JP2024000871A - 樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物の提供。【解決手段】生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有し、前記セルロース粒子の真球度が0.9以上である樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び樹脂成形体に関する。
特許文献1には、「生分解性樹脂、及び結晶化度が50%未満であるセルロースを含有してなる、生分解性樹脂組成物。」が提案されている。
特許文献2には、「ポリ乳酸(a1)と、融点が50~250℃の生分解性を有する脂肪族ポリエステル(a2)を含有する高分子成分(A)からなる樹脂組成物であって、前記ポリ乳酸(a1)と前記脂肪族ポリエステル(a2)の合計重量を基準として、前記ポリ乳酸(a1)を90~50重量%、及び、前記脂肪族ポリエステル(a2)を10~50重量%含有し、かつ、前記高分子成分(A)100重量部に対して、生分解性を有する天然物(B)を0.1~100重量部含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。」が提案されている。
特開2010-270289号公報 特開平11-241009号公報
本発明の課題は、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有する樹脂組成物において、前記セルロース粒子の真球度が0.9未満である場合又は結晶化度が60%未満である場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の手段が含まれる。
<1> 生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有し、
前記セルロース粒子の真球度が0.9以上である樹脂組成物。
<2> 前記セルロース粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である<1>に記載の樹脂組成物。
<3> 前記セルロース粒子の平均粒子径が1μm以上5μm以下である<2>に記載の樹脂組成物。
<4> 前記セルロース粒子の粒度分布GSDvが1.7以下である<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5> 前記セルロース粒子の表面平滑度が50%以上99%以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6> 前記セルロース粒子を被覆する被覆層を有し、
前記被覆層が直鎖飽和脂肪酸、直鎖飽和脂肪酸金属塩及びアミノ酸系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7> 前記セルロース粒子表面と、前記被覆層と、の間に中間層を有し、
前記中間層が、アルギニン化合物及びポリアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む<6>に記載の樹脂組成物。
<8> 前記生分解性樹脂が、ポリヒドロキシアルカン酸及びセルロースアシレートからなる群から選択される少なくとも1種を含む<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9> 前記ポリヒドロキシアルカン酸がポリ乳酸である<8>に記載の樹脂組成物。
<10> 樹脂組成物全体に対する、前記セルロース粒子の含有量が0.5質量%以上34質量%以下である<1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<11> 前記生分解性樹脂の質量に対する、前記セルロース粒子の質量の比(セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量)が0.005以上0.5以下である<1>~<10>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<12> 生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有し、
結晶化度が60%以上である樹脂組成物。
<13> <1>~<12>のいずれか1つに記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
<1>に係る発明によれば、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有する樹脂組成物において、前記セルロース粒子の真球度が0.9未満である場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<2>に係る発明によれば、セルロース粒子の平均粒子径が1μm未満又は10μm以上である場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<3>に係る発明によれば、セルロース粒子の平均粒子径が1μm未満又は5μmを超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<4>に係る発明によれば、セルロース粒子の粒度分布GSDvが1.7を超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<5>に係る発明によれば、セルロース粒子の表面平滑度が50%未満又は99%を超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<6>に係る発明によれば、セルロース粒子を被覆する被覆層を有し、前記被覆層がカルナバロウを含む場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<7>に係る発明によれば、セルロース粒子表面と、前記被覆層と、の間に中間層を有し、前記中間層が、ポリビニルアルコールを含む場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<8>に係る発明によれば、生分解性樹脂が、ポリブチレンサクシネート又はポリカプロラクタムを含む場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<9>に係る発明によれば、ポリヒドロキシアルカン酸がポリ乳酸以外である場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<10>に係る発明によれば、樹脂組成物全体に対する、前記セルロース粒子の含有量が0.5質量%未満又は34質量%を超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<11>に係る発明によれば、生分解性樹脂の質量に対する、前記セルロース粒子の質量の比(セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量)が0.005未満又は0.5を超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<12>に係る発明によれば、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有する樹脂組成物において、結晶化度が60%未満である場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
<13>に係る発明によれば、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有するし、前記セルロース粒子の真球度が0.9未満である樹脂組成物又は結晶化度が60%未満である樹脂組成物を含有する場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
<樹脂組成物>
第一実施形態に係る樹脂組成物は、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有し、セルロース粒子の真球度が0.9以上である。
第一実施形態に係る樹脂組成物は、上記構成により、生分解性及び耐熱性が向上する。その理由は、次の通り推測される。
