JP2023144566A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外方部材のアウター側端部に固定されるシールリップと、内方部材のハブ輪に嵌合され、且つ当該シールリップと摺接する金属環とを有したアウター側シール部材を備える車輪用軸受装置であって、ハブ輪に対する金属環の嵌合力を容易に高め、ハブ輪に旋回荷重が負荷された場合に、金属環が移動するのを防止することができる車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】金属環83は、ハブ輪3の外周面に嵌合される金属環側円筒部83aと、金属環側円筒部83aに対して径方向外側、且つ軸方向のアウター側に位置する金属環側円板部83bと、金属環側円筒部83aと金属環側円板部83bとを連結し、周方向断面視において、ハブ輪3の軸心に対して40°以上、且つ50°以下の角度で傾斜するテーパー形状の連結部83cとを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、車輪用軸受装置に関する。
従来より、自動車等の車両の懸架装置において、車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。
前記車輪用軸受装置は、例えば、車輪に接続されるハブ輪(内方部材)が、転動体を介して外方部材に回転自在に支持された構成からなる。
また、車輪用軸受装置は、主に上記懸架装置、車輪のタイヤホール、及びブレーキロータ等によって囲まれた空間内にて、外部に露出した状態で配置されることが多い。
このため、車輪用軸受装置には、泥水等の異物が、外部から転動体の設置空間内に侵入するのを防止するために、外方部材と内方部材との間に形成される環状空間において、そのインナー側及びアウター側のそれぞれの開口端に、シール部材が設けられている。
ここで、このような車輪用軸受装置の一例として、例えば特許文献1においては、上記環状空間におけるアウター側の開口端に設けられた密封装置(アウター側シール部材)と、上記環状空間におけるインナー側の開口端に設けられたカバー(インナー側シール部材に対応)とを備える転がり軸受ユニット(車輪用軸受装置)が開示されている。
上記特許文献1における車輪用軸受装置において、アウター側シール部材は、外輪(外方部材)のアウター側端部に支持固定されたシールリップと、ハブ(内方部材のハブ輪)の外周面に外嵌固定され、且つ当該シールリップと摺接する摺接環(金属環)とを備えている。
また、金属環は、ハブ輪の外周面に嵌合される嵌合筒部(円筒部)と、当該嵌合部に対して周方向外側、且つ軸方向のアウター側に位置する円環形状の円輪状部(円板部)と、これら円筒部と円板部とを連結する曲板部(連結部)とにより構成されている。
一方、ハブ輪のアウター側端部には、車輪が接続される回転側フランジ(車輪取り付け用フランジ)が設けられるとともに、当該車輪取り付け用フランジの基端部には、インナー側に突出する厚肉部(段差部)が形成されている。
また、上記段差部とハブ輪の外周面との間の凹曲面部(隅部)は、周方向断面視にて円弧形状に形成されている。
そして、金属環の連結部は、上記段差部における隅部に沿って、同じく周方向断面視にて円弧形状に湾曲形成されており、当該金属環は、段差部の平面部(インナー側の平面部)に円板部を接触させた状態で、円筒部を介してハブ輪の外周面に外嵌固定されている。
特開2018-84287号公報
ところで、例えば車両が旋回動作を行う場合、ハブ輪には、地面とタイヤとの間のグリップ力によって、軸方向に向かう過大な荷重(旋回荷重)が負荷されることから、ハブ輪は、当該旋回荷重によって軸方向に弾性変形を生じつつ、車輪用軸受装置によって回転可能に支持された状態となる。
また、上述したように、従来の車輪用軸受装置においては、金属環の連結部が、周方向断面視にて円弧形状に湾曲形成されていることから、当該金属環は、このような過大な軸方向の荷重(旋回荷重)に対して剛性(円環剛性)が十分でなく、弾性変形を生じてハブ輪に対する嵌合力が低下し易い。
従って、このような旋回荷重を負荷された状態で、ハブ輪が回転し続けることにより、金属環は、当該ハブ輪の段差部を介して徐々に押出され、軸方向のインナー側へと移動され易い。
金属環が押出されて、軸方向のインナー側へと移動すると、シールリップの締め代(金属環とシールリップとの間隙寸法)は増加する(小さくなる)。
その結果、車輪用軸受装置の回転トルクが上昇し、車両の燃費低下の要因になる虞があり、また、シールリップの摩耗が促進され、アウター側シール部材におけるシール性の低下を引き起こす要因となる虞がある。
ここで、このような、ハブ輪に旋回荷重が負荷された場合における、金属環の移動を防止するための対策として、例えば、当該金属環の締め代(円筒部の内径寸法と、ハブ輪の外形寸法との差)を上げる(大きくする)ことによって、ハブ輪に対する嵌合力を向上させることが考えられるが、当該締め代を必要以上に上げると、金属環の破損や、ハブ輪の外周面における嵌合面の損傷など、新たな問題が生じる虞がある。
また、金属環の移動を防止するための対策としては、当該金属環の板厚を増やしたり、或いは、当該金属環を周方向断面視にてL字状に形成することによって、金属環の剛性を高めることも考えられるが、この場合、アウター側シール部材におけるシールスペース(シールリップが占めるスペース)が損なわれるため、シールリップにおける設計の自由度が低下し好ましくない。
