JP2023142120A - 積層セラミック部品の製造方法及び積層セラミック部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】大気雰囲気下で焼結を行っても、信頼性に優れる積層セラミック部品を製造することができる方法を提供する。【解決手段】積層セラミック部品の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第5工程とを備える。第1工程では、セラミック粉末を含むグリーンシート層と金属粉末を含む内部電極ペースト層とを積層し切断して、内部電極ペースト層の一部が露出した露出面を有するグリーン体を形成する。第2工程では、ガラス成分を含む被覆ペーストを用いて、グリーン体の露出面の少なくとも一部を覆う被覆ペースト層を形成する。第3工程では、第2工程後のグリーン体を焼結して、内部電極を内部に有し露出面の少なくとも一部を覆う被覆層が形成された焼結体を得る。第5工程では、被覆層における露出面の少なくとも一部を覆い、内部電極に電気的に接続された外部電極を形成する。【選択図】図1

Description

本開示は、積層セラミック部品の製造方法及び積層セラミック部品に関し、詳しくは、各種電子機器に用いられる積層セラミック部品の製造方法及び積層セラミック部品に関する。
各種電子機器、電子デバイス等を、雷サージ、静電気等による異常電圧から保護し、また、回路に発生するノイズによる電子機器、電子デバイス等の誤作動を防ぐなどの目的で、バリスタが用いられている。
特許文献1には、複数のセラミック層と、複数の内部電極とを積層してなるセラミック素体と、外部電極とを備え、セラミック層はZnOを主成分とし、副成分として、Prと、Coと、Al、Ga及びInのうち少なくとも1種とを含み、かつ内部電極がAg及びPdを含む積層バリスタが開示されている。また、特許文献1には、前記セラミック素体を得る焼成において、昇温過程の全てにおいて窒素雰囲気下で行われることが記載されている。
特開2007-043133号公報
しかし、特許文献1に記載の方法は、焼結を窒素雰囲気下で行うため、設備投資コストがかさむという不都合がある。また、焼結を、安価に実施できる大気雰囲気下など酸素濃度が比較的大きい雰囲気下で行った場合、積層バリスタの焼結体と内部電極との界面にクラックが入り、このクラックから水分が侵入し易くなることに起因して、耐湿性が低くなったり、V1mA変動係数等で表されるバリスタ特性のばらつきが大きくなったり、電圧非直線指数(α)等で表される電圧非直線性が悪くなったりして、積層バリスタの信頼性が低いものになる可能性があった。
本開示の課題は、大気雰囲気下で焼結を行っても、信頼性に優れる積層セラミック部品を製造することができる方法、及び積層セラミック部品を提供することである。
本開示の一態様に係る積層セラミック部品の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第5工程とを備える。前記第1工程では、セラミック粉末を含むグリーンシート層と金属粉末を含む内部電極ペースト層とを積層し切断して、前記内部電極ペースト層の一部が露出した露出面を有するグリーン体を形成する。前記第2工程では、ガラス成分を含む被覆ペーストを用いて、前記グリーン体の前記露出面の少なくとも一部を覆う被覆ペースト層を形成する。前記第3工程では、前記第2工程後の前記グリーン体を焼結して、内部電極を内部に有し前記露出面の少なくとも一部を覆う被覆層が形成された焼結体を得る。前記第5工程では、前記被覆層における前記露出面の少なくとも一部を覆い、前記内部電極に電気的に接続された外部電極を形成する。
本開示の一態様に係る積層セラミック部品は、焼結体と、前記焼結体の内部に設けられ、その一部が前記焼結体から露出している内部電極と、前記焼結体における前記内部電極の一部が露出している露出面の少なくとも一部を覆うように設けられ、ガラス成分を含む被覆層と、前記被覆層における前記露出面の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記内部電極に電気的に接続された外部電極とを備える。前記被覆層は、その少なくとも一部が前記焼結体と混在している。
本開示によれば、大気雰囲気下で焼結を行っても、信頼性に優れる積層セラミック部品を得ることができる。
図1は、本開示の一実施形態に係る積層セラミック部品の概略の断面図である。 図2は、本開示の他の実施形態に係る積層セラミック部品の概略の断面図である。
1.概要
以下、本開示の一実施形態における積層セラミック部品の製造方法及び積層セラミック部品について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態において説明する図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚みそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の説明では、積層セラミック部品が積層バリスタ1である場合を例に説明を行う。
図1は、本開示の一実施形態に係る積層バリスタ1の概略の断面図であり、図2は、本開示の他の実施形態に係る積層バリスタ1の概略の断面図である。
