JP2023141123A - 双極型鉛蓄電池、双極型鉛蓄電池の製造方法 - Google Patents

双極型鉛蓄電池、双極型鉛蓄電池の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023141123A
JP2023141123A JP2022047269A JP2022047269A JP2023141123A JP 2023141123 A JP2023141123 A JP 2023141123A JP 2022047269 A JP2022047269 A JP 2022047269A JP 2022047269 A JP2022047269 A JP 2022047269A JP 2023141123 A JP2023141123 A JP 2023141123A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
lead
negative electrode
current collector
collector plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022047269A
Other languages
English (en)
Inventor
佳与 立古
Kayo Tatefuru
惠造 山田
Keizo Yamada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Furukawa Battery Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Furukawa Battery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd, Furukawa Battery Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP2022047269A priority Critical patent/JP2023141123A/ja
Publication of JP2023141123A publication Critical patent/JP2023141123A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】基板の貫通穴で正極用集電板と負極用集電板とが導通されて複数のセル部材が直列に電気的に接続されている双極型鉛蓄電池において、電解液を正極用集電板の導通部に至りにくくして、短絡を防止する。【解決手段】本発明の双極型鉛蓄電池は、基板121の貫通穴121aで正極用集電板111aと負極用集電板112aとが導通されて複数のセル部材110が直列に電気的に接続されており、正極用集電板111aの縁部は中央部分よりも厚く形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、双極型鉛蓄電池およびその製造方法に関する。
近年、太陽光や風力等の自然エネルギを利用した発電設備が増えている。このような発電設備においては、発電量を制御することができないことから、蓄電池を利用して電力負荷の平準化を図るようにしている。すなわち、発電量が消費量よりも多いときには差分を蓄電池に充電する一方、発電量が消費量よりも小さいときには差分を蓄電池から放電するようにしている。上述した蓄電池としては、経済性や安全性等の観点から、鉛蓄電池が多用されている。このような従来の鉛蓄電池としては、例えば、下記特許文献1に記載された双極型鉛蓄電池が知られている。
この双極型鉛蓄電池は、額縁形で樹脂製のフレームの内側に、樹脂製の基板が取り付けられている。基板の両面には鉛層が配置されている。基板の一面の鉛層には、正極用活物質層が隣接し、他面の鉛層には、負極用活物質層が隣接している。また、額縁形で樹脂製のスペーサを有し、その内側には、電解液を含浸させたガラスマットが配設されている。そして、フレームとスペーサとを交互に複数積層し、フレームとスペーサとの間が接着剤等で接着されている。また、基板に設けた貫通穴を介して、基板の両面の鉛層が接続されている。
すなわち、特許文献1に記載された双極型鉛蓄電池は、正極用集電板と正極用活物質層を有する正極、負極用集電板と負極用活物質層を有する負極、および正極と負極との間に介在するセパレータ(ガラスマット)を備え、間隔を開けて積層配置された、複数のセル部材と、複数のセル部材を個別に収容する複数の空間を形成する、複数の空間形成部材と、を有し、正極用集電板および負極用集電板は共に金属(鉛)製である。また、空間形成部材は、セル部材の正極側および負極側の少なくとも一方を覆う基板と、セル部材の側面を囲う枠体(二極式プレートおよび端部プレートの枠部とスペーサ)と、を含んでいる。さらに、セル部材と空間形成部材の基板とが交互に積層状態で配置され、隣り合うセル部材の間に配置された基板は、板面と交差する方向に延びる貫通穴を有し、貫通穴の中で、隣り合うセル部材の正極用集電板と負極用集電板とが導通されて複数のセル部材が直列に電気的に接続され、隣接する枠体が接合されている。
しかし、特許文献1には、正極用集電板および負極用集電板である鉛箔の厚さを縁部と中央部分とで異なるものとすることは記載されていないし、それを示唆する記載もない。
特許第6124894号公報
上述のように、基板の貫通穴で正極用集電板と負極用集電板とが導通されて複数のセル部材が直列に電気的に接続されている双極型鉛蓄電池の場合、電解液が集電板に浸入して集電板を腐食させ導通部に達すると、貫通穴を経由して反対側の集電板に到達し、液絡現象が生じて短絡に至る可能性がある。
本発明の課題は、基板の貫通穴で正極用集電板と負極用集電板とが導通されて複数のセル部材が直列に電気的に接続されている双極型鉛蓄電池において、電解液を正極用集電板の導通部に至りにくくして、短絡を防止することである。
前述した課題を解決するための本発明の第一態様は、以下の構成(1)~(4)を有する双極型鉛蓄電池である。
(1)正極用活物質層と鉛または鉛合金からなる正極用集電板とを有する正極、負極用活物質層と鉛または鉛合金からなる負極用集電板とを有する負極、および前記正極と前記負極との間に介在するセパレータを備え、間隔を開けて積層配置された、複数のセル部材と、前記複数のセル部材を個別に収容する複数の空間を形成する、複数の空間形成部材と、を有する。
