JP2024037368A - ワーク加工用シートおよびその使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な粘着力を発揮しながらも、優れた帯電防止性を示すワーク加工用シートを提供する。【解決手段】基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、前記粘着剤層が、下式(1)のホスホニウム塩【化1】TIFF2024037368000005.tif3955(式(1)中、R1~R4は、少なくとも3つが炭素数3以上のアルキル鎖であり、残りが前記アルキル鎖以外の炭化水素基であり、X-は、ハロゲンを含まないアニオンであるか、または、前記粘着剤層中のハロゲン含有量が1000ppm以下となる量でハロゲンを含むアニオンである。)を含有する粘着剤組成物から形成された活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されているワーク加工用シート。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハ等のワークの加工に使用されるワーク加工用シートおよびその使用方法に関するものである。
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハや各種パッケージ類は、大径の状態で製造され、チップに切断(ダイシング)され、剥離(ピックアップ)された後に、次の工程であるマウント工程に移される。この際、半導体ウエハ等のワークは、基材および粘着剤層を備える粘着シート(以下、「ワーク加工用シート」という場合がある。)上に積層された状態で、バックグラインド、ダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディング、ピックアップ、マウンティング等の加工が行われる。
上記ワーク加工用シートにおいては、粘着剤層における基材とは反対側の面(以下、「粘着面」という場合がある。)を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されることがある。そして、ワーク加工用シートを使用する際には、当該剥離シートが粘着面から剥離されるが、このとき剥離帯電と呼ばれる静電気が発生することがある。また、上記ワーク加工用シート上においてワークを加工した後において、加工済みのワークをワーク加工用シートから分離する際にも剥離帯電が生じることがある。
このような剥離帯電は、加工済みのワークが例えば半導体チップである場合に、当該チップ上に形成された回路が破壊されるといった問題をもたらし得る。そのため、剥離帯電を防ぐ観点から、粘着剤層に、所定のイオン液体(イオン性液体等とも呼ばれる)等を含有させてなるワーク加工用シートが開発されている(例えば特許文献1および2)。
特開2015-003988号公報 特開2009-260332号公報
ところで、上述したワーク加工用シートにおいては、ワークの加工完了前においては十分にワークを粘着面上に保持することが可能でありながらも、ワークの加工完了後において、加工済みのワークを容易に分離できることが求められる。この観点から、粘着剤層を構成する粘着剤として、活性エネルギー線硬化性を示す粘着剤が採用されることがある。当該粘着剤層を備えたワーク加工用シートでは、ワークの加工完了後に、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を硬化させることで、加工済みのワークに対する粘着力を十分に低減させ、それによりワークの容易な分離を可能とすることができる。
しかしながら、従来のワーク加工用シートにおいては、このような粘着力の制御と、前述した剥離帯電を防ぐ帯電防止性とを良好に両立することが困難であった。特に、粘着剤層中のイオン液体の含有量を多くすると、十分な帯電防止性が得られるものの、粘着力が不十分となり、上記含有量を少なくすると、粘着力が十分となるものの、十分な帯電防止性が得られなかった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、十分な粘着力を発揮しながらも、優れた帯電防止性を示すワーク加工用シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、前記粘着剤層が、下式(1)のホスホニウム塩
Figure 2024037368000001

(式(1)中、R~Rは、少なくとも3つが炭素数3以上のアルキル鎖であり、残りが前記アルキル鎖以外の炭化水素基であり、Xは、ハロゲンを含まないアニオンであるか、または、前記粘着剤層中のハロゲン含有量が1000ppm以下となる量でハロゲンを含むアニオンである。)を含有する粘着剤組成物から形成された活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることを特徴とするワーク加工用シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層が、上述したホスホニウム塩を含有する粘着剤組成物から形成された活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることにより、十分な粘着力を発揮しながらも、優れた帯電防止性を示す。また、上記発明(発明1)に係るワーク加工用シートでは、活性エネルギー線の照射によって加工済みのワークに対する粘着力を良好に低減させることができる。これらにより、上記発明(発明1)に係るワーク加工用シートでは、剥離帯電を抑制して、良好なワーク加工が可能となる。
上記発明(発明1)において、前記粘着剤組成物中における前記ホスホニウム塩の含有量は、0.2質量%以上、30質量%以下であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)においては、前記ホスホニウム塩において、R~Rの全てが炭素数3以上のアルキル鎖であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1~3)において、前記ホスホニウム塩におけるXは、トシラート、ジシアナミドおよびメチルスルフェートの少なくとも一種であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1~4)において、前記粘着剤組成物は、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有することが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1~5)において、前記ワーク加工用シートのシリコンウエハのミラー面に対する粘着力における、前記ワーク加工用シートに対して活性エネルギー線を照射する前後の比(照射後/照射前)は、0.001以上、0.3以下であることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1~6)において、前記ワーク加工用シートは、ダイシングシートおよびピックアップシートの少なくとも一方として使用されるものであることが好ましい(発明7)。
第2に本発明は、前記ワーク加工用シート(発明1~7)の使用方法であって、前記粘着剤層における前記基材とは反対側の面をワークに貼付する工程と、前記ワーク加工用シート上において前記ワークの加工を行う工程とを含むことを特徴とする使用方法を提供する(発明8)。
本発明に係るワーク加工用シートは、十分な粘着力を発揮しながらも、優れた帯電防止性を示す。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るワーク加工用シートは、基材と、当該基材における片面側に積層された粘着剤層とを備える。
1.ワーク加工用シートの構成部材
(1)基材