近年SDGsに代表される環境問題解決への取り組みから、生分解性樹脂への関心が高まっている。生分解性樹脂は全ての環境で十分な生分解速度を有するわけではなく、生分解性が不十分であることや耐熱性が悪いことがあり、その用途が限定されることがあった。生分解性樹脂と石油系の樹脂等とを含む樹脂組成物とすることで耐熱性が改善することがあるが、生分解性は低下する傾向にある。
第一実施形態に係る樹脂組成物は、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含む。そして、セルロース粒子の真球度が0.9以上である。第一実施形態に係る樹脂組成物は、その製造においてセルロース粒子が樹脂組成物中に均一に近い状態で分散しやすくなる。そのため、第一実施形態に係る樹脂組成物は、セルロース粒子が均一に近い状態で分散しやすくなる。
セルロース粒子は生分解速度が高い。そのため、樹脂組成物の生分解において、セルロース粒子の生分解が優先して進行しやすい。そうすると、セルロース粒子の分布の均一性に伴い、生分解を起こす微生物、分解酵素等が樹脂組成物全体にいきわたりやすくなるため、樹脂組成物全体の生分解性が向上する。
また、第一実施形態に係る樹脂組成物は、その製造において、セルロース粒子が核となり、生分解性樹脂の結晶化を促進する。そのため、第一実施形態に係る樹脂組成物の結晶化度が高くなりやすい。結晶化度の向上により、樹脂組成物の耐熱性も向上する。
以上のことから、第一実施形態に係る樹脂組成物は、生分解性及び耐熱性が向上すると推測される。
第二実施形態に係る樹脂組成物は、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有し、
結晶化度が60%以上である。
第二実施形態に係る樹脂組成物は、上記構成により、生分解性及び耐熱性が向上する。その理由は、次の通り推測される。
第二実施形態に係る樹脂組成物は、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含む。
セルロース粒子は生分解速度が高いため、樹脂組成物の生分解において、セルロース粒子の生分解が優先して進行しやすい。そうすると、生分解を起こす微生物、分解酵素等が樹脂組成物全体にいきわたりやすくなるため、樹脂組成物全体の生分解性が向上する。
また、第二実施形態に係る樹脂組成物は、結晶化度が60%以上である。結晶化度を当該範囲内とすることで、樹脂組成物の耐熱性も向上する。
以上のことから、第二実施形態に係る樹脂組成物は、生分解性及び耐熱性が向上すると推測される。
以下、第一実施形態及び第二実施形態のいずれにも該当する樹脂組成物について詳細に説明する。ただし、本発明の樹脂組成物の一例は、第一実施形態又は第二実施形態のいずれか一つに該当する樹脂組成物であればよい。
(生分解性樹脂)
生分解性樹脂とは、微生物により、水と二酸化炭素に分解される樹脂であり、セルロース以外の樹脂である。具体的には、生分解性樹脂とは、ISO-14855-2(2018年)に準じた方法で測定した好気条件生分解率が、12か月で50%以上となる樹脂を意味する。
生分解性樹脂としては、セルロースアシレート、ポリエステル、天然高分子等が挙げられる。
セルロースアシレートは、セルロースにおけるヒドロキシ基の少なくも一部がアシル基により置換(アシル化)されたセルロース誘導体である。アシル基とは、-CO-RAC(RACは、水素原子又は炭化水素基を表す。)の構造を有する基である。セルロースアシレートとしては、例えば、下記の一般式(CA)で表されるセルロース誘導体が挙げられる。
ポリエステルとしては、脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル等が挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリヒドロキシアルカン酸などが挙げられる。
脂肪族芳香族ポリエステルとしては、ポリブチレンアジペート/テレフタレート共重合樹脂(PBAT)、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート共重合樹脂、等が挙げられる。
天然高分子としては、デンプン、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン、等が挙げられる。
生分解性樹脂は、ポリヒドロキシアルカン酸及びセルロースアシレートからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
生分解性樹脂が、ポリヒドロキシアルカン酸及びセルロースアシレートからなる群から選択される少なくとも1種を含むことで、樹脂組成物の生分解性及び耐熱性がより高くなる。その理由は、ポリヒドロキシアルカン酸及びセルロースアシレートはセルロース粒子との親和性が高いため、セルロース粒子の分散性がより向上するためと推測される。
生分解性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、生分解性及び耐熱性向上の観点から、1種単独で用いることが好ましい。
・ポリヒドロキシアルカン酸
ポリヒドロキシアルカン酸は、ヒドロキシアルカン酸の重合体である。
ポリヒドロキシアルカン酸としては、例えば、一般式(PHA)で表される構造単位を有する化合物が挙げられる。
なお、一般式(PHA)で表される構造単位を有する化合物おいて、高分子鎖の末端(主鎖の末端)は、両端ともがカルボキシル基であってもよいし、片末端のみがカルボキシル基でもう一方の末端が他の基(例えば水酸基)であってもよい。
一般式(PHA)中、RPHA1は、炭素数1以上10以下のアルキレン基を表す。nは、2以上の整数を表す。
一般式(PHA)中、RPHA1が表すアルキレン基としては、炭素数2以上6以下のアルキレン基が好ましい。RPHA1が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよいが、分岐状が好ましい。
ここで、一般式(PHA)中、RPHA1がアルキレン基を表すとは、1)RPHA1が同じアルキレン基を表す[O-RPHA1-C(=O)-]構造を有すること、2)RPHA1が異なるアルキレン基(RPHA1が炭素数又は分岐が異なるアルキレン基)を表す複数の[O-RPHA1-C(=O)-]構造(即ち、[O-RPHA1A-C(=O)-][O-RPHA1B-C(=O)-]構造)を有することを示している。
つまり、ポリヒドロキシアルカン酸は、1種のヒドロキシアルカン酸の単独重合体であってもよいし、2種以上のヒドロキシアルカン酸の共重合体であってもよい。
一般式(PHA)中、nの上限は特に限定されないが、例えば、20000以下が挙げられる。nの範囲は、500以上10000以下が好ましく、1000以上8000以下がより好ましい。
ポリヒドロキシアルカン酸としては、ヒドロキシアルカン酸(乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシ吉草酸、5-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシイソヘキサン酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピオン酸、2-ヒドロキシ-n-オクタン酸等)の単独重合体、又はこれら2種以上のヒドロキシアルカン酸の共重合体が挙げられる。
ポリヒドロキシアルカン酸は、生分解性及び耐熱性向上の観点から、乳酸の単独重合体(すなわち、ポリ乳酸)、3-ヒドロキシ酪酸の単独重合体、3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシヘキサン酸との共重合体であることが好ましく、乳酸の単独重合体であることがより好ましい。
ポリヒドロキシアルカン酸としてポリ乳酸を適用することで、樹脂組成物の生分解性及び耐熱性がより高くなる。その理由は、ポリ乳酸はセルロース粒子との親和性が特に高いため、セルロース粒子の分散性がより向上するためと推測される。
ポリヒドロキシアルカン酸(A)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
・セルロースアシレート
セルロースアシレートは、例えば、下記の一般式(CA)で表されるセルロース誘導体である。
