JP2023138332A - 環状オレフィン系樹脂組成物、成形体及び光学部品 - Google Patents

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悠也 濱田
Yuya Hamada
誠二郎 小坂
Seijiro Kosaka
健太郎 松本
Kentaro Matsumoto
咲里 田中
Sari Tanaka
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Abstract

【課題】光透過性及び耐湿熱性に優れ、さらに金型汚れを低減させながら成形体を形成できる環状オレフィン系樹脂組成物を提供する。【解決手段】環状オレフィン系共重合体(A)と、一般式(i)で表される没食子酸エステル(B1)及び/又は一般式(ii)で表される没食子酸エステル誘導体(B2)と、を含有する、環状オレフィン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂組成物、成形体及び光学部品に関する。
環状オレフィン系共重合体樹脂組成物は光学性能に優れるため、例えば、光学レンズ等の光学部品として用いられている。
光学部品に用いられる環状オレフィン系樹脂組成物に関する技術としては、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、ジグリセリン脂肪酸エステルを含む環状オレフィン系樹脂組成物が開示されている。特許文献1には、このような環状オレフィン系樹脂組成物を用いると、光学性能に優れ、かつ高温高湿条件下における光学性能の劣化が抑制される成形体が得られると記載されている。
特開2015-199939号公報
近年、環状オレフィン系共重合体には、優れた光学特性は勿論、従来よりもさらに過酷な湿熱環境下での耐久性が求められている。また、環状オレフィン系樹脂組成物を用いてレンズ等の成形体を成形する際、添加剤の揮発やブリードにより金型が汚染されてしまうという問題もあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光透過性及び耐湿熱性に優れ、さらに金型汚れを低減させながら成形体を形成できる環状オレフィレン系共重合体を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示す環状オレフィン系樹脂組成物、成形体及び光学部品が提供される。
[1]
環状オレフィン系共重合体(A)と、
一般式(i)で表される没食子酸エステル(B1)及び/又は一般式(ii)で表される没食子酸エステル誘導体(B2)と、
を含有する、環状オレフィン系樹脂組成物。
Figure 2023138332000001
上記一般式(i)において、RB1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示す。
また、RB1は、置換基を有していてもよい。
Figure 2023138332000002
上記一般式(ii)において、RB2は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示す。
また、RB2は、置換基を有していてもよい。
[2]
上記[1]に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
上記環状オレフィン系共重合体(A)が、
以下一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、
以下一般式(II)で表される繰り返し単位(AA)、以下一般式(III)で表される繰り返し単位(AB)および以下一般式(IV)で表される繰り返し単位(AC)からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンモノマー由来の繰り返し単位(b)と、
を有する、環状オレフィン系樹脂組成物。
Figure 2023138332000003
上記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
Figure 2023138332000004
上記一般式(II)において、
uは0または1であり、
vは0または正の整数であり、
wは0または1であり、
61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
75~R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2023138332000005
上記一般式(III)において、
xおよびdはそれぞれ独立に、0または1以上の整数であり、
yおよびzはそれぞれ独立に、0、1または2であり、
81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基若しくは炭素原子数3~15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、
89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、
またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 2023138332000006
上記一般式(IV)において、
100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基を示し、
fは1≦f≦18である。
[3]
上記[2]に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
上記環状オレフィン系共重合体(A)が、
上記一般式(II)で表される繰り返し単位(AA)および
芳香環を有する環状オレフィンから導かれる構成単位(C)を含み、
上記繰り返し単位(AA)が芳香環を含まず、
上記芳香環を有する環状オレフィンが、以下一般式(C-1)で示される化合物、以下一般式(C-2)で示される化合物、および以下一般式(C-3)で示される化合物からなる群から選択される一種または二種以上を含む、環状オレフィン系樹脂組成物。
Figure 2023138332000007
上記一般式(C-1)において、
nおよびqはそれぞれ独立に0、1または2であり、
~R17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、
10~R17のうち一つは結合手であり、
またq=0のときR10とR11、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
またq=1または2のときR10とR11、R11とR17、R17とR17、R17とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR16、R16とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、
上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
Figure 2023138332000008
上記一般式(C-2)において、
nおよびmはそれぞれ独立に、0、1または2であり、
qは1、2または3であり、
18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、
またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
Figure 2023138332000009
上記一般式(C-3)において、
qは1、2または3であり、
32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、
またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、
また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
[4]
上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
上記没食子酸エステル(B1)及び/又は上記没食子酸エステル誘導体(B2)が炭素数8~22のアルキル基を有する、環状オレフィン系樹脂組成物。
[5]
上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、
上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)の合計含有量が、0.5質量部以上2.0質量部以下である、環状オレフィン系樹脂組成物。