さらに、ハブ輪の外周面に突起を設け、当該突起によって、金属環が軸方向のインナー側へと移動するのを防止することも考えられるが、この場合、金属環やハブ輪の加工工程が増加し、製造コストが増加するため好ましくない。
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、外方部材のアウター側端部に固定されるシールリップと、内方部材のハブ輪に嵌合され、且つ当該シールリップと摺接する金属環とを有したアウター側シール部材を備える車輪用軸受装置であって、例えば、上述したような、金属環の破損や、ハブ輪の外周面における嵌合面の損傷などが生じることもなく、また、シールリップにおける設計の自由度が低下することもなく、さらに、金属環やハブ輪の製造コストが増加することもなく、ハブ輪に対する金属環の嵌合力を容易に高め、ハブ輪に旋回荷重が負荷された場合に、金属環が移動するのを防止することができる車輪用軸受装置を提供することを課題とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、本発明に係る車輪用軸受装置は、内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、外周に前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置であって、前記外方部材及び前記内方部材によって形成された環状空間のアウター側開口端を塞ぐアウター側シール部材を備え、前記アウター側シール部材は、前記外方部材に固定され、前記内方部材側に延びるシールリップと、前記内方部材に嵌合され、前記シールリップと摺接する金属環とを有し、前記金属環は、前記内方部材の外周面に嵌合される円筒部と、前記円筒部に対して径方向外側、且つ軸方向のアウター側に位置する円板部と、前記円筒部と前記円板部とを連結し、周方向断面視において、前記内方部材の軸心に対して40°以上、且つ50°以下の角度で傾斜するテーパー形状の連結部とを有することを特徴とする。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る車輪用軸受装置によれば、金属環の破損や、ハブ輪の外周面における嵌合面の損傷などが生じることもなく、また、シールリップにおける設計の自由度が低下することもなく、さらに、金属環やハブ輪の製造コストが増加することもなく、ハブ輪に対する金属環の嵌合力を容易に高め、ハブ輪に旋回荷重が負荷された場合に、金属環が移動するのを防止することができる。
本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の全体的な構成を示した断面図である。 本実施形態に係る車輪用軸受装置が備えるアウター側シール部材の構成を示した詳細断面図である。 別実施形態に係る車輪用軸受装置が備えるアウター側シール部材の構成を示した図であって、(a)は第1別実施形態に係る車輪用軸受装置が備えるアウター側シール部材の構成を示した詳細断面図であり、(b)は第2別実施形態に係る車輪用軸受装置が備えるアウター側シール部材の構成を示した詳細断面図であり、(c)は第3別実施形態に係る車輪用軸受装置が備えるアウター側シール部材の構成を示した詳細断面図である。
次に、本発明の一実施形態について、図1乃至図3を用いて説明する。
なお、本明細書においては便宜上、図1中の矢印の方向によって規定された、インナー側及びアウター側に基づき記述する。
ここで、「インナー側」とは、自動車等の車体に取り付けられた状態における車輪用軸受装置1に対して、当該車体の内側の方向を意味する。
また、「アウター側」とは、自動車等の車体に取り付けられた状態における車輪用軸受装置1に対して、上記インナー側との反対側、即ち、当該車輪用軸受装置1によって、回転自在に支持された車輪側の方向を意味する。
また、本明細書においては、車輪用軸受装置1の回転軸(より具体的には、ハブ輪3の軸心G。図1を参照)と平行な方向を「軸方向」、当該車輪用軸受装置1の回転軸(軸心G)と直交する方向を「径方向」、当該車輪用軸受装置1の回転軸(軸心G)を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」と規定して記述する。
[車輪用軸受装置1(本実施形態)の全体構成]
先ず、本実施形態における車輪用軸受装置1の全体構成について、図1を用いて説明する。
車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において、車輪を回転自在に支持するものである。
車輪用軸受装置1は、主に外輪2、ハブ輪3、内輪4、複列(本実施形態においては二列)の転動体であるボール列5・5、パルサリング6、軸受キャップ7、及びアウター側シール部材8等を備える。
外輪2は、外方部材の一例であって、ハブ輪3及び内輪4を支持するものである。
外輪2は、略中空円筒状の部材からなり、そのインナー側の端部には、軸受キャップ7を嵌合可能なインナー側開口部2aが設けられ、且つそのアウター側の端部には、アウター側シール部材8を嵌合可能なアウター側開口部2bが設けられている。