一般式(CA)中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立に、水素原子又はアシル基を表し、nは2以上の整数を表す。ただし、n個のA1、n個のA2及びn個のA3のうちの少なくとも一部はアシル基を表す。分子中にn個あるA1は、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。同様に、分子中にn個あるA2及びn個あるA3もそれぞれ、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。
A1、A2及びA3が表すアシル基は、当該アシル基中の炭化水素基が、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
A1、A2及びA3が表すアシル基は、当該アシル基中の炭化水素基が、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよいが、飽和炭化水素基であることがより好ましい。
A1、A2及びA3が表すアシル基は、炭素数1以上6以下のアシル基が好ましい。すなわち、セルロースアシレートとしては、アシル基の炭素数が1以上6以下であるセルロースアシレートが好ましい。
A1、A2及びA3が表すアシル基は、当該アシル基中の水素原子がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、酸素原子、窒素原子などで置換された基でもよいが、無置換であることが好ましい。
A1、A2及びA3が表すアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基(ブタノイル基)、プロペノイル基、ヘキサノイル基等が挙げられる。これらの中でもアシル基としては、生分解速度向上の観点から、炭素数2以上4以下のアシル基がより好ましく、炭素数2又は3のアシル基が更に好ましい。
セルロースアシレートとしては、セルロースアセテート(セルロースモノアセテート、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)等が挙げられる。
セルロースアシレートは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
セルロースアシレートの重量平均重合度は、200以上1000以下が好ましく、500以上1000以下がより好ましく、600以上1000以下が更に好ましい。
セルロースアシレートの重量平均重合度は、以下の手順で重量平均分子量(Mw)から求める。
まず、セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)を、テトラヒドロフランを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー社製、HLC-8320GPC、カラム:TSKgelα-M)にてポリスチレン換算で測定する。
次いで、セルロースアシレートの構成単位分子量で除算することで、セルロースアシレートの重合度を求める。例えば、セルロースアシレートの置換基がアセチル基の場合、構成単位分子量は、置換度が2.4のとき263、置換度が2.9のとき284である。
セルロースアシレートの置換度は、成形性、機械強度、及び生分解速度向上のバランスの観点から、1.5以上2.9以下が好ましく、置換度1.7以上2.9以下がより好ましく、1.9以上2.9以下が更に好ましく、2.1以上2.9以下が特に好ましい。
セルロースアセテートプロピオネート(CAP)において、アセチル基とプロピオニル基との置換度の比(アセチル基/プロピオニル基)は、生分解速度向上の観点から、0.01以上1以下が好ましく、0.05以上0.1以下がより好ましい。
セルロースアセテートブチレート(CAB)において、アセチル基とブチリル基との置換度の比(アセチル基/ブチリル基)は、生分解速度向上の観点から、0.05以上3.5以下が好ましく、0.5以上3.0以下がより好ましい。
セルロースアシレートの置換度とは、セルロースが有するヒドロキシ基がアシル基により置換されている程度を示す指標である。つまり、置換度は、セルロースアシレートのアシル化の程度を示す指標となる。具体的には、置換度は、セルロースアシレートのD-グルコピラノース単位に3個あるヒドロキシ基がアシル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。置換度は、1H-NMR(JMN-ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアシル基由来水素とのピークの積分比から求める。
これら生分解性樹脂は、1種単独で使用してもよいし、複数種使用してもよい。
(セルロース粒子)
セルロース粒子はセルロースを主成分とする粒子である。
ここで、セルロースを主成分とするとは、セルロース粒子に対するセルロースの含有量が90質量%以上であることをいう。
セルロース粒子の真球度は0.9以上であり、生分解性及び耐熱性向上の観点から、0.93以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましく、0.96以上であることが更に好ましい。
セルロース粒子の真球度の測定は以下の通り行う。
樹脂組成物100gをクロロホルム900gに加え、攪拌して生分解性樹脂を溶解し、ろ過してクロロホルムに不溶なセルロース粒子を取り出す。取り出したセルロース粒子を水洗いした後、50℃で4時間セルロース粒子を乾燥する。
得られたセルロース粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス(株)製のFPIA-3000)によって(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)及び(粒子投影像の周囲長)求めた。そして、下記(式1)により真球度を算出する。
(式1):真球度=(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]
セルロース粒子の平均粒子径は、1μm以上10μm未満であることが好ましく、1μm以上5μm以下であることがより好ましく、2μm以上5μm以下であることが更に好ましい。
セルロース粒子の平均粒子径を上記数値範囲内とすることで、樹脂組成物の生分解性及び耐熱性がより高くなる。その理由は以下の通り推測される。
セルロース粒子の平均粒子径を1μm以上とすることで、樹脂組成物中におけるセルロース粒子同士の凝集が抑制されるため、セルロース粒子の分散性が高まる。
セルロース粒子の平均粒子径を10μm未満とすることで、樹脂組成物中におけるセルロース粒子の充填率が高まりやすくなる。
セルロース粒子の平均粒子径を5μm以下とすることで、樹脂組成物中におけるセルロース粒子の充填率がより高まりやすくなる。
セルロース粒子の平均粒子径の測定は以下の通り行う。
樹脂組成物100gをクロロホルム900gに加え、攪拌して生分解性樹脂を溶解し、ろ過してクロロホルムに不溶なセルロース粒子を取り出す。取り出したセルロース粒子を水洗いした後、50℃で4時間セルロース粒子を乾燥する。得られたセルロース粒子について、レーザー回折・散乱式粒子径分布装置(マイクロトラックMT3300EX、マイクロトラックベル株式会社)によりセルロース粒子の粒径を測定し、粒径の累積分布を、体積基準で小径側から描き、累積50%となる粒子径を、平均粒子径として求めた。なお、レーザー回折・散乱式粒子径分布装置の測定において、セルロース粒子の分散媒はメタノールとし、セルロース粒子は0.2gを加え測定を実施した。
セルロース粒子の粒度分布GSDvは1.7以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。
セルロース粒子の粒度分布GSDvを1.7以下とすることで、樹脂組成物の生分解性及び耐熱性がより高くなる。その理由は以下の通り推測される。
セルロース粒子の粒度分布GSDvを1.7以下とすることで、セルロース粒子の粒径の均一性が高まり、樹脂組成物中におけるセルロース粒子の分散性が高まる。
セルロース粒子の粒度分布GSDvの測定は以下の通り行う。
