JP2023143692A - ポリエステル樹脂用帯電防止剤及びポリエステル樹脂組成物並びにポリエステル樹脂組成物用マスターバッチ - Google Patents

ポリエステル樹脂用帯電防止剤及びポリエステル樹脂組成物並びにポリエステル樹脂組成物用マスターバッチ Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエステル樹脂の透明性を阻害せず、吸湿性が抑制されたポリエステル樹脂用帯電防止剤、及び透明性が高く帯電が防止されたポリエステル樹脂組成物、並びにかかるポリエステル樹脂組成物を製造するために有用なマスターバッチを提供する。【解決手段】(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する粒子を含む、ポリエステル樹脂用帯電防止剤。該ポリエステル樹脂用帯電防止剤は、(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む水溶液に(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを溶解し、得られた溶液を乾燥する方法により製造できる。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂用帯電防止剤及びポリエステル樹脂組成物並びにポリエステル樹脂組成物用マスターバッチに関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)やテレフタル酸とエチレングリコールと1,4-シクロヘキサンジメタノールとの共重合物(PET-G)等のポリエステル樹脂は、透明性、機械的特性、耐薬品性、耐熱性等に優れた物性を有することから、フィルム、繊維、成形品等の材料として広く用いられている。しかし、ポリエステル樹脂は、他の合成樹脂と同様に静電気が発生し易く、埃の付着による汚れにより外観を損ねる問題がある。また、静電気が放電することにより人体への不快な衝撃や火災、爆発等の災害の原因になる危険性をも抱えている。
ポリエステル樹脂に発生する静電気を抑制するため、従来から種々の帯電防止剤が検討されており、例えば、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩等をポリエステル樹脂に練り込む方法が知られている(特許文献1~4)。
しかし、アルキルスルホン酸塩は、ポリエステル樹脂の透明性を阻害するため、高い透明性が要求されるポリエステル樹脂の製造には向かない。また、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ポリエステル樹脂の透明性を阻害しないが、吸湿性が高いため、直ぐに吸湿して固化し、ポリエステル樹脂への添加が困難になる。このため、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ポリエステル樹脂のバッチ生産では使用できても、連続生産での使用には向いていない。
従って、ポリエステル樹脂の透明性を阻害せず、吸湿性が抑制されたポリエステル樹脂用帯電防止剤、及び透明性が高く帯電が防止されたポリエステル樹脂組成物、並びにかかるポリエステル樹脂組成物を製造するために有用なマスターバッチが求められていた。
特開昭49-73443号公報 特開昭52-47072号公報 特開昭54-37154号公報 特開昭54-15950号公報
本発明は、ポリエステル樹脂の透明性を阻害せず、吸湿性が抑制されたポリエステル樹脂用帯電防止剤、及び透明性が高く帯電が防止されたポリエステル樹脂組成物、並びにかかるポリエステル樹脂組成物を製造するために有用なマスターバッチを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、アルキルベンゼンスルホン酸塩及び数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する粒子を含む製剤により、上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、下記(1)~(10)を包含する。
(1)(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する粒子を含む、ポリエステル樹脂用帯電防止剤。
(2)(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む水溶液に(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを溶解し、得られた溶液を乾燥する工程を含む、ポリエステル樹脂用帯電防止剤の製造方法。
(3)(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する、ポリエステル樹脂組成物。
(4)ポリエステル樹脂がPET、PET-G及びポリ乳酸からなる群から選ばれるいずれか一種以上である、前記(3)に記載のポリエステル樹脂組成物。
(5)(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する、ポリエステル樹脂組成物用マスターバッチ。
(6)(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む水溶液に(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを溶解し、得られた溶液を乾燥する工程を含む、前記(1)に記載のポリエステル樹脂用帯電防止剤の製造方法。
