JP2023138403A - 金属が除去されたポリマーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属残留物量が低減された安全性の高いポリマーを、簡便かつ効率的に製造する方法を提供すること。【解決手段】以下の工程1を有する、金属残留物が除去されたポリマーの製造方法。工程1:ポリマー含有溶液に、α-ヒドロキシカルボン酸および塩基を添加し撹拌することにより、ポリマーから金属残留物を除去する工程【選択図】なし

Description

本発明は、金属残留物が除去されたポリマーの製造方法に関する。
機械的特性が制御された合成ポリマーは、生物医学的用途において近年注目が高まっている。しかしながら、ポリマーの合成には金属系の触媒が多用されるため、合成されたポリマー中には金属が残留することになる。かかる過剰の金属残留物は、生体内において周囲組織に中毒、刺激または炎症を引き起こす可能性があるため、外科用等の医療用インプラントの分野においては、ポリマーの適用を制限する可能性がある。スズは比較的無害な金属であり、食品包装産業において一般的に使用されているが、それにもかかわらず、活性医薬成分と一緒に使用される場合、薬物分解を促進するなどの望ましくない副作用を有しうるか、または制御されないポリマー分解を介して医薬製剤からの薬物放出プロファイルを変化させ得る。さらに、金属残留物は、溶融プロセス中にポリマー分解を引き起こすことが報告されている。
金属残留物を減少させるための精製方法が既に報告されている。
例えば、特許文献1では、ラクチドおよびカプロラクトンの開環重合において、極めて低濃度のオクタン酸スズ(別名2-エチルヘキサン酸スズ、以下、Sn(Oct))を使用することによって、残留スズ含有量が低減できる方法が記載されている。
また、特許文献2では、洗浄したポリマーに活性炭と乳酸等の添加剤とを添加することで、スズ含有再吸収性ポリマー中の残留スズ含有量を1ppm未満に低減する精製方法が記載されている。
特許文献3では、ポリマーを非常に小さい粒子に粉砕し、酸性有機溶媒混合物に5時間浸漬し、続いて有機溶媒洗浄し、残留スズ含有量を1ppmまで減少させる精製方法が記載されている。
特許文献4では、ポリマーを、有機酸を含有する溶媒と接触させることで残留触媒量を減少させる精製方法が記載されている。
特開2000-191753号公報 特表2020-532621号公報 特許第4659451号公報 特開2009-256668号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、金属触媒量が少ない分、これを補うために10~40日間の長い重合時間を要する。このような長い重合時間は工業的製造にとって経済的ではない。また、分解やエステル交換によりポリマー分子量の制御不能を誘発する可能性があった。
また、特許文献2に記載された精製方法では、精製後のポリマー溶液から活性炭を除去することが別途必要となる。さらに、ポリマーが高分子量であるほどポリマー溶液の粘性が高まり、活性炭の除去が非常に困難となる。例えば、活性炭粒子を濾過法によって除去する場合、ポリマー分子量は315k以下程度に限定されてしまう。
さらに、特許文献3に記載の精製方法では、浸漬/洗浄プロセスを少なくとも3回繰り返さなければならず、また、ポリマー分子量も酸分解のために著しく減少するおそれがあった。
そして、特許文献4に記載の精製方法では、効果的なスズ除去のためには室温よりも高い温度条件で行う必要があり、例えば引火点の低い溶媒を用いることが困難であり、また、低減される残留スズ含有量の点で改善の余地があった。
本発明は、金属残留物量が低減された安全性の高いポリマーを、簡便かつ効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリマーをα-ヒドロキシカルボン酸および塩基と共に撹拌することによって、ポリマーから金属残留物を効率的に除去できることを見出した。
本発明は、下記の金属残留物が除去されたポリマーの製造方法に関する。
以下の工程1を有する、金属残留物が除去されたポリマーの製造方法。
工程1:ポリマー含有溶液に、α-ヒドロキシカルボン酸および塩基を添加し撹拌する工程
本発明によれば、金属残留物が除去された安全性の高いポリマーを、簡便かつ効率的に製造することができる。特に、本発明の製造方法は、ポリマー分子量を減少させるリスクが少なく、迅速かつ容易に実施される。
本明細書において、「生体吸収性ポリマー」とは、生体内で分解性であり、生体内で代謝吸収されるポリマーである。
また、「生分解性ポリマー」とは、生物によって腐食して可溶性の化学種になるポリマーである。好ましくは、生分解性ポリマーは、生理学的条件下で、それ自体が生物に対して非毒性であり、生物によって代謝、排出、または排泄されることができるより小さな単位または化学種に分解するポリマーである。
本明細書において「ppm」とは質量ppmを意味する。
<ポリマーの製造方法>
<工程1:α-ヒドロキシカルボン酸および塩基の添加>
本発明の製造方法は、以下の工程1を有する。
工程1:ポリマー含有溶液に、α-ヒドロキシカルボン酸および塩基を添加し撹拌する工程
上記製造方法により、ポリマー含有溶液中に含まれる金属残留物はα-ヒドロキシカルボン酸とキレートを形成し、水洗浄により容易に除去でき、金属残留物が除去されたポリマーが得られる。
本発明の製造方法は、触媒由来の金属が残留するポリマー含有溶液に対し適用可能である。よって、工程1で用いるポリマー含有溶液は、好ましくは金属触媒を使用するポリマー重合によって生成されるポリマーを含有する溶液であり、より好ましくは金属触媒を使用する開環重合によって生成されるポリマーを含有する溶液である。
金属触媒としては、縮合重合や開環重合に通常用いられる触媒が好適であり、開環重合に用いられる触媒がより好適であり、環状ラクトンの開環重合に用いられる触媒がさらに好適である。触媒としてはスズ触媒、亜鉛触媒、アルミ触媒、カルシウム触媒、リチウム触媒、鉄触媒等が挙げられ、反応効率と残留後の安全性の観点から、スズ触媒が好ましい。スズ触媒としては、2-エチルヘキサン酸スズ(II)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジアセタート、ジラウリン酸ジブチルスズ、二酢酸ジオクチルスズ(IV)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、塩化スズ(II)等が挙げられる。
ポリマーは、生体吸収性ポリマーおよび生分解性ポリマーから選択されることが好ましい。生体吸収性ポリマーおよび生分解性ポリマーは、環境負荷が小さく安全性が高いため、農業用途、食品用途、医療用途等にも好適に用いることができ、特に医療用途には好適である。ポリマーとしては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリホスホエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミンから選択されるポリマー、またはこれらの共重合体が挙げられる。かかる種類のポリマーは、生体吸収性ポリマーまたは生分解性ポリマーとして有用である。
ポリエステルとしては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリα-アセトラクトン、ポリβ-プロピオラクトン、ポリγ-ブチロラクトン、ポリδ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、およびこれらの共重合体から選択されることが好ましい。
ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5k~1000k、より好ましくは100k~600kである。ポリマーの分子量がかかる範囲であればポリマーの取扱いや機械的特性の点で好ましい。
なお、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーにより特定される。
ポリマー含有溶液におけるポリマー含有量は、撹拌性を高める観点から、好ましくは5~20質量%、より好ましくは10~15質量%である。
