JP2023138320A - α-アミラーゼ変異体 - Google Patents

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Mao Shaku
貴大 日置
Takahiro Hioki
三佳 寺井
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Abstract

【課題】低温で優れたデンプン分解活性を示し、さらに低pH及び/又はキレート剤存在下で優れた安定性を示すα-アミラーゼを提供する。【解決手段】配列番号2で示されるアミノ酸配列のH238又はE185位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、以下の(A)又は(B)で示されるアミノ酸残基の置換を含む親α-アミラーゼの変異体であって、前記親α-アミラーゼ又はα-アミラーゼ変異体は配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、α-アミラーゼ変異体(但し、同アミノ酸配列のH238、S239及びG178位に相当する3か所、H238、R209及びG178位に相当する3か所、並びにE185、N190及びG178位に相当する3か所の位置でのアミノ酸残基が置換されたα-アミラーゼ変異体を除く)。(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列のT116、A181、A199、A275、V277、A286及びL323位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列のG178位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、同アミノ酸配列のN126、T129、N190、R209及びS239位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換【選択図】なし

Description

本発明は、α-アミラーゼの変異体に関する。
α-アミラーゼは澱粉産業、醸造産業、繊維産業、医薬品産業及び食品産業等幅広い産業分野で利用されている他、洗浄剤への配合適性が知られており、デンプン質の汚れを除去する成分として自動食器洗浄機用の食器洗浄剤や衣料用洗剤等へ配合されている。
洗浄剤用として有用なα-アミラーゼとしては、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-1378(FERM BP-3048)株由来のα-アミラーゼAP1378(特許文献1)、バチルス リケニフォルミス由来のα-アミラーゼであるターマミルやデュラミル(登録商標)の他、バチルス エスピー(Bacillus sp.)DSM12649株由来のα-アミラーゼAA560(特許文献2)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)SP722株由来のα-アミラーゼSP722(特許文献3の配列番号4)、サイトファーガ属由来のα-アミラーゼCspAmy2(特許文献4)等が知られている。また、これらのα-アミラーゼについては、特定の用途に向けて機能が改善するように改変され、例えば洗剤中における安定性が向上した変異体等が報告されている(特許文献5)。
近年では、環境保護や洗浄コスト軽減の観点から、食器洗浄や洗濯洗浄、特にランドリーでの洗濯洗浄の際の温度を下げることが重要とされ、また洗浄時間の短縮化も望まれている。しかしながら、アミラーゼを含む大部分の酵素の至適温度は、低温洗浄において通常設定される温度よりも高く、このため、多くのデンプン質の汚れは完全に除去することが困難となっている。したがって、低温においても、洗浄性能やデンプン分解活性が保持され、汚れ除去効果が高いα-アミラーゼを見出すことが重要である。
また、近年、低pH環境での洗浄が洗浄品に対して優しく、一般的に使用されるアルカリ性組成物ほど強力ではないため、ガラス、模様付き食器などの洗浄品を長い間新しい見た目に保つ効果があること、また、布地の悪臭を減少させ、布地上の汚れを捕捉する傾向のあるカルシウム石鹸の放出を助け、pH反応性の染みに対する性能を向上させ、及び更には布地の感触に対して利益を齎すこと等が知られている。
また、食器洗浄剤においては、主な洗浄対象である食器類を洗浄する以外に、ステンレス製や樹脂製のシンク廻りの洗浄にも用いられるため、水垢汚れに対する洗浄力を発揮するクエン酸などのキレート剤を高濃度で配合される場合がある。
したがって、酸性及び/又はキレート剤配合洗剤は洗浄場面において様々なメリットがあると言え、斯かる洗剤にα-アミラーゼなどの酵素を添加することで、より洗浄性が向上することが期待できると考えられる。
特許文献6には、酸性条件下のデンプン液化プロセスにおいて安定なアミラーゼ、又はキレート剤配合洗剤中で安定なアミラーゼが記載されている。また、特許文献7には、キレート剤配合洗剤中で安定なSP722 α-アミラーゼ変異体が記載されている。更に低温においても洗浄性能やデンプン分解活性が保持され、汚れ除去効果が高いα-アミラーゼYR288を含有する洗浄剤組成物もまた報告されている(特許文献8)。
しかしながら、酸性又はキレート剤を含む洗剤、特に酸性且つキレート剤を含む洗剤において、高い洗浄力を発揮できることに加えて安定性が高いα-アミラーゼの提供には依然として課題がある。
国際公開第94/26881号 国際公開第00/60060号 国際公開第06/002643号 国際公開第2014/164777号 国際公開第98/044126号 特表2021-505167号公報 特許6185243号公報 国際公開第2022/017728号
本発明は、低温で優れたデンプン分解活性を示し、さらに低pH及び/又はキレート剤存在下で優れた安定性を示すα-アミラーゼを提供することに関する。
本発明者らは、低温下で機能するα-アミラーゼを親として、当該親α-アミラーゼと比して低pH及び/又はキレート剤存在下で安定性が向上したα-アミラーゼ変異体を得ることに成功した。
すなわち、本発明は、以下に係るものである。
1)配列番号2で示されるアミノ酸配列のH238又はE185位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、以下の(A)又は(B)で示されるアミノ酸残基の置換を含む親α-アミラーゼの変異体であって、前記親α-アミラーゼ又はα-アミラーゼ変異体は配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、α-アミラーゼ変異体(但し、同アミノ酸配列のH238、S239及びG178位に相当する3か所、H238、R209及びG178位に相当する3か所、並びにE185、N190及びG178位に相当する3か所の位置でのアミノ酸残基が置換されたα-アミラーゼ変異体を除く)。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列のT116、A181、A199、A275、V277、A286及びL323位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列のG178位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、同アミノ酸配列のN126、T129、N190、R209及びS239位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換
2)1)の変異体をコードするポリヌクレオチド。
3)2)のポリヌクレオチドを含むベクター又はDNA断片。
4)3)のベクター又はDNA断片を含有する形質転換細胞。
5)1)の変異体を含む洗浄剤組成物。
本発明によれば、親α-アミラーゼと比して低pH及び/又はキレート剤存在下で安定性が向上したα-アミラーゼ変異体を提供することができる。斯かるα-アミラーゼ変異体を用いることにより、低pH、さらにはキレート剤存在下でも安定したデンプン汚れ除去効果を発揮する洗浄が可能となる。