(2)前記空間形成部材は、前記セル部材の前記正極側および前記負極側の少なくとも一方を覆う基板と、前記セル部材の側面を囲う枠体と、を含む。前記セル部材と前記空間形成部材の前記基板とが交互に積層された状態で配置されている。隣接する前記枠体が接合されている。
(3)隣り合う前記セル部材の間に配置された前記基板である主基板の前記正極の側の面に前記正極用集電板が固定されている。前記主基板の前記負極の側の面に前記負極用集電板が固定されている。前記主基板は板面と交差する方向に延びる貫通穴を有し、前記貫通穴の中で、隣り合う前記セル部材の前記正極用集電板と前記負極用集電板とが導通されて、前記複数のセル部材が直列に電気的に接続されている。
(4)前記正極用集電板の縁部は中央部分よりも厚く形成されている。前記縁部の範囲は、例えば、正極用集電板が負極用集電板と導通されている部分より前記枠体の側の部分である。
本発明の第二態様は、上記構成(1)~(3)を有する双極型鉛蓄電池の製造方法であって、以下の構成(5)を有する。
(5)前記正極用集電板として、前記負極用集電板と導通する部分より前記枠体の側の部分である縁部が中央部分よりも厚く形成されたものを使用して、組み立てを行う。
本発明の双極型鉛蓄電池および本発明の方法で得られた双極型鉛蓄電池は、厚さが縁部と中央部分とで同じ正極用集電板を備えた双極型鉛蓄電池と比較して、電解液が正極用集電板の導通部に至りにくくなるため、短絡防止効果が得られることが期待できる。
第一実施形態の双極型鉛蓄電池の概略構成を示す断面図である。 図1の部分拡大図である。 第一実施形態の双極型鉛蓄電池を構成する正極用鉛箔を示す平面図である。 第二実施形態の双極型鉛蓄電池を示す部分拡大断面図である。 第三実施形態の双極型鉛蓄電池を示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
〔全体構成〕
先ず、この実施形態の双極(バイポーラ)型鉛蓄電池の全体構成について説明する。
図1に示すように、この実施形態の双極型鉛蓄電池100は、複数のセル部材110と、複数枚のバイプレート(空間形成部材)120と、第一のエンドプレート(空間形成部材)130と、第二のエンドプレート(空間形成部材)140を有する。図1ではセル部材110が三個積層された双極型鉛蓄電池100を示しているが、セル部材110の数は電池設計により決定される。また、バイプレート120の数はセル部材110の数に応じて決まる。
セル部材110の積層方向をZ方向(図1及び図2の上下方向)とし、Z方向に垂直な方向をX方向とする。
セル部材110は、正極111、負極112、およびセパレータ(電解質層)113を備えている。セパレータ113には電解液が含浸されている。正極111は、正極用鉛箔(正極用集電板)111a,111aaと正極用活物質層111bを有する。負極112は負極用鉛箔(負極用集電板)112a,112aaと負極用活物質層112bを有する。セパレータ113は、正極111と負極112との間に介在している。セル部材110において、正極用鉛箔111a,111aa、正極用活物質層111b、セパレータ113、負極用活物質層112b、および負極用鉛箔112a,112aaは、この順に積層されている。
Z方向の寸法(厚さ)は、正極用鉛箔111aの方が負極用鉛箔112aより大きく(厚く)、正極用活物質層111bの方が負極用活物質層112bより大きい(厚い)。
複数のセル部材110は、Z方向に間隔を開けて積層配置され、この間隔の部分にバイプレート120の基板121が配置されている。つまり、複数のセル部材110は、バイプレート120の基板121を間に挟んだ状態で積層されている。
複数枚のバイプレート120と第一のエンドプレート130と第二のエンドプレート140は、複数のセル部材110を個別に収容する複数の空間(セル)Cを形成するための部材である。
図2に示すように、バイプレート120は、平面形状が長方形の基板121と、基板121の四つの端面を覆う枠体122と、基板121の両面から垂直に突出する柱部123とからなり、基板121と枠体122と柱部123は一体に合成樹脂で形成されている。なお、基板121の各面から突出する柱部123の数は一つであってもよいし、複数であってもよい。
Z方向において、枠体122の寸法は基板121の寸法(厚さ)より大きく、柱部123の突出端面間の寸法は枠体122の寸法と同じである。そして、複数のバイプレート120が枠体122および柱部123同士を接触させて積層することにより、基板121と基板121との間に空間Cが形成され、互いに接触する柱部123同士により、空間CのZ方向の寸法が保持される。
正極用鉛箔111a,111aa、正極用活物質層111b、負極用鉛箔112a,112aa、負極用活物質層112b、およびセパレータ113には、柱部123を貫通させる貫通穴111c,111d,112c,112d,113aがそれぞれ形成されている。
バイプレート120の基板(主基板)121は、板面を貫通する複数の貫通穴121aを有する。基板121の一面に第一の凹部121bが、他面に第二の凹部121cが形成されている。第一の凹部121bの深さは第二の凹部121cより深い。第一の凹部121bおよび第二の凹部121cのX方向およびY方向の寸法は、正極用鉛箔111aおよび負極用鉛箔112aのX方向およびY方向の寸法に対応させてある。
バイプレート120の基板121は、Z方向で、隣り合うセル部材110の間に配置されている。バイプレート120の基板121は、セル部材110の正極111の側と、その隣のセル部材110の負極112の側と、の両方を覆う基板である。バイプレート120の基板121の第一の凹部121bに、セル部材110の正極用鉛箔111aが接着剤層150を介して配置されている。つまり、基板121の正極111の側の面(第一の凹部121bの底面)に接着剤で正極用鉛箔111aが固定されている。
また、バイプレート120の基板121の第二の凹部121cに、セル部材110の負極用鉛箔112aが接着剤層150を介して配置されている。つまり、基板121の負極112の側の面(第二の凹部121cの底面)に接着剤で負極用鉛箔112aが固定されている。
バイプレート120の基板121の貫通穴121aに導通体160が配置され、導通体160の両端面は、正極用鉛箔111aおよび負極用鉛箔112aと接触し、結合されている。つまり、導通体160により正極用鉛箔111aと負極用鉛箔112aとが電気的に接続されている。その結果、複数のセル部材110の全てが電気的に直列に接続されている。
