JP2023138369A - R-t-b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R-t-b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】拡散源にLaを使用しつつ、高いBr及び高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石の製造方法の提供。【解決手段】本開示のR-T-B系焼結磁石の製造方法は、R-T-B系焼結磁石素材を準備する工程と、R1-M系合金を準備する工程と、前記R-T-B系焼結磁石素材と前記R1-M系合金を真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上1100℃以下の温度で加熱し、R1およびMをR-T-B系焼結磁石素材内部に拡散させる拡散工程と、を含み、前記R1-M系合金における、R1の含有量はR1-M合金全体の70mass%以上95mass%以下であり、R1中のLaの含有割合は5%以上40%未満であり、Mの含有量はR1-M合金全体の5mass%以上30mass%以下であり、M中のBおよびCの合計含有割合は5%以上20%未満である。【選択図】図2

Description

本発明はR-T-B系焼結磁石の製造方法に関する。
R-T-B系焼結磁石(Rは希土類元素であり、Nd、PrおよびCeからなる群から選択される少なくとも1つを必ず含み、TはFe、Co、Al、Mn、およびSiからなる群から選択された少なくとも1つであり、必ずFeを含む、Bはホウ素である)は、RFe14B型結晶構造を有する化合物の主相と、この主相の粒界部分に位置する粒界相および微量添加元素や不純物の影響により生成する化合物相とから構成されている。R-T-B系焼結磁石は、高い残留磁束密度B(以下、単に「B」と記載する場合がある)と、高い保磁力HcJ(以下、単に「HcJ」と記載する場合がある)を示し、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られている。
このため、R-T-B系焼結磁石は、電気自動車(EV、HV、PHV)等の自動車分野、風力発電等の再生可能エネルギー分野、家電分野、産業分野等のさまざまなモーターに使用されている。R-T-B系焼結磁石は、これらモーターの小型・軽量化、高効率・省エネルギー化(エネルギー効率の改善)に欠かせない材料である。また、R-T-B系焼結磁石は、電気自動車用の駆動モーターに使用されており、内燃機関エンジン自動車から電気自動車へ代替されることで、二酸化炭素等の温室効果ガスの削減(燃料・排ガスの削減)による地球温暖化防止にも寄与している。このように、R-T-B系焼結磁石は、クリーンエネルギー社会の実現に大きく貢献している。
R-T-B系焼結磁石において、R14B化合物中のRに含まれる軽希土類元素RL(例えば、NdやPr)の一部を重希土類元素RH(RHは、TbおよびDyの少なくとも一方)で置換すると、HcJが向上することが知られている。RHの置換量の増加に伴い、HcJは向上する。しかし、R14B化合物中のRLをRHで置換すると、R-T-B系焼結磁石のHcJが向上する一方、残留磁束密度Bが低下する。また重希土類元素は資源リスクの高い原料であることから、その使用量を削減し、または使用せずにHcJを向上させることが求められている。
特許文献1には、特定組成のR-T-B系焼結磁石素材表面の少なくとも一部に、R2-Ga合金の少なくとも一部を接触させた状態で熱処理することで、RH、PrおよびGaを拡散させることが記載されている。これにより、RHの含有量を低減しつつ、高いBと高いHcJを得ることができる。
国際公開第2018/143230号
特許文献1に記載されている方法は、重希土類元素の含有量を抑制しつつ高いBと高いHcJを得るR-T-B系焼結磁石が得られる点で注目に値する。しかし、近年、R-T-B系焼結磁石は、特に電気自動車用モーター向けなどで需要が今後大きく拡大することが予想されている。そのため、重希土類元素の含有量だけでなく、それ以外でも資源の有効活用、低コスト化の観点からは、重希土類元素の使用に偏らず、他の希土類元素も含めてバランスよく希土類元素を利用する必要がある。具体的な手段として希土類元素の中で存在量が比較的豊富なLa(ほかにCe)などを使用することが挙げられる。特にR-T-B系焼結磁石における主要な元素である、NdやPrの代わりにLaなどを使用することは有効である。しかし、NdやPrの代わりにLaなどを用いると磁気特性が大幅に低下することが知られている。