本実施形態の積層バリスタ1の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第5工程とを備える。第1工程では、セラミック粉末を含むグリーンシート層と金属粉末を含む内部電極ペースト層とを積層し切断して、内部電極ペースト層の一部が露出した露出面を有するグリーン体を形成する。第2工程では、ガラス成分を含む被覆ペーストを用いて、グリーン体の露出面の少なくとも一部を覆う被覆ペースト層を形成する。第3工程では、第2工程後のグリーン体を焼結して、内部電極12を内部に有し露出面の少なくとも一部を覆う被覆層13が形成された焼結体11を得る。第5工程では、被覆層13における露出面の少なくとも一部を覆い、内部電極12に電気的に接続された外部電極14を形成する。
発明者らは、前述の課題を解決すべく鋭意検討を行う上で、ガラス成分を含む被覆ペーストを用いて、グリーン体における内部電極ペースト層が露出した露出面を被覆することによって、得られる積層バリスタ1の信頼性を向上させることができることを見出し、本開示を完成させた。本実施形態の積層バリスタ1の製造方法によれば、クラックの発生を抑制して、耐湿性を向上させることができると共に、バリスタ特性のばらつきを小さくかつ電圧非直線性を向上させることができ、従って、信頼性に優れる積層バリスタ1を得ることができる。
ガラス成分を含む被覆ペーストを用いて、グリーン体の露出面を覆う被覆ペースト層を形成すること(第2工程)により、積層バリスタ1の信頼性を向上できる理由については、必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。積層バリスタ1の信頼性低下の原因の1つは、焼結体11と内部電極12との界面にクラックの起点が生じ易くなり、また、このクラックの起点から内部へクラックの拡大が進行し、クラックを通って水分が侵入するため、耐湿性が低くなることである。このクラックは、大気雰囲気下で焼結を行う際に、内部電極ペースト層において、例えばPd等とPr11等との間の酸化還元反応に起因して起こる膨張収縮によって発生及び拡大すると考えられる。発明者らは、この酸化還元反応の抑制を、被覆ペースト層中の軟化したガラス成分等が露出面から露出した部分の内部電極ペースト層を被覆等することで、大気雰囲気中の酸素が内部電極ペースト層中に移動しにくくすることによって可能にし、水分の内部への侵入を抑制することができたものである。また、前述の内部電極ペースト層における酸化還元反応を抑制することで、クラックの起点の発生及び拡大を抑制すること等によって、内部電極ペースト層において、例えばPr11等の成分の分布が不均一になることが低減され、これにより、バリスタ特性のばらつきや、電圧非直線性についても改善できたものと考えられる。
本実施形態の積層バリスタ1は、図1に示すように、焼結体11と、焼結体11の内部に設けられ、その一部が焼結体11から露出している内部電極12と、焼結体11における内部電極12の一部が露出している露出面の少なくとも一部を覆うように設けられ、ガラス成分を含む被覆層13と、被覆層13における露出面の少なくとも一部を覆うように設けられ、内部電極12に電気的に接続された外部電極14とを備える。被覆層13は、その少なくとも一部が焼結体11と混在している。
本実施形態の積層バリスタ1においては、被覆層13の少なくとも一部が焼結体11と混在している。すなわち、図1及び図2において、「ドット領域」で表現されているように、被覆ペーストが、焼結体11の一部に浸透し拡散して、被覆層13と焼結体11とが混在している領域が形成されている。積層バリスタ1は、被覆層13と焼結体11とが混在している領域を有していることにより、前述の耐湿性、バリスタ特性のばらつき、電圧非直線性等の信頼性が向上していると考えられる。
2.詳細
<積層セラミック部品の製造方法>
本実施形態の積層バリスタ1の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第5工程とを備える。
本実施形態の製造方法は、第3工程後かつ第5工程前に、焼結体11及び被覆層13の少なくとも一部を覆う高抵抗層15を形成する第4工程をさらに備えていてもよい。外部電極14の少なくとも一部を覆うように、めっき電極を形成する第6工程をさらに備えていてもよい。また、第1工程後かつ第2工程前に第A工程として、又は第2工程後かつ第3工程前に第B工程として、グリーン体に含まれるバインダ成分を熱分解する工程をさらに備えていてもよい。本実施形態の製造方法では、第A工程を行うことが好ましく、第B工程を行うことがより好ましい。この場合、積層バリスタ1の信頼性をより向上させることができる。
以下、各工程について説明する。
[第1工程]
第1工程では、グリーンシート層と内部電極ペースト層とを積層し切断して、内部電極ペースト層の一部が露出した露出面を有するグリーン体を形成する。「露出面」とは、グリーン体が有する複数の面(主面、側面、端面等)のうち、内部電極ペースト層の一部が露出している面を意味する。図1及び図2の積層バリスタ1を作製する場合、一対の内部電極ペースト層のそれぞれが露出している一対の面11X、11Yが露出面である。
グリーンシート層は、セラミック粉末を含む。グリーンシート層は、セラミック粉末として、例えば少なくともZnO及びPr11を含む。グリーンシート層は、セラミック粉末として、Co、CaO等をさらに含んでいてもよく、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチルセルロース等のバインダ成分をさらに含んでいてもよい。