樹脂組成物100gをクロロホルム900gに加え、攪拌して生分解性樹脂を溶解し、ろ過してクロロホルムに不溶なセルロース粒子を取り出す。取り出したセルロース粒子を水洗いした後、50℃で4時間セルロース粒子を乾燥する。得られたセルロース粒子について、LS粒度分布測定装置(Beckman Coulter LS13 320(ベックマンコールター社製)により粒径を測定し、粒径の累積分布を体積基準で小径側から描き、累積50%となる粒子径を個数平均粒子径D50v、累積84%となる粒子径を個数粒子径D84vと定義する。そして、粒度分布GSDvは(式2)で計算する。
(式2):GSDv=(D84v/D50v)1/2
セルロース粒子の表面平滑度は50%以上99%以下であることが好ましく、60%以上90%以下であることがより好ましく、70%以上85%以下であることが更に好ましい。
セルロース粒子の表面平滑度を50%以上99%以下とすることで、樹脂組成物の生分解性及び耐熱性がより高くなる。その理由は以下の通り推測される。
セルロース粒子の表面平滑度を99%以下とすることで、セルロース粒子表面が適度な凸凹形状を有し生分解性樹脂との接触面積が向上する。そのため、セルロース粒子の生分解に伴い、生分解を起こす微生物、分解酵素等が樹脂組成物全体によりいきわたりやすくなる。また、生分解性樹脂の結晶化もより促進される。
セルロース粒子の表面平滑度を50%以上とすることで、比表面積が大きくなりすぎることで生じるセルロース粒子の2次凝集を防ぐことが出来、樹脂組成物中に均一に近い状態で分散することで、生分解性の向上、及び結晶化促進による耐熱性向上効果が高くなる。
セルロース粒子の表面平滑度の測定は以下の通り行う。
樹脂組成物100gをクロロホルム900gに加え、攪拌して生分解性樹脂を溶解し、ろ過してクロロホルムに不溶なセルロース粒子を取り出す。取り出したセルロース粒子を水洗いした後、50℃で4時間セルロース粒子を乾燥する。得られたセルロース粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したセルロース粒子のSEM画像(倍率5,000倍)を観察し、下記(式3)より、個々のセルロース粒子の平滑度Mを算出する。そして、任意に選択した50個以上のセルロース粒子の平滑度Mの相加平均値を表面平滑度とする。平滑度Mの値が1に近いほど、セルロース粒子の表面は平滑に近い。
(式3):M=(1-(S3)/(S2))×100
上記式中、S2は、画像中に占めるセルロース粒子の面積(投影面積)を示し、S3は画像中のセルロース粒子と、S2と同じ投影面積をもつ円と、を重ねた際に、「S2と同じ投影面積をもつ円の輪郭より外側、かつ、画像中のセルロース粒子の輪郭より内側の面積」及び「S2と同じ投影面積をもつ円の輪郭より内側、かつ、画像中のセルロース粒子の輪郭より外側の面積」の総和を示す。
なお、画像中のセルロース粒子とS2と同じ投影面積をもつ円とを重ねる方法は以下の通りである。
画像中のセルロース粒子とS2と同じ投影面積をもつ円とを重ねた時に、2つの画像の重なる領域の面積(S2と同じ投影面積をもつ円の輪郭より内側、かつ、画像中のセルロース粒子の輪郭より内側の面積)が最大となる様に重ねる。
セルロース粒子に含まれるセルロースの数平均分子量は、37000以上であることが好ましく、45000以上であることがより好ましい。
セルロースの数平均分子量の上限値は特に限定されないが、例えば100000以下であってもよい。
セルロースの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(示差屈折率計 Optilab T-rEX/ Wyatt Technology社製、多角度光散乱検出器
DAWN HELEOS II/ Wyatt Technology社製、カラム TSKgel α-M、α-3000各1本/東ソー社製)にて、ジメチルアセトアミド(0.1M 塩化リチウム添加)を溶媒として測定される。
-被覆層-
本実施形態に係る樹脂組成物は、セルロース粒子を被覆する被覆層を有し、被覆層が直鎖飽和脂肪酸、直鎖飽和脂肪酸金属塩及びアミノ酸系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
被覆層を有することで、樹脂組成物の生分解性及び耐熱性がより高くなる。その理由は以下の通り推測される。
被覆層を有することで、生分解性樹脂とセルロース粒子との親和性が更に向上し、セルロース粒子の分散性が更に向上するためと推測される。
被覆層の質量は、セルロース粒子全体に対して、2質量%以上10質量%以下が好ましい。
・直鎖飽和脂肪酸
直鎖飽和脂肪酸とは、直鎖状の飽和脂肪酸である。
直鎖飽和脂肪酸としては、生分解性樹脂との親和性の観点から、炭素数14以上22以下の直鎖飽和脂肪酸であることが好ましい。
炭素数14以上22以下の直鎖飽和脂肪酸の具体例としては、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルチミン酸などが挙げられる。
・直鎖飽和脂肪酸金属塩
直鎖飽和脂肪酸金属塩とは、直鎖飽和脂肪酸の金属塩である。
直鎖飽和脂肪酸金属塩は、アニオンとして直鎖飽和脂肪酸のカルボキシラートアニオンを含み、カチオンとして金属イオンを含む。
直鎖飽和脂肪酸金属塩に含まれるカルボキシラートアニオンとしては、上記「・直鎖飽和脂肪酸」において適用される直鎖飽和脂肪酸のカルボキシラートアニオンであることが好ましい。
直鎖飽和脂肪酸金属塩に含まれる金属イオンとしては、アルカリ金属のイオン、アルカリ土類金属のイオン等が挙げられる。
金属イオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなどが挙げられる。
直鎖飽和脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸カルシウム、アラキジン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム等が挙げられる。
・アミノ酸系化合物
アミノ酸系化合物とは、後述するアルギニン化合物を除くアミノ酸及びアミノ酸誘導体をいう。なお、アミノ酸系化合物はポリペプチドを含まない。
アミノ酸誘導体とは、アミノ酸に含まれる1個以上の水素原子が、置換基で置換されたものである。置換基としては炭化水素基(具体的には、アルキル基、フェニル基など)などが挙げられる。
アミノ酸系化合物としては、アミノ酸誘導体であることが好ましい。
アミノ酸系化合物としては、ラウロイルリシン、ミリスチルロイシンなどが挙げられる。
(中間層)
本実施形態に係る樹脂組成物は、セルロース粒子表面と、被覆層と、の間に中間層を有し、中間層が、アルギニン化合物及びポリアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
中間層を有することで、樹脂組成物の生分解性及び耐熱性がより高くなる。その理由は以下の通り推測される。
中間層を有することで、生分解性樹脂とセルロース粒子との親和性が特に向上し、セルロース粒子の分散性が特に向上するためと推測される。
中間層の質量は、セルロース粒子全体に対して、0.5質量%以上5質量%以下が好ましい。
・アルギニン化合物
アルギニン化合物とは、アルギニン及びアルギニン誘導体をいう。なお、アルギニン化合物はポリペプチドを含まない。
アルギニン誘導体とは、アルギニンに含まれる1個以上の水素原子が、置換基で置換されたものである。置換基としては炭化水素基(具体的には、アルキル基、フェニル基など)などが挙げられる。
アルギニン化合物としては、アルギニンであることが好ましい。
・ポリアミン化合物
本明細書において、ポリアミン化合物とは、アミノ基を有する構成単位を含む重合体をいう。
ポリアミン化合物としては、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリリジン、PEG-15ココポリアミン等が挙げられる。
ポリアルキレンイミンとしては、生分解性向上の観点から、炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数1以上4以下、より好ましくは炭素数1以上2以下)のアルキレン基を持つ構成単位を有するポリアルキレンイミンが好ましく、ポリエチレンイミンがより好ましい。
ポリアリルアミンとしては、例えば、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体又は共重合体などが挙げられる。
ポリビニルアミンとしては、例えば、ポリ(N-ビニルホルムアミド)をアルカリで加水分解して製造されるもので、具体的には三菱ケミカル社製「PVAM-0595B」等が挙げられる。