本開示の実施形態は、拡散源にLaを使用しつつ、高いB及び高いHcJが維持されたR-T-B系焼結磁石の製造方法を提供する。
本開示のR-T-B系焼結磁石の製造方法は、例示的な実施形態において、R-T-B系焼結磁石素材(Rは希土類元素であり、Nd、PrおよびCeからなる群から選択された少なくとも1つを必ず含み、TはFe、Co、Al、Mn、およびSiからなる群から選択された少なくとも1つであり、必ずFeを含む)を準備する工程と、R1-M系合金(R1はRHとRLからなり、RHはTbおよびDyの少なくとも一方であり、RLは、RH以外の希土類元素であり、NdおよびPrの少なくとも一方と、Laを必ず含み、MはBおよびCの少なくとも一方と、Al、Cu、Zn、Ga、Fe、Co、Niからなる群から選択された少なくとも1つを必ず含む)を準備する工程と、前記R-T-B系焼結磁石素材と前記R1-M系合金を真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上1100℃以下の温度で加熱し、R1およびMをR-T-B系焼結磁石素材内部に拡散させる拡散工程と、を含み、
前記R1-M系合金における、R1の含有量はR1-M系合金全体の70mass%以上95mass%以下であり、R1中のLaの含有割合は5%以上40%未満であり、Mの含有量はR1-M系合金全体の5mass%以上30mass%以下であり,M中のBおよびCの合計含有割合は5%以上20%未満である。
ある実施形態において、前記R1-M系合金における、R1中のLaの含有割合は5%以上30%以下である。
ある実施形態において、R1中のRHの含有割合は5%以上20%以下であり、R1中のNdおよびPrの少なくとも一方の合計含有割合は25%以上%90%以下である。
ある実施形態において、CuおよびGaの少なくとも一方を必ず含み、前記M中のCuおよびGaの合計含有割合は80%以上95%未満である。
ある実施形態において、前記R1-M系合金のR1は、Prを必ず含み、前記R1中のPrの含有割合は25%以上95%以下である。
ある実施形態において、前記R1-M系合金のMは、Bを必ず含み、前記M中のBの含有割合は5%以上15%未満である。
本開示の実施形態によると、拡散源にLaを使用しつつ、高いB及び高いHcJが維持されたR-T-B系焼結磁石の製造方法を提供することができる。
R-T-B系焼結磁石の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図1Aの破線矩形領域内を更に拡大して模式的に示す断面図である。 本開示によるR-T-B系焼結磁石の製造方法における工程の例を示すフローチャートである。
まず、本開示によるR-T-B系焼結磁石の基本構造について説明をする。R-T-B系焼結磁石は、原料合金の粉末粒子が焼結によって結合した構造を有しており、主としてR14B化合物粒子からなる主相と、この主相の粒界部分に位置する粒界相とから構成されている。
図1Aは、R-T-B系焼結磁石の一部を拡大して模式的に示す断面図であり、図1Bは図1Aの破線矩形領域内を更に拡大して模式的に示す断面図である。図1Aには、一例として長さ5μmの矢印が大きさを示す基準の長さとして参考のために記載されている。図1Aおよび図1Bに示されるように、R-T-B系焼結磁石は、主としてR14B化合物からなる主相12と、主相12の粒界部分に位置する粒界相14とから構成されている。また、粒界相14は、図1Bに示されるように、2つのR14B化合物粒子(グレイン)が隣接する二粒子粒界相14aと、3つのR14B化合物粒子が隣接する粒界三重点14bとを含む。典型的な主相結晶粒径は磁石断面の円相当径の平均値で2.5μm以上10μm以下である。主相12であるR14B化合物は高い飽和磁化と異方性磁界を持つ強磁性材料である。したがって、R-T-B系焼結磁石では、主相12であるR14B化合物の存在比率を高めることによってBを向上させることができる。R14B化合物の存在比率を高めるためには、原料合金中のR量、T量、B量を、R14B化合物の化学量論比(R量:T量:B量=2:14:1)に近づければよい。