[6]
上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の環状オレフィン系樹脂組成物を含む成形体。
[7]
上記[6]に記載の成形体を含む光学部品。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物は、上記構成を備えることにより、光透過性及び耐湿熱性に優れ、さらに金型汚れを低減させながら成形体を形成可能である。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。
本実施形態では、数値範囲を示す「A~B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
本実施形態において、アルキル基等の基が「置換基を有する」ことは、特に断りがなければ、その構造中に存在する水素原子が置換基で置換されていることを意味する。置換基の位置および置換基の数は特に限定されない。なお、置換基が炭素原子を有する場合、置換基を有する基の炭素数には置換基の炭素原子の数は含まれない。たとえば、フェニル基を置換基として有するエチル基の場合、炭素数2のアルキル基とみなす。
[環状オレフィン系樹脂組成物]
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物は、
環状オレフィン系共重合体(A)と、
没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)と、
を含有する。
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物により上述の効果が発現する詳細なメカニズムは明らかではないが、以下のメカニズムが推測される。7
没食子酸エステル(B1)及び没食子酸エステル誘導体(B2)は、それぞれ、環状オレフィン系共重合体と相溶性が良い構造を有している。これにより、没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)と、環状オレフィン共重合体と、が相溶するため、通常の環境下はもちろん、湿熱環境下であっても樹脂組成物の透明性が損なわれず、光透過性及び耐湿熱性が良好になるものと推測される。
また、没食子酸エステル(B1)及び没食子酸エステル誘導体(B2)は、それぞれ、樹脂組成物中の水分子を分散させることができる基である水酸基を有している。これにより、湿熱環境下での樹脂組成物中の水の凝集が抑制されるため、水の凝集によるクラック発生が抑制され、耐湿熱性が良好になるものと推測される。
また、没食子酸エステル(B1)又は没食子酸エステル誘導体(B2)は、環状オレフィン系共重合体(A)との相溶性に優れること、成形時に揮発しづらいことなど複数の要因により、金型汚れが抑制されるものと推測される。
<各成分>
以下、本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物が含有する各成分について詳細に説明する。
(環状オレフィン系共重合体(A))
本実施形態にかかる環状オレフィン系共重合体(A)は、環状オレフィンに由来する構造単位を必須の構造単位とする重合体である。
本実施形態にかかる環状オレフィン系共重合体(A)を構成する環状オレフィン化合物は特に限定はされないが、例えば、国際公開第2006/118261号の段落0037~0063に記載の環状オレフィンモノマー等を挙げることができる。
以下、本実施形態にかかる環状オレフィン系共重合体(A)として好適な態様について説明する。
環状オレフィン系共重合体(A)は、好適には、
以下一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、
以下一般式(II)で表される繰り返し単位(AA)、以下一般式(III)で表される繰り返し単位(AB)および以下一般式(IV)で表される繰り返し単位(AC)からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンモノマー由来の繰り返し単位(b)と、
を有する。
これにより、光透過性及び耐湿熱性を向上させることができる。
また、これにより、環状オレフィン系共重合体(A)の溶媒への溶解性がより向上するため成形性が良好となり、製品の歩留まりを向上させることができる。
以下、上記一般式(I)~(IV)について説明する。
Figure 2023138332000010
上記一般式(I)において、
300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
上記一般式(I)で表される構造単位には、下記一般式(Ia)で表されたオレフィンモノマーが対応する。すなわち、下記一般式(Ia)で表されたオレフィンモノマーが付加重合して上記一般式(I)で表される構造単位を形成する。
Figure 2023138332000011
上記一般式(Ia)において、
300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
上記一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン及び1-エイコセン等が挙げられる。
光透過性及び耐湿熱性をさらに向上させることができるという観点から、これらのなかでも、エチレンとプロピレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
上記一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマーは2種類以上を用いてもよい。
Figure 2023138332000012
上記一般式(II)において、
uは0または1であり、
vは0または正の整数であり、
wは0または1であり、
61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
75~R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
上記一般式(II)で表される構造単位には、下記一般式(IIa)で表されたオレフィンモノマーが対応する。すなわち、下記一般式(IIa)で表されたオレフィンモノマーが付加重合して上記一般式(II)で表される構造単位を形成する。
Figure 2023138332000013
上記一般式(IIa)において、
uは0または1であり、
vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、
wは0または1であり、
61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
75~R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
具体的に、
炭素原子数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基等が挙げられ;
炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基としては、炭素原子数1~20のアルキル基として列挙した基のハロゲン化したもの等が挙げられ;
炭素数3~15のシクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ;
炭素数6~20の芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基及びフェニルエチル基等のアリール基並びにアラルキル基等が挙げられる。
一般式(IIa)で表される環状オレフィンモノマーの具体例としては、国際公開第2006/118261号の段落0037~0063に記載の化合物が挙げられる。
上記一般式(IIa)で表される環状オレフィンモノマーとして、
好適には、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(ノルボルネンとも呼ぶ。)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)が挙げられ、
より好適には、テトラシクロドデセンが挙げられる。
これらの環状オレフィンモノマーには、剛直な環構造を有するため共重合体および成形体の弾性率が保持され易くなる利点がある。
上記一般式(IIa)で表されるオレフィンモノマーは2種類以上を用いてもよい。
Figure 2023138332000014