ポリリジンとしては、天然物から抽出されたものであってもよく、形質転換微生物に産生させたものであってもよく、化学合成されたものであってもよい。
PEG-15ココポリアミンとしては、例えば、BASF社製デヒコートH81が使用可能である。
-セルロース粒子の含有量-
樹脂組成物全体に対する、セルロース粒子の含有量は0.5質量%以上34質量%以下であることが好ましく、2質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
樹脂組成物全体に対する、セルロース粒子の含有量を0.5質量%以上34質量%以下とすることで樹脂組成物の生分解性及び耐熱性がより高くなる。その理由は以下の通り推測される。
樹脂組成物全体に対する、セルロース粒子の含有量を0.5質量%以上とすることで、樹脂組成物中におけるセルロース粒子の量が増え、樹脂組成物全体にセルロース粒子が分散しやすくなる。そのため、樹脂組成物の生分解性と耐熱性がより向上しやすくなる。
樹脂組成物全体に対する、セルロース粒子の含有量を34質量%以下とすることで、セルロース粒子の含有量が、成形性が良好な範囲となり、またセルロース粒子の2次凝集を防げることから、生分解性、及び耐熱性が向上する。
生分解性樹脂の質量に対する、セルロース粒子の質量の比(セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量)は0.005以上0.5以下であることが好ましく、0.01以上0.3以下であることがより好ましく、0.03以上0.2以下であることが更に好ましい。
生分解性樹脂の質量に対する、セルロース粒子の質量の比(セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量)を0.005以上0.5以下とすることで樹脂組成物の生分解性及び耐熱性がより高くなる。その理由は以下の通り推測される。
生分解性樹脂の質量に対する、セルロース粒子の質量の比(セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量)を0.005以上とすることで生分解性樹脂の量に対するセルロース粒子の量が増え、樹脂組成物全体にセルロース粒子が分散しやすくなる。そのため、樹脂組成物の生分解性と耐熱性がより向上しやすくなる。
生分解性樹脂の質量に対する、セルロース粒子の質量の比(セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量)を0.5以下とすることでセルロース粒子の含有量が、成形性が良好な範囲となり、またセルロース粒子の2次凝集を防げることから、生分解性、及び耐熱性が向上する。
(その他の成分)
本実施形態に係る樹脂組成物は、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、例えば、可塑剤、難燃剤、相溶化剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)、酢酸放出を防ぐための受酸剤(酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物;炭酸カルシウム;タルク;など)、反応性トラップ剤(例えば、エポキシ化合物、酸無水物化合物、カルボジイミド等)などが挙げられる。
その他の成分の含有量は、樹脂組成物全量に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
(結晶化度)
本実施形態に係る樹脂組成物は、結晶化度が60%以上である。
耐熱性の観点から、結晶化度は65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、結晶化度が95%以下であってもよい。よって、本実施形態に係る樹脂組成物は、65%以上95%以下であってもよく、70%以上95%以下であってもよく、75%以上95%以下であってもよい。
樹脂組成物の結晶化度の測定は以下の通り行う。
示差走査熱量測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、NEXTA DSC600)にて測定を行う。20℃/時間で-15℃から200℃まで昇温後、10℃/時間で200℃から-15℃まで降温した時の非晶状態の生分解性樹脂のガラス転移温度での吸熱量を測定する(Ham)。なお、非晶状態の生分解性樹脂の組成は測定対象とする樹脂組成物に含まれる生分解性樹脂の組成と同一とする。また、「非晶状態」とは示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
次に測定対象とする樹脂組成物を用いて同一の昇温及び降温条件において測定を行い、ガラス転移温度での吸熱量を測定する(Hsa)。結晶化に伴いガラス転移温度の吸熱が消失することから以下(式4)により結晶化度を求める。
(式4) 結晶化度(%)=((Ham-Hsa)/Ham)×100
(樹脂組成物の製造方法)
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法として、例えば、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、必要に応じてその他の成分と、を混合し溶融混練する方法;生分解性樹脂と、セルロース粒子と、必要に応じてその他の成分と、を溶剤に分散する方法;などが挙げられる。溶融混練の手段としては、特に制限されず、例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
-セルロース粒子の製造方法-
セルロース粒子は、セルロースアシレートを含む粒子前駆体を製造する工程(粒子前駆体製造工程)と、鹸化工程と、を経て製造することが好ましい。
・セルロースアシレートを含む粒子前駆体を製造する工程
下記(1)~(5)のいずれかの方法で、セルロースアシレートを含む粒子前駆体を製造する。
(1)各成分を混練し、得られた混練物を粉砕、分級して、粒状物を得る混練粉砕法、
(2)混練粉砕法にて得られた粒状物を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させ、粒状物を得る乾式製法
(3)各成分の粒子分散液を混合し、分散液中の粒子を凝集、加熱融着させ、粒状物を得る凝集合一法
(4)各成分を溶解した有機溶媒を水系溶媒に懸濁させて、各成分を含む粒状物を造粒する溶解懸濁法
(5)各成分と、結着剤と、を混練し、押出成形することでペレット状にして、得られたペレットを前記結着剤のみを溶解する溶媒中で撹拌することで造粒する混練溶解法
ここでセルロースアシレートは、既述の生分解性樹脂において説明したセルロースアシレートと同一のものが適用可能である。
-鹸化工程-
続いて、粒子前駆体に含まれるセルロースアシレートを鹸化する。
本工程を経ることでセルロースアシレートにおける脂肪族アシル基が加水分解され、セルロースがセルロースに変化する。
鹸化工程は、例えば、粒子前駆体の分散液に水酸化ナトリウムを添加し、分散液を撹拌することで行う。
-中間層形成工程及び被覆層形成工程-
セルロース粒子上に中間層及び被覆層を形成する場合、中間層形成工程及び被覆層形成工程を行うことが好ましい。
先ず、セルロース粒子が分散された水分散液を調製する。水分散液を調製する前に、セルロース粒子を酸で洗浄することがよい。
次に、セルロース粒子を分散した水分散液と中間層を構成する化合物を含む水溶液とを混合する。それにより、中間層が形成される(中間層形成工程)。
そして、中間層が形成されたセルロース粒子を分散した水分散液と被覆層を構成する化合物を含む乳化液と混合する。それにより被覆層が形成される(被覆層形成工程)。
そして混合液から、中間層及び被覆層を有するセルロース粒子を取り出す。中間層及び被覆層を有するセルロース粒子の取り出しは、例えば、混合液を濾過することにより実施する。取り出した中間層及び被覆層を有するセルロース粒子は、水により洗浄することがよい。その後、中間層及び被覆層を有するセルロース粒子を乾燥させることが好ましい。
なお、セルロース粒子上に被覆層のみを形成する場合は、上記(中間層形成工程)を行わず、セルロース粒子を分散した水分散液と被覆層を構成する化合物を含む乳化液と混合することで被覆層形成工程のみを行う。それにより被覆層を有するセルロース粒子を得る。
<樹脂成形体>
