JP2023141976A - ワーク加工用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークとして半導体パッケージを用いる場合であっても、良好な取り扱いが可能なワーク加工用シートを提供する。【解決手段】基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、前記粘着剤層が、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)と、前記アクリル系重合体(A)以外の活性エネルギー線硬化性成分とを含有する粘着剤組成物から形成されており、前記アクリル系重合体(A)が、カルボキシ基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)における前記カルボキシ基と、イソシアネート基を有する不飽和基含有化合物(a2)における前記イソシアネート基とを反応させて得られたものであるワーク加工用シート。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハや半導体パッケージ等のワークの加工に使用されるワーク加工用シートに関するものである。
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハや、半導体部品が樹脂に封入されてなる半導体パッケージ等は、大径の状態で製造され、チップに切断(ダイシング)され、剥離(ピックアップ)された後に、次の工程であるマウント工程に移される。この際、半導体ウエハや半導体パッケージ等のワークは、基材および粘着剤層を備える粘着シート(以下、「ワーク加工用シート」という場合がある。)上に積層された状態で、バックグラインド、ダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディング、ピックアップ、マウンティング等の加工が行われる。
上述したワーク加工用シートでは、粘着剤層として、活性エネルギー線硬化性を有する粘着剤から構成される粘着剤層を備えたものが使用されることがある。この場合、当該粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射することで、粘着剤層のワークに対する粘着力を低下させることができ、それにより、ワーク加工用シートからのワークの分離(例えばピックアップ)を容易に行うことが可能となる。
以上のようなワーク加工用シートの例として、特許文献1および2には、所定の成分を含有した粘着剤層を備えるワーク加工用シートが開示されている。
特許第6782237号 特許第5032740号
近年、半導体パッケージに対してダイシング等の加工を行うことが増えている。当該半導体パッケージは、主として、半導体部品が樹脂に封入されてなるものとなっている。このような半導体パッケージは、その表面を構成する素材が半導体ウエハとは異なるだけでなく、表面状態も半導体ウエハとは通常異なる。これらのことに起因して、ワーク加工用シートが示す、半導体パッケージに対する密着性の傾向は、半導体ウエハに対する密着性の傾向とは異なることがある。
ここで、上述した特許文献1および2に開示されるような従来のワーク加工用シートは、ワークとして半導体ウエハが主に想定されている。そのため、これらの従来のワーク加工用シートを用いて半導体パッケージを取り扱おうとすると、粘着剤層との密着性が不十分となり、半導体パッケージのワーク加工用シートからの脱落やズレが生じることがある。
また、従来のワーク加工用シートでは、活性エネルギー線の照射によって半導体パッケージに対する密着性を低下させようとしても、十分に低下させることができないこともある。この場合、ワーク加工用シートからの半導体パッケージの分離(ピックアップ)を良好に行うことができない。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、ワークとして半導体パッケージを用いる場合であっても、良好な取り扱いが可能なワーク加工用シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、前記粘着剤層が、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)と、前記アクリル系重合体(A)以外の活性エネルギー線硬化性成分とを含有する粘着剤組成物から形成されており、前記アクリル系重合体(A)が、カルボキシ基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)における前記カルボキシ基と、イソシアネート基を有する不飽和基含有化合物(a2)における前記イソシアネート基とを反応させて得られたものであることを特徴とするワーク加工用シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係るワーク加工用シートは、粘着剤層が上述した粘着剤組成物から形成されていることにより、ワークとして半導体パッケージを使用する場合であっても、ワークに対して十分な密着性を示し、ワークを良好に固定することが可能であり、且つ、活性エネルギー線照射によってワークに対する密着性を十分に低下させることができ、ワークを容易に分離することが可能である。
上記発明(発明1)において、前記アクリル系共重合体(a1)中における前記カルボキシ基含有モノマー由来の構造部分の割合は、2質量%以上、25質量%以下であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記アクリル系重合体(A)中における前記不飽和基含有化合物(a2)の割合は、前記アクリル系共重合体(a1)が有する前記カルボキシ基の量に対して、3モル%以上、20モル%以下であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1~3)において、前記基材は、帯電防止剤を含有する層を少なくとも備えることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1~4)においては、半導体パッケージの加工のために使用されることが好ましい(発明5)。
本発明に係るワーク加工用シートによれば、ワークとして半導体パッケージを用いる場合であっても、良好な取り扱いが可能となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るワーク加工用シートは、基材と、当該基材における片面側に積層された粘着剤層とを備える。
1.ワーク加工用シートの構成部材
(1)基材
本実施形態における基材としては、ワーク加工用シートの使用の際に所望の機能を発揮するものである限り、特に限定されない。特に、基材は、樹脂系の材料を主材とする樹脂フィルムであることが好ましい。その具体例としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン-ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体フィルム、その他のエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。また、これらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムといった変性フィルムも用いられる。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。また、本明細書における「重合体」は「共重合体」の概念も含むものとする。
また、本実施形態における基材は、単一の層からなるものであってもよく、複数の層からなるものであってもよい。複数の層からなる場合であっても、その各層は上述したフィルムであることが好ましい。また、複数の層からなる場合、各層を構成する材料は同種であってもよく、異種であってもよい。