上記一般式(III)において、
xおよびdは、それぞれ独立に、0または1以上の整数であり、
yおよびzは、それぞれ独立に、0、1または2であり、
81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基若しくは炭素原子数3~15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、
89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、
またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
上記一般式(III)で表される構造単位には、下記一般式(IIIa)で表されたオレフィンモノマーが対応する。すなわち、下記一般式(IIIa)で表されたオレフィンモノマーが付加重合して上記一般式(III)で表される構造単位を形成する。
Figure 2023138332000015
上記一般式(IIIa)において、
xおよびdは0または1以上の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、
yおよびzは0、1または2であり、
81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基若しくは炭素原子数3~15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、
89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、
またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
具体的に、
炭素原子数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基等が挙げられ;
炭素数3~15のシクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ;
炭素数6~20の芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基及びフェニルエチル基等のアリール基並びにアラルキル基等が挙げられ;
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基及びプロピルオキシ基等が挙げられる。
一般式(IIIa)で表される環状オレフィンモノマーの具体例としては、国際公開第2006/118261号の段落0037~0063に記載の化合物が挙げられる。
上記一般式(IIIa)で表されるオレフィンモノマーは2種類以上を用いてもよい。
Figure 2023138332000016
上記一般式(IV)において、
100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基を示し、
fは1≦f≦18である。
上記一般式(IV)で表される構造単位には、下記一般式(IVa)で表されたオレフィンモノマーが対応する。すなわち、下記一般式(IVa)で表されたオレフィンモノマーが付加重合して上記一般式(IV)で表される構造単位を形成する。
Figure 2023138332000017
上記一般式(IVa)において、
100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基を示し、
fは1≦f≦18である。
具体的に、炭素原子数1~5の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基等が挙げられる。
一般式(IVa)で表される環状オレフィンモノマーの具体例としては、国際公開第2006/118261号の段落0037~0063に記載の化合物が挙げられる。
上記一般式(IVa)で表されるオレフィンモノマーは2種類以上を用いてもよい。
本実施形態にかかる環状オレフィン系共重合体(A)は、さらに好適には、
上記一般式(II)で表される繰り返し単位(AA)および
芳香環を有する環状オレフィンから導かれる構成単位(C)を含み、
上記繰り返し単位(AA)が芳香環を含まず、
上記芳香環を有する環状オレフィンが、以下一般式(C-1)で示される化合物、以下一般式(C-2)で示される化合物、および以下一般式(C-3)で示される化合物からなる群から選択される一種または二種以上を含む。
以下、上記一般式(C-1)~(C-3)について説明する。
Figure 2023138332000018
上記一般式(C-1)において、
nおよびqはそれぞれ独立に0、1または2であり、
nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましく、
qは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましく、
~R17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、
10~R17のうち一つは結合手であり、R15が結合手であることが好ましく、
~R17はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましく、
q=0のとき、R10とR11、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
q=1または2のとき、R10とR11、R11とR17、R17とR17、R17とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR16、R16とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、
上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
炭素原子数1~20の炭化水素基として、具体的には、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基等のアルキル基;
シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;
フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基及びフェニルエチル基等のアリール基並びにアラルキル基等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
これらの基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記一般式(C-1)で表されるオレフィンモノマーは2種類以上を用いてもよい。
上記一般式(C-1)の中でも、一般式(C-1A)で示される化合物が好ましい。一般式(C-1A)の各置換基は、上記一般式(C-1)の定義と同様である。
Figure 2023138332000019
Figure 2023138332000020
上記一般式(C-2)において、
nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、
mは0または1であることが好ましく、1であることがより好ましく、
nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましく、
qは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましく、
18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、
18~R31はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましく、
q=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
q=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
炭素原子数1~20のアルキル基として、具体的には、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基等が挙げられ;
炭素数3~15のシクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ;
炭素数6~20の芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基及びフェニルエチル基等のアリール基並びにアラルキル基等が挙げられる。