また、主相であるR14B化合物のRの一部をDy、Tb、Hoなどの重希土類元素で置換することによって飽和磁化を下げつつ、主相の異方性磁界を高められることが知られている。特に二粒子粒界相と接する主相外殻は磁化反転の起点となりやすいため、主相外殻に優先的に重希土類元素を置換できる重希土類拡散技術は、飽和磁化の低下を抑制しつつ効率的に高いHcJが得られる。
本開示によるR-T-B系焼結磁石の製造方法では、R-T-B系焼結磁石素材表面から粒界を通じて磁石素材内部へ、R1-M系合金に含有されるR1とMを拡散させている。
本発明者らは、R1-M系合金をR-T-B系焼結磁石表面に存在させた状態で熱処理し拡散させる方法について詳細に検討した。その結果、R1-M系合金のR1にRHを含有させた上で、R1とMを拡散させると、RLとして、NdやPrの代わりにLaを特定の範囲で含有させても、Laを入れたことによる磁気特性の低下を抑制することができることを見出した。後述する実施例に示すように、これは、LaではなくCeを使用した場合には、このような効果を得ることが出来ない。また、さらに好ましい形態として、R1-M系合金におけるLaを狭い特定の範囲にすることにより、ほとんど磁気特性が低下しないことを見出した。このように、NdやPrの代わりにLaを含有させても、高いBを維持しつつ,HcJの低下量を10%未満に抑制でき,磁気特性の低下が抑制される。ほとんど磁気特性が低下しない理由は、拡散工程で磁石内部に入ったLaはNdやPrに比べR14B化合物内に含有されにくく,主に粒界相側に存在するためR14B化合物の磁気物性に大きな影響を与えないためと考えられる。さらに、本開示によるR-T-B系焼結磁石の製造方法では、150℃ならびに180℃雰囲気下の磁気特性においても高いBが得ることができる。これはRとしてCeを用いた場合のR-T-B系焼結磁石のキュリー温度が150℃近傍であり,その温度域において磁化の低下が生じることに対して,RとしてLaを用いたばあいのR-T-B系焼結磁石のキュリー温度が260℃近傍と高いことが影響していると考えられる。これにより、拡散源にLaを使用しつつ、高いB及び高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることが可能となる。
本開示によるR-T-B系焼結磁石の製造方法は、図2に示すように、R-T-B系焼結磁石素材を準備する工程S10とR1-M系合金を準備する工程S20とを含む。R-T-B系焼結磁石素材を準備する工程S10とR1-M系合金を準備する工程S20との順序は任意である。
本開示によるR-T-B系焼結磁石の製造方法は、図2に示すように、更に、R-T-B系焼結磁石素材と前記R1-M系合金を真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上1100℃以下の温度で加熱し、R1およびMをR-T-B系焼結磁石素材内部に拡散させる拡散工程S30を含む。
なお、本開示において、拡散工程前および拡散工程中のR-T-B系焼結磁石を「R-T-B系焼結磁石素材」と称し、拡散工程後のR-T-B系焼結磁石を単に「R-T-B系焼結磁石」と称する。
(R-T-B系焼結磁石素材を準備する工程)
R-T-B系焼結磁石素材において、Rは希土類元素であり、Nd、PrおよびCeからなる群から選択された少なくとも1つを必ず含み、Rの含有量は、例えば、R-T-B系焼結磁石素材全体の27mass%以上35mass%以下である。TはFe、Co、Al、Mn、およびSiからなる群から選択された少なくとも1つであり、Tは必ずFeを含み、T全体に対するFeの含有量が80mass%以上である。
Rが27mass%未満では焼結過程で液相が十分に生成せず、焼結体を充分に緻密化することが困難になる可能性がある。一方、Rが35mass%を超えると焼結時に粒成長が起こり、HcJが低下する可能性がある。Rは28mass%以上33mass%以下であることが好ましい。
R-T-B系焼結磁石素材は例えば、以下の組成範囲を有する。
R:27~35mass%、
B:0.80~1.20mass%、
Ga:0~1.0mass%、
X:0~2mass%(XはCu、Nb、Alの少なくとも一種)、
T:60mass%以上を含有する。
