JP2023139255A - 穀物の抽出物を作製するための方法およびこの抽出物を飲料へと処理するための方法 - Google Patents

穀物の抽出物を作製するための方法およびこの抽出物を飲料へと処理するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】穀物ベースの飲料を作製するための方法を提供する。【解決手段】本発明は、例えば、連続通気下での穀物粒の浸麦および発芽のための方法を提供する。特に、本発明は、発芽穀物粒の湿式粉砕の前に発芽穀物粒を加熱するための方法、および発芽穀粒を乾燥なしで、さらなる処理のための醸造所に直接移送するための方法を提供する。現法の方法と比べて、本発明の方法は、水消費、エネルギー消費エネルギー消費および輸送の必要性を大きく低減させる。【選択図】なし

Description

工程本発明は一般に、ビールを製造するために使用される工程を含む、穀物の発芽および穀物の水性抽出物作製(例えば、マッシングを経由した作製)に関する。従って、本発明は、大麦粒からビールを作製するための低入力で迅速な連続的工程を提供する。方法は、単一設備で実施され得る。本発明は同様に、その他の穀物粒(米、サトウモロコシ、トウモロコシ、アワおよび小麦を含む)の発芽および水性抽出物の作製ならびに補助剤を含む醸造工程にも適用できる。
商業的製麦工程では、大麦粒を、4~6日間にわたりデンプン性胚乳の貯蔵デンプンおよびタンパク質の部分的流動化を可能にする制御された条件下で、発芽させる、または麦芽にする。製麦工程は通常、乾燥大麦粒を水中に浸漬することにより開始される。この工程は、浸麦として知られ、目的は、穀粒を洗浄するためのみでなく、その含水量を約40~45%(w/w)に上昇させて、次に続く胚乳可動化ステップをより急速に行わせるためでもある。浸麦中に、水を一度抜いて、穀粒の再通気を可能にする。このステップは、エアレスト(air rest)として知られ、主として、浸漬穀粒が約16時間後に酸素欠乏になるという理由で必要であると考えられる。約8時間の「エアレスト」後に、穀粒は水に再浸漬されて、さらに8時間にわたり-または一連の再浸麦ステップで浸麦処理を完結する。乾燥穀粒の含水量を40%以上に増加させる2段階浸麦工程は、全体で約32時間を要する。いくつかの麦芽製造所では、スプレー浸麦技術が使用される。
浸麦穀粒は、発芽のために拡散培養され、その間に、酵素がアリューロンおよび胚盤上皮細胞から分泌され(デンプン性胚乳細胞中に先在する若干量と一緒に)、細胞壁、デンプンおよびタンパク質を分解する。正常な発芽条件下では、植物ホルモンのジベレリン酸(GA)が結節領域、または胚中のどこかで合成され、そこから水勾配に沿って拡散すると考えられている(Fincher,2011)。
麦芽製造人は通常、穀粒中の可能な限り多くのデンプン分解酵素の合成を、迅速に誘導することを目指している。多くの商業的製麦プログラムでは、アリューロン層からの酵素分泌の工程を加速するために、GAが添加される。デンプン分解酵素(これは、デンプン脱分枝酵素であるαおよびβ-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼを含む)は、穀粒の貯蔵澱粉を部分的に単糖、オリゴ糖、およびグルコースに解重合する(Smith et al.,2005;上記β-アミラーゼに関しては、穀粒発育中に、これらがデンプン性胚乳中に蓄積されることは注目に値する)。デンプンの解重合生成物はその後、炭素源として酵母細胞により使用され、ビールエタノールへと発酵される。糖化力は、一連のデンプン分解酵素の活性レベルを指す製麦品質パラメーターであり、醸造にとっては高い値が望ましい。
大麦粒の他の主要構成成分は、貯蔵タンパク質を含み、これらはデンプン性胚乳死細胞中にも認められ、ホルデインならびに水および塩可溶性タンパク質を含む。これらの解重合もまた、製麦工程で自然に始まるが、醸造業者は、十分なペプチドおよびアミノ酸が放出されて、醸造所でのその後の発芽ステップ中に酵母成長を支援するように、これらのタンパク質の分解度を管理し得る。しかし、貯蔵タンパク質の分解が進行しすぎると、放出されたタンパク質が醸造工程で問題を生ずる可能性がある。特に、高レベルの放出された可溶性タンパク質は、析出し、最終的ビール生成物中に望ましくない濁りを形成する、またはビールの貯蔵中のストレッカーアルデヒド形成の可能性を高める可能性がある。製麦品質の規格では、発酵中の酵母成長のために、適切なレベルの遊離アミノ態窒素(FAN)が望ましい。コールバッハ指数は、可溶性:総タンパク質比率の尺度であり、適切なコールバッハ指数を生ずる麦芽が通常好ましい。従って、タンパク質分解度は、麦芽製造業者にとって現在も継続している課題である。過剰な抽出タンパク質に関連し得るビール沈殿の問題に加えて、極めて高いFANレベルもまた、異臭形成の可能性により、問題に繋がる場合がある。
麦芽製造人はまた、大麦粒中の細胞壁多糖、特に(1,3;1,4)-β-グルカンおよびアラビノキシランを分解する高レベルの酵素を生じさせようと試みている。不完全に分解された(1,3;1,4)-β-グルカンは、醸造業者にとって特に面倒な場合がある。理由は、これらは、可溶型の麦芽から抽出されることがあり、これが高粘稠水溶液を形成し、醸造所における濾過工程を遅らせ、最終ビール中の望ましくない濁りの一因となるためである。従って、低レベルの可溶性(1,3;1,4)-β-グルカンは、重要な麦芽製造品質パラメーターであり、同時に、高レベルの(1,3;1,4)-β-グルカナーゼ酵素は、依然として重要な麦芽品質の尺度のままである。
上述のように、発芽工程は通常、4~5日間を要する。制御された発芽ステップ後に、湿潤麦芽の含水量を約40%から4~5%に乾燥する。この乾燥工程は焙燥工程と呼ばれ、極めてエネルギーを消費する工程であり、この産業の大きなコストを占める。
キルン乾燥は、複数の理由から、ビール製造の重要部分と考えられてきた。1つの重要な理由は、発芽の間に、細根(稈(culm)とも呼ばれる)が形成されることである。細根は、苦味があり、これが、ビールの残味覚に影響を与え、さらに細根は、ビールに望ましくない色を付加し得る(Shokuhin Sangyo Shimbunにより刊行されたBeer Brewing Technology(1999):183、ならびに米国特許第9,326,542号を参照されたい)。緑麦芽がキルン乾燥されると、細根は、例えば、deculmerを用いて容易に除去できる。一般的教科書であるD.E.Briggsの「Malts and Malting(麦芽と製麦)」によれば、「稈は、極めて含水性で、可溶性窒素含有物質に富み、悪い風味を含み、苦味のある物質であり、かつ二酸化硫黄および/またはニトロソアミンに富む場合があるので、除去しなければならない。除稈(Decuming)は、麦芽の冷却を促進するために麦芽がキルンから取り出された直ぐ後で、かつ細根が空気から水分を取り込み、緩んで柔軟になり(脆性が小さくなり)、従って破壊および分離がより困難になる前に実施される必要がある」(D.E.Briggs,Malts and Malting;p695 First Edition,1998 Published by Blackie & Professionals,London,ISBN0 412 29800)。
キルン乾燥麦芽は通常、4.5~5.0%の水分レベルを有する。キルン乾燥麦芽はその後、麦芽製造所から醸造所へ、車、鉄道または船舶により輸送される。これは、製麦および醸造工程が異なる場所で、および、多くの場合、異なる企業体により従来から行われてきたという事実に関連する。
醸造所では、キルン乾燥麦芽を粉砕して穀粒をこじ開け、得られた内容物をマッシング工程として知られる工程で温水により抽出する。上述のように、抽出された物質は、部分的に分解したデンプン、タンパク質および細胞壁分子を含み、これらは、麦芽から抽出された内在性穀物酵素によりさらに分解される。この段階で、いくつかの醸造業者は、追加の、および通常より安価な炭素源(補助剤)を加え、その後の、酵母発酵工程を補助し、麦芽のより高いコストを相殺する。上記補助剤は、大麦、米、小麦またはその他の未発芽穀粒由来の穀粉であってよいが、それらの追加は、加水分解酵素を共に添加する必要がある。理由は、麦芽中には補助剤の成分を分解するのに不十分な内在性酵素しか存在しないためである。添加される酵素は通常、未精製の比較的安価な真菌および/または細菌培養物の抽出物由来である。外来性酵素の添加は、いくつかの国では、特に、ビールを厳密に調節された状況下で製造しなければならない国では合法的ではない。
温水中で抽出されたデンプン、およびその他の胚乳成分のさらなる分解は、糖化と呼ばれる工程で進められる。マッシング工程後に、抽出物は、多くの場合、麦芽汁濾過機中で濾過され、冷却される。抽出物は、ホップまたはホップ抽出物の存在下で煮沸され、冷却時に、放出された糖のエタノールへの発酵のために酵母培養物が添加され得る。そのように製造されたビールは通常、熟成され、濾過後に瓶詰めされる。ビールはまた、瓶詰めの前に炭酸ガスを入れられ得る。
本発明は、穀物水性抽出物の高速発芽および作製のための方法を提供する。方法は、穀物ベース飲料の製造のための麦汁を作製する工程を顕著に加速し、同時に、高レベルの発酵性糖類を有し、好ましくは低レベルのβ-グルカンおよびキシランを有する上記麦汁を作製する潜在力を維持する。特に、上記麦汁から作製された飲料は、低レベルの渋味を特徴とし得る。
本発明は、乾燥大麦粒からビールまでの連続的な統合醸造工程をただ1つの場所で実施できることを示す。これに関して、本発明は、一定の通気により、例えば、>30%、好ましくは>35%の含水量をもたらすための、穀物粒の浸麦と発芽を組み合わせた方法を提供する。本発明はその結果、麦芽の乾燥の省略による大きな節水、ならびに例えば、キルン乾燥ステップの省略による大きな省エネを提供する。
本発明の一態様では、穀粒は、水溶液中(通常、水中)で浸漬およびインキュベーションされ、任意選択で、Oが上記液体に供給される。通常、上記Oは、インキュベーション中ずっと連続的に供給され、これは、例えば、20~72時間の範囲にわたってよく、通常、穀粒が適切な含水量に到達するのみでなく、制御された方法で発芽することも可能にする。発芽のステップはまた、通常は通気下での水溶液中でのインキュベーションステップの後で、1回または複数回のエアレストも含み得る。
この制御された発芽工程は、発芽を加速できる1種または複数の化合物の添加により、短縮され得る。例えば、植物ホルモンのジベレリン酸(GA)が、開始時からまたはインキュベーション中に水性の液体中に添加され得る。GAは、その標的細胞、すなわち、大麦粒のアリューロンおよび胚盤上皮、中の、デンプン、貯蔵タンパク質および細胞壁多糖の加水分解に必要な内在性酵素をコードする遺伝子を含む、遺伝子発現を「活性化する」。従って、浸麦および発芽に必要な総時間は、本発明を用いて、従来の醸造工程の5日超から約2日またはそれ未満に短縮され得る。しかし、いくつかの実施形態では、発芽中に外来性GAは添加されない。
発芽のステップ後に、本発明は、発芽穀物粒の熱処理のステップを含み得る。発芽ステップ全体を通して、温度は、通常35℃未満である所定のレベルに制御されるのが好ましい。本発明の一態様では、発芽ステップの次に、例えば、35~55℃の範囲の温度での熱処理のステップが続く。本発明により、上記熱処理は、発芽中のα-アミラーゼおよび限界デキストリナーゼのレベルの改善などの発芽穀粒の有益な特性を改善することが示された。
本発明の別の態様では、穀物は、外皮を持つ穀物であり、これは、上記外皮の少なくとも一部を取り除くために発芽の前に剥皮される。これらの剥皮および/または熱処理のステップは、高レベルの発酵性糖類を有する麦汁を作製するために、発芽穀粒中の加水分解酵素のレベルを高めるのに極めて有益であることが明らかになった。
発芽および/または熱処理のステップ後に、方法は、発芽したおよび/または加熱処理された穀物粒を微粉砕するステップを含み得る。特に興味深い本発明の態様は、本発明の方法が、発芽および/または熱処理の直後に発芽穀物粒の微粉化処理を可能にすることである。従って、方法は一般的に、発芽穀物粒の乾燥ステップを含まない。特に、方法は、発芽穀物粒のキルン乾燥ステップを含まない。キルン乾燥は、極めてエネルギーを消費するステップであり、従って、キルン乾燥の省略は、大きなエネルギー節約に繋がる。上述のように、キルン乾燥の1つの重要な側面は、細根の容易な除去を可能にすることである。乾燥の前の細根除去は実現困難である。しかし、本発明の方法により作製された発芽穀物粒は、細根が顕著に低減し(通常、100gの発芽大麦(乾燥重量)当たり4g未満)、かつ本発明で示されるように、キルン乾燥のステップは、本発明の方法による発芽穀物に対しては必要でない。
発芽穀物粒は、例えば、発芽穀物粒を湿式粉砕に供することにより微粉化され得、その後続いて、例えば、本明細書で下記の「水性抽出物の作製」のセクションに記載のような任意の好適な期間にわたる所定の温度でのマッシングによる、水性抽出物を作製するステップに供される。放出された糖類、例えば、多糖、およびタンパク質の変換は、デンプン、貯蔵タンパク質および細胞壁多糖の分解を触媒する外来性酵素混合物の添加によりマッシング中に促進され得る。酵素は、大麦それ自体から、麦芽から、またはその他の原材料から(あるいは、市販品入手源から購入できる真菌および/または細菌性酵素混合物から)部分精製できる。
上述の利点とは別に、本発明は、麦芽のキルン乾燥の必要性を不要にするのみでなく、乾燥した穀粒を麦芽製造所から醸造所に輸送する必要性も不要にする。最大50%のエネルギーコスト削減を、この組み合わされた浸麦と発芽の発明により達成でき、それは、この産業の二酸化炭素排出量を大きく減らし得る。製麦および醸造産業の二酸化炭素排出量を削減するために、ほとんどの国における法的および税制上の圧力が世界的に増大しているため、これは重要である。
さらに、持続可能性との関連で、本発明は、全体のビール製造が既に存在している醸造装置で実施されることを可能にするので、ほとんど追加の設備投資を必要としない。
従って、一態様では、穀物の水性抽出物を製造するための方法が提供され、上記方法は、
a)穀物粒を用意するステップ;
c)穀物粒を発芽ステップに供し、それにより発芽穀粒を得るステップ;
d)発芽穀粒を35~55℃の範囲の温度で熱処理に供するステップ;
e)上記発芽穀粒を微粉化し、それにより粉砕された発芽穀粒を得るステップであって、この間、上記発芽穀粒が少なくとも20%の含水量を有するが、ただし上記穀物粒がステップc)とe)の間のどの時点でも20%未満の含水量を有しないことが前提である、ステップ;
f)上記粉砕発芽穀粒の水性抽出物を作製するステップ、
を含み、それにより穀物の水性抽出物を製造する。
用語の「上記穀物粒は、ステップc)およびe)の間のどの時点でも、20%未満の含水量を有しない」は、例えば、上記穀物粒が、ステップc)、d)およびe)の間のどの時点でも、ステップc)の完了からステップe)の完了までのどの時点でも、またはステップc)の完了からステップe)の開始までのどの時点でも、20%超の含水量を有し得ることを含むことを理解されたい。
別の態様では、穀物の水性抽出物を製造するための方法が提供され、上記方法は、
a)穀物粒を用意するステップであって、穀物が外皮を持つ穀物である、ステップ;
b)外皮を除去するために上記穀物粒を処理するステップであって、上記処理が上記穀物粒の総重量の少なくとも2%の減少をもたらす、ステップ;
c)穀物粒を発芽のステップに供し、それにより発芽穀粒を得るステップであって、上記発芽のステップが、
i.上記穀粒を水溶液中で16~40時間の範囲にわたりインキュベーションするステップであって、1時間当たり少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒を上記水溶液中に通過させ、上記穀粒を上記インキュベーション中に上記水溶液中に浸漬する、ステップ;
ii.過剰水溶液を除去するステップ;および
iii.湿潤穀粒を、15~30℃の範囲の温度で18~50時間の範囲にわたり空気中でインキュベーションするステップ
を含む、ステップ;
d)上記発芽穀粒を微粉化し、それにより粉砕された発芽穀粒を得るステップであって、この間、上記発芽穀粒が少なくとも20%の含水量を有するが、ただし上記穀物粒がステップc)とd)の間のどの時点でも20%未満の含水量を有しないことが前提である、ステップ;及び
e)上記粉砕発芽穀粒の水性抽出物を作製するステップ、
を含み、それにより穀物の水性抽出物を製造する。
別の態様では、飲料を製造するための方法が提供され、上記方法は、
i.本明細書で開示される方法により水性抽出物を作製するステップ;
ii.上記抽出物を飲料へと処理するステップ、
を含む。
本発明は、これに添付の特許請求の範囲でさらに定められる。