これらの基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記一般式(C-2)で表される環状オレフィンモノマーとして、好適には、q=1であるものが挙げられる。
q=1である場合、ベンゼン環を一つ有するため、二つ以上のベンゼン環を有する場合と比べて着色しにくい樹脂組成物が得られやすくなるという利点を有する。
上記一般式(C-2)で表される環状オレフィンモノマーとして、
より好適には、ベンゾノルボルナジエン、インデンノルボルネン及びメチルフェニルノルボルネンから選択される少なくとも一種が挙げられ、
特に好適には、ベンゾノルボルナジエンが挙げられる。
ベンゾノルボルナジエンは、樹脂組成物の屈折率を高くできるという利点を有する。
上記一般式(C-2)で表されるオレフィンモノマーは2種類以上を用いてもよい。
Figure 2023138332000021
上記一般式(C-3)において、
qは1、2または3であり、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましく、
32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、
32~R39はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましく、
q=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
q=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、
上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
炭素原子数1~20のアルキル基として、具体的には、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基等が挙げられ;
炭素数3~15のシクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ;
炭素数6~20の芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基及びフェニルエチル基等のアリール基並びにアラルキル基等が挙げられる。
これらの基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記一般式(C-3)で表されるオレフィンモノマーは2種類以上を用いてもよい。
本実施形態にかかる環状オレフィン系共重合体(A)における、一般式(I)で表される構造単位の合計含有量は、好ましくは5モル%以上95モル%以下、より好ましくは20モル%以上90モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上85モル%以下、特に好ましくは50モル%以上80モル%以下である。
本実施形態にかかる環状オレフィン系共重合体(A)における、一般式(II)~(IV)で表される構造単位の合計含有量は、好ましくは5モル%以上95モル%以下、より好ましくは10モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上60モル%以下、特に好ましくは20モル%以上50モル%以下である。
なお、構造単位の含有量は、13C-NMRによって測定することができる。
環状オレフィン系共重合体(A)の共重合タイプは特に限定されず、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等を挙げることができるが、透明性、屈折率および複屈折率等の光学物性に優れ、高精度の光学部品を得ることができる観点から、ランダム共重合体を用いることが好適である。
環状オレフィン系共重合体(A)のランダム共重合体として、
好適には、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとのランダム共重合体、エチレンとビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンとのランダム共重合体又はエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとベンゾノルボルナジエンとのランダム共重合体が挙げられ、
より好適には、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとのランダム共重合体又はエチレンとテトラシクロ[[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとベンゾノルボルナジエンとのランダム共重合体が挙げられる。
本実施形態において、環状オレフィン系共重合体(A)は1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
環状オレフィン系共重合体(A)は、例えば、特開昭60-168708号公報、特開昭61-120816号公報、特開昭61-115912号公報、特開昭61-115916号公報、特開昭61-271308号公報、特開昭61-272216号公報、特開昭62-252406号公報、特開昭62-252407号公報等の方法に従い適宜条件を選択することにより製造することができる。
ASTM D1238に準拠し、260℃、荷重2.16kgで測定される環状オレフィン系共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)の下限値は、環状オレフィン系共重合体(A)の加工性や製造の容易さ等の観点から、好ましくは5g/10分以上であり、より好ましくは8g/10分以上であり、さらに好ましくは10g/10分以上である。
また、環状オレフィン系共重合体(A)のMFRの上限値は、例えば100g/10分以下である。
環状オレフィン系共重合体(A)のMFRは、重合反応の際のエチレンフィード量に対する水素フィード量の比等を調整することにより、調整することができる。
環状オレフィン系共重合体(A)中には炭素-炭素二重結合は含まれないことが好ましいが、含む場合は、環状オレフィン系重合体(A)100g中に0.5g以下であることが好ましい。炭素-炭素二重結合を実質的に含まないことにより樹脂組成物の劣化を抑制できるため、好ましい。
環状オレフィン系共重合体(A)中の炭素-炭素二重結合の含有量は、JIS K0070:1992に従い、ヨウ素価法(滴定法)で求められる。
環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。これにより、成形体を車載カメラレンズや携帯機器用カメラレンズ等の耐熱性が求められる光学部品として使用する際に、十分な耐熱性を得ることができる。
環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、170℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましい。これにより、良好な成形性を得ることができる。
環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、100℃以上170℃以下の範囲にあることが好ましく、110℃以上160℃以下の範囲であることがより好ましい。これにより、十分な耐熱性を得ることができるとともに、良好な成形性を得ることができる。
本実施形態にかかる環状オレフィン系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、例えば、SIIナノテクノロジー社製RDC220を用いて窒素雰囲気下で常温から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した後に5分間保持し、次いで10℃/分の降温速度で30℃まで降温した後に5分保持し、次いで10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する際にガラス転移温度を測定することができる。
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物中の環状オレフィン系共重合体(A)の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物中の環状オレフィン系共重合体(A)の含有量は、通常99.5質量%以下であり、好ましくは99.0質量%以下である。