そして、外輪2の内周には、周方向に環状の複列(本実施形態においては二列)の外側軌道面2c・2cが、軸方向に離間して同軸上に設けられるとともに、外輪2の外周には、懸架装置のナックル(図示せず)に取付可能なフランジ(同じく、図示せず)が、一体に設けられている。
ハブ輪3は、内輪4とともに内方部材を構成する部材であって、車両の車輪(図示せず)を回転自在に支持するものである。
ハブ輪3は、S53C等の炭素0.40~0.80wt%を含む、略中実円柱状の中高炭素鋼からなり、そのインナー側の外周には、軸方向に延びる縮径された小径段部3aが設けられている。
また、ハブ輪3のアウター側の端部には、上記車輪を取付可能な車輪取り付けフランジ3bが、径方向断面視にて円弧状に拡径するように一体的に設けられている。
つまり、ハブ輪3において、車輪取り付けフランジ3bは、小径段部3aよりもアウター側に配置されている。
そして、車輪取り付けフランジ3bには、上記車輪をハブ輪3に締結するための、複数本のハブボルト3c・3c・・・が圧入されている。
また、ハブ輪3のアウター側の外周には、周方向に環状の内側軌道面3dが、上述したアウター側の外側軌道面2cと対向して設けられている。
なお、ハブ輪3は、小径段部3aから、内側軌道面3dを経て後述する段差部31までの領域に亘り、高周波焼入れが施され、表面硬さが58~64HRCの範囲となるように硬化処理されている。
ハブ輪3の小径段部3aには、内輪4が圧入されている。
内輪4は、ハブ輪3とともに内方部材を構成する部材であって、略中空円筒状の部材からなり、その外周には、周方向に環状の内側軌道面4aが、上述したインナー側の外側軌道面2cと対向して設けられている。
そして、内輪4は、ハブ輪3のインナー側の端部が、径方向外側に向かって塑性変形(加締め)されることにより、当該ハブ輪3に固定される。
なお、ハブ輪3との内輪4の固定方法については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、ハブ輪3のインナー側の端部において、ナット等の締結部材を螺合固定することとしてもよい。
このように、ハブ輪3及び内輪4によって構成される内方部材において、そのインナー側の端部には、内輪4に設けられる内側軌道面4aが配置され、且つそのアウター側の端部には、ハブ輪3に設けられる内側軌道面3dが配置されるとともに、これら複列(本実施形態においては二列)の内側軌道面3d・4aは、上述した外輪2に設けられる複列(二列)の外側軌道面2c・2cと、互いに対向して配置されている。
二列のボール列5・5は、外輪2に対して相対的に、ハブ輪3及び内輪4からなる内方部材を回転自在に支持するものである。
各列におけるボール列5は、環状に配置された複数のボール5a・5a・・・、及びこれらのボール5a・5a・・・を転動自在に保持する保持器5bによって構成されている。
そして、これら二列のボール列5・5は、外輪2のインナー側及びアウター側の端部に各々設けられる二列の外側軌道面2c・2cと、内方部材(ハブ輪3及び内輪4)のインナー側及びアウター側の端部に各々設けられる二列の内側軌道面3d・4aとの間に形成された、二列の設置空間Q1・Q1内において、各々転動自在に収容されている。
このように、本実施形態における車輪用軸受装置1は、外輪2、ハブ輪3、内輪4、及び二列のボール列5・5からなる複列アンギュラ玉軸受として構成されている。
なお、車輪用軸受装置1の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、ボール列5に代替して円錐ころ列を用いた、複列円錐ころ軸受として構成されていてもよい。
パルサリング6は、軸受キャップ7に設けられる磁気センサ(図示せず)とともに、上記車輪の回転速度を検出するものである。
パルサリング6は、円環状に形成された支持環61、及び支持環61に接合された磁気エンコーダ62等により構成される。
支持環61は、例えば強磁性体の鋼板をプレス加工することにより、周方向視にて略L字状の断面を有するように形成され、内輪4に嵌合される円筒状の嵌合部61a、及び嵌合部61aのインナー側端部から径方向外側に延びる立板部61bを有している。
一方、磁気エンコーダ62は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入されることにより、周方向に交互、且つ等間隔に磁極N、Sが着磁されて磁気特性が変化する、車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダとして構成されている。
そして、支持環61における立板部61bのインナー側の側面において、磁気エンコーダ62は、加硫接着により当該支持環61に接合されている。
軸受キャップ7は、外輪2及び内方部材(ハブ輪3及び内輪4)によって形成された環状空間Q2において、そのインナー側の開口端を塞ぐものである。
軸受キャップ7は、例えば有底円筒状の合成樹脂からなり、外輪2のインナー側開口部2aに内嵌固定され、当該外輪2におけるインナー側の内周を閉塞する。
そして、軸受キャップ7には、図示せぬ磁気センサが、パルサリング6の磁気エンコーダ62と所定のエアギャップを介して対向するように装着されており、当該磁気センサによって磁気エンコーダ62の磁気特性の変化を検知することにより、車輪の回転速度を検出する構成となっている。