本実施形態における基材は、表面層、中間層および裏面層という3層を少なくとも備えるものであることも好ましい。この場合、各層の材料としては、それらの層を形成することができるものである限り特に限定されず、例えば樹脂を使用することが好ましい。当該樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂および熱可塑性エラストマーの少なくとも一種を使用することが好ましい。なお、表面層と裏面層とは、異なる組成であってもよく、全く同一の組成であってもよい。
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンを単量体とするホモポリマーもしくはコポリマー、またはオレフィンとオレフィン以外の分子とを単量体とするコポリマーであって重合後の樹脂におけるオレフィン単位に基づく部分の質量比率が1.0質量%以上である樹脂をいう。当該ポリオレフィン系樹脂の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。上記ポリプリピレンの例としては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等が挙げられる。上記ポリエチレンの例としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
熱可塑性エラストマーとしては、上記ポリオレフィン系樹脂以外のものであって、基材の形成を可能とするものである限り、特に限定されない。熱可塑性エラストマーの例としては、例えば、オレフィン系エラストマー、ゴムエラストマー、ウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー等が挙げられる。
上記オレフィン系エラストマーの例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、ブテン・α-オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・ブテン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・ブテン・α-オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン・α-オレフィン共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記スチレン系エラストマーの例としては、スチレン-共役ジエン共重合体およびスチレン-オレフィン共重合体などが挙げられ、中でもスチレン-共役ジエン共重合体が好ましい。スチレン-共役ジエン共重合体の例としては、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-イソプレン-スチレン共重合体等の未水添スチレン-共役ジエン共重合体;スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(SEPS:スチレン-イソプレン-スチレン共重合体の水素添加物)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体(SEBS:スチレン-ブタジエン共重合体の水素添加物)等の水添スチレン-共役ジエン共重合体等が挙げられる。
本実施形態における基材は、帯電防止剤を含有する層を少なくとも備えることも好ましい。すなわち、本実施形態における基材は、帯電防止剤を含有する単一の層からなるものであるか、または、複数の層からなるものであって、そのうちの少なくとも一層が帯電防止剤を含有する層となっていることが好ましい。このように、帯電防止剤を含有する層を備えていることにより、本実施形態に係るワーク加工用シートが帯電し難くなる。それにより、ワーク加工用シートの取り扱い性の向上、埃等の付着の防止、ワークや製造装置における電気的な悪影響の防止等が可能となる。
本実施形態における基材が複数の層からなり、そのうちの一層が帯電防止剤を含有する層である場合、基材の最表面に存在する層が帯電防止剤を含有する層となっていることが好ましい。例えば、基材が上述した表面層、中間層および裏面層の3層からなる場合、最表面に位置する表面層および裏面層の少なくとも一方が帯電防止剤を含有する層であることが好ましい。これにより、基材は帯電防止剤を含有しない層(特に中間層)も備えるものとなり、基材が帯電防止剤を過剰に含有する状況を回避することができる。それにより、帯電防止剤による帯電防止効果を十分に発揮しながらも、帯電防止剤による悪影響(粘着剤層、ワーク、装置等への帯電防止剤の移行)を抑制し易くなる。
上記帯電防止剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。帯電防止剤の例としては、低分子型帯電防止剤や高分子型帯電防止剤等が挙げられるが、ダイシング時における切削片の発生を抑制し、また、基材からの帯電防止剤の移行が生じ難いという観点から、高分子型帯電防止剤が好ましい。
高分子型帯電防止剤としては、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルポリオレフィンブロック共重合体など、ポリエーテルユニットを有する共重合体が挙げられ、これら共重合体にはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの金属塩や、イオン液体が含まれていても良い。これらの中でも、十分な帯電防止性を実現し易いという観点から、ポリエーテルポリオレフィンブロック共重合体が好ましい。
ポリエーテルポリオレフィンブロック共重合体とは、ポリエーテル部位とポリオレフィン部位のそれぞれのユニットを備える共重合体である。ポリエーテル部がイオン伝導性を示すことで、帯電防止性が発揮され、ポリオレフィン部によって、ポリオレフィン系樹脂との分散性に優れたものとなる。
ポリエーテルポリオレフィンブロック共重合体の市販品の例としては、いずれも三洋化成社製の製品名「ペレスタット300」、「ペレスタット230」、「ペレクトロンPVH」、「ペレクトロンPVL」、「ペレスタット201」、「ペレクトロンUC」等や、三光化学工業社製の製品名「サンコノールTBX-310」等が挙げられる。
帯電防止剤を含有する層中における帯電防止剤の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、特に10質量%以上であることが好ましく、さらには15質量%以上であることが好ましい。帯電防止剤の含有量が5質量%以上であることで、良好な帯電防止性を発揮し易いものとなる。また、上記含有量は、50質量%以下であることが好ましく、特に45質量%以下であることが好ましく、さらには40質量%以下であることが好ましい。帯電防止剤の含有量が40質量%以下であることで、帯電防止剤の基材外への移行を抑制し易いものとなる。
本実施形態における基材は、上記帯電防止剤の他に、難燃剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、イオン捕捉剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤の含有量としては、特に限定されないものの、基材が所望の機能を発揮する範囲とすることが好ましい。
基材の粘着剤層が積層される面には、粘着剤層との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されてもよい。
基材の厚さは、ワーク加工用シートが使用される方法に応じて適宜設定できるものの、例えば、200μm以下であることが好ましく、特に150μm以下であることが好ましい。また、基材の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に25μm以上であることが好ましい。
また、基材が上述した表面層、中間層および裏面層の3層からなる場合、表面層の厚さは、1~20μmであることが好ましく、中間層の厚さは、40~150μmであることが好ましく、裏面層の厚さは2~20μmであることが好ましい。
(2)粘着剤層
本実施形態における粘着剤層は、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)と、当該アクリル系重合体(A)以外の活性エネルギー線硬化性成分とを含有する粘着剤組成物から形成されている。