(没食子酸エステル(B1)及び没食子酸エステル誘導体(B2))
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物は、没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)を含有する。
没食子酸エステル(B1)は、没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)とアルコールとが反応して生成されるエステルである。
没食子酸エステル(B1)は、一般式(i)で表される。
Figure 2023138332000022
一般式(i)において、RB1は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミトイル基もしくはステアリル基等のアルキル基;プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基もしくはオレイル基等のアルケニル基;プロピニル基もしくはイソプロピニル基等のアルキニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボニル基、ビシクロノニル基もしくはトリシクロデカン基等の脂環族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基もしくはアントラセニル基等の芳香族炭化水素基;またはフラニル基、ピロリル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、ピリジニル基もしくはピリミニル基等の芳香族複素環基;を示す。
また、RB1は、置換基を有していてもよい。
一般式(i)において、RB1は、好適にはアルキル基であり、より好適には炭素数8~22のアルキル基であり、より好適には炭素数11~18のアルキル基である。
没食子酸エステル(B1)は、没食子酸ラウリル(アルキル基の炭素数12)又は没食子酸ステアリル(アルキル基の炭素数18)であることが特に好ましい。
没食子酸エステル誘導体(B2)は、上記の没食子酸エステル(B1)の芳香環に水素を付加したものであり、一般式(ii)で表される。
Figure 2023138332000023
一般式(ii)において、RB2は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミトイル基もしくはステアリル基等のアルキル基;プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基もしくはオレイル基等のアルケニル基;プロピニル基もしくはイソプロピニル基等のアルキニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボニル基、ビシクロノニル基もしくはトリシクロデカン基等の脂環族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基もしくはアントラセニル基等の芳香族炭化水素基;またはフラニル基、ピロリル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、ピリジニル基もしくはピリミニル基等の芳香族複素環基;
を示す。
また、RB2は、置換基を有していてもよい。
一般式(ii)において、RB2は、好適にはアルキル基であり、より好適には炭素数8~22のアルキル基であり、より好適には炭素数11~18のアルキル基である。
没食子酸エステル(B1)の芳香環に水素を付加する方法としては、例えば、パラジウム触媒存在下で没食子酸エステル(B1)に水素添加をする方法が挙げられる。
没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)により高温高湿下でのクラック発生が抑制され、その結果としてヘイズの上昇が抑制されるものと推測される。
没食子酸エステル(B1)及び没食子酸エステル誘導体(B2)は環状オレフィン系共重合体と相溶性が良い構造を有し、さらに樹脂組成物中の水分子を分散させることができる水酸基を有している。すなわち、本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物においては、没食子酸エステル(B1)又は没食子酸エステル誘導体(B2)と環状オレフィン共重合体が相溶するため透明性が損なわれず、さらに高温高湿下での樹脂中の水の凝集が抑制されるため水の凝集によるクラック発生が抑制され、その結果としてヘイズの上昇が抑制されるものと推測される。
また、没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)を含有させた場合、樹脂組成物を成形する際の金型汚れを抑制することが可能である。
没食子酸エステル(B1)及び没食子酸エステル誘導体(B2)により、金型汚れが抑制されるメカニズムは明らかではないが、環状オレフィン系共重合体(A)と、没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)との相互作用により、成形中の意図せぬブリーディングや揮発が抑制されるものと推測される。
没食子酸エステル(B1)及び没食子酸エステル誘導体(B2)の分子量は、200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましい。これにより、成形中の意図せぬブリーディングや揮発を抑制することができる。
没食子酸エステル(B1)及び没食子酸エステル誘導体(B2)の分子量は、500以下であることが好ましく、450以下であることがより好ましい。これにより、環状オレフィン系共重合体(A)との相溶性を良好にすることができる。
没食子酸エステル(B1)及び没食子酸エステル誘導体(B2)の分子量は、200以上500以下の範囲であることが好ましく、250以上450以下の範囲であることがより好ましい。これにより、成形中の意図せぬブリーディングや揮発の抑制と、環状オレフィン系共重合体(A)との相溶性が両立される。
没食子酸エステル(B1)及び没食子酸エステル誘導体(B2)の、JIS K-7120:1987に準じて測定したTG/DTA測定における10%重量減少温度は、260℃以上であることが好ましく、265℃以上であることがより好ましい。これにより、成形中の意図せぬ揮発を抑制することができる。
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)の合計含有量は、好適には0.5質量部以上、より好適には0.7質量部以上、さらに好適には0.8質量部以上、さらに好適には1.0質量部以上、さらに好適には1.2質量部以上、さらに好適には1.4質量部以上である。これにより、高温高湿下におけるヘイズ値の上昇を抑制することが可能である。
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)の合計含有量は、好適には2.0質量部以下、より好適には1.8質量部以下、さらに好ましくは1.6質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下である。これにより、成形時における金型汚れを抑制することができる。
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)の合計含有量は、好適には0.5質量部以上2.0質量部以下であり、より好適には0.5質量部以上1.5質量部以下であり、さらに好適には1.0質量部以上1.5質量部以下である。これにより、成形中の意図せぬブリーディングや揮発の抑制と、成形時における金型汚れ抑制とが両立される。
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物は、上記没食子酸エステル(B1)を含有することが好ましい。
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、上記没食子酸エステル(B1)の含有量は、好適には0.5質量部以上、より好適には0.7質量部以上、さらに好適には0.8質量部以上、さらに好適には1.0質量部以上、さらに好適には1.2質量部以上、さらに好適には1.4質量部以上である。これにより、高温高湿下におけるヘイズ値の上昇を抑制することが可能である。
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、上記没食子酸エステル(B1)の含有量は、好適には2.0質量部以下、より好適には1.8質量部以下、さらに好ましくは1.6質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下である。これにより、成形時における金型汚れを抑制することができる。