本発明の方法を実施するために有用な装置の例を示し、この装置中で穀粒が水溶液中に浸漬され、継続的に通気される。装置は、穀物粒の入口(1)、タンク、例えば、浸麦タンク(2);ガス入り口、例えば、焼結石(3);ポンプ、例えば、エアポンプ(4);穀物粒出口(5);穀物ポンプ(6);穀物粒微粉化装置、例えば、粉砕機(7);入口(8);容器、例えば、マッシング容器(9);および出口(10)を備える。 本発明のステップを実施するために有用な装置の例を示し、この装置中で穀粒が水溶液中に浸漬され、継続的に通気される。装置は、穀物粒の入口(1)、タンク(2);グリッドまたはメッシュ、例えば、メッシュ(3);ガスの入口、例えば、焼結石(4)および;ポンプ、例えば、エアポンプ(5)を備える。 示した空気流下で24時間または48時間のいずれかにわたり15℃または25℃にて水中でインキュベーション後の裸麦粒を示す。Aでは、穀粒の集合体が示され、Bは、個別の代表的な穀粒を示す。15℃で24時間後に既に、穀粒が発芽を開始し(わずか30L/時間の空気流で、若葉が認められる)、48時間後にいくつかの小さい細根が認められたことに注目すべきである。25℃で24時間後に、わずか30L/時間の空気流でさえも、穀粒が発芽を開始し、明白な若葉を含んだ。より多い空気流で、または48時間後に、小さい細根が認められた。 示した空気流下で24時間または48時間のいずれかにわたり15℃または25℃にて水中でインキュベーション後の裸麦粒を示す。Aでは、穀粒の集合体が示され、Bは、個別の代表的な穀粒を示す。15℃で24時間後に既に、穀粒が発芽を開始し(わずか30L/時間の空気流で、若葉が認められる)、48時間後にいくつかの小さい細根が認められたことに注目すべきである。25℃で24時間後に、わずか30L/時間の空気流でさえも、穀粒が発芽を開始し、明白な若葉を含んだ。より多い空気流で、または48時間後に、小さい細根が認められた。 示した空気流下で24時間または48時間のいずれかにわたり15℃または25℃にて水中でインキュベーション後の皮麦粒を示す。Aは、穀粒の集合体を示し、Bは、個別の代表的な穀粒を示す。 示した空気流下で24時間または48時間のいずれかにわたり15℃または25℃にて水中でインキュベーション後の皮麦粒を示す。Aは、穀粒の集合体を示し、Bは、個別の代表的な穀粒を示す。 皮麦について、通気(90l/時間/kg)(WA)下で水中25℃での24時間インキュベーション、続いて通気(90l/時間/kg)(A)下で空気中25℃での18時間インキュベーション、続いて6時間(灰色)または24時間(黒色)にわたり種々の温度(25-40-50-60℃)での大気によるエアレストの後のA)α-アミラーゼ、B)β-アミラーゼおよびC)遊離限界デキストリナーゼの酵素活性を示す。 皮麦について、通気(90l/時間/kg)(WA)下で水中25℃での24時間インキュベーション、続いて通気(90l/時間/kg)下で空気中25℃での24時間インキュベーション、続いて種々の温度(40、50、60℃)での追加の2時間(灰色)または4時間(黒色)の大気による通気の後のA)α-アミラーゼ、B)β-アミラーゼおよびC)遊離限界デキストリナーゼの酵素活性を示す。 通気下のタンク中でインキュベーションした大麦粒中の加水分解酵素生成を最適化するための異なる個別の処理の組み合わせの効果を示す(処理1:48時間 WA浸麦(灰色):0.01%H、1000nM GA3および0.01%消泡剤を含む水中で、空気90l/時間/kgの通気下、25℃(WA)で48時間インキュベーション;処理2:剥皮_24時間 WA+24時間 A 浸麦(黒色):0.01%H、1000nM GA3および0.01%消泡剤を含む水道水中で、空気90l/時間/kgの通気下24時間のインキュベーション、それに続く、空気90l/時間/kgの通気下、25℃で空気中、24時間のインキュベーション)。数値1~10は、異なる大麦栽培品種からの結果を示す。 通気下のタンク中でインキュベーションした大麦粒中の加水分解酵素生成を最適化するための異なる個別の処理の組み合わせの効果を示す(処理1:48時間 WA浸麦(灰色):0.01%H、1000nM GA3および0.01%消泡剤を含む水中で、空気90l/時間/kgの通気下、25℃(WA)で48時間インキュベーション;処理2:剥皮_24時間 WA+24時間 A 浸麦(黒色):0.01%H、1000nM GA3および0.01%消泡剤を含む水道水中で、空気90l/時間/kgの通気下24時間のインキュベーション、それに続く、空気90l/時間/kgの通気下、25℃で空気中、24時間のインキュベーション)。数値1~10は、異なる大麦栽培品種からの結果を示す。 48時間の通気下で水溶液中でのインキュベーションにより発芽された皮麦および裸麦(48時間WA)、および96時間の標準的浸麦条件により発芽された大麦(製麦96時間)の両方での細根除去後の減量%を示す。 非発芽大麦中、本発明の方法により発芽された大麦(麦芽1a)中、および3種の異なる従来麦芽(麦芽1b、麦芽2および麦芽3)中のNDMA含量を示す。 浸麦、発芽および湿式粉砕穀粒を用いたマッシング工程の一例を示す。 醸造酵素混合物Ultraflo Max(UFM)の存在下または非存在下にて種々の通気下で発芽された穀粒から作製された麦汁の濾過性の図を示す。 種々の通気条件下にて25℃で48時間発芽させた穀粒から作製した麦汁中の発酵性糖類のレベルの図を示す。醸造酵素混合物Ultraflo Maxを補充した試料は、UFMと標識されている。
定義
数値に関連して本明細書で使用される場合、用語の「約」は、好ましくは±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%を意味する。
本明細書で使用される場合、用語の「補助剤」は、ビールの作製中に加えられる炭素リッチ原材料源を指す。補助剤は、非発芽穀物粒であってよく、これは、本発明により作製された発芽穀粒と共に粉砕されてもよい。補助剤はまた、シロップ、糖などであってもよい。
本明細書で使用される場合、用語の「若葉」は、穀物粒の発芽相中に認められる成長している胚芽を指す。
本明細書で用いられる場合、穀粒の「含水量」という用語は、上記穀粒中の水のw/w%を指す。
本明細書で使用される場合、用語の「発芽穀粒」は、目視可能な若葉、好ましくは、少なくとも2mmなどの少なくとも1mmの若葉を発育させている穀粒を指す。
本明細書で使用される場合、用語の「発芽開始」は、15%未満の含水量の大麦粒が十分な水と接触して発芽を開始する時点を指す。
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語の「β-グルカン」は、穀物細胞壁ポリマー「(1,3;1,4)-β-グルカン」を指す。
同様に、本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、用語の「キシラン」は、穀物細胞壁ポリマー「アラビノキシラン」を指す。
本明細書で使用される場合、用語の「キルン乾燥麦芽」および「焙燥されたモルト」は、キルン乾燥により乾燥されている発芽穀物粒を指す。キルン乾燥麦芽は通常、約4~5%の含水量を有する。
本明細書で使用される場合、用語の「発芽穀粒」は、目視可能な若葉および茎を発育させている穀粒を指す。
本明細書で用いられる場合、用語の「浸麦」は、穀物粒の含水量を増大させる工程を指す。
本明細書で使用される場合、用語の「β-グルカナーゼ」は、穀物β-グルカンを解重合する潜在力を有する酵素を指す。従って、別段の指定がない限り、用語の「β-グルカナーゼ」は、(1,3;1,4)-β-および/または(1,4)-β-グルカナーゼ活性を特徴とする細胞内酵素または細胞外酵素またはこれらの混合物を意味する。
本明細書で使用される場合、用語の「キシラナーゼ」は、キシランおよびアラビノキシランの主鎖および側鎖を分解する潜在力を有する酵素を指す。従って、別段の指定がない限り、用語の「キシラナーゼ」は、1種または複数の次の酵素クラス:エンド-1,4-キシラナーゼ;エキソ-1,4-キシラナーゼ;アラビノフラノシダーゼ;フェルラ酸エステラーゼにより得られる酵素活性を特徴とする酵素または酵素混合物を指す。
本明細書で使用される場合、穀物粒の酵素活性は、特定の穀粒タイプから作製された粉末で測定された活性を指す。例えば、1gの穀物粒当たり10U/gのα-アミラーゼ活性は、上記穀物からの1gの粉末(乾燥物)由来の水性抽出物中で測定した上記α-アミラーゼ活性(10U)を指す。α-アミラーゼ活性は、K-CERA01/12により測定される(プロトコルおよびキットは、Megazyme,Irelandから入手可能)。β-アミラーゼ活性は、K-BETA3により測定される(プロトコルおよびキットは、Megazyme,Irelandから入手可能)。限界デキストリナーゼ活性は、T-LDZ1000により測定される(プロトコルおよびキットは、Megazyme,Irelandから入手可能)。
本明細書で示すガスの体積は、1気圧、20℃での上記ガスの体積を指す。
本明細書で示すOの体積は、1気圧、20℃でのOの体積を指す。本発明の実施形態では、Oがガスの混合物中に含まれる場合、ガス混合物の総体積が決定され得、Oの体積は、Oを含む総体積のパーセンテージとして計算され得る。一例では、大気は21%Oを含む。従って、本明細書で使用される大気中のOの体積は、大気の総体積の21%である。
穀物粒
本発明の方法は、穀物の水性抽出物を製造するための方法、または上記穀物の水性抽出物から飲料を製造するための方法である。本発明の方法は、発芽のステップを含み、これは、水溶液中で穀物粒をインキュベーションすることを含む。水溶液および穀物粒の混合物は、懸濁液と見なされることに留意されたい。
穀物粒は、任意の穀物、例えば、大麦、米、サトウモロコシ、トウモロコシ、アワ、ライコムギ、ライ麦、オート麦および小麦からなる群より選択される穀物の穀粒であり得る。本発明の好ましい実施形態では、穀物粒は大麦粒である。上記穀粒は、本明細書の後のセクション「大麦」で記載の大麦品種のいずれかなどの任意のいずれかの大麦変種の穀粒であり得る。
穀物粒は、上記水溶液中でのインキュベーションの前に、比較的低い含水量を有し得る。例えば、穀物粒は、多くても30%、好ましくは多くても15%などの20%、例えば、5~15%の範囲の含水量を有し得る。
穀物粒は、上記水溶液中でのインキュベーションの前に、抗菌剤処理の1つまたは複数のステップに供されていてよい。上記抗菌剤処理は、穀粒の発芽潜在力を損なわない任意の有用な抗菌剤処理であり得る。抗菌剤処理は、例えば、1種または複数の抗菌薬による処理であり得る。上記抗菌薬は、使用される濃度で穀物粒に毒性でない任意の抗菌薬であり得る。例えば、抗菌薬は、化合物例えば、次亜塩素酸塩を含む塩素であり得る。抗菌薬はまた、過酸化物、例えば、過酸化水素および/または過酢酸であり得る。有用な市販の抗菌薬の非限定的例としては、P3-Hypochloran(登録商標)、P3-peroxysan(登録商標)またはP3-oxonia active 150(登録商標)が挙げられる。 穀物粒は、hypochloranを用いて、0.5~5%の範囲でなどの0.1~10%の範囲で、例えば、1%などの約1%の濃度で処理され得る。穀物粒は、上記hypochloranを用いて、1~5時間の範囲でなどの15分~10時間の範囲で、例えば、2~4時間の範囲にわたり処理され得る。処理後、穀物粒は1回または複数回洗浄され得る。
本発明のいくつかの実施形態では、抗菌剤処理は、抗菌薬を含む水溶液中で穀物粒をインキュベーションすることにより実施される。上記インキュベーションの直後に、発芽ステップが、例えば、通気の開始により、開始され得る。従って、このような実施形態では、水溶液を交換する必要はなく、抗菌剤処理および少なくともその後の発芽ステップの開始の間に、同じ水溶液を使用し得る。これは、抗菌薬が過酸化物、例えば、過酸化水素である場合に当てはまる。
本発明による水溶液中でのインキュベーションの前に、上記穀物粒が発芽に供されていないことが好ましいかもしれない。従って、穀物粒が前発芽ステップに供されていないことが好ましいかもしれない。
上述のように、穀物粒は、任意の穀物粒であり得る。一部の穀物粒は、外皮を含み、一方、その他の穀物粒は外皮がない。外皮を持つ穀物粒は、発芽ステップの前に、少なくとも一部の外皮を取り除くように処理され得る。一般に、外皮がない穀物粒が使用される場合には、外皮を取り除く処理は必要ない。外皮のない穀物としては、例えば、裸麦品種および小麦が挙げられる。
外皮のある穀物粒は、穀物粒を外皮を取り除く物理的処理に供することにより、外皮を取り除くように処理され得る。上記物理的処理は、例えば、研磨、研摩、剥皮および平滑化からなる群より選択され得る。好ましくは、物理的処理は、外皮の減少を生じる。外皮の減少は、全体減量として測定され得る。従って、物理的処理は、好ましくは、穀物粒の総重量の少なくとも2%、例えば、少なくとも3%の減少をもたらす。例えば、上記物理的処理は、穀物粒の総重量の3~6%の範囲の減少などの、2~7%の範囲の減少をもたらし得る。
発芽
本発明の方法は、穀物粒の発芽のステップを含む。発芽のステップは、通常通気下にて、水溶液中で穀物粒をインキュベーションするステップを含み得る。発芽のステップは、水溶液中で穀物粒をインキュベーションするステップを含み、これは任意選択で、通気下で実施される。いくつかの実施形態では、発芽のステップは、通気なしに水溶液中で穀物粒をインキュベーションするステップを含む。他の実施形態では、水溶液中で穀物粒をインキュベーションするステップは、通気下で実施される。
通気下の水溶液中でのインキュベーション
穀物粒は、本明細書中の上記のセクション「穀物粒」で記載のいずれかの穀物粒であり得、および水溶液は、本明細書で下記のセクション「水溶液」で記載のいずれかの水溶液であり得る。
水溶液中での上記インキュベーションの間、全体インキュベーション中に穀物粒が上記水溶液により完全に覆われるのが好ましい場合がある。従って、穀物粒は、1kgの穀物粒(乾燥重量)当たり、例えば、少なくとも1L、好ましくは少なくとも1.5L、より好ましくは少なくとも2L、例えば、1~5Lの範囲などの1~10Lの範囲、例えば、1.5~3Lの範囲の水溶液中でインキュベーションされ得る。
従って、いくつかの実施形態では、上記水溶液中での全体インキュベーションの間、穀物粒は水溶液中に浸漬される。
他の実施形態では、穀物粒は、上記水溶液でのインキュベーションの終わりに全ての上記水溶液が穀物粒により吸収されるように、水溶液を吸収する。
他の実施形態では、通気下でのインキュベーション後に残存する水溶液は、穀物粒から排出され得る。
いくつかの実施形態では、上記水溶液中での穀物粒のインキュベーション後に、大部分、例えば、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%の、例えば、実質的に全ての穀物粒が、少なくとも1mmの目視可能な若葉を含むことが好ましい。
いくつかの実施形態では、上記水溶液中での穀物粒のインキュベーション後に、大部分、例えば、少なくとも80%などの少なくとも70%、例えば、少なくとも95%などの少なくとも90%の、例えば、実質的に全ての穀物粒が、1つまたは複数の目視可能な細根を含む。
いくつかの実施形態では、上記水溶液中での穀物粒のインキュベーション後に、大部分、例えば、少なくとも80%などの少なくとも70%、例えば、少なくとも95%などの少なくとも90%の、例えば、実質的に全ての穀物粒が、1つまたは複数の目視可能な細根および目視可能な茎を含む。
いくつかの実施形態では、上記水溶液中で穀物粒のインキュベーション後に、穀物粒は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも37%の、例えば、35~50%の範囲などの35~60%の範囲、例えば、37~50%の範囲などの37~60%の範囲の含水量を有する。いくつかの実施形態では、穀物粒は、穀物粒の水溶液中でのインキュベーション後に、少なくとも31%などの、少なくとも32%などの、少なくとも33%などの、少なくとも34%などの、少なくとも35%などの、少なくとも36%などの、少なくとも37%などの、少なくとも38%などの、少なくとも39%などの、少なくとも40%などの、少なくとも45%などの、少なくとも46%などの、少なくとも47%などの、少なくとも48%などの、少なくとも49%などの、少なくとも50%などの、少なくとも51%などの、少なくとも52%などの、少なくとも53%などの、少なくとも54%などの、少なくとも55%などの、少なくとも56%などの、少なくとも57%などの、少なくとも58%などの、少なくとも59%などの、少なくとも60%などの、少なくとも30%の含水量を有する。
穀物粒の含水量は、穀物粒の重量を測定し、続いて上記穀物粒を乾燥し、乾燥穀物粒の重量を測定することにより、決定され得る。湿潤および乾燥穀物粒の重量の差異は、水とみなされ、含水量は、水の重量を穀物粒の総重量(湿潤穀物粒)により除算した値として与えられる。%で与えられる含水量は、従ってw/w%である。
穀物粒は、上述のように、上記水溶液中で大部分の上記穀物粒の発芽を可能とするのに十分な時間にわたり、インキュベーションされ得る。穀物粒はまた、上述の含水量を得るために十分な時間にわたり、上記水溶液中でインキュベーションされ得る。通常、穀物粒は、水溶液中で、少なくとも24時間などの少なくとも20時間、インキュベーションされる。通常、穀粒は、上記水溶液中で、長くても60時間などの長くても72時間、例えば、長くても48時間インキュベーションされる。
いくつかの実施形態では、穀物粒は、通気下の水溶液中で、20~72時間の範囲で、好ましくは40~55時間の範囲で、より好ましくは45~50時間の範囲にわたりインキュベーションされる。これは、特に、発芽がエアレストのステップを含まない、本発明の実施形態での場合に当てはまり得る。
いくつかの実施形態では、発芽のステップは、水溶液中でのインキュベーションと、これに続くエアレストを含む。このような実施形態では、水溶液中でのインキュベーションは、エアレスト後に発芽穀物粒中で十分な酵素活性を可能にするのに十分な時間にわたり実施される。酵素活性は、本明細書の下記のセクション「発芽穀物粒」に記載のようであるのが好ましい。
このような実施形態では、穀物粒は、水溶液中で、少なくとも20時間などの少なくとも16時間、インキュベーションされ得る。通常、穀粒は、上記水溶液中で、長くても40時間などの長くても72時間、例えば、長くても30時間などの長くても35時間にわたりインキュベーションされる。従って、いくつかの実施形態では、穀物粒は、上記水溶液中で、20~60時間の範囲などの20~72時間、例えば、20~48時間の範囲で、例えば、22~26時間の範囲などの20~30時間の範囲にわたりインキュベーションされる。
いくつかの実施形態では、穀物粒は、通気下の水溶液中で、16~40時間の範囲で、好ましくは20~30時間の範囲などの20~35時間の範囲で、より好ましくは22~26時間の範囲にわたりインキュベーションされる。これは特に、発芽がエアレストのステップをさらに含む、本発明の実施形態での場合に当てはまり得る。
穀物粒は任意の有用な温度でインキュベーションされ得るが、含水量の急速増加を可能にするのに十分高い温度でインキュベーションが実施されることが好ましいであろう。本明細書中以下の実施例3で示すように、温度の上昇は、含水量の増大を大きく進行させ得る。従って、穀物粒が、上記水溶液中で、少なくとも20℃など、少なくとも25℃などの少なくとも15℃の温度でインキュベーションされることが好ましい場合がある。特に、穀物粒は、10~35℃の範囲で、好ましくは、20~30℃の範囲などの15~30℃の範囲で、例えば、約25℃などの25~30℃の範囲でインキュベーションされ得る。
特に、穀物粒が20~30℃の範囲の温度でインキュベーションされる本発明の実施形態では、上記穀物粒は、16~30時間の範囲などの20~48時間の範囲でインキュベーションされ得る。