そして、上記アクリル系重合体(A)は、カルボキシ基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)における当該カルボキシ基と、イソシアネート基を有する不飽和基含有化合物(a2)における当該イソシアネート基とを反応させて得られたものとなっている。
本実施形態に係るワーク加工用シートは、粘着剤層が上述した粘着剤組成物から構成されていることにより、ワークに対して十分な粘着力を発揮するものとなる。特に、アクリル系共重合体(a1)がカルボキシ基含有モノマー単位を含むことにより、ワーク加工用シートの経時変化が促進された場合であっても、粘着力の低下を良好に抑制することができるとともに、活性エネルギー線照射前において十分な粘着力を発揮し、さらには、活性エネルギー線照射後においては、良好に粘着力を低下させることが可能となる。また、基材が帯電防止剤を含む場合、一般的に、当該帯電防止剤が粘着剤層に移行し、それによって粘着力の低下が生じ易いものの、カルボキシ基含有モノマー単位の存在により、上記移行が起こった場合であっても、ワーク加工用シートを保管した際における粘着力の低下を効果的に抑制することができる。以上により、本実施形態に係るワーク加工用シートによれば、ワークを良好に保持して、ワークの加工を行うことが可能となる。
さらに、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、上記アクリル系重合体(A)が、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたものであり、且つ、活性エネルギー線硬化性成分が使用されていることにより、粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射することで、粘着剤層のワークに対する粘着力を良好に低下させることができる。特に、アクリル系共重合体(a1)が含有するカルボキシ基含有モノマー単位のカルボキシ基が不飽和基含有化合物(a2)との反応に使用されていることにより、活性エネルギー線照射後において、良好に粘着力を低下させることができる。それにより、ワーク加工用シートから加工後のワークを容易に分離することができる。
そして、本実施形態に係るワーク加工用シートにおける上述した粘着性能は、半導体ウエハだけでなく、半導体パッケージに対しても十分に発揮される。そのため、本実施形態に係るワーク加工用シートは、ワークとして半導体パッケージを使用する場合であっても、当該ワークを良好に取り扱うことができる。
本実施形態における粘着剤組成物は、上述したアクリル系重合体(A)および活性エネルギー線硬化性成分に加え、架橋剤および光重合開始剤を含有することが好ましい。以下では、これらの成分、および粘着剤組成物に含有されていてもよいその他の成分について説明する。
(2-1)側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)
前述の通り、本実施形態における側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)(以下「活性エネルギー線硬化性重合体(A)」という場合がある。)は、カルボキシ基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)における当該カルボキシ基と、イソシアネート基を有する不飽和基含有化合物(a2)における当該イソシアネート基とを反応させて得られたものとなっている。そのため、当該アクリル系重合体(A)は、カルボキシ基とイソシアネート基とが反応して生じるウレタン結合(-CO-NH-)を有するものとなっている。
上記アクリル系共重合体(a1)が含むカルボキシ基含有モノマーとしては、重合性の二重結合とカルボキシ基とを分子内に有するモノマーが挙げられる。その具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記カルボキシ基含有モノマーのなかでもアクリル酸が好ましい。
アクリル系共重合体(a1)中におけるカルボキシ基含有モノマー由来の構造部分の質量の割合は、2質量%以上であることが好ましく、特に4質量%以上であることが好ましく、さらには6質量%以上であることが好ましい。当該割合が2質量%以上であることにより、基材が帯電防止剤を含有する場合にワーク加工用シートの粘着力低下を抑制し易いものとなる。また上記割合は、25質量%以下であることが好ましく、特に20質量%以下であることが好ましく、さらには15質量%以下であることが好ましい。当該割合が25質量%以下であることにより、不飽和基含有化合物(a2)を好適な量で導入し易いものとなる。
上記アクリル系共重合体(a1)は、その構成単位として、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とを含むことも好ましい。当該構成単位としては、特に、アルキル基の炭素数が1~20であるアルキル(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、特にアルキル基の炭素数が1~18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)が上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む場合、アクリル系共重合体(a1)中における上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構造部分の質量の割合は、55質量%以上であることが好ましく、特に60質量%以上であることが好ましく、さらには65質量%以上であることが好ましい。また上記割合は、95質量%以下であることが好ましく、特に90質量%以下であることが好ましく、さらには85質量%以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構造部分の割合が上記範囲であることにより、所望の粘着力を発揮し易いものとなる。
上記アクリル系共重合体(a1)は、上述したモノマー以外の成分を構成モノマーとして含んでいてもよく、例えば、カルボキシ基含有モノマー以外の官能基含有モノマー、ジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン、脂環式構造を有するモノマー等を含んでいてもよい。
上記官能基含有モノマーの例としては、重合性の二重結合と、ヒドロキシ基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーが挙げられる。
ヒドロキシ基を含有するヒドロキシ基含有モノマーの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
また、アミノ基または置換アミノ基を含有するアミノ基含有モノマーまたは置換アミノ基含有モノマーの例としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、n-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本実施形態におけるアクリル系共重合体(a1)は、構成単位として、オキサゾリン基を含有するモノマーを含まないことが好ましい。さらに、本実施形態におけるアクリル系共重合体(a1)は、構成単位として、アクリルアミドを含まないことが好ましい。
上記不飽和基含有化合物(a2)が有する不飽和基としては、活性エネルギー線重合性の炭素-炭素二重結合を備える基が好ましく、特にビニル基であることが好ましい。不飽和基含有化合物(a2)は、当該不飽和基を、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1~6個、さらに好ましくは1~4個含むことが好ましい。
上記不飽和基含有化合物(a2)の例としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
