JP2023144100A - でんぷん含有固形状組成物を調味液中に含む食品組成物及びその製造方法 - Google Patents

でんぷん含有固形状組成物を調味液中に含む食品組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】豆類由来でんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物であって、豆類の好ましい風味成分が調味液にも付与されると共に、好ましくない豆類特有の劣化臭が抑制され、風味バランスに優れた食品組成物を提供する。【解決手段】豆類由来のでんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物であって、下記(a)~(c)を全て充足する食品組成物。(a)食品組成物の塩化ナトリウム含有量が湿潤質量換算で2質量%以下である。(b)調味液をラピッドビスコアナライザーを用いて[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度が5cP超550cP以下である。[手順a]ラピッドビスコアナライザーを用いてサンプルを50℃から95℃まで昇温させた後、3分間保持し、更に50℃まで降温させた場合の粘度を測定する。(c)ダイナミックヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析法で測定される固形状組成物に対する調味液の2-ペンチルフランピーク面積比が100以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物及びその製造方法に関する。
従来、でんぷんを主成分とする麺類等の固形状組成物は縷々知られている。従来、斯かる固形状組成物の原料でんぷんとしては、小麦由来や米由来のでんぷんが主流であったが、近年では、豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを主成分とする固形状組成物が開発されている。斯かる技術の例として、特許文献1には、豆類を含有する原料を高温高圧条件下にて処理することで、加熱調理後、時間が経過しても結着しにくい加熱調理用固形状ペースト組成物を製造する方法が開示されている。
斯かるでんぷん含有固形状組成物は、調味液等の液中で加熱することにより、その抽出物によって素材の風味を引き立てる効果が発揮される。このため、小麦由来でんぷんや米由来でんぷんを主成分とする従来の固形状組成物は、調味液中に含有する汁麺類等の食品組成物への展開がなされている。しかし、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんを主成分とする固形状組成物の場合は、好ましくない原料(豆類、雑穀類)特有の劣化臭が問題となって、調味液等の液中で加熱した抽出物を利用した食品組成物への展開が行われてこなかった。
国際公開第2020/166713号
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物であって、原料(豆類、雑穀類)の好ましい風味成分が調味液にも付与されると共に、好ましくない原料(豆類、雑穀類)特有の劣化臭が抑制され、固形状組成物と調味液との風味バランスに優れた食品組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意検討の結果、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物において、食品組成物の塩化ナトリウム含有量と、ラピッドビスコアナライザーにより測定した調味液の特定の粘度とをそれぞれ所定範囲内に調節することで、原料(豆類、雑穀類)の好ましい風味成分を有すると共に、好ましくない原料(豆類、雑穀類)特有の劣化臭が抑制され、固形状組成物と調味液との風味バランスが優れた食品組成物となるとことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の趣旨は、例えば以下に関する。
[項1]豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物であって、下記(a)~(c)を全て充足する食品組成物。
(a)食品組成物の塩化ナトリウム含有量が湿潤質量換算で2質量%以下、又は1.8質量%以下、又は1.6質量%以下、又は1.2質量%以下、又は1質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.5質量%以下であり、また下限は制限されるものではないが、例えば0質量%以上、又は0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、又は0.4質量%以上である。
(b)調味液をラピッドビスコアナライザーを用いて[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度が5.0cP超、6.0cP以上、又は7.0cP以上、又は9.0cP以上、又は10.0cP以上、又は11.0cP以上であり、また上限は制限されるものではないが、例えば550cP以下、又は520cp以下、又は500cP以下、又は490cp以下、又は480cP以下、又は450cP以下、又は420cp以下、又は400cp以下、又は380cp以下である。
[手順a]ラピッドビスコアナライザーを用いてサンプルを50℃から95℃まで昇温させた後、3分間保持し、更に50℃まで降温させた場合の粘度を測定する。
(c)ダイナミックヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析法で測定される固形状組成物に対する調味液の2-ペンチルフランピーク面積比が100以下、又は90以下、又は85以下、又は80以下、又は70以下、又は60以下、又は50以下、又は40以下、又は30以下、又は25以下、又は20以下、又は15以下、又は10以下、又は6以下、又は3以下、又は2以下であり、また下限は制限されるものではないが、例えば0以上、又は0.001以上、又は0.002以上、又は0.003以上である。
[項2]調味液が、4メッシュパスの食用植物加工品を湿潤質量換算で1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上であり、また上限は特に制限されないが、例えば100質量%以下、又は90質量%以下、又は80質量%以下、又は70質量%以下、又は60質量%以下含有する、項1に記載の食品組成物。
[項3]食用植物加工品の性状が、粉末、ペースト、又は水系抽出物から選ばれる1種以上の性状である、項2に記載の食品組成物。
[項4]食用植物加工品が、穀類、イモ類、豆類、種実類、野菜類、果実類及びきのこ類から選ばれる1種以上の食用食物の加工品である、項2又は3に記載の食品組成物。
[項5]食用植物加工品が、ニンニク、タマネギ、トマト、ゴマ、マッシュルーム、及びサツマイモから選択される1種以上の食用植物の加工品である、項2~4の何れか一項に記載の食品組成物。
[項6]キサンタンガムを実質的に含有しない、項1~5の何れか一項に記載の食品組成物。
[項7]調味液に対する固形状組成物の比率が湿潤質量換算で10質量%以上、又は40質量%以上、又は70質量%以上であり、また上限は制限されないが、例えば800質量%以下、又は700質量%以下、又は600質量%以下、又は500質量%以下、又は400質量%以下、又は300質量%以下、又は250質量%以下である、項1~6の何れか一項に記載の食品組成物。
[項8]成熟した豆類に由来するでんぷんを含有する、項1~7の何れか一項に記載の食品組成物。
[項9]エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属から選ばれる1種以上の豆類に由来するでんぷんを含有する、項1~8の何れか一項に記載の食品組成物。
[項10]あわ、ひえ、きび、もろこし、ライ麦、えん麦、はと麦、とうもろこし、そば、アマランサス、及びキノアから選ばれる1種以上の雑穀類に由来するでんぷんを含有する、項1~9の何れか一項に記載の食品組成物。
[項11]固形状組成物の2-ペンチルフラン含有量が、乾燥質量換算で1質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は5質量ppb以上、又は7質量ppb以上、又は10質量ppb以上、又は15質量ppb以上であり、また上限は制限されないが、例えば50質量ppm以下、又は47質量ppm以下、又は40質量ppm以下、又は30質量ppm以下、又は20質量ppm以下、又は15質量ppm以下、又は10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は3質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.2質量ppm以下、又は0.5質量ppm以下、又は0.2質量ppm以下、又は0.1質量ppm以下、又は0.07質量ppm以下である、項1~10の何れか一項に記載の食品組成物。
[項12]調味液を加熱により濃縮又は蒸発させてから喫食される、項1~11の何れか一項に記載の食品組成物。
[項13]豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物を製造する方法であって、下記段階(i)~(v)を含む製造方法。
(i)塩化ナトリウム含有量が湿潤質量換算で0.1質量%以上、又は0.2質量%以上であり、また上限は制限されないが、例えば2.5質量%以下、又は2.3質量%以下、又は2.0質量%以下、又は1.5質量%以下、又は1.0質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.5質量%以下である基礎調味液を用意する段階。
(ii)豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有すると共に、2-ペンチルフランを乾燥質量換算で1質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は5質量ppb以上、又は7質量ppb以上、又は10質量ppb以上、又は15質量ppb以上、又は25質量ppb以上、又は30質量ppb以上であり、また上限は制限されないが、例えば50質量ppm以下、又は47質量ppm以下、又は40質量ppm以下、又は30質量ppm以下、又は20質量ppm以下、又は15質量ppm以下、又は10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は3質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.2質量ppm以下、又は0.5質量ppm以下、又は0.2質量ppm以下含有する基礎組成物を用意する段階。
(iii)段階(ii)の基礎組成物を水性媒体中で加熱して固形状組成物とする段階。
(iv)段階(ii)の基礎組成物の抽出物を段階(i)の基礎調味液に添加して、ラピッドビスコアナライザーを用いて[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度が5.0cP超、又は6.0cP以上、又は7.0cP以上、又は9.0cP以上、又は10.0cP以上、又は11.0cP以上であり、また上限は制限されるものではないが、例えば550cP以下、又は520cp以下、又は500cP以下、又は490cp以下、又は480cP以下、又は450cP以下、又は420cp以下、又は400cp以下、又は380cp以下である調味液とする段階。
(v)段階(iii)の固形状組成物を段階(iv)の調味液に含有させる段階。
[項14]段階(i)の基礎調味液について、ラピッドビスコアナライザーを用いて[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度に、「0.1質量%/基礎調味液における湿潤質量換算塩化ナトリウム質量%」を乗じた換算値が0cP超、又は0.2cP以上、又は0.4cP以上、又は0.6cP以上、又は0.8cP以上、又は1.0cP以上、又は1.3cP以上、又は1.6cP以上、又は2.0cP以上、又は3.0cP以上、又は4.0cP以上、又は5.0cP以上であり、また上限は制限されるものではないが、例えば450cP以下、中でも400cP以下、更には350cP以下、又は300cP以下、又は250cp以下、又は200cp以下である、項13に記載の製造方法。
[項15]段階(ii)の基礎組成物を乾燥粉砕スラリーの状態としてラピッドビスコアナライザーを用いて測定した下記[値β]/[値α]の比が0.95以下、又は0.90以下、又は0.85以下、又は0.80以下、又は0.75以下であり、また下限は制限されないが、例えば0.10以上、又は0.20以上、又は0.30以上、又は0.34以上、又は0.40以上である、項13又は14に記載の製造方法。
[値α]:50℃から95℃まで温度変化する過程における最高到達粘度(cP)。
[値β]:ブレークダウン時粘度(cP)。
[項16]段階(ii)の基礎組成物のでんぷん糊化度が35質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上であり、また上限は制限されないが、例えば100質量%以下、又は98質量%以下、又は95質量%以下、又は92質量%以下である、項13~15の何れか一項に記載の製造方法。
[項17]段階(ii)の基礎組成物の乾量基準含水率が25質量%以下、又は23質量%以下であり、また下限は限定されないが、例えば1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上である、項13~16の何れか一項に記載の製造方法。
[項18]段階(iii)における水性媒体として基礎調味液を用いることにより、段階(iii)の基礎組成物の水中加熱と段階(iv)の基礎調味液への抽出物添加とを同時に行う、項13~17の何れか一項に記載の製造方法。
[項19]段階(iii)における水性媒体として基礎調味液とは異なる水性媒体を用い、段階(iii)の基礎組成物の水中加熱とは別に段階(iv)の基礎調味液への抽出物添加を行う、項13~18の何れか一項に記載の製造方法。
[項20]段階(iii)における基礎組成物の水中加熱が、水中加熱前後における水性媒体中の2-ペンチルフラン含有量増分が湿潤質量換算で1質量ppb以上、又は2質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は4質量ppb以上、又は5質量ppb以上であり、また上限は制限されないが、例えば10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.5質量ppm以下、又は1.1質量ppm以下、又は1.0質量ppm以下、又は0.6質量ppm以下となるように実施される、項13~19の何れか一項に記載の製造方法。
[項21]段階(iv)において、抽出物添加後の調味液のRVA最終粘度(50℃)の、抽出物添加前のRVA最終粘度(50℃)に対する増分が、10%以上、又は15%以上、又は20%以上、30%以上であり、また上限は制限されないが、例えば2000%以下、又は1500%以下、又は1000%以下、又は800%以下である、項13~20の何れか一項に記載の製造方法。
[項22]製造される食品組成物が、項1~12の何れか一項に記載の食品組成物である、項13~21の何れか一項に記載の製造方法。
[項23]項13~23の何れか一項に記載の製造方法に使用される基礎調味液であって、下記(a)及び(b)を充足する基礎調味液。
(a)塩化ナトリウム含有量が湿潤質量換算で0.1質量%以上、又は0.2質量%以上であり、また上限は制限されないが、例えば2.5質量%以下、又は2.3質量%以下、又は2.0質量%以下、又は1.5質量%以下、又は1.0質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.5質量%以下である。
(b)ラピッドビスコアナライザーを用いて[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度に、「0.1質量%/基礎調味液における湿潤質量換算塩化ナトリウム質量%」を乗じた換算値が0cP超、又は0.2cP以上、又は0.4cP以上、又は0.6cP以上、又は0.8cP以上、又は1.0cP以上、又は1.3cP以上、又は1.6cP以上、又は2.0cP以上、又は3.0cP以上、又は4.0cP以上、又は5.0cP以上であり、また上限は制限されるものではないが、例えば450cP以下、中でも400cP以下、更には350cP以下、又は300cP以下、又は250cp以下、又は200cp以下である。
[項24]項23に記載の基礎調味液を調製するための基礎調味料であって、(a)又は(b)の何れかから選択される基礎調味料。
(a)所定量の水性媒体で希釈することにより項23に記載の基礎調味液が調製される濃縮液体状基礎調味料。
(b)所定量の水性媒体で再構成することにより項23に記載の基礎調味液が調製される固体状基礎調味料。
[項25]項13~22の何れか一項に記載の製造方法に使用される基礎組成物であって、豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有すると共に、2-ペンチルフランを乾燥質量換算で1質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は5質量ppb以上、又は7質量ppb以上、又は10質量ppb以上、又は15質量ppb以上、又は25質量ppb以上、又は30質量ppb以上であり、また上限は制限されないが、例えば50質量ppm以下、又は47質量ppm以下、又は40質量ppm以下、又は30質量ppm以下、又は20質量ppm以下、又は15質量ppm以下、又は10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は3質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.2質量ppm以下、又は0.5質量ppm以下、又は0.2質量ppm以下含有する基礎組成物。
[項26]項1~12の何れか一項に記載の食品組成物を調製するための用事調製用製品であって、項23に記載の基礎調味液及び/又は項24に記載の基礎調味料と、項25に記載の基礎組成物とを含む用事調製用製品。
本発明によれば、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物であって、原料(豆類、雑穀類)の好ましい風味成分が調味液にも付与されると共に、好ましくない原料(豆類、雑穀類)特有の劣化臭が抑制され、風味バランスに優れた食品組成物が提供される。
図1は、本発明の製造方法の二つの態様、即ち、(A)同時加熱・混合態様、及び、(B)個別加熱・混合態様を説明するための模式図である。 図2は、本発明の基礎調味液を調製するための基礎調味料の三つの態様、即ち、(1-1)ストレート型液体状基礎調味料(基礎調味液)、(1-2)濃縮型液体状基礎調味料、及び、(2)固体状基礎調味料を説明するための模式図である。
以下、本発明を具体的な実施の形態に即して詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に束縛されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、任意の形態で実施することが可能である。
なお、本開示において「湿潤質量換算」(単に「湿潤質量基準」と称する場合もある。)とは、試料の水分を含む湿潤質量を分母、試料中の対象成分の含有質量を分子として算出される、試料中の対象成分の含有比率を表す。また、本開示において「乾燥質量換算」(単に「乾燥質量基準」と称する場合もある)とは、試料の水分を除く乾燥質量を分母、試料中の対象成分の含有質量を分子として算出される、試料中の対象成分の含有比率を表す。また、本発明における割合規定において、特に指定なく単に「質量%」と記載される場合、基礎組成物または固形状組成物についての割合は「乾燥質量換算」、それ以外は「湿潤質量換算」の割合を表す。
[I.食品組成物]
・概要:
本発明の一側面は、豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物に関する。以下、斯かる食品組成物を適宜「本発明の食品組成物」と称すると共に、斯かる本発明の食品組成物の構成要素となる固形状組成物及び調味液をそれぞれ適宜「本発明の固形状組成物」及び「本発明の調味液」と称する場合がある。
・食品組成物の構成:
本発明の食品組成物は、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する構成の食品組成物である。斯かる食品組成物の例としては、これに限定されないが、種々の麺類やパスタ類(固形状組成物)を種々の汁・スープ(調味液)内に浸漬してなる汁麺類が挙げられる。食品組成物の具体例としては、これらに限定されないが、固形状組成物として中華麺、うどん、稲庭うどん、きしめん、ほうとう、すいとん、ひやむぎ、素麺、蕎麦、蕎麦がき、ビーフン、フォー、冷麺、パスタ、春雨、オートミール、クスクス、きりたんぽ、トック、ぎょうざ等を調味液に含有させた構成のものが挙げられる。
本発明の食品組成物の構成要素たる固形状組成物は、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんを主成分として含有する固形状の組成物であれば、その他の組成及び物性については特に制限されず任意である。但し、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷん以外に、任意の1種又は2種以上の他の成分を含んでいてもよい。固形状組成物の主成分たる豆類及び/又は雑穀類由来でんぷん及びその由来たる豆類及び/又は雑穀類、並びに任意により含まれるその他の成分については後に詳述する。なお、本開示において「固形状」とは、一定の形状及び体積を維持する程度の硬度及び強度を有する性状を意味し、弾力性や可塑性を殆ど有さない固体から、ある程度の弾力性及び可塑性を有する半固体までを包含する概念である。
本発明の食品組成物の構成要素たる調味液は、水等の水系溶媒を主成分とする液体状の組成物であれば、その他の組成及び物性については特に制限されず任意である。但し、後述する食用植物加工品を含有することが好ましい。また、任意の1種又は2種以上の他の成分を含んでいてもよい。調味液の好ましい成分たる食用植物加工品及びその由来たる食用植物、並びに任意により含まれるその他の成分については後に詳述する。
本発明の食品組成物を構成する「固形状組成物」及び「調味液」は、4メッシュの篩によって分別することができる。即ち、4メッシュサイズの篩(例えば目開き4.75mm、線径(Wire Dia.)1.60mmの篩、例えばU.S.A. Standard Testing Sieves ASTM Specifications E 11-04にて、同文献中のNominal Dimensions, Permissible Variation for Wire Cloth of Standard Testing Sieves (U.S.A.) Standard Seriesにおける「Alternative」に規定される「NO. 4」に対応する篩)を用いて食品組成物を篩分けした場合に、「固形状組成物」とは、4メッシュオンの画分を指し、「調味液」とは、4メッシュパスの画分を指す。なお、本開示において「メッシュ」とは、金網・篩・フィルター等の目の密度を表す単位であり、1インチあたりの網目の数を表す。また、本開示において「メッシュオン」とは、特定サイズの篩上にとどまることを指し、「メッシュパス」とは、特定サイズの篩を通過することを意味する。具体的には、メッシュオンの針金の太さと目の間隔は、前述のNominal Dimensions, Permissible Variation for Wire Cloth of Standard Testing Sieves (U.S.A.) Standard Seriesにおける「Alternative」にて規定されている数値を採用する。