本明細書で上記したように、上記穀物粒は、多くの場合、上記水溶液中でインキュベーションされ、同時に、Oをその水溶液中に通過させる。これはまた、上記穀物粒が通気下にて水溶液中でインキュベーションされるとも呼ばれる。好ましくは、Oは、全体インキュベーション中に継続的に水溶液を通過させられる。上記Oは、任意の有用な方法で水溶液中を通過させられ得るが、多くの場合、O含有ガスは、穀物粒と共に水溶液を含む容器の底および/または下部に導入される。通常、ガスは水溶液/穀物粒混合物を通って拡散し、水溶液の上端から水溶液/穀物粒混合物を出る。特に、インキュベーションは、本明細書の下記セクション「装置」に記載の装置中で実施され得る。重質ガス、特に、COを容器の底から回収し、それにより、新しい空気/Oが容器の上端部から供給され得ることも可能である。
上記Oは、上記水溶液に純粋なOとして添加され得る。しかし、多くの場合、上記Oはガス混合物中に含まれる。一実施形態では、Oは大気中に含まれる。従って、本発明の方法は、上記水溶液中に大気を通過させることを含み得る。
一般に、1kgの穀物粒当たり、1時間当たり、少なくとも2L、好ましくは少なくとも3L、より好ましくは少なくとも4L、さらにより好ましくは少なくとも5L、さらにより好ましくは少なくとも6LのOを上記水溶液中に通過させる。上記穀物粒の重量は乾燥重量である。例えば、1kgの穀物粒(乾燥重量)当たり、1時間当たり、2~100Lの範囲で、例えば、2~50Lの範囲などの2~75Lの範囲で、例えば、4~100Lの範囲で、例えば、4~50Lの範囲などの4~75Lの範囲で、例えば、6~100Lの範囲で、例えば、6~50Lの範囲などの6~75Lの範囲のOを上記水溶液/穀物粒混合物中に通過させる。
一実施形態では、1時間当たり、少なくとも20gのO/kg穀物粒、より好ましくは少なくとも30gのO/kg穀物粒、さらにより好ましくは少なくとも40gのO/kg穀物粒、例えば、40~80gの範囲のO/kg穀物粒などの40~100gの範囲のO/kg穀物粒、例えば、60gのO/kg穀物粒を上記水溶液/穀物粒混合物中を通過させることが好ましい。穀物粒の重量は乾燥重量で与えられる。インキュベーション中、穀物粒は通常、少なくとも一部の水溶液を吸収し、従って、水溶液中のO濃度は通常、インキュベーション中に変化する。通常、1時間当たり、1Lの水溶液当たりのOの量は、40~200gの範囲で、好ましくは50~150gの範囲である。
上述のように、多くの場合、水溶液中に通過されるのは大気である。従って、方法は、1kgの穀物粒当たり、1時間当たり、少なくとも10L、好ましくは少なくとも15L、より好ましくは少なくとも20L、さらにより好ましくは少なくとも25L、さらにより好ましくは少なくとも30Lの大気を上記水溶液中に通過させることを含む。上記穀物粒の重量は乾燥重量である。例えば、1kgの穀物粒(乾燥重量)当たり、1時間当たり例えば、10~500Lの範囲で、例えば、10~250Lの範囲などの、10~375Lの範囲で、例えば、20~500Lの範囲で、例えば、20~250Lの範囲などの20~375Lの範囲で、例えば、30~500Lの範囲で、例えば、30~250Lの範囲などの30~375Lの範囲の大気を上記水溶液中に通過させる。一実施形態では、1kgの穀物粒(乾燥重量)当たり、1時間当たり、50~110L、好ましくは80~100Lの範囲の大気が上記水溶液中を通される。
エアレスト
通気下の水溶液中での上記インキュベーションに加えて、穀物粒はまた、空気中でもインキュベーションされ得る(例えば、水溶液の非存在下で)。空気中でのインキュベーションのステップは、「エアレスト」とも呼ばれる。従って、通気下の水溶液でのインキュベーション後に、残存する水溶液は排出され、穀物粒は空気中でインキュベーションされ得る。あるいは、通気下の水溶液でのインキュベーション後に、全ての水溶液が穀物粒により吸収されてしまい、それが空気中でインキュベートされ得る。上記空気中のインキュベーションは好ましくは、通気下で実施され、例えば、Oが穀物粒を含む容器中を通され得る。好ましくは、Oは、エアレストの全期間中、上記容器中を通される。穀物粒を含む容器を通されるOの量は、上述の水溶液を通されるのと同じO量であり得る。Oは、例えば、大気などのガス混合物の形態で供給され得る。
エアレストは、任意の適切な時間、例えば、18~50時間の範囲、にわたり実施され得る。好ましい実施形態では、エアレストは、少なくとも20時間、好ましくは少なくとも22時間、より好ましくは20~38時間の範囲で、例えば、20~35時間の範囲で、好ましくは22~26時間の範囲などの20~30時間の範囲にわたり実施される。
エアレストは、例えば、23~27℃の範囲などの20~30℃の範囲の温度などの、好ましくは約25℃の周囲温度で行われ得る。特に、エアレストは、20~30℃の範囲の温度で、20~30時間の範囲などの少なくとも20時間にわたり実施され得る。
本発明のいくつかの実施形態では、エアレストは、85~95L/時間の範囲で、例えば、約90L/時間などの87~93L/時間の範囲の大気または約20%O/kg乾燥穀物粒を含むガス混合物の空気流で実施される。本発明の他の実施形態では、エアレストは、18~20L/時間の範囲などの17~21L/時間の範囲で、例えば、約19L/時間のO/kg乾燥穀物粒の空気流で実施される。
エアレスト中に、追加の水または水溶液が、例えば、灌漑または散布により、穀物粒に添加され得る。しかし、エアレスト中は、穀物粒は水溶液中に浸漬されるべきではない。
発芽法
一実施形態では、穀物粒は、発芽穀粒を得るために、当技術分野において既知の標準的方法を用いて発芽され得る。上記発芽の期間は、好ましくは長くても96時間、より好ましくは長くても72時間であり得る。発芽はまた、通気下の水溶液中でのインキュベーションおよび任意選択で、上記で定義のその後のエアレストを含み得る。
発芽はまた、水溶液中でのインキュベーションのいくつかのステップおよび/またはエアレストのいくつかのステップを含み得る。一般に、第1のステップは、上述の通気下の水溶液中での穀物粒のインキュベーションのステップである。従って、発芽は、次のステップを含むか、または次のステップから構成され得る:
・上記セクション「通気下の水溶液中でのインキュベーション」で記載の通気下の水溶液中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「エアレスト」で記載の空気中での穀物粒のインキュベーション。
この実施形態では、穀物粒の通気下の水溶液中でのインキュベーションは例えば、20~30時間の範囲などの16~30時間、例えば、22~26時間の範囲で実施され得、一方、エアレストは、20~38時間の範囲、例えば、20~30時間の範囲などの22~35時間の範囲で、例えば、22~26時間の範囲にわたり実施され得る。
発芽はまた、次のステップを含むか、または次のステップから構成され得る:
・上記セクション「通気下の水溶液中でのインキュベーション」で記載の通気下の水溶液中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「エアレスト」で記載の空気中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「通気下の水溶液中でのインキュベーション」で記載の通気下の水溶液中での穀物粒のインキュベーション。
発芽はまた、次のステップを含むか、または次のステップから構成され得る:
・上記セクション「通気下の水溶液中でのインキュベーション」で記載の通気下の水溶液中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「エアレスト」で記載の空気中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「通気下の水溶液中でのインキュベーション」で記載の通気下の水溶液中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「エアレスト」で記載の空気中での穀物粒のインキュベーション。
発芽はまた、次のステップを含むか、または次のステップから構成され得る:
・上記セクション「通気下の水溶液中でのインキュベーション」で記載の通気下の水溶液中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「エアレスト」で記載の空気中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「通気下の水溶液中でのインキュベーション」で記載の通気下の水溶液中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「エアレスト」で記載の空気中での穀物粒のインキュベーション、
・上記セクション「通気下の水溶液中でのインキュベーション」で記載の通気下の水溶液中での穀物粒のインキュベーション。
各インキュベーションの時間は変わってよいが、しかし通常は、発芽の全体ステップ、すなわち、水溶液中での全てのインキュベーションおよび全てのエアレストの合計時間は、72時間を超えず、より好ましくは60時間を超えず、さらにより好ましくは54時間を超えない。従って、発芽の全体ステップは、24~60時間の範囲などの20~72時間の範囲で、例えば、24~48時間の範囲で実施されることが好ましいであろう。従って、発芽が水溶液中でいくつかのインキュベーションおよび/またはエアレストのテップを含む場合、各インキュベーションステップは一般に、より短い。
一実施形態では、発芽の全体ステップは、少なくとも46時間などの少なくとも44時間、例えば、少なくとも48時間実施される。従って、発芽の全体ステップは、44~72時間の範囲で、例えば、48~72時間の範囲などの、46~60時間の範囲などの、46~72時間の範囲で実施され得る。発芽の時間は例えば、後述のように発芽の開始から熱処理の開始まで測定され得る。熱処理のステップを欠く本発明の実施形態では、発芽時間は、例えば、発芽の開始から穀物粒の微粉化の開始まで測定され得る。
いくつかの実施形態では、1種または複数の外来性の酵素が添加され得る。例えば、1種または複数の酵素が、国際公開第2016/071463号に記載のように、発芽ステップ中に添加され得る。
一実施形態では、発芽は、発芽中に穀粒の酸性化なしに実施される。酸性化は、発芽中の酸性物質の穀粒への適用である。上記酸性物質は、例えば、強~中程度の強有機酸または無機酸、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸、リン酸またはモノカルボン酸またはその酸性塩であり得る。この点で、大気の成分およびジベレリン酸は、酸性物質と見なされない。
熱処理
本発明の一実施態様では、発芽穀物粒は、発芽ステップの後で、または発芽ステップの最終部分として、熱処理に供される。熱処理は、発芽穀物粒中の加水分解酵素の改善されたレベルをもたらす。
発芽および熱処理ステップ中に、温度が制御されることが好ましい。温度は、任意の常法により制御され得る。水溶液中でのインキュベーションのステップでの発芽の間、温度は、上記水溶液の温度を調節することにより制御され得る。空気中でのインキュベーションのステップでの発芽の間、温度は、空気の温度を制御することにより、例えば温度を制御された空気流の使用により制御され得る。発芽のステップは、それ自身熱を発生し得、従って、冷却により所望のレベルに温度を制御することが必要な場合もある。
熱処理ステップ中に、温度は、種々の手段により制御され得る。例えば、温度は、温度制御された空気流により、または温度制御された水溶液中でのインキュベーションにより、制御され得る。前述のように、発芽はそれ自体熱を発生し、従って、熱処理ステップ中であっても、温度は冷却により制御される場合もある。冷却は、空気または水で実施され得る。
上述のように、高くても30℃、好ましくは約25℃の温度でのエアレスト処理が、熱処理の前に、例えば、少なくとも22時間などの、少なくとも20時間、好ましくは少なくとも24時間実施されることは本発明の一態様である。
一実施形態では、熱処理ステップの時間は、少なくとも2時間などの少なくとも1時間、例えば、1~12時間の範囲で、好ましくは、2~4時間の範囲などの1~5時間の範囲にわたり実施される。熱処理は、例えば、40~50℃の範囲などの35~55℃の範囲の温度で実施され得る。
発芽および/または熱処理の全てのステップは、同じ容器中で実施されることが好ましい。上記容器は特に、本明細書の後のセクション「装置」で記載のいずれかのタンクなどの、タンクであり得る。
熱処理ステップ(存在する場合)は通常、上記熱処理に供される発芽穀物粒の含水量が、発芽の開始と熱処理の間のどの時点でも20%未満に低減されるように、実施される。換言すれば、熱処理ステップは、キルン乾燥のステップではない。いくつかの実施形態では、発芽穀物粒は、熱処理ステップ中のどの時点でも、25%未満、さらにより好ましくは30%未満、さらにより好ましくは35%未満の含水量を有しなかった。
穀物粒は、発芽および/または熱処理の実質的に直後に微粉化されるのが好ましい。従って、本発明の方法は、発芽および/または熱処理のステップと、穀物粒を微粉化することの間に、乾燥のステップを含まない。従って、発芽穀物粒が、上記穀物粒を微粉化する時点で、少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも35%の含水量を有することは本発明の一態様である。発芽穀物粒が、上記穀物粒の発芽ステップの完了の時間と微粉化のステップの間のどの時点でも、25%未満、好ましくは30%未満、さらにより好ましくは35%未満の含水量を有しなかったことも本発明の一態様である。
本発明の方法は好ましくは、それらを微粉化する前に、熱処理した穀物粒を積極的に冷却するステップを含まない。従って、発芽穀粒の温度が、熱処理のステップと発芽穀粒を微粉化するステップの間のいずれの時点でも、35℃を超えることは本発明の一態様である。
発芽穀物粒
本発明は、発芽穀物粒を製造するステップおよび任意選択で、上記発芽穀粒の熱処理のステップを含む方法に関する。
発芽したおよび/または熱処理された穀物粒は好ましくは、例えば、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、デンプン脱分枝酵素(限界デキストリナーゼなど)、α-グルコシダーゼおよびプロテアーゼにより提供される、1種または複数の加水分解酵素活性を含む。
多くの場合、加水分解酵素活性の発生は、時間的に協調して起こり得、従って、いくつかの加水分解酵素の活性は、他の加水分解酵素のためのマーカーとして使用され得る。
従って、発芽したおよび/または熱処理された穀物粒は、適切なレベルの測定可能なα-アミラーゼ活性を有することが好ましい。好ましくは、発芽穀物粒は、少なくとも50U/gなどの少なくとも40U/g穀物粒(乾燥重量)の測定可能なα-アミラーゼ活性を有する。本発明のいくつかの実施形態では、発芽穀物粒は、少なくとも60U/gなどの少なくとも50U/g穀物粒(乾燥重量)のα-アミラーゼ活性を有し得る。
α-アミラーゼ活性は好ましくは、標準的方法に従って、例えば、Megazyme,Irelandの、Ceralpha kit(K-CERA)を用いることにより、測定される。特に、α-アミラーゼ活性は、下記の実施例2に記載のように決定し得る。
発芽穀物粒が、適切なレベルの測定可能なβ-アミラーゼ活性を有することもまた好ましい。好ましくは、発芽穀物粒は、少なくとも5U/g穀物粒(乾燥重量)の測定可能なβ-アミラーゼ活性を有する。従って、好ましくは発芽穀物粒は、少なくとも10U/g、例えば、少なくとも15U/g穀物粒(乾燥重量)の測定可能なβ-アミラーゼ活性を有し得る。
好ましくは、β-アミラーゼ活性は、標準的方法に従って、例えば、Megazyme,Irelandの、Betamyl kit(K-BETA3)を用いることにより、測定される。特に、β-アミラーゼ活性は、下記の実施例2に記載のように決定し得る。発芽したおよび/または熱処理された穀物粒は、適切なレベルの限界デキストリナーゼ活性を有することも好ましい。好ましくは、発芽穀物粒は、少なくとも5mU/g穀物粒(乾燥重量)の限界デキストリナーゼ活性を有する。従って、好ましくは、発芽穀物粒は、少なくとも9mU/g穀物粒(乾燥重量)の限界デキストリナーゼ活性を有し得る。
好ましくは、限界デキストリナーゼ活性は、標準的方法に従って、例えば、Megazyme,Irelandの、Limit Dextrizyme kit T-LDZ1000を用いることにより、測定される。特に、限界デキストリナーゼ活性は、下記の実施例2に記載のように決定し得る。
興味深いことに、本発明による発芽および/または熱処理穀物粒は、従来の緑麦芽に比べて、大きく低減された細根を有する。従って、本発明による発芽穀物粒は好ましくは、100gの発芽大麦当たり多くても4g、好ましくは100gの発芽大麦当たり多くても3gの細根、さらにより好ましくは100gの発芽大麦当たり多くても2gの細根、例えば、100gの発芽大麦当たり多くても1.1gの細根を含み、ここで細根の質量および発芽大麦の質量の両方は、乾燥重量で与えられる。細根の質量は、好ましくは、本明細書中以下の実施例6で記載のように決定される。従って、一実施形態では、本発明の方法は、細根除去のステップを含まない。
ニトロソアミン(NDMA)は、化学構造RN(-R)-N=Oの化学物質、すなわち、アミンに結合したニトロソ基である。大抵のニトロソアミンは発癌性である。最近の麦芽中のニトロソアミンのレベルは低いが、それでも、本発明による発芽大麦粒は、従来の麦芽に比べて、大きく低減されたNDMA含量を有する。一実施形態では、本発明による発芽大麦粒は、多くても0.15μg/kgのNDMA、好ましくは多くても0.12μg/kgのNDMA、例えば、多くても0.10μg/kgのNDMAを含む。
水溶液
水溶液は、任意の水溶液であり得る。水溶液と穀物粒の混合物は懸濁液と見なされ得るが、水溶液は溶液と見なされ得る。多くの場合、水溶液は水、例えば、水道水である。1種または複数の追加の薬剤が、上記水に添加され得、従って、水溶液は、1種または複数の追加の薬剤を含む水道水などの水であり得る。上記追加の薬剤は、開始時から水溶液中に存在し得るか、またはインキュベーション中に添加され得る。
上記追加の薬剤は、例えば、穀物粒の発芽を加速できる化合物であり得る。従って、水溶液は、ジベレリン酸(GA)を含み得、例えば、水溶液は、少なくとも100nMの濃度で、例えば、100~100,000nMの範囲の濃度などの少なくとも1000nMの濃度で、例えば、500~2000nMの範囲の濃度でGAを含み得る。上記GAは、インキュベーションの開始時から水溶液中に存在し得るか、またはインキュベーション中に添加され得る。上記GAは、任意のGA、例えば、GAまたはGAであり得る。一実施形態では、上記GAはGAである。
