JP2023142606A - 水電解用隔膜基材及び水電解用隔膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】高分子樹脂と隔膜基材とを複合した水電解用隔膜に好適に用いられる基材、およびこれを含む水電解用隔膜を提供する。【解決手段】ポリフェニレンサルファイド繊維を含む織物または不織布と、0.005質量%以上0.200質量%以下の油分とを含む水電解用隔膜基材とする。【選択図】なし

Description

本発明は、水電解用隔膜基材、およびこれを含む水電解用隔膜に関するものである。
ポリフェニレンサルファイドは高い耐熱性、耐薬品性に加えて、優れた力学物性や成型加工性を有していることから、金属代替材料や極限環境下に耐え得る材料として広く使用されている。ポリフェニレンサルファイド繊維についてもこの特性を活かし、バグフィルター、抄紙カンバス、電気絶縁紙、電池セパレータおよび各種隔膜などの用途に使用されている。特にクリーンなエネルギー源として注目されている、水素に関する用途が拡大しており、水電解用隔膜、燃料電池隔膜、およびこれら隔膜基材としての利用が知られている。水電解用隔膜としては、OHイオンを透過する隔膜を用い、高濃度のアルカリ溶液内で電気分解を行うアルカリ型と、Hイオンを透過する隔膜を電解質膜として用い、純水内で電気分解を行う高分子電解質膜型が主流となっているが、いずれの場合も、耐熱性、耐薬品性、強度の観点から、ポリフェニレンサルファイド繊維が好適に用いられている。
例えば、ポリフェニレンサルファイド繊維の耐熱性や耐薬品性を活用した織物による電解用隔膜が検討されている(例えば、特許文献1参照)。また、ポリフェニレンサルファイド繊維を隔膜基材として、さらに高分子樹脂を塗工して隔膜基材と高分子樹脂を複合したアルカリ水電解用隔膜も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008-088449号公報 特開2018-197398号公報
特許文献1の技術では、残留油分を0.005%以下とすることで、電解用隔膜として使用した場合、泡立ちを抑制することができる。しかし織物単独の隔膜はガスバリア性が低いため、電解時に水素と酸素が混合しないよう、電極の位置に制約などが生じる。
これに対し、特許文献2のような高分子樹脂と隔膜基材とを複合した隔膜は、各電極から発生する気体の混合に対する課題を改善できることに加え、隔膜基材による補強効果も期待できる。しかし、本発明者らの検討によると、高分子樹脂と隔膜基材との間に空隙が生じるなどして期待する強度が得られず、電解効率も低下する場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高分子樹脂と隔膜基材とを複合した水電解用隔膜に好適に用いられる隔膜基材、およびこれを含む水電解用隔膜を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するために、次のような手段を採用する。
(1)ポリフェニレンサルファイド繊維を含む織物または不織布と、0.005質量%以上、0.200質量%以下の油分とを含む水電解用隔膜基材。
(2)前記織物がポリフェニレンサルファイドモノフィラメントを含む(1)に記載の水電解用隔膜基材。
(3)前記ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントの繊度が3.00dtex以上、50.00dtex以下である(2)に記載の水電解用隔膜基材。
(4)前記織物のカバーファクターが500以上、3000以下である(1)~(3)のいずれかに記載の水電解用隔膜基材。
(5)前記織物のオープニングエリアが30%以上、85%以下である(1)~(4)のいずれかに記載の水電解用隔膜基材。
(6)前記不織布が、延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維と未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維とを含む湿式不織布である(1)に記載の水電解用隔膜基材。
(7)前記延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維と前記未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維の繊度が0.05dtex以上、3.00dtex以下である(6)に記載の水電解用隔膜基材。
(8)厚さが5μm以上、220μm以下である(1)~(7)のいずれかに記載の水電解用隔膜基材。
(9)前記ポリフェニレンサルファイド繊維の扁平率が1以上、20以下である繊維を含む(1)~(8)のいずれかに記載の水電解用隔膜基材。
(10)(1)~(9)のいずれかに記載の水電解用隔膜基材と高分子樹脂とを含む水電解用隔膜。
(11)親水性無機粒子をさらに含む(10)に記載の水電解用隔膜。
(12)厚さが35μm以上、600μm以下である(10)または(11)に記載の水電解用隔膜。