(7)(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する粒子の、ポリエステル樹脂の帯電防止のための使用。
(8)(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有するマスターバッチの、ポリエステル樹脂組成物への使用。
(9)(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する粒子を含む、粉末状のポリエステル樹脂用帯電防止剤。
(10)(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む水溶液に(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを溶解し、得られた溶液を乾燥及び粉末化する工程を含む、ポリエステル樹脂用帯電防止剤の製造方法。
本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤は、吸湿性が抑制されたものであり、且つポリエステル樹脂組成物の透明性を阻害せずに、当該組成物に帯電防止性を付与できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、高い透明性と帯電防止性を有している。
本発明のポリエステル樹脂組成物用マスターバッチは、高い透明性と帯電防止性を有するポリエステル樹脂組成物を製造するために有用である。
本発明で(A)成分として用いられるアルキルベンゼンスルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられ、中でも、帯電防止性能の観点から、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)が好ましい。また、該アルキルベンゼンスルホン酸塩が有するアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基等が挙げられ、コスト及び法規制への適合性の観点から、直鎖状のアルキル基が好ましい。中でも、帯電防止性能とコストの観点から、炭素数10~16の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数10~14の直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
このようなアルキルベンゼンスルホン酸塩は、例えば、テイカパワーL121(商品名;テイカ社製)等の炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸を水酸化ナトリウム等で中和すること等により得られる。
本発明で(B)成分として用いられる数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールとしては、プロピレンオキシド構成単位が重合したポリプロピレングリコール、エチレンオキシド構成単位が重合したポリエチレングリコール、ブチレンオキサイド構成単位が重合したポリブチレングリコール、又はこれらが共重合したもの等があげられ、中でも、コストの観点から、ポリエチレングリコールが好ましい。
上記ポリアルキレングリコールの数平均分子量が1000以上であると、融点が高いため、固化した粉末状又は粒状の粒子が得られる点で好ましい。ポリアルキレングリコールの数平均分子量が10000以内であると、ポリエステル樹脂の透明性を阻害しない点で好ましい。尚、数平均分子量は、医薬部外品原料規格に記載の平均分子量試験における末端基定量法に基づき、滴定により水酸基価を求めることにより測定される。
数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールとしては、例えばPEG-6000(C)(商品名;数平均分子量8600のポリエチレングリコール;東邦化学工業社製)、PEG-2000(商品名;数平均分子量2000のポリエチレングリコール;東邦化学工業社製)、PEG-4000(商品名;数平均分子量3300のポリエチレングリコール;東邦化学工業社製)等が商業的に製造・販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤は、製剤(好ましくは、粉末状又は粒状の製剤)であって、該製剤を構成する粒子として、(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する粒子を含むものである。ここで、「(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する粒子」とは、個々の粒子が単体で(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを共に含有していることを意味する。したがって、本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤は、「粉末状又は粒状のアルキルベンゼンスルホン酸塩」と「粉末状又は粒状の数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコール」とを単に混合したものではないことが好ましい。すなわち、本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤は、「粉末状又は粒状のアルキルベンゼンスルホン酸塩」と「粉末状又は粒状の数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコール」とを単に混合したもの(個々の粒子が単体で前記(A)及び(B)を共に含有していないもの)を除くことが好ましい。