追加の薬剤はまた、消泡剤であり得る。上記消泡剤は、例えば、任意の食品等級消泡剤、例えば、Foamzol FCD511(AB Vickers,UK)であり得る。
装置
本発明の方法は、方法の実施に好適な1種または複数の装置を使用して実施され得る。
例えば、水溶液中で穀物粒をインキュベーションするステップは、1つまたは複数のエアポンプを備えた容器中で実施され得る。容器は、穀物粒が水溶液中でインキュベーションされ得る任意の容器であり得る。いくつかの実施形態では、容器は、タンク、例えば、後述のようなタンクであり得る。
穀物粒のインキュベーションに有用な装置の一例は、図2に提供される。装置は、タンク(2)を備え、これは、穀物粒および水溶液を含むのに十分な体積を有する必要がある。図2に示すタンクは、円筒形であるが、本発明で用いられるタンクは、任意の好適な形状であり得、例えば、円筒形タンク、例えば、円錐形底部を有する円筒形タンクであり得る。タンクは、任意の好適な材料、例えば、プラスチック(例えば、プレキシグラス)または金属(例えば、ステンレス鋼または銅)から作製され得る。
タンクは、穀物粒用の少なくとも1つの入口(1)を備え、これは、穀物粒をタンクに加えるために使用できる。入口はまた、他の化合物をタンクに添加するために使用されてよく、例えば、入口は水溶液、例えば、水を加えるために使用されてよい。入口は、タンクの任意の有用な位置に配置され得、いくつかの実施形態では、入口はタンクの上部、例えば、タンクの上端に配置される。入口は、穀物粒の添加を可能にするための十分なサイズである必要がある。たとえ必要とされなくても、タンクは、穀物粒用の入口に加えて、追加の入口を備え得る。
タンクは、任意選択で、タンク中で実質的に水平に配置されるグリッドまたはメッシュ(3)を備えてもよい。グリッドまたはメッシュが存在する場合、これは通常、タンクの下位1/5などの下位1/3に配置される。グリッドまたはメッシュは好ましくは、穀物粒より小さい開口部のみを含む。グリッドまたはメッシュは、任意の好適な材料、例えば、プラスチックまたは金属から作製され得、例えば、金属メッシュであり得る。従って、グリッドまたはメッシュは、穀物粒をタンクの底部から分離するために使用され得る。しかし、タンクは多くの場合、メッシュを備えていない。特に、タンクが底部または底部近傍に穀物粒の出口を備える場合には、上記タンクは通常、グリッドまたはメッシュを備えない。
さらに、タンクは、1つまたは複数のガス用の入口(4)を備える。上記入口は、それを通ってO含有ガスがタンクに入ることができる任意の入口であり得る。ガス用の入口は、水溶液を通ってガスの拡散を確実にする高速で水溶液中に入ることを可能にする形状を有し得る。従って、例えば、ガス用の入口は、ノズル、噴射口、拡散石または焼結石であり得る。一実施形態では、ガス用入口は、焼結石である。ガス用入口は通常、ポンプ(5)に連結され、このポンプは、上記入口を通ってガスをタンクに圧送する。ポンプは、ガス用入口を通るガス、例えば、空気を圧送できる任意のポンプであり得る。タンクは、複数のガス用入口、例えば、少なくとも3個などの少なくとも2個の、例えば、3~20個の範囲のガス用入口を備えることが好ましい。ガス用入口は、タンクの任意の位置に配置され得るが、通常は、それらは、タンクの底部1/5中などの底部1/3中に配置される。これは、ガスが底部から水溶液中に入り、水溶液を通って上向きに拡散することを可能にする。過剰ガスは、タンク中の任意の開口部を通って、例えば、穀物添加用入口を通って、タンクから放出され得る。一実施形態では、上記入口(3)がタンク(2)の側壁上に、好ましくは、例えば、図1に示されるように、側壁の下部に、直接配置されることが好ましいであろう。
本発明の方法のいくつかのステップの実施に有用な装置の一例を図1に示す。装置は、穀物粒用の入口(1)、タンク(2)、ガス用入口(3)、およびポンプ(4)を備え、これらは、図2に関連して本明細書で上記の穀物粒用の入口、タンク、ガス用の入口およびポンプのいずれかであり得る。タンク(2)は、タンクの下位1/5などの下位1/3に配置された、例えば、タンクの底部に配置された、穀物粒用の出口(5)を備え得る。上記出口は、穀物粒の取り出し、ならびにタンク中に保持されている他の成分、例えば、水溶液の取り出しの両方のために使用され得る。上記出口は、穀粒ポンプ(6)に、例えば、配管を介して連結され得る。上記穀粒ポンプ(6)は、タンク(2)から穀物粒微粉化装置(7)への、および任意選択で、さらにマッシング容器(9)への穀粒の圧送が可能な任意のポンプであり得る。
装置は、穀物粒微粉化装置(7)を備える。上記装置は、20%を超える、例えば、35%を超える含水量を有する穀物粒を微粉化できる任意の装置であり得る。装置は、特に、磨砕機または粉砕機、例えば、湿式粉砕機であり得る。装置(7)は、配管を介して、タンク(2)および容器(9)に連結され得る。タンク(2)から装置(7)への、およびさらに容器(9)への穀粒の移動は、ポンプ(6)により保証され得る。
装置はまた、容器(9)を含み得る。容器(9)は、任意の容器であり得、これは、水性抽出物を含むことができ、さらに、マッシングに使用する温度、例えば、最大85℃などの最大90℃の温度、例えば、最大80℃の温度に耐えることができる。従って、容器は、このような温度に耐える任意の材料、例えば、ステンレス鋼または銅などの金属材料から作製できる。容器は、任意の有用な形状を有し得、例えば、実質的に円筒形であり得る。容器は、温度制御のために装置に組み込まれてもよい。容器は、本明細書のセクション「水性抽出物の作製」に記載の1つまたは複数の所定の温度でのインキュベーションを含む工程による微粉化穀物粒の水性抽出物を作製するために使用され得る。温度制御用の上記装置は、容器内の液体の温度を制御でき、容器内の液体を所定温度に、例えば、本明細書のセクション「水性抽出物の作製」に記載のいずれかの温度に、加熱できることを含む。容器(9)はまた、上記容器中に含まれる任意の液体を攪拌または回転するための装置も備え得る。特に、容器(9)は、マッシング容器であり得る。マッシング容器は、当該技術分野において周知であり、容器(9)は、任意の従来のマッシング容器であり得る。
容器(9)は通常、入口(8)を含み、微粉化発芽穀物粒はこれを通って容器に入ることができる。上記入口(8)は通常、容器の上半分部中に、例えば、容器の上位1/5中などの上位1/3中に、例えば、容器の上端に配置される。微粉化穀物粒は、穀物粒微粉化装置(7)から配管を介して容器(9)の入口(8)に導かれ得る。
通常、容器(9)はまた、出口(10)を含み、水性抽出物の作製(本明細書のセクション「水性抽出物」および「水性抽出物の作製」における水性抽出物の詳細を参照されたい)後に、水性抽出物がこれを通って、容器から出ることができる。出口は通常、容器の下半分部中に、例えば、容器の下位1/5中などの下位1/3中に、例えば、容器の底部に配置される。
微粉化発芽穀物粒
本発明の方法は、本明細書で定義の方法により剥皮および/または発芽および/または加熱された発芽穀物粒の微粉砕のステップを含む。
上記穀物粒が微粉化される時点で、それらは好ましくは、まだ高い含水量を有し、好ましくは上記穀物粒は、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも35%の含水量を有する。例えば、発芽穀物粒は、発芽および/または熱処理から穀物粒微粉化装置に直接移され得る。従って、発芽穀物粒は、微粉化されている時点で、穀物粒が穀物粒の発芽および/または熱処理直後に有するのと同じ含水量、例えば、本明細書のセクション「発芽」に記載の含水量を有し得る。特に、方法は通常、発芽穀物粒の乾燥ステップを含まない。従って、方法は好ましくは、発芽穀物粒をキルン乾燥するステップを含まない。上述のように、キルン乾燥は、含水量の約4.5~5%のレベルへの低減をもたらす。好ましくは、発芽穀物粒が、上記穀物粒の発芽および/または熱処理後、および上記穀物粒の微粉化の前のどの時点でも、20%未満の含水量をもたず、好ましくは25%以上、さらにより好ましくは30%以上、さらにより好ましくは35%以上の含水量を有する。
本発明のいくつかの実施形態では、発芽穀物粒は、発芽ステップの後で、熱処理に供される。本発明の方法は好ましくは、それらを微粉化する前に、熱処理した穀物粒を積極的に冷却するステップを含まない。従って、発芽穀粒の温度が、熱処理ステップと発芽穀粒を微粉化するステップとの間のいずれの時点でも、35℃を超えることは本発明の一態様である。
発芽穀物粒は、25%を超えるなどの20%を超える、例えば、35%を超えるなどの30%を超える含水量を有する穀物粒を微粉化するのに好適な任意の装置を用いて微粉化され得る。例えば、発芽穀物粒は、粉砕、例えば、湿式粉砕に供され得る。発芽穀物粒を粉砕するのに有用な粉砕機としては、Millstar,USAから入手可能な粉砕機が挙げられる。発芽穀物粒はまた、磨砕に供され得る。
穀物粒は通常、穀物粒の発酵性糖類の水性抽出物が作製できる程度に微粉化される。従って、穀物粒は、1kgの上記微粉化穀物粒の7Lの水性抽出物が少なくとも8プラトー度の比重を有するように、充分に粉砕される。
水性抽出物が発芽穀物粒および1種または複数の補助剤から作製される本発明の実施形態では、上記補助剤も微粉化され得る。特に、これは、上記補助剤が非発芽穀物粒を含む場合に当てはまる。上記補助剤は、別の手順で、微粉化、例えば、粉砕され得る。しかし、補助剤が発芽穀物粒と一緒に微粉化されることも本発明の範囲内に含まれる。同様に、水性抽出物が発芽穀物粒およびキルン乾燥麦芽から作製される場合には、上記キルン乾燥麦芽は別の手順で、微粉化、例えば、粉砕され得る。しかし、キルン乾燥麦芽が発芽穀物粒と一緒に微粉化されることも本発明の範囲内に含まれる。
水性抽出物の作製
本発明の方法はまた、微粉化発芽穀物粒の水性抽出物を作製するステップも含む。上記ステップは、例えば、マッシングのステップであり得る。
上述の水性抽出物は通常、微粉化穀物粒を水または水溶液中でインキュベーションすることにより作製され得る。水性抽出物を作製するための水溶液は通常、発芽中に穀物粒のインキュベーションに使用される水溶液と比較して、異なる水溶液である。
区別するために、水性抽出物を作製するための水溶液は、「マッシング溶液」とも呼ばれ得る。マッシング溶液は任意の水溶液であり得るが、通常、水道水などの水からなり、これに対し1種または複数の追加の薬剤が添加され得る。発芽中に添加される追加の薬剤と区別するために、これらの追加の薬剤は、「追加のマッシング剤」と呼ばれる場合がある。従って、マッシング溶液は、水(例えば、水道水)からなり得、これに対し1種または複数の追加のマッシング剤が添加される。マッシング剤は、開始時からマッシング溶液中に存在し得るか、または水性抽出物を作製する工程中に添加され得る。
上記追加のマッシング剤は酵素であり得る。従って、マッシング溶液は、1種または複数の酵素を含み得る。上記酵素は、開始時からマッシング溶液に加えられ得るか、またはその後、工程中に添加され得る。
上記酵素は、例えば、1種または複数の加水分解酵素であり得る。好適な酵素としては、リパーゼ、デンプン分解酵素(例えば、アミラーゼ)、グルカナーゼ[好ましくは(1-4)-および/または(1,3;1,4)-β-グルカナーゼ]、および/またはキシラナーゼ(例えば、アラビノキシラナーゼ)、および/またはプロテアーゼ、または1種または複数の上述の酵素を含む酵素混合物、例えば、Cereflo、Ultraflo、またはOndea Pro(Novozyme)が挙げられる。例えば、マッシング溶液は、1種または複数の加水分解酵素を含み得、少なくとも1つの加水分解酵素は、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、限界デキストリナーゼ、プルラナーゼ、β-グルカナーゼ、キシラナーゼ、グルコアミラーゼおよびプロテアーゼからなる群より選択される。
本発明の一実施形態では、マッシング溶液は、1種または複数の次の酵素を含む:
・β-グルカナーゼ、例えば、エンド-(1,3;1,4)-β-グルカナーゼまたはエンド-1,4-β-グルカナーゼ
・キシラナーゼ、例えば、エンド-またはエキソ-1,4-キシラナーゼ、アラビノフラノシダーゼまたはフェルラ酸エステラーゼ
・α-アミラーゼ
・プルラナーゼまたは限界デキストリナーゼ
・グルコアミラーゼ。
マッシング溶液に酵素を加えるか否か、およびどの酵素を加えるかの決定は、使われる穀物粒に依存し得る。従って、穀物が低レベルのβ-グルカンを有する大麦植物(例えば、本明細書で以下のセクション「大麦」に記載のような)である場合の本発明の実施形態では、β-グルカナーゼはマッシング溶液にほとんどまたは全く添加され得ない。
一実施形態では、マッシング中に外来性のプロテアーゼが添加されないことが好ましい。プロテアーゼの添加は、プロテアーゼが酵素活性に影響を及ぼすという理由で、あまり好まれない。一実施形態では、マッシング中に外来性のリパーゼが添加されないことが好ましい。
一実施形態では、1gの発芽穀物粒(乾燥物)当たり多くても700U、好ましくは多くても350Uの外来性のグルコアミラーゼが水性抽出物の作製の間に使用されることが好ましい。
一実施形態では、1gの発芽穀物粒(乾燥物)当たり多くても400U、好ましくは多くても200Uの外来性のグルコアミラーゼが水性抽出物の作製の間に使用されることが好ましい。AGUの測定は、米国特許第7060468号に記載のように実施され得る。
別の実施形態では、水性抽出物の作製中に使われる外来性のグルコアミラーゼおよびα-アミラーゼの組み合わせは、1gの発芽穀物粒(乾燥物)当たり、700Uを超えない、好ましくは350Uを超えないことが好ましい。グルコアミラーゼおよびα-アミラーゼの組み合わせの活性は、例えば、K-CERA01/12を用いて測定され得る(プロトコルおよびキットは、Megazyme,Irelandから入手可能)。
一実施形態では、1kgの発芽穀物粒(乾燥物)当たり多くても20Uの外来性のプルラナーゼまたは限界デキストリナーゼが水性抽出物の作製の間使用されることが好ましい。
一実施形態では、1kgの発芽穀物粒(乾燥物)当たり多くても100PUNのプルラナーゼが水性抽出物の作製の間使用されることが好ましい。PUNの測定は、米国特許第7060468号に記載のように実施され得る。
上記追加のマッシング剤はまた、補助剤、例えば、非発芽穀物粒、シロップまたは糖類であり得る。補助剤が添加される場合、これらも、例えば、粉砕または磨砕により、微粉化されている。補助剤が穀物粒、例えば、発芽に供されたことがない穀物粒の場合には、通常、磨砕または粉砕され得る。補助剤がシロップ、糖類などの場合には、これらは通常粉砕されない。糖類またはシロップなどの補助剤は、工程中の任意の時点でマッシング溶液に添加され得るが、しかし、このような補助剤はまた、水性抽出物、またはさらに後で、後述のように飲料を作製する工程中でも添加され得る。通常、補助剤は、発芽穀物粒よりも少ない量で添加される。従って、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、例えば、少なくとも90%の炭水化物の水性抽出物が、発芽穀物粒から得られ、一方、補助剤は、炭水化物のわずかな部分を占めるに過ぎないのが好ましい。補助剤が非発芽穀物粒である場合には、発芽穀物粒が、乾燥重量で測定して、総穀物粒の、少なくとも50%(w/w)、好ましくは少なくとも70%(w/w)、より好ましくは少なくとも90%(w/w)を構成することが好ましい。
追加のマッシング剤はまた、キルン乾燥麦芽であり得る。キルン乾燥麦芽が添加される場合、これも、例えば、粉砕または磨砕により、微粉化されていてもよい。通常、キルン乾燥麦芽は、発芽穀物粒よりも少ない量で添加される。従って、発芽穀物粒は、乾燥重量で測定して総穀物粒および麦芽の、少なくとも80%(w/w)、好ましくは少なくとも90%(w/w)、より好ましくは少なくとも95%(w/w)を構成することが好ましい。好ましい実施形態では、キルン乾燥麦芽は添加されない。
好ましくは食品等級品質の上記追加のマッシング剤はまた、塩、例えば、CaClであり得る。
上記追加のマッシング剤はまた、酸、好ましくは食品等級酸、例えば、HPOであり得る。
水性抽出物は通常、マッシング溶液中の、1種または複数の所定温度での微粉化発芽穀物粒のインキュベーションにより作製される。上記所定の温度は、本明細書では「マッシング温度」とも呼ばれ得る。上記マッシング温度は、例えば、マッシングに使用される従来の温度であり得る。
マッシング温度は一般的に、一定に保持される(等温マッシング)か、または徐々に、例えば、逐次的様式で高められる。いずれの場合でも、微粉化発芽穀物粒中の可溶性物質は、上記マッシング溶液中に遊離され、それにより、水性抽出物を形成する。
マッシング温度は通常、40~85℃の範囲などの30~90℃の範囲の、例えば、50~85℃の範囲の温度である。マッシング温度は、使用される穀物タイプに応じて選択され得る。従って、穀物粒が、低レベルの、または非存在のリポキシゲナーゼ(LOX)活性および/またはメチルメチオニントランスフェラーゼ(MMT)活性を有する大麦(本明細書の下記のセクション「大麦」中に記載の詳細を参照されたい)である場合の本発明の実施形態では、マッシング温度は、より低く、例えば、35~69℃の範囲であり得る。
マッシング溶液中でのインキュベーションは、任意の適切な時間にわたり実施され得る。マッシング容器中のマッシング溶液中でのインキュベーション時間は、例えば、60~240分の範囲などの60~300分の範囲、例えば、90~240分などの90~300分の範囲、例えば、90~270分の範囲であり得る。例えば、マッシング溶液中での上記インキュベーション時間は、従来のマッシングで用いられる任意の時間であり得る。好適なマッシングの非限定的一例は、下記の通りである:
(1)約55℃などの50~60℃の範囲の温度で、約15分などの10~30分の範囲の時間で仕込み開始。
(2)約60分などの30~90分の範囲の時間にわたり、60~70℃の範囲、好ましくは、約62℃などの60~65℃の範囲の温度に加熱。
(3)約15分などの5~30分の範囲の時間で、約72℃などの70~75℃の範囲の温度に加熱。
(4)約10分などの5~15分の範囲の時間で、75~80℃の範囲、好ましくは、約78℃などの75~78℃の範囲の温度に加熱。
マッシング容器でのマッシング溶液中のインキュベーションの後で、マッシング溶液中の微粉化発芽穀物粒は、別の容器、例えば、麦芽汁濾過機に移され、追加の時間、高温で、例えば、70~78℃の範囲の温度で30~120分の範囲の時間にわたりインキュベーションされ得る。