本発明の食品組成物における固形状組成物と調味液との割合は、制限されない。但し、一態様によれば、本発明の食品組成物は、固形状組成物からの好ましくない成分の流出を抑制できるという効果を奏し得るところ、調味液に対する固形状組成物の質量比率が所定値以上である場合には、こうした効果がより顕著に発揮され、有用であると言える。具体的に、本発明の食品組成物における調味液に対する固形状組成物の質量比率(後述の[固形状組成物]/[調味液]の質量比率)の下限は、制限されるものではないが、例えば湿潤質量換算で10質量%以上、800質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、当該比率の下限は、例えば湿潤質量換算で10質量%以上、又は40質量%以上、又は70質量%以上であることが好ましい。一方、斯かる比率の上限は、制限されないが、例えば800質量%以下、又は700質量%以下、又は600質量%以下、又は500質量%以下、又は400質量%以下、又は300質量%以下、又は250質量%以下とすることができる。
本発明の食品組成物は、少なくとも上述の固形状組成物及び調味液を含むものであればよいが、更に野菜・肉・魚・乳製品等を原料とする各種の具材等を含むものであってもよい。斯かる具材については種々公知であり、当業者であれば本発明の食品組成物の具体的な食品形態に基づき、適宜選択することが可能である。
・豆類及び/又は雑穀類由来でんぷん:
本発明の食品組成物は、固形状組成物中に、豆類及び/又は雑穀類に由来するでんぷんを含有する。即ち、本発明の食品組成物は、固形状組成物中に、豆類に由来するでんぷん、及び、雑穀類に由来するでんぷんのうち、少なくとも一方又は双方を含有する。
本発明の固形状組成物に豆類由来でんぷんを用いる場合、でんぷんの由来となる豆類の種類は限定されないが、未熟種子(例えばエンドウ未熟種子であるグリーンピースや、大豆の未熟種子であるエダマメ)よりも、成熟した豆類を用いることが好ましい。また、同様の理由により、成熟に伴って乾量基準含水率が所定値以下となっている状態の豆類であることが好ましい。具体的に、でんぷんの由来となる豆類の乾量基準含水率は、例えば0.01質量%以上、15質量%未満の範囲とすることができる。より具体的に、当該割合の上限は、通常15質量%未満、又は13質量%未満、又は11質量%未満、又は10質量%未満であることが好ましい。一方、斯かる豆類の乾量基準含水率の下限は、特に制限されないが、通常0.01質量%以上とすることができる。
本発明の固形状組成物に豆類由来でんぷんを用いる場合、でんぷんの由来となる豆類の種類は、限定されないが、エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、ダイズ属、及びヒラマメ属から選ばれる1種以上の豆類であることが好ましい。具体例としては、これらに限定されないが、エンドウ(特に黄色エンドウ、白エンドウ等)、インゲン(隠元)、キドニー・ビーン、赤インゲン、白インゲン、ブラック・ビーン、うずら豆、とら豆、ライマメ、ベニバナインゲン、キマメ、緑豆、ササゲ、アズキ、ソラマメ、ダイズ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ヒラ豆、ブルーピー、紫花豆、レンティル、ラッカセイ、ルピナス豆、グラスピー、イナゴマメ(キャロブ)、ネジレフサマメノキ、ヒロハフサマメノキ、コーヒー豆、カカオ豆、メキシコトビマメ等が挙げられる。その他例示されていない豆類の分類は、斯かる豆類やその加工品を取り扱う当業者であれば、当然に理解することが可能である。具体的には、一般家庭における日常生活面においても広く利用されている日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の食品群分類(249頁、表1)を参照することで明確に理解することができる。なお、これらの豆類は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組合せで用いてもよい。
本発明の固形状組成物に豆類由来でんぷんを用いる場合、でんぷん含量が所定値以上の豆類を用いることが好ましい。具体的には、豆類のでんぷん含量は、湿潤質量換算で、例えば5.0質量%以上70質量%以下の範囲であることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常5.0質量%以上、又は10.0質量%以上、又は15.0質量%以上、又は20.0質量%以上、又は25.0質量%以上、又は30.0質量%以上、又は35.0質量%以上、又は40.0質量%以上であることが好ましい。一方、豆類のでんぷん含量の上限は特に制限されないが、例えば通常70.0質量%以下、又は65.0質量%以下、又は60.0質量%以下とすることができる。
本発明において「雑穀類」とは、一般に穀類のうち、主要な穀類であるコメ、小麦、大麦以外のものを指し、イネ科穀類以外のいわゆる疑似雑穀(アカザ科、ヒユ科)を含む概念である。本発明の固形状組成物に雑穀類由来でんぷんを用いる場合、使用する雑穀類の種類は、限定されるものではないが、例としては、イネ科、アカザ科、ヒユ科から選ばれる1種又は2種以上の雑穀類であることが好ましく、イネ科であることがより好ましい。具体例としては、これらに限定されるものではないが、あわ、ひえ、きび、もろこし、ライ麦、えん麦(オーツ麦)、はと麦、とうもろこし、そば、アマランサス、キノア(キヌア)などが挙げられ、特にえん麦(オーツ麦)、アマランサス、キノア(キヌア)、きびのいずれか1種類又は2種類以上を用いることが好ましく、可溶性食物繊維を多く含むえん麦(オーツ麦)を用いることが特に好ましい。また、雑穀類はグルテンを実質的に含有しない(具体的にはグルテン含有量が10質量ppm未満の状態を表す)ことが好ましく、グルテンを含有しないことがより好ましい。
本発明の固形状組成物に雑穀類由来でんぷんを用いる場合、でんぷん含量が所定値以上の雑穀類を用いることが好ましい。具体的には、雑穀類のでんぷん含量は、湿潤質量換算で、例えば5.0質量%以上70質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常5.0質量%以上、又は10.0質量%以上、又は15.0質量%以上、又は20.0質量%以上、又は25.0質量%以上、又は30.0質量%以上であることが好ましい。一方、雑穀類のでんぷん含量の上限は特に制限されないが、例えば通常70質量%以下、又は65.0質量%以下、又60.0質量%以下、又は55.0質量%以下、又は50.0質量%以下とすることができる。
なお、本発明の固形状組成物に雑穀類を用いる場合、乾燥した雑穀類を用いることが好ましい。具体的には、乾量基準含水率が所定値以下となっている状態の雑穀類であることが好ましい。より具体的には、本発明の固形状組成物に使用する雑穀類の乾量基準含水率は、例えば0質量%以上15質量%未満の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は、通常15質量%未満、又は13質量%未満、又は11質量%未満、又は10質量%未満であることが好ましい。一方、斯かる雑穀類の乾量基準含水率の下限は、特に制限されるものではないが、通常0質量%以上、又は0.01質量%以上であることが好ましい。
・豆類及び/又は雑穀類の含有率:
本発明の固形状組成物のでんぷん由来原料として豆類を用いる場合、本発明の固形状組成物における豆類の含有率は、制限されるものではないが、湿潤質量換算で例えば1質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常1質量%以上、中でも3質量%以上、又は5質量%以上、又は8質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は45質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上、又は70質量%以上、又は75質量%以上、又は80質量%以上、又は85質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。
本発明の固形状組成物のでんぷん由来原料として雑穀類を用いる場合、本発明の固形状組成物における雑穀類の含有率は、制限されるものではないが、湿潤質量換算で例えば1質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常1質量%以上、中でも3質量%以上、又は5質量%以上、又は8質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は45質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上、又は70質量%以上、又は75質量%以上、又は80質量%以上、又は85質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。
本発明の固形状組成物におけるでんぷん由来原料としての豆類及び雑穀類の合計含有率は、制限されるものではないが、湿潤質量換算で例えば1質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常1質量%以上、中でも3質量%以上、又は5質量%以上、又は8質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は45質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上、又は70質量%以上、又は75質量%以上、又は80質量%以上、又は85質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。
・その他のでんぷん:
固形状組成物は、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんに加えて、その他のでんぷんを含んでいてもよい。その他のでんぷんとしては、豆類及び/又は雑穀類以外の食用植物由来のでんぷんや、合成でんぷん等が挙げられるが、食用植物由来のでんぷんが好ましい。但し、固形状組成物中の総でんぷん含有量に対する、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷん含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は通常30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。固形状組成物における豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんが前記所定値以上であることで、常温保管中に一定期間(例えば3日以上)が経過しても組成物内部にひび割れが生じにくく、また、加熱調理後に組成物内部の成分が流出しにくいという効果が得られやすくなる場合がある。また、固形状組成物中の総でんぷん含有量に対する、豆類由来でんぷん含有量の比率が上記割合を充足してもよく、雑穀類由来でんぷん含有量の比率が上記割合を充足してもよく、豆類由来でんぷん及び雑穀類由来でんぷんの合計含有量の比率が上記割合を充足してもよい。
固形状組成物中の(豆類及び/又は雑穀類由来でんぷん及びその他のでんぷんを含む)総でんぷん含有量は、制限されないが、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば30質量%以上、又は35質量%以上であることが好ましい。その上限は特に制限されず、通常100質量%以下であるが、例えば90質量%以下、又は80質量%以下、又は70質量%以下とすることができる。
固形状組成物中のでんぷんは、単離された純品として組成物に配合されたものであってもよいが、豆類及び/又は雑穀類(及び任意により他の食用植物)に含有された状態で組成物に配合されていることが好ましい。具体的には、固形状組成物全体の総でんぷん含有量に対する、豆類及び/又は雑穀類(及び任意により他の食用植物)に含有された状態で配合されているでんぷん含有量(好ましくは豆類に含有された状態で配合されているでんぷん含有量)の比率が、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は通常30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。固形状組成物において、豆類及び/又は雑穀類(及び任意により他の食用植物)に含有された状態で配合されているでんぷんが前記所定値以上であることで、常温保管中に一定期間(例えば3日以上)が経過しても組成物内部にひび割れが生じにくく、また、加熱調理後に組成物内部の成分が流出しにくいという効果が得られやすくなる場合がある。
また、豆類及び/又は雑穀類に含有された状態ででんぷんが固形状組成物(または基礎組成物)に配合される場合、さらに「食用植物(不溶性食物繊維局在部位)の粒子径」において規定されるサイズの豆類及び/又は雑穀類の不溶性食物繊維局在部位微細化処理物を含有することが好ましく、当該不溶性食物繊維局在部位がオーツ麦、きびにおける不溶性食物繊維局在部位であることが好ましい。特に、当該不溶性食物繊維局在部位が成熟した豆類における不溶性食物繊維局在部位であることが好ましく、さらには当該不溶性食物繊維局在部位が、エンドウにおける不溶性食物繊維局在部位(例えば豆類可食部に付着した薄い種皮(「hull」と呼ばれる場合がある)又は鞘(「pod」と呼ばれる場合がある))であることが好ましい。また、同一種類の豆類及び/又は雑穀類における不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物と豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんとを共に含有することが好ましい。また、不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物は、食材から不溶性食物繊維局在部位を分離した後に微細化処理を施したものを固形状組成物(または基礎組成物)に含有させてもよいし、不溶性食物繊維局在部位を含む不溶性食物繊維含有食材の状態で微細化処理を施したものを固形状組成物(または基礎組成物)に含有させてもよい。
一態様によれば、固形状組成物中におけるコメ、小麦、及び/又は大麦(好ましくは小麦及び/又は大麦)に由来するでんぷんの合計含有量が、所定範囲内であることが好ましい。具体的には、固形状組成物全体の総でんぷん含有量に対する、コメ、小麦、及び/又は大麦(好ましくは小麦及び/又は大麦)に由来するでんぷんの合計含有量の比率が、例えば0質量%以上、10質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、当該比率の上限は、通常10質量%以下、又は9質量%以下、又は8質量%以下、又は7質量%以下、又は6質量%以下、又は5質量%以下、又は4質量%以下、又は3質量%以下、又は2質量%以下、又は1質量%以下、特には実質的に含有されない(具体的には、一般的な測定方法の下限である1ppm未満の含有量である)又は含有されないことが望ましい。一方、当該比率の下限は特に制限されないが、通常0質量%、又は0質量%以上とすることができる。
固形状組成物中のでんぷんは、所定範囲の糊化度を有することが好ましい。具体的に、固形状組成物中のでんぷん糊化度の下限は、乾燥質量換算で、例えば50質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上とすることができる。固形状組成物のでんぷん糊化度が前記所定値以上であることで、常温保管中に一定期間(例えば3日以上)が経過しても組成物内部にひび割れが生じにくく、また、加熱調理後に組成物内部の成分が流出しにくいという効果が得られやすくなる場合がある。一方、固形状組成物中のでんぷん糊化度の上限は、乾燥質量換算で、例えば100質量%以下、又は98質量%以下、又は95質量%以下、又は92質量%以下とすることができる。固形状組成物のでんぷん糊化度を前記所定値以下とすることで、でんぷんの分解を防止し、組成物がべたべたした好ましくない品質となるのをより回避し易くなる場合がある。なお、前記固形状組成物に関する規定(特にでんぷんに関する規定)が基礎組成物で充足されてもよい。
また、本発明の食品組成物のもう一方の構成要素である調味液にも、でんぷんが含まれていてもよい。調味液中のでんぷん含有量は、制限されないが、湿潤質量換算で、例えば0.1質量%以上10質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、又は0.4質量%以上、又は0.5質量%以上とすることができる。当該含有割合の上限は特に制限されないが、例えば10質量%以下、又は9質量%以下、又は8質量%以下とすることができる。斯かる調味液中のでんぷんの由来は制限されないが、主に食用植物(豆類及び/又は雑穀類を含む)に由来するものであることが好ましく、特に調味液の成分たる後述の食用植物加工品に由来するものであることが好ましい。
斯かる調味液中のでんぷんの由来は制限されないが、主に食用植物(豆類及び/又は雑穀類を含む)に由来するものであることが好ましく、特に調味液の成分たる後述の食用植物加工品に由来するものであることが好ましい。
なお、本発明において、固形状組成物や調味液等の各種組成物試料中のでんぷん含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、AOAC996.11の方法に従い、80%エタノール抽出処理により、測定値に影響する可溶性炭水化物(ぶどう糖、麦芽糖、マルトデキストリン等)を除去した方法で測定する。
また、本発明において、各種組成物試料中のでんぷん糊化度は、関税中央分析所報を一部改変したグルコアミラーゼ第2法(Japan Food Research Laboratories社メソッドに従う:https://web.archive.org/web/20200611054551/https://www.jfrl.or.jp/storage/file/221.pdf)を用いて測定する。
・食用植物加工品:
本発明の食品組成物は、食用植物加工品を含有することが好ましい。食用植物加工品の形態は、液体状でも固体状でもペースト状でもよいが、通常は4メッシュパスの画分に含有される。よって、食用植物加工品は、調味液の一部を構成することになる。また、食用植物加工品の粒子の大部分(例えば80質量%以上)のサイズが200メッシュオンであることが好ましい。具体的には、本発明の食品組成物の4メッシュパス画分に相当する調味液を更に200メッシュの篩で篩分けした場合に、200メッシュオンとなる画分の質量比率(後述する[食用植物加工品]/[調味液]の質量比率)が所定の割合以上であることが好ましい。詳しくは後述する。
食用植物加工品の由来となる食用植物の種類は、制限されないが、一態様によれば、穀類、イモ類、豆類、種実類、野菜類、果実類、及びきのこ類から選ばれる1種以上の食用食物を使用することができる。これらの具体例を以下に挙げる。
穀類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、アマランサス、アワ、エンバク、オオムギ、キビ、キヌア、コムギ、コメ、サトウキビ、ソバ、コーン(トウモロコシ)、ハトムギ、ヒエ、フォニオ、モロコシ等が挙げられる。中でもコーンが好ましく、特にはスイートコーンが好ましい。
イモ類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、キクイモ、コンニャクイモ、サツマイモ、サトイモ、ミズイモ、ヤツガシラ、ジャガイモ、ヤマノイモ、イチョウイモ、ナガイモ、ヤマトイモ、ジネンジョ、ダイジョ、キャッサバ、ヤーコン、タロイモ、タシロイモ、ムラサキイモ、ヤムイモ等が挙げられる。中でもサツマイモ、ムラサキイモ等が好ましく、特にはサツマイモが好ましい。
豆類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、インゲン、ベニバナインゲン、ウズラマメ、ダイズ、エンドウ、キマメ、緑豆、ササゲ、アズキ、ソラマメ、黒豆、ヒヨコマメ、レンズマメ、ヒラ豆、ラッカセイ、ルピナス豆、グラスピー、イナゴマメ、コーヒー豆、カカオ豆等が挙げられる。中でも、ダイズ、エンドウ、黒豆等が好ましく、特にはダイズ、エンドウが好ましい。なお、エダマメはダイズを未熟な状態で、収穫前に乾燥させずに、鞘ごと収穫したもので、豆が緑色の外観を呈するものである。なお、不溶性食物繊維局在部位は、栄養価(食物繊維)の観点から、成熟した豆類におけるものが好ましく、エンドウにおける不溶性食物繊維局在部位(例えば豆類可食部に付着した薄い種皮(「hull」と呼ばれる場合がある)、又は鞘(「pod」と呼ばれる場合がある))を用いることが好ましい。
種実類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、アーモンド、アサ、アマニ、エゴマ、カシューナッツ、カボチャの種、カヤ、ギンナン、クリ、クルミ、ケシ、ココナツ、ゴマ、シイ、トチ、ハスの実、ヒシ、ピスタチオ、ヒマワリの種、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ペカン、マカダミアナッツ、マツ、ラッカセイが挙げられる。中でも、ゴマ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ等が好ましい。
野菜類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、ニンニク、タマネギ、トマト、ニンジン、セロリ、アーティチョーク、アサツキ、アシタバ、アスパラガス、アロエ、ウリ、サヤインゲン、ウド、トウミョウ、サヤエンドウ、スナップエンドウ、オクラ、カブ、カボチャ、カラシナ、カリフラワー、キク、キャベツ、キュウリ、ギョウジャニンニク、クウシンサイ、クレソン、クワイ、ケール、ゴボウ、コマツナ、ザーサイ、シシトウ、シソ、ササゲ、シュンギク、ショウガ、ズイキ、スグキナ、ズッキーニ、セリ、タアサイ、ダイコン、タカナ、タケノコ、チコリ、チンゲンサイ、トウガラシ、ナス、ナバナ、ニガウリ、ニラ、ノザワナ、ハクサイ、パクチョイ、バジル、パセリ、ビーツ(ビートルート)、ピーマン、フキ、ブロッコリー、ヘチマ、ホウレンソウ、ホースラディッシュ、ミズナ、ミツバ、ミョウガ、モヤシ、キュウリ、モロヘイヤ、ユリネ、ヨモギ、ラッキョウ、ルッコラ、ルバーブ、レタス、レンコン、ワケギ、ワサビ、ワラビ、ハーブ(コリアンダー、セージ、タイム、バジル、オレガノ、ローズマリー、ミント、レモングラス、ディル等)等が挙げられる。中でもニンニク、タマネギ、トマト、ニンジン、セロリ、カボチャ、キャベツ、ケール、パプリカ、ビーツ(ビートルート)、ブロッコリー、及びホウレンソウ等が好ましい。
果実類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、アセロラ、アボカド、アンズ、イチゴ、イチジク、ウメ、カンキツ類(イヨカン、ウンシュウミカン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、レモン等)、オリーブ、カキ、キウイ、グアバ、ココナッツ、ザクロ、スイカ、スモモ、チェリー(サクランボ、ブラックチェリー等)、ナツメ、パイナップル、ハスカップ、バナナ、パパイア、ビワ、ブドウ、ベリー(ブルーベリー、ラズベリー等)、マンゴー、マンゴスチン、メロン、モモ、リンゴ等が挙げられる。中でも、アボカド、イチゴ、ベリー、カンキツ類、マンゴー、パイナップル、ブドウ及びリンゴ等が好ましい。
きのこ類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、シイタケ、マツタケ、キクラゲ、マイタケ、サルノコシカケ、ヒラタケ、エリンギ、エノキタケ、シメジ、ナラタケ、マッシュルーム、ナメコ、アミタケ、ハツタケ、チチタケ等が挙げられる。