なお、本実施形態においては、環状空間Q2のインナー側の開口端を塞ぐために、軸受キャップ7を設けることとしているが、これに限定されるものではない。
例えば、周方向視にて略逆L字状の断面を有するように屈曲形成された環状の鋼板からなり、複数のシールリップが加硫接着されたシール板と、同じく周方向視にて略L字状の断面を有するように屈曲形成された環状の鋼板からなり、磁気エンコーダが加硫接着されたスリンガとにより構成された、パックシールからなるインナー側シール部材を、本実施形態におけるパルサリング6及び軸受キャップ7に代替して設けることとしてもよい。
アウター側シール部材8は、外輪2及び内方部材(ハブ輪3及び内輪4)によって形成された環状空間Q2において、そのアウター側の開口端(より具体的には、外輪2のアウター側開口部2b)を塞ぐものである。
なお、アウター側シール部材8の構成の詳細については、後述する。
以上のように、本実施形態における車輪用軸受装置1は、ハブ輪3の外周に、アウター側のボール列5が転動可能な内側軌道面3dが、直接形成されている第3世代構造の車輪用軸受装置として構成されているが、これに限定されるものではない。
例えば、一対の内輪が、ハブ輪の外周に互いに同軸上に圧入固定されるとともに、各々の内輪の外周に、ボール列が転動可能な内側軌道面が、直接形成されている第2世代構造の車輪用軸受装置として構成されていてもよい。
或いは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周に、ボール列が転動可能な内側軌道面が、直接形成されている第4世代構造の車輪用軸受装置として構成されていてもよい。
[アウター側シール部材8の構成]
次に、アウター側シール部材8の構成について、図2を用いて詳細に説明する。
アウター側シール部材8は、外輪2に嵌合される芯金81、当該芯金81に接合された弾性体からなるシール体82、及びハブ輪3に嵌合される金属環83等を有する。
芯金81は、例えば、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)、オーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、または防塵処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)等からなる円環状の鋼板を、プレス加工することによって形成される。
また、芯金81は、主に芯金側円筒部81a、湾曲部81b、及び芯金側円板部81c等を有する。
芯金側円筒部81aは、軸方向に延出する中空円筒状に形成され、その外径は、外輪2のアウター側開口部2bの内径と略同等に設定されている。
また、湾曲部81bは、周方向視において軸方向のアウター側(図1を参照)に凸状となる円環状に形成され、芯金側円筒部81aのアウター側の端部より、径方向内側に向かって連続して設けられている。
さらに、芯金側円板部81cは、直立する円板状に形成され、湾曲部81bの端部より径方向内側に向かって連続して設けられている。
一方、芯金81のアウター側の側面には、シール体82が、芯金側円筒部81aの外周面に向かって回り込むように接合されており、アウター側シール部材8は、所謂ハーフメタル構造を成している。
そして、アウター側シール部材8は、芯金81の芯金側円筒部81aを介して、外輪2のアウター側開口部2b(即ち、前述した環状空間Q2(図1を参照)のアウター側の端部であって、外輪2の内周部)に嵌合される。
これにより、車輪用軸受装置1の環状空間Q2は気密性が高められ、アウター側シール部材8によって軸受内部を保護することができる。
シール体82は、例えば、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性及び耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、またはシリコンゴム等の合成ゴムからなる弾性体によって形成され、加硫接着により芯金81と一体的に接合されている。
また、シール体82は、芯金81のアウター側の側面を覆う基部82a、並びに、当該基部82aより、後述するハブ輪3の段差部31側に延び、その先端部にて、金属環83と摺動可能に接触する、複数のシールリップ82b・82b・82bを有する。
これら複数のシールリップ82b・82b・82bは、各々円環状に形成され、同軸上に配置される外側アキシアルリップ84、内側アキシアルリップ85、及びラジアルリップ86により構成される。
具体的には、外側アキシアルリップ84は、周方向断面視において、径方向外側に傾斜して軸方向のアウター側に延びるように形成されている。
また、内側アキシアルリップ85は、外側アキシアルリップ84の径方向内側に位置し、且つ周方向断面視において、径方向外側に傾斜して軸方向のアウター側に延びるように形成されている。
さらに、ラジアルリップ86は、内側アキシアルリップ85の径方向内側に位置し、且つ周方向断面視において、径方向内側に傾斜して軸方向のインナー側(図1を参照)に延びるように形成されている。
換言すると、これらの外側アキシアルリップ84、内側アキシアルリップ85、及びラジアルリップ86は、芯金81を介して、外輪2のアウター側の端部(より具体的には、アウター側開口部2b)に固定されるとともに、内方部材(より具体的には、後述するハブ輪3の段差部31)側に向って各々延びるように構成されている。