従って、マッシング溶液中のインキュベーションは、上述のステップに加えて、下記ステップ(5)も含み得る:
(5)約60分などの30~120分の範囲の時間で、70~78℃の範囲、好ましくは、約78℃などの75~78℃の範囲の温度に加熱。
有用なマッシング温度および期間の非限定的一例は、本明細書の図10に示されている。最初の約120分間のインキュベーションは、例えば、マッシング容器中で実施され得、一方、残りのインキュベーションは、例えば、別の容器中で実施され得る。他の非限定的例は、醸造の文献、例えば、Briggsら(前出)およびHoughら(前出)で見つけることができる。
マッシング溶液中でインキュベーション後、水性抽出物は通常、例えば、濾過により水性抽出物と残留非溶解固体粒子とに分離され得、後者は「ビール粕」とも表記される。濾過は、例えば、麦芽汁濾過機中で実施され得る。あるいは、濾過は、マッシュフィルターを用いた濾過であり得る。こうして得られた水性抽出物は、「第一麦汁」とも表記される。
スパージングとも表記される工程中に、水などの追加の液体をビール粕に加え得る。スパージングおよび濾過の後で、「第二麦汁」が得られ得る。さらなる麦汁は、手順の反復により作製され得る。
従って、水性抽出物は、麦汁、例えば、第一麦汁、第二麦汁、さらなる麦汁またはこれらの組み合わせであり得る。
水性抽出物
本発明の方法により作製された水性抽出物は、限定されないが、このセクションで記載の特性を含む、多くの有用な特性を有し得る。
前述のように、水性抽出物は、濾過のステップに供され得る。従って、麦汁が良好な濾過性を有することが好ましいであろう。例えば、高粘稠液体を濾過することは、技術的難題であり得る。これが、水性抽出物が低粘度を有するのが好ましいと思われる理由である。
濾過性は、様々な方法で測定され得る。一実施形態では、濾過性は、濾紙を備えた濾過用漏斗を1時間にわたり通す濾過後に得られる液体の量として決定される。好ましくは、100gの微粉化穀物粒を含む400mLのマッシング溶液が上記濾過用漏斗に加えられた場合、水性抽出物は、少なくとも250mLの濾過性を有する。濾過性はまた、上記漏斗に加えられた水性抽出物の液体の体積と比較して、上述のように60分間の濾過後に得られた液体の体積のパーセンテージとして決定される。従って、濾過性は、少なくとも60%などの少なくとも50%(v/v)であり得る。特に、濾過性は、本明細書で以下の実施例8に記載のようにして決定され得る。
濾過性は、多くの場合、β-グルカンのレベルに依存し得る。従って、β-グルカンのレベルは高すぎないことが好ましいであろう。例えば、水性抽出物は、多くても200mg/L、好ましくは多くても150mg/Lのβ-グルカンを含み得る。
水性抽出物が、適切なレベルの発酵性糖類を含むことも好ましい。特に、水性抽出物が、1L当たり少なくとも15gなどの少なくとも10gのマルトースを含むことが好ましいであろう。例えば、水性抽出物が少なくとも1g/Lのプラトー度のマルトースを含むことが好ましいであろう。上記水性抽出物が、1L当たり少なくとも2gなどの少なくとも1gのグルコースを含むことも好ましいであろう。
麦汁が遊離アミノ態窒素(FAN)を、良好な酵母生存率を得るのに十分に高いレベルで含むことは通常望ましいが、極めて高いレベルは望ましくないであろう。従って、水性抽出物が、150~300mg/Lの範囲などの150~400mg/Lの範囲で、例えば、150~250mg/LのFANを含むことが好ましいであろう。
麦汁が高レベルのアミノ酸バリンを含むことが通常望ましい。理由は、それが望ましくないジアセチル形成の可能性を低減し得るためである。従って、水性抽出物が少なくとも55mg/L、例えば、少なくとも60mg/Lのバリンを含むことが好ましいであろう。一実施形態では、水性抽出物は、少なくとも65mg/Lのバリンを含む。
糖類、FANおよびアミノ酸の上述のレベルは、好ましくは、何らかの発酵の前の水性抽出物中のレベルである。
外皮を持つ穀物粒の水性抽出物を製造するための方法
一実施形態では、本発明は、穀物の水性抽出物を製造するための方法に関し、上記方法は、次のステップ:
a)穀物粒を用意するステップであって、穀物が外皮を持つ穀物である、ステップ;
b)外皮を除去するために上記穀物粒を処理するステップであって、上記処理が上記穀物粒の総重量の少なくとも2%の減少、例えば、上記穀物粒の総重量の3~6%の範囲の減少などの、上記穀物粒の総重量の2~7%の範囲の減少をもたらす、ステップ;
c)穀物粒を発芽ステップに供し、それにより発芽穀粒を得るステップであって、上記発芽ステップが、
i.上記穀粒を水溶液中で、20~30時間の範囲などの16~40時間の範囲にわたりインキュベーションするステップであって、1時間当たり少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒を上記水溶液中に通過させ、上記インキュベーション中に上記穀粒を上記水溶液中に浸漬する、ステップ;
ii.過剰水溶液を除去するステップ;および
iii.湿潤穀粒を空気中で20~30時間の範囲などの20~50時間の範囲にわたり、15~30℃の範囲の温度で、1時間当たり少なくとも2LO/kg乾燥重量穀物粒の流量でインキュベーションするステップ、
を含み得る、ステップ;
d)上記発芽穀粒を微粉化し、同時に上記発芽穀粒が少なくとも20%の含水量を有するが、ただし、上記穀物粒がステップc)とd)の間のどの時点でも、20%未満の含水量を有しないことが前提であり、それにより粉砕発芽穀粒を得るステップ;および
e)上記粉砕発芽穀粒の水性抽出物を作製するステップ
を含み、それにより穀物の水性抽出物を製造する。
用語の「上記穀物粒は、ステップc)、およびd)の間のどの時点でも、20%未満の含水量を有しない」は、例えば、上記穀物粒が、ステップc)およびステップd)の間のどの時点でも、ステップc)の完了からステップd)の完了までのどの時点でも、またはステップc)の完了からステップd)の開始までのどの時点でも、20%を超える含水量を有し得ることを含むことを理解されたい。
上記穀物粒が微粉化される時点で、それらは好ましくは、まだ高い含水量を有し、好ましくは上記穀物粒は、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、さらにより好ましくは少なくとも30%、さらにより好ましくは少なくとも35%の含水量を有する。例えば、発芽穀物粒は、発芽および/または熱処理から穀物粒微粉化用装置に直接移され得る。従って、発芽穀物粒は、微粉化されている時点で、穀物粒が穀物粒の発芽および/または熱処理直後に有するのと同じ含水量、例えば、本明細書のセクション「発芽」に記載の含水量を有し得る。特に、方法は通常、発芽穀物粒を乾燥するステップを含まない。従って、方法は、好ましくは、発芽穀物粒をキルン乾燥するステップを含まない。上述のように、キルン乾燥は、含水量の約4.5~5%のレベルへの低減をもたらす。好ましくは、発芽穀物粒が、上記穀物粒の発芽および/または熱処理後、および上記穀物粒の微粉化の前のどの時点でも、20%未満の含水量をもたず、好ましくは25%以上、さらにより好ましくは30%以上、さらにより好ましくは35%以上の含水量を有する。
方法は、本明細書の上記セクション「熱処理」で記載のように、熱処理のステップを含み得る。
水溶液中または空気中の穀物粒を通過させるOの量は、本明細書中の上記のセクション「発芽」で記載のいずれかのO量であり得る。一実施形態では、ステップiの間に、大気が、1時間当たり85~95Lの大気/kg乾燥重量穀物粒の範囲で、上記水溶液中を通される。一実施形態では、ステップiiiの空気中のインキュベーションは、85~95Lの大気/kg乾燥重量穀物粒の範囲の流量で、実施される。
発芽穀粒を微粉化するステップは、本明細書の上記セクション「微粉化発芽穀物粒」に記載の通りであり得る。
水性穀物抽出物を作製するステップは、本明細書の上記セクション「水性抽出物」に記載の通りであり得る。
飲料作製
いくつかの実施形態では、本発明の方法はまた、本発明の方法により作製された水性抽出物を飲料に処理するステップも含む。本明細書で記載の上記方法のいずれかを用いて、穀物の水性抽出物を得ることができ、これは次に、飲料へとさらに処理される。
水性抽出物は、ホップの含有または非含有下で煮沸され得、これはその後、煮沸麦汁と呼ばれることもある。
第一、第二およびさらなる麦汁を混合し、その後、加熱または煮沸に供し得る。水性抽出物は、任意の好適な時間、例えば、60分~120分の範囲で加熱または煮沸され得る。加熱または煮沸中に、水性抽出物の体積は、蒸発により減少し得る。水性抽出物の体積は、8%未満、好ましくは5%未満だけ減少することが好ましいであろう。これは、エネルギー消費を大きく低減し得る。
飲料は、水性抽出物の発酵により、例えば、麦汁の発酵により作製され得る。従って、飲料は、酵母による水性抽出物の発酵により作製され得る。
一実施形態では、飲料は、ビールなどのアルコール性飲料であり得る。他の実施形態では、飲料は、発芽穀物粒をベースにした非アルコール性飲料であり得る。非アルコール性飲料は、例えば、非アルコール性ビールまたはマルチナなどのその他の種類の非アルコール性飲料であり得る。
好ましい一実施形態では、飲料はビールであり、例えば、ビールは、ラガービールまたはエールであり得る。従って、ビールは、例えば、アルトビール、アンバーエール、バーレイワイン、ベルリーナー・ヴァイセ、ビエールドギャルド、ビター、ブロンドエール、ボック、ブラウン・エール、カリフォルニアコモン、クリーム・エール、ドルトムンダー エクスポート、ドッペルボック、デュンケル、デュンケルバイツェン、アイスボック、フルーツランビック、ゴールデンエール、ゴーゼ、グーズ、ヘーフェヴァイツェン、ヘレス、インディア・ペールエール、ケルシュ、ランビック、ライトエール、マイボック、モルト・リカー、マイルド、メルツェンビア、オールドエール、オード・ブライン、ペールエール、ピルスナー、ポーター、レッドエール、ロッゲンビア、セゾン、スコッチエール、スチームビール、スタウト、シュヴァルツビール、ラガー、ウィットビア、ヴァイスビアおよびヴァイツェンボックからなる群より選択され得る。本発明による水性抽出物は、発芽穀物粒から作製され、これは、キルン乾燥に供されていない。キルン乾燥されていない、発芽穀物粒は通常、より薄い色を有し、従って、本発明の方法は、より色の薄いビールの作製、特に、ラガービールの作製に特に有用である。より色が濃いビールはまた、本発明の方法により、例えば、セクション「水性抽出物の作製」に記載のようにマッシング中に1種または複数のキルン乾燥麦芽を添加することにより、作製され得る。
従って、本発明はまた、次のステップを含む飲料の製造方法にも関する:
-本発明の方法により水性抽出物を作製するステップ;
-上記抽出物を飲料に処理するステップ。
ビールなどのアルコール性飲料は、本発明の方法に従って、発芽穀物粒から製造され得る。ホップおよび酵母に加えて、発芽穀物粒は、ビールの香味および色に寄与する。
水性抽出物が作製されると、それは、従来の醸造方法を含む任意の方法により、ビールへと処理され得る。好適な醸造方法の例の非限定的記載は、例えば、Briggsら(1981)およびHoughら(1982)による報告で見つけることができる。多くの定期的に更新される大麦ビールおよびビール産物の分析方法は、例えば、限定されないが、米国穀物化学者学会(1995)、米国醸造化学者学会(1992)、欧州醸造学会(1998)、および英国醸造協会(1997)から入手できる。多くの特定の手順が特定の醸造所に採用され、現地の消費者の好みにより最も大きく変化することが認識されている。いずれかのこのようなビール製造方法を本発明で用い得る。
水性抽出物からのビール製造の第1のステップは好ましくは、本明細書で上記したように上記水性抽出物を加熱すること、その後続いて、冷却および任意選択でワールプールレストを含む。1種または複数の追加の化合物、例えば、下記セクション「追加の化合物」に記載の1種または複数の追加の化合物、を水性抽出物に加えてもよい。冷却後に、水性抽出物を、酵母、例えば、ビール酵母または出芽酵母などの醸造酵母を含む発酵タンクに移し得る。水性抽出物は、任意の好適な期間、一般的には、1~10日間などの、1~20日間にわたり発酵され得る。発酵は、任意の有用な温度、例えば、10~20℃の範囲の温度で実施される。方法はまた、1種または複数の酵素の追加を含み得、例えば、1種または複数の酵素が、発酵の前に、または発酵中に麦汁に添加され得る。特に、上記酵素は、プロリン-特異的エンドプロテアーゼであり得る。プロリン-特異的エンドプロテアーゼの非限定的例は、DSMから入手可能な「Brewer’s Clarex」である。他の実施形態では、方法中に外来性の酵素は添加されない。
数日間の長さの発酵工程中に、糖はアルコールおよびCOに同時に転換され、いくつかの香味物質が発生する。任意の望ましい時間に、例えば、%Pの低下が観察されなくなると、発酵を終了させ得る。
その後、ビールは、さらに処理され、例えば、冷却され得る。それはまた、濾過されおよび/またはラガーにするため貯蔵され得る--この工程で、酵母様香味の少ない、心地よい香が発生する。添加物をさらに添加してもよい。さらに、COを添加し得る。最終的に、ビールは、低温殺菌および/または濾過された後に、包装され得る(例えば、容器またはビア樽に移される、瓶詰、または缶詰にされる)。ビールはまた、標準的な方法で低温殺菌され得る。
本発明の方法により製造されたビールは通常、口当たりのよい味を有し、渋味はないか、またはわずかである。味は、例えば、専門家ビール試飲パネルにより分析され得る。
大麦
本発明の好ましい実施形態では、本発明の方法で用いられる穀物粒は、大麦粒である。
上記穀粒は、任意の大麦植物の穀粒であり得る。しかし、いくつかの実施形態では、大麦植物は、1つまたは複数の特定の特性、例えば、本明細書の以下に記載の1つまたは複数の特性を含み得る。種々の特性が本明細書中以下において個別に考察されるが、本発明の大麦植物は、これらの特性の組み合わせを有し得る。
本発明の一実施形態では、大麦は、裸麦変種(var.)であり得る。大麦が、変種Admiralなどの天然に薄い外皮を有する大麦変種であることも、本発明の範囲内に含まれる。例えば、外皮は、穀粒および外皮の総重量の7%未満を構成し得る。
前述のように、マッシング中に得られる水性抽出物は、マッシュ混合物の良好な濾過性を可能にする十分に低い粘度を有することが好ましい。また、詳細に上記されたように、可溶性β-グルカンは、水性抽出物の高粘度の一因となり得る。従って、本発明のいくつかの実施形態では、低レベルのβ-グルカン、例えば、検出レベル未満のβ-グルカンのレベルなどのβ-グルカン不含の穀類植物-特に大麦植物の使用が好ましい場合がある。これらの大麦植物は、当技術分野において既知であり、例えば、β-グルカンシンターゼをコードする遺伝子中に変異を有する大麦植物を含む。上記遺伝子は、米国特許出願公開第2012/0030784号に記載の配列番号2のポリペプチドをコードする遺伝子であり得る。例えば、大麦植物は、米国特許出願公開第2012/0030784号の配列番号1または配列番号18に記載のβ-グルカン欠損遺伝子を含む大麦であり得る。大麦植物はまた、サイレント化されたCslF6遺伝子を含むものであってもよく、この遺伝子は、極めて低レベルの(1,3;1,4)-β-グルカンを有する大麦粒をもたらし得る(Taketa et al.,2011により記載のように)。
大麦植物はまた、低レベルのLOX活性を有する大麦植物であり得る。このような大麦植物は、当技術分野において既知であり、例えば、LOX-1をコードする遺伝子中に変異を有する大麦植物を含む。例えば、大麦植物は、国際公開第02/053721号、国際公開第2005/087934号および国際公開第2004/085652号に記載のLOX-1遺伝子中の任意の変異を有する大麦植物であり得る。
大麦植物はまた、リポキシゲナーゼ1(LOX-1)をコードする遺伝子中に、および/またはLOX-2をコードする遺伝子中に変異を有する大麦植物でもあり得る。例えば、大麦植物は、国際公開第2010/075860号に記載のLOX-1およびLOX-2遺伝子中のいずれかの変異を有する大麦植物であり得る。
大麦植物はまた、低レベルのMMT活性を有する大麦植物であり得る。このような大麦植物は、当技術分野において既知であり、例えば、MMTをコードする遺伝子中に変異を有する大麦植物を含む。具体的には、大麦植物は、国際公開第2010/063288号に記載のMMT遺伝子中にいずれかの変異を有する大麦植物であり得る。大麦植物は、国際公開第2011/150933号に記載のいずれかの大麦植物であり得る。
大麦植物はまた、高められたGAシグナル伝達を特徴とする大麦植物であり得る。特に、大麦植物は、Slender1遺伝子中に変異を有する大麦植物であり得、この遺伝子は、DELLAタンパク質をコードする。例えば、大麦植物は、Chandler et al.,Journal of Experimental Botany,Vol.64,No.6,pp.1603-1613,2013,doi:10.1093/jxb/ert022、に記載の、例えば、その中の表1に記載のいずれかの変異を有する大麦植物であり得る。例えば、大麦植物は、変異体DELLAタンパク質をコードする変異体Slender1遺伝子をもたらすSlender1遺伝子中に変異を有し得、上記変異体DELLAタンパク質は、アミノ酸番号46、490、280、268、271、277、231、481、282、277、227、485または237の1つまたは複数に変異、例えば、G46E、S490F、R268H、G271D、A277T、V231M、R481H、V282F、A277T、G227E、S485FおよびC237Yからなる群より選択される変異を有する。アミノ酸ナンバリングは、ジェンバンク受入番号AK372064またはAF035820(2013年2月4日時点でのバージョン)により入手できるDELLAタンパク質の配列に対して与えられる。
飲料
本発明の方法に従って水性抽出物を飲料へと処理することにより作製される飲料は、限定されないが、このセクションで記載の特性を含む、多くの有用な特性を有し得る。
本発明による飲料が可能な限りわずかのジアセチルを含むことは、通常望ましい。従って、飲料が、ラガービール中で異臭と見なされる閾値未満のレベルでジアセチルを含むことは、好ましいであろう。好ましくは、飲料は、多くても30ppbのジアセチル、より好ましくは多くても25ppbのジアセチル、さらにより好ましくは多くても20ppbのジアセチルを含む。これは、特に、飲料がビール、例えば、ラガービールである場合に当てはまる。