本実施形態における基材としては、ワーク加工用シートの使用の際に所望の機能を発揮するものである限り、特に限定されない。特に、基材は、樹脂系の材料を主材とする樹脂フィルムであることが好ましい。その具体例としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン-ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体フィルム、その他のエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。また、これらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムといった変性フィルムも用いられる。また、基材は、上述したフィルムが複数積層されてなる積層フィルムであってもよい。この積層フィルムにおいて、各層を構成する材料は同種であってもよく、異種であってもよい。
上記の中でも、ポリオレフィン系フィルムおよびエチレン系共重合体フィルムの少なくとも一種を使用することが好ましく、特にエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルムを使用することが好ましい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。また、本明細書における「重合体」は「共重合体」の概念も含むものとする。
基材は、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、イオン捕捉剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤の含有量としては、特に限定されないものの、基材が所望の機能を発揮する範囲とすることが好ましい。
基材の粘着剤層が積層される面には、粘着剤層との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されてもよい。
基材の厚さは、ワーク加工用シートが使用される方法に応じて適宜設定できるものの、例えば、200μm以下であることが好ましく、特に150μm以下であることが好ましい。また、基材の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に25μm以上であることが好ましい。
(2)粘着剤層
本実施形態における粘着剤層は、下式(1)のホスホニウム塩
Figure 2024037368000002

を含有する粘着剤組成物から形成された活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されたものである。
ここで、上記式(1)中、R~Rは、少なくとも3つが炭素数3以上のアルキル鎖であり、残りが当該アルキル鎖以外の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基等)である。また、上記式(1)中、Xは、ハロゲンを含まないアニオンであるか、または、粘着剤層中のハロゲン含有量が1000ppm以下となる量でハロゲンを含むアニオンである。すなわち、Xは、実質的にハロゲンを含まないアニオンである。
本実施形態に係るワーク加工用シートは、粘着剤層が活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されたものであることで、粘着力を良好に制御することが可能となる。すなわち、活性エネルギー線の照射前においては良好な粘着力を発揮しながらも、活性エネルギー線の照射により粘着剤層を硬化させて、粘着力を十分に低下させることが可能となる。これにより、活性エネルギー線の照射によって、加工後のワークをワーク加工用シートから容易に分離することが可能となる。
特に、上記式(1)のホスホニウム塩は、R~Rの少なくとも3つが炭素数3以上のアルキル鎖であることにより、従来のホスホニウム塩やその他のイオン液体を使用した場合に比べて、粘着力の低下が生じ難い。また、上記アルキル鎖の存在により、上記式(1)のホスホニウム塩と粘着剤層組成物中のその他の成分との相溶性が良好となり、形成された粘着剤層が、水(特に、ダイシング時における洗浄水)に触れた場合であっても、ホスホニウム塩の流出が抑制され、それに伴い、粘着力の低下も抑制されるものとなる。その結果、本実施形態に係るワーク加工用シートは、(活性エネルギー線照射前において)粘着剤層がワークに対して良好な粘着力を示すものとなり、例えばダイシング時におけるチップ飛びといった問題を良好に抑制することができる。
さらに、本実施形態に係るワーク加工用シートは、上記ホスホニウム塩が使用されていることにより、上述した優れた粘着性能を発揮しながらも、表面抵抗率が十分に低下し、それに伴い、剥離帯電の発生を良好に抑制することができる。その結果、本実施形態に係るワーク加工用シートによれば、加工後のワークの静電破壊といった問題を良好に抑制することができる。
また、一般的に、ワーク加工用シートがハロゲンを含むものであると、当該ワーク加工用シートから加工後のワークにハロゲンが移行し、ワークの用途によっては、当該ハロゲンが不具合の原因となる可能性がある。しかしながら、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、上記ホスホニウム塩を構成するX(アニオン)が、上述した通り実質的にハロゲンを含まないものであることにより、ハロゲンが不具合を生じさせる可能性のある用途に対しても、本実施形態に係るワーク加工用シートを好適に使用することができる。なお、上記ホスホニウム塩のカチオンについては、R~Rの上述した定義から明らかな通り、ハロゲンを含まない。
上記ホスホニウム塩を構成するカチオンに関し、R~Rの全てが炭素数3以上のアルキル鎖であることが好ましい。これにより、活性エネルギー線照射による粘着力の制御と優れた帯電防止性とを良好に両立し易くなる。
また、上記ホスホニウム塩を構成するカチオンに関し、上記アルキル鎖の炭素数は、好ましくは4以上であり、特に好ましくは6以上である。当該炭素数の上限値は特に限定されないものの、例えば20以下である。上記アルキル鎖の好ましい例としては、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基等である。なお、R~Rとなる上記アルキル鎖は、同一であってもよく、あるいは、一部または全てが異なっていてもよい。上記カチオンがこれらの条件を満たすことにより、活性エネルギー線照射による粘着力の制御と優れた帯電防止性とを良好に両立し易くなる。
上記ホスホニウム塩を構成するアニオンに関し、Xは、トシラート、ジシアナミドおよびメチルスルフェートの少なくとも一種であることが好ましい。これにより、活性エネルギー線照射による粘着力の制御と優れた帯電防止性とを良好に両立し易くなる。
また、Xが、粘着剤層中のハロゲン含有量が1000ppm以下となる量でハロゲンを含むアニオンである場合、当該ハロゲン含有量は、500ppm以下であることが好ましく、特に100ppm以下であることが好ましく、さらには10ppm以下であることが好ましい。