上記粉末状又は粒状の粒子の平均粒径は、1nm以上15mm以下であることが好ましく、1nm以上8mm以下であることがより好ましい。ここで、「粉末状」とは、平均粒径が1mm未満であることをいい、「粒状」とは、平均粒径が1mm以上であることをいう。また、平均粒径は、例えば、電子顕微鏡で測定した粒子径の平均値であってもよく、レーザー回折式粒度分布計によって算出される50%粒子径(D50)であってもよい。尚、上記の個々の粒子は、(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩と(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールが均一に混ざり合った構造を有することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤を構成する粒子100質量%中の(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩の含有量は、特に限定されないが、例えば30~90質量%であり、好ましくは40~80質量%である。また、該粒子100質量%中の(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールの含有量は、特に限定されないが、例えば10~70質量%であり、好ましくは20~60質量%である。
また、上記粒子中の(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールの含有量の比率〔(A)/(B)(質量比)〕は、特に限定されないが、例えば30/70~90/10(質量比)であり、好ましくは40/60~80/20(質量比)である。
本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤は、例えば、(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む水溶液に(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを溶解し、得られた溶液を乾燥することにより製造できる。
上記(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む水溶液は、例えば水酸化ナトリウム等の水溶液を撹拌しながらアルキルベンゼンスルホン酸を加えて中和すること等により調製できる。その終点は、pH6~8が好ましい。
上記溶解は、例えば、(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む水溶液を撹拌しながら(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを加えることにより実施できる。尚、後述の噴霧乾燥を行う場合、該溶解で得られた溶液に水を加え、固形分濃度が25~50質量%となるように調整することが好ましい。
上記溶液の乾燥方法としては、例えば、噴霧乾燥、ドラム乾燥、ベルト乾燥、真空乾燥又は真空凍結乾燥等が挙げられ、中でも、噴霧乾燥又は真空凍結乾燥が好ましい。
噴霧乾燥を行うための装置に特に制限は無く、噴射式噴霧乾燥装置又は回転円盤式噴霧乾燥装置等、公知の装置を使用することができる。また、噴霧乾燥装置の操作条件としては、例えば溶液を加圧ノズル式噴霧乾燥装置に供給し、熱風入口温度120~200℃、好ましくは140~190℃、排気温度60~140℃、好ましくは70~110℃の条件下で噴霧乾燥し、乾燥物をサイクロンで捕集することにより、本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤を構成する粒子を得ることができる。
真空凍結乾燥を行うための装置に特に制限は無く、棚式真空凍結乾燥装置等、公知の装置を使用することができる。また、真空凍結乾燥装置の操作条件としては、例えば溶液をトレーに入れて真空凍結乾燥装置の中に設置し、-20℃以下、好ましくは-40℃で溶液を凍結し、装置内を10Pa以下、好ましくは5Pa以下に減圧しながら、40℃以上、好ましくは60℃まで加熱することで固体を得ることができる。得られた固体をパワーミル等で解砕することで、本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤を構成する粒子を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤は、上記の方法により得られた粒子のみをそのまま粉末状又は粒状の製剤として用いても良いし、本発明の目的及び/又は効果を阻害しない範囲で該粒子と他の任意の成分(例えば、数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコール等)とを混合し、粉末状又は粒状の混合製剤として調製しても良い。