好ましくは、R-T-B系焼結磁石素材において、Bに対するTのmol比[T]/[B]が14.0超15.0以下である。より高いHcJを得ることができる。本開示における[T]/[B]とは、Tを構成する各元素(Fe、Co、Al、MnおよびSiからなる群から選択された少なくとも1つであり、Tは必ずFeを含み、T全体に対するFeの含有量が80mass%以上)の分析値(mass%)をそれぞれの元素の原子量で除したものを求め、それらの値を合計したもの[T]と、Bの分析値(mass%)をBの原子量で除したもの[B]との比である。mol比[T]/[B]が14.0を超えるという条件は、主相(R14B化合物)形成に使われるT量に対して相対的にB量が少ないことを示している。mol比[T]/[B]は14.3以上15.0以下であることがさらに好ましい。さらに高いHcJを得ることができる。Bの含有量はR-T-B系焼結体全体の0.9mass%以上1.0mass%未満が好ましい。
R-T-B系焼結磁石素材は、Nd-Fe-B系焼結磁石に代表される一般的なR-T-B系焼結磁石の製造方法を用いて準備することができる。一例を挙げると、ストリップキャスト法等で作製された原料合金を、ジェットミルなどを用いて粒径D50が2.0μm以上4.5μm以下に粉砕した後、磁界中で成形し、900℃以上1100℃以下の温度で焼結することにより焼結体を作製して準備することができる。粒径D50が2.0μm以上4.5μm以下に粉砕することにより、高いBと高いHcJを得ることができる。好ましくは、粒径D50は、2.5μm以上3.5μm以下である。生産性の悪化を抑制した上で貴重なRHを削減しつつ、より高いBと高いHcJを得ることができる。なお、粒径D50は、気流分散法によるレーザー回折法で得られる粒度分布において、小径側からの積算粒度分布(体積基準)が50%になる粒径である。また、粒径D50は、例えば、Sympatec社製の粒度分布計測装置「HELOS&RODOS」を用いて、分散圧:4bar、測定レンジ:R2、計測モード:HRLDの条件にて測定することができる。
(R1-M系合金を準備する工程)
前記R1-M系合金において、R1はRHとRLからなり、RHはTbおよびDyの少なくとも一方であり、RLは、RH以外の希土類元素であり、NdおよびPrの少なくとも一方と、Laを必ず含み、MはBおよびCの少なくとも一方と、Al、Cu、Zn、Ga、Fe、Co、Niからなる群から選択された少なくとも1つを必ず含む。R1の含有量はR1-M合金全体の70mass%以上95mass%以下である。これにより高い磁気特性を得ることが出来る。また、R1中のLaの含有割合は5%以上40%未満である。ここで、本開示における「R1中のLaの含有割合」とは、R1中の質量%(mass%)対比でLaの割合を算出した値である。上述したようにR1-M系合金のR1にRHを含有させた上で、R1とMを拡散させると、RLとして、NdやPrの代わりにLaをR1中に5%以上40%未満含有させても磁気特性の低下が抑制されるため、高いB及び高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることができる。より高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得るには、R1中のLaの含有割合は5%以上30%以下である。この範囲であれば、Laを添加してもほとんど磁気特性が低下しない。また、より高いB及び高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得るためには、R1中のRHの含有割合は5%以上20%以下が好ましく、R1中のNdおよびPrの少なくとも一方の合計含有割合は25%以上%90%以下が好ましい。また、前記R1-M系合金のR1は、Prを必ず含み、前記R1中のPrの含有割合は25%以上90%以下であることが好ましい。さらに、R1中は、RH、PrおよびLaの合計含有割合が50%以上であることがさらに好ましい。
また、Mは、BおよびCの少なくとも一方と,Al、Cu、Zn、Ga、Fe、Co、Niからなる群から選択された少なくとも1つである。Mの含有量はR1-M合金全体の5mass%以上30mass%以下である。好ましくは、Mの含有量は、R1-M系合金全体の7mass%以上15mass%以下である。より高いHcJを得ることができる。また、MはCuおよびGaの少なくとも一方を含有した方が好ましく、CuおよびGaの両方を含有した方がさらに好ましい。前記M中のCuおよびGaの合計含有割合は80%以上95%未満であることが好ましい。CuおよびGaを含有することで、より高いHcJを得ることができる。M中のBおよびCの合計含有割合は5%以上20%未満である。BおよびCの少なくとも一方を5%以上20%未満含有することで、安定して高い磁気特性を得ることができる。好ましくは,前記R1―M系合金のMは、Bを必ず含み,前記M中のBの含有割合は5%以上15%未満である。M中のBの含有割合を5%以上15%未満にすることにより,より安定して高い磁気特性を得ることができる。