本発明の水電解用隔膜基材は、上記の構成を備えることにより、高分子樹脂と複合して、これまでより強い強度を有し、好適な加工性や電解効率向上等が期待できる。また本発明の水電解用隔膜は、優れた強度を有する。
本発明の水電解用隔膜基材は、耐熱性、耐薬品性、強度の観点から、ポリフェニレンサルファイド繊維を含む。ポリフェニレンサルファイド繊維を構成するポリフェニレンサルファイドは-(C-S)-を主な単位とする重合体であり、p-フェニレン単位の他、m-フェニレン単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位を含んでいてもよく、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物であってもよい。耐熱性、加工性の観点からポリフェニレンサルファイドとしては、p-フェニレン単位を90モル%以上含有することが好ましい。
本発明において繊維の断面形状としては特に制限がなく、丸型、扁平型、三葉、八葉、中空、C型、スリットといった形状が例示できる。異型断面にすることで物理的な絡み合いを増加させ、不織布の場合は強度を向上させたり、薄膜化させたりすることができる。薄膜化の観点からは扁平糸が含まれることが好ましく、扁平糸の扁平率は1以上20以下であることが好ましい。1.5以上であることがより好ましい。また、15以下であることがより好ましい。また、50質量%以上の繊維が扁平糸であることがさらに好ましい。
本発明の水電解用隔膜基材は、油分を含む。本発明でいう油分とは特に限定されないが、例えばアクリル系油剤、シリコーン系油剤、変性シリコーン系油剤、脂肪酸エステル系油剤、アミン塩類等、ウレタン系油剤などが挙げられる。一般に油剤が製造工程中で付与された場合、精練などで最終的に除去される。しかし本発明においては、油分量が0.005質量%以上0.200質量%以下の範囲で含まれる。油分量をこの範囲とすることで、本発明の水電解用隔膜基材と高分子樹脂溶液とのなじみ性が向上し、高分子樹脂と水電解用隔膜基材との間の空隙が減少し、アンカー効果等により強度が向上する。これにより、水電解効率の向上が期待できる。油分量が0.005質量%より少ない場合、高分子樹脂溶液とのなじみ性が不十分となり、期待する効果が発現しない。好ましくは、0.010質量%以上であり、より好ましくは0.020質量%以上である。また、0.200質量%より多い場合、水電解用隔膜基材と高分子樹脂との接着性が低下したり、油分により抵抗が高くなったりするなどして、強度が低下し、さらに電解効率が低下する可能性がある。好ましくは0.180質量%以下であり、より好ましくは0.150質量%以下である。なお本発明において油分量は、JIS L 1095(2010)の9.30.2メタノール抽出法に記載される方法に準じて、具体的には実施例に記載の方法で測定する。
本発明の水電解用隔膜基材の形態は、織物または不織布である。織物や不織布は、目付、密度、強度のばらつきが小さく、薄膜化が容易であるため好ましい。
本発明の水電解用隔膜基材は、厚さが5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。厚さを5μm以上とすることで、強度が向上し、水電解用隔膜として高い補強効果が得られる。また、220μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。厚さを220μm以下とすることで、抵抗を抑制でき、電解効率が向上する。
本発明の水電解用隔膜基材における単位面積あたりの質量(g/m)(以下、水電解用隔膜基材においても「目付」と称する場合がある)は、上記厚さが満足できる範囲にすればよいが、3g/m以上であることが好ましく、5g/m以上であることがより好ましい。また、100g/m以下であることが好ましく、80g/m以下であることがより好ましい。なお、本発明における単位面積あたりの質量は、織物または不織布の目付および油分に加え、その他の薬剤、例えば無機粒子等が含まれる場合はその質量も含むものである。
本発明の水電解用隔膜基材は、JIS R 3257(1999)で測定される水の接触角が0°以上であることが好ましい。また90°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましい。接触角をこの範囲にすることで、水電解用隔膜基材と高分子樹脂溶液のなじみ性を向上させることができる。なお接触角が0°とは、液滴が水電解用隔膜基材に接触した瞬間に、全て吸収される状態を指す。
上記範囲の接触角を得る方法としては、親水性樹脂塗工、コロナ処理、プラズマ処理、熱濃硫酸による酸化処理、熱濃硫酸とクロム酸を併用する酸化処理、フッ酸による酸化処理等が挙げられるが、強度保持と長期耐久性の観点から、熱濃硫酸とクロム酸を併用する酸化処理であることがより好ましい。
本発明において、織物の組織は、平織、模紗織、からみ織、綾織、朱子織であることが好ましく、厚み、目ずれの観点から、平織、模紗織、からみ織がより好ましい。