ポリマー含有溶液に適用可能な溶媒は、ポリマーを十分に溶解できる溶媒であれば限定されない。また、処理性の観点から、水と相分離する溶媒であれば後述する工程2においてスズ錯体を水で洗い流すことができ好ましい。好ましい溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、キシレン、トルエン等の芳香族系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶媒、フラン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)等のエーテル系溶媒、ベンズアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等が挙げられ、単独で用いてもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、工業的な入手の容易さの観点から、ケトン系溶媒及びエステル系溶媒を好ましく用いることができ、さらに人体に対する安全性の観点からエステル系溶媒が最も好ましい。
α-ヒドロキシカルボン酸とは、α炭素上にカルボン酸基および水酸基の両方を有する有機酸の一種である。
α-ヒドロキシカルボン酸は、水洗浄で除去しやすい観点から水溶性であることが好ましい。
α-ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、グリセリン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びクエン酸等が挙げられ、単独で用いてもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
α-ヒドロキシカルボン酸の添加量は、ポリマーの全質量に対し、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。α-ヒドロキシカルボン酸は酸性物質であるため、金属とキレートを形成して捕捉する役割を担う一方で、高濃度で添加するとポリマーが分解され分子量の低下が懸念される。本発明の製造方法では、α-ヒドロキシカルボン酸が金属残留物と効率的にキレートを形成できるため、上記低濃度でも十分に金属残留物を低減でき、ポリマー分子量低下のおそれもない。
本発明の製造方法では、α-ヒドロキシカルボン酸と共に塩基を添加する。これにより、α-ヒドロキシカルボン酸のみを添加する場合よりも、金属除去効率は大幅に向上する。これは、塩基が金属とα-ヒドロキシカルボン酸とのキレート形成を促進するためと推測される。
塩基は、水洗浄で除去しやすい観点から水溶性であることが好ましい。
塩基としては、有機塩基または無機塩基を用いることができる。
有機塩基としては、アミン化合物が好ましく、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、複素環式アミン化合物でもよい。
脂肪族アミン化合物としては、アルキルアミン、アルカノールアミンが挙げられる。アルキルアミンとしては、メチルアミン(MeNH)、エチルアミン(EtNH)、トリメチルアミン(TMA)、トリエチルアミン(TEA)、ジエチレントリアミン(DETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,3-ジアミノプロパン等が挙げられる。アルカノールアミンとしては、エタノールアミン、メチルアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
芳香族アミン化合物としては、アニリン、フェニレンジアミン等が挙げられる。
複素環式アミン化合物としては、トリアザビシクロデセン(TBD)、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)等が挙げられる。
上記有機塩基は単独で用いてもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機塩基としては、水酸化物、炭酸水素塩、および炭酸塩が好ましい。水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムが挙げられる。炭酸水素塩としては炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウムが挙げられる。炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。
上記無機塩基は単独で用いてもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩基の添加量は、ポリマーの全質量に対し、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。塩基の添加量がかかる範囲であることで、塩基が金属とα-ヒドロキシカルボン酸とのキレート形成を促進し、効率よく金属残留物を低減できる。
また、有機塩基を用いる場合は、ポリマーの全質量に対し、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
無機塩基を用いる場合は、ポリマーの全質量に対し、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。無機塩基の方が有機塩基よりも金属低減能が高いため、少ない添加量でも効果が発揮されやすい。よって食品加工用途や医療用途での安全性が高い。
α-ヒドロキシカルボン酸および塩基の添加後は、室温で撹拌する。
撹拌時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは2時間以上、また、好ましくは24時間以下、より好ましくは5時間以下である。本発明の製造方法では、α-ヒドロキシカルボン酸が金属残留物と効率的にキレートを形成できるため、上記短時間の撹拌時間で十分に金属残留物を低減でき、ポリマー分子量低下のおそれもない。
上記工程1により、金属が除去される。
<工程2:水洗浄>
上記工程1の次に、下記工程2を行うことが好ましい。
工程2:工程1で得られた溶液を水洗浄する工程
これにより、α-ヒドロキシカルボン酸は除去される。また金属残留物はα-ヒドロキシカルボン酸とキレートを形成した状態で水層に移行するため、α-ヒドロキシカルボン酸と共に除去される。ポリマーは有機層に残るため、金属残留物とポリマーとを分離できる。なお、塩基もα-ヒドロキシカルボン酸と同様に水層に移行し除去される。
水洗浄の具体的な方法としては、ポリマー含有溶液を等量以上の水と一定時間撹拌することで完全に混合し、次いで水層を除去することが好ましい。
洗浄に用いる水の量は、ポリマー溶液に対し好ましくは1.0~1.5当量とし、撹拌時間は好ましくは10分間~20分間、より好ましくは15分間~20分間とする。
水洗浄は必要に応じて複数回行ってもよく、好ましくは3回以上、より好ましくは4~5回繰り返す。
上記工程2により、精製ポリマーが得られる。
<工程3:貧溶媒による再沈殿>
上記工程2の次に、下記工程3を行うことが好ましい。
工程3:貧溶媒で再沈殿する工程
これにより、ポリマー溶液から固体ポリマーを回収でき、ポリマー中の不純物量を低減できる。
貧溶媒としては、ヘキサン、メタノールおよびエタノール等が挙げられ、単独で用いてもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上の本発明の製造方法により、金属が大幅に除去される。特に、本発明の製造方法は、ポリマー含有溶液における金属残留物量が500ppmを超える場合、50ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm程度まで、劇的に低下させることができる。
なお、金属残留物量は、Quant EZ分析ソフトウェアを備えたエネルギー分散型X線蛍光元素分析装置によって定量化できる。単一点分析法を使用して、溶媒蒸発法によって調製されるポリマーフィルムの形態の金属残留物量を決定する。