アクリル系重合体(A)中における不飽和基含有化合物(a2)の割合は、アクリル系共重合体(a1)が有するカルボキシ基の量に対して、3モル%以上であることが好ましく、特に5モル%以上であることが好ましく、さらには7モル%以上であることが好ましい。当該割合が3モル%以上であることで、本実施形態における粘着剤層が十分な活性エネルギー線硬化性を有し易いものとなる。なお、上記割合の上限値は特に限定されないものの、アクリル系共重合体(a1)が有するカルボキシ基の量に対して、30モル%以下であってよく、特に25モル%以下であってよく、さらには20モル%以下であってよい。
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応においては、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中に存在するカルボキシ基と、不飽和基含有化合物(a2)中のイソシアネート基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、活性エネルギー線硬化性重合体(A)が得られる。
このようにして得られる活性エネルギー線硬化性重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、10万以上であることが好ましく、特に20万以上であることが好ましく、さらには30万以上であることが好ましい。また、当該重量平均分子量(Mw)は、120万以下であることが好ましく、特に100万以下であることが好ましく、さらには90万以下であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
(2-2)活性エネルギー線硬化性成分
前述の通り、本実施形態における粘着剤組成物は、上記アクリル系重合体(A)以外の活性エネルギー線硬化性成分を含有する。これにより、本実施形態に係るワーク加工用シートは、活性エネルギー線照射前において十分な粘着力を発揮できるとともに、活性エネルギー線照射後においては、良好に粘着力を低下させることが可能となる。本実施形態における活性エネルギー線硬化性成分としては、活性エネルギー線硬化性を有する成分である限り特に限定されない。なお、本明細書においては、活性エネルギー線硬化性成分とは、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)とは異なるものであるとする。
活性エネルギー線硬化性成分の好ましい例としては、活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーが挙げられる。具体的な例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性アクリル酸エステル類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、モノペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル酸エステル類、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
粘着剤組成物中における活性エネルギー線硬化性成分の含有量は、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、50質量部以上であることが好ましく、特に60質量部以上であることが好ましく、さらには70質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、150質量部以下であることが好ましく、特に140質量部以下であることが好ましく、さらには130質量部以下であることが好ましい。
(2-3)架橋剤
本実施形態における粘着剤組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。粘着剤組成物が架橋剤を含有することにより、粘着剤層において、アクリル系重合体(A)が架橋し、良好な三次元網目構造を形成することが可能となる。これにより、得られる粘着剤の凝集力がより向上し、活性エネルギー線の照射後にワーク加工用シートから分離されたワークにおいて、糊残りの発生を効果的に抑制することができる。
上記架橋剤の例としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートが好ましい。
本実施形態における粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合、粘着剤組成物中における架橋剤の含有量は、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、特に0.5質量部以上であることが好ましく、さらには3質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、特に15質量部以下であることが好ましい。架橋剤の含有量が0.1質量部以上であることで、活性エネルギー線の照射後における粘着剤層の凝集力を向上させ易くなり、それによって、糊残りを効果的に抑制することが可能となる。また、架橋剤の含有量が20質量部以下であることで、架橋の程度が適度なものとなり、粘着剤層が所望の粘着力を発揮し易くなる。
(2-4)光重合開始剤
本実施形態における粘着剤組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。粘着剤組成物が光重合開始剤を含有することにより、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を硬化させる際の重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β-クロールアンスラキノン、(2,4,6-トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2-ベンゾチアゾール-N,N-ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンなどが挙げられる。これらの中でも、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンを使用することが好ましい。上述した光重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態における粘着剤組成物が光重合開始剤を含有する場合、粘着剤組成物中における光重合開始剤の含有量は、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、特に1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、10質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲であることで、活性エネルギー線の照射によって、粘着剤層を効率良く硬化させることができ、それにより、被着体に対するワーク加工用シートの粘着力を良好に低下させ易くなる。
(2-5)その他の成分
本実施形態における粘着剤組成物は、本実施形態に係るワーク加工用シートによる前述した効果を損なわない限り、所望の添加剤、例えばシランカップリング剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。
(2-6)粘着剤組成物の調製方法
本実施形態における粘着剤組成物は、アクリル系重合体(A)を製造し、得られたアクリル系重合体(A)と、活性エネルギー線硬化性成分と、所望により、架橋剤と、光重合開始剤と、添加剤とを混合することで製造することができる。このとき、所望により希釈溶剤を添加して、粘着剤組成物の塗布液を得てもよい。