本発明による飲料は、例えば、本明細書に記載の水性抽出物であり得、これは、任意選択で発酵されている。従って、飲料は、上記水性抽出物または発酵水性抽出物および任意選択で、1種または複数の追加の化合物を含み得る、またはこれらからなり得る。上記追加の化合物は、例えば、本明細書の下記セクション「追加の化合物」に記載のいずれかの追加の化合物であり得る。
追加の化合物
本発明の方法は、1種または複数の追加の化合物を加えるステップを含み得る。上記追加の化合物は、例えば、風味化合物、保存剤、機能性成分、染料、甘味剤、pH調整剤または塩であり得る。pH調整剤は、例えば、緩衝剤またはリン酸などの酸であり得る。
機能性成分は、所与の機能を得るために添加される任意の成分であり得る。好ましくは、機能性成分は、飲料をより健康によいものにする。機能性成分の非限定例としては、ビタミンまたはミネラルが挙げられる。
保存剤は、任意の食品等級保存剤であり得、例えば、安息香酸、ソルビン酸、ソルビン酸塩(例えば、ソルビン酸カリウム)、亜硫酸塩および/またはその塩であり得る。
追加の化合物はまた、COであり得る。特に、COは炭酸飲料を得るために添加され得る。
本発明で使用される香味化合物は、任意の有用な香味化合物であり得る。香味化合物は、例えば、芳香剤、植物抽出物、植物濃縮物、植物部分およびハーブ浸剤からなる群より選択され得る。特に、風味化合物はホップであり得る。
項目
本発明は、下記の項目によりさらに説明され得る:
1.穀物の水性抽出物を製造するための方法であって、下記ステップ:
a)穀物粒を用意するステップ;
b)穀物粒を発芽のステップに供し、それにより発芽穀粒を得るステップ;
c)発芽穀粒を35~55℃の範囲の温度で熱処理のステップに供するステップ;
d)上記発芽穀粒を微粉化するステップであって、この間、上記発芽穀粒が少なくとも20%の含水量を有するが、ただし、上記穀物粒がステップb)とd)の間のどの時点でも20%未満の含水量を有しないことが前提である、ステップ;
e)上記粉砕発芽穀粒の水性抽出物を作製するステップ、
を含み、それにより穀物の水性抽出物を製造する、方法。
2.穀物の水性抽出物を製造する方法であって、下記ステップ:
a)穀物粒を用意するステップ;
c)穀物粒を発芽ステップに供し、それにより、発芽穀粒を得るステップ;
d)発芽穀粒を35~55℃の範囲の温度で熱処理に供するステップ;
e)上記発芽穀粒を微粉化し、それにより、粉砕された発芽穀粒を得るステップであって、この間、上記発芽穀粒が少なくとも20%の含水量を有するが、ただし、上記穀物粒がステップc)とe)の間どの時点でも20%未満の含水量を有しないことが前提である、ステップ;
f)上記粉砕発芽穀粒の水性抽出物を作製するステップ、
を含み、それにより穀物の水性抽出物を製造する、方法。
3.項目1に記載の方法であって、ステップb)が、長くても72時間の間実施される、方法。
4.項目1~3のいずれか1項に記載の方法であって、発芽のステップが、穀粒が少なくとも30%の含水量を有するまで水溶液中で上記穀粒をインキュベーションすることを含み、1時間当たり少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒を、上記水溶液中を通過させる、方法。
5.項目1~4のいずれか1項に記載の方法であって、発芽のステップが下記を含む方法:
i.上記穀粒を水溶液中で16~40時間の範囲にわたりインキュベーションするステップであって、1時間当たり少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒を上記水溶液中に通過させ、上記インキュベーション中に上記穀粒を上記水溶液中に浸漬する、ステップ;
ii.過剰水溶液を除去するステップ;および
iii.湿潤穀粒を空気中で、20~50時間の範囲にわたり、15~30℃の範囲の温度でインキュベーションするステップ。
6.項目1~5のいずれか1項に記載の方法であって、穀物が外皮を持つ穀物であり、上記外皮の少なくとも一部を除去する初期ステップを含む、方法。
7.項目1~6のいずれか1項に記載の方法であって、上記発芽穀粒をキルン乾燥するステップを含まない、方法。
8.穀物の水性抽出物を製造する方法であって、下記のステップを含む方法:
a)穀物粒を用意するステップであって、穀物が外皮を持つ穀物である、ステップ;
b)外皮を除去するために上記穀物粒を処理をするステップであって、上記処理が上記穀物粒の総重量の少なくとも2%の減少をもたらす、ステップ;
c)穀物粒を発芽ステップに供し、それにより発芽穀粒を得るステップであって、上記発芽ステップが、
i.上記穀粒を水溶液中で16~40時間の範囲にわたりインキュベーションするステップであって、1時間当たり、少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒を上記水溶液中に通過させ、上記インキュベーション中に上記穀粒を上記水溶液中に浸漬する、ステップ;
ii.過剰水溶液を除去するステップ;および
iii.湿潤穀粒を空気中で、18~50時間の範囲にわたり、15~30℃の範囲の温度でインキュベーションするステップ
を含む、ステップ;
d)上記発芽穀粒を微粉化し、それにより粉砕された発芽穀粒を得るステップであって、この間、上記発芽穀粒が少なくとも20%の含水量を有するが、ただし上記穀物粒がステップc)とd)の間のどの時点でも20%未満の含水量を有しないことが前提である、ステップ;
e)上記粉砕発芽穀粒の水性抽出物を作製し、それにより穀物の水性抽出物を製造するステップ。

9.項目8に記載の方法であって、発芽ステップ後および微粉化ステップ前に追加のステップを含み、上記追加のステップが、発芽穀粒を、35~55℃の範囲の温度で熱処理のステップに供することを含む、方法。
10.項目5~9のいずれか1項に記載の方法であって、湿潤穀粒を空気中でインキュベーションするステップが、1kgの乾燥穀物粒当たり85~95Lの大気/時間の範囲の流量で実施される、方法。
11.項目5~9のいずれか1項に記載の方法であって、湿潤穀粒を空気中でインキュベーションするステップが、1kgの乾燥穀物粒当たり17~21LのO/時間の範囲の流量で実施される、方法。
12.項目1~11のいずれか1項に記載の方法であって、熱処理が、40~50℃の範囲の温度で実施される、方法。
13.項目1~12のいずれか1項に記載の方法であって、熱処理の時間が、1~5時間の範囲で実施される、方法。
14.項目1~13のいずれか1項に記載の方法であって、温度が、例えば、冷却により制御される、方法。
15.項目1~14のいずれか1項に記載の方法であって、ステップd)が任意である、方法。
16.項目4~15のいずれか1項に記載の方法であって、上記穀粒が上記水溶液中で20~72時間の範囲にわたりインキュベーションされる、方法。
17.項目5~1616のいずれか1項に記載の方法であって、ステップi)が、上記水溶液中で、例えば、20~35時間などの16~40時間の範囲で、好ましくは20~30時間の範囲で、穀粒をインキュベーションすることを含む、方法。
18.項目55~17のいずれか1項に記載の方法であって、穀粒が発芽のステップi)の全体にわたり水溶液中に浸漬される、方法。
19.項目4、6および12~16のいずれか1項に記載の方法であって、穀粒が発芽の全ステップにわたり水溶液中に浸漬される、方法。
20.項目4~19のいずれか1項に記載の方法であって、穀粒が水溶液中に浸漬され、1時間当たり少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒が、20~72時間の範囲の時間にわたり上記水溶液中を通される、方法。
21.項目4~20のいずれか1項に記載の方法であって、穀粒が水溶液中に浸漬され、1時間当たり少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒が、20~35時間などの16~40時間の範囲で、好ましくは20~30時間の範囲の時間にわたり上記水溶液中を通される、方法。
22.項目5~21のいずれか1項に記載の方法であって、上記湿潤穀物粒の空気中でのインキュベーションのステップが、通気下で実施される、方法。
23.項目5~22のいずれか1項に記載の方法であって、上記湿潤穀物粒の空気中でのインキュベーションのステップの時間が、20~50時間の範囲で、より好ましくは20~35時間の範囲で、例えば、20~30時間の範囲である、方法。
24.項目5~23のいずれか1項に記載の方法であって、上記湿潤穀物粒の空気中でのインキュベーションのステップの温度が、20~30℃の範囲である、方法。
25.項目1~24のいずれか1項に記載の方法であって、全体発芽ステップが72時間を超えない、より好ましくは60時間を超えない、さらにより好ましくは54時間を超えない、方法。
26.項目1~25のいずれか1項に記載の方法であって、全体発芽ステップが、少なくとも46時間などの少なくとも44時間にわたり実施される、方法。
27.項目1~26のいずれか1項に記載の方法であって、全体発芽ステップが、44~72時間の範囲で実施される、方法。
28.項目1~27のいずれか1項に記載の方法であって、全体発芽ステップが、20~30℃などの15~30℃の範囲の温度で実施される、方法。
29.項目4~24のいずれか1項に記載の方法であって、上記水溶液が水である、方法。
30.項目4~26のいずれか1項に記載の方法であって、水溶液にジベレリン酸(GA)を添加することをさらに含む、方法。
31.項目30に記載の方法であって、上記GAが、少なくとも100nM、例えば、少なくとも1000nMの濃度で水溶液に添加される、方法。
32.項目4~31のいずれか1項に記載の方法であって、水溶液が、消泡剤をさらに含む、方法。
33.項目4~32のいずれか1項に記載の方法であって、1時間当たり、1kgの穀物粒乾燥重量当たり少なくとも3L、より好ましくは少なくとも4L、さらにより好ましくは少なくとも5L、またさらにより好ましくは少なくとも6LのOを上記水溶液中に通過させる、方法。
34.項目4~33のいずれか1項に記載の方法であって、1時間当たり、少なくとも20gのO/kg穀物粒、より好ましくは少なくとも30gのO/kg穀物粒、さらにより好ましくは少なくとも40gのO/kg穀物粒、例えば、40~80gの範囲のO/kg穀物粒などの40~100gの範囲のO/kg穀物粒、例えば、60gのO/kg穀物粒(乾燥物)を上記水溶液/穀物粒混合物中を通過させる、方法。
35.項目4~34のいずれか1項に記載の方法であって、上記Oが、ガス混合物内に含まれる、方法。
36.項目35に記載の方法であって、ガス混合物が大気である、方法。
37.項目4~36のいずれか1項に記載の方法であって、1kgの乾燥重量穀物粒当たり、1時間当たり、少なくとも10L、好ましくは少なくとも15L、より好ましくは少なくとも20L、さらにより好ましくは少なくとも25L、さらにより好ましくは少なくとも30Lの大気を上記水溶液中に通過させる、方法。
38.項目4~37のいずれか1項に記載の方法であって、水溶液中でのインキュベーションが、15~30℃の範囲の温度で、好ましくは約25℃の温度で実施される、方法。
39.項目4~38のいずれか1項に記載の方法であって、穀粒が、発芽ステップおよび熱処理ステップ中に同じ容器に保持される、方法。
40.項目4~39のいずれか1項に記載の方法であって、穀物粒が、上記水溶液中で、少なくとも37%などの少なくとも35%の含水量を有するまで、インキュベーションされる、方法。
41.項目1~40のいずれか1項に記載の方法であって、ステップa.で用意される穀粒が、抗菌薬で処理されている、方法。
42.項目40に記載の方法であって、抗菌薬が、過酸化水素などの過酸化物である、方法。
43.項目4~42のいずれか1項に記載の方法であって、細根除去のステップを含まない、方法。
44.項目1~43のいずれか1項に記載の方法であって、上記外皮の除去が、穀物粒の総重量の、3~6%の範囲の減少などの2.5~7.5%の範囲の減少をもたらす、方法。
45.項目1~44のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀物粒が、上記穀物粒の微粉化の時点で、少なくとも25%の、さらにより好ましくは少なくとも30%の、さらにより好ましくは少なくとも35%の含水量を有する、方法。
46.項目1~45のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀物粒が、上記穀物粒の発芽ステップの完了と微粉化の時間の間のどの時点でも、25%未満、さらにより好ましくは30%未満、さらにより好ましくは35%未満の含水量を有しない、方法。
47.項目1~46のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀粒の温度が、上記穀物粒の熱処理のステップの完了と微粉化の時間の間のどの時点でも、35℃を超える、方法。
48.項目1~47のいずれか1項に記載の方法であって、穀物が大麦である、方法。
49.項目48に記載の方法であって、大麦が、裸麦または薄い外皮を有する大麦変種である、方法。
50.項目1~48のいずれか1項に記載の方法であって、穀物が、外皮のない穀物、例えば、小麦または裸麦である、方法。
51.項目1~48のいずれか1項に記載の方法であって、穀物が、外皮を持つ穀物、例えば、皮麦である、方法。
52.項目1~48のいずれか1項に記載の方法であって、穀物が、下記の1つまたは複数を特徴とする大麦である、方法:
B.β-グルカンシンターゼをコードする遺伝子中に変異を有すること、
C.LOX-1をコードする遺伝子中に変異を有すること、
D.LOX-2をコードする遺伝子中に変異を有すること、
E.MMTをコードする遺伝子中に変異を有すること、および/または
F.DELLAをコードする遺伝子中に変異を有すること。
53.項目1~52のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀粒が、例えば、乾燥重量基準で少なくとも50U/gなどの少なくとも40U/g、好ましくは少なくとも60U/g穀物粒のα-アミラーゼ活性を有する、方法。
54.項目1~53のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀粒が、乾燥重量基準で少なくとも5mU/g、好ましくは少なくとも9U/g穀粒の限界デキストリナーゼ活性を有する、方法。
55.項目1~54のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀粒が、100gの発芽穀物粒(乾燥物)当たり、多くても4gの細根(乾燥物)を含む、方法。
56.項目1~55のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀粒が、100gの発芽穀物粒(乾燥物)当たり、多くても2gの細根(乾燥物)を含む、方法。
57.項目1~56のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀粒が、それらの微粉化ステップの直前で、多くても0.15μg/kg、好ましくは多くても0.12μg/kg、例えば、多くても0.10μg/kg穀物粒(乾燥物)のニトロソアミン含量を有する、方法。
58.項目1~57のいずれか1項に記載の方法であって、ステップCが、上記粉砕発芽穀粒を、マッシング溶液を用いて50~80℃の範囲の温度でマッシングすることを含む、方法。
59.項目58に記載の方法であって、上記マッシングが、1種または複数の添加された加水分解酵素の存在下で実施される、方法。
60.項目59に記載の方法であって、少なくとも1種の加水分解酵素が、限定されないが、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、限界デキストリナーゼ、プルラナーゼ、β-グルカナーゼ、キシラナーゼ、グルコアミラーゼおよびプロテアーゼを含む細胞壁およびデンプン分解酵素からなる群より選択される、方法。
61.項目58~60のいずれか1項に記載の方法であって、上記マッシングが、少なくとも1種のβ-グルカナーゼおよび少なくとも1種のキシラナーゼの存在下で実施される、方法。
62.項目58~61のいずれか1項に記載の方法であって、1gの発芽穀物粒(乾燥重量)当たり、多くても700U、好ましくは多くても350Uの外来性のグルコアミラーゼおよび/またはα-アミラーゼが上記マッシング中に添加される、方法。
63.項目58~62のいずれか1項に記載の方法であって、1gの発芽穀物粒(乾燥重量)当たり、多くても100PUNの外来性のプルラナーゼが上記マッシング中に添加される、方法。
64.項目58または59および項目62または63のいずれか1項に記載の方法であって、穀物が、穀粒中の低β-グルカンレベルを特徴とし、マッシング中にβ-グルカナーゼが添加されない、方法。
65.項目1~64のいずれか1項に記載の方法であって、上記水性抽出物を濾過するステップをさらに含む、方法。
66.項目1~65のいずれか1項に記載の方法であって、水性抽出物が、少なくとも60%などの少なくとも50%の濾過性を有する、方法。
67.項目1~66のいずれか1項に記載の方法であって、水性抽出物が、多くても200mg/Lのβ-グルカンを含む、方法。
68.項目1~67のいずれか1項に記載の方法であって、水性抽出物が、1L当たり、少なくとも15gなどの少なくとも10gのマルトースを含む、方法。
69.項目1~68のいずれか1項に記載の方法であって、水性抽出物が、150~400mg/Lの範囲でFANを含む、方法。
70.項目1~69のいずれか1項に記載の方法であって、水性抽出物が、少なくとも60mg/L、好ましくは少なくとも65mg/Lのバリンを含む、方法。
71.項目1~70のいずれか1項に記載の方法であって、キルン乾燥のステップを含まない、方法。
72.項目1~71のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀粒をキルン乾燥するステップを含まない、方法。
73.項目1~72のいずれか1項に記載の方法であって、細根除去のステップを含まない、方法。
74.項目1~73のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀粒が、100gの発芽穀物粒(乾燥物)当たり、多くても4gの細根(乾燥物)を含む、方法。