図1に示すように、第一のエンドプレート130は、セル部材110の正極側を覆う基板131と、セル部材110の側面を囲う枠体132と、基板131の一面(最も正極側に配置されるバイプレート120の基板121と対向する面)から垂直に突出する柱部133とからなる。基板131の平面形状は長方形であり、基板131の四つの端面が枠体132で覆われ、基板131と枠体132と柱部133が一体に合成樹脂で形成されている。なお、基板131の一面から突出する柱部133の数は一つであってもよいし、複数であってもよいが、柱部133と接触させるバイプレート120の柱部123に対応させる。
Z方向において、枠体132の寸法は基板131の寸法(厚さ)より大きく、柱部133の突出端面間の寸法は枠体132の寸法と同じである。そして、最も外側(正極側)に配置されるバイプレート120の枠体122および柱部123に対して、枠体132および柱部133を接触させて積層することにより、バイプレート120の基板121と第一のエンドプレート130の基板131との間に空間Cが形成され、互いに接触するバイプレート120の柱部123と第一のエンドプレート130の柱部133とにより、空間CのZ方向の寸法が保持される。
最も外側(正極側)に配置されるセル部材110の正極用鉛箔111aa、正極用活物質層111b、およびセパレータ113には、柱部133を貫通させる貫通穴111c,111d,113aがそれぞれ形成されている。
第一のエンドプレート130の基板131の一面に凹部131bが形成されている。凹部131bのX方向の寸法は、正極用鉛箔111aaのX方向の寸法に対応させてある。第一のエンドプレート130の基板131の一面に配置された正極用鉛箔111aaのZ方向の寸法は、バイプレート120の基板121の一面に配置された正極用鉛箔111aのZ方向の寸法よりも大きい。
第一のエンドプレート130の基板131の凹部131bに、セル部材110の正極用鉛箔111aaが接着剤層150を介して配置されている。つまり、基板131の正極111の側の面(凹部131bの底面)に接着剤で正極用鉛箔111aaが固定されている。
また、第一のエンドプレート130は、凹部131b内の正極用鉛箔111aaと電気的に接続された正極端子を備えている。
第二のエンドプレート140は、セル部材110の負極側を覆う基板141と、セル部材110の側面を囲う枠体142と、基板141の一面(最も負極側に配置されるバイプレート120の基板121と対向する面)から垂直に突出する柱部143とからなる。基板141の平面形状は長方形であり、基板141の四つの端面が枠体142で覆われ、基板141と枠体142と柱部143が一体に合成樹脂で形成されている。なお、基板141の一面から突出する柱部143の数は一つであってもよいし、複数であってもよいが、柱部143と接触させるバイプレート120の柱部123に対応させる。
Z方向において、枠体142の寸法は基板131の寸法(厚さ)より大きく、二つの柱部143の突出端面間の寸法は枠体142の寸法と同じである。そして、最も外側(負極側)に配置されるバイプレート120の枠体122および柱部123に対して、枠体142および柱部143を接触させて積層することにより、バイプレート120の基板121と第二のエンドプレート140の基板141との間に空間Cが形成され、互いに接触するバイプレート120の柱部123と第二のエンドプレート140の柱部143とにより、空間CのZ方向の寸法が保持される。
最も外側(負極側)に配置されるセル部材110の負極用鉛箔112aa、負極用活物質層112b、およびセパレータ113には、柱部143を貫通させる貫通穴112c,112d,113aがそれぞれ形成されている。
第二のエンドプレート140の基板141の一面に凹部141bが形成されている。凹部141bのX方向およびY方向の寸法は、負極用鉛箔112aaのX方向およびY方向の寸法に対応させてある。第二のエンドプレート140の基板141の一面に配置された負極用鉛箔112aaのZ方向の寸法は、バイプレート120の基板121の他面に配置された負極用鉛箔112aのZ方向の寸法よりも大きい。
第二のエンドプレート140の基板141の凹部141bに、セル部材110の負極用鉛箔112aaが接着剤層150を介して配置されている。つまり、基板141の負極112の側の面(凹部141bの底面)に接着剤で負極用鉛箔112aaが固定されている。
また、第二のエンドプレート140は、凹部141b内の負極用鉛箔112aaと電気的に接続された負極端子を備えている。
なお、上記説明から分かるように、バイプレート120は、セル部材110の正極側および負極側の両方を覆う基板121と、セル部材110の側面を囲う枠体122と、を含む空間形成部材である。第一のエンドプレート130は、セル部材110の正極側のみ(正極側および負極側の一方)を覆う基板131と、セル部材110の側面を囲う枠体132と、を含む空間形成部材である。
また、第二のエンドプレート140は、セル部材110の負極側のみ(正極側および負極側の一方)を覆う基板141と、セル部材110の側面を囲う枠体142と、を含む空間形成部材である。つまり、基板121,131,141は、セル部材110の正極の側および負極の側の少なくとも一方を覆う基板であり、基板121はセル部材110の正極の側および負極の側の両方を覆う基板である。また、バイプレート120の基板121は、セル部材110同士の間に配置された基板(主基板)である。
〔正極用集電板について〕
図3の平面図には、バイプレート120の凹部121bに設置された状態の正極用鉛箔111aが示されている。図2は図3のA-A断面図に対応する図である。
図3に示すように、正極用鉛箔111aは、厚さの異なる中央部分1および縁部2からなり、縁部2は、正極用鉛箔111aが負極用鉛箔(負極用集電板)112aと導通されている部分(導通部)3より外側(バイプレート120の枠体122の側)の部分である。また、正極用鉛箔111aの平面形状は正方形であり、この正方形の一辺に沿った縁部2の寸法(L2)は、この正方形の一辺に沿った正極用鉛箔111aの端部から導通部3までの寸法の最小値(L3)よりも小さい(L2<L3)。