本発明において、織物は、経糸の繊度(dtex)0.5×経糸本数(本/25.4mm)+緯糸の繊度(dtex)0.5×緯糸本数(本/25.4mm)で計算されるカバーファクターが、500以上3000以下であることが好ましい。カバーファクターを500以上とすることで、高いガスバリア性が発揮され、水電解用隔膜とした際、水素と酸素の混合をより抑制することができる。700以上であることがより好ましい。また、カバーファクターを3000以下とすることで、イオン透過性を向上させることができ、電解効率の向上が期待できる。より好ましくは2500以下である。
本発明において、織物は、構成繊維としてポリフェニレンサルファイドから成るモノフィラメントを含むことが好ましい。またポリフェニレンサルファイドモノフィラメントの繊度は3.00dtex以上50.00dtex以下であることが好ましい。繊度を3.00dtex以上とすることで、強力が向上し、製織時の糸切れ抑制による生産性向上、隔膜形成時の補強効果向上、といった効果が期待できる。より好ましくは5.00dtex以上である。また、繊度を50.00dtex以下とすることで、織物の厚さを抑制し、抵抗を抑制して電解効率の向上が期待できる。より好ましくは40.00dtex以下である。
本発明において、織物には、本発明の効果を妨げない範囲であれば、ポリフェニレンサルファイド繊維以外の繊維を混合することができる。混合する繊維成分は、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル系ポリマー、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、液晶ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、等を挙げることができる。これらは単独で使用しても、2種類以上を同時に使用してもよい。また繊維形態としては特に限定されず、例として、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡績糸等が挙げられ、モノフィラメント形態以外のポリフェニレンサルファイド繊維を含んでもよい。
本発明において、織物のオープニングエリアは、30%以上85%以下であることが好ましく、40%以上75%以下がより好ましい。オープニングエリアを30%以上とすることで、抵抗が減少し、電解効率の向上が期待できる。また、オープニングエリアを85%以下とすることで、目ずれを抑制し、強度や抵抗の均一性が向上して、電解効率の向上や破断の抑制が期待できる。本発明でいうオープニングエリアは、以下の式により算出できる。
・(経方向のオープニング(μm)×緯方向のオープニング(μm))/((経方向のオープニング(μm)+経方向の繊維径(μm))×(緯方向のオープニング(μm)+緯方向の繊維径(μm)))
ここでオープニングとは各方向の繊維間距離であり、((25400(μm)/糸本数(本/25.4mm))-繊維径(μm))で計算される。繊維がマルチフィラメントの場合は、丸断面のモノフィラメントに換算した直径を繊維径とする。繊維が丸断面ではないモノフィラメントの場合、同一面積の丸断面に換算した直径を繊維径とする。
本発明において、不織布は、湿式不織布であることが好ましい。また、不織布は延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維と未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維を含むことが好ましい。延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維で強度を向上させるとともに、未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維で熱融着させることで、さらに高い強度を発揮することができる。本発明において、延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維や未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維であるかは、示差走査熱量測定(DSC)によるDSC曲線から低温結晶化ピークおよび融解ピークを読み取り、結晶化度を算出することで判別することができる。具体的には実施例記載の方法により求める。
延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維は、不織布の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましい。延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維を90質量%以下とすることで、未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維による熱融着等により、高い強度が得られる。延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維を10質量%以上とすることで、耐アルカリ性、耐酸性、耐熱性を向上させることができる。