そして、これらの外側アキシアルリップ84、内側アキシアルリップ85、及びラジアルリップ86は、それぞれ先端部において、ハブ輪3に嵌合された金属環83のインナー側の側面(より具体的には、後述する金属環側円板部83b及び連結部83cのインナー側の側面)、及び外周面(より具体的には、後述する金属環側円筒部83aの外周面)に摺接される。
金属環83は、上述した芯金81と同様に、例えば、フェライト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS430系等)、オーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)、または防塵処理された冷間圧延鋼板(JIS規格のSPCC系等)等からなる円環状の鋼板を、プレス加工することによって形成される。
また、金属環83は、主に金属環側円筒部83a、金属環側円板部83b、連結部83c、円錐筒部83d、及び外縁部83e等を有する。
金属環側円筒部83aは、軸方向に延出する中空円筒状に形成され、その内径は、ハブ輪3の段差部31に設けられる、軸周面部31bの外径と略同等に設定されている。
ここで、上記段差部31は、ハブ輪3における車輪取り付けフランジ3bの基端部において、軸方向のインナー側へ突出して設けられた部位を指す。
具体的には、段差部31は、ハブ輪3の軸心G(図1を参照)に対して垂直な平面からなる平面部31a、当該平面部31aの径方向内側に位置し、軸心Gと同軸上に延出する軸周面部31b、及び平面部31aの径方向内側端部より、軸方向のインナー側、且つ径方向内側に向かって延出し、軸周面部31bと滑らかに連続する円弧面部31cなどにより構成されている。
なお、円弧面部31cは、本発明に係る隅部の一例であって、周方向断面視において、平面部31aに対してインナー側、且つ軸周面部31bに対して径方向外側に位置する仮想図心g1を中心とした円弧形状に形成されている。
また、段差部31の外周面部31dは、所定の曲率にて傾斜しており、平面部31aの外縁からハブボルト3c(図1を参照)の座面31eまで、滑らかに繋がっている。
そして、金属環83は、後述する金属環側円板部83bを平面部31aに接触させることで、所定の位置にて位置決めされた状態で、金属環側円筒部83aを介して、ハブ輪3(より具体的には、軸周面部31b)の外周面に嵌合される。
これにより、外側アキシアルリップ84の先端部は、潤滑材であるグリースの油膜を介して、金属環側円板部83bのインナー側の側面と接触し、また、内側アキシアルリップ85の先端部は、当該油膜を介して、後述する連結部83cのインナー側の側面と接触し、さらに、ラジアルリップ86の先端部は、当該油膜を介して、金属環側円筒部83aの外周面と接触した状態となる。
その結果、これら複数のシールリップ84・85・86と、金属環83との間には、内側アキシアルリップ85によって区切られた密閉空間、即ち、外側アキシアルリップ84と内側アキシアルリップ85とによって隔絶された第1リップ空間P1、及びラジアルリップ86と内側アキシアルリップ85とによって隔絶された第2リップ空間P2が形成され、アウター側シール部材8のシール性は、更に高められる。
ところで、金属環側円筒部83aにおける軸方向の長さL1は、ハブ輪3の外周面における、円弧面部31cと、軸方向の最もアウター側に位置する内側軌道面(より具体的には、内側軌道面3d)との間の軸方向の長さ、即ち、軸周面部31bにおける軸方向の長さLに対して、70%以下に設定されている(L1≦0.7×L)。
このような構成を有することにより、金属環側円筒部83aのインナー側の端部が、ボール列5と接触することなく、金属環83を、確実に上記所定の位置(段差部31の平面部31aに金属環側円板部83bを接触させた位置)に配置することができる。
なお、金属環83とハブ輪3との間の嵌合部の締め代(金属環側円筒部83aの内径寸法と、軸周面部31bの外形寸法との差)については、当該金属環83に求められる所望の嵌合力(緊縛力)に基づき、金属環側円筒部83aの板厚、及び軸方向の長さを考慮して適宜設定されるが、例えば本実施形態においては、金属環側円筒部83aの板厚、及び軸方向の長さが、それぞれ0.6mm、及び4.5mmに設定された金属環83に対して、当該嵌合部の締め代は、0.08~0.26mmの範囲内に設定されている。
金属環側円板部83bは、直立する円板状に形成され、金属環側円筒部83aに対して径方向外側、且つ軸方向のアウター側に配置される。
そして、後述するように、金属環側円板部83bは、連結部83cを介して、金属環側円筒部83aと連続的に連結される。
連結部83cは、周方向断面視において、金属環側円筒部83aのアウター側の端部から、径方向外側に傾斜し、且つ軸方向のアウター側に向かって延びるテーパー形状に形成され、金属環側円板部83bの径方向内側の端部と繋がることで、これらの金属環側円筒部83aと金属環側円板部83bとを連続的に連結する。
また、連結部83cにおける上記傾斜角度θは、ハブ輪3の軸心Gに対して、40°以上、且つ50°以下の範囲内に設定されている(40°≦θ≦50°)。