なお、前記の食用植物は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、食用植物には通常、可食部と非可食部とが存在するが、何れの食用植物についても、可食部のみを使用してもよく、非可食部のみを使用してもよく、可食部と非可食部とを併用してもよい。可食部と非可食部とを併用する場合は、同一の1又は2以上の食用植物に由来する可食部と非可食部との組み合わせであってもよく、ある1又は2以上の食用植物に由来する可食部と、別の1又は2以上の食用植物に由来する非可食部との組み合わせであってもよい。即ち、本発明では、1又は2以上の食用植物の可食部及び/又は非可食部の選択及び組み合わせには何ら制限はない。
なお、本開示において、食用植物の「非可食部」とは、食用植物の通常飲食に適さない部分や、通常の食習慣では廃棄される部分を表し、「可食部」とは、食用植物全体から廃棄部位(非可食部)を除いた部分を表す。また、本発明に使用される食用植物における非可食部の部位や比率は、斯かる食用植物やその加工品を取り扱う当業者であれば、当然に理解することが可能である。例としては、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の「廃棄部位」及び「廃棄率」を参照し、これらをそれぞれ非可食部の部位及び比率として扱うことができる。以下の表Aに、主な食用植物について日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載されている「廃棄部位」及び「廃棄率」(すなわち非可食部の部位及び比率)を挙げる。また、食用植物における非可食部の部位や比率から、可食部の部位や比率についても理解することができる。
食用植物加工品の性状は、制限されないが、食用植物の粉末、食用植物のペースト、又は食用植物の水系抽出物から選ばれる1種以上であることが好ましい。例えば、食用植物に対して乾燥処理、ロースト処理、熱水抽出処理等の加熱処理(例えば80℃以上)を加えた加工品であることが好ましい。
本発明の調味液中の食用植物加工品の含有比率は、所定値以上であることが好ましい。これにより、固形状組成物から調味液への成分流出が抑制される効果が得られる場合がある。その理由は定かではないが、固形状組成物からの抽出物が調味液中の食用植物加工品中の成分(調味液材料の食用植物微細化物に含有されるペクチンなどの多糖類と考えられる)と反応して増粘することで、固形状組成物周辺の調味液の流動性を低下させ、固形状組成物からの成分流出を抑制している可能性がある。
即ち、本発明の調味液中の4メッシュパスの食用植物加工品(好ましくは4メッシュパス200メッシュオンの食用植物加工品)の含有比率(即ち[食用植物加工品]/[調味液]の質量比率)が、湿潤質量換算で例えば1質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上であることが好ましい。当該含有割合の上限は特に制限されないが、例えば100質量%以下、又は90質量%以下、又は80質量%以下、又は70質量%以下、又は60質量%以下とすることができる。
・不溶性食物繊維局在部位
本発明の調味液に食用植物加工品を含有させる場合、食用植物中の種々の部位の中でも、不溶性食物繊維局在部位の加工品を含有させることが好ましい。調味液に食用植物の不溶性食物繊維局在部位を含有させることで、調味液の粘性が向上しやすくなり、粘度が所定の値に調整される場合がある。
本開示において、ある食用植物の「不溶性食物繊維局在部位」とは、当該食用植物中の不溶性食物繊維が局在する部位を意味し、言い換えれば、当該食用植物の可食部よりも、相対的に高い不溶性食物繊維含有割合を有する部位を表す。より具体的には、ある食用植物の「不溶性食物繊維局在部位」とは、乾燥状態において、当該食用植物の可食部の例えば通常1.1倍以上、又は1.2倍以上、又は1.3倍以上、又は1.4倍以上、又は1.5倍以上、又は1.6倍以上、又は1.7倍以上、又は1.8倍以上、又は1.9倍以上、又は2.0倍以上の不溶性食物繊維含有割合を有する部位を表すものとする。例えば、トマトにおいて可食部(果肉部等)における不溶性食物繊維含有割合よりも相対的に高い不溶性食物繊維含有割合を有する種子及び/又は皮が不溶性食物繊維局在部位に該当する。
また、不溶性食物繊維局在部位における乾燥質量換算での不溶性食物繊維含有割合は、例えば8質量%超50質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は通常8質量%超、又は9質量%超、又は10質量%超、又は11質量%超、又は12質量%超、又は13質量%超、又は14質量%超、又は15質量%超、又は16質量%超、又は17質量%超、又は18質量%超、又は19質量%超、又は20質量%超であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常50質量%以下、又は40質量%以下、中でも30質量%以下とすることができる。ここで、本開示において「乾燥質量換算」とは組成物や各画分の水分を含まない乾燥質量(上記の場合、不溶性食物繊維局在部位の乾燥質量)を分母、各対象成分や対象物の含有量(上記の場合、不溶性食物繊維の乾燥質量)を分子として算出される、各成分等の含有割合を表す。
各食用植物における不溶性食物繊維局在部位は、不溶性食物繊維局在部位の代表的な例としては、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の各種の食用植物の「廃棄部位」が挙げられる(一例を前記の表Aに示す)。但し、これら「非可食部」以外の「可食部」についても、上記の穀類、豆類、種実類、野菜類の皮部や種子部、野菜類の茎葉部の特に硬く厚い部分等にも不溶性食物繊維局在部位が認められる。本発明で食用植物の不溶性食物繊維局在部位を使用する場合は、食用植物の「可食部」の一部(例えば穀類、豆類、種実類、野菜類の種子又は皮部等、特に野菜類の種子又は皮部等)であっても「非可食部(例えばコーンの芯部、豆類の鞘部)」であってもよいが、「可食部」の一部であることが好ましく、野菜類の皮部及び/又は種子部又は豆類の搾汁残さであることがより好ましく、トマト(ミニトマトを含む)の皮部及び/又は種子部又は大豆の搾汁残さ(おから)及び/又はゴマの種皮部であることが特に好ましい。
本発明の調味液に食用植物の不溶性食物繊維局在部位の加工品を含有させる場合、その割合は限定されないが、例えば以下の通りである。調味液全体の合計質量に対する不溶性食物繊維局在部位の湿潤質量基準割合は、例えば0.1質量%以上20質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、また、例えば20質量%以下、又は10質量%以下、又は5質量%以下とすることができる。
本発明の調味液に食用植物の不溶性食物繊維局在部位の加工品を含有させる場合、食用植物から分離した不溶性食物繊維局在部位を単独で含有させてもよく、不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位とを含む状態で含有させてもよい。但し、同一種類の食用植物における不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位とを共に含有することが好ましく、同一個体の食用植物における不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位を共に含有することが特に好ましい。同一種類又は同一個体の食用植物における不溶性食物繊維局在部位を含む不溶性食物繊維含有食用植物は、食用植物中の不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位を別個に含有させてもよいし、不溶性食物繊維局在部位を含んだ状態の食用植物を含有させてもよい。
なお、本発明の調味液に食用植物(特にその不溶性食物繊維局在部位)の加工品を含有させる場合、所定の粒子径を有する微細化処理物の状態で含有させることが好ましい。これにより、得られる調味液の口当たりが良くなる傾向がある上に、態様によっては、調味液の粘性向上効果が奏される場合がある。その原理は不明であるが、調味液の不溶性食物繊維局在部位に含まれるペクチンなどの成分が抽出物と反応して粘性を発現している可能性がある。なお、食用植物(特にその不溶性食物繊維局在部位)の粒子分布に関する特徴は、本発明の製造方法の欄で後述する。
・調味液の粒子径に関する特徴:
本発明の調味液は、その物理的性状について何ら制限されるものではないが、通常は液体状の媒体中に多数の微粒子や、それらが凝集してなる多数の微粒子複合体等を含有する。ここで、本発明の調味液は、外部から擾乱(通常は超音波処理)を加える前及び加えた後の斯かる微粒子複合体及び微粒子の粒子径に関する各種パラメータ、即ちモード粒子径、最大粒子径、及び粒子径のd50等が、以下の特定の要件を満たすことが好ましい。即ち、本発明の調味液は、擾乱を加えない状態(即ち超音波処理を行う前の状態)では、多数の微粒子が凝集してなる多数の微粒子複合体を含有する傾向がある。一方、擾乱を加えた状態(即ち超音波処理を行った後の状態)では、斯かる微粒子複合体の一部又は全部が崩壊して単独の微粒子となる傾向がある。従って、本発明の調味液は、擾乱前と擾乱後では、粒子径に関する各種パラメータ(モード粒子径、最大粒子径、粒子径のd50等)が大きく変化する傾向がある。なお、調味液に含まれる微粒子複合体及び微粒子の特性を測定するに際しては、前述の方法で得られた調味液をそのまま測定試料として用い、後述するレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することで、それらの特性を把握することができる。
限定されるものではないが、本発明の調味液の擾乱前(即ち超音波処理前)のモード粒子径(モード径)は、所定の範囲内に調整されることが好ましい。これにより、離水しにくい品質となり、摂食性の改善効果が維持されること、商業的に流通させることが可能となる場合がある。具体的に、本発明の調味液の擾乱前のモード粒子径は、例えば5μm以上1900μm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は例えば通常1900μm以下、又は1800μm以下、又は1700μm以下、又は1600μm以下、又は1500μm以下、又は1400μm以下、又は1300μm以下、又は1200μm以下であることが好ましい。一方、調味液の擾乱前のモード粒子径の下限は特に制限されないが、その製造効率等の観点から、例えば5μm以上、又は10μm以上、又は12μm以上とすることができる。
限定されるものではないが、本発明の調味液の擾乱後(即ち超音波処理後)のモード粒子径(モード径)も、所定の範囲内に調整されることが好ましい。具体的に、調味液の擾乱後のモード粒子径は、例えば0.3μm以上1000μm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は例えば通常1000μm以下、又は900μm以下、又は800μm以下、又は700μm以下、又は600μm以下、又は500μm以下、又は400μm以下、又は300μm以下、又は200μm以下であることが好ましい。一方、調味液の擾乱後のモード粒子径の下限は特に制限されないが、その製造効率等の観点から、例えば0.3μm以上、又は1.0μm以上、又は3.0μm以上、又は5.0μm以上、又は6.0μm以上、又は7.0μm以上とすることができる。なお、後述する食用植物の不溶性食物繊維局在部位(特にトマトの種及び/又は皮)の微細化処理物を調味液に含有させる場合、硬質組織である当該部位を十分に微細化して所定範囲とすることで、口あたりが良くなるため好ましい。
限定されるものではないが、本発明の調味液の擾乱前(即ち超音波処理前)の最大粒子径も、所定の範囲内に調整されることが好ましい。具体的に、本発明の調味液の擾乱前の最大粒子径は、例えば30μm以上2000μm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば通常30μm以上、又は100μm以上、又は200μm以上、又は300μm以上、又は400μm以上、又は500μm以上、又は600μm以上、又は700μm以上、又は800μm以上、又は900μm以上であることが好ましい。これにより、食用植物の組織が破壊されて好ましくない風味が付与されることを防止できる場合がある。一方、調味液の擾乱前の最大粒子径は、限定されるものではないが、例えば2000μm以下、又は1800μm以下とすることができる。これにより、工業上の生産性という理由から有利となる場合がある。なお、後述する食用植物の不溶性食物繊維局在部位(特にトマトの種及び/又は皮)の粉砕物を調味液に含有させる場合、硬質組織である当該部位を漫然と微細化しても一部大きめの組織が残存するため、調味液の擾乱前の最大粒子径は上述の値以上となる場合がある。但し、そのような場合であっても、前述する調味液における擾乱後のモード径や、後述する調味液における擾乱後の粒子径のd50を所定範囲内とするように調整されることで、食感の良い調味液となるため好ましい。
限定されるものではないが、本発明の調味液の擾乱後(即ち超音波処理後)の最大粒子径も、所定の範囲内に調整されることが好ましい。具体的に、本発明の調味液の擾乱後の最大粒子径は、例えば30μm以上1900μm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば通常30μm以上、又は100μm以上、又は200μm以上、又は300μm以上、又は400μm以上、又は500μm以上、又は600μm以上、又は700μm以上、又は800μm以上、中でも900μm以上とすることができる。これにより、食用植物の組織が破壊されて好ましくない風味が付与されることを防止できる場合がある。一方、調味液の擾乱後の最大粒子径は、限定されるものではないが、例えば1900μm以下、中でも1700μm以下とすることができる。これにより、工業上の生産性という理由から有利となる場合がある。
限定されるものではないが、本発明の調味液の擾乱前(即ち超音波処理前)の粒子径のd50(50%積算径、メジアン粒子径、メジアン径)も、所定の範囲内に調整されることが好ましい。具体的に、本発明の調味液の擾乱前の粒子径のd50は、例えば5μm以上1000μm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は例えば通常1000μm以下、又はも900μm以下、又は800μm以下、又は700μm以下、又は600μm以下、又は500μm以下、又は400μm以下、又は300μm以下、又は200μm以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、例えば5μm以上、又は10μm以上とすることができる。なお、後述する食用植物の不溶性食物繊維局在部位(特にトマトの種及び/又は皮)の微細化処理物を調味液に含有させる場合、硬質組織である当該部位を十分に微細化して所定範囲とすることで、口あたりが良くなるため好ましい。
限定されるものではないが、本発明における調味液の擾乱後(即ち超音波処理後)の粒子径のd50も、所定の範囲内に調整されることが好ましい。具体的に、本発明の調味液の擾乱後の粒子径のd50は、例えば1μm以上900μm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は例えば通常900μm以下、又は800μm以下、又は700μm以下、又は600μm以下、又は500μm以下、又は400μm以下、又は300μm以下、又は200μm以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、例えば1μm以上、中でも5μm以上、更には7μm以上とすることができる。
なお、本開示において「粒子径」とは、特に指定が無い限り測定対象物をレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された値であり、全て体積基準で測定されたものを表す。また、本開示において「粒子」とは、特に指定が無い限り単独の微粒子のみならず、それらが凝集してなる微粒子複合体も含みうる概念である。
また、本開示において「モード粒子径」とは、測定対象物をレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定して得られたチャンネル毎の粒子径分布について、粒子頻度%がもっとも大きいチャンネルの粒子径を表す。全く同じ粒子頻度%のチャンネルが複数存在する場合には、その中で最も粒子径の小さいチャンネルの粒子径を採用する。粒子径分布が正規分布であればその値はメジアン径と一致するが、粒子径分布に偏りがある場合、特に粒子径分布のピークが複数ある場合には大きく数値が異なる。レーザー回折式粒度分布測定装置による試料の粒子径分布の測定は、例えば以下の方法で実施することができる。
また、本開示において粒子径の「d50」は、粒子径分布をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側の粒子頻度%の累積値の割合と、小さい側の粒子頻度%の累積値の割合との比が、50:50となる粒子径として定義される。粒子径のd50は、例えば後述するレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
本発明において、上述した粒子径に関する各種のパラメータ(モード粒子径、最大粒子径、粒子径のd50等)の測定条件は、制限されるものではないが、以下の条件とすることができる。まず、測定時の溶媒は、粒子構造に影響を与え難いものとしてエタノールを用いることが好ましい。測定に使用されるレーザー回折式粒度分布測定装置としては、制限されるものではないが、例えばマイクロトラック・ベル株式会社のMicrotrac MT3300 EXIIシステムを使用することができる。測定アプリケーションソフトウェアとしては、制限されるものではないが、例えばDMS2(Data Management System version2、マイクロトラック・ベル株式会社)を使用することができる。前記の測定装置及びソフトウェアを使用する場合、測定に際しては、同ソフトウェアの洗浄ボタンを押下して洗浄を実施したのち、同ソフトウェアのSetzeroボタンを押下してゼロ合わせを実施し、試料ローディングで試料の濃度が適正範囲内に入るまで試料を直接投入すればよい。擾乱前の試料、即ち超音波処理を行なわない試料は、試料投入後の試料ローディング2回以内にその濃度を適正範囲内に調整した後、直ちに流速60%で10秒の測定時間でレーザー回折した結果を測定値とすればよい。一方、擾乱後の試料、即ち超音波処理を行った試料を測定する場合は、擾乱前の試料を測定機内を循環する測定溶媒(エタノール)中に投入し、試料ローディングにて濃度を適正範囲内に調整した後、同ソフトの超音波処理ボタンを押下して超音波処理を行う。その後、3回の脱泡処理を行った上で、再度試料ローディング処理を行い、濃度が依然として適正範囲であることを確認した後、速やかに流速60%で10秒の測定時間でレーザー回折した結果を測定値とすることができる。測定時のパラメータとしては、例えば分布表示:体積、粒子屈折率:1.60、溶媒屈折率:1.36、測定上限(μm)=2000.00μm、測定下限(μm)=0.021μmとすることができる。
なお、本発明では特に断り無き限り、試料中の微粒子複合体を解砕させる外部からの擾乱の典型的な例として、超音波処理を想定するものとする。ここで、本開示において「超音波処理」とは、特に指定が無い限り、測定試料に対して周波数40kHzの超音波を出力40Wにて3分間印加する処理を表す。また、組成物をレーザー回折式粒度分布測定装置で測定する場合、組成物をそのまま用いて測定することもできるが、測定試料1gを約80℃のエタノール50gに浸漬し、5分程度静置し、その後、スパーテルでよく攪拌、懸濁させ、目開き2.36mm、線径(Wire Dia.)1.0mmの篩を通過した溶液(2質量%分散液)を用いて測定することもできる。
また、本発明において各種の粒子径を求める際には、チャンネル(CH)毎の粒子径分布を測定した上で、後記の表Bに記載した測定チャンネル毎の粒子径を規格として用いて求めることが好ましい。具体的には、後記の表Bの各チャンネルに規定された粒子径以下で、且つ数字が一つ大きいチャンネルに規定された粒子径(測定範囲の最大チャンネルにおいては、測定下限粒子径)よりも大きい粒子の頻度を、後記の表Bのチャンネル毎に測定し、測定範囲内の全チャンネルの合計頻度を分母として、各チャンネルの粒子頻度%を求めることができる(これを「○○チャンネルの粒子頻度%」とも称する)。例えば、1チャンネルの粒子頻度%は、2000.00μm以下かつ1826.00μmより大きい粒子の頻度%を表す。特に、最大粒子径については、後記の表Bの132チャンネルのそれぞれにおける粒子頻度%を測定して得られた結果について、粒子頻度%が認められたチャンネルのうち、最も粒子径が大きいチャンネルの粒子径として求めることができる。言い換えれば、本発明において各種の粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定する場合、その好ましい測定条件としては、測定溶媒としてエタノールを用い、測定上限2000.00μm、測定下限0.021μmの対象について、試料投入後速やかに粒子径を測定するということになる。
・調味液の粒子の比表面積:
本発明の調味液は、前記の各種要件に加えて、限定されるものではないが、擾乱を加える前後(即ち超音波処理前後)の調味液中の粒子(微粒子及び微粒子複合体)の単位体積当り比表面積[m2/mL]が、以下の要件を満たすことが好ましい。即ち、本発明の調味液は、擾乱前と擾乱後では、その単位体積当り比表面積[m2/mL]が所定割合変化することが好ましい。
限定されるものではないが、擾乱を加える前後(即ち超音波処理前後)の調味液中の粒子(微粒子及び微粒子複合体)の単位体積当り比表面積[m2/mL]の比、即ち(γB/γA:(超音波処理前の単位体積当り比表面積)/(超音波処理後の単位体積当り比表面積))が、所定範囲を満たすことが好ましい。例えば、この値を0.10以上10.0以下の範囲とすることが好ましい。具体的に、(γB/γA)の値の上限は、限定されないが、例えば10.0以下、又は8.0以下、又は6.0以下、又は4.0以下、又は2.0以下とすることができる。γB/γAが前記上限値以上であることにより、食物繊維同士が適度に解砕しやすく複合体化されており、好ましい食感となる。一方、(γB/γA)の値の下限は、通常0.10以上 、中でも0.20以上、更には0.30以上、とりわけ0.40以上、特に0.50以上であることが好ましい。
限定されるものではないが、擾乱前(即ち超音波処理前)における本発明の調味液中の粒子(微粒子及び微粒子複合体)の単位体積当り比表面積(これを適宜「γA」という場合がある。)は、例えば0.01m2/mL以上1.00m2/mL以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は例えば通常1.00m2/mL以下、又は0.90m2/mL以下、又は0.80m2/mL以下であるのが好ましい。当該比表面積(γB)が前記上限以下であれば、微粒子が十分に複合体を形成し、本発明の保存安定性の向上効果が充分に奏されるので好ましい。なお、当該比表面積(γB)の下限は限定されないが、例えば0.01m2/mL以上、又は0.02m2/mL以上、又は0.03m2/mL以上とすることができる。
限定されるものではないが、擾乱後(即ち超音波処理後)における本発明の調味液中の粒子(微粒子及び微粒子複合体)の単位体積当り比表面積(これを適宜「γB」という場合がある。)は、例えば0.01m2/mL以上2.00m2/mL以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は例えば2.00m2/mL以下、又は1.50m2/mL以下、又は1.20m2/mL以下であるのが好ましい。当該比表面積(γB)が前記上限以下であれば、微粒子が十分に複合体を形成し、本発明の保存安定性の向上効果が充分に奏されるので好ましい。なお、当該比表面積(γB)の下限は限定されないが、例えば0.01m2/mL以上、又は0.02m2/mL以上、又は0.03m2/mL以上とすることができる。