未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維は、不織布の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましい。未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維を10質量%以上とすることで、熱融着等により、不織布を高い強度とすることができる。また、90質量%以下とすることで、乾燥工程におけるドライヤーへの貼りつき等が抑制され、生産性が向上する。
未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維は、メルトフローレート(MFR)が150g/10分以上1000g/10分以下であることが好ましい。MFRをこの範囲にすることで、熱融着時に非熱溶融繊維間に流れ込み、高い強度を得ることができる。MFRが150g/10分以上とることで、流動性により、熱融着時に主体繊維間により流れ込み、バインダー効果が向上する。MFRを1000g/10分以下とすることで、紡糸時の糸切れが抑制され、生産効率が向上する。
本発明において、不織布には、本発明の効果を妨げない範囲であれば、延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維や未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維以外に、他の繊維を混合することができる。混合する他の繊維の成分は、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル系ポリマー、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、液晶ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、等を挙げることができる。これらは2種類以上を混合してもよい。
本発明において、不織布に含まれる短繊維の繊度は、0.05dtex以上3.00dtex以下であることが好ましい。繊度を0.05dtex以上とすることで、抄紙時の濾水性が良好になり、生産性が向上する。繊度を3.00dtex以下とすることで、粗大孔を抑制しガスバリア性が向上する。
不織布に含まれる短繊維の繊維長は、0.5mm以上24mm以下であることが好ましい。繊維長を0.5mm以上とすることで、繊維同士の絡み合いが増加し、不織布の強度が向上する、繊維長を24mm以下とすることで、水への分散性が向上し、抄紙が容易となる。
不織布に含まれる繊維は、2山/25mm以上10山/25mm以下の捲縮を有することが好ましい。この範囲の捲縮を有することで、物理的な絡み合いを増加させ、抄紙時の湿紙強度や乾燥強度を向上させることができる。捲縮を2山/25mm以上とすると、強度が向上し、10山/25mm以下とすると、水中の分散性が向上して、目付や密度のばらつきが減少する。本発明において捲縮数は繊維長が25mm未満の場合は、繊維長が25mm以上の際に求めた数字を用いる。
また不織布に含まれる繊維は、フィブリル化されていてもよい。繊維をフィブリル化することで、物理的な絡み合いを増加させ、抄紙時の湿紙強度や乾燥強度を向上させることができる。フィブリル化の程度は特に限定されないが、強度向上効果、生産性を考えると、カナディアンフリーネステスターで測定される叩解度が100mLから700mLであることが好ましい。
本発明の水電解用隔膜は、本発明の水電解用隔膜基材と高分子樹脂とを含む。高分子樹脂としては、水電解用隔膜に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等を挙げることができる。これらは単独で使用しても、2種類以上を同時に使用してもよい。
上記のなかでもポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンが好ましい。これらの樹脂であれば、構造内に分解されやすいエステルやアミドなどを有していないため、化学的な安定性を発揮し、優れた耐熱性、耐アルカリ性、耐酸性を示す。また、本発明の水電解用電極基材となじみ性が良いので好ましい。
高分子樹脂には、親水性無機粒子を含むことが好ましい。親水性無機粒子を含むことで、発生したガスを透過しづらくし、かつOHイオン透過性を向上することができる。本発明において親水性無機粒子とは、水に対して親和性があれば特に限定されず例えば、酸化ジルコニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ビスマス、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、リン酸化亜鉛が挙げられ、OHイオン透過性の観点から、酸化ジルコニウムが好ましい。またこれらの親水性無機粒子は、2種以上の成分から成る粒子でもよい。
