し、第2ロックピン94とロック穴87との噛み合いが外れる。また、第1ロックピン85は遠心力を上回るバネ力によって第1突出位置に移動し、第1ロックピン85とロック穴96とが互いに噛み合い、アウタロータ80に対するインナロータ90の回転角度が第1角度X1に保持される。これにより、クランキング前半においては、吸気バルブ56のバルブタイミングが、遅角側の開時期IVOrおよび閉時期IVCrに設定される。
一方、クランキング後半、つまりクランク軸23の回転速度が閾値を上回る領域では、第1ロックピン85はバネ力を上回る遠心力によって第1格納位置に移動し、第1ロックピン85とロック穴96との噛み合いが外れる。また、第2ロックピン94はバネ力を上回る遠心力によって第2突出位置に移動し、第2ロックピン94とロック穴87とが互いに噛み合い、アウタロータ80に対するインナロータ90の回転角度が第2角度X2に保持される。これにより、クランキング後半においては、吸気バルブ56のバルブタイミングが、進角側の開時期IVOaおよび閉時期IVCaに設定される。なお、クランキング前半とクランキング後半とを分ける閾値は、後述の図14および図15に示す回転数N2に設定されるが、他の回転数を閾値として設定しても良いことはいうまでもない。
[エンジン始動時のバルブタイミング]
図14は、エンジン始動からエンジン停止までのエンジン回転数および吸気バルブ56の閉時期の推移を示すタイミングチャートである。また、図15は図14の一部を拡大して示すタイミングチャートである。図15に示す時刻t1~t6と、前述した図8~図13に示す時刻t1~t6とは、互いに同じタイミングである。
図14に示すように、時刻ta1において、モータジェネレータMG1によるクランキングが開始されると、吸気バルブ56のバルブタイミングが遅角側の閉時期IVCrに切り替えられる(符号d1)。続いて、エンジン回転数の上昇に伴って第1および第2ロックピン85,94に作用する遠心力が増加すると、吸気バルブ56のバルブタイミングが進角側の閉時期IVCaに切り替えられる(符号d2)。そして、吸気バルブ56のバルブタイミングを進角側に維持したまま、時刻ta2で示すように、混合気を燃焼させるファイアリング状態にエンジン12が制御される。そして、時刻ta3で示すように、エンジン停止時には、吸気バルブ56のバルブタイミングを進角側に維持したまま、エンジン12が停止状態に制御される。なお、エンジン停止時においては、図13に示すように、第2ロックピン94がロック穴96に噛み合う状態から、第2ロックピン94に作用する遠心力が低下するため、図8に示すように、ロック穴96から第2ロックピン94が外れた状態に移行する。
図14に示したように、クランキング前半においては、吸気バルブ56のバルブタイミングが遅角側に設定される一方、クランキング後半においては、吸気バルブ56のバルブタイミングが進角側に切り替えられる。つまり、時刻ta2で示すように、燃焼室54内の混合気が燃焼するタイミングにおいては、吸気バルブ56のバルブタイミングを進角側に設定することができる。これにより、筒内温度を上昇させて混合気を良好に燃焼させることができ、エンジン12の始動性を高めることができる。
つまり、図14に時刻ta2で示すように、エンジン回転数が回転数N1に到達したときに、エンジン12が所謂ファイアリング状態に制御されている。このため、図14および図15に時刻t4で示すように、回転数N1よりも低い回転数N2において、第1ロックピン85がロック穴96から外れるように、第1ロックピン85の質量や圧縮コイルスプリング86のバネ力等が設定されている。なお、時刻t4およびその近傍において、第2ロックピン94が径方向外側に付勢されるように、第2ロックピン94の質量や引張コイルスプリング95のバネ力等が設定されることはいうまでもない。
しかも、クランキング前半においては、吸気バルブ56のバルブタイミングが遅角側に設定されている。これにより、クランキング前半においては、筒内圧力の変動幅を抑制することができるため、クランク軸23に作用するクランクトルクの変動幅を抑制することができる。このように、クランキング前半においてクランクトルクの変動幅を抑制することができるため、ギヤ列26から発生する歯打ち音を低減することができる。
ここで、図16はエンジン始動時における筒内圧力およびクランクトルクの関係を示す図である。図16には、実施例として吸気バルブ56のバルブタイミングを遅角側に設定した例が示されており、比較例として吸気バルブ56のバルブタイミングを進角側に設定した例が示されている。また、図16には、一例として、4気筒エンジンを用いたときの筒内圧力およびクランクトルクが示されている。