本明細書において、「アミラーゼ」(EC3.2.1.1;α-D-(1→4)-グルカングルカノヒドロラーゼ)とは、デンプンならびに他の直鎖又は分岐1,4-グリコシドオリゴ糖若しくは多糖類の加水分解を触媒する酵素群を意味する。α-アミラーゼ活性は、デンプンの酵素的分解による還元末端の生成量を測定することによって決定することができる。また、これに限定されず、例えばPhadebasのような色素架橋デンプンの酵素的分解による色素の遊離を測定することによっても決定することができる(Soininen, K., M. Ceska, and H. Adlercreutz. "Comparison between a new chromogenic α-amylase test (Phadebas) and the Wohlgemuth amyloclastic method in urine." Scandinavian journal of clinical and laboratory investigation 30.3 (1972): 291-297.)。
本明細書において、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science,1985,227:1435-1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGENETYX Ver.12のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本明細書において、「アミノ酸残基」とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸残基、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リシン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)を意味する。
本明細書において、アミノ酸の位置及び変異体の記載は、公認されているIUPACの1文字のアミノ酸略記を用いて、以下のように表記される。
所定位置のアミノ酸は、[アミノ酸、位置]で表記される。例えば位置226のスレオニンは、「T226」と示される。
アミノ酸の「置換」に関しては、[元のアミノ酸、位置、置換されたアミノ酸]で表記される。例えば位置226のスレオニンのアラニンへの置換は、「T226A」と示される。
アミノ酸の「欠失」に関しては、[元のアミノ酸、位置、Δ]で表記される。例えば、位置181でのセリンの欠失は「S181Δ」と示される。
複数の改変を含む変異体は、加算記号(「+」)によって表記される。例えば、「R170Y+G195E」は、それぞれ、位置170のアルギニンのチロシンへの置換と位置195のグリシンのグルタミン酸への置換を表す。
1つの位置で異なる改変を導入可能である場合、異なる改変はスラッシュ(「/」)によって分けられ、例えば、「R170Y/E」は、位置170のアルギニンのチロシン又はグルタミン酸への置換を表す。
本明細書において、プロモーター等の制御領域と遺伝子の「作動可能な連結」とは、遺伝子と制御領域とが、該遺伝子が該制御領域の制御の下で発現し得るように連結されていることをいう。遺伝子と制御領域との「作動可能な連結」の手順は当業者に周知である。
本明細書において、遺伝子に関する「上流」及び「下流」とは、該遺伝子の転写方向の上流及び下流をいう。例えば、「プロモーターの下流に配置された遺伝子」とは、DNAセンス鎖においてプロモーターの3’側に該遺伝子が存在することを意味し、遺伝子の上流とは、DNAセンス鎖における該遺伝子の5’側の領域を意味する。
本明細書において、細胞の機能や性状、形質に対して使用する用語「本来」とは、当該機能や性状、形質が当該細胞に元から存在していることを表すために使用される。対照的に、用語「外来」とは、当該細胞に元から存在するのではなく、外部から導入された機能や性状、形質を表すために使用される。例えば、「外来」遺伝子又はポリヌクレオチドとは、細胞に外部から導入された遺伝子又はポリヌクレオチドである。外来遺伝子又はポリヌクレオチドは、それが導入された細胞と同種の生物由来であっても、異種の生物由来(すなわち異種遺伝子又はポリヌクレオチド)であってもよい。
<変異体>
本発明の変異体は、配列番号2で示されるアミノ酸配列のH238又はE185位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、以下の(A)又は(B)で示されるアミノ酸残基の置換を含む親α-アミラーゼの変異体であって、前記親α-アミラーゼ又はα-アミラーゼ変異体は配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するものである。但し、同アミノ酸配列のH238、S239及びG178位に相当する3か所、H238、R209及びG178位に相当する3か所、並びにE185、N190及びG178位に相当する3か所の位置でのアミノ酸残基が置換されたα-アミラーゼ変異体は除かれる。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列のT116、A181、A199、A275、V277、A286及びL323位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列のG178位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、同アミノ酸配列のN126、T129、N190、R209及びS239位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換
すなわち、「変異体」は、親α-アミラーゼにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列のH238又はE185位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、上記(A)又は(B)で示されるアミノ酸残基の置換が組み合わせて行われたα-アミラーゼ活性を有するポリペプチドを意味する。斯かる所定位置のアミノ酸残基の置換は、低pH及び/又はキレート剤存在下で安定性を向上させるための改変であり、したがって、当該変異体は、親α-アミラーゼと比して低pH及び/又はキレート剤存在下での向上した安定性を有する。
「親α-アミラーゼ」とは、本発明の変異体をもたらすために改変が行われる基準α-アミラーゼを意味し、本発明においては、配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するα-アミラーゼである。親は、天然(野生型)ポリペプチド又はその変異体であり得る。
斯かる親α-アミラーゼとしては、配列番号2で示されるアミノ酸配列と好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するものが挙げられる。
ここで、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるα-アミラーゼは、NCBIタンパク質配列データベースにおいて、WP_100346362.1として登録されているα-アミラーゼYR288(国際公開第2022/017728号公報)を構成するアミノ酸配列(配列番号4)において、R178及びT180に対応するアミノ酸残基が欠失した(R178Δ+T180Δ)α-アミラーゼである。斯かるα-アミラーゼは、洗剤中での安定性がYR288よりも飛躍的に向上している(特願2021-135746)。したがって、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%、好ましくは少なくともは95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号4で示されるアミノ酸配列のR178、G179、T180及びG181の各位置に相当する位置から選ばれる2箇所以上のアミノ酸残基を欠失させたα-アミラーゼ変異体は、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるα-アミラーゼを含め、いずれも本発明の変異体の親α-アミラーゼとなり得る。