上記ホスホニウム塩の好ましい具体例としては、トリブチルメチルホスホニウムトシラート、トリイソブチルメチルホスホニウムトシラート、テトラブチルホスホニウムメチルスルフォネート、トリヘキシルメチルホスホニウムトシラート、トリヘキシルエチルホスホニウムトシラート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミド、トリブチルメチルホスホニウムトシラート、トリブチルメチルホスホニウムメチルスルフェート、テトラブチルホスホニウムトリデシルスルフォサクシネート、(トリヘキシル)テトラデシルホスホニウムジイソブチルジチオホスフェート、エチルトリ(ブチル)ホスホニウムジエチルホスフェート、テトラデシル(トリブチル)ホスホニウムドデシルスルフォナート、テトラブチルホスホニウムグリコレート、(トリヘキシル)テトラデシルホスホニウムジイソブチルモノチオホスフェート、トリ(イソブチル)メチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムベンゾエート、(トリヘキシル)テトラデシルホスホニウムビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブチルメチルホスホニウムジブチルホスフェート、トリブチルメチルホスホニウムジブチルホスフェート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスフェート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィナート、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィナート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス{(オキサレート(2-))ボレート、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムデカノエート等が挙げられる。
上記粘着剤組成物中における上記ホスホニウム塩の含有量は、0.2質量%以上であることが好ましく、特に1質量%以上であることが好ましく、さらには5質量%以上であることが好ましい。上記含有量が0.2質量%以上であることにより、優れた帯電防止性を発揮し易いものとなる。また、当該含有量は、30質量%以下であることが好ましく、特に25質量%以下であることが好ましく、さらには20質量%以下であることが好ましい。上記含有量が30質量%以下であることにより、(活性エネルギー線照射前において)良好な粘着力を発揮し易いものとなる。
本実施形態における粘着剤層を構成する活性エネルギー線硬化性粘着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、所望の粘着力を発揮し易いという観点から、アクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
アクリル系粘着剤を使用する場合、本実施形態における粘着剤組成物の好ましい態様としては、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)および上記ホスホニウム塩を少なくとも含有する粘着剤組成物、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されていないアクリル系重合体(B)、活性エネルギー線硬化性成分および上記ホスホニウム塩を少なくとも含有する粘着剤組成物等が挙げられる。これらの粘着剤組成物のなかでも、活性エネルギー線照射後において加工後のワークを粘着面からより容易に分離し易くなるという観点から、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)および上記ホスホニウム塩を少なくとも含有する粘着剤組成物を使用することが好ましい。
(2-1)側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)
本実施形態における側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)(以下「活性エネルギー線硬化性重合体(A)」という場合がある。)としては、特に限定されず、例えば、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られるものであることが好ましい。
上記アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とを含むことが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)の構成単位としての官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであることが好ましい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基含有モノマーまたは置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、n-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)が上記官能基含有モノマーを含む場合、アクリル系共重合体(a1)中における上記官能基含有モノマー由来の構造部分の質量の割合は、5質量%以上であることが好ましく、特に10質量%以上であることが好ましく、さらには15質量%以上であることが好ましい。また上記割合は、45質量%以下であることが好ましく、特に40質量%以下であることが好ましく、さらには35質量%以下であることが好ましい。官能基含有モノマー由来の構造部分の割合が上記範囲であることにより、不飽和基含有化合物(a2)の導入量を好適な範囲に調整し易くなる。
アクリル系共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1~20であるアルキル(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、特にアルキル基の炭素数が1~18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)が上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む場合、アクリル系共重合体(a1)中における上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構造部分の質量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、特に55質量%以上であることが好ましく、さらには60質量%以上であることが好ましい。また上記割合は、95質量%以下であることが好ましく、特に90質量%以下であることが好ましく、さらには85質量%以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構造部分の割合が上記範囲であることにより、所望の粘着力を発揮し易いものとなる。
上記アクリル系共重合体(a1)は、以上説明したモノマー以外の成分を構成モノマーとして含んでいてもよく、例えば、ジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン、脂環式構造を有するモノマー等を含んでいてもよい。
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)と反応させることにより、活性エネルギー線硬化性重合体(A)が得られる。
不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がヒドロキシ基、アミノ基または置換アミノ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がエポキシ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはアミノ基、カルボキシ基またはアジリジニル基が好ましい。
また、上記不飽和基含有化合物(a2)には、活性エネルギー線重合性の炭素-炭素二重結合が、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1~6個、さらに好ましくは1~4個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2-(1-アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等が挙げられる。