本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤を混合製剤として調製する場合、例えば、上記の方法により得られた粒子に他の任意成分(粉末状又は粒状の数平均分子量1000~10000(好ましくは、数平均分子量1000~5000、より好ましくは、数平均分子量1000~3000)のポリアルキレングリコール)を混合することができる。これにより、噴霧乾燥のコストを抑えつつ、本発明の効果が十分に得られる点で好ましい。
尚、このような混合製剤を調製する場合、該製剤100質量%中の(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールの含有量、並びに該製剤中の(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールの含有量の比率〔(A)/(B)(質量比)〕は、特に限定されないが、上述した本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤を構成する粒子についての含有量及び比率の範囲内であることが好ましい。また、この場合において、混合製剤中の「数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコール」は、上記の方法により得られた粒子に含まれるもの〔以下、(B1)という〕と、該粒子に対して加えたもの〔以下、(B2)という〕に分けられるが、(B1)及び(B2)の比率〔(B1)/(B2)(質量比)〕は、特に限定されないが、例えば、10/90~70/30(質量比)であり、好ましくは15/85~60/40(質量比)である。
本発明で用いられるポリエステル樹脂に特に限定はなく、任意のジオール、ジカルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸を重合して得られる重合体を用いることができる。ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、3-ヒドロキシ酪酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸等が挙げられ、更に環状縮合体として、例えば、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチド等が挙げられる。
本発明で好適に用いられるポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等が挙げられる。また、ポリエステル樹脂は単一モノマーによるホモポリマーのみならず、目的とする物性や特性が出るようなモノマーを併用した共重合体であっても良い。そのようなポリエステル樹脂としては、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4-シクロヘキサンジメタノールとの共重合物(PET-G)等が挙げられる。これらポリエステル樹脂の中でも、加工性とコストの観点から、PET、PET-G及びポリ乳酸からなる群から選ばれるいずれか一種以上が好ましい。これらポリエステル樹脂は、いずれか1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本開示において、「ポリエステル樹脂組成物」は、ポリエステル樹脂を含む組成物と言い換えてもよい。本発明のポリエステル樹脂組成物は、(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する。本発明で用いられるポリエステル樹脂に対する(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩の添加量は、特に限定されないが、例えば、1000~10000ppm、好ましくは2000~5000ppmである。また、本発明で用いられるポリエステル樹脂に対する(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールの添加量は、特に限定されないが、例えば、500~15000ppm、好ましくは1000~7500ppmである。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、例えば、各原材料〔即ち、ポリエステル樹脂、本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤、(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコール等〕をバンバリーミキサー、一軸押出機(単軸押出機)及び多軸押出機等の公知の混合機又は押出機を用いて練り込んで配合する方法が挙げられ、より具体的には、例えば、各原材料をドライブレンドして、インフレダイ又はTダイを取り付けた単軸押出機又は二軸押出機で160℃~300℃で溶融混練することにより製造することができる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造では、フィルム及び/又はシート等への成形を容易にするため、各原材料〔即ち、ポリエステル樹脂、本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤、(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコール等〕を二軸押出し機等で溶融混練りして、マスターバッチに加工したものを原材料として用いることが好ましい。