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、上記没食子酸エステル(B1)の含有量は、好適には0.5質量部以上2.0質量部以下であり、より好適には0.5質量部以上1.5質量部以下であり、さらに好適には1.0質量部以上1.5質量部以下である。これにより、成形中の意図せぬブリーディングや揮発の抑制と、成形時における金型汚れ抑制とが両立される。
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物は、上記没食子酸エステル誘導体(B2)を含有することが好ましい。
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、上記没食子酸エステル誘導体(B2)の含有量は、好適には0.5質量部以上、より好適には0.7質量部以上、さらに好適には0.8質量部以上、さらに好適には1.0質量部以上、さらに好適には1.2質量部以上、さらに好適には1.4質量部以上である。これにより、高温高湿下におけるヘイズ値の上昇を抑制することが可能である。
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、上記没食子酸エステル誘導体(B2)の含有量は、好適には2.0質量部以下、より好適には1.8質量部以下、さらに好ましくは1.6質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下である。これにより、成形時における金型汚れを抑制することができる。
上記環状オレフィレン系共重合体(A)と、上記没食子酸エステル(B1)及び上記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、上記没食子酸エステル誘導体(B2)の含有量は、好適には0.5質量部以上2.0質量部以下であり、より好適には0.5質量部以上1.5質量部以下であり、さらに好適には1.0質量部以上1.5質量部以下である。これにより、成形中の意図せぬブリーディングや揮発の抑制と、成形時における金型汚れ抑制とが両立される。
(その他の成分)
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物は、環状オレフィン系共重合体(A)と、没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)以外に、本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物の良好な物性を損なわない範囲内で、任意成分として公知の添加剤を含有させることができる。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、二次抗酸化剤、滑剤、離型剤、防曇剤、耐候安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
<製造方法>
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物は、
環状オレフィン系共重合体(A)と、没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)を、押出機およびバンバリーミキサー等の公知の混練装置を用いて溶融混練する方法;
環状オレフィン系共重合体(A)と、没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)を、共通の溶媒に溶解した後、溶媒を蒸発させる方法;
環状オレフィン系共重合体(A)と、没食子酸エステル(B1)及び/又は没食子酸エステル誘導体(B2)の溶液を、貧溶媒中に加えて析出させる方法;
等の方法により得ることができる。
<物性>
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物は、その成形体のヘイズが、3.0%未満であることが好ましく、2.0%未満であることがより好ましい。
成形体のヘイズの下限は特に制限されないが、通常0.01%以上である。
成形体のヘイズは、JIS K-7105に準じて測定される。
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物は、その成形体の湿熱試験後ヘイズ変化率が、6.0%未満であることが好ましく、2.0%未満であることがより好ましい。
成形体の湿熱試験後ヘイズ値は下記の手順により測定される。
(1)まず、JIS K-7105に準じて、成形体の内部ヘイズを測定し、湿熱試験前ヘイズ値を得る。
(2)次いで、成形体を、温度85℃、相対湿度95%の雰囲気下に48時間放置した。次いで、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気に取り出して48時間後に、JIS K-7105に準じて内部ヘイズを測定し、湿熱試験後ヘイズ値を得る。
(3)湿熱試験後ヘイズ値から湿熱試験前ヘイズ値を差し引き、湿熱試験後ヘイズ変化量を得る。
上記の測定には、射出成形機(ファナック社製、ROBOSHOT S2000i-30α)を用いて、シリンダー温度275℃、金型温度120℃の条件で、環状オレフィン系樹脂組成物を射出成形することにより得られる、光学面を持つ35mm×65mm×厚み3mmtの成形体を用いることができる。
<用途>
本実施形態にかかる環状オレフィン系樹脂組成物は、光学性能に優れている。そのため像を高精度に識別する必要がある光学系において、光学部品として好適に用いることができる。光学部品の具体例については後述する。
[成形体]
本実施形態にかかる成形体は、上記の環状オレフィン系樹脂組成物を含む。
本実施形態に係る環状オレフィン系樹脂組成物を成型して成形体を得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。その用途および形状にもよるが、例えば、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、パウダースラッシュ成形、カレンダー成形、発泡成形等が適用可能である。これらの中でも、成形性、生産性の観点から射出成形法が好ましい。また、成形条件は使用目的、または成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150℃~400℃、好ましくは200℃~350℃、より好ましくは230℃~330℃の範囲で適宜選択される。
[光学部品]
本実施形態にかかる光学部品は、上記の成形体を含む。
光学部品とは光学系機器等に使用される部品であり、具体的には、各種センサー用レンズ、ピックアップレンズ、プロジェクタレンズ、プリズム、fθレンズ、撮像レンズ、導光板、ヘッドマウントディスプレイ用レンズ等が挙げられ、本実施形態に係る効果の観点から、fθレンズ、撮像レンズ、センサー用レンズ、プリズムまたは導光板に好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明の実施形態を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明の実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[環状オレフィン系共重合体の合成]
<触媒溶液の調製>
エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C2H5)1.5Cl1.5)をシクロヘキサンで希釈し、有機アルミニウム化合物触媒溶液を調製した。
<重合>
攪拌式重合器において、上記方法によって調製された有機アルミニウム化合物触媒溶液を触媒として用いて、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(以下、「TD」ともいう)との共重合反応を行い、共重合体溶液を得た。ここで、エチレンは水素ガスとともに重合器内に供給した。
<脱灰>
得られた共重合体溶液に水および水酸化ナトリウム水溶液を添加し、重合反応を停止させるとともに、共重合体溶液中に存在する触媒残渣を除去(脱灰)した。脱灰した溶液に安定剤としてペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加し、攪拌槽で1時間混合した。
<脱溶媒>
安定剤を添加して混合した溶液を180℃に加熱し、溶媒と未反応モノマーを除去することにより、溶融状態の環状オレフィン系共重合体(A-1)を得た。