本発明によれば、金属残留物量が低減された安全性の高いポリマーを、簡便かつ効率的に製造することができる。金属残留物量は、わずか1回の短い撹拌工程を経るだけで50ppm以下に減少させることができる。また、本発明の製造方法は、ポリマー分子量を減少させるリスクが少なく、迅速かつ容易に実施される。さらに、本発明の製造方法は、特殊な温度条件を必要としない。
上記のとおり、本明細書は下記の金属残留物が除去されたポリマーの製造方法を開示する。
〔1〕以下の工程1を有する、金属残留物が除去されたポリマーの製造方法。
工程1:ポリマー含有溶液に、α-ヒドロキシカルボン酸および塩基を添加し撹拌する工程
〔2〕前記α-ヒドロキシカルボン酸および塩基が水溶性である、〔1〕に記載のポリマーの製造方法。
〔3〕前記α-ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸から選択される、〔1〕または〔2〕に記載のポリマーの製造方法。
〔4〕前記工程1において、前記α-ヒドロキシカルボン酸の添加量が前記ポリマーの全質量に対して10質量%以上である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
〔5〕前記塩基が、アミン化合物、金属水酸化物、炭酸水素塩、および炭酸塩から選択される、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
〔6〕前記塩基が、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、トリアザビシクロデセン、テトラエチレンペンタミン、ジエチレントリアミン、1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸ナトリウムから選択される、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
〔7〕前記工程1において、前記塩基の添加量が前記ポリマーの全質量に対して0.001質量%以上、かつ5質量%以下である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
〔8〕前記工程1において、撹拌時間が30分間以上である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
〔9〕前記ポリマーが生体吸収性ポリマーおよび生分解性ポリマーから選択される、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
〔10〕前記ポリマーが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリホスホエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミンから選択されるポリマー、またはこれらの共重合体である、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
〔11〕前記工程1の次に、以下の工程2をさらに含む、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
工程2:前記工程1で得られた溶液を水洗浄する工程
〔12〕前記工程2の次に、以下の工程3をさらに含む、〔11〕に記載のポリマーの製造方法。
工程3:貧溶媒で再沈殿する工程
本発明を、以下の実施例によって更に詳述するが、本発明の内容はこれに限定されない。
[測定方法1:ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリマー分子量測定]
ポリマーをクロロホルムに2mg/mLで溶解し、続いて0.45μmフィルター(ADVANTEC社製DISMIC-13HP)を通して濾過した。分子量[重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)]はポリスチレン標準に対して決定される。
機器名:Prominence(株式会社島津製作所製)
移動相:クロロホルム(HPLC用)(和光純薬工業株式会社製)
流速:1mL/min
カラム:TSKgel GMHHR-M(φ7.8mm×300mm;東ソー株式会社製)
検出器:UV(254nm)、RI
カラム、検出器温度:35℃
標準物質:ポリスチレン
[測定方法2:エネルギー分散型蛍光X線(EDXFR)による残留スズ含有量測定]
Quant EZ分析ソフトウェアを備えたエネルギー分散型蛍光X線元素分析装置を用い、単一点分析法を使用して、ポリマーフィルム中の残留スズ含有量を決定した。
ポリマーフィルムは、溶媒蒸発法によって調製され、予め測定された面積サイズおよび質量を有する特定の寸法に切断した後、測定に直接使用した。具体的には、ポリマー(1.5g)を溶媒ジクロロメタンまたは、クロロホルムに溶解して得られたポリマー溶液10mLを、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)板上に滴下し、自然乾燥により溶媒を蒸発させた。得られたフィルムを、3.0mm×3.0mmの寸法に切断した。
<実施例1-1>
[低分子量マクロモノマー ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の合成]
モノマーであるL(-)-ラクチド(100.0g、1.0モル当量、Purac(登録商標))およびε-カプロラクトン(79.2g、1.0モル当量、Wako)と、開始剤であるヒドロキシピバリン酸(820mg、0.01モル当量、TCI)とを、N下でセパラブルフラスコに秤量した。
触媒であるSn(Oct)(562mg、0.002モル当量、Wako)を少量の無水トルエン(0.5mL、Wako)に溶解し、次いで、N下で同じフラスコに添加した。
この反応物を145℃まで9.0時間加熱し、次いで室温まで冷却した。粗ポリマーを360mLのクロロホルムに溶解することにより精製し、次いで2.5Lのヘキサン中で沈殿させた。それを50℃の真空オーブン内で一晩乾燥させて、157gのマクロモノマー生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマー比は、L(-)-ラクチド:ε-カプロラクトン=51:49であった。GPCにより分子量を測定したところ、Mn(21974)、Mw(52739)、およびMw/Mn(2.4)であった。
以下、ラクチドをLA、ε-カプロラクトンをCLと表す場合がある。
[高分子量ポリマー ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の合成]
上記で合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の低分子量マクロモノマー(15.0g、1.0モル当量)と、4-ジメチルアミノピリジン(以下、DMAP)とp-トルエンスルホン酸の塩(DPTS)(403mg、2.0モル当量、Macromolecules,Vol.23,No.I,1990を参照して実験室で合成)、およびDMAP(352mg、2.0モル当量、富士フイルム和光純薬(株)製)を窒素下で三つ口丸底フラスコに秤量した。100mLの無水ジクロロメタン中に完全に溶解させた後、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(283μL、4.0モル当量、東京化成工業(株)製)を添加し、反応物を48時間撹拌した。
次いで、ポリマー溶液を、激しく撹拌しながら等量の水で15分間洗浄し、上部の水層を廃棄した。このプロセスを3回繰り返した。1Lのメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、50℃の真空オーブン内で一晩乾燥させて、高分子量ポリマーを得た。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびDMAPとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーをクロロホルム中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで乳酸(ポリマーに対し20質量%)およびDMAP(ポリマーに対し1.3質量%)を添加し、3.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(クロロホルムに対して1.3当量体積)で15分間洗浄した。このプロセスを3回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