75.項目1~74のいずれか1項に記載の方法であって、発芽穀粒が、100gの発芽穀物粒(乾燥物)当たり、多くても2gの細根(乾燥物)を含む、方法。
76.飲料を製造するための方法であって、次記のステップを含む方法:
i.項目1~75のいずれか1項に記載の方法により水性抽出物を作製するステップ;
ii.上記抽出物を飲料に処理するステップ。
77.項目72に記載の方法であって、ステップii.が次記ステップを含む方法:
a)上記水性抽出物を、任意選択で、ホップまたはホップ抽出物の存在下で加熱するステップ;
b)水性抽出物を冷却するステップ;
c)上記水性抽出物を酵母で発酵させ、それにより発酵飲料を製造するステップ。
78.項目1~77のいずれか1項に記載の方法であって、ステップa.またはステップb.の後で実施される沈殿のステップをさらに含む、方法。
79.項目1~78のいずれか1項に記載の方法であって、方法全体が1つの場所で実施される、方法。
80.項目72~79のいずれか1項に記載の方法であって、飲料が、多くても20ppbなどの多くても25ppbのジアセチルを含む、方法。
81.項目76~80のいずれか1項に記載の方法により製造された飲料。
82.項目1~75のいずれか1項に記載の方法により製造された水性穀物抽出物。
83.穀物の水性抽出物を製造するための方法であって、次記のステップ:
a)穀物粒を用意するステップ;
c)穀物粒を発芽ステップに供し、それにより発芽穀粒を得るステップ;
d)発芽穀粒を35~55℃の範囲の温度で熱処理に供するステップ;
e)上記発芽穀粒を微粉化するステップであって、この間、上記発芽穀粒が少なくとも20%の含水量を有するが、ただし上記穀物粒がステップb)とd)の間でどの時点でも20%未満の含水量を有しないことが前提である、ステップ;
f)上記粉砕発芽穀粒の水性抽出物を作製するステップ、
を含み、それにより穀物の水性抽出物を製造する、方法。
78.穀物の水性抽出物を製造するための方法であって、次記のステップ:
a)穀物粒を用意するステップであって、穀物が外皮を持つ穀物である、ステップ;
b)上記穀物粒を外皮を除去する処理をするステップであって、上記処理が上記穀物粒の総重量の少なくとも2%の減少をもたらす、ステップ;
c)穀物粒を発芽ステップに供し、それにより発芽穀粒を得るステップであって、上記発芽ステップが、
i.上記穀粒を水溶液中で16~40時間の範囲にわたりインキュベーションするステップであって、1時間当たり、少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒を上記水溶液中に通過させ、上記インキュベーション中に上記穀粒を上記水溶液中に浸漬する、ステップ;
ii.過剰水溶液を除去するステップ;および
iii.湿潤穀粒を空気中で、18~50時間の範囲にわたり、15~30℃の範囲の温度でインキュベーションするステップ
を含む、ステップ;
e)上記発芽穀粒を微粉化するステップであって、この間、上記発芽穀粒が少なくとも20%の含水量を有するが、ただし上記穀物粒がステップc)とd)の間でどの時点でも20%未満の含水量を有しないことが前提である、ステップ;
f)上記粉砕発芽穀粒の水性抽出物を作製するステップ、
を含み、それにより穀物の水性抽出物を製造する、方法。
実施例
以下の実施例により、本発明がさらに説明される。しかし、これらは、本発明を限定するものと考えられるべきではない。本明細書の以下の実施例で使用した大麦試料は、全て次のように分析された:
-発芽試験
実施例で使用した全ての大麦試料を、パラメーター:発芽インデックス、発芽エネルギーおよび感水性について評価した。データは、Analytica-EBC Method(EBC分析法)3.6.2大麦の発芽エネルギー(BRF法)に準拠し、4mLの発芽試験に対しては100個の大麦粒の試料サイズに基づき、および8mLの発芽試験に対しては100個の大麦粒の試料サイズに基づいた。
-大麦試料の特性評価
・1000個の穀粒重量をData Count JR測定器を用いて自動化計数により決定し、サイズ分画には、4種のクラスの異なる穀粒サイズ(X):X>2.8mm;2.8<X>2.5mm;2.5<X>2.2mm;X<2.2mmに調節したPfeuffer Sortimat K3を用いた。サイズ分画データを、100gの穀粒試料をベースに計算した。
・大麦試料のタンパク質、水およびデンプン含量を、Foss 1241 NIT測定器を用い、大麦較正(FOSS BY213271;Foss,DKにより提供された)を用いて測定した。水溶液中でのインキュベーションの前に(例えば、24時間前に)、100g穀粒試料の含水量を、Foss 1241 NIT測定器を用い、大麦較正Foss BY303300(Foss,Denmark)を使って再測定した。
・穀粒の含水量を、最初に対応する大麦試料の重量を測定し、続いて上記試料を乾燥し、乾燥試料の重量を測定することにより、決定した。湿潤および乾燥料の重量の差異を、水とみなし、含水量は、試料(湿潤試料)の総重量で除算した水の重量に等しい。
-発芽穀粒の分析
発芽穀粒試料を次のパラメーター(w/w)について試験した:含水量、タンパク質含量、可溶性タンパク質および麦芽試料の抽出物。値を、Foss(DK 較正MA000010)により提供されたデータに従って較正したFoss 1241 NIT測定器を用いて測定した。
実施例1:浸麦および発芽のための一般的方法
乾燥大麦粒をプレキシガラスシリンダ中の水溶液中に置き、穀粒カラムの真下から大気を用いて常に通気した。使用した装置の概略図を本明細書の図1および2に提供する。空気流を、SmartTrak(登録商標)50質量流量計およびコントローラー(Sierra,CA,USA)を用いて設定し、温度を、Testo735精密温度計(Testo,Germany)を用いて測定した。
浸麦水の空気流、温度、pH、導電率、レドックス電位およびO含量を測定するためのセンサーを、このシステムに組み込んだ。センサーは、工程をリアルタイムでモニターすることを可能にするのみでなく、工程中の浸麦および発芽条件を調節することも可能にする;このレベルの制御は、現在の製麦および醸造プロトコルによっては可能でない。
GAは、発芽大麦中のアリューロン層を活性化する植物ホルモンである。多くの麦芽製造業者は、製麦工程中にGAを低濃度で添加する。ここでは、工程の開始時に、種々の濃度のGAを穀粒のインキュベーション用の水に補充した。GA溶液を、無水エタノール中でジベレリン酸(G7645、Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)から作製し、水に加えた。
一般に、大麦を、異なる浸漬方式に従って浸麦および発芽した:
WA=水/空気:
タンク中で、GAおよび消泡剤を含有する水道水中の25℃でのインキュベーション、同時に、空気を、全インキュベーション中、タンクの底部から水を通して導入する。
A=エアレスト
湿潤穀物粒のタンク中でのインキュベーション。全インキュベーション中、空気をタンクの底部から湿潤穀物粒を通して導入する。
実施例2:酵素活性を決定するための方法
発芽中に、大麦粒は、α-アミラーゼ、限界デキストリナーゼおよび(1,3;1,4)-β-グルカナーゼなどの一連の加水分解酵素を分泌し始める。通常、これらの酵素活性は、加水分解酵素の活性のための共通マーカーとして有用なα-アミラーゼ、β-アミラーゼおよび/または限界デキストリナーゼの活性と、時間的に協調して検出される。従って、α-アミラーゼおよび限界デキストリナーゼの活性を、穀粒中の加水分解酵素活性を測定することにより監視し、本発明の方法により実施された発芽後に決定した。
試料の作製
酵素活性分析の前に、発芽穀粒試料をタングステンカーバイド粉砕リング(Foss10004463)、ニッケルメッキインペラ(Foss10002666)および1mmの出口スクリーン(Foss10001989)を備えた標準的Foss Cyclotechミル(Foss,Denmark)を用いて粉砕した。発芽大麦粒の酵素活性の全ての測定を、試料の粉砕の48時間後以内に行った。
α-アミラーゼ活性
発芽穀粒のα-アミラーゼ活性は、上記のセクション「試料作製」で記載のように、粉末に基づいた。α-アミラーゼ活性の決定のためのアッセイは、標準的実験装置を用いるMegazymeのCeralpha kitを利用した。アッセイを、α-アミラーゼ活性の計算を含む、製造業者のプロトコル(K-CERA 01/12)に従って実施した。
β-アミラーゼ活性
発芽穀粒のβ-アミラーゼ活性を測定する場合、粉末を、上記のセクション「試料作製」で記載のように作製した。β-アミラーゼ活性アッセイは、MegazymeのBetamyl kit(K-BETA3)と共に提供される推奨条件に従った。
限界デキストリナーゼ活性
発芽穀粒の限界デキストリナーゼ活性を測定するために、粉末を、上記のセクション「試料作製」で記載のように作製した。限界デキストリナーゼ活性を、Megazymeからの、Limit Dextrizymeキット、T-LDZ1000を用いて測定した。活性測定を含むアッセイを、製造業者のプロトコル(T-LDZ1000 07/9)に従って実施した。
実施例3:浸麦および発芽手順中の穀粒発育
実施例1に記載の一般的手順に従って裸麦系統および皮麦系統をプレキシガラスシリンダ中でインキュベーションした。インキュベーション手順を、15℃および25℃で実施した。穀粒を、種々の時間にわたり、種々のレベルの大気で真下から通気し、その間に穀粒含水量が上昇し、発芽が開始される。穀粒発育をインキュベーションの24時間および48時間後に分析し、穀粒中の水吸収を、%(w/w)として含水量を測定することにより明らかにした。
詳細には、裸麦系統の穀粒をプレキシグラスシリンダに移し、WA方式を用いてインキュベーションした。穀粒を、最初に1%P3-hypochloran(Ecolab,Switzerland)中で3時間インキュベーションし、続いて、1000nMのジベレリン酸(GA)および0.01%のFoamazol FCD511(AB Vickers,Burton on Trent,UK)に調節された水中で45時間インキュベーションした。インキュベーションは、15または25℃であり、穀粒を、30、60、90または120L/時間の流量で、大気により通気した。試料を24時間および48時間後に採取した。結果を、図3にまとめる。図に示すように、空気の導入は大麦の発芽を強力に促進した。非通気試料(0L/時間)と比較すると、空気流に晒された全ての試料は、穀粒発育の顕著な差異により特徴付けられた。特に、穀粒は、15℃、30L/時間で24時間後であっても、1mmを超える目視可能な若葉を有した。空気流の増大は、15℃で24時間後に追加の若葉の発生をもたらした。25℃では、いくつかの穀粒は、目視可能な細根をさらに発生させた(69、90または120L/時間)。インキュベーション期間の増大は、発育の進行をもたらし、空気流に晒された全ての穀粒は、48時間後に、発芽および目視可能な細根により特徴付けられた。インキュベーション温度の増大と共に、若葉および細根の発育が高められた。90L/時間の空気流は、51gのO/時間に相当する。1LのHO当たりのOとして計算すると、インキュベーション中に穀物粒が水を吸収するので、この量は、時間と共に変化する。通常、90L/時間の空気流は、1時間当たり、1LのHO当たり、64~121gのOに相当する。
皮麦系統の穀粒を用いて同じ実験を実施し、結果を図4にまとめる。皮麦系統の穀粒はまた、25℃、30L/時間の空気流下で24時間のインキュベーション後に、1mmを超える目視可能な若葉を有した。インキュベーション期間の増大は、発育の進行をもたらし、60L/時間の空気流に晒された全ての穀粒は、48時間後に、発芽および目視可能な細根により特徴付けられた。
穀粒中の水吸収の結果を、下表1(裸麦)および下表2(皮麦)にまとめる。含水量は、空気流が少なくとも30L/時間の場合、空気流に大きく依存しないように見える。対照的に、含水量は、15℃よりも25℃で24時間後に、遙かに高かった。
Figure 2023139255000001

Figure 2023139255000002
従って、本発明の結果は、25℃の温度が、穀粒による初期の水吸収のためにより好ましく、従って、発芽の全体速度にも好ましいであろうことを示す。
実施例4:α-アミラーゼ、β-アミラーゼおよび遊離限界デキストリナーゼに与えるエアレスト温度の効果
皮麦をプレキシガラスシリンダ中(WA)で24時間インキュベーションし、続いて、種々の温度範囲で24時間エアレスト(A)により処理した。その後、α-アミラーゼ、β-アミラーゼおよび遊離限界デキストリナーゼ活性を、実施例2に記載のように分析した。
通気を伴う水中でのインキュベーションは、本明細書では「WA」とも呼ばれ、一方、通気を伴う空気中でのインキュベーションは「A」と呼ばれ得る。
最初の実験では、皮麦(Hulled03)を、0.01%H、1000nMのGAおよび0.01%の消泡剤Sigma204を含む水道水中に24時間(WA)浸麦した。WAインキュベーション中、空気を、1kg乾燥大麦粒当たり90L/時間にて25℃でバブリングした。水中の浸漬に続き、種々の温度;a)25℃で18時間通気(90L/時間)、続いて40℃、50℃または60℃で6時間通気(90L/時間)、またはb)40℃、50℃または60℃で24時間通気(90L/時間)、にてエアレスト(A)を行った(図5)。エアレスト中の通気は、1時間当たり、1kgの乾燥大麦粒当たり90Lの空気を大麦粒中を通すことにより実施した。
第2の実験を、水浸漬(WA)のための同じ条件を用いて実施し、続いて25℃での通気(90L/時間)により24時間のエアレスト(A)を実施した。その後、エアレスト時間を、40℃、50℃または60℃で、c)追加の2時間またはd)4時間、延長した(図6)。
a)25℃で18時間に続く、a)40℃で6時間またはb)40℃で24時間、のエアレスト方式は、25℃で24時間に比べて悪影響を与えた(図5および7)。対照的に、25℃で24時間後に温度をc)2時間またはd)4時間、40または50℃に上昇させることは、α-アミラーゼによい効果を与え、限界デキストリナーゼに対してはより少ない程度によい効果を与えた(図6)。従って、高い加水分解酵素活性を得るためには、発芽中の最適温度(25℃または30℃))での少なくとも24時間の初期エアレストに続く、温度の上昇(最適には、4時間40℃に上昇させる)が好ましい。この処理はここで、全体α-アミラーゼ活性を高め、より少ない程度に限界デキストリナーゼ活性を高めることが示された。
実施例5:発芽の前の剥皮の効果
発芽前の剥皮の効果を、一連の10種の異なる皮麦系統でのα-アミラーゼ、β-アミラーゼおよび遊離限界デキストリナーゼ活性に基づき分析した。a)剥皮、24時間WAインキュベーションおよび24時間エアレスト(A)を含む処理を、b)剥皮なしの48時間WAインキュベーション、に対し比較した。
処理1(剥皮を含む):
外皮を部分的に除去するために、皮麦系統(1~10)を1分間の機械的なサンドペーパー処理により剥皮した。この処理は、皮麦系統に応じて3~6%の減量を生じた。剥皮大麦をその後、25℃で24時間、0.01%のH、0.01%の消泡剤Sigma204、1000nMのGA含有水中に90L/時間通気してインキュベーション(WA)し、続いて、25℃で90L/時間で24時間の通気(A)を実施した。
処理2(剥皮なし):
皮麦(1~10)を、90L/時間で通気される25℃で0.01%H、1000nMのGAおよび0.01%の消泡剤を含む水中にて48時間インキュベーションした(WA)。
結果は、初期剥皮を含む処理1が、処理2に比べて、α-アミラーゼおよび限界デキストリナーゼ活性を10倍高め、より少ない程度にβ-アミラーゼ活性を高めることを示す(図7)。
実施例6:細根形成の評価
発芽大麦を、実施例1に記載の一般法に従って作製した。より具体的には、品種Hull-less01およびhulled02の大麦粒を0.1%Hypochloran洗浄剤で1時間消毒し、その後、100nMのGAおよび0.01%消泡剤含有水道水中での48時間のインキュベーションにより浸麦および発芽させた。インキュベーションを25℃で行い、90L/時間の空気を、全インキュベーション中、タンクの底部から水を通して導入した。発芽大麦を凍結乾燥し、秤量した。形成された細根を古いMunich装置で取り除き、発芽大麦を再度秤量した。細根の除去前後の質量の差異を細根の質量と見なした。3種の異なる試料の重量を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2023139255000003
第2の実験では、Hull-less01およびhulled02の同じバッチ由来の大麦粒を、標準的方法により96時間浸麦および発芽させた。発芽大麦を凍結乾燥し、秤量し、細根を、古いMunich装置を用いて取り除いた。細根の除去後に、大麦を再度秤量し、細根除去前後の質量の差異を細根の質量と見なした。結果を表4に示す。
Figure 2023139255000004
表5は、本発明の方法(WA 48時間)により発芽させた大麦の細根および従来の方法(製麦96時間)により浸麦した大麦中の細根の質量(g)の間の比較を示す。本発明の方法により発芽させた大麦が細根形成を顕著に低減させたことが明らかである。図8は、細根除去後の重量減%を示す。
Figure 2023139255000005
実施例7:NDMA含量の評価
ニトロソアミンNDMAは、特に麦芽の焙燥工程中、細根中に形成される(Wainwright(1986)J Inst Brew 92 73-80)。実施例6で上記したように、本発明の方法により作製された発芽穀物粒の利点は、普通の緑麦芽に比べてより少ない根を含むことである。最近の麦芽中のNDMA含量は少ないが、しかし、このレベルをさらに低減することは有利であり得る。
NDMA含量を、大麦(Barley-1)、本発明の方法に従って作製された発芽大麦粒(この実験では「Malt 1a」と表記)および3種の工業的に製造された麦芽(Malt-1b、Malt2およびmalt3)中で分析した。工業的に製造された麦芽は全て、標準的な方法により細根を除去する処理がなされた。barley-1、Malt-1aおよびMalt-1bは全て、同じバッチの皮麦変種(Hulled02)から作製され、一方、2種の他の麦芽試料Malt-2およびMalt-3は両方とも、大麦の他のバッチ由来であった。