ここで、2箇所以上のアミノ酸残基の欠失としては、好ましくはR178Δ+T180Δ、G179Δ+T180Δ、R178Δ+G179Δ、R178Δ+G181Δ、G179Δ+G181Δ等が挙げられ、R178Δ+T180Δがより好ましい。
本発明のα-アミラーゼ変異体における変異位置は、当該配列番号2で示されるアミノ酸配列のアミノ酸番号に基づいて番号付けされる。
なお、配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなるα-アミラーゼとしては、この他に、バチルス フレクサス(Bacillus flexus)由来のα-アミラーゼであるDE0178や、バチルス エスピー(Bacillus sp.)由来のα-アミラーゼであるRU2Cなどが存在する(特願2020-121626)。
本発明において、アミノ酸配列上の「相当する位置」は、目的配列と参照配列(本発明においては配列番号2で示されるアミノ酸配列)とを、最大の相同性を与えるように整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アミノ酸配列のアラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,1994,Nucleic Acids Res.22:4673-4680)をデフォルト設定で用いることにより、行うことができる。あるいは、Clustal Wの改訂版であるClustal W2やClustal omegaを使用することもできる。Clustal W、Clustal W2及びClustal omegaは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ[www.ddbj.nig.ac.jp/searches-j.html])のウェブサイト上で利用することができる。上述のアラインメントにより参照配列の任意の位置にアラインされた目的配列の位置は、当該任意の位置に「相当する位置」とみなされる。
当業者であれば、上記で得られたアミノ酸配列のアラインメントを、最適化するようにさらに微調整することができる。そのような最適アラインメントは、アミノ酸配列の類似性や挿入されるギャップの頻度等を考慮して決定するのが好ましい。ここでアミノ酸配列の類似性とは、2つのアミノ酸配列をアラインメントしたときにその両方の配列に同一又は類似のアミノ酸残基が存在する位置の数の全長アミノ酸残基数に対する割合(%)をいう。類似のアミノ酸残基とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸のうち、極性や電荷の点で互いに類似した性質を有しており、いわゆる保存的置換を生じるようなアミノ酸残基を意味する。そのような類似のアミノ酸残基からなるグループは当業者にはよく知られており、例えば、アルギニンとリシン又はグルタミン;グルタミン酸とアスパラギン酸又はグルタミン;セリンとスレオニン又はアラニン;グルタミンとアスパラギン又はアルギニン;ロイシンとイソロイシン等がそれぞれ挙げられるが、これらに限定されない。
上記所定位置で行われるアミノ酸残基の「置換」は、ある位置にあるアミノ酸を異なるアミノ酸で置き換えることを意味する。
本発明において、アミノ酸残基の置換箇所は2箇所以上であり得るが、低pH及び/又はキレート剤存在下での安定性の点から、3個所以上であるのが好ましく、より好ましくは2~20箇所、より好ましくは3~19箇所が挙げられる。
なお、当該変異体は、洗浄性能、低pH及び/又はキレート剤存在下での安定性向上の点から、配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは少なくともは85%、より好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくともは95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の同一性を有するα-アミラーゼであるのが好ましい。
また、変異体は、上記変異体としての性質を保持する限り、任意の数の保存的アミノ酸置換を含み得る。
(A)で示されるアミノ酸残基の置換は、配列番号2で示されるアミノ酸配列のT116、A181、A199、A275、V277、A286及びL323位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換であるが、低pH及び/又はキレート剤存在下での安定性の点から、好ましくは2箇所以上の置換であるのが好ましく、より好ましくは3~6個所である。
また、上記T116、A181、A199、A275、V277、A286及びL323位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換に加えて、さらに、N126、T129、N190、R209、S239、G178、M197、F203、Y240、E255、Y358、W406、G474の各位置に相当する位置から選択される1箇所以上、好ましくは2箇所以上、より好ましくは5箇所以上、より好ましくは8箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換を組み合わせることが、洗浄性能及び低pH及び/又はキレート剤存在下での安定性向上の点から好ましい。
(B)で示されるアミノ酸残基の置換は、配列番号2で示されるアミノ酸配列のG178位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、同アミノ酸配列のN126、T129、N190、R209及びS239位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換である。
本発明のα-アミラーゼ変異体における、上記のH238、E185、T116、A181、A199、A275、V277、A286、L323、G178、N126、T129、N190、R209、S239、M197、F203、Y240、E255、Y358、W406、G474の各位置に相当する位置のアミノ酸残基の置換の好適な態様を以下に示す。
すなわち、H238は、Fへの置換(H238F)が好ましく;
E185は、Pへの置換(E185P)が好ましく;
T116は、Qへの置換(T116Q)が好ましく;
A181は、T、E又はQへの置換(A181T/E/Q)が好ましく;
A199は、Eへの置換(A199E)が好ましく;
A275は、Nへの置換(A275N)が好ましく;
V277は、Tへの置換(V277T)が好ましく;
A286は、Vへの置換(A286V)が好ましく;
L323は、Fへの置換(L323F)が好ましく;
G178は、Hへの置換(G178H)が好ましく;、
N126は、Yへの置換(N126Y)が好ましく;
T129は、Iへの置換(T129I)が好ましく;
N190は、Fへの置換(N190F)が好ましく;
R209は、L、V又はIへの置換(R209L/V/I)が好ましく;
S239は、A、Q、D、L、Y、P又はHへの置換(S239A/Q/D/L/Y/P/H)が好ましく;
M197は、L、T、A、N、Q、S、V又はIへの置換(M197L/T/A/N/Q/S/V/I)が好ましく;
F203は、Yへの置換(F203Y)が好ましく; Y240は、Fへの置換(Y240F)が好ましく;
E255は、Tへの置換(E255T)が好ましく;
Y358は、C、M、L又はVへの置換(Y358C/M/L/V)が好ましく;
W406は、Pへの置換(W406P)が好ましく;
G474は、A、P、E、S、F、R又はKへの置換(G474A/P/E/S/F/R/K)が好ましい。
次に、低pH及び/又はキレート剤存在下での安定性向上に寄与する好適な変異の組み合わせを、下記表1(表1-1~1-3)に示す。したがって、当該組み合わせ変異を少なくとも有する変異体は、低pH及び/又はキレート剤存在下での安定性向上に特に寄与する変異体である。