上記不飽和基含有化合物(a2)の量は、上記アクリル系共重合体(a1)が有する官能基の量にして、40モル%以上であることが好ましく、特に50モル%以上であることが好ましい。また、上記不飽和基含有化合物(a2)の量は、上記アクリル系共重合体(a1)が有する官能基の量にして、99モル%以下であることが好ましく、特に95%以下であることが好ましく、さらには90モル%以下であることが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応においては、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基と不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の官能基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、活性エネルギー線硬化性重合体(A)が得られる。
特に、アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応に使用される触媒としては、有機錫化合物、ジルコニウム錯体、亜鉛錯体およびジルコニウム含有金属石鹸から選択される少なくとも1種の有機金属触媒の存在下で行うことが好ましい。このような有機金属触媒が使用されることにより、粘着剤層と基材とが優れた密着性を示し易いものとなり、使用時等における基材と粘着剤層との分離を抑制し易くなる。
上記有機錫化合物の例としては、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジオクチル錫ジラウレート(DOTDL)、ジブチル錫ジアセテート(DBTDA)、ジオクチル錫ジアセテート(DOTDA)、ジオクチル錫マレート(DOTM)、ジブチル錫マレート(DBTM)等が挙げられる。これらの中でも、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)を使用することが好ましい。
上記有機金属触媒として有機錫化合物を使用する場合、粘着剤組成物中における有機錫化合物の含有量は、アクリル系共重合体(a1)を構成するモノマーの総量100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、特に0.01質量部以上であることが好ましく、さらには0.02質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、0.3質量部未満であることが好ましく、特に0.1質量部以下であることが好ましく、さらには0.07質量部以下であることが好ましい。
このようにして得られる活性エネルギー線硬化性重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、10万以上であることが好ましく、特に20万以上であることが好ましく、さらには30万以上であることが好ましい。また、当該重量平均分子量(Mw)は、120万以下であることが好ましく、特に100万以下であることが好ましく、さらには80万以下であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
(2-2)側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されていないアクリル系重合体(B)
側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されていないアクリル系重合体(B)としては、例えば、前述したアクリル系共重合体(a1)と同様の成分が使用できる。
なお、上記アクリル系重合体(B)として使用されるアクリル系共重合体(a1)が前述した官能基含有モノマーを含む場合、当該アクリル系共重合体(a1)中における官能基含有モノマー由来の構造部分の質量の割合は、0.1質量%以上であることが好ましく、特に1質量%以上であることが好ましく、さらには3質量%以上であることが好ましい。また上記割合は、30質量%以下であることが好ましく、特に25質量%以下であることが好ましく、さらには20質量%以下であることが好ましい。官能基含有モノマー由来の構造部分の割合が上記範囲であることにより、所望の粘着力を発揮し易いものとなる。
また、上記アクリル系重合体(B)として使用されるアクリル系共重合体(a1)が前述した(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む場合、当該アクリル系共重合体(a1)中における(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構造部分の質量の割合は、70質量%以上であることが好ましく、特に75質量%以上であることが好ましく、さらには80質量%以上であることが好ましい。また上記割合は、99.9質量%以下であることが好ましく、特に99質量%以下であることが好ましく、さらには97質量%以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来の構造部分の割合が上記範囲であることにより、所望の粘着力を発揮し易いものとなる。
(2-3)活性エネルギー線硬化性成分
本実施形態における活性エネルギー線硬化性成分としては、活性エネルギー線硬化性を有する成分である限り特に限定されない。なお、本明細書においては、活性エネルギー線硬化性成分とは、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)とは異なるものとする。
本実施形態における粘着剤組成物が側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されていないアクリル系重合体(B)を含有する場合、当該粘着剤組成物がさらに活性エネルギー線硬化性成分を含有することで、本実施形態における粘着剤層が良好な活性エネルギー線硬化性を示すものとなる。なお、本実施形態における粘着剤組成物が側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(A)を含有する場合であっても、当該粘着剤組成物が活性エネルギー線硬化性成分を含有してもよい。
活性エネルギー線硬化性成分の好ましい例としては、活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーが挙げられる。具体的な例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性アクリル酸エステル類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル酸エステル類、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態における粘着剤組成物が側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されていないアクリル系重合体(B)とともに活性エネルギー線硬化性成分を含有する場合、粘着剤組成物中における活性エネルギー線硬化性成分の含有量は、アクリル系重合体(B)100質量部に対して、30質量部超であることが好ましく、特に60質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、アクリル系重合体(B)100質量部に対して、250質量部以下であることが好ましく、特に200質量部以下であることが好ましい。
(2-4)架橋剤
本実施形態における粘着剤組成物は、架橋剤を含有することも好ましい。粘着剤組成物が架橋剤を含有することにより、粘着剤層において、アクリル系重合体(A)またはアクリル系重合体(B)が架橋し、良好な三次元網目構造を形成することが可能となる。これにより、得られる粘着剤の凝集力がより向上し、活性エネルギー線の照射後にワーク加工用シートから分離されたワークにおいて、糊残りの発生を効果的に抑制することができる。なお、粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合には、アクリル系共重合体(a1)は、重合体を構成するモノマー単位として、上述した官能基含有モノマーを含有することが好ましく、特に、使用する架橋剤との反応性の高い官能基を有する官能基含有モノマーを含有することが好ましい。