<実施例1-2>
実施例1-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
実施例1-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびDMAPとの撹拌を行った。
<実施例1-3>
実施例1-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
1.6質量%のDMAPを使用したこと、撹拌時間を4時間としたこと以外は実施例1-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびDMAPとの撹拌を行った。
<実施例1-4>
実施例1-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
30質量%の乳酸を使用したこと、撹拌時間を3.5時間としたこと以外は実施例1-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびDMAPとの撹拌を行った。
<比較例1-1>
実施例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびDMAPとの撹拌を行わずに、残留スズ含有量を測定した。
<比較例1-2>
実施例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーをクロロホルム中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで乳酸(ポリマーに対し20質量%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(クロロホルムに対して1.3当量体積)で15分間洗浄した。このプロセスを3回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、高分子量ポリマーを得た。
<比較例1-3>
実施例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
30質量%の乳酸を使用したこと以外は比較例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸との撹拌を行った。
<比較例1-4>
実施例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
40質量%の乳酸を使用したこと以外は比較例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸との撹拌を行った。
<比較例1-5>
実施例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
50質量%の乳酸を使用したこと以外は比較例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸との撹拌を行った。
<比較例1-6>
実施例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
60質量%の乳酸を使用したこと以外は比較例1-2と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸との撹拌を行った。
上記各実施例および比較例から得られた、撹拌前後のポリマー分子量と、撹拌後のスズ含有量を下記表1に示す。
なお、実施例1-1~1-4におけるポリマー分子量(撹拌前)がそれぞれ異なるのは、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーの合成条件は同一であるが合成バッチが異なるためである。かかるばらつきは通常の範囲内である。
比較例1-1~1-6は実施例1-2とポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーの合成条件および合成バッチが同一であるため、ポリマー分子量(撹拌前)が同一となっている。
Figure 2023138403000001
比較例1-1の結果から、合成直後のポリマーでは500ppmを超える残留スズが確認された。
乳酸とDMAPをポリマー溶液に添加し撹拌した実施例1-1~1-4の製造方法では、残留スズ含有量が50ppm以下まで低減された。また、乳酸とDMAPとの撹拌前後においてポリマー分子量の低下はほとんどなかった。
ポリマー溶液に乳酸のみを添加し、DMAPを添加しなかった比較例1-2の製造方法では、残留スズ含有量が依然として500ppmを超えており、実施例1-1に比べ残留スズを除去できていなかった。
比較例1-2~1-6の製造方法では、乳酸添加量を増加させることで、比較例1-1よりは残留スズ含有量は低下しているが、100ppmを超えており、50ppm以下まで低減できていない。
また、比較例1-1~1-6の製造方法では、撹拌前後でポリマー分子量が低下した。
<実施例2-1>
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の合成]
モノマーであるL,L-ジラクチド(60.0g、1.0モル当量、Purac(登録商標))、およびε-カプロラクトン(47.6g、1.0モル当量、富士フイルム和光純薬株式会社製)と、超脱水(o-,m-,p-)キシレン(86mL、富士フイルム和光純薬株式会社製)に溶解したSn(Oct)(253mg、0.0015モル当量、Thermo Scientific)とを、開放空気中、室温で同じフラスコに添加した。反応フラスコを0Paで減圧し、油浴温度を室温から60℃に上昇させた。脱水プロセスは約30分を要した。次いで、圧力をN下で大気圧まで解放し、油浴温度をさらに145℃まで上昇させた。反応物を7.5時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。粗ポリマーを酢酸イソプロピル(750mL)/アセトン(150mL)に溶解した。ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、98.6gの生成物を得た。GPCにより粗分子量を測定したところ、Mw(161k)、およびMw/Mn(2.8)であった。検出された残留スズ含有量は605ppmであった。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびDMAPとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液(10.5gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)に、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し30質量%)およびDMAP(ポリマーに対し0.75質量%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、9.8gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(52.5:47.5)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(162k)、およびMw/Mn(2.2)であった。検出された残留スズ含有量は30ppmであった。
<実施例2-2>