上記希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された塗布液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であれば特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着剤組成物の濃度が10質量%以上、60質量%以下となるように希釈する。なお、塗布液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着剤組成物がコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(a1)の重合溶媒をそのまま希釈溶剤とする塗布液となる。
(2-7)粘着剤層の厚さ
本実施形態における粘着剤層の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に3μm以上であることが好ましく、さらには5μm以上であることが好ましい。粘着剤層の厚さが1μm以上であることで、ワーク加工用シートが良好な粘着力を発揮し易くなり、チップ飛びを抑制し易くなる。また、当該厚さは、50μm以下であることが好ましく、特に40μm以下であることが好ましく、さらには30μm以下であることが好ましい。粘着剤層の厚さが50μm以下であることで、ワークのピックアップをより良好に行い易くなる。
(3)剥離シート
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面(以下、「粘着面」という場合がある。)をワークに貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。
上記剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。当該プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。上記剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル、ゴム系等を用いることができ、これらの中でも、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。
上記剥離シートの厚さについては特に制限はなく、例えば、16μm以上、250μm以下であってよい。
(4)その他
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面に接着剤層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シートは、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。当該シートでは、接着剤層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに接着剤層をダイシングすることで、個片化された接着剤層が積層されたチップを得ることができる。当該チップは、この個片化された接着剤層によって、当該チップが搭載される対象に対して容易に固定することが可能となる。上述した接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と低分子量の熱硬化性接着成分とを含有するものや、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分を含有するもの等を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における粘着面に保護膜形成層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シートは、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。このようなシートでは、保護膜形成層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに保護膜形成層をダイシングすることで、個片化された保護膜形成層が積層されたチップを得ることができる。当該ワークとしては、片面に回路が形成されたものが使用されることが好ましく、この場合、通常、当該回路が形成された面とは反対側の面に保護膜形成層が積層される。個片化された保護膜形成層は、所定のタイミングで硬化させることで、十分な耐久性を有する保護膜をチップに形成することができる。保護膜形成層は、未硬化の硬化性接着剤からなることが好ましい。
2.ワーク加工用シートの物性
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、シリコンウエハ(鏡面加工してなるシリコンウエハの当該鏡面,以下同じ)に対する促進前の粘着力が、10000mN/25mm以上であることが好ましく、特に12000mN/25mm以上であることが好ましく、さらには14000mN/25mm以上であることが好ましい。ここで、上述した「促進」とは、ワーク加工用シートの経時変化(特に、基材から粘着剤への帯電防止剤の移行)を促進することをいい、具体的には、ワーク加工用シートを60℃の環境下に2日間静置することをいう。上記粘着力が10000mN/25mm以上であることで、ワーク(特に半導体ウエハ)をワーク加工用シート上に良好に固定し易くなり、意図しないワーク(特に個片化後のワーク)の脱落(特にチップ飛び)を良好に防止し易くなる。なお、上記粘着力の上限値については特に限定されないものの、例えば、30000mN/25mm以下であることが好ましく、特に28000mN/25mm以下であることが好ましく、さらには26000mN/25mm以下であることが好ましい。また、上記粘着力は、粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射していない状態で測定されたものであり、その測定方法の詳細は、後述する試験例に記載する通りである。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、促進後のシリコンウエハに対する粘着力が、10000mN/25mm以上であることが好ましく、特に12000mN/25mm以上であることが好ましく、さらには14000mN/25mm以上であることが好ましい。本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層が、カルボキシ基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)から形成されるアクリル系重合体(A)を材料として含むことにより、促進後においても、シリコンウエハに対して十分な粘着力を発揮するものとなる。特に、帯電防止剤を含有する基材を使用する場合であっても、当該帯電防止剤の粘着剤層に対する悪影響を抑制して、十分に高い粘着力を維持できるものとなる。なお、上記粘着力の上限値については特に限定されないものの、例えば、30000mN/25mm以下であることが好ましく、特に28000mN/25mm以下であることが好ましく、さらには26000mN/25mm以下であることが好ましい。また、上記粘着力は、粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射していない状態で測定されたものであり、その測定方法の詳細は、後述する試験例に記載する通りである。