R1-M系合金の典型例は、TbNdPrLaCu合金、TbNdLaGa合金、TbPrLaGa合金などである。上記元素の他にMn、O、C、N等の不可避不純物等の元素を少量含有してもよい。
R1-M系合金の作製方法は、特に限定されない。ロール急冷法によって作製してもよいし、鋳造法で作製してもよい。また、これらの合金を粉砕して合金粉末にしてもよい。遠心アトマイズ法、回転電極法、ガスアトマイズ法、プラズマアトマイズ法などの公知のアトマイズ法で作製してもよい。
(拡散工程)
前述の方法によって準備した前記R-T-B系焼結磁石素材と前記R1-M系合金を真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上1100℃以下の温度で加熱し、R1およびMをR-T-B系焼結磁石素材内部に拡散させる拡散工程を行う。これにより、R1-M系合金からR1およびMを含む液相が生成し、その液相がR-T-B系焼結磁石素材中の粒界を経由して焼結素材表面から内部に拡散導入される。
拡散工程における加熱する温度が700℃未満であると、R1およびMを含む液相量が少なすぎて高いHcJを得ることができない可能性がある。一方、1100℃を超えるとHcJが大幅に低下する可能性がある。好ましくは、拡散工程における加熱する温度は800℃以上1000℃以下である。より高いHcJを得ることができる。また、好ましくは、拡散工程(700℃以上1100℃以下)が実施されたR-T-B系焼結磁石に対し、拡散工程を実施した温度から15℃/分以上の冷却速度で300℃まで冷却した方が好ましい。より高いHcJを得ることができる。
拡散処理工程は、R-T-B系焼結磁石素材表面に、任意形状のR1-M系合金を配置し、公知の熱処理装置を用いて行ってもよい。例えば、R-T-B系焼結磁石素材表面をR1-M合金の粉末層で覆い、熱処理を行うことができる。例えば、R1-M系合金を分散媒中に分散させたスラリーをR-T-B系焼結磁石素材表面に塗布した後、分散媒を蒸発させR1-M系合金とR-T-B系焼結磁石素材とを接触させてもよい。この場合、拡散工程におけるR-T-B系焼結磁石素材へのR1-M系合金の付着量は1mass%以上6mass%以下が好ましく、さらに好ましくは、R-T-B系焼結磁石素材へのR1-M系合金の付着量は1.5mass%以上3mass%以下である。より高いHcJを得ることができる。なお、分散媒として、アルコール(エタノール等)、アルデヒドおよびケトンを例示できる。また、重希土類元素RHは、R1-M合金からだけでなく、R1-M系合金と共に重希土類元素RHのフッ化物、酸化物、酸フッ化物等をR-T-B系焼結磁石表面に配置することにより重希土類元素RHを導入してもよい。すなわち、重希土類元素RHと共に軽希土類元素RLおよびMを同時に拡散させることができればその方法は特に問わない。重希土類元素RHのフッ化物、酸化物、酸フッ化物としては、例えば、TbF 、DyF 、Tb 、Dy 、TbOF、DyOFが挙げられる。
(熱処理を実施する工程)
好ましくは、拡散工程が実施されたR-T-B系焼結磁石に対して、真空又は不活性ガス雰囲気中、400℃以上750℃以下で、かつ、前記拡散工程で実施した温度よりも低い温度で熱処理を行う。熱処理を行うことにより、より高いHcJを得ることができる。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
[R-T-B系焼結磁石素材を準備する工程]
表1に示すR-T-B系焼結磁石素材の組成になるように各元素を秤量し、ストリップキャスト法により原料合金を作製した。得られた各合金を水素粉砕法により粗粉砕し粗粉砕粉を得た。次に、前記粗粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を粗粉100mass%に対して0.035mass%添加し混合した。潤滑剤を含有した粗粉砕粉をジェットミルにより微粉砕を行った。粉砕により粒径D50:3.0μmの微粉末を得た。D50は、Sympatec社製の粒度分布計測装置「HELOS&RODOS」を用いて、分散圧:4bar、測定レンジ:R2、計測モード:HRLDの条件にて測定した。