実施例2-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびTBDとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(9.6gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し60質量%)および1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(以下、TBD。ポリマーに対し1.5質量%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、7.5gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(52.6:47.4)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(162k)、およびMw/Mn(2.3)であった。検出された残留スズ含有量は23ppmであった。
<実施例2-3>
実施例2-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびTEPAとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(~10.4gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し30質量%)およびテトラエチレンペンタミン(以下、TEPA。ポリマーに対し1.0質量%)を添加し、3.5時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、9.2gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(52.8:47.2)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(169k)、およびMw/Mn(2.0)であった。検出された残留スズ含有量は15ppmであった。
<実施例2-4>
実施例2-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびDIPEAとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(10.8gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し30質量%)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(以下、DIPEA。ポリマーに対し1.0質量%)を添加し、3.5時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、9.6gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.2:46.8)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(163k)、およびMw/Mn(2.0)であった。検出された残留スズ含有量は11ppmであった。
<実施例2-5>
実施例2-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびDETAとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(~10.0gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し30質量%)およびジエチレントリアミン(以下、DETA。ポリマーに対し1.0質量%)を添加し、3.5時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、8.6gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(52.6:47.4)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(166k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は33ppmであった。
<実施例2-6>
実施例2-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびTEAとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(~10.9gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し30質量%)およびトリエチルアミン(以下、TEA。ポリマーに対し1.0質量%)を添加し、3.5時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、9.1gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(52.4:47.6)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(171k)、およびMw/Mn(1.8)であった。検出された残留スズ含有量は59ppmであった。
<実施例2-7>
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の合成]
モノマーであるL,L-ジラクチド(30.0g、1.0モル当量、Purac(登録商標))、およびε-カプロラクトン(23.8g、1.0モル当量、富士フイルム和光純薬株式会社製)と、超脱水(o-,m-,p-)キシレン(43mL、富士フイルム和光純薬株式会社製)に溶解したSn(Oct)(126mg、0.0015モル当量、Thermo Scientific)とを、開放空気中、室温で同じフラスコに添加した。反応フラスコを0kPaで減圧し、油浴温度を室温から55℃に上昇させた。脱水プロセスは約30分を要した。次いで、圧力をN下で大気圧まで解放し、油浴温度をさらに145℃まで上昇させた。反応物を7.5時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。粗ポリマーを酢酸イソプロピル(750mL)/アセトン(150mL)に溶解した。ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、98.6gの生成物を得た。GPCにより粗分子量を測定したところ、Mw(254k)、およびMw/Mn(1.8)であった。検出された残留スズ含有量は644ppmであった。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびDMAPとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(10.3gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し60質量%)およびDMAP(ポリマーに対し1.5質量%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、8.5gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(51.5:48.5)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(244k)、およびMw/Mn(2.2)であった。検出された残留スズ含有量は17ppmであった。
<実施例2-8>
実施例2-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびNaOHとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(10.5gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し30質量%)およびNaOH(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、8.6gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(52.6:47.4)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(167k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は5ppmであった。