該マスターバッチ100質量%中の(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールの含有量の合計量は、特に限定されないが、例えば、5~40質量%、好ましくは10~30質量%である。ここで、「マスターバッチ」とは、例えば、ペレット形状又は円柱状の製品を意味する。マスターバッチの長さは、特に限定されないが、例えば、2mm以上10mm以下である。マスターバッチの断面の直径は、例えば、1mm以上5mm以下である。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造では、帯電防止剤として、本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤を主剤とし、これとは別に副剤として、粉末状又は粒状の数平均分子量1000~10000(好ましくは、数平均分子量1000~5000、より好ましくは、数平均分子量1000~3000)のポリアルキレングリコールを用いることができる。このように原材料を主剤と副剤に分けることにより、本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤における噴霧乾燥のコストを抑えつつ、本発明の効果が十分に得られる点で好ましい。また、この場合において、本発明のポリエステル樹脂組成物に添加される「数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコール」は、主剤に含まれるもの〔以下、(B3)という〕と、副剤に含まれるもの〔以下、(B4)という〕に分けられるが、(B3)及び(B4)の比率〔(B3)/(B4)(質量比)〕は、特に限定されないが、例えば、10/90~70/30(質量比)であり、好ましくは15/85~60/40(質量比)である。
尚、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造において上記副剤を用いる場合においても、該ポリエステル樹脂組成物に対する(A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールの添加量は、上述した添加量の範囲内であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、それを公知の成形方法により成形することにより、成形品として得ることができる。例えば、射出成形、射出吹込成形、射出圧縮成形、発泡成形等の射出成形法による成形品;Tダイ法、インフレーション法、ラミネート加工等の押出成形法による、パイプ、チューブ、異形品、電線被覆、多層又は単層のフィルム又はシート、モノフィラメント、マルチフィラメント、芯鞘構造繊維等の成形品;ブロー成形法による成形品;真空成形法による成形品;カレンダー成形法による成形品;圧縮成形法による成形品;粉砕法による粉体又は粒体等の成形品が挙げられる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本願の特許請求の範囲に属する限り、種々の実施の態様が本発明の技術的範囲に属するものとして可能である。
帯電防止性は、公知の帯電防止性の評価方法(例えば、極超絶縁計を用いて表面固有抵抗率(Ω/□)を求める方法)によって、確認される。本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤を用いて製造されたポリエステル樹脂組成物、本発明のポリエステル樹脂組成物、本発明のポリエステル樹脂組成物用マスターバッチを用いて製造されたポリエステル樹脂組成物について、表面固有抵抗率は、10Ω/□以上1012Ω/□未満であることが好ましい。
透明性は、公知の透明性の評価方法(例えば、JIS K 7136に従って濁度(%)を求める方法)によって、確認される。本発明のポリエステル樹脂用帯電防止剤を用いて製造されたポリエステル樹脂組成物、本発明のポリエステル樹脂組成物、本発明のポリエステル樹脂組成物用マスターバッチを用いて製造されたポリエステル樹脂組成物について、透明性は、3%未満であることが好ましい。
[帯電防止剤の製造及び評価]
(1)帯電防止剤1の製造
10Lビーカーの中で水酸化ナトリウム(商品名:トーソーパール;東ソー社製)240gを水に溶かし5質量%水酸化ナトリウム水溶液4.8kgを調製した。これを撹拌機(型番:スリーワンモーターFBL1200;新東科学社製)を用いて700rpmで撹拌しながら炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(商品名:テイカパワーL121;テイカ社製)を1.8kg加えた。これを約30分間撹拌し、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した。これに数平均分子量8600のポリエチレングリコール(商品名:PEG-6000(C);東邦化学工業社製)1.0kgを添加し、500rpmで20分間撹拌して溶解した。これに水2.4kgを加え、固形分濃度30質量%に調整した。得られた水溶液10Lを、スプレードライ機(型番:L-8型;大川原製作所製)を用いて熱風入口温度180℃、排気温度100℃、アトマイザー回転数15000rpmの条件で噴霧乾燥し、粉末状の帯電防止剤1を2.5kg得た。