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を含む。つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物と同じ組成で構成されている。
本実施形態に係る樹脂成形体の製造方法は、形状の自由度が高い観点から、本実施形態に係る樹脂組成物を射出成形する方法であってもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、真球度が0.9以上のセルロース粒子を含む。そうすると、射出成形時における樹脂組成物の流動性があがり成形性が上がりやすい。
射出成形する際のシリンダ温度は、例えば160℃以上280℃以下であり、好ましくは180℃以上240℃以下である。射出成形する際の金型温度は、例えば40℃以上90℃以下であり、40℃以上60℃以下がより好ましい。
射出成形は、例えば、日精樹脂工業社製NEX500、日精樹脂工業社製NEX150、日精樹脂工業社製NEX7000、日精樹脂工業社製PNX40、住友機械社製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、他の成形方法によって得られた樹脂成形体であってもよい。他の成形方法としては、例えば、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、電子・電気機器、事務機器、家電製品、自動車内装材、玩具、容器などの用途に好適に用いられる。本実施形態に係る樹脂成形体の具体的な用途として、電子・電気機器又は家電製品の筐体;電子・電気機器又は家電製品の各種部品;自動車の内装部品;ブロック組み立て玩具;プラスチックモデルキット;CD-ROM又はDVDの収納ケース;食器;飲料ボトル;食品トレイ;ラップ材;フィルム;シート;などが挙げられる。
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<セルロース粒子の製造又は準備>
(セルロース粒子CP1の製造)
-粒子前駆体製造工程-
セルロースアシレートとしてセルロースジアセテート 130部を酢酸エチル870部中に完全に溶解し、セルロースアシレート溶液を得る。これを、炭酸カルシウム100部、及び純水500部を含有する水系液体中に加え3時間撹拌(以下、セルロースアシレート溶液及び水系液体を混合した後の撹拌時間を「第1撹拌時間」と称する)して分散液を得た。この分散液を、カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」とも称する)4部、メチルエチルケトン200部を純水600部に分散させた溶液に加え、80℃で3時間撹拌し、酢酸エチル及びメチルエチルケトンを除去した。これに水酸化ナトリウム10部及び希塩酸10部を添加し、残渣をろ過した後、再度純水900部中に分散し、粒子前駆体分散液を得た。
-鹸化工程-
粒子前駆体分散液500部に20%水酸化ナトリウム水溶液を17.5部添加して、30℃で6時間撹拌した。鹸化後のスラリーに塩酸を添加してpH7に調整後、ろ過、及び洗浄を繰り返し、ろ液の電導度が10μs/cm以下になるまで洗浄し、セルロース粒子を得た。
(セルロース粒子CP2~CP17の製造)
粒子前駆体製造工程において、セルロースアシレートの種類、炭酸カルシウムの添加量、第1撹拌時間、カルボキシメチルセルロース(CMC)の添加量及び水酸化ナトリウムの添加量を表1に記載の通りに変更したこと以外は(セルロース粒子CP1の製造)と同一の手順でセルロース粒子を製造した。
(被覆層を有するセルロース粒子CP18の製造)
-粒子前駆体製造工程及び鹸化工程-
(セルロース粒子CP1の製造)と同一の手順で粒子前駆体製造工程及び鹸化工程を行い、セルロース粒子を製造した。
-被覆層形成工程-
セルロース粒子100部及びイオン交換水400部を混合しセルロース粒子分散液とした。つづいて、被覆層を構成する化合物として直鎖飽和脂肪酸金属塩であるステアリン酸カルシウム(日油社製、ステアリン酸カルシウム植物)8部及び純水50部を高速乳化機で撹拌し、被覆層形成乳化液を調製した。
セルロース粒子分散液に対して被覆層形成乳化液を全量添加し24時間撹拌することでセルロース粒子上に被覆層を形成し、被覆層を有するセルロース粒子分散液を得た。
被覆層を有するセルロース粒子をろ過、及び洗浄を繰り返し、ろ液の電導度が10μs/cm以下になるまで洗浄し、被覆層を有するセルロース粒子CP18を得た。
(被覆層を有するセルロース粒子CP19~CP21の製造)
被覆層形成工程において、被覆層を構成する化合物の種類を表1通りに変更したこと以外は(被覆層を有するセルロース粒子CP18の製造)と同一の手順で被覆層を有するセルロース粒子を製造した。
(中間層及び被覆層を有するセルロース粒子CP22の製造)
-粒子前駆体製造工程及び鹸化工程-
(セルロース粒子CP1の製造)と同一の手順で粒子前駆体製造工程及び鹸化工程を行い、セルロース粒子を製造した。
-中間層形成工程-
セルロース粒子100部及びイオン交換水400部を混合しセルロース粒子分散液とした。セルロース粒子分散液に対して、中間層を構成する化合物としてアルギニン化合物であるL-アルギニン(味の素社製、Cグレード品)1部を添加し、1時間撹拌することで、セルロース粒子上に中間層を形成し、中間層を有するセルロース粒子分散液を得た。
-被覆層形成工程-
被覆層を構成する化合物として直鎖飽和脂肪酸金属塩であるステアリン酸カルシウム(日油社製、ステアリン酸カルシウム植物)8部及び純水50部を高速乳化機で撹拌し、被覆層形成乳化液を調製した。
中間層を有するセルロース粒子分散液に対して被覆層形成乳化液を全量添加し24時間撹拌することで中間層上に被覆層を形成し、中間層及び被覆層を有するセルロース粒子分散液を得た。
中間層及び被覆層を有するセルロース粒子をろ過、及び洗浄を繰り返し、ろ液の電導度が10μs/cm以下になるまで洗浄し、中間層及び被覆層を有するセルロース粒子CP22を得た。
(中間層及び被覆層を有するセルロース粒子CP23~26の製造)
中間層形成工程において、中間層を構成する化合物の種類を表1通りに変更したこと以外は(中間層及び被覆層を有するセルロース粒子CP22の製造)と同一の手順で中間層及び被覆層を有するセルロース粒子を製造した。
(セルロース粒子CP201の製造)
シート状木材パルプ(Borregard社製「Blue Bear Ultra Et her」をシュレッダー(明光商会社製、「MSX2000-IVP440F」)にかけ、チップ状パルプにした。得られたチップ状パルプを二軸押出機(東芝機械社製、TEX41SS)にて粉砕処理した。
粉砕処理されたパルプを、バッチ式攪拌槽型粉砕機(五十嵐機 械社製「サンドグラインダー」:容器容積800mL、5mmΦジルコニアビーズを720g充填、充 填率25%、攪拌翼径70mm)に50g投入し、容器ジャケットに冷却水を通しながら、攪拌回 転数2000r/minで、180分粉砕処理を行った。
処理終了後、攪拌槽型粉砕機内の壁面や底部にパルプの固着物等は見られなかった。2 次粉砕処理後に得られたパルプを前記攪拌槽型粉砕機から取り出し、75μm目開きの篩をかけ、篩下品として、45g(投入量の90質量%)のセルロース粒子CP201を得た。
(セルロース粒子CP202の製造)
特開平11-241009号公報の実施例4に記載された手順に従ってセルロース粒子CP202を得た。なお、セルロース粒子CP202は中間層及び被覆層を有しない。
(セルロース粒子CP101~CP104、セルロースアシレート粒子CP105の準備)
以下のセルロース粒子及びセルロースアシレート粒子を準備した。
・セルロース粒子CP101:CELLULOBEADS D10(大東化成社製、セルロースを主成分とするセルロース粒子。中間層及び被覆層を有しない。)
・セルロース粒子CP102:セルフローC25(JNC社製、セルロースを主成分とするセルロース粒子。中間層及び被覆層を有しない。)
・セルロース粒子CP103:S-STM CELLULOBEADS D-5(大東化成社製、セルロースを主成分とするセルロース粒子であり、ステリアン酸マグネシウムを含む被覆層を有する。中間層を有しない。)
・セルロース粒子CP104:OTS-0.5A CELLULOBEADS D10(大東化成社製、セルロースを主成分とするセルロース粒子であり、トリエトキシオクチルシランを含む被覆層を有する。中間層を有しない。)