グリーンシート層は、例えばセラミック粉末と、バインダ成分、溶媒等の有機成分とを含むスラリーを調製し、このスラリーを、塗工機等を用いて成形することにより作製することができる。グリーンシート層の厚みは、例えば20μm以上50μm以下である。
内部電極ペースト層は、金属粉末を含む。内部電極ペースト層は、金属粉末として、例えば少なくともPdを含み、例えばPd、PdAg等を含む。内部電極ペーストは、Al、In及びGaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を実質的に含まないことが好ましい。内部電極ペーストがこれらの元素を含むと、積層バリスタ1の電圧非直線性が低下する場合がある。「実質的に含まない」とは、その元素は、不可避的に混入する場合を除き、積極的に添加したものでないことを意味する。具体的には、内部電極ペーストがPdを含む場合、これらの元素の含有量が、内部電極ペースト中のPdに対して、0.00001質量%以下であることをいう。
グリーンシート層と、内部電極ペースト層とを積層し、得られた積層物を切断することにより、露出面において内部電極ペースト層の一部が露出しているグリーン体が得られる。具体的には、通常、内部電極ペースト層が形成されたグリーンシート層と、グリーンシート層とを積層し、得られた積層物を積層方向に切断することによりグリーン体を作製することができる。グリーン体の形状は、通常、直方体である。
(第A工程)
第A工程では、第1工程後かつ第2工程前に、グリーン体に含まれるバインダ成分を熱分解する。グリーン体がバインダ成分を含む場合、第A工程として、大気雰囲気下において、例えば室温から500℃まで昇温して脱脂を行うことにより、このバインダ成分が熱分解されて分解ガスが発生し、この分解ガスの還元作用によって、内部電極ペースト層における酸化還元反応の抑制を、第3工程前に行うことができる。
[第2工程]
第2工程では、ガラス成分を含む被覆ペーストを用いて、グリーン体の露出面の少なくとも一部を覆う被覆ペースト層を形成する。
被覆ペーストは、ガラス成分を含む。「ガラス成分」とは、非晶質の物質であり、軟化点を有するものを意味する。ガラス成分としては、例えばホウケイ亜鉛酸ガラス等が挙げられる。被覆ペーストは、ガラス成分以外に、例えばエチルセルロース等のバインダ成分、溶媒等の有機成分などを含んでいてもよい。
ガラス成分の軟化点は、300℃以上500℃以下であることが好ましい。この場合、例えば第A工程等の昇温におけるバインダ成分の熱分解による内部電極ペースト層の酸化還元抑制効果が低減した後でも、軟化したガラス成分の内部電極ペースト層の被覆による酸化還元抑制効果を発揮することができ、その結果、積層バリスタ1の信頼性をより向上させることができる。ガラス成分の軟化点は、450℃以下であることがより好ましく、420℃以下であることがさらに好ましい。「軟化点」とは、昇温により、ガラス成分が変形を始める温度を意味する。
本工程では、被覆ペーストを、グリーン体の露出面の少なくとも一部を覆うように塗布し、被覆ペースト層を形成する。被覆ペースト層は、少なくとも露出面における内部電極ペースト層の露出部分を覆っていることが好ましい。また、被覆ペースト層は、露出面の全面を覆っていることが好ましい。被覆ペースト層は、露出面以外の積層バリスタ1の主面や側面を覆っていてもよい。
(第B工程)
第B工程では、第2工程後かつ第3工程前に、グリーン体に含まれるバインダ成分を熱分解する。グリーン体がバインダ成分を含む場合、第B工程として、大気雰囲気下において、例えば室温から500℃まで昇温して脱脂を行うことにより、このバインダ成分が熱分解されて分解ガスが発生し、この分解ガスの還元作用によって、内部電極ペースト層における酸化還元反応の抑制を、第3工程前に行うことができる。
[第3工程]
第3工程では、第2工程後のグリーン体を焼結して、内部電極12を内部に有し露出面の少なくとも一部を覆う被覆層13が形成された焼結体11を得る。
第3工程におけるグリーン体の焼結は、大気雰囲気下で行うことができる。第3工程は、例えば室温から1200℃まで昇温して行う。焼結を行う時間は、例えば1分以上10時間以下である。
第3工程において、被覆ペースト層中の軟化したガラス成分は、グリーン体の露出面から露出した部分の内部電極ペースト層を被覆すると考えられる。
[第4工程]
第4工程では、焼結体11及び被覆層13の少なくとも一部を覆う高抵抗層15を形成する。積層バリスタ1は、高抵抗層15を形成することにより、作製の際のめっき析出を抑制することができる。
高抵抗層15は、例えば酸化ケイ素、ケイ酸亜鉛、ガラス成分等を含む。高抵抗層15は、例えば酸化ケイ素の前駆体を含有する溶液を塗布する方法、ガラス成分を塗布する方法などにより形成させることができる。
[第5工程]
第5工程では、被覆層13における露出面の少なくとも一部を覆い、内部電極12に電気的に接続された外部電極14を形成する。外部電極14は、少なくともAgを含むことが好ましい。
外部電極14は、例えば被覆層13における露出面の少なくとも一部を覆い、内部電極12の少なくとも一部と接触するように、外部電極ペーストを塗布等した後、焼付等を行うことにより形成することができる。