示差走査熱量計により測定された、環状オレフィン系共重合体(A-1)のガラス転移温度(Tg)は、161℃であった。
[環状オレフィン系樹脂組成物の調製]
(実施例1)
上記の溶融状態の環状オレフィン系共重合体(A-1)を、ベント付二軸混練押出機の樹脂装入部より装入した。次いで、揮発物を除去する目的でベント部分からトラップを介し真空ポンプで吸引しつつ、ベント部よりも下流側のシリンダー部に、下記式で示される没食子酸ラウリル(東京化成工業社製、JIS K-7120:1987に準じて測定した10%重量減少温度:300℃)を環状オレフィン系共重合体(A-1)100質量部に対して0.5質量部添加し、押出機のベント部より下流側で混錬した。この時、押出機ダイバーダー部で樹脂温度の最大値と最小値の差が3℃以内になるように押出機の条件を調整した。
Figure 2023138332000024
次いで、押出機出口に取り付けられたアンダーウォーターペレタイザーにより混練物をペレット化し、これを温度100℃の熱風にて4時間乾燥し、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
なお、重合器内の平均滞留時間から計算される樹脂量の3~5倍程度の樹脂を洗浄のために流し、その後サンプルを採取する操作を行うことにより、装置の洗浄を行った。なお、鉄原子(Fe)の混入を抑えるため、ポリマー製造設備にはステンレス製の配管や重合装置を用いた。
(実施例2)
没食子酸ラウリルの添加量を環状オレフィン系共重合体(A-1)100質量部に対して1.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
(実施例3)
没食子酸ラウリルの添加量を環状オレフィン系共重合体(A-1)100質量部に対して1.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
(実施例4)
没食子酸ラウリルの代わりに、下記式で示される没食子酸ステアリル(COMBI-BLOCKS社製、製品名:3,4,5-Trihydroxybenzoic acid stearyl ester、JIS K-7120:1987に準じて測定した10%重量減少温度:303℃)を添加したこと、そして、その添加量を環状オレフィン系共重合体(A-1)100質量部に対して1.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
Figure 2023138332000025
(実施例5)
<没食子酸ラウリルの核水素化>
オートクレーブに、没食子酸ラウリル(東京化成工業社製)、テトラヒドロフラン(富士フイルム和光純薬株式会社製、以下THFと記載する)、5wt%ロジウム/カーボン(エヌ・イーケムキャット社製)を装入した。オートクレーブ内を0.3MPa(ゲージ圧、以下同様)の窒素で3回置換した後、窒素圧9.0MPaにて10分間、漏れテストを行った。脱圧後、0.3MPaの水素で3回置換した。脱圧後、昇温を開始し、内温が100℃に到達した時点で、内圧8.0MPaとなるように水素を導入し、3時間反応を行った。室温に冷却後、脱圧し、さらに0.3MPaの窒素で3回置換した。ADVANTEC社製のメンブランフィルター(H020A047A)を使用して、加圧ろ過により反応液から触媒を分離した。エバポレーターによりTHFを除去し、さらに油回転真空ポンプを用いて室温で減圧乾燥し、没食子酸ラウリル水素化物を得た。
上記の方法により得られた没食子酸ラウリル水素化物の10%重量減少温度をJIS K-7120:1987に準じて測定したところ、280℃であった。
没食子酸ラウリルの代わりに、上記の方法により得られた没食子酸ラウリル水素化物を環状オレフィン系共重合体(A-1)に添加したこと、そして、その添加量を環状オレフィン系共重合体(A-1)100質量部に対して1.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
(実施例6)
没食子酸ラウリルの代わりに、上記の方法により得られた没食子酸ラウリル水素化物を環状オレフィン系共重合体(A-1)に添加したこと、そして、その添加量を環状オレフィン系共重合体(A-1)100質量部に対して2.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
(実施例7)
<没食子酸ステアリルの核水素化>
オートクレーブに、没食子酸ステアリル(COMBI-BLOCKS社製)、THF(富士フイルム和光純薬株式会社製)、5wt%ロジウム/カーボン(エヌ・イーケムキャット社製)を装入した。オートクレーブ内を0.3MPa(ゲージ圧、以下同様)の窒素で3回置換した後、窒素圧9.0MPaにて10分間、漏れテストを行った。脱圧後、0.3MPaの水素で3回置換した。脱圧後、昇温を開始し、内温が100℃に到達した時点で、内圧8.0MPaとなるように水素を導入し、3時間反応を行った。室温に冷却後、脱圧し、さらに0.3MPaの窒素で3回置換した。ADVANTEC社製のメンブランフィルター(H020A047A)を使用して、加圧ろ過により反応液から触媒を分離した。エバポレーターによりTHFを除去し、さらに油回転真空ポンプを用いて室温で減圧乾燥し、没食子酸ステアリル水素化物を得た。
上記の方法により得られた没食子酸ステアリル水素化物の10%重量減少温度をJIS K-7120:1987に準じて測定したところ、280℃であった。
没食子酸ラウリルの代わりに、上記の方法により得られた没食子酸ステアリル水素化物を環状オレフィン系共重合体(A-1)に添加したこと、そして、その添加量を環状オレフィン系共重合体(A-1)100質量部に対して1.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
(実施例8)
没食子酸ラウリルの代わりに、上記の方法により得られた没食子酸ステアリル水素化物を環状オレフィン系共重合体(A-1)に添加したこと、そして、その添加量を環状オレフィン系共重合体(A-1)100質量部に対して2.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
(比較例1)
没食子酸ラウリルを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
(比較例2)
没食子酸ラウリルの代わりに、下記式で示される2,3-Di-o-benzyl-d-glucopyranose(COMBI-BLOCKS社製、JIS K-7120:1987に準じて測定した10%重量減少温度:247℃)を添加したこと、その添加量を環状オレフィン系共重合体(A-1)100質量部に対して1.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂組成物を得た。
Figure 2023138332000026
[評価]
(成形体の作製)
射出成形機(ファナック社製、ROBOSHOT S2000i-30α)を用いて、シリンダー温度275℃、金型温度120℃の条件で、環状オレフィン系樹脂組成物を射出成形し、光学面を持つ35mm×65mm×厚み3mmtの成形体を得た。
(光透過性)
JIS K-7136に準じて、成形体の内部ヘイズを測定した。測定されたヘイズ値に基づいて、下記基準により光透過性を評価した。結果を表1に示す。
〇(良):2.0%未満
△(可):2.0%以上3.0%未満
×(不可):3.0%以上
(耐湿熱性)
(1)まず、JIS K-7136に準じて、成形体の内部ヘイズを測定し、湿熱試験前ヘイズ値を得た。
(2)次いで、成形体を、温度85℃、相対湿度95%の雰囲気下に48時間放置した。次いで、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気に取り出して48時間後に、JIS K-7136に準じて内部ヘイズを測定し、湿熱試験後ヘイズ値を得た。
(3)湿熱試験後ヘイズ値から湿熱試験前ヘイズ値を差し引き、湿熱試験後ヘイズ変化量を得た。得られた湿熱試験後ヘイズ変化量に基づいて、下記基準により耐湿熱性を評価した。結果を表1に示す。
〇(良):2.0%未満
△(可):2.0%以上6.0%未満
×(不可):6.0%以上
(金型汚れ)
金型として、レンズ部分の直径が6.0mm、レンズ部分の厚みが0.5mmの平板レンズを形成する金型を準備した。射出成形機(ファナック社製 ROBOSHOTO S200i―30α)を用い、シリンダー温度285℃、金型温度は105℃の条件で、上述の金型へ環状オレフィン系樹脂組成物を射出成形し、合計4500ショット成形し、汚れをデジタルマイクロスコープVHX-5000(キーエンス社製)で観察し、下記基準により評価した。結果を表1に示す。なお、評価未実施の場合は「-」で示す。