・セルロースアシレート粒子CP105:セルフローTA25(JNC社製、セルロースアセテートプロピオネートを主成分とするセルロース粒子。中間層及び被覆層を有しない。)
上記の通り製造又は準備したセルロース粒子及びセルロースアシレート粒子の製造条件並びに粒子性状として真球度、平均粒子径、粒度分布GSDv、及び表面平滑度を表1に記載する。
なお、表1における真球度、平均粒子径、粒度分布GSDv、及び表面平滑度は、以下の通り測定した値である。
-表1における真球度の測定手順-
真球度は、(式1):真球度=(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]によって算出した。具体的には、次の方法で測定した。
まず、測定対象となるセルロース粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス(株)製のFPIA-3000)によって求めた。なお、真球度を求める際のサンプリング数は3500個とした。
-表1における平均粒子径の測定手順-
レーザー回折・散乱式粒子径分布装置(マイクロトラックMT3300EX、マイクロトラックベル株式会社)によりセルロース粒子の粒径を測定し、粒径の累積分布を、体積基準で小径側から描き、累積50%となる粒子径を、平均粒子径として求めた。
-表1における粒度分布GSDvの測定手順-
LS粒度分布測定装置(Beckman Coulter LS13 320(ベックマンコールター社製)によりセルロース粒子の粒径を測定し、粒径の累積分布を、体積基準で小径側から描き、累積50%となる粒子径を個数平均粒子径D50v、累積84%となる粒子径を個数粒子径D84vと定義した。そして、粒度分布GSDvは、(式2):GSDv=(D84v/D50v)1/2で算出した。
-表1における表面平滑度の測定手順-
走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したセルロース粒子のSEM画像(倍率5,000倍)を観察し、下記(式3)より、個々のセルロース粒子の平滑度Mを算出した。そして、任意に選択した50個以上のセルロース粒子の平滑度Mの相加平均値を表面平滑度とした。平滑度Mの値が1に近いほど、セルロース粒子の表面は平滑に近い。
(式3):M=(1-(S3)/(S2))×100
上記式中、S2は、画像中に占めるセルロース粒子の面積(投影面積)を示し、S3は画像中のセルロース粒子と、S2と同じ投影面積をもつ円と、を重ねた際に、「S2と同じ投影面積をもつ円の輪郭より外側、かつ、画像中のセルロース粒子の輪郭より内側の面積」及び「S2と同じ投影面積をもつ円の輪郭より内側、かつ、画像中のセルロース粒子の輪郭より外側の面積」の総和を示す。
なお、画像中のセルロース粒子とS2と同じ投影面積をもつ円とを重ねる方法は以下の通りである。
画像中のセルロース粒子とS2と同じ投影面積をもつ円とを重ねた時に、2つの画像の重なる領域の面積(S2と同じ投影面積をもつ円の輪郭より内側、かつ、画像中のセルロース粒子の輪郭より内側の面積)が最大となる様に重ねた。
表1中、下線は好ましい態様から外れていることを示す。
表1中、略称は以下の通りである。
-セルロースアシレート-
・CA-1:セルロースジアセテート、ダイセル「L-50」、数平均分子量58000
・CA-2:セルロースジアセテート、ダイセル「L-20」、数平均分子量47000
・CA-3:セルロースジアセテート、イーストマンケミカル「CA398-6」、数平均分子量35000
・CA-4:セルロースアセテートプロピオネート、イーストマンケミカル「CAP482-20」、数平均分子量75000
・CA-5:セルロースアセテートブチレート、イーストマンケミカル「CAB381-20」、数平均分子量70000
-被覆層を構成する化合物-
・ST-1:直鎖飽和脂肪酸金属塩であるステアリン酸カルシウム、日油「ステアリン酸カルシウム植物」
・ST-2:直鎖飽和脂肪酸であるベヘン酸、日油「NAA-222S」
・ST-3:アミノ酸系化合物であるラウロイルリシン、味の素「アミホープLL」
・ST-4:カルナバロウ、センカ「CN-100」
-中間層を構成する化合物-
・AC-1:アルギニン化合物であるL-アルギニン、味の素社、Cグレード品
・AC-2:ポリアミン化合物であるPEG-15ココポリアミン、BASF「デヒコートH81」
・AC-3:ポリアミン化合物であるポリリジン、一丸ファルコス「ポリリジン10」
・AC-4:ポリアミン化合物であるポリエチレンイミン、日本触媒「エポミンP-1000」
・AC-5:ポリビニルアルコール、三菱ケミカル「ゴーセノールN-300」
<実施例1~43、比較例1~20>
表2に示す仕込み組成比で、生分解性樹脂、セルロース粒子及びその他の成分を2軸押出装置(TEX-41SS、東芝機械社)に投入し、表2-1~表2-3に示すシリンダ温度で混練を行った。2軸押出装置の排出口より溶融状態のストランド(直径2mm程度のロープ状)を排出及び水槽内に通して冷却し、冷却固化されたストランドをペレタイザーに挿入して長さ5mmに切断することで、樹脂組成物のペレットを得た。
<評価>
(生分解性評価)
ペレットを、液体窒素で冷却しながら、粉砕ミル(M20、IKA社)を用いて粉砕、目開き50μメッシュで篩分し、粒径50μm以下の粉体にした。これを用いてOECD 306Fに準ずる方法で60日間の活性汚泥中における樹脂組成物の生分解率を評価した。
(耐熱性評価)
ペレットを70℃で4時間以上乾燥し、射出成形機(NEX500、日精樹脂工業社)を用いて、表2-1~表2-3に示すシリンダ温度、金型温度で、ISO527推奨ダンベル試験片1Aを成形した。試験片を用いて、熱変形温度測定装置(HDT3、東洋精機社)によりISO75-2に準じた方法で荷重0.45MPaにおける熱変形温度を測定した。
熱変形温度が高いほど、耐熱性が高いことを意味する。
表2-3中、下線は本実施形態に係る樹脂組成物の好ましい態様から外れていることを意味する。
表2-1~表2-3中の略称については以下の通りである。
-生分解性樹脂-
・BG-1:ポリ乳酸、ネイチャーワークス「Ingeo3001D」
・BG-2:3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシヘキサン酸との共重合体、カネカ「Green Planet X151A」
・BG-3:3-ヒドロキシ酪酸の単独重合体、Aldrich社
・BG-4:セルロースジアセテート、ダイセル「L-50」、数平均分子量58000
・BG-5:セルロースアセテートプロピオネート、イーストマンケミカル「CAP482-20」、数平均分子量75000
・BG-6:ポリブチレンサクシネート、三菱ケミカル「Bio-PBS」
・BG-7:ポリカプロラクタム、インジェヴイティ「Capa」
-その他の成分-
・AD-1:カルダノール、カードライト「NX2026」
・AD-2:二塩基酸エステル混合物、大八化学「Daifatty101」
-樹脂組成物-
・セルロース粒子の含有量:樹脂組成物全体に対する、セルロース粒子の含有量である。
・セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量:生分解性樹脂の質量に対する、セルロース粒子の質量の比である。
上記結果から、本実施例の樹脂組成物は、生分解性及び耐熱性が高いことがわかる。
(((1))) 生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有し、
前記セルロース粒子の真球度が0.9以上である樹脂組成物。
(((2))) 前記セルロース粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である(((1)))に記載の樹脂組成物。
(((3))) 前記セルロース粒子の平均粒子径が1μm以上5μm以下である(((2)))に記載の樹脂組成物。
(((4))) 前記セルロース粒子の粒度分布GSDvが1.7以下である(((1)))~(((3)))のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
(((5))) 前記セルロース粒子の表面平滑度が50%以上99%以下である(((1)))~(((4)))のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