外部電極ペーストは、例えばAg粉末、AgPd粉末、AgPt粉末等のAg成分を含む。外部電極ペーストは、Ag成分以外に、例えばBi、SiO、B等のガラス成分、樹脂成分、溶媒などを含んでいてもよい。
外部電極ペーストの焼付は、700℃以上800℃以下で行うことが好ましい。この場合、内部電極12とのPd-Ag等の合金化を促進することができ、密着性が向上した外部電極14を形成することができる。
第5工程において、外部電極14として、一次外部電極と、二次外部電極とを形成してもよい。
[第6工程]
第6工程では、外部電極14の少なくとも一部を覆うように、めっき電極を形成する。
めっき電極は、例えば電解めっき法により、Niめっきを行うことによって、又はNiめっき及びSnめっきを順に行うことによって、形成させることができる。
<積層セラミック部品>
本実施形態の積層バリスタ1は、上述の積層バリスタ1の製造方法により製造することができる。積層バリスタ1は、焼結体11と、内部電極12と、被覆層13と、外部電極14とを備えている。
焼結体11は、非直線性抵抗特性を有する半導体セラミックス成分で構成されている。
積層バリスタ1には、内部電極12が少なくとも一対設けられていればよい。図1及び図2の積層バリスタ1では、内部電極12は一対設けられている。つまり、内部電極12は、第1内部電極12Aと、第2内部電極12Bとを含む。
積層バリスタ1には、外部電極14が少なくとも一対設けられていればよい。外部電極14の1つは、1つ又は複数の内部電極12と、電気的に接続されるように設けられる。図1及び図2の積層バリスタ1では、外部電極14は一対設けられている。つまり、外部電極14は焼結体11の一方の露出面11Xに設けられた第1外部電極14Aと、焼結体11の他方の露出面11Yに設けられた第2外部電極14Bとを含む。第1外部電極14A及び第2外部電極14Bの間に電圧が印加された場合、第1外部電極14A及び第2外部電極14Bの一方が高電位側の電極となり、第1外部電極14A及び第2外部電極14Bの他方が低電位側の電極となる。
少なくとも一対の外部電極14は、電気回路が形成されるプリント配線板に実装される。積層バリスタ1は、例えば電気回路の入力側に接続される。第1外部電極14Aと第2外部電極14Bとの間に所定のしきい値電圧を超える電圧が印加されると、第1外部電極14Aと第2外部電極14Bとの間の電気抵抗が急減し、バリスタ層を介して電流が流れるので、積層バリスタ1の後段の電気回路を保護することができる。
積層バリスタ1は、図2に示されるように、焼結体11、内部電極12及び外部電極14以外に、高抵抗層15をさらに備えていることが好ましい。また、積層バリスタ1は、めっき電極をさらに備えていてもよい。
以下、積層バリスタ1の各構成について説明する。
[焼結体]
焼結体11は、これを構成する非直線性抵抗特性を有する半導体セラミック成分として、例えば少なくともZnO及びPr11を含んでいる。焼結体11は、半導体セラミック成分として、例えばCo、CaO等をさらに含んでいてもよい。
[内部電極]
内部電極12は、焼結体11の内部に設けられ、その一部が焼結体11から露出している。内部電極12が一対であり、第1内部電極12A及び第2内部電極12Bを有する場合、図1及び図2に示されるように、第1内部電極12Aの一部が、焼結体11の一方の露出面11Xから露出しており、第2内部電極12Bの一部が、焼結体11の他方の露出面11Yから露出している。
内部電極12は、例えば少なくともPdを含み、例えばPd、Ag-Pd等を含んでいる。内部電極12は、Al、In及びGaからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を実質的に含まないことが好ましい。内部電極12がこれらの元素を含むと、積層バリスタ1の電圧非直線性が低下する場合がある。
[被覆層]
被覆層13は、焼結体11における内部電極12の一部が露出している露出面11X、11Yの少なくとも一部を覆うように設けられている。被覆層13は、露出面11X、11Yのうち、少なくとも内部電極12の一部が露出している部分を覆うように設けられていることが好ましい。被覆層13は、例えばホウケイ亜鉛酸ガラス等のガラス成分を含んでいる。
被覆層13の少なくとも一部は、焼結体11と混在している。すなわち、図1及び図2で「ドット領域」で表現されているように、積層バリスタ1の作製の際に、被覆ペーストが、焼結体11の一部に浸透し拡散したため、被覆層13と焼結体11とが混在している領域が形成されたものである。被覆層13と焼結体11との混在領域は、少なくとも内部電極12の一部が露出している部分を含んで形成されていることが好ましく、少なくとも露出面11X、11Yを含んで形成されていることがより好ましい。
(焼結体におけるZnに対するPrの濃度)
本実施形態の積層バリスタ1は、前述の積層バリスタ1の製造方法により作製されたものであるので、焼結の際に、大気雰囲気中の酸素の内部電極ペースト層への移動が抑制され、内部電極ペースト層において酸化還元反応が抑制された結果、内部電極12がPr11を含む場合、焼結体11において、Pr11の分布の不均一化が抑えられている。