上記架橋剤の例としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は、アクリル系共重合体が有する、官能基含有モノマー由来の官能基に応じて選択することができる。なお、これらの架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。これらの中でも、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートが好ましい。
本実施形態における粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合、粘着剤組成物中における架橋剤の含有量は、アクリル系重合体(A)およびアクリル系重合体(B)の合計量(アクリル系重合体(A)およびアクリル系重合体(B)の一方のみを含有する場合には、当該含有される成分の含有量)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、特に0.5質量部以上であることが好ましく、さらには3質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましい。架橋剤の含有量が0.1質量部以上であることで、活性エネルギー線の照射後における粘着剤層の凝集力を向上させ易くなり、それによって、糊残りを効果的に抑制することが可能となる。また、架橋剤の含有量が20質量部以下であることで、架橋の程度が適度なものとなり、粘着剤層が所望の粘着力を発揮し易くなる。
(2-5)光重合開始剤
本実施形態における粘着剤組成物は、光重合開始剤を含有することも好ましい。粘着剤組成物が光重合開始剤を含有することにより、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を硬化させる際の重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β-クロールアンスラキノン、(2,4,6-トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2-ベンゾチアゾール-N,N-ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなどが挙げられる。これらの中でも、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンを使用することが好ましい。上述した光重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態における粘着剤組成物が光重合開始剤を含有する場合、粘着剤組成物中における光重合開始剤の含有量は、アクリル系重合体(A)およびアクリル系重合体(B)の合計量(アクリル系重合体(A)およびアクリル系重合体(B)の一方のみを含有する場合には、当該含有される成分の含有量)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、特に1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、10質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲であることで、活性エネルギー線の照射によって、粘着剤層を効率良く硬化させることができ、それにより、被着体に対するワーク加工用シートの粘着力を良好に低下させ易くなる。
(2-6)その他の成分
本実施形態における粘着剤組成物は、本実施形態に係るワーク加工用シートによる前述した効果を損なわない限り、所望の添加剤、例えばシランカップリング剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。
(2-7)粘着剤組成物の調製方法
本実施形態における粘着剤組成物は、アクリル系重合体(A)またはアクリル系重合体(B)を製造し、得られたアクリル系重合体(A)またはアクリル系重合体(B)と、上述したホスホニウム塩と、所望により、活性エネルギー線硬化性成分と、架橋剤と、光重合開始剤と、添加剤とを混合することで製造することができる。このとき、所望により希釈溶剤を添加して、粘着剤組成物の塗布液を得てもよい。
上記希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された塗布液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であれば特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着剤組成物の濃度が10質量%以上、60質量%以下となるように希釈する。なお、塗布液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着剤組成物がコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着剤組成物は、アクリル系共重合体(a1)の重合溶媒をそのまま希釈溶剤とする塗布液となる。
(2-8)粘着剤層の厚さ
本実施形態における粘着剤層の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に3μm以上であることが好ましく、さらには5μm以上であることが好ましい。粘着剤層の厚さが1μm以上であることで、ワーク加工用シートが良好な粘着力を発揮し易くなり、チップ飛びおよび剥離帯電を良好に抑制し易くなる。また、当該厚さは、50μm以下であることが好ましく、特に30μm以下であることが好ましく、さらには20μm以下であることが好ましい。粘着剤層の厚さが50μm以下であることで、ワークのピックアップをより良好に行い易くなる。
(3)剥離シート
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面(粘着面)をワークに貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。
上記剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。当該プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。上記剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル、ゴム系等を用いることができ、これらの中でも、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。
上記剥離シートの厚さについては特に制限はなく、例えば、16μm以上、250μm以下であってよい。
(4)その他