(((6))) 前記セルロース粒子を被覆する被覆層を有し、
前記被覆層が直鎖飽和脂肪酸、直鎖飽和脂肪酸金属塩及びアミノ酸系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む(((1)))~(((5)))のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
(((7))) 前記セルロース粒子表面と、前記被覆層と、の間に中間層を有し、
前記中間層が、アルギニン化合物及びポリアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む(((6)))に記載の樹脂組成物。
(((8))) 前記生分解性樹脂が、ポリヒドロキシアルカン酸及びセルロースアシレートからなる群から選択される少なくとも1種を含む(((1)))~(((7)))のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
(((9))) 前記ポリヒドロキシアルカン酸がポリ乳酸である(((8)))に記載の樹脂組成物。
(((10))) 樹脂組成物全体に対する、前記セルロース粒子の含有量が0.5質量%以上34質量%以下である(((1)))~(((9)))のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
(((11))) 前記生分解性樹脂の質量に対する、前記セルロース粒子の質量の比(セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量)が0.005以上0.5以下である(((1)))~(((10)))のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
(((12))) 生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有し、
結晶化度が60%以上である樹脂組成物。
(((13))) (((1)))~(((12)))のいずれか1つに記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
(((1)))に係る発明によれば、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有する樹脂組成物において、前記セルロース粒子の真球度が0.9未満である場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((2)))に係る発明によれば、セルロース粒子の平均粒子径が1μm未満又は10μm以上である場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((3)))に係る発明によれば、セルロース粒子の平均粒子径が1μm未満又は5μmを超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((4)))に係る発明によれば、セルロース粒子の粒度分布GSDvが1.7を超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((5)))に係る発明によれば、セルロース粒子の表面平滑度が50%未満又は99%を超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((6)))に係る発明によれば、セルロース粒子を被覆する被覆層を有し、前記被覆層がカルナバロウを含む場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((7)))に係る発明によれば、セルロース粒子表面と、前記被覆層と、の間に中間層を有し、
前記中間層が、ポリビニルアルコールを含む場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((8)))に係る発明によれば、生分解性樹脂が、ポリブチレンサクシネート又はポリカプロラクタムを含む場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((9)))に係る発明によれば、ポリヒドロキシアルカン酸がポリ乳酸以外である場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((10)))に係る発明によれば、樹脂組成物全体に対する、前記セルロース粒子の含有量が0.5質量%未満又は34質量%を超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((11)))に係る発明によれば、生分解性樹脂の質量に対する、前記セルロース粒子の質量の比(セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量)が0.005未満又は0.5を超える場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((12)))に係る発明によれば、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有する樹脂組成物において、結晶化度が60%未満である場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。
(((13)))に係る発明によれば、生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有するし、前記セルロース粒子の真球度が0.9未満である樹脂組成物又は結晶化度が60%未満である樹脂組成物を含有する場合と比較して、生分解性及び耐熱性が高い樹脂組成物が提供される。

Claims (13)

  1. 生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有し、
    前記セルロース粒子の真球度が0.9以上である樹脂組成物。
  2. 前記セルロース粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記セルロース粒子の平均粒子径が1μm以上5μm以下である請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記セルロース粒子の粒度分布GSDvが1.7以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  5. 前記セルロース粒子の表面平滑度が50%以上99%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 前記セルロース粒子を被覆する被覆層を有し、
    前記被覆層が直鎖飽和脂肪酸、直鎖飽和脂肪酸金属塩及びアミノ酸系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 前記セルロース粒子表面と、前記被覆層と、の間に中間層を有し、
    前記中間層が、アルギニン化合物及びポリアミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記生分解性樹脂が、ポリヒドロキシアルカン酸及びセルロースアシレートからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の樹脂組成物。
  9. 前記ポリヒドロキシアルカン酸がポリ乳酸である請求項8に記載の樹脂組成物。
  10. 樹脂組成物全体に対する、前記セルロース粒子の含有量が0.5質量%以上34質量%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  11. 前記生分解性樹脂の質量に対する、前記セルロース粒子の質量の比(セルロース粒子の質量/生分解性樹脂の質量)が0.005以上0.5以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  12. 生分解性樹脂と、セルロース粒子と、を含有し、
    結晶化度が60%以上である樹脂組成物。
  13. 請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
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