次に、低pH及び/又はキレート剤存在下での安定性向上に寄与する、より好適な変異の組み合わせを、下記表2に示す。したがって、当該組み合わせ変異を少なくとも有する変異体は、低pH及び/又はキレート剤存在下での安定性の向上に特に寄与する変異体である。
<本発明の変異体をコードするポリヌクレオチド>
本発明の変異体は、当技術分野で公知の各種の変異導入技術を使用して製造することができる。例えば、その基準アミノ酸配列をコードする親α-アミラーゼ遺伝子(基準α-アミラーゼ遺伝子)内の改変対象のアミノ酸残基をコードするポリヌクレオチドを、改変後のアミノ酸残基をコードするポリヌクレオチドに変異させ、更にその変異遺伝子から変異体を発現させることにより、製造することができる。
本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドは、一本鎖若しくは二本鎖DNA、RNA、又は人工核酸の形態であり得、あるいはcDNA、又はイントロンを含まない化学合成DNAであり得る。
本発明において、親α-アミラーゼのアミノ酸残基を変異させる手段としては、当技術分野で公知の各種変異導入技術を使用することができる。例えば、親α-アミラーゼのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(以下、親遺伝子ともいう)において、変異すべきアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列を、変異後のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列に変異させることにより、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを得ることができる。
親遺伝子への目的の変異の導入は、基本的には、当業者に周知の様々な部位特異的変異導入法を用いて行うことができる。部位特異的変異導入法は、例えば、インバースPCR法やアニーリング法などの任意の手法により行うことができる。市販の部位特異的変異導入用キット(例えば、Stratagene社のQuickChange II Site-Directed Mutagenesis Kitや、QuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit等)を使用することもできる。
親遺伝子への部位特異的変異導入は、最も一般的には、導入すべきヌクレオチド変異を含む変異用プライマーを用いて行うことができる。該変異用プライマーは、親遺伝子における変異すべきアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列を含む領域にアニーリングし、かつその変異すべきアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)に代えて変異後のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)を有するヌクレオチド配列を含むように設計すればよい。変異前及び変異後のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)は、当業者であれば通常の教科書等に基づいて適宜認識し選択することができる。あるいは、部位特異的変異導入は、導入すべきヌクレオチド変異を含む相補的な2つのプライマーを別々に用いて変異部位の上流側及び下流側をそれぞれ増幅したDNA断片を、SOE(splicing by overlap extension)-PCR(Gene,1989,77(1):p61-68)により1つに連結する方法を用いることもできる。
親遺伝子を含む鋳型DNAは、上述したα-アミラーゼを産生する微生物から、常法によりゲノムDNAを抽出するか、又はRNAを抽出し逆転写によりcDNAを合成することによって、調製することができる。あるいは、親α-アミラーゼのアミノ酸配列に基づいて、対応するヌクレオチド配列を化学合成して鋳型DNAとして用いてもよい。配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるα-アミラーゼをコードする塩基配列を含むDNA配列を配列番号1に、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるα-アミラーゼ(YR288)をコードする塩基配列を含むDNA配列を配列番号3に示した。
変異用プライマーは、ホスホロアミダイト法(Nucleic Acids R4esearch,1989,17:7059-7071)等の周知のオリゴヌクレオチド合成法により作製することができる。そのようなプライマー合成は、例えば市販のオリゴヌクレオチド合成装置(ABI社製など)を用いて実施することもできる。該変異用プライマーを含むプライマーセットを使用し、親遺伝子を鋳型DNAとして上記のような部位特異的変異導入を行うことにより、目的の変異を有する本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを得ることができる。
当該本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドは、一本鎖又は2本鎖のDNA、cDNA、RNAもしくは他の人工核酸を含み得る。該DNA、cDNA及びRNAは、化学合成されていてもよい。また当該ポリヌクレオチドは、オープンリーディングフレーム(ORF)に加えて、非翻訳領域(UTR)のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。また当該ポリヌクレオチドは、本発明の変異ポリペプチド産生用の形質転換体の種にあわせて、コドン至適化されていてもよい。各種生物が使用するコドンの情報は、Codon Usage Database([www.kazusa.or.jp/codon/])から入手可能である。
<ベクター又はDNA断片>
得られた本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドはベクターに組み込むことができる。当該ポリヌクレオチドを含有するベクターの種類としては、特に限定されず、プラスミド、ファージ、ファージミド、コスミド、ウイルス、YACベクター、シャトルベクター等の任意のベクターであってよい。また該ベクターは、限定ではないが、好ましくは、細菌内、好ましくはバチルス属細菌(例えば枯草菌又はその変異株)内で増幅可能なベクターであり、より好ましくは、バチルス属細菌内で導入遺伝子の発現を誘導可能な発現ベクターである。中でも、バチルス属細菌と他の生物のいずれでも複製可能なベクターであるシャトルベクターは、本発明の変異体を組換え生産する上で好適に用いることができる。好ましいベクターの例としては、限定するものではないが、pHA3040SP64、pHSP64R又はpASP64(特許第3492935号)、pHY300PLK(大腸菌と枯草菌の両方を形質転換可能な発現ベクター;Jpn J Genet,1985,60:235-243)、pAC3(Nucleic Acids Res,1988,16:8732)等のシャトルベクター;pUB110(J Bacteriol,1978,134:318-329)、pTA10607(Plasmid,1987,18:8-15)等のバチルス属細菌の形質転換に利用可能なプラスミドベクター、等が挙げられる。また大腸菌由来のプラスミドベクター(例えばpET22b(+)、pBR322、pBR325、pUC57、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pBluescript等)を用いることもできる。