図2に示すように、正極用鉛箔111aの厚さは、縁部2が中央部分1より厚く形成されている。縁部2の厚さ(T2)は、中央部分1の厚さ(T1)の1.50倍以下(1.00<T2/T1≦1.50)となっている。この実施形態で用いる正極用鉛箔111aでは、厚さ方向の一端側にだけ一定厚さの厚い部分が存在する。そして、正極用鉛箔111aは、厚さ方向における縁部2の中央部分1からの突出部分が基板121の反対側に向くように、バイプレート120の第一の凹部121bに配置されている。また、正極用鉛箔111aの段差のある面に正極活物質層111bが形成されている。
なお、正極用鉛箔111aの平面形状をなす正方形の一辺の寸法L1は、第一の凹部121bの底面をなす正方形の一辺の寸法より僅かに小さく形成されている。
正極用鉛箔111aの中央部分1の厚さT1は、例えば150μm以上750μm以下である。
この実施形態で用いる正極用鉛箔111aは、通常の方法で作製された正方形の正極用鉛箔の一面側の中央部分をプレス加工により薄くすることで、厚さ方向の一端側に一定厚さの厚い部分が存在するように作製されている。
〔作用、効果〕
実施形態の双極型鉛蓄電池100では、正極用鉛箔111aの縁部2の厚さ(T2)が中央部分1の厚さ(T1)より大きいことにより、正極用鉛箔111aを均一な厚さ(中央部分1の厚さT1)とした場合と比較して、正極用鉛箔111aの端面側から縁部2に浸入した電解液が中央部分1に至るまでの時間を長くすることができる。
すなわち、中央部分1は正極活物質層111bが接触している面のみで電解液と接触するのに対して、端部2は、正極活物質層111bが接触していない面(端面、正極活物質層111b側の面であって正極活物質層111bが形成されていない面)でも電解液と接触するため、電解液による腐食が生じやすい環境にある。このような環境にある端部2の厚さを厚くすることで、正極用鉛箔111aの端面側から縁部2に浸入した電解液が中央部分1に至るまでの時間を長くすることができる。これに伴い、電解液が導通部3に達しにくくなることで、液絡現象の発生が抑制される。
なお、中央部分1の厚さが同じ場合、中央部分1の厚さに対する縁部2の厚さの比(T2/T1)が大きいほど、上記作用、効果は大きくなるが、厚すぎると電池の組み立て性が低下するなどの不具合が生じる。実施形態の双極型鉛蓄電池100では、この比(T2/T1)が1.50以下であるため、上述のような不具合が生じにくい。
また、厚い部分である縁部2の寸法(L2)は、正極用鉛箔111aの端部から導通部3までの寸法の最小値(L3)以上となっていてもよいが、そのようになっていても「正極用鉛箔111aの端面側から縁部2に浸入した電解液が中央部分1に至るまでの時間を長くする」という作用、効果は大きくならないため、この実施形態の双極型鉛蓄電池100では、L2<L3としている。
[第二実施形態]
第二実施形態の双極型鉛蓄電池は、第一実施形態と同様に、縁部2において厚さ方向の一端側にだけ、中央部分1から一定厚さで突出する部分が存在する形状の正極用鉛箔111aを有する。しかし、図4に示すように、第一実施形態とは異なり、正極用鉛箔111aは、厚さ方向における縁部2の中央部分1からの突出部分が基板121側に向くように、バイプレート120の第一の凹部121bに配置されている。
また、バイプレート120の第一の凹部121bを深い部分121dと浅い部分121eとからなる形状とし、正極用鉛箔111aの厚さ方向における縁部2の中央部分1からの突出部分を深い部分121dに入れた状態で、第一の凹部121bに配置されている。そして、正極用鉛箔111aの段差のない面に正極活物質層111bが形成されている。
第二実施形態の双極型鉛蓄電池は、上記以外は第一実施形態の双極型鉛蓄電池と同じ構造を有する。
第二実施形態の双極型鉛蓄電池は第一実施形態の双極型鉛蓄電池と同じ作用、効果を有する。これに加えて、正極用鉛箔111aの正極活物質層111bが配置される面に段差が存在しないため、予め層状に形成された正極活物質層111bを載せて作製する場合に正極用鉛箔111aと正極活物質層111bとの密着性が向上する、という作用、効果も得られる。
[第三実施形態]
第三実施形態の双極型鉛蓄電池は、図5に示すように、縁部2において厚さ方向の両端に、中央部分1から一定厚さで突出する部分が存在する形状の正極用鉛箔111aを有する。この形状の正極用鉛箔111aは、通常の方法で作製された正方形の正極用鉛箔の中央部分を両面側からプレス加工により薄くすることで、厚さ方向の両端にそれぞれ一定厚さの増厚分が存在するように作製されている。
また、バイプレート120の第一の凹部121bを深い部分121dと浅い部分121eとからなる形状とし、正極用鉛箔111aの厚さ方向一端における縁部2の中央部分1からの突出部分を深い部分121dに入れた状態で、第一の凹部121bに配置されている。そして、正極用鉛箔111aの厚さ方向他端における縁部2の中央部分1からの突出部分を有する面に、正極活物質層111bが形成されている。
第三実施形態の双極型鉛蓄電池は、上記以外は第一実施形態の双極型鉛蓄電池と同じ構造を有する。
第三実施形態の双極型鉛蓄電池は第一実施形態の双極型鉛蓄電池と同じ作用、効果を有する。
[その他]
上記各実施形態の双極型鉛蓄電池では、正極用集電板として、縁部2が一定厚さで中央部分1よりも厚くなっている正極用鉛箔111aを用いているが、縁部2の厚さは端部が最も厚く中央部分1に向けて傾斜面状に薄くなっていてもよい。また、縁部2の厚さは端部が最も厚く中央部分1に向けて凹面状に薄くなっていてもよい。
さらに、縁部2に、中央部分1と同じ厚さとなる基準面から突出する複数の突起を、厚さ方向一端または両端に有する正極用鉛箔111aを使用してもよい。この正極用鉛箔111aは、縁部2の厚さ方向一端面または両端面を、凹凸パターンを備えた型を用いてプレス加工することで作製できる。凹凸パターンの形状は波形、鋸形、矩形の繰り返し形状など、どのような形状であってもよい。
また、上記各形状の正極用鉛箔111aの場合でも、縁部2の厚さを増加させた部分を主基板側に向けて(バイプレートの120第一の凹部121b内に)配置してもよいし、主基板とは反対側に向けて配置してもよい。
また、上記各実施形態の双極型鉛蓄電池では、正極用集電板として平面形状が正方形の正極用鉛箔111aを使用しているが、正極用集電板の平面形状は正方形に限定されず、長方形、円形、楕円形等であってもよい。
なお、負極用集電板についても、正極用集電板と同様に、縁部の厚さが中央部分の厚さよりも厚く形成されたものを用いてもよい。