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面に接着剤層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シートは、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。当該シートでは、接着剤層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに接着剤層をダイシングすることで、個片化された接着剤層が積層されたチップを得ることができる。当該チップは、この個片化された接着剤層によって、当該チップが搭載される対象に対して容易に固定することが可能となる。上述した接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と低分子量の熱硬化性接着成分とを含有するものや、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分を含有するもの等を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における粘着面に保護膜形成層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シートは、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。このようなシートでは、保護膜形成層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに保護膜形成層をダイシングすることで、個片化された保護膜形成層が積層されたチップを得ることができる。当該ワークとしては、片面に回路が形成されたものが使用されることが好ましく、この場合、通常、当該回路が形成された面とは反対側の面に保護膜形成層が積層される。個片化された保護膜形成層は、所定のタイミングで硬化させることで、十分な耐久性を有する保護膜をチップに形成することができる。保護膜形成層は、未硬化の硬化性接着剤からなることが好ましい。
2.ワーク加工用シートの物性
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、活性エネルギー線照射前におけるシリコンウエハ(鏡面加工してなるシリコンウエハの当該鏡面,以下同じ)に対する粘着力が、2000mN/25mm以上であることが好ましく、特に2500mN/25mm以上であることが好ましく、さらには3000mN/25mm以上であることが好ましい。本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層が、上述したホスホニウム塩を含有する粘着剤組成物から形成された活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることにより、上述のような高い粘着力を達成し易いものとなる。そして、活性エネルギー線照射前におけるシリコンウエハに対する粘着力が2000mN/25mm以上であることで、ワークをワーク加工用シート上に良好に固定し易くなり、意図しないワーク(特に個片化後のワーク)の脱落(特にチップ飛び)を良好に防止し易くなる。なお、上記粘着力の上限値については特に限定されないものの、例えば、20000mN/25mm以下であることが好ましく、特に10000mN/25mm以下であることが好ましく、さらには7000mN/25mm以下であることが好ましい。上記粘着力の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載する通りである。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、活性エネルギー線照射後におけるシリコンウエハに対する粘着力が、500mN/25mm以下であることが好ましく、特に300mN/25mm以下であることが好ましく、さらには100mN/25mm以下であることが好ましい。本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層が活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることにより、活性エネルギー線照射後において、上述のように粘着力を十分低下させることが可能となる。そして、活性エネルギー線照射後におけるワークに対する粘着力が500mN/25mm以下であることで、加工後のワークをワーク加工用シートから剥離し易くなる。また、活性エネルギー線照射後におけるシリコンウエハに対する粘着力は、10mN/25mm以上であることが好ましく、特に15mN/25mm以上であることが好ましく、さらには20mN/25mm以上であることが好ましい。これにより、活性エネルギー線照射後における意図しない段階でのワークの分離・脱落を抑制し易いものとなる。なお、上記粘着力の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載する通りである。
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、シリコンウエハのミラー面に対する粘着力における、ワーク加工用シートに対して活性エネルギー線を照射する前後の比(照射後/照射前)が、0.3以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましく、特に0.05以下であることが好ましく、さらには0.02以下であることが好ましい。本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層が、上述したホスホニウム塩を含有する粘着剤組成物から形成された活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることにより、上記のような低い比を達成することが可能となる。そして、上記比が0.3以下であることで、活性エネルギー線の照射前においてはワークや加工後のワークを粘着面に良好に固定できるとともに、活性エネルギー線の照射後において加工後のワークを粘着面から容易に分離することが可能となる。なお、上記比の下限値については特に限定されず、例えば0.001以上であってよく、特に0.005以上であってよく、さらには0.01以上であってよい。
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層の表面抵抗率が、1×1013Ω/□以下であることが好ましく、特に1×1012Ω/□以下であることが好ましく、さらに1×1011Ω/□以下であることが好ましい。本実施形態に係るワーク加工用シートは、粘着剤層が、上述したホスホニウム塩を含有する粘着剤組成物から形成された活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることにより、上述した範囲の表面抵抗率を良好に達成することができ、それにより、剥離帯電の発生を良好に抑制することができる。なお、上記表面抵抗率の下限値は特に限定されず、例えば1×10Ω/□以上であってよい。上記表面抵抗率の測定方法の詳細は後述する試験例に記載の通りである。
3.ワーク加工用シートの製造方法
本実施形態に係るワーク加工用シートの製造方法は特に限定されず、好ましくは、基材の片面側に粘着剤層を積層することにより製造される。
基材の片面側への粘着剤層の積層は、公知の方法により行うことができる。例えば、剥離シート上において形成した粘着剤層を、基材の片面側に転写することが好ましい。この場合、粘着剤層を構成する粘着剤組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製し、剥離シートの剥離処理された面(以下「剥離面」という場合がある。)上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター、アプリケータ等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。この積層体における剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、ワーク加工用シートを被着体に貼付するまでの間、粘着剤層の粘着面を保護するために用いてもよい。
粘着剤層を形成するための塗工液が架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内のアクリル系共重合体と架橋剤との架橋反応を進行させ、粘着剤層内に所望の存在密度で架橋構造を形成させればよい。この架橋反応を十分に進行させるために、上記の方法などによって基材に粘着剤層を積層させた後、得られたワーク加工用シートを、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