上記ベクターは、DNAの複製開始領域又は複製起点を含むDNA領域を含み得る。あるいは、上記ベクターにおいては、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチド(すなわち変異体遺伝子)の上流に、該遺伝子の転写を開始させるためのプロモーター領域、ターミネーター領域、又は発現されたタンパク質を細胞外へ分泌させるための分泌シグナル領域などの制御配列が作動可能に連結されていてもよい。なお、遺伝子と制御配列が「作動可能に連結されている」とは、遺伝子と制御領域とが、該遺伝子が該制御領域による制御の下に発現し得るように配置されていることをいう。
上記プロモーター領域、ターミネーター、分泌シグナル領域等の制御配列の種類は、特に限定されず、導入する宿主に応じて、通常使用されるプロモーターや分泌シグナル配列を適宜選択して用いることができる。例えば、ベクターに組み込むことができる制御配列の好適な例としては、Bacllus sp.KSM-S237株のセルラーゼ遺伝子のプロモーター、分泌シグナル配列等が挙げられる。
あるいは、上記本発明のベクターには、該ベクターが適切に導入された宿主を選択するためのマーカー遺伝子(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、カナマイシン、クロラムフェニコールなどの薬剤の耐性遺伝子)がさらに組み込まれていてもよい。あるいは、宿主に栄養要求性株を使用する場合、要求される栄養の合成酵素をコードする遺伝子をマーカー遺伝子としてベクターに組み込んでもよい。またあるいは、生育のために特定の代謝を必須とする選択培地を用いる場合、該代謝の関連遺伝子をマーカー遺伝子としてベクターに組み込んでもよい。このような代謝関連遺伝子の例としては、アセトアミドを窒素源として利用するためのアセトアミダーゼ遺伝子が挙げられる。
上記本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドと、制御配列及びマーカー遺伝子との連結は、SOE(splicing by overlap extension)-PCR法(Gene,1989,77:61-68)などの当該分野で公知の方法によって行うことができる。連結した断片のベクターへの導入手順は、当該分野で周知である。
<形質転換細胞>
本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主へ導入するか、又は本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを含むDNA断片を宿主のゲノムに導入することにより、本発明の形質転換細胞を得ることができる。
宿主細胞としては、細菌、糸状菌などの微生物が挙げられる。細菌の例としては、大腸菌(Escherichia coli)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、リステリア属(Listeria)、バチルス属(Bacillus)に属する細菌などが挙げられ、このうち、大腸菌及びバチルス属細菌(例えば、枯草菌Bacillus subtilis Marburg No.168(枯草菌168株)又はその変異株)が好ましい。枯草菌変異株の例としては、J.Biosci.Bioeng.,2007,104(2):135-143に記載のプロテアーゼ9重欠損株KA8AX、ならびにBiotechnol.Lett.,2011,33(9):1847-1852に記載の、プロテアーゼ8重欠損株にタンパク質のフォールディング効率を向上させたD8PA株を挙げることができる。糸状菌の例としては、トリコデルマ属(Trichoderma)、アスペルギルス属(Aspergillus)、リゾプス属(Rizhopus)などが挙げられる。
宿主へのベクターの導入の方法としては、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法などの当該分野で通常使用される方法を用いることができる。導入が適切に行われた株をマーカー遺伝子の発現、栄養要求性などを指標に選択することで、ベクターが導入された目的の形質転換体を得ることができる。
あるいは、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチド、制御配列及びマーカー遺伝子を連結した断片を、宿主のゲノムに直接導入することもできる。例えば、SOE-PCR法などにより、上記連結断片の両端に宿主のゲノムと相補的な配列を付加したDNA断片を構築し、これを宿主に導入して、宿主ゲノムと該DNA断片との間に相同組換えを起こさせることによって、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドが宿主のゲノムに導入される。
斯くして得られた、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチド又はそれを含むベクターが導入された形質転換体を適切な培地で培養すれば、該ベクター上のタンパク質をコードする遺伝子が発現して本発明の変異体が生成される。当該形質転換体の培養に使用する培地は、当該形質転換体の微生物の種類にあわせて、当業者が適宜選択することができる。
あるいは、本発明の変異体は、無細胞翻訳系を使用して本発明の変異体をコードするポリヌクレオチド又はその転写産物から発現させてもよい。「無細胞翻訳系」とは、宿主となる細胞を機械的に破壊して得た懸濁液にタンパク質の翻訳に必要なアミノ酸等の試薬を加えて、in vitro転写翻訳系又はin vitro翻訳系を構成したものである。
上記培養物又は無細胞翻訳系にて生成された本発明の変異体は、タンパク質精製に用いられる一般的な方法、例えば、遠心分離、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、単離又は精製することができる。このとき、形質転換体内のベクター上で本発明のα-アミラーゼ変異体をコードする遺伝子と分泌シグナル配列が作動可能に連結されている場合、生成されたタンパク質は細胞外に分泌されるため、より容易に培養物から回収され得る。培養物から回収されたタンパク質は、公知の手段でさらに精製されてもよい。
斯くして得られる本発明の変異体は、親α-アミラーゼと比して、低pH及び/又はキレート剤存在下での向上した安定性を有する。
「低pH及び/又はキレート剤存在下での向上した安定性」とは、親α-アミラーゼと比して向上した、低pH環境下及び/又はキレート剤存在下でのα-アミラーゼ活性の維持能力を意味する。
ここで、低pHとは、弱酸性、すなわちpH4~7、好ましくはpH4.5~6.5を指し、低pH環境下での安定性とは、pHが約4~7の洗浄剤組成物中でα-アミラーゼ活性が維持されること、及び洗浄剤組成物を水に溶解または希釈して調製したpH約4~7の洗浄水中でα-アミラーゼ活性が維持されることを意味する。
キレート剤としては、後述する、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤及び多価カルボン酸系キレート剤等の洗浄剤組成物に配合され得るキレート剤が挙げられる。
斯かる低pH及び/又はキレート剤存在下での安定性は、当該技術分野において周知の方法を用いて評価され得る。例えば、キレート剤を含むpH4~7の洗浄用組成物に酵素溶液を添加して、所定時間処理の前後でα-アミラーゼ活性を測定し、処理前のサンプルの活性値を初発活性として、処理後の活性値の初発活性に対する割合を残存活性(%)とすることで求めることができる。
本発明の変異体は、各種洗浄剤組成物配合用酵素として有用であり、特に40℃以下の低温洗浄に適し、酸性かつキレート剤を配合した洗浄剤組成物への配合用酵素として有用である。
洗浄剤組成物中への本発明の変異体の配合量は、当該タンパク質が活性を示す量であれば特に制限されないが、例えば、洗浄剤組成物1kg当たり好ましくは1mg以上、より好ましくは10mg以上、より好ましくは50mg以上であり、且つ好ましくは5000mg以下、より好ましくは1000mg以下、より好ましくは500mg以下である。また1~5000mgであるのが好ましく、10~1000mgであるのがより好ましく、50~500mgであるのがより好ましい。