本発明の水電解用隔膜における表面は、JIS R 3257(1999)で測定される水の接触角が0°以上90°以下であることが好ましい。接触角をこの範囲にすることで、電解利用時、発生したガスが樹脂に付着しづらくなり、高いガスバリア性を発揮することができる。
上記範囲の接触角を得る方法としては、親水性無機粒子混合、親水性樹脂塗工、コロナ処理、プラズマ処理、熱濃硫酸による酸化処理、熱濃硫酸とクロム酸を併用する酸化処理、フッ酸による酸化処理等が挙げられるが、強度保持と長期耐久性の観点から、親水性無機粒子混合、熱濃硫酸とクロム酸を併用する酸化処理であることがより好ましい。親水性無機粒子を混合し、更に前記の親水化処理をしてもよい。
高分子樹脂と水電解用隔膜基材との複合形態は、水電解用隔膜基材に対し、樹脂が片面のみ複合、両面複合、等特に限定されるものではない。
本発明の水電解用隔膜の厚さは、35μm以上600μm以下が好ましく、50μm以上500μm以下がより好ましい。厚さが、35μm以上とすることで、高いガスバリア性が得られる。厚さが600μm以下とすることで、抵抗が抑制され、電解効率の向上が期待できる。
高分子樹脂には、直径2nmから5000nmの孔が複数形成していることが好ましく、20nmから3000nmであることがより好ましい。この範囲の大きさの微多孔を形成させることで、ガスバリア性を維持しつつ、OHイオン透過性を向上させることができる。
次に、本発明の水電解用隔膜基材および水電解用隔膜の製造方法の一例を述べるが、特にこれに限定されるものではない。
本発明において、ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
また、扁平糸とする場合、扁平型に直接紡糸する方法、海島型で紡糸した後海成分を溶出して扁平型の島成分を得る方法、丸型糸で抄紙後カレンダー加工して扁平型にする方法等が挙げられるが、特に制限はない。
本発明において、織物の製造方法は、本発明の効果を妨げない範囲であれば、特に制限されない。例えば、上述した方法により得たポリフェニレンサルファイド繊維を用い、経糸用の整経を行い、スルーザー織機やレピア織機で製織できる。織物設計により、適宜カバーファクターやオープニングエリアを制御できる。また、必要であれば精練処理を行い、180℃から220℃で熱セットすることができる。
本発明において、不織布の製造方法は、本発明の効果を妨げない範囲であれば、特に制限されない。好ましい不織布である湿式不織布の製造方法として、以下の方法を例示することができる。
原料となる繊維を水に分散し、必要に応じて分散液や消泡剤等を加えた抄紙原液を調製する。その後に、抄紙原液を抄紙機に通じて漉き上げて抄紙し、更に必要に応じてカレンダー加工を行う。抄紙機は、一般的な構造のものであれば採用することができる。抄紙機としては、円網、長網および短網のいずれでもよい。各方式で得られた湿紙をベルト上に転写し、水を絞りつつ抄紙機とそれに付属するドライヤーパートを用いることができる。ドライヤーパートにおいては、ベルト上に転写した湿紙を2つのベルト間に挟んで水を絞り、回転ドラムにて乾燥する工程や多筒式ドライヤーにて乾燥する工程を用いることができる。乾燥温度は、90から135℃とすることが好ましい。なぜなら、この温度範囲であると、水分を効率よく除去できるためである。
本発明の織物、湿式不織布の巾は、300から5000mmであることが好ましい。巾が300mm以上とすることで生産性が向上し、5000mm以下とすることで物性のばらつきを抑制することが容易となる。
本発明において油分を付着させる方法は特に限定されないが、構成する繊維の状態で、油分を付与されていることが製造安定性の観点から好ましい。すなわち、繊維の状態から付与することにより、本発明の水電解用隔膜基材となった場合に本発明の効果を奏すると共に、それに至る製造プロセスにおいても製造安定性が期待できる効果を奏する。例えば、紡糸性、織物における製織性、不織布における分散安定性、等が期待できる。高分子樹脂とのなじみ性が損なわれない限り、油分の成分は特に限定されないが、例としてアクリル系油剤、シリコーン系油剤、変性シリコーン系油剤、脂肪酸エステル系油剤、アミン塩類等が挙げられる。勿論、織物や不織布とした後に付与してもよい。
油分は、最終的に油分量が、本発明における油分量の範囲になるように付与することが好ましい。製造プロセスの各段階における付与量は特に限定されず、織物や不織布など形態や工程に応じて適宜調整することができる。
例えば織物を製造する場合、製織性の観点から、本発明における油分量の範囲より多く付与することも可能で、その場合は油分量が本発明の範囲に入るよう、製織後に精練処理などにより一部除去するなどして調整すればよい。ここで精練処理の方法は特に限定されないが、非イオン性界面活性剤と炭酸ナトリウムを水に溶解させ、60℃から80℃で、20分処理する方法が挙げられる。