ここで、上記傾斜角度θが40°未満である場合(θ<40°)、金属環83の剛性(円環剛性)を十分に確保することができず、ハブ輪3との嵌合力が弱くなり、その結果、例えばハブ輪3に旋回荷重が負荷された場合に、当該旋回荷重による、ハブ輪3の軸方向への弾性変形に応じて、容易に金属環83がインナー側に移動してしまう(ズレてしまう)懸念がある。
一方、上記傾斜角度θが50°を超える場合(θ>50°)、シールスペース(金属環83のインナー側において、外側アキシアルリップ84及び内側アキシアルリップ85が占めるスペース)が狭くなってしまい、リップ設計に制約が生じ、耐泥水性を維持することが困難となる。或いは、従来の車輪用軸受装置と同等の耐泥水性能を維持するべく、当該シールスペースを確保するために、本実施形態における車輪用軸受装置1の外形サイズが全体的に大きくなる可能性がある。
このようなことから、本実施形態においては、金属環83の連結部83cにおける上記傾斜角度θを、40°以上、且つ50°以下の範囲内に設定することとしており、これにより、所定の耐泥水性能を確保しつつ、金属環83の剛性(円環剛性)を、従来に比べて十分に高め、当該金属環83におけるハブ輪3との嵌合力を、容易に向上可能な構成となっている。
また、連結部83cにおける軸方向の長さL2は、ハブ輪3の段差部31における、円弧面部31cの断面視円弧形状の曲率半径Rに対して、1.05倍以上、且つ1.2倍以下に設定されており(1.05×R≦L2≦1.2×R)、金属環83を、上記所定の位置に配置した状態において、当該円弧形状の仮想図心g1は、金属環側円筒部83aに対して、常に軸方向のアウター側に位置するように構成されている。
このような構成を有することにより、金属環側円筒部83aのアウター側の端部が、上記円弧面部31cに乗り上げることなく、金属環83を、確実に上記所定の位置に配置することができる。
円錐筒部83dは、周方向断面視において、金属環側円板部83bの径方向外側端部から、径方向外側に傾斜し、且つ軸方向のインナー側に向かって延びるテーパー形状に形成される。
また、円錐筒部83dは、インナー側の端部において、外輪2のアウター側の端部を、径方向外側から覆うように設けられている。
一方、外輪2のアウター側の端部には、当該外輪2のアウター側の端面2dから外周面2eに向かって徐々に拡径する、テーパー面2fが形成されている。
そして、円錐筒部83dは、外輪2のテーパー面2fに対向して配置される。
これにより、円錐筒部83dと、外輪2のテーパー面2fとの間には、僅かな隙間が形成され、金属環83の円錐筒部83dと、外輪2のテーパー面2fとの間で、ラビリンス構造Zが構成される。
その結果、泥水等の異物が、外部からアウター側のボール列5の設置空間Q1(図1を参照)内に侵入するのを、上記ラビリンス構造Zによって、直ちに防止することができ、アウター側シール部材8のシール性は、更に高められる。
外縁部83eは、直立する円板状に形成され、円錐筒部83dのインナー側の端部より、径方向外側に向かって連続して設けられている。
以上のように、本実施形態における車輪用軸受装置1は、内周に複列の外側軌道面2c・2cを有する外輪(外方部材)2と、外周に複列の外側軌道面2c・2cに対向する複列の内側軌道面3d・4aを有する内方部材と、外輪2と当該内方部材との両軌道面(外側軌道面2c・2c及び内側軌道面3d・4a)間に転動自在に収容された複列のボール列(転動体)5・5とを備えている。
また、本実施形態における車輪用軸受装置1は、外輪(外方部材)2及び当該内方部材によって形成された環状空間Q2のアウター側開口端(外輪2のアウター側開口部2b)を塞ぐアウター側シール部材8を備えている。
ここで、アウター側シール部材8は、外輪2(より具体的には、外輪2のアウター側の端部に位置するアウター側開口部2b)に固定され、上記内方部材側、即ち軸方向のアウター側、及び径方向内側に延びるシールリップ82b(外側アキシアルリップ84、内側アキシアルリップ85、及びラジアルリップ86)と、上記内方部材に嵌合され、当該シールリップと摺接する金属環83とを有している。
そして、金属環83は、上記内方部材の外周面(より具体的には、ハブ輪3における軸周面部31bの外周面)に嵌合される金属環側円筒部(円筒部)83aと、金属環側円筒部83aに対して径方向外側、且つ軸方向のアウター側に位置する金属環側円板部(円板部)83bと、金属環側円筒部83aと金属環側円板部83bとを連結し、周方向断面視において、内方部材(ハブ輪3)の軸心Gに対して40°以上、且つ50°以下の角度で傾斜するテーパー形状の連結部83cとを有した構成となっている。
このような構成を有することにより、本実施形態における金属環83においては、例えば、連結部が周方向断面視にて円弧形状に湾曲形成された、従来の金属環に比べて、十分に剛性が高められ、内方部材(ハブ輪3)に対する金属環83の嵌合力を容易に向上させることができる。
例えば、連結部83cにおける上記傾斜角度θが45°に設定されている場合(θ=45°)、ハブ輪3に対する金属環83の嵌合力は、上記従来の金属環の嵌合力に比べて、およそ30%向上することが知られている。
従って、例えばハブ輪3に旋回荷重が負荷された場合であっても、当該旋回荷重による、ハブ輪3の軸方向への弾性変形に応じて、金属環83がインナー側に移動するのを防止することができ、シール体82(より具体的には、外側アキシアルリップ84及び内側アキシアルリップ85)の締め代(金属環83と、シール体82の基部82aとの間隙寸法)がきつくなる(小さくなる)ことで、車輪用軸受装置1の回転トルクが上昇し、車両の燃費が低下したり、或いは、シール体82(外側アキシアルリップ84及び内側アキシアルリップ85)の摩耗が促進され、アウター側シール部材8におけるシール性が低下するのを、防止することができる。