(2)帯電防止剤2の製造
10Lビーカーの中で水酸化ナトリウム(商品名:トーソーパール;東ソー社製)140gを水に溶かし2.9質量%水酸化ナトリウム水溶液4.8kgを調製した。これを撹拌機(型番:スリーワンモーターFBL1200;新東科学社製)を用いて700rpmで撹拌しながら炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(商品名:テイカパワーL121;テイカ社製)を1.06kg加えた。これを約30分間撹拌し、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した。これに数平均分子量8600のポリエチレングリコール(商品名:PEG-6000(C);東邦化学工業社製)1.8kgを添加し、500rpmで20分間撹拌して溶解した。これに水2.3kgを加え、固形分濃度30質量%に調整した。得られた水溶液9.9Lを、スプレードライ機(型番:L-8型;大川原製作所製)を用いて熱風入口温度180℃、排気温度90℃、アトマイザー回転数15000rpmの条件で噴霧乾燥し、粉末状の帯電防止剤2を2.3kg得た。
(3)帯電防止剤3の製造
100L撹拌釜の中で水酸化ナトリウム(商品名:トーソーパール;東ソー社製)5.5kgを水に溶かし12質量%水酸化ナトリウム水溶液45.5kgを調製した。これを撹拌機(型番:TM4-400GN;明宝ミキサ社製)を用いて700rpmで撹拌しながら炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(商品名:テイカパワーL121;テイカ社製)を42.5kg加えた。これを約30分間撹拌し、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した。これに数平均分子量8600のポリエチレングリコール(商品名:PEG-6000(C);東邦化学工業社製)を12.0kg添加し、900rpmで30分間撹拌して溶解し、固形分濃度60質量%の水溶液を得た。得られた水溶液100Lをフリーズドライ機(型番:FR-20-MB;関西保存科学工業社製)を用いて予備凍結温度-40℃、最終温度60℃、真空度4Pa、乾燥時間72時間の条件で真空凍結乾燥した。得られた固体をパワーミル(型番:D-200R型;ダルトン社製)で8mmメッシュを用いて粉砕し、粒状の帯電防止剤3を52.1kg得た。
(4)帯電防止剤4の製造
10Lビーカーの中で水酸化ナトリウム(商品名:トーソーパール;東ソー社製)240gを水に溶かし5質量%水酸化ナトリウム水溶液4.8kgを調製した。これを撹拌機(型番:スリーワンモーターFBL1200;新東科学社製)を用いて700rpmで撹拌しながら炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(商品名:テイカパワーL121;テイカ社製)を1.8kg加えた。これを約30分間撹拌し、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した。これに数平均分子量3300のポリエチレングリコール(商品名:PEG-4000;東邦化学工業社製)を1.0kg添加し、500rpmで20分間撹拌して溶解した。これに水2.4kgを加え、固形分濃度30質量%に調整した。得られた水溶液10Lを、スプレードライ機(型番:L-8型;大川原製作所製)を用いて熱風入口温度180℃、排気温度80℃、アトマイザー回転数15000rpmの条件で噴霧乾燥し、粉末状の帯電防止剤4を2.0kg得た。
(5)帯電防止剤5の製造
10Lビーカーの中で水酸化ナトリウム(商品名:トーソーパール;東ソー社製)240gを水に溶かし5質量%水酸化ナトリウム水溶液4.8kgを調製した。これを撹拌機(型番:スリーワンモーターFBL1200;新東科学社製)を用いて700rpmで撹拌しながら炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(商品名:テイカパワーL121;テイカ社製)を1.8kg加えた。これを約30分間撹拌し、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した。これに数平均分子量2000のポリエチレングリコール(商品名:PEG-2000;東邦化学工業社製)を1.0kg添加し、500rpmで20分間撹拌して溶解した。これに水2.4kgを加え、固形分濃度30質量%に調整した。得られた水溶液10Lを、スプレードライ機(型番:L-8型;大川原製作所製)を用いて熱風入口温度180℃、排気温度80℃、アトマイザー回転数15000rpmの条件で噴霧乾燥し、粉末状の帯電防止剤5を2.3kg得た。
(6)帯電防止剤6の製造