本開示において、「単位体積当り比表面積」[m2/mL]とは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定する、粒子を球状と仮定した場合の単位体積(1mL)当り比表面積を表す。なお、粒子を球状と仮定した場合の単位体積あたりの比表面積[m2/mL]は、粒子の成分や表面構造等を反映した測定値(透過法や気体吸着法等で求められる体積あたり、質量あたり比表面積)とは異なる測定メカニズムに基づく数値である。また、粒子を球状と仮定した場合の単位体積あたりの比表面積は、粒子1個当りの表面積をai、粒子径をdiとした場合に、測定チャンネルごとの粒子径(di)に粒子一個当たりの表面積(ai)を掛け合わせたものを積算し、粒子一個当たりの表面積(ai)の積算値で割返した面積平均径を算出し(Σ(ai・di)/Σ(ai))、更に6/(面積平均径)を算出すること(6×Σ(ai)/Σ(ai・di))によって求められる。
・食品組成物の各構成要素の含有比率の測定法:
本開示において、食品組成物の試料からこれを構成する各構成要素(「固形状組成物」及び「調味液」、並びに「調味液」の構成要素たる「食用植物加工品」)の含有比率を測定する場合には、篩い分けした各「画分」の湿潤状態質量を測定し、これを以て対応する各構成要素の湿潤状態質量と見做すものとする。具体的には、4メッシュ篩及び200メッシュ篩をこの順に上から重ねた上で、温度20℃に調整した測定対象の食品組成物の試料100gをその上に均等に薄く広げて10分間放置した後、各篩によって篩分けられた画分を取得する。ここで、4メッシュオンの画分を「固形状組成物」画分、4メッシュパスの画分を「調味液」画分、4メッシュパスの画分のうち200メッシュオンの画分を「食用植物加工品」画分とし、各画分の質量を測定して、これらを対応する「固形状組成物」、「調味液」、及び「食用植物加工品」の質量と見做すものとする。これらの質量測定値から、各構成要素の含有比率(例えば前述の[固形状組成物]/[調味液]の質量比率、[食用植物加工品]/[調味液]の質量比率等)を算出することができる。
なお、本発明において、食品組成物等の試料を篩い分けして得られる特定メッシュオン及び/又は特定メッシュパスの「画分」とは、特定メッシュオン及び/又は特定メッシュパスの性質について挙動を一にする当該試料の部分組成物を意味する。斯かる「画分」は、通常は1種又は2種以上の固体成分と1種又は2種以上の液体成分から構成される混合物である。ここで留意すべきは、特定メッシュオンの画分には、特定メッシュオンのサイズを有する固体成分のみならず、特定メッシュパスのサイズを有する固体成分や液体成分も多少は含まれ得るという点である(例えば、前記4メッシュオンの「固形状組成物」画分には、4メッシュオンのサイズの固形状組成物のみならず、実際には4メッシュパスのサイズの食用植物加工品や調味液の一部が少量混入する可能性があり、4メッシュパス200メッシュオンの「食用植物加工品」画分には、4メッシュパス200メッシュオンの食用植物加工品のみならず、実際には200メッシュパスのサイズの調味液の一部が少量混入する可能性がある。)。これは、特定メッシュパスのサイズを有する固体成分や液体成分であっても、併存する他の固体成分や液体成分との組合せ、更には固形状組成物や調味液の性状等によっては、当該特定メッシュの篩を通過せずその篩上に残る可能性があることに起因する。しかし、このように特定メッシュパスのサイズを有する成分を含む画分であっても、前記の手順で食品組成物等の試料を篩分けした場合に挙動を一にし、特定メッシュの篩上にとどまる画分であれば、特定メッシュオンの画分に該当するものとする。
・タンパク質:
本発明の固形状組成物は、タンパク質を含有することが好ましい。本発明の固形状組成物のタンパク質含有量の下限は、湿潤質量換算で例えば3.0質量%以上70質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば3.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は12質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上とすることができる。一方、本発明の固形状組成物のタンパク質含有量の上限は、特に制限されないが、湿潤質量換算で例えば70質量%以下、又は60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下とすることができる。
本発明の調味液も、タンパク質を含有していてもよい。本発明の調味液のタンパク質含有量の下限は、湿潤質量換算で例えば0.1質量%以上10質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1質量%以とすることができる。一方、本発明の調味液のタンパク質含有量の上限は、特に制限されないが、湿潤質量換算で例えば10質量%以下、又は8質量%以下、又は6質量%以下、又は4質量%以下とすることができる。
なお、本発明において、固形状組成物や調味液等の組成物試料中のタンパク質含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、品表示法(「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号))に規定された燃焼法(改良デュマ法)を用いて定量した窒素量に、「窒素-タンパク質換算係数」を乗じて算出する方法で測定する。
本発明の固形状組成物中のタンパク質の由来は特に制限されない。例としては、植物由来のものや動物由来のものが挙げられるが、植物(特に豆類)由来のタンパク質が好ましい。具体的には、固形状組成物全体の総タンパク質含有量に対する、植物由来タンパク質含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。植物由来タンパク質の例としては、穀類由来(特に雑穀類)のもの、豆類由来のもの、芋類由来のもの、野菜類由来のもの、種実類由来のもの、果実類由来のもの等が挙げられるが、豆類由来のものを用いることがより好ましく、特にエンドウ由来のものが好ましく、黄色エンドウ由来のものが最も好ましい。雑穀類由来のものとしては、えん麦(オーツ麦)及び/又はきび由来のものが好ましい。また、豆類由来タンパク質と雑穀類由来タンパク質の合計が上記規定を充足することが好ましい。
本発明の固形状組成物中のタンパク質は、単離精製された純品として組成物に配合されたものであってもよいが、食用植物に含有された状態で組成物に配合されていることが好ましい。具体的には、固形状組成物全体の総タンパク質含有量に対する、食用植物(好ましくは豆類及び/又は雑穀類)に含有された状態で配合されているタンパク質含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。
なお、本発明の固形状組成物中におけるタンパク質の、例えば50質量%以上、中でも60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%が、何れも豆類及び/又は雑穀類に由来することが好ましく、同一種の豆類及び/又は雑穀類に由来することが更に好ましく、同一個体の豆類及び/又は雑穀類に由来することが更に好ましい。また、本発明の固形状組成物中におけるタンパク質の、通常50質量%以上、中でも60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%が、何れも食用植物に含有された状態で配合されることが好ましい。
・全油脂分含量:
本発明の固形状組成物中の全油脂分含量は、制限されないが、乾燥質量換算で例えば0.01質量%以上17質量%未満の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は例えば17質量%未満、中でも15質量%未満、又は13質量%未満、又は10質量%未満、又は8質量%未満、又は7質量%未満、又は6質量%未満、又は5質量%未満、又は4質量%未満、又は3質量%未満、又は2質量%未満、又は1質量%未満、特に0.8質量%未満とすることができる。一方、固形状組成物中の全油脂分含量の下限は特に制限されないが、乾燥質量換算で例えば0.01質量%以上とすることができる。
一方、本発明の調味液中の全油脂分含量は、制限されないが、湿潤質量換算で例えば0.01質量%以上30質量%未満の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は例えば30質量%未満、中でも25質量%未満、又は20質量%未満、又は15質量%未満とすることができる。一方、調味液中の全油脂分含量の下限は特に制限されないが、乾燥質量換算で例えば0.01質量%以上とすることができる。
なお、本発明において、固形状組成物や調味液等の組成物試料中の全油脂分含量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、ジエチルエーテルによるソックスレー抽出法で測定する。
本発明の固形状組成物及び/又は調味液中の油脂分の由来は特に制限されない。例としては、植物由来のものや動物由来のものが挙げられるが、植物由来の油脂分が好ましい。具体的には、固形状組成物及び/又は調味液全体の総油脂分含有量に対する、植物由来(特に豆類)油脂分含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば50質量%以上、中でも60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。植物由来油脂分の例としては、穀類由来(特に雑穀類)のもの、豆類由来のもの、芋類由来のもの、野菜類由来のもの、種実類由来のもの、果実類由来のもの等が挙げられるが、豆類由来のものを用いることがより好ましく、特にエンドウ由来のものが好ましく、黄色エンドウ由来のものが最も好ましい。雑穀類由来のものとしては、えん麦(オーツ麦)及び/又はきび由来のものが好ましい。また、豆類由来油脂分と雑穀類由来油脂分の合計が上記規定を充足することが好ましい。
本発明の固形状組成物及び/又は調味液中の油脂分は、単離された純品として組成物に配合されたものであってもよいが、食用植物(好ましくは豆類及び/又は雑穀類)に含有された状態で組成物に配合されていることが好ましい。具体的には、固形状組成物及び/又は調味液全体の総油脂分含有量に対する、食用植物に含有された状態で配合されている油脂分含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば50質量%以上、中でも60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。
なお、本発明の固形状組成物及び/又は調味液中における乾燥質量換算油脂分の、例えば50質量%以上、中でも60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%が、何れも豆類及び/又は雑穀類に由来することが好ましく、同一種の豆類及び/又は雑穀類に由来することが更に好ましく、同一個体の豆類及び/又は雑穀類に由来することが更に好ましい。また、本発明の固形状組成物及び/又は調味液中における乾燥質量換算油脂分の、通常50質量%以上、中でも60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%が、何れも食用植物に含有された状態で配合されることが好ましい。
・含水率(乾量基準含水率、湿潤質量換算含水率):
本発明の固形状組成物の乾量基準含水率は、制限されないが、例えば10質量%以上400質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は例えば400質量%以下、又は350質量%以下、又は300質量%以下、又は250質量%以下、又は200質量%以下、又は150質量%以下、又は100質量%以下、又は80質量%以下、又は60質量%以下とすることができる。一方、本発明の固形状組成物の乾量基準含水率の下限は、制限されないが、工業上の生産効率という観点から、例えば10質量%以上、又は20質量%以上、又は30質量%以上とすることができる。
一方、本発明の調味液の湿潤質量換算含水率は、制限されないが、例えば30質量%以上100質量%未満の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば30質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上とすることができる。一方、その湿潤質量換算含水率の上限は、制限されないが、例えば100質量%未満、又は90質量%以下、又は80質量%以下、又は70質量%以下とすることができる。
本発明において、各種組成物試料の「乾量基準含水率」とは、組成物試料の原料に由来する水分量と別途添加した水分量の合計量の、固形分の合計量に対する割合を意味する。その数値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、減圧加熱乾燥法で90℃に加温することで測定する。具体的には、予め恒量になったはかり容器(W0)に適量の試料を採取して秤量し(W1)、常圧において、所定の温度(より詳しくは90℃)に調節した減圧電気定温乾燥器中に、はかり容器の蓋をとるか、口を開けた状態で入れ、扉を閉じ、真空ポンプを作動させて、所定の減圧度において一定時間乾燥し、真空ポンプを止め、乾燥空気を送って常圧に戻し、はかり容器を取り出し、蓋をしてデシケーター中で放冷後、質量をはかる。そのようにして恒量になるまで乾燥、放冷、秤量する(W2)ことを繰り返し、次の計算式で水分含量(乾量基準含水率)(質量%)を求める。なお、湿潤質量換算の含水率は(W1-W2)/(W1-W0)によって求められる。
・塩化ナトリウム:
本発明の食品組成物は、その塩化ナトリウム含有量が所定範囲内であることを、特徴の一つとする。具体的に、本発明の食品組成物の塩化ナトリウム含有量の上限は、湿潤質量換算で、例えば0質量%以上2質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は2質量%以下とすることができる。中でも1.8質量%以下、又は1.6質量%以下、又は1.2質量%以下、又は1質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.5質量%以下であることが好ましい。本発明の食品組成物は、このように塩化ナトリウム含有量を低い値に抑えても、でんぷん含有固形状組成物の弾性低下を抑制でき、良好な品質を維持することが可能となる。更には、このように塩化ナトリウム含有量を抑えることで、喫食時(特に加熱喫食時)に固形状組成物から2-ペンチルフランを始めとする風味成分が溶出し、素材の風味が引き立つ効果が奏される場合がある。一方、本発明の食品組成物の塩化ナトリウム含有量の下限は、制限されるものではないが、例えば湿潤質量換算で0質量%以上、又は0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、又は0.4質量%以上とすることができる。特に0.2質量%以上とすることで、常温(本発明においては20℃)保管中に弾性が失われにくくのびにくい特性が付与された固形状組成物となるという利点が得られる場合がある。なお、本開示において、食品組成物の塩化ナトリウム含有量とは、食品組成物を構成する固形状組成物及び調味液の総質量(固形状組成物の質量と調味液の質量との和)に対する、固形状組成物及び調味液に含有される塩化ナトリウムの総質量(固形状組成物に含有される塩化ナトリウムの質量と調味液に含有される塩化ナトリウムの質量との和)の比率を意味するものとする。
限定されるものではないが、本発明の固形状組成物についても、塩化ナトリウムの含有量が所定範囲内であることが好ましい。具体的に、本発明の固形状組成物の塩化ナトリウムの含有量は、湿潤質量換算で、例えば0.1質量%以上2質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限を例えば2質量%以下、又は1.5質量%以下、又は1質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.5質量%以下とすることができ、また、その下限を例えば0.1質量%以上、又は0.2質量%以上とすることができる。
限定されるものではないが、本発明の調味液についても、塩化ナトリウムの含有量が所定範囲内であることが好ましい。具体的に、本発明の調味液の塩化ナトリウムの含有量は、湿潤質量換算で、例えば0.1質量%以上2質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限を例えば湿潤質量換算で2質量%以下、又は1.5質量%以下、又は1質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.5質量%以下とすることができ、また、その下限を例えば0.1質量%以上、又は0.2質量%以上とすることができる。
なお、本発明において、固形状組成物及び調味液の塩化ナトリウムの定量法としては、例えば日本食品標準成分表2015年版(七訂)の「食塩相当量」に準じ、原子吸光法を用いて測定したナトリウム量に2.54を乗じて算出する手法を用いる。また、食品組成物全体の塩化ナトリウム含有量は、食品組成物を構成する固形状組成物及び調味液の各々の塩化ナトリウム含有量及び質量から加重平均として求めることもできる。
・その他の成分:
本発明の固形状組成物及び/又は調味液は、上記の各種成分に加えて、任意の1種又は2種以上の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、調味料や食品添加物等が挙げられる。
本発明の固形状組成物及び/又は調味液が含んでいてもよい調味料や食品添加物等の具体例としては、醤油、味噌、アルコール類、糖類(例えばブドウ糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖等)、糖アルコール(例えばキシリトール、エリスリトール、マルチトール等)、人工甘味料(例えばスクラロース、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK等)、ミネラル(例えばカルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、亜鉛、マグネシウム等、及びこれらの塩類等)、香料、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸及び酢酸等)、シクロデキストリン、酸化防止剤(例えばビタミンE、ビタミンC、茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、香辛料抽出物、カフェ酸、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテート、ルチン、ケルセチン、ヤマモモ抽出物、ゴマ抽出物等)、乳化剤(例としてはグリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リノシール酸エステル、キラヤ抽出物、ダイズサポニン、チャ種子サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、着色料、増粘安定剤等が挙げられる。
但し、昨今の自然志向の高まりからは、本発明の固形状組成物及び/又は調味液は、いわゆる乳化剤、着色料、及び増粘安定剤(例えば、食品添加物表示ポケットブック(平成23年版)の「表示のための食品添加物物質名表」に「着色料」、「増粘安定剤」、「乳化剤」として記載されているもの)から選ばれる何れか1種を含有しないことが好ましく、何れか2種を含有しないことがより好ましく、3種全てを含有しないことが更に好ましい。特に、本発明の固形状組成物及び/又は調味液(好ましくは少なくとも調味液)は、代表的な増粘安定剤であるキサンタンガムを、実質的に含有しないこと(または含有しないこと)が好ましい。
・ラピッドビスコアナライザー粘度に関する要件:
一態様によれば、本発明の食品組成物は、ラピッドビスコアナライザー(Rapid-Visco-Analyser:RVA)を用いて前記[手順a]で測定した各種の粘度(以下適宜「RVA粘度」という場合がある。)が、所定の要件を充足することが好ましい。
[手順a]ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて試料を50℃から95℃まで昇温させた後、3分間保持し、更に50℃まで降温させた後、1分間保持した場合の粘度を測定する。
ラピッドビスコアナライザー(RVA)は、試料を攪拌しながら所定の温度プロファイル下で昇温及び降温した場合における、不可逆的な粘度プロファイルを測定する装置である。RVAとしては、測定対象物を95℃まで昇温可能な装置であれば任意の装置を用いることができるが、具体例としてはPerten社製RVA4800が挙げられる。本装置の測定原理は、試料を測定用アルミニウムカップ(容積約70mL)に入れ、所定の温度プロファイルの下で昇温及び降温しながら、13mm×19mm程度の2枚のパドル(羽根)を回転させながら試料を攪拌し、パドルに加わる抵抗に基づいてその粘度特性を測定するものである。ここで、試料の粘度が高い場合はパドルに加わる抵抗が強くなり、粘度が低い場合には抵抗が低くなることから、パドルに加わる抵抗に基づいて試料の粘度特性を測定することが可能となる。
本発明の調味液は、上記[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度(以下適宜「RVA最終粘度(50℃)」という場合がある。)が、所定範囲内であることを特徴の一つとする。一態様によれば、該粘度は、例えば5.0cP超550cP以下の範囲とすることができる。具体的に、本発明の調味液のRVA最終粘度(50℃)の上限は、通常550cP以下とすることができる。中でも520cp以下、又は500cP以下、又は490cp以下、又は480cP以下、又は450cP以下、又は420cp以下、又は400cp以下、又は380cp以下であることが好ましい。本数値を当該所定の上限値以下とすることで、固形状組成物中の好ましい風味成分が固形状組成物から調味液へと流出しやすくなる場合がある。一方、本発明の調味液のRVA最終粘度(50℃)の下限は、通常5.0cP超とすることができる。中でも6.0cP以上、又は7.0cP以上、又は9.0cP以上、又は10.0cP以上、又は11.0cP以上であることが好ましい。本数値を当該所定の下限超又は以上とすることで、固形状組成物中の好ましくない成分まで抽出されるのを防止しやすくなる場合がある。
なお、本発明の食品組成物のうち液体部分に相当する調味液のRVA粘度測定は、湿潤質量25.0gの調味液試料をRVA測定用アルミカップに量りとり、そのまま上記[手順a]でのRVA粘度測定に供して行う。一方、本発明の食品組成物のうち固体部分に相当する固形状組成物または基礎組成物のRVA粘度測定は、乾燥質量3.5gの固形状組成物または基礎組成物試料を粉砕(例えば100メッシュパス(目開き150μm)120メッシュオン(目開き125μm)となるまで粉砕)した後、RVA測定用アルミカップに量りとり、蒸留水を加えて全量が28.5gとなるように調製した14質量%の試料水スラリー(単に「乾燥粉砕スラリー」と称する場合がある)を、上記[手順a]でのRVA粘度測定に供して行う。
・DHS-GC/MS分析による2-ペンチルフランピーク測定:
本発明の食品組成物は、2-ペンチルフラン(CAS.No.3777-69-3、2-Pentylfuran)の含有量が、特定の条件を満たすことが好ましい。ここで2-ペンチルフランの含有量又はピーク面積は、ダイナミックヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析(DHS-GC/MS)によって測定される。