また、湿式不織布を製造する場合、短繊維を分散させる必要があるため、親水性油分を分散前に付与されていることが好ましい。親水性油分が付与されていることで、水中への分散性が向上し、抄紙時に密度、目付、強度のばらつきを抑えることができる。
ここで親水性油分としては、分散性、残留性、高分子樹脂とのなじみ性を考慮すると、親水化ポリウレタン樹脂が好ましいが、上記性能を満足できる油分であれば特に限定されず、アルコールにアルキレンオキサイドを付加させた非イオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩といったカチオン性界面活性剤、カルボン酸塩やスルホン酸塩といったアニオン性界面活性剤、アミノ酸やベタインといった両性界面活性剤等が使用できる。
親水性油分の付与量は、抄紙後の油分量が、本発明における油分量の範囲になるように付与することが好ましいが、後から調整できるため特に限定されない。生産性の観点から、多くの親水性油分を付与することも可能で、その場合は最終的に油分量が本発明の範囲に入るよう、抄紙後に少ない場合にはさらに添加し、多い場合には精練処理するなどして調整すればよい。ここで精練処理としては、上述した方法が例示できる。
本発明の水電解用隔膜は、本発明の水電解用隔膜基材に高分子樹脂を塗工することにより製造することができる。例えば、高分子樹脂と溶媒と、好ましくは親水性無機粒子とを含有する溶液を調整した後、本発明の水電解用隔膜基材にその溶液を塗工し、ついで高分子樹脂を固化させる方法が例示できる。固化させる方法は高分子樹脂の性質によって適宜使い分けることができるが、例えば、湿式凝固、乾式凝固などが例示できる。
本発明においては、上述のとおり微多孔を有することが好ましいが、その形成方法は特に限定されない。例えば、前記のポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン等の高分子樹脂を、N―メチル―2―ピロリドンやN,N―ジメチルホルムアミドといった溶媒に溶解させた液を補強材へコーティングした後、水蒸気や水と接触させることで溶媒を置換することで形成させる方法が挙げられる。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、様々な変形や修正が可能である。なお、本実施例で用いる各種特性の測定方法は、以下のとおりである。
[単繊維繊度と繊維長]
単繊維繊度は、JIS L 1015(2010年)8.5.1A法に準じて測定した。また繊維長はJIS L 1015(2010年)8.4.1C法(直接法)に準じて測定した。なお、試料の繊維長が上記JIS L 1015(2010年)8.4.1C法(直接法)に規定される長さに満たない場合、繊維を伸長せずにまっすぐに伸ばして暫定長にカットし、長さ(mm)×本数=9000±900となる本数を一組とし、その質量と一組分の総長から見掛け繊度を求めた。
[捲縮数]
JIS L 1015(2010年)8.12に示される方法を基に捲縮数(個/25mm)を測定した。試料原綿を、紙片上に、捲縮試験機のつかみ間の距離(空間距離)に対して25±5%の緩みをもたせて両端を接着剤で貼り付けて固着させた。この試料を1本ずつ、捲縮試験機のつかみに取り付け、紙片を切断した後、試料に初荷重1.8mg×繊度(dtex)をかけたときの、つかみ間の距離(空間距離)(mm)を読み、そのときの捲縮数を数え、25mm間当たりの捲縮数を求め20回の平均値を算出した。水電解用隔膜基材を構成する繊維を測定する際は、破断しないよう繊維を水電解用隔膜基材から抜き、同様に測定した。なお、繊維長が上記JIS L 1015(2010年)に規定する範囲に満たない場合、1本の繊維中に少なくとも捲縮一つ分(例えば一つの山頂から隣の山頂まで)、または、捲縮1/2分(すなわち一つの山頂から隣の谷底まで)を含む繊維を測定に供するものとし、25mmあたりの捲縮数に換算するものとする。測定数は前者(1本の繊維中に少なくとも捲縮一つ分を含む繊維)の場合、20回とし、後者(1本の繊維中に捲縮1/2分を含む繊維)の場合、40回とした。
[単位面積あたりの質量(目付)]
JIS P 8124(2011年)に規定される坪量の測定方法に準じて、20cm×25cmの試験片を経方向、緯方向にそれぞれ5枚採取し、標準状態(20℃、65%相対湿度)におけるそれぞれの質量(g)を量り、1m当たりの平均質量(g/m)で表した。
[厚さ]
小数点以下2桁ではなく3桁にまるめる以外は、JIS P 8118(2014年)に準じて、60mm×60mmの試験片を経方向、緯方向にそれぞれ5枚採取し、標準状態(20℃、65%相対湿度)におけるそれぞれの平均厚さをμm単位の整数で示した。
[引張強力]
JIS P 8113(2006年)に準拠した方法で、経方向、緯方向をそれぞれ測定した。
[MFR]
JIS K 7210-1に準拠した方法で測定した。
[油分量]
小数点以下2桁ではなく3桁にまるめる以外は、JIS L 1095(2010)の9.30.2メタノール抽出法に記載される方法に準じて測定した。
[ポリフェニレンサルファイド繊維の延伸、未延伸の判定]