〔正極用集電板の準備〕
正極用集電板として、表1~表3に示す構成のNo.1~No.19の鉛合金箔を準備した。
No.1の鉛合金シートは、厚さが300μmで、カルシウム(Ca)の含有率が0.02質量%、錫(Sn)の含有率が1.1質量%、残部が鉛(Pb)と不可避的不純物である鉛合金からなる圧延板を、310℃で5分間、大気雰囲気下で熱処理をした後、一辺が300mmである正方形のシートに切り出したものである。
No.2の鉛合金シートは、厚さが305μmで、No.1と同じ鉛合金からなる圧延板を、310℃で5分間、大気雰囲気下で熱処理をした後、一辺が300mmである正方形のシートに切り出したものを、プレス加工したものである。具体的には、縁部2の寸法(図3のL2)を30mmとし、それより内側の部分である中央部分1の厚さが元の厚さから5μmだけ薄くなるようにプレス加工を行って、No.2の鉛合金シートを得た。
つまり、No.2の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは305μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に5μmの段差面を有する。
No.3の鉛合金シートは、厚さが310μmである圧延板を用いて、中央部分1の厚さが元の厚さから10μmだけ薄くなるようにプレス加工した以外は、No.2の鉛合金シートと同じ方法で得た。つまり、No.3の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは310μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に10μmの段差面を有する。
No.4の鉛合金シートは、厚さが330μmである圧延板を用いて、中央部分1の厚さが元の厚さから30μmだけ薄くなるようにプレス加工した以外は、No.2の鉛合金シートと同じ方法で得た。つまり、No.4の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは330μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に30μmの段差面を有する。
No.5の鉛合金シートは、厚さが350μmである圧延板を用いて、中央部分1の厚さが元の厚さから50μmだけ薄くなるようにプレス加工した以外は、No.2の鉛合金シートと同じ方法で得た。つまり、No.5の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは350μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に50μmの段差面を有する。
No.6の鉛合金シートは、厚さが400μmである圧延板を用いて、中央部分1の厚さが元の厚さから100μmだけ薄くなるようにプレス加工した以外は、No.2の鉛合金シートと同じ方法で得た。つまり、No.6の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは400μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に100μmの段差面を有する。
No.7の鉛合金シートは、厚さが425μmである圧延板を用いて、中央部分1の厚さが元の厚さから125μmだけ薄くなるようにプレス加工した以外は、No.2の鉛合金シートと同じ方法で得た。つまり、No.7の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは425μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に125μmの段差面を有する。
No.8の鉛合金シートは、厚さが450μmである圧延板を用いて、中央部分1の厚さが元の厚さから150μmだけ薄くなるようにプレス加工した以外は、No.2の鉛合金シートと同じ方法で得た。つまり、No.8の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは450μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に150μmの段差面を有する。
No.9の鉛合金シートは、厚さが455μmである圧延板を用いて、中央部分1の厚さが元の厚さから155μmだけ薄くなるようにプレス加工した以外は、No.2の鉛合金シートと同じ方法で得た。つまり、No.9の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは455μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に155μmの段差面を有する。
No.10の鉛合金シートは、厚さが480μmである圧延板を用いて、中央部分1の厚さが元の厚さから180μmだけ薄くなるようにプレス加工した以外は、No.2の鉛合金シートと同じ方法で得た。つまり、No.10の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは480μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に180μmの段差面を有する。
No.11の鉛合金シートは、縁部2の寸法(図3のL2)を6mmとした以外は、No.4の鉛合金シートと同じ方法で得た。
No.12の鉛合金シートは、縁部2の寸法(図3のL2)を15mmとした以外は、No.4の鉛合金シートと同じ方法で得た。
No.13の鉛合金シートは、縁部2の寸法(図3のL2)を45mmとした以外は、No.4の鉛合金シートと同じ方法で得た。
No.14の鉛合金シートは、縁部2の寸法(図3のL2)を60mmとした以外は、No.4の鉛合金シートと同じ方法で得た。
No.15の鉛合金シートは、縁部2の寸法(図3のL2)を75mmとした以外は、No.4の鉛合金シートと同じ方法で得た。
No.16の鉛合金シートは、縁部2の寸法(図3のL2)を84mmとした以外は、No.4の鉛合金シートと同じ方法で得た。
No.17の鉛合金シートは、縁部2の寸法(図3のL2)を90mmとした以外は、No.4の鉛合金シートと同じ方法で得た。