100L撹拌釜の中で水酸化ナトリウム(商品名:トーソーパール;東ソー社製)4.6kgを水に溶かし10.3質量%水酸化ナトリウム水溶液44.6kgを調製した。これを撹拌機(型番:TM4-400GN;明宝ミキサ社製)を用いて700rpmで撹拌しながら炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(商品名:テイカパワーL121;テイカ社製)を35.4kg加えた。これを約30分間撹拌し、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した。これに数平均分子量2000のポリエチレングリコール(商品名:PEG-2000;東邦化学工業社製)を20.0kg添加し、900rpmで30分間撹拌して溶解し、固形分濃度60質量%の水溶液を得た。得られた水溶液100Lをフリーズドライ機(型番:FR-20-MB;関西保存科学工業社製)を用いて予備凍結温度-40℃、最終温度60℃、真空度4Pa、乾燥時間72時間の条件で真空凍結乾燥した。得られた固体をパワーミル(型番:D-200R型;ダルトン社製)で8mmメッシュを用いて粉砕し、粒状の帯電防止剤6を55.1kg得た。
(7)帯電防止剤7の製造
10Lビーカーの中で水酸化ナトリウム(商品名:トーソーパール;東ソー社製)240gを水に溶かし5質量%水酸化ナトリウム水溶液を4.8kg調製した。これを撹拌機(型番:スリーワンモーターFBL1200;新東科学社製)を用いて700rpmで撹拌しながら炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(商品名:テイカパワーL121;テイカ社製)を1.8kg加えた。これを約30分間撹拌し、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した。これに数平均分子量300のポリエチレングリコール(商品名:PEG-300;東邦化学工業社製)1.0kgを添加し、500rpmで20分間撹拌して溶解した。これに水2.4kgを加え、固形分濃度30質量%に調整した。得られた水溶液10Lを、スプレードライ機(型番:L-8型;大川原製作所製)を用いて熱風入口温度180℃、排気温度80℃、アトマイザー回転数15000rpmの条件で噴霧乾燥し、帯電防止剤7を得た。しかし、上記ポリエチレングリコールの融点が低いため、噴霧乾燥において固化した粉末が得られず、この帯電防止剤7は、使用に適するものではなかった。
(8)帯電防止剤8の製造
10Lビーカーの中で水酸化ナトリウム(商品名:トーソーパール;東ソー社製)240gを水に溶かし5質量%水酸化ナトリウム水溶液4.8kg調製した。これを撹拌機(型番:スリーワンモーターFBL1200;新東科学社製)を用いて700rpmで撹拌しながら炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(商品名:テイカパワーL121;テイカ社製)を1.8kg加えた。これを約30分間撹拌し、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した。これに数平均分子量20000のポリエチレングリコール(商品名:PEG-20000P;三洋化成工業社製)1.0kgを添加し、500rpmで20分間撹拌して溶解した。これに水2.4kgを加え、固形分濃度30質量%に調整した。得られた水溶液10Lを、スプレードライ機(型番:L-8型;大川原製作所製)を用いて熱風入口温度180℃、排気温度80℃、アトマイザー回転数15000rpmの条件で噴霧乾燥し、粉末状の帯電防止剤8を2.6kg得た。
(9)帯電防止剤9の製造
10Lビーカーの中で水酸化ナトリウム(商品名:トーソーパール;東ソー社製)240gを水に溶かし5.3質量%水酸化ナトリウム水溶液4.5kgを調製した。これを撹拌機(型番:スリーワンモーターFBL1200;新東科学社製)を用いて700rpmで撹拌しながら炭素数10~14の直鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(商品名:テイカパワーL121;テイカ社製)を1.8kg加えた。これを約30分間撹拌し、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した。これに水0.5kgを加えて固形分濃度30質量%に調整した。得られた水溶液6.8Lを、スプレードライ機(型番:L-8型;大川原製作所製)を用いて熱風入口温度180℃、排気温度90℃、アトマイザー回転数15000rpmの条件で噴霧乾燥し、粉末状の帯電防止剤9を1.1kg得た。
(10)帯電防止剤の配合
上記製造方法により得た帯電防止剤1~9の配合及びこれらの製造における乾燥方法を表1及び2に示す。
(11)帯電防止剤の吸湿性評価
10gの帯電防止剤(1~6、8及び9のうちいずれか)をシャーレに広げ、室温で静置した。2時間後にシャーレを傾け、粉末状又は粒状の粒子が動くか確認した。結果を、下記評価基準に従い記号化した。結果を表3に示す。
<評価基準>
〇:シャーレを傾けると粒子が動く(すなわち、吸湿性が抑制されている)
△:シャーレを傾け振動を与えると粒子が動く
×:シャーレを傾け振動を与えても粒子が動かない(すなわち、吸湿性あり)
表3の結果から明らかなように、帯電防止剤1~6及び8は、吸湿性が抑制されていたが、帯電防止剤9は、吸湿性が見られた。
[マスターバッチの作製]
(1)原材料
1)帯電防止剤1~6、8及び9
2)数平均分子量8600のポリエチレングリコール(商品名:PEG-6000(C);東邦化学工業社製)
3)数平均分子量2000のポリエチレングリコール(商品名:PEG-2000;東邦化学工業社製)
4)数平均分子量20000のポリエチレングリコール(商品名:PEG-20000P;三洋化成工業社製)
5)アルキルスルホン酸ナトリウム(商品名:TB-160;松本油脂製薬社製)
6)PET-G樹脂(商品名:EASTAR GN001;EASTMAN CHEMICAL社製)