焼結体11中のPr11の分布の不均一化の指標として、図1に示されるように、焼結体11の内部の一対の内部電極12A及び12Bに挟まれた領域において、内部電極12の近傍の領域(以下、近傍部領域11aともいう)におけるZnに対するPrの濃度(Pr濃度(1))の、近傍部領域11aに隣接する領域(以下、隣接領域11bともいう)におけるZnに対するPrの濃度(Pr濃度(2))に対する倍率(Pr濃度(1)/Pr濃度(2))(以下、Pr濃度倍率(倍)ともいう)が挙げられる。つまり、Pr濃度倍率は、近傍部領域11aのPr濃度の、隣接領域11bのPr濃度に対する比(近傍部領域/隣接領域)の値である。近傍部領域11aの内部電極12の法線方向の厚みは、例えば5μmである。隣接領域11bの内部電極12の法線方向の厚みは、例えば10μmである。
従来の大気雰囲気下で焼結を行った積層バリスタ1では、焼成の際に、Pr11の内部電極ペースト層側への移動が起こるため、Pr濃度倍率は大きい値であるが、本実施形態の積層バリスタ1は、Pr11の移動が抑制され、Pr11の分布の不均一化が低減されていると考えられ、Pr濃度倍率の値は小さくなっている。
近傍部領域11a及び隣接領域11bの各領域における「Znに対するPrの濃度」は、積層バリスタ1を、各領域が露出するように切断して得られた断面を、XMA(X線マイクロアナライザー)により分析し、各領域において、Zn又はPrに由来するX線強度を測定することにより、求めることができる。
本実施形態の積層バリスタ1においては、Pr濃度倍率は、3倍以下であることが好ましい。この場合、Pr11の内部電極ペースト層側への移動があまり進行しておらず、Pr11は、一対の内部電極12A及び12Bに挟まれた領域において略均一に存在しているので、積層バリスタ1は、電圧非直線性に優れたものとなる。
Pr濃度倍率は、2倍以下であることがより好ましく、1.5倍以下であることがさらいに好ましく、1.3倍以下であることが特に好ましい。
[高抵抗層]
積層バリスタ1が高抵抗層15を備えている場合、高抵抗層15は、例えば焼結体11の少なくとも一部と被覆層13の少なくとも一部とを覆うように設けられていることが好ましい。高抵抗層15は、焼結体11の全表面を覆うように設けられていることがより好ましい。高抵抗層15は、例えば酸化ケイ素、ケイ酸亜鉛、ガラス成分等を含んでいる。
被覆層13は、露出面11X、11Yにおいて、高抵抗層15と焼結体11との間に介在していることが好ましい。すなわち、高抵抗層15と被覆層13とは混在することなく、それぞれの層を形成していることが好ましい。この場合、積層バリスタ1の作製の際、高抵抗層15により、めっき析出をより抑制することができる。
被覆層13の平均厚みは、高抵抗層15の平均厚みよりも大きいことが好ましい。この場合、高抵抗層15とこの高抵抗層15よりも厚みが大きい被覆層13とにより、外部電極14と高抵抗層15との界面により侵入する水分が、内部電極12と焼結体11との界面を通って侵入して、内部電極12間の特性を劣化させるのを抑制することができ、積層バリスタ1の信頼性をより向上させることができる。「平均厚み」とは、被覆層13(被覆層と焼結体とが混在している領域を含まない)又は高抵抗層15の複数点(例えば任意の10点)について測定した厚みの算術平均値をいう。
[外部電極]
外部電極14は、被覆層13における露出面の少なくとも一部を覆うように設けられている。外部電極14は、内部電極12に電気的に接続されている。
外部電極14は、例えば少なくともAgを含んでおり、例えばAg、AgPd、AgPt等を含んでいる。外部電極14は、Ag以外に、さらに、Bi、SiO、B等のガラス成分を含んでいてもよい。
積層バリスタ1は、外部電極14として、一次外部電極と、一次外部電極の少なくとも一部を覆うように設けられた二次外部電極とを備えていてもよい。すなわち、図2に示されるように、第1外部電極14Aとして、第1一次外部電極14A1と、第1二次外部電極14A2とを備えていてもよく、第2外部電極14Bとして、第2一次外部電極14B1と、第2二次外部電極14B2とを備えていてもよい。
二次外部電極はガラス成分を含むことが好ましい。この場合、外部電極14のシール性を向上させることができる。また、一次外部電極がガラス成分を含まないか、又は一次外部電極が含むガラス成分の含有率(質量%)が、二次外部電極が含むガラス成分の含有率(質量%)よりも小さいことが好ましい。この場合、一次外部電極と内部電極12との接続性をより向上させることができる。
[めっき電極]
めっき電極は、外部電極14の少なくとも一部を覆うように設けられている。めっき電極としては、例えばNiめっき電極、Snめっき電極等が挙げられる。
前記実施形態では、積層セラミック部品が積層バリスタ1であったが、積層セラミック部品は積層バリスタ1に限定されない。積層セラミック部品は、焼結体11における内部電極12の一部が露出している露出面の少なくとも一部を覆うように設けられる被覆層13を備えているものであればよく、サーミスタ、コンデンサ等であってもよい。本開示は、特に、内部電極がPdを含むもの等、作製の際の焼結等を大気雰囲気下で行うことが難しい積層セラミック部品に対し、好適に用いることができる。
以下、本開示を実施例によってより具体的に説明するが、本開示は実施例のみに限定されるものではない。
<積層セラミック部品の製造>
以下の手順により、実施例1~3、比較例1及び参考例1の積層バリスタを製造した。
[焼結体の作製]
(スラリーの調製)
ZnO(98.5質量%)と、Pr11(0.5質量%)と、Co(0.5質量%)と、CaO(0.5質量%)とに、バインダ成分、溶媒等の有機成分を添加して、スラリーを調製した。