示差走査熱量測定(DSC)によるDSC曲線から低温結晶化ピークおよび融解ピークを読み取ることで、次式より結晶化度を算出した。
結晶化度=(融解熱-結晶化熱)/結晶融解熱×100(%)
一般に、PPSの結晶融解熱は146.2J/gとして計算する。
[扁平率]
扁平率は、単繊維横断面の長径/短径の値で示される。ここでいう長径とは、該繊維横断面における最も長い部分の長さをいい、短径とは、該繊維断面内で長径とほぼ直交する方向のうち最も長い部分の長さをいう。光学顕微鏡観察により、織物断面の経方向、緯方向それぞれ20本について、又は不織布の経方向の断面から40本について、単繊維横断面を観察して長径/短径を算出し、その平均値を扁平率とした。
[カバーファクター]
セット後、JIS L 1096(2010年)8.6.1A法に準じて経、緯それぞれの本数(本/25.4mm)を算出し、経糸の繊度(dtex)0.5×経糸本数(本/25.4mm)+緯糸の繊度(dtex)0.5×緯糸本数(本/25.4mm)に従ってカバーファクターを計算した。
[オープニングエリア]
セット後、JIS L 1096(2010年)8.6.1A法に準じて経、緯それぞれの本数(本/25.4mm)を算出し、((25400(μm)/各方向の本数(本/25.4mm))-繊維径(μm))からオープニングを算出し、(経方向のオープニング(μm)×緯方向のオープニング(μm))/((経方向のオープニング(μm)+経方向の繊維径(μm))×(緯方向のオープニング(μm)+緯方向の繊維径(μm)))に従いオープニングエリアを算出した。
[実施例1]
MFRが165g/10分の粉粒体状のポリフェニレンサルファイドペレットを用い、紡糸温度320℃、単孔吐出量3.9g/minで溶融紡糸した。次いで向かい合う一対の対面した給油ガイドで油分を給油した。なお、紡糸油剤は、平滑剤成分として平均分子量3200である水溶性ポリエーテル変性シリコーン1質量%と脂肪酸アルキルエステル64質量%、制電剤としてホスフェート型アミン塩7質量%、乳化剤として多価エステル28質量%からなる紡糸油剤を、5質量%の濃度でエマルジョン化したもので、繊維質量あたり、固形分で0.65質量%となるように塗布した。その後この未延伸糸を100℃に加熱した第1ローラーと200℃に加熱した第2ローラー間で延伸することで、22.00dtexのポリフェニレンサルファイドモノフィラメントを得た。
この繊維を縦方向、緯方向に用い、スルーザー型織機を用い、経方向、緯方向いずれもメッシュ数が136本/25.4mm、カバーファクターが1276になるよう製織した。次いで精練剤として明成化学工業株式会社製“グランアップ”(登録商標)US-20を水質量に対して0.5g/L加えた浴に上記織物を入れ、70℃で20分精練処理、水洗して油分量を調整し、200℃で1分セットすることで、目的のメッシュ織物1を得た。
得られたメッシュ織物1は、油分量0.032質量%、オープニングエリア55%、カバーファクター1285、厚さ84μm、経方向の引張強力3.70kN/m、緯方向の引張強力2.70kN/m、目付24g/m、扁平率1.15だった。
[実施例2]
精練処理をしないこと以外は、実施例1と同様の方法でメッシュ織物2を得た。
得られたメッシュ織物2は、油分量0.140質量%、オープニングエリア55%、カバーファクター1280、厚さ82μm、経方向の引張強力3.64kN/m、緯方向の引張強力2.60kN/m、目付23g/m、扁平率1.15だった。
[実施例3]
MFRが225g/10分の粉粒体状のポリフェニレンサルファイドペレットを溶融紡糸して巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を温度95℃の温水浴中を通過させて延伸し、親水性油分として吉村油化学株式会社製“テキサノール”(登録商標)PE-10Fを4質量%に調整したものを繊維質量あたり固形分で0.2質量%塗布し、捲縮を施してカットし、単繊維繊度0.90dtex、カット長6mm、捲縮数6山/25mmの延伸ポリフェニレンサルファイド繊維原綿を得た。また、紡糸、巻き取り後、温水浴を通過させて延伸する工程を行わず、親水性油分として吉村油化学(株)製“テキサノール”(登録商標)PE-10Fを4質量%に調整したものを繊維質量あたり固形分で0.2質量%塗布し、捲縮を施してカットし、単繊維繊度2.20dtex、カット長6mm、捲縮数6山/25mmの未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維原綿を得た。
得られた延伸、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維原綿を、質量比率1:1にて、分散剤として吉村油化学株式会社製“テキサノール”(登録商標)PE-10Fを、繊維質量に対して固形分で0.1質量%加えて10分間攪拌して繊維を水に分散させた。また再凝集を防ぐため、粘剤である明成化学工業株式会社製“メイパム”を、水の質量に対して2ppmとなるよう抄紙網投下直前工程に加え、均一に分散させた後、傾斜短網抄紙機を用いて乾燥後の目付が40g/mとなるよう湿紙ウェブを形成し、130℃のヤンキードライヤーで乾燥した。