No.18の鉛合金シートは、No.4の鉛合金シートと同じであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向一端に30μmの段差面を有する。
No.19の鉛合金シートは、厚さが330μmである圧延板を用いて、中央部分1を両面側から、それぞれ元の厚さから15μmだけ薄くなるようにプレス加工した以外は、No.2の鉛合金シートと同じ方法で得た。つまり、No.19の鉛合金シートの中央部分1の厚さは300μmであり、縁部2の厚さは330μmであり、中央部分1と縁部2との境界の厚さ方向両端に15μmずつの段差面を有する。
〔バイプレートおよびエンドプレートの作製〕
ABS樹脂の射出成形により図1に示す形状のバイプレート120を作製した。バイプレート120の基板121の厚さは2mmである。凹部121bの底面は、一辺が300mmの正方形であり、深さはNo.1~17の各鉛合金シートの縁部2の厚さと同じである。凹部121cの底面は、一辺が300mmの正方形であり、深さは0.12mmである。つまり、No.1~17の各双極型鉛蓄電池用のバイプレート120として、No.1~17の各鉛合金シートに合わせた深さの凹部121bを有するものを用意した。また、寸法L3は75mmとした。
ABS樹脂の射出成形により図1に示す形状の第一のエンドプレート130および第二のエンドプレート140を作製した。第一のエンドプレート130の基板131および第二のエンドプレート140の基板141の厚さは10mmである。凹部131bおよび凹部141bの底面は、一辺が300mmの正方形であり、深さは1.52mmである。
[双極型鉛蓄電池の組み立て]
サンプルNo.1~No.17の各正極用集電板を正極用鉛箔111aとして用い、図1に示す構造を有し、定格容量が45AhとなるようにNo.1~No.17の双極型鉛蓄電池を組み立てて、電解化成(48時間)を行った。No.1~No.17の双極型鉛蓄電池では、正極用鉛箔111a以外は全てのサンプルで同じ構成とした。
また、No.18の双極型鉛蓄電池として、バイプレート120の第二の凹部121bの底面の形状をNo.4と異なる図4に示す形状(縁部側を深い部分121dとしたもの)とし、縁部の突出側を深い部分121d内に配置した以外はNo.4と同じものを組み立てて、同じ条件で電解化成を行った。
さらに、No.19の双極型鉛蓄電池として、バイプレート120の第二の凹部121bの底面の形状を図5に示す形状(縁部側を深い部分121dとし、その深さをNo.18の半分としたもの)とし、縁部の厚さ方向一方の突出部を深い部分121d内に配置し他方の突出部を活物質層111b側に突出させた以外は、No.4と同じものを組み立てて、同じ条件で電解化成を行った。
正極用鉛箔111aaとしては、No.1の正極用鉛箔111aと同じ合金を用い同じ製法により得られ、正極用鉛箔111aと同じ長方形で、全体の厚さが1.50mmであるシートを使用した。
負極用鉛箔112aとしては、錫(Sn)の含有率が1.6質量%であり、残部が鉛(Pb)と不可避的不純物である鉛合金からなる圧延シートであって、厚さが100μmであるシートを使用した。負極用鉛箔112aaとしては、厚さが1.50mmで異なる以外は負極用鉛箔112aと同じ圧延シートを使用した。
正極用活物質層111bおよび負極用活物質層112bは鉛化合物からなるもの、セパレータ113はガラス繊維からなるものであって、それぞれ定格容量45Ahに対応させた厚さのものを使用した。
[厚みの測定]
電解化成後のNo.1~No.19の各双極型鉛蓄電池を解体して、以下の手順により正極用鉛箔111aの中央部分1と縁部2の厚さを測定した。
先ず、中央のセルCに配置されたセル部材110の正極板111が固定されているバイプレート120を、水洗した後に乾燥した。次に、乾燥後のバイプレートを超音波カッターにより切断して、縁部2と中央部分1でそれぞれ複数個の切断片(平面形状は正方形)を得た。次に、各切断片(約30mm×約30mm、No.11、12ではL2=6mm、12mmのため、6mm×6mm、12mm×12mm)から、正方形の鉛箔片を剥離した後、腐食層を除去した。
腐食層の除去は、剥離した鉛箔片をトレーに入れて、このトレーに鉛箔片が浸る程度のマンニット溶液を入れ、そのトレーを60℃に保持した恒温槽に入れて30分放置することを、全面が金属光沢を帯びた銀色になるまで繰り返すことで行った。腐食層が十分に除去されたことを確認した後、鉛箔片をトレーから取り出して、60℃に保持した恒温槽の中で乾燥させた。
次に、この腐食層が除去された鉛箔片をエポキシ樹脂で包埋し、この包埋された鉛箔片をラボカッターで切断して、鉛箔片の板面に垂直な面を露出させた。次に、この露出面を、5種類の紙やすりで(番手が150、400、800、1000、1500の順に)研磨した後、バフ研磨することで、平滑な鏡面状態にした。これにより、No.1~No.19の各双極型鉛蓄電池について、正極用鉛箔の厚さ測定用の試料を得た。
次に、各試料を、鏡面化された露出面が観察できるようにデジタルマイクロスコープに設置し、鉛箔片の長さ方向中央部分(No.11、12以外では約20mmの範囲)を観察して、複数か所(全てのサンプルで同じまたは対応する位置)で鉛箔片の厚さ(接着剤層との境界位置から活物質層との境界位置までの距離)を測定して、平均値を算出した。その平均値を各切断片の数でそれぞれ更に平均した値を、中央部分の厚さの実測値(t1)および縁部の厚さの実測値(t2)とした。これらの実測値t1、t2は、組み立て前の鉛合金シートの厚さT1、T2と誤差の範囲内で同じであった。
[容量試験]
No.1~No.19の各双極型鉛蓄電池を、水温が25℃±2℃に制御された水槽内に置き、電池の端子電圧が1.8V/セルに低下するまで、定格容量(45Ah)の10時間率電流(4.5A)で放電し、放電持続時間を記録し、放電電流と放電持続時間から10時間率容量を計算した。
[寿命試験]
先ず、No.1~No.19の各双極型鉛蓄電池を満充電状態にした。次に、下記の(1)と(2)を繰り返し、電池の端子電圧が1.8V/セルに低下するまでのサイクル数を調べて、そのサイクル数を寿命とした。
(1)定格容量(45Ah)の10時間率電流(4.5A)で7時間放電する。つまり、定格容量に対してDOD70%の放電を行う。
(2)CC-CV充電を実施する。具体的には、定格容量(45Ah)の10時間率電流(4.5A)で充電し、電池の端子電圧が2.45V/セルに到達したら、定電圧充電を行う。この充電は、放電電気量に対して充電電気量が104%になるまで行う。