(グリーンシート層の作製)
前記調製したスラリーを用い、20μm以上50μm以下の所定の厚みに、塗工機を用いて成形し、グリーンシート層を作製した。
(グリーン体の作製)
前記作製したグリーンシート層に、Pdを含有する内部電極ペーストを所定の形状に印刷し、得られた内部電極ペースト層が形成されたグリーンシート層と、グリーンシート層とを積層し、得られた積層物を積層方向に切断することによりグリーン体を作製した。
(被覆ペーストの調製)
ホウケイ亜鉛酸ガラスと、エチルセルロースと、有機溶媒とを混合し、被覆ペーストを調製した。
(被覆ペースト層の形成)
被覆ペーストを、グリーン体の内部電極層が露出している露出面に塗布することで、被覆ペースト層を形成した。
(バインダ成分の熱分解)
前記形成した被覆ペースト層を、大気雰囲気中、室温から500℃まで昇温することにより、バインダ成分を熱分解させ、脱脂を行った。
(焼結)
前記脱脂を行った後のグリーン体を、表1の「焼結工程の雰囲気」に示す条件で、室温から1200℃まで昇温することにより、露出面から内部電極の一部が露出した焼結体を得た。
(高抵抗層の形成)
前記得られた焼結体の全表面に、SiOを含む高抵抗層を形成した。
(外部電極の形成)
Ag粉末と、ガラスフリットと、溶媒とを混合して、外部電極ペーストを調製した。この外部電極ペーストを、高抵抗層を形成した焼結体における露出面を覆うように塗布した後、800℃で焼付を行うことにより、外部電極を形成した。
(めっき電極の形成)
前記形成した外部電極の表面に、電解めっき法により、所定の厚みにNiめっきを施し、めっき電極を形成した。
<評価>
作製した積層バリスタについて、以下に示す方法により、焼結体と内部電極との界面におけるクラックの有無、変動係数及び電圧非直線性を評価した。また、Pr濃度倍率(Znに対するPrの濃度の近傍部領域における値の隣接領域における値に対する比(隣接領域/近傍部領域))を測定した。
(焼結体と内部電極との界面におけるクラック)
前記作製した積層セラミック部品の焼結体と内部電極との界面において、目視により、クラックの発生の有無を観察した。
(V1mA変動係数)
バリスタ特性のばらつきの指標として、V1mA変動係数を評価した。V1mA変動係数は、V1mA=27Vの積層バリスタについて、電圧(V1mA)の変動の標準偏差(σ)を測定し、V1mA変動係数=σ×100/V1mA(%)の式により算出した。
V1mA変動係数は、1.0%以下である場合は「非常に良好」と、1.0%を超え4.0%以下である場合は「良好」と、4.0%を超える場合は「不良」と評価できる。
(電圧非直線性)
電圧非直線性の指標として、電圧非直線指数(α)を評価した。電圧非直線指数(α)は、電流I1(1mA)を流したときのバリスタ電圧(V1)と、電流I2(0.01mA)を流したときのバリスタ電圧(V2)とを測定し、α=log(I1/I2)/log(V1/V2)の式から算出した。
電圧非直線性は、αの値が大きいほど良好であり、αが30以上である場合は「非常に良好」と、αが14以上30未満である場合は「良好」と、αが14未満である場合は「不良」と評価できる。
(Pr濃度倍率)
Pr濃度倍率は、積層バリスタを、近傍部領域及び隣接領域の各領域が露出するように切断して得られた断面を、XMA(X線マイクロアナライザー)により分析し、各領域において、Zn又はPrに由来するX線強度を測定して、各領域のPr濃度(Pr/Zn)を求め、Pr濃度倍率=近傍部領域におけるPr濃度/隣接領域におけるPr濃度の式から算出した。
Pr濃度倍率は、2倍以下である場合は「非常に良好」と、2倍を超え3倍以下である場合は「良好」と、3倍を超える場合は「不良」と評価できる。
Figure 2023142120000002
表1の結果から、実施例1~3の製造方法で作製された積層セラミック部品は、焼結体と内部電極との界面のクラックが無く、バリスタ特性のばらつきが小さくかつ電圧非直線性に優れ、信頼性に優れることが示された。実施例3の製造方法は、ガラス成分の軟化温度が比較的高いため、Pr濃度倍率が比較的大きくなり、バリスタ特性のばらつき及び電圧非直線性の特性が、実施例1及び実施例2に比べると低くなっている。比較例1の製造方法で作製された積層セラミック部品は、クラックが発生して、耐湿性が低くなり、かつ変動係数及び電圧非直線性が劣っており、信頼性が劣っていた。参考例1の製造方法により作製された積層セラミック部品は、焼結体を作製する焼結を、窒素雰囲気下で行ったものである。
(まとめ)
前記実施形態及び実施例から明らかなように、本開示の第一の態様に係る積層セラミック部品の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第5工程とを備える。第1工程では、セラミック粉末を含むグリーンシート層と、金属粉末を含む内部電極ペースト層とを積層し切断して、内部電極ペースト層の一部が露出した露出面を有するグリーン体を形成する。第2工程では、ガラス成分を含む被覆ペーストを用いて、グリーン体の露出面の少なくとも一部を覆う被覆ペースト層を形成する。第3工程では、第2工程後のグリーン体を焼結して、内部電極層を内部に有し露出面の少なくとも一部を覆う被覆層が形成された焼結体を得る。第5工程では、被覆層における露出面の少なくとも一部を覆い、内部電極層に電気的に接続された外部電極層を形成する。