また、例えば、他に別途、金属環83の移動を防止するための部品や構造を設けたり、或いは、ハブ輪3における軸周面部31bの外周面に突起を設け、当該突起によって、金属環83が軸方向のインナー側へと移動するのを防止した場合のように、金属環83やハブ輪3の製造コストが増加することもない。
また、本実施形態においては、上述したテーパー形状に連結部83cを形成し、金属環83の剛性を高めることによって、ハブ輪3における軸周面部31bに対する当該金属環83の嵌合力を向上させることから、例えば、金属環83とハブ輪3との間の嵌合部の締め代(金属環側円筒部83aの内径寸法と、軸周面部31bの外形寸法との差)をきつくすることによって、ハブ輪3に対する嵌合力を向上させた場合のように、金属環83の破損や、ハブ輪3の外周面における嵌合面の損傷などが生じる虞もない。
さらに、上述した形状からなる金属環83によれば、例えば、金属環83の板厚を増やしたり、或いは、金属環83を周方向断面視にてL字状に形成することによって、当該金属環83の剛性を高めた場合のように、アウター側シール部材8におけるシールスペース(シール体82が占めるスペース)が損なわれることもなく、外側アキシアルリップ84及び内側アキシアルリップ85における設計の自由度が低下することはない。
なお、本実施形態における車輪用軸受装置1において、上記内方部材は、外周において軸方向に延びる小径段部3aと、当該小径段部3aよりもアウター側に配置される車輪取り付けフランジ3bとを有するハブ輪3、及び当該ハブ輪3の小径段部3aに圧入された少なくとも一つの内輪4からなり、アウター側シール部材8の金属環83は、上記金属環側円筒部(円筒部)83aを介して、ハブ輪3の外周面に嵌合される構成となっている。
このように、本実施形態におけるアウター側シール部材8は、前述したように、ハブ輪3の外周に、アウター側のボール列5が転動可能な内側軌道面3dが、直接形成されている第3世代構造の車輪用軸受装置だけでなく、一対の内輪が、ハブ輪の外周に互いに同軸上に圧入固定されるとともに、各々の内輪の外周に、ボール列が転動可能な内側軌道面が、直接形成されている第2世代構造の車輪用軸受装置などにおいても適用することができる。
[車輪用軸受装置101(別実施形態)の構成]
次に、別実施形態における車輪用軸受装置101の構成について、図1及び図3を用いて説明する。
図1において、別実施形態における車輪用軸受装置101は、前述した本実施形態における車輪用軸受装置1と略同等な構成を有する一方、主に、アウター側シール部材108における金属環183(図3を参照)の構成について、車輪用軸受装置1と相違する。
よって、以下の説明においては、主に前述した車輪用軸受装置1との相違点について記載し、当該車輪用軸受装置1と同等な構成についての記載は省略する。
図3に示すように、アウター側シール部材108は、外輪2に嵌合される芯金181、当該芯金181に接合された弾性体からなるシール体182、及びハブ輪3に嵌合される金属環183等を有する。
なお、芯金181及びシール体182は、前述した車輪用軸受装置1における芯金81及びシール体82と、各々同等な構成からなるため、説明は省略する。
金属環183は、主に金属環側円筒部183a、金属環側円板部183b、連結部183c、円錐筒部183d、及び外縁部183e、並びに弾性体からなるシール部材187等を有する。
なお、上記の金属環側円筒部183a、金属環側円板部83b、連結部83c、円錐筒部83d、及び外縁部83eの材質及び形状についても、前述した車輪用軸受装置1における金属環側円板部83b、連結部83c、円錐筒部83d、及び外縁部83eと各々同等であるため、説明は省略する。
シール部材187は、例えば、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、耐熱性に優れたHNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、耐熱性及び耐薬品性に優れたACM(ポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、またはシリコンゴム等の合成ゴムからなる弾性体によって形成され、加硫接着により金属環183と一体的に接合されている。
具体的には、シール部材187は、金属環183における軸方向のアウター側(図1を参照)において、少なくとも金属環側円板部183bの一部を覆うようにして、当該金属環183に加硫接着されている。
例えば、図3(a)に示すように、シール部材187(以下、適宜「第1シール部材187a」と記載する)は、周方向断面視において、金属環側円板部183bのアウター側の平面における、径方向外側端部に加硫接着された、円環形状に形成されていてもよい。
また、図3(b)に示すように、シール部材187(以下、適宜「第2シール部材187b」と記載する)は、周方向断面視において、円錐筒部183dの外周面から、金属環側円板部183bのアウター側の平面における、径方向外側端部に亘って覆うように形成されていてもよい。