上述のように剥離シート上で形成した粘着剤層を基材の片面側に転写する代わりに、基材上で直接粘着剤層を形成してもよい。この場合、前述した粘着剤層を形成するための塗工液を基材の片面側に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成する。
4.ワーク加工用シートの使用方法
本実施形態に係るワーク加工用シートは、半導体ウエハ等のワークの加工のために使用することができる。すなわち、本実施形態に係るワーク加工用シートの粘着面をワークに貼付した後、ワーク加工用シート上にてワークの加工を行うことができる。当該加工に応じて、本実施形態に係るワーク加工用シートは、バックグラインドシート、ダイシングシート、エキスパンドシート、ピックアップシート等として使用されることとなる。ここで、ワークの例としては、半導体ウエハ、半導体パッケージ等の半導体部材、ガラス板等のガラス部材が挙げられる。
本実施形態に係るワーク加工用シートは、前述した通り、優れた粘着力を示すとともに、剥離帯電の発生を良好に抑制することができる。特に、半導体ウエハ等のワークを、チップ飛びを抑制して良好に個片化することができ、さらに、得られたチップを、剥離帯電を抑制して容易に分離することができる。そのため、本実施形態に係るワーク加工用シートは、特にダイシングシートおよびピックアップシートの少なくとも一方として使用することが好適である。
本実施形態に係るワーク加工用シートが前述した接着剤層を備える場合には、当該ワーク加工用シートは、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。さらに、本実施形態に係るワーク加工用シートが前述した保護膜形成層を備える場合には、当該ワーク加工用シートは、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材と粘着剤層との間、または基材における粘着剤層とは反対側の面には、その他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)基材の作製
エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)(三井・デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903HC」)を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形することで、厚さ80μmのEMAAフィルムを得た。当該EMAAフィルムを基材として使用した。
(2)粘着剤組成物の調製
アクリル酸n-ブチル62質量部と、メタクリル酸メチル10質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル28質量部とを、溶液重合法により重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。続いて、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成するアクリル酸2-ヒドロキシエチルに対して80モル%に相当する量の2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を添加するとともに、スズ含有触媒としてのジブチル錫ジラウレート(DBTDL)を、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して0.13質量部の量で添加した。その後、50℃で24時間反応させることで、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。当該活性エネルギー線硬化型重合体の重量平均分子量を後述の方法によって測定したところ、50万であった。
上記で得られた、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部(固形分換算,以下同じ)と、トリイソブチルメチルホスホニウムトシラート(Iolitec社製)11.4質量部と、光重合開始剤としての2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(IGM Resins社製,製品名「オムニラッド127」)2質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(三井化学社製,製品名「タケネートD-101E」)0.71質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物の塗布液を得た。
(3)粘着剤層の形成
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381031」)の剥離面に対して、上記工程(2)で得られた粘着剤組成物の塗布液を塗布し、90℃で1分間乾燥させることで、剥離シート上に、コンマコーターを用いて、厚さ5μmの粘着剤層が形成されてなる積層体を得た。
(4)ワーク加工用シートの作製
上記工程(1)で得られた基材における表面層側の面にコロナ処理を施した後、当該コロナ処理面と、上記工程(3)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク加工用シートを得た。
(5)重量平均分子量の測定
前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・測定装置:東ソー社製,HLC-8320
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK gel superH-H
TSK gel superHM-H
TSK gel superH2000
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔実施例2〕
トリイソブチルメチルホスホニウムトシラートの配合量を表1に記載の通り変更した以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔実施例3~6および比較例2~3〕
トリイソブチルメチルホスホニウムトシラートの代わりに、表1に記載の添加剤を、表1に記載の配合量で使用した以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
なお、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミドおよびトリブチルメチルホスホニウムメチルスルフェートは、Iolitec社製のものを使用し、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトシラートは、TCI社製のものを使用した。
〔比較例1〕
トリイソブチルメチルホスホニウムトシラートを使用しなかったこと以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔試験例1〕(粘着力の測定)
実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートを、25mm幅の短冊状に裁断した。得られた短冊状のワーク加工用シートから剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層の粘着面を、鏡面加工してなるシリコンウエハの当該鏡面に対して、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、2kgゴムローラーを用いて貼付し、20分静置し、測定用サンプルとした。なお、上記シリコンウエハにおける上記鏡面は、研削してから1か月以上経過し、活性が消失した面(通常面)であった。