さらに、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、促進後のシリコンウエハに対する粘着力に対する、促進前のシリコンウエハに対する粘着力の比(促進後/促進前)が、0.80以上であることが好ましく、特に0.85以上であることが好ましく、さらには0.90以上であることが好ましい。また、当該比は、1.5以下であることが好ましく、特に1.3以下であることが好ましく、さらには1.2以下であることが好ましい。粘着力の比(促進後/促進前)がこれらの範囲であることで、ワーク加工用シートが経時変化し難いものとなり、十分な粘着力を維持し易いものとなる。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、半導体パッケージに対する促進前の粘着力が、500mN/15mm以上であることが好ましく、特に600mN/15mm以上であることが好ましく、さらには700mN/15mm以上であることが好ましい。上記粘着力が700mN/15mm以上であることで、ワーク(特に半導体パッケージ)をワーク加工用シート上に良好に固定し易くなり、意図しないワーク(特に個片化後のワーク)の脱落(特にチップ飛び)を良好に防止し易くなる。なお、上記粘着力の上限値については特に限定されないものの、例えば、2000mN/15mm以下であることが好ましく、特に1800mN/15mm以下であることが好ましく、さらには1600mN/15mm以下であることが好ましい。また、上記粘着力は、粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射していない状態で測定されたものであり、その測定方法の詳細は、後述する試験例に記載する通りである。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、促進後の半導体パッケージに対する粘着力が、500mN/15mm以上であることが好ましく、特に600mN/15mm以上であることが好ましく、さらには700mN/15mm以上であることが好ましい。本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層が、カルボキシ基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)から形成されるアクリル系重合体(A)を材料として含むことにより、促進後においても、半導体パッケージに対して十分な粘着力を発揮するものとなる。特に、帯電防止剤を含有する基材を使用する場合であっても、当該帯電防止剤の粘着剤層に対する悪影響を抑制して、十分に高い粘着力を維持できるものとなる。なお、上記粘着力の上限値については特に限定されないものの、例えば、2000mN/15mm以下であることが好ましく、特に1800mN/15mm以下であることが好ましく、さらには1600mN/15mm以下であることが好ましい。また、上記粘着力は、粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射していない状態で測定されたものであり、その測定方法の詳細は、後述する試験例に記載する通りである。
さらに、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、促進後の半導体パッケージに対する粘着力に対する、促進前の半導体パッケージに対する粘着力の比(促進後/促進前)が、0.80以上であることが好ましく、特に0.85以上であることが好ましく、さらには0.90以上であることが好ましい。また、当該比は、1.5以下であることが好ましく、特に1.3以下であることが好ましく、さらには1.2以下であることが好ましい。粘着力の比(促進後/促進前)がこれらの範囲であることで、ワーク加工用シートが経時変化し難いものとなり、十分な粘着力を保持し易いものとなる。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、活性エネルギー線照射後における半導体パッケージに対する粘着力が、90mN/15mm以下であることが好ましく、特に80mN/15mm以下であることが好ましく、さらには70mN/15mm以下であることが好ましい。本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層が、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)と、活性エネルギー線硬化性成分とを含有する粘着剤組成物から形成されたものであることにより、活性エネルギー線照射後において上述のような粘着力を達成し易いものとなる。そして、活性エネルギー線照射後における半導体パッケージに対する粘着力が90mN/15mm以下であることで、ワークをワーク加工用シートから剥離し易くなる。また、活性エネルギー線照射後における半導体パッケージに対する粘着力は、10mN/15mm以上であることが好ましく、特に15mN/15mm以上であることが好ましく、さらには20mN/15mm以上であることが好ましい。これにより、活性エネルギー線照射後における意図しない段階でのワークの分離・脱落を抑制し易いものとなる。なお、上記粘着力の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載する通りである。
3.ワーク加工用シートの製造方法
本実施形態に係るワーク加工用シートの製造方法は特に限定されず、好ましくは、基材の片面側に粘着剤層を積層することにより製造される。
基材の片面側への粘着剤層の積層は、公知の方法により行うことができる。例えば、剥離シート上において形成した粘着剤層を、基材の片面側に転写することが好ましい。この場合、粘着剤層を構成する粘着剤組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製し、剥離シートの剥離処理された面(以下「剥離面」という場合がある。)上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター、アプリケータ等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。この積層体における剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、ワーク加工用シートを被着体に貼付するまでの間、粘着剤層の粘着面を保護するために用いてもよい。
粘着剤層を形成するための塗工液が架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内のアクリル系共重合体と架橋剤との架橋反応を進行させ、粘着剤層内に所望の存在密度で架橋構造を形成させればよい。この架橋反応を十分に進行させるために、上記の方法などによって基材に粘着剤層を積層させた後、得られたワーク加工用シートを、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
上述のように剥離シート上で形成した粘着剤層を基材の片面側に転写する代わりに、基材上で直接粘着剤層を形成してもよい。この場合、前述した粘着剤層を形成するための塗工液を基材の片面側に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成する。
4.ワーク加工用シートの使用方法
本実施形態に係るワーク加工用シートは、半導体ウエハ等のワークの加工のために使用することができる。すなわち、本実施形態に係るワーク加工用シートの粘着面をワークに貼付した後、ワーク加工用シート上にてワークの加工を行うことができる。当該加工に応じて、本実施形態に係るワーク加工用シートは、バックグラインドシート、ダイシングシート、エキスパンドシート、ピックアップシート等として使用されることとなる。ここで、ワークの例としては、半導体ウエハ、半導体パッケージ等の半導体部材、ガラス板等のガラス部材が挙げられる。なかでも、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、ワークとして半導体パッケージを使用することが好適である。本実施形態に係るワーク加工用シートによれば、半導体パッケージに対しても、良好な粘着力を発揮しつつ、活性エネルギー線照射後における容易な分離が可能となる。
なお、本実施形態に係るワーク加工用シートが前述した接着剤層を備える場合には、当該ワーク加工用シートは、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。さらに、本実施形態に係るワーク加工用シートが前述した保護膜形成層を備える場合には、当該ワーク加工用シートは、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートにおける粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性を示すものであるため、使用の際に、次のような活性エネルギー線の照射を行うことも好ましい。すなわち、加工後のワークをワーク加工用シートから分離する前において、粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射することが好ましい。これにより、粘着剤層が硬化して、加工後のワークに対する粘着シートの粘着力が良好に低下し、加工後のワークの分離が容易となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材と粘着剤層との間、または基材における粘着剤層とは反対側の面には、その他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)基材の作製