Malt-1aを、実施例1に記載の一般法に従って作製した。詳細には、大麦粒を0.1%のHypochloran洗浄剤で1時間殺菌した後、1000nMのGAおよび0.01%の消泡剤を含有する水道水中で48時間インキュベーション(WA)することにより浸麦および発芽させた。インキュベーションを25℃で行い、90L/時間の空気を、全インキュベーション中、タンクの底部から水を通して導入した。
発芽大麦を凍結乾燥した後、NDMA含量をGC-MSで分析した。結果を、図9に示す。分析は、標準的製造法が除稈工程に供された場合でも、焙燥工程を含む標準的製麦により製造された麦芽に比べて、より少ないNDMAがMalt-1a中に存在することを明確に示した。
実施例8:マッシング
裸麦粒を、種々の流量の空気(0、45または90L/時間)を用いて、本明細書の実施例7で上記したように発芽させた。2日間の連続的な浸麦および発芽後に、液相を穀粒から抜き取り、穀粒を実験室規模のホモジナイザー(Omega Juicer 8226,Omega,USA)中で湿式粉砕した。粉砕穀粒の水中への抽出を、図10に概要を示したマッシングスケジュールにより実施した。この工程はまた、「マッシング」とも呼ばれ得る。マッシング中に、糖化も一般的に起こる。マッシング中に、CaClおよびHPOが通常、水に添加される。
工業的マッシングの工程中に、外来性の酵素調製物が添加されて、後で発酵中に酵母の増殖を支援する発酵性糖類およびアミノ酸への部分的に分解したデンプン、貯蔵タンパク質および細胞壁多糖の変換を継続し得る。Ultraflo Max醸造酵素混合物(Novozymes,Denmark)の存在下または非存在下でのマッシング特性を比較した。Ultraflo Maxは、β-グルカナーゼおよびキシラナーゼ活性を含む酵素混合物である。マッシング後、抽出物を、標準的マッシュフィルターを用いて濾過した。
外来性の酵素混合物の有効性を、マッシング工程後に残ったマッシュ混合物の濾過性を測定することにより試験した。濾過性を、MN614 1/4 Φ320mm REF527032(Macherey Nagel Duren Germany)を備えた、140mmのTOP ID濾過用漏斗(Urbanti Pequannock,N.J.USA)を用いて測定した。試料の重量を、標準的天秤(MPB1502 L,Mettler Toledo,Switzerland)を用いて記録した。濾過性を、予め、100gの粉砕した発芽大麦を補充された400mLのマッシング溶液を含むマッシュ混合物の60分間の濾過後に得られた液体の総量として決定した。
実験結果は、図11にまとめられ、インキュベーション中の増大された空気流が、麦汁の濾過性を高めることを示す。
実施例9:麦汁
麦汁を、実施例7に記載のように作製した発芽大麦粒を用いて、実施例8の実験の詳細記述に従って作製した。発芽大麦粒を、Ultraflo Max酵素混合物(Novozyme,Denmark)の存在下または非存在下のいずれかで、実施例8に記載のように湿式粉砕し、マッシングした。
発酵性糖類(フルクトース、スクロース、グルコース、マルトースおよびマルトトリオース)のレベルを次記の方法で測定した。麦汁を煮沸後、ミリQ水で1:2000に希釈し、その後、0.2μmのナイロン膜フィルター(Titan3 30 mm,Thermo Scientific,CA,USA)を通して濾過した。10μLの分割量を最初にCarboPac SA10-4μmカラムにアプライし、その後、CarboPac SA10-4μm Guard Column(4x50mm)を備えたDionex ICS 5000+ Reagent-Free HPLC Systemで分析した。分離した分子の溶出を、無勾配の25mM KOHで20分間実施した。ベースライン減算後に、HPLCグレード純粋炭水化物[d-(+)-グルコース、d-フルクトース、d-(+)-マルトース、マルトトリオース]を参照基準として採用し、炭水化物をピーク面積積分により定量した。
実験結果は、図12に示され、インキュベーション中に増大された空気流が、発酵性糖類の量を高めることを示す。
実施例10:小規模醸造
発酵
実施例8に記載のように作製した麦汁を、ホップまたはホップ抽出物の存在下で煮沸し、発酵工程を、抽出物と適切な醸造酵母菌株の従来法の接種により開始する。発酵、ビール濾過および瓶詰めを、従来のプロトコルに従って実施する。
小規模醸造
実施例は、本明細書記載の方法により処理した2つの品種の大麦から作製したビールを、商業的に入手できる醸造酵素混合物で処理した非製麦大麦から作製したビールと比較する。麦汁および最終ビールを分析し、可能な場合には、市販の参照ラガービール(「Reference」と表記)と比較した。参照ラガービールのデータは、他の入手源から別個に取得した。
材料
別に定める場合を除き、材料は、受け入れたまま使用した。
Figure 2023139255000006
粉砕
Figure 2023139255000007
醸造
醸造を、標準条件下で1:4の穀物粉/水比率を用いて実施した。
発芽大麦、非処理材料および/または麦芽を、示した酵素の存在下で2段階糖化の標準的マッシングプログラムを用いてマッシングした。
Figure 2023139255000008
Ultraflo(登録商標)Max、Attenuzyme(登録商標)Flex、Attenuzyme(登録商標)CoreおよびOndeaPro(登録商標)は、Novozyme,Denmarkから入手できる。製造業者によると:
・Ultraflo(登録商標)Maxは、β-グルカナーゼ(700EGU/g)およびキシラナーゼ(250FXU/g)を含む。
・Attenuzyme(登録商標)Flexは、グルコアミラーゼ(400AGU/g)およびプルラナーゼ(80PUN/g)を含む(製造業者の製品シートによる)。
・Attenuzyme(登録商標)Coreは、グルコアミラーゼ(1600AGU/g)を含む。
・OndeaPro(登録商標)は、β-グルカナーゼ、キシラナーゼ、α-アミラーゼ、プルラナーゼ(637PUN/g)、プロテアーゼおよびリパーゼを含む。
Attenuzyme(登録商標)Flexの活性を実施例2に記載のように測定する際に、Attenuzyme(登録商標)Flexの量は、1gの酵素溶液当たり、16243mUの大麦限界デキストリナーゼ活性に相当して使用されたことが明らかになった。さらに、グルコアミラーゼおよびα-アミラーゼの合わせた活性は、1gの酵素溶液当たり、628,863Uであることが明らかになった。
低温麦汁を、標準的麦汁濾過および煮沸の開始時に加えたホップとの麦汁の煮沸後に集めた。
原麦汁濃度を水道水で調節して、煮沸および蒸発後に11.5の最終プラトー(%P単位)を達成し、麦汁の色を調節して、参照ビールの色に類似の色を得た。
発酵
・Brewers Clarex(登録商標)(DSMから入手可能)を0.1g/kgDMで低温麦汁に加えた。
・麦汁に8E6細胞/mlのラガー酵母(ビール酵母)を投入した
・投入麦汁に空気を30分間投入した
・15℃の無圧発酵タンク中で発酵収量まで発酵を行った
・最終発酵ビールを、タンクに移すまで4℃で保持した
タンクへの移送
・5E5細胞/ml未満を有する懸濁液状のビールをタンクに移送した
・充填の前と後で、タンクをCOで0.5バールにフラッシュした
・COを0.5バールの超過気圧まで加え、ビールを濾過まで4℃で保持した
濾過
・ビールを3層のデプスフィルターシートを通して濾過した
・濾過後、1.2バールのCO圧力をビールに印加した。
・ビールを、梱包まで4℃で保持した
梱包
ビールを33clのボトルに詰め、最終検査および官能検査のために4℃で保持した。
分析結果
発酵前の麦汁中の糖類
総発酵性糖類の濃度を基本的に実施例9に記載のように測定し、結果を表6に示す。グルコースレベルは、非製麦大麦から作製した醸造酒(試験3および4)に比べて、本発明の方法により作製した両方の醸造酒(試験1および2)で顕著により高い。
Figure 2023139255000009
遊離アミノ態窒素およびβ-グルカン
発酵前の麦汁ならびに最終ビール中の麦汁中の遊離アミノ態窒素(FAN)の濃度を、ThermoFisher,Gallary BeermasterFAN用標準的プロトコル、比色分析法に従って決定した。麦汁中の遊離アミノ態窒素(FAN)の典型的な値は、200mg/Lである。FANは、発酵中の良好な酵母生存率のために重要である。一般に、良好な酵母生存率を得るのに十分に高い、FANレベルが望ましい。発酵前の麦汁中のFANの結果を表7aに、ビール中の値を表7bに示す。
β-グルカンは通常、従来の製麦中に分解される。高すぎるレベルのβ-グルカンは望ましくない。理由は、それが問題のある濾過をもたらし得るためである。発酵前の麦汁中ならびにビール中のβ-グルカンのレベルを、Thermo Scientificの「Beta-Glucan(高MW)」キットを用い、製造業者の説明書に従って測定し、結果を表7a(発酵前の麦汁)および表7b(ビール)に示す。
Figure 2023139255000010

Figure 2023139255000011
発酵前の麦汁中のアミノ酸
発酵前の麦汁中の全ての標準的アミノ酸の濃度を、Waters AccQ・Tag Ultraキットを用い、そこに記載の手順に従って測定した。発酵前の麦汁中のアミノ酸の結果を表8に示す。
特に、発酵前のバリンの濃度が重要である。麦汁中にバリンがより多く存在すると、発酵中の「望ましくないジアセチル」形成の可能性がより低くなり、それにより、DA休止期間がより長くなる。バリン濃度は、試験3と比較して、本発明により作製した麦汁中で、5倍(試験1)および2倍(試験2)高い。
Figure 2023139255000012
醸造および発酵のキーとなる数値
種々の醸造および発酵のキーとなる数値を決定し、参照と比較した。結果を表9に示す。本発明の方法により作製されたビールが顕著に低いジアセチルレベルを有することは注目すべきである。ジアセチルレベルが可能な限り低いことは一般に好ましい。
Figure 2023139255000013
官能パネル評価
この実施例で記載のように作製した全てのビールを、官能パネルによる評価に供した。それら全てについて総香味スコアは許容可能であった。異なるビール間での1つの差異は、試験3由来のビールが、香味「セッケン臭、脂肪臭、ジアセチル臭、オイル様酸敗臭」についてスコア「著しく」を有し、一方、試験2(本発明により作製)由来のビールはこれらの香味について、単にスコア「わずかに」を有したことであった。
要約
将来の水およびエネルギーの欠乏の課題は、社会的に、経済的におよび環境的に責任を負う形で対処されなければならない。この点で、本発明は、水およびエネルギー使用を減らす観点からビール製造の長期持続可能性に寄与する。従来のキルン乾燥工程の省略により、浸麦、発芽およびエアレストの醸造工程への直接統合と組み合わせて、本発明の方法の適用は、ビール製造の入力および操業コストを大きく低減させる。
本発明は、下記を含む多くの方法で、入力コストを低下させることならびに製麦および醸造産業に対する環境的圧力を低下させることに寄与する:
-現在は完了まで数日を要する浸麦および発芽工程を遙かに早く完結し得る
-浸麦および発芽工程を、単一の場所で単一の容器で実施し得る
-従来の製麦工程の第2の浸麦ステップを省略し得る
-この工程は、水消費を、例えば、最大40%低減し得る
-麦芽をキルン乾燥するための高価な加熱コストを省き得る
-麦芽製造所から醸造所に麦芽を移すための高価な輸送コストを省き得る
-本発明の方法を実施するために必要な装置およびプラントは、醸造所の既存の装置と適合性が有り、従って、大きな新規設備投資を必要としないであろう。
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Claims (19)

  1. 穀物の水性抽出物を製造するための方法であって、
    a)穀物粒を用意するステップ;
    c)前記穀物粒を発芽のステップに供しそれにより発芽した穀粒を得るステップ;
    d)前記発芽した穀粒を35~55℃の範囲の温度で熱処理のステップに供するステップ;
    e)前記発芽した穀粒を微粉化し、それにより粉砕された発芽した穀粒を得るステップであって、この間に前記発芽した穀粒が少なくとも20%の含水量を有し、ただし前記穀物粒がステップc)とe)の間のどの時点でも20%未満の含水量を有しないことが前提である、ステップ;
    f)前記粉砕された発芽した穀粒の水性抽出物を作製するステップ、
    を含み、それにより前記穀物の水性抽出物を製造する、方法。
  2. 前記発芽のステップが、前記穀粒が少なくとも30%の含水量を有するまで水溶液中で前記穀粒をインキュベーションすることを含み、少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒が、1時間当たり前記水溶液中を通過される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記発芽のステップが、
    i.16~40時間の範囲にわたり水溶液中で前記穀粒をインキュベーションするステップであって、少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒が、1時間当たり前記水溶液中を通過され、かつ前記穀粒が、前記インキュベーション中に前記水溶液中に浸漬される、ステップ;
    ii.過剰な水溶液を除去するステップ;および
    iii.15~30℃の範囲の温度で20~50時間の範囲にわたり空気中で湿潤穀粒をインキュベーションするステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 穀物の水性抽出物を製造するための方法であって、
    a)穀物粒を用意するステップであって、前記穀物が、外皮を持つ穀物である、ステップ;
    b)外皮を除去するために前記穀物粒を処理するステップであって、前記処理が、前記穀物粒の総重量の少なくとも2%の減少をもたらす、ステップ;
    c)前記穀物粒を発芽のステップに供しそれにより発芽した穀粒を得るステップであって、前記発芽のステップが、
    i.16~40時間の範囲にわたり水溶液中で前記穀粒をインキュベーションするステップであって、少なくとも2LのO/kg乾燥重量穀物粒が、1時間当たり前記水溶液中を通過され、かつ前記穀粒が、前記インキュベーション中に前記水溶液中に浸漬される、ステップ;
    ii.過剰水溶液を除去するステップ;および
    iii.15~30℃の範囲の温度で18~50時間の範囲にわたり空気中で湿潤穀粒をインキュベーションするステップ
    を含む、ステップ;
    d)前記発芽した穀粒を微粉化し、それにより粉砕された発芽した穀粒を得るステップであって、この間に前記発芽した穀粒が少なくとも20%の含水量を有し、ただし前記穀物粒がステップc)とd)の間のどの時点でも20%未満の含水量を有しないことが前提である、ステップ;および
    e)前記粉砕された発芽した穀粒の水性抽出物を作製するステップ、
    を含み、それにより穀物の水性抽出物を製造する、方法。
  5. 前記発芽ステップの後でかつ前記微粉化ステップの前に追加のステップを含み、前記追加のステップが、35~55℃の範囲の温度で熱処理のステップに前記発芽した穀粒を供することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記空気中で湿潤穀粒をインキュベーションするステップが、1kgの乾燥穀物粒当たり85~95Lの大気/時間の範囲の流量で実施される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記空気中で湿潤穀粒をインキュベーションするステップが、1kgの乾燥穀物粒当たり17~21LのO/時間の範囲の流量で実施される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記空気中で湿潤穀物粒をインキュベーションするステップの時間が、20~30時間の範囲である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記熱処理の時間が、1~5時間の範囲である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記発芽の全体ステップ(ステップc.)が、44~72時間の範囲にわたり実施される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記発芽のステップが、15~30℃の範囲の温度で実施される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記外皮の除去が、前記穀物粒の総重量の3~6%の範囲の減少などの、2.5~7.5%の範囲の減少をもたらす、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記発芽した穀物粒が、前記穀物粒の発芽ステップの完了と微粉化の時間の間のどの時点でも25%未満の、さらにより好ましくは30%未満の、さらにより好ましくは35%未満の含水量を有したことがない、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記穀物が、大麦である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 飲料を製造するための方法であって、
    i.請求項1~14のいずれか1項に記載の方法により水性抽出物を作製するステップ;
    ii.前記抽出物を飲料へと処理するステップ、
    を含む、方法。
  16. 発芽した穀粒をキルン乾燥するステップを含まない、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 細根除去のステップを含まない、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記発芽した穀粒が、100gの発芽した穀物粒(乾燥物)当たり多くても4gの細根(乾燥物)を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記発芽した穀粒が、100gの発芽した穀物粒(乾燥物)当たり多くても2gの細根(乾燥物)を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。

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