さらに、図3(c)に示すように、シール部材187(以下、適宜「第3シール部材187c」と記載する)は、周方向断面視において、円錐筒部183dの外周面、金属環側円板部183bのアウター側の平面、及び連結部183cのアウター側の平面に亘って、全体的に覆うように形成されていてもよい。
このような、第1シール部材187a、第2シール部材187b、または第3シール部材187cによって例示されるシール部材187が金属環183に設けられた、別実施形態における車輪用軸受装置101によれば、金属環183が、前述した所定の位置(段差部31の平面部31aに金属環側円板部183bを接触させた位置)に配置された状態において、段差部31の平面部31aと金属環側円板部183bとの間にシール部材187を介在させて、両部材183b・187間の隙間を効果的に塞ぐことができる。
従って、上記隙間を介して、泥水等の異物が、外部からアウター側のボール列5の設置空間Q1(図1を参照)内に侵入するのを、シール部材187によって効果的に防止し、アウター側シール部材108のシール性を、より高めることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1、101 車輪用軸受装置
2 外輪(外方部材)
2b アウター側開口部(アウター側端部)
2c 外側軌道面
3 ハブ輪
3a 小径段部
3b 車輪取り付けフランジ
3d 内側軌道面
4 内輪
4a 内側軌道面
5 ボール列(転動体)
8、108 アウター側シール部材
31 段差部
31a 平面部
31b 軸周面部
31c 円弧面部(隅部)
3d 内側軌道面
82b シールリップ
83、183 金属環
83a、183a 金属環側円筒部(円筒部)
83b、183b 金属環側円板部(円板部)
83c、183c 連結部
84 外側アキシアルリップ(シールリップ)
85 内側アキシアルリップ(シールリップ)
86 ラジアルリップ(シールリップ)
108 アウター側シール部材
187 シール部材
Q2 環状空間
G 軸心

Claims (5)

  1. 内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、
    外周に前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体とを備えた車輪用軸受装置であって、
    前記外方部材及び前記内方部材によって形成された環状空間のアウター側開口端を塞ぐアウター側シール部材を備え、
    前記アウター側シール部材は、
    前記外方部材に固定され、前記内方部材側に延びるシールリップと、
    前記内方部材に嵌合され、前記シールリップと摺接する金属環とを有し、
    前記金属環は、
    前記内方部材の外周面に嵌合される円筒部と、
    前記円筒部に対して径方向外側、且つ軸方向のアウター側に位置する円板部と、
    前記円筒部と前記円板部とを連結し、周方向断面視において、前記内方部材の軸心に対して40°以上、且つ50°以下の角度で傾斜するテーパー形状の連結部とを有する、
    ことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記内方部材は、
    外周において軸方向に延びる小径段部と、前記小径段部よりもアウター側に配置される車輪取り付けフランジとを有するハブ輪、及び当該ハブ輪の前記小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、
    前記金属環は、前記円筒部を介して前記ハブ輪の外周面に嵌合される、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記ハブ輪において、
    前記車輪取り付けフランジの基端部には、軸方向のインナー側に突出する段差部が設けられ、
    前記段差部は、
    前記ハブ輪の軸心に対して垂直な平面部と、
    前記平面部の径方向内側端部より、軸方向のインナー側、且つ径方向内側に向かって延出し、前記ハブ輪の外周面と連続する、周方向断面視にて円弧形状の隅部とを有し、
    前記金属環の前記円筒部における軸方向の長さは、
    前記ハブ輪の外周面における、前記隅部と、軸方向の最もアウター側に位置する前記内側軌道面との間の軸方向の長さに対して、70%以下である、
    ことを特徴とする、請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記金属環において、
    前記連結部における軸方向の長さは、
    前記段差部における前記隅部の断面視円弧形状の曲率半径に対して、1.05倍以上、且つ1.2倍以下である、
    ことを特徴とする、請求項3に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記金属環における軸方向のアウター側において、
    少なくとも前記円板部の一部を覆うシール部材を有する、
    ことを特徴とする、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の車輪用軸受装置。
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