図16に示すように、吸気バルブ56の閉時期を遅角側の「IVCr」に設定した場合には、クランキングにおけるクランクトルクTcの変動幅が「Rt1」に抑制される。一方、吸気バルブ56の閉時期を進角側の「IVCa」に設定した場合には、クランキングにおけるクランクトルクTcの変動幅が「Rt2」に拡大される。つまり、図2の拡大部分に示すように、エンジン始動時には、モータジェネレータMG1から従動ギヤ26bに対してモータトルクTm1が伝達され、このモータトルクTm1によってクランキングが行われる。このようなクランキングにおいて、クランク軸23から駆動ギヤ26aに伝達されるクランクトルクTcに大きな変動が生じた場合には、クランクトルクTcの変動方向が切り替わる度に、符号z1,z2で示した箇所で歯面が強く当たることになる。しかしながら、実施例のように、吸気バルブ56の閉時期が遅角側の「IVCr」に設定されていた場合には、クランキングにおけるクランクトルクTcの変動幅を「Rt1」に抑制することができるため、ギヤ列26における歯面の当たりを緩和することができ、ギヤ列26から発生する歯打ち音を低減することができる。
さらに、クランク軸23とギヤ列26との間にはダンパ機構24が設けられることから、ダンパ機構24の共振周波数によっては、クランクトルクTcのトルク変動とダンパ機構24とを共振させてしまう虞もある。しかしながら、前述したように、クランキング前半においては、吸気バルブ56の閉時期が遅角側の「IVCr」に設定されるため、クランクトルクTcの変動幅を抑制することができ、クランクトルクTcのトルク変動とダンパ機構24との共振についても抑制することができる。なお、前述した可変動弁装置100は、油圧を用いて制御される構造ではなく、バネ力および遠心力を用いて制御される構造である。これにより、油圧を立ち上げることが困難なエンジン始動時においても、可変動弁装置100を適切に動作させることが可能である。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。図示する例では、圧縮コイルスプリング86を用いて第1ロックピン85を付勢し、引張コイルスプリング101を用いて第2ロックピン94を付勢し、引張コイルスプリング101を用いてインナロータ90を付勢しているが、これに限られることはない。例えば、コイルスプリング以外の弾性部材を用いて、第1ロックピン85、第2ロックピン94、或いはインナロータ90を付勢しても良い。また、例えば、圧縮ガス等を封入した圧力室を設けることにより、第1ロックピン85、第2ロックピン94、或いはインナロータ90を付勢しても良い。また、例えば、圧縮コイルスプリングを用いてインナロータ90を付勢しても良い。
図示する例では、パワーユニット10に対して2つのモータジェネレータMG1,MG2を設けているが、これに限られることはなく、パワーユニットに対して1つのモータジェネレータを設けても良い。また、可変動弁装置100が適用されるエンジン12としては、如何なる形式のエンジンであっても良い。例えば、水平対向エンジン、直列エンジン、V型エンジン或いは単気筒エンジンに対して、可変動弁装置100を適用することが可能である。
前述の説明では、クランクスプロケット74およびカムスプロケット75,76にタイミングチェーン77を巻き掛けているが、これに限られることはなく、クランクプーリおよびカムプーリにタイミングベルトを巻き掛けても良い。また、前述の説明では、排気バルブ58のバルブタイミングを固定しているが、これに限られることはなく、油圧アクチュエータや電動アクチュエータ等を用いて排気バルブ58のバルブタイミングを制御しても良い。なお、可変動弁装置100に加えて油圧アクチュエータや電動アクチュエータ等を設けることにより、エンジン始動時以外にも吸気バルブ56のバルブタイミングを制御しても良い。
10 パワーユニット
11 車両
12 エンジン
23 クランク軸
24 ダンパ機構
25 伝達軸
26 ギヤ列
56 吸気バルブ
71 吸気カム軸
77 タイミングチェーン(動力伝達要素)
80 アウタロータ
81 ロータ収容部
83 内周面
85 第1ロックピン(第1突出部材)
86 圧縮コイルスプリング(第1弾性部材)
87 ロック穴(第2噛合凹部)
90 インナロータ
92 外周面
94 第2ロックピン(第2突出部材)
95 引張コイルスプリング(第2弾性部材)
96 ロック穴(第1噛合凹部)
100 可変動弁装置
101 引張コイルスプリング(第3弾性部材)
MG1 第1モータジェネレータ(モータジェネレータ)
N2 回転数(閾値)

Claims (5)

  1. 吸気カム軸に駆動される吸気バルブの開閉時期を切り替える可変動弁装置であって、
    エンジンのクランク軸に動力伝達要素を介して連結され、中央にロータ収容部が形成される環状のアウタロータと、