[性能評価、判定]
容量試験については、10時間率容量(Ah)が40Ah以上となっていれば容量性能が良好である(〇)と判定し、35Ah以上40Ah未満となっていれば容量性能が合格である(△)と判定し、35Ah未満であれば不良である(×)と判定した。また、10時間率容量(Ah)が43Ah以上となっていれば容量性能が特に良好である(◎)と判定した。
寿命については、上述の寿命試験で寿命が3000サイクル以上であれば、長期運用に耐える寿命性能を有している(〇)と判定し、3000サイクル未満であれば長期運用に耐えられない(×)と判定した。また、寿命が4000サイクル以上であれば、特に高い寿命性能を有している(◎)と判定した。
さらに、生産性についても評価し、「問題無し:○」と「コスト高または手間がかかる:△」で判断した。そして、A~D(A:寿命が特に長い、B:寿命、容量、および生産性の点で合格、C:寿命の点では合格だが容量または生産性が良くない、D:寿命の点で不合格)で総合評価を行った。
これらの結果を、No.1~No.10について、各鉛合金シートの構成とともに表1に示す。また、No.4とNo.11~No.17について、各鉛合金シートの構成とともに表2に示す。さらに、No.4、No.18、No.19について、各鉛合金シートの構成およびとともに表3に示す。
Figure 2023141123000002
Figure 2023141123000003
Figure 2023141123000004
表1の結果から以下のことが分かる。
正極用集電板の縁部が中央部分よりも厚く形成されているNo.2~No.10の双極型鉛蓄電池は、正極用集電板の縁部と中央部分との厚さが同じに形成されているNo.1の双極型鉛蓄電池と比較して、寿命が長くなる。また、縁部の厚さが中央部分の厚さの1.50倍以下(T2/T1≦1.50)であるNo.2~No.8の双極型鉛蓄電池は、縁部の厚さが中央部分の厚さの1.50倍を超えるNo.9およびNo.10の双極型鉛蓄電池よりも容量および生産性の点で優れている。
No.9およびNo.10の双極型鉛蓄電池では、境界部の段差が大きいことで、セルCのバイプレート積層方向寸法が同じ場合に活物質の保持量が相対的に少なくなるため、容量の点で不利であるとともに、セル間溶着不良を招かないためにはセルCのバイプレート積層方向寸法を大きくする必要がある。
表2の結果から以下のことが分かる。
正極用集電板の縁部と中央部分の厚さ比(T2/T1)が同じ場合、正極用集電板の一辺の長さ(L1)に対する縁部の寸法(L2)の比(L2/L1)が大きいほど双極型鉛蓄電池の寿命が長くなるが、比(L2/L1)が0.25より大きいと、コスト高となって生産性の点で好ましくない。また、比(L2/L1)が0.20以上であると、比(L2/L1)が0.02~0.15の場合よりも、双極型鉛蓄電池の寿命が長くなる。
表3の結果から以下のことが分かる。
正極用集電板の縁部の厚さ(T2)、中央部分の厚さ(T1)、縁部の寸法(L2)が同じ場合でも、厚さの差の設け方および凹部への配置状態が異なることで、双極型鉛蓄電池の容量および寿命が異なる。
No.18とNo.4の双極型鉛蓄電池では同じ正極用集電体を用いているが、No.18の双極型鉛蓄電池は凹部に厚い縁部を配置していることにより、浸入した電解液が移動する距離(バイプレートと箔との界面での距離)が段差面の分だけ長くなって、電解液が導通部に至りにくくなることで、寿命がより長くなっている。また、No.18の双極型鉛蓄電池では正極用集電体の活物質層側が平坦面になっているため、セルCのバイプレート積層方向寸法が同じ場合に活物質の保持量が多くなることで、容量が大きくなっている。
No.19とNo.4の双極型鉛蓄電池との比較では、No.19の双極型鉛蓄電池は、正極用集電体の縁部の厚さ方向一端が凹部に配置されていることにより、浸入した電解液が移動する距離(バイプレートと箔との界面での距離)が段差面の分だけ長くなって、電解液が導通部に至りにくくなることで、寿命が長くなっている。また、No.19の双極型鉛蓄電池では、活物質層側に存在している縁部の突出量がNo.4の双極型鉛蓄電池の半分になっているため、セルCのバイプレート積層方向寸法が同じ場合に活物質の保持量が多くなることで、容量がNo.4よりも大きくなっているが、正極用集電体の活物質層側が平坦面であるNo.18の双極型鉛蓄電池よりは小さくなっている。
100 双極(バイポーラ)型鉛蓄電池
110 セル部材
111 正極
112 負極
111a 正極用鉛箔(主基板の正極の側の面に配置された正極用集電板)
111aa 正極用鉛箔(正極用集電板)
111b 正極用活物質層
112a 負極用鉛箔(主基板の負極の側の面に配置された負極用集電板)
112aa 負極用鉛箔(負極用集電板)
112b 負極用活物質層
113 セパレータ
120 バイプレート
121 バイプレートの基板(隣り合うセル部材の間に配置された基板、主基板)
121a 基板の貫通穴
121b 基板の第一の凹部
121c 基板の第二の凹部
121d 第一の凹部の深い部分
121e 第一の凹部の浅い部分
122 バイプレートの枠体
130 第一のエンドプレート
131 第一のエンドプレートの基板
132 第一のエンドプレートの枠体
140 第二のエンドプレート
141 第二のエンドプレートの基板
142 第二のエンドプレートの枠体
150 接着剤層
160 導通体
C セル(セル部材を収容する空間)

Claims (4)

  1. 正極用活物質層と鉛または鉛合金からなる正極用集電板とを有する正極、負極用活物質層と鉛または鉛合金からなる負極用集電板とを有する負極、および前記正極と前記負極との間に介在するセパレータを備え、間隔を開けて積層配置された、複数のセル部材と、
    前記複数のセル部材を個別に収容する複数の空間を形成する、複数の空間形成部材と、
    を有し、
    前記空間形成部材は、前記セル部材の前記正極の側および前記負極の側の少なくとも一方を覆う基板と、前記セル部材の側面を囲う枠体と、を含み、
    前記セル部材と前記空間形成部材の前記基板とが交互に積層された状態で配置され、隣接する前記枠体が接合され、
    隣り合う前記セル部材の間に配置された前記基板である主基板の前記正極の側の面に前記正極用集電板が固定され、
    前記主基板の前記負極の側の面に前記負極用集電板が固定され、