得られた原紙に、金属ロール、弾性ロールを有するカレンダーで、金属ロール温度が220℃、線圧490N/cmの条件でカレンダー処理した。
次いで精練剤として明成化学工業株式会社製“グランアップ”(登録商標)US-20を水質量に対して0.5g/L加えた浴に上記織物を入れ、70℃で20分精練処理、水洗して油分量を調整し、100℃で2分乾燥することで、湿式不織布1を得た。
得られた湿式不織布1は、油分量0.040質量%、厚さ95μm、経方向の引張強力1.30kN/m、緯方向の引張強力0.705kN/m、目付39g/m、扁平率2.26だった。
[実施例4]
精練処理をしないこと以外は、実施例3と同様の方法で湿式不織布2を得た。
得られた湿式不織布2は、油分量0.061質量%、厚さ92μm、経方向の引張強力1.30kN/m、緯方向の引張強力0.660kN/m、目付39g/m、扁平率2.77だった。
[実施例5]
抄紙時、乾燥後の目付が100g/mとなるよう湿紙ウェブを形成したこと以外は、実施例3と同様の方法で湿式不織布3を得た。
得られた湿式不織布3は、油分量0.036質量%、厚さ194μm、経方向の引張強力5.50kN/m、緯方向の引張強力2.12kN/m、目付101g/m、扁平率2.10だった。
[実施例6]
精練処理をしないこと以外は、実施例5と同様の方法で湿式不織布4を得た。
得られた湿式不織布4は、油分量0.059質量%、厚さ194μm、経方向の引張強力5.58kN/m、緯方向の引張強力2.12kN/m、目付101g/m、扁平率2.07だった。
[比較例1]
紡糸油剤量を繊維質量あたり、固形分で1.0質量%としたこと以外は、実施例2と同様の方法でメッシュ織物3を得た。
得られたメッシュ織物3は、油分量0.220質量%、オープニングエリア55%、カバーファクター1280、厚さ85μm、経方向の引張強力3.60kN/m、緯方向の引張強力2.56kN/m、目付24g/m、扁平率1.12だった。
[比較例2]
延伸、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維のいずれも、親水性油分の塗工量を、繊維質量あたり固形分で0.5質量%とし、抄紙時の分散剤量を繊維質量あたり固形分で1.0質量%としたこと以外は、実施例4と同様の方法で湿式不織布5を得た。
得られた湿式不織布5は、油分量0.230質量%、厚さ92μm、経方向の引張強力1.20kN/m、緯方向の引張強力0.600kN/m、目付40g/m、扁平率2.33だった。
得られたメッシュ織物1、2と、湿式不織布1~4は、メッシュ織物3と湿式不織布5と比較し、高分子樹脂とのなじみ性が良好であった。そのため、複合後の抵抗が低く、電解効率を向上させることができる。

Claims (12)

  1. ポリフェニレンサルファイド繊維を含む織物または不織布と、0.005質量%以上、0.200質量%以下の油分とを含む水電解用隔膜基材。
  2. 前記織物がポリフェニレンサルファイドモノフィラメントを含む請求項1に記載の水電解用隔膜基材。
  3. 前記ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントの繊度が3.00dtex以上、50.00dtex以下である請求項2に記載の水電解用隔膜基材。
  4. 前記織物のカバーファクターが500以上、3000以下である請求項1~3のいずれかに記載の水電解用隔膜基材。
  5. 前記織物のオープニングエリアが30%以上、85%以下である請求項1~4のいずれかに記載の水電解用隔膜基材。
  6. 前記不織布が、延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維と未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維とを含む湿式不織布である請求項1に記載の水電解用隔膜基材。
  7. 前記延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維と前記未延伸ポリフェニレンサルファイド短繊維の繊度が0.05dtex以上、3.00dtex以下である請求項6に記載の水電解用隔膜基材。
  8. 厚さが5μm以上、220μm以下である請求項1~7のいずれかに記載の水電解用隔膜基材。
  9. 前記ポリフェニレンサルファイド繊維の扁平率が1以上、20以下である繊維を含む請求項1~8のいずれかに記載の水電解用隔膜基材。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の水電解用隔膜基材と高分子樹脂とを含む水電解用隔膜。
  11. 親水性無機粒子をさらに含む請求項10に記載の水電解用隔膜。
  12. 厚さが35μm以上、600μm以下である請求項10または11に記載の水電解用隔膜。
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