第一の態様によれば、大気中で焼結を行っても、信頼性に優れる積層セラミック部品を得ることができる。
本開示の第二の態様では、第一の態様において、グリーンシート層が、セラミック粉末として少なくともZnO及びPr11を含み、内部電極ペースト層が、金属粉末として少なくともPdを含む。
第二の態様によれば、大気雰囲気下で焼結を行う場合に、通常起こり得る焼結体中のPr11の分布の不均一化を抑制することができ、その結果、電圧非直線性を向上させることができる。
本開示の第三の態様では、第一又は第二の態様において、ガラス成分の軟化点が、300℃以上500℃以下である。
第三の態様によれば、ガラス成分の軟化点を前記温度範囲とすることで、昇温において、グリーンシート層や被覆ペースト層に含まれるバインダ成分や溶媒等の分解による内部電極ペースト層の酸化還元反応抑制効果が低減する前に、ガラス成分による露出面の被覆による酸化還元反応抑制効果が発現されるため、内部電極ペースト層中の酸化還元反応をより抑制することができ、その結果、積層セラミック部品の信頼性をより向上させることができる。
本開示の第四の態様では、第一から第三のいずれか一の態様において、第1工程後かつ前記第2工程前に、グリーン体に含まれるバインダ成分を熱分解する第A工程をさらに備える。
第四の態様によれば、バインダ成分の熱分解によって発生する還元成分により、内部電極ペースト層における酸化還元反応をより抑制することができ、その結果、積層セラミック部品の信頼性をより向上させることができる。
本開示の第五の態様では、第一から第三のいずれか一の態様において、第2工程後かつ前記第3工程前に、グリーン体に含まれるバインダ成分を熱分解する第B工程をさらに備える。
第五の態様によれば、バインダ成分の熱分解によって発生する還元成分により、内部電極ペースト層における酸化還元反応をより抑制することができ、その結果、積層セラミック部品の信頼性をより向上させることができる。
本開示の第六の態様では、第一から第五のいずれか一の態様において、第3工程において、被覆ペースト層中の軟化したガラス成分が、グリーン体の露出面から露出した部分の内部電極ペースト層を被覆する。
第六の態様によれば、軟化したガラス成分が露出面から露出した部分の内部電極ペースト層を被覆することにより、内部電極ペースト層における酸化還元反応をより抑制することができ、その結果、積層セラミック部品の信頼性をより向上させることができる。
本開示の第七の態様では、第一から第六のいずれか一の態様において、第3工程において、前記グリーン体が大気雰囲気下で焼結される。
第七の態様によれば、設備投資コストが大きい窒素雰囲気下での焼結を要せず、設備投資コストを低減させることができる。
本開示の第八の態様では、第一から第七のいずれか一の態様において、外部電極が、少なくともAgを含む。
第八の態様によれば、内部電極ペースト層のPd等と外部電極のAgとの合金化により、積層セラミック部品の信頼性をより向上させることができる。
本開示の第九の態様では、第一から第八のいずれか一の態様において、第3工程後かつ前記第5工程前に、焼結体及び前記被覆層の少なくとも一部を覆う高抵抗層を形成する第4工程をさらに備える。
第九の態様によれば、作製の際のめっき析出が抑制された積層セラミック部品を得ることができる。
本開示の第十の態様に係る積層セラミック部品は、焼結体11と、焼結体11の内部に設けられ、その一部が焼結体11から露出している内部電極12と、焼結体11における内部電極12の一部が露出している露出面の少なくとも一部を覆うように設けられ、ガラス成分を含む被覆層13と、被覆層13における露出面の少なくとも一部を覆うように設けられ、内部電極12に電気的に接続された外部電極14とを備える。被覆層13は、その少なくとも一部が焼結体11と混在している。
第十の態様によれば、積層セラミック部品の信頼性を優れたものとすることができる。
本開示の第十一の態様では、第十の態様において、焼結体11が、少なくともZnO及びPr11を含み、内部電極12が、少なくともPdを含む。
第十一の態様によれば、大気雰囲気下で焼結を行う場合に、通常起こり得る焼結体中のPr11の分布の不均一化を抑制することができ、その結果、電圧非直線性を向上させることができる。
本開示の第十二の態様では、第十又は第十一の態様において、焼結体11において、内部電極12の近傍部領域におけるZnに対するPrの濃度が、近傍部領域に隣接する領域におけるZnに対するPrの濃度の2倍以下である。
第十二の態様によれば、焼結体11におけるPr11の分布を略均一とすることにより、電圧非直線性をより向上させることができる。
本開示の第十三の態様では、第十から第十二のいずれか一の態様において、外部電極14が、少なくともAgを含む。
第十三の態様によれば、内部電極12のPd等と外部電極14のAgとの合金化により、積層セラミック部品の信頼性をより向上させることができる。
本開示の第十四の態様では、第十から第十三のいずれか一の態様において、焼結体11の少なくとも一部と被覆層13の少なくとも一部とを覆うように設けられた高抵抗層15をさらに備える。露出面において、被覆層13が、高抵抗層15と焼結体11との間に介在している。
第十四の態様によれば、高抵抗層15を形成し、かつ高抵抗層15が被覆層13と混在することなく形成されていることにより、作製の際のめっき析出が抑制された積層セラミック部品とすることができる。