<実施例2-9>
実施例2-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびNaOHとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(10.7gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaOH(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、8.5gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(52.8:47.2)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(169k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は6ppmであった。
<実施例2-10>
実施例2-1と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびNaOHとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(~11.0gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaOH(0.02M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、9.2gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(52.2:47.8)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(165k)、およびMw/Mn(2.0)であった。検出された残留スズ含有量は16ppmであった。
<実施例2-11>
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の合成]
モノマーであるL,L-ジラクチド(15.0g、1.0モル当量、Purac(登録商標))、およびε-カプロラクトン(11.9g、1.0モル当量、富士フイルム和光純薬株式会社製)と、超脱水(o-,m-,p-)キシレン(6mL、富士フイルム和光純薬株式会社製)に溶解したSn(Oct)(88mg、0.0015モル当量、Thermo Scientific)とを、開放空気中、室温で同じフラスコに添加した。反応フラスコを0kPaで減圧し、油浴温度を室温から70℃に上昇させた。脱水プロセスは約30分を要した。次いで、圧力をN下で大気圧まで解放し、油浴温度をさらに145℃まで上昇させた。反応物を7.5時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。粗ポリマーを酢酸イソプロピル(400mL)に溶解した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、23.8gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(51.8:48.2)であった。GPCにより粗分子量を測定したところ、Mw(221k)、およびMw/Mn(1.8)であった。検出された残留スズ含有量は632ppmであった。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびKOHとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで乳酸(ポリマーに対し20質量%)およびKOH(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(51.8:48.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(216k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は11ppmであった。
<実施例2-12>
実施例2-11と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで乳酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(51.8:48.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(224k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は7ppmであった。
<実施例2-13>
実施例2-11と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸(20wt%)およびNaCO(0.05M水溶液、20vol%)との撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで乳酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(51.8:48.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(226k)、およびMw/Mn(1.8)であった。検出された残留スズ含有量は23ppmであった。
<実施例2-14>
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の合成]
モノマーであるL,L-ジラクチド(25.0g、1.0モル当量、Purac(登録商標))、およびε-カプロラクトン(19.8g、1.0モル当量、富士フイルム和光純薬株式会社製)と、超脱水(o-,m-,p-)キシレン(1mL、富士フイルム和光純薬株式会社製)に溶解したSn(Oct)(143mg、0.002モル当量、Wako)とを、開放空気中、室温で同じフラスコに添加した。反応フラスコを5kPaで減圧し、油浴温度を室温から100℃に上昇させた。脱水プロセスは約10分を要した。次いで、圧力をN下で大気圧まで解放し、油浴温度をさらに145℃まで上昇させた。反応物を7.5時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。粗ポリマーを酢酸イソプロピル(500mL)に溶解して。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、37.2gの生成物を得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより粗分子量を測定したところ、Mw(188k)、およびMw/Mn(2.1)であった。検出された残留スズ含有量は503ppmであった。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル/アセトン(50/50)中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで乳酸(ポリマーに対し10質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、3.5時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(188k)、およびMw/Mn(2.0)であった。検出された残留スズ含有量は16ppmであった。