DHS-GC/MS法は、測定試料をDHS(ダイナミックヘッドスペース)法(気相の揮発性成分を不活性ガスで強制的にパージを行い、揮発性成分を吸着剤に捕集する動的な抽出方法)によって揮発させた後、ガスクロマトグラフ質量分析(GS/MS)法によって測定を行う方法である。具体的な手順としては、例えば、試料を10mL平底のバイアルに少量(1g)計り取った後に密閉し、窒素ガスパージによって揮発させた試料を、分析成分の性質に応じた吸着樹脂(Tenaxカラム等)で吸着した後、加熱脱着システムを用いて処理することでガスクロマトグラフィー分析装置に導入し、分析を行うことができる。また、試料中の成分含有量を測定するためには、試料と任意含有量に希釈した標準品試料とを分析し、両試料の確認イオンピーク面積の積分結果を把握し、その値を比較することで、試料中の当該成分含有量を測定することができる。
上記分析後、試料の一部を質量分析計にかけてマススペクトルを求め、2-ペンチルフランの成分関連イオン(2-ペンチルフラン:m/z=81、82、138)で成分の保持時間の確認を行う。質量分析計(MS)としては、四重極型の5977 Mass Selective Detector(Agilent社製)を用いる。イオン化法、イオン化電圧は、イオン化法:EI+、イオン化電圧:70eVの条件で行い、結果はスキャンモードで取り込み、成分に特徴的なイオン(2-ペンチルフラン:m/z=81、82、138)を関連イオンとして用いて同定を行うことで質量スペクトル解析を行うことができ、標準品においてこれら関連イオンが全て検出される保持時間を特定することで、2-ペンチルフランの保持時間を特定することができる。尚、本発明における「m/z」とは、各成分のm/z中心値における-0.3~+0.7の範囲において検出された値をいう。例えば、m/z=81は80.7~81.7において検出されたイオンピーク面積の累積値を表している。
具体的には、固形状組成物及び/又は調味液の試料を、例えば小型ヒスコトロン(マイクロテックニチオン社製ホモジナイザーNS-310E3)等を用いて粥状の性状となるまで処理(通常は10000rpmで15秒程度)した後、DHS-GC/MS法による分析に供する。DHS-GC/MS分析の具体的な条件は、例えば以下のとおりである。なお、本分析に関しては、後述する二次元GC/MS分析との対比で、「一次元GC/MS分析」と称する場合がある。
[一次元DHS-GC/MS条件]
(ダイナミックヘッドスペース(dynamic headspace:DHS)注入法)
・装置:Agilent社製7890B(GC)、5977B(MS)
Gester社製MultiPurpose Sampler(auto-sampler)
・吸着樹脂:TENAX
・インキュベーション温度:80℃
・窒素ガスパージ量:60mL
・窒素ガスパージ流量:10mL/分
・TDU:[30℃]-[210℃/分]-[240℃(3分)]
・CIS:[10℃]-[12℃/秒]-[240℃]
(ライナー充填剤:TENAX)
・カラム:Gester社製DB-WAX(30m×250μm×0.25μm)
・カラム温度:[40℃(3分)]-[5℃/分]-[240℃(7分)]
・キャリアガス:He
・トランスファーライン:250℃
・イオン源温度:230℃
・スキャンパラメータ:m/z=28.7~300
・スプリット:なし
上記の条件にて、含有量既知の2-ペンチルフランの標品(東京化成工業社製)の標品を蒸留水で適当な含有量に希釈したものと試料とを分析に供する。質量分析計のマススペクトルパターンに基づく分析によって、測定条件によって多少のずれはあるものの、標準品保持時間との比較によって、ターゲット成分と思しきピークの保持時間付近における、それらの希釈標品と試料との確認イオン(2-ペンチルフラン:m/z=138)量のピーク面積積分結果の比較によって、試料中の成分の定量を行うことができる。
更に、上記の条件で一次元GC/MS分析を行い、ターゲット成分と思しきピークの保持時間付近をハートカットして異なる性質のカラムで二次元ガスクロマトグラフィーを実施することによって、より精緻に当該成分含有量の定量を行うことができるため、特に好ましい。具体的には二次元ガスクロマトグラフィー分析は以下のような条件で行うことができる。なお、当該二次元GC/MS分析における保持時間は、カラム昇温開始時点を0分として算出するため、一次元GC/MS分析時とは異なる値となるが、標準品との分析結果比較によってその保持時間を把握することができる。
[二次元GC/MS条件]
・CTS:[-150℃]-[10℃/秒]-[250℃]
・カラム:Gester社製DB-5(10m×180μm×0.4μm)
・カラム温度:[40℃(0分)]-[40℃/分]-[240℃(15分)]
・キャリアガス:He
本発明の固形状組成物の2-ペンチルフラン含有量は、限定されないが、乾燥質量換算で、例えば1質量ppb以上50質量ppm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば1質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は5質量ppb以上、又は7質量ppb以上、又は10質量ppb以上、又は15質量ppb以上とすることができる。この含有量を前記下限値以上とすることで、素材の風味が引き立つ効果が奏されやすくなる。一方、その上限は、制限されないが、乾燥質量換算で、例えば50質量ppm以下、又は47質量ppm以下、又は40質量ppm以下、又は30質量ppm以下、又は20質量ppm以下、又は15質量ppm以下、又は10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は3質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.2質量ppm以下、又は0.5質量ppm以下、又は0.2質量ppm以下、又は0.1質量ppm以下、又は0.07質量ppm以下とすることができる。この含有量を前記上限値以下とすることで、豆類及び/又は雑穀類由来の好ましい風味成分が調味液にも付与されるという効果が奏されやすくなる。なお、本発明において特に指定がない場合、「ppb」は「質量ppb」、「ppm」は「質量ppm」を表す。
本発明の調味液の2-ペンチルフラン含有量は、湿潤質量換算で、例えば1質量ppb以上50質量ppm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば1質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は5質量ppb以上、又は7質量ppb以上、又は10質量ppb以上、又は15質量ppb以上とすることができる。この含有量を前記下限値以上とすることで、素材の風味が引き立つ効果が奏されやすくなる。一方、その上限は、限定されないが、湿潤質量換算で、例えば50質量ppm以下、又は47質量ppm以下、又は40質量ppm以下、又は30質量ppm以下、又は20質量ppm以下、又は15質量ppm以下、又は10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は3質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.2質量ppm以下、又は0.5質量ppm以下、又は0.2質量ppm以下とすることができる。
本発明の食品組成物は、固形状組成物に対する前記調味液の2-ペンチルフランピーク面積比(m/z=138)が、所定割合以下であることを特徴の一つとする。なお、本発明における「ピーク面積比」とは、固形状組成物及び調味液それぞれをDHS-GC/MS)によって測定して得られた各m/z(2-ペンチルフランにおいてはm/z=138)のピーク面積に対して、食品組成物全体に対する湿潤質量割合を乗じて得られた値から算出することができ、液中加熱後も当該成分が揮発しやすい特性を有する固形状組成物が相対的に多く含まれる組成物ほど低い値が得られる。例えば、食品組成物全体に対して固形状組成物を湿潤質量換算で30質量%、調味液を70質量%含有する組成物において、固形状組成物のピーク面積(m/z=138)が1000、調味液におけるピーク面積(m/z=138)が100であった場合、固形状組成物に対する調味液の2-ペンチルフランピーク面積比は{(100×0.7)/(1000×0.3)}=0.233となる。具体的に、当該割合は、例えば0以上100以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、当該割合の上限は、通常100以下とすることができる。中でも例えば90以下、又は85以下、又は80以下、又は70以下、又は60以下、又は50以下、又は40以下、又は30以下、又は25以下、又は20以下、又は15以下、又は10以下、又は6以下、又は3以下、又は2以下とすることが好ましい。この割合を前記上限値以下とすることで、固形状組成物と調味液の2-ペンチルフラン含有量のバランスが良好となり、結果として風味バランスに優れた食品組成物が得られやすくなる。一方、当該割合の下限は特に制限されないが、通常0以上、又は0.001以上、又は0.002以上、又は0.003以上とすることができる。この含有量を前記下限値以上とすることで、風味バランスに優れた食品組成物となるという効果が奏されやすくなる。
なお、固形状組成物及び調味液における2-ペンチルフランピーク面積は、前述の一次元DHS-GC/MS法を用いて食品組成物中における固形状組成物と調味液のそれぞれについて測定を行い、m/z=81、82、138が共に有意に検出される保持時間におけるm/z=138のピーク面積を測定する。
なお、固形状組成物に対する調味液の2-ペンチルフラン湿潤質量換算含有量比が所定割合以下であってもよい。なお、本発明における「含有量比」とは、固形状組成物及び調味液それぞれにおける2-ペンチルフラン含有量に対して、食品組成物全体に対する湿潤質量割合を乗じて得られた値から算出することができ、液中加熱後も当該成分を多く含有する固形状組成物が相対的に多く含まれる組成物ほど低い値が得られる。具体的に、当該割合は、例えば0以上100以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、当該割合の上限は、通常100以下とすることができる。中でも例えば80以下、又は60以下、又は50以下、又は40以下、又は30以下、又は25以下、又は20以下、又は15以下、又は10以下、又は6以下、又は3以下、又は2以下とすることが好ましい。一方、当該割合の下限は特に制限されないが、通常0以上、又は0.001以上、又は0.002以上、又は0.003以上とすることができる。
なお、本発明の食品組成物に含まれる2-ペンチルフランは、固形状組成物の原料となる豆類及び/又は雑穀類や調味液の原料となる食用植物等の食材に含まれるものでもよく、本発明の食品組成物の製造時に、当該食材とは別に添加されるものでもよく、本発明の食品組成物の製造に伴い生じるものであってもよい。或いはこれらのうち2種以上の由来による2-ペンチルフランが合計された結果として、前記の所定の含有量及び/又は割合を満たすものであってもよい。本発明の食品組成物の製造時に外部から2-ペンチルフランを添加する場合、精製抽出された高純度の2-ペンチルフラン試薬を添加してもよく、2-ペンチルフランを含む何らかの組成物の形態で添加してもよい。但し、飲食に供される食品組成物であることから、当該組成物に含有される2-ペンチルフランの過半(より好ましくは全部)が何らかの食材由来であることが好ましく、食用植物由来であることがより好ましい。
・濃縮:
なお、本発明の食品組成物は、そのまま(常温又は加熱して)喫食されてもよいが、調味液を加熱により濃縮又は蒸発させてから喫食されてもよい。後者の場合、加熱条件は特に限定されないが、加熱温度は例えば50℃以上100℃以下の範囲とすることができ、処理時間は例えば30秒以上20分間以内の範囲とすることができる。より具体的に、加熱温度の下限は、例えば50℃以上、又は60℃以上、又は70℃以上、又は80℃以上、又は85℃以上、又は90℃以上、又は95℃以上、また、通常100℃以下の温度で、加熱時間の下限は、例えば30秒以上、又は1分間以上、又は2分間以上、また、例えば20分間以内、又は10分間以内、又は5分間以内に亘って加熱すればよい。また、調味液の濃縮率も特に限定されないが、例えば加熱前に対する比率で90質量%以下、又は80質量%以下、又は70質量%以下、又は60質量%以下、又は50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は20質量%以下、又は10質量%以下となるまで濃縮することができる。このような、調味液を加熱により濃縮又は蒸発させてから喫食することを意図した食品組成物も、本発明の対象となる。この場合、加熱による調味液の濃縮後の食品組成物が、上述した本発明の各種の規定を満たしている必要はなく、少なくとも加熱前の食品組成物が、上述した本発明の各種の規定を満たしていればよい。但し、一般的に加熱温度と加熱時間とは略相互依存の関係にもあり、加熱温度を高くするほど加熱時間は概ね短くて済む一方で、加熱時間を長くするほど加熱温度は概ね低くて済む傾向がある。よって、斯かる加熱温度及び加熱時間の関係を考慮し、それぞれ適切な範囲となるように設定すればよい。
[II.食品組成物の製造方法]
・概要:
本発明の別の側面は、本発明の食品組成物を製造する方法であって、下記段階(i)~(v)を含む製造方法に関する。本発明の製造方法によれば、必ずしも限定されるわけではないが、前述の本発明の食品組成物を効率的に製造することができる。以下、斯かる方法を適宜「本発明の製造方法」と称する場合がある。
(i)特定の特徴を有する基礎調味液を用意する段階。
(ii)豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんを含有し、特定の特徴を有する基礎組成物を用意する段階。
(iii)段階(ii)の基礎組成物を水性媒体中で水中加熱して固形状組成物とする段階。
(iv)段階(ii)の基礎組成物の抽出物(以下、単に「抽出物」という場合もある)を段階(i)の基礎調味液に添加して調味液とする段階。
(v)段階(iii)の固形状組成物を段階(iv)の調味液に含有させる段階。
本発明の製造方法の段階(i)~(v)の実施順は、特に制限されない。少なくとも基礎組成物を用意する段階(ii)は、基礎組成物を水中加熱して固形状組成物を調製する段階(iii)に先行して実施されると共に、基礎調味液を用意する段階(i)共々、基礎組成物の抽出物を基礎調味液に添加して調味液を調製する段階(iv)に先行して実施される必要があるが、その他の実施順は任意である。また、各段階を逐次実施してもよいが、複数の段階を同時に実施してもよい。但し、特に段階(iii)~(v)を実施する際の主な態様としては、図1に示す2つの態様を挙げることが出来る。
図1(A)に示す態様では、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱用の水性媒体として基礎調味液を用いる。これにより、基礎組成物を基礎調味液中で加熱すると共に、基礎組成物の抽出物をそのまま基礎調味液へと移動させることで、段階(iii)の基礎組成物から固形状組成物への変換と、段階(iv)の基礎調味液から調味液への変換、更には段階(v)の調味液中への固形状組成物の含有を同時に達成することができる(これを適宜「同時加熱・添加態様」という。)。
一方、図1(B)に示す態様では、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱用の水性媒体として基礎調味液とは別の水性媒体を用いると共に、基礎組成物の抽出物の基礎調味液への添加を個別に行う。この場合、段階(iii)における水中加熱後の水性媒体(これを「水中加熱液」という場合がある。)には基礎組成物から抽出された成分が溶出しているため、この水中加熱液を基礎組成物の抽出物として用い、基礎調味液に添加することで段階(iv)を達成することが出来る。その後、段階(v)として、段階(iii)で得られた固形状組成物を段階(iv)で得られた調味液に浸漬することにより、本段階の食品組成物の調製を行うことができる(これを適宜「個別加熱・添加態様」という。)。また、粉末状又は濃縮液体状の基礎調味料を含む後述の用事調製用製品の場合、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱液に基礎調味料を加えることでストレート型液体状基礎調味液に基礎組成物の抽出物を添加した状態の調味液を調製し、段階(i)と段階(iv)を同時に達成することも出来る。
以下の説明では、まず(A)同時加熱・添加態様について一通り説明した上で、次に(B)個別加熱・添加態様について、主に(A)との相違点を中心として説明する。但し、繰り返すが、本発明の製造方法はこれら態様(A)及び(B)に限定されるものではなく、最終的に上述の固形状組成物が上述の調味液に含有された本発明の食品組成物が調製される限りにおいて、任意の態様で実施することが出来る。
(A)同時加熱・添加態様:
前述のとおり、(A)同時加熱・添加態様は、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱用の水性媒体として基礎調味液を用いることにより、基礎組成物を基礎調味液中で加熱すると共に、基礎組成物の抽出物をそのまま基礎調味液へと移動させることで、段階(iii)の基礎組成物から固形状組成物への変換と、段階(iv)の基礎調味液から調味液への変換、更には段階(v)の調味液中への固形状組成物の含有を同時に達成し、本段階の食品組成物の調製を行う態様である。
・段階(i):基礎調味液の調製
本段階では、基礎調味液を用意する。本開示において「基礎調味液」とは、本発明の調味液の前駆体となる組成物であって、前述の基礎組成物の抽出物を添加することにより本発明の調味液へと変換される組成物を意味する。なお、基礎調味液の組成・物性は、(A)同時加熱・添加態様と(B)個別加熱・添加態様とでは異なることから、(A)同時加熱・添加態様に使用される基礎調味液を「基礎調味液A」、(B)個別加熱・添加態様に使用される基礎調味液を「基礎調味液B」として、両者を呼び分けることとする。ここでは基礎調味液Aについて説明するが、基礎調味液Aと基礎調味液Bを特に区別しない文脈では、まとめて「基礎調味液」という場合もある。
本態様(A)において、基礎調味液Aは、基礎組成物の水中加熱用の水性媒体として用いられる。ここで、基礎調味液Aに基礎組成物を浸漬して水中加熱することにより(後述の段階(iii))、基礎組成物から抽出された成分が基礎調味液A中に直接移行し(即ち添加され)、本発明の調味液へと変換される(後述の段階(iv))。また、後述する基礎組成物の態様に応じて、基礎調味液Aから基礎組成物への水分の移行、又は、基礎組成物から基礎調味液Aへの水分の移行が生じることになる。
従って、基礎調味液Aの組成及び物性は、基本的には最終的に製造される本発明の調味液の組成及び物性と同様であるが、水中加熱時における基礎組成物からの成分(基礎組成物の抽出物)の移行、及び、基礎組成物との間の水分の移動を考慮して、若干の変更を加えることが好ましい。具体的には以下の通りである。
基礎調味液の塩化ナトリウム含有量は、所定範囲内であることが好ましい。具体的には、基礎調味液の塩化ナトリウム含有量の下限を所定値以上とすることにより、最終的に調味液に含有される固形状組成物から喫食時(特に加熱喫食時)に好ましい風味成分が溶出し、素材の風味が引き立つ効果が奏される場合がある。また、固形状組成物から溶出した風味成分が、該組成物を被覆することでも、素材の風味が引き立つ効果が奏される場合がある。その理由は定かではないが、調味液の塩化ナトリウム含有量を抑えることで固形状組成物の表面の硬化が抑制され、固形状組成物からの有用成分の流出が促進されるのではないかと推測される。具体的に、当該含有量は、例えば0.1質量%以上2.5質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、基礎調味液の塩化ナトリウムの含有量の下限は、湿潤質量換算で、例えば0.1質量%以上、又は0.2質量%以上とすることができる。一方、基礎調味液の塩化ナトリウムの含有量の上限は、制限されないが、例えば2.5質量%以下、又は2.3質量%以下、又は2.0質量%以下、又は1.5質量%以下、又は1.0質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.5質量%以下とすることができる。
基礎調味液のラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて上記[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度(NaCl濃度補正前RVA最終粘度(50℃))は、限定されるものではないが、所定範囲内であることが好ましい。一態様によれば、この値は、例えば5.0cp超500cp以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、基礎調味液のRVA最終粘度(50℃)の上限は、例えば500cP以下、中でも480cP以下、更には450cP以下、又は400cP以下とすることができる。本数値を当該所定の上限値以下とすることで、基礎組成物中の好ましい風味成分が基礎組成物から基礎調味液へと流出しやすくなる場合がある。一方、基礎調味液のRVA最終粘度(50℃)の下限は、制限されないが、通常5.0cP超、又は6.0cP以上、又は7.0cP以上とすることができる。本数値を当該所定の下限超又は以上とすることで、固形状組成物中の好ましくない成分まで抽出されるのを防止しやすくなる場合がある。
基礎調味液は、前記[手順a]で測定したRVA最終粘度(50℃降温時)に、「0.1質量%/基礎調味液における湿潤質量換算塩化ナトリウム質量%」を乗じた換算値が、限定されるものではないが、所定範囲内であることが好ましい。本発明における「湿潤質量換算塩化ナトリウム含有量濃度に基づき補正した値」とは、基礎調味液における塩化ナトリウム含有量を湿潤質量換算で0.1質量%となるように仮定した算出値を表す。具体的に、基礎調味液のRVA最終粘度(50℃)に対して0.1/x(ここでxは基礎調味液の湿潤質量換算塩化ナトリウム含量(質量%)を意味する。例えばx=10質量%の場合、0.1/10=0.01を乗じた値となる)を乗じた換算値(これを適宜「補正RVA最終粘度(50℃)」または「基礎調味液NaCl濃度補正RVA最終粘度(50℃)」とする。)は、例えば0cp超450cp以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、例えば0cP超、又は0.2cP以上、又は0.4cP以上、又は0.6cP以上、又は0.8cP以上、又は1.0cP以上、又は1.3cP以上、又は1.6cP以上、又は2.0cP以上、又は3.0cP以上、又は4.0cP以上、又は5.0cP以上であることが好ましい。本数値を当該所定の下限超又は以上とすることで、固形状組成物中の好ましくない成分まで抽出されるのを防止しやすくなる場合がある。一方、斯かる補正RVA最終粘度(50℃)の上限は、制限されるものではないが、例えば450cP以下、中でも400cP以下、更には350cP以下、又は300cP以下、又は250cp以下、又は200cp以下とすることができる。本数値を当該所定の上限値以下とすることで、基礎組成物中の好ましい風味成分が基礎組成物から基礎調味液へと流出しやすくなる場合があり、特に基礎調味液Aが数値を充足することが好ましい。また、上記割合は調味液の希釈や濃縮によっても維持されるため、調味液が上記規定を充足してもよく、基礎調味料が上記規定を充足してもよい。
基礎調味液は、タンパク質を含有していてもよい。本発明の調味液のタンパク質含有量は、湿潤質量換算で、例えば0.1質量%以上10質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は、湿潤質量換算で例えば0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1質量%以とすることができる。一方、基礎調味液のタンパク質含有量の上限は、特に制限されないが、湿潤質量換算で例えば10質量%以下、又は8質量%以下、又は6質量%以下、又は4質量%以下とすることができる。