    前記ロータ収容部に回転可能に収容されるとともに前記吸気カム軸に連結され、前記アウタロータに対して進角側に付勢されるインナロータと、
    前記アウタロータに取り付けられ、前記アウタロータの内周面から突出する第1突出位置と突出しない第1格納位置とに移動可能であり、前記第1突出位置に向けて付勢される第1突出部材と、
    前記インナロータに取り付けられ、前記インナロータの外周面から突出する第2突出位置と突出しない第2格納位置とに移動可能であり、前記第2格納位置に向けて付勢される第2突出部材と、
    を有し、
    前記インナロータの外周面に開口する第1噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が第1角度である場合に前記第1突出部材に対向しており、
    前記アウタロータの内周面に開口する第2噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が前記第1角度よりも進角側の第2角度である場合に前記第2突出部材に対向している、
    可変動弁装置。
  2. 請求項1に記載の可変動弁装置において、
    エンジン始動時における前記クランク軸の回転速度が閾値を下回る領域では、
    前記第2突出部材は遠心力を上回る付勢力によって第2格納位置に移動し、前記第2突出部材と前記第2噛合凹部との噛み合いが外れ、
    前記第1突出部材は遠心力を上回る付勢力によって第1突出位置に移動し、前記第1突出部材と前記第1噛合凹部とが互いに噛み合い、
    前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度は、前記第1角度に保持される一方、
    エンジン始動時における前記クランク軸の回転速度が前記閾値を上回る領域では、
    前記第1突出部材は付勢力を上回る遠心力によって第1格納位置に移動し、前記第1突出部材と前記第1噛合凹部との噛み合いが外れ、
    前記第2突出部材は付勢力を上回る遠心力によって第2突出位置に移動し、前記第2突出部材と前記第2噛合凹部とが互いに噛み合い、
    前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度は、前記第1角度よりも進角側の前記第2角度に保持される、
    可変動弁装置。
  3. 請求項1または2に記載の可変動弁装置において、
    前記アウタロータと前記第1突出部材との間に設けられ、前記第1突出部材を前記第1突出位置に向けて付勢する第1弾性部材と、
    前記インナロータと前記第2突出部材との間に設けられ、前記第2突出部材を前記第2格納位置に向けて付勢する第2弾性部材と、
    前記アウタロータと前記インナロータとの間に設けられ、前記アウタロータに対して前記インナロータを進角側に付勢する第3弾性部材と、
    を有する、
    可変動弁装置。
  4. 車両に搭載されるパワーユニットであって、
    吸気カム軸に駆動される吸気バルブの開閉時期を切り替える可変動弁装置を備えるエンジンと、
    前記エンジンのクランク軸にギヤ列を介して連結され、エンジン始動時に前記クランク軸を回転させるモータジェネレータと、
    を有し、
    前記可変動弁装置は、
    エンジンのクランク軸に動力伝達要素を介して連結され、中央にロータ収容部が形成される環状のアウタロータと、
    前記ロータ収容部に回転可能に収容されるとともに前記吸気カム軸に連結され、前記アウタロータに対して進角側に付勢されるインナロータと、
    前記アウタロータに取り付けられ、前記アウタロータの内周面から突出する第1突出位置と突出しない第1格納位置とに移動可能であり、前記第1突出位置に向けて付勢される第1突出部材と、
    前記インナロータに取り付けられ、前記インナロータの外周面から突出する第2突出位置と突出しない第2格納位置とに移動可能であり、前記第2格納位置に向けて付勢される第2突出部材と、
    を有し、
    前記インナロータの外周面に開口する第1噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が第1角度である場合に前記第1突出部材に対向しており、
    前記アウタロータの内周面に開口する第2噛合凹部は、前記アウタロータに対する前記インナロータの回転角度が前記第1角度よりも進角側の第2角度である場合に前記第2突出部材に対向している、
    パワーユニット。
  5. 請求項4に記載のパワーユニットにおいて、
    前記クランク軸と前記ギヤ列との間に、ダンパ機構が設けられている、
    パワーユニット。
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