得られた測定用サンプルについて、万能引張試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロンUTM-4-100」)を用い、シリコンウエハから、剥離速度300mm/min、剥離角度180°にてワーク加工用シートを剥離し、JIS Z0237:2009に準じた180°引き剥がし法により、シリコンウエハに対する粘着力(mN/25mm)を測定した。これにより得られた粘着力を、活性エネルギー線の「照射前」の粘着力として表1に記載する。
また、上記と同様に取得した測定用サンプルについて、シリコンウエハ貼付20分後において、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD-2000m/12」)を用いて紫外線(UV)照射(照度:230mW/cm、光量:190mJ/cm)を行った。当該紫外線照射後における測定用サンプルについて、上記と同様に、ワーク加工用シートをパッケージから引き離す測定を行い、粘着力(mN/25mm)を測定した。これにより得られた粘着力を、活性エネルギー線の「照射後」の粘着力として表1に記載する。
さらに、上記の通り測定された粘着力に基づいて、照射前の粘着力に対する照射後の粘着力の比(照射後/照射前)を算出した。その結果を表1に示す。
〔試験例2〕(基材密着性の評価)
実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートに対し、基材側の面から紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD-2000m/12」)を用いて紫外線照射(照度:230mW/cm、光量:190mJ/cm)を行った。
続いて、剥離フィルムを剥離して露出した粘着剤層に対し、カット間隔5mm、カットライン10本×10本として碁盤目状にクロスカットし、マス目数100のクロスカット領域を作製した。そして、当該クロスカット領域を覆うように、粘着面に対して、粘着テープ(ニチバン社製,製品名「セロテープ(登録商標)」)を貼り、JIS K5600-5-6:1999(クロスカット法)の碁盤目テープ法に準拠して、剥離試験を行った。
100個のマス目のうち、剥がれが生じたマス目(カットの縁だけが剥がれたものも含む)の個数をカウントした。その結果を表1に示す。
〔試験例3〕(チップ飛びの評価)
実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートから剥離シートを剥離し、粘着剤層を露出させた。そして、予めグラインダー(ディスコ社製,製品名「DFG8540」)を用いて片面を研削しておいた6インチシリコンウエハ(厚さ350μm)の研削面に対し、ラミネーターを用いて、上記ワーク加工用シートにおける粘着剤層の露出面を貼付した。
貼付から1時間後、ダイシング装置(ディスコ社製,製品名「DFD6362」)を用いて、以下のダイシング条件でワーク加工用シート上にてダイシングを行うことで、シリコンウエハをチップに個片化した。
ダイシング条件
チップサイズ:3mm×3mm
カッティング高さ:60μm
ブレード:製品名「ZH05-SD2000-Z1-90 CC」
ブレード回転数:35000rpm
切削スピード:40mm/sec
切削水量:1.0L/min
切削水温度:20℃
そして、上記ダイシングの過程において生じたチップ飛びの個数をカウントした。その結果を表1に示す。
〔試験例4〕(表面抵抗率の測定)
実施例および比較例にて製造したワーク加工用シートを100mm×100mmに裁断し、これを表面抵抗率測定用サンプルとした。当該表面抵抗率測定用サンプルを23℃、50%相対湿度下で24時間調湿したのち、剥離シートを剥離し、粘着剤面の表面抵抗率(Ω/□)を、DIGITAL ELECTROMETER(ADVANTEST社製)を用いて印加電圧100Vで測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2024037368000003
表1から分かるように、実施例で得られたワーク加工用シートは、活性エネルギー線の照射前において良好な粘着力を示した。また、活性エネルギー線を照射することで、上記粘着力は十分に低下した。すなわち、実施例で得られたワーク加工用シートは、活性エネルギー線の照射によって良好に粘着力を制御可能であった。さらに、実施例で得られたワーク加工用シートでは、表面抵抗率が十分に低下した。そのため、実施例で得られたワーク加工用シートは、剥離帯電を良好に抑制できると予想される。
一方、比較例1および2に係るワーク加工用シートは、表面抵抗率が高く、そのため、剥離帯電を十分抑制できないことが予想される。また、比較例3に係るワーク加工用シートは、活性エネルギー線の照射前の粘着力が低く、基材密着性評価から示されるように、基材と粘着剤層との界面の剥離が生じ易く、且つ、チップ飛び評価から示されるように、加工後のワークを粘着面に十分に保持できないものであった。
本発明のワーク加工用シートは、半導体ウエハ等のワークの加工に好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えるワーク加工用シートであって、
    前記粘着剤層が、下式(1)のホスホニウム塩
    Figure 2024037368000004

    (式(1)中、R~Rは、少なくとも3つが炭素数3以上のアルキル鎖であり、残りが前記アルキル鎖以外の炭化水素基であり、Xは、ハロゲンを含まないアニオンであるか、または、前記粘着剤層中のハロゲン含有量が1000ppm以下となる量でハロゲンを含むアニオンである。)
    を含有する粘着剤組成物から形成された活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることを特徴とするワーク加工用シート。
  2. 前記粘着剤組成物中における前記ホスホニウム塩の含有量は、0.2質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  3. 前記ホスホニウム塩において、R~Rの全てが炭素数3以上のアルキル鎖であることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  4. 前記ホスホニウム塩におけるXは、トシラート、ジシアナミドおよびメチルスルフェートの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  5. 前記粘着剤組成物は、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入された(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  6. 前記ワーク加工用シートのシリコンウエハのミラー面に対する粘着力における、前記ワーク加工用シートに対して活性エネルギー線を照射する前後の比(照射後/照射前)は、0.001以上、0.3以下であることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  7. 前記ワーク加工用シートは、ダイシングシートおよびピックアップシートの少なくとも一方として使用されるものであることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  8. 請求項1に記載のワーク加工用シートの使用方法であって、
    前記粘着剤層における前記基材とは反対側の面をワークに貼付する工程と、
    前記ワーク加工用シート上において前記ワークの加工を行う工程と
    を含むことを特徴とする使用方法。
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