本開示の第十五の態様では、第十四の態様において、被覆層13の平均厚みが、高抵抗層15の平均厚みよりも大きい。
第十五の態様によれば、高抵抗層15とこの高抵抗層15よりも厚みが大きい被覆層13とにより、外部電極14と高抵抗層15との界面により侵入する水分が、内部電極12と焼結体11との界面を通って侵入して、内部電極12間の特性を劣化させるのを抑制することができ、積層セラミック部品の信頼性をより向上させることができる。
1 積層バリスタ
11 焼結体
11a 近傍部領域
11b 隣接領域
11X、11Y 露出面
12 内部電極
13 被覆層
14 外部電極
15 高抵抗層

Claims (15)

  1. セラミック粉末を含むグリーンシート層と金属粉末を含む内部電極ペースト層とを積層し切断して、前記内部電極ペースト層の一部が露出した露出面を有するグリーン体を形成する第1工程と、
    ガラス成分を含む被覆ペーストを用いて、前記グリーン体の前記露出面の少なくとも一部を覆う被覆ペースト層を形成する第2工程と、
    前記第2工程後の前記グリーン体を焼結して、内部電極を内部に有し前記露出面の少なくとも一部を覆う被覆層が形成された焼結体を得る第3工程と、
    前記被覆層における前記露出面の少なくとも一部を覆い、前記内部電極に電気的に接続された外部電極を形成する第5工程と
    を備える、
    積層セラミック部品の製造方法。
  2. 前記グリーンシート層が、セラミック粉末として少なくともZnO及びPr11を含み、
    前記内部電極ペースト層が、金属粉末として少なくともPdを含む、
    請求項1に記載の積層セラミック部品の製造方法。
  3. 前記ガラス成分の軟化点が、300℃以上500℃以下である、
    請求項1又は2に記載の積層セラミック部品の製造方法。
  4. 前記第1工程後かつ前記第2工程前に、
    前記グリーン体に含まれるバインダ成分を熱分解する第A工程
    をさらに備える、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミック部品の製造方法。
  5. 前記第2工程後かつ前記第3工程前に、
    前記グリーン体に含まれるバインダ成分を熱分解する第B工程
    をさらに備える、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミック部品の製造方法。
  6. 前記第3工程において、前記被覆ペースト層中の軟化した前記ガラス成分が、前記グリーン体の前記露出面から露出した部分の前記内部電極ペースト層を被覆する、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の積層セラミック部品の製造方法。
  7. 前記第3工程において、前記グリーン体が大気雰囲気下で焼結される、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の積層セラミック部品の製造方法。
  8. 前記外部電極が、少なくともAgを含む、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の積層セラミック部品の製造方法。
  9. 前記第3工程後かつ前記第5工程前に、
    前記焼結体及び前記被覆層の少なくとも一部を覆う高抵抗層を形成する第4工程
    をさらに備える、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の積層セラミック部品の製造方法。
  10. 焼結体と、
    前記焼結体の内部に設けられ、その一部が前記焼結体から露出している内部電極と、
    前記焼結体における前記内部電極の一部が露出している露出面の少なくとも一部を覆うように設けられ、ガラス成分を含む被覆層と、
    前記被覆層における前記露出面の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記内部電極に電気的に接続された外部電極と
    を備え、
    前記被覆層は、その少なくとも一部が前記焼結体と混在している、
    積層セラミック部品。
  11. 前記焼結体が、少なくともZnO及びPr11を含み、
    前記内部電極が、少なくともPdを含む、
    請求項10に記載の積層セラミック部品。
  12. 前記焼結体において、前記内部電極の近傍部領域におけるZnに対するPrの濃度が、前記近傍部領域に隣接する領域におけるZnに対するPrの濃度の2倍以下である、
    請求項10又は11に記載の積層セラミック部品。
  13. 前記外部電極が、少なくともAgを含む、
    請求項10から12のいずれか一項に記載の積層セラミック部品。
  14. 前記焼結体の少なくとも一部と前記被覆層の少なくとも一部とを覆うように設けられた高抵抗層
    をさらに備え、
    前記露出面において、前記被覆層が、前記高抵抗層と前記焼結体との間に介在している、
    請求項10から13のいずれか一項に記載の積層セラミック部品。
  15. 前記被覆層の平均厚みが、前記高抵抗層の平均厚みよりも大きい、
    請求項14に記載の積層セラミック部品。
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