得られたれた微粉砕粉に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を微粉砕粉100mass%に対して0.05mass%添加、混合した後に磁界中で成形し成形体を得た。なお、成形装置には、磁界印加方向と加圧方向とが直交するいわゆる直角磁界成形装置(横磁界成形装置)を用いた。得られた成形体を、真空中で4時間焼結(焼結による緻密化が十分起こる温度を選定)した後、急冷し、R-T-B系焼結磁石素材を得た。得られたR-T-B系焼結磁石素材の密度は7.5Mg/m以上であった。
得られたR-T-B系焼結磁石素材の成分を求めるために、Nd、Pr、Fe、Dy、Tb、Co、Al、Ga、Cu、Zr、Bの含有量を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)により測定した。なお、R-T-B系焼結磁石素材の酸素量はガス融解―赤外線吸収法、窒素量はガス融解―熱伝導法、炭素量は焼結―赤外線吸収法、によるガス分析装置を使用して測定した。なお、R-T-B系焼結磁石素材の成分は合計で100mass%にならない場合がある。これは、上述したように測定方法が異なるためと、不可避的不純物で他の元素を含有する場合があるからである。なお、TREは、Nd、Pr、Dyの合計値である。
Figure 2023138369000002
[R1-M系合金を準備する工程]
表2のNo.1-A~1-Fに示すようなR1-M系合金の組成になるように、各元素を秤量し、それらの原料を溶解して、単ロール超急冷法によりリボンまたはフレーク状の合金を得た。得られたR1-M系合金の組成を表2に示す。なお、表2における各成分は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法を使用して測定した。
Figure 2023138369000003
[拡散工程]
表1のNo.1~2のR-T-B系焼結磁石素材を切断、切削加工し、7.2mm角の立方体にした。加工後のR-T-B系磁石素材にディッピング法により粘着剤としてPVAをR-T-B系磁石素材の全面に塗布した。次に表3に示す作製条件で粘着剤を塗布したR-T-B系焼結磁石素材の全面にR1-M系合金を付着させた。なお、R1-M系合金付着量は、乳鉢を用いてR1-M系合金をアルゴン雰囲気中で粉砕した後、目開き45~1000μmの数種類の篩を通過させ、粒度の異なるR1-M系合金を用いることにより調整した。付着量は2mass%又は3mass%前後とした。そして、真空熱処理炉を用いて、100Paに制御した減圧アルゴン雰囲気中で、表3の拡散工程に示す条件でR1-M系合金およびR-T-B系焼結磁石素材を加熱した後、冷却した。
[熱処理を実施する工程]
前記拡散工程で加熱したR-T-B系焼結磁石素材に対し、真空熱処理炉を用いて100Paに制御した減圧アルゴン中にて500℃の加熱する熱処理を行った。熱処理後の各サンプルに対し表面研削盤を用いて、全面を切削加工し、7.0mm×7.0mm×7.0mmの立方体形状のサンプル(R-T-B系焼結磁石)を得た。なお、拡散工程におけるR1-M系合金およびR-T-B系焼結磁石素材の加熱温度、ならびに、拡散工程後の熱処理を実施する工程におけるR-T-B系焼結磁石の加熱温度は、それぞれ熱電対を用いて測定した。
Figure 2023138369000004
[サンプル評価1]
得られたサンプルを、B-Hトレーサによって残留磁束密度Bおよび保磁力HcJを測定した。結果を表3に示す。表3に示すよう、R1-M系合金にCeを添加した比較例(試料No.1-5~1-6、1-11~1-12)は、LaやCeを添加しないR1-M系合金を用いた試料No.1-1、(基準1)、試料No.1-7(基準2)と比べてCe添加量が多くなるにつれてそれぞれ大きくHcJが低下した。これに対して、Laを添加した本発明例(1-2~1-3、1-8~1-9)は、LaやCeを添加しないR1-M系合金を用いた試料No.1-1(基準1)、1-7(基準2)に対して、本発明例のNo.1-2、1-3、1-7、1-8ではBの低下はなく、HcJの低下量も基準特性の10%未満であり、Laを添加してもほとんど磁気特性は低下していない。また、本発明例の1-2、1-3、1-8、1-9とCeを添加した比較例(1-5、1-6、1-10、1-11)と比べると、CeよりもLaの方が置換を高くしても磁気特性の低下が大きく抑制されている。
[サンプル評価2]