洗浄剤組成物は、本発明の変異体以外に様々な酵素を併用することもできる。例えば、加水分解酵素、酸化酵素、還元酵素、トランスフェラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、シンテターゼ等である。このうち、本発明のタンパク質とは異なるアミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ケラチナーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、リパーゼ、プルラナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、グルコシダーゼ、グルカナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ等が好ましく、特にプロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、リパーゼが好ましい。
プロテアーゼとしては市販のAlcalase、Esperase、Everlase、Savinase、Kannase、Progress Uno(登録商標;ノボザイムズ社)、PREFERENZ、EFFECTENZ、EXCELLENZ(登録商標;デュポン社)、Lavergy(登録商標;BASF社)、またKAP(花王)、等が挙げられる。
セルラーゼとしてはCelluclean、Carezyme(登録商標;ノボザイムズ社)、またKAC、特開平10-313859号公報記載のバチルス・エスピーKSM-S237株が生産するアルカリセルラーゼ、特開2003-313592の号公報記載の変異アルカリセルラーゼ(以上、花王)等が挙げられる。
アミラーゼとしてはTermamyl、Duramyl、Stainzyme、Stainzyme Plus、Amplify Prime(登録商標;ノボザイムズ社)、PREFERENZ、EFFECTENZ(登録商標;デュポン社)、またKAM(花王)、等が挙げられる。
リパーゼとしてはLipolase、Lipex(登録商標;ノボザイムズ社)等が挙げられる。
洗浄剤組成物には公知の洗浄剤成分を配合することができ、当該公知の洗浄剤成分としては、例えば次のものが挙げられる。
(1)界面活性剤
界面活性剤は洗浄剤組成物中0.5~60質量%配合され、特に粉末状洗浄剤組成物については10~45質量%、液体洗浄剤組成物については20~90質量%配合することが好ましい。また本発明の洗浄剤組成物がランドリー用衣料洗浄剤、自動食器洗浄機用洗浄剤である場合、界面活性剤は一般に1~10質量%、好ましくは1~5質量%配合される。
洗浄剤組成物に用いられる界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤の1種又は組み合わせを挙げることが出来るが、好ましくは陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤である。
陰イオン性界面活性剤としては、炭素数10~18のアルコールの硫酸エステル塩、炭素数8~20のアルコールのアルコキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、内部オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩又は脂肪酸塩が好ましい。本発明では特に、アルキル鎖の炭素数が10~14の、より好ましくは12~14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキレン鎖の炭素数が12~20の、より好ましくは16~18の内部オレフィンスルホンから選ばれる一種以上の陰イオン性界面活性剤が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属塩やアミン類が好ましく、特にナトリウム及び/又はカリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましい。内部オレフィンスルホン酸は例えばWO2017/098637を参照することができる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8~20)エーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8~20)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸(炭素数8~22)エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸(炭素数8~22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。特に、非イオン性界面活性剤としては、炭素数10~18のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを4~20モル付加した〔HLB値(グリフィン法で算出)が10.5~15.0、好ましくは11.0~14.5であるような〕ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
(2)二価金属イオン捕捉剤
二価金属イオン捕捉剤は0.01~50質量%、好ましくは5~40質量%配合される。本発明の洗浄剤組成物に用いられる二価金属イオン捕捉剤としては、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、オルソリン酸塩などの縮合リン酸塩、ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩、合成層状結晶性ケイ酸塩、ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、クエン酸塩、イソクエン酸塩、ポリアセタールカルボン酸塩などが挙げられる。このうち結晶性アルミノケイ酸塩(合成ゼオライト)が特に好ましく、A型、X型、P型ゼオライトのうち、A型が特に好ましい。合成ゼオライトは、平均一次粒径0.1~10μm、特に0.1~5μmのものが好適に使用される。
(3)アルカリ剤
アルカリ剤は0.01~80質量%、好ましくは1~40質量%配合される。粉末洗剤の場合、デンス灰や軽灰と総称される炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、並びにJIS1号、2号、3号などの非晶質のアルカリ金属珪酸塩が挙げられる。これら無機性のアルカリ剤は洗剤乾燥時に、粒子の骨格形成において効果的であり、比較的硬く、流動性に優れた洗剤を得ることができる。これら以外のアルカリとしてはセスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、またトリポリリン酸塩などのリン酸塩もアルカリ剤としての作用を有する。また、液体洗剤に使用されるアルカリ剤としては、上記アルカリ剤の他に水酸化ナトリウム、並びにモノ、ジ又はトリエタノールアミンを使用することができ、活性剤の対イオンとしても使用できる。
(4)再汚染防止剤
再汚染防止剤は0.001~10質量%、好ましくは1~5質量%配合される。本発明洗浄剤組成物に用いられる再汚染防止剤としてはポリエチレングリコール、カルボン酸系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。このうちカルボン酸系ポリマーは再汚染防止能の他、金属イオンを捕捉する機能、固体粒子汚れを衣料から洗濯浴中へ分散させる作用がある。カルボン酸系ポリマーはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などのホモポリマーないしコポリマーであり、コポリマーとしては上記モノマーとマレイン酸の共重合したものが好適であり、分子量が数千~10万のものが好ましい。上記カルボン酸系ポリマー以外に、ポリグリシジル酸塩などのポリマー、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、並びにポリアスパラギン酸などのアミノカルボン酸系のポリマーも金属イオン捕捉剤、分散剤及び再汚染防止能を有するので好ましい。