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製,製品名「ノバテックMA3U」)15質量部と、オレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクスRFX4V」)60質量部と、帯電防止剤(三洋化成社製,製品名「ペレクトロンUC」)25質量部とを、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、表面層用および裏面層用のペレットを得た。
また、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製,製品名「ノバテックMA3U」)25質量部と、オレフィン系熱可塑性エラストマー(日本ポリプロ社製,製品名「ウェルネクスRFX4V」)75質量部とを、各々乾燥させた後、二軸混錬機にて混錬することで、中間層用ペレットを得た。
上記の通り得られた2種のペレットを用いて、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって共押出成形し、厚さ8μmの表面層と、厚さ124μmの中間層と、厚さ8μmの裏面層とが順に積層されてなる3層構造の基材を得た。
なお、得られた基材の表面層側における表面抵抗率を、DIGITAL ELECTROMETER(ADVANTEST社製)を用いて印加電圧100Vで測定すると、7.0×10Ω/□であった。
(2)粘着剤組成物の調製
アクリル酸2-エチルヘキシル40質量部と、アクリル酸メチル50質量部と、アクリル酸10質量部とを溶液重合法により重合させて、アクリル系共重合体(a1)を得た。続いて、当該アクリル系共重合体(a1)を構成するアクリル酸に対して10モル%に相当する量の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)(不飽和基含有化合物(a2))を添加した。その後、60℃で48時間反応させることで、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)を得た。当該アクリル系重合体(A)の重量平均分子量を後述の方法によって測定したところ、80万であった。
得られたアクリル系重合体(A)100質量部(固形分換算,以下同じ)と、活性エネルギー線硬化性成分としてのウレタンアクリレート(三菱ケミカル社製、製品名「UV6630B」)40質量部と、活性エネルギー線硬化性成分としての多官能性アクリル酸エステル類(トリペンタエリスリトールアクリレート、モノ及びジペンタエリスリトールアクリレート、ポリペンタエリスリトールアクリレートの混合物)(大阪有機化学工業社製、製品名「ビスコート#802」)63質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー社製,製品名「コロネートL」)11.4質量部と、光重合開始剤としての2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(BASF社製,製品名「オムニラッド127」)4質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物の塗布液(固形分濃度32質量%)を得た。
(3)粘着剤層の形成
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381031」)の剥離面に対して、上記工程(2)で得られた粘着剤組成物の塗布液を、コンマコーターを用いて塗布した後、90℃で1分間乾燥させることで、剥離シート上に厚さ10μmの粘着剤層が形成されてなる積層体を得た。
(4)ワーク加工用シートの作製
上記工程(1)で得られた基材における表面層側の面に対しコロナ処理を施した後、当該コロナ処理面と、上記工程(3)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク加工用シートを得た。
(5)(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量(Mw)の測定
(メタ)アクリル酸エステル共重合体の上述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC-8320
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK gel superH-H
TSK gel superHM-H
TSK gel superH2000
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔実施例2および比較例1~5〕
アクリル系重合体の組成、活性エネルギー線硬化性成分の有無、架橋剤の含有量および光重合開始剤の含有量を、表1に示されるように変更する以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを製造した。
〔比較例6〕
エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)(三井・デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903HC」)を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形することで、厚さ80μmのEMAAフィルムを得た。当該EMAAフィルムを基材として使用するとともに、アクリル系重合体の組成および光重合開始剤の含有量を表1に示されるように変更する以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを製造した。
なお、上記の通り得られた基材の片面における表面抵抗率を、DIGITAL ELECTROMETER(ADVANTEST社製)を用いて印加電圧100Vで測定すると、1014Ω/□を超える値であった。
ここで、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
〔アクリル系共重合体の組成〕
2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
MA:アクリル酸メチル
AAc:アクリル酸
MOI:2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
MMA:メタクリル酸メチル
〔活性エネルギー線硬化性成分〕
UV6630B:ウレタンアクリレート(三菱ケミカル社製、製品名「UV6630B」)
ビスコート#802:多官能性アクリル酸エステル類(トリペンタエリスリトールアクリレート、モノ及びジペンタエリスリトールアクリレート、ポリペンタエリスリトールアクリレートの混合物)(大阪有機化学工業社製、製品名「ビスコート#802」)
〔試験例1〕(対シリコンウエハ粘着力の測定)
(1)実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートを、25mm幅の短冊状に裁断した。得られた短冊状のワーク加工用シートから剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層の粘着面を、鏡面加工してなるシリコンウエハの当該鏡面に対して、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、2kgゴムローラーを用いて貼付し、20分静置し、測定用サンプルとした。なお、上記シリコンウエハにおける上記鏡面は、研削してから1か月以上経過し、活性が消失した面(通常面)であった。