<実施例2-15>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル/アセトン(50/50)中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで乳酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、1.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(187)およびMw/Mn(2.0)であった。検出された残留スズ含有量は30ppmであった。
<実施例2-16>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーとグリコール酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル/アセトン(50/50)中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いでグリコール酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(181k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は6ppmであった。
<実施例2-17>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーとリンゴ酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル/アセトン(50/50)中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いでリンゴ酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(189k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は4ppmであった。
<実施例2-18>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと酒石酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル/アセトン(50/50)中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで酒石酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(186k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は6ppmであった。
<実施例2-19>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーとクエン酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル/アセトン(50/50)中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いでクエン酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(180k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は5ppmであった。
<比較例2-1>
実施例2-7と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸との撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(10.1gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し30質量%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、8.7gの生成物を得た。
1H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(51.9:48.1)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(245k)、およびMw/Mn(2.1)であった。検出された残留スズ含有量は229ppmであった。
<比較例2-2>
実施例2-7と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと乳酸との撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量溶液中(10.9gポリマー/100mL酢酸イソプロピル)、アセトン(3mL)に溶解した乳酸(ポリマーに対し60質量%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、8.9gの生成物を得た。
1H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(51.5:48.5)であり、GPCにより分子量を測定したところ、Mw(251k)、およびMw/Mn(2.3)であった。検出された残留スズ含有量は241ppmであった。
<比較例2-3>
実施例2-11と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーとNaOHとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いでNaOH(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(51.8:48.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(213k)、およびMw/Mn(1.6)であった。検出された残留スズ含有量は596ppmであった。
<比較例2-4>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと酢酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル/アセトン(50/50)中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで酢酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(189k)、およびMw/Mn(2.0)であった。検出された残留スズ含有量は368ppmであった。
<比較例2-5>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーとマロン酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いでマロン酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマー溶液に対し20体積%)を添加し、4.0時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(184k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は197ppmであった。
<比較例2-6>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーとヒドロキシピバリン酸およびNaHCOとの撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いでヒドロキシピバリン酸(ポリマーに対し20質量%)およびNaHCO(0.05M水溶液、ポリマーに対し20体積%)を添加し、3.5時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(182k)、およびMw/Mn(1.9)であった。検出された残留スズ含有量は205ppmであった。