得られたサンプルの150℃雰囲気下での磁気特性を評価した。150℃雰囲気下測定結果を表4に示す。表4に示すように、R1-M系合金にCeを添加した比較例(試料No.1-5~1-6)は、LaやCeを添加しないR1-M系合金を用いた試料No.1-1、(基準1)と比べてCe添加量が多くなるにつれて大きくHcJが低下した。これに対してLaを添加した本発明例(1-2、1-3)はLaやCeを添加しないR1-M系合金を用いた試料No.1-1(基準1)に対して150℃雰囲気下でもHcJ低下量は基準特性の10%未満であり、さらにBは増加していた。さらに、La添加したR1-M系合金を多く付着させた本発明例(試料No.1-8、1-9)においても試料No.1-7(基準2)に対して150℃雰囲気下でもHcJ低下量は基準特性の10%未満であり、Bも増加していた。
[サンプル評価3]
得られたサンプルの180℃雰囲気下での磁気特性を評価した。180℃雰囲気下測定結果を表4に示す。表4に示すように、R1-M系合金にCeを添加した比較例(試料No.1-5~1-6)は、LaやCeを添加しないR1-M系合金を用いた試料No.1-1、(基準1)と比べてCe添加量が多くなるにつれて大きくHcJが低下した。これに対してLaを添加した本発明例(1-2、1-3)はLaやCeを添加しないR1-M系合金を用いた試料No.1-1(基準1)に対して180℃雰囲気下でもHcJ低下量は基準特性の10%未満であり、さらにBは増加していた。さらに、La添加したR1-M系合金を多く付着させた本発明例(試料No.1-8、1-9)においても試料No.1-7(基準2)に対して180℃雰囲気下でもHcJ低下量は基準特性の10%未満であり、Bも増加していた。
Figure 2023138369000005
Figure 2023138369000006

Claims (6)

  1. R-T-B系焼結磁石素材(Rは希土類元素であり、Nd、PrおよびCeからなる群から選択された少なくとも1つを必ず含み、TはFe、Co、Al、Mn、およびSiからなる群から選択された少なくとも1つであり、必ずFeを含む)を準備する工程と、
    R1-M系合金(R1はRHとRLからなり、RHはTbおよびDyの少なくとも一方であり、RLは、RH以外の希土
    類元素であり、NdおよびPrの少なくとも一方と、Laを必ず含み、MはBおよびCの少なくとも一方と、Al、Cu、Zn、Ga、Fe、Co、Niからなる群から選択された少なくとも1つを必ず含む)を準備する工程と、
    前記R-T-B系焼結磁石素材と前記R1-M系合金を真空又は不活性ガス雰囲気中、700℃以上1100℃以下の温度で加熱し、R1およびMをR-T-B系焼結磁石素材内部に拡散させる拡散工程と、を含み、
    前記R1-M系合金における、R1の含有量はR1-M系合金全体の70mass%以上95mass%以下であり、R1中のLaの含有割合は5%以上40%未満であり、Mの含有量はR1-M系合金全体の5mass%以上30mass%以下であり、M中のBおよびCの合計含有割合は5%以上20%未満である、
    R-T-B系焼結磁石の製造方法。
  2. 前記R1-M系合金における、R1中のLaの含有割合は5%以上30%以下である、
    請求項1に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
  3. 前記R1-M系合金における、R1中のRHの含有割合は5%以上20%以下であり、R1中のNdおよびPrの少なくとも一方の合計含有割合は25%以上%90%以下である、請求項1に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
  4. 前記R1-M系合金のMは、CuおよびGaの少なくとも一方を必ず含み、前記M中のCuおよびGaの合計含有割合は80%以上95%未満である、請求項1または2に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
  5. 前記R1-M系合金のR1は、Prを必ず含み、前記R1中のPrの含有割合は25%以上95%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
  6. 前記R1-M系合金のMは、Bを必ず含み、前記M中のBの含有割合は5%以上15%未満である、請求項1または2に記載のR-T-B系焼結磁石の製造方法。
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