    前記主基板は板面と交差する方向に延びる貫通穴を有し、前記貫通穴の中で、隣り合う前記セル部材の前記正極用集電板と前記負極用集電板とが導通されて、前記複数のセル部材が直列に電気的に接続され、
    前記正極用集電板の縁部は中央部分よりも厚く形成されている双極型鉛蓄電池。
  2. 前記縁部の厚さは前記中央部分の厚さの1.50倍以下である請求項1記載の双極型鉛蓄電池。
  3. 前記縁部は、前記正極用集電板が前記負極用集電板と導通されている部分より前記枠体の側の部分である請求項1または2記載の双極型鉛蓄電池。
  4. 双極型鉛蓄電池の製造方法であって、
    当該双極型鉛蓄電池は、
    正極用活物質層と鉛または鉛合金からなる正極用集電板とを有する正極、負極用活物質層と鉛または鉛合金からなる負極用集電板とを有する負極、および前記正極と前記負極との間に介在するセパレータを備え、間隔を開けて積層配置された、複数のセル部材と、
    前記複数のセル部材を個別に収容する複数の空間を形成する、複数の空間形成部材と、
    を有し、
    前記空間形成部材は、前記セル部材の前記正極の側および前記負極の側の少なくとも一方を覆う基板と、前記セル部材の側面を囲う枠体と、を含み、
    前記セル部材と前記空間形成部材の前記基板とが交互に積層された状態で配置され、隣接する前記枠体が接合され、
    隣り合う前記セル部材の間に配置された前記基板である主基板の前記正極の側の面に、前記正極用集電板が固定され、
    前記主基板の前記負極の側の面に前記負極用集電板が固定され、
    前記主基板は板面と交差する方向に延びる貫通穴を有し、前記貫通穴の中で、隣り合う前記セル部材の前記正極用集電板と前記負極用集電板とが導通されて、前記複数のセル部材が直列に電気的に接続されているものであり、
    前記正極用集電板として、前記負極用集電板と導通する部分より前記枠体の側の部分である縁部が中央部分よりも厚く形成されたものを使用して、組み立てを行う双極型鉛蓄電池の製造方法。
JP2022047269A 2022-03-23 2022-03-23 双極型鉛蓄電池、双極型鉛蓄電池の製造方法 Pending JP2023141123A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022047269A JP2023141123A (ja) 2022-03-23 2022-03-23 双極型鉛蓄電池、双極型鉛蓄電池の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022047269A JP2023141123A (ja) 2022-03-23 2022-03-23 双極型鉛蓄電池、双極型鉛蓄電池の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023141123A true JP2023141123A (ja) 2023-10-05

Family

ID=88205954

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022047269A Pending JP2023141123A (ja) 2022-03-23 2022-03-23 双極型鉛蓄電池、双極型鉛蓄電池の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023141123A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6949313B2 (en) Battery with a microcorrugated, microthin sheet of highly porous corroded metal
US3819412A (en) Plates for lead acid batteries
WO1998040920A2 (en) Method for manufacturing a bipolar plate
US20100062335A1 (en) Bipolar battery
JP2015506074A (ja) 新規な構造の電池セルの製造方法
JP7057461B1 (ja) 双極型蓄電池、双極型蓄電池の製造方法
JP2023141123A (ja) 双極型鉛蓄電池、双極型鉛蓄電池の製造方法
CN217405463U (zh) 一种电芯及电池模组
US20220407083A1 (en) Active material having oxidized fiber additive & electrode and battery having same
WO2023008495A1 (ja) 双極型鉛蓄電池
WO2022224531A1 (ja) 双極型鉛蓄電池、双極型鉛蓄電池の製造方法
EP4318683A1 (en) Bipolar storage battery
JP7057465B1 (ja) 双極型鉛蓄電池
KR20120091184A (ko) 전기화학 전지 및 그 전지의 제조방법
WO2022201630A1 (ja) 双極型蓄電池
WO2022201629A1 (ja) 双極型蓄電池
WO2022215329A1 (ja) 双極型蓄電池、双極型蓄電池の製造方法、双極型鉛蓄電池
JP7045505B1 (ja) 鉛蓄電池用集電シート、鉛蓄電池、双極型鉛蓄電池
JP7449375B2 (ja) 双極型鉛蓄電池用集電シート、双極型鉛蓄電池およびその製造方法
TWI823239B (zh) 雙極性電池胞元極板及其製造
CN210744085U (zh) 铅蓄电池
US20220393181A1 (en) Lead-acid battery having fiber electrode with lead-calcium strap
WO2023085068A1 (ja) 双極型蓄電池
EP4095952A1 (en) Current collector for lead storage battery, positive electrode plate for lead storage battery, and lead storage battery
WO2021150851A1 (en) Lead-acid battery having fiber electrode and alloy for use with same