基礎調味液中の全油脂分含量は、湿潤質量換算で、例えば0.01質量%以上30質量%未満の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は、制限されないが、湿潤質量換算で例えば30質量%未満、中でも25質量%未満、又は20質量%未満、又は15質量%未満とすることができる。一方、基礎調味液中の全油脂分含量の下限は、制限されないが、乾燥質量換算で例えば0.01質量%以上とすることができる。
基礎調味液の含水率は、湿潤質量換算で、例えば30質量%以上100質量%未満の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は、制限されないが、例えば湿潤質量換算で30質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上とすることができる。一方、基礎調味液の湿潤質量換算含水率の上限は、制限されないが、例えば100質量%未満、又は90質量%以下、又は80質量%以下、又は70質量%以下とすることができる。
本段階における基礎調味液の調製方法も任意である。水等の水性媒体に対して、食用植物加工品(好ましくはその粉末)を、任意により使用されるその他の成分(その他の食材、調味料、食品添加物等)と共に混合すればよい。混合の手法も任意であり、例えば通常の撹拌装置を用いて混合すればよい。
・食用植物(不溶性食物繊維局在部位)の粒子径
なお、本発明の調味液に食用植物の加工品を含有させる場合には、段階(i)における基礎調味液の調製時に、食用植物(例えばその不溶性食物繊維局在部位を含むもの)に微細化処理を施してから使用することが好ましい。特に、食用植物の不溶性食物繊維局在部位を含有することで、最終的に得られる本発明の調味液において、粘性向上効果が奏される場合がある。その原理は不明であるが、不溶性食物繊維と共に含有されるペクチン等の成分が粘性を発現している可能性がある。
不溶性食物繊維局在部位の微細化処理に際しては、不溶性食物繊維局在部位を単独で微細化処理を施してもよく、不溶性食物繊維局在部位を含む不溶性食物繊維含有食材の状態で微細化処理を施してもよいが、破砕が困難な不溶性食物繊維局在部位の一部または全部をそれ以外の部位と分離して微細化処理を施すことが好ましい。
また、同一種類の食材における不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物とそれ以外の部位を共に含有することが好ましい。また、不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物は、食材から不溶性食物繊維局在部位を分離した後に微細化処理を施したものを基礎調味液に含有させてもよいし、不溶性食物繊維局在部位を含む不溶性食物繊維含有食材の状態で微細化処理を施したものを基礎調味液に含有させてもよい。
食用植物(例えばその不溶性食物繊維局在部位を含むもの)の微細化処理に際しては、擾乱後のモード径が、所定の範囲内に調整されるまで処理することが好ましい。具体的に、擾乱後のモード粒子径は、例えば0.3μm以上1000μm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は、通常1000μm以下、中でも900μm以下、更には800μm以下、とりわけ700μm以下、又は600μm以下、又は500μm以下、又は400μm以下、又は300μm以下、又は200μm以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、通常0.3μm以上、中でも1.0μm以上、更には3.0μm以上、とりわけ5.0μm以上、とりわけ6.0μm以上、特に7.0μm以上であることが好ましい。
また、食用植物(例えばその不溶性食物繊維局在部位を含むもの)の微細化処理に際しては、擾乱後の粒子径のd50が、所定の範囲内に調整されることが好ましい。具体的に、擾乱後の粒子径のd50は、例えば1μm以上900μm以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は、通常900μm以下、中でも800μm以下、更には700μm以下、とりわけ600μm以下、又は500μm以下、又は400μm以下、又は300μm以下、又は200μm以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、通常1μm以上、中でも5μm以上、更には7μm以上であることが好ましい。
微細化処理に用いられる粉砕処理の条件は特に限定されない。粉砕時の温度も制限されず、高温粉砕、常温粉砕、低温粉砕の何れであってもよい。粉砕時の圧力も制限されず、高圧粉砕、常圧粉砕、低圧粉砕の何れであってもよい。粉砕処理の手段の例としては、ブレンダー、ミキサー、ミル機、混練機、粉砕機、解砕機、磨砕機等の機器類が挙げられるが、これらの何れであってもよい。その装置としては、例えば乾式ビーズミル、ボールミル(転動式、振動式等)等の媒体攪拌ミル、ジェットミル、高速回転型衝撃式ミル(ピンミル等)、ロールミル、ハンマーミル等を用いることができる。
また、不溶性食物繊維局在部位の微細化処理に際しては、擾乱を加える前後(即ち超音波処理前後)の不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物中の粒子(微粒子及び微粒子複合体)の単位体積当り比表面積[m2/mL]が、以下の要件を満たすことが好ましい。即ち、本発明の不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物は、擾乱を加えない状態(即ち超音波処理を行う前の状態)において、多数の微粒子複合体を含有すると共に、擾乱前と擾乱後では、その単位体積当り比表面積[m2/mL]が増加することが好ましい。
限定されるものではないが、擾乱を加える前後(即ち超音波処理前後)の本発明の不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物中の粒子(微粒子及び微粒子複合体)の単位体積当り比表面積[m2/mL]の比、即ち(超音波処理前の単位体積当り比表面積)/(超音波処理後の単位体積当り比表面積)が、所定範囲を満たすことが好ましい。当該値は、例えば0.10以上10.0以下の範囲とすることができる。より具体的に、その値の上限は、限定されないが、例えば10.0以下、又は8.0以下、又は6.0以下、又は4.0以下、又は2.0以下とすることができる。その値が前記上限値以上であることにより、食物繊維同士が適度に解砕しやすく複合体化されており、好ましい食感となる。一方、その下限は、通常0.10以上、中でも0.20以上、更には0.30以上、とりわけ0.40以上、特に0.50以上であることが好ましい。
限定されるものではないが、擾乱前(即ち超音波処理前)における本発明の不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物中の粒子(微粒子及び微粒子複合体)の単位体積当り比表面積は、例えば0.01m2/mL以上1.00m2/mL以下の範囲であるのが好ましい。より具体的に、その上限は、例えば通常1.00m2/mL以下、又は0.90m2/mL以下、又は0.80m2/mL以下であるのが好ましい。当該比表面積が前記上限以下であれば、微粒子が十分に複合体を形成し、保存安定性の向上効果が充分に奏されるので好ましい。なお、当該比表面積の下限は限定されないが、例えば0.01m2/mL以上、又は0.02m2/mL以上、又は0.03m2/mL以上とすることができる。
限定されるものではないが、擾乱後(即ち超音波処理後)における本発明の不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物中の粒子(微粒子及び微粒子複合体)の単位体積当り比表面積が、例えば0.01m2/mL以上2.00m2/mL以下の範囲であるのが好ましい。より具体的に、その上限は、例えば2.00m2/mL以下、又は1.50m2/mL以下、又は1.20m2/mL以下であるのが好ましい。当該比表面積が前記上限以下であれば、微粒子が十分に複合体を形成し、保存安定性の向上効果が奏されるので好ましい。なお、当該比表面積の下限は限定されないが、例えば0.01m2/mL以上、又は0.02m2/mL以上、又は0.03m2/mL以上とすることができる。
・段階(ii):基礎組成物の調製
本段階では、豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有する共に、下記の特徴を有する基礎組成物を用意する。本開示において「基礎組成物」とは、本発明の固形状組成物の前駆体となる組成物であって、液中加熱を加えることで本発明の固形状組成物へと変換される組成物を意味する。なお、液中加熱の詳細については、後述の段階(iii)の説明において詳述する。
本段階において調製される基礎組成物の組成及び物性は、液中加熱により変化しうる組成及び物性を除いては、基本的に前述した本発明の固形状組成物の組成及び物性と同様である。液中加熱を考慮して調整することが好ましい基礎組成物の組成及び物性の例を以下に説明するが、液中加熱により変化しうる組成及び物性はこれらに限定されない。当業者であれば、目的とする固形状組成物の組成及び物性並びにその液中加熱の条件を考慮して、所望の組成及び物性を有する固形状組成物が得られるように、その前駆体となる基礎組成物の組成及び物性を適宜調整することが可能である。
一態様によれば、基礎組成物の塩化ナトリウム含有量は、湿潤質量換算で、例えば0.1質量%以上2質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は、限定されないが、乾燥質量換算で、例えば0.1質量%以上、又は0.2質量%以上とすることができる。一方、その上限は、限定されないが、湿潤質量換算で、例えば2質量%以下、又は1質量%以下、又は0.7質量%以下、又は0.5質量%以下とすることができる。
一態様によれば、基礎組成物のでんぷん糊化度は、乾燥質量換算で、例えば35質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は、乾燥質量換算で、例えば35質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上とすることができる。基礎組成物のでんぷん糊化度が前記所定値以上であることで、常温保管中に一定期間(例えば3日以上)が経過しても組成物内部にひび割れが生じにくく、また、加熱調理後に組成物内部の成分が流出しにくいという効果が得られやすくなる場合がある。一方、その上限は、乾燥質量換算で、例えば100質量%以下、又は98質量%以下、又は95質量%以下、又は92質量%以下とすることができる。基礎組成物のでんぷん糊化度を前記所定値以下とすることで、でんぷんの分解を防止し、組成物がべたべたした好ましくない品質となるのをより回避し易くなる場合がある。
一態様によれば、基礎組成物の2-ペンチルフラン含有量は、乾燥質量換算で、例えば1質量ppb以上50質量ppm以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は、乾燥質量換算で、例えば1質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は5質量ppb以上、又は7質量ppb以上、又は10質量ppb以上、又は15質量ppb以上、又は25質量ppb以上、又は30質量ppb以上とすることができる。基礎組成物の2-ペンチルフラン含有量を前記所定下限値以上とすることで、最終的に得られる食品組成物において、固形状組成物と調味液の両方に2-ペンチルフランがバランスよく含有され易くなり、惹いては風味バランスに優れた食品組成物が得られやすくなる場合がある。一方、基礎組成物の2-ペンチルフラン含有量の上限は、乾燥質量換算で、例えば50質量ppm以下、又は47質量ppm以下、又は40質量ppm以下、又は30質量ppm以下、又は20質量ppm以下、又は15質量ppm以下、又は10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は3質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.2質量ppm以下、又は0.5質量ppm以下、又は0.2質量ppm以下とすることができる。基礎組成物の2-ペンチルフラン含有量を前記所定上限値以下とすることで、最終的な組成物において調味液が2-ペンチルフランを適度に含有し風味バランスが良い組成物となるという効果が得られる場合がある。
一態様によれば、基礎組成物を粉砕(例えば100メッシュパス(目開き150μm)120メッシュオン(目開き125μm)となるまで粉砕)してから乾燥粉砕スラリー(14質量%の試料水スラリー)の状態でラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて前記[手順a]で粘度測定を行った場合に、50℃から95℃まで温度変化する過程(試料を50℃から95℃まで昇温させた後、95℃で3分間保持する過程)における最高到達粘度(cP)([値α])が、所定範囲内であることが好ましい。具体的に、当該値は例えば100cP超4000cP以下の範囲とすることができる。より具体的に、基礎組成物の乾燥粉砕スラリーの[値α]の上限は、例えば4000cP以下、中でも3500cP以下、更には3000cP以下、特に2500cP以下、又は2000cP以下とすることができる。本数値を当該所定の上限値以下とすることで、基礎組成物中の好ましい風味成分が基礎組成物から調味液へと流出しやすくなる場合がある。一方、基礎組成物の乾燥粉砕スラリーの[値α]の下限は、制限されないが、通常100cP超、又は200cP以上、又は300cP以上であることが好ましい。本数値を当該所定の下限超又は以上とすることで、基礎組成物中の好ましくない成分まで抽出されるのを防止しやすくなる場合がある。
一態様によれば、基礎組成物を粉砕してから乾燥粉砕スラリーの状態でRVAを用いて前記[手順a]で粘度測定を行った場合に、ブレークダウン時粘度(cP)([値β])が、所定範囲内であることが好ましい。具体的に、当該値は例えば10cP超4000cP以下の範囲とすることができる。より具体的に、基礎組成物の乾燥粉砕スラリーの[値β]の上限は、例えば4000cP以下、中でも3500cP以下、更には3000cP以下、特に2500cP以下、又は2000cP以下、又は1500cP以下、又は1000cP以下とすることができる。本数値を当該所定の上限値以下とすることで、基礎組成物中の好ましい風味成分が基礎組成物から調味液へと流出しやすくなる場合がある。一方、基礎組成物の乾燥粉砕スラリーの[値β]の下限は、制限されないが、通常10cP超、又は20cP以上、又は30cP以上、又は40cP以上、又は50cP以上、又は60cP以上、又は70cP以上、又は80cP以上であることが好ましい。本数値を当該所定の下限超又は以上とすることで、基礎組成物中の好ましくない成分まで抽出されるのを防止しやすくなる場合がある。なお、本開示において「ブレークダウン」とは、50℃から95℃まで温度変化する過程における最高到達粘度(cP)([値α])を示した温度以降で引き続きRVAを用いて[手順a]に従って測定を行った場合に測定対象の粘度が低下する現象を表し、「ブレークダウン時粘度(cP)([値β])」とは[値α]以降[手順a]測定終了時点までの最低到達粘度(cP)を表す。従って、[値α]から全く粘度低下が起こらない場合は、[値α]と[値β]は同じ値となり、わずかに粘度低下が起きる場合は[値β]/[値α]の比は1に近い値が得られる。
一態様によれば、基礎組成物の乾燥粉砕スラリーの前記[値α]に対する前記[値β]の比([値β]/[値α])が、所定範囲内であることが好ましい。具体的に、当該比は例えば0以上0.95以下の範囲とすることができる。より具体的に、斯かる比[値β]/[値α]の上限は、例えば0.95以下、又は0.90以下、又は0.85以下、又は0.80以下、又は0.75以下とすることができる。斯かる比[値β]/[値α]を前記上限以下に抑制した基礎組成物とすることで、基礎組成物に含まれ得る豆類及び/又は雑穀類由来の劣化臭成分の流出を経時的に抑制する効果が得られる場合がある。その理由は定かではないが、豆類及び/又は雑穀類のでんぷん粒は通常非常に強固な構造を有し、90℃程度では破砕しないことが知られているところ、斯かる豆類及び/又は雑穀類のでんぷん粒を含有する組成物を前記[手順a]に従って50℃から95℃まで昇温しても、豆類及び/又は雑穀類のでんぷん粒が膨潤したまま保持されるため、ブレークダウン時粘度はほとんど低下せず、[値β]/[値α]が1に近い値が得られるためと考えられる。一方、前記比[値β]/[値α]の下限は、制限されないが、例えば0.10以上、又は0.20以上、又は0.30以上、又は0.34以上、又は0.40以上とすることができる。
本段階における基礎組成物の調製方法は任意である。でんぷんの由来原料となる豆類及び/又は雑穀類、好ましくはその粉末を、任意により使用されるその他の成分(豆類及び/又は雑穀類以外の食用植物、その他の食材、調味料、食品添加物等)と共に混合すればよい。成分の混合時には必要に応じて水や水性媒体等の溶剤を併用してもよい。混合の手法も任意であり、例えば通常の撹拌装置を用いて混合してもよく、一軸又は二軸の押出機(エクストルーダー)等を用いて混練しながら混合してもよい。
また、前記の基礎組成物の成分の混合前(例えば基礎組成物の原料となる豆類及び/又は雑穀類又は豆類及び/又は雑穀類粉末の段階)、混合中、又は混合後に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は限定されないが、前記[値β]、[値α]が好ましい範囲となるように加熱処理を行うことが好ましく、特に[値β]/[値α]の比が所定の割合となるように加熱処理を行うことが好ましい。加熱温度は、例えば100℃以上200℃以下の範囲とすることができ、処理時間は、例えば0.1分以上2時間以下の範囲とすることができる。より具体的に、加熱温度の下限は、例えば100℃以上、又は110℃以上、又は120℃以上、また、例えば200℃以下、又は190℃以下、又は180℃以下の最高温度で、処理時間の下限は、例えば0.1分以上、又は0.2分以上、又は0.3分以上、また、例えば2時間以下、又は1.5時間以下、又は1時間以下に亘って行えばよい。但し、一般的に加熱温度と加熱時間とは略相互依存の関係にもあり、加熱温度を高くするほど加熱時間は概ね短くて済む一方で、加熱時間を長くするほど加熱温度は概ね低くて済む傾向がある。よって、斯かる加熱温度及び加熱時間の関係を考慮し、それぞれ適切な範囲となるように設定すればよい。
さらに、当該加熱処理を実施する際に、所定割合以上の水分存在下で加熱処理を行うことで、[値β]/[値α]が所定の値以下に調整されやすくなるため好ましい。その理由は定かではないが、非常に強固な構造を有する豆類及び/又は雑穀類のでんぷん粒が破砕しやすくなり、相対的に[値α]に対する[値β]の値が低くなるためと考えられる。具体的には乾量基準含水率が、例えば40質量%超200質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は、40質量%超の状態で加熱処理を行うことが好ましく、45質量%超で行うことがさらに好ましく、50質量%超で行うことが特に好ましい。その上限は特に制限されないが、通常200質量%以下、又は150質量%以下、又は100質量%以下とすることができる。
一態様によれば、前記の基礎組成物の成分の混合後、及び任意により加熱処理後、得られた基礎組成物を乾燥してもよい。このような乾燥態様の基礎組成物(例えば乾麺等)とする場合、その乾量基準含水率は、例えば1質量%以上25質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は、例えば25質量%以下、又は23質量%以下とすることができる。基礎組成物の乾量基準含水率の下限は限定されないが、例えば1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上とすることができる。或いは、このような基礎組成物の乾燥工程を設けず、水分量の多い湿潤態様の基礎組成物(例えば半生麺又は生麺等)として、その後の段階に使用することも可能である。湿潤態様の基礎組成物とする場合、その乾量基準含水率の上限は、例えば300質量%以下、又は250質量%以下とすることができる。その乾量基準含水率の下限は限定されないが、例えば25質量%超、又は30質量%超とすることができる。
・段階(iii):基礎組成物の水中加熱による固形状組成物の調製
本段階では、段階(ii)の基礎組成物を水性媒体中で水中加熱することにより固形状組成物を調製する。特に、本態様(A)では、基礎組成物の水中加熱用の水性媒体として基礎調味液Aを用いて、基礎組成物の水中加熱を行う。その手順は制限されないが、通常は基礎組成物を基礎調味液Aに入れて加熱すればよい。
水中加熱時に於ける基礎組成物と基礎調味液Aとの使用比率は制限されないが、基礎組成物に対する基礎調味液Aの質量比率で、例えば湿潤質量換算で50質量%以上2000質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば湿潤質量換算で50質量%以上、又は70質量%以上、又は100質量%以上、又は120質量%以上とすることが出来る。一方、基礎組成物に対する基礎調味液Aの質量比の上限は、制限されるものではないが、例えば2000質量%以下、又は1000質量%以下とすることが出来る。
水中加熱時の加熱温度及び加熱時間は制限されないが、加熱温度は、例えば80℃以上150℃以下の範囲とすることができ、加熱時間は、例えば1分間以上120分間以内とすることができる。より具体的に、加熱温度の下限は、例えば最高温度80℃以上、又は85℃以上、又は90℃以上、又は95℃以上、又は100℃(即ち常圧下における基礎調味液Aの沸騰状態)で、上限は特に制限されないが150℃以下、又は130℃以下とすることができる。加熱時間の下限は、例えば1分間以上、又は2分間以上、又は3分間以上、また、上限は特に制限されないが例えば120分間以内、又は100分間以内、又は80分間以内、又は60分以内、又は40分以内、又は20分以内に亘って行えばよい。但し、一般的に加熱温度と加熱時間とは略相互依存の関係にもあり、加熱温度を高くするほど加熱時間は概ね短くて済む一方で、加熱時間を長くするほど加熱温度は概ね低くて済む傾向がある。よって、斯かる加熱温度及び加熱時間の関係を考慮し、それぞれ適切な範囲となるように設定すればよい。
一態様によれば、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱前後における基礎調味液A中の2-ペンチルフラン含有量の増分(すなわち、「水中加熱後における基礎調味液A中の2-ペンチルフラン含有量-水中加熱前における基礎調味液A中の2-ペンチルフラン含有量」によって求められる差分)が、所定の下限値以上であることが好ましい。例えば1質量ppb以上10質量ppm以下の範囲とすることができる。より具体的には、水中加熱前後の基礎調味液A中の2-ペンチルフランの増分は、例えば湿潤質量換算で1質量ppb以上、又は2質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は4質量ppb以上、又は5質量ppb以上とすることができる。言い換えれば、基礎調味液A中の2-ペンチルフランが例えば1質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は5質量ppb以上分上昇するまで、前記基礎組成物を基礎調味液A中で水中加熱すればよい。2-ペンチルフラン増分が前記下限値以上となるまで水中加熱を行うことで、最終的な組成物において調味液が2-ペンチルフランを適度に含有し風味バランスが良い組成物となるという効果が得られる場合がある。その上限は特に制限されないが、通常湿潤質量換算で10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.5質量ppm以下、又は1.1質量ppm以下、又は1.0質量ppm以下、又は0.6質量ppm以下とすることができる。
・段階(iv):基礎調味液Aへの基礎組成物抽出物の添加による調味液の調製