(5)漂白剤
例えば過酸化水素、過炭酸塩などの漂白剤は1~10質量%配合するのが好ましい。漂白剤を使用するときは、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)や特開平6-316700号公報記載などの漂白活性化剤(アクチベーター)を0.01~10質量%配合することができる。
(6)蛍光剤
洗浄剤組成物に用いられる蛍光剤としては、ビフェニル型蛍光剤(例えばチノパールCBS-Xなど)やスチルベン型蛍光剤(例えばDM型蛍光染料など)が挙げられる。蛍光剤は0.001~2質量%配合するのが好ましい。
(7)キレート剤
キレート剤は、例えば、汚れの易洗浄化や、洗浄時の水硬度の低減のために配合される。
斯かるキレート剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤、多価カルボン酸系キレート剤等が挙げられる。
アミノカルボン酸系キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)及びこれらの塩等が挙げられる。
ホスホン酸系キレート剤としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)及びこれらの塩等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸系キレート剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、乳酸及びこれらの塩等が挙げられる。
多価カルボン酸系キレート剤としては、コハク酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マロン酸及びこれらの塩等が挙げられる。
(8)緩衝剤
緩衝剤は、洗浄液の低pHを維持可能な緩衝系を生成するために配合される。斯かる緩衝剤としては、有機酸とその塩との混合物、例えばポリカルボン酸とその塩の混合物、好ましくは、クエン酸とクエン酸塩の混合物が挙げられる。
(9)その他の成分
洗浄剤組成物には、衣料用洗剤の分野で公知のビルダー、柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩など)、抑泡剤(シリコーンなど)、香料、防菌防カビ剤(プロキセル[商品名]、安息香酸など)、その他の添加剤を含有させることができる。
洗浄剤組成物は、上記方法で得られた本発明のタンパク質及び上記公知の洗浄成分を組み合わせて常法に従い製造することができる。洗剤の形態は用途に応じて選択することができ、例えば液体、粉体、顆粒、ペースト、固形などにすることができる。
斯くして得られる洗浄剤組成物は、衣料洗浄剤、食器洗浄剤、漂白剤、硬質表面洗浄用洗浄剤、排水管洗浄剤、義歯洗浄剤、医療器具用の殺菌洗浄剤などとして使用することができるが、好ましくは衣料洗浄剤、食器洗浄剤が挙げられ、より好ましくはランドリー用衣料洗浄剤(ランドリー用洗濯洗剤)、手洗いによる食器洗浄剤、自動食器洗浄機用洗浄剤が挙げられる。
また、当該洗浄剤組成物は、低温(例えば、40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下で、且つ5℃以上、10℃以上、15℃以上)での使用に適する。
上述した実施形態に関し、本発明においては更に以下の態様が開示される。
<1>配列番号2で示されるアミノ酸配列のH238又はE185位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、以下の(A)又は(B)で示されるアミノ酸残基の置換を含む親α-アミラーゼの変異体であって、前記親α-アミラーゼ又はα-アミラーゼ変異体は配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、α-アミラーゼ変異体(但し、同アミノ酸配列のH238、S239及びG178位に相当する3か所、H238、R209及びG178位に相当する3か所、並びにE185、N190及びG178位に相当する3か所の位置でのアミノ酸残基が置換されたα-アミラーゼ変異体を除く)。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列のT116、A181、A199、A275、V277、A286及びL323位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列のG178位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、同アミノ酸配列のN126、T129、N190、R209及びS239位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換
<2>前記(A)で示されるアミノ酸残基の置換が、さらに配列番号2で示されるアミノ酸配列のN126、T129、N190、R209、S239、G178、M197、F203、Y240、E255、Y358、W406及びG474の各位置に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換を含む<1>の変異体。
<3>前記(A)で示される配列番号2で示されるアミノ酸配列のT116、A181、A199、A275、V277、A286及びL323位に相当する位置から選択される2箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換を含む、<1>又は<2>の変異体。
<4>前記H238、E185、T116、A181、A199、A275、V277、A286、L323、G178、N126、T129、N190、R209及びS239の各位置に相当する位置のアミノ酸残基の置換が、それぞれH238F、E185P、T116Q、A181T/E/Q、A199E、A275N、V277T、A286V、L323F、G178H、N126Y、T129I、N190F、R209V/L/I、S239A/Q/D/L/Y/P/Hである、<1>~<3>のいずれかの変異体。
<5>変異体が、前記表1-1、表1-2及び表2で示される変異の組み合わせから選ばれる変異を少なくとも含む、<1>の変異体。
<6><1>~<5>のいずれかの変異体をコードするポリヌクレオチド。
<7><6>のポリヌクレオチドを含むベクター又はDNA断片。
<8><7>のベクター又はDNA断片を含有する形質転換細胞。
<9>微生物である、<8>の形質転換細胞。
<10><1>~<5>の変異体を含む洗浄剤組成物。
<11>衣料洗浄剤又は食器洗浄剤である、<10>の洗浄剤組成物。
<12>粉末又は液体である、<11>の洗浄剤組成物。
<13>弱酸性、好ましくはpH4~7である、<11>又は<12>の洗浄剤組成物。
<14>キレート剤を含む、<11>~<13>のいずれかの洗浄剤組成物。
<15>キレート剤が、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート剤又は多価カルボン酸系キレート剤である<14>の洗浄剤組成物。
(1)YR288変異体発現プラスミドの構築
下記の実施例に記載のYR288変異体の構築方法を記す。5’末端にリバースプライマーとの相補配列を15塩基有し変異配列を含むフォワードプライマー、及び変異配列の直前の塩基を5’末端とするリバースプライマーを変異導入用プライマー対として用いた。特開2022-019601の実施例に記載のYR288 R178Δ T180Δ発現プラスミド又は本実施例にて作成したYR288変異体発現プラスミドを鋳型として、変異導入用プライマー対を使用してPCRを行った。複数断片を連結する場合、それぞれのPCR産物を用いてIn-Fusion,HD Cloning kit(Clontech)のプロトコルに従ってIn-Fusion反応を行った。PCR産物又はIn-Fusion反応液を枯草菌にプロトプラスト法により形質転換して目的のYR288変異体発現プラスミドを保持する形質転換体を取得した。