<比較例2-7>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと塩酸の撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで塩酸(0.5M、ポリマー溶液に対し50体積%)を添加し、3.5時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(171k)、およびMw/Mn(2.1)であった。検出された残留スズ含有量は11ppmであった。
<比較例2-8>
実施例2-14と同様に、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを合成した。
[ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーと塩酸の撹拌]
上記により合成したポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)の高分子量ポリマーを酢酸イソプロピル中に100mg/mLの濃度で溶解し、次いで塩酸(0.5M、ポリマー溶液に対し50体積%)を添加し、0.5時間撹拌した。次いで、ポリマー溶液を水(溶媒に対して1.3当量体積)で10分間洗浄した。このプロセスを4回繰り返した。次いで、ポリマー溶液をメタノール中で沈殿させることによってポリマーを回収し、真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させて、精製された高分子量ポリマーを得た。
H-NMRによって決定されたモノマーモル比はLA:CL(53.8:46.2)であった。
GPCにより分子量を測定したところ、Mw(181k)、およびMw/Mn(2.0)であった。検出された残留スズ含有量は127ppmであった。
上記各実施例および比較例から得られた、撹拌前後のポリマー分子量と、撹拌前後の残留スズ含有量を下記表2および表3に示す。なお、塩基の添加量に関し、体積%で表示される数値はポリマー溶液に対する割合を示し、質量%で表示される数値はポリマーに対する割合を示す。
Figure 2023138403000002
Figure 2023138403000003
上記結果より、実施例2-1~実施例2-15に示すように、他の塩基を用いてもポリマー分子量を維持したまま残留スズ含有量が低減された。特に実施例2-8~実施例2-15の結果から、NaOHやNaHCOのような無機塩基を用いると、実施例2-1~実施例2-7のように有機塩基を用いた場合より低い添加量でも残留スズ含有量が10ppm以下であり高いスズ除去能が示された。よって食品加工や医療用途での安全性が高い。
塩基を併用せず酸のみを用いた比較例2-1および比較例2-2の方法では、残留スズ含有量の低下が観察されたが、200ppmを超える高い残留量にとどまった。酸を併用せず塩基のみを用いた比較例2-3の方法では、残留スズ含有量はほとんど変化しなかった。
また、実施例2-16~実施例2-19に示すように、他のα-ヒドロキシカルボン酸を用いてもポリマー分子量を維持したまま残留スズ含有量が低減された。比較例2-4のようにヒドロキシル基を有さない酸や、比較例2-5や比較例2-6のようにβ-ヒドロキシカルボン酸を用いた場合は、残留スズ含有量の低下が観察されたが、100ppmを超える高い残留量にとどまった。これより、キレート剤としての酸構造の重要性が示唆された。
比較例2-7や比較例2-8に示すように塩酸のような強酸を用いれば残留スズ含有量は低下し、比較例2-7のように実施例と同等の撹拌時間で撹拌すれば実施例と同レベルの残留スズ含有量の低下が達成できるが、撹拌後のポリマー分子量が低下してしまった。これは撹拌過程でポリマーの分解が引き起こされたことによると推測される。
さらに、乳酸添加量が同等の実施例1-4と実施例2-1を対比すると、撹拌時間に違いがあるものの、ポリマー溶媒として酢酸イソプロピルを含む実施例2-1の方が、塩基(DMAP)添加量が少ないにも関わらず、ポリマー溶媒としてクロロホルムを含む実施例1-4よりも残留スズ含有量が少なかった。よって、エステル系溶媒を用いてもハロゲン系溶媒と同等またはそれ以上のスズ除去効果が期待できる。人体への安全性が高く、環境負荷が低いことから、エステル系溶媒はハロゲン系溶媒の代替に適していると言える。
本発明によれば、金属残留物量が低減された安全性の高い高分子量ポリマーを、簡便かつ効率的に製造することができる。金属残留物量が低いポリマーは、生体再吸収性ポリマーや生分解性ポリマー等として様々な生物医学的用途に適している。組織工学において、該ポリマーはしばしば、細胞再生および分化のための3D足場を構築するためにヒドロゲルと一緒に使用される。該ポリマーは、医療用インプラントデバイスやDDSに適した材料である。生物医学的用途以外に、生分解性ポリマーはまた、農業、獣医学、食品加工および包装において種々の用途を見出す。

Claims (12)

  1. 以下の工程1を有する、金属残留物が除去されたポリマーの製造方法。
    工程1:ポリマー含有溶液に、α-ヒドロキシカルボン酸および塩基を添加し撹拌する工程
  2. 前記α-ヒドロキシカルボン酸および塩基が水溶性である、請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  3. 前記α-ヒドロキシカルボン酸が、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸から選択される、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
  4. 前記工程1において、前記α-ヒドロキシカルボン酸の添加量が前記ポリマーの全質量に対して10質量%以上である、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
  5. 前記塩基が、アミン化合物、金属水酸化物、炭酸水素塩、および炭酸塩から選択される、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
  6. 前記塩基が、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、トリアザビシクロデセン、テトラエチレンペンタミン、ジエチレントリアミン、1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸ナトリウムから選択される、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
  7. 前記工程1において、前記塩基の添加量が前記ポリマーの全質量に対して0.001質量%以上、かつ5質量%以下である、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
  8. 前記工程1において、撹拌時間が30分間以上である、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
  9. 前記ポリマーが生体吸収性ポリマーおよび生分解性ポリマーから選択される、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
  10. 前記ポリマーが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリホスホエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミンから選択されるポリマー、またはこれらの共重合体である、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
  11. 前記工程1の次に、以下の工程2をさらに含む、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
    工程2:前記工程1で得られた溶液を水洗浄する工程
  12. 前記工程2の次に、以下の工程3をさらに含む、請求項11に記載のポリマーの製造方法。
    工程3:貧溶媒で再沈殿する工程
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