7)ポリ乳酸樹脂(商品名:Luminy L175;Total Corbion PLA社製)
(2)マスターバッチの配合
上記原材料を用いて作製したマスターバッチ(MB1~12)の配合を表4~6に示す。
(3)マスターバッチの作製方法
表4~6のいずれかに記載の原材料の合計量3kgを、シリンダー温度210℃、ダイス温度210℃に設定した同方向二軸押出機(型式:KZW15TW;テクノベル社製)を用いて、スクリュー回転数300rpm、押出量3kg/時間にて各々溶融混合した。尚、副剤の原材料は、80℃に加温し、同方向二軸押出機のシリンダー、ギアポンプを用いて定量を注入した。ストランド状に押し出されたものをペレタイザーでカットして円柱状(直径約3mm、長さ約3mm)の主剤、副剤及びアルキルスルホン酸ナトリウムから選択されるいずれか1以上の帯電防止剤を合計で20質量%含有するマスターバッチ(MB1~4及び6~12)を作製した。また、シリンダー温度190℃、ダイス温度190℃に設定したこと以外は上記と同様に実施し、主剤及び副剤の帯電防止剤を合計で20質量%含有するマスターバッチ(MB5)を作製した。
[ポリエステル樹脂組成物及びフィルムの作製]
(1)原材料
1)マスターバッチ(MB1~12)
2)PET樹脂(商品名:TRN-8550FF;帝人社製)
3)ポリ乳酸樹脂(商品名:Luminy L175;Total Corbion PLA社製)
(2)ポリエステル樹脂組成物の配合
上記原材料を用いて作製したポリエステル樹脂組成物1~15の配合を表7及び8に示す。
(3)ポリエステル樹脂組成物及びフィルムの作製方法
表7又は8に記載の原材料の合計量500gを、ヘンシェルミキサーにて混合し、単軸押出機(型式:ラボプラストミル50MR;東洋精機社製)を用いて、シリンダー温度を270℃、ダイス温度を270℃に設定し、スクリュー回転数50rpmにて溶融混練してポリエステル樹脂組成物1~13を得た。得られたポリエステル樹脂組成物をTダイ法により製膜し、厚さ50μmのフィルム1~5及び7~14を作製した。また、シリンダー温度を190℃、ダイス温度を190℃に設定したこと以外は上記と同様に実施し、厚さ50μmのフィルム6及び15を作製した。
(4)帯電防止性の評価
作製したフィルム1~15を、20℃、65%RHの恒温恒湿室に12時間置いて慣らした後、極超絶縁計(型式:SME-8350;東亜電波工業社製)を用いて、印加電圧500V、印加時間60秒の条件で表面固有抵抗率(Ω/□)を測定した。測定値を下記基準に従って結果を記号化した。結果を表9~11に示す。
<評価基準>
表面固有抵抗率(Ω/□)が10以上1011未満 :◎
表面固有抵抗率(Ω/□)が1011以上1012未満 :○
表面固有抵抗率(Ω/□)が1012以上1013未満 :△
表面固有抵抗率(Ω/□)が1013以上 :×
(5)透明性の評価
作製したフィルム1~15について、ヘイズメーター(商品名:HazeMeter NDH2000;日本電色工業社製)を用いてJIS K 7136に従って濁度(%)を測定した。測定値を下記基準に従って結果を記号化した。結果を表9~11に示す。
<評価基準>
濁度が1.0%未満 :◎
濁度が1.0%以上3.0%未満 :○
濁度が3.0%以上5.0%未満 :△
濁度が5.0%以上 :×
表9~11の結果から明らかなように、本発明の実施例であるポリエステル樹脂組成物1~9を用いて作製したフィルム1~9は、帯電防止性及び透明性が「○」以上の結果であった。これに対し、比較例のポリエステル樹脂組成物10~15を用いて作製したフィルム10~15は、帯電防止性又は透明性のいずれかの評価項目で「△」以下の結果であり、本発明のものに比べて劣っていた。

Claims (7)

  1. (A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する粒子を含む、ポリエステル樹脂用帯電防止剤。
  2. (A)アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む水溶液に(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを溶解し、得られた溶液を乾燥する工程を含む、ポリエステル樹脂用帯電防止剤の製造方法。
  3. (A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する、ポリエステル樹脂組成物。
  4. ポリエステル樹脂がPET、PET-G及びポリ乳酸からなる群から選ばれるいずれか一種以上である、請求項3に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. (A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する、ポリエステル樹脂組成物用マスターバッチ。
  6. (A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有する粒子の、ポリエステル樹脂の帯電防止のための使用。
  7. (A)アルキルベンゼンスルホン酸塩及び(B)数平均分子量1000~10000のポリアルキレングリコールを含有するマスターバッチの、ポリエステル樹脂組成物への使用。
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