(2)酵素生産培養
10ppmテトラサイクリンを添加したLB培地500μLを分注した96穴ディープウェルプレートに(1)で得た組換え枯草菌コロニーを植菌した後、32℃、1500rpmで一晩培養した。翌日、培養液20μLを2×L-マルトース培地(2%トリプトン、1%酵母エキス、1%NaCl、7.5%マルトース、7.5ppm硫酸マンガン五水和物、0.04%塩化カルシウム二水和物、10ppmテトラサイクリン;%は(w/v)%)500μLを分注した96穴ディープウェルプレートに植菌し、32℃、1500rpmで2日間培養した後、菌体から産生された酵素を含む培養上清を遠心分離により回収し酵素溶液とした。
(3)培養上清のタンパク質濃度測定
培養上清のタンパク質濃度測定にはプロテインアッセイラピッドキット ワコーII(富士フイルム和光純薬株式会社)を用いた。アミラーゼ発現カセットを持たないpHY300PLK(タカラバイオ)導入株の培養上清のタンパク質濃度をブランクとすることで培養上清中のアミラーゼの濃度を算出した。
(4)アミラーゼ変異体安定性評価(1)
実施例(1)に記載の方法によりYR288 R178Δ+T180Δ(配列番号2)を親ポリペプチドとして様々な変異体を構築し、これら変異体の酸性かつ高キレート剤存在下での保存安定性を評価した。
200mM EDTA-2NA及び50mMBritton-Robinsonバッファー(pH5.0)を等量ずつ混合した溶液にアミラーゼ溶液を添加し、40℃で30分間インキュベートした後に、50mMBritton-Robinsonバッファー(pH8.0)にて10倍希釈したものを用いて活性測定を行った。40℃処理前のサンプルの活性値を初発活性として、処理後の活性値の初発活性に対する割合を残存活性(%)とした。表3にその結果を示す。いずれの変異体も酸性かつキレート剤存在下において高い安定性を示した。
(5)アミラーゼ変異体安定性評価(2)
AATCC High Efficiency Standard Reference Detergent WITHOUT Brightenerを100mMクエン酸バッファー(pH5.0)で10倍希釈したものにアミラーゼ溶液を添加し、50℃で1時間インキュベートした後に50mMBritton-Robinsonバッファー(pH8.0)にて10倍希釈したものを用いて活性測定を行った。50℃処理前のサンプルの活性値を初発活性として、処理後の活性値の初発活性に対する割合を残存活性(%)とした。表4(表4-1、表4-2及び表4-3)にその結果を示す。いずれの変異体も希釈洗剤中で高い安定性を示した。
(6)アミラーゼ変異体安定性評価(3)
AATCC High Efficiency Standard Reference Detergent WITHOUT Brightenerを100mMクエン酸バッファー(pH5.0)で10倍希釈したものにアミラーゼ溶液を添加し、50℃で18時間インキュベートした後に50mMBritton-Robinsonバッファー(pH8.0)にて10倍希釈したものを用いて活性測定を行った。50℃処理前のサンプルの活性値を初発活性として、処理後の活性値の初発活性に対する割合を残存活性(%)とした。表5(表5-1、表5-2)にその結果を示す。いずれの変異体も希釈洗剤中で高い安定性を示した。
(7)アミラーゼ変異体安定性評価(4)
AATCC High Efficiency Standard Reference Detergent WITHOUT Brightenerに終濃度100mMとなるように50%w/wクエン酸溶液を加え、1MNaOHにてpH5.2に合わせた。この洗剤にアミラーゼ溶液を添加し、40℃で1週間インキュベートした後に50mMBritton-Robinsonバッファー(pH8.0)にて10倍希釈したものを用いて活性測定を行った。40℃処理前のサンプルの活性値を初発活性として、処理後の活性値の初発活性に対する割合を残存活性(%)とした。表6にその結果を示す。いずれの変異体も洗剤中で高い安定性を示した。
Figure 2023138320000005
Figure 2023138320000006

Claims (14)

  1. 配列番号2で示されるアミノ酸配列のH238又はE185位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、以下の(A)又は(B)で示されるアミノ酸残基の置換を含む親α-アミラーゼの変異体であって、前記親α-アミラーゼ又はα-アミラーゼ変異体は配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する、α-アミラーゼ変異体(但し、同アミノ酸配列のH238、S239及びG178位に相当する3か所、H238、R209及びG178位に相当する3か所、並びにE185、N190及びG178位に相当する3か所の位置でのアミノ酸残基が置換されたα-アミラーゼ変異体を除く)。
    (A)配列番号2で示されるアミノ酸配列のT116、A181、A199、A275、V277、A286及びL323位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換
    (B)配列番号2で示されるアミノ酸配列のG178位に相当する位置でのアミノ酸残基の置換と、同アミノ酸配列のN126、T129、N190、R209及びS239位に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換
  2. 前記(A)で示されるアミノ酸残基の置換が、さらに配列番号2で示されるアミノ酸配列のN126、T129、N190、R209、S239、G178、M197、F203、Y240、E255、Y358、W406及びG474の各位置に相当する位置から選択される1箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換を含む請求項1の変異体。
  3. 前記(A)で示される配列番号2で示されるアミノ酸配列のT116、A181、A199、A275、V277、A286及びL323位に相当する位置から選択される2箇所以上の位置でのアミノ酸残基の置換を含む、請求項1又は2記載の変異体。
  4. 前記H238、E185、T116、A181、A199、A275、V277、A286、L323、G178、N126、T129、N190、R209及びS239の各位置に相当する位置のアミノ酸残基の置換が、それぞれH238F、E185P、T116Q、A181T/E/Q、A199E、A275N、V277T、A286V、L323F、G178H、N126Y、T129I、N190F、R209V/L/I、S239A/Q/D/L/Y/P/Hである、請求項1~3のいずれか1項に記載の変異体。
  5. 変異体が、下記表1-1、表1-2、表1-3及び表2で示される変異の組み合わせから選ばれる変異を少なくとも含む、請求項1に記載の変異体。
    Figure 2023138320000007
    Figure 2023138320000008
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の変異体をコードするポリヌクレオチド。
  7. 請求項6に記載のポリヌクレオチドを含むベクター又はDNA断片。
  8. 請求項7に記載のベクター又はDNA断片を含有する形質転換細胞。
  9. 微生物である、請求項8に記載の形質転換細胞。
  10. 請求項1~5のいずれか1項に記載の変異体を含む洗浄剤組成物。
  11. 衣料洗浄剤又は食器洗浄剤である、請求項10に記載の洗浄剤組成物。
  12. 粉末又は液体である、請求項11に記載の洗浄剤組成物。
  13. 弱酸性である、請求項11又は12に記載の洗浄剤組成物。
  14. キレート剤を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
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