(2)得られた測定用サンプルについて、万能引張試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロンUTM-4-100」)を用い、シリコンウエハから、剥離速度300mm/min、剥離角度180°にてワーク加工用シートを剥離し、JIS Z0237:2009に準じた180°引き剥がし法により、シリコンウエハに対する粘着力(mN/25mm)を測定した。これにより得られた粘着力を、促進前の対シリコンウエハ粘着力として表1に示す。
なお、比較例5については、ジッピングが発生したため、表中に「Z」と表記するとともに、測定された粘着力の最小値(の平均値)および最大値(の平均値)をそれぞれ示した。後述する「促進後の対シリコンウエハ粘着力」、「促進前(UV照射前)の対パッケージ粘着力」および「促進後の対パッケージ粘着力」も同様である。ここで、ジッピングとは、被着体から粘着シートを剥離する際に、連続的かつ円滑に剥がれずに剥離音が生じたり、粘着剤層に剥離スジが形成されることを意味する。一般的に、ジッピングが発生すると剥離性や貼付性が悪くなる。
(3)また、実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートを60℃の環境下に2日間静置した。これは、ワーク加工用シートの経時変化(特に、基材から粘着剤への帯電防止剤の移行)の促進を意図したものである。この促進の後、温度23℃、相対湿度50%の環境下で1日静置した上で、上記と同様に粘着力(mN/25mm)を測定した。これにより得られた粘着力を、促進後の対シリコンウエハ粘着力として表1に示す。
(4)さらに、上述の通り得られた促進後の対シリコンウエハ粘着力に対する、促進前の対シリコンウエハ粘着力の比(促進後/促進前)を算出し、これを維持率として表1に示す。
〔試験例2〕(対パッケージ粘着力の測定)
(1)樹脂封止装置(アピックヤマダ株式会社製,製品名「GTM-S 120T マニュアルプレス」)を用いて、封止温度180℃、封止圧力7.5MPaおよび封止時間120秒の条件にて、封止樹脂(京セラ社製,製品名「KE-G1250」)をFR-4基板上に成形した後、オーブンにて175℃で5時間加熱することで、半導体パッケージを想定したパッケージを得た。
(2)一方、実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートを、15mm幅の短冊状に裁断した。得られた短冊状のワーク加工用シートから剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層の粘着面を、上記の通り得られたパッケージの封止樹脂側の面に対して、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、ラミネーターを用いて貼付し、20分静置し、測定用サンプルとした。
(3)得られた測定用サンプルについて、試験例1の(2)と同様にして粘着力(mN/15mm)を測定した。これにより得られた粘着力を、促進前(UV照射前)の対パッケージ粘着力として表1に示す。
(4)また、試験例1の(3)と同様にして、ワーク加工用シートの促進および静置を行った後に、上記と同様に粘着力(mN/15mm)を測定した。これにより得られた粘着力を、促進後の対パッケージ粘着力として表1に示す。
(5)そして、上述の通り得られた促進後の対パッケージ粘着力に対する、促進前の対パッケージ粘着力の比(促進後/促進前)を算出し、これを維持率として表1に示す。
(6)さらに、試験例2の上記(2)と同様に得た測定用サンプルについて、パッケージへの貼付20分後において、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD-2000m/12」)を用いて紫外線(UV)照射(照度:230mW/cm、光量:190mJ/cm)を行った。当該紫外線照射後における測定用サンプルについて、上記と同様に、ワーク加工用シートをパッケージから引き離す測定を行い、粘着力(mN/15mm)を測定した。これにより得られた粘着力を、UV照射後の対パッケージ粘着力とし、表1に示す。
〔試験例3〕(プロセス内帯電圧の測定)
グラインダー(ディスコ社製,製品名「DFG8540」)を用いて、厚さが350μmとなるまで、6インチシリコンウエハの片面を研削した。当該研削面に対し、ラミネーターを用いて、実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートから剥離シートを剥離して露出した粘着剤層の露出面を貼付した。
貼付から20分後、ダイシング装置(ディスコ社製,製品名「DFD6362」)を用いて、以下のダイシング条件でダイシングを行うことで、シリコンウエハをチップに個片化した。
ダイシング条件
チップサイズ:10mm×10mm
カッティング高さ:60μm
ブレード:製品名「ZH05-SD2000-Z1-90 CC」
ブレード回転数:35000rpm
切削スピード:60mm/sec
切削水量:1.0L/min
切削水温度:20℃
続いて、スピナーテーブル上にてチップの洗浄および乾燥を行った後、チップおよびリングフレームが積層された状態のワーク加工用シートをスピナーテーブルから持ち上げ、その際のチップ表面の帯電圧(V)を測定器(Prostat社製、製品名「PFK-100」)を用いて測定した。結果を、プロセス内帯電圧として表1に示す。
Figure 2023141976000001
表1から分かるように、実施例で得られたワーク加工用シートは、シリコンウエハだけでなくパッケージに対しても十分な粘着力を示し、当該粘着力は促進後においても十分に維持された。また、実施例で得られたワーク加工用シートでは、紫外線照射によって、パッケージに対する粘着力を十分に低下させることができた。さらに、実施例で得られたワーク加工用シートは、プロセス内帯電圧も十分に低下させることができた。
本発明のワーク加工用シートは、半導体ウエハや半導体パッケージ等のワークの加工に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、
    前記粘着剤層が、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)と、前記アクリル系重合体(A)以外の活性エネルギー線硬化性成分とを含有する粘着剤組成物から形成されており、
    前記アクリル系重合体(A)が、カルボキシ基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)における前記カルボキシ基と、イソシアネート基を有する不飽和基含有化合物(a2)における前記イソシアネート基とを反応させて得られたものである
    ことを特徴とするワーク加工用シート。
  2. 前記アクリル系共重合体(a1)中における前記カルボキシ基含有モノマー由来の構造部分の割合は、2質量%以上、25質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  3. 前記アクリル系重合体(A)中における前記不飽和基含有化合物(a2)の割合は、前記アクリル系共重合体(a1)が有する前記カルボキシ基の量に対して、3モル%以上、20モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のワーク加工用シート。
  4. 前記基材は、帯電防止剤を含有する層を少なくとも備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のワーク加工用シート。
  5. 半導体パッケージの加工のために使用されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のワーク加工用シート。
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