本段階では、基礎組成物の抽出物を基礎調味液Aに含有させることにより、調味液を調製する。特に、本態様(A)では、段階(iii)で基礎組成物を基礎調味液A中で水中加熱することにより、基礎組成物の抽出物がそのまま基礎調味液Aへと移動することで、基礎組成物から固形状組成物への変換と基礎調味液Aから調味液への変換、更には調味液中への固形状組成物の含有が同時に実施され、前段階(iii)と本段階(iv)が同時に行われることになる。
本段階では、上記[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度(RVA最終粘度(50℃))が、前記の所定範囲を満たす調味液が調製される。一態様によれば、本段階で調製される調味液のRVA最終粘度(50℃)は、例えば5.0cP超550cP以下の範囲とすることができる。具体的に、本数値の上限は、通常550cP以下とすることができる。中でも520cP以下、又は500cP以下、又は490cp以下、又は480cP以下、又は450cP以下、又は420cp以下、又は400cp以下、又は380cp以下であることが好ましい。本数値を当該所定の上限値以下とすることで、固形状組成物中の好ましい風味成分が固形状組成物から調味液へと流出しやすくなる場合がある。一方、本数値の下限は、通常5.0cP超とすることができる。中でも6.0cP以上、又は7.0cP以上、又は9.0cP以上、又は10.0cP以上、又は11.0cP以上であることが好ましい。本数値を当該所定の下限超又は以上とすることで、固形状組成物中の好ましくない成分まで抽出されるのを防止しやすくなる場合がある。
一態様によれば、前記抽出物添加前(即ち基礎組成物の水中加熱前)の基礎調味液Aの前記RVA最終粘度(50℃)に対する、前記抽出物添加後(即ち基礎組成物の水中加熱後)の調味液の前記RVA最終粘度(50℃)の増加率(単に、「抽出物添加前後のRVA最終粘度(50℃)増加率」と称する場合がある)が、所定の下限値以上であることが好ましい。この値は、例えば10%以上2000%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は、具体的には、抽出物添加前後のRVA最終粘度(50℃)の増加率は、例えば10%以上、又は15%以上、又は20%以上、30%以上とすることができる。その上限は特に制限されないが、通常2000%以下、又は1500%以下、又は1000%以下、又は800%以下とすることができる。言い換えれば、RVA最終粘度(50℃)が例えば10%以上、又は15%以上、又は20%以上増加するまで(さらには2000%以下、又は1500%以下、又は1000%以下となるまで)、前記基礎組成物抽出物の添加(即ち基礎調味液A中での基礎組成物の水中加熱)を実施すればよい。RVA最終粘度(50℃)の増加率が前記下限値以上となるまで水中加熱を行うことで、固形状組成物から調味液への成分流出を抑制するという効果が得られる場合がある。
なお、前記増加率(%)から、調味液全体の粘度に対する前記基礎組成物抽出物に由来する粘度の比率を算出することができる。例えば、増加率が10%の組成物は、最終的な調味液の粘度を110%と考えると、調味液全体の粘度に対する前記基礎組成物抽出物に由来する粘度の比率は9.09%(10%/110%)となる。当該調味液全体の粘度に対する前記基礎組成物抽出物に由来する粘度の比率は、所定の下限値以上であることが好ましい。この値は、例えば8%以上100%未満の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は、例えば8%以上、又は10%以上、又は15%以上、又は20%以上、又は25%以上とすることができる。その上限は特に制限されないが、通常100%未満、又は97%以下、又は95%以下、又は93%以下、又は91%以下、又は90%以下とすることができる。
一態様によれば、前記抽出物添加前の基礎調味液Aの2-ペンチルフラン含有量に対する、前記抽出物添加後の調味液の2-ペンチルフラン含有量の増分が、所定の下限値以上であることが好ましい。この値は、例えば1質量ppb以上10質量ppm以下の範囲とすることができる。より具体的には、抽出物添加前後の2-ペンチルフランの増分は、例えば湿潤質量換算で1質量ppb以上、又は2質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は4質量ppb以上、又は5質量ppb以上とすることができる。言い換えれば、抽出物添加前(即ち(A)同時加熱・添加態様においては、基礎組成物の水中加熱前)の基礎調味液Aの2-ペンチルフラン含有量と比較して、抽出物添加後(即ち(A)同時加熱・添加態様においては、基礎組成物の水中加熱後)の調味液の2-ペンチルフラン含有量が、例えば湿潤質量換算で1質量ppb以上、又は2質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は4質量ppb以上、又は5質量ppb以上分上昇するまで、前記基礎組成物抽出物の添加(即ち基礎調味液A中での基礎組成物の水中加熱)を実施すればよい。その上限は特に制限されないが、通常湿潤質量換算で10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.5質量ppm以下、又は1.1質量ppm以下、又は1.0質量ppm以下とすることができる。
・段階(v):固形状組成物及び調味液からの食品組成物の調製
本段階では、段階(iii)の固形状組成物を段階(iv)の調味液に含有させることにより、本発明の食品組成物が製造される。特に、本態様(A)では、前述のように、段階(iii)で基礎組成物を基礎調味液A中で水中加熱することにより、基礎組成物の抽出物がそのまま基礎調味液Aへと移動することで、基礎組成物から固形状組成物への変換と基礎調味液Aから調味液への変換、更には調味液中への固形状組成物の含有が同時に実施され、前段階(iii)及び(iv)と本段階(v)が同時に行われることになる。
(B)個別加熱・添加態様:
前述のとおり、(B)個別加熱・添加態様は、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱用の水性媒体として基礎調味液とは別の水性媒体を用いると共に、水中加熱後の水性媒体(水中加熱液)を基礎組成物の抽出物として用い、基礎調味液に添加することで段階(iv)を行った後、段階(v)として、段階(iii)で得られた固形状組成物を段階(iv)で得られた調味液に浸漬することにより食品組成物の調製を行う態様である。また、粉末状又は濃縮液体状の基礎調味料を含む後述の用事調製用製品の場合、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱液に基礎調味料を加えることでストレート型液体状基礎調味液に基礎組成物の抽出物を添加した状態の調味液を調製し、段階(i)と(iv)を同時に達成することも出来る。
・段階(i):基礎調味液Bの調製
本段階では、基礎調味液(本態様では基礎調味液B)を用意する。本態様(B)では、基礎調味液Bは、これとは別の水性媒体中で基礎組成物を水中加熱して(後述の段階(iii))得られた水中加熱液(水中加熱後の水性媒体。基礎組成物の抽出物に相当。)を添加することにより、本発明の調味液へと変換される(後述の段階(iv))。
基礎調味液Bの組成及び物性は、前述した態様(A)における基礎調味液Aの組成及び物性と基本的に同一であるが、基本的には最終的に製造される本発明の調味液の組成及び物性と同様であるが、後述の段階(iv)において基礎組成物の水中加熱液を基礎組成物の抽出物として加えることを考慮し、その水分含量を調整することが好ましい。即ち、後述の段階(iv)において基礎調味液Bに対してX倍量(Xは任意の正数)の基礎組成物の水中加熱液を加えて調味液を調製する場合には、最終的に調製すべき調味液の水分量から水中加熱液に含まれる水分を差し引いて基礎調味液Bにおける水分量を調整すればよい。その結果、基礎調味液B中の含有成分(食用植物加工品やその他の調味料や塩化ナトリウム等の成分)の含有量を、最終的に調製すべき調味液中の含有成分の含有量よりも適宜高めた数値に設定することができる。例えば、基礎調味料B(例えば100g)に対して、2倍量の基礎組成物の水中加熱液(例えば水分200gを含む)を加えて調味液を調製する態様においては、最終的に調製すべき調味液の水分量(例えば組成物300gに対して水290gが含有される場合)から水中加熱液に含まれる水分(200g)を差し引いた水分90gに残部10gにおける含有成分が含まれるように基礎調味液B(100g)における含有成分含有量を調整すればよい。その他の基礎調味液Bの詳細については、前述した態様(A)における基礎調味液Aと同様である。
・段階(ii):基礎組成物の調製
本段階では、豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有すると共に、特定の特徴を有する基礎組成物を用意する。その詳細は、前記態様(A)の段階(ii)について説明した通りである。
・段階(iii):基礎組成物の水中加熱による固形状組成物の調製
本段階では、段階(ii)の基礎組成物を水性媒体中で水中加熱することにより固形状組成物を調製する。特に、本態様(B)では、基礎組成物の水中加熱用の水性媒体として基礎調味液Bとは異なる水性媒体を用いて、基礎組成物の水中加熱を行う。その手順は制限されないが、通常は基礎組成物を水性媒体に入れて加熱すればよい。水性媒体としては、水を用いてもよいが、水中に調味料等の各種の成分を含む水性溶液等を用いてもよい。
水中加熱時に於ける基礎組成物と水性媒体との使用比率は制限されないが、基礎組成物に対する水性媒体の質量比率で、例えば50質量%以上2000質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば湿潤質量換算で50質量%以上、又は70質量%以上、又は100質量%以上、又は120質量%以上とすることが出来る。一方、基礎組成物に対する水性媒体の質量比の上限は、制限されるものではないが、例えば2000質量%以下、又は1000質量%以下とすることが出来る。
水中加熱時の加熱温度及び加熱時間は制限されないが、加熱温度は、例えば80℃以上150℃以下の範囲とすることができる。また、加熱時間は、例えば1分間以上120分間以内の範囲とすることができる。より具体的に、加熱温度は、例えば最高温度80℃以上、又は85℃以上、又は90℃以上、又は95℃以上、又は100℃(即ち常圧下における水性媒体の沸騰状態)で、上限は特に制限されないが150℃以下、又は130℃以下とすることができる。また、加熱時間は、例えば1分間以上、又は2分間以上、又は3分間以上、また、上限は特に制限されないが例えば120分間以内、又は100分間以内、又は80分間以内、又は60分以内、又は40分以内、又は20分以内に亘って行えばよい。但し、一般的に加熱温度と加熱時間とは略相互依存の関係にもあり、加熱温度を高くするほど加熱時間は概ね短くて済む一方で、加熱時間を長くするほど加熱温度は概ね低くて済む傾向がある。よって、斯かる加熱温度及び加熱時間の関係を考慮し、それぞれ適切な範囲となるように設定すればよい。
なお、本段階に於ける基礎組成物の水中加熱によって、基礎組成物は固形状組成物へと変換される一方、加熱時に使用した水性媒体に基礎組成物の成分の一部が抽出物として抽出され、段階(iv)における基礎調味液Bへの添加に使用されることになる。
一態様によれば、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱前後における水性媒体中の2-ペンチルフラン含有量の増分(すなわち、「水中加熱後における水性媒体中の2-ペンチルフラン含有量-水中加熱前における水性媒体中の2-ペンチルフラン含有量」によって求められる差分)が、所定の下限値以上であることが好ましい。具体的には、水中加熱前後の水性媒体中の2-ペンチルフランの増分は、例えば1質量ppb以上10質量ppm以下の範囲とすることができる。より具体的に、例えば湿潤質量換算で1質量ppb以上、又は2質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は4質量ppb以上、又は5質量ppb以上とすることができる。言い換えれば、水性媒体中の2-ペンチルフランが例えば湿潤質量換算で1質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は5質量ppb以上分上昇するまで、前記基礎組成物を溶媒中で水中加熱すればよい。その上限は特に制限されないが、通常10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.5質量ppm以下、又は1.1質量ppm以下、又は1.0質量ppm以下、又は0.6質量ppm以下とすることができる。
・段階(iv):基礎調味液Bへの基礎組成物抽出物の添加による調味液の調製
本段階では、基礎組成物の抽出物を基礎調味液Bに含有させることにより、調味液を調製する。特に、本態様(B)では、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱後の水性媒体(水中加熱液)を基礎組成物の抽出物として用いて、基礎調味液Bへの添加を行う。また、粉末状又は濃縮液体状の基礎調味料を含む後述の用事調製用製品の場合、段階(iii)における基礎組成物の水中加熱液に基礎調味料を加えることでストレート型液体状基礎調味液に基礎組成物の抽出物を添加した状態の調味液を調製し、段階(i)と段階(iv)を同時に達成することも出来る。
本段階では、上記[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度(RVA最終粘度(50℃))が、前記の所定範囲を満たす調味液が調製される。一態様によれば、本段階で調製される調味液のRVA最終粘度(50℃)は、例えば5.0cP超550cP以下の範囲とすることができる。具体的に、本数値の上限は、通常550cP以下とすることができる。中でも520cp以下、又は500cP以下、又は480cP以下、又は450cP以下であることが好ましい。本数値を当該所定の上限値以下とすることで、固形状組成物中の好ましい風味成分が固形状組成物から調味液へと流出しやすくなる場合がある。一方、本数値の下限は、通常5.0cP超とすることができる。中でも6.0cP以上、又は7.0cP以上、又は9.0cP以上、又は10.0cP以上、又は11.0cP以上であることが好ましい。本数値を当該所定の下限超又は以上とすることで、固形状組成物中の好ましくない成分まで抽出されるのを防止しやすくなる場合がある。
本段階において、基礎組成物の抽出物の含有量や添加量は制限されないが、斯かる抽出物の添加によって基礎調味液Bの組成や物性が変化し、最終的に調味液として所望される組成や物性が得られるように設定すればよい。即ち、基礎調味液の組成や物性の変化を指標として、基礎組成物の抽出温度や抽出時間(即ち段階(iii)における加熱温度や加熱時間)、並びに当該抽出物の基礎調味液Bへの添加量を決定すればよい。
一態様によれば、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)の添加前の基礎調味液BのRVA最終粘度(50℃)に対する、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)の添加後の調味液のRVA最終粘度(50℃)の増加率(抽出物添加前後のRVA最終粘度(50℃)増加率)が、所定の下限値以上であることが好ましい。具体的には、抽出物添加前後のRVA最終粘度(50℃)の増加率は、例えば10%以上2000%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限値は例えば10%以上、又は15%以上、又は20%以上、30%以下とすることができる。その上限は特に制限されないが、通常2000%以下、又は1500%以下、又は1000%以下、又は800%以下とすることができる。言い換えれば、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)の添加前の基礎調味液BのRVA最終粘度(50℃)に対して、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)の添加後の調味液のRVA最終粘度(50℃)が、例えば10%以上、又は15%以上、又は20%以上増加するまで(さらには2000%以下、又は1500%以下、又は1000%以下上昇するまで、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)を基礎調味液Bに添加させればよい。
一態様によれば、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)の添加前の基礎調味液Bの2-ペンチルフラン含有量に対する、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)の添加後の調味液の2-ペンチルフラン含有量の増分が、所定の下限値以上であることが好ましい。具体的には、抽出物添加前後の2-ペンチルフラン含有量の増分は、例えば湿潤質量換算で1質量ppb以上10質量ppm以下の範囲とすることができる。より具体的に、例えば1質量ppb以上、又は2質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は4質量ppb以上、又は5質量ppb以上とすることができる。言い換えれば、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)の添加前の基礎調味液Bの2-ペンチルフラン含有量に対して、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)の添加後の調味液の2-ペンチルフラン含有量が、例えば湿潤質量換算で1質量ppb以上、又は2質量ppb以上、又は3質量ppb以上、又は4質量ppb以上、又は5質量ppb以上の変化割合で上昇するまで、前記基礎組成物抽出物(即ち水中加熱液)を基礎調味液Bに添加させればよい。その上限は特に制限されないが、通常10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.5質量ppm以下、又は1.1質量ppm以下、又は1.0質量ppm以下とすることができる。
・段階(v):固形状組成物及び調味液からの食品組成物の調製
本段階では、段階(iii)で得られた固形状組成物を段階(iv)で得られた調味液に含有させることにより、本発明の食品組成物が製造される。特に、本態様(B)では、段階(iii)における固形状組成物と段階(iv)における調味液とは個別に得られることになるので、段階(iii)で得られた固形状組成物を段階(iv)で得られた調味液に浸漬することにより、本段階の食品組成物の調製を行うことができる。
[III.用事調製用製品及び基礎組成物・基礎調味料]
本発明の別の側面は、本発明の食品組成物を調製するための用事調製用製品であって、本発明の製造方法に使用される基礎調味液、又は斯かる基礎調味液を調製するための基礎調味料と、本発明の製造方法に使用される基礎組成物とを含む製品に関する。以下、斯かる用事調製用製品を「本発明の用事調製用製品」と称する場合がある。こうした本発明の用事調製用製品を提供することで、需要者が喫食直前に自ら本発明の食品組成物を調理することができ、より新鮮な出来立ての状態で本発明の食品組成物を喫食することが可能となる。
本発明の用事調製用製品は、本発明の基礎組成物と、本発明の基礎調味液又はこれを調製するための基礎調味料とを少なくとも含む。本発明の基礎組成物については、本発明の製造方法との関係で先に詳述したとおりである。
本開示において「基礎調味料」とは、前述した本発明の基礎調味液の調製に使用される組成物を意味する。斯かる基礎調味料の主な態様を図2の模式図に示す。図2に記載のように、基礎調味料は(1)液体状(例えば溶液、懸濁液等)の基礎調味料と(2)固体状(例えば粉末状、顆粒状等)基礎調味料とに分類され、前者は更に(1-1)ストレート型液体状基礎調味料と(1-2)濃縮型液体状基礎調味料とに分類される。
(1-1)ストレート型液体状基礎調味料は、そのまま基礎調味液として利用可能な基礎調味料であり、即ち基礎調味液と同一である。
(1-2)濃縮型液体状基礎調味料は、基礎調味液を所定の濃縮倍率で濃縮した組成物であって、濃縮倍率に応じた所定の希釈倍率で水やその他の水性媒体で希釈することにより、基礎調味液に変換されるように構成された組成物である。濃縮型液体状基礎調味料の濃縮倍率(即ち基礎調味液の調製時に必要な希釈倍率)は制限されないが、濃縮型液体状基礎調味料に対する基礎調味液の質量比率{([基礎調味液の質量]/[濃縮型液体状基礎調味料の質量])×100%}で、通常、湿潤質量換算で、例えば100質量%以上2000質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は特に制限されないが、例えば100質量%以上、又は150質量%以上、又は200質量%以上、又は250質量%以上、又は300質量%以上とすることができる。一方、その上限は特に制限されないが、例えば2000質量%以下、又は1500質量%以下、又は1000質量%以下とすることができる。斯かる濃縮型液体状基礎調味料の調製方法は制限されないが、基礎調味液の各種成分を所望の濃縮倍率に応じた含有量で水や水性媒体に溶解して調製するか、或いは、一旦調製した基礎調味液から所望の濃縮倍率になるように溶媒を留去すればよい。
(2)固体状(例えば粉末状、顆粒状等)基礎調味料は、基礎調味液の溶媒を除去した組成物であって、所定の量の水やその他の水性媒体を加えて再構成することにより、基礎調味液に変換されるように構成された組成物である。濃縮型固体状基礎調味料の濃縮倍率(即ち基礎調味液の調製時に必要な希釈倍率)は制限されないが、濃縮型固体状基礎調味料に対する基礎調味液の質量比率{([基礎調味液の質量]/[濃縮型固体状基礎調味料の質量])×100%}で、通常、湿潤質量換算で、例えば500質量%以上2000質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は特に制限されないが、例えば500質量%以上、又は600質量%以上、又は700質量%以上、又は800質量%以上、又は900質量%以上とすることができる。一方、その上限は特に制限されないが、例えば2000質量%以下、又は1500質量%以下、又は1000質量%以下とすることができる。斯かる固体状基礎調味料の調製方法は制限されないが、所望の基礎調味液の溶媒以外の成分のみを固体状態で混合し、必要に応じて造粒又は顆粒化するか、或いは、一旦調製した基礎調味液から溶媒を完全に留去すればよい。
本発明の用事調製用製品の構成要素である基礎組成物と、基礎調味液又は基礎調味料とは、個別に包装されていてもよく、包装されない状態であってもよいが、個別に包装された状態で本発明の食品組成物を調製する際に開封されることが好ましい。また、基礎調味料が固体状基礎調味料の場合、基礎組成物と固体状基礎調味料とを包装されない状態で共存した態様とすることもできるし、基礎組成物にあらかじめ固体状基礎調味料を練りこんだような態様とすることもできる。
本発明の用事調製用製品は、上述の基礎組成物、及び、基礎調味液又は基礎調味料に加えて、追加の構成要素を含んでいてもよい。斯かる追加構成要素の一例としては、本発明の食品組成物に任意で添加される具材等が挙げられる。斯かる具材も個別に包装され、本発明の食品組成物を調製する際に開封されることが好ましい。更には、個別包装された基礎組成物及び基礎調味料(並びに任意により具材)が更に纏めて一括包装されていてもよく、基礎組成物及び固体状基礎調味料(並びに任意により具材)が個別包装されない状態でまとめて一括包装されていてもよい。なお、基礎組成物及び基礎調味料(並びに任意により具材)を用いて本発明の食品組成物を調理する際の手順(混合手順、加熱方法等)が、何れかの包装に印刷されていてもよい。