とても少ない(良):ゲート部分周辺にのみ汚れが認められる。
少ない(可):ゲートから反ゲートの中間部分にまで汚れが認められる。
多い(不可):反ゲート部分に至るまで、全体に汚れが認められる。
Figure 2023138332000027
実施例は、光透過性及び耐湿熱性に優れ、さらに金型汚れも少なかった。このことから、本実施形態の環状オレフィン系樹脂組成物は、光透過性及び耐湿熱性に優れ、さらに金型汚れを低減させながら成形体を形成できることがわかる。

Claims (7)

  1. 環状オレフィン系共重合体(A)と、
    一般式(i)で表される没食子酸エステル(B1)及び/又は一般式(ii)で表される没食子酸エステル誘導体(B2)と、
    を含有する、環状オレフィン系樹脂組成物。
    Figure 2023138332000028
    前記一般式(i)において、RB1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示す。
    また、RB1は、置換基を有していてもよい。
    Figure 2023138332000029
    前記一般式(ii)において、RB2は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示す。
    また、RB2は、置換基を有していてもよい。
  2. 請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
    前記環状オレフィン系共重合体(A)が、
    以下一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、
    以下一般式(II)で表される繰り返し単位(AA)、以下一般式(III)で表される繰り返し単位(AB)および以下一般式(IV)で表される繰り返し単位(AC)からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンモノマー由来の繰り返し単位(b)と、
    を有する、環状オレフィン系樹脂組成物。
    Figure 2023138332000030
    前記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
    Figure 2023138332000031
    前記一般式(II)において、
    uは0または1であり、
    vは0または正の整数であり、
    wは0または1であり、
    61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
    75~R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
    Figure 2023138332000032
    前記一般式(III)において、
    xおよびdはそれぞれ独立に、0または1以上の整数であり、
    yおよびzはそれぞれ独立に、0、1または2であり、
    81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基若しくは炭素原子数3~15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、
    89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、
    またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
    Figure 2023138332000033
    前記一般式(IV)において、
    100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基を示し、
    fは1≦f≦18である。
  3. 請求項2に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
    前記環状オレフィン系共重合体(A)が、
    前記一般式(II)で表される繰り返し単位(AA)および
    芳香環を有する環状オレフィンから導かれる構成単位(C)を含み、
    前記繰り返し単位(AA)が芳香環を含まず、
    前記芳香環を有する環状オレフィンが、以下一般式(C-1)で示される化合物、以下一般式(C-2)で示される化合物、および以下一般式(C-3)で示される化合物からなる群から選択される一種または二種以上を含む、環状オレフィン系樹脂組成物。
    Figure 2023138332000034
    前記一般式(C-1)において、
    nおよびqはそれぞれ独立に0、1または2であり、
    ~R17はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、
    10~R17のうち一つは結合手であり、
    またq=0のときR10とR11、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
    またq=1または2のときR10とR11、R11とR17、R17とR17、R17とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16、R16とR16、R16とR10は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
    また前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、
    前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。
    Figure 2023138332000035
    前記一般式(C-2)において、
    nおよびmはそれぞれ独立に、0、1または2であり、
    qは1、2または3であり、
    18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、
    またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
    またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
    また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。
    Figure 2023138332000036
    前記一般式(C-3)において、
    qは1、2または3であり、
    32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、
    またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
    またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、
    前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、
    また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
    前記没食子酸エステル(B1)及び/又は前記没食子酸エステル誘導体(B2)が炭素数8~22のアルキル基を有する、環状オレフィン系樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の環状オレフィン系樹脂組成物であって、
    前記環状オレフィレン系共重合体(A)と、前記没食子酸エステル(B1)及び前記没食子酸エステル誘導体(B2)と、の合計量を100質量部としたとき、
    前記没食子酸エステル(B1)及び前記没食子酸エステル誘導体(B2)の合計含有量が、0.5質量部以上2.0質量部以下である、環状オレフィン系樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の環状オレフィン系樹脂組成物を含む成形体。
  7. 請求項6に記載の成形体を含む光学部品。
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