なお、本発明の用事調製用製品を構成する基礎組成物(麺等)、及び、基礎調味液又は基礎調味料(スープ等)は、各々単独の製品としてもよい。斯かる単独製品としての基礎組成物及び基礎調味液を、それぞれ適宜「本発明の基礎組成物」及び「本発明の基礎調味料」と称する場合がある。上記の本発明の食品組成物の場合と同様、こうした本発明の基礎組成物又は基礎調味料を製品として提供することで、需要者が喫食直前に自ら本発明の食品組成物を調理することができ、より新鮮な出来立ての状態で本発明の食品組成物を喫食することが可能となる。更には、こうした本発明の基礎組成物又は基礎調味料に対して、需要者が別売の任意の基礎調味料(スープ等)又は基礎組成物(麺等)を組み合わせることができ、需要者の嗜好に合わせた柔軟な味のバリエーションを提供することが可能となる。
斯かる本発明の基礎組成物及び基礎調味料も、それぞれ包装され、本発明の食品組成物を調製する際に開封されることが好ましい。更には、それぞれ組み合わせるべき基礎調味料(スープ等)又は組成物(麺等)の種類及び調理手順(混合手順、加熱方法等)が、包装に印刷されていてもよい。
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されない。
[I.基礎組成物及び基礎調味液並びに食品組成物の調製]
以下の手順で各試験例及び各比較例の基礎組成物及び基礎調味液の調製、並びにそれらを用いた食品組成物の調製を行った。
(1)基礎調味液の調製:
以下の手順で各例の基礎調味液を調製した(上記段階(i))。即ち、後述の表1中「4Mパス・200Mオン食用植物加工品」欄(4M、200Mにおける「M」は「メッシュ」を表す)に記載の種類、態様、及び含有割合(湿潤質量換算)の食用植物加工品を水に懸濁し、表1中「基礎調味料NaCl含有量」欄に記載の湿潤質量換算濃度となるように塩化ナトリウムを加えて混合することにより、各例の基礎調味液とした。一部の食用植物加工品については、表1中「NaCl濃度補正RVA最終粘度(50℃)」欄に記載の粘度となるように、不溶性食物繊維局在部位(トマト皮、トマト種実、ごま種皮)粉砕物を配合した。各例の基礎調味液の組成及び物性を表1に示す。
なお、後述の表1中「基礎調味液/基礎調味料質量比」欄において「100%」と表示されている例では、ストレート型液体状基礎調味料として調製し、そのまま基礎調味液として次工程に用いた。一方、同欄において100%を超える比率が表示されている例(試験例7以外)では、当該比率を湿潤質量換算濃縮倍率とする濃縮型液体状基礎調味料として調製し、次工程に供する前に当該比率を希釈倍率として水で希釈し、基礎調味液としてから使用した。なお、試験例7のみ前記(B)個別加熱・添加形態で食品組成物の製造を行ったところ(他の例は全て前記(A)同時加熱・添加形態で食品組成物の製造を行った。すなわち希釈倍率は「基礎調味液A/基礎調味料質量比」を意味する)、試験例7の同欄括弧書き「400%」は、基礎組成物抽出物(水中加熱液)の添加による基礎調味液Bの希釈倍率(即ち「調味液/基礎調味液B(あるいは基礎調味料)質量比」)を意味する。
(2)基礎組成物の調製:
以下の手順で各例の基礎組成物を調製した(上記段階(ii))。即ち、後述の表2中「食用植物」欄に記載の食用植物粉末(擾乱後d50:100μm)を原料として用い、適宜加水しつつ、適宜条件を調整しながら加熱・混練を行うことにより、各例の基礎組成物とした。また、各例の基礎組成物の2-ペンチルフラン含有量は、原料由来の2-ペンチルフランに加えて、適宜外部から2-ペンチルフランを添加することにより、表2中「2-ペンチルフラン含有量」欄に記載の含有量とした。各例の基礎組成物の組成及び物性を表2に示す。
(3)基礎組成物の加熱及び基礎組成物の抽出物の基礎調味液への添加:
以上調製した各例の基礎調味液及び基礎組成物を用いて、基礎組成物の加熱及び基礎組成物の抽出物の基礎調味液への添加を行い、各例の食品組成物を製造した。
まず、試験例7を除く他の各例(表3の「方法」欄に「同時加熱・添加形態」と記載)については、前記(A)同時加熱・添加形態で食品組成物の製造を行った。具体的には、上述の各例の基礎組成物を上述の各例の基礎調味液に浸漬し、後述の表3中「加熱温度」及び「時間」欄に記載の温度・時間で加熱を行い、基礎組成物の加熱による固形状組成物への変換(上記段階(iii))、基礎組成物の抽出物の基礎調味液への添加による調味液への変換(上記段階(iv))、更には固形状組成物の調味液への浸漬による食品組成物の製造(上記段階(v))を同時に実施した。各例の基礎組成物に対する基礎調味液の湿潤質量比は、表3中「加熱・抽出時の液体/固形物比率」欄に記載の比率とした。なお、試験例40の食品組成物は、試験例16の食品組成物をベースとして、その調味液に2-ペンチルフランを添加し、固形状組成物に対する調味液の2-ペンチルフランピーク面積比を調整することにより調製した。
一方、試験例7(表3の「方法」欄に「個別加熱・添加形態」と記載)については、前記(B)個別加熱・添加形態での製造を行った。具体的には、まず基礎組成物を水に浸漬し、後述の表3中「加熱温度」及び「時間」欄に記載の温度・時間で加熱を行い、基礎組成物の加熱による固形状組成物への変換を実施した(上記段階(iii))。基礎組成物に対する水の湿潤質量比は、表3中「加熱・抽出時の液体/固形物比率」欄に記載の比率とした。次いで、基礎組成物の抽出物を含む加熱後の水を基礎調味液と混合し、基礎組成物の抽出物の基礎調味液への添加による調味液への変換を実施した(上記段階(iv))。最後に、得られた固形状組成物を得られた調味液へ浸漬し、食品組成物を製造した(上記段階(v))。
各例の基礎組成物の加熱及び基礎組成物の抽出物の基礎調味液への添加の条件を後述の表3に、得られた食品組成物の組成及び物性を後述の表4にそれぞれ示す。
[II.基礎組成物及び基礎調味液並びに食品組成物の物性測定]
以下の手順で、各試験例及び各比較例の基礎組成物及び基礎調味液の調製、並びにそれらを用いた食品組成物の各種物性を測定した。
(1)食品組成物における固形状組成物と調味液との分別及び調味液中の食用植物加工品の分別:
表4に示す各例の食品組成物中の固形状組成物と調味液との分別、並びに調味液中の食用植物加工品の分別は、以下の手順で行った。即ち、4メッシュ篩及び200メッシュ篩をこの順に上から重ねた上で、温度20℃に調整した各例の食品組成物の試料100gをその上に均等に薄く広げて10分間放置した後、各篩によって篩分けられた画分を取得した。ここで、4メッシュオンの画分を「固形状組成物」画分、4メッシュパスの画分を「調味液」画分、4メッシュパスの画分のうち200メッシュオンの画分を「食用植物加工品」画分とし、各画分の質量を測定して、これらを対応する「固形状組成物」、「調味液」、及び「食用植物加工品」の質量と見做した。これらの質量測定値から、各構成要素の含有比率(例えば前述の[固形状組成物]/[調味液]の質量比率、[食用植物加工品]/[調味液]の質量比率等)を算出した。
(2)でんぷん含量、糊化度、乾燥基準含水量:
表1~4に示す各試料中の成分含有量のうち、「でんぷん」については、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、AOAC996.11の方法に従い、80%エタノール抽出処理により、測定値に影響する可溶性炭水化物(ぶどう糖、麦芽糖、マルトデキストリン等)を除去した方法で測定し、「乾量基準含水率」については、前述のように日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、減圧加熱乾燥法で90℃に加温することで測定し、「糊化度」については、関税中央分析所報を一部改変したグルコアミラーゼ第2法(Japan Food Research Laboratories社メソッドに従う:https://web.archive.org/web/20200611054551/https://www.jfrl.or.jp/storage/file/221.pdf)を用いて測定した。なお、各試験例における基礎組成物の使用量は、乾燥質量で80gであった。また、各試験例の固形状組成物の乾量基準含水率は100質量%であった。
(3)ラピッドビスコアナライザー粘度測定:
表1~4に示す各例の試料のラピッドビスコアナライザー(RVA)粘度測定による粘度測定は、以下の手順で行った。即ち、ラピッドビスコアナライザー(RVA)としてPerten社製RVA4800を用い、液体部分に相当する調味液のRVA粘度測定については各例の組成物試料25.0gを測定用アルミニウムカップ(容積約70mL)に入れ、所定の温度プロファイルの下で昇温及び降温しながら、13mm×19mm程度の2枚のパドル(羽根)を回転させて試料を攪拌しつつ、RVA粘度プロファイルを測定した。また、本発明の食品組成物のうち固体部分に相当する基礎組成物のRVA粘度測定は、乾燥質量3.5gの基礎組成物試料を粉砕(例えば100メッシュパス(目開き150μm)120メッシュオン(目開き125μm)となるまで粉砕)した後、RVA測定用アルミカップに量りとり、蒸留水を加えて全量が28.5gとなるように調製した14質量%の試料水スラリーを、上記[手順a]でのRVA粘度測定に供して行った。
(4)DHS-GC/MS分析による2-ペンチルフランピーク測定:
表1~4に示す各例の試料の2-ペンチルフランピーク測定は、DHS-GC/MS法により行った。具体的には、各例の組成物試料1gを10mL平底のバイアルに計り取った後に密閉し、窒素ガスパージによって揮発させた試料をTenaxカラムで吸着した後、加熱脱着システムを用いて処理することでガスクロマトグラフィー分析装置に導入し、分析を行った。試料中の成分含有量の測定は、試料と任意含有量に希釈した標準品試料とを分析し、両試料の確認イオンピーク面積の積分結果を把握し、その値を比較することで行った。
上記分析後、試料の一部を質量分析計にかけてマススペクトルを求め、2-ペンチルフランの成分関連イオン(2-ペンチルフラン:m/z=81、82、138)で成分の保持時間の確認を行った。質量分析計(MS)としては、四重極型の5977 Mass Selective Detector(Agilent社製)を用いた。イオン化法、イオン化電圧は、イオン化法:EI+、イオン化電圧:70eVの条件で行い、結果はスキャンモードで取り込み、成分に特徴的なイオン(2-ペンチルフラン:m/z=81、82、138)を関連イオンとして用いて同定を行うことで質量スペクトル解析を行った。標準品においてこれら関連イオンが全て検出される保持時間を特定し、2-ペンチルフランの保持時間を同定し、含有量既知の希釈標品と試料との確認イオン(2-ペンチルフラン:m/z=138)ピーク面積(当該m/z積分結果)の比較によって、試料中の成分の定量を行なった。また、固形状組成物及び調味液それぞれをDHS-GC/MSによって測定して得られたm/z=138のピーク面積に対して、食品組成物全体に対する湿潤質量割合を乗じて得られた値から「固形状組成物に対する前記調味液の2-ペンチルフランピーク面積比」を算出した。
具体的には、各組成物試料を、例えば小型ヒスコトロン(マイクロテックニチオン社製ホモジナイザーNS-310E3)等を用いて粥状の性状となるまで処理(通常は10000rpmで15秒程度)した後、DHS-GC/MS法による分析(一次元DHS-GC/MS)に供した。その具体的な条件は前述のとおりとした。
上記の条件にて、各組成物試料と、含有量既知の2-ペンチルフランの標品(東京化成工業社製)の標品を蒸留水で適当な含有量に希釈したものを分析に供した。質量分析計のマススペクトルパターンに基づく分析によって、測定条件によって多少のずれはあるものの、標準品保持時間との比較によって、ターゲット成分と思しきピークの保持時間付近における、それらの希釈標品と試料との確認イオン(2-ペンチルフラン:m/z=138)ピーク面積の比較によって、試料中の成分の定量を行なった。
[III.食品組成物の官能評価]
・官能評価手順の概要:
各例で調製された食品組成物の官能評価は、訓練された官能検査員10名によって行った。各例の手順に従い製造された食品組成物について、冷めないうちに官能評価員が摂食し、(1)調味液の良好な風味、(2)調味液における原料(豆類、雑穀類)特有の劣化臭、(3)固形状組成物の食感、及び(4)総合評価について評価を行った。
・官能評価員:
各官能試験を行う官能検査員としては、予め下記A)~C)の識別訓練を実施した上で、特に成績が優秀で、商品開発経験があり、食品の味や食感といった品質についての知識が豊富で、各官能検査項目に関して絶対評価を行うことが可能な検査員を選抜した。
A)五味(甘味:砂糖の味、酸味:酒石酸の味、旨み:グルタミン酸ナトリウムの味、塩味:塩化ナトリウムの味、苦味:カフェインの味)について、各成分の閾値に近い濃度の水溶液を各1つずつ作製し、これに蒸留水2つを加えた計7つのサンプルから、それぞれの味のサンプルを正確に識別する味質識別試験。
B)濃度がわずかに異なる5種類の食塩水溶液、酢酸水溶液の濃度差を正確に識別する濃度差識別試験。
C)メーカーA社醤油2つにメーカーB社醤油1つの計3つのサンプルからB社醤油を正確に識別する3点識別試験。
また、前記の何れの評価項目でも、事前に検査員全員で標準サンプルの評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある官能検査を行った。各評価項目の評価は、各項目の5段階の評点の中から、各検査員が自らの評価と最も近い数字をどれか一つ選択する方式で評価した。評価結果の集計は、10名のスコアの算術平均値から算出し、小数第1位を四捨五入して最終評点とした。
(1)調味液の良好な風味:
各例の食品組成物について、食品組成物の調味液における原料(豆類、雑穀類)特有の風味を下記の5段階で評価した。
5:原料の風味が強く感じられ、非常に好ましい。
4:原料の風味が若干強めに感じられ、やや好ましい。
3:原料の風味が多少は感じられ、平均的である。
2:原料の風味が若干弱く、やや好ましくない。
1:原料の風味が弱く、好ましくない。
(2)調味液における原料(豆類、雑穀類)特有の劣化臭:
各例の食品組成物について、食品組成物の調味液における原料(豆類、雑穀類)特有の劣化臭を下記の5段階で評価した。
5:原料特有の劣化臭が全く感じられず、非常に好ましい。
4:原料特有の劣化臭が殆ど感じられず、やや好ましい。
3:原料特有の劣化臭が多少は感じられるが、許容範囲。
2:原料特有の劣化臭が若干強めに感じられ、やや好ましくない。
1:原料特有の劣化臭が強く感じられ、好ましくない。
(3)固形状組成物の食感:
各例の食品組成物について、食品組成物の固形状組成物の食感を下記の5段階で評価した。
5:固形状組成物の食感が強く感じられ、非常に好ましい。
4:固形状組成物の食感が若干強く感じられ、やや好ましい。
3:固形状組成物の食感が多少は感じられ、平均的である。
2:固形状組成物の食感が若干弱く、やや好ましくない。
1:固形状組成物の食感が弱く、好ましくない。
(4)総合評価:
各例の食品組成物について、食品組成物の全体的なおいしさを下記の5段階で評価した。
5:固形状組成物及び調味液の風味バランスが良好で、非常に好ましい。
4:固形状組成物及び調味液の風味バランスが比較的良好で、やや好ましい。
3:固形状組成物及び調味液の風味バランスが平均的である。
2:固形状組成物及び調味液の風味バランスが若干悪く、やや好ましくない。
1:固形状組成物及び調味液の風味バランスが非常に悪く、好ましくない。
以上の手順による各例の食品組成物の官能評価結果を、以下の表5に示す。
[IV.原料・組成・物性・製法・条件・結果]
なお、試験例1の固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物から、固形状組成物を調味液中に含有した状態で調味液を加熱により一定割合以下(5質量%以下)とした食品組成物を調製して評価したところ、好ましい品質となることが確認された。
また、試験例1の調味液を濃縮して予め粉末状の基礎調味料を調製し、これを基礎組成物の水中加熱液に添加することで、ストレート型液体状基礎調味液に基礎組成物の抽出物を添加した状態の調味液を調整し、試験例1の調味液を再構成した食品組成物も作製して評価したところ、試験例1と同様の効果が奏されることが確認された。
本発明は、食品分野に広く適用でき、その利用価値は極めて大きい。

Claims (26)

  1. 豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物であって、下記(a)~(c)を全て充足する食品組成物。
    (a)食品組成物の塩化ナトリウム含有量が湿潤質量換算で2質量%以下である。
    (b)調味液をラピッドビスコアナライザーを用いて[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度が5.0cP超550cP以下である。
    [手順a]ラピッドビスコアナライザーを用いてサンプルを50℃から95℃まで昇温させた後、3分間保持し、更に50℃まで降温させた場合の粘度を測定する。
    (c)ダイナミックヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析法で測定される固形状組成物に対する調味液の2-ペンチルフランピーク面積比が100以下である。
  2. 調味液が、4メッシュパスの食用植物加工品を湿潤質量換算で1質量%以上含有する、請求項1に記載の食品組成物。
  3. 食用植物加工品の性状が、粉末、ペースト、又は水系抽出物から選ばれる1種以上の性状である、請求項2に記載の食品組成物。
  4. 食用植物加工品が、穀類、イモ類、豆類、種実類、野菜類、果実類及びきのこ類から選ばれる1種以上の食用食物の加工品である、請求項2又は3に記載の食品組成物。
  5. 食用植物加工品が、ニンニク、タマネギ、トマト、ゴマ、マッシュルーム、及びサツマイモから選択される1種以上の食用植物の加工品である、請求項2~4の何れか一項に記載の食品組成物。
  6. キサンタンガムを実質的に含有しない、請求項1~5の何れか一項に記載の食品組成物。
  7. 調味液に対する固形状組成物の比率が湿潤質量換算で10質量%以上である、請求項1~6の何れか一項に記載の食品組成物。
  8. 成熟した豆類に由来するでんぷんを含有する、請求項1~7の何れか一項に記載の食品組成物。
  9. エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、及びヒラマメ属から選ばれる1種以上の豆類に由来するでんぷんを含有する、請求項1~8の何れか一項に記載の食品組成物。
  10. あわ、ひえ、きび、もろこし、ライ麦、えん麦、はと麦、とうもろこし、そば、アマランサス、及びキノアから選ばれる1種以上の雑穀類に由来するでんぷんを含有する、請求項1~9の何れか一項に記載の食品組成物。
  11. 固形状組成物の2-ペンチルフラン含有量が、乾燥質量換算で1質量ppb以上50質量ppm以下である、請求項1~10の何れか一項に記載の食品組成物。
  12. 調味液を加熱により濃縮又は蒸発させてから喫食される、請求項1~11の何れか一項に記載の食品組成物。
  13. 豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有する固形状組成物を調味液中に含有する食品組成物を製造する方法であって、下記段階(i)~(v)を含む製造方法。
    (i)塩化ナトリウム含有量が湿潤質量換算で0.1質量%以上2.5質量%以下である基礎調味液を用意する段階。
    (ii)豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有すると共に、2-ペンチルフランを乾燥質量換算で1質量ppb以上50質量ppm以下含有する基礎組成物を用意する段階。
    (iii)段階(ii)の基礎組成物を水性媒体中で加熱して固形状組成物とする段階。
    (iv)段階(ii)の基礎組成物の抽出物を段階(i)の基礎調味液に添加して、ラピッドビスコアナライザーを用いて[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度が5.0cP超550cP以下である調味液とする段階。
    (v)段階(iii)の固形状組成物を段階(iv)の調味液に含有させる段階。
    [手順a]ラピッドビスコアナライザーを用いてサンプルを50℃から95℃まで昇温させた後、3分間保持し、更に50℃まで降温させた場合の粘度を測定する。
  14. 段階(i)の基礎調味液について、ラピッドビスコアナライザーを用いて[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度に、「0.1質量%/基礎調味液における湿潤質量換算塩化ナトリウム質量%」を乗じた換算値が0cP超450cP以下である、請求項13に記載の製造方法。
  15. 段階(ii)の基礎組成物を乾燥粉砕スラリーの状態としてラピッドビスコアナライザーを用いて測定した下記[値β]/[値α]の比が0.95以下である、請求項13又は14に記載の製造方法。
    [値α]:50℃から95℃まで温度変化する過程における最高到達粘度(cP)。
    [値β]:ブレークダウン時粘度(cP)。
  16. 段階(ii)の基礎組成物のでんぷん糊化度が35質量%以上である、請求項13~15の何れか一項に記載の製造方法。
  17. 段階(ii)の基礎組成物の乾量基準含水率が25質量%以下である、請求項13~16の何れか一項に記載の製造方法。
  18. 段階(iii)における水性媒体として基礎調味液を用いることにより、段階(iii)の基礎組成物の水中加熱と段階(iv)の基礎調味液への抽出物添加とを同時に行う、請求項13~17の何れか一項に記載の製造方法。
  19. 段階(iii)における水性媒体として基礎調味液とは異なる水性媒体を用い、段階(iii)の基礎組成物の水中加熱とは別に段階(iv)の基礎調味液への抽出物添加を行う、請求項13~17の何れか一項に記載の製造方法。
  20. 段階(iii)における基礎組成物の水中加熱が、水中加熱前後における水性媒体中の2-ペンチルフラン含有量増分が湿潤質量換算で1質量ppb以上となるように実施される、請求項13~19の何れか一項に記載の製造方法。
  21. 段階(iv)において、抽出物添加後の調味液のRVA最終粘度(50℃)が、抽出物添加前のRVA最終粘度(50℃)に対して10%以上増加する、請求項13~20の何れか一項に記載の製造方法。
  22. 製造される食品組成物が、請求項1~12の何れか一項に記載の食品組成物である、請求項13~21の何れか一項に記載の製造方法。
  23. 請求項13~22の何れか一項に記載の製造方法に使用される基礎調味液であって、下記(a)及び(b)を充足する基礎調味液。
    (a)塩化ナトリウム含有量が湿潤質量換算で0.1質量%以上である。
    (b)ラピッドビスコアナライザーを用いて[手順a]で測定した50℃降温時における最終粘度に、「0.1質量%/基礎調味液における湿潤質量換算塩化ナトリウム質量%」を乗じた換算値が0cP超450cP以下である。
  24. 請求項23に記載の基礎調味液を調製するための基礎調味料であって、(a)又は(b)の何れかから選択される基礎調味料。
    (a)濃縮型液体状基礎調味料に対する基礎調味液の質量比率が湿潤質量換算で100質量%以上2000質量%以下の範囲となるように水性媒体で希釈することにより請求項23に記載の基礎調味液が調製される濃縮液体状基礎調味料。
    (b)固体状基礎調味料に対する基礎調味液の質量比率が湿潤質量換算で500質量%以上2000質量%以下の範囲となるように水性媒体で再構成することにより請求項23に記載の基礎調味液が調製される固体状基礎調味料。
  25. 請求項13~22の何れか一項に記載の製造方法に使用される基礎組成物であって、豆類及び/又は雑穀類由来のでんぷんを含有すると共に、2-ペンチルフランを乾燥質量換算で1質量ppb以上50質量ppm以下含有する基礎組成物。
  26. 請求項1~12の何れか一項に記載の食品組成物を調製するための用事調製用製品であって、請求項23に記載の基礎調味液及び/又は請求項24に記載の基礎調味料と、請求項25に記載の基礎組成物とを含む用事調製用製品。
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